JP4472430B2 - リチウム二次電池正極用のリチウム複合酸化物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、体積容量密度が大きく、安全性が高く、充放電サイクル耐久性、及び低温特性に優れた、リチウム二次電池正極用のリチウム含有複合酸化物の製造方法、製造されたリチウム含有複合酸化物を含むリチウム二次電池用正極、及びリチウム二次電池に関する。
近年、機器のポータブル化、コードレス化が進むにつれ、小型、軽量でかつ高エネルギー密度を有するリチウム二次電池などの非水電解液二次電池に対する要求がますます高まっている。かかる非水電解液二次電池用の正極活物質には、LiCoO2、LiNiO2、LiNi0.8Co0.22、LiMn24、LiMnO2などのリチウムと遷移金属の複合酸化物が知られている。
なかでも、リチウム含有複合酸化物(LiCoO2)を正極活物質として用い、リチウム合金、グラファイト、カーボンファイバーなどのカーボンを負極として用いたリチウム二次電池は、4V級の高い電圧が得られるため、高エネルギー密度を有する電池として広く使用されている。
しかしながら、LiCoO2を正極活物質として用いた非水系二次電池の場合、正極電極層の単位体積当たりの容量密度及び安全性の更なる向上が望まれるとともに、充放電サイクルを繰り返し行うことにより、その電池放電容量が徐々に減少するというサイクル特性の劣化、重量容量密度の問題、あるいは低温での放電容量低下が大きいという問題などがあった。
これらの問題の一部を解決するために、特許文献1には、正極活物質であるLiCoO2の平均粒径を3〜9μm、及び粒径3〜15μmの粒子群の占める体積を全体積の75%以上とし、かつCuKαを線源とするX線回折によって測定される2θ=約19°と2θ=45°との回折ピーク強度比を特定値とすることにより、塗布特性、自己放電特性、サイクル性に優れた活物質とすることが提案されている。更に、該公報には、LiCoO2の粒径が1μm以下又は25μm以上の粒径分布を実質的に有さないものが好ましい態様として提案されている。しかし、かかる正極活物質では、塗布特性ならびにサイクル特性は向上するものの、安全性、体積容量密度、重量容量密度を充分に満足するものは得られていない。
また、電池特性に関する課題を解決するために、特許文献2にCo原子の5〜35%をW、Mn、Ta、Ti又はNbで置換することがサイクル特性改良のために提案されている。また、特許文献3には、格子定数のc軸長が14.051Å以下であり、結晶子の(110)方向の結晶子径が45〜100nmである、六方晶系のLiCoO2を正極活物質とすることによりサイクル特性を向上させることが提案されている。
更に、特許文献4には、式LixNi1-m2(式中、0<x<1.1、0≦m≦1である。)を有し、一次粒子が板状ないし柱状であり、かつ(体積基準累積95%径−体積基準累積5%径)/体積基準累積5%径が3以下で、平均粒径が1〜50μmを有するリチウム複合酸化物が、重量あたりの初期放電容量が高く、また充放電サイクル耐久性に優れることが提案されている。
また、特許文献5には、平均粒子径0.01〜2μmを有する、コバルト水酸化物やコバルトオキシ水酸化物やコバルト酸化物の一次粒子を凝集させて平均粒子径0.5〜30μmの二次粒子を形成したコバルト化合物粉末をリチウム化することが提案されている。しかし、この場合にも高い体積容量密度の正極物質は得られず、また、サイクル特性、安全性や大電流放電特性の点でもなお充分ではない。
上記のように、上記従来の技術では、リチウム複合酸化物を正極活物質に用いたリチウム二次電池において、体積容量密度、安全性、塗工均一性、サイクル特性更には低温特性などの全てを充分に満足するものは未だ得られていない。
特開平6−243897号公報 特開平3−201368号公報 特開平10−312805号公報 特開平10−72219号公報 特開2002−60225号公報
本発明は、体積容量密度が大きく、安全性が高く、充放電サイクル耐久性に優れ、更には、低温特性に優れた、リチウム二次電池正極用のリチウムコバルト複合酸化物などのリチウム含有複合酸化物の製造方法、製造されたリチウム含有複合酸化物を含む、リチウム二次電池用正極、及びリチウム二次電池の提供を目的とする。
本発明者は、鋭意研究を続けたところ、以下の知見を通じて本発明に到達した。即ち、コバルト酸リチウムなどのリチウム含有複合酸化物は基本的には、体積容量密度に優れた特性を有するが、充放電時のリチウムの出入りに伴い結晶構造が六方晶と単斜晶との相転移し、膨張と収縮を繰り返すため、結晶構造の破壊が生じサイクル特性が劣化するという問題がある。この問題は、従来、上記のように、コバルト酸リチウムのコバルトの一部をW、Mn、Ta、Ti又はNbなどの他の元素(以下これらの元素を置換元素ともいう)で置換し、結晶構造の安定化を通じて解決することが図られている。
