JP4486233B2 - 触媒含有機能材およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有害物質等の除去効率に優れた触媒含有機能材およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
紙等の柔軟なシート状基材に触媒を固定化し、触媒シートを作成しようという試みは以前より行われてきた。
【0003】
このような方法としては、例えば、シート内に触媒を混抄する方法、熱可塑性樹脂に練り込んで紡糸したのち不織布にする方法、触媒に耐性のある物質(無機多孔性物質)を触媒に結合させた後、混抄する方法、塗工により触媒を固定化する方法等が知られている。しかしながら、これらの方法には、以下のような欠点がある。
【0004】
例えば、シート内に触媒を混抄する方法における欠点としては、▲1▼触媒が網抜けし、歩留まりが悪い、▲2▼シート内部に分散した触媒は水素結合を妨害してシートの強度を低下させる上に、触媒が光触媒である場合には、光が届き難いため、触媒作用がほとんど発揮されないこと等が挙げられる。
【0005】
触媒を熱可塑性樹脂に練り込んで紡糸したのち不織布にする方法における欠点としては、▲1▼溶融押出し装置等の特別な装置が必要である、▲2▼天然繊維には適用できない、▲3▼樹脂内部に埋没した触媒は触媒作用が発揮されないこと等が挙げられる。
【0006】
また、触媒に耐性のある物質(無機多孔性物質)を触媒に結合させた後、混抄する方法における欠点としては、▲1▼結合させるために特別の操作が必要である、▲2▼無機多孔性物質には触媒作用が無いため、重量の割には触媒作用が小さいこと等が挙げられる。
【0007】
これに対し、塗工により、例えば光触媒を固定化する方法は、以下のような利点がある。▲1▼光が当たりやすい基材表面にのみ光触媒が分散し、基材内部や裏面等の光が当たらない場所に分散することがほとんどないため光触媒の効率が高い、▲2▼基材内部や裏面等には光触媒が分散することがほとんどないため、この部分で基材の強度を維持できる、▲3▼板、ブロック等の形態の場合でも光触媒を含有させることができる。このようなことから、各種の光触媒コーティング剤が光触媒メーカー各社より販売されている。
【0008】
市販の光触媒コーティング剤の多くは、粘度が低く、高温で焼結させる必要があるため、タイルやガラス等の吸水性が小さく、熱に強い基材の塗工には適している。しかしながら、紙や不織布等の吸水性が高く、熱に弱い材料に塗工する場合、▲1▼粘度が低いためバーコータ法では塗工できない、▲2▼ディップ法やスプレー法では基材内部まで光触媒が浸透してしまう、▲3▼光触媒と基材との結合力が小さく、粉落ち(チョーキング)する等の問題がある。
【0009】
また、吸水性が高く、熱に弱い材料に塗工するためには、光触媒と基材とを結合させ、かつコーティング剤の粘度を増加する適当な定着剤を加えることにより、チョーキングを防止し、かつ塗工性を向上させる必要があるが、この場合、▲1▼光触媒が定着剤に埋没し、光触媒作用の発現が妨げられる、▲2▼光触媒作用により定着剤が分解しチョーキングする、▲3▼基材が高機能材の場合、基材表面が定着剤に覆われてしまうため当該基材の機能の発現が妨げられる等の問題が生じる。
【0010】
さらに、チョーキングを防止するために、光触媒を塗工した塗工層の上に、もう一層塗工する方法や通気性シートを貼り付ける方法が報告されているが、加工に二度手間がかかる上に光触媒含有層に光が照射されにくくなる問題がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来のコーティング剤を塗工して得られる触媒含有機能材における種々の問題、例えば触媒のチョーキング、触媒による有機系担体(紙、不織布等)の強度低下、および触媒が担体内部に埋没されることによる触媒反応効率の低下等を克服したものであって、有害物質等の除去効率に優れ、かつ耐久性にも優れた触媒含有機能材およびその製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、基材表面に、触媒と、アルギン酸またはその塩を含有する塗料を塗工することで、有害物質等の除去効率に優れ、かつ耐久性にも優れる機能材が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明は以下の通りである。
〔1〕 触媒と、アルギン酸またはその塩よりなる層を基材表面に有することを特徴とする触媒含有機能材。
〔2〕 触媒が、光触媒である上記〔1〕の触媒含有機能材。
〔3〕 基材が、親水性高分子基材である上記〔1〕または〔2〕の触媒含有機能材。
〔4〕 基材が、多孔性物質を含有する上記〔1〕〜〔3〕のいずれかの触媒含有機能材。
〔5〕 多孔性物質が、ゼオライトである上記〔4〕の触媒含有機能材。
〔6〕 触媒と、アルギン酸またはその塩を含有することを特徴とする触媒含有塗料。
〔7〕 液温20℃の条件下、No.3 ザーンカップにより測定される粘度が、10〜30秒である上記〔6〕の触媒含有塗料。
〔8〕 上記〔6〕または〔7〕の触媒含有塗料を基材表面に塗工し、乾燥させることを特徴とする上記〔1〕の触媒含有機能材の製造方法。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の触媒含有機能材は、触媒と、アルギン酸またはその塩よりなる層を基材表面に有することを特徴とする。この層は、触媒と、当該触媒を基材に定着する作用を有するアルギン酸またはその塩より形成された層であり、好ましくは、触媒と、アルギン酸またはその塩を含有する塗料を塗工し、乾燥させることにより得られる塗工層である。
