JP4447203B2 - パターン形成体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラーフィルタやプリント基板等に用いることができる、樹脂性基材上に形成された高はっ水性および高親水性を有するパターン形成体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、基材上に図案、画像、文字、回路等の種々のパターンを形成するパターン形成体の製造方法としては、各種のものが製造されている。
【0003】
例えば、印刷を例に挙げて説明すると、印刷方法の一種である平版印刷に使用する平版印刷版は、インクを受容する親油性部位と、印刷インクを受容しない部位とからなるパターンを有する平版を製造し、この平版を用いて親油性部位に印刷すべきインクの画像を形成し、形成した画像を紙等に転写して印刷している。こうした印刷では、このように印刷版原版に、文字、図形等のパターンを形成してパターン形成体である印刷版を製造し、印刷機に装着して使用している。代表的な平版印刷版であるオフセット印刷用の印刷版原版には、数多くのものが提案されている。
【0004】
オフセット印刷用の印刷版は、印刷版原版にパターンを描いたマスクを介して露光して現像する方法、あるいは電子写真方式によって直接に露光して印刷版原版上に直接に製版する方法等によって作製することができる。電子写真式のオフセット印刷版原版は、導電性基材上に酸化亜鉛等の光導電性粒子および結着樹脂を主成分とした光導電層を設け、これを感光体として電子写真方式によって露光し、感光体表面に親油性の高い画像を形成させ、続いて不感脂化液で処理し非画像部分を親水化することによってオフセット原版、すなわちパターン形成体を得る方法によって作製されている。親水性部分は水等によって浸漬して疎油性とされ、親油性の画像部分に印刷インクが受容されて紙等に転写される。しかしながら、パターン形成に当たっては不感脂化液での処理等の種々の露光後の処理が必要となる。
【0005】
また、レーザーの照射によって、インクに対して受容性の高い部位と撥インク性の部位からなるパターンを形成することが可能なヒートモード記録材料を用いた平版印刷原版を作製する方法も提案されている。ヒートモード記録材料は、現像等の工程が不要で、単にレーザー光によって画像を形成するのみで印刷版を製造することができるという特徴を有しているが、レーザーの強度の調整、レーザーにより変質した固体状物質など残留物等の処理の問題、耐刷性などに課題があった。
【0006】
また、高精細なパターンを形成する方法として、基材上に塗布したフォトレジスト層にパターン露光を行い、露光後、フォトレジストを現像し、さらにエッチングを行ったり、フォトレジストに機能性を有する物質を用いて、フォトレジストの露光によって目的とするパターンを直接形成する等のフォトリソグラフィーによるパターン形成体の製造方法が知られている。
【0007】
フォトリソグラフィーによる高精細パターンの形成は、液晶表示装置等に用いられるカラーフィルタの着色パターンの形成、マイクロレンズの形成、精細な電気回路基板の製造、パターンの露光に使用するクロムマスクの製造等に用いられているが、これらの方法によっては、フォトレジストを用いると共に、露光後に液体現像液によって現像を行ったり、エッチングを行う必要があるので、廃液を処理する必要が生じる等の問題点があり、またフォトレジストとして機能性の物質を用いた場合には、現像の際に使用されるアルカリ液等によって劣化する等の問題点もあった。
【0008】
カラーフィルタ等の高精細なパターンを印刷等によって形成することも行われているが、印刷で形成されるパターンには、位置精度等の問題があり、高精度なパターンの形成は困難であった。
【0009】
なお、本発明に関する先行技術文献は、発見されていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、簡易な工程で製造可能であり、濡れ性の差が大きなパターンを有するパターン形成体の提供が望まれている。
【0011】
【課題が解決するための手段】
本発明は、表面に、表面粗さが5〜200nmの範囲内である微細な凹凸を有し、表面に反応性雰囲気下で高エネルギーを照射することにより、表面に微細な凹凸が形成される材料からなる高分子基材と、前記高分子基材上にパターン状に形成された高はっ水層および高親水層とを有し、前記高はっ水層における水との接触角が120°以上であり、かつ前記高親水層における水との接触角が15°以下であることを特徴とするパターン形成体を提供する。
【0012】
本発明によれば、表面に微細な凹凸を有する高分子基材上に、高はっ水層および高親水層が形成されていることから、この微細な凹凸と、高はっ水層および高親水層との両方の効果により、高いはっ水性および親水性を有するパターンからなるパターン形成体とすることが可能となるのである。また、上記の高いはっ水性および親水性を有する高はっ水層および高親水層が、パターン状に形成されており、このパターンに沿って機能性部を形成することにより、様々な機能性素子に用いることが可能なパターン形成体とすることが可能となるのである。また、上記高分子基材表面の表面粗さが5〜200nmの範囲内であることにより、上記基材上に高はっ水層および高親水層を形成した際に、表面の凹凸が平坦化されることを防ぐことが可能となり、また、高いはっ水性および親水性を発現することが可能となる。さらに上記高分子基材が、高分子基材表面に反応性雰囲気下で高エネルギーを照射することにより、上記高分子基材表面に微細な凹凸が形成される材料からなるものであることにより、容易に高分子基材表面に微細な凹凸を形成することが可能となる。
【0015】
本発明においては、上記高エネルギーの照射が、プラズマ照射であってもよく、また上記高エネルギーの照射が、紫外光照射であってもよい。これにより、上記分子基材における微細な凹凸の形成を簡易な工程で効率よく行うことが可能となるからである。
【0016】
本発明においては、上記高分子基材が、延伸されたものであることが好ましい。上記高分子基材が未延伸の場合にも、ランダムな凹凸が形成されるため、はっ水性および親水性を高めることが可能であるが、延伸されることにより、規則的な配向が可能となり、表面全体に凹凸が規則的に形成されやすく、その凹凸により高はっ水性および高親水性を発現することが可能となるからである。
【0017】
本発明においては、上記高分子基材が、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、またはポリカーボネート系樹脂であることが好ましい。上記高分子基材が、上記の樹脂であることにより、微細な表面凹凸の形成が容易であり、さらに加工が容易であることから、パターン形成体を様々な用途に使用することが可能となるからである。
【0018】
本発明においては、上記高はっ水層が、Siαで示される有機シリコン系材料またはその重合膜からなるシリカ系有機膜であり、かつ上記高親水層が、酸化珪素膜とすることができる。上記高はっ水層が上記のシリカ系有機膜であることにより、高いはっ水性を有する高はっ水層とすることが可能となるからである。また、上記高親水層が、酸化珪素膜であることにより、高い親水性を有する膜とすることが可能となるからである。
【0019】
本発明においては、上記シリカ系有機膜が、酸素原子の濃度が、Si原子数100に対して100以下であり、上記酸化珪素膜が、酸素原子の濃度が、Si原子数100に対して150〜300の範囲内であることが好ましい。上記シリカ系有機膜および上記酸化珪素膜における酸素原子の数が、それぞれ上記範囲内であることにより、上記シリカ系有機膜を高いはっ水性を有する膜、上記酸化珪素膜を高い親水性を有する膜とすることができ、濡れ性の大きく異なるパターン形成体とすることが可能となるからである。
【0020】
本発明においては、上記シリカ系有機膜が、炭素原子の濃度が、Si原子数100に対して100〜400の範囲内であり、上記酸化珪素膜が、炭素原子の濃度が、Si原子数100に対して50以下であることが好ましい。上記シリカ系有機膜および上記酸化珪素膜における炭素原子の数が、それぞれ上記範囲内であることにより、上記シリカ系有機膜をより高いはっ水性を有する膜、上記酸化珪素膜をより高い親水性を有する膜とすることができ、濡れ性の大きく異なるパターン形成体とすることが可能となるのである。
【0021】
また本発明においては、上記高はっ水層が、上記高分子基材に自己組織化単分子膜を吸着させるための吸着基を少なくとも一つ有し、かつ上記高分子基材上に自己組織化単分子膜を形成するように単分子で配向させる配向基を少なくとも一つ有する自己組織化単分子膜形成物質を原料として用いて形成された、自己組織化単分子膜であり、かつ上記高親水層が、上記自己組織化単分子膜における上記配向基がヒドロキシル基に置換されたヒドロキシル基置換膜であってもよい。上記高はっ水層が、上記自己組織化単分子膜であることにより、上記高分子基材上に上記凹凸を平坦化することなく、均一に膜を単分子で形成することが可能となり、高いはっ水性を有する高はっ水層とすることが可能となるのである。また、上記高親水層が、上記自己組織化単分子膜における配向基がヒドロキシル基に置換されたヒドロキシル基置換膜であることにより、均一に形成された高い親水性を有する高親水層とすることが可能となるのである。
【0022】
本発明においては、上記自己組織化単分子膜が、下記の一般式(1)で示される自己組織化単分子膜形成物質を原料として形成されたものであることが好ましい。
【0023】
αXR β (1)
(ここで、Rは、炭素数1〜30までのアルキル基あるいはアリール基(ベンゼン環)であり、炭素基は部分的に分岐鎖や多重結合を有するものも含まれる。また、炭素に結合する元素としてはフッ素や塩素等のハロゲン、水素あるいは窒素等も含まれる。また、Rは、ハロゲン、または−OR(Rは、炭素数1〜6のアルキル基、アリール基、またはアリル基である。ここで、炭素が酸素や水素だけでなく、ハロゲンや窒素と結合しているものも含まれる。)で示される置換基である。また、Xは、Si、Ti、Al、CおよびSからなる群から選択される一つの元素である。ここで、αおよびβは1以上であり、α+βは2から4である。)
上記のような構造の自己組織化単分子膜形成物質が、自己組織化単分子膜を形成することが可能となるからである。
【0024】
本発明においては、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリクロロシラン、オクチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、および3−クロロプロピルトリメトキシシランからなる群から選択される少なくとも一つの材料が、上記自己組織化単分子膜形成物質として用いられることが好ましい。上記自己組織化単分子膜形成物質が、上記の材料であることにより、高いはっ水性を有する高はっ水層を形成することが可能であり、また上記配向基を除去することにより、高い親水性を発現することが可能となるからである。
【0025】
本発明においては、上記高はっ水層は、平面に形成した場合の水との接触角が70〜120°の範囲内である材料で形成されており、上記高親水層は、平面に形成した場合に、水との接触角が70°以下である材料で形成されていることが好ましい。上記高はっ水層および高親水層が、平面に形成した場合の水との接触角が、それぞれ上記範囲内である材料により形成されていることにより、上記パターン形成体を形成した際に、高いはっ水性および親水性を有するパターンからなるパターン形成体とすることが可能となるからである。