しかし、上記した従来法による場合には、後記する例(比較例)3、4、6及び8に示されるように必ずしも狙いどおりの結果は得られていない。本発明者は、一般式Lipxya(但し、Nは、Co、Mn及びNiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Mはアルミニウムまたは遷移金属元素であり、Lは、リン、ホウ素、ケイ素及びアルカリ土類金属元素からなる群から選ばれる少なくとも1種である。0.9≦p≦1.1、0.97≦x<1.00、0<y≦0.03、0<z≦0.03、1.9≦q≦2.1、x+y+z=1、0≦a≦0.02)で表されるリチウム含有複合酸化物を製造する場合において、上記M元素及びL元素の原料化合物として、分子内にM元素とL元素とが酸素を介して結合する、M−O−L構造を有しかつ酸素数が5以上を有する特定の有機金属化合物を選択し、該有機金属化合物を有機溶媒溶液の形態にて使用することにより上記の課題を達成し得ることを見出した。
すなわち、本発明による場合、体積容量密度が大きく、安全性が高く、充放電サイクル耐久性に優れ、低温特性に優れた、リチウム二次電池正極用のリチウム含有複合酸化物が得られる。これは、リチウム含有複合酸化物におけるコバルトなどの被置換元素(N元素)は、置換元素であるM元素及びL元素により、極めて充分にかつ均一に置換されることにより達成されるものと思われる。
かくして、本発明は以下の構成を要旨とするものである。
(1)リチウム原料化合物、N元素原料化合物、M元素原料化合物、L元素原料化合物、及び必要に応じて含まれるフッ素原料化合物の混合物を酸素含有雰囲気で焼成する、一般式Lipxya(但し、Nは、Co、Mn及びNiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Mはアルミニウムまたは遷移金属元素であり、Lは、リン、ホウ素、ケイ素及びアルカリ土類金属元素からなる群から選ばれる少なくとも1種である。0.9≦p≦1.1、0.97≦x<1.00、0<y≦0.03、0<z≦0.03、1.9≦q≦2.1、x+y+z=1、0≦a≦0.02)で表されるリチウム含有複合酸化物の製造方法であって、M元素及びL元素の原料化合物として、分子内にM元素とL元素とが酸素を介して結合する、M−O−L構造を有しかつ酸素数が5以上を有する有機金属化合物を選択し、該有機金属化合物を有機溶媒溶液の形態にて使用し、上記混合物の焼成前に上記有機溶媒を除去することを特徴とするリチウム二次電池正極用リチウム含有複合酸化物の製造方法。
(2)リチウム原料化合物、N元素原料化合物及び必要に応じてフッ素原料化合物と、前記有機金属化合物の有機溶媒溶液とを混合した後、得られる混合物から溶媒を除去し、焼成する上記(1)に記載の製造方法。
(3)N元素原料化合物及び必要に応じてフッ素原料化合物と、前記有機金属化合物の有機溶媒溶液とを混合し、得られる混合物から溶媒を除去した後、次いでリチウム原料化合物を混合し、焼成する上記(1)に記載の製造方法。
(4)リチウム原料化合物、N元素原料化合物、及び必要に応じてフッ素原料化合物の混合物を酸素含有雰囲気で焼成して得られるリチウム複合酸化物と、前記有機金属化合物の有機溶媒溶液とを混合し、得られる混合物から溶媒を除去し、焼成する上記(1)に記載の製造方法。
(5)前記有機金属化合物の有機溶媒溶液が5容量%以下の水分を含有する上記(1)〜(4)のいずれかに記載の製造方法。
(6)前記有機金属化合物が、(2−エチルヘキサノネート)−Mg−O−Al−(2−エチルヘキサノネート)(sec−ブトキサイド)である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の製造方法。
(7)前記有機金属化合物が、(ネオデカノエイト)Zr(=O)−O−P(=O)(ブトキサイド)2である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の製造方法。
(8)M元素が、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Cu、Zn、及びAlからなる群から選ばれる少なくとも1種である上記(1)〜(7)のいずれかに記載の製造方法。
(9)M元素がAlであり、かつL元素がMgであり、Al/Mgが原子比で1/3〜3/1であり、かつ0.005≦y≦0.025である上記(1)〜(7)のいずれかに記載の製造方法。
(10)L元素がMgであり、M元素がTi、Zr、Hf、Ta、及びNbからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、M/Mgが原子比で1/40〜2/1であり、かつ0.005≦y≦0.025である上記(1)〜(7)のいずれかに記載の製造方法。
(11)リチウム含有複合酸化物の、CuKαを線源とするX線回折によって測定される、2θ=66〜67°の(110)面の回折ピークの積分幅が0.08〜40、表面積が0.3〜0.7m2/g、発熱開始温度が160℃以上である上記(1)〜(10)のいずれかに記載の製造方法。
(12)上記(1)〜(11)のいずれかに記載の製造方法により製造されたリチウム含有複合酸化物を含むリチウム二次電池用正極。
(13)上記(12)に記載された正極を使用したリチウム二次電池。
