JP4452254B2 - 熱延鋼板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車等のように表面の美麗さが要求される用途に好適な熱延鋼板の製造方法に関する。
自動車及び産業機械等に使用される熱延鋼板は、一般に、粗圧延工程及び仕上圧延工程を経て製造される。図5は従来の熱延鋼板の製造方法を模式的に示す図である。また、図6(a)〜(e)は図5に示す各工程における鋼板の状態を工程順に示す断面図であり、図6(a)は粗圧延後、図6(b)はデスケーリング後、図6(c)及び図6(d)は第1段目の圧延スタンドと第2段目の圧延スタンドとの間、図6(e)は仕上圧延後の製品の状態を示す。図5に示すように、熱延鋼板の製造工程においては、先ず、所定の組成に調整した溶鋼を連続鋳造して得たスラブを粗圧延機101により圧延した後、更に複数の圧延スタンド102a〜102gで構成される仕上圧延機103により熱間圧延して、所定の厚さの熱延鋼板107とする。
このような従来の熱延鋼板の製造方法においては、図6(a)に示すように、粗圧延後の粗圧延鋼板には、鋼板108の表面に酸化物からなるスケール109が生成している。スケール109は、その後に行う仕上圧延において疵(スケール疵)発生の原因となるため、従来の熱延鋼板の製造方法においては、デスケーリング装置のノズル105から粗圧延鋼板104に向かって高圧水106を噴射することにより、図6(b)に示すように鋼板108の表面のスケールを除去した後、仕上圧延を行っている(例えば、特許文献1及び2参照)。
例えば、特許文献1に記載の熱延鋼板のスケール除去方法においては、噴射ノズルから噴射するときの水の圧力をP(kg/cm)としたとき、熱延鋼板の表面における水の衝突圧が下記数式1により求められるA(kg/cm)以上になるように、水の流量及び噴射ノズルの先端と鋼板との距離を調節することにより、水供給用ポンプの消費電力を最小限に維持し、操業コストの低減を図っている。
Figure 0004452254
また、特許文献2に記載の熱延鋼板の圧延方法では、デスケーリング装置と仕上圧延機の第1段目の圧延スタンドとの間及び/又は仕上圧延機の第1段目の圧延スタンドと第2段目の圧延スタンドとの間において、スケール疵発生臨界温度以上になっている熱延鋼板の幅方向中央部を強制冷却することにより、スケール疵の発生を抑制している。
特許第2780600号公報 特公昭60−48241号公報
しかしながら、粗圧延後にデスケーリングを行って表面のスケールを除去しても、その後の仕上圧延工程において再度スケールが生成し、製品にスケール疵が発生するという問題点がある。具体的には、図6(c)に示すように第1段目の圧延スタンド(以下、第1スタンドともいう。)102aでの熱間圧延により生成したスケール109は、図6(d)に示すように第1スタンド102aと第2段目の圧延スタンド(以下、第2スタンドともいう。)102bとの間で成長する。そして、この成長した表面のスケール109は、第2段目以降の圧延スタンドでの圧延の際に鋼板内に押し込まれる。その結果、図6(e)に示すように、仕上圧延後の製品(熱延鋼板)の表面には、厚さが不均一なスケール層111が形成され、これがスケール疵及び外観不良の原因となる。
図7(a)は熱延鋼板の正常部を示す断面図であり、図7(b)は熱延鋼板の疵部を示す断面図である。図7(a)に示すように、正常な熱延鋼板は表面に均一にスケール層111が形成されているが、図7(b)に示すように、スケール疵が発生している部分は、スケール層111の厚さが厚くなっており、正常部の1.3倍以上となっている部分もある。
また、特許文献2に記載されている技術のように、仕上圧延工程の第1スタンドと第2スタンドとの間に水冷装置を設置し、鋼板の幅方向中央部を強制冷却した場合は、鋼板の表面は一時的に冷却されるが、その復熱により温度上昇がおきてスケールが発生しやすい状態に戻りやすいという問題点がある。また、仮にこの方法により第1スタンドと第2スタンドとの間で生成するスケールの厚さが均一になったとしても、第2スタンド以降においてスケールの成長、分断及び埋め込みが生じるため、スケール疵を完全に防止することはできないという問題点がある。更に、この方法では、鋼板の最表面部を強制冷却するため、仕上圧延後の製品(熱延鋼板)の特性が低下するという問題点もある。
