JP4480015B2 - 積層酸化膜被覆鉄粉末 - Google Patents

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Description

この発明は、金属Fe微粒子が素地中に分散しているMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜が鉄粉末の表面に被覆されてなるMg含有酸化膜被覆鉄粉末の前記Mg−Fe−O三元系酸化物堆積膜の表面に、さらに各種酸化膜が被覆された積層酸化膜被覆鉄粉末に関するものであり、この積層酸化膜被覆鉄粉末で作製した複合軟磁性材は低鉄損を必要とする各種電磁気回路部品、例えば、モータ、アクチュエータ、ヨーク、コア、リアクトルなどの各種電磁気部品の素材として使用される。
一般に、各種電磁気回路部品に使用される軟磁性材は、鉄損が小さいことが要求されるため、電気抵抗を高くして渦電流損を低減させ、保磁力を小さくしてヒステリシス損を低減させることは一般に知られていることである。さらに、近年、電磁気回路の小型化、高応答化が求められているところから、磁束密度がより高いことも重要視されている。
かかる高比抵抗を有する軟磁性材料を製造するための原料粉末の一例として鉄粉末の表面にMg含有フェライト膜を被覆したMg含有酸化膜被覆鉄粉末が知られている(特許文献1参照)。
特開平11−1702号公報
しかし、従来のMg含有フェライト膜を被覆したMg含有酸化膜被覆鉄粉末は、鉄粉末の表面にMg含有フェライト膜を化学的方法により被覆するために、プレス成形した圧粉体に高温歪取り焼成を行って得られた複合軟磁性材はフェライト膜が不安定となり、変化して絶縁性が低下すると共に、鉄粉末の表面に対するMg含有フェライト膜の密着性が十分でなく、従来のMg含有フェライト膜を被覆したMg含有酸化膜被覆鉄粉末をプレス成形し焼成することにより作製した複合軟磁性材はプレス成形中にMg含有フェライト膜が剥離したり破れるなどして十分な絶縁効果が発揮できず、したがって、十分な高比抵抗が得られないという欠点があった。
そこで、本発明者らは、プレス成形しても、プレス成形時に鉄粉末表面の高抵抗酸化膜が破れることが無く表面に酸化膜が強固に密着した鉄粉末であり、プレス成形後に高温歪取り焼成を行っても表面の絶縁性が低下することなく高抵抗を維持できて渦電流損失が低くなり、また歪取り焼鈍の焼成を行った場合に、より保磁力が低減できてヒステリシス損失が低くなるMg含有酸化膜被覆鉄粉末を得るべく研究を行った。
その結果、鉄粉末を予め酸化雰囲気中で加熱する酸化処理を施すことなどにより鉄粉末の表面に酸化鉄膜を形成した鉄粉末(以下、酸化処理鉄粉末という)を作製し、この酸化処理鉄粉末にMg粉末を添加し混合して得られた混合粉末を不活性ガス雰囲気または真空雰囲気中で転動しながら加熱処理を施すと、
(イ)金属Fe微粒子が素地中に分散しているMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜が鉄粉末の表面に形成され、この金属Fe微粒子が素地中に分散しているMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜は金属Fe微粒子が素地中に分散していることから高度の靭性を有し、従来のMg含有フェライト膜に比べて変形性に優れかつ高度の靭性を有することから鉄粉末の変形に充分に追従し、さらに金属Fe微粒子が素地中に分散しているMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜は鉄粉末に対する密着性が格段に優れることから、プレス成形中に絶縁皮膜であるMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜が破壊されて鉄粉末同士が接触することが少なく、プレス成形後に高温歪取り焼成を行ってもMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜の絶縁性が低下することなく高抵抗を維持できて渦電流損失が低くなり、さらに歪取り焼成を行った場合に一層保磁力が低減できてヒステリシス損失が低くなり、したがって、低鉄損を有する複合軟磁性材料が得られること、
(ロ)前記金属Fe微粒子が素地中に分散しているMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜は、MgおよびOが表面から内部に向って減少しておりかつFeが内部に向って増加している濃度勾配を有すること、
(ハ)前記鉄粉末と金属Fe微粒子が素地中に分散しているMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜との界面領域には、鉄粉末の中心部に含まれる硫黄よりも高濃度の硫黄を含む硫黄濃化層が形成されること、
(ニ)前記金属Fe微粒子が素地中に分散しているMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜は結晶粒径:200nm以下の微細結晶組織を有すること、