本発明によれば、体積容量密度が大きく、安全性が高く、充放電サイクル耐久性に優れ、更には、低温特性に優れた、リチウム二次電池正極用リチウムコバルト複合酸化物などのリチウム含有複合酸化物の製造方法、製造されたリチウム含有複合酸化物を含む、リチウム二次電池用正極、及びリチウム二次電池が提供される。
本発明で製造されるリチウム二次電池正極用のリチウム含有複合酸化物は、一般式Lipxyaで表される。かかる一般式における、p、x、y、z、q及びaは上記に定義される。なかでも、p、x、y、z、q及びaは下記が好ましい。0.97≦p≦1.03、0.99≦x<1.00、0.0005≦y≦0.025、0<z≦0.01、1.95≦q≦2.05、x+y+z=1、0.001≦a≦0.01。ここで、aが0より大きいときには、酸素原子の一部がフッ素原子で置換された複合酸化物になるが、この場合には、得られた正極活物質の安全性が向上する。
N元素は、Co、Mn及びNiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、なかでも、Co、Ni、CoとNi、MnとNi、CoとNiとMnである場合が好ましい。M元素は、N元素以外の遷移金属元素、アルミニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。ここで、遷移金属元素は周期表の4族、5族、6族、7族、8族、9族、10族及び11族の遷移金属を表す。なかでも、M元素は、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Cu、Zn及びAlからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素が好ましい。特に、容量発現性、安全性、サイクル耐久性などの見地より、Ti、Zr、Hf又はAlが好ましい。L元素は、リン、ホウ素、ケイ素又はアルカリ土類金属元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。中でもL元素はP、B、Mg、Ca、Srからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素が好ましい。特にP、B、Mgが好ましい。
本発明において、特に、M元素がAlであり、L元素がMgからなり、AlとMgが原子比で好ましくは1/3〜3/1、特に好ましくは2/3〜3/2であり、かつyが好ましくは、0.005≦y≦0.025、特に好ましくは0.01≦y≦0.02である場合には、電池性能のバランス、即ち、初期重量容量密度、安全性、充放電サイクル安定性のバランスが良いので特に好ましい。
また、本発明において、L元素がMgであり、M元素がTi、Zr、Ta、及びNbからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、MとMgが原子比で好ましくは1/40〜2/1、特に好ましくは1/30〜1/5であり、かつyが好ましくは0.005≦y≦0.025、特に好ましくは0.01≦y≦0.02である場合には、電池性能のバランス、即ち、初期重量容量密度、初期体積容量密度、安全性、充放電サイクル安定性のバランスが良いので特に好ましい。
本発明において、上記M元素、L元素及び/又はフッ素を含有せしめる場合は、M元素、L元素及びフッ素は、いずれもリチウム含有複合酸化物粒子の表面に存在していることが好ましい。これらの元素が表面に存在することにより、少量の添加で電池性能の低下を招来することなく、安全性、充放電サイクル特性等の重要な電池特性を改良できる。これらの元素が表面に存在するか否かは正極粒子について、分光分析、例えば、XPS分析を行うことにより判断できる。
本発明のリチウム含有複合酸化物を製造する場合、リチウム原料化合物、N元素原料化合物、M元素原料化合物、L元素原料化合物、及び必要に応じて含まれるフッ素原料化合物の混合物を酸素含有雰囲気で焼成することにより製造される。本発明では、M元素及びL元素の原料化合物として、分子内にM元素とL元素とが酸素を介して結合する、M−O−L構造を有しかつ酸素数が5以上、好ましくは5〜10を有する有機金属化合物を選択し使用される。これらの有機金属化合物は有機溶媒に対する溶解性が大きく、高濃度の有機溶媒溶液が得られる。
本発明で使用される上記有機金属化合物として、該構造を有する種々の有機塩、有機酸金属塩、有機酸エステル、有機金属キレート錯体化合物が使用でき、また、金属アルコキシドをキレート等で安定化した化合物であってもよい。具体的には、2−エチルヘキサネート、ネオデカネート、エチルアセチルアセトネート、アセチルアセトネート、イソプロポキサイド、ブトキサイドなどが挙げられる。なかでも、(2−エチルヘキサノネート)−Mg−O−Al−(2−エチルヘキサノネート)(sec−ブトキサイド)、(ネオデカノエイト)Zr(=O)−O−P(=O)(ブトキサイド)2などが挙げられる。
