JP4473744B2 - ヒューマンエラー診断システム - Google Patents

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Description

本発明は、人的要因により発生する事故の原因であるヒューマンエラーの発生可能性を診断するヒューマンエラー診断システムに関し、特に認知的発生メカニズムに基づいて分類される特定のヒューマンエラーの発生可能性を診断するヒューマンエラー診断システムに関する。
事故が生じるのは、本来行われるべき事象の流れとは異なった、誤った事象が存在するからである。この誤った事象の発生は、人間のミス、すなわちヒューマンエラーに起因する場合も多い。ところが、ヒューマンエラーは、多種の原因が複雑にからみあったものが多く、その原因を分析し、対策を立案することは、非常に困難な作業である。
従来、このようなヒューマンエラーの分析を行い、再発防止の対策立案を支援するためのシステムとして、下記特許文献1に開示された安全管理支援システムが知られている。
この安全管理支援システムは、発生した事故を、時期や場所、事故の責任の大きさ等に分類して格納する事故データベースを備えている。また、事故毎に、当事者の誤り(ヒューマンエラー)を示すデータ、事故の直接的な要因を示す直接要因データ(例えば、「信号無視」)、及び事故の背景的な要因を示す背景要因データ(例えば、「飲酒運転」、「怠慢」)等を格納するヒューマンエラーデータベースを備えている。また、過去の事故に対して施した対応策等を格納する対策データベースを備えている。
そして、このような構成を有する上記安全管理支援システムは、上記データベース内の情報を用いて、「対前年度分析」、「要因構成比分析」等の集計を行って事故を分析したり、対策を立案したりするように構成されている。
特開平10−105567号公報
また、本出願人は、ヒューマンエラーに対する有効な防止対策を立案するために、効果的なヒューマンエラー分類を行うことが可能なシステムとして、下記特許文献2に開示されたヒューマンエラー分類システムを開発した。
このヒューマンエラー分類システムは、人的要因により発生するヒューマンエラーを、認知的発生メカニズムのモデルに基づいたエラータイプに分類するシステムである。
特開2004−302742号公報
しかし、ヒューマンエラーを効果的に防止するためには、個人毎のヒューマンエラーの発生可能性を診断し、この診断結果を考慮した対策を施すことが有効であると考えられるが、上述した従来技術では、そのような診断方法は開示されていない。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、ヒューマンエラーの発生を有効に防止するために、ヒューマンエラーの発生可能性を診断するヒューマンエラー診断システムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係るヒューマンエラー診断システムは、ストループ課題を被診断者に実行させて、ヒューマンエラーの発生可能性を診断するヒューマンエラー診断システムにおいて、種々の演算処理を行う演算装置と、被診断者が前記ストループ課題に対する反応を入力するための複数のキーを有する入力装置と、前記ストループ課題を実行するための情報及び前記ストループ課題に対する被診断者の反応に関する情報を保持する記憶装置と、前記ストループ課題を被診断者に呈示するための表示装置と、時間を計測するためのタイマーと、を備え、前記記憶装置は、色名と同じ色で彩られた色名単語として前記表示装置に呈示される一致刺激に関する情報を含む、効率的な誤ったスキーマを活性化させるための第1のストループ課題に関する情報と、色名とは異なった色で彩られた色名単語として前記表示装置に呈示される干渉ありストループ刺激及びある色で彩られた文字や記号として前記表示装置に呈示される干渉なしストループ刺激に関する情報を含む、ヒューマンエラーの発生可能性を診断するための第2のストループ課題に関する情報と、を保持しており、前記演算装置は、前記第1のストループ課題を実行する制御であって、前記一致刺激のみを前記表示装置に所定の試行回数順次呈示する制御と、前記一致刺激の前記表示装置への呈示後、前記一致刺激を彩る色に対応する前記入力装置のキーが被診断者によって押された場合には、前記記憶装置に正反応として記録し、当該正反応のキー以外のキーが被診断者によって押された場合には、前記記憶装置に誤反応として記録する制御と、を有する制御と、前記第1のストループ課題の実行の後に行われる、前記第2のストループ課題を実行する制御であって、前記干渉ありストループ刺激と前記干渉なしストループ刺激をそれぞれ所定の試行回数ランダムな順番で前記表示装置に呈示する制御と、前記干渉ありストループ刺激又は前記干渉なしストループ刺激の前記表示装置への呈示後、所定の時間内に、前記干渉ありストループ刺激又は前記干渉なしストループ刺激を彩る色に対応する前記入力装置のキーが被診断者によって押された場合には、前記記憶装置に正反応として記録し、当該正反応のキー以外のキーが被診断者によって押された場合には、前記記憶装置に誤反応として記録すると共に、前記タイマーを参照して、前記干渉ありストループ刺激又は前記干渉なしストループ刺激への前記入力装置を介した反応に被診断者が要する時間であるストループ反応時間を前記記憶装置に記録する制御と、を有する制御と、前記干渉ありストループ刺激に対する正反応の平均反応時間である干渉あり平均ストループ反応時間と、前記干渉なしストループ刺激に対する正反応の平均反応時間である干渉なし平均ストループ反応時間との差分であるストループ干渉量を算出し、このストループ干渉量が所定値以上であれば、効率的な誤ったスキーマが割り込むタイプのヒューマンエラーの発生可能性が高いと診断する制御と、を行うことを特徴とする。
また、本発明に係るヒューマンエラー診断方法は、演算装置、記憶装置、入力装置表示装置及びタイマーを備えたヒューマンエラー診断システムにより、被診断者にストループ課題を実行させて、ヒューマンエラーの発生可能性を診断するヒューマンエラー診断方法であって、前記演算装置が、前記記憶装置に格納されている、色名と同じ色で彩られた色名単語として前記表示装置に呈示される一致刺激に関する情報を含む、効率的な誤ったスキーマを活性化させるための第1のストループ課題に関する情報に基づいて、前記一致刺激のみを前記表示装置に所定の試行回数順次呈示する第1の呈示工程と、前記演算装置が、前記一致刺激の前記表示装置への呈示後、前記一致刺激を彩る色に対応する前記入力装置のキーが被診断者によって押された場合には、前記記憶装置に正反応として記録し、当該正反応のキー以外のキーが被診断者によって押された場合には、前記記憶装置に誤反応として記録する第1の記録工程と、前記演算装置が、前記記憶装置に格納されている色名とは異なった色で彩られた色名単語として前記表示装置に呈示される干渉ありストループ刺激及びある色で彩られた文字や記号として前記表示装置に呈示される干渉なしストループ刺激に関する情報を含む、ヒューマンエラーの発生可能性を診断するための第2のストループ課題に関する情報に基づいて、前記干渉ありストループ刺激又は前記干渉なしストループ刺激をそれぞれ所定の試行回数ランダムな順番で前記表示装置に呈示する第2の呈示工程と、前記演算装置が、前記干渉ありストループ刺激又は前記干渉なしストループ刺激の前記表示装置への呈示後、所定の時間内に、前記干渉ありストループ刺激又は前記干渉なしストループ刺激を彩る色に対応する前記入力装置のキーが被診断者によって押された場合には、前記記憶装置に正反応として記録し、当該正反応のキー以外のキーが被診断者によって押された場合には、前記記憶装置に誤反応として記録すると共に、前記タイマーを参照して、前記干渉ありストループ刺激又は前記干渉なしストループ刺激への前記入力装置を介した反応に被診断者が要する時間であるストループ反応時間を前記記憶装置に記録する第2の記録工程と、前記演算装置が、前記干渉ありストループ刺激に対する正反応の平均反応時間である干渉あり平均ストループ反応時間と、前記干渉なしストループ刺激に対する正反応の平均反応時間である干渉なし平均ストループ反応時間との差分であるストループ干渉量を算出し、このストループ干渉量が所定値以上であれば、効率的に誤ったスキーマが割り込むタイプのヒューマンエラーの発生可能性が高いと診断する診断工程と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明に係るヒューマンエラー診断プログラムは、演算装置、記憶装置、入力装置表示装置及びタイマーを備えたコンピュータに、被診断者にストループ課題を実行させて