【0026】
本発明においては、上記パターン形成体の高はっ水層における水との接触角が130°以上であり、かつ高親水層における水との接触角が10°以下であることが好ましい。上記高はっ水層および高親水層の水との接触角が、それぞれ上記の範囲内であることにより、高いはっ水性および高い親水性を有する、優れたパターン形成体とすることが可能となるのである。
【0027】
本発明においては、上記高はっ水層および上記高親水層の膜厚が1〜150nmの範囲内であることが好ましい。上記高はっ水層および高親水層の膜厚が上記範囲より薄い場合には、均一な層とすることが困難であり、また上記範囲より厚い場合には、上記凹凸を平坦化してしまう可能性があるからである。
【0028】
本発明においては、上記パターン形成体の表面粗さが、5〜200nmの範囲内であることが好ましい。上記パターン形成体の表面粗さが、上記範囲内であることにより、はっ水性および親水性を高めることが可能となり、上記高はっ水層および上記高親水層の効果と、上記凹凸の両方の効果により、より高いはっ水性および親水性を有するパターン形成体とすることが可能となるからである。
【0029】
また本発明は、高分子基材表面に、反応性雰囲気下で高エネルギーを照射することにより表面粗さが5〜200nmの範囲内の凹凸を形成する凹凸形成工程と、上記凹凸を形成した高分子基材上に気相法により膜厚が1〜150nmの範囲内である高はっ水層を形成する高はっ水層形成工程と、上記高はっ水層にパターン状に反応性雰囲気下で高エネルギーを照射することにより高親水層を形成する高親水層形成工程とを有することを特徴とするパターン形成体の製造方法を提供する。
【0030】
本発明によれば、上記凹凸形成工程を有することにより、上記高分子基材表面に凹凸が形成されることから、パターン形成体の表面の凹凸と、後工程で形成される高はっ水層および高親水層の両方の効果により、高いはっ水性および親水性を有するパターン形成体とすることが可能となるのである。また、本発明においては、上記高はっ水層を形成する高はっ水層形成工程後に、上記高はっ水層にパターン状に反応性雰囲気下で高エネルギーを照射することにより、高親水層を形成する。これにより、容易に高はっ水層および高親水層を有するパターン形成体を低コストで、効率よく製造することが可能となるのである。
【0031】
本発明においては、上記凹凸形成工程が、酸素原子を含んだガスを用いるプラズマ処理による工程であってもよく、または酸素含有雰囲気下での真空紫外光によるドライ処理による工程であってもよい。これにより、容易に上記高分子基材の表面に凹凸を形成することが可能であり、製造効率やコストの面からも好ましいからである。
【0032】
本発明においては、上記高分子基材が延伸されたものであることが好ましい。上記高分子基材が延伸されたものであることにより、分子が規則的に配向しており、表面に凹凸を形成する際に、規則的に凹凸を形成することが可能となり、均一に高いはっ水性および親水性を有するパターン形成体とすることが可能となるのである。
【0033】
本発明においては、上記高はっ水層形成工程が、プラズマCVD法によりシリカ系有機膜を形成する工程であってもよい。上記はっ水層形成工程が、プラズマCVD法であることにより、上記凹凸形成工程において形成された高分子基材表面の凹凸を平坦化することなく、容易に均一なシリカ系有機膜を形成することが可能となるからである。
【0034】
本発明においては、上記高はっ水層形成工程が、熱CVD法により自己組織化単分子膜を形成する工程であってもよい。上記高はっ水層形成工程が、熱CVD法であることにより、上記凹凸形成工程で形成された上記高分子基材表面の凹凸を平坦化することなく、上記高分子基材上に自己組織化単分子膜を均一に形成することが可能となるからである。
【0035】
本発明においては、上記高親水層形成工程が、酸素原子を含んだガスを用いるプラズマ照射をする工程であってもよく、また、酸素含有雰囲気下での紫外光を照射する工程であってもよい。これにより、上記高はっ水層形成工程により形成された高はっ水層を、容易にパターン状に高親水層とすることが可能となり、製造効率やコストの面からも好ましいからである。
【0036】
また、本発明は上記本発明に係るパターン形成体上の、高はっ水層および高親水層のパターンに沿って機能性部が配置されたことを特徴とする機能性素子を提供する。上記パターン形成体は、パターン状に形成された高はっ水層および高親水層を有していることから、このはっ水性および親水性を利用して、容易に機能性部をパターン状に形成した機能性素子とすることができるのである。
【0037】
また、本発明は上記本発明に係る機能性素子において、上記機能性部が画素部であることを特徴とするカラーフィルタを提供する。本発明によれば、上記パターン形成体上がパターン状に形成された高はっ水層および高親水層を有していることから、例えばインクジェット法等により、容易に高親水層のみに画素部を形成することが可能となり、高精細なパターンを有するカラーフィルタとすることが可能となるのである。
【0038】
さらに、本発明は上記本発明に係る機能性素子の機能性部が、金属配線であることを特徴とするプリント基板を提供する。本発明によれば、上記パターン形成体は、パターン状に形成された高はっ水層および高親水層を有していることから、例えばインクジェット法等により、容易に高親水層のみに金属コロイド溶液等を付着させることが可能となり、高精細なパターンを有するプリント基板とすることが可能となるのである。
【0039】
【発明の実施の形態】
本発明は、表面に微細な凹凸を有する高分子基材上に形成された、高はっ水層および高親水層を有するパターン形成体およびその製造方法に関するものである。以下、これらについてわけて説明する。
【0040】
1.パターン形成体
本発明におけるパターン形成体は、表面に微細な凹凸を有する高分子基材と、上記高分子基材上にパターン状に形成された高はっ水層および高親水層とを有することを特徴とするものである。本発明においては、表面に微細な凹凸を有する高分子基材上に、高はっ水層および高親水層を形成することにより、パターン形成体表面も凹凸を有する形状とすることが可能であり、その表面の凹凸および高はっ水層および高親水層の両方の効果により、高いはっ水性および親水性を有するパターン形成体とすることが可能となるのである。以下、上記のパターン形成体の構成についてそれぞれ説明する。
【0041】
(高分子基材)
まず、本発明のパターン形成体に用いられる高分子基材について説明する。本発明に用いられる高分子基材としては、表面に微細な凹凸を有する高分子基材であり、この微細な凹凸で親水性を発現することのできるものであれば、特にその樹脂の種類等は限定されるものではなく、用途に応じて透明なものであっても、不透明なものであってもよく、フィルム状であっても、板状であってもよく、さらに,ガラスやシリコンウエハーのような固体表面を高分子によりコーティングした基材でも良い。
【0042】
本発明に使用できる高分子基材の種類として、具体的には
・エチレン、ポリプロピレン、ブテン等の単独重合体または共重合体または共重合体等のポリオレフィン(PO)系樹脂、
・環状ポリオレフィン等の非晶質ポリオレフィン系樹脂(APO)、
・ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン2、6−ナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、
・ナイロン6、ナイロン12、共重合ナイロン等のポリアミド系(PA)樹脂、
・ポリビニルアルコール(PVA)樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)等のポリビニルアルコール系樹脂、
・ポリイミド(PI)系樹脂、
・ポリエーテルイミド(PEI)系樹脂、
・ポリサルホン(PS)系樹脂、
・ポリエーテルサルホン(PES)系樹脂、
・ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)系樹脂、
・ポリカーボネート(PC)系樹脂、
・ポリビニルブチラート(PVB)系樹脂、
・ポリアリレート(PAR)系樹脂、
・ポリスチレン系樹脂、
・エチレン−四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、三フッ化塩化エチレン(PFA)、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(FEP)、フッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニル(PVF)、パーフルオロエチレン−パーフロロプロピレン−パーフロロビニルエーテル−共重合体(EPA)等のフッ素系樹脂、
等を用いることができる。
【0043】
また、上記に挙げた樹脂以外にも、ラジカル反応性不飽和化合物を有するアクリレート化合物によりなる樹脂組成物や、上記アクリレート化合物とチオール基を有するメルカプト化合物よりなる樹脂組成物、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート等のオリゴマーを多官能アクリレートモノマーに溶解せしめた樹脂組成物等の光硬化性樹脂およびこれらの混合物等を用いることも可能である。さらに、これらの樹脂の1または2種以上をラミネート、コーティング等の手段によって積層させたものを基材として用いることも可能である。さらに,ガラスやシリコンウエハーのような固体表面にこれらの樹脂をコーティングした基材でも良い。
【0044】
上記の高分子基材の中でも、特に高分子基材表面に反応性雰囲気下で、高エネルギーが照射されることにより、上記高分子基材表面に微細な凹凸が形成される材料であることが好ましく、中でもプラズマ照射、または紫外光照射されることにより、上記高分子基材表面に微細な凹凸が形成される材料であることが好ましい。これにより、上記の高分子基材表面の微細な凹凸を、プラズマ照射や紫外光照射により得ることが可能となり、製造効率やコストの面からも好ましいからである。
【0045】
本発明においては、上記高分子基材が未延伸なものでも良いが,中でも延伸されたものであることが好ましい。上記高分子基材が延伸されることで,規則的な配向が可能となり、表面全体に凹凸が規則的に形成されやすく、その凹凸により高はっ水層および高親水層のはっ水性および親水性を高めることが可能となるからである。なお、未延伸の場合にも、ランダムな凹凸が形成されるため、はっ水性および親水性を高めることが可能となる。
【0046】
具体的な延伸の方法としては、未延伸の基材を一軸延伸、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸などの公知の方法により、基材の流れ(縦軸)方向、または基材の流れ方向と直角(横軸)方向に延伸することにより延伸基材を製造することができる。この場合の延伸倍率は、基材の原料となる樹脂に合わせて適宜選択することできるが、縦軸方向および横軸方向にそれぞれ2〜10倍が好ましい。
【0047】