上記有機金属化合物を溶解する有機溶媒としては、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール類、ブタン、ヘキサンなどの脂肪属炭化水素類が使用される。なかでも金属化合物の安定性の理由からアルコール類の使用が好ましい。有機溶媒中の有機金属化合物の濃度は、後の工程で乾燥により溶媒を除去する必要がある点から高濃度の方が好ましい。しかし、高濃度過ぎると粘度が高くなり、正極活物質を形成する他の元素含有化合物粉末との均一混合性が低下するので、好ましくは1〜30質量%、特には4〜20質量%が好ましい。
なお、有機金属化合物の有機溶媒溶液を形成する場合において、本発明では、有機溶媒ともに水分を含有させることもできる。水分を含有させた場合、金属化合物が加水分解され易くなるので、該水分の含有量は、有機溶媒溶液中、好ましくは5.0容量%以下、特には1.0容量%以下であるのが好適である。
本発明のリチウム含有複合酸化物を製造する場合の他の原料である、N元素原料化合物としては、Nがコバルトの場合には、炭酸コバルト、水酸化コバルトあるいはオキシ水酸化コバルト、酸化コバルトが好ましく使用される。特に水酸化コバルトあるいはオキシ水酸化コバルトが性能が発現しやすいので好ましい。また、Nがニッケルの場合には、水酸化ニッケル、炭酸ニッケルが好ましく使用される。また、Nがマンガンの場合には、炭酸マンガンが好ましく使用される。
また、N元素がニッケルとコバルトを含む化合物の場合は、Ni0.8Co0.2OOH、Ni0.8Co0.2(OH)などが、N元素がニッケルとマンガンを含む化合物の場合はNi0.5Mn0.5OOHなどが、N元素がニッケルとコバルトとマンガンを含む化合物の場合はNi0.4Co0.2Mn0.4(OH)、Ni1/3Co1/3Mn1/3OOHなどがそれぞれ好ましく例示される。
本発明で使用されるリチウム原料化合物としては、炭酸リチウムあるいは水酸化リチウムが好ましく使用される。特に炭酸リチウムが安価で好ましい。また、必要に応じて使用されるフッ素原料化合物としては、金属フッ化物、LiF、MgF2などが選択される。
本発明において、上記の各原料化合物からリチウム含有複合酸化物を製造する場合、各種の具体的手段が採り得るが、その好ましい態様としては次の(A)、(B)及び(C)の如き手段が挙げられる。
(A)リチウム原料化合物、N元素原料化合物及び必要に応じてフッ素原料化合物と、前記有機金属化合物の有機溶媒溶液とを混合した後、得られる混合物から溶媒を除去し、酸素含有雰囲気において焼成する。
(B)N元素原料化合物及び必要に応じてフッ素原料化合物と、前記有機金属化合物の有機溶媒溶液とを混合し、得られる混合物から溶媒を除去した後、次いでリチウム原料化合物を混合し、得られる混合物を酸素含有雰囲気において焼成する。
(C)リチウム原料化合物、N元素原料化合物、及び必要に応じてフッ素原料化合物の混合物を酸素含有雰囲気で焼成して得られるリチウム複合酸化物と、前記有機金属化合物の有機溶媒溶液とを混合し、得られる混合物から溶媒を除去し、酸素含有雰囲気において焼成する。
上記(A)、(B)及び(C)の如き手段により製造される場合、元素の原料化合物を粉末として使用する場合は、該粉末の平均粒径は、特に制限されるものではないが、良好な混合が達成されるために、好ましくは0.1〜20μm、特に好ましくは0.5〜15μmが選択される。また、原料化合物の混合比率は、本発明で製造する正極活物質の一般式である上記Lipxyaの範囲内で所望とする元素の比率になるように選択される。
上記(A)、(B)及び(C)の手段における有機金属化合物の有機溶媒溶液と原料化合物粉末との混合は、好ましくはアキシアルミキサー、パドルミキサーなどを使用し、スラリーを形成するように充分に均一に混合することが好ましい。スラリー中の固形分濃度としては、均一に混合される限り高い濃度の方が好ましいが、通常、固体/液体比(重量比)は50/50〜90/10、特に好ましくは60/40〜80/20が好適である。
また、上記のようにスラリーを形成せずに、原料混合物粉末の混合物中に有機金属化合物の有機溶媒溶液をスプレー等によって噴霧し、均一に混合した湿潤粉末を用いることもできる。この場合の噴霧量は、固体/液体比(重量比)で90/10〜95/5が好ましい。
得られる各原料化合物を含む混合物からの有機溶媒の除去は、好ましくは50〜200℃、特に好ましくは80〜120℃にて、通常1〜10時間乾燥することにより行われる。混合物中の有機溶媒は、後の焼成工程で焼却されるために、この段階で必ずしも完全に除去する必要はないが、焼成工程で溶媒を飛ばすのに多量のエネルギーが必要になる上、爆発等の恐れもあるので、できる限り除去しておくのが好ましい。
有機溶媒を除去した後の焼成は、上記(A)及び(B)の手段においては、酸素含有雰囲気下において800〜1050℃で行われる。かかる焼成温度が、800℃より小さい場合にはリチウム複合酸化物化が不完全となり、逆に1050℃を超える場合には充放電サイクル耐久性や初期容量が低下してしまう。特に、焼成温度は900〜1000℃が好適である。また、上記(C)の手段では、既にリチウム複合酸化物粉末が形成されているので、酸素含有雰囲気下において300〜1050℃で行われる。
