以下、本発明を実施するための最良の実施の形態を図面を参照して説明する。以下の説明において、電位や電圧を記号で示す場合があるが、記号で示した電位や電圧の単位はV(ボルト)であるものとし、単位の表記は省略する。同様に、コンデンサの静電容量を記号で示す場合があるが、記号で示した静電容量の単位はF(ファラド)であるものとし、単位の表記は省略する。
実施の形態1.
第1の実施の形態では、ズーム機能を実現するアクティブマトリクス液晶表示装置について説明する。ここでは、TFT(Thin Film Transistor)を用いた液晶表示装置を例に説明する。なお、本発明の液晶表示装置は、ズーム機能により画像を拡大して表示するだけでなく、ズーム機能を用いずに画像を表示することもできる液晶表示装置である。すなわち、画像を拡大することなく表示することもできる液晶表示装置である。画像を拡大しない場合の表示を通常表示と記すことにする。
図1は、第1の実施の形態における液晶表示パネルの構成の例を示す説明図である。TFTを用いた液晶表示パネルでは、画素毎に画素電極2およびTFT5が設けられる。各画素(画素電極2およびTFT5)は、マトリクス状に配置される。また、各画素電極2に対向するように1枚のコモン電極1が設けられ、コモン電極1と各画素電極2との間に液晶(図示せず。)が挟持される。各画素電極2は、TFT5のドレイン5cに接続される。また、各TFT5のゲート5aはゲート配線3に接続され、各TFT5のソース5bはソース配線4に接続される。図1では、ソース配線4を破線で示している。また、各画素電極2には、補助容量(コンデンサ)6が設けられ、各画素電極2は、補助容量6と補助容量配線7を介して、コモン電極1に接続される。図1では、補助容量配線を点線で示している。コンデンサ6の静電容量をCsとする。
各TFT5は、ゲート配線3を介してゲート5aが所定のオン電位に設定されると、ソース5bとドレイン5cとの間が導通状態となる。すると、画素電極2がソース配線4と等しい電位に設定される。ゲート5aが所定のオフ電位に設定されると、ソース5bとドレイン5cとの間が非導通状態となり、ソース配線4と画素電極2の間も非導通状態に切り替えられる。所定のオン電位は、ソース5bとドレイン5cとの間を導通状態にするためのゲート5aの所定電位であり、所定のオフ電位とは、ソース5bとドレイン5cとの間を非導通状態にするためのゲート5aの所定電位である。TFT5は、画素電極2とソース配線4との間を導通状態または非導通状態に切り替えるスイッチング素子(アクティブ素子)である。
各ゲート配線3はそれぞれ、1行をなす複数のTFT5のゲート5aに接続される。各ソース配線4はそれぞれ、1列をなす複数のTFT5のソース5bに接続される。各補助容量配線7は、1行をなす各画素電極2に設けられた補助容量6に接続される。そして、各補助容量配線7の一端はコモン電極1に接続される。
なお、コモン電極1は、ガラス基板(図示せず。)上に配置される。同様に、各画素電極2、各TFT5、ゲート配線3、ソース配線4、補助容量配線7もガラス基板(図示せず。)上に配置される。そして、コモン電極1と各画素電極2とが対向するように2枚のガラス基板が向き合わされ、コモン電極1と各画素電極2との間に液晶が挟持される。
なお、コモン電極1および各画素電極2は、透明電極である。各画素電極2は、非透明の金属電極であってもよい。
図2は、第1の実施の形態における液晶表示装置の構成の例を示すブロック図である。コントローラ11は、液晶表示装置全体を制御する。ゲートドライバ12は、複数のゲート配線3を介して液晶表示パネル14に接続される。既に説明したように、各ゲート配線3はそれぞれ、1行をなす複数のTFT5のゲート5aに接続される(図1参照。)。ゲートドライバ12は、コントローラ11に従って、ゲート配線3を順次選択することによりゲート配線3を走査する。ゲートドライバ12は、選択したゲート配線を介して選択行のTFTのゲートを所定のオン電位に設定し、選択行の画素電極とソース配線との間を導通状態にする。また、選択していないゲート配線を介して、非選択行のTFTのゲートを所定のオフ電位に設定し、非選択行の画素電極とソース配線との間を非導通状態にする。
コントローラ11は、第1行からの走査開始を指示する場合、FLM(First Line Marker :第1行からの走査開始を指示する信号)をゲートドライバ12に出力する。また、コントローラ11は、新たな行の選択開始を指示する信号であるCPをゲートドライバ12に出力する。ただし、コントローラ11がCPを出力する時間間隔は一定ではなく、短い間隔でCPを出力する場合と、長い間隔でCPを出力する場合とがある。また、コントローラ11は、各行の選択期間を一定の長さに調整するための信号であるイネーブル信号(OEV1〜OEV3)をゲートドライバ12に出力する。OEV1は、第3・n−2行のゲート配線の選択期間調整に用いられる信号である。OEV2は、第3・n−1行のゲート配線の選択期間調整に用いられる信号である。OEV3は、第3・n行のゲート配線の選択期間調整に用いられる信号である。ここで、nは1以上の整数である。
さらに、コントローラ11は、後述するソースドライバ13に、1行分の画像データの切替を指示する信号であるLP(ラッチパルス)を出力する。コントローラ11は、LPをソースドライバ13に出力するのと同じタイミングで、ゲートドライバ12にもLPを出力する。LPの出力開始から次のLPの出力開始までが、1行分の選択期間に相当する。
ゲートドライバ12は、FLMが入力され、CPが入力されると、第1行の選択を開始する。すなわち、第1行のゲート配線を介して、第1行の各TFTのゲートを所定のオン電位に設定する。その後、CPが入力される度に、次の行の選択を開始する。すなわち、次の行のゲート配線を介して、その行の各TFTのゲートを所定のオン電位に設定する。ゲートドライバ12は、任意のCP(CPnとする。)が入力されて新たに行の選択を開始した場合、そのCPnの次の次のCPの入力が開始されるまで、CPnの入力により開始した行の選択を継続する。ただし、その行に対応するイネーブル信号がハイレベルになっている期間は、CPnの次の次のCPの入力前であっても、行の選択を停止する。
