JP4478853B2 - 高強度ポリエチレン繊維 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種スポーツ衣料や防弾・防護衣料・防護手袋や各種安全用品などの高性能テキスタイル、タグロープ・係留ロープ、ヨットロープ、建築用ロープなどの各種ロープ製品、釣り糸、ブラインドケーブルなどの各種組み紐製品、漁網・防球ネットなどの網製品さらには化学フィルター・電池セパレーターや各種不織布の補強材あるいはテントなどの幕材、又はヘルメットやスキー板などのスポーツ用やスピーカーコーン用やプリプレグなどのコンポジット用の補強繊維など、産業上広範囲に応用可能な新規な高強度ポリエチレン繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】
高強度ポリエチレン繊維に関しては例えば、特公昭60―47922号公報に開示されるごとく、超高分子量のポリエチレンを原料にし、いわゆる“ゲル紡糸法”により従来にない高強度・高弾性率繊維が得られることが知られており、既に産業上広く利用されている。これらの高強度ポリエチレン繊維は高強度・高弾性率である利点と反面して、高度に結晶化している為、圧縮応力に弱いという欠点があった。つまり繊維軸方向の引っ張りには非常に強いものの逆に圧縮応力がかかる用途に使用した場合、非常に低い圧縮応力で破壊が生じるなどの問題があった。
【0003】
特公昭64−8732公報に開示されるがごとく、重量平均分子量60万以上の超高分子量にポリエチレンを原料にし、いわゆる“ゲル紡糸法”により、従来にない、高強度・高弾性率のポリエチレン繊維が開示されている。しかしながらこのようにゲル紡糸法用いて高強度・高弾性率ポリエチレン繊維を製造する場合、製造された繊維は高度に欠陥が排除された結晶(秩序度の高い結晶)から形成されているため、繊維物性は非常に高いものの前述の如く圧縮応力に対して弱いという欠点が指摘されている。このことは、小角X線散乱測定において長周期構造が観察されないことで確認されている。
【0004】
また、すでに市販されている溶融紡糸で作られたポリエチレン繊維に於いては、高性能な製品に於いても引っ張り強度が高々10cN/dtex程であり、本発明の如く15cN/dtexを越えるような高強度ポリエチレン繊維は製造・販売されていないのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この原因について発明者らは、以下のように推定している。すなわち、溶融紡糸で高強度ポリエチレン繊維を製造する場合に於いては、ポリマー中の分子鎖のからみ合いが非常に多いためにノズルからポリマーを押し出し引き取った後充分延伸を行えないことが挙げられる。またそのことにより前述のゲル紡糸とは逆に、製造した繊維も内部構造は、繊維軸方向への配向度も悪く結晶としての秩序度の低い部分の割合が増大することになり結果として繊維の物性が低下する。さらに、分子量が100万を越える様な超高分子量ポリマーを、溶融紡糸法を用いて紡糸することは成形加工機械の制約上実質的に不可能である。たとえ紡糸が出来たとしても充分高い倍率で延伸が行えず、強度が低いものとなる。逆に、分子量が100万を越える超高分子量のポリエチレンを用いた、分子鎖のからみあいを少なくするために前述のゲル紡糸という手法があるが、この場合、超延伸操作を行うことは可能となるが、結果として出来てきた繊維の構造は小角X線線散乱測定に於いて長周期構造が観察されないほど高度に結晶化・秩序化してしまうため、高物性のまま繊維内に不均構造を導入することが出来ない。本発明においてはこのような従来の溶融紡糸やゲル紡糸のような手法では得ることが困難であった圧縮特性に優れる且つ引っ張り強度が15cN/dtex以上、及び引っ張り弾性率が300cN/dtex以上であり、驚くべきことに小角X線散乱測定において100A以下の長周期構造が観察されるという繊維構造上の特徴を有する高強度ポリエチレン繊維を得ることに成功した。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、繊維状態での重量平均分子量が50,000〜300,000であり、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)が3.0以下であり、引っ張り強度が15cN/dtex以上、引っ張り弾性率が300cN/dtex以上であり、かつ小角X線散乱測定において100以下の長周期構造が観察され、かつ長周期構造の繰り返し1ユニット内に於いて秩序度の高い部分(結晶)(=q)が占める割合が75%以上であることを特徴とする高強度ポリエチレン繊維である。さらに子午線と直角方向のフィブリルを構成する結晶の幅が100Å以上で有ることを特徴とする高強度ポリエチレン繊維である。以下本発明を詳細に解説する。
