JP4472072B2 - マニピュレータ制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、生体の、例えば体腔内に挿入したマニピュレータを操作手段によって遠隔的に操作し、診断・処置等の手術を行う手術用のマニピュレータ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、腹壁等の体壁に穴を開け、この穴を通じて内視鏡や処置具を経皮的に体腔内に挿入することにより、その体腔内での様々な処置を行なう経皮的内視鏡下手術が、大きな切開を要しない低侵襲なものとして、近年、注目されている。こうした術式は胆のう摘出手術や肺の一部を摘出除去する手術等で広く行なわれている。
【0003】
このような手術において、マニピュレータに内視鏡や処置具を搭載し、そのマニピュレータによる内視鏡や処置具を用いた手術を術者に代わって間接的に行う手術用マニピュレータシステムが、米国特許第5,217,003号や、特開平7−328016号公報などに示されている。
【0004】
図10はこの手術用マニピュレータシステムの概略構成を示すものである。このマニピュレータシステムには術野にアクセスするように設置されているスレーブマニピュレータaと、術者が操作できる領域内に設置されたジョイスティックなどのマスターマニピュレータbとが設けられている。ここで、スレーブマニピュレータaにはスレーブ制御部c、マスターマニピュレータbにはマスター制御部dがそれぞれ連結されている。
【0005】
さらに、スレーブ制御部cとマスター制御部dとの間は信号ケーブルなどの通信手段を介して連結されている。ここで、マスター制御部dにはマスターマニピュレータbの操作部の操作情報を検出するポテンショメータなどの検出手段が設けられている。そして、このポテンショメータなどの検出手段で得られたマスターマニピュレータbの操作情報の検出信号であるアナログ出力がA/D変換器によってデジタル出力の制御信号に変換されてマスター制御部dから通信手段を介してスレーブ制御部cに伝送されるようになっている。
【0006】
また、スレーブ制御部cからはマスター制御部dから送られるマスターマニピュレータbの操作部の操作に追従した動きをスレーブマニピュレータaに伝達する制御信号が出力されるようになっている。
【0007】
そして、こうした手術用マニピュレータの遠隔操作では、内視鏡等の観察手段によりモニターに映し出された腹腔内の患部の状態を見ながら、操作者がマスターマニピュレータbの操作部を操作することによって例えばマスターマニピュレータbの操作部の操作方向にスレーブマニピュレータaを動作させるようになっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来構成の手術用マニピュレータシステムではマスターマニピュレータbの位置・姿勢・鋏型の操作部の開閉角度などの動作情報はポテンショメータなどの検出手段で検出されたのち、このポテンショメータなどの検出手段からのアナログ出力がA/D変換器によって例えば256階調のデジタル出力の制御信号に変換されてマスター制御部dから通信手段を介してスレーブ制御部cに伝送されるようになっている。
【0009】
しかしながら、マスター制御部dのA/D変換器などは1チップマイコンなどの安価な電子部品が使用されているので、検出信号のノイズ、またはA/D変換器の量子化誤差により、図11に示すように検出データであるA/D値がxの場合にx±1bit程度のデータ変化が発生する問題がある。このような現象は、例えばマスターマニピュレータbの未使用時でも発生しているので、マスターマニピュレータbの停止中にマスターマニピュレータbの動作情報としてこの±1bit程度のデータ変化がマスター制御部dからスレーブ制御部cに伝送され、スレーブマニピュレータaの動きにつながる問題がある。そのため、マスターマニピュレータbの停止中にスレーブマニピュレータaが微小な振動が発生するなどの不要な動きや、手ブレ現象などの不要な動作を誘発する問題がある。
【0010】
本発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的は、マスターマニピュレータの未使用時にスレーブマニピュレータが振動するなどの不要な動作や、手ブレ現象などの不要な動作を防ぐことができ、マスターマニピュレータの未使用時や、動作中のスレーブマニピュレータ挙動を安定化させて見栄えがよく、耐久性に優れたマニピュレータ制御装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、術野にアクセスするように設置されたスレーブマニピュレータと、
