JP4486821B2 - 高忠実度dnaポリメラーゼ組成物およびその使用 - Google Patents

高忠実度dnaポリメラーゼ組成物およびその使用 Download PDF

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Description

本発明は、高忠実度ポリヌクレオチド合成の分野に関する。
DNAポリメラーゼはDNAの合成を触媒し、すべての細胞内で見いだすことができ、そして多数のウイルス内でもコードされ得る。DNAポリメラーゼはすべてが5’−3’DNA重合活性を有するが、DNAポリメラーゼは他の多数の特性において相互に異なる。例えば、一部のDNAポリメラーゼは有するのに他のDNAポリメラーゼには存在しない一部の酵素活性には、二本鎖DNA5’−3’エキソヌクレアーゼ活性、一本鎖DNA3’−5’エキソヌクレアーゼ活性、二本鎖DNA3’−5’DNAエキソヌクレアーゼ活性、RNase H活性、逆転写酵素活性等が含まれる。さらに、異なるDNAポリメラーゼは活性のために異なる最適のpHおよび温度範囲を有する可能性がある。しかも、DNAポリメラーゼはそれらがDNA合成を触媒する速度に関して異なる可能性がある。
精製DNAポリメラーゼは、in vitroにおいて多数の使用を有する。それらの単離方法を含むDNAポリメラーゼについての詳細な説明は、特にKornbergとBakerによる「DNA複製(DNA Replication)第2版」、W.H.Freeman&Company,ニューヨーク,ニューヨーク州),1991年,の中に見いだすことができる。DNAポリメラーゼのin vitro使用には、例えばハイブリダイゼーションプローブの標識化および合成、DNA配列決定、ならびにDNA増幅が含まれる。DNAポリメラーゼを利用する特に有用であったDNA増幅法は、耐熱性DNAポリメラーゼの使用を利用するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術である。
DNA増幅のために広く使用されている最初の耐熱性DNAポリメラーゼは、耐熱性好気性細菌Thermus aquaticusから単離されたTaq DNAポリメラーゼである。高温でのTaq DNAポリメラーゼの酵素活性は、複雑な二次構造を備えるポリヌクレオチド鋳型のプライマー伸長および配列決定を可能にする(すなわち、PCR増幅法によって)。しかし、Taq DNAポリメラーゼはヌクレオチドを組み込んだときに3’−5’エキソヌクレアーゼ活性(すなわち、プルーフリーディング(校正)活性)が欠如するために重大なエラー率を有するので、このために増幅した配列をその後の遺伝子構造/機能試験またはクローニングに使用する場合は適切ではない可能性がある。
過去10年間に、数多くの試験で耐熱性DNAポリメラーゼのエラー率が定量されており、数種の酵素はTaq DNAポリメラーゼより正確にDNAをコピーすることが見いだされている(高忠実度DNAポリメラーゼと呼ばれる)。DNAポリメラーゼについて記載している米国特許には、第4,492,130号;第4,946,786号;第5,210,036号;第5,420,029号;第5,489,523号;第5,506,137号;第5,545,552号;第5,618,711号;第5,624,833号;第6,238,905号;第6,100,078号;第6,077,664号;第5,968,799号;第5,948,663号;第5,885,713号;第5,834,285号;第5,756,334号;第5,747,298号;第5,744,312号;第5,624,833号;第5,602,011号;第5,556,772号が含まれる。
高忠実度ポリメラーゼは単独で忠実度を明確に増加させるはずであるが、通常は長いフラグメントを3’−5’エキソヌクレアーゼ活性が欠如するDNAポリメラーゼ(例、Taq DNAポリメラーゼ)と同等に効率的には増幅させない。標準ポリメラーゼと少量のプルーフリーディングポリメラーゼとを結合する酵素混合物は、忠実度と収率との平衡を提供する可能性がある。1994年に公表された試験は、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性が欠如する高レベルのDNAポリメラーゼ(exoDNAポリメラーゼ、Klentaq−1)と3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を示す極めて低レベルの耐熱性DNAポリメラーゼ(Pfu、Vent、もしくはDeep Vent等のexoDNAポリメラーゼ)とを使用すると、1ngのλDNA鋳型から35kb DNAの最高収率で塩基対忠実度が増加した産物が生成することを明らかにした(Barnes,「全米科学アカデミー要旨集(Proceedings of the National Academy of Sciences)」,91:2216−20,1994年)。同様に、米国特許第5,436,149号および第6,008,205号は、実質的に3’−5’エキソヌクレアーゼ活性が欠如する第1酵素と3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を備える第2酵素とを含むDNAポリメラーゼ組成物を使用してDNA増幅忠実度を向上させる方法を開示した。これらのような混合物中では、exo酵素はexoDNAポリメラーゼによって生じた重合エラーを補正するように機能する。
2種のDNAポリメラーゼの混合物を含む上記の組成物に固有の問題は、2種のDNAポリメラーゼを結合させた結果として生じる高い重合活性が増幅反応の効率そしてそのために収率を抑制する可能性がある点である。このため、PCR産物の収率を落とすことなくプルーフリーディングDNAポリメラーゼの比率を増加させることによって忠実度を増加させることはできない。増幅忠実度は高いDNAポリメラーゼ濃度によって影響を受ける可能性があることも知られている(例えば、Mattilaら、1991年,Polynucleotides Research,19:4967−73を参照されたい)。
このため、当技術分野においては重合忠実度を改善し、反応において高い重合活性を有する結果として生じる副作用を低下させる新規の方法および組成物に対する必要がある。
本発明は、第1酵素および第2酵素を含む酵素混合物を提供するが、ここで第1酵素はDNA重合活性を備え、そして第2酵素は3’−5’エキソヌクレアーゼ活性および低下したDNA重合活性を備える。
本発明は、第1酵素および第2酵素を含む酵素混合物をさらに提供するが、ここで第1酵素は野生型Pfu DNAポリメラーゼであり、第2酵素は3’−5’エキソヌクレアーゼ活性および低下したDNA重合活性を備える変異型Pfu DNAポリメラーゼである。
本発明は、第1酵素および第2酵素を含む酵素混合物をさらに提供するが、ここで第1酵素はTaq DNAポリメラーゼであり、第2酵素は3’−5’エキソヌクレアーゼ活性および低下したDNA重合活性を備える変異型Pfu DNAポリメラーゼである。
本発明は、第1酵素および第2酵素を含む酵素混合物をさらに提供するが、ここで第1酵素はDNA重合活性を備える野生型Pfu DNAポリメラーゼまたは野生型Taq DNAポリメラーゼであり、そして第2酵素は3’−5’エキソヌクレアーゼ活性および低下したDNA重合活性を備える変異型Pfu DNAポリメラーゼである。
本発明は、2種以上の酵素を含む酵素混合物を提供するが、ここで該酵素混合物中の少なくとも第1酵素はDNA重合活性を備え、そして該酵素混合物中の少なくとも第2酵素は3’−5’エキソヌクレアーゼ活性および低下したDNA重合活性を備える。
本発明は、低下したDNA重合活性を備える変異型Pfu DNAポリメラーゼをさらに提供するが、ここで変異型Pfu DNAポリメラーゼはT542、D543、K593、Y595、Y385、G387、およびG388からなる群から選択されるアミノ酸位置で1つ以上の突然変異を含む。
本発明は、変異型Pfu DNAポリメラーゼを含む組成物をさらになお提供するが、ここで変異型DNAポリメラーゼはT542、D543、K593、Y595、Y385、G387、およびG388からなる群から選択されるアミノ酸位置で1つ以上の突然変異を含む。
本発明は、T542、D543、K593、Y595、Y385、G387、およびG388からなる群から選択されるアミノ酸位置で1つ以上の突然変異を含む変異型Pfu DNAポリメラーゼを産生するために、野生型Pfu DNAポリメラーゼをコードするポリヌクレオチド内へ1つの突然変異を導入することにより産生する変異型Pfu DNAポリメラーゼを提供する。
本発明は、低下したDNA重合活性を備える変異型Pfu DNAポリメラーゼをさらに提供するが、ここで変異型Pfu DNAポリメラーゼは:
(a)野生型Pfu DNAポリメラーゼをコードするポリヌクレオチドを提供するステップと;
(b)変異型Pfu DNAポリメラーゼをコードする変異型ポリヌクレオチドを産生するためにポリヌクレオチド内へ1つ以上のヌクレオチド突然変異を導入するステップと;および
(c)変異型Pfu DNAポリメラーゼを産生するために変異型ポリヌクレオチドを発現させるステップであって、ここで変異型Pfu DNAポリメラーゼはT542、D543、K593、Y595、Y385、G387、およびG388からなる群から選択されるアミノ酸位置で1つ以上の突然変異を含むステップ
によって産生する。
本発明は、低下したDNA重合活性を備えるPfu DNAポリメラーゼをコードするポリヌクレオチドを発現させることによって産生する変異型Pfu DNAポリメラーゼを含む組成物を提供するが、ここで変異型Pfu DNAポリメラーゼはT542、D543、K593、Y595、Y385、G387、およびG388からなる群から選択されるアミノ酸位置で1つ以上の突然変異を含む。
本発明は、低下したDNA重合活性を備える変異型Pfu DNAポリメラーゼを含む組成物をさらに提供するが、ここで変異型Pfu DNAポリメラーゼは(a)T542、D543、K593、Y595、Y385、G387、およびG388からなる群から選択されるアミノ酸位置で1つ以上の突然変異を含む変異型Pfu DNAポリメラーゼをコードする変異型ポリヌクレオチドを産生するために、野生型Pfu DNAポリメラーゼをコードするポリヌクレオチド内に1つの突然変異を導入するステップと;(b)変異型Pfu DNAポリメラーゼを含む組成物を産生するために変異型ポリヌクレオチドを発現させるステップと、によって産生する。
本発明は、第1酵素および第2酵素、ならびにそのための包装材料を含むキットをさらに提供するが、ここで第1酵素はDNA重合活性を備え、第2酵素は3’−5’エキソヌクレアーゼ活性および低下したDNA重合活性を備える。
本発明は、第1酵素および第2酵素、ならびにそのための包装材料を含むキットをさらに提供するが、ここで第1酵素は野生型Pfu DNAポリメラーゼであり、第2酵素は3’−5’エキソヌクレアーゼ活性および低下したDNA重合活性を備える変異型Pfu DNAポリメラーゼである。
本発明は、第1酵素と第2酵素、ならびにそのための包装材料を含むキットをさらに提供するが、ここで第1酵素はTaq DNAポリメラーゼであり、第2酵素は3’−5’エキソヌクレアーゼ活性および低下したDNA重合活性を備える変異型Pfu DNAポリメラーゼである。
本発明は、第1酵素および第2酵素を含む酵素混合物、ならびにそのための包装材料を含むキットをさらに提供するが、ここで第1酵素はDNA重合活性を備える野生型Pfu DNAポリメラーゼまたは野生型Taq DNAポリメラーゼであり、そして第2酵素は3’−5’エキソヌクレアーゼ活性および低下したDNA重合活性を備える変異型Pfu DNAポリメラーゼである。
本発明は、低下したDNA重合活性を備える変異型DNAポリメラーゼおよびそのための包装材料を含むキットをさらに提供するが、ここで変異型Pfu DNAポリメラーゼはT542、D543、K593、Y595、Y385、G387、およびG388からなる群から選択されるアミノ酸位置で1つ以上の突然変異を含む。
1つの実施態様では、本発明の第1酵素はDNAポリメラーゼまたは逆転写酵素である。
好ましくは、DNAポリメラーゼは、Taq DNAポリメラーゼ、Tth DNAポリメラーゼ、UlTma DNAポリメラーゼ、Tli DNAポリメラーゼ、Pfu DNAポリメラーゼ、KOD DNAポリメラーゼ、JDF−3 DNAポリメラーゼ、PGB−D DNAポリメラーゼおよびDP1/DP2 DNAポリメラーゼからなる群から選択される。
本発明の1つの実施態様では、第2酵素は変異型DNAポリメラーゼである。
好ましくは、変異型DNAポリメラーゼは、第1酵素とは異なるDNAポリメラーゼに由来する。
より好ましくは、変異型DNAポリメラーゼは、UlTma DNAポリメラーゼ、Tli DNAポリメラーゼ、Pfu DNAポリメラーゼ、KOD DNAポリメラーゼ、JDF−3 DNAポリメラーゼ、PGB−D DNAポリメラーゼおよびDP1/DP2 DNAポリメラーゼからなる群から選択されるDNAポリメラーゼに由来する。
好ましくは、変異型DNAポリメラーゼは、その分割ドメインまたはポリメラーゼドメインにおいて突然変異を含む。
より好ましくは、変異型Pfu DNAポリメラーゼはD405、Y410、T542、D543、K593、Y595、Y385、G387、およびG388からなる群から選択されるアミノ酸位置で1つ以上の突然変異を含む。
より好ましくは、変異型Pfu DNAポリメラーゼはD405E、Y410F、T542P、D543G、K593T、Y595S、Y385Q、Y385S、Y385N、Y385L、Y385H、G387S、G387P、およびG388Pからなる群から選択される1つ以上の突然変異を含む。
本発明の好ましい実施態様では、変異型Pfu DNAポリメラーゼはG387Pの突然変異を含む。
本発明の酵素混合物、組成物、またはキットは、PCR促進因子および/または添加剤をさらに含んでいてよい。
好ましくは、酵素混合物、組成物、または酵素混合物を含むキットは、重合活性/エキソヌクレアーゼ活性の(2.5−5U)/(0.02−5U)の比率を備える。
より好ましくは、酵素混合物、組成物、または酵素混合物を含むキットは、(2.5U)/(0.04−0.08U)の重合活性/エキソヌクレアーゼ活性の比率を備える。
本発明の酵素混合物では、第1酵素は酵素ブレンドの酵素であってよいが、ここで酵素混合物は酵素ブレンドおよび第2酵素を混合することによって生成される。
好ましくは、酵素ブレンドは野生型Pfu DNAポリメラーゼおよび野生型Taq DNAポリメラーゼを含む。
同様に好ましくは、酵素ブレンドはさらにPCR促進因子を含んでいてよい。
本発明の変異型Pfu DNAポリメラーゼは、T542P、D543G、K593T、Y595S、Y385Q、Y385S、Y385N、Y385L、Y385H、G387S、G387P、およびG388Pからなる群から選択される1つ以上の突然変異を含んでいてよい。
好ましくは、変異型Pfu DNAポリメラーゼは、T542P、D543G、K593T、Y595S、Y385Q、Y385S、Y385N、Y385L、Y385H、G387S、G387P、およびG388Pからなる群から選択される1つ以上の突然変異を含む。
本発明は、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性および低下したDNA重合活性を備える変異型酵素をコードするヌクレオチド配列を含む単離ポリヌクレオチドを提供する。
好ましくは、本発明の単離ポリヌクレオチドによってコードされる3’−5’エキソヌクレアーゼ活性および低下したDNA重合活性を備える変異型酵素は、変異型DNAポリメラーゼまたは変異型逆転写酵素である。
より好ましくは、単離ポリヌクレオチドは変異型Pfu DNAポリメラーゼをコードする。
より好ましくは、単離ポリヌクレオチドは、T542、D543、K593、Y595、Y385、G387、およびG388からなる群から選択されるアミノ酸位置で1つ以上の突然変異を含む変異型Pfu DNAポリメラーゼをコードする。
より好ましくは、単離ポリヌクレオチドは、Y410F、T542P、D543G、K593T、Y595S、Y385Q、Y385S、Y385N、Y385L、Y385H、G387S、G387P、およびG388Pからなる群から選択される1つ以上の突然変異を含む変異型Pfu DNAポリメラーゼをコードする。
本発明は、1組の単離ポリヌクレオチド対をさらに提供するが、ここで該対の第1ポリヌクレオチドは、DNAポリメラーゼ活性を備える第1酵素をコードするポリヌクレオチド配列を含み、そして該対の第2ポリヌクレオチドは、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性および低下したDNA重合活性を備える酵素をコードするポリヌクレオチド配列を含む。
本発明は、1組の単離ポリヌクレオチド対をさらに提供するが、ここで該対の第1ポリヌクレオチドは、野生型Pfu DNAポリメラーゼまたはTaq DNAポリメラーゼをコードするポリヌクレオチド配列を含み、そして該対の第2ポリヌクレオチドは、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性および低下したDNA重合活性を備える変異型Pfu DNAポリメラーゼをコードするポリヌクレオチド配列を含む。
好ましくは、該対の第2ポリヌクレオチドは、D405、Y410、T542、D543、K593、Y595、Y385、G387、およびG388からなる群から選択されるアミノ酸位置で1つ以上の突然変異を含む変異型Pfu DNAポリメラーゼをコードするポリヌクレオチド配列を含む。
同様に好ましくは、該対の第2ポリヌクレオチドは、D405E、Y410F、T542P、D543G、K593T、Y595S、Y385Q、Y385S、Y385N、Y385L、Y385H、G387S、G387P、およびG388Pからなる群から選択される1つ以上の突然変異を含む変異型Pfu DNAポリメラーゼをコードするポリヌクレオチド配列を含む。
本発明は、DNA合成方法であって:(a)DNA重合活性を備える第1酵素、ならびに3’−5’エキソヌクレアーゼ活性および低下したDNA重合活性を備える第2酵素を含む酵素混合物を提供するステップと;および(b)酵素混合物を核酸鋳型と接触させるステップであって、ここで酵素混合物がDNA合成を可能にするステップと、を含む方法を提供する。
好ましくは、核酸鋳型はDNA分子またはRNA分子である。
本発明は、DNA合成方法であって:(a)本発明の酵素混合物を提供するステップであって、酵素混合物が第1酵素としての野生型Pfu DNAポリメラーゼ、ならびに3’−5’エキソヌクレアーゼ活性および低下したDNA重合活性を備える第2酵素としての変異型Pfu DNAポリメラーゼを含んでいるステップと;および(b)酵素混合物を核酸鋳型と接触させるステップであって、ここで酵素混合物がDNA合成を可能にするステップと、を含む方法を提供する。
本発明は、DNA合成産物のTAクローニング方法であって:(a)本発明の酵素混合物を提供するステップであって、酵素混合物が第1酵素としてのTaq DNAポリメラーゼ、ならびに3’−5’エキソヌクレアーゼ活性および低下したDNA重合活性を備える第2酵素としての変異型Pfu DNAポリメラーゼを含んでいるステップと;(b)酵素混合物を核酸鋳型と接触させるステップであって、ここで酵素混合物が合成DNA産物を生成するためにDNA合成を可能にするステップと;および(c)TAクローニングベクター内へ合成DNA産物を挿入するステップと、を含む方法を提供する。
本発明は、高忠実度ポリヌクレオチド合成、特にDNA合成のための新規組成物を提供する。本発明は、DNA合成のための第1酵素および第2酵素を含む酵素混合物を提供するが、ここで第1酵素はDNA重合活性を備え、そして第2酵素は3’−5’エキソヌクレアーゼ活性および低下したDNA重合活性を備える。DNA合成のための高忠実度を提供することに加えて、本発明の組成物は高い重合活性の副作用を防止し、このために両方のDNAポリメラーゼが野生型重合活性を有する混合物と比較して増幅の効率を増加させる。
用語の定義
本明細書で使用する「合成」とは、ポリヌクレオチドの新規ストランドを作製する、または既存ポリヌクレオチド(すなわち、DNAもしくはRNA)を伸長させるあらゆるin vitro法を意味する。本発明による合成には、ポリメラーゼを使用してポリヌクレオチド鋳型配列の多数のコピーを増加させる増幅が含まれる。ポリヌクレオチド合成(例、増幅)は、ポリヌクレオチド(すなわち、プライマー)内へのヌクレオチドの取り込みを生じさせ、それによって該ポリヌクレオチド鋳型に相補的な新規ポリヌクレオチド分子を形成する。形成されたポリヌクレオチド分子およびその鋳型は、追加のポリヌクレオチド分子を合成するための鋳型として使用できる。
本発明による「DNA合成」には、PCR、逆転写、ポリヌクレオチドの標識化(すなわち、プローブおよびオリゴヌクレオチドプライマーに対して)、ポリヌクレオチド配列決定が含まれるが、それらに限定されない。
本明細書で使用する用語「鋳型依存性方法」とは、プライマー分子の鋳型依存性伸長(例、DNAポリメラーゼによるDNA合成)を含む工程を意味すると意図されている。用語「鋳型依存性方法」とは、RNAもしくはDNAのポリヌクレオチド合成を意味するが、ここでポリヌクレオチドの新規合成ストランドの配列は相補的塩基対合のよく知られている規則によって決定される(例えば、Watson J.D.らの「遺伝子の分子生物学(Molecular Biology of the Gene.)第4版」,W.A.Benjamin,Inc.,メンロパーク,カリフォルニア州(1987年)を参照されたい)。
本明細書で使用する「ポリヌクレオチドポリメラーゼ」とは、ヌクレオチドの重合を触媒する(すなわち、ポリメラーゼ活性)酵素を意味する。一般に、該酵素はポリヌクレオチド鋳型配列にアニーリングされたプライマーの3’末端で合成を開始し、そして鋳型ストランドの5’末端に向かって進行する。「DNAポリメラーゼ」は、デオキシヌクレオチドの重合を触媒する。
本明細書で使用する「ポリメラーゼドメイン」とは、その重合活性にとって極めて重要であるDNAポリメラーゼの1つ以上のドメインを意味する。ポリメラーゼドメインの位置は変化し、例えばPfu、Tgo、KDO、Tli(Vent)およびPGB−D(dee Vent)のためのポリメラーゼドメインは表2Bに記載したアミノ酸位置に位置する。
本明細書で使用する「分割ドメイン」とは、DNA鎖の合成と分解との平衡を調整することに極めて重要な役割を果たすDNAポリメラーゼのドメインを意味する。一般に、分割ドメインはYXGGモチーフを特徴とする(Trunigerら、1996年,EMBO J.15:3430−3441)。この領域は、3’−5’エキソヌクレアーゼドメインとポリメラーゼドメインとを結び付ける接近可能なループ内に位置する。分割ドメインの位置は変動する。例えば、Pfu、Tgo、KDO、Tli(Vent)およびPGB−D(dee Vent)のための分割ドメインは、各々アミノ酸位置384−389、383−388、383−388、386−391、および384−389に位置する。
本発明によると、別のクラスのDNAポリメラーゼは「RT」とも呼ばれる「逆転写酵素」であり、HIV、HTLV−I、HTLV−II、FeLV、FIV、SIV、AMV、MMTV、およびMoMuLVを含む全レトロウイルスに対するウイルスRNA由来cDNAの合成に責任を担う極めて重要な酵素である。詳しい説明については、例えばLevin,1997年,Cell,88:5−8;Brosiusら、1995年,Virus Genes 11:163−79を参照されたい。用語「逆転写酵素(RT)活性」とは、RNA鋳型からcDNAを合成する能力を意味する。RT活性を測定する方法は当技術分野においてよく知られており、例えばQuan−T−RTアッセイシステムはアマシャム(Amersham)社(アーリントンハイツ,イリノイ州)から市販で入手でき、Bosworthら、Nature 1989年,341:167−168に記載されている。
