JP4464468B2 - 異常組織除去装置 - Google Patents
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Description
【従来の技術】
診断用及び治療用の胃腸内視鏡は通常、組織を観察及び除去する目的で消化管にアクセスするために使用されている。通常の内視鏡治療手順には、種々の公知のメカニズムによる切断、剥離及び除去が含まれる。
【0002】
生検のために組織を採取する技術は、鉗子(凝固を含むまたは含まない)、係蹄の使用を含み、細胞検査のためには針及びブラシの使用を含む。これらの技術は、多くの診断及び/または治療の目的を達成するが、不十分な場合もある。例えば、現在のところ、平板な悪性粘膜病変または粘膜下組織中の病変の除去のための満足できる方法が存在しない。ある場合には、診断のために深い試験片が必要とされる場合があり(例えば、リンパ腫またはメネトリエ病)、そのような場合には、現在の方法には限界がある。「持ち上げ切断」切除術、及び、塩水またはブドウ糖溶液の粘膜下組織への注入後のポリープ切除術のような技術が用いられてきたが、ある場合には組織が持ち上がらないことがあり、またある場合には注入により実際にその領域が平板になって組織除去をより困難にするので、これらの方法が常に成功するとは限らない。内視鏡粘膜切除術として知られるこれらの方法はますます一般的になってきており、特に早期胃癌が多い日本において一般的になってきている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
早期食道癌は世界中で重大な問題になっている。適切なスクリーニング試験によって、この疾患が粘膜に限定されているときに、または前癌段階にあるときに、診断を行うことができる。早期食道癌の破壊のために既知の方法(例えば、レーザ光凝固法)が存在するが、早期食道癌の患者及び上述したようなその他の状態にある患者から効果的かつ完全に組織を除去することを可能にする方法が必要とされている。
【0004】
本発明の目的は、消化管内の癌組織及び前癌組織の除去のための改善された装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によると、癌組織または前癌組織のいずれかである消化管内の異常組織が同定される。次に、異常組織が結紮器具の遠位端に吸引力により引き込まれ、異常組織のポリープが形成されるように縛られる。次に、この結紮具を内視鏡から除去し、ワイヤ係蹄のような切断器具を内視鏡を介して導入して、周囲の健康な組織から異常組織のポリープを切断するために使用する。
【0006】
本発明は、食道、胃及び小腸を含む消化管のどの部分にも適用することができる粘膜切除装置に関する。説明のために、食道の粘膜病変の除去に関する好ましい具体例について、本発明を述べる。本発明の実施に当たり、通常の結紮具及び係蹄を使用することができるが、好ましい具体例において、後述するように、特別に構成された係蹄が使用される。
【0007】
弾性バンド結紮は、消化管の部分における出血を抑制するために使用される手法である。例えば、痔または食道静脈瘤の治療において、粘膜組織及び粘膜下組織が弾性結紮バンドによって捕らえられ、その結果、その病変の括約、壊死脱落及び最終的な線維形成を生じる。Steigmann の米国特許第4,735,194 号は、Steigmann-Goff Clearvue TM単一バンド結紮具として商業的に成功している単一バンド結紮器具を開示している。このSteigmann の特許は、これによって本明細書に参考として組み込まれる。
【0008】
