JP4453151B2 - 排気ガス浄化用触媒コンバータ - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は,自動車等の内燃機関に用いられる排気ガス浄化触媒コンバータに関し,特に触媒保持体の金属シェル内への組み付け方法に関する。
【0002】
【従来技術】
車両に搭載する排気ガス浄化用触媒コンバータは,排気ガスを浄化する触媒を担持した触媒保持体と,触媒保持体の外方を覆う金属シェルと,両者の間に配置した保持シール材とからなる。
保持シール材は,バーミキュライトとセラミックファイバー等との混合物を主成分とするものであったが,近年,環境への影響及び排ガス温度の上昇を考慮して,耐熱性に優れる無機質繊維のみからなる保持シール材も用いられている。
保持シール材は,自動車の走行中において,触媒保持体が外周の金属シェルと当接したときの触媒保持体の破損を防ぐ。また,金属シェルと触媒担持体との間から排気ガスがリークすることも防止する。
ここで,無機繊維からなる保持シール材は,初期状態が極めて嵩高いため,組み付け性が著しく低下する。
【0003】
そこで,発明者らは,かかる保持シール材を有機フィルムを用いて真空包装し厚みを減少させることにより,触媒保持体への組み付け性を改善することを提案した(特開昭57−146954号公報,特開昭59−126023号公報)。また,保持シール材を触媒保持体へ巻きつけ触媒保持体ごと真空包装する方法も提案した(特開昭50−63549号公報)。これらの方法では,真空包装された触媒保持体は,予め二分割した金属シェルの間に挟み込まれる。
【0004】
また,作業性向上のため,金属シェルから最初からパイプ状にしておき,触媒保持体に巻きつけた保持シール材を挿入することが考えられる。この場合,保持シール材を金属シェルへ挿入するにあたっては,予め保持シールを有機フィルムで真空パックして厚みを減少させる方法や保持シール材に予め有機バインダーを添加して所定厚みに成形する方法をとることができる。
【0005】
【解決しようとする課題】
しかしながら,保持シール材の厚みを薄くするために用いていた有機フィルム及び有機バインダーからは,燃焼ガスが発生する。このため,環境への影響が懸念され,可能な限り有機量を”0”に近づける必要がある。
しかし,この場合,有機フィルムの気密性に問題が生じたり,保持シール材の厚みを調整することが困難になる。このため,保持シール材の金属シェルへの組み付け性が悪くなってしまう。
【0006】
本発明はかかる従来の問題点に鑑み,金属シェルへの触媒保持体の組み付け性に優れ,環境への影響を配慮した排気ガス浄化用触媒コンバータを提供しようとするものである。
【0007】
【課題の解決手段】
請求項1の発明は,排ガスを浄化するための触媒を担体に担持させてなる触媒保持体と,該触媒担持体を覆う金属シェルと,上記触媒担持体と上記金属シェルとの間に介設された保持シール材とからなる排気ガス浄化用触媒コンバータにおいて,
無機質繊維マットからなる保持シール材を触媒保持体の外周に巻きつけ,その外周に厚み50〜400μmの金属箔を巻回後の合計厚みが1.0mm以上となるように巻きつけるとともに該金属箔に巻き締め力を加えて保持シール材の厚みを低減させた後に,金属箔の巻回終端部を溶接することにより上記金属シェルを形成してなることを特徴とする排気ガス浄化用触媒コンバータである。
【0008】
本発明において最も注目すべきことは,保持シール材により被覆された触媒保持体が,金属箔により巻き締められていること,金属箔の巻回体が金属シェルを構成していることである。
【0009】
触媒保持体は,保持シール材により被覆した後に,金属箔で巻回しながら巻き締められている。金属箔の巻き締めにより,嵩高の保持シール材が圧縮され,充填密度が高くなる。そのため,保持シール材の押圧力により触媒保持体が安定して保持される。
また,金属箔は,巻回終端部が溶接されて,金属シェルの役割を果たす。そのため,従来のような金属シェルに触媒保持体を圧入する作業は不要になり,触媒保持体の金属シェルへの組み付け性が向上する。