本明細書で使用する「低下したDNA重合活性」を備える変異型DNAポリメラーゼは、例えば野生型酵素の重合活性の10%(例えば、8%、6%、4%、2%未満、もしくは1%未満)のDNA重合活性を備えるような、野生型酵素のDNA重合活性より低いDNA重合活性を備えるDNAポリメラーゼ変異体である。
本明細書で使用する「エキソヌクレアーゼ」とは、結合、好ましくはヌクレオチド間のホスホジエステル結合をDNA分子の末端から1つずつ切断する酵素を意味する。エキソヌクレアーゼはDNA分子の5’または3’末端に対して特異的であってよく、そして本明細書では5’から3’エキソヌクレアーゼまたは3’から5’エキソヌクレアーゼと呼ぶ。本発明による有用なエキソヌクレアーゼは、ポリヌクレオチドの3’末端から連続ヌクレオチドを切断することによりDNAを分解する3’から5’エキソヌクレアーゼである。ポリヌクレオチド鋳型の合成または増幅中に、3’から5’エキソヌクレアーゼ活性を備えるDNAポリメラーゼ(exo)は誤対合塩基を取り除く能力(プルーフリーディング活性)を有しており、このために3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を備えないDNAポリメラーゼ(exo)よりエラーが発生しにくい。エキソヌクレアーゼ活性は、当技術分野においてよく知られている方法によって定義できる。例えば、1単位のエキソヌクレアーゼ活性は、37℃、1時間で1μgのDNA標的を切断するために必要な酵素の量を意味する。野生型TthDNAポリメラーゼおよびTaq DNAポリメラーゼは3’から5’エキソヌクレアーゼ活性を有していないために「exo」であるが、野生型Pfu DNAポリメラーゼ、大腸菌DNAポリメラーゼI、T7 DNAポリメラーゼ、Tma DNAポリメラーゼ、Tli DNAポリメラーゼ、KOD DNAポリメラーゼ、JDF DNAポリメラーゼ、およびPGB−D DNAポリメラーゼは、それらすべてが3’から5’エキソヌクレアーゼ活性を示すので「exo」である。
本明細書で使用する用語「忠実度」とは、鋳型依存性DNAポリメラーゼによるDNA重合の正確度を意味する。DNAポリメラーゼの忠実度は、エラー率によって測定する(不正確なヌクレオチド、すなわち、鋳型依存性方法で取り込まれたのではないヌクレオチドを取り込む頻度)。DNA重合の正確度もしくは忠実度は、DNAポリメラーゼのポリメラーゼ活性および3’−5’エキソヌクレアーゼ活性の両方によって維持される。用語「高忠実度」とは、1塩基対当たり5×10−6以下のエラー率を意味する。DNAポリメラーゼの忠実度もしくはエラー率は、当技術分野において知られているアッセイを使用して測定できる(例えば、Lundburgら、1991年 Gene,108:1−6を参照されたい)。
本明細書で使用する「増幅産物」とは、PCR増幅反応終了時の二本鎖ポリヌクレオチド集団を意味する。増幅産物は、最初のポリヌクレオチド鋳型およびPCR反応中にポリヌクレオチド鋳型を使用してDNAポリメラーゼによって合成されたポリヌクレオチドを含有する。
本明細書で使用する「ポリヌクレオチド鋳型」または「標的ポリヌクレオチド鋳型」とは、増幅領域を含有するポリヌクレオチドを意味する。本明細書で使用する「増幅領域」とは、逆転写によって合成された、またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅されたポリヌクレオチドの領域である。例えば、ポリヌクレオチド鋳型の増幅領域は、それに対して2種のPCRプライマーが相補的である2つの配列間に存在する。
本明細書で使用する用語「プライマー」とは、ポリヌクレオチド鋳型にハイブリダイズして第2ポリヌクレオチドストランドの酵素的合成をプライミングすることのできる一本鎖DNAまたはRNA分子を意味する。本発明により有用なプライマーは、長さが10から100ヌクレオチド、好ましくは長さが17から50ヌクレオチド、およびより好ましくは長さが17から45ヌクレオチドである。
「相補的」とは、塩基対合を通して2本のポリヌクレオチドストランドの領域間または2つのヌクレオチド間の配列相補性についての広範囲の概念を意味する。アデニンヌクレオチドが、チミンまたはウラシルであるヌクレオチドとの特異的水素結合(「塩基対合」)を形成できることは知られている。同様に、シトシンヌクレオチドはグアニンヌクレオチドと塩基対合できることは知られている。
用語「野生型」とは、天然起源から単離された遺伝子または遺伝子産物の特徴を有する遺伝子または遺伝子産物を意味する。これとは対照的に、用語「修飾(された)」または「変異型」とは、野生型遺伝子または遺伝子産物と比較して変化した特徴を示す遺伝子または遺伝子産物に適用する。例えば、本発明における変異型DNAポリメラーゼは低下したDNA重合活性を示すDNAポリメラーゼである。
本明細書で使用する本発明による「酵素混合物」は、DNA重合活性を備える第1酵素、ならびに3’−5’エキソヌクレアーゼ活性および低下したDNA重合活性を備える第2酵素を含む。該酵素混合物中のDNAポリメラーゼ活性対エキソヌクレアーゼ活性の比率は約(2.5−5UのDNA重合活性)/(0.05−10Uの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性)である。
本明細書で使用する用語「酵素ブレンド」とは、2種以上のプレミックス酵素を含む酵素組成物を意味する。「酵素ブレンド」はさらに、PCR促進因子、酵素保存バッファー、または反応バッファー等の他の試薬を含んでいてよい。
有用なDNAポリメラーゼおよび逆転写酵素
DNAポリメラーゼおよびそれらの特性は、特に「DNA複製 第2版」KornbergとBaker,W.H.Freeman&Company,ニューヨーク,ニューヨーク州(1991年)の中に詳細に記載されている。
知られている従来型DNAポリメラーゼには、例えばPyrococcus furiosus(Pfu) DNAポリメラーゼ(Lundbergら、1991年,Gene,108:1,ストラタジーン(Stratagene)社製)、Pyrococcus woesei(Pwo) DNAポリメラーゼ(Hinnisdaelsら、1996年,Biotechniques,20:186−8,ベーリンガーマンハイム(Boehringer Mannheim)社製)、Thermus thermophilus(Tth) DNAポリメラーゼ(MyersとGelfand 1991年,Biochemistry 30:7661)、Bacillus stearothermophilus DNAポリメラーゼ(SteneshとMcGowan,1977年,Biochim Biophys Acta 475:32)、Thermococcus litoralis(Tli) DNAポリメラーゼ(Vent DNAポリメラーゼとも呼ばれる、Carielloら、1991年,Polynucleotides Res,19:4193,ニュー・イングランド・バイオラブズ(New England Biolabs)社製)、9°Nm DNAポリメラーゼ(ニュー・イングランド・バイオラブズ社の製造中止製品)、Thermotoga maritima(Tma) DNAポリメラーゼ(DiazとSabino,1998年,Braz J.Med.Res,31:1239)、Thermus aquaticus(Taq) DNAポリメラーゼ(Chienら、1976年,J.Bacteoriol,127:1550)、Pyrococcus Kodakaraensis KOD DNAポリメラーゼ(Takagiら、1997年,Appl.Environ.Microbiol.63:4504)、JDF−3 DNAポリメラーゼ(thermococcus種のJDF−3由来、特許出願国際公開公報第0132887号)、Pyrococcus GB−D(PGB−D) DNAポリメラーゼ(Deep−Vent DNAポリメラーゼとも呼ばれる、Juncosa−Ginestaら、1994年,Biotechniques,16:820,ニュー・イングランド・バイオラブズ社製)、UlTma DNAポリメラーゼ(好熱菌Thermotoga maritimaから;DiazとSabino,1998年,Braz J.Med.Res,31:1239;PEアプライド・バイオシステムズ(PE Applied Biosystems)社製)、Tgo DNAポリメラーゼ(thermococcus gorgonarius由来、ロシュ・モレキュラー・バイオケミカルズ(Roche Molecular Biochemicals)社製)、大腸菌DNAポリメラーゼI(LecomteとDoubleday,1983年,Polynucleotides Res.11:7505)、T7 DNAポリメラーゼ(Nordstromら、1981年,J.Biol.Chem.256:3112)、および古細菌DP1/DP2 DNAポリメラーゼII(Cannら、1998年,Proc Natl Acad Sci USA 95:14250−5)が含まれる。上記の酵素の重合活性はいずれも、当技術分野においてよく知られている方法によって定義できる。本発明による従来型DNAポリメラーゼの1単位のDNA重合活性は、最適温度(例、Pfu DNAポリメラーゼの場合は72℃)で30分間中に重合体形への10nMの全デオキシヌクレオチド(dNTP)の取り込みを触媒する酵素の量であると定義されている。DNAポリメラーゼ活性と3’−5’エキソヌクレアーゼ活性についてのアッセイは、「DNA複製 第2版」,KornbergとBaker(上記);「酵素(Enzymes)」,DixonとWebb,Academic Press,サンディエゴ,カリフォルニア州(1979年)ならびに当業者が入手できる他の出版物の中に見いだすことができる。
例えばPCR技術中のように高温に曝露させられる反応混合物中で本組成物を使用する場合は、耐熱性DNAポリメラーゼの使用が好ましい。
本発明により有用な逆転写酵素には、HIV、HTLV−1、HTLV−II、FeLV、FIV、SIV、AMV、MMTV、MoMuLVおよびその他のレトロウイルス由来の逆転写酵素が含まれるがそれらに限定されない(詳細な説明については、例えばLevin,1997年,Cell,88:5−8;Verma,1977年,Biochim Biophys Acta.473:1−38;Wuら、1975年,CRC Crit Rev Biochem.3:289−347を参照されたい)。
DNA重合活性を備える有用な第1酵素
本発明によるDNA重合活性を備える酵素には、DNAポリメラーゼおよび逆転写酵素等の酵素が含まれる。
本組成物中で使用される第1酵素は、プルーフリーディング活性を備える、または備えないあらゆるDNAポリメラーゼであってよい。好ましくは、野生型DNAポリメラーゼを使用する。しかし、変異型DNAポリメラーゼもまた、それが増幅反応のために必要な十分なDNA重合活性を提供する限り使用できる。
好ましい実施態様では、DNA重合活性を備える第1酵素は野生型Pfu DNAポリメラーゼである。第1酵素としてPfu DNAポリメラーゼを含む酵素混合物は、本明細書では以下ではPfuブレンドとも呼ぶ。
本発明の好ましい実施態様では、Pfuブレンド酵素混合物は例えばPCR反応のようなDNA合成反応のために使用される。
また別の好ましい実施態様では、DNA重合活性を備える第1酵素は野生型Taq DNAポリメラーゼである。第1酵素としてTaq DNAポリメラーゼを含む酵素混合物は、本明細書では以下ではTaqブレンドとも呼ぶ。
本発明の好ましい実施態様では、Taqブレンド酵素混合物は例えばその後にTAクローニングが続くPCR反応のようなDNA合成反応およびその後の直接的クローニングのために使用される。
1つの実施態様では、第1酵素は酵素ブレンドの形態で存在する。この酵素ブレンドは、本発明の酵素混合物を生成するために低下した重合活性を備える第2酵素と混合される。
好ましい実施態様では、酵素ブレンドは登録商標Herculase(商標)Enhancedまたは登録商標Herculase(商標)ホットスタート(Hotstart)DNAポリメラーゼ(ストラタジーン社製、製品番号600310もしくは600260)である。酵素ブレンドはさらに例えばEXL DNAポリメラーゼ(ストラタジーン社製、製品番号6003420/2/4)、YieldAce DNAポリメラーゼ(ストラタジーン社製、600290/2/4)、TaqPlus Precision PCRシステム(ストラタジーン社製、製品番号600210/1/2)、TaqPlus Long 100U(ストラタジーン社製、製品番号600203/4/5)、アドバンテージ(Advantage)2 PCR酵素系(BDバイオサイエンス・クロンテック(BD Biosciences−Clontech)社製、製品番号8430−1)、アドバンテージ−GC2(BDバイオサイエンス・クロンテック社製、製品番号8433−1)、アドバンテージ−HF2(BDバイオサイエンス・クロンテック社製、製品番号K1914−y/1)、BIO−X−ACT DNAポリメラーゼ(バイオライン(Bioline)社製、製品番号BIO−21049/50)、トリプルマスター(TripleMaster)PCRシステム(ブリンクマン(Brinkmann)社製、製品番号0032−008−216/24/32)、フェールセーフ(FailSafe)PCRシステム(エピセンター(Epicentre)社製、製品番号FS99060/100/250/1K)、マスターアンプ・エクストラロング(MasterAmp Extra−Long)PCRキット(エピセンター社製、製品番号MHF9220/QU92125/QU92500QU9201K)、シナジー(Synergy)DNAポリメラーゼ(ジーンクラフト(GeneCraft)社製、製品番号GC−005)、シナジーN DNAポリメラーゼ(ジーンクラフト社製、製品番号GC−028)、シナジープラス(SynergyPlus)DNAポリメラーゼ(ジーンクラフト社製、製品番号GC−048)、タカラExTaq DNAポリメラーゼ(インタージェン(Intergen)社製、製品番号RROOlA/B/C)、PCRスーパーミックス高忠実度(SuperMix High Fidelity)(インビトロジェン(Invitrogen)社製、製品番号10790020)、エロンガーゼ(Elongase)酵素ミックス(インビトロジェン社製、製品番号10481018)、タカラExTaq DNAポリメラーゼ(パンベラ(Pan Vera)社製、製品番号TAK RR001A/B/C)、タカラLATaq DNAポリメラーゼ(パンベラ社製、製品番号TAK RR002M/B/C)、エキスパンド高忠実度(Expand High Fidelity)PCRシステム(ロシュ・モレキュラー・バイオケミカルズ社製、製品番号1732 641/650/078)、エキスパンド・ロングテンプレート(Expand Long Template)PCRシステム(ロシュ・モレキュラー・バイオケミカルズ社製、製品番号1681 834/842;17659 060)、エキスパンド20kbプラス(Expand 20kb PLUS)PCRシステム(ロシュ・モレキュラー・バイオケミカルズ社製、製品番号1811 002)、GC−RICH PCRシステム(ロシュ・モレキュラー・バイオケミカルズ社製、製品番号2140 306)、AccuTaq LA DNAポリメラーゼ(シグマ・アルドリッチ(Sigma−Aldrich)社製、製品番号D8045)、KlenTaq LA DNAポリメラーゼミックス(シグマ・アルドリッチ社製、製品番号D5062)、プルーフスプリンター(ProofSprinter)DNAポリメラーゼミックス(サーモハイベイド(Thermo Hybaid)社製、製品番号PROOFMIX100/300/600)およびプルーフエキスパンダー(ProofExpander)PCRキット(サーモハイベイド社製、製品番号EXPAND100)からなる群からのような市販で入手できる酵素ブレンドから選択できる。
本発明の酵素混合物は、第1、第2および第3DNAポリメラーゼを含む3種のDNAポリメラーゼを含んでいてよい。第1DNAポリメラーゼは、例えば野生型Taq DNAポリメラーゼまたは野生型古細菌DNAポリメラーゼのような野生型DNA重合活性を備えるDNAポリメラーゼである。第2および第3DNAポリメラーゼは、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性および低下したDNA重合活性を備える変異型DNAポリメラーゼである。好ましくは、第2および第3DNAポリメラーゼは異なるDNAポリメラーゼである。より好ましくは、第2および第3DNAポリメラーゼは変異型Pfu DNAポリメラーゼ、変異型Tgo DNAポリメラーゼ、変異型KOD DNAポリメラーゼ、変異型Vent DNAポリメラーゼ、および変異型Deep Vent DNAポリメラーゼからなる群から選択される、異なったDNAポリメラーゼである。より好ましくは、変異型Pfu DNAポリメラーゼはD405、Y410、T542、D543、K593、Y595、Y385、G387、およびG388からなる群から選択されるアミノ酸位置で1つ以上の突然変異を含む;変異型Tgo DNAポリメラーゼはD404、Y409、T541、D542、K592、Y594、Y384、G386、およびG387からなる群から選択されるアミノ酸位置で1つ以上の突然変異を含む;変異型KOD DNAポリメラーゼはD404、Y409、T541、D542、K592、Y594、Y384、G386、およびG387からなる群から選択されるアミノ酸位置で1つ以上の突然変異を含む;変異型Vent DNAポリメラーゼはD407、Y412、T544、D545、K595、Y597、Y387、G389、およびG390からなる群から選択されるアミノ酸位置で1つ以上の突然変異を含む;変異型Deep Vent DNAポリメラーゼはD405、Y410、T542、D543、K593、Y595、Y385、G387、およびG388からなる群から選択されるアミノ酸位置で1つ以上の突然変異を含む。3’−5’エキソヌクレアーゼ活性および低下したDNA重合活性を備える2種の変異型DNAポリメラーゼは、好ましくは異なる3’−5’エキソヌクレアーゼ特異性を有する。例えば、それらは変異型JDF−3 DNAポリメラーゼ(例、G387)および変異型Pfu DNAポリメラーゼ(例、G387)であってよい。そのような2種の変異型DNAポリメラーゼを備える混合物は、JDFおよびPfuが増幅反応のより優れた忠実度を達成するために相互に相補できるように異なるプルーフリーディングスペクトルを有するために、該混合物のプルーフリーディング活性を亢進するであろう。本発明の混合物中の第2および第3酵素の組み合わせはこの例に列挙した3種の酵素に限定されないことは理解されている。本発明の範囲を用いると、いずれかの2種の変異型古細菌DNAポリメラーゼは第1DNAポリメラーゼ(古細菌または非古細菌DNAポリメラーゼ)を備える同一混合物において使用できる。このような3種の酵素からなる混合物の一部の非限定的例には、野生型Taq DNAポリメラーゼ、JDF−3変異型およびPfu変異型;野生型Taq DNAポリメラーゼ、KOD変異型およびPfu変異型;野生型JDF DNAポリメラーゼ、JDF−3変異型およびPfu変異型;野生型Pfu DNAポリメラーゼ、JDF−3変異型およびPfu変異型;野生型KOD DNAポリメラーゼ、JDF−3変異型およびPfu変異型;野生型KOD DNAポリメラーゼ、KOD−3変異型およびPfu変異型;野生型Pfu DNAポリメラーゼ、JDF−3変異型およびPfu変異型;野生型Pfu DNAポリメラーゼ、KOD変異型およびPfu変異型が含まれる。
3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を備える有用な第2酵素
本発明による3’−5’エキソヌクレアーゼ活性(すなわち、プルーフリーディングDNAポリメラーゼ)を備える酵素には、DNAポリメラーゼ、大腸菌エキソヌクレアーゼI、大腸菌エキソヌクレアーゼIII、大腸菌recBCDヌクレアーゼ、大豆ヌクレアーゼ等が含まれるが、それらに限定されない(例えば、Kuo,1994年,Ann NY Acad Sci.,726:223−34を参照されたい)。
あらゆるプルーフリーディングDNAポリメラーゼは、DNAポリメラーゼ活性を低下/排除するために突然変異させて本発明の酵素反応に使用することができよう。その例は、以下に記載のものを含むがそれらに限定されない多数のDNAポリメラーゼファミリーの中で見いだすことができる。
ファミリーB DNAポリメラーゼ
バクテリオファージT4 DNAポリメラーゼ、φ29DNAポリメラーゼ、T7 DNAポリメラーゼ;大腸菌pol IIDNAポリメラーゼ;ヒトDNAポリメラーゼσ、ヒトDNAポリメラーゼγ、古細菌DNAポリメラーゼI(表1)。
真性細菌ファミリーA DNAポリメラーゼ(プルーフリーディング活性あり)
大腸菌DNA pol I(クレノウフラグメント)、Thermotoga maritima(UlTmaフラグメント)。
ファミリーD DNAポリメラーゼ(ファミリーA、B、Cと非関連性)
例えば、Cannら(1998年)PNAS 95:14250−5に記載されている古細菌DNAポリメラーゼII(DP1/DP2)。
表1.クローン化ファミリーBポリメラーゼについての目録情報
Vent Thermococcus litoralis
受入番号AAA72101
PID g348689
バージョンAAA72101.1 GI:348689
DBSOURCE 遺伝子座THCVDPE 受入番号M74198.1
THEST THERMOCOCCUS種(TY系統)
受入番号O33845
PID g3913524
バージョンO33845 GI:3913524
DBSOURCE swissprot:遺伝子座DPOL_THEST、受入番号O33845
Pab Pyrococcus abyssi
受入番号P77916
PID g3913529
バージョンP77916 GI:3913529
DBSOURCE swissprot:遺伝子座DPOL_PYRAB、受入番号P77916
PYRHO Pyrococcus horikoshii
受入番号O59610
PID g3913526
バージョンO59610 GI:3913526
DBSOURCE swissprot:遺伝子座DPOL_PYRHO、受入番号O59610
PYRSEPYROCOCCUS種(GE23系統)
受入番号P77932
PID g3913530
バージョンP77932 GI:3913530
DBSOURCE swissprot:遺伝子座DPOL_PYRSE、受入番号P77932
DeepVent Pyrococcus種
受入番号AAA67131
PID g436495
バージョンAAA67131.1 GI:436495
DBSOURCE 遺伝子座PSU00707、受入番号U00707.1
Pfu Pyrococcus furious
受入番号P80061
PID g399403
バージョンP80061 GI:399403
DBSOURCE swissprot:遺伝子座DPOL_PYRFU、受入番号P80061
JDF−3 Thermococcus種
未公表
米国特許第5602011号からのBaross gi|2097756|pat|US|5602011|12配列12
9degN THERMOCOCCUS種(90N−7系統)
受入番号Q56366
PID g3913540
バージョンQ56366 GI:3913540
DBSOURCE swissprot:遺伝子座DPOL_THES9、受入番号Q56366
KOD Pyrococcus種
受入番号BAA06142
PID g1620911
バージョンBAA06142.1 GI:1620911
DBSOURCE 遺伝子座PYWKODPOL受入番号D29671.1
Tgo Thermococcus gorgonarius.