さらに、本発明の高分子基材は、上述した高分子基材の中でも特に、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、またはポリカーボネート系樹脂であることが好ましい。また、ポリエステル系樹脂の中でも特にポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートであることが好ましい。上記高分子基材が、これらの物質であることにより、微細な表面凹凸の形成が容易であり、さらに加工が容易である等の性質から、様々な用途に使用することが可能であり、パターン形成体を様々な用途に使用することが可能となるからである。
【0048】
ここで、高分子基材の凹凸の形成方法や凹凸の形状等は特に限定されるものではないが、上記の高分子基材表面に形成された凹凸として、表面粗さが5〜200nm、特に5〜100nmの範囲内であることが好ましい。上記高分子基材表面の表面粗さが、上記範囲内であることにより、高いはっ水性および親水性を発現することが可能であるからである。
【0049】
ここで、表面粗さ測定は,原子間力顕微鏡(セイコーインスツルメンツ社製;SPI3800N)を用いて、タッピングモードで測定された。
【0050】
また、高分子基材表面への凹凸の形成方法として、上記高分子基材表面に微細な凹凸を形成することが可能な方法であれば、特に限定されるものではなく、例えば溶液処理等を用いることも可能であるが、本発明においては、反応性雰囲気下で高エネルギーを照射することが好ましい。これにより、反応性雰囲気中のガスが励起されて高エネルギー状態となり、上記高分子基材表面の特定部位と反応することにより、上記高分子基材表面上に微細な凹凸を形成することが可能となるからである。
【0051】
ここで、本発明でいう反応性雰囲気とは、上記高エネルギーの照射により活性化される物質を含有する雰囲気であり、上記高エネルギーの照射の方法により、異なるものであるが、具体的には、O、NO、NO、NO、CO、CO、H、He、N、Ar等のガスの雰囲気を挙げることができ、中でも酸素原子を含んだガスであることが好ましい。
【0052】
また、高エネルギーの照射の方法として、具体的には、プラズマ照射や、イオン照射、ラジカル照射、光照射等が挙げられ、中でもプラズマ照射および紫外光照射であることが好ましい。
【0053】
本発明における上記微細な凹凸を形成する方法としては、上記の中でも酸素原子を含んだガスを用い、プラズマを照射するプラズマ処理、または酸素含有雰囲気下で真空紫外光を照射するドライ処理を用いることが好ましい。これにより、上記高分子基材表面に凹凸を形成するのと同時に、上記高分子基材表面に親水基を導入することが可能であり、親水基の導入された高分子基材上に後述する高はっ水層および高親水層を設けることにより、高はっ水層および高親水層と高分子基材との密着性が向上し、機械的特性の良好なパターン形成体とすることが可能となるからである。
【0054】
(高はっ水層および高親水層)
次に、本発明に用いられる高はっ水層および高親水層について説明する。本発明に用いられる高はっ水層とは、高いはっ水性を有する層であり、高親水層とは、高い親水性を有する層である。上記高はっ水層および高親水層の水との接触角は、高はっ水層においては、上記高はっ水層を平面に形成した場合の水との接触角が70〜120°、中でも90〜120°の範囲内である材料で形成されているものであることが好ましく、上記高親水層においては、上記高親水層を平面に形成した場合の水との接触角が、70°以下、中でも50°以下である材料で形成されていることが好ましい。上記高親水層および高はっ水層の水との接触角が、それぞれ上記範囲内であることにより、上記パターン形成体を形成した際に、高いはっ水性および親水性を有するパターン形成体とすることが可能となり、また高はっ水層および高親水層の濡れ性の差を大きなものとすることが可能となるからである。
【0055】
また、上記高はっ水層を平面に形成した場合の水との接触角と、上記高親水層を平面に形成した場合の水との接触角との差が、20°以上、中でも40°以上あることが好ましい。これにより、上記パターン状に形成された高はっ水層および高親水層を、大きく濡れ性の異なるパターンとすることが可能となり、容易にこのパターンに沿って、機能性部を形成することが可能となるからである。
【0056】
ここで、本発明における水との接触角は、協和界面化学社の接触角測定装置(型番CA-Z)を用いて測定したものである。具体的には、被測定対象物の表面上に、純水を一滴(一定量)滴下させ、一定時間(10秒間)経過後顕微鏡またはCCDカメラを用いて水滴形状を観察し、物理的に接触角を求めた値である。
【0057】
また、本発明に用いられる高はっ水層および高親水層における好適な膜厚は、1nm〜150nmの範囲内、中でも1nm〜100nm、特に1nm〜50nmの範囲内であることが好ましい。
【0058】
高はっ水層および高親水層の膜厚が、上記範囲より薄い場合は、例えば高はっ水層および高親水層が形成されない部分が生じる等、パターン形成体としての機能を発揮できない可能性が生じることから好ましくなく、上記範囲より膜厚を厚くした場合には、上記高分子基材上の凹凸を平坦化する可能性があり、またコストの面からも好ましくない。
【0059】
本発明に用いられる高はっ水層および高親水層は、高いはっ水性を有する層と、高い親水性を有する層であれば、特に原料等は限定されるものではないが、高はっ水層および高親水層が下記の組み合わせである、二つの実施態様である場合が特に好ましい。一つは、高はっ水層が、Sixyzαで示される有機シリコン系材料またはその重合膜からなるシリカ系有機膜であり、かつ高親水層が、酸化珪素膜である場合(以下、第一実施態様とする)であり、二つ目としては高はっ水層が、上記高分子基材に自己組織化単分子膜を吸着させるための吸着基を少なくとも一つ有し、かつ上記高分子基材上に自己組織化単分子膜を形成するように単分子で配向させる配向基を少なくとも一つ有する自己組織化単分子膜形成物質を原料として用いて形成された、自己組織化単分子膜であり、かつ高親水層が、上記自己組織化単分子膜における上記配向基がヒドロキシル基に置換されたヒドロキシル基置換膜である場合(以下、第二実施態様とする)である。以下、これらの各実施態様についてそれぞれ説明する。
【0060】
(1)第一実施態様
まず、本発明に用いられる高はっ水層および高親水層の第一実施態様について説明する。本発明に用いられる高はっ水層および高親水層の第一実施態様は、高はっ水層が、Sixyzαで示される有機シリコン系材料またはその重合膜からなるシリカ系有機膜であり、かつ高親水層が、酸化珪素膜である場合である。
【0061】
上記高はっ水層および上記高親水層が、シリカ系有機膜および酸化珪素膜であることにより、シリカ系有機膜を上記高分子基材の全面に形成後、パターン状に高エネルギーを照射することにより、パターン状に酸化珪素膜を形成することができることから製造が容易であり、製造効率やコストの面からも好ましい。以下、シリカ系有機膜および酸化珪素膜について、それぞれわけて説明する。
【0062】
(シリカ系有機膜)
まず、本実施態様に高はっ水層として用いられるシリカ系有機膜について説明する。本実施態様に用いられるシリカ系有機膜とは、Sixyzαで示される有機シリコン系材料、またはその重合膜からなる膜であれば、特に限定されるものではないが、基材に対して熱的なダメージを与えずに形成できる点からCVD法により形成されたシリカ系有機膜であることが特に好ましいといえる。
【0063】
本実施態様に用いられるシリカ系有機膜の材料として、具体的にはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、テトラメチルシラン、ヘキサメチルジシロキサン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、トリエチルシラン、トリエトキシシラン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジエトキシジシロキサン、テトラキス(トリメチルシリル)シラン、テトラキス(ジメチルシロキシ)シラン、1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサン、1,1,3,3−テトライソプロピル−1,3−ジクロロジシロキサン、テトラエチルシラン、1,1,3,3−テトラエトキシ−1,3−ジメチルジシロキサン、テトラ−n−ブチルシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメチルシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルシラン、フェニルメチルシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、フェニルジメチルシラン、フェニルジメチルエトキシシラン、フェニルジエトキシシラン、フェノキシトリメチルシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ペンタメチルジシロキサン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−オクチルシラン、オクチロキシトリメチルシラン、n−オクチルメチルジエトキシシラン、7−オクテニルトリメトキシシラン、7−オクテニルジメチルシラン、オクタメチルトリシロキサン、1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキシシラン、n−オクタデシルシラン、n−オクタデシルメチルジエトキシシラン、n−オクタデシルメチルジクロロシラン、n−オクタデシルジメチルシラン、n−オクタデシルジメチルメトキシシラン、メチルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、メチルトリス(メトキシエトキシ)シラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−n−オクチルシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、3−メトキシプロピルトリメトキシシラン、メトキシメチルトリメチルシラン、イソオクチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、イソブチルメチルジメトキシシラン、イソブチルトリメチルシラン、イソブチルジメチルシラン、イソブチルメチルシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメチルシラン、ヒドロキシメチルトリメチルシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルシラン、ヘキサフェニルジシロキサン、ヘキサフェニルジシラン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシラン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、ヘキサメトキシジシラン、ヘキサエチルジシロキサン、ヘキサエチルシクロトリシロキサン、1,1,1,3,3,5,5−ヘプタメチルトリシロキサン、エチルトリメチルシラン、エチルトリメトキシシラン、2−エチルヘキシロキシトリメチルシラン、エチルジメチルシラン、エチルビス(トリメチルシロキシ)シラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、ドデシルメチルジエトキシシラン、ドデカメチルペンタシロキサン、1,3−ジシラブタン、1,3−ジフェニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