、ヒューマンエラーの発生可能性を診断する作業を実行させるためのヒューマンエラー診断プログラムであって、前記演算装置が、前記記憶装置に格納されている、色名と同じ色で彩られた色名単語として前記表示装置に呈示される一致刺激に関する情報を含む、効率的な誤ったスキーマを活性化させるための第1のストループ課題に関する情報に基づいて、前記一致刺激のみを前記表示装置に所定の試行回数順次呈示する第1の呈示ステップと、前記演算装置が、前記一致刺激の前記表示装置への呈示後、前記一致刺激を彩る色に対応する前記入力装置のキーが被診断者によって押された場合には、前記記憶装置に正反応として記録し、当該正反応のキー以外のキーが被診断者によって押された場合には、前記記憶装置に誤反応として記録する第1の記録ステップと、前記演算装置が、前記記憶装置に格納されている色名とは異なった色で彩られた色名単語として前記表示装置に呈示される干渉ありストループ刺激及びある色で彩られた文字や記号として前記表示装置に呈示される干渉なしストループ刺激に関する情報を含む、ヒューマンエラーの発生可能性を診断するための第2のストループ課題に関する情報に基づいて、前記干渉ありストループ刺激又は前記干渉なしストループ刺激をそれぞれ所定の試行回数ランダムな順番で前記表示装置に呈示する第2の呈示ステップと、前記演算装置が、前記干渉ありストループ刺激又は前記干渉なしストループ刺激の前記表示装置への呈示後、所定の時間内に、前記干渉ありストループ刺激又は前記干渉なしストループ刺激を彩る色に対応する前記入力装置のキーが被診断者によって押された場合には、前記記憶装置に正反応として記録し、前記正反応のキー以外のキーが被診断者によって押された場合には、前記記憶装置に誤反応として記録すると共に、前記タイマーを参照して、前記干渉ありストループ刺激又は前記干渉なしストループ刺激への前記入力装置を介した反応に被診断者が要する時間であるストループ反応時間を前記記憶装置記録する第2の記録ステップと、前記演算装置が、前記干渉ありストループ刺激に対する正反応の平均反応時間である干渉あり平均ストループ反応時間と、前記干渉なしストループ刺激に対する正反応の平均反応時間である干渉なし平均ストループ反応時間との差分であるストループ干渉量を算出し、このストループ干渉量が所定値以上であれば、効率的に誤ったスキーマが割り込むタイプのヒューマンエラーの発生可能性が高いと診断する診断ステップと、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
本発明に係るヒューマンエラー診断システムによれば、ヒューマンエラーの発生を有効に防止するために、ヒューマンエラーの発生可能性を的確に診断することが可能となる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、第1の実施形態に係るヒューマンエラー診断システム1の概略構成を示す図である。同図に示すように、本実施の形態に係るヒューマンエラー診断システム1は、パーソナルコンピュータ本体(以下、「PC本体」とする)10、出力表示装置としてのディスプレイ20、入力装置としてのキーボード30及び被診断者が後述するストループ課題を実行する際に選択肢の選択を行うための専用キー40とから構成されている。専用キー40は、3つの選択肢から1つを選択するために、3つのキーを備えている。
また、PC本体10は、各種演算を行う演算装置11、後述するヒューマンエラーの診断に必要な情報及び被診断者がキーボード30を介して入力する情報を保持する記憶装置12及び時間を計測するためのタイマー13を含んでいる。タイマー13は、1ms単位で時間を計測可能である。
上記構成を備えたヒューマンエラー診断システム1は、被診断者にストループ課題を実行させることで、認知的発生メカニズムのモデルに基づいた特定のエラータイプを起こす可能性を診断するシステムである。このように、特定のエラータイプを起こす可能性の程度を個人毎に診断することで、現場において適切な人材配置を実施することができ、また、そのエラータイプの起こす可能性の高い個人に対してそのエラーを起こさないように注意を促すことができ、当該エラータイプに対して有効な防止訓練を実施することができる。
本ヒューマンエラー診断システム1による診断処理を説明するにあたって、まず、上述した認知的発生メカニズムのモデルに基づいて分類されるエラータイプについて詳細に説明する。
まず、図2は、ヒューマンエラー診断システム1が対象とするヒューマンエラーの範囲を示す図である。同図に示すように、本実施の形態に係る「ヒューマンエラー」は、やるべきことが分っている場面でやるべきことを意識的にやらない「違反」は除かれる。また、本実施の形態においては、「ヒューマンエラー」を、やるべきことが分っている場面で生じるエラーである「良定義エラー」と、やるべきことが分らない場面で生じるエラーである「悪定義エラー」とに分けて捉えている。本ヒューマンエラー分離システムの対象は、この「良定義エラー」である。
続いて、図3は、上記良定義エラーの発生を説明するためのモデルを示す図である。図3(a)は、「正しく行為が実行されるとき」、図3(b)は、「誤って行為が実行されるとき」を示す図である。同図(a)に示すように、注意が「正しいスキーマ」に向けば、「正しいスキーマ」が刺激され、「正しい行為」が行われる。しかし、同図(b)に示すように、注意が「正しいスキーマ」に向かなければ、すなわち、「刺激」と「正しいスキーマ」間の連合強度が小さかったり、「刺激」と「誤ったスキーマ」間の連合強度が大きかったり、「正しいスキーマ」と「誤ったスキーマ」の出力が競合して「誤ったスキーマ」の出力が勝った場合には、「誤ったスキーマ」が刺激され、「誤った行為」が行われることになる。ここで、「スキーマ」とは、知識の構造とか認知の枠組みであり、人間が大量に保有している知識の相互関係(因果関係とか、論理的な関係)のことをいう。
次に、図4は、本実施の形態に係る認知的発生メカニズムのモデルに基づく、ヒューマンエラー分類体系を示す図である。図5は、この分類体系により分類される9つのエラータイプを説明する図である。
図4に示すように、本実施の形態に係る分類体系においては、まず、ステップ1(以下、「ステップ」を「S」とする)において、正しいスキーマへの注意が欠損した要因により、「注意の転換遅れ(S)」、「注意の逸れ(D)」、及び「持続的注意の減衰(V)」の三通りに分類される。正しい流れとして、第1のスキーマ(前のスキーマ)から第2のスキーマ(正しいスキーマ)に注意が移行することを前提とすると、「注意転換の遅れ」は、第1のスキーマから第2のスキーマへの注意の移行は行われたが、その転換のタイミングが遅かったことを意味する。また、「注意の逸れ」は、第2のスキーマへの注意が他(例えば、誤ったスキーマ等)に逸れてしまったことを意味する。また、「持続的注意の減衰」とは、第2のスキーマへの注意が減衰してしまったことを意味する。
次に、S2において、誤ったスキーマの存在の有無により分類される。すなわち、正しいスキーマ(第2のスキーマ)の代わりに注意が向けられて誤った行為を実行させたスキーマが存在するか否かにより分類される。誤ったスキーマが「なし」であれば、誤ったスキーマにより誤った行為が実行されていないことを意味し、正しいスキーマによる正しい行為が単に実行されなかったことになる。
また、上記「注意転換遅れ」の場合には、第1のスキーマから第2のスキーマ(正しいスキーマ)への転換が遅れて行われている、すなわち第1のスキーマに注意が向けられていたのであるから、この第1のスキーマが必ず誤スキーマとして存在し、「あり」となっている。また、「注意の逸れ」及び「持続的注意の減衰」の場合には、誤ったスキーマの有無により、「あり」又は「なし(NN)」に分類される。「なし」の場合には、その後の分類は行われず、「注意の逸れ(D)」−「なし(NN)」であれば、「(5)DNN」のエラータイプ、「持続的注意の減衰(V)」−「なし(NN)」であれば、「(9)VNN」のエラータイプに分類されることになる。
次に、S3において、正しいスキーマ(第2のスキーマ)の代わりに注意が向けられた誤スキーマと刺激との連合が強化された要因により分類される。要因としては、その誤スキーマに対して直前に注意が向けられていたから、という「直前活性(P)」、その誤スキーマに注意を向けることが頻繁に行われているから、という「高経験頻度(F)」の二通りに分類される。上記「注意転換遅れ」の場合には、誤スキーマである第1のスキーマに対して、直前に注意が向けられていたのであるから、すべて「直前活性(P)」となる。
