JP4451041B2 - 多軸電子レンズを用いたマルチビーム露光装置、複数の電子ビームを集束する多軸電子レンズ、半導体素子製造方法 - Google Patents

多軸電子レンズを用いたマルチビーム露光装置、複数の電子ビームを集束する多軸電子レンズ、半導体素子製造方法 Download PDF

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Description

技術分野
本発明は、マルチビーム露光装置、多軸電子レンズの製造方法、半導体素子製造方法に関する。また本出願は、下記の日本特許出願に関連する。文献の参照による組み込みが認められる指定国については、下記の出願に記載された内容を参照により本出願に組み込み、本出願の記載の一部とする。
特願2000−102619 出願日 平成12年4月4日
特願2000−251885 出願日 平成12年8月23日
特願2000−342655 出願日 平成12年10月3日
背景技術
ウェハに半導体デバイス等を形成するためのパターンを露光する電子ビーム露光装置として、複数の電子ビームを用いた電子ビーム露光装置がある。例えば、平行に配置された2枚の磁性板に複数の開口部を設け、当該開口部のそれぞれに電子ビームを通過させることにより、各電子ビームを集束させる電子ビーム露光装置(特公昭51−16754号公報、特開昭54−23476号公報)が知られている。
近年、半導体デバイスの微細化が急速に進んでおり、半導体デバイスに含まれる配線等を形成するためのパターンを露光する露光装置は、極めて高い露光精度が要求されている。このようなパターンを露光する露光装置として、複数の電子ビームを用いて露光処理を行う電子ビーム露光装置の量産デバイスへの実用化が期待されている。また、半導体デバイスを形成するウェハの大口径化も進んでいる。このようなウェハに対して複数の電子ビームを用いてパターンを露光する場合において、複数の電子ビームのウェハに対する焦点等を均一にするのが好ましい。
しかしながら従来の電子ビーム露光装置は、電子レンズに設けられた複数の開口部において形成される磁界が開口部毎に異なる。従って、当該開口部を通過する電子ビームが、当該開口部に形成された磁界から受ける力が電子ビーム毎に異なるため、複数の電子ビームのウェハに対する焦点等を均一にすることが極めて困難である。そのため、従来の電子ビーム露光装置では、複数の電子ビームを用いて精度よくウェハにパターンを露光するのが難しく、電子ビーム露光装置の実用化に向けて大きな障壁となっている。
そこで本発明は、このような問題を解決することを目的とする。
発明の開示
このような目的を達成するために、本発明の第1の形態によれば、複数の電子ビームにより、ウェハを露光する電子ビーム露光装置であって、複数の開口部を有する略平行に配置された複数のレンズ部磁性導体部、及び当該複数のレンズ部磁性導体部の間に設けられ、複数の貫通部を有する非磁性導体部を有し、複数の開口部と、複数の貫通部が、複数のビームを通過させる複数のレンズ開口部を形成する多軸電子レンズを備えたことを特徴とする電子ビーム露光装置を提供する。
また、多軸電子レンズは、レンズ部磁性導体部の周囲に設けられ、磁界を発生するコイルと、コイルの周囲に設けられたコイル部磁性導体部とを含むコイル部を更に有してもよい。
また、コイル部磁性導体部と、複数のレンズ部磁性導体部とはそれぞれ異なる透磁率を有する材料により形成されてもよい。
また、複数の電子ビームを発生する複数の電子銃と、電子銃に電気的に接続され、複数の電子銃に対して異なる電圧を印加する電圧制御手段とを更に備えてもよい。
また、電圧制御手段は、多軸電子レンズにより複数の電子ビームが受ける磁場強度に応じて、複数の電子銃に対して異なる電圧を印加する手段を有してもよい。
また、電圧制御手段は、ウェハに照射される複数の電子ビームの断面に含まれる辺が、略平行になるように複数の電子銃に異なる電圧を印加する手段を有してもよい。
また、電圧制御手段は、ウェハに照射される複数の電子ビームの焦点位置が等しくなるように複数の電子銃に異なる電圧を印加する手段を有してもよい。
また、電圧制御手段は、所定の電圧を生成する手段と、所定の電圧を昇圧又は降圧して、複数の電子銃に異なる電圧を印加する手段とを有してもよい。
また、電子ビームの断面を縮小する多軸電子レンズを少なくとも一段更に備えてもよい。
また、複数の電子ビームを成形する複数の第1成形開口部を含む第1成形部材と、第1成形部材を通過した複数の電子ビームを独立に偏向する第1成形偏向手段と、第1成形偏向部を通過した複数の電子ビームを、所望の形状に成形する複数の第2成形開口部を含む第2成形部材とを有する電子ビーム成形手段を更に備えてもよい。
また、第1成形偏向部で偏向された複数の電子ビームを、独立に、且つウェハにおいて電子ビームが照射される面に対して略垂直方向に偏向する第2成形偏向部を更に備え、成形手段は、第2成形偏向部で偏向された複数の電子ビームが、第2成形部材を通過することにより所望の形状に成形してもよい。
また、第2成形部材は、第1成形偏向部および第2成形偏向部が各々の電子ビームを偏向し、第2成形部材に照射する領域である成形部材照射領域を有し、第2成形部材は、成形部材照射領域において、第2成形開口部および第2成形開口部と異なる形状を有する開口部を有してもよい。
また、複数の電子ビームを発生する複数の電子銃と、発生した複数の電子ビームを独立に集束して第1成形部材に照射する多軸電子レンズとを更に備え、第1成形部材は、多軸電子レンズを通過した電子ビームを分割してもよい。
また、多軸電子レンズを複数段備えてもよい。
本発明の第2の形態によると、複数の電子ビームを独立に集束する電子レンズであって、複数の開口部を有する略平行に配置された複数の磁性導体部と、複数の磁性導体部の間に設けられ、複数の貫通部を有する非磁性導体部とを備え、複数の開口部と、複数の貫通部が、複数のビームを通過させる複数のレンズ開口部を形成することを特徴とする電子レンズを提供する。
本発明の第3の形態によると、ウェハに半導体素子を製造する半導体素子製造方法であって、複数の開口部を有する略平行に配置された複数の磁性導体部を有し、複数の磁性導体部にそれぞれ含まれる開口部が、複数の電子ビームを通過させる複数のレンズ開口部を形成する多軸電子レンズを用いて、複数の電子ビームの焦点調整を独立に行う焦点調整工程と、ウェハに、複数の電子ビームを照射して、ウェハにパターンを露光する工程とを備えることを特徴とする半導体素子製造方法を提供する。
発明を実施するための最良の形態
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る電子ビーム露光装置100の構成を示す。電子ビーム露光装置100は、電子ビームによりウェハ44に所定の露光処理を施すための露光部150と、露光部150に含まれる各構成の動作を制御する制御系140とを備える。
露光部150は、複数の排気孔70が設けられた筐体8と、複数の電子ビームを発生し、電子ビームの断面形状を所望に成形する電子ビーム成形手段と、複数の電子ビームをウェハ44に照射するか否かを、電子ビーム毎に独立に切替える照射切替手段と、ウェハ44に転写されるパターンの像の向き及びサイズを調整するウェハ用投影系を含む電子光学系を備える。また、露光部150は、パターンを露光すべきウェハ44を載置するウェハステージ46と、ウェハステージ46を駆動するウェハステージ駆動部48とを含むステージ系を備える。
電子ビーム成形手段は、複数の電子ビームを発生させる電子ビーム発生部10と、発生した電子ビームを放出させるアノード13と、電子ビームを通過させることにより電子ビームの断面形状を成形する複数の開口部を有するスリットカバー11、第1成形部材14、及び第2成形部材22と、複数の電子ビームを独立に集束し、電子ビームの焦点を調整する第1多軸電子レンズ16と、第1多軸レンズ16の各レンズ開口部において形成された磁界が、当該レンズ開口部を通過する電子ビームに対して与える力であるレンズ強度を調整する第1レンズ強度調整部17と、アノード13を通過した電子ビームを独立して偏向するスリット偏向部15と、第1成形部材14を通過した複数の電子ビームを独立に偏向する第1成形偏向部18及び第2成形偏向部20とを有する。
電子ビーム発生部10は、碍子106と、熱電子を発生させるカソード12と、カソード12を囲むように形成され、カソード12で発生した熱電子を安定させるグリッド102とを有する。カソード12とグリッド102とは、電気的に絶縁されるのが望ましい。本実施例において電子ビーム発生部10は、碍子106に所定の間隔を隔てて設けられた複数の電子銃104を有することにより、電子銃アレイを形成する。
スリットカバー11、第1成形部材14、及び第2成形部材22は、電子ビームが照射される面に、接地された白金などの金属膜を有することが望ましい。また、スリットカバー11、第1成形部材14、及び第2成形部材22は、それぞれスリットカバー11、第1成形部材14、及び第2成形部材22を冷却する冷却部を有するのが望ましい。スリットカバー11、第1成形部材14、及び第2成形部材22は、冷却部を有することにより、照射された電子ビームの熱による温度上昇を抑えることができる。
スリットカバー11、第1成形部材14、及び第2成形部材22に含まれる複数の開口部の断面形状は、電子ビームを効率よく通過させるために、電子ビームの照射方向に沿って広がりを有してもよい。また、スリットカバー11、第1成形部材14及び第2成形部材22に含まれる複数の開口部は、矩形に形成されるのが好ましい。
照射切替手段は、複数の電子ビームを独立に集束し、電子ビームの焦点を調整する第2多軸電子レンズ24と、第2多軸電子レンズ24の各レンズ開口部におけるレンズ強度を独立して調整するレンズ強度調整部25と、複数の電子ビームを、電子ビーム毎に独立に偏向させることにより、電子ビームをウェハ44に照射するか否かを、電子ビーム毎に独立に切替えるブランキング電極アレイ26と、電子ビームを通過させる複数の開口部を含み、ブランキング電極アレイ26で偏向された電子ビームを遮蔽する電子ビーム遮蔽部材28とを有する。電子ビーム遮蔽部材28に含まれる複数の開口部の断面形状は、電子ビームを効率良く通過させるために、電子ビームの照射方向に沿って広がりを有してもよい。
ウェハ用投影系は、複数の電子ビームを独立に集束し、ウェハ44に照射される電子ビーム像の回転を調整する第3多軸電子レンズ34と、第3多軸電子レンズ34の各レンズ開口部におけるレンズ強度を独立して調整する第3レンズ強度調整部35と、複数の電子ビームを独立に集束し、ウェハ44に照射される電子ビームの縮小率を調整する第4多軸電子レンズ36と、第4多軸電子レンズ36の各レンズ開口部におけるレンズ強度を独立して調整する第4レンズ強度調整部37と、複数の電子ビームをウェハ44の所望の位置に、電子ビーム毎に独立に偏向する偏向部60と、複数の電子ビームを独立に集束し、ウェハ44に対する対物レンズとして機能する第5多軸電子レンズ62とを有する。本実施例において第3多軸電子レンズ34及び第4多軸電子レンズ36は一体に形成されているが、他の例においては別個に形成されてもよい。
制御系140は、統括制御部130と、多軸電子レンズ制御部82と、反射電子処理部99と、ウェハステージ制御部96と、複数の電子ビームに対する露光パラメータをそれぞれ独立に制御する個別制御部120とを備える。統括制御部130は、例えばワークステーションであって、個別制御部120に含まれる各制御部を統括制御する。多軸電子レンズ制御部82は、第1多軸電子レンズ16、第2多軸電子レンズ24、第3多軸電子レンズ34及び第4多軸電子レンズ36に供給する電流を制御する。反射電子処理部99は、反射電子検出装置50において検出された反射電子や2次電子等の電子の量に基づく信号を受け取り、統括制御部130に通知する。ウェハステージ制御部96は、ウェハステージ駆動部48を制御し、ウェハステージ46を所定の位置に移動させる。
個別制御部120は、電子ビーム発生部10を制御する電子ビーム制御部80と、第1成形偏向部18及び第2成形偏向部20を制御する成形偏向制御部84と、各レンズ強度調整部(17、25、35、37)を制御するレンズ強度制御部88と、ブランキング電極アレイ26に含まれる偏向電極に印加する電圧を制御するブランキング電極アレイ制御部86と、偏向部60が有する複数の偏向器に含まれる電極に印加する電圧を制御する偏向制御部98とを有する。
本実施例における電子ビーム露光装置100の動作について説明する。まず、電子ビーム発生部10が、複数の電子ビームを発生する。電子ビーム発生部10において発生された電子ビームはアノード13を通過し、スリット偏向部15に入射する。スリット偏向部15は、アノード13を通過した電子ビームのスリットカバー11に対する照射位置を調整する。
スリットカバー11は、第1成形部材14に照射される電子ビームの面積を小さくすべく、スリットカバー11に照射された各電子ビームの一部を遮蔽し、電子ビームの断面を所定の大きさに成形する。スリットカバー11において成形された電子ビームは、第1成形部材14に照射され更に成形される。第1成形部材14を通過した電子ビームは、第1成形部材14に含まれる開口部の形状に対応する矩形の断面形状をそれぞれ有する。
第1多軸電子レンズ16は、第1成形部材14において矩形に成形された複数の電子ビームを独立に集束し、第2成形部材22に対する電子ビームの焦点を、電子ビーム毎に独立に調整する。また、第1レンズ強度調整部17は、第1多軸電子レンズ16のレンズ開口部に入射された各電子ビームの焦点位置を補正すべく、第1電子レンズ16の各レンズ開口部におけるレンズ強度を調整する。
第1成形偏向部18は、第1成形部材14において矩形に成形された複数の電子ビームを、第2成形部材に対して所望の位置に照射すべく電子ビーム毎に独立して偏向する。第2成形偏向部20は、第1成形偏向部18で偏向された複数の電子ビームを、第2成形部材22に対して略垂直方向に照射すべく電子ビーム毎に独立に偏向する。その結果、電子ビームが、第2成形部材22の所望の位置に、第2成形部材22に対して略垂直に照射される。
矩形形状を有する複数の開口部を含む第2成形部材22は、各開口部に照射された矩形の断面形状を有する複数の電子ビームを、ウェハ44に照射されるべき所望の矩形の断面形状を有する電子ビームに更に成形する。また、本実施例において第1成形偏向部18及び第2成形偏向部20は同一の基板に設けられているが、他の例においては、それぞれ別個に設けられてもよい。
第2多軸電子レンズ24は、複数の電子ビームを独立に集束して、ブランキング電極アレイ26に対する電子ビームの焦点を、電子ビーム毎に独立に調整する。また、第2レンズ強度調整部25は、第2多軸電子レンズ24のレンズ開口部に入射された各電子ビームの焦点位置を補正すべく、第2電子レンズ24の各レンズ開口部におけるレンズ強度を調整する。第2多軸電子レンズ24により焦点が調整された電子ビームは、ブランキング電極アレイ26に含まれる複数のアパーチャに入射する。
ブランキング電極アレイ制御部86は、ブランキング電極アレイ26に形成された各アパーチャの近傍に設けられた偏向電極に電圧を印加するか否かを制御する。ブランキング電極アレイ26は、偏向電極に印加される電圧に基づいて、電子ビームをウェハ44に照射させるか否かを切替える。電圧が印加されたときは、ブランキング電極アレイ26のアパーチャを通過した電子ビームは偏向され、電子ビーム遮蔽部材28に含まれる開口部を通過できず、ウェハ44に照射されない。電圧が印加されないときには、アパーチャを通過した電子ビームは偏向されず、電子ビーム遮蔽部材28に含まれる開口部を通過することができ、電子ビームはウェハ44に照射される。
第3多軸電子レンズ34は、ブランキング電極アレイ26を通過した電子ビームの回転を調整する。具体的には、第3多軸電子レンズ34は、ウェハ44照射される電子ビームの像の、当該電子ビームの光軸に対する回転を調整する。また、第3レンズ強度調整部35は、第3多軸電子レンズの各レンズ開口部におけるレンズ強度を調整する。具体的には、第3レンズ強度調整部35は、第3多軸電子レンズ34に入射された各電子ビームの像の回転を一様にすべく、第3多軸電子レンズ36の各レンズ開口部におけるレンズ強度を調整する。
第4多軸電子レンズ36は、入射された電子ビームの照射径を縮小する。また、第4レンズ強度調整部37は、各電子ビームの縮小率が略同一になるように第4多軸電子レンズ36の各レンズ開口部におけるレンズ強度を調整する。そして第3多軸電子レンズ34及び第4多軸電子レンズ36を通過した電子ビームのうち、ブランキング電極アレイ26により偏向されない電子ビームが、電子ビーム遮蔽部材28を通過し、偏向部60に入射する。
