JP4481258B2 - オフセット補正診断装置ならびにロールオーバー対応エアバッグシステム - Google Patents
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Description
具体的には、車両のイグニッションON時に取得したセンサ信号と、システムにあらかじめ記憶してあるオフセット値とを比較してオフセットずれを求め、以降、取得したセンサ信号に対してオフセットずれを加えてセンサ信号を補正するようにしたものである。また、オフセット値が許容値を越えて補正しきれなくなった場合は警報を出力して注意を喚起するように構成したものである(例えば、特許文献1参照)。
角速度センサは、車両が傾斜するときの角速度(deg/s)や傾斜角度(deg)を検知するために設けられるセンサである。この角速度センサは、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を利用して作られており、センサ固有のオフセットが大きく、計測値の誤差に大きく影響するため、電源印加直後にあらかじめ補正する必要がある。
この現象が、角速度センサに対する電源印加直後の高速オフセット処理前、あるいは高速オフセット処理中に発生すると、オフセット補正は、振動による交流成分を含んだ値に基づき処理するため、正確な値を出力することができないことが考えられる。従って、この間のオフセット補正処理は短時間で終了する必要がある。
このように、オフセット処理が正確に行われていない角速度センサの出力を用いてロールオーバー判定を行うとエアバッグに誤作動を生じさせることがある。
図1は、この発明の実施の形態1にかかわるロールオーバー対応エアバッグシステムの内部構成を示すブロック図である。
また、上記構成(入力インタフェース回路4、CPU5、ROM6、RAM7、出力インタフェース回路8)に、更に、エアバッグ駆動回路9を付加することにより、ロールオーバー状態の検出結果に基づきエアバッグの駆動を制御する制御装置100として機能する。制御装置100は、上記した診断装置11を含み、診断装置11によりオフセット補正が正常に行われたことを条件にロールオーバー判定を行い、エアバッグ展開用の発熱抵抗体であるスクイブに電流を供給してエアバッグを作動させることにより、信頼性の高いロールオーバー対応エアバッグシステムを提供するものである。詳細は後述する。
ここでは、イグニッションON(IGN−ON)から走行状態に至る、車両が振動する区間を時間軸上に表現し、角速度センサ1と診断装置11による処理が、点線を境に上下に区分して示してある。
上記したように、オフセット補正が正常に行われたか否かの判定は、第1のオフセット補正処理中は、オフセット値が実際の角速度に高速で追従し、角速度センサ1から出力される角速度は、“出力角速度=実際に発生している角速度−オフセット値”となるため、その時点での角速度は正確に判定できない。このため、発生している角速度に対してオフセット値の追従が低速である第2のオフセット補正処理時に実行する必要がある。このため、診断は、第2のオフセット補正処理中に実行するものとする。
また、このときに使用される積分不感レベルおよび判定閾値ωrefは、続いて実行されるロールオーバー判定(ステップST50)に誤動作を生じないような値に設定され、運用上問題が発生しないように配慮している。なお、積分不感レベルおよび判定閾値ωrefは、ROM6もしくはRAM7に登録されるものとする。
以下、図4、図5のフローチャートを参照しながら、この発明の実施の形態1にかかわるオフセット補正診断装置の動作説明を行う。
ここで、第1のオフセット補正処理は、電源印加直後に発生する角速度に対してオフセット値の追従が高速であり、短時間で終了するものとする。続いて、CPU5は、第1のオフセット補正処理終了後(ステップST403“YES”)、入出力インタフェース回路4を介して自己診断回路2に対し、角速度センサ1の温度変化等により緩やかに変化するオフセットを低速度で補正する第2のオフセット補正処理を起動する(ステップST404)。
続いて、CPU5は、比較演算部52において積分演算により生成される角速度センサ1出力の積分値ωと、ROM6に格納された判定閾値ωrefとを比較演算し、第1のオフセット補正処理により取り込まれた角速度センサ1のオフセット補正の成否を判定(閾値判定)する(ステップST407)。
ここで、閾値判定に使用される判定閾値ωrefは、あらかじめROM6に格納されてあるものとし、続いて実行されるロールオーバー判定(ステップST408)に誤動作を生じない範囲の値に設定され、運用上問題が発生しないような配慮がなされている。
次に、CPU5は、読み込まれたロールレートωに基づき、周知の積分演算によりロール角θを演算する(ステップST503)。そして、舵角センサ3から入出力インタフェース回路4を介して取り込まれる信号に基づき、所定値以上の舵角が所定値以上継続したことが検知されたときに、車両が旋回モードにあると判定する(ステップST504“YES”)。