本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、熱間圧延時におけるスケール疵の発生を抑制して表面形状を良好にすることができる熱延鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
本願第1発明に係る熱延鋼板の製造方法は、質量%で、C:0.04〜0.35%、Si:0.001〜2.5%及びMn:0.1〜2.5%を含有する熱延鋼板の製造方法において、スラブを粗圧延して粗圧延鋼板を得る粗圧延工程と、前記粗圧延鋼板を複数の圧延スタンドからなる仕上圧延機で熱間圧延して熱延鋼板を得る仕上圧延工程とを有し、前記仕上圧延工程は、第1段目の圧延スタンドを通過直後の鋼板の表面温度をT(℃)、前記第1段目の圧延スタンドを通過後第2段目の圧延スタンドに至るまでの時間をK(秒)としたとき、下記数式(2)により規定されるSの値を1.95未満とし、前記第2段目の圧延スタンドで圧延される鋼板の表面のスケールの厚さを10μm以下にすることを特徴とする。
Figure 0004452254
本願第2発明に係る熱延鋼板の製造方法は、質量%で、C:0%を超え0.02%以下、Si:0.001〜0.9%及びMn:0.1〜2.5%を含有する熱延鋼板の製造方法において、スラブを粗圧延して粗圧延鋼板を得る粗圧延工程と、前記粗圧延鋼板を複数の圧延スタンドからなる仕上圧延機で熱間圧延して熱延鋼板を得る仕上圧延工程とを有し、前記仕上圧延工程は、第1段目の圧延スタンドを通過直後の鋼板の表面温度をT(℃)、前記第1段目の圧延スタンドを通過後第2段目の圧延スタンドに至るまでの時間をK(秒)としたとき、下記数式(3)により規定されるSの値を3.01以下とし、前記第2段目の圧延スタンドで圧延される鋼板の表面のスケールの厚さを25μm以下にすることを特徴とする。
Figure 0004452254
前述の本願第1及び第2発明の熱延鋼板の製造方法では、前記スラブが、更に、質量%で、Cr:0.02〜0.5%、Cu:0.02〜1.6及びNi:0.02〜1%からなる群から選択された少なくとも1種の元素を含有していてもよい。
本発明によれば、鋼組成に応じて、第1段目の圧延スタンドを通過直後の鋼板の表面温度T(℃)及び第1段目の圧延スタンド通過後第2段目の圧延スタンドに至るまでの時間K(秒)により規定されるSの値を調節し、仕上圧延工程の第2段目の圧延スタンドに至るまでに生成するスケールの厚さを、スケール疵が生じる厚さ以下に抑制しているため、表面形状が優れた熱延鋼板を製造することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。本発明者は、仕上圧延工程後の熱延鋼板においてスケールの厚みむらが発生する要因について調査し、以下に示す知見を得た。図1(a)〜(c)はスケールの変化を模式的に示す断面図であり、図1(a)は第1段目の圧延スタンドと第2段目の圧延スタンドとの間、図1(b)は第2段目の圧延スタンドと第3段目の圧延スタンドとの間、図1(c)は第3段目の圧延スタンド以降の状態を示す。図1(a)に示すように、第1スタンドと第2スタンドとの間でスケールが成長すると、鋼板の表面に膨れ110が発生することがある。このように表面に膨れ110が発生したり、又はスケールの厚さが特定の値を超えたりすると、図1(b)に示すように、第2スタンドでの圧延により表面のスケール109が分断され、更に、図1(c)に示すように、第3段目の圧延スタンド(以下、第3スタンドともいう。)以降において、スケール109が鋼板108内に押し込まれ、前述した図6(e)に示すような厚さが不均一なスケール層111が形成される。
即ち、スケールが表面に付着した鋼板を圧延すると、鋼板の延伸に伴いスケールも延伸されるが、スケールがある厚さを超えると延伸できない部分が発生し、スケールは分断される。このため、スケール厚さが厚い場合は厚さが均一であっても、次の圧延スタンドでの熱間圧延においてスケールの分断が生じ、結果としてスケールに厚みむらが生じる。また、鋼板表面に生成したスケールが圧延によって分断される限界厚さは、添加元素によって異なる。これは、Cの酸化によるCOガスの発生及び表面に濃化した添加元素により、鋼板とスケールとの密着性が変化するためではないかと推測される。そして、この密着性の変化により、スケールの表面に、部分的に0.2〜30mm程度の円形状の微小な膨れが生じる。表面に膨れが生じた部分はその他の部分と延性が異なるため、次の圧延スタンドでの熱間圧延の際にスケールに厚みむらが生じる。