このように、ゲートドライバ12は、CPの入力によって各行の選択期間を開始し、そのCPの次の次のCPの入力またはイネーブル信号のハイレベルへの変化によって選択期間を終了する。そして、コントローラ11がCPを出力する時間間隔は一定ではない。従って、ある行の選択期間が他の行の選択期間と重なる場合が生じる。
図3は、ある行の選択期間が他の行の選択期間と重なる状況の例を示す説明図である。ゲートドライバ12は、FLM入力後、最初にCPが入力されると、第1行の選択を開始する。コントローラ11は、最初にCPを出力した後、選択期間(Tとする)が経過する前に、次のCPを出力する。この結果、第1行の選択期間が終了しないうちに、ゲートドライバ12は第2行の選択を開始する。また、コントローラ11は、最初のCPを出力してから選択期間Tが経過したときに、さらに次のCPを出力する。すると、ゲートドライバ12は、第3行の選択を開始する。さらに、選択期間Tが経過すると、次のCPを出力し、第4行の選択を開始する。
また、コントローラ11は、各行の選択期間が一定の選択期間TになるようにOEV1〜OEV3を出力する。例えば、ゲートドライバ12は、第3行選択期間の開始を指示するCPが入力されると、その次の次のCPが入力されるまで、第3行の選択を継続する。すると、第3行の選択期間がTより長くなってしまう。これを防ぐために、コントローラ11は、第4行の選択期間開始時に、第3行に対応するイネーブル信号OEV3をハイレベルにして、ゲートドライバ12に第3行の選択を終了させる。この結果、第3行の選択期間はTとなる。
図3に示すように、第1行の選択期間が終了しないうちに、ゲートドライバ12が第2行の選択を開始すると、第2行の選択期間は第1行の選択期間および第3行の選択期間に重なる。ある行(第L行とする。)の選択期間が、第L−1行の選択期間および第L+1行の選択期間と重なっているとする。この場合、第L行の選択期間Tのうち、第L−1行の選択期間と重なる期間をT1と記すことにする。また、第L行の選択期間Tのうち、第L+1行の選択期間と重なる期間をT2と記すことにする。T1+T2=Tが成立する。
図2に示すソースドライバ13は、複数のソース配線4を介して液晶表示パネル14に接続される。既に説明したように、各ソース配線3はそれぞれ、1列をなす複数のTFT5のソース5bに接続される(図1参照。)。コントローラ11は、選択期間T毎にLPをソースドライバ13およびゲートドライバ12に出力する。ソースドライバ13は、コントローラ11からLPが入力される度に、メモリ(図示せず)から一行分の画像データを読み込む。そして、その画像データに含まれる各列に応じた画像データに基づいて、各ソース配線の電位を設定する。画像データは、表示対象画像の輝度の階調を表している。以下、輝度の最低階調の表示をオフ表示と記し、輝度の最高階調の表示をオン表示と記す。また、画素をオン表示にするために液晶に印加する電圧をオン電圧Vonと記し、画素をオフ表示にするために液晶に印加する電圧をオフ電圧Voffと記す。なお、メモリは、液晶表示装置自身が備えていてもよいし、液晶表示装置の外部に設けられていてもよい。
第L行の選択期間が、第L−1行の選択期間および第L+1行の選択期間と重なっている場合、第L行がズーム機能実現のために内挿された行(以下、内挿行と記す。)となる。そして、期間T1の間、各ソース配線には、第L−1行の画像データに応じた電位が設定される。期間T2の間、各ソース配線には、第L+1行の画像データに応じた電位が設定される。従って、内挿された第L行の表示には、第L−1行の画像データと第L+1行の画像データの双方が用いられる。内挿行の選択期間Tは、コントローラ11がLPを出力するタイミングで、期間T1と期間T2に分割される。
なお、本実施の形態では、コモン電極1(図1参照)は、電源回路(図示せず。)によって一定の電位に維持されているものとする。
また、TFTを用いた液晶表示パネル14では、各行の画素において、選択期間が終了してから次の選択期間開始まで、選択期間終了時の輝度が維持される。
次に、選択期間T、期間T1,T2の長さについて説明する。選択期間Tは、選択行の画素の液晶への印加電圧をオフ電圧Voffからオン電圧Vonに変化させるのに十分な時間として定める。従って、選択期間Tの間に、液晶の印加電圧を、最低階調から最高階調のうちの任意の階調に応じた電圧に変化させることができる。その結果、所望の輝度で画像を表示することができる。また、このように選択期間Tを定めれば、画素に設けられたコンデンサ6に、静電容量Csと印加電圧に応じた電荷が充電される。
期間T1も、選択期間Tと同様に、画素の液晶への印加電圧をオフ電圧Voffからオン電圧Vonに変化させるのに十分な時間として定める。従って、期間T1の間に、液晶の印加電圧を、最低階調から最高階調のうちの任意の階調に応じた電圧に変化させることができる。また、期間T1の間に、画素に設けられたコンデンサ6に、静電容量Csと印加電圧に応じた電荷が充電される。ただし、T1<Tとする。
図4は、同じ列に配置された連続する3行分の画素を示す説明図である。図4を用いて、期間T2の長さについて説明する。図4に示すように、内挿行が第L行であるとし、第L行の画素をA’とする。また、第L−1行の画素をAとし、第L+1行の画素をBとする。
コントローラ11は、第L−1行の選択期間Tの開始時にLPを出力する。すると、ソースドライバ13は、画像データを読み込み、画像データに基づいてソース配線の電位を設定する。選択期間Tは、選択行の画素の液晶への印加電圧をオフ電圧Voffからオン電圧Vonに変化させるのに十分な時間であるので、選択期間Tの間に選択行(第L−1行)の画素Aの液晶には、画像データに応じた電圧が印加される。また、第L−1行の選択期間Tの開始後、遅れて第L行の選択期間Tに含まれる期間T1が開始される。この期間T1も、液晶への印加電圧をオフ電圧Voffからオン電圧Vonに変化させるのに十分な時間であるので、期間T1の間に、内挿行(第L行)の画素A’の液晶には、画素Aと等しい電圧が印加される。
ここで、画素Aおよび画素A’の液晶の印加電圧が、ともにオン電圧Vonに設定されていて、第L+1行の選択期間に画素Bの液晶に印加すべき電圧がオフ電圧Voffであると仮定する。このとき、挿入された行の画素A’の液晶の印加電圧を、オン電圧Vonから、オン電圧Vonとオフ電圧Voffの平均電圧に移行させる時間をT2と定める。なお、平均電圧は、(Von+Voff)/2である。