受入番号4699806
PID g4699806
バージョンGI:4699806
DBSOURCE pdb:鎖65,1999年2月23日リリース
THEFM Thermococcus fumicolans
受入番号P74918
PID g3913528
バージョンP74918 GI:3913528
DBSOURCE swissprot:遺伝子座DPOL_THEFM、受入番号P74918
METTH Methanobacterium thermoautotrophicum
受入番号O27276
PID g3913522
バージョンO27276 GI:3913522
DBSOURCE swissprot:遺伝子座DPOL_METTH、受入番号O27276
Metja Methanococcus jaimaschii
受入番号Q58295
PID g3915679
バージョンQ58295 GI:3915679
DBSOURCE swissprot:遺伝子座DPOL_METJA、受入番号Q58295
POC Pyrodictium occultum
受入番号B56277
PID g1363344
バージョンB56277 GI:1363344
DBSOURCE pir:遺伝子座B56277
ApeI Aeropyrum pernix
受入番号BAA81109
PID g5105797
バージョンBAA81109.1 GI:5105797
DBSOURCE 遺伝子座AP000063、受入番号AP000063.1
ARCFUのArchaeoglobus fulgidus
受入番号O29753
PID g3122019
バージョンO29753 GI:3122019
DBSOURCE swissprot:遺伝子座DPOL_ARCFU、受入番号O29753
Desulfurococcus種 Tok.
受入番号6435708
PID g64357089
バージョンGT:6435708
DBSOURCE pdb鎖65、1999年6月2日リリース
本組成物および方法において使用するための3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素は、自然源から単離できる、または組み換えDNA技術を通して産生することができる。好ましくは、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素はDNAポリメラーゼである。
3’−5’エキソヌクレアーゼ活性(exoと呼ばれる)を備えるDNAポリメラーゼは、その特有の重合活性によって産生した、組み込まれたヌクレオチドをプルーフリーディングすることができる。多数の適用の中でも特に、exoDNAポリメラーゼはポリヌクレオチド配列の特性付けであるPCR産物のクローニングのために特に適合する。有用なexoDNAポリメラーゼには、Pwo DNAポリメラーゼ;Vent DNAポリメラーゼ;Deep Vent DNAポリメラーゼ;9°Nm DNAポリメラーゼ;UlTma DNAポリメラーゼ;Tli DNAポリメラーゼ;Pfu DNAポリメラーゼ;JDF−3 DNAポリメラーゼ;Tgo DNAポリメラーゼ;KOD DNAポリメラーゼ;およびPGB−D DNAポリメラーゼが含まれるがそれらに限定されない。
本発明の好ましい実施態様では、低下したDNA重合活性を備えるexoDNAポリメラーゼが第2酵素として使用される。
低下したDNA重合活性を備えるexo DNAポリメラーゼの調製
クローン化した野生型exoDNAポリメラーゼは、低下した重合活性を示す形態を生成するために多数の方法によって修飾することができる。これらには、以下に記載した方法および当技術分野において知られている方法が含まれる。本発明における低下したDNA重合活性を備えるexoDNAポリメラーゼを調製するためにはあらゆるexoDNAポリメラーゼを使用できる。
A.遺伝子組み換え−突然変異誘発
低下したDNA重合活性を備えるDNAポリメラーゼを調製する好ましい方法は遺伝子組み換えによる方法である(例えば、野生型DNAポリメラーゼのDNA配列を修飾することにより)。exoDNAポリメラーゼの配列内では、遺伝子組み換えのために好ましい配列は重合ドメインをコードするDNA配列である。多数のDNAポリメラーゼの重合ドメインおよびエキソヌクレアーゼドメイン(すなわち、それらの結晶構造)は、当技術分野において知られている(例えば、Rodriguezら、2000年,J.Mol.Biol.299:447−62;Zhaoら、1999年,Structure Fold Des.7:1189−99;Bakerら、1998年,Proc Natl Acad Sci USA.95:3507−12;Kieferら、1997年,Structure 5:95−108;Kimら、1995年,Nature,376:612−6;Kongら、1993年,J Biol Chem.268:1965−75を参照されたい)。
DNA重合ドメインの一般的な構造的特徴は、当技術分野において知られている。例えば、Blancoら(1991年,Gene,100:27−38)は、重要なアミノ酸(aa)配列類似性が次の2つの主要スーパーファミリーに属する27種のDNA依存性DNAポリメラーゼのC−末端部分で見いだされたことを開示している:(i)大腸菌DNAポリメラーゼI(PolI)−様原核生物DNAポリメラーゼ、および(ii)DNAポリメラーゼα−様原核生物および真核生物(ウイルスおよび細胞)DNAポリメラーゼ。およそ340アミノ酸に及ぶ6つの最も保存されたC−末端領域は、同一の線状配列で位置しており、重合化機能に関係する高度に保存されたモチーフおよび重要な残基を含有している。
PolIk(クレノウフラグメント)の三次元モデルによると、これら6つの保存領域は提案された重合ドメイン内に位置し、金属およびdNTP結合部位ならびにDNA鋳型を保持するためのクレフト(切れ目)を形成する。部位特異的突然変異誘発試験は、これらの構造的予測を支持している。
大腸菌DNAポリメラーゼIの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性部位は、アミノ酸配列相同性に基づいて、原核生物および真核生物DNAポリメラーゼの両方について保存されていると予測されている(Bernadら、1989年,Cell,59:219−28)。金属結合、一本鎖DNA結合、およびエキソヌクレアーゼ反応の触媒反応に関係する大腸菌DNAポリメラーゼIにおける重要な残基を含有する3つのアミノ酸領域は、数種の原核生物および真核生物DNAポリメラーゼにおいてアミノ末端側の半分に同一の線状配列で位置する。原核生物および真核生物α−様DNAポリメラーゼのためのモデル酵素であるφ29DNAポリメラーゼの予想エキソヌクレアーゼ活性部位での部位特異的突然変異誘発は、該酵素の3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を特異的に不活化した。これらの結果は、この触媒ドメインの高度の進化的保存を反映している。
DNAポリメラーゼ由来の配列を極めて入手し易くなってきたため、様々なポリメラーゼタイプについて小数の高度に保存された領域を詳細に描出することが可能になってきた(詳細な説明については、例えばJohnson,1993年,Annu Rev Biochem.62:685−713を参照されたい)。Delarueらは、DNAポリメラーゼの構造を統一するためのアプローチ法を報告した(1990年,Protein Eng.,3:461−7)。この推論的仮説は、低下した重合活性を備えるDNAポリメラーゼを調製するための遺伝子組み換えを目指す有用なモデルを提供するはずである。
好ましくは、低下した重合活性を備えるexoDNAポリメラーゼを調製するための遺伝子組み換えは、その3’−5’エキソヌクレアーゼ活性(すなわち、プルーフリーディング活性)を有意には低下させない。
DNA重合活性を選択的に低下させることが知られているDNAポリメラーゼ変異体は、例えばBlancoら、1995年,Methods of Enzymology,262:283−294((バクテリオファージφ29);Trunigerら、1996年,EMBO J.15:3430−3441(バクテリオファージφ29);Abdus Sattarら、1996年,Biochemistry 35:16621−9(バクテリオファージT4);Tuskeら、2000年,J.Biological Chemistry 275:23759−68(クレノウフラグメント);Bohlkeら、2000年,Nucleic Acid Research 28:3910−3917(Thermococcus aggregans);Pisaniら、1998年,Biochemistry 37:15005−15012(Sulfolobus solfataricus);Komoriら、2000年,Protein Eng 13:41−7(Pyrococcus furious);Shenら、2001年,J.Biological Chemistry 276:27376−83(Pyrococcus horikoshi ファミリーD)に記載されているように、当技術分野において見いだすことができる。
バクテリオファージφ29DNAポリメラーゼの部位特異的突然変異誘発は、DNAポリメラーゼ活性を低下させるが、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性にはほんのわずかな影響しか及ぼさないポリメラーゼドメインにおける突然変異の同定をもたらす(Blanco,L.とSalas,M.1995年,Methods of Enzymology 262:283−294)。本発明の1つの実施態様では、Pfu DNAポリメラーゼ内の1つ以上の対応するアミノ酸が突然変異させられる(例えば、D405E、Y410F、T542P、D543G、K593T、Y595Sの置換によって)。これらの同一部位での他のアミノ酸側鎖の置換もまた選択的にDNAポリメラーゼ活性を低下させるであろうことは理解されている。
φ29DNAポリメラーゼ突然変異誘発試験は、高度に保存されたファミリーBモチーフ内のアミノ酸残基(DXXSLYP[配列番号1]、KXXXNSXYG[配列番号2]、TXXGR[配列番号3]、YXDTDS[配列番号4]、およびKXY[配列番号5])を標的としたが、タンパク質の他の領域は選択的にDNAポリメラーゼ活性を低下させるためにおそらく突然変異誘発することができる。そのような領域の1つは、YXGG[配列番号6]モチーフを特徴とする分割ドメインである(Trunigerら、1996年,EMBO J.15:3430−3441)。この領域は、3’−5’エキソヌクレアーゼドメインとポリメラーゼドメインとを結び付ける接近可能なループ内に位置する。分割ドメインは、DNA鎖の合成と分解との平衡を調整することに極めて重要な役割を果たす。この領域内の突然変異は重合とプルーフリーディングとの平衡を崩壊させ、重合(低下したプルーフリーディング)またはプルーフリーディング(低下した重合)のどちらかに好都合な表現型を生じさせる。
古細菌Thermococcus aggregans DNAポリメラーゼの分割ドメインにおけるY387(Pfu内のY385と同等)での非保存的(S,N)置換は、DNAポリメラーゼ活性の重大な低下およびエキソヌクレアーゼ活性の亢進を引き起こし、向上した酵素忠実度を生じさせる(PCRで単独に使用された場合)(Bohlke K.ら(2000年)NAR 28:3910−3917)。これとは対照的に、Y387での保存的置換(F、W、H)は野生型様忠実度およびPCR性能の亢進を引き起こし、これは重合の向上に関連する可能性がある。Thermococcus aggregans DNAポリメラーゼにおけるG389A突然変異(Pfu G387と同等)は、低下したDNAポリメラーゼ活性(10% wt)、増加したエキソヌクレアーゼ活性(236% wt)、およびPCRにおける産物合成の消失を引き起こす(Bohlke K.ら(2000年)NAR 28:3910−3917)。類似の突然変異は、バクテリオファージφ29DNAポリメラーゼ(Truniger V.ら(1996年)EMBO J.15:3430−3441)および古細菌Solfolobus solfataricus(Sso)DNAポリメラーゼ(Pisani F.M.,DeFelice,M.,およびRossi,M.(1998年)Biochemistry 37:15005−15012)において調査されているが、ここでG→A突然変異はエキソヌクレアーゼ活性に比較してDNAポリメラーゼ活性を低下させる(Ssoに対してpol/exo=0.6)、または増加させる(φ29に対してpol/exo=91)。
本発明の1つの実施態様では、低下したDNA重合活性を備えるPfu DNAポリメラーゼを入手するためにPfu DNAポリメラーゼをアミノ酸384−389(SYTGGF[配列番号7])での分割ドメイン内で突然変異させた。例えば位置Y385、G387、G388のような分割ドメイン内の他のアミノ酸側鎖置換もまた、エキソヌクレアーゼ活性にはほんのわずかな影響しか及ぼさずに選択的にDNAポリメラーゼ活性を低下させるであろうことは理解されている。
また別の実施態様では、高レベルのプルーフリーディング活性を保持しながらDNAポリメラーゼ活性を効果的に排除するために2つ以上の突然変異が組み合わされる(例えば、変異型Pfu DNAポリメラーゼ内に追加の部位特異的突然変異を導入することによって)。
米国特許第5,691,142号、第5,614,402号および第5,541,311号(これにより参照して組み込まれる)は、標的ポリヌクレオチド分子を検出するために耐熱性DNAポリメラーゼから5’−3’ヌクレアーゼを取り出す方法を開示している。これらの方法は、低下した重合活性とともに3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を備えるDNAポリメラーゼを調製するために本発明に適用できる。遺伝子組み換えのためのその他の技術は、当技術分野においてよく知られている(例えば、Ausubelら、「分子生物学における短いプロトコル(Short Protocols in Molecular Biology)(1995年)第3版」John Wiley&Sons,Inc.を参照されたい)。
翻訳中に配列内へ組み込まれたアミノ酸の欠失、付加、または改変による野生型酵素の一次構造の修飾は、タンパク質の高温DNAポリメラーゼ活性を破壊することなく実施できる。そのような置換または他の改変は、本発明の方法において有用なタンパク質を生じさせる。これらの配列をコードするDNAの入手可能性は、低下した重合活性を備える変異型酵素を生成するようにコドン配列を修飾する機会を提供する。DNA配列を改変するための小数の方法を以下に提供するが、当技術分野において知られているあらゆる他の方法もまた使用できる。
DNAポリメラーゼの重合ドメインの配列に基づいて、直接的に特定部位または領域を突然変異させることを可能にする当技術分野において知られている多数の部位特異的突然変異方法がある。部位特異的突然変異誘発を実施するためには、従来型方法およびPCRに基づく方法の両方を含む、市販で入手できる多数のキットがある。その例には、ストラタジーン社から入手できる商標EXSITE(登録商標)PCRに基づく部位特異的突然変異誘発キット(製品番号200502)およびストラタジーン社から入手できる商標QUIKCHANGE(登録商標)部位特異的突然変異誘発キット(製品番号200518)、ならびに同様にストラタジーン社から入手できる登録商標CHAMELEON(商標)二本鎖部位特異的突然変異誘発キット(製品番号200509)が含まれる。
当技術分野において知られている以前の部位特異的突然変異誘発方法は、一本鎖DNA鋳型の単離を可能にする、M13バクテリオファージベクター等のベクター内へ突然変異させられる配列のサブクローニングに依存していた。これらの方法では、変異原性プライマー(すなわち、突然変異させられる部位へアニーリングできるが、突然変異させられる部位で1つのヌクレオチドまたは複数のミスマッチヌクレオチドを有することのできるプライマー)を一本鎖鋳型へアニーリングし、その後その変異原性プライマーの3’末端から始まる鋳型の相補体を重合する。結果として生じる二本鎖をその後、宿主細菌内に形質転換させ、所望の突然変異についてプラークをスクリーニングする。
より最近では、部位特異的突然変異誘発は一本鎖鋳型を必要としないという長所があるPCR法を利用してきた。さらに、サブクローニングを必要としない方法が開発されている。PCRに基づく部位特異的突然変異誘発を実施する場合は、幾つかの問題を考察しなければならない。第1に、これらの方法では、ポリメラーゼによって導入された望ましくない突然変異の拡大を防止するためにPCRサイクル数を低下させることが望ましい。第2に、反応において遺残する突然変異しなかった親分子の数を減少させるために選択を利用しなければならない。第3に、単一PCRプライマーセットを使用できるようにするために長さ延長PCR法が好ましい。そして第4に、一部の耐熱性ポリメラーゼの非鋳型依存性末端延長活性のために、PCRで生成した変異産物の平滑末端ライゲーションに先行して手技に末端研磨ステップを組み込むことがしばしば必要になる。
以下に記載するプロトコルは、下記のステップを経由してこれらの考察に適合する。第1に、使用する鋳型の濃度は従来型PCR反応において使用される濃度よりおよそ1,000倍高く、これは産物の収率を劇的に低下させることなく25〜30から5〜10へサイクル数の低下を可能にする。第2に、親DNAに対して選択するために制限エンドヌクレアーゼDpnI(A残基がメチル化されている場合は、認識標的配列:5−Gm6ATC−3)が使用されるが、それは大腸菌Damの最も一般的な菌株は配列5−GATC−3でそれらのDNAをメチル化するためである。第3に、長い(すなわち、完全プラスミド長)PCR産物の比率を増加させるために、TaqエキステンダーがPCRミックス中で使用される。最後に、T4 DNAリガーゼを使用して分子内ライゲーションに先立ってPCR産物の末端を研磨するためにPfu DNAポリメラーゼが使用される。
この方法のための非限定的例を以下のように詳細に説明する。
プラスミド鋳型DNA(およそ0.5pM)は、1×突然変異誘発バッファー(20mMのトリスHCl、pH7.5;8mMのMgCl;40μg/mLのBSA);12−20pMの各プライマー(当業者であれば必要に応じて、塩基組成、プライマー長およびオリゴヌクレオチドプライマーのアニーリング特徴に影響を及ぼす意図されるバッファーの塩濃度を考慮に入れて突然変異誘発バッファーを設計することができる;1種のプライマーは所望の突然変異を含有していなければならず、そして1種(同一または別の)プライマーは後期のライゲーションを促進するために5’リン酸塩を含有していなければならない)、250μMの各dNTP、2.5UのTaq DNAポリメラーゼ、および2.5UのTaqエキステンダー(ストラタジーン社から入手できる;Nielsonら(1994年)Strategies 7:27、および米国特許第5,556,772号を参照)を含有するPCRカクテルに添加される。プライマーは、参照して本明細書に組み込まれるMatteucciら、1981年,J.Am.Chem.Soc.103:3185−3191のトリエステル法を使用して調製できる。あるいは、例えばシアノエチルホスホロアミダイト化学反応を使用するバイオサーチ(Biosearch)8700 DNA合成装置上での全自動合成が好ましいことがある。
PCRサイクリングは次の通りに実施される:94℃で4分間、50℃で2分間および72℃で2分間の1サイクル;その後に94℃で1分間、54℃で2分間、および72℃で1分間の5〜10サイクル。親鋳型DNAおよび変異原性プライマーを組み込んだ線状のPCRで生成したDNAをDpnI(10U)およびPfu DNAポリメラーゼ(2.5U)により処理する。これは、in vivoメチル化親鋳型およびハイブリッドDNAのDpnI消化ならびにPfu DNAポリメラーゼによる線状PCR産物上の1つ以上の非鋳型依存性Taq DNAポリメラーゼ伸長塩基の除去を生じさせる。この反応液を37℃で30分間インキュベートし、その後72℃へ移してさらに30分間にインキュベートする。0.5mMのATPを含有する突然変異誘発バッファー(1×の115μl)をDpnI消化Pfu DNAポリメラーゼ研磨PCR産物に添加する。この溶液を混合し、10μLを新しいマイクロフュージチューブへ取り出し、T4 DNAリガーゼ(2−4U)を添加する。このライゲーションを37℃で60分間を超えてインキュベートする。最後に、この処理溶液を標準方法によってコンピーテント大腸菌内へ形質転換させる。
当技術分野には1つ以上のランダムに位置する突然変異を有する1団の変異体を生じさせる複数のランダム突然変異誘発方法が存在する。そのような1団の変異体はその後、それらが野生型ポリメラーゼと比較して低下した重合を示すものについてスクリーニングすることができる(例えば、所定のDNAポリメラーゼにとって最適温度で30分間での10nMのdNTPの重合体形態への取り込みを測定することによって)ランダム突然変異誘発方法の例は、いわゆる「誤りがちPCR法」である。その名前が暗示するように、この方法はDNAポリメラーゼが高忠実度取り込みを支持しない条件下で所定の配列を増幅させる。様々なDNAポリメラーゼにとって誤りがちな取り込みを促進する条件は様々であるが、しかし当業者であれば所定の酵素にとっての当該条件を決定することができる。増幅の忠実度における多数のDNAポリメラーゼにとって重要な変量は、例えばバッファー中の二価金属イオンのタイプおよび濃度ならびにPCR酵素の遺伝性忠実度である。ポリメラーゼのエラー率に影響を及ぼすために、マンガンイオンの使用および/またはマグネシウムまたはマンガンのイオン濃度の変化を適用することができる。
好ましい実施態様では、低下した重合活性を備える第2酵素はPfu DNAポリメラーゼ由来である。
野生型Pfu DNAポリメラーゼのDNAコーディング配列は、例えばGenbank(受入番号U84155)からのように、当技術分野において見いだすことができる。Pfu DNAポリメラーゼの構造および機能に関する詳細な説明は特に、すべてがこれにより参照して本明細書に組み込まれる米国特許第5,948,663号;第5,866,395号;第5,545,552号;第5,556,772号の中に見いだすことができる。低下した重合活性を備えるPfu DNAポリメラーゼを調製するための非限定的な手法は、実施例1に提供されている。
本開示を利用する当業者は、Vent DNAポリメラーゼ、JDF−3 DNAポリメラーゼ、Tgo DNAポリメラーゼ等を含む他のexoDNAポリメラーゼ由来の低下した重合活性を備えるポリメラーゼを本組成物中で適切に使用できることを認識するであろう。
本組成物の第1または第2酵素は、まだ単離されていないDNAポリメラーゼを含んでいてよい。DNA重合活性と3’−5’エキソヌクレアーゼ活性の両方についてのアッセイは、本明細書および「DNA複製 第2版」,KornbergとBaker(前記);「酵素」,DixonとWebb(前記)ならびに当業者が入手できる他の出版物の中に見いだすことができる。
本発明の好ましい実施態様では、変異型Pfu DNAポリメラーゼはD405、Y410、T542、D543、K593、Y595、Y385、G387、およびG388からなる群から選択されるアミノ酸位置で1つ以上の突然変異を含む。
より好ましくは、変異型Pfu DNAポリメラーゼはD405E、Y410F、T542P、D543G、K593T、Y595S、Y385Q、Y385S、Y385N、Y385L、Y385H、G387S、G387P、およびG388Pからなる群から選択される1つ以上の突然変異を含む。
