JP4458004B2 - 車両の制動力制御装置 - Google Patents

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本発明は、車両の運転状態や走行状態に応じて決まる目標減速度が達成されるよう制動力を制御する車両の制動力制御装置に関するものである。
このような制動力制御装置としては通常、車両の運転状態や走行状態に応じて決まる目標減速度と、車輪速の微分演算などにより求めた実減速度との間における減速度偏差に応じ、実減速度が目標減速度に向かうよう、そして、最終的には実減速度が目標減速度に収束してこれに一致するよう制動力をフィードバック制御するものが一般的なものとして知られている。
しかし、かかる減速度フィードバック式の制動力制御装置にあっては、車両が勾配路面を走行中に制動される場合において以下の問題を生ずる。
例えば登坂路走行中の制動について述べると、登坂路勾配は重力により車両に減速度(これを本明細書では勾配減速度と称する)を及ぼすが、上記のフィードバック制御はこれをも補償するように制動力を決定してしまうため、路面勾配があってもこれが減速度となって現れず運転者に違和感を与える。
この問題を解決するため従来、特許文献1や特許文献2に記載のような制動力制御装置が提案されている。
特許文献1に記載の制動力制御装置は、車両の前後加減速度(制動による制動減速度+エンジンブレーキ力+勾配減速度)を検出し、
この前後加減速度検出値と、車輪速の微分演算により求めた車輪加減速度(制動による制動減速度+エンジンブレーキ力)との差により勾配減速度を演算し、
目標減速度をこの勾配減速度分だけ補正して上記のフィードバックに資することにより、上記違和感の問題を解消するものである。
図12に示すごとく、コースト(惰性)走行中の瞬時t1に制動操作を開始して制動操作量を一定に保つ場合につき、特許文献1に記載の制動力制御を付言する。
平坦路であれば、制動操作量に応じて目標減速度が波線で示すように設定され、これに実減速度が波線で示すごとく追従するように制動力を減速度フィードバック制御する。
一点鎖線で示すような勾配減速度を発生させる登坂路であれば、そして、狙い通りに機能すれば、目標減速度が一点鎖線で示すごとく、波線図示の平坦路用目標減速度に一点鎖線で示す勾配減速度を加算したものとして設定され、実減速度が一点鎖線で示すごとく一点鎖線図示の目標減速度に追従するよう制動力を減速度フィードバック制御する。
かかる制動力制御によれば、路面勾配による勾配減速度が車両の実減速度となって現れるため、運転者に違和感を与えることがない。
しかし、車両の前後加減速度を検出する所謂Gセンサは、加減速度=0の0点がずれるのを避けられず、しかも、そのずれが個々に異なるため、また、Gセンサの取り付け誤差による影響もあって、Gセンサによる前後加減速度検出値は検出誤差をもったものになるのが常で、これを基に前記したごとくに求めて推定する勾配減速度も図12に実線で例示するごとく、本来の一点鎖線で示すものから推定誤差をもったものになる。
このため目標減速度が実線で示すごとく、本来の一点鎖線で示すものから勾配推定誤差分だけずれ、平坦路用目標減速度に対する勾配減速度分の補正量が過大となり、目標減速度に追従するよう制御される実減速度も実線で示すごとく、本来の一点鎖線で示すものから勾配推定誤差分だけずれ、平坦路走行時の実減速度に対する勾配減速度分の補正量が過大となる。
従って、特許文献1に記載の制動力制御装置においては、Gセンサによる前後加減速度検出値の検出誤差に起因した勾配減速度の推定誤差分が実減速度を要求減速度からずらせてしまい、要求減速度を正確に達成するのが困難である。
一方で特許文献2に記載の制動力制御装置は、制動力制御の開始時における実減速度を基準実減速度として記憶し、この基準実減速度と現在の実減速度との間における実減速度偏差を目標減速度に一致させるように制動力を減速度フィードバック制御するものである。
図13に示すごとく、コースト(惰性)走行中の瞬時t1に制動操作を開始して制動操作量を一定に保つ場合につき、特許文献2に記載の制動力制御を付言する。
平坦路であっても、登坂路であっても、制動制御開始瞬時t1における実減速度を基準実減速度として記憶し、この基準実減速度と時々刻々の実減速度との間における実減速度偏差を、制動操作量に応じた目標減速度に一致させるように制動力を減速度フィードバック制御するため、以下のような作用効果を奏し得る。
図13に波線で示す実減速度は平坦路走行時の実減速度を示し、実線で示す実減速度は、実線で示すような勾配減速度を発生させる登坂路を走行する場合の実減速度を示す。
ここで、平坦路走行時の実減速度を示す波線上の基準実減速度は、エンジンブレーキによる減速度分を意味し、登坂路走行時の実減速度を示す実線上の基準実減速度は、エンジンブレーキによる減速度分と勾配減速度との和値を意味する。
そして、基準実減速度と現在の実減速度との間における実減速度偏差は、平坦路走行時も登坂路走行時もともに、制動操作量による減速度変化量を意味する。
よって、特許文献2に記載の制動力制御によれば、登坂路では路面勾配による勾配減速度が含まれている基準実減速度を基準にし、これと現在の実減速度との偏差が目標減速度に一致するよう制動力を減速度フィードバック制御することとなり、特許文献1に記載の技術のように勾配減速度を推定して目標減速度を補正することなく、特許文献1に記載の技術と同様に、フィードバック制御が勾配減速度までをも補償して前記した違和感を生じさせるという問題を解消することができる。
そして特許文献2に記載の制動力制御によれば、上記のように勾配減速度を推定する必要がないことから、特許文献1に記載の制動力制御が抱える前記の問題、つまり、Gセンサによる前後加減速度検出値の検出誤差に起因した勾配減速度の推定誤差分が実減速度を要求減速度からずらせてしまい、要求減速度を正確に達成するのが困難であるという問題を回避することができる。
特開2001−182578号公報 特開2003−170823号公報