(ホ)前記鉄粉末の表面に形成されている金属Fe微粒子が素地中に分散しているMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜の最表面が実質的にMgOで構成されていることが一層好ましいこと、などの知見が得られ、かかる知見に基づいて本発明者らは、
(a)金属Fe微粒子が素地中に分散しているMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜が鉄粉末の表面に被覆されているMg含有酸化膜被覆鉄粉末、
(b)金属Fe微粒子が素地中に分散しているMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜が鉄粉末の表面に被覆されているMg含有酸化膜被覆鉄粉末であって、前記金属Fe微粒子が素地中に分散しているMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜は、MgおよびOが表面から内部に向って減少しておりかつFeが内部に向って増加している濃度勾配を有するMg含有酸化膜被覆鉄粉末、
(c)前記Mg含有酸化膜被覆鉄粉末は、金属Fe微粒子が素地中に分散しているMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜と鉄粉末との界面領域に、鉄粉末の中心部に含まれる硫黄よりも高濃度の硫黄を含む硫黄濃化層を有する前記(a)または(b)記載のMg含有酸化膜被覆鉄粉末、
(d)前記金属Fe微粒子が素地中に分散しているMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜は、結晶粒径:200nm以下の微細結晶組織を有する前記(a)、(b)または(c)記載のMg含有酸化膜被覆鉄粉末、
(e)前記金属Fe微粒子が素地中に分散しているMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜の最表面は、実質的にMgOで構成されている前記(a)、(b)、(c)または(d)記載のMg含有酸化膜被覆鉄粉末、などを発明した。
これら発明した前記(a)〜(d)記載のMg含有酸化膜被覆鉄粉末は、鉄粉末を予め酸化雰囲気中で加熱することにより酸化処理鉄粉末を作製し、
これら酸化処理鉄粉末にMg粉末を添加し混合して得られた混合粉末を不活性ガス雰囲気または真空雰囲気中で転動しながら加熱することにより作製するが、一層具体的には、鉄粉末を予め酸化雰囲気中、温度:50〜500℃に加熱することにより鉄粉末の表面に酸化鉄膜を形成した酸化処理鉄粉末を作製し、この酸化処理鉄粉末にMg粉末を添加し混合して得られた混合粉末を温度:150〜1100℃、圧力:1×10−12〜1×10−1MPaの不活性ガス雰囲気または真空雰囲気中で転動しながら加熱することにより作製する。
また、発明した前記(e)記載の最表面が実質的にMgOで構成されている金属Fe微粒子が素地中に分散しているMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜は、鉄粉末を予め酸化雰囲気中、温度:50〜500℃に加熱して酸化処理することにより鉄粉末の表面に酸化鉄膜を形成した酸化処理鉄粉末を作製し、この酸化処理粉末にMg粉末を一層多く添加し混合して得られた混合粉末を温度:150〜1100℃、圧力:1×10−12〜1×10−1MPaの不活性ガス雰囲気または真空雰囲気中で転動しながら加熱することにより得られる。
「堆積膜」という用語は、通常、真空蒸発やスパッタされた皮膜構成原子が例えば基板上に堆積した皮膜を示すが、鉄粉末の表面に形成されている金属Fe微粒子が素地中に分散しているMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜は、酸化膜を有する鉄粉末表面の酸化鉄(Fe−O)とMgが反応を伴って当該鉄粉末表面に堆積した皮膜を示す。Mg−Fe−O系三元系酸化物は、Mgウスタイト(Mg、Fe)O、(Mg、Fe)などが存在するが、少なくともMgウスタイト(Mg、Fe)Oを含むことが好ましく、好ましくはMgウスタイト(Mg、Fe)Oを主成分として含むことが一層好ましい。Mgウスタイト(Mg、Fe)Oは(Mg、Fe):O=1:1だけでなく、Oが固溶幅を有していても良い。そして、この発明した鉄粉末の表面に形成されている金属Fe微粒子が素地中に分散しているMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜は金属Fe微粒子がMg−Fe−O三元系酸化物のMg含有酸化膜素地中に分散していることから高度の靭性を有する。このためプレス成形時の鉄粉末の変形に充分に追従すると共に酸化膜の鉄粉末に対する密着性が格段に優れたものとなっている。この発明した鉄粉末の表面に形成されている金属Fe微粒子が素地中に分散しているMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜の膜厚は、圧粉成形した複合軟磁性材の高磁束密度と高比抵抗を得るために5〜500nmの範囲内にあるのが好ましい。膜厚が5nmより薄いと圧粉成形した複合軟磁性材の比抵抗が充分でなく渦電流損が増加するので好ましくなく、一方、膜厚が500nmより厚いと圧粉成形した複合軟磁性材の磁束密度が低下し好ましくないからである。さらに好ましい膜厚は5〜200nmである。