,2−ジフェニルテトラメチルジシラン、ジフェニルシランジオール、ジフェニルシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルメチルシラン、ジフェニルメチルメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、1,3−ジオクチルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジ−n−オクチルテトラエトキシジシロキサン、1,2−ジメチル−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン、1,3−ジメチルテトラメトキシジシロキサン、1,4−ジメチルジシリルエタン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジメチルジフェニルシラン、ジメチルメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、ジエチルシラン、ジエチルメチルシラン、ジエチルジヘニルシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−t−ブチルメチルシラン、ジベンジルジメチルシラン、n−デシルトリエトキシシラン、デカメチルテトラシロキサン、シクロトリメチレンジメチルシラン、シクロテトラメチレンジメチルシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、シクロペンタメチレンジメチルシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、t−ブチルジフェニルメトキシシラン、t−ブトキシトリメチルシラン、ビス(トリメチルシリル)メタン、1,4−ビス(トリメチルシリル)ベンゼン、ビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、1,2−ビス(トリメチルシロキシ)エタン、1,3−ビス(トリメチルシロキシ)1,3−ジメチルジシロキサン、ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、ビス(トリエトキシシリル)オクタン、1,9−ビス(トリエトキシシリス)ノナン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン、ベンジロキシトリメチルシラン、ベンジルジメチルシラン、ビニルトリメトキシシラン、トリス(トリメチルシリル)シラン、トリス(トリメチルシロキシ)シラン、トリ−n−プロピルシラン、トリフェニルシラン、トリフェニルエトキシシラン、トリオクチルシラン、トリイソプロポキシシラン、トリ−n−ヘキシルシラン、トリエチルシラノール、トリメチルエトキシシラン等を好ましく用いることができる他、テトラメチルジシロキサン、ノルマルメチルトリメトキシシラン等の従来公知のものを、一種または二種以上用いることができる。
【0064】
ここで、上記シリカ系有機膜が酸素原子を含有する膜である場合には、シリカ系有機膜中の酸素原子の濃度が、Si原子数100に対して100以下、中でも50以下であることが好ましい。酸素原子は、水分子と水素結合を容易に形成することから、上記シリカ系有機膜中に酸素原子を有することにより、水分子を引き寄せ、はっ水性が低下する原因となる。上記シリカ系有機膜において、酸素原子の濃度が上述した範囲内であることから、酸素原子によるはっ水性の低下を抑えることが可能となり、上記シリカ系有機膜をより高はっ水性を有するものとすることが可能となるからである。
【0065】
また、上記シリカ系有機膜中の炭素原子の濃度が、Si原子数100に対して100〜400、特に150〜400の範囲内であることが好ましい。これにより、上記シリカ系有機膜をより高いはっ水性を有する膜とすることが可能となるのである。
【0066】
ここで、本実施態様のシリカ系有機膜における成分割合は、XPS(X-ray Photoelectron Spectroscopy)で測定された値である。XPSによる分析法を以下説明する。真空中で固体表面にX線を照射すると、X線によりエネルギ−を与えられた表面原子から電子が飛散する。この電子は、X線などの光照射によって発生するため光電子と呼ばれ、この光電子は、元素固有のエネルギ−を有することから、エネルギ−分布を測定することにより元素の定性分析や定量分析が可能となる。また、表面から深いところで発生した光電子は、表面に出てくる前にそのエネルギーを失うため測定が困難であり、1000eVの運動エネルギーを有する電子の脱出深さは、数nm(数十原子層)であることから、最表面の情報を得ることが可能となる。さらに、深部を測定するためには、表面をアルゴン等のイオンによりスパッタリングする必要があり、元素の種類により選択的なスパッタリングが生じるので、定量の際には補正が必要となる。
【0067】
(酸化珪素膜)
次に、本実施態様の高親水層に用いられる酸化珪素膜について説明する。本実施態様に用いられる酸化珪素膜は、上述したような親水性を有する酸化珪素膜であれば、製法等は特に限定されるものではないが、中でも上記シリカ系有機膜を上記高分子基材上の全面に形成後、所望のパターンで、高エネルギーを照射することにより酸化珪素膜をパターン状に形成する方法であることが好ましい。これにより、簡易な工程で製造することができ、製造効率やコストの面からも好ましいからである。
【0068】
ここで、本実施態様に用いられる酸化珪素膜は、酸化珪素膜における酸素原子の濃度が、Si原子数100に対して150〜300、中でも180〜250の範囲内であることが好ましい。上記酸化珪素膜中に酸素原子を有することにより、水分子を引き寄せ、親水性を向上させることが可能となるのである。また、この場合、Si原子数を100とした場合における、上述したシリカ系有機膜における酸素原子の濃度と、酸化珪素膜における酸素原子の濃度との差が、50以上、中でも130以上あることが好ましい。これにより、上記シリカ系有機膜および酸化珪素膜によるパターンの濡れ性の差を大きくすることが可能となり、容易にこのパターンに沿って、機能性部を形成することが可能なパターン形成体とすることが可能となるからである。
【0069】
また、酸化珪素膜における炭素原子の濃度が、Si原子数100に対して50以下、中でも20以下の範囲内であることが好ましい。酸化珪素膜中において疎水性を示す炭素原子の濃度が上記範囲内であることにより、酸化珪素膜中の不純物を少なくすることが可能となり、より高い親水性を有する酸化珪素膜とすることが可能となるからである。また、この場合、Si原子数を100とした場合における、上述したシリカ系有機膜における炭素原子の濃度と、酸化珪素膜における炭素原子の濃度との差が、50以上、中でも130以上あることが好ましい。これにより、上記シリカ系有機膜および酸化珪素膜によるパターンの濡れ性の差をより大きくすることが可能となるからである。
【0070】
(2)第二実施態様
次に、本発明の高はっ水層および高親水層の第二実施態様について説明する。本発明の高はっ水層および高親水層の第二実施態様は、高はっ水層が、上記高分子基材に自己組織化単分子膜を吸着させるための吸着基を少なくとも一つ有し、かつ上記高分子基材上に自己組織化単分子膜を形成するように単分子で配向させる配向基を少なくとも一つ有する自己組織化単分子膜形成物質を原料として用いて形成された、自己組織化単分子膜であり、かつ高親水層が、上記自己組織化単分子膜における上記配向基がヒドロキシル基に置換されたヒドロキシル基置換膜であるものである。
【0071】
上記高はっ水層および上記高親水層が、上記自己組織化単分子膜およびヒドロキシル基置換膜であることにより、上記自己組織化単分子膜を上記高分子基材の全面に形成後、パターン状に上述したような高エネルギーを照射することにより、パターン状に上記ヒドロキシル基置換膜を形成することができることから、製造工程が容易であり、製造効率やコストの面からも好ましい。以下、自己組織化単分子膜およびヒドロキシル基置換膜について、それぞれわけて説明する。
【0072】
(自己組織化単分子膜)
まず、本実施態様に高はっ水層として用いられる自己組織化単分子膜について説明する。本実施態様に用いられる自己組織化単分子膜とは、固体/液体もしくは固体/気体界面で、有機分子同士が自発的に集合し、会合体を形成しながら自発的に単分子膜を形作っていく有機薄膜である。例として、ある特定の材料でできた基板を、その基板材料と化学的親和性の高い有機分子の溶液または蒸気にさらすと、有機分子は基板表面で化学反応し吸着する。その有機分子が、化学的親和性の高い官能基と、基板との化学反応を全く起こさないアルキル基との2つのパートからなり、親和性の高い官能基がその末端にある場合、分子は反応性末端が基板側を向き、アルキル基が外側を向いて吸着する。アルキル基同士が集合すると、全体として安定になるため、化学吸着の過程で有機分子同士は自発的に集合する。分子の吸着には、基板と末端官能基との間で化学反応が起こることが必要であることから、一旦基板表面が有機分子でおおわれ単分子膜ができあがると、それ以降は分子の吸着は起こらない。その結果、分子が密に集合し、配向性のそろった有機単分子膜ができる。このような膜を本実施態様においては、自己組織化単分子膜とする。ここで、上記の基板と結合する反応性末端基を吸着基、外側を向いて配向する基を配向基とする。
【0073】
上記高はっ水層が上述したような自己組織化単分子膜であることにより、上述した高分子基材の凹凸に沿って、単分子で膜を形成することが可能であり、上記高分子基材の凹凸、および自己組織化単分子膜の配向基のはっ水性により高いはっ水性を有する層とすることが可能となるのである。
【0074】
ここで、上記自己組織化単分子膜は、下記の一般式(1)で示される自己組織化単分子膜形成物質を原料として形成されたものであることが好ましい。
【0075】
αXR β (1)
(ここで、Rは、炭素数1〜30までのアルキル基あるいはアリール基(ベンゼン環)であり、炭素基は部分的に分岐鎖や多重結合を有するものも含まれる。また、炭素に結合する元素としてはフッ素や塩素等のハロゲン、水素あるいは窒素等も含まれる。また、Rは、ハロゲン、または−OR(Rは、炭素数1〜6のアルキル基、アリール基、またはアリル基である。ここで、炭素が酸素や水素だけでなく、ハロゲンや窒素と結合しているものも含まれる。)で示される置換基である。また、Xは、Si、Ti、Al、CおよびSからなる群から選択される一つの元素である。ここで、αおよびβは1以上であり、α+βは2から4である。)
ここで、Rは上述の配向基、Rは上述の吸着基、Xは自己組織化単分子膜の核となる物質である。上記構造の物質が自己組織化単分子膜を形成するのである。
【0076】