【0010】
また,金属箔の巻き締めにより保持シール材の厚みを減少させることができ,有機バインダーや有機フィルムを用いる必要はない。よって,保持シール材から有機バインダの燃焼ガスが発生することもなく,環境への影響も少なくなる。
【0011】
請求項2の発明のように,上記金属箔は,ステンレス箔であることが好ましい。
また,上記金属箔の厚みは50μm以上であることが好ましい。これにより,金属シェルの強度が向上する。
金属箔の厚みは400μm以下であることが好ましい。400μmを超える場合には,金属箔の巻き付け性が低下するからである。
【0012】
また,巻回後の上記金属箔の合計厚みは,1.0mm以上であることが好ましい。これにより,金属シェルの強度が向上する。
巻回後の金属箔の合計厚みは3mm以下であることが好ましい。3mmを超える場合には,材料費が増加するため,大幅なコストアップになるおそれがある。
【0013】
請求項3の発明のように,上記無機質繊維マットは,アルミナ,シリカ,アルミ−シリカ及びガラスのいずれかからなることが好ましい。これにより,保持シール材の耐熱性が向上する。
【0014】
保持シール材は,バインダーが含浸されていない無機質繊維マットであることが好ましい。これにより,保持シール材の触媒保持体を保持する力が増大する。また,バインダを含まないため,保持シール材から有機成分が排ガスとして排出されることはない。
無機質繊維マットは,初期状態では極めて嵩高い状態にあるため,作業性の面からニードルパンチング処理を施したものが好適である。
【0015】
触媒保持体における触媒は,排気ガスを浄化することができるものであればよく,たとえば,白金,ロジウムなどを用いることができる。触媒を担持する担体は,たとえばハニカム状であり,コージェライト,アルミナ,金属などにより作製することができる。
【0016】
請求項4の発明のように,上記金属箔を巻き締めた後の保持シール材の充填密度は,0.15〜0.60g/cm3であることが好ましい。
【0017】
保持シール材の充填密度が0.15g/cm3未満の場合には,十分な保持力が得られにくくなり,触媒保持体が使用時の振動などにより後方にずれて,金属シェルと接触する可能性がある。また,0.60g/cm3を超える場合には,保持シール材を構成している無機質繊維マットが圧壊してしまい,保持力が低下し,上記と同様に触媒保持体が後方にずれる可能性がある。
【0018】
請求項5の発明のように,上記金属シェルの軸方向の両端は,縮管されていることが好ましい。これにより,排気管への接続が容易となる。この場合,金属箔の幅を,触媒保持体よりも広くして,巻回時に金属箔の両幅が触媒保持体から突出するようにし,その後金属箔の両幅をスピニング加工やプレス加工などにより縮管させる。
【0019】
【発明の実施の形態】
実施形態例1
本発明の実施形態に係る排気ガス浄化用触媒コンバータについて,図1〜図3を用いて説明する。
本例の排気ガス浄化用触媒コンバータ5は,図1に示すごとく,排気ガスを浄化し得る触媒保持体3と,触媒保持体3の側面を被覆する金属シェル2と,触媒保持体3と金属シェル2との間に配置された保持シール材1とよりなる。
【0020】
図2に示すごとく,金属シェル2は,厚み100μmのステンレス箔(SUS409)20を複数回巻きつけた巻回体から構成されている。巻きつけ後のステンレス箔20の合計厚みT,すなわち金属シェル2の厚みは1.5mmである。
【0021】
図1に示すごとく,触媒保持体3は,セラミックの一種であるコージェライトモノリスであり,排気ガスの排気成分を浄化し得る白金などの触媒が担持されている。触媒担持体3の外形は130mmであり,長さは100mmである。金属シェル2の内径は138mm,肉厚は1.5mm,長さは300mmである。
排気ガス浄化用触媒コンバータ5は,エンジン9の排気管91の途中に設けられている。
【0022】
触媒保持体3は,排気系の上流側かまたは下流側の一方が開口し,他方が閉塞された多数のセルの集合体からなるハニカム構造体である。触媒保持体3は,上流側開口セル31から下流側開口セル32へと,多孔性のセル壁を通じて排気ガスを通過させる。この際に,排気ガスに含まれている排ガス成分が触媒により浄化される。