次に、S4において、誤スキーマの種類によって、分類される。S3において、「直前活性」に分類されている場合には、誤スキーマは直前に注意が向けられていたスキーマであるから、すべて「直前活性スキーマ(P)」に分類される。但し、「注意転換の遅れ」−「あり」−「直前活性」の場合には、誤スキーマが、その前に注意が向けられていた第1のスキーマであるから、直前活性スキーマとは呼ばず、「その前のスキーマ(A)」としている。そして、「注意転換の遅れ(S)」−「あり」−「直前活性(P)」−「その前のスキーマ(A)」の場合には、「(1)SPA」のエラータイプ、「注意の逸れ(D)」−「あり」−「直前活性(P)」−「直前活性スキーマ(P)」の場合には、「(4)DPP」のエラータイプ、「持続的注意の減衰(V)」−「あり」−「直前活性(P)」−「直前活性スキーマ(P)」の場合には、「(8)VPP」のエラータイプとして分類されることになる。
また、S3において、「高経験頻度(F)」に分類されている場合には、通常であれば高い確率で正しいスキーマとなる「正スキーマ率高スキーマ(G)」、又は効率的なスキーマである「効率的誤スキーマ(B)」の二通りに分類される。
よって、「注意の逸れ(D)」−「あり」−「高経験頻度(F)」−「正スキーマ率高スキーマ(G)」の場合には、「(2)DFG」のエラータイプ、「注意の逸れ(D)」−「あり」−「高経験頻度(F)」−「効率的誤スキーマ(B)」の場合には、「(3)DFB」のエラータイプ、「持続的注意の減衰(V)」−「あり」−「高経験頻度(F)」−「正スキーマ率高スキーマ(G)」の場合には、「(6)VFG」のエラータイプ、「持続的注意の減衰(V)」−「あり」−「高経験頻度(F)」−「効率的誤スキーマ(B)」の場合には、「(7)VFB」のエラータイプに分類されることになる。
続いて、図5に基づいて、それぞれのエラータイプについて、さらに、詳細に説明する。
同図に示すように、まず、(1)SPAは、「ある作業や判断から別の作業や判断に急速に切替える必要がある際の切替えが遅れる」タイプのエラーである。例えば、航空機の操縦に関して、急な機体の状態変化により、至急操縦パターンを変えなければならないような事態に際して、操縦パターンの切替えが遅れる、といったヒューマンエラーが、(1)SPAに該当する。
(2)DFGは、「正しい作業や判断への注意が他に逸れたときに、通常ならば正しい作業や判断が割り込む」タイプのエラーである。例えば、列車の運行遅れが生じているケースにおいて、降雨や多数の乗客によりブレーキ力が弱くなっている(通常とは異なっている)ため、通常とは異なるタイミングでブレーキをかけなければならないのに、注意が列車の遅れに逸れてしまい、通常のタイミングでブレーキをかけてしまって、止まりきれなかった、といったヒューマンエラーが、(2)DFGに該当する。
(3)DFBは、「正しい作業や判断への注意が他に逸れたときに、効率的な誤った作業や判断が割り込む」タイプのエラーである。例えば、列車の運行遅れが生じているケースにおいて、列車出発時に出発信号が青であることを確認しなければならないのに、注意が列車遅れに逸れてしまい、信号確認を行わなかった、といったヒューマンエラーが、(3)DFBに該当する。出発信号は、ほとんどの場合、青であり、確認しないほうが効率的であるため、このようなエラーが生じてしまう。
(4)DPPは、「正しい作業や判断への注意が他に逸れたときに、直前の作業や判断が割り込む」タイプのエラーである。例えば、前の行路で特急を運転した運転手が運転する列車の運行に遅れが生じているケースにおいて、運転手の注意が列車遅れに逸れてしまったために、特急運転時の停車パターンが割り込んでしまい、準急停車駅を通過してしまった、といったヒューマンエラーが、(4)DPPに該当する。
(5)DNNは、「正しい作業や判断への注意が他に逸れたときに、正しい作業や判断が行われない」タイプのエラーである。例えば、故障により列車が駅間で動けなくなり、牽引のための救援列車を要請したケースにおいて、故障が直ったとしても、救援列車が来るまで現場で待つか、直った旨を司令所に連絡する必要があるのに、故障による列車の遅れに注意が逸れ、現場で待つ又は司令所に連絡するという作業を忘れて、列車を動かしてしまう、といったヒューマンエラーが、(5)DNNに該当する。
(6)VFGは、「正しい作業や判断からの持続的注意が減衰したときに、通常ならば正しい作業や判断が割り込む」タイプのエラーである。例えば、線路工事により徐行区間が設けられている場合、運転手は徐行信号機とその予告標を探しながら、すなわち予告標に対して継続的に注意を払いながら運転する必要があるが、予告標への注意が散漫になり、予告標への注意を払う必要のない通常時の運転パターンにより運転し、予告標を見落として徐行のためのブレーキが遅れた、といったヒューマンエラーが、(6)VFGに該当する。
(7)VFBは、「正しい作業や判断からの持続的注意が減衰したときに、効率的な作業や判断が割り込む」タイプのエラーである。例えば、列車の車庫入れ作業に関して、入換え信号機が故障してしまったケースにおいて、運転手は、作業員の入換え合図を窓から顔を出して確認しながらバックで車庫入れし、作業員からの停止合図が出るまで持続的に入換え合図に注意を払わなければならないのに、大体停止する位置がわかっているために、持続的注意が散漫になり、入換え合図を確認しないという効率的な作業を行ってしまい、作業員からの停止合図が送られた時にブレーキをかけるのが遅れてしまった、といったヒューマンエラーが、(7)VFBに該当する。
(8)VPPは、「正しい作業や判断から持続的注意が減衰したときに、直前の作業や判断が割り込む」タイプのエラーである。例えば、列車の運転士は、次の停車駅に対して注意を向け続けながら運転しなければならないのに、持続的注意が散漫になり、前の行路での特急停車駅パターンが思い浮かんでしまって、停車駅を通過してしまった、といったヒューマンエラーが(8)VPPに該当する。
(9)VNNは、「正しい作業や判断からの持続的注意が減衰したときに、正しい作業や判断が行われない」タイプのエラーである。例えば、駅間での列車故障により救援列車が要請された際に、救援列車の運転士は、故障列車に持続的に注意を向けながら運転しなければならないが、注意が散漫になり、故障列車のことを忘れてしまい、故障列車の発見が遅れてブレーキをかけるのが遅れてしまった、といったヒューマンエラーが考えられる。
以上、認知的発生メカニズムに基づいて分類されるエラータイプについて説明したが、第1の実施形態に係るヒューマンエラー診断システム1は、上記(3)DFBタイプのエラー(以下、「DFBエラー」とする)の発生可能性を診断するシステムである。以下、診断処理について詳細に説明する。
本実施の形態に係るDFBエラー発生可能性を診断するための課題としては、「一致刺激のみによるストループ課題」(第1のストループ課題)と「二重課題によるストループ課題」(第2のストループ課題)とを組み合わせて用いる。ストループ課題とは、色の名前がその色とは異なる色の文字で記されているとき、文字の色の名前を言うのが遅れる現象であるストループ効果を利用した課題である。本実施の形態では、このストループ課題に、数値の暗唱課題を付加して二重課題としている。なお、ストループ効果に関しては、嶋田博行著「ストループ効果−認知心理学からのアプローチ」(培風館、1994/11)に、詳細に説明されている。
図6は、DFBエラー発生可能性を診断するための課題全体の構成を示す図である。同図に示すように、DFBエラー発生可能性の診断は、効率習慣形成段階と、DFBエラー発生可能性診断段階とから構成される。
効率習慣形成段階は、文字を彩る色の名前を答えるという表示色名呼称に対して注意を向けないようにするための誤った効率的な習慣(スキーマ)を形成させるために、「一致刺激のみによるストループ課題」(第1のストループ課題)を行うものである。表示色名呼称とは、ディスプレイ上に表示された単語(例えばひらがな単語)を彩る色の名前を回答することを意味している。効率習慣形成段階での一致刺激のみによるストループ課題は、180回の試行から構成される。
また、誤った効率習慣の形成では、被診断者に効率的な作業を繰り返えさせることにより、誤った効率的なスキーマが活性化される。例えば、普段の作業において、列車を出発させる際に、出発信号が青であることを確認しなければならない場面を想定する。しかし、普段の作業での出発信号は、ほとんどの場合に青であることが多い。このため、列車出発時に出発信号を確認しないほうが作業上効率的であるので、このような誤った効率習慣が形成される。誤った効率習慣が活性化されることにより、正しい行為や判断に向けられるはずの注意が逸れ、本来向けられるはずの行為や判断(出発信号の確認)への注意力が減少される。