【0015】
本発明に用いられる触媒としては、酸化チタン、酸化鉄、酸化ビスマス、硫化カドミウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、酸化タングステン、酸化ジルコニウム等の光触媒;オクタカルボン酸鉄(III)フタロシアニン、テトラカルボン酸鉄(III)フタロシアニン等の鉄−フタロシアニン誘導体;テトラカルボン酸コバルト(II)フタロシアニン、モノスルホン酸コバルト(II)フタロシアニン等のコバルト−フタロシアニン誘導体;コバルト、ニッケル、イリジウム等の金属触媒;酸化バナジウム、酸化モリブデン等の金属酸化物触媒;白金黒等の白金触媒;パラジウム黒、塩化パラジウム等のパラジウム触媒等を挙げることができる。
なかでも光触媒が好ましく、特に酸化チタンが好ましい。
また、これらは2種以上併用してもよい。
【0016】
上記触媒の粒径は、除去対象物質の分解能力、チョーキング等の点から、好ましくは10μm以下、より好ましくは1μm以下、さらに好ましくは0.5μm以下、特に好ましくは0.1μm以下である。好ましくは全ての触媒の粒径が当該範囲内に含まれる。触媒の粒径を10μm以下とすることで、除去対象物質との接触頻度に関係する比表面積が十分に大きくなるので除去対象物質を効率的に分解することができるばかりでなく、触媒含有機能材においてチョーキングがほとんど発生しなくなるので好ましい。
なお、ここでいう粒径とは、走査型電子顕微鏡を用いて1000〜3500倍の倍率で写真を撮り、各粒子を一定方向の2本の平行線ではさみ、その平行線間の距離を測ることで測定した値である(フェレー径)。また、当該測定方法において測定可能な粒子の大きさは0.1μm以上である。
【0017】
本発明の触媒含有機能材において、触媒の含有率は、好ましくは0.1〜80重量%であり、より好ましくは1〜30重量%である。当該範囲内であれば触媒反応の効率は十分なものとなり、かつ製造も容易である。
【0018】
本発明の触媒含有機能材におけるアルギン酸としては、D−マンノウロン酸のβ−1,4結合からなる直鎖状ポリウロニドであればよく、その由来、製法等に特に限定されないが、入手が容易で安価であること、食品添加物や化粧品にも使用され、人体に安全であること等の点から、好ましくは海ソウ、特に好ましくはカッソウ類から炭酸ナトリウムで抽出したものが挙げられる。また、アルギン酸塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;有機アミン塩;アンモニウム塩等の各種の塩が挙げられる。
なかでも、紙等の親水性高分子よりなる不織布状の基材への塗工性、塗工後の通気性および補強材としての効果も高いことから、アルギン酸ナトリウムが特に望ましい。
また、これらのアルギン酸またはその塩は2種以上を併用してもよい。
【0019】
本発明の触媒含有機能材において、触媒と、アルギン酸またはその塩よりなる層の厚みは特に制限はないが、通気性、層の強度等の点から、好ましくは1〜50μmであり、より好ましくは5〜20μmである。
【0020】
本発明の触媒含有機能材における基材としては、特に限定されないが、例えば、天然セルロース(パルプ、ケナフ、木綿、麻等)、再生セルロース(セロファン、セルロースビーズ、レーヨン、セルローススポンジ等)、バクテリアセルロース、セルロース誘導体(エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロース等)等の各種のセルロース、絹、羊毛、ポリビニルアルコール、架橋型ポリビニルアルコール、キチン、キトサン、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルホルマール、ポリアクリルアミド、コラーゲン、および木毛等の水に対して膨潤する高分子(親水性高分子)に加え、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル、アラミド、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ナイロン、ポリアミド、およびポリウレタン等の各種の有機高分子が挙げられる。
なかでも、柔軟であり、成形加工が容易である点から親水性高分子が好ましく、実際の使用形態、価格および取り扱い易さの点から、セルロースが特に好ましい。
また、これらの基材は2種以上を併用してもよく、芯さやの構造物でもよい。
【0021】
上記基材の形態としては、上記材質から形成されるものであれば特に限定されないが、除去対象物質が気体である場合、通気性、坪量の調節が容易で加工性に優れ経済的である等の点から、紙や不織布が好ましい。また、その形状も特に限定されず、用途に応じて、粒子、立方体、シート等として使用することができる。
【0022】
上記基材において、好ましくは吸着能力を有する多孔性物質を含有しているものが挙げられる。当該基材より構成される触媒含有機能材は、当該多孔性物質による吸着能力がさらに付与されるので、多孔性物質を含有しないものに比べて除去対象物質をより効率的に除去することができる。
【0023】