そこで、本発明者は、上述した圧延途中でのスケール分断及び鋼板とスケールとの密着性変化により部分的に生じる3μm以上のスケール厚みむらの発生原因を解決するため、鋭意検討を行った結果、通常の組成の鋼板の場合は、スケール厚さを10μm以下にし、更に第1スタンドと第2スタンドとの間の温度及び保持時間を適正化することにより、スケール分断及び鋼板とスケールとの密着性変化の両方を防止できることを見出した。そして、これらを満足するためには、第1スタンドを通過直後の鋼板の表面温度をT(℃)、第1スタンドを通過後第2スタンドに至るまでの時間をK(秒)としたとき、下記数式(4)により規定されるSの値を1.95未満とすることが有効であることを見出し、本願第1発明に至った。
Figure 0004452254
更に、本発明者は、C含有量が0.02%以下の低C鋼板の場合は、スケール厚さを25μm以下とし、更に、上記数式(4)により規定されるSの値を3.01以下とすることにより、スケール分断及び鋼板とスケールとの密着性変化の両方を防止できることを見出し、本願第2発明に至った。
先ず、本発明の第1の実施形態に係る熱延鋼板の製造方法について説明する。なお、以下の説明においては、組成における質量%は、単に%と記載する。
図2は本実施形態の熱延鋼板の製造方法を模式的に示す図である。また、図3(a)〜(d)は図2に示す各工程における鋼板の状態を工程順に示す断面図であり、図3(a)〜(c)は第1スタンドと第2スタンドとの間、図3(d)は第2スタンドと第3スタンドとの間の状態を示す。なお、図2においては、粗圧延機1及び各圧延スタンド2a〜2gにおけるワークロール以外の構成要素は図示を省略している。図2に示すように、本実施形態の熱延鋼板の製造方法においては、先ず、連続鋳造等により製造され、例えば、C:0.04〜0.35%、Si:0.001〜2.5%、Mn:0.1〜2.5%、P:0%を超え0.05%以下、S:0%を超え0.02%以下、Al:0.01〜0.1%及びN:0%を超え0.01%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる組成で、厚さが例えば250mm程度のスラブを、加熱した後、粗圧延機1により粗圧延して厚さが例えば40mm程度の粗圧延鋼板4を得る。
次に、デスケーリング装置のノズル5から粗圧延鋼板4に向けて高圧水6を噴射し、粗圧延鋼板4の表面に生成したスケールを除去する。そして、鋼板の圧延方向に、7機の圧延スタンド2a〜2gが略等間隔で配列された仕上圧延機3により、粗圧延鋼板4を熱間圧延し、例えば厚さが2〜5mmの熱延鋼板を得る。このとき、第1スタンド2aを通過直後の鋼板の表面温度T(℃)と、第1スタンド2aを通過後第2スタンド2bに至るまでの時間K(秒)とを調節して、上記数式(4)により求められるSの値を1.95未満にする。この第1スタンド2a通過直後の鋼板の表面温度T(℃)は、例えば第1スタンドへの挿入前の水冷及び圧延速度等により調節することができる。また、第1スタンド2aから第2スタンド2bまでの通過時間K(秒)は、例えば圧延速度等により調節することができる。
これにより、図3(a)〜(c)に示すように、第1スタンド2a及び第2スタンド2b間において、鋼板8の表面に生成したスケール9の成長を抑制することができるため、第2スタンド2bで圧延される鋼板8におけるスケール9の厚さを10μm以下にすることができると共に、膨れの発生も防止することができる。一方、上記数式(4)により求められるSの値が1.95以上となる条件で仕上圧延を行った場合、第1スタンド2a及び第2スタンド2b間でスケール9の厚さが10μmを超えてしまう。
上述した効果は、鋼板8におけるC含有量が0.04〜0.35%であり、Si含有量が0.001〜2.5%であり、かつMn含有量が0.1〜2.5%である場合に得られる。以下、鋼組成の数値限定理由について説明する。
C:0.04〜0.35%