次に、DFBエラー発生可能性診断段階では、効率習慣形成段階において形成された誤った効率習慣の活性化度合いを測定するために、「二重課題によるストループ課題」(第2のストループ課題)が行われる。このように、本実施の形態においては、効率習慣形成段階後に、二重課題によるストループ課題を実施することにより、注意分割場面における効率的ヒューマンエラーの割り込み可能性の個人差を評価することができる。なお、DFBエラー発生可能性診断段階での二重課題によるストループ課題は、60回の試行から構成される。
このように、本実施の形態においては、効率習慣形成段階とDFBエラー発生可能性診断段階を連続して実行することで、DFBエラーの発生可能性を診断することができる。
続いて、効率習慣形成段階の内容について詳細に説明する。図7は、一致刺激のみによるストループ課題の構成内容を示す図である。同図に示すように、一致刺激のみによるストループ課題のストループ刺激としては、一致刺激(効率化促進刺激)が用いられる。一致刺激とは、その色と同じ色で彩られた色名を示す単語(例えばひらがな単語)がディスプレイ上に表示され、被診断者に呈示されるものである。本実施の形態では、赤色に彩られた単語「あか」、青色に彩られた単語「あお」、黄色に彩られた単語「きいろ」の何れか一つが呈示される。また、各色の一致刺激は、それぞれ60回の試行から構成され、赤色に彩られた単語「あか」、青色に彩られた単語「あお」、黄色に彩られた単語「きいろ」が、ランダムな順番で計180回呈示される。
一致刺激のみによるストループ課題では、ディスプレイ上に表示された単語を彩る色の名前を被診断者に回答させる「表示色名呼称」が行われる。しかし、被診断者は、ディスプレイ上に表示される単語は、色の名前と同じ色で彩られた色名を示す単語であるので、単語の意味をそのまま答える「文字読み」をしても回答結果は同じである。このため、被診断者は、習慣的に結びつきの強い文字読みで回答するほうが容易であるので、表示色名呼称で回答せず、文字読みで回答するようになる。そして、このような一致刺激のみによるストループ課題を繰り返すことにより、表示色名呼称ではなく文字読みで回答するという誤った効率習慣が形成される。
次に、効率習慣形成段階での各試行の手順について、図8を参照して説明する。図8は、n番目の試行の手順を示すフローチャートである。同図に示すように、第n試行が開始(S10)されると、ストループ刺激及びストループ選択肢がディスプレイ20に呈示される(S11)。図9は、ストループ刺激及びストループ選択肢の呈示画面の一例を示す図である。同図の中央に示されているのが、ストループ刺激であり、本例では、一致刺激である青色に彩られた単語「あお」100が呈示されている。また、下方に示されているのが、ストループ選択肢であり、黒色に彩られた単語「あか」101、「きいろ」102、「あお」103が、この順で横に並んで呈示されている。なお、この順番はランダムであり、試行毎に変更されるよう構成されている。本例では、ストループ刺激が青色に彩られた文字であるので、選択肢の「あお」103を選択すると正解となる。また、S11の開始と同時に、タイマー13が始動する。
次に、被診断者が反応(文字の色を回答)する(S12)と、タイマー13は停止し、被診断者の反応に関する情報が記憶装置12に記録される。被診断者の反応は、ストループ刺激の色を表す選択肢に対応する専用キー40を押すことによって行われる。また、図10は、記憶装置12に記録される反応に関する情報を示す図である。S13においては、試行毎に、被診断者が正しい選択肢を選択しているか否かを示すストループ反応の正誤(0:誤、1:正)、タイマー13により計測されたストループ反応時間(ms)が記録される。
そして、第n試行が終了すると、直ちに、第n+1試行が開始され、180回全ての試行が終了するまで、上述した手順が繰り返される。なお、上述した手順は、演算装置11が、記憶装置12、タイマー13及びディスプレイ20等を制御することで実行され、キーボード30及び専用キー40から被診断者により入力される情報の記憶装置12への格納も、演算装置11の制御により実行される。
続いて、DFBエラー発生可能性診断段階の内容について詳細に説明する。二重課題によるストループ課題は、4桁数値、ストループ刺激及びストループ選択肢の3つの構成要素から成る。4桁数値とは、0乃至9までの数値をランダムに並べた4桁の数値が、PC本体のスピーカーから音声で被診断者に呈示されるものである。ランダムな4桁の数値は、演算装置11が生成する。
また、ストループ刺激としては、干渉あり刺激と、干渉なし刺激の二つがあり、何れか一方が、ランダムな順番でディスプレイ中央に呈示される。干渉あり刺激は、色の名前と異なった色で彩られた色名を示す単語(例えば、ひらがな単語)がディスプレイ上に表示され、被診断者に呈示されるものである。本実施の形態では、赤色に彩られた単語「あお」、赤色に彩られた単語「きいろ」、青色に彩られた単語「あか」、青色に彩られた単語「きいろ」、黄色に彩られた単語「あか」、黄色に彩られた単語「あお」の何れか一つが呈示される。また、干渉なし刺激は、赤色に彩られた記号「++」、青色に彩られた記号「++」、黄色に彩られた記号「++」の何れか一つが呈示される。
次に、二重課題によるストループ課題の構成内容について説明する。本実施の形態に係る課題は、60回の試行から構成され、上述の干渉あり及び干渉なしのストループ刺激が、ランダムな順番で60回呈示される。
図11は、60回の試行の内訳を示す図である。同図に示すように、干渉あり刺激が30回、干渉なし刺激が30回試行される。また、干渉あり刺激は、赤色に彩られた単語「あお」、赤色に彩られた単語「きいろ」、青色に彩られた単語「あか」、青色に彩られた単語「きいろ」、黄色に彩られた単語「あか」、黄色に彩られた単語「あお」が、それぞれ5回ずつ試行される。干渉なし刺激は、赤色に彩られた記号「++」、青色に彩られた記号「++」、黄色に彩られた記号「++」が、それぞれ10回ずつ試行される。
次に、DFBエラー発生可能性診断段階での各試行の手順について、図12を参照して説明する。図12は、n番目の試行の手順を示すフローチャートである。同図に示すように、第n試行が開始(S20)されると、まず、S21において、ランダムな4桁の数値がPC本体10のスピーカーから被診断者に呈示される。この4桁数値は、記憶装置12に一時的に格納される。
S21が終了してから1秒後に、ストループ刺激及びストループ選択肢がディスプレイ20に呈示される(S22)。図9は、ストループ刺激及びストループ選択肢の呈示画面の一例を示す図である。同図の中央に示されているのが、ストループ刺激であり、本例では、干渉ありストループ刺激である赤色に彩られた単語「あお」100が呈示されている。また、下方に示されているのが、ストループ選択肢であり、黒色に彩られた単語「あか」101、「きいろ」102、「あお」103が、この順で横に並んで呈示されている。本例では、ストループ刺激が赤色に彩られた文字であるので、選択肢の「あか」101を選択すると正解となる。また、S12の開始と同時に、タイマー13が始動する。
次に、被診断者が反応(文字の色を回答)する(S23)と、タイマー13は停止し、被診断者の反応に関する情報が記憶装置12に記録される。被診断者の反応は、ストループ刺激の色を表す選択肢に対応する専用キー40を押すことによって行われる。また、図13は、記憶装置12に記録される反応に関する情報を示す図である。S23においては、試行毎に、ストループ刺激の種類(0:干渉なし、1:干渉あり)、被診断者が正しい選択肢を選択しているか否かを示すストループ反応の正誤(0:誤、1:正)、タイマー13により計測されたストループ反応時間(ms)が記録される。なお、図13の試行5の欄に示すように、被診断者による反応がないまま2秒を経過した場合には、その試行についてのストループ反応の正誤は記録されず、ストループ反応時間は2000msとして、記憶装置12に記録される。
続いて、S24において、数値入力画面がディスプレイ20上に呈示されると共に、再びタイマー13を始動させる。被診断者は、S11で呈示された4桁の数値を、自己の記憶を頼りに、キーボード30を介して入力する(S25)。ここで、演算装置11は、S11で一時的に記憶装置12に記録しておいた4桁の数値と、S25で被診断者が入力した4桁の数値が一致するか否かを判断し、その正誤を、さらに記憶装置12に記録する(図13参照)。