偏向制御部98は、偏向部60に含まれる複数の偏向器を独立に制御する。偏向部60は、複数の偏向器に入射される複数の電子ビームを、電子ビーム毎に独立にウェハ44の所望の位置に偏向する。更に、第5多軸電子レンズ62は、偏向部60に入射した電子ビームのウェハ44に対する焦点を、それぞれ独立に調整する。そして、偏向部60及び第5多軸電子レンズ62を通過した電子ビームは、ウェハ44に照射される。
露光処理中、ウェハステージ制御部96は、一定方向にウェハステージ48を動かす。ブランキング電極アレイ制御部86は露光パターンデータに基づいて、電子ビームを通過させるアパーチャを定め、各アパーチャに対する電力制御を行う。ウェハ44の移動に合わせて、電子ビームを通過させるアパーチャを適宜、変更し、更に主偏向部42及び偏向部60により電子ビームを偏向することにより、ウェハ44に所望の回路パターンを露光することができる。
本発明における、多軸電子レンズは、複数の電子ビームを独立に集束するため、各電子ビーム自身にクロスオーバは発生するが、複数の電子ビーム全体としては、クロスオーバは発生しない。そのため各電子ビームの電流密度を上げた場合であっても、クーロン相互作用による電子ビームの焦点ずれや位置ずれの原因となる電子ビーム誤差を大幅に低減することができる。従って、各電子ビームの電流密度を大きくすることができるため、ウェハにパターンを露光する露光時間を大幅に短縮することができる。
図2は、電子ビーム発生部10に所定の電圧を印加する電源制御手段520を示す。電圧制御手段520は、所定の電圧を生成するベース電源522と、当該所定の電圧を昇圧又は降圧して各カソード12に印加する調整電源524とを有する。
電圧制御手段520は、電子ビーム制御部80からの指示に基づいて、カソード12に印加する電圧を制御することにより、各電子ビームの加速電圧を制御する。電圧制御手段520は、多軸電子レンズ(16、24、34、36、62)により各電子ビームが受ける磁界強度に応じて、各電子ビームが生成される電子銃に含まれるカソード12対して異なる電圧を印加して、各電子ビームの加速電圧を制御するのが好ましい。
電圧制御手段520は、ウェハ44に照射される複数の電子ビームの焦点位置が等しくなるように複数の電子銃に含まれるカソードに異なる電圧を印加して、各電子ビームの加速電圧を制御するのが好ましい。また、電圧制御手段520は、ウェハ44に照射される各電子ビームの断面に含まれる所定の辺が、略平行になるように複数の電子銃に含まれるカソード12に異なる電圧を印加することにより、各電子ビームの加速電圧を更に制御してもよい。
本実施例において、ベース電源522は、50kVの電圧を生成し、各調整電源524は、多軸電子レンズ(16、24、34、36、62)において、各カソード12が生成した電子ビームが通過するレンズ開口部において生成される磁界強度に応じてベース電源が生成した電圧を昇圧又は降圧することにより、カソード12に調整された電圧を印加する。例えば、多軸電子レンズの中心部におけるレンズ開口部の磁界強度が、多軸電子レンズの外周部におけるレンズ開口部の磁界強度より3%弱い場合には、当該中心部におけるレンズ開口部を通過する電子ビームを生成するカソード12の加速電圧を3%増加させればよい。
電圧制御手段520が、調整電源524を有することにより、多軸電子レンズに含まれるレンズ開口部の磁界強度が異なる場合であっても、各電子ビームの加速電圧を制御し、各電子ビームがレンズ開口部を通過する時間を調整することができるため、各電子ビームがレンズ開口部において磁界から受ける影響を制御することができる。そして、各電子ビームのウェハ44に対する焦点、及びウェハ44に照射される電子ビームの像の回転を調整することができる。
図3は、電子ビーム成形手段の他の例を示す。電子ビーム成形手段は、電子ビーム発生部10において発生した複数の電子ビームを独立に集束して第1成形部材14に照射する多軸電子レンズである第1照射多軸電子レンズ510及び第2照射多軸電子レンズ512を更に備える。第1照射多軸電子レンズ510及び第2照射多軸電子レンズ512は、電子ビーム発生部10と第1成形部材14との間に設けられる。
第1照射多軸電子レンズ510及び第2照射多軸レンズ512が有するレンズ開口部の数は、第1多軸電子レンズ16が有するレンズ開口部の数より少ないのが好ましい。また、第1照射多軸電子レンズ510及び第2照射多軸レンズ512が有するレンズ開口部の開口径は、第1多軸電子レンズが有するレンズ開口部の開口径より大きいことが好ましい。また、第1照射多軸電子レンズ510及び第2照射多軸電子レンズ512が有するレンズ開口部の数は、電子ビーム発生部10が有するカソード12の数と同じ数であってよい。更に、第1照射多軸電子レンズ510及び第2照射多軸電子レンズ512は、露光処理中においても電子ビームが通過しないレンズ開口部であるダミー開口部を有してもよい。
第1照射多軸電子レンズ510は、電子ビーム発生部10において発生した電子ビームの焦点を調整する。具体的には、第1照射多軸電子レンズ510は、第1照射多軸電子レンズ510と第2照射多軸電子レンズ512との間において、第1照射多軸電子レンズ510を通過した各電子ビームがクロスオーバを形成するように、各電子ビームの焦点を調整するのが好ましい。そして、第2照射多軸電子レンズ512は、第1照射多軸電子レンズ510を通過した電子ビームを、第1成形部材14に対して照射すべく電子ビームの焦点を調整する。この場合において第2照射多軸電子レンズ512は、入射した電子ビームを第1成形部材14に対して略垂直に照射するように電子ビームの焦点を調整するのが好ましい。
第1照射多軸電子レンズ510及び第2照射多軸電子レンズ512のレンズ開口部を通過し、第1成形部材14に照射された電子ビームは、第1成形部材14において分割される。分割された各々の電子ビームは、第1多軸電子レンズ16において独立に集束される。そして、第1成形偏向部18及び第2成形偏向部20において偏向された当該電子ビームは、第2成形部材22の所望の位置に照射され、所望の断面形状に成形される。また電子ビーム成形手段は、電子ビーム発生部10と第1成形部材14との間に、スリットカバー11(図1参照)を更に有してもよい。
本実施例において電子ビーム成形手段110は、電子ビーム発生部10において発生した電子ビームを、照射多軸電子レンズを用いて第1成形部材14に照射し、分割することができる。そのため、例えば電子銃アレイである電子ビーム発生部10に含まれるカソード12が配置される間隔が広い場合であっても、効率よく複数の電子ビームを生成することができる。また、カソード12を設ける間隔を広くすることができるため、電子ビーム発生部10を容易に形成することができる。
図4は、ブランキング電極アレイ26の構成を示す。ブランキング電極アレイ26は、電子ビームが通過する複数のアパーチャ166を有するアパーチャ部160と、図1におけるブランキング電極アレイ制御部86との接続部となる偏向電極パッド162及び接地電極パッド164とを有する。アパーチャ部160は、ブランキング電極アレイ26の中央部に配置されることが望ましい。また、ブランキング電極アレイ26は、アパーチャ部160の周囲に電子ビームが通過しないダミー開口部(図1参照)を有することが好ましい。ブランキング電極アレイ26がダミー開口部を有することにより、筐体8内部の排気のインダクタンスを低くすることができるため、効率よく筐体8内部を減圧することができる。
図5は、ブランキング電極アレイ26の断面図を示す。ブランキング電極アレイ26は、電子ビームが通過する複数のアパーチャ166と、通過する電子ビームを偏向する偏向電極168及び接地電極170と、ブランキング電極アレイ制御部86(図1参照)との接続部となる偏向電極パッド162及び接地電極パッド164とを有する。
偏向電極168及び接地電極170は、電子ビームが通過するアパーチャ166毎に設けられる。偏向電極168は、配線層を介して偏向電極パッド162に電気的に接続される。また、接地電極170は、導電層を介して接地電極パッド164に電気的に接続される。ブランキング電極アレイ制御部86は、例えばプローブカードやポゴピンアレイ等の接続手段を介して、偏向電極パッド162及び接地電極パッド164にブランキング電極アレイ26を制御する制御信号を供給する。
次に、ブランキング電極アレイ26の動作について説明する。ブランキング電極アレイ制御部86から、偏向電極168に電圧が印加されていないときは、偏向電極168と接地電極170の間に電界は形成されず、アパーチャ166に入射した電子ビームは、電界の影響を実質的に受けることなくアパーチャ166を通過する。そして、アパーチャ166を通過した電子ビームは、電子ビーム遮蔽部材(図1参照)の開口部を通過し、ウェハ44に到達する。
ブランキング電極アレイ制御部86から、偏向電極168に電圧が印加されると、偏向電極168と接地電極170との間に、印加された電圧に基づく電界が形成される。アパーチャ166に入射した電子ビームは、偏向電極168と接地電極170の間に形成された電界の影響を受けて偏向される。具体的には、電子ビームは、電子ビーム遮蔽部材に含まれる開口部の外側に当たるように偏向される。偏向された電子ビームは、アパーチャ166を通過するが、電子ビーム遮蔽部材28に含まれる開口部を通過することができないため、ウェハ44に到達することができない。ブランキング電極アレイと26及び電子ビーム遮蔽手段28は、以上の偏向動作を行い、ウェハ44に、電子ビームを照射するか否かを、電子ビーム毎に独立に切替えることができる。
図6は、電子ビームを偏向する第1成形偏向部18の構成を示す。尚、電子ビーム露光装置100に含まれる第2成形偏向部20及び偏向部60も、第1成形偏向部18と同様の構成を有してよく、以下において、代表して第1成形偏向部18の構成について説明する。
第1成形偏向部18は、基材186と、偏向器アレイ180と、偏向電極パッド182とを有する。偏向器アレイ180は、基材186の中央部に設けられ、偏向電極パッド182は、基材186の周辺部に設けられるのが望ましい。また、基材186は、偏向器アレイ180が設けられた領域の周囲に、電子ビームが通過しないダミー開口部(図1参照)を更に有するのが好ましい。
偏向器アレイ180は、複数の偏向電極及び開口部により形成される複数の偏向器184を有する。偏向電極パッド182は、例えばプローブカードやポゴピンアレイ等の接続手段を介して接続されることにより、成形偏向制御部84(図1参照)と電気的に接続される。図4を参照して、偏向器アレイ180に設けられた複数の偏向器184は、ブランキング電極アレイ26に設けられた複数のアパーチャに対応して各々設けられる。
図7は、偏向器184の構成を示す。図7(a)に示すように、偏向器184は、基材186に、電子ビームが通過する開口部194と、通過する電子ビームを偏向する複数の偏向電極190と、偏向電極190と偏向電極パッド182(図6参照)を電気的に接続する配線192とを有する。複数の偏向電極190は、開口部194の周囲に設けられる。偏向器184は、電界を利用して高速に電子ビームを偏向することが可能な静電型偏向器であることが好ましく、対向する4組の電極を有する円筒型均等8極型の構成を有することが更に好ましい。
偏向器184の動作について説明する。複数の偏向電極190の各々に所定の電圧を印加することにより、開口部194に電界が形成される。開口部194に入射した電子ビームは、形成された電界の影響を受け、電界の向きに対応する所定の方向、及び電界強度に対応する所定の量だけ偏向される。そのため、電子ビームを所望の方向及び偏向量だけ偏向する電界を形成するように、偏向電極190の各々に電圧を印加することにより、電子ビームを所望の位置に偏向することができる。
図7(b)に示すように偏向器180は、対向する所定の偏向電極190に所定の電圧を印加し、対向する他の電極に当該所定の電圧と異なる電圧を印加することにより、開口部194を通過する電子ビームに対して非点補正を行うことができる。また、図7(c)に示すように、全ての偏向電極190に略等しい電圧を印加することにより、開口部194を通過する電子ビームに対して焦点補正を行うことができる。
図8は、本発明の一実施形態に係る電子レンズである第1多軸電子レンズ16の上面図を示す。尚、電子ビーム露光装置100に含まれる第2多軸電子レンズ24、第3多軸電子レンズ34、第4多軸電子レンズ36及び第5多軸電子レンズ62も、第1多軸電子レンズ16と同様の構成を有しており、以下において、多軸電子レンズの構成に関して、代表して第1多軸電子レンズ16の構成に基づいて説明する。
第1多軸電子レンズ16は、電子ビームが通過するレンズ開口部204を有するレンズ部202と、レンズ部202の周囲に設けられ磁界を発生するコイル部200とを備える。また、レンズ部202は、複数のレンズ開口部204が設けられる領域であるレンズ領域206を有する。各電子ビームが通過するレンズ開口部204は、図4及び図6を参照して、ブランキング電極アレイ26に含まれるアパーチャ166、及び偏向器アレイ180に含まれる偏向器184の位置に対応して配置されるのが好ましい。具体的には、レンズ開口部204は、各電子ビーム成形部材、各偏向部、及びブランキング電極アレイ26に設けられた電子ビームが通過する開口部と略同軸になるように設けられる。
レンズ部202は、電子ビームが通過しない開口部であるダミー開口部205を更に有するのが望ましい。ダミー開口部205は、各レンズ開口部204におけるレンズ強度が略等しくなるように、レンズ部202の所定の位置に配置されるのが望ましい。第1多軸電子レンズ16は、レンズ部202においてダミー開口部205を有することにより、各レンズ開口部204におけるレンズ強度が略等しくなるように、即ち、レンズ開口部204における磁界強度を略均一にするように調整することができる。
本実施例においてダミー開口部205は、レンズ領域206の外周に設けられる。この場合においてレンズ開口部204及びダミー開口部205は、各レンズ開口部204及び各ダミー開口部205が格子点を形成するように格子状に設けられてもよい。また、ダミー開口部205は、レンズ領域206の外周に円状に設けられてもよい。また、ダミー開口部205は、レンズ部202においてレンズ領域206の内部に設けられてもよい。ダミー開口部205が設けられる位置を調整することにより、各レンズ開口部204におけるレンズ強度をより細かく調整することができる。
また、レンズ部202は、レンズ開口部204と異なる大きさ及び/又は形状を有するダミー開口部205を有してもよい。ダミー開口部205の大きさ及び/又は形状を調整することにより、各レンズ開口部204におけるレンズ強度を更に細かく調整することができる。
図9は、第1多軸電子レンズ16の他の例を示す。レンズ部202は、レンズ領域206の外周に、ダミー開口部205を多重に有してもよい。この場合において、レンズ開口部204及びダミー開口部205は、各レンズ開口部204及び各ダミー開口部205が格子点を形成するように格子状に設けられてよく、また、ダミー開口部205は、レンズ領域206の外周に円状に設けられてもよい。更にレンズ部202は、レンズ領域206の外周に、格子状に設けられた複数のダミー開口部205、及び円状に設けられた複数のダミー開口部205を有してもよい。第1多軸電子レンズ16は、ダミー開口部205を多重に有することにより、各レンズ開口部204におけるレンズ強度を更に細かく調整することができる。
図10は、第1多軸電子レンズ16の他の例を示す。レンズ部202は、レンズ領域206の外周に、異なる大きさを有する複数のダミー開口部205を有してもよい。例えば、レンズ開口部204に形成される磁界強度が、レンズ部磁性導体部210の中心部より外周部の方が強い場合には、レンズ部磁性導体部210に設けられた所定のレンズ開口部204は、当該所定のレンズ開口部204より内側に設けられた他のレンズ開口部204より大きく設けられることが好ましい。また、レンズ開口部204の大きさは、レンズ部磁性導体部210における複数のレンズ開口部204が設けられる領域であるレンズ領域206の中心軸に対して略対称であることが好ましい。
また、レンズ部202は、レンズ領域206の外周に異なる大きさを有するダミー開口部205を多重に有してもよい。この場合においてレンズ開口部204及びダミー開口部205は、各レンズ開口部204及び各ダミー開口部205が格子点を形成するように格子状に設けられてよく、また、ダミー開口部205は、レンズ領域206の外周に円状に設けられてもよい。第1多軸電子レンズ16は、異なる大きさを有するダミー開口部205を多重に有することにより、各レンズ開口部204におけるレンズ強度を更に細かく調整することができる。