上記多孔性物質は、基材を溶解、分解または崩壊させないものであれば特に限定されないが、例えば、ゼオライト、シリカゲル、ハイドロタルサイト、ハイドロキシアパタイト、粘土鉱物類等が挙げられる。なかでも、最も用途が広いという点からゼオライトが好ましい。
また、これらの多孔性物質は、2種以上を併用してもよい。
【0024】
ゼオライトとしては、特に制限はなく、公知のゼオライトを使用することができる。また、ゼオライト骨格中のアルミニウム1分子に対するケイ素分子の割合(Si/Al比)についても種々の値を有するゼオライトが使用できる。具体的には、A型ゼオライト(Si/Al比:1)、X型ゼオライト(Si/Al比:1.0〜1.5)、Y型ゼオライト(Si/Al比:1.5〜3.0)、ZSM−5型ゼオライト(Si/Al比:10以上)、ZSM−11型ゼオライト(Si/Al比:10以上)、シリカライト(Si/Al比:無限大)、合成モルデナイト(Si/Al比:4.5〜12)などの合成ゼオライトや、天然モルデナイト(Si/Al比:4.2〜5.0)、天然クリノプチロライト(Si/Al比:4.25〜5.25)などの天然ゼオライトなどが挙げられる。また、これらの合成ゼオライトや天然ゼオライトの骨格内アルミニウムを脱離させたゼオライトも使用できる。例えば、骨格内アルミニウムを脱離させたY型ゼオライト、骨格内アルミニウムを脱離させたクリノプチロライト、および骨格内アルミニウムを脱離させたモルデナイトなどが挙げられる。
なかでも、比較的合成が容易である点から4Aゼオライト(Na12Si12Al1248・27H2O)が好ましい。
【0025】
上記多孔性物質の基材中の粒径としては、好ましくは0.1〜100μmであり、より好ましくは0.1〜20μmである。粒径が0.1μm未満であると価格的に高価であり、また、空気中に舞い上がったり、静電気により反応釜に付着したものが取れにくい等の取り扱い上の問題が生じる。逆に100μmを超えると比表面積が小さくなるので、十分な吸着能力が得られない可能性がある。
なお、ここでいう粒径とは、走査型電子顕微鏡を用いて1000〜3500倍の倍率で写真を撮り、各粒子を一定方向の2本の平行線ではさみ、その平行線間の距離を測ることで測定した値である(フェレー径)。
【0026】
上記多孔性物質の基材中の含有率は、特に制限されないが、好ましくは1〜70重量%であり、特に好ましくは10〜50重量%である。多孔性物質の含有率が当該範囲内であれば十分な吸着能力が得られ、かつ容易に製造することができる。
【0027】
上記多孔性物質を含有する基材は、製造方法等に特に限定されず、多孔性物質が基材の表面および内部を問わず、基材の間隙、内孔(特に基材が多孔質である場合)、基材の実体内(すなわち、基材を構成している高分子の内部)等に物理化学的に保持されているものであればよい。また、多孔性物質がバインダー等によって基材に保持されていてもよい。なかでも、耐久性の点から、多孔性物質の少なくとも一部分が基材の実体内に存在しているものが好ましい。このような基材は、例えば、特開平10−120923号公報等に記載される方法により製造することができる。例えば、多孔性物質がゼオライトであり、基材がパルプであるゼオライト−パルプ複合体は、パルプを10〜50,000mmol/lの塩基性物質の水溶液で膨潤させ、1〜10,000mmol/lのアルミニウム化合物の水溶液を混合し、次いで1〜1,000mmol/lのケイ素化合物の水溶液を混合した後、20〜100℃で1時間〜20日間処理することにより製造することができる。
【0028】
上記多孔性物質には、さらに、銀、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、コバルト、パラジウム、白金等の金属が担持されていることが好ましい。これにより、触媒含有機能材にさらに吸着能力が付与される。例えば、銅を担持した場合、銅はS基やN基と錯体を形成するので、硫化水素やアンモニア等のS基やN基を含有する物質に対する吸着能力が格別に向上する。このような金属を担持した多孔性物質を含有する基材は、特開平10−120923号公報等に記載される方法により製造することができる。例えば、上記ゼオライト−パルプ複合体のゼオライト部分に金属を担持させる場合、1〜100mmol/lの金属塩の水溶液に該複合体を浸漬させればよい。
【0029】
また、上記基材は、必要に応じて、補強材、フィブリル化セルロース、紙力増強剤、歩留向上剤等の抄紙時に一般的に添加される添加物を含有していてもよく、また、架橋や置換基導入等の化学修飾がされていてもよい。
【0030】
本発明の触媒含有機能材は、好ましくは、触媒と、アルギン酸またはその塩を含有する触媒含有塗料を基材表面に塗工し、乾燥させる方法により製造することができる。
【0031】
上記製造方法に使用される触媒含有塗料における触媒としては、上述のようなものが挙げられるが、塗工性および塗工後のチョーキングの観点から、ゾル状のものが好ましい。ゾル状触媒を使用した場合、当該塗料の塗工性は良好となるばかりでなく、当該塗料の塗工後に得られる触媒含有機能材において塗工後の触媒の粒径は1μm以下となるので、当該触媒含有機能材は、除去対象物質を効率的に分解することができ、またチョーキングはほとんど発生しない。これに対して、粉体状触媒を使用した場合、長時間放置しておくと塗料中に沈殿したり、また塗料中で1μm以下であっても、塗工の際にそれらが互いに結合した10μmを超える大きさのものが生じることから、得られる触媒含有機能材においてチョーキングが発生し易くなるので好ましくない。酸化チタンの場合、ゾル状のものとして、酸性ゾル〔pH1〜3のもの:例えば、塩酸酸性ゾル;STS−02(石原産業(株))、TKS−201(テイカ(株))等;および硝酸酸性ゾル;STS−01(石原産業(株))、TKS−202(テイカ(株))等〕と中性ゾル〔pH6〜8のもの;例えば、TKS−203(テイカ(株))〕があるが、中性ゾルが好ましい。酸性ゾルと共にアルギン酸ナトリウムを当該塗料において使用した場合、当該塗料のpHが酸性となり、アルギン酸ナトリウムがゲル化し、バーコータ塗工には不適となる恐れがある。