このようにして製造される本発明のリチウム含有複合酸化物は、その平均粒径D50が好ましくは5〜15μm、特に好ましくは8〜12μm、比表面積が好ましくは0.3〜0.7m2/g、特に好ましくは0.3〜0.5m2/g、CuKαを線源とするX線回折によって測定される2θ=66.5±1°の(110)面回折ピーク半値幅が好ましくは0.08〜0.14°特に好ましくは0.08〜0.12°、かつプレス密度が好ましくは3.15〜3.60g/cm3、特に好ましくは3.20〜3.50g/cm3であるのが好適である。また、本発明のリチウム含有複合酸化物は、含有される残存アルカリ量が0.03質量%以下が好ましく、特には0.01質量%以下であるのが好適である。
かかるリチウム含有複合酸化物からリチウム二次電池用の正極を製造する場合には、かかる複合酸化物の粉末に、アセチレンブラック、黒鉛、ケッチエンブラックなどのカーボン系導電材と結合材を混合することにより形成される。上記結合材には、好ましくは、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアミド、カルボキシメチルセルロース、アクリル樹脂等が用いられる。本発明のリチウム含有複合酸化物の粉末、導電材及び結合材を溶媒又は分散媒を使用し、スラリー又は混練物とされる。これをアルミニウム箔、ステンレス箔などの正極集電体に塗布などにより担持せしめてリチウム二次電池用の正極が製造される。
本発明のリチウム含有複合酸化物を正極活物質に用いるリチウム二次電池において、セパレータとしては、多孔質ポリエチレン、多孔質ポリプロピレンのフィルムなどが使用される。また、電池の電解質溶液の溶媒としては、種々の溶媒が使用できるが、なかでも炭酸エステルが好ましい。炭酸エステルは環状、鎖状いずれも使用できる。環状炭酸エステルとしては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート(EC)などが例示される。鎖状炭酸エステルとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネートなどが例示される。
本発明では、上記炭酸エステルを単独で又は2種以上を混合して使用できる。また、他の溶媒と混合して使用してもよい。また、負極活物質の材料によっては、鎖状炭酸エステルと環状炭酸エステルを併用すると、放電特性、サイクル耐久性、充放電効率が改良できる場合がある。
また、本発明のリチウム含有複合酸化物を正極活物質に用いるリチウム二次電池においては、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(例えばアトケム社製:商品名カイナー)あるいはフッ化ビニリデン−パーフルオロプロピルビニルエーテル共重合体を含むゲルポリマー電解質としても良い。上記の電解質溶媒又はポリマー電解質に添加される溶質としては、ClO4 、CF3SO3 、BF4 、PF6 、AsF6 、SbF6 、CF3CO2 、(CF3SO22などをアニオンとするリチウム塩のいずれか1種以上が好ましく使用される。上記リチウム塩からなる電解質溶媒又はポリマー電解質に対して、0.2〜2.0mol/l(リットル)の濃度で添加するのが好ましい。この範囲を逸脱すると、イオン伝導度が低下し、電解質の電気伝導度が低下する。なかでも、0.5〜1.5mol/lが特に好ましい。
本発明のリチウム含有複合酸化物を正極活物質に用いるリチウム二次電池において、負極活物質には、リチウムイオンを吸蔵、放出可能な材料が用いられる。この負極活物質を形成する材料は特に限定されないが、例えばリチウム金属、リチウム合金、炭素材料、周期表14、又は15族の金属を主体とした酸化物、炭素化合物、炭化ケイ素化合物、酸化ケイ素化合物、硫化チタン、炭化ホウ素化合物などが挙げられる。炭素材料としては、種々の熱分解条件で有機物を熱分解したものや人造黒鉛、天然黒鉛、土壌黒鉛、膨張黒鉛、鱗片状黒鉛などを使用できる。また、酸化物としては、酸化スズを主体とする化合物が使用できる。負極集電体としては、銅箔、ニッケル箔などが用いられる。かかる負極は、上記活物質を有機溶媒と混練してスラリーとし、該スラリーを金属箔集電体に塗布、乾燥、プレスして得ることにより好ましくは製造される。
本発明のリチウム含有複合酸化物を正極活物質に用いるリチウム二次電池の形状には特に制約はない。シート状、フィルム状、折り畳み状、巻回型有底円筒形、ボタン形などが用途に応じて選択される。
以下に実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されないことはもちろんである。
[例1]
硫酸コバルト水溶液と水酸化アンモニウムの混合液と苛性ソーダ水溶液を連続的に混合して、連続的に水酸化コバルトスラリーを既知の方法により合成し、凝集、ろ過及び乾燥工程を経て水酸化コバルト粉体を得た。得られた水酸化コバルトは、CuKα線を使用した粉末X線回折において、2θ=19±1°の(001)面の回折ピーク半値幅は0.27°であり、2θ=38°±1の(101)面の回折ピーク半値幅は0.23°であり、走査型電子顕微鏡観察の結果、微粒子が凝集して、略球状の二次粒子から形成されていることが判った。走査型電子顕微鏡観察の画像解析から求めた体積基準の粒度分布解析の結果、平均粒径D50が15.9μm、D10が6.4μm、D90が21.7μmであった。水酸化コバルトのコバルト含量は62.0%であった。