図11は、第1多軸電子レンズ16の他の例を示す。レンズ部202は、レンズ開口部204とダミー開口部205との間隔が、レンズ領域206において隣接するレンズ開口部204間の間隔と異なるように設けられたダミー開口部205を有してもよい。また、レンズ部202は、異なる間隔で多重に設けられたダミー開口部205を更に有してもよい。第1多軸電子レンズ16は、レンズ開口部204との間隔が調整されたダミー開口部205を有することにより、レンズ開口部204におけるレンズ強度を更に細かく調整することができる。
図12は、第1多軸電子レンズ16の断面図を示す。第2多軸電子レンズ24、第3多軸電子レンズ34、第4多軸電子レンズ36及び第5多軸電子レンズ62も、第1多軸電子レンズ16と同様の構成を有してよく、以下において、多軸電子レンズの構成に関して、代表して第1多軸電子レンズ16の構成に基づいて説明する。
図12(a)に示すように、第1多軸電子レンズ16は、磁界を発生させるコイル214、コイル214の周囲に設けられたコイル部磁性導体部212、及びコイル214とコイル部磁性導体部212との間に設けられコイル214を冷却する冷却部215を有する。また、レンズ部202は、複数のレンズ部磁性導体部210、及びレンズ部磁性導体部210に設けられた複数の開口部を有する。複数のレンズ部磁性導体部210に含まれる複数の当該開口部が、電子ビームを通過させるレンズ開口部204を形成する。
本実施例においてレンズ部202は、複数の開口部が設けられた第1レンズ部磁性導体部210aと、複数の開口部が設けられた第2レンズ部磁性導体部210bとを有する。第1レンズ部磁性導体部210a及び第2レンズ部磁性導体部210bは、非磁性導体部208を挟んで、略平行に配置されることが好ましい。そして、第1レンズ部磁性導体部210a及び第2レンズ部磁性導体部210bに設けられた複数の開口部により形成されたレンズ開口部204において、電子ビームの焦点及び/又は回転を調整する磁界が形成される。そして、レンズ開口部204に入射した電子ビームは、複数のレンズ部磁性導体部210間において発生する磁界の影響を受けて、互いにクロスオーバを形成することなくそれぞれ独立に焦点等が調整される。
また、コイル部磁性導体部212と、レンズ部磁性導体部210とは異なる透磁率を有する磁性導体材料により形成されてもよい。望ましくは、コイル部磁性導体部212を形成する材料は、レンズ部磁性導体部210を形成する材料より高い透磁率を有する。例えば、コイル部磁性導体部212は純鉄により形成され、レンズ部磁性導体部210はパーマロイにより形成される。コイル部磁性導体部212及びレンズ部磁性導体部210を透磁率の異なる材料により形成することにより、複数のレンズ開口部204に形成される磁界強度を均一にすることができる。ひいては、ウェハ44に照射される各電子ビームの焦点等を均一にすることができる。
図12(b)に示すように、レンズ部202は、レンズ部磁性導体部210におけるレンズ開口部204が設けられた以外の領域において、複数のレンズ部磁性導体部210の間に非磁性導体部208を有することが好ましい。非磁性導体部208は、レンズ部磁性導体部210におけるレンズ開口部204が設けられた以外の領域において、複数のレンズ部磁性導体部210の間を充填するように設けられてもよい。このとき、非磁性導体部208は、貫通部を有し、当該貫通部とレンズ部磁性導体部210が有する開口部とがレンズ開口部204を形成する。
レンズ部202が、非磁性導体部208を有することにより、各レンズ開口部204を通過する複数の電子ビーム間に働くクーロン力を遮蔽することができる。また、レンズ部202が、非磁性導体部208を有することにより、第1レンズ部磁性導体210aと第2レンズ部磁性導体部210bとの間隔を均一にすることができる。ひいては、各レンズ開口部204に形成される磁界強度を均一にすることができ、ひいては、ウェハ44に照射される各電子ビームの焦点等を均一にすることができる。更に、非磁性導体部208は、レンズ部202を形成するときに、第1レンズ部磁性導体部210a及び第2レンズ部磁性導体部210bのスペーサとしての機能も有する。
図13は、多軸電子レンズの他の例を示す。多軸電子レンズは複数の多軸電子レンズが一体に形成されてもよい。本実施例において多軸電子レンズは、第1レンズ部磁性導体部210a及び第2レンズ部磁性導体部210bと略平行に配置された第3レンズ部磁性導体部210cを更に有する。また、コイル部200は、複数のコイル200を有する。
各々の磁性導体部に設けられた開口部が、レンズ開口部204を形成する。そして、第1レンズ部磁性導体部210aと第2レンズ部磁性導体部210bとの間、及び第1レンズ部磁性導体部210aと第3レンズ部磁性導体部210cとの間にそれぞれ磁界を形成する。また、各磁性導体部210を異なる間隔で配置することにより、各磁性導体部210間において異なるレンズ強度を持たせることができる。本実施例における多軸電子レンズは、複数の多軸電子レンズを一体に設けることにより、複数のレンズ機能を持つ多軸電子レンズをコンパクトに形成することができる。ひいては電子ビーム露光装置100を小型化することができる。
図14は、レンズ部202の他の例を示す。図14(a)に示すように、レンズ部磁性導体部210のうち少なくとも1つのレンズ部磁性導体部210が、レンズ部磁性導体部210に含まれる開口部の外周に切欠部216を有してもよい。このとき、切欠部216は、第1レンズ部磁性導体部210aと、第2レンズ部磁性導体部210bとの対向する面に、それぞれ設けられることが好ましい。
また、レンズ部磁性導体部210は、大きさの異なる切欠部216を有することが好ましい。このとき、切欠部216は、レンズ部磁性導体部210の深さ方向に異なる大きさを有してよく、また、レンズ部磁性導体部210における開口が異なる大きさであってもよい。
例えば、レンズ開口部204に形成される磁界強度が、レンズ部磁性導体部210の中心部より外周部の方が強い場合には、レンズ部磁性導体部210に設けられた所定の切欠部216は、当該所定の切欠部216より内側に設けられた他の切欠部216より大きく設けられることが好ましい。また、切欠部216の大きさは、レンズ部磁性導体部210における複数のレンズ開口部204が設けられる領域であるレンズ領域206の中心軸に対して略対称であることが好ましい。
レンズ部磁性導体部210は、切欠部216を有することにより、レンズ開口部204に形成される磁界強度を調整することができる。また、図14(b)に示すように、レンズ部磁性導体部202は、レンズ部磁性導体部210の表面における所定の開口部と当該所定の開口部に隣接する他の開口部との間に、表面より突出し、磁性及び導電性を有する突出部218を有してもよい。突出部218を有することにより、切欠部216と同様の効果を得ることができる。
図15は、レンズ部202の他の例を示す。図15(a)に示すように、レンズ部202は、第1レンズ部磁性導体部210aに設けられた開口部の周囲に電子ビームの照射方向に略平行な方向に突出するように設けられた複数の第1副磁性導体部240aと、第2レンズ部磁性導体部210bに設けられた開口部の周囲に電子ビームの照射方向に略平行な方向に突出するように設けられた複数の第2副磁性導体部240bとを有する。
第1副磁性導体部240a及び第2副磁性導体部240bは、電子ビームの照射方向に略垂直な断面において円筒形状であることが好ましい。本実施例においては、第1レンズ部磁性導体部210aに設けられた開口部の内側に第1副磁性導体部240aが設けられ、また、第2レンズ部磁性導体部210bに設けられた開口部の内側に第2副磁性導体部240bが設けられる。そして、第1副磁性導体部240の内側に形成された開口部及び第2副磁性導体部240bの内側に形成された開口部が、電子ビームを通過させるレンズ開口部204を形成する。
レンズ開口部204において、第1副磁性導体部240a及び第2副磁性導体部240bにより磁界が形成される。レンズ開口部204に入射した電子ビームは、第1副磁性導体部240aと第2副磁性導体部240bとの間において発生する磁界の影響を受けて、それぞれ独立に集束される。
所定の第1副磁性導体部240aと、当該所定の第1副磁性導体部240aと対向する第2副磁性導体部240bとの間隔は、他の第1副磁性導体部240aと、当該他の第1副磁性導体部240aと対向する第2副磁性導体部240bとの間隔と異なってもよい。図15(b)に示すように、レンズ部202は、間隔が異なる第1副磁性導体部240aと第2副磁性導体部240bとを有することにより、各レンズ開口部204に形成される磁界220の強度を調整することができる。即ち、各レンズ開口部204に形成される磁界200の強度を均一にすることができる。また、各レンズ開口部204に形成されるレンズ軸を、電子ビームの照射方向に略平行な方向に向けることができる。さらに、各レンズ開口部204を通過する複数の電子ビームを略等しい面で集束させることができる。
例えば、レンズ開口部204に形成される磁界強度が、レンズ部磁性導体部210の中心部より外周部の方が強い場合には、所定の第1副磁性導体部240aと、当該所定の第1副磁性導体部240aと対向する第2副磁性導体部240bとの間隔は、当該所定の第1副磁性導体部240aよりコイル部200から遠い位置に設けられた他の第1副磁性導体部240aと、当該他の第1副磁性導体部240aと対向する第2副磁性導体部240bとの間隔より大きいことが好ましい。さらに、第1副磁性導体部240aのそれぞれと、第2副磁性導体部240bのそれぞれとの間隔は、第2主磁性導体部210bにおける複数の第2開口部204bが設けられた領域の中心軸に対して略対称であることが好ましい。
図16は、レンズ部202の他の例を示す。図16(a)に示すように、レンズ部202は、第1副磁性導体部240aと、当該第1副磁性導体部240aと略同一軸上に設けられた第2副磁性導体部240bとの周囲に設けられた非磁性導体部である固定部242を有してもよい。固定部242を第1副磁性導体部240a及び第2副磁性導体部240bの周囲に設けることにより、第1副磁性導体部240aの開口部と、第2副磁性導体部240bの開口部との同軸度を精度よく制御することができる。
また、固定部242は、第1副磁性導体部240aと第2副磁性導体部240bとに挟まれるように設けられることが望ましい。固定部242を第1副磁性導体部240aと第2副磁性導体部240bとに挟まれるように設けることにより、第1副磁性導体部240aと第2副磁性導体部240bとの間隔を精度よく制御することができる。また、固定部242は、第1主磁性導体部210aと第2主磁性導体部210bとに挟まれるように設けられてもよい。固定部242を第1主磁性導体部210aと第2主磁性導体部210bとに挟まれるように設けることにより、固定部242は、第1主磁性導体部210aと第2主磁性導体部210bとのスペーサとしての機能を有する。
図16(b)に示すように、レンズ部202は、第1レンズ部磁性導体部210a及び第2レンズ部磁性導体部210bのいずれか一方に副磁性導体部240を有してもよい。このとき、第2レンズ部磁性導体部210bに設けられた開口部及び第1副磁性導体部240aの開口部が、電子ビームを通過させるレンズ開口部204を形成する。また、第2レンズ部磁性導体部210bに設けられた開口部と第1副磁性導体部240aの開口部とは、略等しい大きさであることが好ましい。
また、レンズ部202は、第2レンズ部磁性導体部210bとの間隔が異なる複数の第1副磁性導体部240aを有してもよい。第1レンズ部磁性導体部210aとの間隔が異なる複数の第1副磁性導体部240aが、第1レンズ部磁性導体部210aに設けられることにより、各レンズ開口部204に形成される磁界の強度を調整することができる。即ち、各レンズ開口部204に形成される磁界の強度を均一にすることができる。また、各レンズ開口部204に形成される磁界を、レンズ開口部204の中心軸に対して略対称に分布させることができる。さらに、各レンズ開口部204を通過する複数の電子ビームを略等しい面で集束させることができる。
例えば、レンズ開口部204に形成される磁界強度が、レンズ部磁性導体部210の中心部より外周部の方が強い場合には、所定の第1副磁性導体部240aと、第2レンズ部磁性導体部210bとの間隔は、当該所定の第1副磁性導体部240aよりコイル部200から遠い位置に設けられた他の第1副磁性導体部240aと、第2主磁性導体部210bとの間隔より大きいことが好ましい。さらに、第1副磁性導体部240aのそれぞれと、第2レンズ部磁性導体部210bとの間隔は、第2レンズ部磁性導体部210bの開口部が設けられた領域の中心軸に対して略対称であることが好ましい。
図16(c)に示すように、第1副磁性導体部240aは、第1レンズ部磁性導体部210aにおける第2レンズ部磁性導体部210bと対向する面に設けられ、第2副磁性導体部240bは、第2レンズ部磁性導体部210bにおける第1レンズ部磁性導体部210aと対向する面に設けられてもよい。このとき、第1副磁性導体部240a及び第2副磁性導体部210bの開口部は、第1レンズ部磁性導体部210a及び第2レンズ部磁性導体部210bの開口部と略等しいことが好ましい。
図17は、多軸電子レンズのレンズ強度を調整するレンズ強度調整部の一例を示す。第1レンズ強度調整部17、第2レンズ強度調整部25、第3レンズ強度調整部35、及び第4レンズ強度調整部37は、それぞれ同様の構成及び機能を有してよい。以下、代表して第1レンズ強度調整部17を例に用いて説明する。
図17(a)は、第1レンズ強度調整部17及び多軸電子レンズに含まれるレンズ部202の断面図を示す。第1レンズ強度調整部17は、多軸電子レンズに対して略平行に設けられた基材530と、基材530に設けられ、多軸電子レンズのレンズ強度を調整するレンズ強度調整器の一例である調整電極532とを備える。
第1レンズ強度調整部17は、調整電極532に所定の電圧を印加することにより所望の電界を発生させる。そして、発生した電界により、レンズ開口部204に入射される電子ビームは減速又は加速される。減速されてレンズ開口部204に入射された電子ビームは、減速されずに入射された場合と比較して、レンズ開口部204を通過する時間が長い。即ち、入射された電子ビームに対して、レンズ開口部204に形成された磁界が与えるレンズ強度を調整することができる。従って、減速されずに入射された場合もしくは他のレンズ開口部204に入射された電子ビームより、第1レンズ部磁性導体部210a及び第2レンズ部磁性導体部210bによりレンズ開口部204に形成される磁界の影響を長く受けるため、電子ビームの焦点位置及び電子ビームの露光像の回転を調整することができる。各レンズ開口部204に対して調整電極532を設けることにより、レンズ開口部204を通過する各電子ビームに対して独立に焦点位置や露光像の回転等を調整することができる。
調整電極532は、基材530からレンズ開口部204に渡って、レンズ部磁性導体部210と絶縁されるように設けられるのが望ましい。本実施例において調整電極532は、円筒型の電極であって、レンズ開口部204を通過する電子ビームに対して周設される。また、本実施例において基材530は、多軸電子レンズと電子ビームを発生する電子ビーム発生部10との間に、第2レンズ部磁性導体部210bに対向するように設けられる。また、調整電極532は、電子ビームの照射方向に、調整電極532の内径より長く設けられる。更に調整電極532は、第2レンズ部磁性導体部210bと異なる他のレンズ部磁性導体部である第1レンズ部磁性導体部210aより電子ビームの照射方向に対して突出するように設けられる。他の例において、基材530は、多軸電子レンズとウェハ44との間であって第1レンズ部磁性導体部210aに対向するように設けられてもよい。
図17(b)は、第1レンズ強度調整部17の調整電極532が設けられた面の上面図を示す。第1レンズ強度調整部17は、各調整電極532に対して所望の電圧を印加する調整電極制御部536を更に有する。調整電極532は、基材530に設けられた配線538を介して調整電極制御部536と電気的に接続されるのが望ましい。また、第1レンズ強度調整部17は、複数の調整電極制御部536を有し、各調整電極532に印加する電圧を個別にするのが更に好ましい。また、各調整電極532は、複数の電極を有する構造であってよく、例えば、図8(a)に示すように、対向する8極の電極を有してもよい。当該複数の電極は、電子ビームの照射方向に対して実質的に垂直な方向に電界を形成するように設けられればよい。このとき、第1レンズ強度調整部17は、当該8極の電極に異なる電圧を印加する手段を更に有することが好ましい。調整電極532に含まれる各電極に異なる電圧を印加することにより、更に電子ビームの非点補正や偏向を行うことができる。また、電子ビームの偏向位置や断面サイズに起因する焦点ずれを補正することができる。
