JP4472033B2 - 直鎖状オルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーの製造方法 - Google Patents

直鎖状オルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、直鎖状オルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーの製造方法に関し、さらに詳細には、特に直鎖状メチルハイドロジェンシロキサンオリゴマーの製造に適した方法に関する。
【0002】
なお、以下の記述において、ケイ素原子に結合した有機基がメチル基である直鎖状ポリメチルシロキサンおよび直鎖状ポリメチルハイドロジェンシロキサンを中心に述べるが、本発明はこれに限定されるものではない。また、これらのメチル系ポリシロキサンのシロキサン単位に、下記の略号を用いる。
M:トリメチルシロキシ単位
D:ジメチルシロキサン単位
H :メチルハイドロジェンシロキサン単位
【0003】
【従来の技術】
直鎖状メチルハイドロジェンシロキサンオリゴマーに代表されるオルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマー、特にMDH Mと表示される1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサンや、MDH 2Mと表示される1,1,1,3,5,7,7,7−オクタメチルテトラシロキサンは、分子中のSi−H結合の反応性を利用して、種々の無機物質の表面処理、有機化合物の化学修飾、有機ケイ素化合物を合成するための中間体などに用いられている。
【0004】
このような直鎖状オルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーの製造には、たとえば、MMと表示されるヘキサメチルジシロキサンのような末端停止体と、DH 単位を有する環状および/または直鎖状ポリメチルハイドロジェンシロキサン、たとえばDH 4および/またはα,ω−ビス(トリメチルシリル)ポリ(メチルハイドロジェンシロキサン)を、目的とするオリゴマーが高い選択率で得られる配合比で混合して、活性白土のような平衡化触媒によって平衡化させた後、活性白土をろ別して、生成物の蒸留を行う方法が知られている。
【0005】
このような方法による場合、特にMDH MやMDH 2Mを目的物とする場合に、目的とするこれらのオリゴマーの選択率が低く、生成物中には未反応のMM、およびより高い重合度のMDH zM(z>1)の含有量が著しく大きい。MMおよび副生したMDH zMを回収して再循環することにより、目的とするオリゴマーへの総合転化率を向上させることはできるが、活性白土のろ過を含む工程が煩雑になり、目的とするオリゴマーの選択率が低いために、その生成量に対する再循環量が多く、活性白土の使用量、ろ過の作業量および蒸留・再循環の動力費を総合すると、経済的に不利である。
【0006】
また、ポリオルガノシロキサンの平衡化反応に一般に用いられる他の強酸性または強アルカリ性の触媒は、Si−H結合の開裂反応をもたらすので、このようなオルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーを目的物とする平衡化には、使用できない。
【0007】
直鎖状ハロゲン化スルホニトリル化合物は、ポリオルガノシロキサンの平衡化反応、および末端にヒドロキシ基を有するポリオルガノシロキサンの重縮合反応の触媒として知られている。特開平8−109261号公報には、該直鎖状ハロゲン化ホスホニトリル化合物の存在下に、MMと、D単位のようなジオルガノシロキサン単位を含むポリジオルガノシロキサンとの混合物を平衡化させて、MDMのような特定の直鎖状オルガノシロキサンオリゴマーを収率よく製造する方法が開示されている。しかしながら、該公報には、該ホスホニトリル化合物を用いる平衡化反応によってポリオルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーを製造することは、記載されていない。