【0007】
本発明における高強度ポリエチレン繊維は、引っ張り強度が15cN/dtex以上、及び引っ張り弾性率が300cN/dtex以上であり、かつ小角X線散乱測定において100Å以下の長周期構造が観察され、かつ長周期構造の繰り返し1ユニット内に於いて秩序度の高い部分(結晶)(=q)が占める割合が75%以上であることを特徴とする。
【0008】
即ち、先ず本発明者らは、上述の従来からの強い要求である高強度であり且つ応力緩和が可能な構造を有するポリエチレン繊維はいかなる形態を呈するのか、或いはどういった形態が理想的なのかを検討した。その結果、高度に秩序化した結晶の中に非晶部又は結晶、非晶の中間的な状態つまり結晶部よりも電子密度が低い部分を導入した形態が最も強度、等の物性を維持しつつ圧縮特性を向上させ得るモデルであることを明らかにした。
しかしそのような形態モデルは上述した従来技術を用いても達成することは極めて困難である。即ち、繊維の中に非晶部または結晶、非晶の中間的な状態つまり結晶部よりも電子密度が低い部分(秩序度の低い部分)を導入したとするとその部分が欠陥となり繊維の物性、強度・弾性率が低下するためである。
そこで本発明者らは、上記本件発明の要件を具備する新規な形態を有するポリエチレン繊維を得ることに成功したのである。
以下、本発明を詳述する。
本発明において上述の形態モデルを反映している特性の一つとして小角X線散乱測定において100Å以下の長周期構造が観察されることが挙げられる。好ましくは、80Å以下であり、さらに好ましくは60A以下である。小角X線で観察される長周期構造が無い場合は繊維の構造内に応力を緩和する非晶部又は結晶、非晶の中間的な状態つまり結晶部よりも電子密度が低い部分(結晶としての秩序度が低い部分)が無くなってしまうため好ましくない。長周期構造が100Aを越えると緩和する非晶部又は結晶、非晶の中間的な状態な部分が存在するものの、長周期構造がしきい値(100Å)よりも大きいため欠陥構造としての役目も果たしてしまうためその様な繊維の引っ張り強度・弾性率は低く、物性面で要求特性を満たさない。それ故に、繊維を構成する結晶については、高度に結晶化秩序化させた状態になければならないが、同時にその結晶内部に少量の秩序度の低い部分を内蔵せしめることが必須条件であることを鋭意検討の結果見出した。この繊維は小角X線散乱において干渉点パターンを示し、その長周期構造が100Å以下であるという非常に特異な構造的特徴を有することが判明した。そのような繊維構造の特徴は後述するように小角X線散乱パターンをYABUKIらの方法を用いて解析することにより定量的に示すことが出来る。
【0009】
このような本発明の高強度ポリエチレン繊維は、これまでに製造することが極めて困難であった。つまり、従来の技術では小角X線散乱測定に於いて100Å以下の長周期構造が観察される繊維は強度が非常に弱く実用レベルでの使用に達していなかった。さらに、引っ張り強度・弾性率を向上させるには、前述の如くゲル紡糸などの特殊な紡糸を行うことでしか達成することが困難であった。しかしながら、発明者らは鋭意努力し例えば後述の製造方法を採用することにより、高強度であるにも関わらず、圧縮特性に優れ、引っ張り強度が15cN/dtex以上、及び引っ張り弾性率が300cN/dtex以上であり、小角X線散乱測定において100A以下の長周期構造が観察されることを特徴とする高強度ポリエチレン繊維を得ることを可能とした。
【0010】
本繊維を製造する方法は、上述のごとく慎重でかつ新規な製造法を採用する必要であり、例えば以下のような方法が推奨されるが、それに限定されるものでは無い。すなわち本繊維の製造に当たっては、原料ポリエチレンの重量平均分子量が60,000〜600、000であることが重要であり、繊維状態での重量平均分子量が50,000〜300,000であり、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)が4.5以下となることが重要である。好ましくは、原料ポリエチレンの重量平均分子量が60,000〜300、000であることが重要であり、繊維状態での重量平均分子量が50,000〜200,000であり、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)が4.0以下となることが重要である。さらに好ましくは、原料ポリエチレンの重量平均分子量が60,000〜200、000であることが重要であり、繊維状態での重量平均分子量が50,000〜150,000であり、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)が3.0以下となることが極めて重要である。