しかし特許文献2に記載の制動力制御においては、図14に例示するごとく、アクセル開度を開いた平坦路ドライブ走行中の瞬時t0にアクセルペダルを釈放してコースト走行に移行し、その後直ちに瞬時t1にブレーキペダルを踏み込んで制動操作量を図示のごとく一定に保つ場合につき説明すると、
上記アクセル操作に伴いエンジンブレーキ力が波線図示のごとくに急変している最中の瞬時t1の実減速度を基準実減速度(エンジンブレーキによる減速度)とするため、基準実減速度がばらついて、これと実減速度との間における実減速度偏差が目標減速度に一致するよう制動力制御するとき、実減速度が実線で示すように一点鎖線図示の要求減速度に対し上記バラツキ分(基準実減速度誤学習分)だけずれて運転者に違和感を与えるという問題を生ずる。
本発明は、この問題が、制動に先立つアクセル開放によるエンジンブレーキ力の変化中に、このエンジンブレーキ力を内包した実減速度を用いるフィードバック制御を行うことに起因するとの事実認識に基づき、少なくともかかるエンジンブレーキ過渡期間は、エンジンブレーキ力を内包した実減速度を用いることのないフィードフォワード制御を用いるようにし、これにより、実減速度が要求減速度に対しずれて違和感を生ずるという上記の問題を解消し得るようにした車両の制動力制御装置を提供することを目的とする。
この目的のため、本発明による車両の制動力制御装置は、請求項1に記載のごとく、
車両の運転状態や走行状態に応じて決まる目標減速度が達成されるよう制動力を制御する車両の制動力制御装置において、
車載エンジンによるエンジンブレーキ力が変化しているエンジンブレーキ過渡期間か、エンジンブレーキ力が安定しているエンジンブレーキ定常期間かを判定するエンジンブレーキ状態判定手段と、
この手段がエンジンブレーキ過渡期間と判定する間に制動操作が開始されたとき、少なくとも該エンジンブレーキ過渡期間中は、前記制動力を、前記目標減速度に応じたフィードフォワード制御により一義的に決定し、前記エンジンブレーキ状態判定手段がエンジンブレーキ定常期間と判定する間に、前記制動力を前記目標減速度と実減速度とに基づいて決定するフィードバック制御に切り換える制動力決定手段とを設けたことを特徴とするものである。
かかる本願発明による車両の制動力制御装置によれば、
エンジンブレーキ力が変化しているエンジンブレーキ過渡期間は、制動力を、目標減速度に応じたフィードフォワード制御により一義的に決定し、エンジンブレーキ定常期間に至って初めて、制動力を、目標減速度と実減速度とに基づき決定するフィードバック制御に切り替えるため、
制動に先立つアクセル開放でエンジンブレーキ力が変化している最中に、このエンジンブレーキ力を内包した実減速度を用いるフィードバック制御が行われることがなく、上記のフィードバック制御中に実減速度が要求減速度に対しずれて違和感を生ずるという、図14につき前述した問題を解消することができる。
またエンジンブレーキ定常期間では、制動力を、目標減速度と実減速度とに基づき決定するフィードバック制御に切り替えるため、目標減速度に対する追従性が良くなり、狙い通りの制動力制御を達成することができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明のー実施例になる制動力制御装置を具えた複合ブレーキの制御システム図で、本実施例においては複合ブレーキを、車輪1(図では、1個の駆動前輪のみを示す)に関連して設けられたホイールシリンダ2への液圧供給により制動力を発生する液圧ブレーキ装置と、駆動前輪1に歯車箱3を介して駆動結合された交流同期モータ4により車輪回転エネルギーを電力に変換する回生ブレーキ装置との組み合わせにより構成する。
かかる複合ブレーキにおいて、液圧ブレーキ装置と回生ブレーキ装置との協調制御は、交流同期モータ4により回生制動トルクを制御して主たる制動力を得る間に、ホイールシリンダ2へのブレーキ液圧を減圧制御することで回生エネルギーを効率的に回収することを旨とする。
先ず液圧ブレーキ装置を説明するに、5は運転者が希望する車両の制動力に応じて踏み込むブレーキペダルで、該ブレーキペダル5の踏力が油圧ブースタ6により倍力され、倍力された力でマスターシリンダ7の図示せざるピストンカップが押し込まれることによりマスターシリンダ7はブレーキペダル5の踏力に応じたマスターシリンダ液圧Pmcをブレーキ液圧配管8に出力するものとする。
なお、ブレーキ液圧配管8を図1では、1個の駆動前輪1に設けたホイールシリンダ2のみに接続しているが、図示せざる他の3輪(他方の駆動前輪、2個の従動後輪)に係わるホイールシリンダにも接続することは言うまでもない。
油圧ブースタ6およびマスターシリンダ7は共通なリザーバ9内のブレーキ液を作動媒体とする。
油圧ブースタ6はポンプ10を具え、このポンプはリザーバ9から吸入して吐出したブレーキ液をアキュムレータ11内に蓄圧し、アキュムレータ内圧を圧力スイッチ12によりシーケンス制御する。
油圧ブースタ6は、アキュムレータ11内の圧力を圧力源としてブレーキペダル5の踏力を倍力し、この倍力した踏力でマスターシリンダ7内のピストンカップを押し込み、マスターシリンダ7はリザーバ9からのブレーキ液をブレーキ配管8内に封じ込めてブレーキペダル踏力に対応したマスターシリンダ液圧Pmcを発生させ、これを元圧としてホイールシリンダ液圧Pwcをホイールシリンダ2に供給する。
ホイールシリンダ液圧Pwcは、アキュムレータ11のアキュムレータ内圧を用いて後述のごとくにフィードバック制御可能とし、これがためブレーキ配管8の途中に電磁切替弁13を挿置し、該電磁切替弁13よりもホイールシリンダ2の側においてブレーキ配管8に、ポンプ10の吐出回路から延在すると共に増圧弁14を挿置した増圧回路15、およびポンプ10の吸入回路から延在すると共に減圧弁16を挿置した減圧回路17をそれぞれ接続する。