また、このような直鎖状ハロゲン化ホスホニトリル化合物を用いて、Si−H結合の開裂のような副反応を伴わずに、ポリオルガノハイドロジェンシロキサンを平衡化して、直鎖状ポリオルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーを収率よく合成しうることは知られていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、直鎖状オルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマー、特にMDH MやMDH 2Mのような特定の重合度を有する直鎖状メチルハイドロジェンシロキサンオリゴマーを、選択率よく、かつ収率よく製造する方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、直鎖状オルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーを目的物とする平衡化反応に、直鎖状ハロゲン化ホスホニトリル化合物を用いて、平衡化工程および触媒の失活工程において、Si−H結合の開裂のような副反応を生ずることなく直鎖状オルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマー、特に特定の重合度を有する直鎖状メチルハイドロジェンシロキサンオリゴマーを収率よく製造しうることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明の直鎖状オルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーの製造方法は、
(1)(A)トリオルガノシロキシ単位を有する直鎖状オルガノシロキサンオリゴマーと、(B)環状オルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーおよび/または目的物よりも重合度の高い直鎖状ポリオルガノハイドロジェンシロキサンとを混合して、シロキサン混合物を得る工程;
(2)該混合物に触媒量の(C)直鎖状ハロゲン化ホスホニトリル化合物を添加して、平衡化反応させる工程;
(3)直鎖状ハロゲン化ホスホニトリル化合物を失活させる工程;および
(4)得られた直鎖状オルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーを回収する工程
を含むことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる(A)は、目的物である直鎖状オルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーに末端トリオルガノシロキシ基を与えるもので、トリオルガノシロキシ単位を有する直鎖状オルガノシロキサンオリゴマーである。(A)としては、該トリオルガノシロキシ単位のみからなる二量体のほか、中間ジオルガノシロキサン単位を含む三量体、四量体、五量体など、およびそれらを含む混合物が例示され、容易に収率よく合成でき、適度の重合速度が得られ、未反応の回収も容易なことから、二量体が好ましい。特に目的物がMDH zM(式中、zは正の整数である)で示されるような、ジオルガノシロキシ単位を含まないオリゴマーである場合は、(A)もまた該単位を含まない二量体、特にMMである。
【0012】
ケイ素原子に結合した有機基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシルのようなアルキル基;シクロヘキシルのようなシクロアルキル基;2−フェニルエチル、2−フェニルプロピルのようなアラルキル基;ビニル、アリル、1−ブテニル、1−ヘキセニルのようなアルケニル基;フェニル、トリルのようなアリール基などの1価の炭化水素基;ならびにクロロメチル、3−クロロプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピルのような1価の置換炭化水素基が例示され、たがいに同一でも異なっていてもよいが、合成および取扱いが容易で、目的物もまたオルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーの特徴である繊維など各種の基材への処理が容易なこと、撥水性および反応性から、メチル基が特に好ましい。このような(A)としては、MM、MDM、MD2 M、MD3 Mおよびそれらの混合物のような直鎖状メチルシロキサンオリゴマーが例示され、前述の理由からMMが特に好ましい。
【0013】
