JP4467842B2 - 光応用測定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学素子の偏光特性の変化を利用して物理量の変化を測定する光応用測定装置に関するものであり、特に、電流・電圧の測定や温度の測定に好適な光応用測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、光学素子を用いて電流を測定する光電流測定装置は、小型で絶縁性が高く、飽和による直線性の低下が無く、さらには高速応答で不燃性であることから、ガス絶縁電力機器等における電流測定に使用する理想的な測定装置として注目されてきた。光学利用の典型的な光電流測定装置は、電気導体の近傍に配置された光学素子あるいは電気導体を取り巻くシングルモードファイバからなるファイバコイルをセンサとして使用している。
【0003】
これらの光電流測定装置においては、磁気光学ファラデー効果の結果として、導体を流れる電流の変化に応じて、ファイバコイルなどの光学素子を通る光の偏光方位が変化する。ここで、ファラデー効果は、直線偏光のビームが磁場方向に物質を通るとき、その直線偏光の偏光面が回転することであり、ファラデー複屈折の結果である。また、ファラデー複屈折は、磁場に平行な物質を通る左円偏光と右円偏光との屈折率の差である。
【0004】
一方、光電流測定装置の感度は、温度変動によって大幅に変動し、例えば、−40℃〜+80℃という広範に変動する温度範囲を有する環境で使用される極めて精密な光電流測定装置であっても、許容できないほど変動することが認識されている。
【0005】
技術文献では、ファイバコイルをセンサとして用いた光電流測定装置について、ファイバコイルの感度に対する温度の影響は次の3つの異なる現象に関連することが認識されている。すなわち、(i)検知ファイバの直線複屈折の変化、(ii)検知ファイバを保護する材料によって誘発されるストレスによる直線複屈折の変化、(iii)ファイバコア材料のヴェルデ定数の変化、である。
【0006】
ここで、ヴェルデ定数は、ファラデー効果を表す方程式、θ=μNVIの比例定数Vである。ただし、θは偏光面の回転角度、μはファイバコア材料の透過度、Nは取り囲むファイバループの巻回数、Iは導体の電流である。言い換えれば、ヴェルデ定数は、与えられた磁場を備えた物質中の平面偏光の回転角を、その物質の光路長と磁場の強さとの積で割ったものに等しく、温度と光信号の波長との両方の関数である。
【0007】
従来、光電流測定装置におけるこのような温度変動に起因する感度の変動を補正するために、いくつかの技術が提案されている。
例えば、センサ近傍の温度をモニタして、ヴェルデ定数の温度依存に関連する経験データに従って、検出器出力の値を調節する装置が知られている。このような装置は、電子処理が複雑化する上、光電子部品の数も増加するため、概して装置のコストが上がる。
【0008】
これに対し、コストを上げずに温度による感度の変動を補正する方法として、例えば、特開表11−512826号には、ファイバの旋光を用いた方法が提案されている。図4はこの従来技術の光電流測定装置の構成を示す構成図である。
【0009】
この図4に示す光電流測定装置においては、光源31には、第1の光ファイバ32、第2の光ファイバ33、および第1のPZファイバ34を介してファイバコイル35の入力端が接続され、ファイバコイル35の出力端は、所定の好みのバイアス角度に調節される第2のPZファイバ36を介して検出器37に接続されている。
【0010】
この光電流測定装置においては、ファイバコイル35の出力のあらかじめ選択されたチャネルを第2のPZファイバ32の軸で調節することによってヴェルデ定数の温度による変動を補正するようになっている。すなわち、ファイバコイルのベリー位相の温度依存性によるバイアス角度の変化を利用して、ヴェルデ定数の温度依存性によるセンサ感度の変動を補正するようになっている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来の光電流測定装置には、以下に述べるような問題点があった。
【0012】
すなわち、図4の光電流測定装置においては、前述したように、ヴェルデ定数の温度依存性によるセンサ感度の変動を補正するために、入力偏光子または出力偏光子あるいは検知要素の物理的回転、検知コイルの形状に寄与する見かけの円形複屈折であるいわゆるベリー位相( Berry phase )の温度依存性を利用している。この場合、ヴェルデ定数の温度依存性とベリー位相の温度依存性は、一般的には共に温度に対しほぼ直線的に変化するのに対して、ベリー位相と光電流測定装置の感度との関係は非線形である。