図18は、多軸電子レンズのレンズ強度を調整するレンズ強度調整部の他の例を示す。図18(a)は、第1レンズ強度調整部17及び多軸電子レンズに含まれるレンズ部202の断面図を示す。第1レンズ強度調整部17は、多軸電子レンズに対して略平行に設けられた基材540と、基材540に設けられ、多軸電子レンズのレンズ強度を調整するレンズ強度調整器の一例である調整コイル542とを備える。第1レンズ強度調整部17は、調整電極532に所定の電流を供給することにより所望の磁界を発生させ、レンズ開口部204において第1レンズ部磁性導体部210a及び第2レンズ磁性導体部210bが形成する磁界強度を調整することができる。即ち、レンズ開口部204に形成された磁界が、当該レンズ開口部を通過する電子ビームに対して与える力であるレンズ強度を調整することができる。そして、レンズ開口部204に入射された電子ビームは、第1レンズ部磁性導体部210a及び第2レンズ磁性導体部210bが形成する磁界と、調整コイル542が形成する磁界との影響を受けるため、電子ビームの焦点位置及び電子ビームの露光像の回転を調整することができる。更に、各レンズ開口部204に対して調整コイル532を設けることにより、レンズ開口部204を通過する各電子ビームに対して独立に焦点、及び/又は像の回転等を調整することができる。
調整コイル542は、基材530からレンズ開口部204に渡って、レンズ部磁性導体部210と絶縁されるように設けられるのが望ましい。本実施例において調整コイル542は、ソレノイドコイルであって、レンズ開口部204を通過する電子ビームに対して周設される。また、本実施例において基材540は、多軸電子レンズと電子ビームを発生する電子ビーム発生部10との間に、第2レンズ部磁性導体部210bに対向するように設けられ、第2レンズ部磁性導体部210bと異なる他のレンズ部磁性導体部である第1レンズ部磁性導体部210aより電子ビームの照射方向に対して突出するように設けられる。他の例において調整コイル532は、レンズ開口部204の外部においてレンズ開口部204に形成される磁界に影響を与えるように電子ビームの光軸に対して周設されてもよい。また、第1レンズ強度調整部17は、調整コイル542の近傍もしくは調整コイル542に接するように設けられ、調整コイル542において発生した熱を誘導する放熱部材を更に有してもよい。放熱部材は、例えば筒状の非磁性導体部材であってよく、調整コイル542の周囲に設けられる。
図18(b)は、第1レンズ強度調整部17の調整コイル542が設けられた面の上面図を示す。第1レンズ強度調整部17は、各調整コイル542に対して所望の電流を供給する調整コイル制御部546を更に有する。調整コイル542は、基材540に設けられた配線548を介して調整コイル制御部546と電気的に接続されるのが望ましい。また、第1レンズ強度調整部17は、複数の調整コイル制御部546を有し、各調整コイル542に供給する電圧を個別にするのが更に好ましい。
図19は、第1成形偏向部18及び遮蔽部600の構成を示す。図19(a)は、第1成形偏向部18及び遮蔽部600の断面図である。図19(b)は、第1成形偏向部18及び遮蔽部600の上面図である。以下、第1成形偏向部18を用いて説明するが、第2成形偏向部20及びブランキング電極アレイ26も、第1成形偏向部18と同様の構成を有してよい。
第1成形偏向部18は、電子ビームの照射方向に略垂直に設けられた基材186と、基材186に設けられた開口部194と、開口部194のそれぞれに電子ビームの照射方向に沿って設けられた偏向器190とを有する。また、遮蔽部600は、電子ビームの照射方向に略垂直に設けられた第1遮蔽基板602と、第1遮蔽基板602に電子ビームの照射方向に沿って設けられた第1遮蔽電極604と、基材186を挟んで第1遮蔽基板602と対向する位置に、電子ビームの照射方向と略垂直に設けられた第2遮蔽基板608と、第2遮蔽基板608に電子ビームの照射方向に沿って設けられた第2遮蔽電極610とを有する。
第1遮蔽電極604は、複数の偏向器190の間に、電子ビームの照射方向に沿って、偏向器190の一端より電子ビーム発生部10(図1参照)に近い位置から、偏向器190の一端よりウェハ44(図1参照)に近い位置まで設けられることが好ましい。また、第1遮蔽電極604は、接地されることが好ましい。第2遮蔽電極610は、基材186を挟んで第1遮蔽電極と対向する位置に、電子ビームの照射方向に沿って設けられることが好ましい。また、第2遮蔽電極610は、接地されることが好ましい。また、図19(b)に示すように、第1遮蔽電極604及び第2遮蔽電極610は、複数の偏向器190のそれぞれの間に格子状に設けられることが好ましい。
図20は、第1遮蔽電極604及び第2遮蔽電極610の構成を示す。第1遮蔽電極604及び第2遮蔽電極610は、電子ビームの照射方向と略垂直な方向に複数の開口部を有することが好ましい。また、図20に示すように、第1遮蔽電極604及び第2遮蔽電極610は、網目状であることがさらに好ましい。筐体8内部に設けられた第1遮蔽電極604及び第2遮蔽電極610に開口部を設けることにより、排気孔708から筐体8を真空排気する場合において、排気のコンダクタンスを下げることなく、複数の偏向器によって生成される電界による電子ビームへの干渉を防ぎ、電子ビームを精度よく照射させることができる。
図21は、第1成形偏向部18及び遮蔽部600の構成の他の例を示す。図21(a)は、第1成形偏向部18及び遮蔽部600の断面図を示す。図21(b)は、第1成形偏向部18及び遮蔽部600をウェハ44の方向から見た図を示す。
図21(a)及び(b)に示すように、第1遮蔽電極606は、複数の偏向器190のそれぞれの周囲に円筒形状に設けられてもよい。また、遮蔽電極は、所定の第1成形偏向部18によって生成された電界が、当該所定の第1成形偏向部18の開口部194を通過する電子ビーム以外の電子ビームに影響を及ぼさないように、所定の第1成形偏向部18と他の第1成形偏向部18とにより生成される電界を遮蔽する形状であればよい。
図22は、第1成形偏向部18の構成の他の例を示す。図22(a)に示すように、本例による第1成形偏向部18は、電子ビームの照射方向に略垂直に設けられた基材186、基材186に設けられた開口部194と、開口部194のそれぞれに電子ビームの照射方向に沿って設けられた偏向器190と、複数の開口部194のそれぞれの間に設けられた第1遮蔽電極604と、基材186を挟んで第1遮蔽電極604と対向する位置に、基材186と略垂直な方向に沿って設けられた第2遮蔽電極610とを有する。
偏向器190は、基材186から、基材186と略垂直な方向である第1の方向に沿って設けられており、第1遮蔽電極604は、基材186から、当該第1の方向に沿って偏向器190より長く設けられることが好ましい。第1遮蔽電極604及び第2遮蔽電極610は、複数の開口部194のそれぞれの間に格子状に設けられてもよい。また、第1遮蔽電極604及び第2遮蔽電極610は、複数の開口部194のそれぞれの周囲に設けられてもよい。
さらに、第1遮蔽電極604及び第2遮蔽電極610は、基材186と略垂直な方向に複数の開口部を有してもよい。また、第1遮蔽電極604及び第2遮蔽電極610は、網目状であることがさらに好ましい。また、第1遮蔽電極604及び第2遮蔽電極610は、基材186の上面及び下面のそれぞれに、複数の開口部のそれぞれの間に設けられていればよい。
図23は、偏向部60、第5多軸電子レンズ62、及び遮蔽部900の構成の一例を示す。図23(a)に示すように、偏向部60は、基材186と、第5多軸電子レンズ62のレンズ開口部の内部に設けられた複数の偏向器190とを有する。また、第5多軸電子レンズ62は、複数の電子ビームが通過する複数の第1開口部を含む第1レンズ部磁性導体部210aと、第1レンズ部磁性導体部210aと略平行に設けられ、第1開口部のそれぞれを通過した複数の電子ビームのそれぞれが通過する複数の第2開口部を含む第2レンズ部磁性導体部210bとを有する。
また、遮蔽部900は、第1レンズ部磁性導体部210aから電子ビーム発生部10の方向に設けられた第1遮蔽電極902と、第1レンズ部磁性導体部210aと略平行に設けられ、第1遮蔽電極を保持する第1遮蔽基板904と、第2レンズ部磁性導体部210bからウェハ44の方向に設けられた第2遮蔽電極910と、第2レンズ部磁性導体部210bと略平行に設けられ、第2遮蔽電極910を保持する第2遮蔽基板908と、第1レンズ部磁性導体部210aと第2レンズ部磁性導体部210bとの間に設けられた第3遮蔽電極906とを有する。
第1遮蔽電極902、第2遮蔽電極910、及び第3遮蔽電極906は、複数のレンズ開口部のそれぞれの間に格子状に設けられてもよい。また、第1遮蔽電極902、第2遮蔽電極910、及び第3遮蔽電極906は、複数のレンズ開口部のそれぞれの周囲に設けられてもよい。さらに、第1遮蔽電極902、第2遮蔽電極910、及び第3遮蔽電極906は、基材186と略垂直な方向に複数の開口部を有してもよい。また、第1遮蔽電極902、第2遮蔽電極910、及び第3遮蔽電極906は、網目状であることがさらに好ましい。
また、遮蔽部900は、第1遮蔽基板904を有さず、第1遮蔽電極902は基材186に保持されてもよい。また、遮蔽部900は、第2遮蔽基板908を有さず、第2遮蔽電極910は第2レンズ部磁性導体部210bに保持されてもよい。また、図23(b)に示すように、偏向器190が第2レンズ部磁性導体部210bよりウェハ44の方向に突出しない場合に、遮蔽部900は、第2遮蔽電極910を有しなくてもよい。
図24は、遮蔽部(600、900)により遮蔽された電界を示す。ここでは遮蔽部(600、900)により遮蔽される電界の一例として、第1成形偏向部18において複数の偏向器190により形成される電界を示す。電極間に遮蔽部(600、900)を設けることにより、所定の偏向器によって生成された電界が、当該所定の偏向器を通過する電子ビーム以外の電子ビームに及ぼす影響を大幅に低減することができる。
具体的な例として、開口部194aを通過する電子ビームを偏向すべく偏向器190aが有する偏向電極に負の電圧を印加し、また開口部194cを通過する電子ビームを偏向すべく偏向器190cが有する偏向電極に正の電圧を印加し、さらに開口部194bを通過する電子ビームを直進させるべく偏向器190bが有する偏向電極には電圧を印加しないような場合である。このとき、図24に示すように、第1遮蔽電極604及び第2遮蔽電極610は、偏向器190a及び偏向器190cによって生成される電界を遮蔽して、偏向器190a及び偏向器190cが偏向器190bを通過する電子ビームへの影響を大幅に低減させることができ、複数の電子ビームを精度よくウェハに照射させることができる。
図25は、第1成形部材14及び第2成形部材22の一例を示す。第1成形部材14は、電子ビーム発生部10が発生した各々の電子ビームが照射される複数の成形部材照射領域560を有する。第1成形部材14は、それぞれの成形部材照射領域560において、照射された各々の電子ビームを成形する第1成形開口部を有する。当該第1成形開口部は、矩形形状を有することが好ましい。
同様に、第2成形部材22は、第1成形偏向部18及び第2成形偏向部20が、第1成形部材14において成形されたそれぞれの電子ビームを偏向し、第2成形部材22に照射する領域である複数の成形部材照射領域560を有する。第2成形開口部材22は、成形部材照射領域560において、照射された各々の電子ビームを成形する第2成形開口部を有する。第2成形開口部は、矩形形状を有することが好ましい。
図26は、第2成形部材22における成形部材照射領域560の他の例を示す。図26(a)に示すように、成形部材照射領域560は、図25において説明した第2成形開口部562、及び第2成形開口部562と異なる形状を有するパターン開口部が設けられる領域である複数のパターン開口部領域564を有する。パターン開口部領域564の大きさは、第1成形部材14において成形される電子ビームの最大の大きさと実質的に同じ、又は当該最大の大きさより小さいことが好ましい。また、パターン開口部領域564の形状は、第1成形部材14において成形された電子ビームの断面形状と同じ形状、又は相似形であることが好ましい。
図26(b)〜(e)は、パターン開口部566の一例を示す。図26(b)及び図26(c)に示すように、パターン開口部566は、例えばウェハに設けられるトランジスタと配線とを電気的に接続するためのコンタクトホールや、配線同士を電気的に接続するためのスルーホールなどの一定の間隔や一定の周期で設けられた穴形状を露光するための開口部であるのが好ましい。また、図26(d)及び図26(e)に示すように、パターン開口部566は、例えばトランジスタのゲート電極や配線などの一定の間隔や一定の周期で設けられたライン・アンド・スペースのパターンを露光するための開口部であってもよい。
第1成形部材14において成形されたそれぞれの電子ビームが、対応するそれぞれの成形部材照射領域560が有するパターン開口部領域564の全面に照射されることにより、当該電子ビームが照射されたパターン開口部領域564に含まれる複数のパターン開口部566を通過したそれぞれの電子ビームが形成するパターンを一括してウェハ44の所望の領域に照射することができる。
図27は、図1において説明した制御系140の構成の一例を示す。制御系140は、統括制御部130、個別制御部120、多軸電子レンズ制御部82、及びウェハステージ制御部96を備える。統括制御部130は、制御系140を統括制御する中央処理部220と、ウェハ44に対して露光すべき露光パターンを格納する露光パターン格納部224と、露光パターン格納部224に格納された露光パターンに基づいて、各電子ビームが露光すべき領域における露光パターンである露光データを生成する露光パターン生成部222と、露光データを記憶する記憶部である露光データ記憶部226と、露光データを他の制御部に対して共有させる露光データ共有部228と、露光データ及びウェハステージ46の位置情報を算出する位置情報算出部230とを有する。
個別制御部120は、電子ビーム発生部10を制御する電子ビーム制御部80と、成形偏向部(18、20)を制御する成形偏向制御部84と、レンズ強度調整部(17、25、35、37)を制御するレンズ強度制御部88と、ブランキング電極アレイ26を制御するブランキング電極アレイ制御部86と、偏向部60を制御する偏向制御部98とを有する。また、多軸電子レンズ制御部82は、中央処理部220からの指示に基づいて、多軸電子レンズ(16、24、34、36、62)に設けられたコイルに供給する電流を制御する。
次に、本実施例における制御系140の動作について説明する。露光パターン格納部224に格納された露光パターンに基づいて、露光パターンデータ生成部222は、露光データを生成し、露光データ記憶部226に格納する。露光データ共有部228は、露光データ記憶部226に格納された露光データを読み出し、記憶し、位置情報算出部230及び電子ビーム毎制御部122に供給する。露光データ記憶部226は、露光データを一時的に記憶するバッファ記憶部であるのが好ましく、露光データ共有部が有する露光データが対応する露光領域の、次に露光すべき露光領域に対応する露光データを格納するのが好ましい。そして、電子ビーム毎制御部122は、受け取った露光データに基づいて、各電子ビームを制御する。また、位置情報算出部230は、受け取った露光データに基づき、ウェハステージ46が移動すべき位置を調整する情報をウェハステージ制御部96に供給する。そして、ウェハステージ制御部96は、当該情報及び中央処理部220からの指示に基づき、ウェハステージ46を所定の位置に移動させるべくウェハステージ駆動部48を制御する。
図28は、個別制御系120に含まれる各構成の詳細を示す。ブランキング電極アレイ制御部126は、基準クロックを発生し、受け取った露光データに基づいて、当該電子ビームに対応する偏向電極168に電圧を印加するか否かを、当該クロックに応じて電極毎に制御する個別ブランキング電極制御部126と、個別ブランキング電極制御部126から出力された信号を増幅してブランキング電極アレイ26に供給する増幅部146とを有する。