この発明したMg含有酸化物被覆鉄粉末を構成する前記金属Fe微粒子が素地中に分散しているMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜は、MgおよびOが表面から内部に向って減少しておりかつFeが内部に向って増加している濃度勾配を有しており、この様な濃度勾配を有することにより酸化膜の鉄粒子に対する密着性がより一層優れることからプレス成形中に絶縁皮膜である酸化膜が破壊されて鉄粒子同士が接触することが少なくなり、プレス成形後に高温歪取り焼成を行っても酸化膜の絶縁性が低下することなく高抵抗を維持することができ、したがって、渦電流損失が低くなる。
また、前記金属Fe微粒子が素地中に分散しているMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜と鉄粉末との界面領域に、鉄粉末の中心部に含まれる硫黄よりも高濃度の硫黄を含む硫黄濃化層を有する。界面領域にこの様な硫黄濃化層を有することにより、酸化膜の鉄粒子に対する密着性がより一層優れるようになって、圧粉成形時の粉末の変形に堆積膜が追従して被覆の破れを防止することができ、焼成時にも鉄粉末同士の接触結合を防止することができて高抵抗を維持することができ、したがって、渦電流損失が低くなる。硫黄濃化層の硫黄は鉄粉末の不可避不純分から供給されるものと考えられる。
この発明したMg含有酸化物被覆鉄粉末を構成する前記金属Fe微粒子が素地中に分散しているMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜は、結晶粒が微細であるほど好ましく、結晶粒径:200nm以下の微細結晶組織を有することが好ましい。この様な微細結晶組織を有することにより、圧粉成形時の粉末の変形に微結晶堆積膜が追従して被覆の破れを防止することができ、さらに焼成時にも鉄粉末同士の接触結合を防止することができ、また、高温歪取り焼成を行っても酸化物が安定で絶縁性低下が防止できて高抵抗を維持することができ、そのため渦電流損失が低くなる。結晶粒径が200nmより大きいと、堆積膜の膜厚が500nmよりも厚くなり圧粉成形した複合軟磁性材の磁束密度が低下するので好ましくない。
また、前記金属Fe微粒子が素地中に分散しているMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜は、その最表面におけるMgOの含有量が多くなるほど好ましく、最表面が実質的にMgOで構成されていることが最も好ましい。この様な最表面が実質的にMgOであると、プレス成形した圧粉体の焼成時にもFeの拡散が防止され鉄粉末同士の接触結合を防止することができ絶縁性低下が防止でき高抵抗で渦電流損失が低くなるからである。
この発明したMg含有酸化膜被覆鉄粉末を構成する前記金属Fe微粒子が素地中に分散しているMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜は、Mgの一部をMgに対して10原子%以下のAl,Si,Ni,Mn,Zn,Cu,Coのうち1種以上で置換した疑三元系酸化物堆積膜でも良い。
この発明したMg含有酸化膜被覆鉄粉末は、平均粒径:5〜500μmの範囲内にある粉末を使用することが好ましい。その理由は、平均粒径が5μmより小さすぎると、粉末の圧縮性が低下し、粉末の体積割合が低くなるために磁束密度の値が低下するので好ましくなく、一方、平均粒径が500μmより大きすぎると、粉末内部の渦電流が増大して高周波における透磁率が低下することによるものである。
この発明は、これら(a)〜(e)記載のMg含有酸化膜被覆鉄粉末における金属Fe微粒子が素地中に分散しているMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜に、さらに各種酸化物膜を形成した粉末の発明を成すべく研究を行った。その結果、
(i)前記(a)〜(e)記載の発明したMg含有酸化膜被覆鉄粉末の金属Fe微粒子が素地中に分散しているMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜(以下、金属Fe微粒子が素地中に分散しているMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜を「Mg−Fe−O三元系酸化物堆積膜」という)の上に亜鉛酸化膜が被覆された積層酸化膜被覆鉄粉末は、Mg−Fe−O三元系酸化物堆積膜と亜鉛酸化膜の界面領域に、Mg−Fe−O三元系酸化物堆積膜におけるMgの一部がZnで置換されたZn−Mg−Fe−O四元系酸化物反応膜が形成され、このMg−Zn−Fe−O四元系酸化物反応膜が形成されることにより、Mg−Fe−O三元系酸化物堆積膜と亜鉛酸化膜との密着性が一層向上し、さらに外面が亜鉛酸化膜で形成されていることにより耐候性が向上し、大気中で長期間保管しても過剰な酸化物や水酸化物,炭酸化物等の生成を抑制し、圧粉成形後の焼成体の比抵抗が安定して得られ、これら積層酸化膜が被覆された積層酸化膜被覆鉄粉末を用いた複合軟磁性材も鉄損の少ない複合軟磁性材が得られる、