【0013】
そのため、図4の装置によって実現できる精度には限界があり、かつ、使用温度範囲がある限界を越えると、かえって誤差を大きくすることとなってしまう。さらに、ベリー位相の温度特性自体を設計時に把握することが困難であるため、このことも、光電流測定装置の高精度化を困難にしている。
また、光電流測定装置の電流センサの近傍に配置した温度センサを利用して補正を行う場合には、電流センサと温度センサの取付位置による温度差を正確に把握することが困難であるため、この場合にも、高精度の電流測定を行うことが困難である。
【0014】
一方、以上のような温度変動に起因する精度の限界というこの問題点は、光電流測定装置に限らず、光電圧測定装置においても同様に存在しており、それらの光応用測定装置において一般的に解決すべき課題である。
【0015】
本発明は、上記のような従来技術の欠点を解消するために提案されたものであり、その目的は、温度による影響の補正を高精度に実現して電流・電圧を高精度に測定可能な、あるいは、温度自体を高精度に測定可能な、高精度で安定性に優れた小型の光応用測定装置を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は、センサとなる光学素子として旋光性を有する光学素子を使用し、この光学素子の旋光性を補正することにより、電流、電圧、温度等の物理量を高精度に測定することを可能としたものである。
【0017】
請求項1記載の発明は、
(a) 直線偏光を出射する1つの光源と、
(b) 入射した直線偏光の偏光方位を変化させる旋光性と、入射した直線偏光の偏光方位を特定の物理量に比例して変化させる光学素子と、
(c) 前記特定の物理量がゼロの場合において直線偏光が光学素子を通過して出射した光と、前記特定の物理量が存在する場合において直線偏光が光学素子を通過して出射した光とを、それぞれ2方位の偏光成分の光強度信号に変換する変換手段と、
(d) 前記特定の物理量がゼロの場合において直線偏光が光学素子を通過して出射した光に基づいて、前記変換手段によって得られた2方位の偏光成分の光強度信号から、前記光学素子の温度に依存する旋光性の変化量を判定し、この旋光性の変化量に基づいて光学素子の温度を判定する処理手段とを備え、
(e) 前記処理手段が、前記特定の物理量が存在する場合において直線偏光が光学素子を通過して出射した光に基づいて、前記変換手段によって得られた2方位の偏光成分の光強度信号から前記特定の物理量を判定するにあたり、前記旋光性に基づいて判定された温度により、前記特定の物理量に基づく光学素子の偏光方位量を補正することを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、旋光性を有する光学素子を出射した光から、2方位の偏光成分の光強度信号を取得して処理手段で補正することによって、旋光性のある光学素子を用いても、その旋光性を補正することが可能であるため、電流、電圧、温度等の物理量を高精度に測定することが可能となる。
【0019】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の光応用測定装置において、旋光性を有する光学素子が、旋光の大きさが温度に依存する光学素子であり、処理手段が、光学素子の旋光の大きさから温度を求めるように構成されたことを特徴としている。
この発明によれば、その旋光の大きさに温度依存性を有する光学素子を使用することにより、その光学素子の旋光の大きさに基づいて高精度の温度測定が可能となる。
【0020】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の光応用測定装置において、旋光性を有する光学素子が、光源からの直線偏光を入射してその偏光方位を磁界に比例して変化させるファラデー素子であり、処理手段が、変換手段によって得られた2方位の偏光成分の光強度信号から、与えられた磁界の大きさ、あるいは、その磁界を生成させた電流の大きさを求めるように構成されたことを特徴としている。
【0021】
この発明によれば、旋光性を有するファラデー素子という1つのセンサにより、磁界または電流と温度という2種類の物理量を測定することが可能であり、かつ、センサ自体の磁界、温度に対する感度を相互に補正し合うことによって、高精度の測定が可能となる。
【0022】
請求項4記載の発明は、請求項2記載の光応用測定装置において、旋光性を有する光学素子が、光源からの直線偏光を入射してその偏光状態を電界に比例して変化させるポッケルス素子であり、処理手段が、変換手段によって得られた2方位の偏光成分の光強度信号から、与えられた電界の大きさ、あるいは、その電界を生成させた電圧を求めるように構成されたことを特徴としている。