本発明は、関連する古細菌DNAポリメラーゼの変異体がプルーフリーディング活性を保持しながら低下した(例えば、欠失する)ポリメラーゼ活性を備える組成物および方法を包含する。そのような突然変異は、DNAポリメラーゼの分割ドメインまたはポリメラーゼドメイン内であってよい。表2(AおよびB)ならびに図7は、様々なDNAポリメラーゼ内のそうした突然変異の非限定的例を提供する。本発明の変異型DNAポリメラーゼは、表2に示したような単一突然変異、またはいずれかの2つ以上の突然変異の組み合わせを含んでいる可能性がある。
表2A 様々なDNAポリメラーゼ内の分割ドメイン突然変異
Figure 0004486821
表2B 様々なDNAポリメラーゼ内のポリメラーゼドメイン突然変異
Figure 0004486821
B.変異体を低下した重合について評価する方法
当技術分野において知られている、または本明細書で記載した通りに生成して細菌内で発現させたランダムもしくは部位特異的突然変異誘発は、低下した重合について数種のアッセイ法によってスクリーニングすることができる。変異型および野生型酵素の発現についての実施態様は、下記の第C章で記載する。1つの方法では、例えば、登録商標λZapII(商標)に基づく発現ベクターを用いた宿主細菌の感染によって生成した溶菌性λファージプラーク内で発現したexoDNAポリメラーゼタンパク質を膜支持体へ移す。固定化タンパク質をその後、DNA鋳型および取り込みについて監視される非従来型ヌクレオチドを含有するバッファー中に膜を浸漬することにより膜上でポリメラーゼ活性について検査する。
変異型ポリメラーゼライブラリーは、Sagnerらが使用した技術(Sagner G.,Ruger R.,およびKessler C.(1991年)Gene 97:119−123)の変法を使用してスクリーニングすることができる。このアプローチのためには、λファージクローンを1cmにつき10〜20プラークの密度でプレーティングする。プラーク内に存在するタンパク質をフィルターへ移し、ポリメラーゼスクリーニングバッファーを用いて湿らせる(50mMのトリス(pH8.0)、7mMのMgCl,3mMのβME)。これらのフィルターをラップフィルムとガラスの層間に保持し、その間に宿主細胞タンパク質を65℃、30分間でのインキュベーションにより熱不活化する。次に熱処理フィルターを新しいラップフィルムへ移し、フィルター1cmにつき約35Lのポリメラーゼアッセイ用カクテルを添加する。アッセイ用カクテルは、1×クローン化Pfu(cPfu)マグネシウムフリー・バッファー(1Xバッファーは20mMのトリス塩酸(pH8.8)、10mMのKCL、10mMの(NHS0、100μg/mLのウシ血清アルブミン(BSA)、および0.1%のトリトン(Triton)X−100である;Pfuマグネシウムフリー・バッファーはストラタジーン社から入手できる(製品番号200534))、125ng/mLの活性化コウシ胸腺またはサケ***DNA、1.29μCi/mLのαα−33PのddNTPからなる。フィルターをラップフィルムとガラスプレートの間に入れ、次に65℃で1時間、さらにその後70℃で1時間15分間インキュベートする。フィルターを2×SSC中で洗浄1回につき5分間にわたり3回洗浄し、次に100%エタノール中で2回すすぎ洗いし、真空乾燥した。次にフィルターをX線フィルムに曝露させ(約16時間)、そしてファージクローンを有する最初のプレートとフィルターをアライメントすることにより標識を取り込んだプラークを同定する。この方法で同定したプラークをより薄い濃度で再度プレーティングし、精製プラークを単離できるように類似条件下で検査する。
上記に記載したアッセイ等のアッセイでは、標識により発生するシグナルはポリメラーゼの重合活性の直接的尺度である。野生型酵素と比較して低下したDNA重合活性を備える変異型DNAポリメラーゼを含むプラークを選択することができる。
ヌクレオチドの取り込みもまた、例えば適切に希釈した細菌抽出液(すなわち、クローン化ポリメラーゼまたは突然変異したクローン化ポリメラーゼを発現する細菌細胞の熱処理および清浄化抽出液)1μLを10μLの各ヌクレオチドカクテルへ添加し、次に例えばHogrefeら、2001年,「酵素学における方法(Methods in Enzymology)」,343:91−116に記載されたように最適温度(例、Pfu DNAポリメラーゼに対しては73℃)で30分間インキュベーションすることにより伸長反応で測定することができる。伸長反応は氷上で停止させ、次に5μLの一定分量を直ちにDE81イオン交換フィルター(2.3cm;ワットマン(Whatman)社製、製品番号3658323)上でスポットする。取り込まれなかった標識は、2×SSC(0.3MのNaCl、30mMのクエン酸ナトリウム、pH7.0)中での6回の洗浄、その後の100%エタノール中での短時間の洗浄によって除去する。取り込まれた放射能は、シンチレーション計数により測定する。酵素が欠如する反応も、「総cpm」(除去フィルター洗浄ステップ)および「最小cpm」(上記の洗浄フィルター)を決定するためにサンプルインキュベーションを含めて構成する。結合したcpmは、細菌抽出液の単位体積当たりに存在するポリメラーゼ活性の量と比例している。
野生型(wt)に比較したDNAポリメラーゼの重合活性を決定する非限定的方法を以下に提供する。DNAポリメラーゼの相対重合活性を表示する取り込まれた放射能の相対比率は、以下の通りに決定できる:
(変異型DNAポリメラーゼについて修正されたcpm)×(野生型DNAポリメラーゼのng)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(野生型DNAポリメラーゼについて修正されたcpm)×(変異型DNAポリメラーゼのng)
より精密に活性率(%)を定量するためには、組み込まれたcpmをDNAポリメラーゼ活性の単位に転換しなければならない。1単位のポリメラーゼ活性は、最適温度で30分間でのポリマー形への10nMの全dNTPの組み込み(例えば、DE−81紙へ結合する)を触媒する酵素の量であると定義されている。DNAポリメラーゼ活性の単位は、以下の式を使用して計算できる:
(修正されたサンプルのcpm)×(8nMのdNTP (1単位)
総cpm 反応 (取り込まれた10nMのdNTP)
ポリメラーゼ比活性(U/mg)は、単位対酵素量のプロットの直線状部分の勾配から外挿できる。タンパク質濃度は、比色アッセイ(例えば、ピアースのクーマジー・プラス・タンパク質アッセイ(Pierce’s Coomassie Plus Protein Assay)においてBSA標準物質(ピアース(Pierce)に比較して決定できる。あるいは、タンパク質の量が限定される場合(または、限定された純度のため)、相対タンパク質濃度はSDS−PAGE分析によって検証できる。1〜20ngの範囲に及ぶ全タンパク質である各DNAポリメラーゼ調製物のいくつかの一定分量にSDS−PAGE電気泳動法を受けさせ、シルバー・オレンジおよび/またはSypro orange(モレキュラー・プローブズ(Molecular Probes)社製)染色バンドの強度を標準物質と比較する。最後に、活性率(%)は下記の通りに決定できる:
変異型DNAポリメラーゼの特異的ポリメラーゼ活性(U/mg)
野生型DNAポリメラーゼの特異的ポリメラーゼ活性(U/mg)
本発明の低下した重合活性を備えるポリメラーゼはそれらのプルーフリーディング活性(すなわち、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性)を維持するのが好ましい。このため低下したDNA重合活性を備える変異型DNAポリメラーゼもまた3’−5’エキソヌクレアーゼ活性についてアッセイされる。
適切なエキソヌクレアーゼ活性アッセイには、Hogrefeら(前記、および実施例3に記載)に記載されているアッセイが含まれる。また別のアッセイは、二本鎖λDNAを利用するが、これはH S−アデノシルメチオニン(NEN #NET−155)およびSss Iメチラーゼ(NEB)を用いて一様に標識され、そしてその後にPal Iを用いて制限消化されている(Kongら、1993年,J.Biol.Chem.268:1965)。二本鎖標識化DNA鋳型を使用すると、dNTP(10〜100μM)の添加によりcpmが低下するか(3’−5’エキソヌクレアーゼ)どうかを測定することにより特異性を決定することができる。典型的なエキソヌクレアーゼ反応カクテルは、1×反応バッファーおよび(Kongら、前記)に記載された通りに調製した20pg/mLのH−標識消化二本鎖λNDA(〜10cpms/mL)からなる。エキソヌクレアーゼ活性は、適切なPCRバッファー中または70mMのトリス塩酸(pH8.8)、2mMのMgCl、0.1%のトリトン(Triton)−X、および100pg/mL BSA等の万能アッセイバッファー中で測定することができる。
エキソヌクレアーゼ活性率(%)は下記の通りに決定できる:(変異体について修正されたcpm)/(野生型DNAポリメラーゼについての修正されたcpm)。より精密に活性率(%)を定量するためには、放出されたcpmをエキソヌクレアーゼ活性の単位に転換することができる。1単位のエキソヌクレアーゼ活性は、規定温度で30分間での10nMの全dNTPの酸可溶化を触媒する酵素の量であると定義されている。単位を決定するために、最初にバックグラウンド(平均「最小Cpm」値)を平均サンプルcpm値から減じる。以下の方程式を使用して、放出されたdNMPのnMを計算する:
(修正されたサンプルのcpm)×(DNAのng)× (1nMのdNMP)
全Cpm 反応 (330ng dNMP)
エキソヌクレアーゼ活性率の単位(30分間で)は下記の通りに決定できる:
1時間当たりに放出されたdNMPのnM)× (1単位)
2 (放出された10nMのdNMP)
エキソヌクレアーゼ比活性(U/mg)は、単位対酵素量のプロットの直線状部分の勾配から外挿できる。最後に、活性率(%)は下記の通りに決定できる:
変異型DNAポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ比活性(U/mg)
野生型DNAポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ比活性(U/mg)
上述の基質に加えて、エキソヌクレアーゼ活性はさらにまた市販で入手できる基質[H]−大腸菌ゲノムDNA(NEN #;NET561;5.8μCi/μg)を使用して定量できる。典型的なエキソヌクレアーゼ反応カクテルは、1×反応バッファー中の25ng/mLのH−標識化大腸菌ゲノムDNAおよび975ng/mLの低温大腸菌ゲノムDNAからなる。アッセイは上記に記載した通りに実施する。
突然変異誘発によって生成した所望の変異型DNAポリメラーゼについての遺伝子は、突然変異の部位および数を同定するために配列決定することができる。1つ以上の突然変異を含むそれらの変異体について、所定の突然変異の作用は特定変異体により生まれた他の突然変異からの単離における部位特異的突然変異誘発による野生型遺伝子への同定された突然変異の導入によって評価できる。このようにして産生した単一変異体のスクリーニングアッセイは、その突然変異単独の作用の決定を可能にするであろう。
1つの実施態様では、5〜25ng/50μLの反応液で添加したときにPfuブレンド中での野生型Pfu DNAポリメラーゼのエラー率を3分の1に低下させる。Pfu G387P変異体はさらに、6/60ng/50μL反応液で添加したときにブレンド中でTaqのエラー率を約5〜10分の1に低下させる。Pfu G387Pは、ニッケルカラムから溶出させた部分的に精製した(〜50%純度)His−標識化タンパク質の予備スクリーンにおいて0.4% DNAポリメラーゼ活性および57%エキソヌクレアーゼ活性(すなわち野生型Pfuに比較して)を示した(表1)。カラムクロマトグラフィー後(〜95%純度)、His−標識化Pfu G387P変異体には、検出可能なDNAポリメラーゼ活性が欠如することが見いだされた(野生型Pfuに比較して<0.01%)(表3)。
C.本発明による野生型または変異型酵素の発現
当技術分野において知られている方法を適用すると、本発明によるDNAポリメラーゼの突然変異形(すなわち、第2酵素)を発現および単離することができる。本明細書に記載した方法はさらに、本発明において有用な野生型酵素(例、第1酵素)の発現に対しても適用することができる。多数の細菌発現ベクターは、異種配列によってコードされたタンパク質の高レベル誘導性発現を可能にする配列エレメントまたは配列エレメントの組み合わせを含有する。例えば、上記で言及したように、T7 RNAポリメラーゼ遺伝子の統合された誘導性形を発現する細菌は、T7プロモーターへ連結した変異DNAポリメラーゼ遺伝子を有する発現ベクターを用いて形質転換させることができる。例えばlac−誘導性プロモーターのためのイソプロピル−β―Dチオガラクトピラノシド(IPTG)のような適切な誘導因子の添加によるT7 RNAポリメラーゼの誘導は、T7プロモーターからの変異遺伝子の高レベル発現を誘導する。
適切な細菌の宿主菌株は、当業者が当技術分野において入手できる菌株から選択できる。非限定的例として、大腸菌株BL−21は一般に他の大腸菌株に比較してプロテアーゼが欠如するので、外因性タンパク質の発現のために使用される。誘導性T7 RNAポリメラーゼ遺伝子を有するBL−21菌株には、WJ 56およびER2566が含まれる(Gardner&Jack,1999年,前記参照)。特定ポリメラーゼ遺伝子のためのコドン使用が大腸菌遺伝子において通常所見されるコドン使用とは異なる状況については、例えばクローン化古細菌酵素遺伝子(珍しいコドンtRNAを有する数種のBL−21−CODON PLUSTM細胞菌株は、例えばストラタジーン社から入手できる)のようなクローン化タンパク質遺伝子の高効率発現を許容するより珍しいアンチコドン(例えば、argU、ileY、leuW、およびproL tRNA遺伝子)を備えるtRNAをコードするtRNA遺伝子を有するように修飾されたBL−21の菌株がある。
当業者には、本発明の修飾されたDNAポリメラーゼの精製に適切な多数の方法が知られている。例えば、Lawyerらの方法(1993年,PCR Meth.&App.2:275)は、最初はTaqポリメラーゼを単離するために設計されたので、大腸菌中で発現したDNAポリメラーゼの単離のために良好に適合している。あるいは、宿主タンパク質を破壊するために熱変性ステップ、ならびに高活性および約80%純粋のDNAポリメラーゼを単離するための2つのカラム精製ステップ(DEAE−セファロースカラムおよびヘパリン−セファロースカラム)を利用するKongらの方法(1993年,J.Biol.Chem.268:1965を参照して本明細書に組み込む)を使用できる。さらに、DNAポリメラーゼ変異体は硫酸アンモニウム分別、その後のQセファロースおよびDNAセルロースカラムによって、またはハイトラップ(HiTrap)Qカラム上での汚染物質の吸収、その後にハイトラップ(HiTrap)ヘパリンカラムからの勾配溶離によって単離することができる。
1つの実施態様では、Pfu変異体は、その全体が参照して本明細書に組み込まれる米国特許第5,489,523号に記載された通りに発現させて精製される。
D.重合活性を低下させるための他の方法
増幅反応において高いDNA重合活性を有する副作用を防止するために、本発明の組成物の重合活性はさらに物理的および/または化学的修飾および/または阻害によって低下させることができる。
本組成物の重合活性は、化学的および/または物理的手段によって低下させることができる。DNAポリメラーゼの重合活性を優先的に阻害する条件は当技術分野において知られている(詳細な説明については、Johnson,1993年,前記;Wright,1996年,Acta Biochim Pol.43:115−24;Elion,1982年,Am J Med.,73:7−13を参照されたい)。重合活性のレベルは、増幅反応を妨害しない(例えば、組成物のexo活性または増幅反応の効率収率に有意な影響を及ぼさない)活性のレベルまで低下すれば十分である。
5mMを超えるMg2+の濃度はPfu DNAポリメラーゼの重合活性を阻害する。所定のDNAポリメラーゼに対するMg2+の所定濃度の作用は、重合の効率および特異性の定量によって決定することができる。
その他のイオン、ポリアミド、尿素、ホルムアミド、ジメチルスルホキシド、グリセロールおよび非イオン性界面活性剤(トリトン(Triton)X−100およびトウィーン(Tween)−20)等の変性剤、アクチノマイシンD、臭化エチジウム、ソラレン等のポリヌクレオチド結合化学薬品の阻害作用は、それらを標準反応バッファーへ添加することによりポリヌクレオチド増幅について試験することができる(例、PCR)。DNAポリメラーゼの重合活性へは優先的阻害作用を及ぼすが3’−5’エキソヌクレアーゼ活性には重大な影響を及ぼさないそれらの化合物は、重合活性を低下させながら3’−5’エキソヌクレアーゼ活性が保持される反応条件を作製するために使用される。
物理的手段を使用すると、ポリメラーゼの重合活性を優先的に阻害することができる。例えば、耐熱性ポリメラーゼの重合活性は、ポリメラーゼを長時間(20分間以上)にわたり極度の熱(典型的には96〜100℃)へ曝露させることによって破壊される。各酵素毎に特異的耐熱性に関してはわずかな相違があるが、これらは容易に決定できる。低下した重合活性を備える本発明のポリメラーゼ混合物または第2酵素として使用されるexoDNAポリメラーゼは、様々な時間に渡り熱処理することができ、重合および3’−5’エキソヌクレアーゼ活性に及ぼす熱処理の作用を決定する。DNAポリメラーゼ活性を低下させるが3’−5’エキソヌクレアーゼ活性には有意な影響を及ぼさない条件を使用すると、本発明における低下した重合活性を備えるポリメラーゼ混合物または第2酵素として使用されるexoDNAポリメラーゼを前処理することができる。
酵素混合物
本酵素混合物組成物は、DNA重合活性を備える第1酵素、ならびに3’−5’エキソヌクレアーゼ活性および低下したDNA重合活性を備える第2酵素を含む。
1つの実施態様では、第1酵素は3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を備えるDNAポリメラーゼである。DNA増幅のための第1酵素の忠実度は、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性も有する第2酵素の使用によってさらに増加する。第1酵素として3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を備える好ましいDNAポリメラーゼは、野生型Pfu DNAポリメラーゼである。
また別の実施態様では、第1酵素は3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を備えないDNAポリメラーゼである。増幅反応の忠実度は、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する本発明の第2酵素によって提供される。第1酵素として3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を備えない好ましいDNAポリメラーゼは、Taq DNAポリメラーゼである。
また別の実施態様では、第1酵素はDNA重合活性を備える逆転写酵素である。cDNA合成における逆転写酵素の忠実度は、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する第2酵素の使用によって増加する。
A.第1および第2酵素の対の選択
DNA合成のための本方法では、DNA重合活性を備える酵素は、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性および低下したDNA重合活性を備える第2酵素と混合することができる。
混合物中の第1酵素および第2酵素の両方が3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を備える場合は、異なるプルーフリーディング活性を備える2種の酵素を結合することが望ましいことがある。「異なるプルーフリーディング活性」とは、2種の3’−5’エキソヌクレアーゼ活性がヌクレオチドに対する異なるプルーフリーディング優先傾向を示すことを意味する。例えば、1つの3’−5’エキソヌクレアーゼはA−A誤対合より効率的にG−T誤対合をプルーフリーディングすることができ、異なるプルーフリーディング優先傾向を有する別のエキソヌクレアーゼはG−T誤対合より効率的にA−A誤対合をプルーフリーディングすることができる。本組成物の第1酵素とは異なるプルーフリーディング優先傾向を備える第2酵素を使用することによって、第1酵素が認識および切断を効率的にできない誤対合へのプルーフリーディングを提供することによって第1酵素のプルーフリーディングを増強することができる。
本発明の第1および第2酵素を選択するときに考慮に入れなければならないもう1つの要素は、各酵素が必要とする反応条件(例、pH、バッファー組成物、温度要件等)の適合性である。
好ましい実施態様では、本組成物は第1酵素として野生型Pfu DNAポリメラーゼおよび第2酵素として低下したDNA重合活性を備える変異型Pfu DNAポリメラーゼを含む。好ましくは、混合物は、<0.01UのDNAポリメラーゼ活性および0.007U−0.04Uの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性(またはおよそ0.5−10U野生型Pfu内を含有するエキソヌクレアーゼ活性の量)に対応する2.5−5UのPfu DNAポリメラーゼ+ある量のポリメラーゼが減少した変異体の比率を備える。より好ましくは、混合物は、<0.01UのDNAポリメラーゼ活性および0.02Uの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性(または2−3U野生型Pfu内を含有するエキソヌクレアーゼ活性の量)に対応する2.5−5UのDNAポリメラーゼ+ある量の変異体が減少したポリメラーゼの比率を備える。ある好ましい実施態様では、本酵素混合物組成物は、第1酵素として2.5UのDNA重合活性および0.02Uの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を備える野生型Pfu DNAポリメラーゼおよび第2酵素として0.02Uの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性とともに低下したDNA重合活性(例、G387P)を備える変異型DNAポリメラーゼを含む。