上記に示した自己組織化単分子膜形成物質の具体的な例として、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリクロロシラン、オクタデシルメチルジエトキシシラン、オクタデシルジメチルメトキシシラン、オクタデシルメチルジメトキシシラン、オクタデシルメトキシジクロロシラン、オクタデシルメチルジクロロシラン、オクタデシルジメチル(ジメチルアミノ)シラン、オクタデシルジメチルクロロシラン、ノニルクロロシラン、オクテニルトリクロロシラン、オクテニルトリメトキシシラン、オクチルメチルジクロロシラン、オクチルメチルジエトキシシラン、オクチルトリクロロシラン、オクチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、ペンタフルオロフェニルプロピルトリクロロシラン、ペンタフルオロフェニルプロピルトリメトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ペンチルトリクロロシラン、フェネチルトリクロロシラン、フェネチルトリメトキシシラン、フェニルジクロロシラン、フェニルジエトキシシラン、フェニルエチルジクロロシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリクロロシラン、テトラデシルトリクロロシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)ジメチルクロロシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリクロロシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリエトキシシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルメチルジクロロシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルトリクロロシラン、イソオクチルトリメトキシシラン、イソブチルメチルジクロロシラン、イソブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリクロロシラン、ヘキシルトリクロロシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキセニルトリクロロシラン、ヘキシルジクロロシラン、ヘキサデシルトリクロロシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、ヘプチルトリクロロシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリクロロシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)メチルジクロロシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)ジメチルクロロシラン、エイコシルトリクロロシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、ドデシルトリクロロシラン、ドデシルメチルジクロロシラン、ドデシルジメチルクロロシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジクロロシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジメトキシメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルシラン、デシルメチルジクロロシラン、デシルトリクロロシラン、デシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルジメチルクロロシラン、シクロヘキシルメチルトリクロロシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリクロロシラン、クロロフェニルトリクロロシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリクロロシランであることが好ましい。
【0077】
本実施態様においては、中でもオクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリクロロシラン、ノニルクロロシラン、オクテニルトリクロロシラン、オクテニルトリメトキシシラン、オクチルトリクロロシラン、オクチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、ペンタフルオロフェニルプロピルトリクロロシラン、ペンタフルオロフェニルプロピルトリメトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ペンチルトリクロロシラン、フェネチルトリクロロシラン、フェネチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリクロロシラン、テトラデシルトリクロロシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリクロロシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリエトキシシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルトリクロロシラン、イソオクチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリクロロシラン、ヘキシルトリクロロシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキセニルトリクロロシラン、ヘキサデシルトリクロロシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、ヘプチルトリクロロシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリクロロシラン、エイコシルトリクロロシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、ドデシルトリクロロシラン、ジメトキシメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルシラン、デシルトリクロロシラン、デシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルジメチルクロロシラン、シクロヘキシルメチルトリクロロシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリクロロシラン、クロロフェニルトリクロロシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリクロロシランが好ましく、特にオクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリクロロシラン、オクチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシランが好ましい。
【0078】
(ヒドロキシル基置換膜)
次に、本実施態様に高親水層として用いられるヒドロキシル基置換膜について説明する。本実施態様に用いられるヒドロキシル基置換膜とは、上述した自己組織化単分子膜の上記配向基がヒドロキシル基に置換された層である。
【0079】
上記高親水層が、ヒドロキシル基置換膜であることにより、上記自己組織化単分子膜を形成後、所望のパターンで、上述したような高エネルギーを照射することにより、ヒドロキシル基置換膜をパターン状に形成することが可能となることから、簡易な工程で形成することができ、製造効率やコストの面からも好ましい。
【0080】
また、上記配向基がヒドロキシル基に置換されていることにより、高い親水性を有する膜とすることが可能となるのである。
【0081】
なお、自己組織化単分子膜、および配向基等については、上述したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0082】
(パターン形成体)
次に、本発明のパターン形成体について説明する。本発明におけるパターン形成体は、上述した高分子基材上に、上述した高はっ水層および高親水層をパターン状に形成したものであれば、用途に合わせて透明であっても、不透明であってもよい。
【0083】
また本発明においては、パターン形成体の表面粗さが5〜200nm、中でも5〜100nm,特に5〜50nmの範囲内であることが好ましい。パターン形成体の表面粗さが上記の範囲内であることにより、表面の凹凸と高はっ水層および高親水層との両方の効果により、高いはっ水性および親水性を有するパターン形成体とすることが可能となるからである。なお、ここでいう表面粗さは、上述した方法により測定されたものである。
【0084】
また、本発明においては、上記パターン形成体の高はっ水層における水との接触角が、120°以上、中でも130°以上であり、かつ高親水層における水との接触角が、15°以下、中でも10°以下であることが好ましい。
【0085】
上記高はっ水層および高親水層の水との接触角が、それぞれ上記の範囲内であることにより、高いはっ水性および高い親水性を有する、優れたパターン形成体とすることが可能となるのである。
【0086】
また、上記高はっ水層の水との接触角と、上記高親水層の水との接触角との差が、105°以上、中でも125°以上あることが好ましい。これにより、上記高はっ水層および高親水層を、大きく濡れ性の異なるパターンとすることが可能となり、容易にこのパターンに沿って、機能性部を形成することが可能なパターン形成体とすることが可能となるからである。
【0087】
なお、ここでいう水との接触角の測定方法は、上述した方法により測定されたものである。
【0088】
2.パターン形成体の製造方法
次に、本発明のパターン形成体の製造方法について説明する。本発明のパターン形成体の製造方法は、高分子基材表面に、反応性雰囲気下で高エネルギーを照射することにより表面粗さが5〜200nmの範囲内の凹凸を形成する凹凸形成工程と、上記凹凸を形成した高分子基材上に気相法により膜厚が1〜150nmの範囲内である高はっ水層を形成する高はっ水層形成工程と、上記高はっ水層にパターン状に反応性雰囲気下で高エネルギーを照射することにより高親水層を形成する高親水層形成工程とを有することを特徴とするものである。
【0089】
本発明によれば、上記凹凸形成工程を有することにより、上記高分子基材表面に凹凸が形成されることから、パターン形成体の表面の凹凸と、高はっ水層および高親水層の両方の効果により、高いはっ水性および親水性を有するパターン形成体とすることが可能となるのである。また、本発明においては、上記高はっ水層を形成する高はっ水層形成工程後に、上記高はっ水層にパターン状に反応性雰囲気下で高エネルギーを照射することにより、高親水層をパターン状に形成する高親水層形成工程を有する。これにより、容易に高親水層をパターン状に形成することが可能であり、高いはっ水性および親水性を有するパターン形成体を低コストで、効率よく製造することが可能となるのである。以下、上述したようなパターン形成体の製造方法について、詳しく説明する。
【0090】
(凹凸形成工程)
まず、本発明の凹凸形成工程について説明する。本発明における凹凸形成工程は、高分子基材表面に反応性雰囲気下で高エネルギーを照射することにより、表面粗さが5〜200nm、中でも5〜100nm,特に5〜50nmの範囲内の凹凸を形成する工程である。なお、ここでいう表面粗さは、上述した方法により測定されたものである。
【0091】
本発明における高分子基材表面粗さが、上記範囲内であることにより、高いはっ水性および親水性を発現することが可能であり、さらに後述する高はっ水層形成工程および高親水層形成工程により、高分子基材上に高はっ水層および高親水層を形成した際にも、高はっ水層および高親水層により平坦化される可能性が少ない。