【0023】
この発明によれば、旋光性を有するポッケルス素子という1つのセンサにより、電界または電圧と温度という2種類の物理量を測定することが可能であり、かつ、センサ自体の電界、温度に対する感度を相互に補正し合うことによって、高精度の測定が可能となる。
【0024】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光応用測定装置において、旋光性を有する光学素子が、捻りを加えた光ファイバであることを特徴としている。
請求項6記載の発明は、請求項5記載の光応用測定装置において、捻りを加えた光ファイバが、アニーリングの施されていない石英ファイバであることを特徴としている。
【0025】
これらの請求項5、6の発明によれば、センサとなる旋光性を有する光学素子を、特に捻りを加えた光ファイバとすることによって、測定対象である磁界・電流、電界・電圧、あるいは温度等の物理量に対する感度を任意に調整することができるため、センサの使用範囲を大幅に広げることが可能となる。
【0026】
【発明の実施の形態】
[第1の実施の形態]
[構成]
図1は、本発明による光応用測定装置を適用した第1の実施の形態として、電流測定装置の1つの形態を示す構成図である。この電流測定装置は、光源ドライバ1、光源2、送信ファイバ3、結合レンズ4、偏光子5、ファラデー素子6、PBS(ポラライジングビームスプリッタ)7、2つの検出器8,9、および電子回路10を備えている。以下には、この装置の構成の詳細について、光源2からの光が電子回路10から信号として出力されるまでの流れに沿って順次説明する。
【0027】
まず、光源ドライバ1によって駆動される光源2からの光は、送信ファイバ3を伝播して結合レンズ4で平行光にされ、偏光子5により偏光子の軸方向の1つの直線偏光成分のみが出射され、ファラデー素子6に入射されるようになっている。すなわち、これらの構成要素1〜5によって、本発明における「直線偏光を出射する光源」が構成されている。
【0028】
また、センサとなるファラデー素子6としては、旋光性を有し、かつ、旋光の大きさが温度に依存する素子が使用されており、このファラデー素子6は、被測定電流の流れる導体Cの近傍に設置されている。すなわち、偏光子5からファラデー素子6に入射した直線偏光が、ファラデー素子6を透過する間に、導体Cを流れる電流によって発生する磁界に比例したファラデー旋光を受けるようになっている。ファラデー素子6から出射した光は、PBS7に入射されるようになっている。
【0029】
ここで、PBS7は、ファラデー旋光角がゼロで基準温度の場合に入射偏光方位が45°となるように設置されており、センサであるファラデー素子6からの光を入射して直交する2方位の偏光成分の光強度信号を得るようになっている。すなわち、このPBS7は、本発明における変換手段に相当する。
【0030】
そして、PBS7で得られた2方位の偏光成分の光強度信号を、2つの検出器8,9でそれぞれ光電変換し、得られた2つの信号から、電子回路10によって電流値を演算し、得られた信号を出力するようになっている。すなわち、これらの検出器8,9および電子回路10によって、本発明における処理手段が構成されている。
【0031】
この場合、電子回路10では、次のような信号処理を行うことにより、温度および電流を求めるようになっている。
2つの検出器8,9で光電変換された2つの信号は、電流ゼロのときに出力されているバイアス成分と電流による変調成分に分けて考えることができる。
【0032】
まず、電流がゼロの時に出力されているバイアス成分のx成分Vxとy成分Vyは、Kは損失も含めた入射光強度をK、温度による旋光の変化(°)をΔαとすると、次の式(1)、(2)でそれぞれ表される。
【数1】
Vx=K・sin2(45°+Δα) … (1)
Vy=K・cos2(45°+Δα) … (2)
【0033】
これらの式(1)、(2)から、次の式(3)が得られる。
【数2】
この式(3)からわかるように、バイアス成分のx成分Vxとy成分Vyから温度による旋光の変化Δαを求めることができるため、温度とΔαとの関係が既知であれば、温度を求めることができる。
【0034】
また、電流による変調成分のx成分Vxとy成分Vyは、電流によるファラデー旋光角をFとすると、変調成分次の式(4)、(5)でそれぞれ表される。
【数3】
Vx=K・{sin(45°+Δα+F)−sin(45°+Δα)}2
… (4)
Vy=K・{cos(45°+Δα+F)−cos(45°+Δα)}2