上記水酸化コバルト191.82gと、比表面積が1.2m2/gの炭酸リチウム粉末76.43gとを混合した。
一方、有機金属化合物である、0.62mol/kgの(2−エチルヘキサノエート)−Mg−O−Al(2−エチルヘキサノエート)(sec−ブトキシド)のキシレン溶液(Al1.6%、Mg1.5%)13.64gを、上記水酸化コバルトと炭酸リチウムとの混合物に対して、LiAl0.01Co0.98Mg0.012となるように加えてスラリー状に混合した。
このスラリーを120℃で2時間、乾燥機にて脱溶媒した後、酸素含有雰囲気中、950℃で12時間焼成した。焼成物を解砕し得られた1次粒子が凝集してなるリチウム含有複合酸化物粉末の粒度分布をレーザー散乱式粒度分布測定装置を用いて水溶媒中にて測定した結果、平均粒径D50が15.8μm、D10が6.2μm、D90が21.5μmであり、BET法により求めた比表面積が0.33m2/gの略球状のリチウム含有複合酸化物粉末を得た。
このリチウム含有複合酸化物粉末について、X線回折装置(理学電機社製RINT 2100型)を用いてX線回折スペクトルを得た。CuKα線を使用した粉末X線回折において、2θ=66.5±1°の(110)面の回折ピーク半値幅は0.114°であった。この粉末のプレス密度は3.22g/cm3であった。このリチウムコバルト複合酸化物粉末10gを純水100g中に分散し、濾過後0.1NHClで電位差滴定して残存アルカリ量を求めたところ、0.02質量%であった。
上記のリチウム含有複合酸化物粉末と、アセチレンブラックと、ポリフッ化ビニリデン粉末とを90/5/5の質量比で混合し、N−メチルピロリドンを添加してスラリーを作製し、厚さ20μmのアルミニウム箔にドクターブレードを用いて片面塗工した。乾燥し、ロールプレス圧延を5回行うことによりリチウム電池用の正極体シートを作製した。
そして、上記正極体シートを打ち抜いたものを正極に用い、厚さ500μmの金属リチウム箔を負極に用い、負極集電体にニッケル箔20μmを使用し、セパレータには厚さ25μmの多孔質ポリプロピレンを用い、さらに電解液には、濃度1MのLiPF6/EC+DEC(1:1)溶液(LiPF6を溶質とするECとDECとの質量比(1:1)の混合溶液を意味する。後記する溶媒もこれに準じる。)を用いてステンレス製簡易密閉セル型リチウム二次電池をアルゴングローブボックス内で2個組み立てた。
上記1個の電池については、25℃にて正極活物質1gにつき75mAの負荷電流で4.3Vまで充電し、正極活物質1gにつき75mAの負荷電流にて2.5Vまで放電して初期放電容量を求めた。さらに電極層の密度を求めた。また、この電池について、引き続き充放電サイクル試験を30回行なった。その結果、25℃、2.5〜4.3Vにおける正極電極層の初期重量容量密度は、162mAh/gであり、30回充放電サイクル後の容量維持率は99.1%であった。
また、他方の電池については、それぞれ4.3Vで10時間充電し、アルゴングローブボックス内で解体し、充電後の正極体シートを取り出し、その正極体シートを洗滌後、径3mmに打ち抜き、ECとともにアルミカプセルに密閉し、走査型差動熱量計にて5℃/分の速度で昇温して発熱開始温度を測定した。その結果、4.3V充電品の発熱開始温度は172℃であった。
[例2]
例1において用いた上記水酸化コバルト191.42gと、有機金属化合物である、(ネオデカノエート)−Zr(=O)−O−P(=O)(ブトキサイド)2をキシレンに溶解させて1mol/kgにした溶液(Zr9.1%、P3.1%を含有する)9.95gとを混合した。得られるスラリーを120℃で2時間、乾燥機にて脱溶媒した後、炭酸リチウム75.73gを加えて、混合した他は例1と同様にして正極活物質を合成した。
焼成後LiCo0.987Zr0.010.003を得た。焼成物を解砕し得られた1次粒子が凝集してなるリチウム含有複合酸化物粉末の粒度分布をレーザー散乱式粒度分布測定装置を用いて測定した結果、平均粒径D50が15.7μm、D10が6.5μm、D90が21.5μmであり、BET法により求めた比表面積が0.33m2/gの略球状の粉末を得た。この粉末について、X線回折装置(理学電機社製RINT 2100型)を用いてX線回折スペクトルを得た。CuKα線を使用した粉末X線回折において、2θ=66.5±1°付近の(110)面の回折ピーク半値幅は0.118°であった。上記粉末のプレス密度は3.23g/cm3であった。また、上記粉末10gを純水100g中に分散し、濾過後0.1NHClで電位差滴定して残存アルカリ量を求めたところ、0.02質量%であった。
上記のリチウム含有複合酸化物粉末を使用し、例1と同様にして、正極体を製造し、電池を組み立てて、その特性を測定した。正極電極層の初期重量容量密度は、162mAh/gであり、30回充放電サイクル後の容量維持率は99.2%であった。4.3V充電品の発熱開始温度は173℃であった。
[例3]比較例