【0032】
上記塗料中の触媒の濃度は、触媒の種類に応じて適宜設定すればよいが、例えば、触媒が酸化チタン等の光触媒である場合には、好ましくは0.1〜5.0重量%、より好ましくは0.2〜3.0重量%、特に好ましくは0.75〜1.5重量%である。0.1重量%未満の濃度では、当該塗料が塗工された光触媒含有機能材において光触媒機能の発現が不十分になる傾向があり、一方、5.0重量%より高い濃度としても光触媒機能はさほど上昇しない。なお、当該触媒の濃度は、触媒がゾル状触媒である場合、触媒に換算したものである。
【0033】
上記塗料におけるアルギン酸またはその塩としては、上述したようなものが挙げられる。当該塗料中のアルギン酸またはその塩の濃度は、特に限定されないが、好ましくは当該塗料中の触媒とアルギン酸またはその塩との重量比が0.05:1〜10:1、より好ましくは0.2:1〜5:1、特に好ましくは0.5:1〜3:1となるように設定する。触媒と、アルギン酸またはその塩との重量比を当該範囲とすることで、当該塗料が基材に塗工された際、触媒の基材への定着力も十分に確保され、かつその機能も十分に発揮させることができる。なお、当該触媒と、アルギン酸またはその塩との重量比における触媒の重量は、触媒がゾル状触媒である場合、触媒に換算したものである。
【0034】
上記塗料において、液温20℃の条件下、No.3 ザーンカップにより測定される粘度は、好ましくは10〜30秒、より好ましくは15〜25秒、特に好ましくは17〜19秒である。粘度が当該範囲内であると、バーコータ塗工に好適となるので、紙や不織布等の吸水性が高く、熱に弱い基材に対しても、一回の塗工作業と乾燥作業で十分な量の触媒をその機能が十分に発揮可能なように定着させることができる。一方、10秒未満の粘度であるとバーコータ塗工することができない可能性があり、また、基材内部に浸透しやすくなるため、触媒が基材内部に埋没され、その機能が十分に発揮されない可能性がある。また、30秒を超える粘度であると、均一に塗工することが困難となる恐れがある。
【0035】
上記塗料において、触媒およびアルギン酸またはその塩以外の成分を添加して粘度を上記の好適な範囲になるように調整してもよい。このような粘度調整剤としては、アルギン酸プロピレングリコールエステル、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプンリン酸エステルナトリウム、メチルセルロース等の一般に増粘剤として使用される物質、イソプロピルアルコール、エチルアルコール等のアルコール類が挙げられる。
【0036】
上記塗料は、必要に応じて、本発明の目的が達成される限り、上記以外の成分を含有していてもよい。このようなものとしては、シリコーン樹脂等の消泡剤、ナフテン酸金属塩等の防カビ・防腐剤等が挙げられる。
【0037】
上記塗料の基材表面への塗工方法は、特に限定されず、塗料の塗工方法としては、バーコータ法、ディップ法、スプレー法等の従来公知の方法を用いることができる。好ましくは塗料を均一に塗工することが可能であること、塗料が基材内部に浸透しにくいこと、操作が簡便であること等の点から、バーコータ法が挙げられる。
【0038】
上記塗工方法における塗工条件としては、使用する基材、触媒、アルギン酸またはその塩に応じて適宜条件を設定すればよい。例えば、紙や不織布等の熱に弱い基材よりなる12×24cmのシートをバーコータ(例えばRDS04型バーコータ;ウェブスター社製)を使用して3mlの塗料を塗工する場合、通常、温度は10〜30℃であり、塗工時間は1〜2秒である。
【0039】
また、上記塗料の塗工後の乾燥も同様に、使用する基材、触媒、アルギン酸またはその塩に応じて適宜条件を設定すればよいが、例えば、紙や不織布等の熱に弱い基材の場合、通常、温度は100〜110℃であり、乾燥時間は3時間である。
【0040】
上記のようにして得られる本発明の触媒含有機能材において、アルギン酸またはその塩が触媒と共に形成する層は、多くの間隙を有するので、触媒を完全に埋没してしまうことはなく、また通気性に優れていることから、触媒と除去対象物質との接触は効率的に行われる。同様に、基材が多孔性物質等の吸着剤を含有する高機能材である場合、当該吸着剤と除去対象物質との接触も効率的に行われる。また、触媒として光触媒を使用した場合、光触媒への光照射も妨害されることが少ない。従って、当該触媒含有機能材は、含有される触媒や吸着剤の能力が十分に発揮されるので、有害物質等の除去対象物質を効率的に除去することができる。
【0041】
また、本発明の触媒含有機能材において、アルギン酸またはその塩が触媒の定着剤として触媒を基材に強固に定着させるとともに、基材自体の補強材として基材を補強することから、当該機能材は耐久性にも優れている。従って、当該触媒含有機能材は、有害物質等の除去対象物質を、効率的に除去できるばかりでなく、長期間安定して除去することができる。