また別の好ましい実施態様では、本組成物は第1酵素として野生型Taq DNAポリメラーゼおよび第2酵素として低下したDNA重合活性を備える変異型Pfu DNAポリメラーゼを含む。好ましくは、酵素混合物は、<0.1UのDNAポリメラーゼ活性および0.01−0.2Uの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性(または1−20Uの野生型Pfu内を含有するエキソヌクレアーゼ活性の量)に対応する2.5UのTaq DNAポリメラーゼ+ある量の変異体が欠如するポリメラーゼの比率を備える。より好ましくは、酵素混合物は、<0.01UのDNAポリメラーゼ活性および0.08Uの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性(または10−12Uの野生型Pfu内を含有するエキソヌクレアーゼ活性の量)に対応する2.5UのTaq DNAポリメラーゼ+ある量の変異体が欠如するポリメラーゼの比率を備える。ある好ましい実施態様では、本酵素混合物組成物は第1酵素として2.5UのDNA重合活性を備える野生型Pfu DNAポリメラーゼおよび0.08Uの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性とともに低下したDNA重合活性(例、G387P)を備える変異型Pfu DNAポリメラーゼを含む。
好ましくは、低下したDNA重合活性を備える変異型Pfu DNAポリメラーゼは、D405、Y410、T542、D543、K593、Y595、Y385、G387、およびG388からなる群から選択されるアミノ酸位置で1つ以上の突然変異を含む。
より好ましくは、変異型Pfu DNAポリメラーゼは、D405E、Y410F、T542P、D543G、K593T、Y595S、Y385Q、Y385S、Y385N、Y385L、Y385H、G387S、G387P、およびG388Pからなる群から選択される1つ以上の突然変異を含む。
B.酵素混合物中の重合活性対エキソヌクレアーゼ活性の比率
様々なDNA合成および増幅手法では、本発明の組成物は、単一DNAポリメラーゼまたは2種の野生型DNAポリメラーゼを含む混合物を用いて得られる合成結果と比較して、はるかに優れた合成結果(例えば、より高い忠実度および効率)を提供する。本組成物を使用する場合は、酵素混合物中の全重合活性および全エキソヌクレアーゼ活性の比率はDNA合成の最適の効率および忠実度にとって極めて重要である。
本発明の酵素混合物中では、DNAポリメラーゼを第1および第2酵素として使用した場合、どちらの酵素も重合活性および/または3’−5’エキソヌクレアーゼ活性に寄与することができる。従来型DNAポリメラーゼ以外の酵素を第1酵素(例、逆転写酵素)として使用した場合、どちらの酵素もDNA重合活性に寄与する可能性があるが、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性に寄与するのは第2酵素だけである。DNAポリメラーゼ以外の酵素を第2酵素(例、大腸菌エキソヌクレアーゼI)として使用した場合、どちらの酵素も3’−5’エキソヌクレアーゼ活性に寄与する可能性があるが、酵素混合物のDNA重合活性に寄与するのは第1酵素だけである。
本組成物中の第1および第2酵素の比率は、相互に対して変化させることができる。所定の合成手法で利用される本組成物中に存在するDNA重合活性対3’−5’エキソヌクレアーゼ活性の比率は、反応混合物中のDNA重合活性対エキソヌクレアーゼ活性の比率を相互に関して系統立てて変化させ、合成形結果を比較する一連の単純な実験を実施することによって容易に最適化することができる。
3’−5’エキソヌクレアーゼ活性はアニーリングしていないプライマーを分解することが証明されている。分解されたプライマーはその後のDNA増幅ラウンドでは利用できないので、このためPCR反応の効率には影響を及ぼさないであろう。このため極めて高い産物収率を必要とする適用では、この作用を低下させて産物収率を増加させるDNA重合活性に比較して低濃度のエキソヌクレアーゼ活性を有することが望ましいことがある。しかし、収率より忠実度の方が重要である場合は、重合活性のレベルが増幅の効率を有意に阻害しない限りにおいて、合成もしくは増幅の正確度を増加させるDNA重合活性に比較して高濃度のエキソヌクレアーゼ活性を有する方が望ましい可能性がある。
好ましい実施態様では、該酵素混合物中のDNAポリメラーゼ活性対エキソヌクレアーゼ活性の比率は、約(2.5−5UのDNA重合活性)/(0.02−5Uの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性)、例えば約(2.5UのDNA重合活性)/(0.04−0.08Uの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性)である。
本発明の適用
1つの態様では、本発明は本発明の組成物を使用するDNA合成方法を提供する。本組成物は、本組成物中に存在するDNAポリメラーゼまたは他の合成酵素と本質的に同一方法で様々なポリヌクレオチド合成方法で使用することができる。典型的には、ポリヌクレオチドの合成には、合成プライマー、合成鋳型、新規合成ポリヌクレオチドに取り込むためのポリヌクレオチド前駆体を必要とする(dATP、dCTP、dGTP、dTTP)。ポリヌクレオチド合成を実施するための詳細な方法は当業者にはよく知られており、例えば「分子クローニング(Molecular Cloning)第2版」,Sambrookら、Cold Spring Harbor Laboratory Press,コールドスプリングハーバー,ニューヨーク州(1989年)の中で見いだすことができる。
A.増幅反応における適用
「ポリメラーゼ連鎖反応」もしくは「PCR」とは、特異的なポリヌクレオチド鋳型配列を増幅させるin vitro法を意味する。PCRの技術は、「PCR:実際的アプローチ(PCR:A Practical Approach)」,M.J.McPhersonら、InnisらによるIRL Press(1991年),「PCRプロトコル:方法および適用に関する指針(PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications)」,Academic Press(1990年)および「PCRテクノロジー:DNA増幅のための原理および適用(PCR Technology:Principals and Applications for DNA Amplification)」,H.A.Erlich,Stockton Press(1989年)を含む多数の出版物に記載されている。PCRについては、各々が参照して本明細書に組み込まれる米国特許第4,683,195号;第4,683,202号;第4,800,159号;第4,965,188号;第4,889,818号;第5,075,216号;第5,079,352号;第5,104,792号;第5,023,171号;第5,091,310号;および第5,066,584号を含む多数の米国特許にも記載されている。
本発明によって提供される長所をより容易に理解できるように、PCRの概要を提供する。PCR反応は、繰り返しの一連の温度サイクルを含み、典型的には50−100μLの用量で実施される。反応ミックスは、dNTP(各々が4種のデオキシヌクレオチドであるdATP、dCTP、dGTP、およびdTTP)、プライマー、バッファー、DNAポリメラーゼ、およびポリヌクレオチド鋳型を含む。PCRは、増幅させられる二本鎖標的ポリヌクレオチド配列とハイブリダイズする2種のプライマーとを必要とする。PCRでは、この二本鎖標的配列が変性させられ、1種のプライマーは変性した標的の各鎖へアニーリングされる。これらのプライマーは、1種のプライマーの伸長産物が、その相補体から分離したときに、相互から除去された部位で、他のプライマーへハイブリダイズできるような方向で標的ポリヌクレオチドへアニーリングする。所定のプライマーが標的配列へハイブリダイズすると、該プライマーはDNAポリメラーゼの作用によって伸長させられる。伸長産物はその後、標的配列から変性させられ、そしてこの工程が繰り返される。
この工程の連続サイクルでは、初期のサイクルで生成した伸長産物はDNA合成のための鋳型として機能する。第2サイクルで始まって、増幅産物は対数比率で蓄積し始める。増幅産物は、最終的には第2プライマーに相補的な配列が続く第1プライマーの配列を含有する第1ストランドと、第1ストランドに相補的である第2ストランドとを含む別個の二本鎖DNA分子である。
PCR工程を用いると極めて大きな増幅が可能であるために、高DNAレベルを備えるサンプル、陽性対照鋳型または以前の増幅からの低レベルのDNAキャリーオーバーは、意図的に添加された鋳型DNAの不在下でさえ、PCR産物を生じさせる可能性がある。可能であれば、すべての反応ミックスはPCR産物解析および産物調製とは離れた領域で準備される。RNA/DNA調製、反応物混合、およびサンプル分析のための専用もしくはディスポーザブルの容器、溶液、およびピペット(好ましくは、容積式ピペット)の使用は交差汚染を最小限に抑えるであろう。さらに参照して本明細書に組み込まれるHiguchiとKwok,1989年,Nature,339:237−238およびKwokとOrrego,Innisら編集,1990年,「PCRプロトコル:方法および適用についての指針(PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications)」Academic Press,Inc.サンディエゴ,カリフォルニア州)も参照されたい。
1.耐熱性酵素
PCR増幅のために、本発明で使用された酵素は、好ましくは耐熱性である。本明細書で使用する「耐熱性」とは、熱に対して安定性である、熱抵抗性である、そして例えば50〜90℃のような高温で機能する酵素を意味する。本発明による耐熱性酵素は増幅反応のために有効な単一の基準を満たさなければならない、すなわち、酵素は二本鎖ポリヌクレオチドの変性を実行するために必要な時間に渡り高温に曝露させたときに不可逆性に変性(不活化)されてはならない。この関連で本明細書で使用する「不可逆性変性」とは、酵素活性の永久的かつ完全な消失をもたらす工程を意味する。変性のために必要な加熱条件は、例えばバッファー塩濃度および変性させられるポリヌクレオチドの長さおよびヌクレオチド組成に依存し、典型的には主としてより短いポリヌクレオチドに対する0.25分間からより長いDNA片についての4.0分間の範囲内である時間に依存して、より短いポリヌクレオチドに対しては、典型的には85℃〜105℃の範囲に及ぶ。バッファー塩濃度および/またはポリヌクレオチドのGC組成が増加するにつれてより高い温度を許容することができる。好ましくは、酵素は90〜100℃では不可逆的には変性しないであろう。本発明による、不可逆性に変性しない酵素は、増幅反応中に少なくとも10%、もしくは少なくとも25%、または少なくとも50%以上の機能もしくは活性を保持する。
2.PCR反応混合物
本酵素混合物に加えて、当業者はさらに合成/増幅反応の忠実度を増加させるために他のPCRパラメータを利用することができる。PCR忠実度は、dNTP濃度、pH、反応1回につき使用する酵素の単位、および反応内に存在するMg2+対dNTPの比率における変化等の要素によって影響を受ける可能性がある(Mattilaら、1991年,前記)。
Mg2+濃度は、プライマー−鋳型相互作用を安定化させることによってオリゴヌクレオチドプライマーの鋳型DNAへのアニーリングに影響を及ぼし、これはさらに鋳型−プライマーを用いたポリメラーゼの複製複合体を安定化させる。このため、これはさらに非特異的アニーリングを増加させ、そして望ましくないPCR産物も産生する可能性がある(ゲル内で複数のバンドを生じさせる)。非特異的増幅が発生した場合、Mg2+を低下させる必要がある、またはMg2+をキレート化して増幅の正確度および特異性を増加させるためにEDTAを添加することができる。
Mn2+またはCo2+等の他の二価カチオンもまたDNA重合に影響を及ぼす可能性がある。各DNAポリメラーゼのために適切なカチオンは当技術分野において知られている(例、前記の「DNA複製 第2版」)。二価カチオンは、MgCl、Mg(OAc)、MgS0、MnCl、Mn(OAc)、またはMnS0等の塩の形態で供給される。トリス塩酸バッファー中の有用なカチオン濃度は、MnClについては0.5〜7mM、好ましくは0.5〜2mMであり、そしてMgClについては0.5〜10mMである。ビシン/KOAcバッファー中の有用なカチオン濃度はMn(OAc)については1〜20mM、好ましくは2〜5mMである。
DNAポリメラーゼによって必要とされる一価カチオンは、塩化物または酢酸塩いずれかのカリウム、ナトリウム、アンモニウム、またはリチウム塩によって供給することができる。KClについては、濃度は1〜200mMであり、好ましくは濃度は5〜100mMであるが、最適濃度は反応において使用されるポリメラーゼに依存して変動することがある。
デオキシリボヌクレオチド三リン酸(dNTP)は、dATP、dCTP、dGTP、dUTP、およびdTTPの二ナトリウム塩またはリチウム塩等の塩溶液として添加される。本発明の方法では、各々、1μM〜2mMの範囲内の最終濃度が適切であり、そして100〜600μMが好ましいが、ヌクレオチドの最適温度は、全dNTPおよび二価金属イオン濃度、ならびにバッファー、塩、特定プライマー、および鋳型に依存して逆転写反応において変動する可能性がある。長い、すなわち1500bp超の産物に対しては、トリス塩酸バッファーを使用する場合は500μMの各dNTPが好ましい可能性がある。
dNTPは二価カチオンをキレート化する、このため使用した二価カチオンの量は反応におけるdNTP濃度によって変化させることが必要になる。過剰な量(例、1.5mM超)のdNTPは、エラー率を増加させることができ、そしてもしかするとDNAポリメラーゼを阻害する。このためdNTPを低下させると(例、10〜50μM)、エラー率が低下する可能性がある。よりサイズの大きな鋳型を増幅させるためのPCR反応はより多くのdNTPを必要とすることがある。
1つの適切なバッファー剤は、好ましくはpH8.3のトリス塩酸であるが、pHは8.0〜8.8の範囲内であってよい。トリス塩酸濃度は5〜250mMであるが、最も好ましいのは10〜100mMである。1つの好ましいバッファー剤は、好ましくはpH8.3のビシン−水酸化カリウムであるが、pHは7.8〜8.7の範囲内であってよい。ビシンは、pHバッファーおよび金属バッファーの両方として機能する。
PCRはDNA増幅にとって極めて強力なツールであるため、極めて小さな鋳型DNAが必要とされる。しかし一部の実施態様では、エラーの確率を低下させるために高いDNA濃度を使用できるが、鋳型数が多過ぎると汚染物質の量が増加して効率が低下する可能性がある。
通常は、3μMまでのプライマーを使用できるが、もっと高いプライマー対鋳型比は結果として非特異的な増幅およびプライマー−ダイマー形成を生じさせる。そこで通常はプライマー−ダイマー形成を回避するため、プライマー配列をチェックすることが必要である。好ましい実施態様では、0.1〜0.5μMのプライマーが使用される。
3.サイクリングパラメータ
鋳型GC含量が高いと、変性時間が増加する可能性がある。高いGC含量を備えるプライマーまたはより長いプライマーのためには、より高いアニーリング温度が必要になることがある。グラジエントPCRは、アニーリング温度を決定するための有用な方法である。より大きなPCR産物増幅のためには、伸長時間を伸ばさなければならない。しかし、酵素に対する損傷を制限するために可能な場合は常に、伸長時間の短縮が必要なことがある。
サイクル数は、鋳型DNAの数が極めて小さい場合は増加させることができ、そして大きな数の鋳型DNAを使用した場合は低下させることができる。
4.PCR促進因子および添加剤
PCR促進因子は、増幅の効率を改善するためにも使用できる。本明細書で使用する「PCR促進因子」もしくは「ポリメラーゼ促進因子」(PEF)とは、ポリヌクレオチド有する複合体またはタンパク質のポリメラーゼ促進活性を意味する(どちらもこれにより参照して本明細書に組み込まれるHogrefeら、1997年,Strategies 10::93−96;および米国特許第6,183,997号)。Pfu DNAポリメラーゼについては、PEFは自然形でのP45(P50とP45の複合体として)または組み換えタンパク質のどちらかを含む。Pfu P50およびP45の自然複合体では、P45だけがPCR促進活性を示す。P50タンパク質は構造が細菌フラビンタンパク質と類似している。P45タンパク質は、その構造がdCTPデアミナーゼおよびdUTPaseと類似するが、dUTPをdUMPおよびピロリン酸塩へ転換するdUTPaseとしてのみ機能する。本発明によるPEFは、さらに古細菌起源(例、Pyrococcus furiosus)から入手したタンパク質を増強する単離もしくは精製天然型ポリメラーゼ;Pfu P45と同一アミノ酸配列を有する完全もしくは部分合成タンパク質もしくはポリメラーゼ促進活性を有するそのアナログ;1つ以上の前記天然型または完全もしくは部分合成タンパク質のポリメラーゼ促進混合物;1つ以上の前記天然型または完全もしくは部分合成タンパク質のポリメラーゼ促進タンパク質複合体;または1つ以上の前記天然型タンパク質を含有するポリメラーゼ促進部分精製細胞抽出液、からなる群から選択することもできる(前記の米国特許第6,183,997号)。PEFのPCR促進活性は、当技術分野においてよく知られている手段によって定義される。PEFについての単位の定義は、PEFのdUTPase活性(P45)に基づいており、これはdUTPからのピロリン酸塩(PPi)の産生を監視することによって決定される。例えば、PEFは、dUTP(1×クローン化Pfu PCRバッファー中の10mMのdUTP)とともにインキュベートされ、その時間内にPEFはdUTPをdUMPおよびPPiへ加水分解する。形成されたPPiの量は、シグマ(Sigma)社から市販で入手できる結合酵素アッセイシステム(製品番号P7275)を使用して定量される。1単位の活性は、1時間当たりに(85℃で)形成される4.0nMのPPiであると機能的に定義されている。
その他のPCR活性も、PCR反応の正確度および特異性に影響を及ぼす可能性がある。0.5mM未満のEDTAが増幅反応ミックス中に存在することがある。トウィーン(Tween)−20およびノニデット(Nonidet)P−40等の界面活性剤は、酵素希釈バッファー中に存在する。非イオン性界面活性剤の適切な最終濃度はおよそ0.1%以下であるが、0.01〜0.05%が好ましく、ポリメラーゼ活性を妨害しないであろう。同様に、酵素調製物中にはグリセロールが頻回に存在し、反応ミックス中では一般に1〜20%の濃度へ希釈される。GC含量が高いまたは長さが長い(例、>1kb)鋳型DNAのためには、PCRではグリセロール(5〜10%)、ホルムアミド(1〜5%)またはDMSO(2〜10%)を添加することができる。これらの添加剤は、プライマー−鋳型・ハイブリダイゼーション反応のTm(融解温度)およびポリメラーゼ酵素の熱安定性を変化させる。BSA(0.8μg/μLまで)は、PCR反応の効率を改善することができる。ベタイン(0.5〜2M)もまた、DNAの高いGC含量および長いフラグメントにわたりPCRにとって有用である。塩化テトラメチルアンモニウム(TMAC、>50mM)、塩化テトラエチルアンモニウム(TEAC)、およびトリメチルアミン−N−オキシド(TMANO)もまた使用できる。PCR反応の試験を実施すると、上記で言及した各添加剤の最適濃度を決定することができる。
様々な特異的PCR増幅の適用は、当技術分野において利用できる(詳細な説明については、例えばその各々が参照して本明細書に組み込まれるErlich,1999年,Rev Immunogenet.,1:127−34;Prediger 2001年,Methods Mol.Biol.160:49−63;Jurecicら、2000年,Curr.Opin.Microbiol.3:316−21;Triglia,2000年,Methods Mol.Biol.130:79−83;MaClellandら、1994年,PCR Methods Appl.4:S66−81;AbramsonとMyers,1993年,Current Opinion in Biotechnology 4:41−47を参照されたい)。
本発明は、i)非特異的増幅を減少させるホットスタートPCR;ii)高アニーリング温度で始動し、その後に非特異的PCR産物を減少させるために段階的にアニーリング温度を低下させるタッチダウンPCR;iii)アウターセットのプライマーおよびインナーセットのプライマーを使用してより信頼性の高い産物を合成するネステッドPCR;iv)既知の配列を挟む領域を増幅するためのインバースPCR、を含むがそれらに限定されないPCR適用において使用できる。この方法では、DNAが消化され、所望のフラグメントがライゲーションによって環状にされ、その後外向きに伸長する既知の配列に相補的なプライマーを使用してPCRが行われる;v)AP−PCR(任意にプライミングされる)/RAPD(ランダムに増幅した多形性DNA)。これらの方法はほとんど知られていない標的配列を備える種から任意のオリゴヌクレオチドを使用して増幅させることによりゲノムフィンガープリントを作製する;vi)その後でPCRのために使用されるcDNAを合成するためにRNA−特異的DNAポリメラーゼ(例、逆転写酵素)を使用するRT−PCR。この方法は、組織または組織内での特定配列の出現を検出するために極めて高感受性である。これは、mRNA転写産物を定量するためにも使用できる;vii)RACE(cDNA末端の迅速増幅)。これはDNA/タンパク質配列についての情報が限られる場合に使用される。この方法は、各1種の特異的プライマーだけ(1種のアダプタープライマーを加えて)を用いてcDNAのフラグメントを生成することでcDNAの3’または5’末端を増幅させる。その後、オーバーラッピングRACE産物は全長cDNAを生成するために結合することができる;viii)種々の組織内で別々に発現した遺伝子を同定するために使用されるDD−PCR(ディファレンシャル・ディスプレイPCR)。DD−PCRにおける第1ステップはRT−PCRを含んでおり、その後増幅は短い、故意に非特異的プライマーを使用して実施される;ix)同一試料内のDNA配列の2つ以上のユニークな標的が同時に増幅させられるマルチプレックス−PCR。1つのDNA配列はPCRの品質を検証するための対照として使用できる;x)同一プライマーセットに対して標的DNA(コンペティティブPCR)と競合する内部対照DNA配列(しかし異なるサイズの)を使用するQ/C−PCR(定量的比較);xi)遺伝子を合成するために使用される反復的PCR。本方法に使用されるオリゴヌクレオチドは遺伝子のストレッチ(>80塩基)、あるいは重複する末端(〜20塩基)を備えるセンスおよびアンチセンスストランドに対して相補的である;xii)非対称PCR;xiii)in situPCR;xiv)部位特異的PCR突然変異誘発。
本発明はいずれかの特定増幅系に限定されないと理解すべきである。他の系が開発されるにつれて、それらの系は本発明の実践により利益が得られる可能性がある。増幅系についての最近の調査は公表されている。
B.逆転写における適用
用語「逆転写酵素」とは、RNA依存性DNAポリメラーゼとして特徴付けられたポリメラーゼのクラスを説明する。知られているすべての逆転写酵素は、RNA鋳型からDNA転写産物を合成するためのプライマーを必要とする。歴史的に見ると、逆転写酵素は主としてその後の操作(例、DNA依存性DNAポリメラーゼによるPCR増幅)のためのベクター内へクローン化することのできるcDNA内へmRNAを転写するために使用されてきた。