なお、S24で数値入力画面が呈示された後、被診断者による入力がないまま3秒を経過した場合には、S25においては、その試行について自動的に入力数値が「誤」であるとされ、記憶装置12に記録される。このようにして、入力数値の正誤が記憶装置12に記録されると、タイマー13も停止され、第n試行が終了する(S26)。そして、第n試行が終了すると、直ちに、第n+1試行が開始され、60回全ての試行が終了するまで、上述した手順が繰り返される。なお、上述した手順は、演算装置11が、記憶装置12、タイマー13及びディスプレイ20等を制御することで実行され、キーボード30及び専用キー40から被診断者により入力される情報の記憶装置12への格納も、演算装置11の制御により実行される。
次に、本実施の形態に係るヒューマンエラー診断システム1が、上記DFBエラー発生可能性診断段階において得られた情報(図13)から、DFBエラーの発生可能性を診断する処理について、詳細に説明する。本処理では、演算装置11が、上記記憶装置12に記録されている情報から、ストループ誤反応率及びストループ干渉量の値を算出し、これらの値に基づいて発生可能性の診断を行っている。
なお、効率習慣形成段階(一致課題のみによるストループ課題)の反応正誤及び反応時間(図10)は、一致課題のみによるストループ課題が被診断者に正しく実施されていたかどうかを判断するための指標として用いる。具体的には、効率習慣形成段階での誤反応率が高い被診断者(例えば誤反応率が0.1以上の者)は、DFBエラー発生可能性診断段階に進ませず、判定不能として、強制的に診断を終了させる。これは、一致課題のみによるストループ課題がいい加減に行われていれば、効率的習慣が全く形成されていない可能性があり、以後行われるDFBエラー発生可能性診断段階(二重課題によるストループ課題)において、効率的習慣の割り込みエラー発生可能性を診断できなくなるからである。
まず、ストループ誤反応率の算出方法について説明する。このストループ誤反応率の算出では、干渉ありストループ刺激に係る試行のみを対象とする。まず、干渉ありストループ刺激に係る30試行から入力数値の正誤が「誤」の試行(図13において、数値入力正誤が「0」の試行)の数を減算し、「修正干渉あり試行数」を求める。次に、干渉ありストループ刺激に係る30試行の中で、入力数値の正誤が「正」であり、且つストループ反応が「誤」である試行(図13において、ストループ反応正誤が「0」の試行)の数に、入力数値の正誤が「正」であり、且つストループ反応時間が2000である試行の数を加算し、「修正干渉あり誤反応数」を求める。ストループ誤反応率は、修正干渉あり誤反応数を修正干渉あり試行数で割ったものであり、以下の式1により求められる。
(ストループ誤反応率)=(修正干渉あり誤反応数)/(修正干渉あり試行数)…(1)
次に、ストループ干渉量の算出方法について説明する。まず、60試行の中から、数値入力が誤反応である試行(図13において、数値入力正誤が「0」であるもの)、ストループ反応が誤反応である試行(図13において、ストループ反応正誤が「0」のもの)、及びストループ反応時間が2000msの試行を除外する。そして、残った試行のストループ反応時間に関して、「平均反応時間」と「標準偏差」を求め、ストループ反応時間が、「(平均反応時間)−(2×標準偏差)」以下の試行、及び「(平均反応時間)+(2×標準偏差)」以上の試行をさらに除外する。
続いて、残っている試行のうち、干渉なしストループ刺激に係る試行のストループ反応時間の平均値を求め、「干渉なし平均反応時間」とする。また、残された試行のうち、干渉ありストループ刺激に係る試行のストループ反応時間の平均値を求め、「干渉あり平均反応時間」とする。ストループ干渉量は、干渉あり平均反応時間から干渉なし平均反応時間を減算したものであり、以下の式2により求められる。
(ストループ干渉量)=(干渉あり平均反応時間)−(干渉なし平均反応時間)…(2)
次に、このようにして求めたストループ誤反応率及びストループ干渉量の診断指標から、DFGエラーの発生可能性を診断する基準について説明する。図14は、この診断基準を示す図である。まず、ストループ誤反応率に関しては、「ストループ誤反応率≧0.2」である者は、DFBエラーを発生する可能性が高い者と診断される。また、ストループ干渉量に関しては、「ストループ干渉量≧80」である者は、DFBエラーを発生する可能性が高い者と診断され、「50≦ストループ干渉量<80」である者は、DFBエラーを発生する可能性が中程度の者と診断され、「ストループ干渉量<50」である者は、DFBエラーを発生する可能性が低い者であると診断される。なお、診断に用いるこれらの閾値は、条件等に合わせて適宜変更可能である。
また、最終的な診断結果に関しては、ストループ誤反応率に基づく診断結果とストループ干渉量による診断結果を比較し、悪い方の診断結果を最終的な診断結果とする。安全サイドで診断するためである。例えば、ストループ誤反応率による診断結果が「可能性大」で、ストループ干渉量による診断結果が「可能性小」の場合には、最終的な診断結果は、「DFBエラー可能性大」となる。
ここで、本実施の形態に係る効率習慣形成段階及びDFBエラー発生可能性診断段階からなる課題により、DFBエラーの発生可能性を診断できる理由について詳細に説明する。DFBエラーとは、図4及び図5を参照して説明したように、いつもとは異なる状況で、今回実行すべきスキーマに基づいて作業や判断を行わなければならないところを、注意が何かに逸れた時に、効率的であるがゆえに習慣化されたスキーマに基づいて、効率的な誤った作業や判断が割り込んでしまうエラーである。通常の状況であれば、今回実行すべきスキーマに十分に注意を向けることで正しい作業や判断を実行できるのであるが、いつもと異なる状況であれば、そちらに注意が逸れてしまい、効率的であるがゆえに習慣化された誤ったスキーマが活性化され、実行されてしまうのである。
これは、人の情報処理が効率性に基づいて習慣化されるものであり、効率的に習慣化されたスキーマは、注意を向けなくても無意識に取り出され易いからである。このように考えると、いつもとは異なった状況でも、大抵は効率的に習慣化されたスキーマが取り出されてしまうことになるが、これでは、いつもと異なった状況で正しい作業や判断を行うことが不可能になってしまう。実際には、いつもと異なった状況であっても、人は柔軟に対応でき、大抵は非効率的であったとしても今回行うべきスキーマを取り出すことにより、正しい作業や判断を行っている。
このような柔軟な対応を可能にしているのが、図3においても説明したように注意機能である。図15は、DFBエラーの発生を説明するためのモデルを示す図である。図15(a)は、いつもと異なる状況で、「正しく行為が実行されるとき」、図15(b)は、いつもと異なる状況で、「誤った行為が実行されるとき」のモデルを示している。
図15(a)に示すように、注意が今回実行すべき正しいスキーマに向けられていれば、効率的に習慣化された誤ったスキーマが刺激されることはなく、正しいスキーマに基づいた正しい行為が実行されることになる。一方、外的環境の突発事態や次の仕事の悩みなどの内的要因等の他の事柄に注意が奪われた場合には、図15(b)に示すように、今回実行すべき正しいスキーマから注意が逸れてしまう。その結果、同図に示すように、効率的に習慣化された誤ったスキーマが刺激されてしまい、これに基づいた誤った行為が実行されてしまうことになる。
本実施の形態においては、この効率的に習慣化された誤ったスキーマには、呈示された色名単語を彩る色の名前を単語の意味で答えること(文字読み)が対応している。ストループ課題は、色名単語を彩る色の名前を答えるという(表示色呼称)課題であるが、一般的に、表示色呼称よりも文字読みのほうが、断然効率的である。
効率習慣形成段階では、色名単語の意味する色と、色名単語を彩る色とが同じ色である(一致刺激)ため、どちらの方法で答えても答えは正解となる。したがって、被診断者は、効率習慣形成段階において180試行の一致刺激によるストループ課題を実行することで、正しいスキーマの表示色呼称ではなく、誤ったスキーマである文字読みが、習慣化されてしまことになる。
これに対して、DFBエラー発生可能性診断段階(二重課題によるストループ課題)では、その意味する色と異なる色で彩られた色名単語が呈示される試行(干渉あり刺激)が含まれている。したがって、被診断者は正しいスキーマである表示色呼称で答えなければ不正解となってしまうのであるが、注意が他の事柄に逸れてしまった時に、効率習慣形成段階において活性化された効率的な誤スキーマである文字読みが刺激され、割り込んでしまう場合がある。ここで、注意を逸らす対象である他の事柄には、ストループ課題に付加される数値の暗唱課題が対応している。