Cは、鋼板の強度確保のために必要な元素である。しかしながら、C含有量が0.04%未満の場合、高い強度の要求に応えることが困難になる。一方、C含有量が0.35%を超えると、スケールに起因する疵の発生が激しくなるため美観上好ましくない。よって、C含有量は0.04〜0.35%とする。
Si:0.001〜2.5%
Siは、鋼板の強度確保のために必要な元素である。このため、強度が必要とされない場合は積極的に添加する必要はないが、Si含有量を0.001%未満するには、製造コストが上昇するため好ましくない。一方、Si含有量が2.5%を超えると、スケールに起因する疵が顕著になり、本発明の方法でも疵の発生を防止することができなくなる。よって、Si含有量は0.001〜2.5%とする。
Mn:0.1〜2.5%
Mnは、鋼板の強度を確保すると共に、鋼中のSに起因する熱間圧延時の割れを防止する効果がある。しかしながら、Mn含有量が0.1%未満の場合、熱間圧延時の割れを防止する効果が得られない。一方、Mn含有量が2.5%を超えると、スケールに起因する疵が顕著になる。よって、Mn含有量は0.1〜2.5%とする。
また、本実施形態の熱延鋼板の製造方法においては、鋼中に、上記各成分に加えて、Cr、Cu及びNiからなる群から選択された少なくとも1種の元素が添加されていてもよい。
Cr:0.02〜0.5%、Cu:0.02〜1.6、Ni:0.02〜1%
Cr、Cu及びNiはスケール疵低減効果を向上させる効果がある。しかしながら、これらの元素の含有量が夫々0.02%未満の場合、その効果が得られない、一方、Cr含有量が0.5%を超えるか、Cu含有量が1.6%を超えるか、又はNi含有量が1%を超えると、その添加効果は飽和する。よって、Cr、Cu及び/又はNiを添加する場合は、夫々Cr含有量を0.02〜0.5%、Cu含有量を0.02〜1.6、Ni含有量を0.02〜1%とする。
更に、本実施形態の熱延鋼板の製造方法においては、鋼材の材質を向上させるため、必要に応じて、上記各成分に加えてTi:0.15%以下、Nb:0.15%以下、B:0.05%以下、Ca:0.01%以下及びV:0.15%以下からなる群から選択された少なくとも1種の元素を添加することもできる。
なお、上記各成分以外の鋼成分については、特に限定する必要はなく、例えば、P、S、N及びAl等が含まれていてもよい。その場合、Pは不純物として鋼中に不可避的に含有される元素であるが、その含有量が0.05%を超えると、鋼板の表面に不均一模様が発生することがあるため、P含有量は0.05%以下に規制することが望ましい。同様に、S及びNは不純物として鋼中に不可避的に混入する元素であるが、S含有量が0.02%を超えるか又はN含有量が0.01%を超えると、鋼板の延性が低下することがあるため、S含有量は0.02%以下に、N含有量は0.01%以下に夫々規制することが望ましい。また、Alは溶鋼を脱酸する効果があるが、その含有量が0.001%未満の場合、十分な脱酸効果が得られず、また、0.1%を超えるとAlの酸化物に起因する疵が発生しやすくなるため、Al含有量は0.01〜0.1%とすることが望ましい。
本実施形態の熱延鋼板の製造方法においては、第1スタンド2a通過直後の鋼板の表面温度T(℃)と、第1スタンド2aを通過後第2スタンド2bに至るまでの時間K(秒)を調節して、上記数式(4)から求められるSの値が1.95未満となる条件で熱間圧延しているため、第2スタンド2bで圧延される鋼板の表面のスケールの厚さを10μm以下にすることができる。その結果、第1スタンド2a及び第2スタンド2b間での膨れの発生を防止でき、第2スタンド2bでの熱間圧延においてスケール分断の発生を防止することができるため、スケール厚さが均一で、スケール疵がなく、表面形状が良好な熱延鋼板が得られる。
次に、本発明の第2の実施形態に係る熱延鋼板の製造方法について説明する。前述したように、鋼中のC量が所定量以下の低C鋼の場合、前述の第1の実施形態における鋼組成よりもスケール疵が発生しくいため、第2スタンドで圧延される前の鋼板におけるスケールの厚さの許容範囲を広くすることができ、上記数式(4)により求められるSの値の範囲も広くすることができる。そこで、本実施形態においては、鋼中のCを低減すると共に、その他の元素の添加量を適正化したスラブを使用して、熱延鋼板を製造する。