鳥類骨髄芽球症ウィルス(AMV)逆転写酵素は、初めて広範に使用されたRNA依存性DNAポリメラーゼであった(Verma,1977年,Biochem.Biophys.Acta 473:1)。この酵素は、5’−3’RNA特異的DNAポリメラーゼ活性、5’−3’DNA特異的DNAポリメラーゼ活性、およびRNase H活性を有する。RNase Hは、RNA−DNAハイブリッドのRNAストランドに対して特異的な前進型5’および3’リボヌクレアーゼである(Perbal,1984年,「分子クローニング解説書(A Practical Guide to Molecular Cloning)」,Wiley&Sons、ニューヨーク)。転写におけるエラーは逆転写酵素によって補正することができないが、これは知られているウイルス逆転写酵素にはプルーフリーディングのために必要な3’−5’エキソヌクレアーゼ活性が欠如するためである(SaundersとSaunders,1987年,「生命工学に適用された微生物遺伝学(Microbial Genetics Applied to Biotechnology)」,Croom Helm,ロンドン)。本組成物中の第2酵素の使用は、逆転写反応のためのプルーフリーディングを提供する。AMV逆転写酵素の活性およびその関連RNase H活性についての詳細な試験は、Bergerら、1983年,Biochemistry 22:2365−2372によって提示されている。
逆転写のための反応混合物には、通常は酵素、水性バッファー、塩、オリゴヌクレオチドプライマー、標的ポリヌクレオチド、およびヌクレオシド三リン酸塩が含まれる。状況に依存して、その混合物は完全または不完全逆転写反応混合物のいずれかであってよい。反応混合物は、本組成物の第2酵素によって必要とされる条件によって修飾することができる。cDNAが逆転写酵素(RNA依存性DNAポリメラーゼ)を使用してin vitroでmRNAから入手できることは知られている。順に産生した全長cDNAストランドは、その後の増幅反応(例、PCR)等のための鋳型として使用できる。
PCRと組み合わせた逆転写(RT−PCT)は、サンプル中に存在する可能性がある1つまたは多数の特異的RNA分子の存在を検出するために利用される。この方法は、例えば様々な生物(ウイルス、細菌、真菌、植物、および動物等)からRNAを検出するため、または感染症、疾患状態、もしくは疾患に対する素因を表示するRNAを検出するために使用できる。例えば、腫瘍細胞に特異的なmRNAを検出できる。この方法は、1クラスの微生物または1群の関連疾患状態を検出するためにもまた有用である。
逆転写は、一般に逆転写酵素の機能的温度範囲内のあらゆる温度で実施できる。好ましくは、インキュベーションの温度は、逆転写酵素が機能的であり、プライマーがRNA分子へハイブリダイズしたままとなるあらゆる温度である。非耐熱性逆転写酵素については、好ましい温度は逆転写酵素のための最適温度またはほぼ最適温度である温度である。大多数の非耐熱性逆転写酵素のためには、この温度は約25℃〜45℃であろう。
米国特許第5,994,079号(参照して組み込まれる)は、耐熱性逆転写酵素を開示している。Mn2+は二価カチオンとして好ましく、典型的には例えば塩化マンガン(MnCl)、酢酸マンガン(Mn(OAc))、または硫酸マンガン(MnS0)が塩として含有されている。MnClが10mMのトリスバッファーを含有する反応液中に含まれる場合、例えばMnClは一般に0.5〜7.0mMの濃度で存在する;200μMの各dGTP、dATP、dUTP、およびdCTPが利用された場合は0.8〜1.4mMが好ましい;そして1.2mMのMnClが最も好ましい。
耐熱性逆転写酵素は、50℃を超えるあらゆる温度でその最高活性の少なくとも5%を保持できる、または少なくとも50℃の最適温度を有する。耐熱性逆転写酵素が機能的である最高温度は極めて高い可能性がある。この理由から、耐熱性逆転写酵素が使用される場合の逆転写のために好ましい温度範囲は、最も便宜的には当該RNA分子とプライマーとの間のハイブリッドの計算融解温度に関して記載される。このような融解温度は、本明細書ではRNA/プライマー融解温度(R/P Tm)と呼ぶ。好ましい範囲には、当該RNA分子とプライマーとの間のハイブリッドの融解温度を20℃下回る温度から当該RNA分子とプライマーとの間のハイブリッドの融解温度を5℃超える温度までの温度が含まれる。一般に、温度がR/P Tmに近づくほど、RNAの特異的および非特異的ハイブリッドとプライマーの間の識別度が大きくなるであろう。しかし温度がR/P Tmに近い場合は、特異的ハイブリッドの減少した安定性はプライミングをより非効率的にさせる可能性がある。
R/P Tmは、計算または経験的測定のどちらかによって決定できる。R/P Tmを計算するためには、ポリヌクレオチドハイブリッドの安定性を計算するために確立されたあらゆる式を使用できる。R/P Tmを計算するために好ましい式はTm=81.5+16.6(log M)0.41(%(GCの含有率))−0.72(%(ホルムアミドの含有率))であるが、これは完全にマッチしたDNA:DNAハイブリッドの安定性に関する試験から引き出された。RNA:DNAハイブリッドについては、ホルムアミド濃度とTmの低下との関係が線形ではないので、式にホルムアミド濃度を組み込むのは有効ではない。80%のホルムアミドでは、RNA:DNAハイブリッドはDNA:DNAハイブリッドより安定性であり、Tmは配列に依存して約10〜30℃上昇する(Hames&Higgins,「ポリヌクレオチド・ハイブリダイゼーション:実践的アプローチ(Polynucleotide Hybridisation:A Practical Approach)」,(IRL Press Limited,オックスフォード,英国,1985年))。このため80%のホルムアミド中での反応の実施は、DNA:DNA二本鎖の形成を抑制するため、RNA:DNAハイブリッドを優先的に選択するため、そしてR/Pに対するTmを推定するためにも使用できる。RNA:DNAハイブリッドのTmを推定するために経験的に引き出された式は短いDNAプライマーにとって正確ではない可能性があるので、ハイブリダイゼーション温度は、好ましくは40〜60℃の範囲内の温度で0.1〜0.4Mの一価カチオン中のハイブリッド安定性を評価することによって決定される。R/P Tmは、さらに経験的に決定することもできる(LesnickとFreier,1995年,Biochemistry 34:10807−10815,McGrawら、1990年,Biotechniques 8:674−678;およびRychlikら、1990年,Polynucleotides Res.18:6409−6412)。
AMV−RTおよびMoMuLV−RT等のウイルス逆転写酵素の忠実度は、米国特許第5,994,079号(前記)に記載された直接的アッセイ手法による熱活性逆転写酵素と比較することができる。プラスミドBS(ストラタジーン社製)はこのようなアッセイのために使用できる。このプラスミドはα−相補的β−ガラクトシダーゼ活性をコードし、NdeIを用いて線形化することができる。T3 RNAポリメラーゼは、α−ドナー領域のcRNA転写産物を調製するために使用される。RNaseフリーDNaseを用いたcRNAの処理およびcRNAの単離後、cRNAは逆転写/増幅反応のための鋳型として使用される。その5’末端でNdeI配列を含有するcDNAの3‘末端に相補的な逆転写プライマー、および5’末端でPstI配列を含む上流PCRプライマーは752bpのPCR産物を提供する。次にPCR産物およびpBSベクターは、NdeIおよびPstIを用いて消化され、その後にベクター内へのPCR産物のライゲーションおよび適切な宿主内への形質転換が行われる。白色コロニーの存在は、RTまたはPCR増幅中に突然変異が発生したことを表示する。このアッセイは、様々な酵素の逆転写活性の忠実度へ相対値を指定する手段を提供する。特異的突然変異は、配列解析によって決定できる。
RNAの逆転写に続いて、RNAは熱変性によって、またはアルカリ処理、熱処理もしくは酵素処理等の他の多数の知られている手段によってRNA/cDNAハイブリッドから除去することができる。酵素処理は、例えばRNA/cDNAハイブリッドをRNaseを用いて処理することから構成されてよい。RNase Hは、RNA/DNA二本鎖分子内のRNAストランドに対して特異的である。
本組成物は、多数の起源からのRNAを高忠実度転写および増幅するために適している。RNA鋳型は、生物、例えばウイルスもしくは細菌ポリヌクレオチド調製物からのポリヌクレオチド調製物内に含まれていてよい。この調製物は、細胞破片およびその他の成分、精製全RNA、または精製mRNAを含んでいてよい。RNA鋳型は、サンプルまたは特定標的RNA分子内の異種RNA分子の集団であってよい。
本方法に使用するために適したRNAは、特定標的RNAを含有することが疑われる生物学的サンプル中に含まれていることがある。生物学的サンプルは、例えば血液サンプルもしくは生検組織サンプル中と同様にRNAがサンプルの小部分である異種サンプルであってよい。そこで、本組成物は臨床的検出および診断のために有用である。RNA標的は、特定疾患または感染性物質を表示する可能性がある。
RNAは、当技術分野において知られている多数の方法によって調製できる;その選択はサンプルの起源および利用可能性に依存する。RNAを調製する方法は、そのすべてが参照して本明細書に組み込まれるDavisら、1986年,「分子生物学における基本的方法(Basic Methods in Molecular Biology)」Elsevier,ニューヨーク州,第11章;Ausubelら、1987年,「分子生物学における最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)」第4章,John Wiley and Sons,ニューヨーク州;KawasakiとWang,1989年,「PCRテクノロジー(PCR Technology)」Erlich編,Stockton Press ニューヨーク州;Kawasaki,1990年,「PCRプロトコル:方法および適用に関する指針」Innisら編集,Academic Press,サンディエゴ、の中に記載されている。
C.増幅産物の検出
増幅したポリヌクレオチド産物の検出は、よく知られている様々な技術のいずれかによって実施できる。好ましい実施態様では、増幅産物はゲル電気泳動法により分子量に基づいて分離され、そして分離した産物はゲル内に存在する溶解した増幅産物の別個の種を観察することを可能にするポリヌクレオチド特異的染色を使用して可視化される。電気泳動法により分離されたポリヌクレオチドを可視化するために適する多数のポリヌクレオチド特異的染色が存在するが、好ましいのは臭化エチジウムである。
増幅したポリヌクレオチド産物を検出するために適する代替法には、増幅産物へハイブリダイズできる標識化ポリヌクレオチドプローブを使用するハイブリダイゼーションに基づく検出手段が含まれる。そのような検出手段の例には、サザンブロット解析、in vitro標識化ポリヌクレオチドプローブを使用するリボヌクレアーゼ保護解析、および特定ヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを検出するための類似方法が含まれる。例えば、Ausubelら、「分子生物学における最新プロトコル」,John Wiley&Sons,1987年,を参照されたい。
本発明の本組成物を使用した増幅産物(例、PCRまたはRT−PCRによって)は、配列決定またはクローニング等のその後の解析のために使用できる。
D.PCR増幅産物の直接クローニングにおける適用
その上、本組成物を使用した増幅産物が当技術分野において知られているあらゆる方法によってクローニングできることは理解されている。1つの実施態様では、本発明はPCR増幅産物の直接クローニングを可能にする組成物を提供する。
PCR産物をクローニングするために最も一般的な方法には、プライマー分子の末端へのフランキング制限部位の取り込みが含まれる。PCRサイクリングが実施され、次に増幅したDNAが精製され、適切な1つ以上のエンドヌクレアーゼを用いて制限され、適合するベクター調製物へ連結させられる。
PCR産物を直接的にクローニングする方法は、制限認識配列を有するプライマーを調製する必要を排除し、クローニング用のPCR産物を調製するための制限ステップの必要をさらに除去するであろう。さらに、そのような方法は、好ましくは精製ステップを妨害することなくPCR産物を直接クローニングすることを可能にするであろう。
米国特許第5,827,657号および第5,487,993号(それらの全体が参照して組み込まれる)は、PCRで生成した核酸の3’末端に付加された単一3’−デオキシ−アデノシン一リン酸(dAMP)残基を利用するDNAポリメラーゼを使用するPCR産物の直接クローニング法を開示している。ベクターは、適切な制限酵素を用いた反応後に単一の3’−末端デオキシ−チミジン一リン酸(dTMP)残基を生じる認識配列を用いて調製される。そこで、PCRで生成した遺伝子のコピーは、その中に適切な制限部位を有していないプライマーを調製する必要なくベクター内へ直接的にクローニングすることができる。
Taq DNAポリメラーゼは、鋳型の不在下でPCR産物の3’末端へ単一dATPを付加する末端トランスフェラーゼ活性を示す。この活性は、Taqを用いて増幅させたPCR産物が単一3’dTオーバーハングを含有するベクター内へ直接にライゲーションされるTAクローニング法の基礎である。他方、Pfu DNAポリメラーゼは末端トランスフェラーゼ活性が欠けており、そこで平滑末端ベクター内へ効率的にクローニングされる平滑末端PCR産物を産生する。
1つの実施態様では、本組成物は第1酵素としてTaq DNAポリメラーゼおよび第2酵素として低下したDNA重合活性を備える変異型Pfu DNAポリメラーゼを含む。組成物中のTaq DNAポリメラーゼは3’−dAMPを備える増幅したDNA産物を産生して増幅産物の直接クローニングを可能にするが、他方変異型Pfu DNAポリメラーゼは増幅についての忠実度を提供する。
キット
本発明は、本組成物の1つ以上の容器を有するパッケージユニット、および一部の実施態様ではPCRにおける合成を含むポリヌクレオチド合成のために使用される様々な試薬の容器を含むキット構成もまた予期している。このキットは、次の品目の1つ以上をさらに含有していてよい:ポリヌクレオチド合成前駆体、プライマー、バッファー、取扱説明書、および対照。キットは、本発明による方法を実施するために適切な比率で一緒に混合される試薬容器をさらに含んでいてよい。試薬容器は、好ましくは本方法を実施する際の測定ステップを不要にする単位量で試薬を含有している。
以下の実施例は、本発明を限定するためではなく具体的に説明するために提供されている。
(実施例1.低下したDNAポリメラーゼ活性を備えるPfu DNAポリメラーゼの変異体の構築)
本発明者らは、DNAポリメラーゼ活性を低下または排除する可能性があるがプルーフリーディング活性にはほんの小さな作用しか及ぼさないPfu DNAポリメラーゼ内に突然変異を導入した。選択した突然変異は、関連ファミリーB DNAポリメラーゼを使用して実施された以前の突然変異誘発試験から同定した。本発明者らは、Pfu中の次の残基で重合ドメインにおいて同一アミノ酸側鎖置換を作製した(D405E、Y410F、T542P、D543G、K593T、Y595S)(表1)。
突然変異は、Pfu DNAポリメラーゼ内のアミノ酸384−389(SYTGGF)での分割ドメイン内にもさらに導入した(表1)。
突然変異誘発のために使用したDNA鋳型は、pBluescript内へクローン化され、アフィニティー精製のためにN−末端His標識を用いて発現させたPfu pol遺伝子を含有していた。変法QuikChange(ストラタジーンプロトコルを使用して、Pfu pol遺伝子の5’末端のイニシエーターATGの直後にHis標識を挿入した。挿入反応は2つのステップで実施した。第1ステップでは、Hisフォワードプライマーだけを使用してTthリガーゼ(10U/RXN)の存在下で標準QuikChange反応を実施した。18サイクル後、この反応液を37℃で1時間かけてDpnI消化させ、その後、登録商標ストラタプレップ(Strata Prep(商標))プラスミドミニプレップ・キット(Plasmid Miniprep Kit)(ストラタジーン社製)を用いて精製した。精製物質は、Hisリバースプライマーだけを使用した第2QuikChange反応において鋳型として機能した。18サイクル後、第2反応液を37℃で1時間かけてDpnI消化させ、その後形質転換させた。His−Pfu pol構築物は、PCR増幅およびビッグダイ(Big Dye)配列決定キットを使用する配列決定の両方によって確認した。
点突然変異は、クイックチェンジ(QuikChange)部位特異的突然変異誘発キット(ストラタジーン社製)を使用してPfu pol遺伝子内へ導入した。所望の突然変異の取り込みを検証するために、クローンを配列決定した。
表1:部分精製His標識付きPfu変異体(ニッケル樹脂溶出液)の活性:
Figure 0004486821
Figure 0004486821
(実施例2.His標識付きPfu DNAポリメラーゼ変異体のアフィニティー精製)
Pfu突然変異体の細菌発現。プラスミドDNAは、登録商標ストラタプレップ(StrataPrep(商標))プラスミド・ミニプレップキット(Plasmid Miniprep Kit)(ストラタジーン社製)を使用して精製し、そしてXL−10 Gold細胞を形質転換させるために使用した。中等度のエアレーションを行いながら37℃で商標ターボアンプ(Turbo Amp(登録商標))抗生物質(100μg/μL)を含有する1〜5LのLB培地中でアンピシリン耐性コロニーを増殖させた。細胞は遠心分離により収集し、−20℃で保存した。
精製(His標識プロトコル/バッチ結合法):細胞ペレットを自然結合バッファー(20mMのリン酸塩(pH7.8)、500mMのNaCl)中に再懸濁させた。卵白リゾチーム(100μg/mL)を添加し、細胞を氷上で15分間インキュベートした。細胞懸濁液は45秒間にわたり80%のデューティーサイクルおよび出力レベル5でBronson Sonifier 250を用いて超音波処理に3回かけた。超音波処理イベント間は、冷却するためにこの懸濁液を氷上に置いた。溶解液を26,890gでの遠心により清浄化した。清浄化した溶解液を5mLのプロボンド・ニッケル(ProBond Ni)樹脂(インビトロジェン社製)に添加し、天然結合バッファー中で平衡化し、そしてスラリーを4℃で静かに撹拌しながら2時間インキュベートした。この樹脂を低速遠心分離(800×g)により沈降させた。樹脂を再懸濁させ、2分間にわたりスラリーを振とうし、その後で重力遠心分離により上清から樹脂を分離することにより、4mLの天然結合バッファー(pH7.8)を用いてこの樹脂を3回洗浄した。樹脂をさらに、自然洗浄バッファー(20mMのリン酸塩(pH6.0)、500mMのNaCl)を用いて同一方法で洗浄した。樹脂を再懸濁させ、5分間にわたりスラリーを振とうし、その後で重力遠心分離により上清から樹脂を分離することによって、350mMのイミダゾール溶離バッファー(20mMのリン酸塩、500mMのNaCl、350mMのイミダゾール(pH6.0))5mLを2回添加してタンパク質を溶出した。溶出したタンパク質は、セントリコン(Centricon)30遠心分離フィルター装置(アミコン(Amicon)社製)を使用してスピン濃縮した。トリス−グリシン4〜20%アクリルアミド勾配ゲルを使用するSDS−PAGEによって、タンパク質サンプルをサイズおよび純度について評価した。ゲルは、銀染色またはSypro Orange(モレキュラー・プローブズ(Molecular Probes)社製)を用いて染色した。
代替発現/精製:あるいは、カルモデュリンアガロースを用いて融合タンパク質を精製するために上流フレーム内カルモジュリン結合ペプチド(CBP)を含有するpCAL−n−EKベクター(商標Affinity(登録商標)タンパク質発現/精製系)内にPfu変異体をサブクローニングした。プラスミドDNAは、登録商標ストラタプレップ(StrataPrep(商標))プラスミド・ミニプレップキット(Plasmid Miniprep Kit)(ストラタジーン社製)を使用して精製し、そして登録商標BL21(DE3)コドンプラス(CodonPlus(商標))細胞を形質転換させるために使用した。中等度のエアレーションを行いながら30℃で商標Turbo Amp(登録商標)抗生物質(100μg/μL)を含有する1〜5LのLB培地中でアンピシリン耐性コロニーを増殖させた。培養がOD600で0.6〜1.0の吸光度に到達したとき、1mMのIPTGを用いて細胞を誘導し、同一方法で2時間から一晩(16時間)かけてインキュベートした。細胞は遠心分離により収集し、−20℃で保存した。
細胞ペレットをカルシウム結合バッファー(50mMのトリス塩酸(pH8.0)、150mMのNaCl、1mMの酢酸マグネシウムおよび2mMのCaCl)と同一または類似のバッファー中で約0.25g/mLの濃度へ再懸濁させた。卵白リゾチーム(100μg/μL)を添加し、細胞を氷上で15分間インキュベートした。細胞懸濁液は45秒間にわたり80%のデューティーサイクルおよび5の出力レベルでBronson Sonifier 250を用いて超音波処理に3回かけた。超音波処理イベント間は、冷却するためにこの懸濁液を氷上に置いた。溶解液を26,890gでの遠心により清浄化した。
清浄化した溶解液を1mLのカルモデュリンアガロース(CAMアガロース(CAM agarose)社製)に添加し、天然結合バッファー中で平衡化し、そしてスラリーを4℃で静かに撹拌しながらインキュベートした。2時間後、CAMアガロースおよび組み換えタンパク質を収集するためにこの反応液を3,000gで5分間遠心分離した。この溶解液の上清を除去し、CAMアガロースは50mLのカルシウム結合バッファー中に樹脂を再懸濁させることにより少なくとも1回洗浄し、その後に上記に記載したように遠心分離によりCAMアガロースを収集した。CAMアガロースをディスポーザブルの15mLのカラムへ移し、パックし、その後少なくとも200mLのカルシウム結合バッファーを用いて洗浄した。組み換えタンパク質は、50mMのトリス塩酸(pH8.0)、1MのNaCl、2mMのEGTAに類似または同一のバッファーを使用することによりカラムから溶出した。
トリス−グリシン4〜20%アクリルアミド勾配ゲルを使用するSDS−PAGEによって、タンパク質サンプルのサイズおよび純度について評価した。ゲルは、銀染色またはSypro Orange(Molecular Probes社製)を用いて染色した。
(実施例3.Pfu DNAポリメラーゼ変異体のDNAポリメラーゼ活性および3’−5’エキソヌクレアーゼ活性のアッセイ)
Pfu変異体調製物をDNAポリメラーゼ活性および3’−5’エキソヌクレアーゼ活性について下記の通りに検査した。
DNAポリメラーゼ。DNAポリメラーゼ活性は、活性化コウシ胸腺DNA内への放射性標識TTPの取り込みを監視することによって測定した。適切なDNAポリメラーゼ反応カクテルは、1×PCR反応バッファー、各200MのdATP、dCTP、およびdGTP、195μMのTTP、5μMの[H]TTP(NEN #NET−221H、20.5Ci/mM;エタノールを除去するために部分的に蒸発させた)、および250μg/mLの活性化コウシ胸腺DNA(例、ファルマシア(Pharmacia)製品番号27−4575−01)を含有していた。DNAポリメラーゼ(野生型PfuまたはPfu変異体)は、Pfu保存バッファー中で希釈し、各酵素希釈液1μLをポリメラーゼカクテルの10μL一定分量に添加した。重合反応は、72℃で30分間にわたり2回ずつ、または3回ずつ実施した。伸長反応は氷上で停止させ、次に5μLの一定分量を直ちにDE81イオン交換フィルター(径2.3cm;ワットマン(Whatman)社製、製品番号3658323)上でスポットした。取り込まれなかった[H]TTPは、2×SSC(0.3MのNaCl、30mMのクエン酸ナトリウム、pH7.0)中での6回の洗浄、その後の100%エタノール中での短時間の洗浄によって除去した。取り込まれた放射能は、シンチレーション計数により測定した。