(ii)前記(a)〜(e)記載の発明したMg含有酸化膜被覆鉄粉末のMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜の上に、さらに酸化ホウ素、酸化バナジウム、酸化ビスマス、酸化アンチモンおよび酸化モリブデンのうちの1種もしくは2種以上を含む酸化膜が被覆された積層酸化膜被覆鉄粉末は、Mg−Fe−O三元系酸化物堆積膜と酸化ホウ素、酸化バナジウム、酸化ビスマス、酸化アンチモンおよび酸化モリブデンのうちの1種もしくは2種以上を含む酸化膜との界面領域に、Mg−Fe−O三元系酸化物堆積膜と酸化ホウ素、酸化バナジウム、酸化ビスマス、酸化アンチモンおよび酸化モリブデンのうちの1種もしくは2種以上を含む酸化膜とが反応して形成された反応皮膜が形成されることが密着性向上のためには一層好ましく、この粉末を圧粉し、成形したのち、温度:500〜1000℃で燒成すると、高密度および高強度を有し、鉄損の少ない複合軟磁性材が得られる、
(iii)前記(a)〜(e)記載の発明したMg含有酸化膜被覆鉄粉末のMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜の上にさらに酸化ケイ素および酸化アルミニウムのうち1種もしくは2種を含む酸化膜が被覆された積層酸化膜被覆鉄粉末は、Mg−Fe−O三元系酸化物堆積膜と酸化ケイ素および酸化アルミニウムのうち1種または2種を含む酸化膜の界面領域に、Mg−Fe−O三元系酸化物堆積膜と酸化ケイ素および酸化アルミニウムのうち1種または2種を含む酸化膜とが反応して形成された反応皮膜が形成されることが密着性向上のためには一層好ましく、この粉末を圧粉し、成形したのち、温度:400〜1300℃で燒成すると、高密度および高強度を有し、さらに一層の高比抵抗を有し、さらに酸化ケイ素や酸化アルミニウムを介して焼結されるために機械的強度の優れ、さらに酸化ケイ素や酸化アルミニウムが主体となって焼結されるところから保磁力を小さく保つことができ、したがって、ヒステリシス損の少ない複合軟磁性材が得られる、などの研究結果が得られたのである。
この発明は、かかる研究結果に基づいてなされたものであって、
(1)鉄粉末の表面にMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜が被覆されているMg含有酸化膜被覆鉄粉末の前記Mg−Fe−O三元系酸化物堆積膜の上に、さらに亜鉛酸化膜が被覆されている積層酸化膜被覆鉄粉末、
(2)鉄粉末の表面にMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜が被覆されているMg含有酸化膜被覆鉄粉末の前記Mg−Fe−O三元系酸化物堆積膜の上に、さらに亜鉛酸化膜が被覆されており、前記Mg−Fe−O三元系酸化物堆積膜と前記亜鉛酸化膜の界面領域にMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜のMgの一部がZnで置換されたZn−Mg−Fe−O四元系酸化物反応被膜が被覆されている積層酸化膜被覆鉄粉末、
(3)鉄粉末の表面にMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜が被覆されているMg含有酸化膜被覆鉄粉末の前記Mg−Fe−O三元系酸化物堆積膜の上に、さらに酸化ホウ素、酸化バナジウム、酸化ビスマス、酸化アンチモンおよび酸化モリブデンのうちの1種または2種以上を含む酸化膜が被覆されている積層酸化膜被覆鉄粉末、
(4)鉄粉末の表面にMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜が被覆されているMg含有酸化膜被覆鉄粉末の前記Mg−Fe−O三元系酸化物堆積膜の上に、さらに酸化ホウ素、酸化バナジウム、酸化ビスマス、酸化アンチモンおよび酸化モリブデンのうちの1種または2種以上を含む酸化膜が被覆されており、
前記Mg−Fe−O三元系酸化物堆積膜と酸化ホウ素、酸化バナジウム、酸化ビスマス、酸化アンチモンおよび酸化モリブデンのうちの1種または2種以上を含む酸化膜との界面領域に、前記Mg−Fe−O三元系酸化物堆積膜と前記酸化ホウ素、酸化バナジウム、酸化ビスマス、酸化アンチモンおよび酸化モリブデンのうちの1種または2種以上を含む酸化膜とが反応して被覆された反応皮膜が被覆されている積層酸化膜被覆鉄粉末、
(5)鉄粉末の表面にMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜が被覆されているMg含有酸化膜被覆鉄粉末の前記Mg−Fe−O三元系酸化物堆積膜の上に、さらに酸化ケイ素および酸化アルミニウムのうち1種または2種を含む酸化膜が被覆されている積層酸化膜被覆鉄粉末、
(6)鉄粉末の表面にMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜が被覆されているMg含有酸化膜被覆鉄粉末の前記Mg−Fe−O三元系酸化物堆積膜の上に、さらに酸化ケイ素および酸化アルミニウムのうち1種または2種を含む酸化膜が被覆されており、
