JP4449147B2 - ホスファチジルエタノールアミン誘導体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホスファチジルエタノールアミン誘導体を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
リン脂質およびその誘導体は、水溶液に分散すると、リポソームと呼ばれる脂質二重層膜から成る閉鎖小胞体を形成する。この性質を利用し、医学、薬学および生化学の分野においては薬剤、酵素、遺伝子等をリポソーム内部に封入した運搬体等への展開が計られている。
このような目的で利用されるリン脂質には、高純度が要求される。高純度のリン脂質を製造するには、溶剤分別、カラム分画などの方法がとられている。
溶剤分別を用いたリン脂質の製造方法としては、例えば特開平9−77782号公報に記載の方法が知られている。この方法はイカの皮から溶媒抽出した抽出物をヘキサンに溶解し、アセトンを添加してリン脂質を不溶物として沈殿、回収することにより得る方法である。また、特開平5−132490号公報にはリン脂質画分をクロロホルム・メタノール混液あるいはこれに水を加えた混液で抽出した後、アセトンで沈殿させ沈殿物をこれらの混液に再溶解させる操作を繰り返すことによって精製する方法が示されている。しかしながら、これらの溶剤分別を用いた方法では収率が悪く、また高純度のものが得られない。
【0003】
カラム分画を用いたリン脂質の製造方法としては、例えば特開平4−69390号公報に記載の方法が知られている。この方法は構造の異なるリン脂質を液体クロマトグラフィーにより分離するに際し、アミンを予め通液することにより前処理を行う脂質の分離方法である。また、特開平5−97872号公報には混合リン脂質を、水または酢酸水溶液を含む、アルコールと非極性溶媒の混合溶媒に溶解し、高速液体クロマトグラフィーに供して、リン脂質を分離・精製する方法が示されている。しかしながら、これらの方法ではカラムクロマトグラフィーが必要とされ、カラムクロマトグラフィーを使用して精製を行うと純度が低く、また収率も低く、工業的に極めて不利である。
従来、ホスファチジルエタノールアミン誘導体の製造方法としては、例えば特表平7−501316号公報に記載の方法が知られている。この方法はホスファチジルエタノールアミンにジカルボン酸無水物を塩基性触媒下、室温で反応させたものを、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製する方法である。しかしながら、この方法では、シリカゲルカラムからの溶出時にホスファチジルエタノールアミン誘導体が分解し、純度の低下および収率の低下が起こるなどの欠点があり、工業的には極めて不利である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上の観点からなされたもので、ホスファチジルエタノールアミン誘導体を高純度で得ることができ、工業的スケールで容易に製造しうる方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる現状に鑑み簡易な操作で目的とするホスファチジルエタノールアミン誘導体を97%以上の高純度で製造し得る方法を開発すべく鋭意研究を重ねるうち、有機溶媒に溶解しているホスファチジルエタノールアミンとジカルボン酸無水物との反応物に緩衝液を接触させ、緩衝液中に塩基性触媒を除去することにより純度97%以上のホスファチジルエタノールアミン誘導体が90%以上の収率で得られるという事実を見出した。本発明はかかる知見に基づき完成されたものである。
すなわち本発明は、活性水素を持たない有機溶媒を用いてホスファチジルエタノールアミンとジカルボン酸無水物を反応させた後、pH3.5〜7.5の緩衝液と混合し、分層した後、有機溶媒層より有機溶媒を除去することを特徴とする式(1)で示されるホスファチジルエタノールアミン誘導体の製造方法である。
【0006】
【化2】
【0007】
(式中R1およびR2は脂肪族アシル基、M1およびM2は水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアンモニウム、nは1〜14の整数を示す)
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられるR1およびR2で示されるホスファチジルエタノールアミンのアシル基は炭素数12〜22の飽和または不飽和アシル基であり、例えばラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ヘンエイコサン酸、ベヘン酸等の直鎖飽和カルボン酸、2−ラウロレイン酸、リンデル酸、トウハク酸、5−ラウロレイン酸、11−ラウロレイン酸、ツズ酸、5−ミリストレイン酸、ミリストレイン酸、2−パルミトレイン酸、7−パルミトレイン酸、cis−9−パルミトレイン酸、trans−9−パルミトレイン酸、ペトロセリン酸、ペトロセエライジン酸、オレイン酸、エライジン酸、バセニン酸、ゴンドイン酸、trans−ゴンドイン酸、エルシン酸、ブラシン酸、リノール酸、リノエライジン酸、α−エレオステアリン酸、β−エレオステアリン酸、リノレン酸、リノレンエライジン酸、プソイドエレオステアリン酸、α−パリナリン酸、β−パリナリン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸等の直鎖不飽和カルボン酸由来のアシル基が挙げられ、好ましくはオレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸である。