ここで、車両の状態がロールオーバー状態を示す領域内にあると判定された場合は(ステップS509“YES”)、車両はロールオーバー状態にあると判定し(ステップST510)、このとき、制御装置100(CPU5)は、出力インタフェース回路8を経由してエアバッグ駆動回路9を制御し、エアバッグ展開用の発熱抵抗体であるスクイブに電流を供給してエアバッグを作動させる。また、車両の状態がロールオーバー領域に無いと判定された場合(ステップST509“NO”)は、上記したステップST502以降の処理を繰り返す。
ロール角加速度RAcを演算後(ステップST506)、CPU5は、ロール角加速度RAcが負(TAc<0)であるか否かの判定を行う(ステップST507)。ここで、ロール角加速度RAcが負であると判定された場合は(ステップST507“YES”)、CPU5は、横方向加速度Gyとロール角θとの関係からROM6に格納された特性判定マップを参照し(ステップST508)、横方向加速度Gyとロール角θとの関係がロールオーバー領域に含まれるか否かを判定する。ここで、ロールオーバー領域に無いと判定された場合は(ステップST508“NO”)、上記したステップST509の処理に移行する。
ロールオーバーの形態には、車両の急旋回時に路面とタイヤの摩擦により発生する、横方向加速度Gyとロール角θとの関係がほぼ比例関係にある特性を持つ「ターンオーバー」、横滑り中、縁石等への衝突により力が生じ、ロール開始時は、Gy大、ロール角θ小、ロールレートω大となる特性を持つ「トリップオーバー」、走行中、片輪が障害物や斜面にかかった場合に発生し、ロールオーバー全工程にわたってGy小、ロール角θ大となる特性を持つ「フリップオーバー」、車両が突起物に乗り上げ、乗り越えて転倒する場合に発生する、Gy小の特性を持つ「クライムオーバー」、車両走行中、障害物に衝突したときに発生する「バランスオーバー」、走行中、片輪が溝等に落ちた場合に発生し、Gy小、ロールレートω大の特性を持つ「フォールオーバー」等がある。以上の特性に基づき、ROM6中に特性判定マップが格納されているものとする。
また、上記したオフセット補正診断装置により、オフセット補正が正常に行われたことを条件にロールオーバー判定を行い、エアバッグ展開用の発熱抵抗体であるスクイブに電流を供給してエアバッグを作動させることにより、信頼性の高いロールオーバー対応エアバッグシステムを提供することができる。
Claims (6)
- 車両が回転した際の角速度に応じた信号を出力する角速度センサと、
前記角速度センサの出力に基づき前記角速度センサのオフセットを除去するオフセット補正手段を備え、
オフセット補正後の前記角速度センサの出力を一定時間積分することにより生成された積分値を判定閾値と比較することで、前記オフセット補正の成否を判定することを特徴とするオフセット補正診断装置。 - 前記オフセット補正手段は、
オフセット補正値の追従が高速である第1のオフセット補正処理ステップと、
オフセット補正値の追従が低速である第2のオフセット補正処理ステップを含み、
前記第2のオフセット補正処理ステップの処理中に、オフセット補正後の角速度センサの出力を一定時間積分することにより生成された積分値を判定閾値と比較することで、前記第1のオフセット補正処理ステップの成否を判定することを特徴とする請求項1記載のオフセット補正診断装置。 - 前記オフセット補正が成功したことを条件に、前記角速度センサが搭載される車両のロールオーバー状態の検出を行うことを特徴とする請求項1に記載のオフセット補正診断装置。
- 前記判定閾値として、前記ロールオーバー状態の検出に誤動作を生じない範囲の値を設定することを特徴とする請求項1記載のオフセット補正診断装置。
- 前記角速度センサの電源印加直後に発生する角速度に対して前記オフセット補正値の追従が高速である第1のオフセット補正処理終了後、前記追従が前記第1のオフセット補正処理に比較して低速である第2のオフセット補正処理中に、前記第1のオフセット補正処理の成否の判定を行うことを特徴とする請求項1記載のオフセット補正診断装置。
- 車両に搭載されるロールオーバー対応エアバッグシステムであって、
電源印加直後に発生する角速度に対してオフセット補正値の追従が高速である第1のオフセット補正処理と、前記第1のオフセット補正処理終了後、前記追従が前記第1のオフセット補正処理に比較して低速である第2のオフセット補正処理とを実行する角速度センサと、
前記第2のオフセット補正処理中に前記角速度センサの出力値を取込み、一定時間だけ積分演算することによって生成される積分値を判定閾値と比較演算することにより前記第1のオフセット補正処理の成否を判定し、前記第1のオフセット補正処理が成功したことを条件に前記車両のロールオーバー状態の検出を行い、エアバッグの駆動を制御する制御装置と、
を備えたことを特徴とするロールオーバー対応エアバッグシステム。
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