電磁切替弁13は、常態でブレーキ配管8を開通させることによりマスターシリンダ液圧Pmcをホイールシリンダ2に向かわせ、ソレノイド13aのON時にブレーキ配管8を遮断すると共にマスターシリンダ7をストロークシミュレータ26に通じさせてホイールシリンダ2と同等の油圧負荷を与え、これによりブレーキペダル5に通常時と同じ操作フィーリングを与え続け得るようになす。
増圧弁14は、常態で増圧回路15を開通してアキュムレータ11の圧力によりホイールシリンダ液圧Pwcを増圧するが、ソレノイド14aのON時に増圧回路15を遮断してホイールシリンダ液圧Pwcの増圧を中止するものとし、
減圧弁16は、常態で減圧回路17を遮断しているが、ソレノイド16aのON時に減圧回路17を開通してホイールシリンダ液圧Pwcを減圧するものとする。
ここで増圧弁14および減圧弁16は、切替弁13がブレーキ配管8を開通している間、対応する増圧回路15および減圧回路17を遮断しておき、これによりホイールシリンダ液圧Pwcがマスターシリンダ液圧Pmcにより決定されるようにする。
また、増圧弁14または減圧弁16によるホイールシリンダ液圧Pwcの増減圧が行われる間は、切替弁13のONによりブレーキ配管8を遮断しておくことでマスターシリンダ液圧Pmcの影響を受けることなく、増圧弁14または減圧弁16によるホイールシリンダ液圧Pwcの増減圧を行い得るようにする。
切替弁13、増圧弁14および減圧弁16の制御は液圧ブレーキコントローラ18により行い、これがため当該コントローラ18には、運転者が要求する車両の制動力を表すマスターシリンダ液圧Pmcを検出する圧力センサ19からの信号と、液圧制動トルクの実際値を表すホイールシリンダ液圧Pwcを検出する圧力センサ20からの信号とを入力する。
左右駆動前輪1に歯車箱3を介して駆動結合された交流同期モータ4は、モータトルクコントローラ21からの3相PWM信号により直流・交流変換用電流制御回路(インバータ)22での交流・直流変換を介して制御され、モータ4による左右前輪1の駆動が必要な時は直流バッテリ23からの電力で車輪1を駆動し、車輪1の制動が必要な時は回生制動トルク制御により車両運動エネルギーをバッテリ23ヘ回収するものである。
液圧ブレーキコントローラ18およびモータトルクコントローラ21は、複合ブレーキ協調コントローラ24との間で通信を行いながら、該コントローラ24からの指令により対応する液圧制動装置および回生制動装置を後述するごとくに制御する。
モータトルクコントローラ21は、複合ブレーキ協調コントローラ24からの回生制動トルク指令値Tmcomに基づいてモータ4による回生制動トルクを制御し、また、左右前輪1の駆動要求時にはモータ4による車輪1の駆動トルク制御を行なう。
さらにモータトルクコントローラ21は、バッテリ23の充電状態や温度などで決まるモータ4に許容される許容最大回生制動トルクTmmaxを算出して複合ブレーキ協調コントローラ24ヘ対応する信号を送信する。
これがため複合ブレーキ協調コントローラ24には、液圧ブレーキコントローラ18を経由した圧力センサ19,20からのマスターシリンダ液圧Pmcおよびホイールシリンダ液圧Pwcに関する信号を入力するほか、車両の前後加減速度Gxを検出する前後加速度センサ27からの信号と、車載エンジン(図示せず)の負荷を決定するアクセル開度APOを検出するアクセル開度センサ28からの信号と、車輪(左前輪)1の車輪速Vwflを検出する車輪速センサ25からの信号を入力し、さらに、右前輪(図示せず)の車輪速Vwfr、左後輪(図示せず)の車輪速Vwrl、右後輪(図示せず)の車輪速Vwrrに関する信号を入力する。
複合ブレーキ協調コントローラ24は、これら入力情報を基に図2に機能別ブロック線図および図3〜7にフローチャートで示すような処理により車両の制動力制御を行う。
図3は、10msecごとの定時割り込みにより繰り返し実行されるメインルーチンで、先ずステップS1において、アクセル開度APO、前後加減速度Gx、スターシリンダ液圧Pmcおよび車輪のホイールシリンダ液圧Pwcを算出する。
次のステップS2では、各車輪の車輪速Vwfl, Vwfr, Vwrl, Vwrrを計測してその平均値(平均車輪速)Vwを求めると共に、この平均車輪速Vwを次式の伝達関数Fbpf(s)で示される特性を持ったバンドパスフィルタに通して(近似微分処理して)、車輪減速度(制動操作伴う減速度と、エンジンブレーキによる減速度との和値)αvを求める。(図2の車輪減速度算出部31に相当)
Fbpf(s)=s/{(1/ω)s+(2ζ/ω)s+1}・・・(1)
s:ラプラス演算子
ただし実際には、車輪減速度(制動操作伴う減速度と、エンジンブレーキによる減速度との和値)αvは、タスティン近似などで離散化して得られた漸化式を用いて算出する。
ステップS3においては、ステップS1で算出した車両前後加減速度Gx(制動操作伴う減速度と、エンジンブレーキによる減速度と、路面勾配による勾配減速度αgraとの和値)と、ステップS2で求めた車輪減速度(制動操作伴う減速度と、エンジンブレーキによる減速度との和値)αvとの差から得られる勾配減速度αgraを演算する。(図2の勾配減速度推定部32に相当)
なお実際には、ステップS2で車輪減速度αvを求める時に伝達関数Fbpf(s)のバンドパスフィルタを用いているため、これに対応する遅れを車両前後加減速度Gxに施して上記勾配減速度αgraの演算に用い、更にこの勾配減速度αgraをノイズ除去のためにローパスフィルタに通過させる。
ステップS4では、モータトルクコントローラ21との間の高速通信受信バッファから、モータ4により達成可能な許容最大回生制動トルクTmmaxを読み込む。
この許容最大回生制動トルクTmmaxは、モータトルクコントローラ21がバッテリ23の充電率などに応じて決定する。
ステップS5では、マスターシリンダ液圧Pmcと、予めROMに記憶しておく車両諸元に応じた定数K1とを用いて、車両の目標減速度αdemを次式により算出する。(図2の目標減速度算出部33に相当)
αdem=Pmc×K1・・・(2)
なお、ここでは減速度を正の値として取り扱うこととする。