… (5)
ここで、Δαは式(3)から求められるので、式(4)、(5)から、ファラデー旋光角Fを求めることにより、電流を求めることができる。
【0035】
[作用効果]
以上のように、本実施の形態においては、旋光性を有するファラデー素子6という同一のセンサで電流と温度の両方を測定することができる。そのため、構成が単純化してコストの低減、信頼性の向上が期待できることに加えて、次のような効果が得られる。
【0036】
すなわち、例えば、センサのヴェルデ定数に温度依存性がある場合でも、このセンサがセンサ素子そのものの温度を測定していることから、電流センサ近辺に温度センサを取り付けた場合に問題となる電流センサと温度センサの取付位置での温度差を考慮する必要がなく、電流測定時の温度による影響の補正を高精度に行うことができる。もちろん、温度測定時の磁界による影響の補正についても同様に高精度化が図れることはいうまでもない。
【0037】
また、電流測定が不要で、温度測定のみを必要とする場合であっても、電流測定装置と同一の機器構成で温度測定装置を実現できるため、機器の共通化が図れ、コスト低減と機器の信頼性の確保というメリットが得られる。
【0038】
[第2の実施の形態]
[構成]
図2は、本発明による光応用測定装置を適用した第2の実施の形態として、電流測定装置の別の形態を示す構成図である。この電流測定装置は、前述した第1の実施の形態に係る図1の装置において、光源2と2つの検出器8,9との間の部分を全て光ファイバ型の素子で構成したものである。
【0039】
すなわち、光源2には、送信ファイバ3、第1のファイバ偏光子11、センサファイバ12、偏波面保持カプラ13が順次接続されている。この偏波面保持カプラ13の各出射ポートには、第2のファイバ偏光子14と第3のファイバ偏光子15がそれぞれ接続され、これらの偏光子14,15は、受信ファイバ16,17を介して2つの検出器8,9にそれぞれ接続されている。以下には、この装置の構成の詳細について、光源2からの光が電子回路10から信号として出力されるまでの流れに沿って順次説明する。
【0040】
まず、光源ドライバ1によって駆動される光源2からの光は、送信ファイバ3を伝播して第1のファイバ偏光子11で直線偏光にされ、この直線偏光がセンサファイバ12へ入射されるようになっている。ここで、センサファイバ12は、捻りを加えることで旋光性を持たせた光ファイバ、望ましくは、アニーリングの施されていない石英ファイバであり、被測定電流の流れる導体Cの周りを周回して配置されている。すなわち、ファイバを透過する直線偏光が、導体Cを流れる電流によって発生する磁界に比例したファラデー旋光を受けるようになっている。
【0041】
偏波面保持カプラ13は、その軸が第1のファイバ偏光子11の出射偏光軸に対して電流がゼロで基準温度の場合に45°傾くように設置されている。この偏波面保持カプラ13の一方の出射ポートに接続された第2のファイバ偏光子14は、偏波面保持カプラ13の軸と一致した偏光成分のみを透過するようになっており、偏波面保持カプラ13の他方の出射ポートに接続された第3のファイバ偏光子15は、偏波面保持カプラ13の軸と直交した成分のみを透過するようになっている。すなわち、これらの第2、第3のファイバ偏光子14,15は、センサファイバ12で生じた偏波面の回転を、直交する2方位の偏光成分の光強度信号に変換するようになっている。
【0042】
そして、第2、第3のファイバ偏光子14,15で得られた2方向の偏光成分の光強度信号は、受信ファイバ16,17によって2つの検出器8,9まで伝送され、これらの検出器8,9でそれぞれ光電変換されるようになっている。なお、2つの検出器8,9で得られた2つの信号から、電子回路10によって電流値を演算し、得られた信号を出力する点は、前述した第1の実施の形態と同様である。
【0043】
[作用効果]
以上のような構成の光電流測定装置によれば、第1の実施の形態の作用効果に加えて、次のような作用効果が得られる。
まず、光源2と2つの検出器8,9との間の部分を全て光ファイバ型の素子で構成したことにより、光の伝播経路中に空間が全く存在しないことになる。そのため、光電流測定装置が振動等を受けた場合でも、振動による光量の変化を生じることがなく、安定した出力を得ることができる。
【0044】
また、この光電流測定装置において、電流に対するセンサの感度SIは、ヴェルデ定数(°/A)をV、ファイバの巻き数をnとすると、次の式(6)で表される。
【数4】
SI=V・n … (6)
この式(6)からわかるように、センサファイバ12の巻き数nを変えることによって、センサの感度を自由に変更することができ、様々な電流レンジの計測に容易に対応することができる。