本実施形態の熱延鋼板の製造方法においては、図2に示す第1の実施形態の熱延鋼板の製造方法と同様に、粗圧延工程、デスケーリング工程及び仕上圧延工程を経て、熱延鋼板が製造される。図4(a)〜(c)は第1スタンドと第2スタンドとの間における鋼板の状態を工程順に示す断面図であり、図4(d)は第2スタンドと第3スタンドとの間における鋼板の状態を示す断面図である。本実施形態の熱延鋼板の製造方法においては、先ず、図2に示すように、連続鋳造等により製造され、例えば、C:0%を超え0.02%以下、Si:0.001〜0.9%、Mn:0.1〜2.5%、P:0%を超え0.007%以下、S:0%を超え0.004%以下、Al:0.01〜0.1%及びN:0%を超え0.01%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる組成のスラブを、加熱した後、粗圧延機1により粗圧延して粗圧延鋼板4を得る。
次に、デスケーリング装置のノズル5から粗圧延鋼板4に向けて高圧水6を噴射し、粗圧延鋼板4の表面に生成したスケールを除去する。そして、鋼板の圧延方向に、7段の圧延スタンド2a〜2gが略等間隔で配列された仕上圧延機により、粗圧延鋼板4を熱間圧延して熱延鋼板7を得る。このとき、前述した第1の実施形態の熱延鋼板の製造方法と同様の方法で、第1スタンド2aを通過直後の鋼板の表面温度T(℃)と、第1スタンド2aを通過後第2スタンド2bに至るまでの時間K(秒)とを調節して、上記数式(4)により求められるSの値を3.01以下にする。
これにより、図4(a)〜(c)に示すように、第1スタンド2aでの熱間圧延によって鋼板8の表面に生成したスケール9は、第2スタンド2bに至るまでの間に成長するが、図4(c)に示す第2スタンド2b直前でのスケール厚さは25μm以下に抑制される。一方、上記数式(5)により求められるSの値が3.01を超える条件で仕上圧延を行った場合、鋼板表面に生成するスケールの厚さは25μmを超えてしまう。
上述した効果は、鋼板8におけるC含有量が0%を超え0.02%以下であり、Si含有量が0.001〜0.9%であり、かつMn含有量が0.1〜2.5%である場合に得られる。以下、鋼組成の数値限定理由について説明する。
C:0%を超え0.02%以下
前述したように、本実施形態の熱延鋼板においては、スケール疵発生を抑制するため、C含有量を低減する。具体的には、C含有量が0.02%を超えると、上記数式(4)により求められるSの値が3.01以下になるような条件で仕上圧延して、スケール厚さを25μm以下にしても、スケール疵の発生を防止することができない。よって、C含有量は0.02%以下に規制する。
Si:0.001〜0.9%
前述したように、Siは、鋼板の強度確保のために必要な元素であるが、強度が必要とされない場合は積極的に添加する必要はない。しかしながら、Si含有量を0.001%未満するには、製造コストが上昇する。一方、本実施形態のように、低C鋼の場合は、Si含有量が0.9%を超えると、上記数式(4)により求められるSの値が3.01以下となるような条件で仕上圧延して、スケール厚さを25μm以下にしても、スケール疵の発生を防止することができない。よって、Si含有量は0.001〜0.9%とする。
なお、本実施形態の熱延鋼板の製造方法におけるMn含有量の数値限定理由は、前述した第1の実施形態の熱延鋼板の製造方法と同様である。
また、本実施形態の熱延鋼板の製造方法においては、上記各成分に加えて、Cr:0.02〜0.5%、Cu:0.02〜1.6及びNi:0.02〜1%からなる群から選択された少なくとも1種の元素を添加することができる。これにより、スケール疵低減効果を向上させることができる。
更に、本実施形態の熱延鋼板の製造方法においては、鋼材の材質を向上させるために、必要に応じて、上記各成分に加えて、Ti:0.15%以下、Nb:0.15%以下、B:0.05%以下、Ca:0.01%以下及びV:0.15%以下からなる群から選択された少なくとも1種の元素を添加してもよい。
更にまた、上記各成分以外の鋼成分については、特に限定する必要はなく、例えば、P、S、N及びAl等が含まれていてもよい。その場合、前述の第1の実施形態の熱延鋼板の製造方法と同様に、P:0.05%以下、S:0.02%以下、N:0.01%以下、Al:0.01〜0.1%とすることが望ましい。