成形偏向制御部84は、受け取った露光データに基づいて、成形偏向部(18、20)が有する各偏向電極に対して印加する電圧を示す電圧データをそれぞれ出力する複数の個別成形偏向制御部124と、個別成形偏向制御部124から受け取ったディジタルデータである当該電圧データをアナログデータに変換し、出力するディジタル・アナログ変換器(DAC)134と、DAC134から受け取ったアナログデータを増幅して成形偏向部(18、20)に供給する増幅部144とを有する。
レンズ強度制御部88は、各レンズ強度調整部(17、25、35、37)に印加する電圧及び/又は供給する電流を制御するデータを出力する個別レンズ強度制御部125と、個別レンズ強度制御部125から受け取った当該データをアナログデータに変換して出力するDAC135と、DAC135から受け取ったアナログデータを増幅してレンズ強度調整部(17、25、35、37)に供給する増幅部145とを有する。
レンズ強度調整部88は、中央処理部220からの指示に基づいて、各多軸電子レンズにおけるレンズ開口部204のレンズ強度が、略均一になるように各レンズ強度調整部(17、25、35、37)に印加する電圧及び/又は供給する電流を制御する。本実施例においてレンズ強度調整部88は、露光処理中、各レンズ強度調整部(17、25、35、37)に一定の電圧及び/又は電流を供給する。この場合においてレンズ強度調整部88は、露光処理を行う前に取得した各電子ビームのウェハ44に対する焦点及び/又は回転を校正するデータに基づいて、各レンズ強度調整部(17、25、35、37)を制御する。即ち、レンズ強度制御部88は、露光処理中、露光データに基づかないで各レンズ強度調整部(17、25、35、37)を制御してよい。
偏向制御部98は、受け取った露光データに基づいて、偏向部60が有する偏向電極に対して印加する電圧を示す電圧データを出力する個別偏向制御部128と、個別偏向制御部128から受け取ったディジタルデータである当該電圧データをアナログデータに変換し、出力するDAC138と、DAC138から受け取ったアナログデータを増幅して偏向部38に供給するAMP148とを有する。偏向制御部98は、偏向部60が有するそれぞれの偏向電極に対して、個別偏向制御部128、DAC138、及びAMP148を有することが望ましい。
成形偏向制御部84、ブランキング電極アレイ制御部86、及び偏向処理部88の動作について説明する。まず、個別ブランキング電極制御部126が、露光データ及び基準クロックに基づいて、ブランキング電極アレイ26が有する各偏向電極168に対して電圧を印加するタイミングを定める。本実施例において個別ブランキング電極制御部126は、複数の電子ビームを異なるタイミングでウェハ44に照射するか否かを制御する。即ち、各電子ビームに対してそれぞれ独立して電子ビームをウェハ44に対して照射するタイミングを発生し、ブランキング電極アレイ26を通過する各電子ビームを、それぞれ当該タイミングに応じてウェハ44に照射するか否かを制御する。また、個別ブランキング電極制御部126は、受け取った露光データ及び基準クロックに基づいて、各電子ビームをウェハ44に対して照射する時間を定めるのが好ましい。
個別成形偏向制御部124は、個別ブランキング電極制御部126が発生したタイミングに応じて、受け取った露光データに基づき電子ビームの断面形状を成形すべく成形偏向制御部(18、20)が有する偏向電極に対して印加する電圧を示す電圧データを出力する。また、個別偏向制御部128は、個別ブランキング電極制御部126が発生したタイミングに応じて、受け取った露光データに基づき、ウェハ44に対して電子ビームが照射されるべき位置に、当該電子ビームを制御すべく、偏向部60が有する偏向電極に対して印加する電圧を示す電圧データを出力する。
図29は、反射電子検出装置50の構成を一例を示す。反射電子検出装置50は、複数の電子ビームが通過する複数の開口部704が設けられた基板702と、ウェハ44又はウェハステージ46に設けられたマーク部(図示せず)から放射された電子を検出して、検出された電子量に基づく検出信号を出力する電子検出部700とを備える。本実施例における電子検出部700は、基板702に設けられた複数の開口部704の間に設けられる。つまり、電子検出部700は、隣接する2つの開口部704をそれぞれ通過する2つの電子ビームの間に設けられる。
また、電子検出部700と、当該電子検出部に隣接する2つの開口部704を通過する2つの電子ビームの光軸とは、実質的に同一直線上に設けられることが好ましい。さらに、電子ビーム発生部10は、3つ以上の電子ビームを略等しい間隔を隔てて発生し、電子検出部700は、3つ以上の開口部704をそれぞれ通過する3つ以上の電子ビームのそれぞれの間に設けられることが望ましい。また、開口部704は、格子状に設けられることが好ましく、電子検出部700は、格子状に設けられた開口部704のそれぞれの間に設けられることが望ましい。また、電子検出部700は、最外周に設けられた開口部704の外周にさらに設けられてもよい。
図30は、反射電子検出装置50の構成の他の例を示す。反射電子検出装置50は、複数の電子ビームが通過する複数の開口部704が設けられた基板702と、ウェハ44又はウェハステージ46に設けられたターゲットマークから放射された電子を検出して、検出された電子量に基づく検出信号を出力する電子検出部700とを備える。本実施例における電子検出部700は、基板702に設けられた複数の開口部704の間に複数設けられる。つまり、電子検出部700は、隣接する2つの開口部704をそれぞれ通過する2つの電子ビームの間に複数設けられており、2つの開口部704のそれぞれに対応して設けられる。また、電子検出部700は、基板702に設けられた複数の開口部704のそれぞれの周囲に設けられる。
複数の電子検出部700と、当該電子検出部に隣接する2つの開口部704を通過する2つの電子ビームの光軸とは、実質的に同一直線上に設けられることが好ましい。さらに、電子ビーム発生部10は、3つ以上の電子ビームを略等しい間隔を隔てて発生し、電子検出部700は、3つ以上の開口部704をそれぞれ通過する3つ以上の電子ビームのそれぞれの間に複数設けられることが望ましい。また、開口部704は、格子状に設けられることが好ましく、電子検出部700は、格子状に設けられた開口部704のそれぞれの間に複数設けられることが望ましい。また、電子検出部700は、最外周に設けられた開口部704の外周にさらに設けられてもよい。
図31は、反射電子検出装置50の構成の他の例を示す。反射電子検出装置50は、複数の電子ビームが通過する複数の開口部704が設けられた基板702と、ウェハ44又はウェハステージ46に設けられたターゲットマークから放射された電子を検出して、検出された電子量に基づく検出信号を出力する電子検出部700と、複数の開口部の間に設けられた遮蔽板706とを備える。本実施例において電子検出部700は、基板702に設けられた複数の開口部704の間に複数設けられる。また、複数の電子検出部700は、複数の開口部704のそれぞれに対応して設けられる。
電子検出部700は、基板702に設けられた複数の開口部704のそれぞれの周囲に更に設けられるのが好ましい。また、所定の電子ビームと、当該所定の電子ビームと隣接して照射される電子ビームとの間に、遮蔽板706が設けられるのが好ましい。つまり、遮蔽板706は、所定の開口部704の周囲に設けられた電子検出部700と、当該所定の開口部704に隣接する開口部の周囲に設けられた電子検出部700との間に設けられる。
遮蔽板706は、所定の電子ビームと、電子検出部との間に設けられていればよい。また、遮蔽板706は、電子ビームのウェハが載置される面における照射位置と、第2電子ビームに設けられた電子検出部との間に設けられることが好ましい。また、遮蔽板706は、非磁性導体材料により形成されることが望ましい。さらに、遮蔽板706は、基板702に電気的に接続されることにより、接地されるのが望ましい。
図32は、反射電子検出装置50の構成の他の例を示す。遮蔽板708は、格子状に設けられた複数の開口部704のそれぞれの周囲に設けられた電子検出部700のそれぞれの間に、格子状に設けられてもよい。また、遮蔽板708は、所定のターゲットマークから放射された電子が、当該所定のターゲットマークに対応して設けられた所定の電子検出部以外の他の電子検出部に放射されないように、所定の電子検出部と他の電子検出部とを遮蔽する形状であればよい。
図33は、本発明に係る電子ビーム露光装置100の他の例を示す。本実施例において各電子ビームは隣接する他の電子ビームに対して狭い間隔に設けられる。例えば、全ての電ビームが、ウェハに設けられるべき1つのチップの領域に収まるような間隔であってよい。また、図1における電子ビーム露光装置、及び図33における電子ビーム露光装置で、同一の符号を付した構成は、同様の構成及び機能を有してもよい。以下、主に図1において説明した電子ビーム露光装置の構成及び機能と異なる構成、動作、及び機能について説明する。
電子ビーム成形手段は、複数の電子ビームを発生させる電子ビーム発生部10と、発生した電子ビームを放出させるアノード13と、電子ビームを通過させることにより電子ビームの断面形状を成形する複数の開口部を有するスリットカバー11、第1成形部材14、及び第2成形部材22と、複数の電子ビームを独立に集束し、電子ビームの焦点を調整する第1多軸電子レンズ16と、アノード13を通過した電子ビームを独立して偏向するスリット偏向部15と、第1成形部材14を通過した複数の電子ビームを独立に偏向する第1成形偏向部18及び第2成形偏向部20とを有する。
スリットカバー11、第1成形部材14、及び第2成形部材22は、電子ビームが照射される面に、接地された白金などの金属膜を有することが望ましい。また、スリットカバー11、第1成形部材14、及び第2成形部材22は、それぞれスリットカバー11、第1成形部材14、及び第2成形部材22を冷却する冷却部を有するのが望ましい。スリットカバー11、第1成形部材14、及び第2成形部材22は、冷却部を有することにより、照射された電子ビームの熱による温度上昇を抑えることができる。
スリットカバー11、第1成形部材14、及び第2成形部材22に含まれる複数の開口部の断面形状は、電子ビームを効率よく通過させるために、電子ビームの照射方向に沿って広がりを有してもよい。また、スリットカバー11、第1成形部材14及び第2成形部材22に含まれる複数の開口部は、矩形に形成されるのが好ましい。
照射切替手段は、複数の電子ビームを独立に集束し、電子ビームの焦点を調整する第2多軸電子レンズ24と、複数の電子ビームを、電子ビーム毎に独立に偏向させることにより、電子ビームをウェハ44に照射するか否かを、電子ビーム毎に独立に切替えるブランキング電極アレイ26と、電子ビームを通過させる複数の開口部を含み、ブランキング電極アレイ26で偏向された電子ビームを遮蔽する電子ビーム遮蔽部材28とを有する。電子ビーム遮蔽部材28に含まれる複数の開口部の断面形状は、電子ビームを効率良く通過させるために、電子ビームの照射方向に沿って広がりを有してもよい。
ウェハ用投影系は、複数の電子ビームを独立に集束し、ウェハ44に照射される電子ビームの回転を調整する第3多軸電子レンズ34と、複数の電子ビームを独立に集束し、ウェハ44に照射される電子ビームの縮小率を調整する第4多軸電子レンズ36と、複数の電子ビームを、ウェハ44の所望の位置に、電子ビーム毎に独立に偏向する独立偏向部である副偏向部38と、対物レンズとして機能し、電子ビームを集束する第1コイル40及び第2コイル50を有する同軸レンズ52と、複数の電子ビームを略同一の方向に所望量だけ偏向させる共通偏向部である主偏向部42とを有する。副偏向部38は、第1コイル54と第2コイル40との間に設けられてもよい。
主偏向部42は、電界を利用して高速に複数の電子ビームを偏向することが可能な静電型偏向器であることが好ましく、対向する4組の電極を有する円筒型均等8極型の構成、もしくは8極以上の電極を含む構成を有することが更に好ましい。また、同軸レンズ52は、ウェハ44に対して、多軸電子レンズより近傍に設けられることが好ましい。また、本実施例において第3多軸電子レンズ34及び第4多軸電子レンズ36は一体に形成されているが、他の例においては別個に形成されてもよい。
制御系140は、統括制御部130と、多軸電子レンズ制御部82と、同軸電子レンズ制御部90と、主偏向制御部94と、反射電子処理部99と、ウェハステージ制御部96と、複数の電子ビームに対する露光パラメータをそれぞれ独立に制御する個別制御部120とを備える。統括制御部130は、例えばワークステーションであって、個別制御部120に含まれる各制御部を統括制御する。多軸電子レンズ制御部82は、第1多軸電子レンズ16、第2多軸電子レンズ24、第3多軸電子レンズ34及び第4多軸電子レンズ36に供給する電流を制御する。同軸電子レンズ制御部90は、同軸レンズ52を構成する第1コイル40及び第2コイル54に供給する電流量を制御する。主偏向制御部94は、主偏向部42に印加する電圧を制御する。反射電子処理部99は、反射電子検出装置50において検出された反射電子や2次電子等の量に基づく信号を受け取り、統括制御部130に通知する。ウェハステージ制御部96は、ウェハステージ駆動部48を制御し、ウェハステージ46を所定の位置に移動させる。
個別制御部120は、電子ビーム発生部10を制御する電子ビーム制御部80と、第1成形偏向部18及び第2成形偏向部20を制御する成形偏向制御部84と、ブランキング電極アレイ26に含まれる偏向電極に印加する電圧を制御するブランキング電極アレイ制御部86と、副偏向部38が有する複数の偏向器に含まれる電極に印加する電圧を制御する副偏向制御部98とを有する。
本実施例における電子ビーム露光装置100の動作について説明する。まず、電子ビーム発生部10が、複数の電子ビームを生成する。電子ビーム発生部10において発生された電子ビームはアノード13を通過し、スリット偏向部15に入射する。スリット偏向部15は、アノード13を通過した電子ビームのスリットカバー11への照射位置を調整する。
スリットカバー11は、第1成形部材14に照射される電子ビームの面積を小さくすべく各電子ビームの一部を遮蔽し、電子ビームの断面を所定の大きさに成形する。スリットカバー11において成形された電子ビームは、第1成形部材14に照射され更に成形される。第1成形部材14を通過した電子ビームは、第1成形部材14に含まれる開口部の形状に対応する矩形の断面形状をそれぞれ有する。また、第1多軸電子レンズ16は、第1成形部材14において矩形に成形された複数の電子ビームを独立に集束し、第2成形部材22に対する電子ビームの焦点を、電子ビーム毎に独立に調整する。
第1成形偏向部18は、矩形に成形された複数の電子ビームを、第2成形部材に対して所望の位置に照射すべく電子ビーム毎に独立して偏向する。第2成形偏向部20は、第1成形偏向部18で偏向された複数の電子ビームを、第2成形部材22に対して略垂直方向に照射すべく電子ビーム毎に独立に偏向する。その結果、電子ビームが、第2成形部材22の所望の位置に、第2成形部材22に対して略垂直に照射される。矩形形状を有する複数の開口部を含む第2成形部材22は、各開口部に照射された矩形の断面形状を有する複数の電子ビームを、ウェハ44に照射されるべき所望の矩形の断面形状を有する電子ビームに更に成形する。
第2多軸電子レンズ24は、複数の電子ビームを独立に集束して、ブランキング電極アレイ26に対する電子ビームの焦点を、電子ビーム毎に独立に調整する。第2多軸電子レンズ24より焦点が調整された電子ビームは、ブランキング電極アレイ26に含まれる複数のアパーチャを通過する。
ブランキング電極アレイ制御部86は、ブランキング電極アレイ26に形成された各アパーチャの近傍に設けられた偏向電極に電圧を印加するか否かを制御する。ブランキング電極アレイ26は、偏向電極に印加される電圧に基づいて、電子ビームをウェハ44に照射させるか否かを切替える。電圧が印加されたときは、アパーチャを通過した電子ビームは偏向され、電子ビーム遮蔽部材28に含まれる開口部を通過できず、ウェハ44に照射されない。電圧が印加されないときには、アパーチャを通過した電子ビームは偏向されず、電子ビーム遮蔽部材28に含まれる開口部を通過することができ、電子ビームはウェハ44に照射される。
ブランキング電極アレイ26により偏向されない電子ビームは、第3多軸電子レンズ34によりウェハ44に照射される電子ビーム像の回転を調整する。第4多軸電子レンズ36は、入射された電子ビームの照射径を縮小する。そして、第3多軸電子レンズ34及び第4多軸電子レンズ36を通過した電子ビームのうち、ブランキング電極アレイ26により偏向されない電子ビームが、電子ビーム遮蔽部材28を通過し、副偏向部38に入射する。