なお車両目標減速度αdemは、マスターシリンダ液圧Pmcにより運転者が指令する物理量により決まるだけでなく、車間距離制御装置や、車速制御装置を搭載した車両においては、これら装置による自動ブレーキによる物理量に応じても決定し得ること勿論である。
図3のステップS6においては、ステップS1で求めたアクセル開度APOをもとに、これが0となったアクセルペダル釈放時から、次にアクセルペダルが踏み込まれる(APO>0になる)までのアクセル開放時間TMaccを計測する。
図3のステップS7においては、図8のフィードフォワード補償器51を用いて目標減速度αdemを実現するのに必要な制動トルク指令値Tdff(制動トルクのフィードフォワード補償量)を以下により算出する。(図2のFF補償器34に相当)
つまり、先ず車両諸元により決まる定数K2を用いて目標減速度αdemを制動トルクに換算し、次いで、図8における規範モデル52の特性Fref(s)に、制御対象車両54の応答特性Pm(s)を一致させるためのフィードフォワード補償器(位相補償器)51の、次式で表される特性CFF(s)に上記目標減速度(αdem)対応の制動トルクを通して目標減速度αdem用の制動トルク指令値Tdff(フィードフォワード補償量)を求める。
なお実際には、目標減速度αdem用の制動トルク指令値Tdff(フィードフォワード補償量)も前述と同様に離散化して計算を行う。
CFF(s)=Fref(s)/Pm(s) ・・・(3)
=(Tp・s+1)/(Tr・s+1)・・・(4)
Tp:時定数
Tr:時定数
Pm:制御対象車両の車両モデル特性
(制動トルク指令値に対する車両減速度の特性)
次いでステップS8において、マスターシリンダ液圧Pmcが微少設定値以上か否かによりブレーキペダル操作が有ったか否かを判定し、ブレーキペダル操作が有る時はステップS9において以下のごとくに、目標減速度αdem用の制動トルク指令値Tdfb(フィードバック補償量)を求めると共に、目標減速度αdemを実現するのに必要な総制動トルク指令値Tdcomを求める。(図2のFB補償器35に相当)
本実施例においては減速度制御器を、図8に示すような「2自由度制御系」で構成し、前記したフィードフォワード補償器51および規範モデル52のほかにフィードバック補償器53を有するようなものとする。
制御の安定性や耐外乱性などの閉ループ性能は、フィードバック補償器53で実現され、目標減速度αdemに対する応答性は基本的には(モデル化誤差がない場合)フィードフォワード補償器51で実現される。
フィードバック補償量Tdfbの算出に当たっては先ず目標減速度αdemを、次式で表される特性Fref(s)を持った規範モデル52に通して規範モデル応答減速度αrefを求める。
Fref(s)=1/(Tr・s+1) ・・・(5)
更に図8に示すように、規範モデル応答減速度αrefと、制御対象車両54の車輪減速度αv(ステップS2参照)とを用い、また本発明の目的を達成するため、図8では示さなかったがこれら規範モデル応答減速度αrefおよび車輪減速度αv以外の情報をも用いて、図4〜7につき後述する処理により減速度フィードバック偏差Δαを求める。
そしてこの減速度フィードバック偏差Δαを、次式で表される特性CFB(s)のフィードバック補償器53に通して制動トルクフィードバック補償量Tdfbを求める。
CFB(s)=(Kp・s+Ki)/s ・・・(6)
ただし本実施例では、この特性を基本的なPI制御器で実現することとし、制御定数Kp,Kiはゲイン余裕や位相余裕を考慮して決める。
また(5)式および(6)式は、前述と同様に離散化して計算を行う。
次に図2および図8に示すように、前記した目標減速度αdem用の制動トルク指令値Tdff(フィードフォワード補償量)と、制動トルクフィードバック補償量Tdfbとを合算して、総制動トルク指令値Tdcomを求め、
これを、図1から複合ブレーキ協調コントローラ24を除いたシステムで構成され、図2に36で示した制動トルク制御手段に対し、図3のステップS11〜ステップS13におけるように指令して、総制動トルク指令値Tdcomを達成する。
なお本実施例の場合、最終的には目標減速度αdemを達成するが、過渡期においては前記したところから明らかなように、規範モデル応答減速度αrefを達成することを旨とするため、この規範モデル応答減速度αrefが本発明における目標減速度であることは言うまでもない。
図3のステップS8でブレーキペダル操作がないと判定する間は、ステップS10において、制動トルクフィードバック補償量Tdfbと、これを求める時に用いる(6)式で表されるディジタルフィルタの内部変数とを初期化してPI制御器の積分項を初期化する。
次のステップS11においては、回生協調ブレーキ制御のために前記の総制動トルク指令値Tdcom(ステップS9)を、回生制動トルク指令値Tmcomと、液圧制動トルク指令値Tbcomとに配分する。
なお、液圧制動トルク指令値Tbcomは更に、左右前輪(駆動輪)1用の液圧制動トルク指令値Tbcomfと、図示せざる後輪(従動輪)用の液圧制動トルク指令値Tbcomrとに配分する。
本実施例では、回生ブレーキ用交流同期モータ4を駆動輪である前輪1のみに設定しているため、通常の制動力前後配分を崩さずにすむ場合の後記したモード1,2と、通常の制動力前後配分が崩れる場合の後記したモード3,4とが発生する。
先ず総制動トルク指令値Tdcomを、予め記憶した図9に例示するマップデータをもとに通常通りに前後配分して、前輪制動トルク指令値Tdcomfおよび後輪制動トルク指令値Tdcomrを求める。
この前後輪制動トルク配分は、制動中における前後輪荷重移動に伴う後輪ロック防止、車両挙動の安定性、制動距離の短縮などを考慮して決められた、基準となる前後輪制動力配分特性のことである。
以下に示すとおり、下記条件(モード)ごとに前輪液圧制動トルク指令値Tbcomfと、後輪液圧制動トルク指令値Tbcomrと、回生制動トルク指令値Tmcomとを求めて回生協調ブレーキ制御に資する。
(モード4)