図5は、内挿行の画素の液晶に印加される電圧の変化の例を示す説明図である。図5に示すように内挿行(第L行)の選択期間のうち、第L−1行の選択期間と重なる期間がT1である。また、第L行の選択期間のうち、第L+1行の選択期間Tと重なる期間がT2である。なお、第L−1行の選択期間中に、第L−1行の画素の液晶にはオン電圧Vonが印加され、その画素はオン表示されるものとする。また、第L+1行の選択期間中に、第L+1行の画素の液晶にはオフ電圧Voffが印加され、その画素はオフ表示されるものとする。
第L−1行の選択期間Tの開始後、期間T1が開始される。期間T1は、液晶の印加電圧を、最低階調から最高階調のうちの任意の階調に応じた電圧に変化させることができる期間である。また、この間、ソース配線の電位は、オン表示にするための電位が設定されているので、期間T1中に、第L行の画素の液晶にはオン電圧が印加される。
なお、期間T1開始前における第L行の画素は、1フレーム前の第L行の選択期間終了時の表示がそのまま維持された状態になっている。
続いて、第L+1行の選択期間Tの開始時に、コントローラ11は第L+1行に表示する画像データをソースドライバ13に取り込ませるためのLPを出力する。このLPが出力されてから、第L行(挿入された行)の選択期間Tの終了までの期間がT2になる。この期間T2は、第L行の画素の印加電圧がVonから、平均電圧(Von+Voff)/2に移行する期間として定められる。
従って、内挿行の画素の液晶の印加電圧は、期間T1開始とともに電圧Vonに上昇し、期間T2の開始までVonのまま維持される。その後、期間T2が開始されると、ソース配線の電位変化に伴って、液晶の印加電圧は、Vonから下降する。そして、期間T2の終了とともに第L行の選択期間が終了するので、その時点で印加電圧の降下は停止する。第L行における液晶の印加電圧がVonであり、第L+1行選択時において第L+1行の画素の液晶に印加すべき電圧がVoffであるならば、内挿行の液晶の印加電圧は、期間T2終了時に(Von+Voff)/2となる。すなわち、内挿行の選択期間終了時に、内挿行の表示は、内挿行の両隣の行の階調の中間階調として表示される。
ただし、第L−1行の画素の表示はオン表示とは限らない。第L−1行の画素の表示が中間調表示であるとき、内挿行の画素の液晶の印加電圧は、期間T1において、オン電圧Vonよりも低い電圧に変化する。そして、期間T2開始まで、その電圧が維持される。また、第L+1行の画素の表示もオフ表示とは限らない。第L+1行の画素の表示が中間調表示であるとき、内挿行の画素の液晶の印加電圧は、期間T2の間、第L+1行の中間調表示に応じた電圧に近づくように変化する。従って、内挿行の画素の液晶の印加電圧は、期間T2終了時において、必ず(Von+Voff)/2になるとは限らない。
ただし、第L-1行の中間調表示の階調と、第L+1行の中間調表示の階調の差が大きければ、内挿行の画素の液晶の印加電圧は、(Von+Voff)/2に近い値になる。例えば、液晶表示装置が64階調の表示を行うものとする。そして、第L-1行の表示の階調が第62階調であり、第L+1行の階調が第3階調である場合、内挿行の画素の液晶の印加電圧は、期間T2の開始後、第62階調に応じた電圧から第3階調に応じた電圧に変化し、期間T2経過時に電圧の変化が停止する。このときの電圧は、(Von+Voff)/2に近い値になる。従って、内挿行の選択期間終了時に、内挿行の表示は、内挿行の両隣の行の階調の中間階調に近い階調として表示される。
一方、第L-1行の中間調表示の階調と、第L+1行の中間調表示の階調の差が小さければ、内挿行の画素の液晶の印加電圧は、第L+1行の階調に応じた印加電圧になる。例えば、第L-1行の表示の階調が第62階調であり、第L+1行の階調が第60階調であるとする。内挿行の画素の液晶の印加電圧は、期間T2の開始後、第62階調に応じた電圧から第60階調に応じた電圧に変化していく。このとき階調差が小さいため、期間T2が経過する前に、内挿行の画素の液晶の印加電圧は、第60階調に応じた電圧に変化し、その電圧が維持される。
次に、コントローラ11が内挿処理のために各種信号を出力するタイミングの例について説明する。図6は、コントローラが各種信号を出力するタイミングおよび各行のゲート配線の駆動波形の例を示す説明図である。図6では、nを1以上の整数とし、第4・n−2行を内挿行とする場合を例に示している。具体的には、第2行、第6行、・・・を内挿行とする場合を例に示している。
コントローラ11は、FLMをハイレベルにして、ゲートドライバ12に第1行からの走査を指示する。また、ソースドライバ13にもFLMを出力して、第1行から走査が開始されることをソースドライバ13に通知する。続いて、1フレームにおける最初のCPをゲートドライバ12に出力する。このとき、同時に、LPをゲートドライバ12およびソースドライバ13に出力する。なお、フレームとは、ある行(本実施の形態ではゲート配線)の選択を開始してから、再びその行(本実施の形態ではゲート配線)の選択を開始するまでの期間である。
ゲートドライバ12は、FLM入力後、最初のCP(CP1とする。)が入力されると、第1行の選択期間を開始する。また、ソースドライバ13は、LPが入力されると、メモリから一行分の画像データを読み込み、その画像データに応じて各ソース配線の電位を設定する。この結果、第1行の画像データに応じた電圧が、第一行の画素の液晶に印加される。
コントローラ11は、選択期間Tが経過する前に、次のCP(CP2とする。)をゲートドライバ12に出力する。ゲートドライバ12は、CP2の入力に応じて、第2行の選択期間を開始する。従って、CP2の入力後、第1行および第2行のゲート配線が同時に選択されていることになる。
コントローラ11は、CP1の出力後、選択期間Tが経過すると、さらに次のCP(CP3とする。)をゲートドライバ12に出力する。コントローラ11は、このとき、同時に、LPをゲートドライバ12およびソースドライバ13に出力する。第2行の選択開始からCP3およびLPが出力されるまでの期間がT1であり、期間T1の間に、第2行の各画素には、同じ列の第1行の画素と等しい電圧が印加される。