【0042】
本発明の触媒含有機能材は、必要に応じて、触媒の触媒反応および吸着剤の吸着作用に悪影響が生じない範囲内で添加物を含有していてもよい。このような添加物としては、触媒が光触媒である場合、光照射下において光を蓄え、非照射下においても光触媒反応を実施可能にし得る硫化亜鉛等の蓄光物質、触媒の触媒反応により除去対象物質から転換した転換物質により変色し、該転換物質の存在量の目安を示すpH指示薬等のインジケーター機能を付与する物質、多孔性物質に適当な水分を付与し、多孔性物質の吸着能力を向上させるエチレングリコール等の保湿剤等が挙げられる。
【0043】
本発明の触媒含有機能材の除去対象となる物質としては、触媒による触媒反応により除去される物質であれば特に限定されないが、好ましくは、常温で気体の無機化合物、または種々の有機化合物が挙げられる。特に、環境汚染等の原因物質および存在することで動植物、機械、装置、物品等に何らかの悪影響を与える物質と知られる様々な有害物質、例えば、NOx(NO、NO2等)、SOx(SO2、SO3等)、VOC(トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、ブタノール等)、有機ハロゲン化合物(1,1−ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、p−ジクロロベンゼン等)、悪臭物質(硫化水素、アンモニア、メチルメルカプタン、アミン等)、タバコ臭(アセトアルデヒド、酢酸、アンモニア等)、ホルムアルデヒド、脂肪酸、エチレン等が挙げられ、特に、ホルムアルデヒド、NOx、SOxが挙げられる。
【0044】
上記除去対象物質と触媒含有機能材との接触方法は、特に限定されない。例えば、触媒含有機能材を含有する反応容器に除去対象物質をバッチ方式または連続方式で導入して接触させてもよく、また、除去対象物質の発生源(タバコ臭を対象とする場合における灰皿等)の付近および/または通り路(ホルムアルデヒド等を対象とする場合における室内のエアコンまたは空気清浄機の吸入部分または吹出部分)に配置して接触させるようにしてもよい。
【0045】
本発明の触媒含有機能材において、触媒が光触媒である場合、光触媒反応を発現させるために照射される光としては、特に限定されず、太陽光でも人工光でもよいが、光触媒反応の効率の点から、波長400nm以下の光が好ましい。また、人工光の光源としては、特に限定されないが、ブラックライト、蛍光灯等が挙げられる。また、光触媒含有機能材への光の照射方法(使用する光源および装置、光の強さ、照射時間および間隔、光源と光触媒含有機能材との距離等)は、特に限定されず、除去対象物質の種類およびその量(濃度)、光触媒含有機能材の除去能力、周囲の環境(温度等)等に応じて適宜決定すればよい。
【0046】
上記除去対象物質が触媒による触媒反応によって転換物質に転換される場合、該転換物質は、通常、多孔性物質に保持されるが、その保持量が過度になると除去対象物質の除去効率が悪化するので、上記インジケーター機能を付与する物質等を予め含有させることによりその保持量を確認し、水で洗い流したり、加熱して放散させたりすることによって、定期的に除去することが好ましい。
【0047】
本発明の触媒含有機能材は、有害物質除去材として、例えば、室内のホルムアルデヒド、タバコ臭等の除去剤、自動車道路沿道、トンネルおよび車内などのNOx汚染が問題となっている空間におけるNOxの除去剤、硫化水素、アンモニア、メチルメルカプタン等の悪臭および刺激臭物質の脱臭剤、硫化水素等に起因する金属の錆の防錆剤等として好適に使用することができる。
【0048】
また、触媒が鉄−フタロシアニン誘導体である場合、鉄−フタロシアニン誘導体の消臭効果を生かして寝装具、衣類、各種フィルター、建築資材として使用することができる。
【0049】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。また、実施例および比較例における各特性値の測定方法を以下に示す。
【0050】
(触媒含有塗料の粘度)
液温20℃の条件下、No.3 ザーンカップにより測定した。
【0051】
(触媒含有機能材中の各無機成分の含有率)
蛍光X線装置(MESA−500;(株)堀場製作所製)を使用して測定した試料中の各無機成分の比率と、該試料を400℃で3時間加熱処理することにより基材成分を除去して得られた試料中の無機成分の含有率より、触媒含有機能材中の各無機成分の含有率を算出した。
【0052】
(触媒含有シート中の触媒の粒径)
走査型電子顕微鏡(JSM−5400LV;日本電子社製)を用いて1000〜3500倍の倍率で写真を撮り、各粒子を一定方向の2本の平行線ではさみ、その平行線間の距離を測ることで測定した(フェレー径)。また、当該測定方法において測定可能な粒子の大きさは0.1μm以上であった。
【0053】
(シートの塗工層の厚さ)
シートの断面を、エネルギー分散型X線解析装置を用いてチタンが何μm分散しているか測定することにより塗工層の厚さを算出した。
【0054】
(シートの裂断長)
JIS P 8113「紙及び板紙の引張強さ試験方法」に基づいて引張強度を測定し、シートの裂断長を算出した。
【0055】
(シートの変色の有無)
JIS P 8123「紙及びパルプのハンター白色度試験方法」に基づいて白色度を測定することによりシートの変色の有無を判定した。光照射処理前の試料と比較して白色度が減少していた場合、変色ありと判定した。