【0092】
また、本発明に用いられる高分子基材は、凹凸の形成が可能な樹脂基材であれば、特に限定されるものではなく、中でも、均一な凹凸が形成可能であるという面から、上記高分子基材が延伸されたものであることが好ましい。本発明における高分子基材の種類や、延伸の具体的な方法は、パターン形成体の高分子基材の項で述べたものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0093】
本発明の凹凸形成工程において用いられる反応性雰囲気下における高エネルギーの照射とは、上記高分子基材表面に微細な凹凸を形成することが可能な方法であれば、特に限定されるものではない。これにより、上記高分子基材表面に微細な凹凸を容易に形成することが可能となるからである。
【0094】
なお、上記反応性雰囲気下における高エネルギーの照射については、上述したパターン形成体の高分子基材の項で述べたものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0095】
ここで、本発明においては、上述した反応性雰囲気下における高エネルギーの照射の中でも酸素原子を含んだガスを用いるプラズマ処理、または酸素含有雰囲気下での真空紫外光によるドライ処理を用いることが好ましい。
【0096】
上記凹凸形成工程に、例えば酸素原子を含んだガスを用いるプラズマ処理を用いることによって、高分子基材表面に凹凸を形成するのと同時に、プラズマ中の酸素と高分子基材表面において反応が行われ、高分子基材表面に−OH基が導入することが可能となるからである。ここで、酸素原子を含んだガスとは、例としてNO、CO、またはO等のガスである。
【0097】
また、上記の酸素原子を含んだガスを用いるプラズマ処理の中でも、本発明においては、特に酸素プラズマ処理を用いることが好ましい。酸素プラズマ処理とは、具体的には酸素プラズマにより分解生成された活性な分子、ここでは活性酸素種(原子および分子を含む広義のラジカル)による化学的効果と基材表面に形成されるイオン・シースで加速されたイオンによる物理的効果とその相乗効果による処理方法であることから、効率よく処理を行うことが可能であり、製造効率やコストの面からも好ましい。
【0098】
また、上記凹凸形成工程に、例えば上記酸素含有雰囲気下での真空紫外光によるドライ処理を用いた場合には、上記高分子基材中のC−C結合やC−H結合が真空紫外光により励起され、切断されることによりラジカルが生成する。このラジカルはさらに、雰囲気中の残留酸素が真空紫外光によって励起されて発生した原子状酸素と反応し、上記高分子基材表面の一部が分解して微細な凹凸が形成されるのと同時に、高分子基材表面に−OH基が導入されるのである。
【0099】
ここで上記真空紫外光照射における圧力は、1Pa〜1500Pa、中でも10Pa〜1000Paの範囲内であることが好ましい。これにより、効率的に上記の反応が進むことから、製造効率やコスト等の面からも好ましいからである。
【0100】
上述した方法により、上記高分子基材表面に、微細な凹凸が形成されるのと同時に、高分子基材表面に−OH基が導入されることにより、高分子基材表面と後述する高はっ水層形成工程および高親水層形成工程により形成される高はっ水層および高親水層との密着性を向上させることができ、高いはっ水性および親水性を有するパターン形成体を製造することが可能となるのである。
【0101】
(高はっ水層形成工程)
次に、本発明における高はっ水層形成工程について説明する。本発明における高はっ水層形成工程は、上述した凹凸形成工程により凹凸が形成された高分子基材上に、気相法により、厚さが1〜150nm、好ましくは1〜100nm、特に1〜50nmの範囲内である高はっ水層を形成する工程である。
【0102】
本発明のパターン形成体における高はっ水層形成工程は、高いはっ水性を有する層を形成する工程であれば、特に限定されるものではないが、中でもプラズマCVD法により、シリカ系有機膜を形成する工程、または熱CVD法により自己組織化単分子膜を形成する工程であることが好ましい。以下、これらの工程について、わけて説明する。
【0103】
(1)プラズマCVD法によりシリカ系有機膜を形成する工程
まず、本発明におけるプラズマCVD法によりシリカ系有機膜を形成する工程について説明する。
【0104】
プラズマCVD法は、高分子基材に熱的ダメージが加わらない程度の低温(およそ−10〜200℃程度の範囲)で所望の材料を成膜でき、さらに原料ガスの種類・流量、成膜圧力、投入電力によって、得られる膜の種類や物性を制御できるという利点がある。これにより、上述した高分子基材等に熱的ダメージを与える可能性が少なく、本発明においては、上述した凹凸形成工程により形成された高分子基材の表面の凹凸を平坦化する可能性が少ないことから、上記高分子基材として例えば熱的耐性の弱い高分子基材等を使用することが可能となり、種々の用途に使用できるパターン形成体とすることが可能となる。
【0105】
本発明における具体的な成膜方法としては、まず成膜時の基材の温度が−20〜100℃の範囲内、好ましくは−10〜50℃の範囲内とする。次に原料ガスとして下記のいずれかの材料を用い、プラズマCVD装置のプラズマ発生手段における単位面積当たりの投入電力をシリカ系有機膜が形成可能な大きさで設定し、成膜圧力をパーティクルの発生がない程度の高い圧力(50〜300mTorr)の範囲で設定する。また、マグネット等プラズマの閉じ込め空間を形成しその反応性を高めることにより、その効果がより高く得られる。
【0106】
有機珪素化合物ガスとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、テトラメチルシラン、ヘキサメチルジシロキサン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、トリエチルシラン、トリエトキシシラン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジエトキシジシロキサン、テトラキス(トリメチルシリル)シラン、テトラキス(ジメチルシロキシ)シラン、1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサン、1,1,3,3−テトライソプロピル−1,3−ジクロロジシロキサン、テトラエチルシラン、1,1,3,3−テトラエトキシ−1,3−ジメチルジシロキサン、テトラ−n−ブチルシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメチルシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルシラン、フェニルメチルシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、フェニルジメチルシラン、フェニルジメチルエトキシシラン、フェニルジエトキシシラン、フェノキシトリメチルシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ペンタメチルジシロキサン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−オクチルシラン、オクチロキシトリメチルシラン、n−オクチルメチルジエトキシシラン、7−オクテニルトリメトキシシラン、7−オクテニルジメチルシラン、オクタメチルトリシロキサン、1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキシシラン、n−オクタデシルシラン、n−オクタデシルメチルジエトキシシラン、n−オクタデシルメチルジクロロシラン、n−オクタデシルジメチルシラン、n−オクタデシルジメチルメトキシシラン、メチルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、メチルトリス(メトキシエトキシ)シラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−n−オクチルシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、3−メトキシプロピルトリメトキシシラン、メトキシメチルトリメチルシラン、イソオクチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、イソブチルメチルジメトキシシラン、イソブチルトリメチルシラン、イソブチルジメチルシラン、イソブチルメチルシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメチルシラン、ヒドロキシメチルトリメチルシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルシラン、ヘキサフェニルジシロキサン、ヘキサフェニルジシラン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシラン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、ヘキサメトキシジシラン、ヘキサエチルジシロキサン、ヘキサエチルシクロトリシロキサン、1,1,1,3,3,5,5−ヘプタメチルトリシロキサン、エチルトリメチルシラン、エチルトリメトキシシラン、2−エチルヘキシロキシトリメチルシラン、エチルジメチルシラン、エチルビス(トリメチルシロキシ)シラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、ドデシルメチルジエトキシシラン、ドデカメチルペンタシロキサン、1,3−ジシラブタン、1,3−ジフェニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,2−ジフェニルテトラメチルジシラン、ジフェニルシランジオール、ジフェニルシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルメチルシラン、ジフェニルメチルメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、1,3−ジオクチルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジ−n−オクチルテトラエトキシジシロキサン、1,2−ジメチル−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン、1,3−ジメチルテトラメトキシジシロキサン、1,4−ジメチルジシリルエタン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジメチルジフェニルシラン、ジメチルメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、ジエチルシラン、ジエチルメチルシラン、ジエチルジヘニルシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−t−ブチルメチルシラン、ジベンジルジメチルシラン、n−デシルトリエトキシシラン、デカメチルテトラシロキサン、シクロトリメチレンジメチルシラン、シクロテトラメチレンジメチルシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、シクロペンタメチレンジメチルシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、t−ブチルジフェニルメトキシシラン、t−ブトキシトリメチルシラン、ビス(トリメチルシリル)メタン、1,4−ビス(トリメチルシリル)ベンゼン、ビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、1,2−ビス(トリメチルシロキシ)エタン、1,3−ビス(トリメチルシロキシ)1,3−ジメチルジシロキサン、ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、ビス(トリエトキシシリル)オクタン、1,9−ビス(トリエトキシシリス)ノナン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン、ベンジロキシトリメチルシラン、ベンジルジメチルシラン、ビニルトリメトキシシラン、トリス(トリメチルシリル)シラン、トリス(トリメチルシロキシ)シラン、トリ−n−プロピルシラン、トリフェニルシラン、トリフェニルエトキシシラン、トリオクチルシラン、トリイソプロポキシシラン、トリ−n−ヘキシルシラン、トリエチルシラノール、トリメチルエトキシシラン等の従来公知のものを、一種または二種以上用いることができる。