【0009】
また、ホスファチジルエタノールアミンとして、天然由来の大豆ホスファチジルエタノールアミンまたは卵黄ホスファチジルエタノールアミン等も使用することができる。これらのホスファチジルエタノールアミンは、純度90%以上、好ましくは97%以上のものがよい。
【0010】
また、本発明で用いられるジカルボン酸無水物は、炭素数3〜16のものが好ましく、具体的にはマロン酸無水物、コハク酸無水物、グルタル酸無水物、アジピン酸無水物、ピメリン酸無水物、オクタンジオン酸、セバシン酸無水物、ドデカン二酸無水物、トリデカン二酸無水物、テトラデカン二酸無水物、ヘキサデカン二酸無水物等が挙げられ、好ましくはグルタル酸無水物、コハク酸無水物、アジピン酸無水物、セバシン酸無水物である。
使用するジカルボン酸無水物は市販品を用いてもよいし、ジシクロヘキシルカルボキシイミドなどの縮合剤を用いてジカルボン酸から合成してもよい。
ジカルボン酸無水物の添加量はホスファチジルエタノールアミンに対し、1〜3当量、好ましくは1〜1.8当量とするのが良い。1当量未満では、純度および収率が低下する。3当量を超過しても反応率および反応速度はほとんど変わらず、経済性が悪くなる。
【0011】
本発明の方法を実施するに際しては、まず活性水素を持たない有機溶媒にホスファチジルエタノールアミンおよびジカルボン酸無水物を触媒存在下で混合する。用いられる有機溶媒としては、例えばクロロホルム、ジクロルメタン等のハロゲン溶媒、ヘキサン、ペンタン等の炭化水素溶媒、ベンゼン、キシレン等の芳香族溶媒、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル等のエーテル溶媒などが挙げられ、それらを単独で用いてもよいし、2種以上で組み合わせて用いてもよい。有機溶媒の使用量は、ホスファチジルエタノールアミンの5〜100重量倍が好ましい。5重量倍未満では溶液の粘度が高くなり、100重量倍を越えると生産効率が悪くなる可能性がある。
【0012】
縮合反応に使用する触媒としては塩基性触媒が用いられ、例えば、N,N−ジメチル−4−アミノ−ピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノ−2−メチルピリジン、4−ピロリジノピロリジン等のピリジン誘導体、およびトリエチルアミン、トリブチルアミン等の第3アミン等が使用できるが、この中でトリエチルアミンおよびトリブチルアミンの使用が好ましい。触媒の添加量は原料に対し0.01〜20当量、好ましくは0.1〜2当量が良い。0.01当量未満では反応率が低くなり、20当量を超えても、反応率が高くならず、経済性が悪くなる。反応は0〜40℃程度、好ましくは0〜10℃の範囲で行うことができる。0℃未満では、反応速度が低下し、40℃を超えると、ホスファチジルエタノールアミン誘導体の熱分解が起こるので好ましくない。
【0013】
反応後、このようにして得られた反応液に緩衝液を添加して攪拌し、分層させる。
本発明で使用する緩衝液のpHは3.5〜7.5が好ましい。pH3.5未満または7.5を超えると、ホスファチジルエタノールアミン誘導体の分解が起こるので好ましくない。
また、本発明で使用する緩衝液中の金属塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアンモニウムを含有するものであればよく、具体的にはカリウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、アルミニウム、その塩化物、水酸化物あるいはリン酸塩、酢酸塩およびその他の有機酸塩、硫酸塩、硝酸塩などいかなる形態の塩でも構わない。
本発明で使用する緩衝液で使用する水は金属イオンを含まない蒸留水が好ましい。
【0014】
本発明で使用する緩衝液中の塩含量はホスファチジルエタノールアミンの0.3〜3倍モルが好ましい。0.3倍モル未満または3倍モルを越えると分層状態が悪くなり、有機溶媒層への抽出効率が悪くなるため、純度が低下し、収率が低下する。
このようにして緩衝液と混合し、分層した後、得られた有機溶媒層より有機溶媒を除去する。本発明で使用する有機溶媒の除去方法としては、エバポレーターを用いても、凍結乾燥および真空乾燥などの方法を単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。このようにしてホスファチジルエタノールアミン誘導体を得る。
【0015】
【発明の効果】
本発明の方法によれば純度97%以上のホスファチジルエタノールアミン誘導体を収率90%以上で製造し得る。しかもその際の精製においてシリカゲルカラムクロマトグラフィーなどの煩雑な操作が不要なため、工業的に極めて有利な方法である。本発明により得られるリン脂質誘導体は、高純度であるので、特に医薬品分野での利用に適している。