【0045】
また、この光電流測定装置において、温度に対するセンサの感度STは、旋光の温度依存性(°/℃)をdα/dT、ファイバの捻り回数をmとすると、次の式(7)で表される。
【数5】
ST=dα/dT・m … (7)
この式(7)からわかるように、温度に対するセンサの感度STは、電流に対するセンサの感度SIとは何ら関係なしに、任意の感度を得ることができる。
【0046】
[第3の実施の形態]
[構成]
図3は、本発明による光応用測定装置を適用した第3の実施の形態として、電圧測定装置の1つの形態を示す構成図である。この電圧測定装置は、前述した第1の実施の形態に係る図1の装置において、旋光性を有するファラデー素子6の代わりに、位相差板21と旋光性を有するポッケルス素子22を配置したものであり、他の部分は第1の実施の形態と同様に構成されている。以下には、この装置の構成の詳細について、光源2からの光が電子回路10から信号として出力されるまでの流れに沿って順次説明する。
【0047】
まず、光源2からの光が、送信ファイバ3を伝播して結合レンズ4で平行光にされ、偏光子5により直線偏光として出射される点は第1の実施の形態と同様である。本実施の形態において、偏光子5からの直線偏光は、位相差板21を介してセンサとなるポッケルス素子22に入射されるようになっている。
【0048】
すなわち、偏光子5からの直線偏光をそのままポッケルス素子22に入射して出射偏光状態を測定することによって電圧を測定した場合には、電圧が正の時と負の時で同じ信号が出力されてしまうため、位相差板21を用いて光学的なバイアスを予め加えておくことが、一般的に行われている。位相差板21から出射した光は、ポッケルス素子22に入射され、ポッケルス素子22を透過する間に、電圧によって発生する電界に比例した位相差を受け、ポッケルス素子22から出射した光は、PBS7に入射されるようになっている。ここで、センサとなるポッケルス素子22としては、旋光性を有し、かつ、旋光の大きさが温度に依存する素子が使用されている。
【0049】
なお、PBS7によって、直交する2方位の偏光成分の光強度信号を得て、これらの光強度信号を2つの検出器8,9でそれぞれ光電変換する点は、第1の実施の形態と同様であるが、本実施の形態においては、検出器8,9で得られた2つの信号から、電子回路10によって電圧値を演算し、信号を出力するようになっている。
【0050】
この場合、電子回路10では、次のような信号処理を行うことにより、温度および電圧を求めるようになっている。
2つの検出器8,9で光電変換された2つの信号は、電圧ゼロのときに出力されているバイアス成分と電流による変調成分に分けて考えることができる。
【0051】
まず、電圧がゼロのときに出力されているバイアス成分のx成分Vxとy成分Vyは、Kは損失も含めた入射光強度をK、温度による旋光の変化(°)をΔαとすると、次の式(8)、(9)でそれぞれ表される。
【数6】
Vx=K・sin(45°+Δα) … (8)
Vy=K・cos(45°+Δα) … (9)
【0052】
これらの式(8)、(9)式から、次の式(10)が得られる。
【数7】
この式(10)からわかるように、バイアス成分のx成分Vxとy成分Vyから温度による旋光の変化Δαを求めることができるため、温度とΔαとの関係が既知であれば、温度を求めることができる。
【0053】
また、電圧は、ポッケルス効果によって生じる位相変化による偏光度の変化を測定することによって求めることができる。
【0054】
[作用効果]
以上のように、本実施の形態においては、旋光性を有するファラデー素子6という同一のセンサで電圧と温度の両方を測定することができる。そのため、構成が単純化してコストの低減、信頼性の向上が期待できることに加えて、次のような効果が得られる。
【0055】
すなわち、センサがセンサ素子そのものの温度を測定していることから、電圧センサ近辺に温度センサを取り付けた場合に問題となる取付位置での温度差を考慮する必要がなく、電圧測定時の温度による影響の補正を高精度に行うことができ、温度測定時の電界による影響の補正についても同様に高精度化が図れる。
【0056】
また、電圧測定が不要で、温度測定のみを必要とする場合であっても、電圧測定装置と同一の機器構成で温度測定装置を実現できるため、機器の共通化が図れ、コスト低減と機器の信頼性の確保というメリットが得られる。
【0057】
[他の実施の形態]
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で他にも多種多様な形態が実施可能である。