術者が操作できる領域内に設置され、前記スレーブマニピュレータを遠隔的に操作するマスターマニピュレータと、このマスターマニピュレータに接続され、前記マスターマニピュレータの操作をアナログ電気信号に変換し、前記アナログ電気信号をさらにデジタル電気信号の動作情報に変換するマスター制御部と、前記スレーブマニピュレータおよび前記マスター制御部にそれぞれ接続され、前記マスター制御部から送られる前記マスターマニピュレータの操作に追従した動きを前記スレーブマニピュレータに伝達する制御信号を出力するスレーブ制御部と、前記マスターマニピュレータの動作情報を検出する動作情報検出部と、この動作情報検出部からの検出結果にもとづいて前記マスターマニピュレータの動作情報が予め設定された前記スレーブマニピュレータの動作制御用の所定の設定範囲よりも小さい微小な動作情報の場合にはその微小な動作情報が前記スレーブマニピュレータ側に伝達されることをキャンセルするキャンセル手段とを具備したマニピュレータ制御装置であって、前記キャンセル手段は、前記動作情報が所定の基準値Xに対して±1bit以内であるか否かを判断し、±1bit以内であれば前記制御信号の出力をキャンセルし、±1bit以内でなければ前記制御信号をリアルタイムで出力するマニピュレータ制御装置である。
【0012】
そして、本請求項1の発明では、動作情報検出部によってマスターマニピュレータの動作情報を検出し、この動作情報検出部からの検出結果にもとづいてマスターマニピュレータの動作情報が予め設定されたスレーブマニピュレータの動作制御用の所定の設定範囲よりも小さい微小な動作情報の場合にはキャンセル手段によってその微小な動作情報がスレーブマニピュレータ側に伝達されることをキャンセルすることにより、マスターマニピュレータの未使用時にスレーブマニピュレータが振動するなどの不要な動作や、手ブレ現象などの不要な動作を防ぐようにしたものである。
【0013】
請求項2の発明は、前記キャンセル手段は、前記マスター制御部から前記スレーブ制御部に制御信号を送信する送信処理の開始時にデータ更新モードにセットされ、前記データ更新モードにセットされた場合には前記マスター制御部から前記スレーブ制御部にデータがリアルタイムで送信されて更新され、またデータキャンセルモードにセットされた場合にはデータがキャンセルされる処理が行われるステップS1と、前記マスター制御部の出力信号が読み込まれるステップS2と、前記基準値Xが取得されるステップS3と、タイマーによって任意の設定時間がプリセットされるステップS4と、前記基準値Xが±1bit以内(X≦±1bit)か否かが判断されるステップS5と、前記ステップS5でXが±1bit以内ではない場合には基準値Xがクリアされたのち、前記ステップS2に戻されるステップS6と、前記ステップS5でXが±1bit以内であると判断された場合にはt=0か否かが判断され、t=0以外の場合にはステップS5に戻されるステップS7と、前記ステップS7でt=0と判断された場合に前記データキャンセルモードにセットされ、データのキャンセル処理が行われるステップS8と、前記ステップS8でデータのキャンセル処理が行われた後、基準値Xが±1bit以内(X≦±1bit)か否かが判断され、前記Xが±1bit以内ではない場合にはステップS8に戻され、前記Xが±1bit以内であると判断された場合にはステップS1に戻されるステップS9と、を具備することを特徴とする請求項1に記載のマニピュレータ制御装置である。
【0017】
請求項3の発明は、前記動作情報検出部は、前記マスターマニピュレータの可動部の動作情報を検出するセンサーを備え、前記キャンセル手段は、前記センサーからの検出結果にもとづいて前記マスターマニピュレータが操作されていない停止状態であることを判断し、前記マスターマニピュレータの停止状態の検出時には前記スレーブマニピュレータ側に伝達される前記動作情報を更新しないものであることを特徴とする請求項1に記載のマニピュレータ制御装置である。
【0018】
そして、本請求項3の発明では、動作情報検出部のセンサーによってマスターマニピュレータの可動部の動作情報を検出し、このセンサーからの検出結果にもとづいてキャンセル手段によってマスターマニピュレータが操作されていない停止状態であることを判断する。ここで、マスターマニピュレータの停止状態が検出された場合にはスレーブマニピュレータ側に伝達される動作情報を更新しないようにしたものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施の形態を図1乃至図7を参照して説明する。図1は本実施の形態のマニピュレータ制御装置1のシステム全体の概略構成を示すものである。本実施の形態のマニピュレータ制御装置1には術野にアクセスするように設置されたスレーブマニピュレータ2と、術者が操作できる領域内に設置され、スレーブマニピュレータ2を遠隔的に操作するマスターマニピュレータ3とが設けられている。ここで、スレーブマニピュレータ2には2組のスレーブマニピュレータ、すなわち左側スレーブマニピュレータ2aと、右側スレーブマニピュレータ2bとが設けられている。さらに、マスターマニピュレータ3にも同様に左側スレーブマニピュレータ2aを操作する左側マスターマニピュレータ3aと、右側スレーブマニピュレータ2bを操作する右側マスターマニピュレータ3bとが設けられている。
【0020】