Tmmax≧(Tdcomf+Tdcomr)の場合:回生制動のみ
Tbcomf=0
Tbcomr=0
Tmcom=Tdcomf+Tdcomr
(モード3)
Tdcomf+Tdcomr >Tmmax≧Tdcomfの場合:回生制動+後輪液圧制動
Tbcomf=0
Tbcomr=Tdcomf+Tdcomr−Tmmax
Tmcom=Tmmax
(モード2)
Tdcomf>Tmmax≧微少設定値の場合:回生制動+前後輪液圧制動
Tbcomf=Tdcomf−Tmmax
Tbcomr=Tdcomr
Tmcom=Tmmax
(モード1)
上記以外の場合:液圧制動のみ
Tbcomf=Tdcomf
Tbcomr=Tdcomr
Tmcom=0
次のステップS12においては、ステップS11で求めた前後輪液圧制動トルク指令値Tbcomf,Tbcomrをもとに、予めROMに記憶してある車両諸元に応じた定数K3を用いて、前後輪液圧制動トルク指令値Tbcomf,Tbcomrに対応した前後輪のホイールシリンダ液圧指令値Pbcomf,Pbcomrを次式により算出する。
Pbcomf=(Tbcomf×K3)
Pbcomr=(Tbcomr×K3)
最後のステップS13において図1の複合ブレーキコントローラ24は、ステップS11で求めた回生制動トルク指令値Tmcom、およびステップS12で求めたた前後輪ホイールシリンダ液圧指令値Pbcomf,Pbcomrをそれぞれ、モータトルクコントローラ21および液圧ブレーキコントローラ18に向けて通信する。
モータトルクコントローラ21はインバータ22を介し回生制動トルク指令値Tmcomが達成されるようモータ4を制御し、液圧ブレーキコントローラ18は電磁弁13,14,16の制御を介し前輪ホイールシリンダ2への液圧を指令値Pbcomfになるよう制御すると共に、後輪ホイールシリンダ液圧も同様にして指令値Pbcomrになるよう制御する。
以下、図3のステップS9で本発明の目的を達成するために行うフィードバック制御を図4〜7により説明する。
図4は、当該フィードバック制御の全体フローチャートで、先ず、本発明におけるエンジンブレーキ状態判定手段に相当するステップS21において、図3のステップS6で計測したアクセル開放時間TMaccが設定時間sTMacc以上か否かにより、アクセル開度APO=0にしたアクセル開放に伴うエンジンブレーキ力が安定しているエンジンブレーキ定常期間か否(エンジンブレーキ過渡期間)かを判定する。
従って上記の設定時間sTMaccは、アクセル開放によってエンジンブレーキ力が変化している時間が経過し、エンジンブレーキ力が安定するのに必要な時間とし、エンジンのトルク応答に応じて個々に決定する。
ステップS21でアクセル開放時間TMaccが設定時間sTMacc未満と判定するエンジンブレーキ過渡期間においては、制御をステップS22に進め、ここで、減速度フィードバック待機フラグfFBPREPを1にセットして制御を図3のステップS11へ戻す。
従ってこのエンジンブレーキ過渡期間においては、前記した制動トルクフィードバック補償量Tdfbを設定する処理がなされず、これが0にされることから、当該エンジンブレーキ過渡期間中に制動操作がなされた場合の総制動トルク指令値Tdcomは、図3のステップS7で求めたフィードフォワード補償量Tdffのみにより決まる。
このため、図14の場合と同じ条件でのタイムチャートを示す図10のごとく、瞬時t0にアクセルを開放し、これから、エンジンブレーキ力が未だ変化している設定時間sTMacc内の瞬時t1に制動操作を行った場合は、総制動トルク指令値Tdcom(=Tdff)が、制動操作状態に応じた目標減速度αrefを達成するようフィードフォワード制御により一義的に決定される。
従ってステップS22は、本発明における制動力決定手段の一部に相当する。
その後、ステップS21でアクセル開放時間TMaccが設定時間sTMacc以上と判定するエンジンブレーキ定常期間に至った図11の瞬時t2以後においては、制御をステップS22に進め、上記の減速度フィードバック待機フラグfFBPREPが0か否かをチェックする。
ところで、ステップS22においてfFBPREP=1にされていることから、ステップS23はステップS24〜ステップS26を含むループを選択して、以下のような制御を遂行する。
ステップS24においては、図5に示すようにして制動状態が安定していいるか否かを判定する。(図2の制動状態判定部37に相当)
図5のステップS31では、制動状態安定フラグfBRSTATEが0か否かにより、前回の制動状態の判定が不安定だったか否かをチェックする。
ステップS31でfBRSTATE=1と判定する場合、つまり、前回の制動状態の判定が既に安定である場合は、制御をそのまま図4のステップS25に戻す。
ステップS31でfBRSTATE=0と判定する場合、つまり、前回の制動状態の判定が未だ不安定である場合は、制動状態が安定したか否かを判断するため、ステップS32において、マスターシリンダ液圧Pmcの今回値と前回値との偏差であるマスターシリンダ液圧変化量ΔPmcが設定値sΔPmc未満か否かにより、マスターシリンダ液圧Pmcが安定しているか否かをチェックする。
ステップS32でΔPmc≧sΔPmc(マスターシリンダ液圧Pmc不安定)と判定する間は、ステップS33において制動状態安定タイマTMbrsを0にリセットし、ステップS34で制動状態安定フラグfBRSTATEを0にリセットして、制御を図4のステップS25に戻す。
ステップS32でΔPmc<sΔPmc(マスターシリンダ液圧Pmc安定)と判定する間は、ステップS35において制動状態安定タイマTMbrsを歩進させることにより、当該マスターシリンダ液圧Pmc安定の継続時間を計測し、ステップS36においてこの継続時間を示す制動状態安定タイマTMbrsが設定時間sTMbrsに達したか否かにより、制動状態が安定したか否かをチェックする。