ゲートドライバ12は、CP3(CP1の次の次のCP)が入力されることによって、第1行の選択期間を終了する。この結果、第1行の選択期間はTとなるので、第1行に対応するイネーブル信号OEV1をハイレベルにする必要はない。
また、CP3が入力されることによって、ゲートドライバ12は、第3行の選択期間を開始する。ソースドライバ13は、LPが入力されると、メモリから次の行の画像データを読み込み、その画像データに応じて各ソース配線の電位を設定する。この結果、その行の画像データに応じた電圧が、第3行の画素の液晶に印加される。
コントローラ11は、CP3を出力してから選択期間T経過したときに次のCP(CP4とする。)をゲートドライバ12に出力し、同時にLPをゲートドライバ12およびソースドライバ13に出力する。ソースドライバ13は、LPが入力されると、次の行の画像データを読み込み、その画像データに応じて各ソース配線の電位を設定する。この結果、その行の画像データに応じた電圧が、第4行の画素の液晶に印加される。
ゲートドライバ12は、CP4(CP2の次の次のCP)が入力されるまで、第2行の選択を継続しようとするが、その場合、第2行の選択期間がTより長くなってしまう。そのため、コントローラ11は、CP2の出力後、選択期間Tに相当する期間が経過したときに、第2行に対応するOEV2をハイレベルにする。ゲートドライバ12は、OEV2がハイレベルになったことにより、第2行の選択期間を終了する。
また、CP3およびLPが出力されてから、第2行の選択期間終了までの期間がT2となる。期間T2の間に、第2行の画素の印加電圧は、第3行の画素の印加電圧に近づくように変化し、第2行の選択期間終了時に印加電圧の変化が停止する。
コントローラ11は、CP4を出力してから選択期間T経過したときに次のCP(CP5とする。)をゲートドライバ12に出力し、同時にLPをゲートドライバ12およびソースドライバ13に出力する。ソースドライバ13は、LPの入力に伴い、次の行の画像データを読み込み、その画像データに応じて各ソース配線の電位を設定する。この結果、その行の画像データに応じた電圧が、第5行の画素の液晶に印加される。
ゲートドライバ12は、CP5(CP3の次の次のCP)が入力されるまで、第3行の選択を継続しようとするが、その場合、第3行の選択期間がTより長くなってしまう。そのため、コントローラ11は、CP3の出力後、選択期間Tに相当する期間が経過したときに、第3行に対応するOEV3をハイレベルにする。ゲートドライバ12は、OEV3がハイレベルになったことにより、第3行の選択期間を終了する。
コントローラ11は、CP5の出力後、選択期間Tが経過する前に、次のCP(CP6とする。)をゲートドライバ12に出力する。ゲートドライバ12は、CP6の入力に応じて、第6行の選択期間を開始する。従って、CP6の入力後、第5行および第6行のゲート配線が同時に選択されていることになる。第6行の内挿処理は、第2行の内挿処理と同様の処理であるので、以降の内挿処理の説明は省略する。
なお、ゲートドライバ12は、CP6(CP4の次の次のCP)が入力されるまで、第4行の選択を継続しようとするが、その場合、第4行の選択期間がTより長くなってしまう。そのため、コントローラ11は、CP4の出力後、選択期間Tに相当する期間が経過したときに、第4行に対応するOEV1をハイレベルにする。ゲートドライバ12は、OEV1がハイレベルになったことにより、第4行の選択期間を終了する。以下、同様に各行を選択していく。
なお、コントローラ11は、最終行の選択期間と第1行の選択期間とが重ならないように制御する。コントローラ11は、最終行に対応するイネーブル信号を用いて最終行の選択期間をTに定め、最終行の選択期間が終了してから第1行の選択期間を開始するように制御すればよい。最終行の選択期間と第1行の選択期間とが重ならないようにするので、第1行および最終行は内挿行にならない。
以上のように、コントローラ11は、行を内挿する場合、CP出力後、選択期間Tが経過する前に次のCPを出力し、選択期間が経過したときにさらに次のCPを出力することによって、内挿行の選択期間をその両隣の行の選択期間と重ねている。また、コントローラ11は、LPを選択期間T毎に出力し、期間T2の間に、内挿行の印加電圧を、内挿行の前の行の印加電圧から、内挿行の次の行の印加電圧に変化させている。この結果、内挿行の液晶の印加電圧は、内挿行の両隣の印加電圧の中間値に近い値となり、内挿行の表示は、内挿行の両隣の行の階調の中間階調に近い階調として表示される。
また、図6に示すように、コントローラ11は、各行の選択期間がTより長くなる場合には、各行に対応するイネーブル信号をハイレベルにして、選択期間がTになるように制御している。
本発明によれば、内挿行の画素の液晶の印加電圧を期間T1中に、前の行の印加電圧と等しい電圧にし、期間T2中に、次の行の印加電圧に近づけるように制御している。従って、内挿行の選択期間終了時に、内挿行の表示は、内挿行の両隣の行の階調の中間階調に近い階調になる。そして、TFT液晶表示パネルでは、次にその内挿行が選択されるまで、その表示状態は維持される。従って、図15に示すような従来の内挿処理のように、内挿行の表示を、内挿行の片側の表示にあわせているわけではないので、ぎざぎざした感じが軽減され、良好な表示品位を保ちつつ画像を拡大することができる。
なお、内挿行の前の行の階調と、内挿行の次の行の階調とが近い場合、内挿行の選択期間終了時に、内挿行の表示は、内挿行の次の行の階調になることがある。しかし、内挿行の前の行の階調と、内挿行の次の行の階調とが近い場合には、内挿行の表示が次の行の表示と同じになったとしても、人間の目に感じられる違和感は少ない。
次に、極性の反転について説明する。ゲート配線を選択するときに、そのゲート配線に対応する各画素電極の電位がコモン電極の電位以上になるように駆動することを正極性駆動と記すことにする。一方、ゲート配線を選択するときに、そのゲート配線に対応する各画素電極の電位がコモン電極の電位以下になるように駆動することを負極性駆動と記すことにする。極性は、選択したゲート配線に対応する画素電極の電位と、コモン電極の電位との高低関係を示している。正極性駆動と負極性駆動とを切り替えること(すなわち、選択したゲート配線に対応する画素電極の電位と、コモン電極の電位との高低関係を逆転させること)を、「極性を反転させる」という。