本発明に用いられる(B)は、目的物である直鎖状オルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーに中間オルガノハイドロジェンシロキサン単位を与えるもので、環状のものでも、目的物よりも重合度の高い直鎖状ポリオルガノハイドロジェンシロキサンでもよく、両者の混合物であってもよい。目的物に応じて、分子末端を除いてオルガノハイドロジェンシロキサン単位のみからなっていても、オルガノハイドロジェンシロキサン単位とジオルガノシロキサン単位を含んでいてもよい。また、直鎖状ポリオルガノハイドロジェンシロキサンの場合、分子末端はトリオルガノシロキシ基でもシラノール基でもよい。
【0014】
ケイ素原子に結合した有機基としては、前述の(A)と同様なものが例示され、(A)の場合と同様な理由、とりわけ合成が容易なことから、メチル基が特に好ましい。このような(B)は、DH xy (式中、xは正の整数、yは0または正の整数であって、x+yは3〜8である)で示され、具体的にはDH 3、DH 4、DH 3D、DH 22 、DH3 、DH 5、DH 4D、DH 32 、DH 23 、DH4 、DH 6、DH 7、DH 8およびそれらの混合物が例示される環状ポリメチルハイドロジェンシロキサン;ならびに目的物よりも重合度が高く、単一化合物でも混合物でもよいMDH xy M(ただし、xは正の整数、yは0または正の整数である)で示される直鎖状ポリメチルハイドロジェンシロキサン、およびそれに対応する、両末端がシラノール基であるシラノール基含有直鎖状ポリメチルハイドロジェンシロキサンが用いられ、目的物がMDH zM(式中、zは正の整数である)であるとき、y=0のものが用いられる。
【0015】
工程(1)は、(A)と(B)を混合して混合シロキサンを調製する工程である。混合は、常法により常温で行ってよいが、必要に応じて加温または冷却下に行ってもよい。(A)と(B)の混合比は、目的物の分子構造に応じて、たとえば重量比で1:99〜99:1、好ましくは5:95〜95:5の範囲で任意に設定できる。すなわち、原料のM/DH モル比を、たとえばMDH Mを目的物とする場合には、好ましくは1.0〜10.0、さらに好ましくは1.5〜5.0になるように設定し、MDH 2Mを目的物とする場合には、好ましくは0.5〜3.0になるように設定する。この比は、単に平衡化反応における目的物オリゴマーの選択率だけでなく、後述の工程(4)における蒸留をバッチ法で行う場合は、該工程における蒸留塔の設計に関連して、上記の選択率と、目的物オリゴマーに対する二量体の生成比の両方から選択してもよい。
【0016】
なお、前述のように、(B)としてシラノール基含有ポリオルガノハイドロジェンシロキサンも使用できるが、シロキサン混合物中のシラノール含有量は、(A)と(B)の合計量に対して低いほど好ましく、具体的には700ppm 以下であることが好ましい。シラノール基の含有量が高いと、該シラノール基またはその縮合反応によって生成した水が、(2)平衡化工程において触媒として使用する(C)直鎖状ハロゲン化ホスホニトリル化合物を加水分解させることがある。
【0017】
工程(2)は、工程(1)で得られた混合シロキサンに、触媒量の(C)を添加して平衡化反応させる工程である。
【0018】
本発明に用いられる(C)は、(A)と(B)の平衡化反応を促進させる触媒として機能する直鎖状ハロゲン化ホスホニトリル化合物であり、亜リン酸アミドジクロリド、リン酸アミドジクロリド、ポリホスファゼンなどが例示される。
【0019】
このような(C)直鎖状ハロゲン化ホスホニトリル化合物のうち、シロキサンの平衡化反応速度が大きいことから、一般式:
〔X3 P(NPX2)m X〕+ 〔AXv-t+1t- ……(I)
(式中、Xはたがいに同一でも異なっていてもよいハロゲン原子を表し、Aはポーリングの電気陰性度が1.5〜2.2である原子を表し、Rは炭素原子数2〜12のアルキル基を表し、mは1〜8の整数であり、vはAの原子価または酸化状態であり、そしてtは0<t<vの数である)で示される化合物が好ましい。Xとしては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が例示され、合成が容易で、触媒能が高いことから塩素原子が好ましい。Aとしては、リン、アンチモン、鉄にような、ハロゲン化物がルイス酸を形成しうる元素が例示され、合成が容易なことと、Si−H結合を攻撃しないことから、リンが好ましい。
【0020】