すなわち、干渉ありストループ課題において発生するエラーは、文字読みではなく表示色呼称で回答しなければならない状況において、注意が他の事柄に逸れてしまい(いつもとは異なる状況)、表示色呼称を実行させるスキーマ(正しいスキーマ)に基づいて回答(正しい行為)しなければならないところを、うっかり文字読みの回答を実行させる習慣化されたスキーマ(誤ったスキーマ)に基づいて、その文字の意味を回答(誤った行為)してしまうために生じるものと考えられる。
このように、二重課題によるストループ課題において生じる干渉ありストループ誤反応は、DFBエラーそのものと考えることができる。したがって、第1の実施形態に係るストループ誤反応率(式1)は、DFBエラーの発生可能性を直接示す指標となる。
但し、ストループ課題における誤反応は、一般に非常にまれにしか発生しない。このため、ストループ誤反応率のみでは、潜在的なヒューマンエラーの発生可能性を正確に診断することは困難である。このため、本実施の形態においては、類似のメカニズムが想定されるストループ干渉量(式2)と併せて診断を行っている。ストループ干渉量は、ストループ課題における干渉あり平均反応時間と干渉なし平均反応時間との差であるが、DFBエラーを引き起こす可能性は、色名単語の文字の色の回答(すなわち、正しい行為)にかかる時間の遅れとして現れると考えられるからである。すなわち、第1の実施形態に係るストループ干渉量は、DFBエラーの発生可能性を間接的に示す指標となる。なお、通常、干渉なしストループ刺激に対する人の反応は500ms程度、ストループ干渉量は数十ms程度である。
ここで、本実施の形態に係るヒューマンエラー診断システム1の機能は、PC本体10にこれらの機能を実現するためのプログラムをインストールすることで実現される。
以上、詳細に説明したように、本実施形態に係るヒューマンエラー診断システムによれば、認知的発生メカニズムのモデルに基づき分類されたDFBエラーの発生可能性を的確に診断することが可能である。また、この診断結果に基づき、DFBエラー発生可能性の高い個人に対して、DFBエラーに対する注意を促したり、DFBエラー防止訓練を実施したりすることができ、ヒューマンエラーの発生を効果的に防止することができる。また、DFBエラーの発生可能性を考慮した人材配置を行うことでも、効果的にヒューマンエラーの発生を効果的に防止することが可能になる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態に係るヒューマンエラー診断システムは、第1の実施形態に係るヒューマンエラー診断システムとほぼ同様の構成を有しているので、同様の構成については説明を省略し、異なる構成についてのみ詳細に説明する。
第2の実施形態に係るヒューマンエラー診断システム1は、上記(7)VFBタイプのエラー(以下、「VFBエラー」とする)の発生可能性を診断するシステムである点で、第1の実施形態と大きく異なっている。このため、本実施の形態では、VFBエラーの発生可能性を診断するための課題として、「一致刺激のみによるストループ課題」と、第1の実施形態の「二重課題によるストループ課題」に代えて、「監視課題によるストループ課題」とを組み合わせて用いることにより診断を行っている。
図16は、VFBエラー発生可能性を診断するための課題全体の構成を示す図である。同図に示すように、VFBエラー発生可能性の診断は、効率習慣形成段階と、VFBエラー発生可能性診断段階とから構成される。なお、効率習慣形成段階は、「一致刺激のみによるストループ課題」(第1のストループ課題)を用いる第1の実施形態と同様であるので、説明は省略する。
VFBエラー発生可能性診断段階での監視課題によるストループ課題(第2のストループ課題)は、フィラー刺激、ストループ刺激及びストループ選択肢の3つの構成要素から成り、ストループ刺激及びストループ選択肢については、第1の実施形態と同じである。また、フィラー刺激とは、黒色に彩られた星印「★★」が、灰色に彩られたディスプレイ画面の中央に呈示されるものである。
次に、監視課題によるストループ課題の構成内容について説明する。本実施の形態に係るストループ課題も、第1の実施形態と同様に60回の試行から構成され、その内訳も図11に示す内訳と同じである。但し、各試行における手順は、第1の実施形態の手順と異なる。
図17は、本実施の形態に係るn番目の試行の手順を示すフローチャートである。同図に示すように、第n試行が開始(S30)されると、まず、S31において、フィラー刺激1としての黒色に彩られた星印「★★」が、灰色に彩られたディスプレイ画面の中央に1秒間呈示される。続いて、S31の1秒後に、同様にフィラー刺激2が1秒間呈示される(S32)。このフィラー刺激の呈示は、同様にm回繰り返される(S34)。この回数mは、最も少ない試行で20回、最も多い試行で40回、全ての試行合わせて1800回(平均30回)となるように、各試行に対してランダムに回数が設定されている。
S24においてm回目のフィラー刺激が呈示されてから1秒後に、ストループ刺激及びストループ選択肢がディスプレイ20に呈示される(S35)。このS35は第1の実施形態のS22と同様である。続いて、S36において、被診断者が反応し、それに応答する処理が演算装置11により実行されると、1秒後に第n試行が終了する(S37)。このS36も第1の実施形態のS23と同様に、被診断者による反応がないまま2秒を経過した場合には、その試行についてストループ反応の正誤は記録されず、ストループ反応時間が2000msとして、記憶装置12に記録される。
図18は、第2の実施形態において、記憶装置に記録される情報を示す図である。同図に示すように、第2の実施形態では、第1の実施形態の数値入力(S25)に対応する工程がないので、第1の実施形態に係る図13の項目から数値入力の正誤を除いた、ストループ刺激の種類、ストループ反応の正誤及びストループ反応時間が記録される。
第2の実施形態においても、第n試行が終了すると、直ちに第n+1試行が開始され、60回の試行が終了するまで、図17に示す手順が繰り返される。このように各試行が繰り返されると、フィラー刺激は、ストループ刺激の各呈示の間に割り込んでディスプレイ画面に所定の回数呈示されることになる。すなわち、被診断者に、不規則数のフィラー刺激が呈示される状況でストループ刺激を待ち続けるという監視課題が与えられることになる。なお、上述した手順は、演算装置11が、記憶装置12、タイマー13及びディスプレイ20等を制御することで実行され、キーボード30及び専用キー40から被診断者により入力される情報の記憶装置12への格納も、演算装置11の制御により実行される。
次に、本実施の形態に係るヒューマンエラー診断システム1が、上記ストループ課題により得られた情報(図18)から、VFBエラーの発生可能性を診断する処理について、詳細に説明する。本処理では、演算装置11が、上記記憶装置12に記録されている情報から、ストループ誤反応率及びストループ干渉量の値を算出し、これらの値に基づいて発生可能性の診断を行っている。
なお、一致課題のみによるストループ課題の反応正誤及び反応時間は、第1の実施の形態と同様に、効率的習慣形成段階であるストループ課題が被診断者に正しく実施されていたかどうかを判断するための指標として用いる。
まず、ストループ誤反応率の算出方法については、第1の実施形態と同様であり、下記式1により求められる。
(ストループ誤反応率)=(修正干渉あり誤反応数)/(修正干渉あり試行数)…(1)
続いて、ストループ干渉量の算出方法について説明する。第2の実施形態では、入力数値の正誤がないため、第1の実施形態とは算出方法が若干異なる。まず、60試行の中から、ストループ反応が誤反応である試行(図18において、ストループ反応正誤が「0」のもの)、及びストループ反応時間が2000msの試行を除外する。以降の処理は、第1の実施形態と同様であり、残った試行のストループ反応時間に関して、「平均反応時間」と「標準偏差」を求め、ストループ反応時間が、「(平均反応時間)−(2×標準偏差)」以下の試行、及び「(平均反応時間)+(2×標準偏差)」以上の試行をさらに除外する。
続いて、残っている試行のうち、干渉なしストループ刺激に係る試行のストループ反応時間の平均値を求め、「干渉なし平均反応時間」とする。また、残された試行のうち、干渉ありストループ刺激に係る試行のストループ反応時間の平均値を求め、「干渉あり平均反応時間」とする。ストループ干渉量は、干渉あり平均反応時間から干渉なし平均反応時間を減算したものであり、下記式2により求められる。
(ストループ干渉量)=(干渉あり平均反応時間)−(干渉なし平均反応時間)…(2)