酵素が欠如する反応液は、「総cpm」(フィルター洗浄ステップを省略する)および「最小cpm」(上記の通りにフィルターを洗浄する)を決定するためにサンプルインキュベーションと一緒に構成した。各DNAポリメラーゼについて「修正cpm」を決定するためにサンプルcpmを最小cpmから減じた。
野生型Pfuと比較した活性率(%)を決定するために、アッセイの線形範囲にわたって連続的に希釈した野生型Pfuと一緒に、〜50〜500ngの精製Pfu変異体をヌクレオチド取り込みアッセイにおいて検査した(50〜500pg;0.003−0.03U)。
エキソヌクレアーゼアッセイ。希釈したDNAポリメラーゼ(0.25−10U野生型Pfu;5〜200ng)の一定分量4μLを46μLの反応カクテルへ添加することによって、エキソヌクレアーゼ反応を実施した(3回ずつ)。反応液は72℃で1時間インキュベートした。酵素が欠如する反応も、「総cpm」(TCA沈降なし)および「最小cpm」(TCA沈降あり、下記参照)を決定するためにサンプルインキュベーションと一緒に構成した。
エキソヌクレアーゼ反応は、チューブを氷上へ移すことにより停止させた。超音波処理サケ***DNA(150 μl;2.5mg/mLストック)およびTCA(2001年;10%ストック)を「総cpm」チューブ以外の全チューブへ添加した。沈降反応は氷上で>15分間インキュベートし、次に14,000rpmで10分間、微量高速遠心機中で回転させた。ペレットを乱さないように注意を払いながら上清200μLを除去し、シンチレーション液(商標Bio−Safe II(登録商標),リサーチプロダクツ・インターナショナル(Research Products International Corp.)社製)へ移した。反転させることによりサンプルを完全に混合し、シンチレーションカウンターで計数した。
野生型Pfuに比較してエキソヌクレアーゼ活性率(%)を決定するために、同等量のPfuおよび精製Pfu変異体(アッセイの線形範囲に含まれる;〜5〜200ng Pfu)をエキソヌクレアーゼアッセイで検査した。
結果:数種のPfu変異体は、ニッケル樹脂から溶出した部分精製(純度〜50%)調製物として試験したときに、野生型Pfuに比較してDNAポリメラーゼ活性の低下を示した(表1)。<10%DNAポリメラーゼ活性および少なくとも10%エキソヌクレアーゼ活性を示したPfu変異体には、分割ドメイン変異体:Y385QSNLH、G387SP、およびG388Pならびにポリメラーゼドメイン変異体:D405E、T542P、D543G、およびK593Tが含まれる。表1に示したDNAポリメラーゼ活性率(%)の初期測定値は、試験したタンパク質サンプルの純度および試験したすべてのタンパク質量がアッセイの線形範囲内にあるかどうかに関する不確実さのために、近似推定値と見なした。
(実施例4.従来型カラム・クロマトグラフィーによるPfu DNAポリメラーゼ変異体の精製)
Pfu K593TおよびG387P変異体の非標識化またはアフィニティー標識化融合物を以下の通りに精製した。細胞ペレット(12〜24g)は、3容量の溶解バッファー(バッファーA:50mMのトリス塩酸(pH8.2)、1mMのEDTA、およびlOmMのβME)中に再懸濁させた。リゾチーム(1mg/g 細胞)およびPMSF(1mM)を添加し、細胞を4℃で1時間溶解させた。細胞混合液を超音波処理し、15,000rpmでの30分間(4℃)の遠心分離により細胞破片を除去した。トウィーン(Tween)20およびIgepal CA−630を最終濃度0.1%へ添加し、上清を72℃で10分間加熱した。その後、熱変性大腸菌タンパク質は、15,000rpmでの30分間(4℃)の遠心分離により除去した。
上清を商標Q−Sepharose(登録商標)高流速カラム(〜5mLカラム)上でクロマトグラフィーにかけ、バッファーB(バッファーAに0.1%(v/v)のIgepal CA−630、および0.1%(v/v)のトウィーン(Tween)20を加えたもの)中で平衡化させた。流動フラクションを収集し、次にP11ホスホセルロースカラム上へ直接に装填し、バッファーC(pH7.5である以外は、バッファーBと同一)中で平衡化させた。カラムを洗浄し、0〜0.7MのKCl勾配/バッファーCを用いて溶出した。Pfu DNAポリメラーゼ変異体を含有するフラクション(SDS−PAGEによると95kD)はバッファーD(50mMのトリス塩酸(pH7.5)、5mMのβME、5%(v/v)のグリセロール、0.2%(v/v)のIgepal CA−630、0.2%(v/v)のトウィーン(Tween)20、および0.5MのNaCl)に対して一晩透析し、その後バッファーD中で平衡化させたヒドロキシアパタイトカラム(1.0x1.3cm;〜1mL)へ適用した。このカラムを洗浄し、400mMのKP0(pH7.5)、5mMのβME、5%(v/v)のグリセロール、0.2%(v/v)のIgepal CA−630、0.2%(v/v)のトウィーン(Tween)20、および0.5MのNaClを含有するバッファーD2を用いて溶出した。精製したタンパク質は、セントリコン(Centricon)YM30装置を使用して回転濃縮し、このカラムを洗浄し、Pfu最終透析バッファー(50mMのトリス塩酸(pH8.2)、O.1mMのEDTA、1mMのジチオトレイトール(DTT)、50%(v/v)のグリセロール、0.1%(v/v)のIgepal CA−630、および0.1%(v/v)トウィーン(Tween)20)内へ交換した。
結果:His標識化および非標識化Pfu G387PおよびK593Tをイオン交換/ヒドロキシアパタイト(IE/HA)クロマトグラフィーにより精製した。精製したタンパク質調製物をSDS−PAGEにより分析して、純度≧95%と決定された。残っているDNAポリメラーゼ活性率(%)をより正確に定量するために、IE/HA精製変異体をヌクレオチド取り込みアッセイにおいて試験した。表3に示したように、Pfu G387P変異体は、1.1μgまでのタンパク質を検査した場合は有意なDNAポリメラーゼ活性を示さない(バックグラウンドを<100cpmsしか超えない)。これらの結果は、Pfu G387P変異体が野生型Pfu DNAポリメラーゼによって示されるDNAポリメラーゼ活性の<0.01%しか示さないことを表示している。これと比較して、Pfu K593T変異体は野生型PfuのDNAポリメラーゼ活性のおよそ1〜2%を保持している。

表3.IE/HA精製Pfu変異体調製物中の残留ポリメラーゼ活性:
Figure 0004486821
(実施例5.PCR条件下でのPfu変異体内のプルーフリーディング活性の存在の検証)
定性的アッセイを使用して、His−標識化Pfu変異体がPCR条件下で3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を保持することを検証した。このアッセイでは、DNA鋳型へアニーリングするとdG/dGミスマッチを産生する3‘dGを含有するフォワードプライマーを使用して、exoPfu DNAポリメラーゼ(2.5U/50μL)を用いて900bpのHα1AT標的を増幅させた。このアプリコンは、フォワードプライマー:5’−GAG.GAG.AGC.AGG.AAA.GGT.GGA.A−3’[配列番号8](100ng/50μL rxn)およびリバースプライマー:5’−GAG.GTA.CAG.GGT.TGA.GGC.TACT.G−3’[配列番号9](100ng/50μL rxn)を使用して、ヒトゲノムDNAから増幅させた。増幅は、次のプログラムを用いて様々な量のHis−標識化Pfu変異体の不在下または存在下において、パーキン・エルマー(Perkin/Elmer)9600サーマルサイクラー上で実施した:(1サイクル)95℃で2.5分間;(30サイクル)95℃で40秒間、61℃で10秒間、72℃で2.5分間;(1サイクル)72℃で7分間。プルーフリーディング活性が不在であると、この酵素exoPfuはおそらくdG/dGミスマッチを効率的に伸長させることができないので、低収率の産物を産生する。プルーフリーディング活性を備えるPfu変異体の存在下では、3’dGはプライマーから切断され、exoPfuが高収率で標的を増幅させることが可能になるはずである。このPCRアッセイを使用して、忠実度アッセイで試験したPfu変異体がミスマッチPCRプライマーを切断するためのPCR条件下で十分なプルーフリーディング活性を保持することを確認した。さらに、このアッセイにより、本発明者らは増幅を阻害させずにPCR反応に添加できるタンパク質の濃度範囲を決定することが可能になった。
結果:図1に示したように、exoPfuを用いて実施した増幅は、dG/dGミスマッチの不良な伸長のために単独で低収率の産物を産生した。産物収率は、His−標識化PfuG387PおよびK593T変異体の存在下では、おそらくこれらの変異体はプライマーから3‘dGを切断し、それによってexoPfuが標的を効率的に増幅させることを可能にするため、有意に高かった。追加の実験は、ポリメラーゼが欠如するPfu G387PおよびK593T変異体はexoPfu(または野生型Pfu)の不在下では標的を増幅させることができないことを証明した。
(実施例6.Pfu変異体を含有するPfuまたはTaq DNAポリメラーゼブレンドを用いてのPCR増幅)
Pfuブレンド。2.5−5UのPfu Turbo DNAポリメラーゼ(2.5U/μLのクロ−ン化Pfu DNAポリメラーゼ+1U/μLの自然または2U/μLのクロ−ン化Pyrococcus furiosus dUTPase(PEF))および様々な濃度のポリメラーゼが欠如するPfu変異体を備えるクロ−ン化Pfu PCRバッファー(10mMのKCl、10mMの(NHSO、20mMのトリス塩酸(pH8.8)、2mMのMgSO、0.1%のトリトン(Triton)X−100、および100g/mLのBSA)中において、PCR反応を標準条件下で実施した。長さが0.3〜9kbのゲノム標的については、PCR反応液は2.5UのPfu Turbo DNAポリメラーゼ、100ngのヒトゲノムDNA、200μMの各dNTP、および100ngの各プライマーを含有していた。長さが11.9kbおよび17kbのゲノム標的については、PCR反応液は5UのPfu Turbo DNAポリメラーゼ、250ngのヒトゲノムDNA、500μMの各dNTP、および200ngの各プライマーを含有していた。
Taqブレンド。2.5Uのクロ−ン化Taq DNAポリメラーゼ、1Uの自然または2Uのクロ−ン化Pyrococcus furiosus dUTPase(PEF))、および様々な濃度のポリメラーゼが欠如するPfu変異体を備えるHerculase PCRバッファー(50mMのトリシン(pH9.1)、8mMの(NHSO、2.3mMのMgCl、0.1%のトウィーン(Tween)−20、および75μg/mLのBSA)中において、PCR反応を標準条件下で実施した。

サイクリング条件(表4):
Figure 0004486821
結果(PfuブレンドのPCR性能):図2に示したように、PfuへのHis−標識化PfuG387P変異体0.5μLの添加(PEF/dUTPaseの存在下で)は、PCR産物収率にほんのわずかな作用しか及ぼさない。追加の実験は、1.5μLまでのHis−標識化PfuG387P変異体調製物は、PCR産物収率を有意に低下させずに添加できることを証明した。
結果(TaqブレンドのPCR性能):図3に示したように、PEF/dUTPaseの存在下でのTaqへのHis−標識化PfuG387P変異体の添加は、TaqおよびPfu DNAポリメラーゼの両方の活性を支持する反応バッファー中で増幅を実施した場合に、PCR産物収率を有意に増加させる。そのようなバッファーの1つは、Herculase促進DNAポリメラーゼ(3.33 U/μLのクローン化Pfu、1.67U/μLのクローン化Taq、2U/μLのクローン化Pyrococcus furiosus dUTPase)のために特別に開発されたHerculase PCRバッファーである。図3に示した実施例では、4kbの標的は、Taq、Pfu、またはHerculase PCRバッファー中ではTaq単独を使用して高収率で増幅させることはできなかった。His−標識化PfuG387P変異体(およびdUTPase)の存在下では、4kbの標的はPfuG387P変異体のバッファー優先傾向と一致して、クローン化Pfuバッファー(中等度の収率)では増幅させることができたが、Taqバッファー中では増幅させることができなかった。他の実験はPfuG387P変異体がTaq PCRバッファー中でTaqを用いて実施したPCR反応を阻害することを証明したが、これはPfuG387P変異体がミスマッチを切断して分離することなくPCR産物の3’末端を結合し(Taqバッファー中での不活性のために)、そしてさらに産物伸長を遮断することを示唆している。予想されたように、最高産物収率はHerculaseバッファーの存在下でTaq+PfuG387Pブレンドを用いて入手されるが、それはこれら2種の酵素がこの特定バッファー中で高度に活性であるためである。PfuG387P変異体は、さもなければTaqを閉じ込めるであろう誤対合を切断することによってTaq PCR反応(Pfuが活性であるバッファー中で)の収率を促進すると思われる。
(実施例7.His−標識化Pfu DNAポリメラーゼ変異体を含有するDNAポリメラーゼブレンドの忠実度の測定)
His−標識化PfuG387PおよびK593T変異体を含有するPfuおよびTaqブレンドのエラー率をCline J.,Braman,J.C.,およびHogrefe H.H.(96),NAR 24:3546−3551に記載されたlacI PCR忠実度アッセイにおいて試験した。手短には、lacIOlacZα標的遺伝子をコードする1.9kbのフラグメントを、クローン化Pfu PCRバッファー中の2.5UのPfu TurboまたはTaqもしくはHerculase PCRバッファー中の2.5UのTaqを使用してpPRIAZプラスミドDNAから増幅させた。一定の反応液へ様々な量のPfu G387PおよびK593T変異体を添加した。比較のために、lacI標的もまた製造業者が推奨するPCRバッファーを使用して、Pfx(Thermococcus種KOD DNAポリメラーゼ;インビトロジェン社製)およびTgo(Thermococcus gorgonarius DNAポリメラーゼ;ロシュ社製)を用いて増幅させた。lacIを含有するPCR産物をその後、λGT10腕内にクローン化し、そして(Lundberg K.S.,Shoemaker D.D.,Adams M.W.W.,Short J.M.,Sorge J.A.,およびMathur,E.J.(1991年),Gene 180:1−8)に記載されているように、カラースクリーニングアッセイでlacI変異体のパーセンテージを決定した(MF、突然変異発生頻度)。エラー率は、1複製当たり1bp当たりの突然変異発生頻度(MF/bp/d)として表示されるが、ここでbpはlacI遺伝子配列において検出可能な部位数(349)であり、dは効率的な標的倍加の数である。各酵素について、少なくとも2回の独立したPCR増幅を実施した。
エラー率測定は、PfuおよびPfu Turbo DNAポリメラーゼがVent、Deep Vent、およびPfx(KOD) DNAポリメラーゼの2分の1以下、DNAポリメラーゼ混合物の3〜6分の1以下、そしてTaq DNAポリメラーゼの6〜12分の1である平均エラー率を示すことを証明した。
結果(Pfuブレンド):表5に示したように、0.5−3μLのIE/HA精製His−標識化Pfu G387P変異体は、2回の独立した忠実度アッセイにおいて、Pfu Turbo DNAポリメラーゼのエラー率を3.2〜3.5分の1(アッセイ1)および1.8〜2.8分の1(アッセイ2)へ低下させた。実施例5で考察したように、1.5μLまでのE/HA精製His−標識化PfuG387P変異体は、PCR産物収率を有意に低下させずにPCR反応へ添加することができた。
これと比較して、0.5μLのPfu K593T変異体の添加はPfu Turbo DNAポリメラーゼのエラー率をわずかに低下させたが(40%)、1.5μLおよび3.0μLの添加はエラー率を各々2.8倍および7.3倍増加させた。これらの量では、約0.5−1Uの追加のDNAポリメラーゼ活性がPCR反応へ添加される(Pfu K593T 変異体は1〜2%のポリメラーゼ活性を示す)。K593T突然変異は、Pfuの誤った取り込みまたは誤対合伸長率を有意に増加させ、そして高度の(>0.5Uに対応する)量が添加された場合は、Pfu K593T変異体は野生型Pfuのエラー率を劇的に増加させる。
結果(taqブレンド):表6に示したように、0.5μLおよび3.0μLのPfu G387G変異体の添加は、Taq DNAポリメラーゼのエラー率を各々5.1分の1および8.3分の1に減少させた。このため、Pfu G387P変異体の存在下でのTaqのエラー率は、Pfu単独のエラー率と同等である可能性がある。
図6.IE/HA精製His−標識化Pfu変異体を含有するPfuブレンドの忠実度:
Figure 0004486821
表6.IE/HA精製Pfu変異体を含有するTaqブレンドの忠実度:
Figure 0004486821
(実施例8.Pfu変異体の存在下でTaqを用いて増幅させたPCR産物のTAクローニング効率の決定)
Taqの末端トランスフェラーゼ活性にポリメラーゼが欠如するPfu変異体が及ぼす作用を決定するために、本発明者らは、一連のアプリコンをPfu G387P変異体(Taq PCRバッファー中)の不在下またはPfu G387P変異体の存在下(Herculase PCRバッファー中)でTaqを用いて増幅させた。同様の増幅は、Pfu TurboおよびHerculaseを使用してそれらの推奨PCRバッファー中で実施した。PCR産物収率は、SYBR金を用いて染色した1%アガロースゲル上で産物を分析することによって定量した。同量の各PCR産物は、TOPO TAクローニングキット(#K4500−01)の取扱説明書にしたがって、6μLの最終反応容量中の1μLのpCR 2.1−TOPOベクター(インビトロジェン社製)へ添加した。この反応液を室温で5分間インキュベートし、次に氷上へ移した。この反応液を製造業者の推奨にしたがって、ワンショット(One−Shot)セル(インビトロジェン社製)内へ変換させた。各形質転換の一定分量はインビトロジェン社製TOPO TAクローニングの取扱説明書に記載されている通りに調製したアンピリシン/IPTG/X−galプレート上でプレーティングした。所望のインサートを含有するクローンの頻度(クローニング効率(%))は、(白色コロニー)/(プレーティングしたコロニーの全数)の数として定量した。
結果:図7に示したように、PfuG 387P変異体の存在下でTaqを用いて増幅したPCR産物は、Taq単独を用いて増幅したPCR産物と同等に効率的にTOPO TAクローニングベクター内へクローニングされた。これとは対照的に、Pfu Turbo DNAポリメラーゼを用いて増幅したPCR産物は、おそらく3’dAが欠如するために、TOPO TAクローニングベクター内へはるかに低効率的にクローニングされる。実施例7で考察したように、PfuG 387P変異体を含有するTaqブレンドを用いて増幅したPCR産物は、Taqを用いて増幅したPCR産物に比較して同様により少ないエラー率(5〜8分の1以下)を示すはずである。このため、Pfu G387P変異体を含有するTaqブレンドは、TAクローニング法を使用はするがインサートの高忠実度増幅を望む研究者にとって有用なはずである。Pfu G387P変異体の存在下で入手される高度のTAクローニング効率は、PCR中にTaqによって添加された3’dAがヌクレオチド鎖分解性分解に対して予想外に抵抗性であることを表示している。おそらく、Pfu DNAポリメラーゼは、ヌクレオチドの存在下では二本鎖PCR産物から3’dA残基を切断することについてはそれほど効率的ではない。

表7.TOPO TAクローニング効率:
Figure 0004486821
(実施例9.非標識化Pfu変異体の発現および活性)
His−標識をHis−標識化PfuG387Pクローンから削除し、非標識化変異体を発現させ、実施例4に記載した通りに精製した。4つのPfu G387P変異体サンプルを調製し、それらのタンパク質濃度をアミノ酸分析により決定した。基質としてH−大腸菌ゲノムDNAを使用してエキソヌクレアーゼ活性を測定し、表8において変異体調製物のエキソヌクレアーゼ比活性を野生型Pfuのエキソヌクレアーゼ比活性と比較した。Pfu G387P変異体変異体調製物のエキソヌクレアーゼ比活性は1,300−2,200U/mgの範囲に及び、野生型Pfuのエキソヌクレアーゼ比活性(350−950U/mg)よりいくらか高いと思われた。
表8.Pfu G387P調製物のエキソヌクレアーゼ比活性
Figure 0004486821
(実施例10.非標識化Pfu G387P変異体を含有するDNAポリメラーゼブレンドの忠実度の測定)
実施例7に記載した通りに、非標識化PfuG387P変異体を含有するPfuおよびTaqブレンドのエラー率をlacI PCR忠実度アッセイで試験した。図4に示したように、エラー率における最高低下(3分の1未満)は、6〜10ngのPfu G387P調製物Jを2.5UのPfu(50μLの反応液)へ添加したときに観察された。予想外にも、忠実度はPfu G387P変異体の量(>10ng)が増加するに伴って低下するように思われた。lacIアンプリコンの収率もまたPfu G387P変異体の量の増加に伴って低下し、これはより低い忠実度が低下した収率と相関している可能性があることを示唆している。調製物Jを使用すると、最適忠実度(最低エラー率)は、−1−3Uの野生型Pfuによって示された3’−5’エキソヌクレアーゼ活性の量である0.0125Uから0.0208Uのエキソヌクレアーゼ活性(調製物J;2090U/mg)を添加することによって達成された。これらの推定は、348−950Uのエキソヌクレアーゼ/mgの比活性および0.0174U/2.5U−0.02176U/2.5Uのexo/pol比を示すPfuに基づいている。表7を参照されたい。
G387P調製物SCS 1〜3を用いた追加の試験は、6〜24ngまたは0.0125U、0.0209U、もしくは0.0314Uの調製物Jに等価量のタンパク質が一貫してPfu Turbo DNAポリメラーゼのエラー率を3分の1未満へ低下させることを証明した(図5)。使用したロットのPfu Turbo DNAポリメラーゼ(ロット番号:59、61、63)を用いた場合のエラー率は、ほんのわずかしか変動しなかった。
図6に示したように、6〜60ngのPfu G387G調製物Jの添加はTaq DNAポリメラーゼのエラー率を4.4分の1から12.6分の1へ減少させた。エラー率における最高低下は、40ngの調製物J、または0.0836Uのエキソヌクレアーゼ活性の等価物の添加によって達成された。このアッセイでは、Taq+40ngのPfu G387Pブレンドの正確度は、Pfu Turbo DNAポリメラーゼより50%高かった。
(実施例11.ブレンド中で使用するためのエキソヌクレアーゼ活性対ポリメラーゼ活性の比率範囲)
Figure 0004486821
(その他の実施態様)