このような直鎖状ハロゲン化ホスホニトリル化合物としては、一般式:
Cl3 P(NPCl2)m NPCl3 ・PCl6 ……(Ia)
で示される直鎖状塩化ホスホニトリル化合物が好ましく、m=1である、式:
Cl3 P(NPCl2)NPCl3 ・PCl6 ……(Ib)
で示される化合物が特に好ましい。
【0021】
本発明で用いられる他のタイプの(C)としては、一般式:
OX2 P(NPCl2)n NPX3-p(Y)p ……(II)
または
OX2 P(NPCl2)n N(H)P(O)X2-q(Y)q ……(III)
(式中:Xは前述のとおり;YはOH、OR1 またはOC(O)R2 を表し、R1 およびR2 はそれぞれアルキル基またはアリール基を表し;nは0〜8の整数を表し;pは0、1または2であり;qは0または1である)で示される、末端のリン原子の少なくとも一部が酸化されたものが好ましい。R1 およびR2 としては、それぞれメチル、エチル、プロピル、ブチルのような直鎖状または分岐状のアルキル基;およびフェニル、トリルのようなアリール基が例示される。上記のうち、nが1〜8の整数であり、pが0または1であり、qが0であり、Xが塩素原子であり、Yが水酸基であることがさらに好ましく;nが1〜3の整数であり、pが1であることが特に好ましい。
【0022】
上記の一般式(II)または(III)で示されるP=O結合含有ハロゲン化ホスホニトリルのうち、さらに好ましい範囲の化合物は、たとえば、一般式:
OCl2 P(NPCl2)n NPCl2(OH) ……(IIa)
OCl2 P(NPCl2)n NPCl3 ……(IIb)
OCl2 P(NPCl2)n N(H)P(O)Cl2 ……(IIIa)
(式中、nは0〜8の整数である)で示される直鎖状塩化ホスホニトリル化合物である。
【0023】
工程(2)の平衡化反応には、上記の直鎖状ホスホニトリル化合物と、カルボン酸類、ハロゲン化アルカンカルボン酸類、アルコール類またはフェノール類のような、pKa 値が18以下の活性水素を含む化合物との反応生成物もまた有効である。また、(PNCl2)s (式中、sは3または4である)のような環状ハロゲン化ホスホニトリル化合物も有効である。しかしながら、これらは、本発明に用いられる(C)直鎖状ハロゲン化ホスホニトリル化合物に比べて、反応速度が非常に小さい。
【0024】
用いられる(C)の量は、それら(A)および(B)を容易に不均化させるのに有効な量である。(C)の量は、特に限定されないが、出発物質である(A)と(B)の合計重量に対して5〜500ppm の範囲が好ましく、10〜100ppm がさらに好ましい。
【0025】
系中への(C)の分散を促進して、反応を円滑に進行させるために、(C)は、不活性媒質中に分散または溶解させて添加することが好ましい。そのような分散液ないし溶液中の(C)の濃度は、好ましくは0.1〜10重量%、さらに好ましくは0.5〜5重量%である。不活性媒質としては、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;塩化メチレン、トリクロロエタン、1,3,5−トリクロロベンゼンのような塩素化炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチルのようなエステル類;およびヘキサメチルジシロキサン、ポリジメチルシロキサンのようなオルガノシロキサン類が例示され、オルガノシロキサン類が好ましいが、該オルガノシロキサン類は(A)および(B)と同様に平衡化反応にあずかるので、その添加によってM/DH 比に影響が出る場合には、工程(1)において(A)と(B)の配合比を設定する場合に、溶媒として用いる分を減じて配合する必要がある。
【0026】
平衡化反応は、通常35〜110℃、好ましくは60〜90℃の温度で進めることができ、1.5〜3.0時間で、たとえば65℃、2.0時間で平衡に達する。室温付近、すなわち15℃以上、35℃未満の温度でも反応は進行するが、平衡に達するために7時間以上の長い時間を必要とする。反応が110℃を越える高い温度で進められる場合は、Si−H結合の開裂が起こり、水素ガスの発生を伴ってシロキサン混合物のゲル化を生ずることがある。反応は、バッチ法で行っても、連続法で行ってもよい。
【0027】