例えば、第3の実施の形態の変形例として、第2の実施の形態と同様に、光源2と検出器8,9との間の部分を光ファイバ型の素子で構成することにより、第2の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0058】
すなわち、センサとなる光学素子として旋光性を有する光学素子を使用し、この光学素子の旋光性を補正することができる限り、直線偏光を出射する光源、センサとなる光学素子、光学素子を出射した光を光強度信号に変換する変換手段、光強度信号から特定の物理量を求める処理手段、等の各部の具体的な構成は自由に選択可能である。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明においては、センサとなる光学素子として旋光性を有する光学素子を使用し、この光学素子の旋光性を補正することにより、温度による影響の補正を高精度に実現して電流・電圧を高精度に測定可能な、あるいは、温度自体を高精度に測定可能な、高精度で安定性に優れた小型の光応用測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による光応用測定装置を適用した第1の実施の形態として、電流測定装置の1つの形態を示す構成図である。
【図2】本発明による光応用測定装置を適用した第2の実施の形態として、電流測定装置の別の形態を示す構成図である。
【図3】本発明による光応用測定装置を適用した第3の実施の形態として、電圧測定装置の1つの形態を示す構成図である。
【図4】従来技術による光応用電流測定装置の一例を示す構成図である。
【符号の説明】
C…導体
1…光源ドライバ
2…光源
3…送信ファイバ
4…結合レンズ
5…偏光子
6…ファラデー素子
7…PBS
8,9…検出器
10…電子回路
11…第1のファイバ偏光子
12…センサファイバ
13…偏波面保持カプラ
14…第2のファイバ偏光子
15…第3のファイバ偏光子
16,17…受信ファイバ
21…位相差板
22…ポッケルス素子
31…光源
32…第1の光ファイバ
33…第2の光ファイバ
34…第1のPZファイバ
35…ファイバコイル
36…第2のPZファイバ
37…検出器
Claims (5)
- 直線偏光を出射する1つの光源と、
入射した直線偏光の偏光方位を変化させる旋光性と、入射した直線偏光の偏光方位を特定の物理量に比例して変化させる光学素子と、
前記特定の物理量がゼロの場合において直線偏光が光学素子を通過して出射した光と、前記特定の物理量が存在する場合において直線偏光が光学素子を通過して出射した光とを、それぞれ2方位の偏光成分の光強度信号に変換する変換手段と、
前記特定の物理量がゼロの場合において直線偏光が光学素子を通過して出射した光に基づいて、前記変換手段によって得られた2方位の偏光成分の光強度信号から、前記光学素子の温度に依存する旋光性の変化量を判定し、この旋光性の変化量に基づいて光学素子の温度を判定する処理手段とを備え、
前記処理手段が、前記特定の物理量が存在する場合において直線偏光が光学素子を通過して出射した光に基づいて、前記変換手段によって得られた2方位の偏光成分の光強度信号から前記特定の物理量を判定するにあたり、前記旋光性に基づいて判定された温度により、前記特定の物理量に基づく光学素子の偏光方位量を補正することを特徴とする光応用測定装置。 - 前記旋光性を有する光学素子は、前記光源からの直線偏光を入射してその偏光方位を磁界に比例して変化させるファラデー素子であり、前記処理手段は、前記変換手段によって得られた2方位の偏光成分の光強度信号から、与えられた磁界の大きさ、あるいは、その磁界を生成させた電流の大きさを求めるように構成された、ことを特徴とする請求項1記載の光応用測定装置。
- 前記旋光性を有する光学素子は、前記光源からの直線偏光を入射してその偏光状態を電界に比例して変化させるポッケルス素子であり、前記処理手段は、前記変換手段によって得られた2方位の偏光成分の光強度信号から、与えられた電界の大きさ、あるいは、その電界を生成させた電圧を求めるように構成された、ことを特徴とする請求項1記載の光応用測定装置。
- 前記旋光性を有する光学素子は、捻りを加えた光ファイバであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光応用測定装置。
- 前記捻りを加えた光ファイバは、アニーリングの施されていない石英ファイバであることを特徴とする請求項4記載の光応用測定装置。
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