前記Mg−Fe−O三元系酸化物堆積膜と前記酸化ケイ素,酸化アルミニウムのうち1種または2種を含む酸化膜との界面領域に、前記Mg−Fe−O三元系酸化物堆積膜と酸化ケイ素および酸化アルミニウムのうち1種または2種を含む酸化膜とが反応して形成された反応皮膜が形成されている積層酸化膜被覆鉄粉末、
(7)前記Mg−Fe−O三元系酸化物堆積膜は、MgおよびOが表面から内部に向って減少しておりかつFeが内部に向って増加している濃度勾配を有する前記(1)、(2)、(3)、(4)、(5)または(6)記載の積層酸化膜被覆鉄粉末、
(8)前記鉄粉末と前記Mg−Fe−O三元系酸化物堆積膜との界面領域に、鉄粉末の中心部に含まれる硫黄よりも高濃度の硫黄を含む硫黄濃化層を有する粉末である前記(1)、(2)、(3)、(4)、(5)または(6)記載の積層酸化膜被覆鉄粉末、
(9)前記Mg−Fe−O三元系酸化物堆積膜は、結晶粒径:200nm以下の微細結晶組織を有する前記(1)〜(8)のうちのいずれかに記載の積層酸化膜被覆鉄粉末、に特徴を有するものである。
この発明の前記(1)および(2)記載の積層酸化膜被覆鉄粉末を製造するには、鉄粉末の表面にMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜が被覆されているMg含有酸化膜被覆鉄粉末にZn粉末を添加し混合して混合粉末を作製し、この混合粉末を真空または不活性ガス雰囲気中で加熱することによりMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜の上に金属Zn膜を形成し、この金属Zn膜が形成された粉末を大気中で加熱する後酸化処理を施すことにより鉄粉末の表面にMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜が形成されており、そのMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜の上にZnO膜が形成することにより製造することができる。
この発明の前記(3)および(4)記載の積層酸化膜被覆鉄粉末を製造するには、鉄粉末の表面にMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜が被覆されているMg含有酸化膜被覆鉄粉末に酸化ホウ素のゾル溶液または粉末、酸化バナジウム粉末のゾル溶液または、酸化ビスマスのゾル溶液または粉末、酸化アンチモンのゾル溶液または粉末および酸化モリブデンのゾル溶液または粉末のうちの1種もしくは2種以上を添加し、混合して混合粉末を作製し、得られた混合粉末を加熱することにより製造することができる。
前記Mg含有酸化膜被覆鉄粉末に添加する酸化ホウ素のゾル溶液または粉末、酸化バナジウム粉末のゾル溶液または、酸化ビスマスのゾル溶液または粉末、酸化アンチモンのゾル溶液または粉末および酸化モリブデンのゾル溶液または粉末の添加量は、0.05〜1質量%の範囲内にあることが好ましい。
この発明の前記(5)および(6)記載の積層酸化膜被覆鉄粉末を製造するには、鉄粉末の表面にMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜が被覆されているMg含有酸化膜被覆鉄粉末に酸化ケイ素のゾル溶液または粉末、酸化アルミニウムのゾル溶液または粉末のうちの1種もしくは2種以上を添加し、混合して混合粉末を作製し、得られた混合粉末を加熱することにより製造することができる。前記Mg含有酸化膜被覆鉄粉末に添加する酸化ケイ素のゾル溶液または粉末、酸化アルミニウムのゾル溶液または粉末のうちの1種もしくは2種以上の添加量は、0.05〜1質量%の範囲内にあることが好ましい。
前述のこの発明の積層酸化膜被覆鉄粉末に、有機絶縁材料や無機絶縁材料、あるいは有機絶縁材料と無機絶縁材料との混合材料を混合して比抵抗および強度のさらに向上した複合軟磁性材を作製することができる。この場合、有機絶縁材料では、エポキシ樹脂やフッ素樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ユリア樹脂、イソシアネート樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、PPS樹脂,等を用いることができる。また無機絶縁材料では、リン酸鉄などのリン酸塩、各種ガラス状絶縁物、珪酸ソーダを主成分とする水ガラス、絶縁性酸化物、等を用いることができる。
また、この発明の積層酸化膜被覆鉄粉末を圧粉成形し、得られた圧粉成形体を温度:500〜1000℃で燒結することにより複合軟磁性材を作製することができる。
この発明の積層酸化膜被覆鉄粉末を用いた複合軟磁性材は高密度、高強度、高比抵抗および高磁束密度を有し、この複合軟磁性材は,高磁束密度で高周波低鉄損の特徴を有する事からこの特徴を生かした各種電磁気回路部品の材料として使用できる。前記電磁気回路部品は、磁心、電動機コア,発電機コア、ソレノイドコア、イグニッションコア、リアクトル、トランス、チョークコイルコアまたは磁気センサコアなどがある。そして、この発明の積層酸化膜被覆鉄粉末を用いた高抵抗を有する複合軟磁性材からなる電磁気回路部品を組み込んだ電気機器には、電動機、発電機、ソレノイド、インジェクタ、電磁駆動弁、インバータ、コンバータ、変圧器、継電器、磁気センサシステム等があり、電気機器の高効率高性能化や小型軽量化を行うことができる。