工程(3)は、反応生成物の分離・回収に先立って、平衡化触媒として用いた(C)を失活させる工程である。このような失活工程を経ないで、蒸留によって反応生成物を回収しようとすると、最初に過剰のMMのような二量体が留出し、系中のM/DH 比が変わるので、再平衡化反応を生じ、その結果、目的とする特定の直鎖状オルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーが高収率では得られない。
【0028】
(C)の失活は、弱アルカリ性物質で中和することによって行われる。用いられる弱アルカリ性物質としては、アンモニア;ヘキサメチルジシラザン;エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミンのような脂肪族の第1級、第2級または第3級の有機アミン類;および酸化マグネシウムを例示することができる。系に均一に溶解しうることから、ヘキサメチルジシラザンが特に好ましい。水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどの強アルカリ性物質は、生成物中のSi−H結合の開裂を引き起こすため適当ではない。用いられる中和剤の量は、(C)を中和して、反応混合物のそれ以上の平衡化反応を停止させ、安定な生成物をもたらすのに十分なものでなければならない。この量は、(C)をはじめとする系中の酸性物質の合計含有量に基づいて決定され、一般に(A)と(B)の合計重量に対して10〜100ppm までの量である。本発明においては、このような量の弱アルカリ性物質を添加することにより、生成物中のSi−H結合の開裂を抑制しつつ(C)の失活が可能なことを見出して、特定の直鎖状ポリオルガノハイドロジェンシロキサンを収率よく得ることができるという格別な効果が得られた。なお、触媒がアルカリ性物質によって過剰に中和されたときは、後続の回収バッチに再度触媒反応させる際に、過剰量の(C)を添加することが必要となる。
【0029】
中和は、上記の弱アルカリ性物質を室温で添加して撹拌することによって行うことができる。
【0030】
工程(4)は、得られた直鎖状オルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーを回収する工程である。回収は、通常、蒸留によって行われる。蒸留は常圧でも、目的物がMDH zM(式中、z≧4)のような高沸点のものである場合は減圧で行ってもよい。またバッチ法でも連続法でもよく、両者の併用でもよい。
【0031】
本発明の工程(2)によって目的物を高い選択率で合成する場合、特に目的物がMDH Mのような低分子量オリゴマーである場合は、生成系におけるMMの量は目的物よりも多い。たとえば目的物がMDH Mの場合、MMはMDH Mの1.5〜4.5倍に達する。それゆえ、単純なバッチ法による蒸留では、MMの除去に大きな時間とエネルギーコストが必要である。
【0032】
したがって、工程(4)では2個または3個の蒸留塔を用いる連続法またはセミ連続法が好ましい。たとえば、MDH Mを目的物とした場合、次のような運転方法をとることがさらに好ましい:
第1塔:塔頂からMMを、塔の中間部から、各成分の沸点に応じてそれぞれ約90%のMDH M、MDH 2MおよびMDH 3Mの混合物を、塔底から重質分を取り出す粗蒸留塔;および
第2塔:中間部留分からMDH M、MDH 2MおよびMDH 3Mの精留を行う精留塔。
そして、第1塔が連続系の一部を形成するようにし、第2塔における精製をバッチ法で行い、さらに必要に応じて、第2塔の余剰時間または第3塔で塔頂留分からMMの精留を行う。
【0033】
このようにして、直鎖状オルガノシロキサンオリゴマーを収率よく製造でき、特に特定の分子構造の直鎖状ポリオルガノシロキサンを選択率よく製造できる。本発明の直鎖状オルガノシロキサンオリゴマーの製造方法は、各種の直鎖状オルガノシロキサンオリゴマーに適用できるが、重合度、すなわちケイ素原子数が3〜8の直鎖状メチルハイドロジェンシロキサンオリゴマーの合成に好ましく適用でき、中でも中間単位がメチルハイドロジェンシロキサン単位からなるMDH zM(zは1〜6、特に1または2の整数である)を、選択率よく合成するのに好適である。
【0034】
さらに、本発明に、工程(5)として、工程(4)で回収した未反応の(A)と、目的物以外の直鎖状ポリオルガノシロキサンとを再循環させる工程を追加して、原料シロキサンである(A)および(B)の利用率を上げることができる。すなわち、MDH Mを目的物とする場合を例にとると、工程(4)で塔頂より留出したMMと、精留によりMDH Mを回収した残余の、より高沸点のMDH zM混合物(zは2以上の整数である)を混合し、および/または第1塔の塔底画分を混合し、さらに所望のM/DH 比を得るために、新たに(A)および/または(B)を追加して、工程(2)の原料シロキサン混合物として用いることができる。