ステップS36でTMbrs<sTMbrs(制動状態未安定)と判定する間は、ステップS34において制動状態安定フラグfBRSTATEを0にリセットし、ステップS36でTMbrs≧sTMbrs(制動状態安定)と判定する間は、ステップS37において制動状態安定フラグfBRSTATEを1にして制御を図4のステップS25に戻す。
図4のステップS25では、上記の制動状態判定結果を示す制動状態安定フラグfBRSTATEをもとに、fBRSTATE=1の制動状態安定時か、fBRSTATE=0の制動状態不安定時かをチェックし、fBRSTATE=0の制動状態不安定時であれば、制御をそのまま図3のステップS11に戻して、上記したフィードフォワード制御を継続する。
ステップS25でfBRSTATE=1の制動状態安定時と判定する場合は、つまり、図10に示すごとくマスターシリンダ液圧Pmcの安定(制動状態の安定)が設定時間sTMbrsに亘って継続した瞬時t3に制御をステップS26に進め、図10に示すごとくエンジンブレーキ力が変化しているエンジンブレーキ過渡期間に制動が開始された場合の減速度フィードバック制動力制御を以下のごとくに実行する。
従ってステップS26は、本発明における制動力決定手段の一部に相当する。
このフィードバック制御は図6に示すごときもので、先ずステップS41において、減速度フィードバック制御開始フラグfFBACTが0か否かにより、本制御の開始1回目か否かをチェックする。
本制御の開始1回目であれば、制御をステップS42およびステップS43に順次進め、ステップS42においては、減速度フィードバック制御開始フラグfFBACTを1にセットすることにより、次回以後ステップS42およびステップS43が実行されることのないようにし、ステップS43においては、図10に示すごとく瞬時t3の実減速度αvを基準実減速度αv0として記憶し、目標減速度αrefを基準目標減速度αref0として記憶し、勾配減速度αgraを基準勾配減速度αgra0(図11につき後述する)として記憶する。
次のステップS44においては、減速度フィードバック偏差Δαを次式により求め、
Δα=(αref−αref0)−{(αv−αv0)+(αgra−αgra0)}・・・(7)
更にステップS45において、この減速度フィードバック偏差Δαを、前記(6)式で表される特性CFB(s)のフィードバック補償器53(図8参照)に通し、Δα=0にするための、つまり、
(αref−αref0)={(αv−αv0)+(αgra−αgra0)}
にするための制動トルクフィードバック補償量Tdfbを求める。
その後、制御はステップS45(図4のステップS26)から図3のステップS9に戻り、ここで、フィードフォワード補償量Tdffと、制動トルクフィードバック補償量Tdfbとの合算により総制動トルク指令値Tdcomを求め、減速度フィードバック制動力制御に資する。
図4のステップS23において減速度フィードバック待機フラグfFBPREPが0であると判定する減速度フィードバック非待機中であれば、つまり、図13と同じ条件でのタイムチャートである図10に示すごとく、長いコースト走行時間後の瞬時t1に制動が開始された場合、
ステップS27において、コースト走行への移行に伴うエンジンブレーキ力変化が終了した後のエンジンブレーキ定常期間に制動が開始された時のための減速度フィードバック制動力制御を以下のごとくに実行する。
従ってステップS27は、本発明における制動力決定手段の一部に相当する。
このフィードバック制御は図7に示すごときもので、先ずステップS51において、減速度フィードバック制御開始フラグfFBACTが0か否かにより、本制御の開始1回目か否かをチェックする。
本制御の開始1回目であれば、制御をステップS52およびステップS53に順次進め、ステップS52においては、減速度フィードバック制御開始フラグfFBACTを1にセットすることにより、次回以後ステップS52およびステップS53が実行されることのないようにし、ステップS53においては、図11に示すごとく制動開始時t3の実減速度αvを基準実減速度αv0として記憶し、勾配減速度αgraを基準勾配減速度αgra0として記憶する。
次のステップS54においては、減速度フィードバック偏差Δαを次式により求め、
Δα=αref−{(αv−αv0)+(αgra−αgra0)}・・・(8)
更にステップS55において、この減速度フィードバック偏差Δαを、前記(6)式で表される特性CFB(s)のフィードバック補償器53(図8参照)に通し、Δα=0にするための、つまり、
αref={(αv−αv0)+(αgra−αgra0)}
にするための制動トルクフィードバック補償量Tdfbを求める。
その後、制御はステップS55(図4のステップS27)から図3のステップS9に戻り、ここで、フィードフォワード補償量Tdffと、制動トルクフィードバック補償量Tdfbとの合算により総制動トルク指令値Tdcomを求め、減速度フィードバック制動力制御に資する。
上記した本実施例の制動力制御装置によれば、図10に示すごとくコースト走行時間が短くてコーストへの移行によりエンジンブレーキ力が変化しているエンジンブレーキ過渡期間の瞬時t1に制動が開始されて制動力制御が必要になったら、制動力を図4のステップS26(詳細は図6参照)により、当初は目標減速度αrefに応じたフィードフォワード制御により一義的に決定して、目標減速度αrefに近似した実線で示すような実減速度αvが得られるようにし、その後エンジンブレーキ力が安定するエンジンブレーキ定常期間に至った瞬時t3に初めて、制動力を、目標減速度αrefと実減速度αvとに基づいて決定するフィードバック制御に切り替えるため、以下の作用効果が奏し得られる。
つまり従来は、図14につき前述したごとくエンジンブレーキ過渡期間にもかかわらず制動開始時t1から、エンジンブレーキ力を含む実減速度と目標減速度とに基づくフィードバック制御を行っていたため、実減速度が図14に実線で示したように、そして図10に波線で示すように要求減速度に対しずれて違和感を生じていたが、