Steigmann-Goff Clearvue TM結紮具のような結紮器具は、出血している血管または出血傾向がある血管が結紮バンドによって孤立される食道静脈瘤及び痔の治療に有効である。しかしながら、異常組織が平板になりがちであり、通常の結紮手法を容易に行うことができない消化管に存在する癌または前癌症状を治療する目的のために、結紮はこれまで使用されていなかった。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施に使用することができる種類の結紮具を備えた屈曲可能な内視鏡10を示している。内視鏡10は、吸引ルート11及びファイバーオプチックス照明ルート12を含み、両方とも吸引力及び照明を供給するためのコントロールボックス(図示せず)に接続されている末端13に出る。接眼レンズ14は、結紮処置を直接視るかまたはビデオカメラ及び後のビデオモニタの映像で視る手段を提供する。バイオプシールート16中に位置するトリップワイヤ15は、重み付きハンドル17を備え、ノッチ19で内管18に固定されている。結紮リング20は、ノッチ19において内管18に据え付けられている。結紮リング20は、外管21内に位置する内管18に据え付けられている。外管21は、ねじ込み連結22によって内視鏡10に確実に固定されている。
【0010】
この器具の使用において、結紮リング20が管18の前方端に固定される。バイオプシールート16を通って出るトリップワイヤ15が、管18の後方端においてノッチ19に取り付けられ、この組立体が、内視鏡10に確実に取り付けられた管21の内側に配置される。図1に示すように、管18は、管21の端をちょうど越えて突き出ているリング20によって管21内に据え付けられている。内視鏡10の後方端に出るトリップワイヤ15は、重み付きハンドル17によって引っ張られている。
【0011】
患者に内視鏡オーバーチューブを配置した後、この器具を消化管内に導入する。標的病変が明視化され、管18が意図する標的を取り囲むまで、この器具を直視下に前進させる。完全な360 ゜の接触がなされたら、吸引力を作動させて、管18に病変を引き込む。病変が完全に管18内に入ったら、トリップワイヤ15が引かれ、リング20が滑り、標的病変の基部の周りにしっかりと固定される。
【0012】
図2〜図8は、本発明に従って粘膜切除が食道においてどのように行われるかを示している。内視鏡10が、切除される領域に近い位置で、食道に導入される(図2)。内視鏡が配置された後、スプレーカテーテル30(図3)が吸引ルート11を介して導入され、問題の領域31が、例えば、グリコーゲンを含有する組織細胞に接触すると茶色に変色する従来の染料であるルゴールヨードで染色される。癌及び前癌細胞はグリコーゲンを含まず、従って、その染料を受け入れない。このようにして、異常組織31が内視鏡的に同定され得る。問題の部分が染色された後、スプレーカテーテル30が除去され、注入カテーテル32(図4)が内視鏡の吸引ルート11を介して導入される。塩水(例えば、0.9 %NaCl)を染色された領域に注入して、食道の周辺組織からそれを持ち上げる(図5)。グルコース溶液のようなその他の物質を使用して、異常領域を持ち上げることもできる。
【0013】
注入カテーテル32及び内視鏡10を患者の食道から除去し、図1に示すように、単一ファイヤ結紮具を内視鏡の遠位端に固定させる。次に、内視鏡を患者の食道に再度導入して、持ち上げられた異常領域に結紮具の遠位端が近くなるようにする(図6)。吸引ルート11を介して吸引力を適用して、異常領域を結紮具に引き込む。次に、トリップワイヤ15を引いて、結紮リング20を異常領域の基部の周りに適用して、結紮具が除去されたときに、縛られたきのこ状のポリープ34が形成されるようにする(図7)。
【0014】
内視鏡10を患者から取り出し、結紮具を内視鏡から外す。内視鏡を再び食道に挿入する。縛られた「ポリープ」が視界にあるとき、ワイヤループ36及びさや型ケース38を有する通常の係蹄を、内視鏡のバイオプシールート16を介して導入することができる。人工的に作られたポリープをワイヤループが囲むように、係蹄を配置する(図8)。ワイヤループ36がさや型ケース38に引き込まれるときに、ポリープが食道から切断されて焼灼される。このポリープを内視鏡を介して係蹄によって物理的に回収するか、または、患者の消化管に放出してもよい。
【0015】
図8で使用されている係蹄は通常のものであってよく、例えば、ポリープ等のような組織の切断及び焼灼を同時に行う単極電気外科装置であってもよい。一般に、そのような係蹄は、さや型ケースに引き込むことができるワイヤループを含み、それによってループがポリープの周りで締まることができるようにする。電圧を供給することによって、ポリープの切断及び傷の焼灼が同時に行われる。
【0016】