【0035】
このような再循環を行う場合、原料(A)または(B)中に、メチルシルセスキオキサン単位のような三官能性単位を含むポリオルガノシロキサンを不純物として含有していると、循環流中に該単位を含むポリオルガノシロキサンが蓄積されて、工程(2)の平衡化反応に影響を及ぼしたり、工程(4)で得られる目的物の純度を下げたりする。したがって、このような三官能性単位を含む原料を用いる場合は、再循環の回数を限定するか、別途、循環流の精製工程を設ける必要がある。
【0036】
本発明の製造方法は、各工程を切り離して行ってもよく、再循環を含めて単一のリボイラー/塔型反応器中で、各工程を連続して行うこともできる。
【0037】
【発明の効果】
本発明によって、直鎖状オルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマー、特に特定の直鎖状メチルハイドロジェンシロキサンオリゴマーを、選択率よく、かつ活性白土のろ別のような煩雑な操作を必要とせずに効率よく製造できる。本発明にシロキサン平衡化触媒として用いられる直鎖状ハロゲン化ホスホニトリル化合物は、比較的低い加熱温度によって優れた平衡化速度をもたらすばかりでなく、他の既存のシロキサン平衡化触媒からは予想されなかったことに、平衡化および失活の条件下で、Si−H結合が開裂することなく、安定に存在する。さらに、このような化合物を平衡化触媒として用いることにより、平衡化反応、失活、精製および副生物の再循環を含めて、一連の工程を連続的に、かつ収率よく行うことができる。したがって、その経済的効果は大きい。
【0038】
本発明によって製造される直鎖状オルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマー、特にMDH MやMDH 2Mのような低分子量のメチルハイドロジェンシロキサンオリゴマーは、種々の無機物質の表面処理、有機化合物の化学修飾などに用いられ、また各種の有機ケイ素化合物の中間体などとして有用である。
【0039】
【実施例】
以下、実施例によって、本発明をさらに詳細に説明する。実施例において、部は重量部、M/DH は単位モル比を示し、粘度は25℃における値を示す。本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
【0040】
実施例3〜8、参考例1〜4
MMと、一般式MDH xM(xは正の数)で示され、粘度が18cStの直鎖状ポリメチルハイドロジェンシロキサン混合物とを、表1に示すように、0.5〜20.0の間の各種のM/DH比を与えるように室温で配合し、均一な液状の混合シロキサンそれぞれ100部を調製した。ただし、MMは、後述のように触媒の溶媒としても用いたので、この工程で配合したMMの量は、上記のM/DH比から算出される量より、溶媒として触媒とともに添加されるMMの量を減じたものである。ついで、あらかじめ調製した式:
Cl3PNPCl2NPCl3・PCl6
で示される塩化ホスホニトリル化合物の2%MM溶液0.25部を、上記の混合シロキサン液にそれぞれ添加した。これは、全シロキサン中の塩化ホスホニトリル化合物触媒の量50ppmに相当する。フラスコを密閉して、65℃の熱媒中で2時間撹拌を続け、ついで室温まで冷却した後、それぞれの生成系にヘキサメチルジシラザン0.39部を加え、撹拌して塩化ホスホニトリル化合物を中和した。数分経過したところ、溶液は混濁した。静置して、中和によって生成した固体をろ別し、目的物をろ液として得た。
【0041】
充填カラム3m と熱伝導率検出装置とを備えたガスクロマトグラフィー装置(島津製作所社製GC14A型)によって、すべての試料を分析した。得られたガスクロマトグラムの各ピーク(微小ピークを除く)の面積%は、表1および図1に示すとおりであった。また、表1の結果からMM/MDH Mの生成比を求め、併せて表1に示した。
【0042】
【表1】
Figure 0004472033
【0043】