この発明の積層酸化膜被覆鉄粉末をプレス成形し焼成して複合軟磁性材を製造すると、プレス成形しても成形中に膜が破壊することが少なく、したがって、得られた複合軟磁性材は高比抵抗を有することから低渦電流損失を有し、さらに高温歪取り焼鈍により保磁力が低いことから低ヒステリシス損失を有する複合軟磁性材を低コスト安定して作製することができ、電気・電子産業上優れた効果をもたらすものである。
実施例1
原料粉末として、平均粒径:80μmを有し不可避不純物として硫黄を極微量含む純鉄粉末を用意し、さらに、平均粒径:50μmのMg粉末を用意した。前記純鉄粉末を大気中、温度:220℃、2時間保持の条件で酸化処理することにより表面に酸化鉄膜を有する酸化処理鉄粉末を作製した。この酸化処理鉄粉末に対し先に用意したMg粉末を、酸化処理鉄粉末:Mg粉末=99.8質量%:0.2質量%の割合で添加し混合して混合粉末を作製し、得られた混合粉末を温度:660℃、圧力:2.7×10−4MPa、1時間保持したのち、さらに大気中、温度:200℃、1時間保持することにより鉄粉末の表面に堆積膜が被覆されているMg含有酸化膜被覆鉄粉末を作製した。
このMg含有酸化膜被覆鉄粉末における堆積膜の組織を電子顕微鏡で観察し、その堆積膜の厚さと最大結晶粒径を測定し、その結果を表1に示したのち、さらにMg含有酸化膜被覆鉄粉末に形成された堆積膜をX線光電子分光装置により分析を行い、結合エネルギーを解析したところ、金属Fe微粒子が素地中に分散しているMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜であることが解った。さらに、Mg含有酸化膜被覆鉄粉末における鉄粉末とMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜との界面領域をオージェ電子分光装置を用いた方法により調べた結果、MgおよびOが表面から内部に向って減少しておりかつFeが内部に向って増加している濃度勾配を有していることが解り、堆積膜と鉄粉末との界面領域に、鉄粉末の中心部に含まれる不純物硫黄(バックグラウンド)よりも明らかにオージェ電子分光法でピークをもって硫黄が検出されていることから鉄粉末の中心部に含まれる硫黄よりも高濃度の硫黄を含む硫黄濃化層を有することが解った。
このようにして作製したMg含有酸化膜被覆鉄粉末にZn粉末を、Mg含有酸化膜被覆鉄粉末:Zn粉末=99.5質量%:0.5質量%の割合になるように添加し混合して得られた混合粉末を温度:460℃、圧力:1×10−8MPa、1時間保持したのち、大気中、温度:190℃で加熱する後酸化処理を施すことにより鉄粉末の表面に堆積膜が被覆されており、その堆積膜の上にZnO膜が被覆されている本発明積層酸化膜被覆鉄粉末1を作製した。
この本発明積層酸化膜被覆鉄粉末1は、鉄粉末の表面に金属Fe微粒子が素地中に分散しているMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜が被覆されており、このMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜の上にさらにZnO膜が被覆されており、このMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜とZnO膜の界面領域に、Mg−Fe−O三元系酸化物堆積膜におけるMgの一部がZnで置換されているZn−Mg−Fe−O四元系酸化物堆積膜が被覆されていることがわかった。
実施例2
酸化硼素のゾル溶液、酸化バナジウムのゾル溶液、酸化ビスマスのゾル溶液、酸化アンチモンのゾル溶液または酸化モリブデンのゾル溶液を用意し、これら酸化硼素のゾル溶液、酸化バナジウムのゾル溶液、酸化ビスマスのゾル溶液、酸化アンチモンのゾル溶液または酸化モリブデンのゾル溶液を、それぞれ、実施例1で作製したMg含有酸化膜被覆鉄粉末にMg含有酸化膜被覆鉄粉末:ゾル溶液=99.5質量%:0.5質量%の割合になるように添加し混合して混合粉末を作製した。得られたこれら混合粉末をアルゴン中、温度:910℃で加熱することにより鉄粉末の表面におけるMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜の上にさらに酸化硼素、酸化バナジウム、酸化ビスマス、酸化アンチモンまたは酸化モリブデンなどの酸化膜が形成され、それによって鉄粉末の表面におけるMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜の上にさらに酸化硼素膜が被覆されている本発明積層酸化膜被覆鉄粉末2、鉄粉末の表面におけるMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜の上にさらに酸化バナジウムが被覆されている本発明積層酸化膜被覆鉄粉末3、鉄粉末の表面におけるMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜の上にさらに酸化ビスマスが被覆されている本発明積層酸化膜被覆鉄粉末4、鉄粉末の表面におけるMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜の上にさらに酸化アンチモンが被覆されている本発明積層酸化膜被覆鉄粉末5および鉄粉末の表面におけるMg-Fe-O三元系酸化物堆積膜の上にさらに酸化モリブデンが被覆されている本発明積層酸化膜被覆鉄粉末6を作製した。