また、2つのスレーブマニピュレータ2a,2b、マスターマニピュレータ3a,3bはそれぞれ略同一構成になっているので、ここでは一方の左側のスレーブマニピュレータ2aおよびマスターマニピュレータ3aの構成のみを説明し、右側のスレーブマニピュレータ2bおよびマスターマニピュレータ3bの同一部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0021】
すなわち、本実施の形態の左側のスレーブマニピュレータ2aには細長い挿入部4を備えたマニピュレータ本体5と、このマニピュレータ本体5を駆動するスレーブ駆動部6とが設けられている。さらに、挿入部4の先端部には図3に示すように例えば把持鉗子のように開閉可能な1対の把持部材7a,7bを備えた先端把持部7が設けられている。これらの把持部材7a,7bの基端部間は挿入部4の先端部に回動ピン8を中心に回動可能に連結されている。そして、これらの把持部材7a,7bはリンク機構部9によって回動ピン8を中心に開閉可能に支持されている。
【0022】
また、マニピュレータ本体5はスレーブ駆動部6内の図示しないマニピュレータ本体駆動ユニットによって図3中で、X軸方向(左右方向)、Y軸方向(上下方向)、Z軸方向(前後方向)にそれぞれ移動可能に駆動され、かつZ軸の軸回り方向に回動駆動されるようになっている。さらに、マニピュレータ本体5の先端把持部7も同様にスレーブ駆動部6内の図示しない先端把持部駆動ユニットによって把持部材7a,7b間が回動ピン8を中心に開閉駆動されるようになっている。なお、図3中で、Osはスレーブマニピュレータ2aのマニピュレータ本体5の原点位置である。
【0023】
また、左側マスターマニピュレータ3aには図2に示すように例えば略鋏型の開閉動作可能なハンドル(操作部)10と、このハンドル10を図2中で、X軸方向(左右方向)、Y軸方向(上下方向)、Z軸方向(前後方向)にそれぞれ移動可能に、かつZ軸の軸回り方向に回動可能に支持する支持機構部11(図4に示す)とが設けられている。なお、図2中で、OM はマスターマニピュレータ3aのハンドル10の原点位置である。
【0024】
また、ハンドル10には図2に示すようにトッププレート12に一端部が固定された支軸13と、この支軸13の他端部に回動軸14を中心に回動可能に連結された2つのハンドル部材15a,15bとが設けられている。さらに、2つのハンドル部材15a,15b間には回動軸14側にリンク部材16、自由端部側に板ばね部材17がそれぞれ配設されている。そして、このハンドル10は板ばね部材17のばね力によって図2中に実線で示すように全開位置方向に付勢されている。
【0025】
また、このハンドル10の一方のハンドル部材15aにはストッパ18が他方のハンドル部材15b側に向けて突設されている。そして、このハンドル10の閉操作時には図2中に仮想線で示すようにハンドル部材15aのストッパ18がハンドル部材15bに突き当たることにより、このハンドル10の閉操作が規制され、この状態が全閉位置に設定されている。
【0026】
さらに、ハンドル10のハンドル部材15aにはポテンショメータ19が取付けられている。そして、このポテンショメータ19によってハンドル10の開閉角度が検出されるようになっている。
【0027】
また、マスターマニピュレータ3aの支持機構部11はパンタグラフ機構を複数組み合わせて構成された多自由度マニピュレータによって形成されている。ここで、出力節であるトッププレート12には、3つのパンタグラフと3つの回転対偶軸とが取付けられている。なお、各パンダグラフ、対偶軸には、図示しないエンコーダが取付けられている。そして、このエンコーダによってハンドル10の操作を検出する検出手段が形成されている。さらに、マスターマニピュレータ3にはこのマスターマニピュレータ3を操作不能なロック状態と、このマスターマニピュレータ3の操作が可能なロック解除状態とに切換える例えば電磁ロック式の図示しないロック機構部が組込まれている。
【0028】
また、マスターマニピュレータ3にはこのマスターマニピュレータ3の操作を電気信号に変換するマスター制御部20が接続されている。このマスター制御部20にはマスターマニピュレータ3のポテンショメータ19および支持機構部11のエンコーダなどの位置検出装置(動作情報検出部)21と、例えば位置計算用のコンピュータによって形成される演算回路22とが設けられている。そして、位置検出装置21による左右のマスターマニピュレータ3a,3bの操作状態の検出データ(L検出信号、R検出信号)は演算回路22に入力され、この演算回路22で位置計算されてマスターマニピュレータ3のハンドル10の操作状態や、ハンドル10の開閉状態などのデータが算出されるようになっている。
【0029】
さらに、このマスター制御部20にはマスターマニピュレータ3のロック機構部の制御用のフットスイッチ23が接続されている。このフットスイッチ23には2つのペダル23a,23bが設けられている。そして、一方のペダル23aによってマスターマニピュレータ3のロック状態と、ロック解除状態とを切換えるロック状態の切換え操作部、他方のペダル23bによって移動用クラッチの切換え操作部がそれぞれ形成されている。
【0030】