【0056】
(シートのチョーキング(粉落ち)の有無)
JIS P 8136「板紙の対摩擦強さ試験方法」の定める試験装置を用いて、試料を1分間摩擦した後、目視によりチョーキングの有無を判定した。
【0057】
以下の実施例において、叩解NBKPとは、針葉樹クラフトパルプ(NBKP;日本製紙(株)製)を自動叩解機(三菱重工業(株)製)を使用してフリーネス値(CSF)400mlに叩解したパルプである。
【0058】
製造例1 A型ゼオライト含有シート
(1)針葉樹クラフトパルプ(100g;NBKP;日本製紙(株)製)に48%苛性ソーダ(100g;旭硝子(株)製)を加え、よく混練した。パルプが膨潤した後、55%液状アルミン酸ソーダ(130g;浅田化学工業(株)製)を加えて混練した。次いで、さらに65%液状ケイ酸ソーダ(100g;日本化学工業(株)製)を加えて混練した後、該懸濁液を1時間加熱した。懸濁液中のパルプを水道水で十分に水洗し、遠心分離機で含水率約60重量%に脱水してA型ゼオライト含有パルプを得た。このA型ゼオライト含有パルプのA型ゼオライト含有率は43.1重量%であった。
【0059】
(2)上記(1)で得られたA型ゼオライト含有パルプ(5.6g;乾燥重量)と無処理の叩解NBKP(2.4g;乾燥重量)を混合し、角型抄紙機(熊谷理工機工業(株)製;条件80メッシュ、自然水使用、吸引あり、水量15l、サイズ25×25cm)を使用して抄紙し、A型ゼオライト含有シートを得た。
【0060】
製造例2 銅A型ゼオライト含有シート
(1)上記製造例1(1)で得られたA型ゼオライト含有パルプ(100g;乾燥重量)を、銅イオン(0.1mol;酢酸銅II・1水和物20g)をイオン交換水(100ml)に溶解した溶液(pH7.2)に投入し、4時間攪拌した。攪拌後、パルプを水道水で十分に水洗し、遠心分離機で含水率約60重量%に脱水して銅A型ゼオライト含有パルプを得た。この銅A型ゼオライト含有パルプの銅含有率は6.0重量%であった。
【0061】
(2)上記(1)で得られた銅A型ゼオライト含有パルプ(5.6g;乾燥重量)と無処理の叩解NBKP(2.4g;乾燥重量)を混合し、角型抄紙機(熊谷理工機工業(株)製;条件80メッシュ、自然水使用、吸引あり、水量15l、サイズ25×25cm)を使用して抄紙し、銅A型ゼオライト含有シートを得た。
【0062】
製造例3 NBKPシート
針葉樹クラフトパルプ(8.0g;NBKP;日本製紙(株)製)を角型抄紙機(熊谷理工機工業(株)製;条件80メッシュ、自然水使用、吸引あり、水量15l、サイズ25×25cm)を使用して抄紙し、NBKPシートを得た。
【0063】
実施例1
中性チタニアゾルTKS−203(1.0g;テイカ(株)製)およびアルギン酸ナトリウム(0.5g;米山薬品工業(株)社製)を水道水(50g)中に投入し、十分に攪拌してスラリー状にした。このときの酸化チタンの濃度は0.43重量%であり、アルギン酸ナトリウムの濃度は0.97重量%であった。また、その粘度は18秒であった。次いで、上記製造例1で得られたA型ゼオライト含有シート(12cm×24cm)にRDS04型バーコータ(ウェブスター社製)を使用して3mlのスラリーを均一に塗工し、100℃、3時間の条件で乾燥させて酸化チタン・アルギン酸ナトリウム・A型ゼオライト含有シートを得た。その塗工層の厚みは15μmであった。当該シートの酸化チタンの含有率は1.2重量%であり、その最大粒径は0.1μm未満であった。
【0064】
実施例2
中性チタニアゾルTKS−203(2.5g;テイカ(株)製)およびアルギン酸ナトリウム(0.5g;米山薬品工業(株)社製)を水道水(50g)中に投入し、十分に攪拌してスラリー状にした(以下、当該スラリーを「チタニアスラリーA」と称する)。このときの酸化チタンの濃度は1.0重量%であり、アルギン酸ナトリウムの濃度は0.94重量%であった。また、その粘度は20秒であった。次いで、上記製造例1で得られたA型ゼオライト含有シートにRDS04型バーコータ(ウェブスター社製)を使用して上記実施例1と同様に塗工し、乾燥させて酸化チタン・アルギン酸ナトリウム・A型ゼオライト含有シートを得た。その塗工層の厚みは18μmであった。当該シートの酸化チタンの含有率は2.0重量%であり、その最大粒径は0.1μm未満であった。
【0065】
実施例3
中性チタニアゾルTKS−203(5.0g;テイカ(株)製)およびアルギン酸ナトリウム(0.5g;米山薬品工業(株)社製)を水道水(50g)中に投入し、十分に攪拌してスラリー状にした。このときの酸化チタンの濃度は2.2重量%であり、アルギン酸ナトリウムの濃度は0.90重量%であった。また、その粘度は21秒であった。次いで、上記製造例1で得られたA型ゼオライト含有シートにRDS04型バーコータ(ウェブスター社製)を使用して上記実施例1と同様に塗工し、乾燥させて酸化チタン・アルギン酸ナトリウム・A型ゼオライト含有シートを得た。その塗工層の厚みは18μmであった。当該シートの酸化チタンの含有率は3.5重量%であり、その最大粒径は0.1μm未満であった。
【0066】
実施例4
上記製造例2で得られた銅A型ゼオライト含有シートにチタニアスラリーAをRDS04型バーコータ(ウェブスター社製)を使用して上記実施例1と同様に塗工し、乾燥させて酸化チタン・アルギン酸ナトリウム・銅A型ゼオライト含有シートを得た。その塗工層の厚みは17μmであった。当該シートの酸化チタンの含有率は2.0重量%であり、その最大粒径は0.1μm未満であった。