【0107】
中でも、高いはっ水性を有するシリカ系有機膜を形成する目的から、特に分子内に炭素−珪素結合を多くもつ有機珪素化合物が好適に用いられる。具体的には、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(TMDSO)、テトラメチルシラン(TMS)、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリエチルシラン、トリメチルシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、イソブチルメチルジメトキシシラン、イソブチルトリメチルシラン、イソブチルジメチルシラン、イソブチルメチルシラン、エチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラザン等を挙げることができ、中でも分子内に炭素−珪素結合を多く有するヘキサメチルジシロキサン(HMDSO;(CH3)3SiOSi(CH3)3)、テトラメチルジシロキサン(TMDSO;(CH3)2HSiOSiH(CH3)2)、テトラメチルシラン(TMS;Si(CH3)4)、ヘキサメチルジシラザンが好ましいといえる。
【0108】
このように、原料ガスのうち有機珪素化合物ガスとして炭素−珪素結合を多く有する有機化合物を用い、さらに上述したような開始時の基材の温度、原料ガスの流量比、さらにはプラズマ発生手段における投入電力、成膜圧力を上述した範囲内とすることにより、より優れたはっ水性膜が得られるのは、有機珪素化合物ガスの分解性が低く、膜中にアルキル基等の炭素が取り込まれやすくなるからであると考えられる。
【0109】
(2)熱CVD法により自己組織化単分子膜を形成する工程
次に、本発明における熱CVD法により自己組織化単分子膜を形成する工程について説明する。
【0110】
本発明において、自己組織化単分子膜を形成する工程が、熱CVD法であることにより、熱CVD法では、原料となる物質を気化し、基材上に均一になるように材料を送り込み、酸化、還元、置換等の反応を行わせることから、上記高分子基材の凹凸上にも均一に自己組織化単分子膜を形成することが可能であり、上記高分子基材表面に形成された凹凸を平坦化することなく、高はっ水層を形成することが可能である。
【0111】
本発明における熱CVD法の好ましい成膜条件としては、上述した高分子基材の耐熱温度以下であれば、高ければ高いほどよいが、50℃〜200℃の範囲内であることが好ましい。また、反応系中に水分、あるいは酸素が含まれることが、上記自己組織化単分子膜形成物質のアルコキシ基の加水分解反応がより促進され、基材との反応性が高くなることから好ましい。
【0112】
本発明における熱CVD法による自己組織化単分子膜の材料としては、上述したパターン形成体の高はっ水層の自己組織化単分子膜の記載と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0113】
(高親水層形成工程)
次に、本発明における高親水層形成工程について説明する。本発明における高親水層形成工程は、上述した高はっ水層形成工程により形成された高はっ水層に所望のパターン状に反応性雰囲気下で高エネルギーを照射することにより、高親水層をパターン状に形成する工程である。
【0114】
本発明の高親水層形成工程は、上述した高はっ水層形成工程により所望のパターン状に反応性雰囲気下で高エネルギーを照射することにより、高はっ水層を親水性にすることが可能であれば、方法等は特に限定されるものではない。
【0115】
なお、上記反応性雰囲気下における高エネルギーの照射については、上述したパターン形成体の高分子基材の項で述べたものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0116】
ここで、本発明においては、中でも酸素原子を含んだガスを用いるプラズマを照射する方法、または酸素含有雰囲気下での紫外光を照射する方法を用いることが好ましい。
【0117】
酸素原子を含んだガスを用いるプラズマを照射する方法によれば、上記プラズマ中の酸素と上記高はっ水層表面において反応が行われ、高はっ水層表面に−OH基が導入され、上記高はっ水層表面を高親水層とすることが可能となるのである。ここで、酸素原子を含んだガスとは、例えばNO、CO、O等のガスが挙げられる。
【0118】
また、酸素含有雰囲気下での紫外光を照射する方法によれば、例えば、上記高はっ水層がシリカ系有機膜である場合に、上記シリカ系有機膜に真空紫外光を照射した場合、雰囲気中の残留酸素が真空紫外光によって励起されて、上述したシリカ系有機膜中のSi−C結合を攻撃し、炭素が酸素に置換されて、Si−O結合が形成される。これにより、上記シリカ系有機膜の表面に酸素が導入され、表面にヒドロキシル基を有する膜となり、高い親水性を有する高親水層を形成することができるのである。
【0119】
また、例えば上記高はっ水層が、自己組織化単分子膜である場合、上記自己組織化単分子膜に真空紫外光を照射した場合、上記配向基は上述したような有機物等により構成されており、上記配向基中のC−C結合やC−H結合が励起され、切断されることによりラジカルが生成する。このラジカルはさらに、雰囲気中の残留酸素が真空紫外光によって励起されて発生した原子状酸素と反応し、有機成分は分解し、水や二酸化炭素となって除去される。また、上記自己組織化単分子膜の骨格を形成する物質は上述したような珪素等であることから、光照射によって除去されずに酸化され、表面はヒドロキシル基を有する構造とすることができるのである。
【0120】
ここで上記真空紫外光照射における圧力は、1Pa〜1500Pa、中でも10Pa〜1000Paの範囲内であることが好ましい。これにより、効率的に上記の反応が進むことから、製造効率やコスト等の面からも好ましいからである。
【0121】
また、上記高エネルギーをパターン状に照射する方法としては、高親水層を形成する領域のみに高エネルギーを照射することができる方法であれば、レーザ等を用いてパターン状に描画照射する方法や、高エネルギーを遮断することが可能であり、かつ高エネルギーを遮断する部分のみに形成された材料からなるマスク等を用いる方法であってもよく、フォトマスクのように、必要な部分のみ高エネルギーを透過させるものを用いる方法であってもよい。
【0122】
3.機能性素子
次に、本発明の機能性素子について説明する。本発明の機能性素子は、上述したパターン形成体のパターン状に形成された高はっ水層および高親水層の水との接触角の差を利用して、このパターンに沿って機能性部が形成された機能性素子であれば特に限定されるものではなく、具体的にはカラーフィルタやプリント基板、印刷版等が挙げられる。
【0123】
本発明によれば、上記パターン形成体は、上記高はっ水層および高親水層がパターン状に形成されており、この高はっ水層および高親水層の水との接触角が大きく異なることから、この親水性およびはっ水性を利用して、上記高親水層および高はっ水層のパターンに沿って、目的とするパターン状に、様々な機能性部を形成することが可能となるのである。
【0124】
本発明においては、上記機能性素子の中でもカラーフィルタおよびプリント基板であることが好ましい。
【0125】
上記機能性素子がカラーフィルタである場合、上記パターン形成体の高親水層が、カラーフィルタの画素部のパターン状に形成されており、画素部を形成する領域以外の部分に、高はっ水層が形成されていることにより、例えばインクジェット法等を用いて、容易に高い親水性を有する高親水層のみに画素部用インキを付着させることが可能となり、高精細な画素部を有するカラーフィルタとすることが可能となるからである。
【0126】
また、上記機能性素子が、プリント基板である場合、上記パターン形成体の高親水層が、金属配線を形成するパターン状に形成されており、金属配線を形成する領域以外の部分に、高はっ水層が形成されていることにより、例えば金属コロイド溶液等をディップコートやノズル吐出法等により、高親水層上にのみ付着させることが可能となり、容易に目的とするパターン状に高精細に金属配線を形成することが可能となり、製造効率やコストの面等からも優れたプリント基板とすることが可能となるのである。
【0127】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0128】
ここで、上記のパターン形成体の製造方法については、高分子基材上に凹凸を形成後、高はっ水層を形成し、その高はっ水層上に反応性雰囲気下で高エネルギーを照射することにより高親水層を形成する方法についてのみ記載したが、本発明のパターン形成体の製造方法は、これに限定されるものではない。
【0129】
例えば、上述した方法により高分子基材表面に凹凸を形成後、上記高分子基材上に親水性である上記酸化珪素膜の高親水層を形成し、その高親水層上にパターン状に形成された銅マスク等のマスクを用いて、パターン状に上記シリカ系有機膜を形成することにより、上記パターン形成体としたものであってもよい。またこの場合、上記高はっ水層を形成後、高親水層をパターン状に形成する方法であってもよい。
【0130】
【実施例】
以下に実施例および比較例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。
【0131】
[実施例1]
(表面凹凸形成)
PET基材を容量結合型高周波プラズマ装置を用い下記の方法により、酸素プラズマを照射した。まず、PET基材をチャンバー中に設置した後,減圧手段により反応チャンバー内を1.0×10-4Pa以下まで真空にした。基材には12μm−PET(ユニチカ(株)社製)を使用した。次いで、酸素原子を含むガスとして酸素ガスを用い,チャンバー中に5Pa導入した。プラズマ生成には13.56MHzの高周波を用いた。100Wの電力で,10分間酸素プラズマ照射を実施した。プラズマ照射後のPET表面の平均二乗粗さは約10nmであった。表面粗さの測定は、原子間力顕微鏡(セイコーインスツルメンツ社製;SPI3800N)を用いて、タッピングモードで測定された。
【0132】
(熱CVD工程による自己組織化単分子膜成膜)