前記の実施例は、本発明を作製および実行する際に本発明者らが実施および意図した実験を示したものである。これらの実施例には、本発明の実践の技術を通知し、そしてその有用性を証明する両方のために役立つ技術の開示が含まれている。当業者には、同様の結果を達成するために一般に多数の等価の方法および技術を利用できることを前提に、本明細書に開示した技術および実施態様は好ましい実施態様であることが理解されるであろう。
本明細書において前記に同定した参考文献のすべては、これにより本発明の1つ以上の実施態様を実践するために重要な可能性がある根拠または可能な組成物および/または方法を記載し、陳述し、提供する程度に本明細書に参照して明示的に組み込まれる。
本発明の一部の実施態様によるPfu DNAポリメラーゼ変異体を使用したPCRプルーフリーディング活性アッセイを示した図である。 本発明の一部の実施態様によるPfu+Pfu G387P変異体ブレンドのPCR性能を示した図である。 本発明の一部の実施態様によるTaq+Pfu G387P変異体ブレンドのPCR性能を示した図である。 本発明の一部の実施態様による異なるの量のPfu G387Pを用いたPfuTurboのPCRの正確度を示した図である。 本発明の一部の実施態様によるPfuTurbo+Pfu G387PのPCRの正確度を示した図である。 本発明の一部の実施態様によるTaq+Pfu G387Pのエラー率を示した図である。 本発明の一部の実施態様による野生型DNAポリメラーゼおよび変異型DNAポリメラーゼのポリペプチド配列およびポリヌクレオチド配列を示した図である。

Claims (44)

  1. 第1の熱安定性酵素および第2酵素を含む酵素混合物であって、前記第1の熱安定性酵素はDNA重合活性を備え、そして前記第2酵素は配列番号19のD405、Y410、T542、D543、K593、Y595、Y385、G387、およびG388からなる群から選択されるアミノ酸位置で、D405E、Y410F、T542P、D543G、K593T、Y595S、Y385Q、Y385S、Y385N、Y385L、Y385H、G387S、G387P、G388AおよびG388Pからなる群から選択される1つ以上の突然変異を含む変異型Pfu DNAポリメラーゼであって、前記変異型Pfu DNAポリメラーゼは野生型Pfu DNAポリメラーゼと比較して低下した活性を有する、酵素混合物。
  2. 前記第1の熱安定性酵素がDNAポリメラーゼまたは逆転写酵素である、請求項1の酵素混合物。
  3. 前記DNAポリメラーゼが、Taq DNAポリメラーゼ、Tth DNAポリメラーゼ、UlTma DNAポリメラーゼ、Tli DNAポリメラーゼ、Pfu DNAポリメラーゼ、KOD DNAポリメラーゼ、JDF−3 DNAポリメラーゼ、PGB−D DNAポリメラーゼおよびDP1/DP2 DNAポリメラーゼからなる群から選択される、請求項2の酵素混合物。
  4. 前記変異型Pfu DNAポリメラーゼがG387Pの突然変異を含む、請求項1の酵素混合物。
  5. PCR促進因子および/または添加剤をさらに含む、請求項4の酵素混合物。
  6. PCR促進因子および/または添加剤をさらに含む、請求項1の酵素混合物。
  7. 前記酵素混合物が(2.5−5U)/(0.02−5U)の重合活性/エキソヌクレアーゼ活性の比率を有する、請求項1の酵素混合物。
  8. 前記酵素混合物が(2.5U)/(0.04−0.08U)の重合活性/エキソヌクレアーゼ活性の比率を備える、請求項7の酵素混合物。
  9. 第1の熱安定性酵素および第2酵素を含む酵素混合物であって、前記第1の熱安定性酵素がDNA重合活性を含み、および前記第2酵素が配列番号29のD404、Y409、T541、D542、K592、Y594、Y384、G386、およびG387からなる群から選択されるアミノ酸位置で、D404E、Y409F、T541P、D542G、K592T、Y594S、Y384Q、Y384S、Y384N、Y384L、Y384H、G386S、G386P、G387AおよびG387Pからなる群から選択される1つ以上の突然変異を含む変異型Tgo DNAポリメラーゼであって、前記変異型Tgo DNAポリメラーゼは野生型Tgo DNAポリメラーゼと比較して低下した活性を有し;配列番号39のD404、Y409、T541、D542、K592、Y594、Y384、G386、およびG387からなる群から選択されるアミノ酸位置で、D404E、Y409F、T541P、D542G、K592T、Y594S、Y384Q、Y384S、Y384N、Y384L、Y384H、G386S、G386P、G387AおよびG387Pからなる群から選択される1つ以上の突然変異を含む変異型KOD DNAポリメラーゼであって、前記変異型KOD DNAポリメラーゼは野生型KOD DNAポリメラーゼと比較して低下した活性を有し;配列番号49のD407、Y412、T544、D545、K595、Y597、Y387、G389、およびG390からなる群から選択されるアミノ酸位置で、D407E、Y412F、T544P、D545G、K595T、Y597S、Y387Q、Y387S、Y387N、Y387L、Y387H、G389S、G389P、G390AおよびG390Pからなる群から選択される1つ以上の突然変異を含む変異型Vent DNAポリメラーゼであって、前記変異型Vent DNAポリメラーゼは野生型Vent DNAポリメラーゼと比較して低下した活性を有し;配列番号59のD405、Y410、T542、D543、K593、Y595、Y385、G387、およびG388からなる群から選択されるアミノ酸位置で、D405E、Y410F、T542P、D543G、K593T、Y595S、Y385Q、Y385S、Y385N、Y385L、Y385H、G387S、G387P、G388AおよびG388Pからなる群から選択される1つ以上の突然変異を含む変異型Deep Vent DNAポリメラーゼであって、前記変異型Deep Vent DNAポリメラーゼは野生型Deep Vent DNAポリメラーゼと比較して低下した活性を有する;からなる群から選択される変異型DNAポリメラーゼである、酵素混合物。
  10. 前記第1の熱安定性酵素がDNAポリメラーゼまたは逆転写酵素である、請求項9の酵素混合物。
  11. 前記DNAポリメラーゼが、Taq DNAポリメラーゼ、Tth DNAポリメラーゼ、UlTma DNAポリメラーゼ、Tli DNAポリメラーゼ、Pfu DNAポリメラーゼ、KOD DNAポリメラーゼ、JDF−3 DNAポリメラーゼ、PGB−D DNAポリメラーゼおよびDP1/DP2 DNAポリメラーゼからなる群から選択される、請求項10の酵素混合物。
  12. 第1の熱安定性酵素、第2酵素、および第3酵素を含む酵素混合物であって、前記第1の熱安定性酵素がDNA重合活性を含み、および前記第2酵素および第3酵素が変異型Pfu DNAポリメラーゼ、変異型Tgo DNAポリメラーゼ、変異型KOD DNAポリメラーゼ、変異型Vent DNAポリメラーゼ、および変異型Deep Vent DNAポリメラーゼの群から選択される酵素であり、前記変異型Pfu DNAポリメラーゼが配列番号19のD405、Y410、T542、D543、K593、Y595、Y385、G387、およびG388からなる群から選択されるアミノ酸位置で、D405E、Y410F、T542P、D543G、K593T、Y595S、Y385Q、Y385S、Y385N、Y385L、Y385H、G387S、G387P、G388AおよびG388Pからなる群から選択される1つ以上の突然変異を含み、前記変異型Pfu DNAポリメラーゼは野生型Pfu DNAポリメラーゼと比較して低下した活性を有し;前記変異型Tgo DNAポリメラーゼが配列番号29のD404、Y409、T541、D542、K592、Y594、Y384、G386、およびG387からなる群から選択されるアミノ酸位置で、D404E、Y409F、T541P、D542G、K592T、Y594S、Y384Q、Y384S、Y384N、Y384L、Y384H、G386S、G386P、G387AおよびG387Pからなる群から選択される1つ以上の突然変異を含み、前記変異型Tgo DNAポリメラーゼは野生型Tgo DNAポリメラーゼと比較して低下した活性を有し;前記変異型KOD DNAポリメラーゼが配列番号39のD404、Y409、T541、D542、K592、Y594、Y384、G386、およびG387からなる群から選択されるアミノ酸位置で、D404E、Y409F、T541P、D542G、K592T、Y594S、Y384Q、Y384S、Y384N、Y384L、Y384H、G386S、G386P、G387AおよびG387Pからなる群から選択される1つ以上の突然変異を含み、前記変異型KOD DNAポリメラーゼは野生型KOD DNAポリメラーゼと比較して低下した活性を有し;前記変異型Vent DNAポリメラーゼが配列番号49のD407、Y412、T544、D545、K595、Y597、Y387、G389、およびG390からなる群から選択されるアミノ酸位置で、D407E、Y412F、T544P、D545G、K595T、Y597S、Y387Q、Y387S、Y387N、Y387L、Y387H、G389S、G389P、G390AおよびG390Pからなる群から選択される1つ以上の突然変異を含み、前記変異型Vent DNAポリメラーゼは野生型Vent DNAポリメラーゼと比較して低下した活性を有し;前記変異型Deep Vent DNAポリメラーゼが配列番号59のD405、Y410、T542、D543、K593、Y595、Y385、G387、およびG388からなる群から選択されるアミノ酸位置で、D405E、Y410F、T542P、D543G、K593T、Y595S、Y385Q、Y385S、Y385N、Y385L、Y385H、G387S、G387P、G388AおよびG388Pからなる群から選択される1つ以上の突然変異を含み、前記変異型Deep Vent DNAポリメラーゼは野生型Deep Vent DNAポリメラーゼと比較して低下した活性を有する、酵素混合物。
  13. 前記第1の熱安定性酵素が野生型DNAポリメラーゼである、請求項12の酵素混合物。
  14. 前記第1の熱安定性酵素が3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有していないDNAポリメラーゼまたは3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼである、請求項13の酵素混合物。
  15. 3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有していない前記DNAポリメラーゼがTaq DNAポリメラーゼである、請求項14の酵素混合物。
  16. 3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する前記DNAポリメラーゼがPfu DNAポリメラーゼ、Tgo DNAポリメラーゼ、KOD DNAポリメラーゼ、Vent DNAポリメラーゼ、およびDeep Vent DNAポリメラーゼからなる群から選択される、請求項14の酵素混合物。
  17. 第1酵素および第2酵素を含む酵素混合物であって、前記第1酵素は野生型Pfu DNAポリメラーゼであり、前記第2酵素は配列番号19のD405、Y410、T542、D543、K593、Y595、Y385、G387、およびG388からなる群から選択されるアミノ酸位置で、D405E、Y410F、T542P、D543G、K593T、Y595S、Y385Q、Y385S、Y385N、Y385L、Y385H、G387S、G387P、G388AおよびG388Pからなる群から選択される1つ以上の突然変異を含む変異型Pfu DNAポリメラーゼであって、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性および野生型Pfu DNAポリメラーゼと比較して低下したDNA重合活性を備える変異型Pfu DNAポリメラーゼである、酵素混合物。
  18. 前記第1の熱安定性酵素が野生型Taq DNAポリメラーゼまたは野生型Pfu DNAポリメラーゼである、請求項1の酵素混合物。
  19. 低下したDNA重合活性を備える変異型Pfu DNAポリメラーゼであって、前記変異型Pfu DNAポリメラーゼが配列番号19のT542、D543、K593、Y595、およびG388からなる群から選択されるアミノ酸位置で、T542P、D543G、K593T、Y595S、G388AおよびG388Pからなる群から選択される1つ以上の突然変異を含み、および野生型Pfu DNAポリメラーゼと比較して低下したDNA重合活性を有する、変異型Pfu DNAポリメラーゼ。
  20. 前記変異型Pfu DNAポリメラーゼがT542P、D543G、K593T、Y595SおよびG388Pからなる群から選択される1つ以上の突然変異を含む、請求項19の変異型DNAポリメラーゼ。
  21. 変異型Pfu DNAポリメラーゼを含む組成物であって、前記変異型DNAポリメラーゼが配列番号19のT542、D543、K593、Y595、およびG388からなる群から選択されるアミノ酸位置で、T542P、D543G、K593T、Y595S、G388AおよびG388Pからなる群から選択される1つ以上の突然変異を含み、および野生型Pfu DNAポリメラーゼと比較して低下したDNA重合活性を有する、組成物。
  22. 配列番号19のT542、D543、K593、Y595、およびG388からなる群から選択されるアミノ酸位置で、T542P、D543G、K593T、Y595S、G388AおよびG388Pからなる群から選択される1つ以上の突然変異を含み、および野生型Pfu DNAポリメラーゼと比較して低下したDNA重合活性を有する変異型Pfu DNAポリメラーゼを産生するために、野生型Pfu DNAポリメラーゼをコードするポリヌクレオチド内へ1つの突然変異を導入することにより産生した、変異型Pfu DNAポリメラーゼ。
  23. 野生型Pfu DNAポリメラーゼと比較して低下したDNA重合活性を備える変異型Pfu DNAポリメラーゼであって、以下のステップによって産生される変異型Pfu DNAポリメラーゼ:
    (a)野生型Pfu DNAポリメラーゼをコードするポリヌクレオチドを提供するステップ;
    (b)前記変異型Pfu DNAポリメラーゼをコードする変異型ポリヌクレオチドを産生するために前記ポリヌクレオチド内へ1つ以上のヌクレオチド突然変異を導入するステップ;および
    (c)前記変異型Pfu DNAポリメラーゼを産生するために前記変異型ポリヌクレオチドを発現させるステップであって、ここで変異型Pfu DNAポリメラーゼが配列番号19のT542、D543、K593、Y595、およびG388からなる群から選択されるアミノ酸位置で、T542P、D543G、K593T、Y595S、G388AおよびG388Pからなる群から選択される1つ以上の突然変異を含む。
  24. 野生型Pfu DNAポリメラーゼと比較して低下したDNA重合活性を備えるPfu DNAポリメラーゼをコードするポリヌクレオチドを発現させることによって産生した変異型Pfu DNAポリメラーゼを含む組成物であって、前記Pfu DNAポリメラーゼが配列番号19のT542、D543、K593、Y595、およびG388からなる群から選択されるアミノ酸位置で、T542P、D543G、K593T、Y595S、G388AおよびG388Pからなる群から選択される1つ以上の突然変異を含む、組成物。
  25. 野生型Pfu DNAポリメラーゼと比較して低下したDNA重合活性を備える変異型Pfu DNAポリメラーゼを含む組成物であって、以下のステップによって産生される変異型Pfu DNAポリメラーゼを含む、組成物:
    (a)T542、D543、K593、Y595、およびG388からなる群から選択されるアミノ酸位置で、T542P、D543G、K593T、Y595S、G388AおよびG388Pからなる群から選択される1つ以上の突然変異を含む配列番号19の変異型Pfu DNAポリメラーゼをコードする変異型ポリヌクレオチドを産生するために野生型Pfu DNAポリメラーゼをコードするポリヌクレオチド内に1つの突然変異を導入するステップ;
    (b)前記変異型Pfu DNAポリメラーゼを含む前記組成物を産生するために前記変異型ポリヌクレオチドを発現させるステップ。
  26. 第1の熱安定性酵素、第2酵素、およびそれらのための包装材料を含むキットであって、前記第1の熱安定性酵素がDNA重合活性を備え、前記第2酵素は配列番号19のD405、Y410、T542、D543、K593、Y595、Y385、G387、およびG388からなる群から選択されるアミノ酸位置で、D405E、Y410F、T542P、D543G、K593T、Y595S、Y385Q、Y385S、Y385N、Y385L、Y385H、G387S、G387P、G388AおよびG388Pからなる群から選択される1つ以上の突然変異を含み、野生型Pfu DNAポリメラーゼと比較して低下したDNA重合活性を有する変異型Pfu DNAポリメラーゼである、キット。
  27. 前記第1の熱安定性酵素がDNAポリメラーゼまたは逆転写酵素である、請求項26のキット。
  28. 前記DNAポリメラーゼが、Taq DNAポリメラーゼ、Tth DNAポリメラーゼ、UlTma DNAポリメラーゼ、Tli DNAポリメラーゼ、Pfu DNAポリメラーゼ、KOD DNAポリメラーゼ、JDF−3 DNAポリメラーゼ、PGB−D DNAポリメラーゼおよびDP1/DP2 DNAポリメラーゼからなる群から選択される、請求項27のキット。
  29. 前記第1の熱安定性酵素が野生型Taq DNAポリメラーゼまたは野生型Pfu DNAポリメラーゼである、請求項26のキット。
  30. 第1酵素と第2酵素、およびそのための包装材料を含むキットであって、前記第1酵素が野生型Pfu DNAポリメラーゼであり、前記第2酵素はD405、Y410、T542、D543、K593、Y595、Y385、G387、およびG388からなる群から選択されるアミノ酸位置で、D405E、Y410F、T542P、D543G、K593T、Y595S、Y385Q、Y385S、Y385N、Y385L、Y385H、G387S、G387P、G388AおよびG388Pからなる群から選択される1つ以上の突然変異を含む変異型Pfu DNAポリメラーゼであって、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性および野生型Pfu DNAポリメラーゼと比較して低下したDNA重合活性を備える変異型Pfu DNAポリメラーゼである、キット。
  31. デオキシヌクレオチド、反応バッファー、PCR促進因子および/または添加剤、対照DNA鋳型および対照プライマーからなる群から選択される1つ以上の成分をさらに含む、請求項26または30のキット。
  32. 前記変異型Pfu DNAポリメラーゼが、G387P突然変異を含む、請求項26のキット。
  33. 前記酵素混合物が(2.5−5U)/(0.02−5U)の重合活性/エキソヌクレアーゼ活性の比率を有する、請求項30のキット。
  34. 前記酵素混合物が(2.5U)/(0.04−0.08U)の重合活性/エキソヌクレアーゼ活性の比率を有する、請求項33のキット。
  35. 前記変異型Pfu DNAポリメラーゼがG387Pの突然変異を含む、請求項31のキット。
  36. 野生型Pfu DNAポリメラーゼと比較して低下したDNA重合活性を備える変異型Pfu DNAポリメラーゼおよびそのための包装材料を含むキットであって、前記変異型Pfu DNAポリメラーゼが配列番号19のT542、D543、K593、Y595、およびG388からなる群から選択されるアミノ酸位置で、T542P、D543G、K593T、Y595S、G388AおよびG388Pからなる群から選択される1つ以上の突然変異を含むキット。
  37. 変異型Pfu DNAポリメラーゼをコードする単離ポリヌクレオチドであって、前記変異型Pfu DNAポリメラーゼが配列番号19のT542、D543、K593、Y595、およびG388からなる群から選択されるアミノ酸位置で、T542P、D543G、K593T、Y595S、G388AおよびG388Pからなる群から選択される1つ以上の突然変異を含み、および野生型Pfu DNAポリメラーゼと比較して低下したDNA重合活性を有する、単離ポリヌクレオチド。
  38. DNA合成のための、以下のステップを含む方法:
    (a)酵素混合物を提供するステップであって、前記酵素混合物がDNA重合活性を備える第1の熱安定性酵素と、配列番号19のD405、Y410、T542、D543、K593、Y595、Y385、G387、およびG388からなる群から選択されるアミノ酸位置で、D405E、Y410F、T542P、D543G、K593T、Y595S、Y385Q、Y385S、Y385N、Y385L、Y385H、G387S、G387P、G388AおよびG388Pからなる群から選択される1つ以上の突然変異を含み、および野生型Pfu DNAポリメラーゼと比較して低下したDNA重合活性を有する変異型Pfu DNAポリメラーゼである第2酵素と、を含むステップ;および
    (b)前記酵素混合物を核酸鋳型と接触させるステップであって、前記酵素混合物がDNA合成を可能にするステップ。
  39. 前記核酸鋳型がDNA分子である、請求項38の方法。
  40. 前記第1の熱安定性酵素がDNAポリメラーゼまたは逆転写酵素である、請求項38の方法。
  41. 前記DNAポリメラーゼが、Taq DNAポリメラーゼ、Tth DNAポリメラーゼ、UlTma DNAポリメラーゼ、Tli DNAポリメラーゼ、Pfu DNAポリメラーゼ、KOD DNAポリメラーゼ、JDF−3 DNAポリメラーゼ、PGB−D DNAポリメラーゼおよびDP1/DP2 DNAポリメラーゼからなる群から選択される、請求項40の方法。
  42. DNA合成産物のTAクローニングのための、以下のステップを含む方法:
    (a)酵素混合物を提供するステップであって、前記酵素混合物はTaq DNAポリメラーゼを第1酵素、および、配列番号19のD405、Y410、T542、D543、K593、Y595、Y385、G387、およびG388からなる群から選択されるアミノ酸位置で、D405E、Y410F、T542P、D543G、K593T、Y595S、Y385Q、Y385S、Y385N、Y385L、Y385H、G387S、G387P、G388AおよびG388Pからなる群から選択される1つ以上の突然変異を含み、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性および野生型Pfu DNAポリメラーゼと比較して低下したDNA重合活性を備える、変異型Pfu DNAポリメラーゼを第2酵素として含む、ステップ;
    (b)前記酵素混合物を核酸鋳型と接触させるステップであって、前記酵素混合物が合成DNA産物を生成するためにDNA合成を可能にするステップ;および
    (c)TAクローニングベクター内へ合成DNA産物を挿入するステップ。
  43. 前記変異型Pfu DNAポリメラーゼが、G387P突然変異を含む、請求項42の方法。
  44. 前記反応混合物がPCR促進因子および/または添加剤をさらに含む、請求項38または42の方法。
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