【0067】
実施例5
上記製造例3で得られたNBKPシートにチタニアスラリーAをRDS04型バーコータ(ウェブスター社製)を使用して上記実施例1と同様に塗工し、乾燥させて酸化チタン・アルギン酸ナトリウム含有シートを得た。その塗工層の厚みは16μmであった。当該シートの酸化チタンの含有率は2.0重量%であり、その最大粒径は0.1μm未満であった。
【0068】
比較例1
上記製造例1で得られたA型ゼオライト含有シート。
【0069】
比較例2
中性チタニアゾルTKS−203(2.5g;テイカ(株)製)およびカルボキシメチルセルロース(0.5g;第一工業製薬(株)製)を水道水(50g)中に投入し、十分に攪拌してスラリー状にした。このときの酸化チタンの濃度は1.0重量%であり、カルボキシメチルセルロースの濃度は0.94重量%であった。また、その粘度は20秒であった。次いで、上記製造例1で得られたA型ゼオライト含有シートにRDS04型バーコータ(ウェブスター社製)を使用して上記実施例1と同様に塗工し、乾燥させて酸化チタン・カルボキシメチルセルロース・A型ゼオライト含有シートを得た。その塗工層の厚みは18μmであった。当該シートの酸化チタンの含有率は2.0重量%であり、その最大粒径は0.1μm未満であった。
【0070】
比較例3
上記製造例3で得られたNBKPシート。
【0071】
比較例4
中性チタニアゾルTKS−203(2.5g;テイカ(株)製)をアクリル樹脂(50ml)に投入し、十分に攪拌した。このときの酸化チタン濃度は1.0重量%であった。また、その粘度は20秒であった。次いで、該スラリーを上記製造例1で得られたA型ゼオライト含有シートにRDS04型バーコータ(ウェブスター社製)を使用して上記実施例1と同様に塗工し、乾燥させて酸化チタン・アクリル樹脂・A型ゼオライト含有シートを得た。その塗工層の厚みは17μmであった。当該シートの酸化チタンの含有率は2.0重量%であり、その最大粒径は0.1μm未満であった。
【0072】
比較例5
上記製造例1(1)で得られたA型ゼオライト含有パルプ(5.6g;乾燥重量)、無処理の叩解NBKP(2.4g;乾燥重量)、および粉体状酸化チタンST−01(0.5g;石原産業(株))を混合し、角型抄紙機(熊谷理工機工業(株)製;条件80メッシュ、自然水使用、吸引なし、水量15l、サイズ25×25cm)を使用して抄紙し、酸化チタン・A型ゼオライト含有シートを得た。当該シートの酸化チタンの含有率は2.3重量%であり、その粒径は最大15μmであった。
【0073】
実験例1 アンモニア除去試験
上記実施例および比較例の各シートを5cm四方に裁断し、アンモニアガス(1l;100ppm)と共にテドラーバック中に封入した。室温下で20Wのブラックライト(ピーク波長352nm;東芝(株)製)を点灯してテドラーバックの外から紫外線を照射した。各シートとブラックライトとの距離は約30cmとした。テドラーバック中のアンモニア濃度を一定時間毎に検知管(光明理科化学工業(株)製)で測定した。その結果を表1および図1に示す。
【0074】
【表1】
Figure 0004486233
【0075】
表1および図1から、実施例1〜3のシートは、ゼオライトを含有し、酸化チタンを塗工しているため、ゼオライトがアンモニアを吸着し、吸着したアンモニアを酸化チタンが光分解するため、両者の相乗効果により、比較例1および実施例5のシートよりもアンモニアを効率的に吸着・分解していると考えられる。また、塗料中の酸化チタン濃度は、実施例1で0.43重量%、実施例2で1.0重量%および実施例3で2.2重量%であるが、吸着・分解の効率は実施例2のシートが一番高い。従って、塗料において酸化チタン濃度を該濃度とすることが好適であると考えられる。
【0076】
実施例4のシートは、ゼオライトに銅を担持することで吸着性能が高められた銅ゼオライトを含有し、酸化チタンを塗工しているため、他のものより効率的にアンモニアを吸着・分解していると考えられる。
【0077】
実施例5のシートは、多孔性物質を含有していないため、アンモニアの除去は光触媒による分解のみであるため、アンモニアの除去効率は他の実施例に比べると劣るが、それでもなお比較例に比べるとその効率は高い。
【0078】
また、比較例1〜5の各シートは、実施例1〜5の各シートと比較して吸着・分解効率が悪い。これは、比較例1のシートはゼオライトを含有するが、酸化チタンを含有していないため、比較例2のシートは、ゼオライトを担持し、酸化チタンを塗工しているが、定着剤としてアルギン酸ナトリウムではなくカルボキシメチルセルロースを使用しているため、比較例3のシートはゼオライトも酸化チタンも含有していないため、比較例4のシートはアクリル樹脂を定着剤として使用した結果、ゼオライトおよび酸化チタンが定着剤に埋没しているため、さらに比較例5のシートは混抄したので、紙内部や裏面等の紫外線が当たらない場所にも酸化チタンが保持されてしまったためと考えられる。
【0079】
実験例2 ホルムアルデヒド除去試験
上記実施例1〜3および比較例1の各シートを8cm×12cmに裁断し、ホルムアルデヒドガス(4l;55ppm)と共にテドラーバック中に封入した。室温下で20Wのブラックライト(ピーク波長352nm;東芝(株)製)を点灯してテドラーバックの外から紫外線を照射した。各シートとブラックライトとの距離は約30cmとした。テドラーバック中のホルムアルデヒド濃度を一定時間毎に検知管(ガステック(株)製)で測定した。その結果を表2および図2に示す。