本実施例によれば、エンジンブレーキ過渡期間の制動開始で制動力制御が必要になったら、制動力を当初は、目標減速度αrefに応じたフィードフォワード制御により一義的に決定するため、
制動に先立つアクセル開放でエンジンブレーキ力が変化している最中に、このエンジンブレーキ力を内包した実減速度を用いたフィードバック制御が行われることがなく、このフィードバック制御中に実減速度が要求減速度に対しずれて違和感を生ずるという上記の問題を解消することができる。
また本実施例によれば図10に示すごとく、エンジンブレーキ定常期間の瞬時t3において、制動力を、目標減速度αrefと実減速度αvとに基づき決定するフィードバック制御に切り替えるため、これ以後目標減速度に対する追従性が良くなり、狙い通りの制動力制御を達成することができる。
そして上記のフィードバック制御に際し、図10に示すごとくフィードフォワード制御終了時(フィードバック制御開始時)t3における実減速度αvおよび目標減速度αrefをそれぞれ基準実減速度αv0および基準目標減速度αref0として記憶し、実減速度αvおよび基準実減速度αv0間の実減速度偏差(αv−αv0)が、目標減速度αrefおよび基準目標減速度αref0間の目標減速度偏差(αref−αref0)に一致するよう制動力を決定するため、
図10の瞬時t4〜t5間におけるように制動操作量を変化させる時について述べると、実減速度偏差(αv−αv0)が制動操作量の変化分のみに正確に対応し、また、目標減速度偏差(αref−αref0)も制動操作量の変化分のみに正確に対応することから、制動操作量変化に伴って変化する目標減速度αrefに実減速度αvを図示の通り正確に追従させることができる。
更に、図10では平坦路走行時のタイムチャートを示したが、実線で示す実減速度αvの時系列変化は登坂路なら図13につき前述したごとく、路面勾配による勾配減速度を含むためこの路面勾配に応じた勾配減速度分だけ全体的に減速度値を大きくされたものとなる。
このため登坂路では、路面勾配による勾配減速度が含まれている基準実減速度αv0を基準にし、これと現在の実減速度αvとの実減速度偏差(αv−αv0)が目標減速度偏差(αref−αref0)に一致するよう制動力を減速度フィードバック制御することとなり、フィードバック制御が勾配減速度までをも補償する違和感を解消することができる。
この作用効果は、特許文献2に記載の従来技術によっても、図13につき前述したごとくに達成することができる。
しかしこの作用効果は従来、勾配減速度が図13に実線で示すごとく一定である場合においてのみ達成されるもので、勾配減速度が同図に一点鎖線で示すごとくに変化する場合は、この変化によっても実減速度は実線で示すごとく一定のままであり、路面勾配変化から一点鎖線で示す実減速度の変化を予期している運転者に違和感となる。
ところで本実施例においては、図10では示さなかったが、図11の場合につき後で詳述するごとく、図6のステップS43およびステップS44において、フィードバック制御開始時の勾配減速度αgraを基準勾配減速度αgra0として記憶し、フィードバック制御中、現在の勾配減速度αgraと基準勾配減速度αgra0との間における勾配減速度偏差(αgra−αgra0)だけ実減速度偏差(αv−αv0)を嵩上げ補正、または、目標減速度偏差(αref−αref0)を低下補正してフィードバック制御に資するため、
フィードバック制御中の路面勾配変化(勾配減速度αgraの変化)が実減速度αvの変化となって現れ、路面勾配変化から運転者が予期した通りの実減速度変化が発生して上記した違和感の問題を解消することができる。
しかも当該作用効果が、図12につき前述した特許文献1所載の技術のように勾配減速度を推定して目標減速度を補正することなく達成されることから、図12につき前述した勾配減速度の不可避な推定誤差による要求減速度からのずれに関した問題を生ずることもない。
更に本実施例の制動力制御装置によれば、図11に示すごとくコースト走行期間が長くてコースト走行への移行によるエンジンブレーキ力変化が収まっているエンジンブレーキ定常期間の瞬時t1に制動が開始された場合、制動力を図4のステップS27(詳細は図7参照)において、前記のフィードフォワード制御なしに、いきなり目標減速度αrefと実減速度αvとに基づくフィードバック制御により決定する。
つまり、図11に示すごとく制動開始時(フィードバック制御開始時)t1における実減速度αvを基準実減速度αv0として記憶し、実減速度αvおよび基準実減速度αv0間の実減速度偏差(αv−αv0)が目標減速度αrefに一致するよう制動力を決定する。
このため、図11のように制動操作量を与える場合について述べると、実減速度偏差(αv−αv0)が制動操作量の変化分のみに正確に対応することから、制動操作量に応じた目標減速度αrefに実減速度αvを図示の通り正確に追従させることができる。
また、実線で示す実減速度αvの時系列変化、従って基準実減速度αv0は、図13につき前述したごとく路面勾配による勾配減速度αgraを含み、この勾配減速度が含まれている基準実減速度αv0を基準にし、これと現在の実減速度αvとの実減速度偏差(αv−αv0)が目標減速度αrefに一致するよう制動力を減速度フィードバック制御することになるため、フィードバック制御が勾配減速度αgraまでをも補償する違和感を解消することができる。
そしてこの作用効果は、図11の瞬時t2〜t3間において図示のごとくに勾配減速度αgraが変化する場合においても、以下の理由により達成し得る。
つまり、図7のステップS53およびステップS54において、図11の制動開始時(フィードバック制御開始時)の勾配減速度αgraを基準勾配減速度αgra0として記憶し、フィードバック制御中、現在の勾配減速度αgraと基準勾配減速度αgra0との間における勾配減速度偏差(αgra−αgra0)だけ実減速度偏差(αv−αv0)を嵩上げ補正、または、目標減速度偏差(αref−αref0)を低下補正してフィードバック制御に資するため、