本実施形態の熱延鋼板の製造方法においては、C含有量を0.02%以下に規制すると共に、低C鋼からなるスラブを使用し、更に第1スタンド2a通過直後の鋼板の表面温度T(℃)と、第1スタンド2aを通過後第2スタンド2bに至るまでの時間K(秒)を調節して、上記数式(4)から求められるSの値が3.01以下になる条件で仕上圧延して、第2スタンド2bで圧延される鋼板の表面のスケールの厚さを25μm以下にしているため、第1スタンド2aと第2スタンド2bとの間での膨れの発生を防止することができると共に、第2スタンド2bでの熱間圧延におけるスケール分断を防止することができる。その結果、スケール厚さが均一で、スケール疵がなく、表面形状が良好な熱延鋼板が得られる。
なお、前述の第1及び第2の実施形態の熱延鋼板の製造方法においては、7機の圧延スタンドが設けられた仕上圧延機により熱間圧延する場合について述べたが、本発明はこれに限定されるものではなく、仕上圧延機は圧延スタンドが複数設けられていてもよい。また、これら第1及び第2の実施形態の熱延鋼板の製造方法においては、上述した工程以外の工程について、特に限定する必要はなく、製造される熱延鋼板の用途及び品質等に応じて、適宜実施することができ、上記以外の熱間圧延条件についても、通常採用されている範囲内であれば、特に問題はない。
以下、本発明の実施例について説明する。先ず、本発明の実施例として、前述した第1及び第2の実施形態の製造方法で熱延鋼板を作製した。具体的には、下記表1に示す組成で、厚さが250mmのスラブを1220℃に加熱した後、粗圧延機によって35mmの厚さまで粗圧延し、粗圧延鋼板を作製した。次に、この粗圧延鋼板に向けて13.6MPaの圧力で水を噴射し、表面に生成したスケールを除去した後、直ちに7機の圧延スタンド間を連続的に通過させて熱間圧延する仕上圧延を行って、厚さが3.2mmの熱延鋼板を作製した。このとき、第1スタンド2aを通過直後の鋼板の表面温度T(℃)、及び第1スタンド2aを通過後第2スタンド2bに至るまでの時間K(秒)を調節することにより、上記数式(4)により求められるSの値を変化させ、第2スタンド2b直前でのスケール厚さ、膨れの有無、並びに製造された熱延鋼板におけるスケール疵の有無を確認した。その結果を下記表2にまとめて示す。また、下記表2には、各実施例及び比較例における表面温度T(℃)、通過時間K(秒)及びS値も併せて示す。なお、下記表1に示す鋼組成における残部は、Fe及び不可避的不純物である。また、下記表1及び表2における下線は、本発明の範囲外であることを示す。
Figure 0004452254
Figure 0004452254
上記表1及び表2に示すように、No.1〜No.7、No.12、No.13、No.16、No.18〜No.21及びNo.32〜No.34の熱延鋼板は、本発明の第1の実施形態の実施例であり、No.22、No.23、No.26〜No.28、No.31、No.35〜No.38の熱延鋼板は、本発明の第1の実施形態の比較例である。また、No.8〜No.11、No.14、No.15及びNo.17の熱延鋼板は、本発明の第2の実施形態の実施例であり、No.24、No.25、No.29及びNo.30の熱延鋼板は、本発明の第2の実施形態の比較例である。
上記表2に示すように、スラブの鋼組成は請求項1で規定している範囲内であるが、上記数式(4)により求められるSの値が1.95以上となる条件で熱間圧延した比較例No.22、No.23、No.26〜No.28及びNo.31の熱延鋼板は、スケール厚さが10μm以下のもの(No.23,No.28)であっても、表面にスケール疵が発生していた。また、スラブの鋼組成が請求項1で規定している範囲から外れている比較例No.35〜No.38の熱延鋼板は、Sの値が1.95以上の条件で熱間圧延したもの(No.37,No.38)だけでなく、Sの値が1.95未満となる条件で熱間圧延したもの(No.35,No.36)でも、スケール疵が発生していた。
これに対して、請求項1で規定している範囲内の鋼組成のスラブを、Sの値が1.95未満となる条件で熱間圧延した実施例No.1〜No.7、No.12、No.13、No.16、No.18〜No.21及びNo.32〜No.34の熱延鋼板は、いずれも熱間圧延時にスケール疵は発生せず、表面形状が良好であった。特に、鋼にCr、Cu及び/又はNiを添加した実施例No.12、No.13、No.16及びNo.18の熱延鋼板は、他の実施例の熱延鋼板よりも表面形状が良好であった。