【0011】
本発明におけるポリエチレンとは、その繰り返し単位が実質的にエチレンであることを特徴とし、少量の他のモノマー例えばα−オレフィン,アクリル酸及びその誘導体,メタクリル酸及びその誘導体,ビニルシラン及びその誘導体などとの共重合体であっても良いし、これら共重合物どうし、あるいはエチレン単独ポリマーとの共重合体、さらには他のα−オレフィン等のホモポリマーとのブレンド体であってもよい。特にプロピレン,ブテンー1などのαオレフィンと共重合体を用いることで短鎖あるいは長鎖の分岐をある程度含有させることは本繊維を製造する上で、特に紡糸・延伸においての製糸上の安定を与えることとなり、より好ましい。しかしながらエチレン以外の含有量が増えすぎると反って延伸の阻害要因となるため、高強度・高弾性率繊維を得るという観点からはモノマー単位で0.2mol%以下、好ましくは0.1mol%以下であることが望ましい。もちろんエチレン単独のホモポリマーであっても良い。また、繊維状態の分子量分布を上記値にコントロールする為に溶解押し出し工程や紡糸工程で意図的にポリマーを劣化させても良いし、予め狭い分子量分布を持つ例えばメタロセン触媒を用いて重合されたポリエチレンを使っても良い。
【0012】
原料ポリエチレンの重量平均分子量が60,000未満となると溶融成形加工をし易いものの分子量が低い為に実際に得られる糸の強度は小さいものとなる。また、原料ポリエチレンの重量平均分子量が600、000を越えるような高分子量ポリエチレンでは溶融粘度が極めて高くなり、溶融成型加工が極めて困難となる。又、繊維状態の重量平均分子量と数平均分子量の比が4.5以上となると同じ重量平均分子量のポリマーを用いた場合と比較し最高延伸倍率が低く又、得られた糸の強度も低くなる。これは、緩和時間の長い分子鎖が延伸を行う際に延びきることができずに破断が生じてしまうことと、分子量分布が広くなることによって低分子量成分が増加するために分子末端が増加することにより強度低下が起こると推測している。
【0013】
このように特定の原料ポリエチレンを使用すると同時に紡糸・延伸条件についてもより慎重な製造条件の採用が推奨される。即ち本発明の推奨する製造方法においては、このようなポリエチレンを押し出し機で溶融押し出しし、ギアポンプにて定量的に紡糸口金を介して吐出させる。その後冷風にて該糸状を冷却し、所定の速度で引き取る。この際、充分素早く引き取ることが重要である。即ち、吐出線速度と巻き取り速度の比が100以上で有ることが重要である。好ましくは150以上、さらに好ましくは200以上である。吐出線速度と巻き取り速度の比は、口金口径、単孔吐出量、ポリマー密度、巻き取り速度から計算することが出来る。
【0014】
次に以下に示す方法で一段延伸もしくは多段延伸することが推奨される。この時紡糸した糸状を巻き取る事無し連続的に延伸しても良いし、一度巻き取った後に延伸してもよい。延伸操作は、何台かのゴデットロールにて行われる。多段延伸する場合は、必要分ゴデットローラを増やせば良い。各々のゴデットロールは任意の温度に設定することが可能である。また、各々のゴデットロール間には、温度・長さが調節可能なスリットヒータを任意に設置することが可能となっている。望ましくは2台目のゴデットロールは20〜90℃で延伸倍率(DR1)1.5〜5倍、3台目は100〜130℃とする。2台目と3台目のゴデットロール間でネック延伸が行われる。ここで重要なことは、ネック延伸を行った後すぐ3台目と4台目のゴデットロール間(DR2)で0.90〜0.99倍のリラックス延伸することが重要である。この際あまりリラックスさせすぎると物性面で好ましくない。その後、4台目と5台目のゴデットローラ間で延伸(DR3)する。4台目は100〜130℃、5台目は100〜150℃に保たれている。4台目と5台目のローラ間には、スリットヒータを設置してもよい。更に延伸(DR4)を行う場合には、6台目のゴデットロールを用いる。その場合、5台目と6台目のゴデットロールの間には、スリットヒータを設置することもできる。その後、更に数パーセントのリラックスを行い最終的にワインダーに巻き取られる。さらに多段に延伸を行う際には、さらにゴデットロールとスリットヒータを用いればよい。
【0015】
以下に本発明における特性値に関する測定法および測定条件を説明する。
【0016】
(強度・弾性率)
本発明における強度,弾性率は、オリエンティック社製「テンシロン」を用い、試料長200mm(チャック間長さ)、伸長速度100%/分の条件で歪ー応力曲線を雰囲気温度20℃、相対湿度65%条件下で測定し、曲線の破断点での応力を強度(cN/dtex)、曲線の原点付近の最大勾配を与える接線より弾性率(cN/dtex)を計算して求めた。なお、各値は10回の測定値の平均値を使用した。