【0023】
次に,本例の排気ガス浄化用触媒コンバータの製造方法について説明する。
保持シール材としての結晶質アルミナ繊維のマット状物(厚み25mm,嵩密度0.05g/cm3)を準備する。図3(a)に示すごとく,保持シール材1に切断加工を施して,長尺体とするとともに,その両端に,触媒保持体3の外周を巻回したときに互いに係合し合う凹部11と凸部12とを形成する。
【0024】
次に,図3(b)に示すごとく,保持シール材1を,触媒保持体3の外周部に巻き付けて,凹部11と凸部12とを突き合わせる。
次に,図3(c),(d)に示すごとく,保持シール材1の外周に,ステンレス箔20を複数回巻き付けるとともに,ステンレス箔20に巻き締め力を加えて保持シール材1の厚みを低減させて,厚み4.0mmとする。巻回後のステンレス箔20の合計厚みTを1.5mmとする。保持シール材1の充填密度は0.31g/cm3である。
次に,ステンレス箔20の巻回終端部21を溶接する。
【0025】
その後,図1に示すごとく,金属シェル2の両端部にスピニング加工を施して縮管させ,排気管91接続用のフランジ部29を形成する。
以上により,排気ガス浄化用触媒コンバータ5を得る。
【0026】
得られた排気ガス浄化用触媒コンバータを300Hz,40Gの条件で600万回振動させる試験を行ったところ,触媒保持体にズレが生じることなく定位置に留まっていた。
【0027】
実施形態例2
本例においては,金属箔の厚みを30μmとした点が,実施形態例1と相違する。この場合,金属箔を保持シール材の外周に巻き付けることができた。しかし,実施形態例1の場合に比べて,金属箔が曲がりにくく,保持シール材の外周形状に沿った巻回体を形成することができない場合があった。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば,金属シェルへの触媒保持体の組み付け性に優れ,環境への影響を配慮した排気ガス浄化用触媒コンバータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例1の排気ガス浄化用触媒コンバータの断面図。
【図2】実施形態例1における,排気ガス浄化用触媒コンバータの斜視図。
【図3】実施形態例1における,排気ガス浄化用触媒コンバータの製造方法を示す説明図(a)〜(d)。
【符号の説明】
1...保持シール材,
2...金属シェル,
20...ステンレス箔,
3...触媒保持体,
5...排気ガス浄化用触媒コンバータ,
Claims (5)
- 排ガスを浄化するための触媒を担体に担持させてなる触媒保持体と,該触媒担持体を覆う金属シェルと,上記触媒担持体と上記金属シェルとの間に介設された保持シール材とからなる排気ガス浄化用触媒コンバータにおいて,
無機質繊維マットからなる保持シール材を触媒保持体の外周に巻きつけ,その外周に厚み50〜400μmの金属箔を巻回後の合計厚みが1.0mm以上となるように巻きつけるとともに該金属箔に巻き締め力を加えて保持シール材の厚みを低減させた後に,金属箔の巻回終端部を溶接することにより上記金属シェルを形成してなることを特徴とする排気ガス浄化用触媒コンバータ。 - 請求項1において,上記金属箔は,ステンレス箔であることを特徴とする排気ガス浄化用触媒コンバータ。
- 請求項1又は2において,上記無機質繊維マットは,アルミナ,シリカ,アルミ−シリカ及びガラスのいずれかからなることを特徴とする排気ガス浄化用コンバータ。
- 請求項1〜3のいずれか1項において,上記金属箔を巻き締めた後の保持シール材の充填密度は,0.15〜0.60g/cm 3 であることを特徴とする排気ガス浄化用触媒コンバータ。
- 請求項1〜4のいずれか1項において,上記金属シェルの軸方向の両端は,縮管されていることを特徴とする排気ガス浄化用触媒コンバータ。
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