上述した酸素プラズマ照射されたPET基材と、ガラス容器に入れたオクタデシルトリメトキシシラン(東京化成工業(株)社製 00256)約2ccを、テフロン(登録商標)容器内に設置し、100℃のオーブン中に3時間放置し、熱CVDによる自己組織化単分子膜(以下、ODS−SAMと略称する。)形成を行った。
【0133】
ODS−SAM成膜後、水滴接触角および膜厚を測定したところ、水との接触角が約150°であり、膜厚は1.8nmであった。SAM成膜前の水滴接触角が10°以下であったので、熱CVDにより、SAMが形成されていることがわかった。
【0134】
なお、この水との接触角の測定方法は、協和界面化学社の接触角測定装置(型番CA−Z)を用い、被測定対象物の表面上に、純水を一滴(一定量)滴下させ、一定時間経過後、CCDカメラを用いて水滴形状を観察し、物理的に接触角を求める方法を用いた。
【0135】
上記で作製したSAMコーティング膜を,172nmの中心波長を有する真空紫外光(VUV)照射装置を備えたチャンバー中に導入し,1mm角のパターンを有する銅マスクを設置し,1000Paにて20分間露光した。露光後,水滴接触角を測定したところ,露光部の接触角が10°以下であったので,VUV照射により,SAM配向基が除去され,親水基が導入されていることがわかった。
【0136】
[実施例2]
(表面凹凸形状形成)
実施例1と同様にしてPET上に凹凸を形成した。
【0137】
(プラズマCVD工程によるシリカ系有機膜成膜)
プラズマ処理工程に引き続き,シリカ系有機薄膜を容量結合型高周波プラズマCVDにより成膜した。プラズマ処理工程後,再度チャンバー内の真空度を1.0×10-4Pa以下にした後,原料ガスを反応チャンバー内に導入した。原料ガスとしては、有機珪素化合物としてテトラメチルシラン(チッソ株式会社製、商品名:T2050)を用いた。チャンバー全圧が10Paとなるように圧力を調整した。プラズマ生成、原料分解には13.56MHzの高周波を用いた。成膜時間10秒間、200Wの電力でシリカ系薄膜を成膜した。成膜中,基材表面温度は50℃以下であった。シリカ系薄膜成膜後、水との接触角が約150°であった。
【0138】
上記で作製したシリカ系有機薄膜を,172nmの中心波長を有する真空紫外光(VUV)照射装置を備えたチャンバー中に導入し,1mm角のパターンを有する銅マスクを設置し,1000Paにて20分間露光した。露光後,水滴接触角を測定したところ,露光部の接触角が10°以下であったので,VUV照射により,親水基が導入されていることがわかった。
【0139】
[実施例3]
(表面凹凸形状形成)
実施例1と同様にしてPET上に凹凸を形成した。
【0140】
(プラズマCVD工程による親水層形成)
プラズマ処理工程に引き続き,PET基材上に,酸化珪素膜を容量結合型高周波プラズマCVDにより成膜した。プラズマ処理工程の真空度を維持したまま,原料ガスを反応チャンバー内に導入した。原料ガスとしては、有機珪素化合物としてテトラメトキシシランを用い、酸素原子を含むガスとして酸素ガスを用いた。テトラメトキシシラン分圧と酸素分圧比を1:2とし、全圧が10Paとなるように反応チャンバー内に導入した。プラズマ生成、原料分解には13.56MHzの高周波を用いた。成膜時間20秒間、200Wの電力でシリカ膜を成膜した。成膜中,基材表面温度は50℃以下であった。成膜後,水滴接触角を測定したところ,水との接触角が10°以下であった。
【0141】
(プラズマCVD工程によるシリカ系有機膜成膜)
親水層形成工程に引き続き,親水層を1mm角のパターンを有する銅マスクにてマスクした後,シリカ系有機薄膜を容量結合型高周波プラズマCVDにより成膜した。親水層形成後,再度チャンバー内の真空度を1.0×10-4Pa以下にした後,原料ガスを反応チャンバー内に導入した。原料ガスとしては、有機珪素化合物としてテトラメチルシラン(チッソ株式会社製、商品名:T2050)を用いた。チャンバー全圧が10Paとなるように圧力を調整した。プラズマ生成、原料分解には13.56MHzの高周波を用いた。成膜時間10秒間、200Wの電力でシリカ系薄膜を成膜した。成膜中,基材表面温度は50℃以下であった。シリカ系薄膜成膜後、マスクされていない部分の水滴接触角を測定したところ、水との接触角が約150°であった。
【0142】
【発明の効果】
本発明によれば、表面に微細な凹凸を有する高分子基材上に、高はっ水層および高親水層が形成されていることから、この微細な凹凸と、高はっ水層および高親水層との両方の効果により、高いはっ水性および親水性を有するパターンからなるパターン形成体とすることが可能となるのである。また、上記の高いはっ水性および親水性を有する高はっ水層および高親水層が、パターン状に形成されており、このパターンに沿って機能性部を形成することにより、様々な機能性素子に用いることが可能なパターン形成体とすることが可能となるのである。

Claims (23)

  1. 表面に表面粗さが5〜200nmの範囲内である微細な凹凸を有する高分子基材と、前記高分子基材上にパターン状に形成された高はっ水層および高親水層とを有するパターン形成体であって、前記高はっ水層が、前記高分子基材に自己組織化単分子膜を吸着させるための吸着基を少なくとも一つ有し、かつ前記高分子基材上に自己組織化単分子膜を形成するように単分子で配向させる配向基を少なくとも一つ有する自己組織化単分子膜形成物質を原料として用いて形成された、自己組織化単分子膜であり、かつ前記高親水層が、前記自己組織化単分子膜における前記配向基がヒドロキシル基に置換されたヒドロキシル基置換膜であることを特徴とする、パターン形成体。
  2. 前記自己組織化単分子膜が、下記の一般式(1)で示される自己組織化単分子膜形成物質を原料として形成されたものであることを特徴とする請求項に記載のパターン形成体。
    αXR β (1)
    (ここで、Rは、炭素数1〜30までのアルキル基あるいはアリール基(ベンゼン環)であり、炭素基は部分的に分岐鎖や多重結合を有するものも含まれる。また、炭素に結合する元素としてはフッ素や塩素等のハロゲン、水素あるいは窒素等も含まれる。また、Rは、ハロゲン、または−OR(Rは、炭素数1〜6のアルキル基、アリール基、またはアリル基である。ここで、炭素が酸素や水素だけでなく、ハロゲンや窒素と結合しているものも含まれる。)で示される置換基である。また、Xは、Si、Ti、Al、CおよびSからなる群から選択される一つの元素である。ここで、αおよびβは1以上であり、α+βは2から4である。)
  3. オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリクロロシラン、オクチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、および3−クロロプロピルトリメトキシシランからなる群から選択される少なくとも一つの材料が、前記自己組織化単分子膜形成物質として用いられることを特徴とする請求項に記載のパターン形成体の製造方法。
  4. 前記高はっ水層は、平面に形成した場合の水との接触角が70〜120°の範囲内である材料で形成されており、前記高親水層は、平面に形成した場合に、水との接触角が70°以下である材料で形成されていることを特徴とする請求項1から請求項までのいずれかの請求項に記載のパターン形成体。
  5. 前記パターン形成体の高はっ水層における水との接触角が130°以上であり、かつ高親水層における水との接触角が10°以下であることを特徴とする請求項1から請求項までのいずれかの請求項に記載のパターン形成体。
  6. 前記高はっ水層および前記高親水層の膜厚が1〜150nmの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項までのいずれかの請求項に記載のパターン形成体。
  7. 前記パターン形成体の表面粗さが、5〜200nmの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項までのいずれかの請求項に記載のパターン形成体。
  8. 前記高分子基材が、表面に反応性雰囲気下で高エネルギーを照射することにより、表面に微細な凹凸が形成される材料からなることを特徴とする、請求項1から請求項7までのいずれかの請求項に記載のパターン形成体。
  9. 前記高エネルギーの照射が、プラズマ照射であることを特徴とする請求項8に記載のパターン形成体。
  10. 前記高エネルギーの照射が、紫外光照射であることを特徴とする請求項8または請求項9に記載のパターン形成体。
  11. 前記高分子基材が、延伸されたものであることを特徴とする請求項1から請求項10までのいずれかの請求項に記載のパターン形成体。
  12. 前記高分子基材が、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、またはポリカーボネート系樹脂であることを特徴とする請求項1から請求項11までのいずれかの請求項に記載のパターン形成体。
  13. 高分子基材表面に、反応性雰囲気下で高エネルギーを照射することにより表面粗さが5〜200nmの範囲内の凹凸を形成する凹凸形成工程と、前記凹凸を形成した高分子基材上に気相法により膜厚が1〜150nmの範囲内である高はっ水層を形成する高はっ水層形成工程と、前記高はっ水層にパターン状に反応性雰囲気下で高エネルギーを照射することにより高親水層を形成する高親水層形成工程とを有し、前記高はっ水層における水との接触角が120°以上、かつ前記高親水層における水との接触角が15°以下であることを特徴とするパターン形成体の製造方法。
  14. 前記凹凸形成工程が、酸素原子を含んだガスを用いるプラズマ処理による工程であることを特徴とする請求項13に記載のパターン形成体の製造方法。
  15. 前記凹凸形成工程が、酸素含有雰囲気下での真空紫外光によるドライ処理による工程であることを特徴とする請求項13に記載のパターン形成体の製造方法。
  16. 前記高分子基材が延伸されたものであることを特徴とする請求項13から請求項15までのいずれかの請求項に記載のパターン形成体の製造方法。
  17. 前記高はっ水層形成工程が、プラズマCVD法によりシリカ系有機膜を形成する工程であることを特徴とする請求項13から請求項16までのいずれかの請求項に記載のパターン形成体の製造方法。
  18. 前記高はっ水層形成工程が、熱CVD法により自己組織化単分子膜を形成する工程であることを特徴とする請求項13から請求項16までのいずれかの請求項に記載のパターン形成体の製造方法。
  19. 前記高親水層形成工程が、酸素原子を含んだガスを用いるプラズマ照射をする工程であることを特徴とする請求項13から請求項18までのいずれかの請求項に記載のパターン形成体の製造方法。
  20. 前記高親水層形成工程が、酸素含有雰囲気下での紫外光を照射する工程であることを特徴とする請求項13から請求項18までのいずれかの請求項に記載のパターン形成体の製造方法。
  21. 前記請求項1から請求項12までのいずれかの請求項に記載されたパターン形成体上の、高はっ水層および高親水層のパターンに沿って機能性部が配置されたことを特徴とする機能性素子。
  22. 請求項21に記載の機能性素子において、前記機能性部が画素部であることを特徴とするカラーフィルタ。
  23. 請求項21に記載の機能性素子の機能性部が、金属配線であることを特徴とするプリント基板。
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