なお、マスターマニピュレータ3を操作する術者の近傍位置にはモニター24が配置されている。そして、このモニター24に表示される表示画面を見ながらマスターマニピュレータ3の操作が行われるようになっている。
【0031】
また、スレーブマニピュレータ2にはマスターマニピュレータ3の操作に追従した動きをスレーブマニピュレータ2に伝達する制御信号を出力するスレーブ制御部25が接続されている。このスレーブ制御部25にはスレーブマニピュレータ2のスレーブ駆動部6に組込まれている複数の駆動モータ26を制御するモータ駆動回路27と、例えばスレーブマニピュレータ制御用のコンピュータによって形成される演算回路28とが設けられている。
【0032】
さらに、スレーブ制御部25の演算回路28とマスター制御部20の演算回路22との間は例えば光ファイバーケーブルなどの通信手段29を介して接続されている。そして、スレーブ制御部25ではマスター制御部20から送られるマスターマニピュレータ3の操作に追従した動きをスレーブマニピュレータ2に伝達する制御信号を出力するようになっている。
【0033】
また、マスター制御部20の演算回路22には図5に示すように位置検出装置21に接続されたA/D変換器30と、タイマー31と、キャンセル手段32と、CPU33とが設けられている。そして、マスターマニピュレータ3のポテンショメータ19および支持機構部11のエンコーダなどの位置検出装置21で得られたマスターマニピュレータ3のハンドル10の開閉角度や、ハンドル10のX軸方向、Y軸方向、Z軸方向の各移動量や、Z軸の軸回り方向の回動角度などのマスターマニピュレータ3の可動部の位置・姿勢などの操作情報の検出信号であるアナログ出力がA/D変換器30によって例えば256階調のデジタル出力の制御信号に変換されてCPU33に入力され、このデジタル出力の制御信号がマスター制御部22から通信手段29を介してスレーブ制御部25に伝送されるようになっている。なお、CPU33には図示しない伝達倍率変換回路が内蔵されている。そして、マスターマニピュレータ3のハンドル10のX軸方向、Y軸方向、Z軸方向の各移動量の検出データはこの伝達倍率変換回路によって任意の伝達倍率に変換されてスレーブ制御部25に伝送され、ハンドル10の開閉角度の検出データは1:1でスレーブ制御部25に伝送されるようになっている。
【0034】
また、キャンセル手段32には位置検出装置21からの検出結果にもとづいてマスターマニピュレータ3の動作情報が予め設定されたスレーブマニピュレータ2の動作制御用の所定の設定範囲よりも小さい微小な動作情報の場合にはその微小な動作情報がスレーブマニピュレータ2側に伝達されることをキャンセルする機能が設けられている。ここで、キャンセル手段32はマスターマニピュレータ3の動作情報の時間的変化量が予め設定されたスレーブマニピュレータ2の動作制御用の所定の設定範囲よりも小さい微小な動作情報の場合にはスレーブマニピュレータ側に伝達される動作情報を更新しないように設定されている。なお、このキャンセル手段32には位置検出装置21で検出される動作情報の時間的変化量の設定範囲を任意に変更する設定値調整部(設定範囲調整手段)34が接続されている。
【0035】
次に、上記構成の作用について説明する。本実施の形態のマニピュレータ制御装置1の使用時には、マスターマニピュレータ3が術者が操作できる領域内に設置される。さらに、スレーブマニピュレータ2は術野にアクセスするように設置される。例えば、図4に示すように予め診断・処置等の手術を行う患者の腹壁等の体壁Hに図示しないトロッカーによって穴を開け、この穴に刺入されたトロッカー外套管内にスレーブマニピュレータ2の挿入部4が挿入され、このトロッカー外套管内を通じてスレーブマニピュレータ2の挿入部4が経皮的に体腔内に挿入された状態にセットされる。このとき、マスターマニピュレータ3を操作する術者の近傍位置のモニター24にはスレーブマニピュレータ2とは別の場所から経皮的に体腔内に挿入された内視鏡による術野の内視鏡像、或いはコンピュータグラフィック装置によって合成された術野のコンピュータグラフィック画像(CG画像)などが表示される。
【0036】
また、スレーブマニピュレータ2およびマスターマニピュレータ3のセット後、これらのスレーブマニピュレータ2およびマスターマニピュレータ3の原点(0点)位置を対応させるキャリブレーション動作が行われる。このキャリブレーション動作時にはフットスイッチ23のペダル23aを踏むことにより、マスターマニピュレータ3のロックが解除され、マスターマニピュレータ3の左右のマスターマニピュレータ3a,3bが図2中で、X軸方向(左右方向)、Y軸方向(上下方向)、Z軸方向(前後方向)にそれぞれ移動可能、かつZ軸の軸回り方向に回動可能な状態にそれぞれ切換えられるとともに、左右のマスターマニピュレータ3a,3bの2つのハンドル部材15a,15b間が開閉動作可能な状態にそれぞれ切換えられる。
【0037】
この状態で、マスターマニピュレータ3の左右のマスターマニピュレータ3a,3bが任意の位置に移動され、左右のマスターマニピュレータ3a,3bの原点(0点)位置が設定される。
【0038】