【0080】
【表2】
Figure 0004486233
【0081】
表2および図2から、実施例1〜3の各シートは、ゼオライトを含有し、酸化チタンを塗工しているため、ゼオライトがホルムアルデヒドを吸着し、吸着したホルムアルデヒドを酸化チタンが光分解するため、比較例1のシートよりもホルムアルデヒドを効率的に吸着・分解していると考えられる。また、吸着・分解の効率は、実施例2のシートが一番高いことが表1および図1よりも明瞭に示されている。
【0082】
比較例1のシートは、ゼオライトを含有するが、酸化チタンを塗工していないため、ホルムアルデヒドはゼオライトに吸着されるのみで分解されないので、実施例1〜3の各シートよりも除去効率が低いと考えられる。
【0083】
実験例3 硫化水素除去試験
上記実施例2および4、ならびに比較例1の各シートを5cm四方に裁断し、硫化水素ガス(1l;130ppm)と共にテドラーバック中に封入した。室温下で20Wのブラックライト(ピーク波長352nm;東芝(株)製)を点灯してテドラーバックの外から紫外線を照射した。各シートとブラックライトとの距離は約30cmとした。テドラーバック中の硫化水素濃度を一定時間毎に検知管(ガステック(株)製)で測定した。その結果を表3および図3に示す。
【0084】
【表3】
Figure 0004486233
【0085】
表3および図3から、実施例2のシートは、ゼオライトを含有し、酸化チタンを塗工しているため、ゼオライトが硫化水素を吸着し、吸着した硫化水素を酸化チタンが光分解するため、比較例1のシートよりも硫化水素を効率的に吸着・分解していると考えられる。また、実施例4のシートは、銅ゼオライトを含有し、酸化チタンを塗工しているため、他のものより硫化水素を効率的に吸着・分解していると考えられる。
【0086】
比較例1のシートは、ゼオライトを含有するが、酸化チタンを塗工していないため、硫化水素はゼオライトに吸着されるのみで分解されないので、実施例2および4の各シートよりも除去効率が低いと考えられる。
【0087】
実験例4 耐久性試験
上記実施例2、ならびに比較例1、4および5の各シートをサンシャインウェザーメーター(WEL−SUN−HC;スガ試験機(株)製)を用いて72時間連続光照射を行った。これは屋外で太陽光線に6ヶ月間曝されたことに相当する。各シートの光照射前と光照射後の裂断長を上記のように算出した。また、各シートの変色、チョーキングの有無を調べた。その結果を表4に示す。また、裂断長の変化を図4に示す。
【0088】
【表4】
Figure 0004486233
【0089】
表4および図4から、実施例2のシートは、光照射後に変色、チョーキング、裂断長の低下が見られず、耐久性に優れたものであることがわかる。また、アルギン酸ナトリウムの補強材としての効果により、比較例より裂断長が大きくなっている。
【0090】
比較例1のシートは、光照射後に変色、チョーキングおよび裂断長の低下は見られないが、これは、該シートは酸化チタンが含有されていないためであると考えられる。
【0091】
比較例4のシートは、光照射後に変色、チョーキングおよび裂断長の低下を示したが、これは酸化チタンの触媒作用(酸化作用)によりアクリル樹脂が分解したためと考えられる。
【0092】
比較例5のシートは、混抄により酸化チタンを含有したため、光照射後、酸化チタンの触媒作用により基材であるパルプが分解し、変色と裂断長の低下を示したものと考えられる。
【0093】
【発明の効果】
本発明の触媒含有機能材は、触媒と、アルギン酸またはその塩より形成される層を基材表面に有することで、有害物質等を効率的で除去できるばかりでなく、従来のものにはない優れた耐久性も有する。また、本発明の触媒含有塗料は、バーコータ塗工に好適な粘度となり得ることから、従来の塗料を使用した場合には触媒が埋没し、その機能を十分に発揮できない可能性がある紙や不織布等の吸水性が高く、熱に弱い基材に対しても、触媒の機能を十分に発揮できるように塗工することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】アンモニア除去試験におけるアンモニア濃度の変化を示すグラフである。
【図2】ホルムアルデヒド除去試験におけるホルムアルデヒド濃度の変化を示すグラフである。
【図3】硫化水素除去試験における硫化水素濃度の変化を示すグラフである。
【図4】連続光照射前後における各シートの裂断長の変化を示すグラフである。

Claims (7)

  1. 中性チタニアゾル光触媒と、アルギン酸またはその塩より形成された層を基材表面に有することを特徴とする触媒含有機能材。
  2. 基材が、親水性高分子基材である請求項1記載の触媒含有機能材。
  3. 基材が、多孔性物質を含有する請求項1または2記載の触媒含有機能材。
  4. 多孔性物質が、ゼオライトである請求項記載の触媒含有機能材。
  5. 中性チタニアゾル光触媒と、アルギン酸またはその塩を含有することを特徴とする触媒含有塗料。
  6. 液温20℃の条件下、No.3 ザーンカップにより測定される粘度が、10〜30秒である請求項記載の触媒含有塗料。
  7. 請求項または記載の触媒含有塗料を基材表面に塗工し、乾燥させることを特徴とする請求項1記載の触媒含有機能材の製造方法。
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