【0017】
(重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn及びMw/Mn)
重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn及びMw/Mnは、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によって測定した。GPC装置としては、Waters製GPC 150C ALC/GPCを持ち、カラムとしてはSHODEX製GPC UT802.5を一本UT806Mを2本用いて測定した。測定溶媒は、o−ジクロロベンゼンを使用しカラム温度を145度した。試料濃度は1.0mg/mlとし、200マイクロリットル注入し測定した。分子量の検量線は、ユニバーサルキャリブレーション法により分子量既知のポリスチレン試料を用いて構成されている。
【0018】
(小角X線測定)
小角X線散乱は、下記の方法で測定を行った。測定に供するX線は、(株)リガク製ローターフレックスRU−300を用いて発生させる。ターゲットとして銅対陰極を用い、出力30kV x 30mAのファインフォーカスで運転を行った。光学系は点収束カメラを用い、X線はニッケルフィルターを用いて単色化した。検出器は、フジ写真フィルム(株)製イメージングプレート(FDL UR−V)を用いた。試料と検出器間の距離は200mm乃至350mmの間の適当な距離でよい。空気などからの妨害バックグラウンド散乱を抑えるため、試料と検出器の間は、ヘリウムガスを充填する。露光時間は2時間乃至3時間である。イメージングプレート上に記録された散乱強度信号の読みとりは、富士写真フィルム(株)製デジタルミクログラフィー(FDL5000)を用いる。得られたデータから、サンプルの長周期を求めた。また、Tsvankinら(Kolloid−Z.u.Z,polymere 250,518−529(1972))の方法を応用した、YABUKIら(TEXTILE RESERCH JOURNAL,56,41−48(1986))の方法により子午線と直角方向のフィブリルを構成する、結晶の幅と長周期構造の繰り返しユニット内に於ける秩序度の高い部分(結晶)が占める割合を求めた。
YABUKIらによると、軸対称を考慮すると小角X線散乱の強度式は1式で表される。ここで、Jは回折関数、aは電子密度の高い領域の子午線方向の大きさ、bはその幅、fはその厚み、Zは電子密度の低い領域の子午線方向の大きさ、βはβ=Δ/aであり、Δは電子密度の高い領域と低い領域の界面層の厚みを表す。h,k,lは実空間座標x,y,zに対応する逆格子空間軸である(図1参照、図中Ψは傾斜角を示す)。小角X線散乱像を式1から計算し、実際に得られた小角X線散乱像を再現するように、パラメータa,b,Zの値を決定した。また、長周期構造の繰り返しユニット内に於ける秩序の高い部分(結晶)が占める割合(q)は2式で計算される。
【0019】
【実施例】
以下、実施例をもって本発明を説明する。
【0020】
(実施例1)
重量平均分子量115,000、重量平均分子量と数平均分子量の比が2.3である高密度ポリエチレンを0.8mm10Hからなる紡糸口金から290度で単孔吐出量0.5g/minの速度で押し出した。押し出された繊維は、25度の冷風でクエンチされ、300m/min速度で巻き取られる。該未延伸糸を、5m/minで延伸機に投入し総延伸倍率9.0倍の延伸糸を得た。得られた繊維の物性を表1に示した。
【0021】
(実施例2)
総延伸倍率を15.0倍にした以外は実施例1と同様に実験を行った。得られた繊維の物性を表1に示した。
【0022】
(実施例3)
1.2mm10Hからなる紡糸口金を使用し単孔吐出量を1.5g/minとし、総延伸倍率を12.0倍にした以外は実施例1と同様に実験を行った。延伸糸の物性を表1に示した。
【0023】
(実施例4)
総延伸倍率を20.0倍にした以外は実施例3と同様に実験を行った。得られた繊維の物性を表1に示した。
【0024】
(実施例5)
重量平均分子量152,000、重量平均分子量と数平均分子量の比が2.4である高密度ポリエチレンを、1.2mm10Hの紡糸口金から300度で単孔吐出量0.5g/minの速度で押し出した以外は実施例1と同様にして未延伸糸を得た。該未延伸糸を、5m/minで延伸機に投入し総延伸倍率17.0倍の延伸糸を得た。得られた繊維の物性を表1に示した。
【0025】
(比較例1)