その後、スレーブマニピュレータ2における2つのスレーブマニピュレータ2a,2bのスレーブ駆動部6内の図示しないマニピュレータ本体駆動ユニットおよび先端把持部駆動ユニットが駆動される。これにより、マニピュレータ本体5が図3中で、X軸方向(左右方向)、Y軸方向(上下方向)、Z軸方向(前後方向)にそれぞれ移動され、かつZ軸の軸回り方向に回動駆動されて予め設定された左右のスレーブマニピュレータ2a,2bの原点(0点)位置に移動される。このとき、スレーブマニピュレータ2a,2bの移動範囲が予め決められた適正範囲でない場合は、警告表示等を行い異常を操作者に告知を行っている。
【0039】
さらに、このキャリブレーション動作の終了後、本実施の形態のマニピュレータ制御装置1による診断・処置等の手術が開始される。この手術時には術者はモニター24に表示される術野の内視鏡像、或いはCG画像の画面を見ながらマスターマニピュレータ3の左右のマスターマニピュレータ3a,3bがそれぞれ操作される。このとき、左側マスターマニピュレータ3aのハンドル10が術者の左手、右側マスターマニピュレータ3bのハンドル10が術者の右手で握られた状態でそれぞれ操作され、左側マスターマニピュレータ3aによって左側スレーブマニピュレータ2a、右側マスターマニピュレータ3bによって右側スレーブマニピュレータ2bがそれぞれ独立に遠隔操作される。
【0040】
例えば、左側マスターマニピュレータ3aのハンドル10を図2中で、X軸方向(左右方向)、Y軸方向(上下方向)、Z軸方向(前後方向)にそれぞれ移動させ、かつZ軸の軸回り方向に回動させた場合にはこのときのマスターマニピュレータ3aの動作がマスター制御部20の位置検出装置21で検出される。この位置検出装置21からの検出データは演算回路22に入力される。このとき、マスターマニピュレータ3のポテンショメータ19および支持機構部11のエンコーダなどの位置検出装置21で得られたマスターマニピュレータ3のハンドル10の開閉角度や、ハンドル10のX軸方向、Y軸方向、Z軸方向の各移動量や、Z軸の軸回り方向の回動角度などのマスターマニピュレータ3の可動部の位置・姿勢などの操作情報の検出信号であるアナログ出力は演算回路22のA/D変換器30によって例えば256階調のデジタル出力の制御信号に変換されてCPU33に入力される。そして、この演算回路22のCPU33で位置計算されてマスターマニピュレータ3のハンドル10の操作状態や、ハンドル10の開閉状態などのデータが算出される。
【0041】
さらに、マスター制御部20の演算回路22で位置計算された算出データは光ファイバーケーブルなどの通信手段29を介してスレーブ制御部25に送信される。ここで、マスターマニピュレータ3のハンドル10のX軸方向、Y軸方向、Z軸方向の各移動量の検出データはCPU33内の図示しない伝達倍率変換回路によって任意の伝達倍率に変換されてスレーブ制御部25に伝送され、ハンドル10の開閉角度の検出データは1:1でスレーブ制御部25に伝送される。
【0042】
また、スレーブ制御部25では受信された制御信号にもとづいて演算回路28によってスレーブ駆動部6に組込まれているモータ駆動回路27の複数の駆動モータ26を制御する制御信号が算出される。そして、このスレーブ制御部25から出力される制御信号が左側スレーブマニピュレータ2aに伝達され、左側スレーブマニピュレータ2aが遠隔的に操作される。このとき、左側スレーブマニピュレータ2aは左側マスターマニピュレータ3aのハンドル10の動きに追従して動く。なお、右側マスターマニピュレータ3bの操作時にも同様の作用によって右側スレーブマニピュレータ2bの動作が制御され、右側マスターマニピュレータ3bの操作に追従して右側スレーブマニピュレータ2bが動くようになっている。
【0043】
また、本実施の形態のマニピュレータ制御装置1の動作中、位置検出装置21からの検出結果にもとづいてマスターマニピュレータ3の動作情報が予め設定されたスレーブマニピュレータ2の動作制御用の所定の設定範囲、例えばA/D値が基準値Xに対して±1bit以内の微小な動作情報の場合にはその微小な動作情報がスレーブマニピュレータ2側に伝達されることをキャンセルするキャンセル動作が図7に示すフローチャートにしたがって次のように行われる。
【0044】
すなわち、マスター制御部22からスレーブ制御部25に制御信号を送信する送信処理の開始時にはステップS1で、送信ビットが「0」にセットされる。ここで、送信ビットが「0」にセットされた場合にはマスター制御部20からスレーブ制御部25にデータがリアルタイムで送信されて更新され、また送信ビットが「1」にセットされた場合にはデータがキャンセルされる処理が行われる。
【0045】
続いて、次のステップS2ではA/D変換器30の出力信号が読み込まれ、次のステップS3で、図6に示す基準値Xが取得される。さらに、次のステップS4ではタイマー31によって例えばt=2秒がプリセットされる。
【0046】
また、次のステップS5では基準値Xが±1bit以内(X≦±1bit)か否かが判断される。ここで、Xが±1bit以内ではない場合にはステップS6に進み、基準値Xがクリアされたのち、ステップS2に戻される。さらに、ステップS5でXが±1bit以内であると判断された場合にはステップS7に進む。