表1から明らかなように、原料シロキサン中のM/DH 比が上昇するにつれて、より低い分子量の直鎖状ポリメチルハイドロジェンシロキサンが多く生成している。M/DH 比が1〜10の範囲にわたり、MDH M生成量は22%から31%まで上昇しているが、この程度の変化であれば、連続法によるMDH Mの製造における平衡化反応の制御は容易である。MDH zMの生成量もまた、M/DH 比が1〜4の範囲で13.2〜19.0%であって、十分に制御しうる。
【0044】
図2は、それぞれの平衡化した混合物中のMMとMDH Mを、原料シロキサン中のM/DH の関数としてプロットしたものである。また図3は、M/DH 比が増加するにつれてMMのMDH Mに対する比が上昇することを示す。M/DH 比の上昇につれて、MMの生成比が大きくなり、蒸留の際に多量のMMを留去する必要があることがわかる。
【0045】
実施例11、12
参考例1で用いたのと同様のMMとMDH xMを原料として用い、溶媒として後から配合するMMを含めて算出したM/DH比を2.4とし、参考例1と同様な方法によって調製した混合シロキサンに、参考例1で用いたのと同じ塩化ホスホニトリル化合物のMM溶液を配合した。これを温度65℃(実施例11)および25℃(実施例12)にそれぞれ保持して平衡化反応を行った。30分間隔で一部の試料を採取して、参考例1と同様のガスクロマトグラフィーにかけて、生成物中のMDHMの割合を追跡した。その結果を図4に示す。
【0046】
図4から明らかなように、反応温度65℃では、平衡化時間2時間で平衡化がほぼ完了しているのに対し、反応温度25℃では、7時間後もまだ平衡化が完了しなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】平衡における各MDH zMの、種々のM/DH 比における含有量を示すグラフである。
【図2】平衡におけるMMとMDH Mとのそれぞれの含有量の、M/DH 比による変化を示すグラフである。
【図3】平衡におけるMMとMDH Mに対する比の、M/DH 比による変化を示すグラフである。
【図4】各平衡化温度におけるMDH Mの含有量の、平衡化時間による変化を示すグラフである。

Claims (7)

  1. (1)(A)ヘキサメチルジシロキサンと、(B)環状メチルハイドロジェンシロキサンオリゴマーおよび/または目的物よりも重合度の高い直鎖状ポリメチルハイドロジェンシロキサンとを、M/D比が、1.5〜5.0となるように混合して、シロキサン混合物を得る工程(ここで、Mは、トリメチルシロキシ単位であり、D は、メチルハイドロジェンシロキサン単位である)
    (2)該混合物に触媒量の(C)直鎖状ハロゲン化ホスホニトリル化合物を添加して、平衡化反応させる工程;
    (3)直鎖状ハロゲン化ホスホニトリル化合物を、弱アルカリ物質で中和することにより失活させる工程;および
    (4)得られた1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサンを回収する工程
    を含むことを特徴とする、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサンの製造方法。
  2. 直鎖状ハロゲン化ホスホニトリル化合物が、一般式:
    〔XP(NPX)X〕〔AXv−t+1
    (式中、Xはたがいに同一でも異なっていてもよいハロゲン原子を表し、Aはポーリングの電気陰性度が1.5〜2.2である原子を表し、Rは炭素原子数2〜12のアルキル基を表し、mは1〜8の整数であり、vはAの原子価または酸化状態であり、そしてtは0<t<vの数である)で示される、請求項1記載の製造方法。
  3. Aがリンである、請求項記載の製造方法。
  4. 触媒の失活を、アンモニア、ヘキサメチルジシラザン、脂肪族有機アミンおよび酸化マグネシウムからなる群より選ばれた弱アルカリ性物質を用いる中和によって行う、請求項1記載の製造方法。
  5. 1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサンの回収を蒸留によって行う、請求項1記載の製造方法。
  6. さらに、蒸留によって未反応の(A)を回収する、請求項1記載の製造方法。
  7. さらに、(5)回収された(A)と、目的物以外の直鎖状ポリメチルハイドロジェンシロキサンとを再循環させる工程を含む、請求項1記載の製造方法。
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