重量平均分子量3,200,000、重量平均分子量と数平均分子量の比が6.3である超高分子量ポリエチレンを10wt%およびデカヒドロナフタレン90wt%のスラリー状の混合物を分散しながら230度の温度に設定したスクリュー型の混練り機で溶解し、170℃に設定した直径0.9mmを500ホール有する口金に計量ポンプにて単孔吐出量1.2g/minで供給した。ノズル直下に設置したスリット状の気体供給オリフィスにて1.2m/分の速度で100℃に調整した窒素ガスをできるだけ糸条に均等に当たるようにして繊維の表面のデカリンを積極的に蒸発させ、ノズル下流に設置されたネルソン状のローラーにて80m/分の速度で引き取られた、この際に糸状に含有される溶剤は元の重量の約20wt%まで低下していた。引き続き、得られた繊維を125度の加熱オーブン下で3.4倍に延伸した、引き続きこの繊維を149度に設置した加熱オーブン中にて4.0倍で延伸した。途中破断することなく均一な繊維が得ることができた。得られた繊維の物性を表2に示した。
【0026】
(比較例2)
重量平均分子量125,000、重量平均分子量と数平均分子量の比が4.9である高密度ポリエチレンを0.8mm10Hからなる紡糸口金から300度で単孔吐出量0.5g/minの速度で押し出した。押し出された繊維は、270度に加熱された長さ60cmのホットチューブを通りその後20度に保たれた空気によりクエンチされ、90m/min速度で巻き取られる。該未延伸糸を、100度に加熱し10m/minで供給し2倍の延伸を行った。さらにその後130度まで加熱し15倍の延伸を行い、延伸糸を得た。得られた繊維の物性を表2に示した。
【0027】
(比較例3)
比較例2の未延伸糸を100度に加熱し10m/minで供給し2倍の延伸を行った。さらにその後130度まで加熱し16倍の延伸を行おうとしたが、糸切れが生じ延伸糸を得ることができなかった。
【0028】
(比較例4)
重量平均分子量125,000、重量平均分子量と数平均分子量の比が6.7である高密度ポリエチレンを実施例1と同様にして紡糸を行った。得られた未延伸糸を100度に加熱し10m/minで供給し2倍の延伸を行った。さらにその後130度まで加熱し7倍の延伸を行った。得られた繊維の物性を表2に示した。
【0029】
(比較例5)
市販されているポリエチレンモノフィラメントについて引っ張り強度・弾性率、小角X線散乱における長周期を求めた。結果を表2に示した。
【0030】
(比較例6)
比較例6と同様に市販されているポリエチレンマルチフィラメントについて引っ張り強度・弾性率、小角X線散乱における長周期を求めた。結果を表2に示した。
【0031】
(比較例7)
紡糸速度を60m/minとした以外は、実施例1と同様にして未延伸糸を得た。得られた未延伸糸を80度に加熱し5m/minで供給し2倍の延伸を行った。さらにその後130度まで加熱し11倍の延伸を行った。得られた繊維の物性を表2に示した。
【0032】
【数1】
Figure 0004478853
【0033】
【数2】
Figure 0004478853
【0034】
【表1】
Figure 0004478853
【0035】
【表2】
Figure 0004478853
【0036】
【発明の効果】
本発明によると産業上広範囲に応用可能な高強度でしかも圧縮応力の優れたポリエチレン繊維を提供することを可能とした。
【図面の簡単な説明】
【図1】Tsvankinらのモデルによる小角X線散乱パタ−ンから解析したモデル構造を示す図。

Claims (4)

  1. 繊維状態での重量平均分子量が50,000〜300,000であり、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)が3.0以下であり、引っ張り強度が15cN/dtex以上、及び引っ張り弾性率が300cN/dtex以上であり、かつ小角X線散乱測定において100以下の長周期構造が観察され、さらに長周期構造の繰り返し1ユニット内に於いて秩序度の高い部分(結晶)(=q)が占める割合が75%以上であることを特徴とする高強度ポリエチレン繊維。
  2. 小角X線散乱測定において80以下の長周期構造が観察されることを特徴とする請求項1記載の高強度ポリエチレン繊維。
  3. 小角X線散乱測定において60以下の長周期構造が観察されることを特徴とする請求項1記載の高強度ポリエチレン繊維。
  4. 子午線と直角方向のフィブリルを構成する結晶の幅(=b)が100Å以上で有ることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高強度ポリエチレン繊維。
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