【0016】
【実施例】
以下、実施例に基づき本発明を更に詳しく説明する。なお、リン脂質の組成分析、純度測定は薄層クロマトグラフィー(以下、TLCという)で行った。TLCはKieselgel 60(Merck & Co. Inc.)を用い、5重量%の試料2マイクロリットルをスポットし、クロロホルム:メタノール:蒸留水=65:25:4(容量比)で展開し、無水硫酸銅10gと85%リン酸8ミリリットルを蒸留水で100ミリリットルとしたものを噴霧後加熱する方法により行った。
【0017】
実施例1
1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−O−(N−グルタリル)−エタノールアミンナトリウム塩;DOPE−グルタル酸ナトリウムの調製
ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE、純度99.5%)10g、トリエチルアミン1.6g(DOPEに対して1.2当量)、クロロホルム200ミリリットル(DOPEの30重量倍)に溶解し、グルタル酸無水物2.2g(DOPEに対して1.5当量)を加え、窒素雰囲気下、4℃で1時間反応したのち、0.5M酢酸ナトリウム/酢酸緩衝液(pH=6)72ミリリットル(酢酸ナトリウムはDOPEの2.7倍モル、0.5Mは0.5mol/lを示す)を加え、分液ロートに移し、1時間静置した。静置後、下層を分取し、0.5M酢酸ナトリウム/酢酸緩衝液(pH=6)72ミリリットル(酢酸ナトリウムはDOPEの2.7倍モル)を加え、攪拌後、分液ロートに移し、1時間静置した。静置後、下層を分取した。エバポレーターで溶媒留去し、注射用水に分散して、凍結乾燥し、乾燥物11.6gを得た。得られた乾燥物をTLCで分析したところ、純度99.7%、収率97.8%であった。
【0018】
実施例2
1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−O−(N−スクシニル)−エタノールアミンナトリウム塩;DPPE−コハク酸ナトリウムの調製
ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE、純度99.3%)9.3g、トリエチルアミン1.5g(DPPEに対して1.1当量)、クロロホルム186ミリリットル(DPPEの30重量倍)に溶解し、コハク酸無水物1.9g(DPPEに対して1.4当量)を加え、窒素雰囲気下、4℃で1時間反応したのち、0.5M酢酸ナトリウム/酢酸緩衝液(pH=5)67ミリリットルを加え、分液ロートに移し、1時間静置した。静置後、下層を分取し、0.5M酢酸ナトリウム/酢酸緩衝液(pH=5)67ミリリットル(酢酸ナトリウムはDPPEの1倍モル)を加え、攪拌後、分液ロートに移し、1時間静置した。静置後、下層を分取した。エバポレーターで溶媒留去し、注射用水に分散して、凍結乾燥し、乾燥物10.5gを得た。得られた乾燥物をTLCで分析したところ、純度99.5%、収率97.3%であった。
【0019】
実施例3
1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−O−(N−アジピニル)−エタノールアミンナトリウム塩;DSPE−アジピン酸ナトリウムの調製
ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(DSPE、純度99.3%)10.1g、トリエチルアミン1.6g(DSPEに対して1.2当量)、クロロホルム201ミリリットル(DSPEの30重量倍)に溶解し、アジピン酸無水物2.5g(DSPEに対して1.4当量)を加え、窒素雰囲気下、4℃で1時間反応したのち、0.5M酢酸ナトリウム/酢酸緩衝液(pH=4)72ミリリットル(酢酸ナトリウムはDSPEの0.4倍モル)を加え、分液ロートに移し、1時間静置した。静置後、下層を分取し、0.5M酢酸ナトリウム/酢酸緩衝液(pH=4)72ミリリットル(酢酸ナトリウムはDSPEの0.4倍モル)を加え、攪拌後、分液ロートに移し、1時間静置した。静置後、下層を分取した。エバポレーターで溶媒留去し、注射用水に分散して、凍結乾燥し、乾燥物11.7gを得た。得られた乾燥物をTLCで分析したところ、純度99.3%、収率96.5%であった。
【0020】
実施例4
1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−O−(N−セバシニル)−エタノールアミンナトリウム塩;DMPE−セバシン酸ナトリウムの調製
ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン(DMPE、純度99.2%)8.5g、トリエチルアミン1.4g(DMPEに対して1倍モル)、クロロホルム171ミリリットル(DMPEの30重量倍)に溶解し、セバシン酸無水物3.5g(DMPEに対して1.4当量)を加え、窒素雰囲気下、4℃で1時間反応したのち、0.5M酢酸ナトリウム/酢酸緩衝液(pH=7)62ミリリットル(酢酸ナトリウムはDMPEの2.9倍モル)を加え、分液ロートに移し、1時間静置した。静置後、下層を分取し、0.5M酢酸ナトリウム/酢酸緩衝液(pH=7)62ミリリットル(酢酸ナトリウムはDMPEの2.9倍モル)を加え、攪拌後、分液ロートに移し、1時間静置した。静置後、下層を分取した。エバポレーターで溶媒留去し、注射用水に分散して、凍結乾燥し、乾燥物10.7gを得た。得られた乾燥物をTLCで分析したところ、純度99.4%、収率95.1%であった。