例1に用いた添加液の代わりに、水酸化アルミニウム1.61gと水酸化マグネシウム1.20gとを用い、上記水酸化コバルト191.82gと、炭酸リチウム76.43gとを混合した。この混合物を、酸素含有雰囲気中、950℃で12時間焼成した。焼成後LiAl0.01Co0.98Mg0.012であるリチウム含有複合酸化物を合成した。平均粒径D50が16.0μm、D10が6.4μm、D90が22.1μmであり、BET法により求めた比表面積が0.33m2/gの塊状のリチウム含有複合酸化物粉末を得た。
この粉末について、X線回折装置(理学電機社製RINT 2100型)を用いてX線回折スペクトルを得た。CuKα線を使用した粉末X線回折において、2θ=66.5±1°付近の(110)面の回折ピーク半値幅は0.119°であった。得られた粉末のプレス密度は3.03g/cm3であった。
例1と同様にして、正極体を製造し、電池を組み立てて、その特性を測定した。正極電極層の初期重量容量密度は、159mAh/gであり、30回充放電サイクル後の容量維持率は97.7%であった。4.3V充電品の発熱開始温度は168℃であった。
[例4]比較例
例2に用いた添加液の代わりに、酸化ジルコニウム2.51gとリン酸三アンモニウム三水和物1.24gとを用い、上記水酸化コバルト191.42gと炭酸リチウム75.73gとを混合した。この混合物を、酸素含有雰囲気中、950℃で12時間焼成した。焼成後LiZr0.01Co0.9870.0032であるリチウム含有複合酸化物を合成した。平均粒径D50が15.5μm、D10が6.2μm、D90が21.4μmであり、BET法により求めた比表面積が0.35m2/gの塊状のリチウム含有複合酸化物粉末を得た。この粉末について、X線回折装置(理学電機社製RINT 2100型)を用いてX線回折スペクトルを得た。CuKα線を使用した粉末X線回折において、2θ=66.5±1°付近の(110)面の回折ピーク半値幅は0.120°であった。得られた粉末のプレス密度は3.01g/cm3であった。
例1と同様にして、正極体を製造し、電池を組み立てて、その特性を測定した。正極電極層の初期重量容量密度は、158mAh/gであり、30回充放電サイクル後の容量維持率は97.7%であった。4.3V充電品の発熱開始温度は166℃であった。
[例5]
上記水酸化コバルト194.24gと炭酸リチウム75.85gとを混合し、酸素含有雰囲気中、950℃で12時間焼成して、LiCoOとなるように正極活物質を合成した。有機金属化合物である、0.62mol/kgの(2−エチルヘキサノエート)−Mg−O−Al(2−エチルヘキサノエート)(sec−ブトキサイド)のキシレン溶液(Al%、Mg%)6.82gと、(ネオデカノエート)−Zr(=O)−O−O(=O)(ブトキサイド)をキシレンに溶解させて1mol/kgにした溶液4.98gとを混合したものを用い、上記LiCoO粉末100gに対して、LiAl0.01Co0.976Mg0.01Zr0.0030.0012となるように混合し、スラリー状にした。このスラリーを120℃で2時間、乾燥機にて脱溶媒した後、酸素含有雰囲気中、950℃で12時間焼成した。
この粉末のプレス密度は 3.21g/cm3であった。また、この粉末10gを純水100g中に分散し、濾過後0.1NHClで電位差滴定して残存アルカリ量を求めたところ、0.02質量%であった。
例1と同様にして、正極体を製造し、電池を組み立てて、その特性を測定した。正極電極層の初期重量容量密度は163mAh/g、30回サイクル後の容量維持率は99.3%、発熱開始温度は175℃であった。
[例6]比較例
上記水酸化コバルト190.85g、炭酸リチウム76.36g、水酸化アルミニウム1.60g、水酸化マグネシウム1.20g、酸化ジルコニウム0.76g、リン酸三アンモニウム三水和物0.42gとを混合した。この混合物を、酸素含有雰囲気中、950℃で12時間焼成した。焼成後LiAl0.01Co0.976Mg0.01Zr0.0030.0012となる正極活物質を得た。
この粉末のプレス密度は3.01g/cm3であった。また、例1と同様にして、正極体を製造し、電池を組み立てて、その特性を測定した。正極電極層の初期重量容量密度は159mAh/g、30回サイクル後の容量維持率は97.9%、発熱開始温度169℃であった。
[例7]
例1にて用いた上記水酸化コバルト191.60gと、有機金属化合物である、(ネオデカノエート)−Zr(=O)−O−P(=O)(ブトキサイド)をキシレンに溶解させて1mol/kgにした溶液(Zr9.1%、P3.1%を含有する)9.95gとを混合し、このスラリーを120℃で2時間、乾燥機にて脱溶媒した後、炭酸リチウム75.96gと、フッ化リチウム2.67gを加えて、混合した。例1と同様にして正極活物質を合成した。焼成後の組成はLiAl0.01Co0.98Mg0.011.990.01であった。この粉末のプレス密度は3.20g/cm3であった。
また、例1と同様にして、正極体を製造し、電池を組み立てて、その特性を測定した。正極電極層の初期重量容量密度は160mAh/g、30回サイクル後の容量維持率は99.3%、発熱開始温度176℃であった。
[例8]比較例