副偏向制御部92が、副偏向部38に含まれる複数の偏向器を独立に制御する。副偏向部38は、複数の偏向器に入射される複数の電子ビームを、電子ビーム毎に独立にウェハ44の所望の位置に偏向する。副偏向部38を通過した複数の電子ビームは、第1コイル40及び第2コイル50を有する同軸レンズ52により、ウェハ44に対する焦点が調整され、ウェハ44に照射される。
露光処理中、ウェハステージ制御部96は、一定方向にウェハステージ48を動かす。ブランキング電極アレイ制御部86は露光パターンデータに基づいて、電子ビームを通過させるアパーチャを定め、各アパーチャに対する電力制御を行う。ウェハ44の移動に合わせて、電子ビームを通過させるアパーチャを適宜、変更し、更に主偏向部42及び副偏向部38により電子ビームを偏向することにより、ウェハ44に所望の回路パターンを露光することが可能となる。電子ビームの照射方法については、図37及び図38に関連して詳述する。
本実施例における電子ビーム露光装置100は、複数の電子ビームを独立に集束するため、各電子ビーム自身にクロスオーバは発生するが、複数の電子ビーム全体としては、クロスオーバは発生しない。そのため各電子ビームの電流密度を上げた場合であっても、クーロン相互作用による電子ビームの焦点ずれや位置ずれの原因となる電子ビーム誤差を大幅に低減することができる。
図34は、図33における電子ビーム発生部10の構成を示す。図34(a)は、電子ビーム発生部10の断面図を示す。本実施例において、電子ビーム発生部10は、碍子106と、例えばタングステンやランタンヘキサボランなどの熱電子放出材料などにより形成されたカソード12と、カソード12を囲むように形成されたグリッド102と、カソード12に電流を供給するためのカソード配線500と、グリッド102に電圧を印加するためのグリッド配線502と、絶縁層504とを有する。本実施例において、電子ビーム発生部10は、碍子106に複数の電子銃104を所定の間隔に有することにより、電子銃アレイを形成する。
電子ビーム発生部10は、例えば出力電圧が50kV程度である、各カソード12に対して共通のベース電源(図示せず)を有することが好ましい。カソード12は、カソード配線500を介して、ベース電源に電気的に接続される。カソード配線500は、例えばタングステンなどの高融点金属により形成されるのが好ましい。他の例においては、電子ビーム発生部10が、各カソード12に対して個別にベース電源を有してもよい。このとき、カソード配線500は、各カソード12と対応する各電源とを個別に接続するように形成される。
本実施例において、電子ビーム発生部10は、例えば出力電圧が200V程度である個別電源(図示せず)を、複数のグリッド102毎に有する。各グリッド102は、グリッド配線502を介して、対応する個別電源に接続される。グリッド配線502は、例えばタングステンなどの高融点金属により形成されるのが好ましい。また、グリッド102及びグリッド配線502は、カソード12及びカソード配線500と、絶縁層504により電気的に絶縁されるのが望ましい。本実施例において、絶縁層504は、例えば酸化アルミニウムなどの絶縁性及び耐熱性を有するセラミック材料により形成される。
図34(b)は、電子ビーム発生部10の、ウェハ44(図33参照)からの図を示す。本実施例において、電子ビーム発生部10は、碍子106に、複数の電子銃104を所定の間隔で設けることにより、電子銃アレイを形成する。グリッド配線502は、絶縁層504の帯電を抑制するように、絶縁層504に形成されるのが好ましい。具体的には、グリッド102と絶縁層504とを結ぶ直線上に、グリッド配線502が形成されるのが好ましい。各グリッド配線502を、各グリッド配線間が短絡しないに設けてもよく、好ましくは、図34(b)に示すように、各グリッド配線間が、短絡しない範囲で、できる限り近接した距離に設ける。
本実施例において、電子ビーム発生部10は、カソード12に電流を供給することにより、カソード12を加熱し、熱電子を発生させる。カソード12と、カソード配線500との間に、例えば炭素などの発熱部材を設けてもよい。更に、カソード12に50kVの負電圧を印加することにより、カソード12とアノード13(図33参照)との間に電位差を生じさせる。そして、当該電位差を利用して、発生した熱電子を引き出し、加速することにより電子ビームを得る。
そして、グリッド102に、カソード12の電位に対して数百Vの負電圧を印加し、アノード13の方向へ、熱電子を押し出す量を調整することにより、電子ビームを安定化させる。電子ビーム発生部10は、複数の個別電源により、グリッド102毎に独立に電圧を印加し、カソード12で発生した熱電子を、アノード13の方向へ押し出す量を調整することにより、発生する複数の電子ビーム毎に、電子ビーム量を調整することが好ましい。また、他の例においてはスリットカバー11(図33参照)をアノードとして用いてもよい。
他の例においては、電子ビーム発生部10は、電界放射デバイスを有することにより、電子ビームを発生させてもよい。また、電子ビーム発生部10は、安定した電子ビームを発生するのに所定の時間がかかるので、電子ビーム発生部10は、露光処理期間において常に電子ビームを発生するのが好ましい。
図35は、図33におけるブランキング電極アレイ26の構成を示す。図35(a)は、ブランキング電極アレイ26の全体図を示す。ブランキング電極アレイ26は、電子ビームが通過する複数のアパーチャを有するアパーチャ部160と、図33におけるブランキング電極アレイ制御部86との接続部となる偏向電極パッド162及び接地電極パッド164とを有する。アパーチャ部160は、ブランキング電極アレイ26の中央部に配置されることが望ましい。偏向電極パッド162及び接地電極パッド164は、プローブカードやポゴピンアレイなどを介して、ブランキング電極アレイ制御部86から電気信号を受け取る。
図35(b)は、アパーチャ部160の上面図を示す。図中、アパーチャ部160の横方向をx軸で表現し、縦方向をy軸で表現する。x軸は、露光処理中、ウェハステージ46(図33参照)がウェハ44を段階的に移動させる方向を示し、y軸は、露光処理中、ウェハステージ46がウェハ44を連続的に移動させる方向を示す。具体的には、ウェハステージ46に関して、y軸は、ウェハ44を走査露光させる方向であり、x軸は、走査露光終了後、ウェハ44の未露光領域を露光するためにウェハ44を段階的に移動させる方向である。
アパーチャ部160は、複数のアパーチャ166を有する。複数のアパーチャ166は、走査領域の全てを露光するように配置される。図示される例においては、複数のアパーチャが、x軸方向の両端に位置するアパーチャ166aと166bの間の領域全面を覆うように形成される。x軸方向に近接するアパーチャ166同士は、互いに一定の間隔で配置されていることが好ましい。このとき、図33を参照して、アパーチャ166同士の間隔は、主偏向部42が電子ビームを偏向する最大偏向量以下に定められるのが好ましい。
図36は、電子ビームを偏向する第1成形偏向部18の構成を示す。図36(a)は、第1成形偏向部18の全体図である。尚、電子ビーム露光装置100に含まれる第2成形偏向部20及び副偏向部38も、第1成形偏向部18と同様の構成を有しており、以下において、偏向部の構成に関して、代表して第1成形偏向部18の構成に基づいて説明する。
第1成形偏向部18は、基材186に、偏向器アレイ180及び偏向電極パッド182を有する。偏向器アレイ180は、基材186の中央部に設けられ、偏向電極パッド182は、基材186の周辺部に設けられる。偏向器アレイ180は、複数の偏向電極及び開口部により形成される複数の偏向器を有する。偏向電極パッド182は、プローブカードなどに接続されることにより、成形偏向制御部84(図33参照)と電気的に接続される。
図36(b)は、偏向器アレイ180を示す。偏向器アレイ180は、電子ビームを偏向する複数の偏向器184を有する。図中、偏向器アレイ180の横方向をx軸で表現し、縦方向をy軸で表現する。x軸は、露光処理中、ウェハステージ46(図33参照)がウェハ44を段階的に移動させる方向を示し、y軸は、露光処理中、ウェハステージ46がウェハ44を連続的に移動させる方向を示す。具体的には、ウェハステージ46に関して、y軸は、ウェハ44を走査露光させる方向であり、x軸は、走査露光終了後、ウェハ44の未露光領域を露光するためにウェハ44を段階的に移動させる方向である。
x軸方向に近接する偏向器184同士は、互いに一定の間隔で配置されていることが好ましい。このとき、図33を参照して、偏向器184同士の間隔は、主偏向部42が電子ビームを偏向する最大偏向量以下に定められるのが好ましい。図35(b)を参照して、偏向器アレイ180に設けられた複数の偏向器184は、ブランキング電極アレイ26に設けられた複数のアパーチャに対応して各々設けられる。
従来技術においては、ビームを縮小するために、同軸レンズが使用されていた。縮小系同軸レンズは、電子ビーム径を縮小するとともに、複数の電子ビームを集束して、電子ビーム間隔をも縮小する。そのため、従来では、特に副偏向部38において、到達する電子ビーム間隔が非常に密であるために、電子ビームを偏向する偏向器184を、電子ビーム毎に形成するのは困難であった。
本発明においては、多軸電子レンズを使用することにより、電子ビームを縮小する多軸電子レンズを電子ビームが通過した後も、電子ビーム径は縮小されるが、電子ビーム間隔は縮小されない。そのため、電子ビームが縮小された後も、各電子ビームの間隔には余裕があるため、電子ビームを所望量まで偏向できる偏向能力を有する偏向器184を容易に、且つ偏向器アレイ180上の偏向能率の良い位置に配置することができる。
図37は、本実施例における電子ビーム露光装置100のウェハ44上の露光動作を示す。まず、ウェハステージ46の露光処理中の動作について説明する。図中、ウェハ44の横方向をx軸で表現し、縦方向をy軸で表現する。露光幅A1は、x軸方向にウェハステージ46を移動することなく露光できる幅であり、図35を参照して、ブランキング電極アレイ26に含まれるアパーチャ166のx軸方向の配置幅に対応する。図33を参照して、露光処理中、成形偏向部84が、照射されるビーム形状を制御し、ブランキング電極アレイ制御部86が、電子ビームを照射するか否かを制御する。主偏向部94及び副偏向部92が、ウェハ44への電子ビームの照射位置を制御しながら、ウェハステージ制御部96が、ウェハステージ46をy軸方向に移動させることにより、露光幅A1を有する第1露光領域400を露光することができる。第1露光領域400を露光した後、ウェハステージ46をx軸方向に露光幅A1だけ移動し、ウェハステージ46を逆方向に移動させることにより第2露光領域402を露光することができる。以上の露光動作をウェハ44の全面に対して繰り返し行うことにより、ウェハ44の全面に所望の露光パターンを露光することができる。図37の例においては、一回の走査で、ウェハ44の端から端までを露光しているが、他の例においては、ウェハ44の一部の領域を露光走査してもよい。
図38は、主偏向部42及び副偏向部38の露光処理中の偏向動作を模式的に示す。図38(a)は、各電子ビームが、主に主偏向部42の偏向動作により、ウェハ44を露光する主偏向範囲410を示す。主偏向範囲410の一辺A2は、主偏向部42が露光処理中に電子ビームを偏向する量に対応する。各電子ビーム偏向範囲310は、x座標において近接する電子ビーム偏向範囲310に接するように配置されていることが好ましいが、x座標上で重なりを含むように配置されてもよい。
図38(b)は、各電子ビームが、電子ビーム偏向範囲310を露光する動作を模式的に示す。副偏向部38の偏向動作により、ウェハ44を露光する副偏向範囲412の一辺A3は、副偏向部38が、露光処理中に電子ビームを偏向可能な量に対応する。本実施例においては、主偏向範囲410は、副偏向範囲412の8倍程度の偏向範囲を有する。
副偏向部38の偏向動作により、副偏向範囲412aに所望の露光パターンを露光する。副偏向範囲412aの露光が完了した後、主偏向部42が、電子ビームを副偏向範囲412bに移動する。そして、副偏向部38の偏向動作により、副偏向範囲412bに所望の露光パターンを露光する。同様に、図中の矢印方向に沿うように主偏向部42及び副偏向部38の偏向動作を繰り返し、所望の露光パターンを露光することにより、主偏向範囲410の露光が完了する。
図39は、第1多軸電子レンズ16の一例を示す。尚、電子ビーム露光装置100に含まれる第2多軸電子レンズ24、第3多軸電子レンズ34及び第4多軸電子レンズ36も、第1多軸電子レンズ16と同様の構成を有しており、以下において、多軸電子レンズの構成に関して、代表して第1多軸電子レンズ16の構成に基づいて説明する。
第1多軸電子レンズ16は、磁界を発生するコイル部200及びレンズ部202を備える。レンズ部202は、電子ビームが通過するレンズ開口部204、及びレンズ開口部が含まれる所定の領域であるレンズ領域206を有する。レンズ領域206は、ウェハステージ46(図33参照)が走査する方向が、y軸方向に対応し、ウェハステージ46が段階的に移動する方向が、x軸方向に対応する。
電子ビームが通過するレンズ開口部204は、各レンズ開口部204の中心点のx座標が、一定の間隔を有するように配置され、好ましくは、図33を参照して、電子ビームがウェハ44を露光するときに、主偏向部42が電子ビームを偏向する偏向量に対応する間隔を有して配置される。具体的には、図35及び図36を参照して、ブランキング電極アレイ26に含まれるアパーチャ166、及び偏向器アレイ180に含まれる偏向器184の位置に対応して配置されるのが好ましい。また、レンズ部202が、図8から図11において説明したダミー開口部205を有するのが好ましい。
図40は、第1多軸電子レンズ16の断面の一例を示す。図40(a)は、第1多軸電子レンズ16の断面図を示す。レンズ部202は、非磁性導体部208を、レンズ部磁性導体部210を挟むように有してもよい。また、レンズ部202は、図40(b)に示すように、レンズ部磁性導体部210を厚く有してもよい。このとき、レンズ開口部204を通過する複数の電子ビームにおいて、隣接する各電子ビーム間に働くクーロン力は更に遮蔽される。この例では、レンズ部202の表面が、コイル部200に略同一面上となるように、レンズ部磁性導体部210を形成してもよい。また、レンズ部202の厚さが、コイル部200の厚さより厚くなるように、レンズ部磁性導体部210を形成してもよい。
図41は、本発明における電子ビーム露光装置100の他の例を示す。本実施例における電子ビーム露光装置100は、照射制御手段として、図1において説明した電子ビーム露光装置におけるブランキング電極アレイ26に代えてブランキング・アパーチャ・アレイ(BAA)デバイス27を備える。また、本実施例における電子ビーム露光装置100は、BAAデバイス27において分割された(成形部材で分割された)電子ビームを、図33において説明した電子ビーム露光装置が有する電子レンズ及び偏向部と同様の構成及び機能を有する電子レンズ及び偏向部を備えることにより、ウェハに対して電子ビームを照射する。図41における電子ビーム露光装置と、図1及び/又は図33において説明した電子ビーム露光装置とで、同一の符号を付した構成は、同様の構成及び機能を有してよい。以下、主に図1及び図33において説明した電子ビーム露光装置の構成及び機能と異なる構成、動作、及び機能について説明する。
電子ビーム露光装置100は、電子ビームによりウェハ44に所定の露光処理を施すための露光部150と、露光部150に含まれる各構成の動作を制御する制御系140とを備える。
露光部150は、複数の排気孔70が設けられた筐体8と、複数の電子ビームを発生し、電子ビームの断面形状を所望に成形する電子ビーム成形手段と、複数の電子ビームをウェハ44に照射するか否かを、電子ビーム毎に独立に切替える照射切替手段と、ウェハ44に転写されるパターンの像の向き及びサイズを調整するウェハ用投影系を含む電子光学系を備える。また、露光部150は、パターンを露光すべきウェハ44を載置するウェハステージ46と、ウェハステージ46を駆動するウェハステージ駆動部48とを含むステージ系を備える。
電子ビーム成形手段は、複数の電子ビームを発生させる電子ビーム発生部10と、発生した電子ビームを放出させるアノード13と、アノード13を通過した電子ビームを独立して偏向するスリット偏向部15と、複数の電子ビームを独立に集束し、電子ビームの焦点を調整する第1多軸電子レンズ16と、第1多軸電子レンズ16のレンズ開口部に形成された磁界が、当該レンズ開口部を通過する電子ビームに対して与える力を独立して調整する第1レンズ強度調整部17と、第1多軸電子レンズ16を通過した電子ビームを分割するBAAデバイス27とを有する。