【0021】
比較例1
1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−O−(N−スクシニル)−エタノールアミン;DPPE−コハク酸の調製
ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE、純度99.3%)346mg、コハク酸無水物100mg(DPPEの2当量)、トリエチルアミン0.1ミリリットル(DPPEに対して1.4当量)をクロロホルム10ミリリットル(DPPEの433重量倍)に溶解し、窒素雰囲気下、室温で16時間、窒素雰囲気下で攪拌した。攪拌後、エバポレーターで5ミリリットルになるまで溶媒留去した。これをクロロホルムで平衡化したシリカゲル60カラム(2.5cm×45cm)上に流し、クロロホルム500ミリリットル、クロロホルム:メタノール(85:15)500ミリリットルで溶出し、乾燥物203mgを得た。得られた乾燥物をTLCで分析したところ、純度79.6%、収率49.9%であった。
【0022】
比較例2
1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−O−(N−スクシニル)−エタノールアミン;DSPE−コハク酸の調製
ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(DSPE、純度99.3%)100mg、コハク酸無水物15mg(DSPEに対して1.2当量)、ピリジン10マイクロリットルをクロロホルム5ミリリットル(DSPEの75重量倍)に溶解し、窒素雰囲気下、室温で終夜、窒素雰囲気下で攪拌した。攪拌後、冷アセトンで沈殿させ、乾燥物98mgを得た。得られた乾燥物をTLCで分析したところ、純度80.2%、収率84.3%であった。
【0023】
比較例3
1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−O−(N−スクシニル)−エタノールアミンナトリウム塩;DOPE−コハク酸ナトリウムの調製
ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE、純度99.5%)200.6mg、コハク酸無水物54mg(DOPEに対して2当量)をピリジン10ミリリットルに溶解し、窒素雰囲気下、55℃で2時間、窒素雰囲気下で攪拌した。攪拌後、エバポレーターで溶媒留去し、残留物をクロロホルム−メタノール−0.58%塩化ナトリウム水溶液(1:2:0.8、容量比)の混合物に懸濁した。クロロホルム−0.58%塩化ナトリウム水溶液(1:1、容量比)の混合物を添加後、生成物を分配により抽出した。下の層をクロロホルム−メタノール−0.58%塩化ナトリウム水溶液(3:48:47、容量比)の混合物で3回洗浄した。エバポレーターで溶媒留去し、乾燥物184mgを得た。得られた乾燥物をTLCで分析したところ、純度82.5%、収率78.8%であった。
【0024】
比較例4
1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−O−(N−アジピニル)−エタノールアミン;DOPE−アジピン酸の調製
ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE、純度99.5%)744mg、アジピン酸175mg(DOPEに対して1.3当量)、ジシクロヘキシルカルボジイミド268mgを酢酸エチル10ミリリットルに溶解し、窒素雰囲気下、45℃で4時間、窒素雰囲気下で攪拌した。攪拌後、エバポレーターで溶媒留去し、メタノールに再溶解した。DEAE−Sephadexを詰めたカラムに、この溶液を吸着させ、0.5M酢酸アンモニウムメタノール溶液で溶出し、乾燥物625mgを得た。得られた乾燥物をTLCで分析したところ、純度82.4%、収率69.9%であった。
【0025】
比較例1および4でカラムを用いてホスファチジルエタノールアミン誘導体の精製を行ったが、実施例1〜4と比べて純度、収率ともに悪かった。比較例2ではアセトンを用いて溶剤分別による精製を行ったが、実施例1〜4と比べて純度、収率ともに悪かった。比較例3では塩化ナトリウムを含む混合溶媒による精製を行ったが、実施例1〜4と比べて純度、収率ともに悪かった。
以上の結果より、活性水素をもたない有機溶媒中でホスファチジルエタノールアミンとジカルボン酸無水物を反応させた後、pH3.5〜7.5の緩衝液と混合し、分層させた後、有機溶媒を除去することによって、95%以上の収率で純度99%以上のホスファチジルエタノールアミン誘導体を製造できる。
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