フィードバック制御中の路面勾配変化(勾配減速度αgraの変化)が、図11の瞬時t2〜t3間における実減速度αvの実線で示すような変化となって現れ、路面勾配変化から運転者が予期した通りの実減速度変化が発生して運転者に違和感を抱かせることがない。
しかも当該作用効果が、図12につき前述した特許文献1所載の技術のように勾配減速度を推定して目標減速度を補正することなく達成されることから、図12につき前述した勾配減速度の不可避な推定誤差による要求減速度からのずれに関した問題を生ずることもない。
本発明の一実施例になる制動力制御装置を具えた複合ブレーキの制御システム図である。 同制御システムにおける複合ブレーキ協調コントローラが実行する制御内容を示す機能別ブロック線図である。 同複合ブレーキ協調コントローラが実行する制動力制御プログラムのメインルーチンを示すフローチャートである。 同制動力制御プログラム内における減速度フィードバック制動力制御に関したサブルーチンを示すフローチャートである。 同減速度フィードバック制動力制御プログラム内における制動状態判定処理に関したサブルーチンを示すフローチャートである。 図4の減速度フィードバック制動力制御プログラム内におけるエンジンブレーキ過渡期間中の制動開始に伴う制動力制御に関したサブルーチンを示すフローチャートである。 図4の減速度フィードバック制動力制御プログラム内におけるエンジンブレーキ定常期間中の制動開始に伴う制動力制御に関したサブルーチンを示すフローチャートである。 車両の減速度制御器を例示するブロック線図である。 通常の制動トルク理想前後配分特性を例示する特性図である。 図6に示す制動力制御の動作タイムチャートである。 図7に示す制動力制御の動作タイムチャートである。 従来の制動力制御の一例を示す動作タイムチャートである。 従来の制動力制御の他の例を示す動作タイムチャートである。 図13に示す制動力制御の問題説明に用いた動作タイムチャートである。
符号の説明
1 車輪
2 ホイールシリンダ
3 歯車箱
4 交流同期モータ(回生ブレーキ装置)
5 ブレーキペダル
6 油圧ブースタ
7 マスターシリンダ
8 ブレーキ液圧配管
9 リザーバ
10 ポンプ
11 アキュムレータ
12 圧力スイッチ
13 電磁切替弁
14 増圧弁
15 増圧回路
16 減圧弁
17 減圧回路
18 液圧ブレーキコントローラ
19 圧力センサ
20 圧力センサ
21 モータトルクコントローラ
22 直流・交流変換用電流制御回路(インバータ)
23 直流バッテリ
24 複合ブレーキ協調コントローラ
25 車輪速センサ
26 ストロークシミュレータ
27 前後加速度センサ
28 アクセル開度センサ
31 車輪減速度算出部
32 勾配減速度推定部
33 目標減速度算出部
34 フィードフォワード補償器
35 フィードバック補償器
37 制動状態判定部

Claims (5)

  1. 車両の運転状態や走行状態に応じて決まる目標減速度が達成されるよう制動力を制御する車両の制動力制御装置において、
    車載エンジンによるエンジンブレーキ力が変化しているエンジンブレーキ過渡期間か、エンジンブレーキ力が安定しているエンジンブレーキ定常期間かを判定するエンジンブレーキ状態判定手段と、
    この手段がエンジンブレーキ過渡期間と判定する間に制動操作が開始されたとき、少なくとも該エンジンブレーキ過渡期間中は、前記制動力を、前記目標減速度に応じたフィードフォワード制御により一義的に決定し、前記エンジンブレーキ状態判定手段がエンジンブレーキ定常期間と判定する間に、前記制動力を前記目標減速度と実減速度とに基づいて決定するフィードバック制御に切り換える制動力決定手段とを具備することを特徴とする車両の制動力制御装置。
  2. 請求項1に記載の車両の制動力制御装置において、
    前記エンジンブレーキ状態判定手段は、エンジンを無負荷状態にしてから、エンジンブレーキによる減速度変化が少なくなる設定時間が経過するまでの間をエンジンブレーキ過渡期間と判定し、この設定時間が経過した後をエンジンブレーキ定常期間と判定するものである車両の制動力制御装置。
  3. 請求項1または2に記載の車両の制動力制御装置において、
    前記エンジンブレーキ状態判定手段がエンジンブレーキ過渡期間と判定する間に制動操作が開始されたことで、前記制動力決定手段が前記フィードフォワード制御の後に前記フィードバック制御への切り換えを行う時、この制動力決定手段は、該フィードバック制御開始時の実減速度および目標減速度をそれぞれ基準実減速度および基準目標減速度として記憶し、前記フィードバック制御中、実減速度と基準実減速度との間における実減速度偏差が、目標減速度と基準目標減速度との間における目標減速度偏差に向かうよう制動力を決定するものである車両の制動力制御装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両の制動力制御装置において、
    前記エンジンブレーキ状態判定手段がエンジンブレーキ定常期間であると判定する間に制動操作が開始されて前記制動力決定手段が前記フィードフォワード制御なしに直接前記フィードバック制御を開始する時、この制動力決定手段は、該フィードバック制御開始時の実減速度を基準実減速度として記憶し、前記フィードバック制御中、実減速度と基準実減速度との間における実減速度偏差が目標減速度に向かうよう制動力を決定するものである車両の制動力制御装置。
  5. 請求項3または4に記載の車両の制動力制御装置において、
    前記制動力決定手段は、前記フィードバック制御開始時の路面勾配による車両減速度を基準勾配減速度として記憶し、前記フィードバック制御中、現在の勾配減速度と基準勾配減速度との間における勾配減速度偏差だけ前記実減速度偏差または目標減速度偏差を補正して前記フィードバック制御に資することにより、フィードバック制御中の路面勾配変化が減速度変化となって現れるよう構成したものである車両の制動力制御装置。
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