本実施の形態において、フレーム毎に極性を反転させることが好ましい。図7は、フレーム毎に極性を反転させる場合のソース配線の駆動波形の例を示す。図7に示す最初のフレームは正極性駆動を行うフレームであり、2番目のフレームは負極性駆動を行うフレームである。また、本実施の形態では、コモン電極電位が一定である場合を例にしている。
図7に示すように、最初のフレームでは正極性駆動を行うので、ソース配線の電位はコモン電極電位以上の電位に設定される。この結果、TFTのゲートが所定のオン電位に設定されたとき、画素電極の電位はコモン電極の電位以上の電位として設定される。2番目のフレームでは負極性駆動を行うので、ソース配線の電位はコモン電極電位以下の電位に設定される。この結果、TFTのゲートが所定のオン電位に設定されたとき、画素電極の電位はコモン電極の電位以下の電位として設定される。
極性を反転する場合、コントローラ11がソースドライバ13に、正極性駆動と負極性駆動のいずれかを指示する極性指示信号を出力すればよい。そして、ソースドライバ13が、極性指示信号に応じてソース配線の電位を設定すればよい。
液晶は、長時間、同極性で電圧が印加されると劣化する。しかし、このように、フレーム毎に極性を反転させることにより、液晶の劣化を防ぎ、液晶の寿命を長くすることができる。
また、フレーム毎に極性を反転させるのではなく、選択期間のn倍の期間が経過する度に極性を反転させてもよい。ここで、nは1以上の整数である。図8は、選択期間Tの3倍の期間(3・T)毎に極性を反転させる場合のソース配線の駆動波形の例を示す。図8に示すように、正極性駆動を行う場合、ソース配線の電位はコモン電極電位以上の電位に設定される。この結果、TFTのゲートが所定のオン電位に設定されたとき、画素電極の電位はコモン電極の電位以上の電位として設定される。負極性駆動を行う場合、ソース配線の電位はコモン電極電位以下の電位に設定される。この結果、TFTのゲートが所定のオン電位に設定されたとき、画素電極の電位はコモン電極の電位以下の電位として設定される。なお、図8では、選択期間Tの3倍の期間の間に、4本のゲート配線が選択され、そのうち1本の選択期間が、その両隣のゲート配線の選択期間と重なっている場合の例を示している。
選択期間のn倍の期間が経過する度に極性を反転させる場合には、内挿行の前の行の選択期間を開始した後から、内挿行の次の行の選択期間を終了する前までの間では、極性を反転させないようにする。
選択期間のn倍の期間毎に極性を反転させた場合にも、液晶の劣化を防ぎ、液晶の寿命を長くすることができる。
また、本実施の形態において、フレーム毎に内挿行を変更してもよい。例えば、図6に示す例では、第4・n−2行を内挿行としているが、次のフレームでは、第4・n−2行以外の行を内挿行とするように駆動してもよい。このように駆動すれば、フレーム毎に画像の拡大位置を変化させることができる。
以上の説明では、液晶表示装置が画像を拡大して表示する場合の動作について説明した。次に、画像を拡大することなく通常表示を行う場合の動作について説明する。通常表示を行う場合、コントローラ11は、出力間隔が選択期間Tで一定になるようにCPを出力する。この場合、CPを出力してから次の次のCPを出力するまでの期間は選択期間Tの2倍(2・T)となる。そのため、コントローラ11は、CP(CPaとする。)の出力開始後、選択期間Tが経過した時点から、CPaの次の次のCPの出力開始時点までの間、CPaにより選択が開始された行に対応するイネーブル信号をハイレベルにし、選択行の選択期間がTになるようにする。なお、コントローラ11は、選択期間T毎に、かつCPの出力タイミングと同時にLPをソースドライバ13に出力する。
図9は、通常表示を行う場合にコントローラが各種信号を出力するタイミングおよび各行のゲート配線の駆動波形の例を示す説明図である。コントローラ11は、FLMをハイレベルにして、ゲートドライバ12に第1行からの走査を指示する。続いて、1フレームにおける最初のCPをゲートドライバ12に出力し、同時にLPをソースドライバ13に出力する。
ゲートドライバ12は、FLM入力後、最初のCP(CP1とする。)が入力されると、第1行の選択期間を開始する。また、ソースドライバ13は、LPが入力されると、メモリから一行分の画像データを読み込み、その画像データに応じて各ソース配線の電位を設定する。この結果、第1行の画像データに応じた電圧が、第1行の画素の液晶に印加される。
コントローラ11は、CP1出力後、選択期間Tが経過したときに次のCP(CP2とする。)をゲートドライバ12に出力し、同時にLPをソースドライバ13に出力する。CP2が入力されることによって、ゲートドライバ12は、第2行の選択期間を開始する。ソースドライバ13は、LPが入力されると、メモリから次の行(第2行)の画像データを読み込み、その画像データに応じて各ソース配線の電位を設定する。この結果、第2行の画像データに応じた電圧が、第2行の画素の液晶に印加される。
ゲートドライバ12は、CP1の次の次のCP(CP3とする。)が入力されるまで、第2行の選択を継続しようとするが、その場合、第1行の選択期間が2・Tとなってしまう。そのため、コントローラ11は、CP1の出力開始後、選択期間Tが経過した時点から、CP3の出力開始時点までの間、CP1により選択が開始された第1行に対応するイネーブル信号(OEV1)をハイレベルにする。ゲートドライバ12は、OEV1がハイレベルになったことにより、第1行の選択期間を終了する。この結果、第1行の選択期間はTとなる。コントローラ11およびゲートドライバ12は、同様に各行を順次選択していく。
第1の実施の形態において、行走査手段は、ゲートドライバ12によって実現される。走査制御手段は、コントローラ11によって実現される。極性反転手段は、コントローラ11およびソースドライバ13によって実現される。第1の重複期間は、期間T1に相当する。第2の重複期間は、期間T2に相当する。
実施の形態2.