次に、このようにして求めたストループ誤反応率及びストループ干渉量の診断指標から、VFBエラーの発生可能性を診断する基準について説明する。本実施の形態での診断基準は、図14に示す第1の実施形態に係る診断基準と同様である。よって、まず、ストループ誤反応率に関しては、「ストループ誤反応率≧0.2」である者は、VFBエラーを発生する可能性が高い者と診断される。また、ストループ干渉量に関しては、「ストループ干渉量≧80」である者は、VFBエラーを発生する可能性が高い者と診断され、「50≦ストループ干渉量<80」である者は、VFBエラーを発生する可能性が中程度の者と診断され、「ストループ干渉量<50」である者は、VFBエラーを発生する可能性が低い者であると診断される。
また、最終的な診断結果に関しても、ストループ誤反応率に基づく診断結果とストループ干渉量による診断結果を比較し、悪い方の診断結果を最終的な診断結果とする。例えば、ストループ誤反応率による診断結果が「可能性大」で、ストループ干渉量による診断結果が「可能性小」の場合には、最終的な診断結果は、「VFBエラー可能性大」となる。
続いて、監視課題によるストループ課題により、VFBエラーの発生可能性を診断できる理由について詳細に説明する。VFBエラーとは、図4及び図5を参照して説明したように、一定時間注意を向け続ける必要のある状況で、今回実行すべきスキーマに基づいて作業や判断を行わなければならないところを、ぼんやりしたときに、効率的であるがゆえに習慣化されたスキーマに基づいた効率的な誤った作業や判断が割り込んでしまうエラーである。
つまり、VFBエラーの発生メカニズムも、第1の実施形態におけるDFBエラーの発生メカニズムとほぼ同様であるが、DFBエラーでは、注意が他の事柄に逸れたために正しいスキーマへの注意が減衰するのに対して、VFBエラーでは、正しいスキーマへの持続的注意が、ぼんやりしたために減衰する点で相違する。
図19は、VFBエラーの発生を説明するためのモデルを示す図である。図19(a)は、いつもと異なる状況で、「正しく行為が実行されるとき」、図19(b)は、いつもと異なる状況で、「誤った行為が実行されるとき」のモデルを示している。
図19(a)に示すように、注意が今回実行すべき正しいスキーマに向けられていれば、効率的に習慣化された誤ったスキーマが刺激されることはなく、正しいスキーマに基づいた正しい行為が実行されることになる。一方、ぼんやりしてしまった場合には、図19(b)に示すように、今回実行すべき正しいスキーマへの注意が減衰してしまう。その結果、同図に示すように、効率的に習慣化された誤ったスキーマが刺激されてしまい、これに基づいた誤った行為が実行されてしまうことになる。
そして、本実施の形態に係る監視課題によるストループ課題では、VFBエラーにおける効率的に習慣化された誤スキーマの割り込みといった現象には、ストループ課題において、色名単語の文字読み(効率的に習慣化された誤スキーマ)が割り込むという現象が対応している。また、ぼんやりにより注意力が減衰する現象は、不規則数のフィラー刺激が呈示される状況でストループ刺激を待ち続けるという監視課題により実現している。
以上より、第1の実施形態と同様に、監視課題によるストループ課題において生じる干渉ありストループ誤反応は、VFBエラーそのものと考えられる。すなわち、第2の実施の形態に係るストループ誤反応率(式1)は、VFBエラーの発生可能性を直接示す指標となる。
また、ストループ干渉量(式2)については、第1の実施形態と同様に、VFBエラーを引き起こす可能性が、色名単語の文字の色の回答にかかる時間の遅れとして現れると考えられる。よって、第2の実施形態に係るストループ干渉量は、VFBエラーの発生可能性を間接的に示す指標となる。
ここで、本実施の形態に係るヒューマンエラー診断システム1の機能は、PC本体10にこれらの機能を実現するためのプログラムをインストールすることで実現される。
以上、詳細に説明したように、本実施形態に係るヒューマンエラー診断システムによれば、認知的発生メカニズムのモデルに基づき分類されたVFBエラーの発生可能性を的確に診断することが可能である。また、この診断結果に基づき、VFBエラー発生可能性の高い個人に対して、VFBエラーに対する注意を促したり、VFBエラー防止訓練を実施したりすることができ、ヒューマンエラーの発生を効果的に防止することができる。また、VFBエラーの発生可能性を考慮した人材配置を行うことでも、ヒューマンエラーの発生を効果的に防止することが可能になる。
以上、第1及び第2の実施形態に基づいて、本発明について詳細に説明したが、本発明の実施形態は、これらに限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
例えば、第1及び第2の実施形態における試行回数等は適宜変更可能であり、回数を多くすれば、より的確な診断を行うことができる。
また、第1及び第2の実施の形態においては、図4及び図5に示すエラー分類体系に基づいて分類されたDFBエラー及びVFBエラーの発生可能性を診断しているが、本発明の診断対象であるエラータイプはこの2つのエラータイプに限定されるものではない。すなわち、第1及び第2の実施形態に係るストループ課題によれば、いつもと異なる状況で効率的に習慣的なスキーマが割り込むといったエラータイプの発生可能性を診断することが可能であるから、図4及び図5の分類体系に基づいて分類されたエラータイプの発生可能性だけでなく、習慣的なスキーマが割り込むといったヒューマンエラーであれば、その発生可能性を診断することが可能である。そして、エラータイプに合わせて、ストループ課題に「二重課題」や「監視課題」などを加えることで、よりそのエラータイプに即した発生可能性を診断することができる。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るヒューマンエラー診断システムの概略構成を示す図である。 図2は、本発明の第1の実施形態に係るヒューマンエラー診断システムが対象とするヒューマンエラーの範囲を示す図である。 図3は、本発明の第1の実施形態に係る良定義エラーの発生を説明するためのモデルを示す図である。 図4は、本発明の第1の実施形態に係る認知的発生メカニズムのモデルに基づくヒューマンエラー分類体系を示す図である。 図5は、本発明の第1の実施形態に係るエラータイプの詳細を説明する図である。 図6は、本発明の第1の実施形態に係るDFBエラー発生可能性を診断するための課題全体の構成を示す図である。 図7は、本発明の第1の実施形態に係る一致刺激のみによるストループ課題の構成内容を示す図である。 図8は、本発明の第1の実施形態に係る試行手順を示すフローチャートである。 図9は、本発明の第1の実施形態に係るストループ刺激及びストループ選択肢の呈示画面の一例を示す図である。 図10は、本発明の第1の実施形態に係る記憶装置に記録される情報を示す図である。 図11は、本発明の第1の実施形態に係る二重課題によるストループ課題の構成内容を示す図である。 図12は、本発明の第1の実施形態に係る試行手順を示すフローチャートである。 図13は、本発明の第1の実施形態に係る記憶装置に記録される情報を示す図である。 図14は、本発明の第1の実施形態に係る診断基準を示す図である。 図15は、本発明の第1の実施形態に係るDFGエラーの発生を説明するためのモデルを示す図である。 図16は、本発明の第2の実施形態に係るDFBエラー発生可能性を診断するための課題全体の構成を示す図である。 図17は、本発明の第2の実施形態に係る試行手順を示すフローチャートである。 図18は、本発明の第2の実施形態に係る記憶装置に記録される情報を示す図である。 図19は、本発明の実施形態に係るVFGエラーの発生を説明するためのモデルを示す図である。
符号の説明
1 ヒューマンエラー診断システム
10 PC本体
11 演算装置
12 記憶装置
13 タイマー
20 ディスプレイ
30 キーボード
40 専用キー

Claims (5)

  1. ストループ課題を被診断者に実行させて、ヒューマンエラーの発生可能性を診断するヒューマンエラー診断システムにおいて、
    種々の演算処理を行う演算装置と、被診断者が前記ストループ課題に対する反応を入力するための複数のキーを有する入力装置と、前記ストループ課題を実行するための情報及び前記ストループ課題に対する被診断者の反応に関する情報を保持する記憶装置と、前記ストループ課題を被診断者に呈示するための表示装置と、時間を計測するためのタイマーと、を備え、
    前記記憶装置は、色名と同じ色で彩られた色名単語として前記表示装置に呈示される一致刺激に関する情報を含む、効率的な誤ったスキーマを活性化させるための第1のストループ課題に関する情報と、色名とは異なった色で彩られた色名単語として前記表示装置に呈示される干渉ありストループ刺激及びある色で彩られた文字や記号として前記表示装置に呈示される干渉なしストループ刺激に関する情報を含む、ヒューマンエラーの発生可能性を診断するための第2のストループ課題に関する情報と、を保持しており、