【0047】
このステップS7ではt=0か否かが判断される。ここで、t=0以外の場合にはステップS5に戻される。ステップS7でt=0と判断された場合には次のステップS8に進む。このステップS8では送信ビットが「1」にセットされ、データのキャンセル処理が行われる。
【0048】
その後、次のステップS9で基準値Xが±1bit以内(X≦±1bit)か否かが判断される。ここで、Xが±1bit以内ではない場合にはステップS8に戻される。また、ステップS9でXが±1bit以内であると判断された場合にはステップS1に戻される。
【0049】
なお、位置検出装置21にはマスターマニピュレータ3の位置検出用のポテンショメータ19や、支持機構部11のエンコーダなどの複数の検出要素が設けられているので、全て(n個)の検出要素のA/D値に対して基準値XはA/D1〜A/DnのAND条件でキャンセル期間が判定される。
【0050】
これにより、時刻t0で位置検出装置21の出力信号を基準値Xとしてサンプリングしたのち、任意の設定時間t(例えばt=2秒)の間、基準値X±1ビット以内である状態を認識した場合には、マスターマニピュレータ3が停止している状態と判断(判定時間t後)してマスターマニピュレータ3からスレーブマニピュレータ2に送信する位置・姿勢・開閉角の情報がキャンセルされる。また、基準値X±1ビット以上になった場合にはマスターマニピュレータ3が移動している状態と判断し、マスターマニピュレータ3からスレーブマニピュレータ2に送信する位置・姿勢・開閉角の情報が更新される。なお、基準値Xは定期的にサンプリングされ、判定期間tでX±1ビット以内であれば新たにマスターマニピュレータ3からスレーブマニピュレータ2に送信する情報はキャンセルされる。
【0051】
また、設定値調整部34によってキャンセル手段32による位置検出装置21で検出される動作情報の時間的変化量の設定範囲であるキャンセルbitの幅を任意に変更して設定することができる。
【0052】
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態ではマニピュレータ制御装置1の動作中、位置検出装置21からの検出結果にもとづいてマスターマニピュレータ3の動作情報が予め設定されたスレーブマニピュレータ2の動作制御用の所定の設定範囲、例えばA/D値が基準値Xに対して±1bit以内の微小な動作情報の場合にはその微小な動作情報がスレーブマニピュレータ2側に伝達されることをキャンセルするキャンセル動作が行われる。そのため、位置検出装置21のポテンショメータ19などの出力信号に対するノイズの重畳で、スレーブマニピュレータ2が振動する動作(ノイズによる振動動作)や、A/D変換器30の量子化誤差によるデジタルノイズの影響でスレーブマニピュレータ2が振動する動作(ノイズによる振動)をキャンセルすることができる。したがって、マスターマニピュレータ3の未使用時にスレーブマニピュレータ2が振動するなどの不要な動作や、手ブレ現象などの不要な動作を防ぐことができるので、マスターマニピュレータ3の未使用時や、動作中のスレーブマニピュレータ2の挙動を安定化させて見栄えがよく、耐久性に優れる。
【0053】
さらに、格別に高精度なA/D変換器30などの電子回路を使用することなく入力信号の不要な情報をソフトウエア的に取り除くことができるので、装置全体のコスト低下を図ることができる。
【0054】
また、図8および図9は本発明の第2の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第1の実施の形態(図1乃至図7参照)のマニピュレータ制御装置1の構成を次の通り変更したものである。
【0055】
すなわち、本実施の形態ではマスターマニピュレータ3のトッププレート12にハンドル10のX軸方向(左右方向)、Y軸方向(上下方向)、Z軸方向(前後方向)の3方向の移動を検出する3軸加速度センサ41を取付け、この3軸加速度センサ41からの検出信号により、マスターマニピュレータ3の動作情報が予め設定されたスレーブマニピュレータ2の動作制御用の所定の設定範囲、例えばA/D値が基準値Xに対して±1bit以内の微小な動作情報の場合にはその微小な動作情報がスレーブマニピュレータ2側に伝達されることをキャンセルするキャンセル動作を行わせる構成にしたものである。ここでは、3軸加速度センサ41によって図9に示すようにハンドル10のX軸方向、Y軸方向、Z軸方向の3方向の移動が検出されるので、この3軸加速度センサ41によって停止期間tOFF を検出している間、スレーブマニピュレータ2に送信する情報をキャンセルする。
【0056】
そこで、本実施の形態ではマスターマニピュレータ3の停止状態を確実に検出可能となる。さらに、マスター制御部20の制御用CPU33の負荷を軽減させることが可能となる効果がある。
【0057】
さらに、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施できることは勿論である。