第2の実施の形態では、ズーム機能を実現するパッシブ型液晶表示装置(すなわち、アクティブ素子を備えていない液晶表示装置)について説明する。第2の実施の形態の液晶表示装置も、ズーム機能により画像を拡大して表示するだけでなく、通常表示も行う。また、本実施の形態では、液晶表示パネルがノーマリブラックである場合を例に説明する。そして、第2の実施の形態では、「オン表示」は、光が液晶表示パネルを通過することによって得られる白色表示を意味し、「オフ表示」は、光が液晶表示パネルで遮断されることによって得られる黒色表示を意味するものとする。
また、第2の実施の形態では、選択した行電極の電位が各列電極の電位よりも高くなるように駆動することを正極性駆動と記すことにする。一方、選択した行電極の電位が各列電極の電位よりも低くなるように駆動することを負極性駆動と記すことにする。極性は、選択した行電極の電位と、列電極の電位との高低関係を示している。正極性駆動と負極性駆動とを切り替えること(すなわち、選択した行電極の電位と、列電極の電位との高低関係を逆転させること)を、「極性を反転させる」という。
第2の実施の形態の液晶表示パネルは、複数の行電極と、複数の列電極とを備える。各行電極はガラス基板上に平行に配置される。各列電極も、別のガラス基板上に平行に配置される。そして、各行電極と各列電極とが互いに直交するようにして対向するように、ガラス基板を向き合わせる。また、対向する行電極と列電極との間に液晶が挟持される。行電極と列電極とが交差する部分が画素となる。なお、行電極および列電極は、透明電極である。
図10は、第2の実施の形態における液晶表示装置の構成の例を示すブロック図である。コントローラ21は、液晶表示装置全体を制御する。行ドライバ22は複数の電圧出力端を有し、各電圧出力端は液晶表示パネルが備える各行電極と1対1に接続される。同様に、列ドライバ23も複数の電圧出力端を有し、各電圧出力端は液晶表示パネル24が備える各列電極と1対1に接続される。
図11は、行電極および列電極の駆動波形の例を示す説明図である。図11は、正極性駆動の場合の例を示している。行ドライバ22は、選択した行の行電極の電位を所定の電位Vr1に設定し、選択していない行電極の電位を所定の電位Vmに設定する。また、列ドライバ22は、選択された行においてオン表示とする画素が存在する列の列電極電位をVc1に設定する。すると、その画素にはVr1−Vc1の電圧が印加され、その画素はオン表示となる。列ドライバ22は、選択された行においてオフ表示とする画素が存在する列の列電極電位をVc2に設定する。すると、その画素にはVr1−Vc2の電圧が印加され、その画素はオフ表示となる。ただし、電位Vc1,Vc2は、(Vc1+Vc2)/2=Vm、かつ、Vc1<Vm<Vc2<Vr1を満足するように定められる。図11に示す例において、Vr1−Vc1は、画素をオン表示にするために液晶に印加する電圧である。Vr1−Vc2は、画素をオフ表示にするために液晶に印加する電圧である。なお、選択されていない行の画素の液晶にVc1−VmまたはVc2−Vmの電圧が印加され、その画素の表示はオフ表示となる。
図12は、負極性駆動時における行電極および列電極の駆動波形の例を示す説明図である。負極性駆動を行う場合、行ドライバ22は、選択した行の行電極の電位を所定の電位Vr2に設定し、選択していない行電極の電位を所定の電位Vmに設定する。ただし、電位Vr1,Vr2は、(Vr1+Vr2)/2=Vmとなるように定める。列ドライバ22は、選択された行においてオン表示とする列の列電極をVc2に設定する。すると、その画素にはVr2−Vc2の電圧が印加され、その画素はオン表示となる。列ドライバ22は、選択された行においてオフ表示とする列の列電極をVc1に設定する。すると、その画素にはVr2−Vc1の電圧が印加さ、その画素はオフ表示となる。
コントローラ21は、第1行からの走査開始を指示する場合、FLMを行ドライバ22に出力する。また、コントローラ21は、新たな行の選択開始を指示する信号であるCPを行ドライバ22に出力する。第1の実施の形態と同様、コントローラ21がCPを出力する時間間隔は一定ではなく、短い間隔でCPを出力する場合と、長い間隔でCPを出力する場合とがある。また、コントローラ21は、各行の選択期間を一定の長さに調整するための信号であるイネーブル信号(OEV1〜OEV3)を行ドライバ22に出力する。第1の実施の形態と同様に、OEV1は第3・n−2行に対応し、OEV2は第3・n−1行に対応し、OEV3は第3・n行に対応する。
また、コントローラ21は、列ドライバ23にLP(ラッチパルス)を出力する。LPの出力開始から次のLPの出力開始までが、1行分の選択期間に相当する。列ドライバ23は、コントローラ21からLPが入力される度に、メモリ(図示せず)から一行分の画像データを読み込む。そして、その画像データに含まれる各列に応じた画像データに基づいて、各列電極の電位を設定する。なお、メモリは、液晶表示装置自身が備えていてもよいし、液晶表示装置の外部に設けられていてもよい。
行ドライバ22は、FLMが入力され、CPが入力されると、第1行の選択を開始する。その後、CPが入力される度に、次の行の選択を開始する。第1の実施の形態と同様に、行ドライバ22は、任意のCP(CPnとする。)が入力されて新たに行の選択を開始した場合、そのCPnの次の次のCPの入力が開始されるまで、CPnの入力により開始した行の選択を継続する。ただし、その行に対応するイネーブル信号がハイレベルになっている期間は、CPnの次の次のCPの入力前であっても、行の選択を停止する。
このように、行ドライバ22は、CPの入力によって各行の選択期間を開始し、そのCPの次の次のCPの入力またはイネーブル信号のハイレベルへの変化によって選択期間を終了する。そして、コントローラ21がCPを出力する時間間隔は一定ではない。従って、ある行の選択期間が他の行の選択期間と重なる場合が生じる。