照射切替手段は、電子ビームをウェハ44に照射するか否かを、電子ビーム毎に独立に切替えるBAAデバイス27と、電子ビームを通過させる複数の開口部を含み、BAAデバイス27で偏向された電子ビームを遮蔽する電子ビーム遮蔽部材28とを有する。本実施例においてBAAデバイス27は、照射された電子ビームの断面形状を成形する電子ビーム成形手段としての機能と、照射切替手段としての機能とを有する。電子ビーム遮蔽部材28に含まれる複数の開口部の断面形状は、電子ビームを効率良く通過させるために、電子ビームの照射方向に沿って広がりを有してもよい。
ウェハ用投影系は、複数の電子ビームを独立に集束し、ウェハ44に照射される電子ビームの回転を調整する第3多軸電子レンズ34と、複数の電子ビームを独立に集束し、ウェハ44に照射される電子ビームの縮小率を調整する第4多軸電子レンズ36と、複数の電子ビームをウェハ44の所望の位置に、電子ビーム毎に独立に偏向する偏向部60と、対物レンズとして機能し、電子ビームを集束する第1コイル40及び第2コイル50を有する同軸レンズ52とを有する。同軸レンズ52は、ウェハ44に対して、多軸電子レンズより近傍に設けられることが好ましい。また、本実施例において第3多軸電子レンズ34及び第4多軸電子レンズ36は一体に形成されているが、他の例においては別個に形成されてもよい。
制御系140は、統括制御部130と、多軸電子レンズ制御部82と、同軸電子レンズ制御部90と、反射電子処理部99と、ウェハステージ制御部96と、複数の電子ビームに対する露光パラメータをそれぞれ独立に制御する個別制御部120とを備える。統括制御部130は、例えばワークステーションであって、個別制御部120に含まれる各制御部を統括制御する。多軸電子レンズ制御部82は、第1多軸電子レンズ16、第3多軸電子レンズ34及び第4多軸電子レンズ36に供給する電流を制御する。同軸電子レンズ制御部90は、同軸レンズ52を構成する第1コイル40及び第2コイル54に供給する電流量を制御する。反射電子処理部99は、反射電子検出装置50において検出された反射電子や2次電子等の量に基づく信号を受け取り、統括制御部130に通知する。ウェハステージ制御部96は、ウェハステージ駆動部48を制御し、ウェハステージ46を所定の位置に移動させる。
個別制御部120は、電子ビーム発生部10を制御する電子ビーム制御部80と、レンズ強度調整部17を制御するレンズ強度制御部88と、BAAデバイス27に含まれる偏向電極に印加する電圧を制御するBAAデバイス制御部87と、偏向部60が有する複数の偏向器に含まれる電極に印加する電圧を制御する偏向制御部98とを有する。
本実例における電子ビーム露光装置100の動作について説明する。まず、電子ビーム発生部10が、複数の電子ビームを生成する。電子ビーム発生部10において発生された電子ビームはアノード13を通過し、スリット偏向部15に入射する。スリット偏向部15は、アノード13を通過した電子ビームのBAAデバイス27への照射位置を調整する。
第1多軸電子レンズ16は、スリット偏向部15を通過した複数の電子ビームを独立に集束し、BAAデバイス27に対する電子ビームの焦点を、電子ビーム毎に独立に調整する。また、第1レンズ強度調整部17は、第1多軸電子レンズ16のレンズ開口部に入射された各電子ビームの焦点位置を補正すべく、第1電子レンズ16の各レンズ開口部におけるレンズ強度を調整する。第1多軸電子レンズ16より焦点が調整された電子ビームは、BAAデバイス27に設けられた複数のアパーチャ部にそれぞれ照射される。
BAAデバイス制御部87は、BAAデバイス27に形成された各アパーチャの近傍に設けられた偏向電極に電圧を印加するか否かを制御する。BAAデバイス27は、偏向電極に印加される電圧に基づいて、電子ビームをウェハ44に照射させるか否かを切替える。電圧が印加されたときは、アパーチャを通過した電子ビームは偏向されて、電子ビーム遮蔽部材28に含まれる開口部を通過できず、ウェハ44に照射されない。電圧が印加されないときには、BAAデバイス27において成形され、アパーチャを通過した電子ビームは、偏向されず電子ビーム遮蔽部材28に含まれる開口部を通過することができ、電子ビームはウェハ44に照射される。
BAAデバイス27により偏向されない電子ビームは、電子ビーム遮蔽部材28を通過し、第3多軸電子レンズ34に入射される。そして、第3多軸電子レンズ34は、ウェハ44に照射される電子ビーム像の回転を調整する。また、第4多軸電子レンズ36は、入射された電子ビームの照射径を縮小する。
偏向制御部98が、偏向部60に含まれる複数の偏向器を独立に制御する。偏向部60は、複数の偏向器に入射される複数の電子ビームを、電子ビーム毎に独立にウェハ44の所望の露光位置に偏向する。偏向部60を通過した複数の電子ビームは、第1コイル40及び第2コイル50を有する同軸レンズ52により、ウェハ44に対する焦点が調整され、ウェハ44に照射される。
露光処理中、ウェハステージ制御部96は、一定方向にウェハステージ48を動かす。BAAデバイス制御部87は露光パターンデータに基づいて、電子ビームを通過させるアパーチャを定め、各アパーチャに対する電力制御を行う。ウェハ44の移動に合わせて、電子ビームを通過させるアパーチャを適宜、変更し、更に偏向部60により電子ビームを偏向することにより、ウェハ44に所望の回路パターンを露光することが可能となる。
本実施例における電子ビーム露光装置100は、複数の電子ビームを独立に集束するため、各電子ビーム自身にクロスオーバは発生するが、複数の電子ビーム全体としては、クロスオーバは発生しない。そのため各電子ビームの電流密度を上げた場合であっても、クーロン相互作用による電子ビームの焦点ずれや位置ずれの原因となる電子ビーム誤差を大幅に低減することができる。
図42は、BAAデバイス27の構成を示す。図42(a)に示すようにBAAデバイス27は、電子ビームが通過する複数のアパーチャ166を有する複数のアパーチャ部160と、図41におけるブランキング電極アレイ制御部86との接続部となる偏向電極パッド162及び接地電極パッド164とを有する。各アパーチャ部160は、第1多軸電子レンズ16が有するレンズ開口部と同軸に設けられるのが望ましい。また、BAAデバイス27は、アパーチャ部160の周囲に電子ビームが通過しないダミー開口部(図1参照)を有することが好ましい。BAAデバイス27がダミー開口部を有することにより、筐体8内部の排気のインダクタンスを低くすることができるため、効率よく筐体8内部を減圧することができる。
図42(b)は、アパーチャ部160の上面図を示す。アパーチャ部160は、複数のアパーチャ166を有する。アパーチャ166は、矩形形状を有するのが好ましい。そして、各アパーチャ部160に照射された電子ビームは、それぞれアパーチャ166の形状に成形される。本実施例における電子ビーム露光装置は、BAAデバイス27を有することにより、電子ビーム発生部10において発生した電子ビームを更に分割してウェハ44に照射することができる。従って、多数の電子ビームをウェハに照射することができ、極めて短時間でウェハにパターンを露光することができる。
図43は、第3多軸電子レンズ34の上面図を示す。なお、第4多軸電子レンズ36も第3多軸電子レンズ34と同様の構成を有してよく、代表して第3多軸電子レンズ34の構成について説明する。
図43(a)に示すように第3多軸電子レンズ34は、磁界を発生するコイル部200及びレンズ部202を備える。レンズ部202は、電子ビームが通過する開口部である複数のレンズ開口部が設けられる領域である複数のレンズ領域206を有する。レンズ部202においてレンズ領域206は、第1多軸電子レンズ16が有するレンズ開口部、及びBAAデバイス27が有する複数のアパーチャ部160と同軸に設けられるのが望ましい。
図43(b)は、レンズ領域206を示す。レンズ領域206は、複数のレンズ開口部204を有する。各レンズ開口部204は、BAAデバイス27におけるアパーチャ部160に設けられた複数のアパーチャ166、及び偏向器アレイ180に含まれる偏向器184と同軸に配置されるのが望ましい。また、レンズ部202が、図8から図11において説明したダミー開口部205を有するのが好ましい。この場合においてレンズ部202は、当該レンズ部202において複数のレンズ領域206が設けられた領域の外周に、ダミー開口部205を有するのが好ましい。
図44は、偏向部60の上面図を示す。偏向部60は、基材186と、複数の偏向器アレイ180と、偏向電極パッド182とを有する。複数の偏向器アレイ180は、基材186の中央部に設けられ、偏向電極パッド182は、基材186の周辺部に設けられるのが望ましい。各偏向器アレイ180は、BAAデバイス27におけるアパーチャ部160、並びに第3多軸電子レンズ34及び第4多軸電子レンズ36におけるレンズ領域206と同軸に設けられるのが望ましい。また、偏向電極パッド182は、例えばプローブカードやポゴピンアレイ等の接続手段を介して接続されることにより、偏向制御部98(図41参照)と電気的に接続される。
図44(b)は、偏向器アレイ180を示す。偏向器アレイ180は、複数の偏向電極及び開口部により形成される複数の偏向器184を有する。偏向器184は、BAAデバイス27におけるアパーチャ部160に設けられた複数のアパーチャ166、並びに第3多軸電子レンズ34及び第4多軸電子レンズ36におけるレンズ領域206に設けられたレンズ開口部204と同軸にそれぞれ設けられるのが望ましい。
図45は、本発明の一実施形態に係る多軸電子レンズに含まれるレンズ部202の製造方法の工程の一例を示す。まず、導電性基板300を用意する。図45(a)は、導電性基板300に、感光性膜302を塗布する塗布工程を示す。感光性膜302は、例えばスピンコート法や、所定の厚さを有する厚膜レジストを貼り付けるなどの方法により形成されるのが好ましい。また、感光性膜302は、製造されるレンズ部202の厚さ以上の厚さを有するように形成される。
図45(b)は、感光性膜302に、所定のパターンを露光することにより形成する露光工程、及び感光性膜302の所定の領域を除去する第1除去工程を示す。所定のパターンは、図8〜11、図39、及び図43を参照して、レンズ部202の径及び複数のビームが通過する複数のレンズ開口部204のパターンに基づいて形成される。具体的には、所定のパターンは、レンズ部202の径と、レンズ開口部202の径及び位置とにより定められる。そして、露光工程及び第1除去工程により、後述する電鋳工程において、レンズ部202の径に基づく、レンズ部202を形成するための成形型となるレンズ部成形型304と、レンズ開口部204に基づく、レンズ開口部204を形成するための成形型となるレンズ開口部成形型306とが形成される。
所定のパターンは、電子ビームが通過しないダミー開口部のパターンに更に基づいて形成されてもよい。このとき、露光工程及び第1除去工程により、ダミー開口部を形成するための成形型となるダミー開口部成形型を更に有するように形成されてもよい。ダミー開口部成形型は、レンズ開口部成形型306と異なる径を有するように形成されてもよい。
露光工程は、レンズ開口部204の開口径及び開口深さの比であるアスペクト比に対応する露光方法を用いることが好ましい。レンズ開口部204の開口径は、0.1mm〜2mmであることが好ましく、また、開口深さは、5mm〜50mmであることが好ましい。本実施例においては、レンズ開口部204の開口径は約0.5mmで、開口深さは約20mmであり、アスペクト比は約40となる。そのため、感光性膜に対する透過率が高く、アスペクト比の高いパターンが容易に形成できるX線露光方法により露光するのが好ましい。このとき、感光性膜302は、ポジ型もしくはネガ型を有するX線露光用のフォトレジストであることが好ましく、レンズ部成形型304及びレンズ開口部成形型306のパターンに対応するパターンを有するX線露光用のマスクを用いて、露光される。そして、感光性膜302がポジ型であれば、感光性膜302の露光部分を、感光性膜302がネガ型であれば、感光性膜302の未露光部分を除去することにより、レンズ部成形型304及びレンズ開口部成形型306を形成する。
図45(c)は、第1レンズ部磁性導体部210aを電鋳により形成する第1磁性導体部形成工程を示す。第1レンズ部磁性導体部210aは、例えばニッケル合金であり、導電性基板300を電極とする電解めっきなどにより約5mm形成する。
図45(d)は、非磁性導体部208を電鋳により形成する非磁性導体部形成工程を示す。非磁性導体部208は、例えば銅であり、第1レンズ部磁性導体部210aを電極とする電解めっきなどにより約5〜20mm形成する。
図45(e)は、第2レンズ部磁性導体部210bを電鋳により形成する第2磁性導体部形成工程を示す。第2レンズ部磁性導体部210bは、例えばニッケル合金であり、非磁性導体部208を電極とする電解めっきなどにより約5〜20mm形成する。
図45(f)は、感光性膜302を除去する第2除去工程を示す。第2除去工程において、感光性膜302の残存するレンズ部成形型304及びレンズ開口部成形型306を除去する。そして、第1レンズ部磁性導体部210aに含まれる複数の第1開口部と、非磁性導体部208に含まれる複数の第1開口部と略同軸の複数の貫通部と、第2非磁性導体部210bに含まれる、複数の第1開口部と複数の貫通部に略同軸の複数の第2開口部とを有する、レンズ開口部204が形成される。
図45(g)は、導電性基板300を剥離する基板剥離工程を示す。導電性基板300を剥離することにより、レンズ部202を得る。導電性基板300は、第1レンズ部磁性導体部210a、非磁性導体部208及び第2レンズ部磁性導体部210bとほとんど反応せずに、導電性基板300を除去することができる薬液を用いて除去してもよい。
図46は、突出部218を形成する工程の一例を示す。図46(a)は、図45(c)に示す工程において、形成された導電性基板300及び第1レンズ部磁性導体部210aを示す。第1レンズ部磁性導体部210aに、図14において説明した突出部218が設けられるべき位置に対応するようにレンズ開口部成形型306を形成する。続いて、図46(c)に示すように、図45において説明した工程と同様に、第1突出部218a、非磁性導体部208、及び第2突出部218bを形成する。
続いて、レンズ開口部成形型306を除去し、レンズ開口部成形型306が除去された開口領域に、充填部材314を充填する。充填部材314は、磁性導体部210、突出部218及び非磁性導体部208を形成する材料に対して選択的に除去できる材料に形成されるのが望ましい。また、充填部材314は、第2突出部218bと略同じ高さに形成されるのが望ましい。充填部材314を形成した後、図45において説明した工程と同様に、再度、レンズ開口部成形型306を形成し、第2レンズ部磁性導体部210bを形成する。そして、図46(e)に示すように、レンズ開口部成形型306、充填部材314及び導電性基板300を除去し、レンズ部202を得る。
第1突出部218a及び第2突出部218bは、レンズ部磁性導体部210を形成する材料と異なる透磁率を有する材料により形成されてもよい。また、図46(b)に示すレンズ開口部成形型306と反転したパターンを有するレンズ開口部成形型をレンズ部磁性導体部210に形成し、当該レンズ開口部成形型をマスクとして、レンズ部磁性導体部210をエッチングすることにより、切欠部を形成してもよい。
図47は、レンズ部202の製造方法の他の例を示す。第2磁性導体部形成工程が完了した後、更に第1磁性導体部形成工程と、非磁性導体部形成工程と、第2磁性導体部形成工程とを複数回行った後、第2除去工程と、基板剥離工程とを行うことにより、図47(a)に示すように、複数個のレンズ部202を有するレンズ部塊320を形成する。そして、レンズ部塊320をスライスすることにより、複数のレンズ部202を得てもよい。また、図47(b)に示すように、レンズ部塊320に含まれる複数のレンズ部202の間に、各レンズ部を分離する分離部材322を有するようにレンズ部塊320を形成した後、レンズ部202に含まれる非磁性導体部208及び第2レンズ部磁性導体部210bとほとんど反応せずに、分離部材322だけを除去することができる薬液などを用いて除去することにより、複数のレンズ部202を得てもよい。このとき、塗布工程において、感光性膜302は、製造されるレンズ部塊320の厚さ以上の厚さを有することが望ましい。