次に、本出願の他の特徴的な技術事項を下記の通り付記する。
記
(付記項1) マスタースレーブ装置において、マスター入力装置の位置・姿勢・開閉角度を検出する信号検出手段、前記信号検出手段でマスタ入力装置の未使用時(停止状態)を検出する移動量検出手段、前記移動量検出手段にてマスター入力装置が未使用(移動停止)していたことを利用してスレーブ側に送信する位置・姿勢・開閉角度の情報を更新しない情報キャンセル手段を備えたマスタースレーブ装置。
【0058】
(付記項2) ポテンショメータの時間的変化量から前記未使用時を検出する前記付記項1のマスタースレーブ装置。
【0059】
(付記項3) センサーを付加して前記未使用時を検出する前記付記項1のマスタースレーブ装置。
【0060】
(付記項4) 各リンク機構の傾き情報から位置・姿勢・開閉角度を算出できるマスター入力装置を備えたマスタースレーブ装置において、マスター入力装置の位置・姿勢・開閉角を算出する動作状態検出部、前記動作状態検出部にてマスター入力装置の位置・姿勢・開閉角の時間的変化量が規定の値以下ならば、前記位置・姿勢・開閉角の情報を更新しない情報キャンセル手段を備えたマスタースレーブ装置。
【0061】
(付記項5) 前記動作状態検出部で時間的変化量が任意に可変可能な前記情報キャンセル手段を備えた付記項4のマスタースレーブ装置。
【0062】
(付記項6) 前記マスター入力装置において、可動部の動きを検出するセンサーを備え、前記センサーの情報を元にマスター入力装置が操作されていないことを判断する停止状態検出手段、前記停止状態検出手段からマスター入力装置の未使用時状態を検出し、前記位置・姿勢・開閉角の情報を更新しない付記項4及び付記項5のマスタースレーブ装置。
【0063】
(付記項1〜6の従来技術) 手術用マニピュレータシステムが、米国特許第5,217,003号や、特開平7−328016号公報などに示されている。
【0064】
(付記項1〜6が解決しようとする課題) 検出信号のノイズまたはA/Dの量子化誤差によるデータの変化値が、マスター入力装置の未使用時でもスレーブの動きにつながってスレーブの振動動作を誘発していた。
【0065】
(付記項1〜6の目的) マスター入力装置の未使用時を検出することで、スレーブの不要な動作(振動)を防ぐことを目的とする。
【0066】
(付記項1〜6の効果) 高精度な回路を用いることなく、入力信号の不要な情報をソフトウエアにより取り除くことができる。操作を停止し、ハンドルを保持しているときの手の振動をスレーブに伝達しない(手ブレ補正)。確実にマスターアームの停止状態を検出可能。また、制御用CPUの負荷を軽減させることが可能。
【0067】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、マスターマニピュレータの動作情報を検出する動作情報検出部と、この動作情報検出部からの検出結果にもとづいてマスターマニピュレータの動作情報が予め設定されたスレーブマニピュレータの動作制御用の所定の設定範囲よりも小さい微小な動作情報の場合にはその微小な動作情報がスレーブマニピュレータ側に伝達されることをキャンセルするキャンセル手段とを設けたので、マスターマニピュレータの未使用時にスレーブマニピュレータが振動するなどの不要な動作や、手ブレ現象などの不要な動作を防ぐことができ、マスターマニピュレータの未使用時や、動作中のスレーブマニピュレータ挙動を安定化させて見栄えがよく、耐久性に優れる。
【0068】
請求項2の発明によれば、マスターマニピュレータの操作部の操作によってスレーブマニピュレータの処置部の開閉動作およびスレーブマニピュレータの姿勢制御部を操作する際に、動作情報検出部によって検出されたマスターマニピュレータの処置部の開閉角度や、マスターマニピュレータの可動部の位置・姿勢などのマスターマニピュレータの姿勢情報などの動作情報の時間的変化量が予め設定されたスレーブマニピュレータの動作制御用の所定の設定範囲よりも小さい微小な動作情報の場合にはキャンセル手段によってスレーブマニピュレータ側に伝達される動作情報を更新しないようにしたので、マスターマニピュレータの未使用時にスレーブマニピュレータが振動するなどの不要な動作や、手ブレ現象などの不要な動作を防ぐことができ、マスターマニピュレータの未使用時や、動作中のスレーブマニピュレータ挙動を安定化させて見栄えがよく、耐久性に優れる。
【0069】
請求項3の発明によれば、キャンセル手段の設定範囲調整手段によって動作情報検出部で検出される動作情報の時間的変化量の設定範囲を任意に変更することができる。
【0070】
請求項4の発明によれば、動作情報検出部のセンサーによってマスターマニピュレータの可動部の動作情報を検出し、このセンサーからの検出結果にもとづいてキャンセル手段によってマスターマニピュレータが操作されていない停止状態であることを判断してマスターマニピュレータの停止状態が検出された場合にはスレーブマニピュレータ側に伝達される動作情報を更新しないようにしたので、マスターマニピュレータの未使用時にスレーブマニピュレータが振動するなどの不要な動作や、手ブレ現象などの不要な動作を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態におけるマニピュレータ制御装置のシステム全体の概略構成図。