水酸化マグネシウム1.20g、水酸化アルミニウム1.60g、フッ化リチウム2.67gを用い、上記水酸化コバルト191.60g、炭酸リチウム75.96gと混合した他は例2と同様に焼成して正極活物質を得た。焼成後の組成はLiAl0.01Co0.98Mg0.011.990.01であった。この粉末のプレス密度は2.98g/cm3であった。
また、例1と同様にして、正極体を製造し、電池を組み立てて、その特性を測定した。正極電極層の初期重量容量密度は158mAh/g、30回サイクル後の容量維持率は98.0%、発熱開始温度170℃であった。
本発明によれば、体積容量密度が大きく、安全性が高く、及び充放電サイクル耐久性に優れたリチウム二次電池正極用のリチウム含有複合酸化物の製造方法、製造されたリチウムコバルト複合酸化物などのリチウム含有複合酸化物を含む、リチウム二次電池用正極、及びリチウム二次電池が提供される。

Claims (13)

  1. リチウム原料化合物、N元素原料化合物、M元素原料化合物、L元素原料化合物、及び必要に応じて含まれるフッ素原料化合物の混合物を酸素含有雰囲気で焼成する、一般式Lipxya(但し、Nは、Co、Mn及びNiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Mはアルミニウムまたは遷移金属元素であり、Lは、リン、ホウ素、ケイ素及びアルカリ土類金属元素からなる群から選ばれる少なくとも1種である。0.9≦p≦1.1、0.97≦x<1.00、0<y≦0.03、0<z≦0.03、1.9≦q≦2.1、x+y+z=1、0≦a≦0.02)で表されるリチウム含有複合酸化物の製造方法であって、M元素及びL元素の原料化合物として、分子内にM元素とL元素とが酸素を介して結合する、M−O−L構造を有しかつ酸素数が5以上を有する有機金属化合物を選択し、該有機金属化合物を有機溶媒溶液の形態にて使用し、上記混合物の焼成前に上記有機溶媒を除去することを特徴とするリチウム二次電池正極用リチウム含有複合酸化物の製造方法。
  2. リチウム原料化合物、N元素原料化合物及び必要に応じてフッ素原料化合物と、前記有機金属化合物の有機溶媒溶液とを混合した後、得られる混合物から溶媒を除去し、焼成する請求項1に記載の製造方法。
  3. N元素原料化合物及び必要に応じてフッ素原料化合物と、前記有機金属化合物の有機溶媒溶液とを混合し、得られる混合物から溶媒を除去した後、次いでリチウム原料化合物を混合し、焼成する請求項1に記載の製造方法。
  4. リチウム原料化合物、N元素原料化合物、及び必要に応じてフッ素原料化合物の混合物を酸素含有雰囲気で焼成して得られるリチウム複合酸化物と、前記有機金属化合物の有機溶媒溶液とを混合し、得られる混合物から溶媒を除去し、焼成する請求項1に記載の製造方法。
  5. 前記有機金属化合物の有機溶媒溶液が5容量%以下の水分を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 前記有機金属化合物が、(2−エチルヘキサノネート)−Mg−O−Al−(2−エチルヘキサノネート)(sec−ブトキサイド)である請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 前記有機金属化合物が、(ネオデカノエイト)Zr(=O)−O−P(=O)(ブトキサイド)である請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
  8. M元素が、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Cu、Zn、及びAlからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜7もいずれかに記載の製造方法。
  9. M元素がAlであり、L元素がMgでり、Al/Mgが原子比で1/3〜3/1であり、かつ0.005≦y≦0.025である請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
  10. L元素がMgであり、M元素がTi、Zr、Hf、Ta、及びNbからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、M/Mgが原子比で1/40〜2/1であり、かつ0.005≦y≦0.025である請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
  11. リチウム含有複合酸化物の、CuKαを線源とするX線回折によって測定される、2θ=66〜67°の(110)面の回折ピークの積分幅が0.08〜40、表面積が0.3〜0.7m2/g、発熱開始温度が160℃以上である請求項1〜10のいずれかに記載の製造方法。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の製造方法により製造されたリチウム含有複合酸化物を含むリチウム二次電池用正極。
  13. 請求項12に記載された正極を使用したリチウム二次電池。
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