また、スラブの鋼組成は請求項2で規定している範囲内であるが、Sの値が3.01を超えている比較例No.24、No.25、No.29及びNo.30の熱延鋼板は、スケール厚さが25μm以下のもの(No.25,No.29)であっても、表面にスケール疵が発生していた。これに対して、請求項2で規定している範囲内の鋼組成のスラブを、Sの値が3.01以下となる条件で熱間圧延した実施例No.8〜No.11、No.14、No.15及びNo.17の熱延鋼板は、熱間圧延時にスケール疵は発生せず、表面形状が良好であった。特に、鋼にCr、Cu及び/又はNiが添加されている実施例No.14、No.15及びNo.17の熱延鋼板は、表面形状が優れていた。
(a)〜(c)はスケールの変化を模式的に示す断面図であり、(a)は第1段目の圧延スタンドと第2段目の圧延スタンドとの間、(b)は第2段目の圧延スタンドと第3段目の圧延スタンドとの間、(c)は第3段目の圧延スタンド以降の状態を示す。 本発明の第1の実施形態の熱延鋼板の製造方法を模式的に示す図である。 (a)〜(d)は図2に示す各工程における鋼板の状態を工程順に示す断面図であり、(a)〜(c)は第1スタンドと第2スタンドとの間、(d)は第2スタンドと第3スタンドとの間の状態を示す。 (a)〜(c)は本発明の第2の実施形態の熱延鋼板の製造方法における第1スタンドと第2スタンドとの間における鋼板の状態を工程順に示す断面図であり、(d)は第2スタンドと第3スタンドとの間における鋼板の状態を示す断面図である。 従来の熱延鋼板の製造方法を模式的に示す図である。 (a)〜(e)は図5に示す各工程における鋼板の状態を工程順に示す断面図である。 (a)は熱延鋼板の正常部を示す断面図であり、(b)は熱延鋼板の疵部を示す断面図である。
符号の説明
1,101 粗圧延機
2a〜2g,102a〜102g 圧延スタンド
3,103 仕上圧延機
4,104 粗圧延鋼板
5,105 ノズル
6,106 高圧水
7,107 熱延鋼板
8,108 鋼板
9,109 スケール
110 膨れ
111 スケール層

Claims (3)

  1. 質量%で、C:0.04〜0.35%、Si:0.001〜2.5%及びMn:0.1〜2.5%を含有する熱延鋼板の製造方法において、
    スラブを粗圧延して粗圧延鋼板を得る粗圧延工程と、
    前記粗圧延鋼板を複数の圧延スタンドからなる仕上圧延機で熱間圧延して熱延鋼板を得る仕上圧延工程とを有し、
    前記仕上圧延工程は、第1段目の圧延スタンドを通過直後の鋼板の表面温度をT(℃)、前記第1段目の圧延スタンドを通過後第2段目の圧延スタンドに至るまでの時間をK(秒)としたとき、下記数式(A)により規定されるSの値を1.95未満とし、前記第2段目の圧延スタンドで圧延される鋼板の表面のスケールの厚さを10μm以下にすることを特徴とする熱延鋼板の製造方法。
    Figure 0004452254
  2. 質量%で、C:0%を超え0.02%以下、Si:0.001〜0.9%及びMn:0.1〜2.5%を含有する熱延鋼板の製造方法において、
    スラブを粗圧延して粗圧延鋼板を得る粗圧延工程と、
    前記粗圧延鋼板を複数の圧延スタンドからなる仕上圧延機で熱間圧延して熱延鋼板を得る仕上圧延工程とを有し、
    前記仕上圧延工程は、第1段目の圧延スタンドを通過直後の鋼板の表面温度をT(℃)、前記第1段目の圧延スタンドを通過後第2段目の圧延スタンドに至るまでの時間をK(秒)としたとき、下記数式(A)により規定されるSの値を3.01以下とし、前記第2段目の圧延スタンドで圧延される鋼板の表面のスケールの厚さを25μm以下にすることを特徴とする熱延鋼板の製造方法。
    Figure 0004452254
  3. 前記熱延鋼板は、更に、質量%で、Cr:0.02〜0.5%、Cu:0.02〜1.6及びNi:0.02〜1%からなる群から選択された少なくとも1種の元素を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の熱延鋼板の製造方法。
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