【図2】 第1の実施の形態のマニピュレータ制御装置におけるマスターマニピュレータの操作部を一部断面にして示す側面図。
【図3】 第1の実施の形態のマニピュレータ制御装置におけるスレーブマニピュレータの先端把持部を示す要部の斜視図。
【図4】 第1の実施の形態のマニピュレータ制御装置の使用状態を示す全体の概略構成図。
【図5】 第1の実施の形態のマニピュレータ制御装置におけるマスター制御部の演算回路の概略構成図。
【図6】 第1の実施の形態のマニピュレータ制御装置におけるマスターマニピュレータの動作を説明するための説明図。
【図7】 第1の実施の形態のマニピュレータ制御装置におけるキャンセル手段の動作を説明するためのフローチャート。
【図8】 本発明の第2の実施の形態のマニピュレータ制御装置におけるマスターマニピュレータの操作部を一部断面にして示す側面図。
【図9】 第2の実施の形態のマニピュレータ制御装置におけるスレーブマニピュレータの動作を説明するための説明図。
【図10】 従来の手術用マニピュレータシステムの概略構成図。
【図11】 従来の手術用マニピュレータシステムにおけるスレーブマニピュレータの動作状態を説明するための説明図。
【符号の説明】
2 スレーブマニピュレータ
3 マスターマニピュレータ
20 マスター制御部
21 位置検出装置(動作情報検出部)
22 演算回路
25 スレーブ制御部
32 キャンセル手段
Claims (3)
- 術野にアクセスするように設置されたスレーブマニピュレータと、
術者が操作できる領域内に設置され、前記スレーブマニピュレータを遠隔的に操作するマスターマニピュレータと、
このマスターマニピュレータに接続され、前記マスターマニピュレータの操作をアナログ電気信号に変換し、前記アナログ電気信号をさらにデジタル電気信号の動作情報に変換するマスター制御部と、
前記スレーブマニピュレータおよび前記マスター制御部にそれぞれ接続され、前記マスター制御部から送られる前記マスターマニピュレータの操作に追従した動きを前記スレーブマニピュレータに伝達する制御信号を出力するスレーブ制御部と、
前記マスターマニピュレータの動作情報を検出する動作情報検出部と、
この動作情報検出部からの検出結果にもとづいて前記マスターマニピュレータの動作情報が予め設定された前記スレーブマニピュレータの動作制御用の所定の設定範囲よりも小さい微小な動作情報の場合にはその微小な動作情報が前記スレーブマニピュレータ側に伝達されることをキャンセルするキャンセル手段と
を具備したマニピュレータ制御装置であって、
前記キャンセル手段は、前記動作情報が所定の基準値Xに対して±1bit以内であるか否かを判断し、±1bit以内であれば前記制御信号の出力をキャンセルし、±1bit以内でなければ前記制御信号をリアルタイムで出力するマニピュレータ制御装置。 - 前記キャンセル手段は、
前記マスター制御部から前記スレーブ制御部に制御信号を送信する送信処理の開始時にデータ更新モードにセットされ、前記データ更新モードにセットされた場合には前記マスター制御部から前記スレーブ制御部にデータがリアルタイムで送信されて更新され、またデータキャンセルモードにセットされた場合にはデータがキャンセルされる処理が行われるステップS1と、
前記マスター制御部の出力信号が読み込まれるステップS2と、
前記基準値Xが取得されるステップS3と、
タイマーによって任意の設定時間がプリセットされるステップS4と、
前記基準値Xが±1bit以内(X≦±1bit)か否かが判断されるステップS5と、
前記ステップS5でXが±1bit以内ではない場合には基準値Xがクリアされたのち、前記ステップS2に戻されるステップS6と、
前記ステップS5でXが±1bit以内であると判断された場合にはt=0か否かが判断され、t=0以外の場合にはステップS5に戻されるステップS7と、
前記ステップS7でt=0と判断された場合に前記データキャンセルモードにセットされ、データのキャンセル処理が行われるステップS8と、
前記ステップS8でデータのキャンセル処理が行われた後、基準値Xが±1bit以内(X≦±1bit)か否かが判断され、前記Xが±1bit以内ではない場合にはステップS8に戻され、前記Xが±1bit以内であると判断された場合にはステップS1に戻されるステップS9と、
を具備することを特徴とする請求項1に記載のマニピュレータ制御装置。 - 前記動作情報検出部は、前記マスターマニピュレータの可動部の動作情報を検出するセンサーを備え、
前記キャンセル手段は、前記センサーからの検出結果にもとづいて前記マスターマニピュレータが操作されていない停止状態であることを判断し、前記マスターマニピュレータの停止状態の検出時には前記スレーブマニピュレータ側に伝達される前記動作情報を更新しないものであることを特徴とする請求項1に記載のマニピュレータ制御装置。
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