これら本発明積層酸化膜被覆鉄粉末2〜6に被覆されているMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜と前記酸化硼素、酸化バナジウム、酸化ビスマス、酸化アンチモンまたは酸化モリブデンの酸化膜とこれらの界面領域をオージェ電子分光装置を用いた方法により調べた結果、MgおよびOが表面から内部に向って減少しておりかつFeが内部に向って増加している濃度勾配を有していることが解り、Mg−Fe−O三元系酸化物堆積膜と前記酸化硼素、酸化バナジウム、酸化ビスマス、酸化アンチモンおよび酸化モリブデンの酸化膜との界面領域に、Mg−Fe−O三元系酸化物堆積膜と前記酸化硼素、酸化バナジウム、酸化ビスマス、酸化アンチモンまたは酸化モリブデンの酸化膜と反応して形成された反応皮膜がそれぞれ形成されていることがわかった。
実施例3
シリカのゾルゲル(シリケート)溶液またはアルミナのゾルゲル溶液を用意し、シリカのゾルゲル(シリケート)溶液またはアルミナのゾルゲル溶液をそれぞれ実施例1で作製したMg含有酸化膜被覆鉄粉末に、Mg含有酸化膜被覆鉄粉末:ゾルゲル溶液=99.5質量%:0.5質量%の割合になるように添加し混合して混合粉末を作製し、この得られた混合粉末を窒素中、温度:800℃で加熱することにより鉄粉末の表面にMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜が被覆されており、そのMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜の上にさらにシリカが被覆されている本発明積層酸化膜被覆鉄粉末7、鉄粉末の表面にMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜が被覆されており、そのMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜の上にさらに酸化アルミニウムが被覆されている本発明積層酸化膜被覆鉄粉末8を作製した。
これら本発明積層酸化膜被覆鉄粉末7〜8についてMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜と前記酸化ケイ素または酸化アルミニウムの酸化膜との界面領域をオージェ電子分光装置を用いた方法により調べた結果、Mg−Fe−O三元系酸化物堆積膜と前記酸化ケイ素、酸化アルミニウムの酸化膜との界面領域に反応して形成された反応皮膜が形成されていることがわかった。
実施例1〜3で得られた本発明積層酸化膜被覆鉄粉末1〜8を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:600℃、30分保持の条件で焼成を行い、板状およびリング状焼成体からなる複合軟磁性材を作製し、この板状焼成体からなる複合軟磁性材の比抵抗を測定してその結果を表1に示し、さらにリング状焼成体からなる複合軟磁性材に巻き線を施し、磁束密度、保磁力、並びに磁束密度1.5T、周波数50Hzの時の鉄損および磁束密度1.0T、周波数400Hzの時の鉄損などの磁気特性を測定し、それらの結果を表1に示した。
従来例1
実施例1で用意した純鉄粉末の表面にMg含有フェライト層を化学的に形成した従来酸化物被覆鉄粉末1を作製し、この従来酸化物被覆鉄粉末1を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:600℃、30分保持の条件で焼結を行い、板状およびリング状焼結体からなる複合軟磁性材を作製し、板状焼結体からなる複合軟磁性材の比抵抗を測定してその結果を表1に示し、さらにリング状焼結体からなる複合軟磁性材に巻き線を施し、磁束密度、保磁力、並びに磁束密度1.5T、周波数50Hzの時の鉄損および磁束密度1.0T、周波数400Hzの時の鉄損などの磁気特性を測定し、それらの結果を表1に示した。
Figure 0004480015
表1に示される結果から、本発明積層酸化膜被覆鉄粉末1〜8を使用して作製した複合軟磁性材は、従来酸化物被覆鉄粉末1を使用して作製した複合軟磁性材従来複合軟磁性材と比べて、密度については大差は無いが、本発明積層酸化膜被覆鉄粉末1〜8を使用して作製した複合軟磁性材は、従来酸化物被覆鉄粉末1を使用して作製した複合軟磁性材に比べて、磁束密度が高く、保磁力が小さく、さらに比抵抗が格段に高く、そのため鉄損が格段に小さくなるなどの特性を有することから、本発明積層酸化膜被覆鉄粉末1〜8は従来酸化物被覆鉄粉末1と比べて一層優れた特性を有する複合軟磁性材を提供することができる軟磁性原料粉末であることが分かる。

Claims (13)

  1. 鉄粉末の表面に金属Fe微粒子が素地中に分散しているMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜(以下、Mg−Fe−O三元系酸化物堆積膜という)が被覆されているMg含有酸化膜被覆鉄粉末の前記Mg−Fe−O三元系酸化物堆積膜の上に、さらに亜鉛酸化膜が被覆されていることを特徴とする積層酸化膜被覆鉄粉末。
