JP4446560B2 - 着色光触媒担持構造体及び該構造体形成用塗布液 - Google Patents

着色光触媒担持構造体及び該構造体形成用塗布液 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、着色した光触媒担持構造体及び該構造体を形成する塗布液に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、光の作用により表面の汚れ等を分解する光触媒機能を有する基材が幾つか提案されている。しかし、基材の外観等を損なうことなく光触媒機能を持たせるためには、光触媒機能を有する塗膜は透明性が高く、更に膜厚が薄いので、塗布済み部と未塗布部分の区別が付かず、塗り残し部分の発生、及び重ね塗り部分が多く薬剤使用量の増加等の問題が生じていた。
【0003】
これに対して、光触媒層に着色し光触媒機能を用いて色素を分解し、消色させるという方法が提案されているが、日当たりの良い場所と、日陰で光量が異なるので光触媒効果に差が生じ、消色程度に差ができ、むらに見える等の問題があった。
一般的に、無色透明であり、特に薄い塗膜を塗り残しや塗りむらなく基材表面に2重に塗布する方法としては以下に示す方法が知られている。
【0004】
たとえば、特開2000−51782号公報には、塗布液として蛍光色素を含有するものを使用し、得られた塗膜から発せられる蛍光により前記基材の塗布済み部と未塗布部とを識別し、該識別に基づいて塗布作業を進めることを特徴とする塗布方法が記載されている。
【0005】
また、特開平5−25899号公報には、透明塗布液に退色性色素材料を添加して着色し、着色された状態で透明塗布液を塗布し、光化学反応、昇華、又は雨水による流出を利用して退色させる方法が記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開2000−51782号に記載されている方法では、塗膜中に蛍光色素が残留するため、光のあたる角度によっては基材の外観を損なう場合があるという問題があった。また、特開平5−25899号公報に記載の方法は、最外層に適用する場合にはある程度効果を有するものの、光や雨水は塗装する場所によっては十分に供給されない場合があり、退色するまでに時間がかかるという問題があった。
【0007】
本発明は、特に、外の作業現場において基材表面に塗り残し、重ね塗り等の塗りむらがなく、使用場面が限定されず、しかも、基材表面の色や模様等の特徴を損なうことない光触媒担持構造体及び、該塗布方法を用いた光触媒担持構造体形成用塗布液を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決する手段】
本発明者等は、上記課題を解決すべく多くの染料を鋭意検討した結果、トリフェニルメタン系染料を用いて着色することにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、(1)基材表面に接着層、光触媒層を順次積層してなる光触媒担持構造体において、接着層及び/又は光触媒層にトリフェニルメタン系染料を含むことを特徴とする光触媒担持構造体、(2)トリフェニルメタン系染料が、クリスタルバイオレットであることを特徴とする(1)に記載の光触媒担持構造体、(3)接着層が、シリコン含有量2〜60重量%のシリコン変性樹脂、コロイダルシリカを5〜40重量%含有する樹脂、又は式[1]
SiCln1(OH)n21n3 (OR2)n4 ・・・式[1]
〔式中、R1は(アミノ基、カルボキシル基、または塩素原子で置換されてもよい)炭素数1〜8のアルキル基、R2は、炭素数1〜8のアルキル基もしくはアルコキシ基で置換された炭素数1〜8のアルキル基を表し、n1は0から2の整数を表し、n4は2から4の整数であり、かつn1+n2+n3+n4=4を示す。〕で表される化合物の重縮合反応生成物であるポリシロキサンを3〜60重量%含有する樹脂であり、光触媒層が、金属酸化物ゲルもしくは金属水酸化物ゲルを25〜95%含有する光触媒粒子複合体であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の光触媒担持構造体、(4)光触媒担持構造体の表面が、光励起に応じて親水性を呈することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の光触媒担持構造体、に関する。
【0010】
また、(5)基体上に接着層、光触媒層を順次積層してなる光触媒担持構造体形成用塗布液が接着層形成用塗布液及び光触媒層形成用塗布液からなり、接着層形成用塗布液及び/又は光触媒層形成塗布液にトリフェニルメタン系染料を含有することを特徴とする光触媒担持構造体形成用塗布液、(6)接着層塗布液が、シリコン含有量2〜60重量%のシリコン変性樹脂、ポリシロキサンを3〜60重量%含有する樹脂、またはコロイダルシリカを5〜40重量%含有する樹脂を樹脂固形分として1〜50重量%含む溶液からなる塗布液であり、光触媒層形成用塗布液が、シリコン化合物を0.001〜5重量%、金属の酸化物および/または水酸化物のゾルを固形分として0.1〜30重量%、および光触媒の粉末および/またはゾルを固形分として0.1〜30重量%を含む液からなる塗布液であることを特徴とする(5)に記載の光触媒担持構造体形成用塗布液、に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の光触媒担持構造体は、基体上に順次積層してなる接着層、及び光触媒層を有することを特徴とする。