図13は、ある行の選択期間が他の行の選択期間と重なる状況の例を示す説明図である。行ドライバ22は、FLM入力後、最初にCPが入力されると、第1行の選択を開始する。コントローラ21は、最初にCPを出力した後、選択期間Tの1/2に相当する期間(T/2)が経過したときに、次のCPを出力する。この結果、第1行の選択期間の1/2の期間が経過したときに、行ドライバ22は第2行の選択を開始する。また、コントローラ11は、最初のCPを出力してから選択期間Tが経過したときに、さらに次のCPを出力する。すると、行ドライバ22は、第3行の選択を開始する。さらに、選択期間Tが経過すると、次のCPを出力し、第4行の選択を開始する。
また、コントローラ22は、第2行の選択を開始してから選択期間Tが経過したときに、第2行に対応するOEV2をハイレベルに切り替え、第2行の選択期間を終了する。この結果、第2行の選択期間Tのうち、前半のT/2の期間は第1行の選択期間と重なる。また、後半のT/2の期間は第3行の選択期間と重なる。
ある行(第L行とする。)の選択期間Tのうち、前半のT/2の期間が第L−1行の選択期間と重なっていて、後半のT/2の期間が第L+1行の選択期間と重なっているとする。この場合、第L行が内挿行となる。第L行の選択期間の前半のT/2の期間では、第L行の画素の液晶には、その画素が存在する列の第L−1行の画素の液晶と等しい電圧が印加される。また、第L行の選択期間の後半のT/2の期間では、第L行の画素の液晶には、その画素が存在する列の第L+1行の画素の液晶と等しい電圧が印加される。この結果、同じ列に属する第L−1行から第L+1行までの3つの画素において、内挿された第L行の画素は、第L−1行の画素の輝度と、第L+1行の画素の輝度の中間の輝度として表示される。例えば、第L−1行の画素がオン表示であり、第L+1行の画素がオフ表示である場合、第L行の画素は、オン表示とオフ表示の中間の輝度で表示される。
パッシブ型液晶表示装置では、選択期間終了時における電圧印加状態が、選択期間終了後に維持されるわけではない。そのため、図13に示すように、内挿行の選択期間の前半のT/2が前の行の選択期間と重なり、後半のT/2の期間が次の行の選択期間と重なるようにして、内挿行の画素の表示が、その前後の行の画素の輝度の中間輝度になるようにしている。
次に、コントローラ21が内挿処理のために各種信号を出力するタイミングの例について説明する。図14は、第2の実施の形態においてコントローラが各種信号を出力するタイミングおよび各行電極の駆動波形の例を示す説明図である。図14では、nを1以上の整数とし、第4・n−2行を内挿行とする場合を例に示している。具体的には、第2行、第6行、・・・を内挿行とする場合を例に示している。
コントローラ21は、FLMをハイレベルにして、行ドライバ22に第1行からの走査を指示する。また、列ドライバ23にもFLMを出力して、第1行から走査が開始されることを列ドライバ23に通知する。続いて、1フレームにおける最初のCPを行ドライバ22に出力し、同時に、LPを列ドライバ23に出力する。
行ドライバ22は、FLM入力後、最初のCP(CP1とする。)が入力されると、第1行の選択期間を開始する。また、列ドライバ23は、LPが入力されると、メモリから一行分の画像データを読み込み、その画像データに応じて各列電極の電位を設定する。この結果、第1行の画像データに応じた電圧が、第一行の画素の液晶に印加される。
コントローラ21は、CP1を出力してから選択期間Tの半分の期間(T/2)が経過したときに、次のCP(CP2とする。)を行ドライバ22に出力する。行ドライバ22は、CP2の入力に応じて、第2行の選択期間を開始する。従って、CP2の入力後、第1行および第2行の行電極が同時に選択されていることになる。
コントローラ21は、CP1の出力後、選択期間Tが経過すると、さらに次のCP(CP3とする。)を行ドライバ22に出力する。コントローラ21は、このとき、同時に、LPを列ドライバ23に出力する。第2行の選択開始からCP3が出力されるまでの期間が、第2行選択期間Tの前半のT/2である。この期間中、第2行の各画素には、同じ列の第1行の画素と等しい電圧が印加される。
行ドライバ22は、CP3(CP1の次の次のCP)が入力されることによって、第1行の選択期間を終了する。この結果、第1行の選択期間はTとなるので、第1行に対応するイネーブル信号OEV1をハイレベルにする必要はない。
また、CP3が入力されることによって、行ドライバ22は、第3行の選択期間を開始する。列ドライバ23は、LPが入力されると、メモリから次の行の画像データを読み込み、その画像データに応じて各列電極の電位を設定する。この結果、その行の画像データに応じた電圧が、第3行の画素の液晶に印加される。
コントローラ21は、CP3を出力してから選択期間T経過したときに次のCP(CP4とする。)を行ドライバ22に出力し、同時にLPを行ドライバ22および列ドライバ23に出力する。列ドライバ23は、LPが入力されると、次の行の画像データを読み込み、その画像データに応じて各列電極の電位を設定する。この結果、その行の画像データに応じた電圧が、第4行の画素の液晶に印加される。
行ドライバ22は、CP4(CP2の次の次のCP)が入力されるまで、第2行の選択を継続しようとするが、その場合、第2行の選択期間がTより長くなってしまう。そのため、コントローラ21は、CP2の出力後、選択期間Tに相当する期間が経過したときに、第2行に対応するOEV2をハイレベルにする。行ドライバ22は、OEV2がハイレベルになったことにより、第2行の選択期間を終了する。
また、CP3が出力されてから第2行の選択期間終了までの期間が、第2行選択期間Tの後半のT/2である。この期間中、第2行の各画素には、同じ列の第3行の画素と等しい電圧が印加される。
コントローラ21は、CP4を出力してから選択期間T経過したときに次のCP(CP5とする。)を行ドライバ22に出力し、同時にLPを列ドライバ23に出力する。列ドライバ23は、LPの入力に伴い、次の行の画像データを読み込み、その画像データに応じて各列電極の電位を設定する。この結果、その行の画像データに応じた電圧が、第5行の画素の液晶に印加される。