  2. 鉄粉末の表面に金属Fe微粒子が素地中に分散しているMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜(以下、Mg−Fe−O三元系酸化物堆積膜という)が被覆されているMg含有酸化膜被覆鉄粉末の前記Mg−Fe−O三元系酸化物堆積膜の上に、さらに亜鉛酸化膜が被覆されており、前記Mg−Fe−O三元系酸化物堆積膜と前記亜鉛酸化膜との界面領域にMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜のMgの一部がZnで置換されたMg−Zn−Fe−O四元系酸化物反応皮膜が形成されていることを特徴とする積層酸化膜被覆鉄粉末。
  3. 鉄粉末の表面に金属Fe微粒子が素地中に分散しているMg-Fe-O三元系酸化物堆積膜(以下、Mg−Fe−O三元系酸化物堆積膜という)が被覆されているMg含有酸化膜被覆鉄粉末の前記Mg−Fe−O三元系酸化物堆積膜の上に、さらに酸化ホウ素、酸化バナジウム、酸化ビスマス、酸化アンチモンおよび酸化モリブデンのうちの1種または2種以上を含む酸化膜が被覆されていることを特徴とする積層酸化膜被覆鉄粉末。
  4. 鉄粉末の表面に金属Fe微粒子が素地中に分散しているMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜(以下、Mg−Fe−O三元系酸化物堆積膜という)が被覆されているMg含有酸化膜被覆鉄粉末の前記Mg−Fe−O三元系酸化物堆積膜の上に、さらに酸化ホウ素、酸化バナジウム、酸化ビスマス、酸化アンチモンおよび酸化モリブデンのうちの1種または2種以上を含む酸化膜が被覆されており、
    前記Mg−Fe−O三元系酸化物堆積膜と酸化ホウ素、酸化バナジウム、酸化ビスマス、酸化アンチモンおよび酸化モリブデンのうちの1種または2種以上を含む酸化膜との界面領域に、前記Mg−Fe−O三元系酸化物堆積膜と前記酸化ホウ素、酸化バナジウム、酸化ビスマス、酸化アンチモンおよび酸化モリブデンのうちの1種または2種以上を含む酸化膜とが反応して形成された反応皮膜が形成されていることを特徴とする積層酸化膜被覆鉄粉末。
  5. 鉄粉末の表面に金属Fe微粒子が素地中に分散しているMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜(以下、Mg−Fe−O三元系酸化物堆積膜という)が被覆されているMg含有酸化膜被覆鉄粉末の前記Mg−Fe−O三元系酸化物堆積膜の上に、さらに酸化ケイ素および酸化アルミニウムのうち1種または2種を含む酸化膜が被覆されていることを特徴とする積層酸化膜被覆鉄粉末。
  6. 鉄粉末の表面に金属Fe微粒子が素地中に分散しているMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜(以下、Mg−Fe−O三元系酸化物堆積膜という)が被覆されているMg含有酸化膜被覆鉄粉末の前記Mg−Fe−O三元系酸化物堆積膜の上に、さらに酸化ケイ素,酸化アルミニウムのうち1種または2種を含む酸化膜が被覆されており、
    前記Mg−Fe−O三元系酸化物堆積膜と前記酸化ケイ素,酸化アルミニウムのうち1種または2種を含む酸化膜の界面領域に、前記Mg−Fe−O三元系酸化物堆積膜と酸化ケイ素および酸化アルミニウムのうち1種または2種を含む酸化膜とが反応して形成された反応皮膜が形成されていることを特徴とする積層酸化膜被覆鉄粉末。
  7. 前記Mg−Fe−O三元系酸化物堆積膜が鉄粉末の表面に被覆されているMg含有酸化膜被覆鉄粉末の前記Mg−Fe−O三元系酸化物堆積膜は、MgおよびOが表面から内部に向って減少しておりかつFeが内部に向って増加している濃度勾配を有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載の積層酸化膜被覆鉄粉末。
  8. 前記鉄粉末と前記Mg−Fe−O三元系酸化物堆積膜との界面領域に、鉄粉末の中心部に含まれる硫黄よりも高濃度の硫黄を含む硫黄濃化層を有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6または7記載の積層酸化膜被覆鉄粉末。
  9. 前記Mg−Fe−O三元系酸化物堆積膜は、結晶粒径:200nm以下の微細結晶組織を有することを特徴とする請求項1〜8の内のいずれかの請求項に記載の積層酸化膜被覆鉄粉末。
  10. 請求項1〜9の内のいずれかの請求項に記載の積層酸化膜被覆鉄粉末を用いた複合軟磁性材。
  11. 請求項10記載の複合軟磁性材からなる電磁気回路部品。
  12. 前記電磁気回路部品は、磁心、電動機コア,発電機コア,ソレノイドコア,イグニッションコア,リアクトル,トランス,チョークコイルコアまたは磁気センサコアであることを特徴とする請求項11記載の電磁気回路部品。
  13. 請求項11または12記載の前記電磁気回路部品を組み込んだ電気機器。
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