本発明での使用に特に適合した係蹄の遠位端が、図9に示されている。係蹄の外部さや型ケースが38に、ワイヤループが36に示されている。導電性プルワイヤ39がループ36に、波形を付けられてワイヤ39及びループ36の隣接端にはんだ付けしても良いコネクタ37により取り付けられている。従来の係蹄と異なり、ワイヤ36の自由端が、例えば接着剤によってさや型ケース38の遠位端に接合されている小さいフェルール40に接続されている。ワイヤループ36が、フェルール40にはんだ付けされても良い。このような配置によって、ループ36をポイント42及び44において永久に曲げることができ、それによって、ワイヤ39が遠位に押されたときに(図9に示すように)、形成されるループがさや型ケース38の長手軸に対して90度に近い角度の平面に位置するようにされる。ループが伸ばされたときに、さや型ケースの長手軸と同じ平面にループが位置する従来の係蹄とは対照的に、図9の配置は、図6及び図7に示されるように、図1の結紮具の使用によって形成される「ポリープ」を除去する際に特に有効である。係蹄の近位端にあるハンドルは従来のものであってよく、従って図示していない。
【0017】
本発明の好ましい具体例を上記のように説明したが、上述の方法及び装置は単に本発明の原理を説明するためのものであること、特許請求の範囲に記載された意図及び範囲を逸脱することなく、当業者によってその他の方法及び装置を考案できることは理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の内視鏡結紮器具の部分縦断面図である。
【図2】本発明の好ましい具体例による粘膜切除手順の模式図である。
【図3】本発明の好ましい具体例による粘膜切除手順の模式図である。
【図4】本発明の好ましい具体例による粘膜切除手順の模式図である。
【図5】本発明の好ましい具体例による粘膜切除手順の模式図である。
【図6】本発明の好ましい具体例による粘膜切除手順の模式図である。
【図7】本発明の好ましい具体例による粘膜切除手順の模式図である。
【図8】本発明の好ましい具体例による粘膜切除手順の模式図である。
【図9】本発明の好ましい具体例による係蹄の遠位端の横断面図である。
【符号の説明】
10 内視鏡
11 吸引ルート
20 結紮リング
30 スプレーカテーテル
31 異常組織
32 注入カテーテル
34 ポリープ
36 ワイヤループ
38 さや型ケース
Claims (3)
- 患者の消化管から異常組織を除去する装置において、
患者の消化管に導入される内視鏡と、
該内視鏡の遠位端に設けられた結紮具と、
前記異常組織に吸引力を適用して前記結紮具に前記異常組織を引き込む前記内視鏡内に設けられた吸引ルートと、
前記結紮具内にある前記異常組織の基部に適用され、前記異常組織から成るポリープを形成する結紮バンドと、
長尺のさや型ケース、遠位方向に力を伝えるように構成された長尺部材、及び該長尺部材の遠位端に連結されたループを備えており、前記長尺部材が遠位方向に押された場合に、前記さや型ケースの長手軸に実質的に直角の平面に前記ループが位置するように構成してある係蹄と
を備えており、
前記長尺部材がコネクタによって前記ループに取り付けられ、前記ループの自由端が、前記さや型ケースの遠位端に接合されているフェルールに接続されていることを特徴とする異常組織除去装置。 - 前記異常組織が前記結紮具に引き込まれる前に、前記異常組織を持ち上げるべく、前記異常組織に溶液を注入する手段を備える請求項1記載の異常組織除去装置。
- 前記異常組織を同定すべく、前記異常組織に染料を適用する手段を備える請求項1または2記載の異常組織除去装置。
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JP17180196A Expired - Lifetime JP4464468B2 (ja) | 1996-06-10 | 1996-06-10 | 異常組織除去装置 |
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1996
- 1996-06-10 JP JP17180196A patent/JP4464468B2/ja not_active Expired - Lifetime
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