行ドライバ22は、CP5(CP3の次の次のCP)が入力されるまで、第3行の選択を継続しようとするが、その場合、第3行の選択期間がTより長くなってしまう。そのため、コントローラ21は、CP3の出力後、選択期間Tに相当する期間が経過したときに、第3行に対応するOEV3をハイレベルにする。行ドライバ22は、OEV3がハイレベルになったことにより、第3行の選択期間を終了する。
コントローラ21は、CP5を出力してから選択期間Tの半分の期間(T/2)が経過したときに、次のCP(CP6とする。)を行ドライバ22に出力する。行ドライバ22は、CP6の入力に応じて、第6行の選択期間を開始する。従って、CP6の入力後、第5行および第6行の行電極が同時に選択されていることになる。第6行の内挿処理は、第2行の内挿処理と同様の処理であるので、以降の内挿処理の説明は省略する。
なお、行ドライバ22は、CP6(CP4の次の次のCP)が入力されるまで、第4行の選択を継続しようとするが、その場合、第4行の選択期間がTより長くなってしまう。そのため、コントローラ21は、CP4の出力後、選択期間Tに相当する期間が経過したときに、第4行に対応するOEV1をハイレベルにする。行ドライバ22は、OEV1がハイレベルになったことにより、第4行の選択期間を終了する。以下、同様に各行を選択していく。
なお、コントローラ21は、最終行の選択期間と第1行の選択期間とが重ならないように制御する。コントローラ21は、最終行に対応するイネーブル信号を用いて最終行の選択期間をTに定め、最終行の選択期間が終了してから第1行の選択期間を開始するように制御すればよい。最終行の選択期間と第1行の選択期間とが重ならないようにするので、第1行および最終行は内挿行にならない。
以上のように、コントローラ21は、行を内挿する場合、CP出力後、選択期間Tの半分の期間(T/2)が経過したときに、次のCPを出力し、選択期間Tが経過したときにさらに次のCPを出力することによって、内挿行の選択期間をその両隣の行の選択期間と重ねている。そして、内挿行の選択期間Tの前半のT/2を前の行の選択期間と重ね、後半のT/2を次の行の選択期間と重ねている。この結果、内挿行の画素の表示は、内挿行の前の行の画素の輝度と、内挿行の次の行の画素の輝度の中間輝度として表示される。
また、図14に示すように、コントローラ21は、各行の選択期間がTより長くなる場合には、各行に対応するイネーブル信号をハイレベルにして、選択期間がTになるように制御している。
本実施の形態によれば、内挿行の選択期間Tの前半のT/2において、内挿行の各画素には、前行の同じ列の画素と等しい電圧が印加される。そして、後半のT/2において、内挿行の各画素には、次の行の同じ列の画素と等しい電圧が印加される。従って、内挿行の表示は、内挿行の両隣の行の画素の輝度の中間輝度として表示される。従って、図15に示すような従来の内挿処理のように、内挿行の表示を、内挿行の片側の表示にあわせているわけではないので、ぎざぎざした感じが軽減され、良好な表示品位を保ちつつ画像を拡大することができる。
第2の実施の形態においても、1フレーム毎に極性を反転させてもよい。すなわち、図11に例示する駆動波形で駆動する正極性駆動と、図12に例示する駆動波形で駆動する負極性駆動とを、1フレーム毎に切り替えてもよい。極性を反転する場合、コントローラ21が行ドライバ22および列ドライバ23に、正極性駆動と負極性駆動のいずれかを指示する極性指示信号を出力すればよい。そして、行ドライバ22は、極性指示信号に応じて選択行の行電極の電位を設定すればよい。列ドライバ23は、極性指示信号に応じて各列電極の電位を設定すればよい。
また、第1の実施の形態と同様に、選択期間のn倍の期間が経過する度に極性を反転させてもよい。ここで、nは1以上の整数である。選択期間のn倍の期間が経過する度に極性を反転させる場合には、内挿行の前の行の選択期間を開始した後から、内挿行の次の行の選択期間を終了する前までの間では、極性を反転させないようにする。
フレーム毎、あるいは、選択期間のn倍の期間が経過する毎に極性を反転させることにより、液晶の劣化を防ぎ、液晶の寿命を長くすることができる。
また、フレーム毎に内挿行を変更してもよい。例えば、図14に示す例では、第4・n−2行を内挿行としているが、次のフレームでは、第4・n−2行以外の行を内挿行とするように駆動してもよい。このように駆動すれば、フレーム毎に画像の拡大位置を変化させることができる。
次に通常表示を行う場合の動作について説明する。通常表示を行う場合のコントローラ21の動作は、第1の実施の形態において通常表示を行うコントローラ11の動作と同様である。また、通常表示を行う場合の行ドライバ22の動作は、第1の実施の形態において通常表示を行うゲートドライバ12の動作と同様である。すなわち、コントローラ21は、出力間隔が選択期間Tで一定になるようにCPを出力する。この場合、CPを出力してから次の次のCPを出力するまでの期間は選択期間Tの2倍(2・T)となる。そのため、コントローラ21は、CP(CPaとする。)の出力開始後、選択期間Tが経過した時点から、CPaの次の次のCPの出力開始時点までの間、CPaにより選択が開始された行に対応するイネーブル信号をハイレベルにし、選択行の選択期間がTになるようにする。また、コントローラ11は、選択期間T毎に、かつCPの出力タイミングと同時にLPを列ドライバ23に出力する。従って、通常表示を行う場合にコントローラが各種信号を出力するタイミングおよび各行電極の駆動波形は、図9に例示する場合と同様である。
第2の実施の形態において、行走査手段は、行ドライバ22によって実現される。走査制御手段は、コントローラ21によって実現される。列電極電位設定手段は、列ドライバ23によって実現される。極性反転手段は、コントローラ21、行ドライバ22および列ドライバ23によって実現される。また、第1の重複期間は、内挿行の選択期間Tのうちの前半のT/2の期間に相当する。第2の重複期間は、内挿行の選択期間Tのうちの後半のT/2の期間に相当する。
第1の実施の形態および第2の実施の形態において、画像を拡大する際、内挿行の数は複数でなくてもよい。画像を拡大する際、内挿行は、少なくとも1行あればよい。