    前記演算装置は、前記第1のストループ課題を実行する制御であって、
    前記一致刺激のみを前記表示装置に所定の試行回数順次呈示する制御と、
    前記一致刺激の前記表示装置への呈示後、前記一致刺激を彩る色に対応する前記入力装置のキーが被診断者によって押された場合には、前記記憶装置に正反応として記録し、当該正反応のキー以外のキーが被診断者によって押された場合には、前記記憶装置に誤反応として記録する制御と、を有する制御と、
    前記第1のストループ課題の実行の後に行われる、前記第2のストループ課題を実行する制御であって、
    前記干渉ありストループ刺激と前記干渉なしストループ刺激をそれぞれ所定の試行回数ランダムな順番で前記表示装置に呈示する制御と、
    前記干渉ありストループ刺激又は前記干渉なしストループ刺激の前記表示装置への呈示後、所定の時間内に、前記干渉ありストループ刺激又は前記干渉なしストループ刺激を彩る色に対応する前記入力装置のキーが被診断者によって押された場合には、前記記憶装置に正反応として記録し、当該正反応のキー以外のキーが被診断者によって押された場合には、前記記憶装置に誤反応として記録すると共に、前記タイマーを参照して、前記干渉ありストループ刺激又は前記干渉なしストループ刺激への前記入力装置を介した反応に被診断者が要する時間であるストループ反応時間を前記記憶装置に記録する制御と、を有する制御と、
    前記干渉ありストループ刺激に対する正反応の平均反応時間である干渉あり平均ストループ反応時間と、前記干渉なしストループ刺激に対する正反応の平均反応時間である干渉なし平均ストループ反応時間との差分であるストループ干渉量を算出し、このストループ干渉量が所定値以上であれば、効率的な誤ったスキーマが割り込むタイプのヒューマンエラーの発生可能性が高いと診断する制御と、を行うことを特徴とするヒューマンエラー診断システム。
  2. 前記演算装置は、前記記憶装置に格納されている前記干渉ありストループ刺激に対する正反応及び誤反応の数に基づいて、誤反応率が所定値以上であれば、効率的な誤ったスキーマが割り込むタイプのヒューマンエラーの発生可能性が高いと診断する制御をさらに行うことを特徴とする請求項1記載のヒューマンエラー診断システム。
  3. 前記第2のストループ課題は、被診断者の注意をストループ課題から逸らすための暗唱課題に関する情報をさらに含んでおり、
    前記演算装置は、さらに、第2のストループ課題の各試行における前記ストループ刺激の呈示前にランダムな数値を被診断者に呈示すると共に、この呈示したランダムな数値を前記記憶装置に記録する制御と、
    前記第2のストループ課題の各試行における前記ストループ刺激に対する被診断者の反応後に、前記表示装置に前記ランダムな数値の入力を求める数値入力画面を呈示すると共に、被診断者が前記入力装置を介して入力した数値が、前記記憶装置に記録したランダムな数値と一致するか否かを判断し、その正誤を前記記憶装置に記録する制御と、を行うことを特徴とする請求項1又は2記載のヒューマンエラー診断システム。
  4. 演算装置、記憶装置、入力装置表示装置及びタイマーを備えたヒューマンエラー診断システムにより、被診断者にストループ課題を実行させて、ヒューマンエラーの発生可能性を診断するヒューマンエラー診断方法であって、
    前記演算装置が、前記記憶装置に格納されている、色名と同じ色で彩られた色名単語として前記表示装置に呈示される一致刺激に関する情報を含む、効率的な誤ったスキーマを活性化させるための第1のストループ課題に関する情報に基づいて、前記一致刺激のみを前記表示装置に所定の試行回数順次呈示する第1の呈示工程と、
    前記演算装置が、前記一致刺激の前記表示装置への呈示後、前記一致刺激を彩る色に対応する前記入力装置のキーが被診断者によって押された場合には、前記記憶装置に正反応として記録し、当該正反応のキー以外のキーが被診断者によって押された場合には、前記記憶装置に誤反応として記録する第1の記録工程と、
    前記演算装置が、前記記憶装置に格納されている色名とは異なった色で彩られた色名単語として前記表示装置に呈示される干渉ありストループ刺激及びある色で彩られた文字や記号として前記表示装置に呈示される干渉なしストループ刺激に関する情報を含む、ヒューマンエラーの発生可能性を診断するための第2のストループ課題に関する情報に基づいて、前記干渉ありストループ刺激又は前記干渉なしストループ刺激をそれぞれ所定の試行回数ランダムな順番で前記表示装置に呈示する第2の呈示工程と、
    前記演算装置が、前記干渉ありストループ刺激又は前記干渉なしストループ刺激の前記表示装置への呈示後、所定の時間内に、前記干渉ありストループ刺激又は前記干渉なしストループ刺激を彩る色に対応する前記入力装置のキーが被診断者によって押された場合には、前記記憶装置に正反応として記録し、当該正反応のキー以外のキーが被診断者によって押された場合には、前記記憶装置に誤反応として記録すると共に、前記タイマーを参照して、前記干渉ありストループ刺激又は前記干渉なしストループ刺激への前記入力装置を介した反応に被診断者が要する時間であるストループ反応時間を前記記憶装置に記録する第2の記録工程と、
    前記演算装置が、前記干渉ありストループ刺激に対する正反応の平均反応時間である干渉あり平均ストループ反応時間と、前記干渉なしストループ刺激に対する正反応の平均反応時間である干渉なし平均ストループ反応時間との差分であるストループ干渉量を算出し、このストループ干渉量が所定値以上であれば、効率的に誤ったスキーマが割り込むタイプのヒューマンエラーの発生可能性が高いと診断する診断工程と、を備えたことを特徴とするヒューマンエラー診断方法。
  5. 演算装置、記憶装置、入力装置表示装置及びタイマーを備えたコンピュータに、被診断者にストループ課題を実行させて、ヒューマンエラーの発生可能性を診断する作業を実行させるためのヒューマンエラー診断プログラムであって、
    前記演算装置が、前記記憶装置に格納されている、色名と同じ色で彩られた色名単語として前記表示装置に呈示される一致刺激に関する情報を含む、効率的な誤ったスキーマを活性化させるための第1のストループ課題に関する情報に基づいて、前記一致刺激のみを前記表示装置に所定の試行回数順次呈示する第1の呈示ステップと、
    前記演算装置が、前記一致刺激の前記表示装置への呈示後、前記一致刺激を彩る色に対応する前記入力装置のキーが被診断者によって押された場合には、前記記憶装置に正反応として記録し、当該正反応のキー以外のキーが被診断者によって押された場合には、前記記憶装置に誤反応として記録する第1の記録ステップと、
    前記演算装置が、前記記憶装置に格納されている色名とは異なった色で彩られた色名単語として前記表示装置に呈示される干渉ありストループ刺激及びある色で彩られた文字や記号として前記表示装置に呈示される干渉なしストループ刺激に関する情報を含む、ヒューマンエラーの発生可能性を診断するための第2のストループ課題に関する情報に基づいて、前記干渉ありストループ刺激又は前記干渉なしストループ刺激をそれぞれ所定の試行回数ランダムな順番で前記表示装置に呈示する第2の呈示ステップと、
    前記演算装置が、前記干渉ありストループ刺激又は前記干渉なしストループ刺激の前記表示装置への呈示後、所定の時間内に、前記干渉ありストループ刺激又は前記干渉なしストループ刺激を彩る色に対応する前記入力装置のキーが被診断者によって押された場合には、前記記憶装置に正反応として記録し、前記正反応のキー以外のキーが被診断者によって押された場合には、前記記憶装置に誤反応として記録すると共に、前記タイマーを参照して、前記干渉ありストループ刺激又は前記干渉なしストループ刺激への前記入力装置を介した反応に被診断者が要する時間であるストループ反応時間を前記記憶装置記録する第2の記録ステップと、
    前記演算装置が、前記干渉ありストループ刺激に対する正反応の平均反応時間である干渉あり平均ストループ反応時間と、前記干渉なしストループ刺激に対する正反応の平均反応時間である干渉なし平均ストループ反応時間との差分であるストループ干渉量を算出し、このストループ干渉量が所定値以上であれば、効率的に誤ったスキーマが割り込むタイプのヒューマンエラーの発生可能性が高いと診断する診断ステップと、をコンピュータに実行させることを特徴とするヒューマンエラー診断プログラム。
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