図48は、コイル部200とレンズ部202とを固定する固定工程を示す。図48(a)は、磁界を発生するコイル部200を示す。コイル部200は、レンズ部202の径に対応する内径を有し、環状に形成されるのが好ましい。また、コイル部200は、磁界を発生するコイル214の周囲にコイル部磁性導体部212及びスペース310を有する。スペース310は、非磁性導体部を有してもよく、また、非磁性導体部により埋められてもよい。コイル部磁性導体部212及びコイル214は、例えば精密機械加工により形成されるのが好ましい。そして、コイル部磁性導体部212及びコイル214が、例えば螺嵌や溶接あるいは接着などの精密機械加工により接合されることにより、コイル部200が形成される。コイル部磁性導体部212は、レンズ部磁性導体部210を形成する材料と異なる透磁率を有する材料により形成されるのが好ましい。
図48(b)は、コイル部200に、レンズ部202を固定するための支持部312を形成する支持部形成工程を示す。コイル部200を形成した後、非磁性導体である支持部312を、螺嵌や溶接あるいは接着などの精密機械加工により、コイル部200に接合する。後述する固定工程において、コイル部に含まれるスペース310と、レンズ部に含まれる非磁性導体部208とを合わせるように、支持部312によりレンズ部202が支持される位置に、支持部312が設けられるのが望ましい。支持部312は、単一の環状部材であってもよく、又は、レンズ部202を複数の支点として支持する複数の凸状部材を有してもよい。また、磁性導体部212を形成するときに、支持部312を一体として形成してもよい。具体的には、磁性導体部212が、支持部312である凸部を含むように形成される。このとき、支持部312は、第1レンズ部磁性導体部210aと第2レンズ部磁性導体部210bにより、レンズ開口部204に形成される磁界に影響しない大きさに形成されるのが望ましい。
図48(c)は、支持部312を用いて、コイル部200とレンズ部202を固定する固定工程を示す。レンズ部202は、コイル部に含まれるスペース310と、レンズ部に含まれる非磁性導体部208とを合わせるように、接着や嵌合あるいは咬合によりコイル部200と接合し、固定することが好ましい。また、レンズ部202は、支持部312を用いて、コイル部200に固定してもよい。支持部312は、レンズ部202をコイル部200に固定した後、除去されてもよい。
図49は、ウェハから半導体素子を製造する、本発明の一実施形態に係る半導体素子製造工程のフローチャートである。S10で、本フローチャートが開始する。S12で、ウェハの上面に、フォトレジストを塗布する。図1及び17を参照して、それから、フォトレジストが塗布されたウェハ44が、電子ビーム露光装置100におけるウェハステージ46に載置される。ウェハ44は、図1、図33及び図41に関連して説明したように、第1多軸電子レンズ16、第2多軸電子レンズ24、第3多軸電子レンズ34及び第4多軸電子レンズ36により複数の電子ビームの焦点を、電子ビーム毎に独立に調整する焦点調整工程と、ブランキング電極アレイ26により、ウェハ44に、複数の電子ビームを照射するか否かを、電子ビーム毎に独立に切替える照射切替工程により、電子ビームをウェハ44に対して照射することにより、パターン像が露光され、転写される。
それから、S14で露光されたウェハ44は、現像液に浸され、現像され、余分なレジストが除去される(S16)。ついで、S18で、ウェハ上のフォトレジストが除去された領域に存在するシリコン基板、絶縁膜あるいは導電膜が、プラズマを用いた異方性エッチングによりエッチングされる。またS20で、トランジスタやダイオードなどの半導体素子を形成するために、ウェハに、ホウ素や砒素などの不純物を注入する。またS22で、熱処理を施し、注入された不純物の活性化を行う。またS24で、ウェハ上の有機汚染物や金属汚染物を取り除くために、薬液によりウェハ64を洗浄する。また、S26で、導電膜や絶縁膜の成膜を行い、配線層及び配線間の絶縁層を形成する。S12〜S26の工程を組み合わせ、繰り返し行うことによって、ウェハに素子分離領域、素子領域及び配線層を有する半導体素子を製造することが可能となる。S28で、所要の回路が形成されたウェハを切り出し、チップの組み立てを行う。S30で半導体素子製造フローが終了する。
以上発明の実施の形態を説明したが、本出願に係る発明の技術的範囲は上記の実施の形態に限定されるものではない。上記実施の形態に種々の変更を加えて、特許請求の範囲に記載の発明を実施することができる。そのような発明が本出願に係る発明の技術的範囲に属することもまた、特許請求の範囲の記載から明らかである。
産業上の利用可能性
以上の説明から明らかなように、本発明によれば多軸電子レンズ及び照射切替手段を備えることにより、複数の電子ビームを独立に集束し、独立してウェハに照射するか否かを制御することができる。そのため、複数の電子ビームによるクロスオーバを発生させずに、それぞれ独立して制御可能となるため、スループットを大幅に向上することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、 本発明の一実施形態に係る電子ビーム露光装置100の構成を示す。
図2は、 電子ビーム発生部10に所定の電圧を印加する電源制御手段520を示す。
図3は、 電子ビーム成形手段の他の実施例を示す。
図4は、 ブランキング電極アレイ26の構成を示す。
図5は、 ブランキング電極アレイ26の断面図を示す。
図6は、 電子ビームを偏向する第1成形偏向部18の構成を示す。
図7は、 偏向器184の構成を示す。
図8は、 本発明の一実施形態に係る電子レンズである第1多軸電子レンズ16の上面図を示す。
図9は、 第1多軸電子レンズ16の他の実施例を示す。
図10は、 第1多軸電子レンズ16の他の実施例を示す。
図11は、 第1多軸電子レンズ16の他の実施例を示す。
図12は、 第1多軸電子レンズ16の断面図を示す。
図13は、 多軸電子レンズの他の実施例を示す。
図14は、 レンズ部202の他の実施例を示す。
図15は、 レンズ部202の他の実施例を示す。
図16は、 レンズ部202の他の実施例を示す。
図17は、 多軸電子レンズのレンズ強度を調整するレンズ強度調整部の一例を示す。
図18は、 多軸電子レンズのレンズ強度を調整するレンズ強度調整部の他の例を示す。
図19は、 第1成形偏向部18及び遮蔽部600の構成を示す。
図20は、 第1遮蔽電極604及び第2遮蔽電極610の構成を示す。
図21は、 第1成形偏向部18及び遮蔽部600の構成の他の例を示す。
図22は、 第1成形偏向部18の構成の他の実施例を示す。
図23は、 偏向部60、第5多軸電子レンズ62、及び遮蔽部900の構成の一例を示す。
図24は、 遮蔽部(600、900)により遮蔽された電界を示す。
図25は、 第1成形部材14及び第2成形部材22の一例を示す。
図26は、 第2成形部材22における成形部材照射領域560の他の例を示す。
図27は、 図1において説明した制御系140の構成の一例を示す。
図28は、 個別制御系120に含まれる各構成の詳細を示す。
図29は、 反射電子検出装置50の構成を一例を示す。
図30は、 反射電子検出装置50の構成の他の実施例を示す。
図31は、 反射電子検出装置50の構成の他の実施例を示す。
図32は、 反射電子検出装置50の構成の他の実施例を示す。
図33は、 本発明に係る電子ビーム露光装置100の他の実施例を示す。
図34は、 電子ビーム発生部10の構成を示す。
図35は、 ブランキング電極アレイ26の構成を示す。
図36は、 電子ビームを偏向する第1成形偏向部18の構成を示す。
図37は、 本実施例における電子ビーム露光装置100のウェハ44上の露光動作を示す。
図38は、 主偏向部42及び副偏向部38の露光処理中の偏向動作を模式的に示す。
図39は、 第1多軸電子レンズ16の一例を示す。
図40は、 第1多軸電子レンズ16の断面の一例を示す。
図41は、 本発明における電子ビーム露光装置100の他の実施例を示す。
図42は、 BAAデバイス27の構成を示す。
図43は、 第3多軸電子レンズ34の上面図を示す。
図44は、 偏向部60の上面図を示す。
図45は、 本発明の一実施形態に係る多軸電子レンズに含まれるレンズ部202の製造方法の工程の一例を示す。
図46は、 突出部218を形成する工程の一例を示す。
図47は、 レンズ部202の製造方法の他の実施例を示す。
図48は、 コイル部200とレンズ部202とを固定する固定工程を示す。
図49は、 ウェハから半導体素子を製造する、本発明の一実施形態に係る半導体素子製造工程のフローチャートである。

Claims (23)

  1. 複数の電子ビームにより、ウェハを露光する電子ビーム露光装置であって、
    複数の開口部を有する略平行に配置された複数のレンズ部磁性導体部、及び前記複数のレンズ部磁性導体部の間に設けられ、複数の貫通部を有する非磁性導体部を有する多軸電子レンズ
    を備え、
    前記複数のレンズ部磁性導体部は、前記複数の開口部及び前記複数の貫通部において、前記複数の電子ビームをそれぞれ集束させる複数のレンズを形成する電子ビーム露光装置。
  2. 前記多軸電子レンズは、前記複数のレンズ部磁性導体部の周囲に設けられ、磁界を発生するコイルと、前記コイルの周囲に設けられたコイル部磁性導体部とを有するコイル部を更に有する請求項1記載の電子ビーム露光装置。
  3. 前記コイル部磁性導体部と前記複数のレンズ部磁性導体部とは異なる透磁率を有する材料により形成される請求項2記載の電子ビーム露光装置。
  4. 前記複数の電子ビームを発生する複数の電子銃と、
    前記複数の電子銃に電気的に接続され、前記複数の電子銃に対して異なる電圧を印加する電圧制御手段と
    を更に備える請求項1から3のいずれかに記載の電子ビーム露光装置。
  5. 前記電圧制御手段は、前記多軸電子レンズにより前記複数の電子ビームが受ける磁場強度に応じて、前記複数の電子銃に対して異なる電圧を印加する手段を有する請求項4記載の電子ビーム露光装置。
  6. 前記電圧制御手段は、前記ウェハに照射される前記複数の電子ビームの断面に含まれる辺が、略平行になるように前記複数の電子銃に異なる電圧を印加する手段を有する請求項4記載の電子ビーム露光装置。
  7. 前記電圧制御手段は、前記ウェハに照射される前記複数の電子ビームの焦点位置が等しくなるように前記複数の電子銃に異なる電圧を印加する手段を有する請求項4記載の電子ビーム露光装置。
  8. 前記電圧制御手段は、
    所定の電圧を生成する手段と、
    前記所定の電圧を昇圧又は降圧して、前記複数の電子銃に異なる電圧を印加する手段と
    を有する請求項4記載の電子ビーム露光装置。
  9. 前記複数の電子ビームの断面を縮小する多軸電子レンズを少なくとも一段更に備える請求項1から8のいずれかに記載の電子ビーム露光装置。
  10. 前記複数の電子ビームを成形する複数の第1成形開口部を有する第1成形部材と、
    前記第1成形部材を通過した前記複数の電子ビームを独立に偏向する第1成形偏向と、
    前記第1成形偏向部により偏向された前記複数の電子ビームを、所望の形状に成形する複数の第2成形開口部を有する第2成形部材と
    を更に備える請求項1から9のいずれかに記載の電子ビーム露光装置。
  11. 前記第1成形偏向部により偏向された前記複数の電子ビームを、独立に且つ前記ウェハにおいて前記電子ビームが照射される面に対して略垂直方向に偏向する第2成形偏向部を更に備え、
    前記第2成形偏向部は、前記第2成形偏向部により偏向された前記複数の電子ビームのそれぞれを前記複数の第2成形開口部を通過させることにより、前記所望の形状に成形する請求項10記載の電子ビーム露光装置。
  12. 前記第2成形部材は、前記第1成形偏向部および前記第2成形偏向部により偏向された前記複数の電子ビーム照射される領域である成形部材照射領域を有し、
    前記第2成形部材は、前記成形部材照射領域において、前記複数の第2成形開口部および前記複数の第2成形開口部と異なる形状開口部を有する請求項11に記載の電子ビーム露光装置。
  13. 前記複数の電子ビームを発生する複数の電子銃を更に備え、
    前記多軸電子レンズは、前記複数の電子銃が発生した前記複数の電子ビームを独立に集束して前記第1成形部材に照射し、
    前記第1成形部材は、前記多軸電子レンズから照射された前記複数の電子ビームを分割する請求項10から12のいずれかに記載の電子ビーム露光装置。
  14. 前記多軸電子レンズを複数段備える請求項1から13のいずれかに記載の電子ビーム露光装置。
  15. 複数の電子ビームを独立に集束する電子レンズであって、
    複数の開口部を有する略平行に配置された複数の磁性導体部と、
    前記複数の磁性導体部の間に設けられ、複数の貫通部を有する非磁性導体部と
    を備え、
    前記複数の磁性導体部は、前記複数の開口部及び前記複数の貫通部において、前記複数の電子ビームをそれぞれ集束させる複数のレンズを形成する電子レンズ。
  16. ウェハに半導体素子を製造する半導体素子製造方法であって、
    複数の開口部を有する略平行に配置された複数の磁性導体部、及び前記複数の磁性導体部の間に設けられ、複数の貫通部を有する非磁性導体部を有し、前記複数の開口部及び前記複数の貫通部が、複数の電子ビームをそれぞれ集束させる複数のレンズを形成する多軸電子レンズを用いて、前記複数の電子ビームの焦点調整を独立に行う焦点調整工程と、
    前記ウェハに前記複数の電子ビームを照射して、前記ウェハにパターンを露光する工程と
    を備える半導体素子製造方法。
  17. 複数のビームを独立に集束するレンズの製造方法であって、
    磁界を発生するコイル部を形成するコイル部形成工程と、
    前記複数のビームが通過する複数のレンズ開口部を有するレンズ部を形成するレンズ部形成工程と、
    前記コイル部と前記レンズ部とを固定する固定工程と
    を備え
    前記レンズ部形成工程は、
    複数の第1開口部を有する第1レンズ部磁性導体部を形成する工程と、
    前記第1レンズ部磁性導体部上に、前記複数の第1開口部と略同軸の複数の貫通部を有する非磁性導体部を形成する工程と、
    前記非磁性導体部上に、前記レンズ部が、前記複数のレンズ開口部を有するように、前記複数の第1開口部と前記複数の貫通部に略同軸の複数の第2開口部とを有する第2レンズ部磁性導体部を形成する工程と
    を有するレンズの製造方法。
  18. 前記レンズ部形成工程は、
    前記第1レンズ部磁性導体部に、前記複数の第1開口部と異なる大きさを有する開口部を有する磁性導体部である突出部を形成する工程
    を更に有する請求項17に記載のレンズの製造方法。
  19. 前記レンズ部形成工程
    基板上に感光性膜を塗布する塗布工程と、
    前記感光性膜に、前記複数のレンズ開口部のパターンを露光する露光工程と、
    前記パターンに基づいて、前記感光性膜の所定の領域を除去する第1除去工程と、
    前記第1レンズ部磁性導体部を、電鋳により形成する第1磁性導体部形成工程と、
    前記非磁性導体部を、電鋳により形成する非磁性導体部形成工程と、
    前記第2レンズ部磁性導体部を、電鋳により形成する第2磁性導体部形成工程と、
    前記感光性膜を除去する第2除去工程と
    更に有する請求項18記載のレンズの製造方法。
  20. 前記露光工程は、異なる大きさを有する前記複数のレンズ開口部のパターンを露光する工程を有する請求項19に記載のレンズの製造方法。
  21. 前記露光工程は、前記複数のビームが通過しないダミー開口部のパターンを露光する工程を有する請求項19または20記載のレンズの製造方法。
  22. 前記コイル部形成工程は、
    前記磁界を発生するコイルを形成する工程と、
    前記第1レンズ部磁性導体部を形成する材料が有する透磁率と異なる透磁率を有する材料により、前記コイルの周囲にコイル部磁性導体部を形成する工程と
    を有する請求項17から21のいずれかに記載のレンズの製造方法。
  23. 前記コイル部形成工程
    前記コイル部に、前記レンズ部を固定するための支持部を形成する支持部形成工程
    を有し、
    前記固定工程
    前記支持部を用いて、前記コイル部と前記レンズ部とを固定する工程
    を有する請求項17から22のいずれかに記載のレンズの製造方法。
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