光触媒層の構造は、光触媒が、その光触媒機能を有しつつ基体上に好ましくは強固に担持されていれば特に制限されない。具体的には、光触媒作用に対して難分解性の化合物を結着剤として光触媒が担持された構造を例示することができる。前記難分解性の化合物としては、例えば、水ガラス、コロイダルシリカ、ポリオルガノシロキサンなどのケイ素化合物、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウムなどのリン酸塩、重リン酸塩、セメント、石灰、セッコウ、ほうろう用フリット、グラスライニング用うわぐすり、プラスターなどの無機系結着剤、フッ素系ポリマー、シリコン系ポリマーなどの有機系結着剤などを例示することができ、これらの結着剤を単一または2種以上を組み合わせて用いることができる。特に、接着強度の観点から無機系結着剤、フッ素系ポリマー、シリコン系ポリマーが好ましい。セメントとしては、例えば早強セメント、普通セメント、中庸熱セメント、耐硫酸塩セメント、ホワイト(白色)セメント、油井セメント、地熱井セメントなどのポルトランドセメント、フライアッシュセメント、高硫酸塩セメント、シリカセメント、高炉セメントなどの混合セメント、アルミナセメントなどを用いることができる。プラスターとしては、例えばセッコウプラスター、石灰プラスター、ドロマイトプラスターなどを用いることができる。フッ素系ポリマーとしては、例えばポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化三フッ化エチレン、ポリ四フッ化エチレン、ポリ四フッ化エチレン−六フッ化プロピレンコポリマー、エチレン−ポリ四フッ化エチレンコポリマー、エチレン−塩化三フッ化エチレンコポリマー、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテルコポリマーなどの結晶性フッ素樹脂、パーフルオロシクロポリマー、ビニルエーテル−フルオロオレフィンコポリマー、ビニルエステル−フルオロオレフィンコポリマーなどの非晶質フッ素樹脂、各種のフッ素系ゴムなどを用いることができる。特に、ビニルエーテル−フルオロオレフィンコポリマー、ビニルエステル−フルオロオレフィンコポリマーを主成分としたフッ素系ポリマーが分解・劣化が少なく、また、取扱が容易であるため好ましい。シリコン系ポリマーとしては、直鎖シリコン樹脂、アクリル変性シリコン樹脂、各種のシリコン系ゴムなどを用いることができる。特に、金属酸化物ゲルもしくは金属水酸化物ゲルを25〜95%含有する光触媒粒子複合体である光触媒層が好ましい。また、金属酸化物ゲルもしくは金属水酸化物ゲルの比表面積が好ましくは150℃で乾燥後50m2/g以上、更に好ましくは100m2/g以上あると、接着性はより強固になり、触媒活性も向上する。
【0012】
金属成分としては、珪素、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム、マグネシウム、ニオビウム、タンタラム、タングステン、錫等の金属の酸化物ゲルもしくは水酸化物ゲルを好ましく例示することができる。
また、金属成分として、珪素、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム、ニオビウムの中から選ばれた2種以上の金属を含有する酸化物もしくは水酸化物ゲルを使用することにより、沸騰水に浸漬した後の光触媒層の付着性を高めることが可能である。耐沸騰水性に優れた金属成分の組み合わせの例としては、珪素−アルミニウム、珪素−チタニウム、珪素−ジルコニウム、珪素−ニオビウム、アルミニウム−チタニウム、アルミニウム−ジルコニウム、アルミニウム−ニオビウム、アルミニウム−タンタラム、チタニウム−ジルコニウム、チタニウム−ニオビウム、チタニウム−タンタラム、珪素−アルミニウム−ジルコニウム、珪素−アルミニウム−チタニウムなどが好ましく、更に好ましくは、珪素−アルミニウム、珪素−チタニウム、珪素−ジルコニウム、珪素−チタニウム−アルミニウム、珪素−アルミニウム−ジルコニウムなどの酸化物ゲルもしくは水酸化物ゲル等を挙げることができる。
【0013】
これらの酸化物ゲルもしくは水酸化物ゲルの比表面積が50m2/g以上あると、接着性が高く、触媒活性も向上し、沸騰水中に浸漬した後でも優れた接着性を有している。また、実際の使用に当たっては、ゲルを形成させるためのゾルを混合し乾燥して得られるゲルでも、共沈法などの方法で作られる複合酸化物ゲルを使用しても良い。光触媒との複合化には、ゲルとなる前のゾルの状態で均一混合するか、もしくは、ゾルを調製する前の原料の段階で混合するのが望ましい。ゲルを調製する方法には、金属塩を加水分解する方法、中和分解する方法、イオン交換する方法、金属アルコキシドを加水分解する方法等があるが、ゲルの中に光触媒粉末が均一に分散された状態で得られるものであればいずれの方法も使用可能である。但し、ゲル中に多量の不純物が存在すると、光触媒の接着性や触媒活性に悪影響を与えるので、不純物の少ないゲルの方が好ましい。
【0014】
また、光触媒層中にシリコン変性樹脂あるいはシランカップリング剤を10〜50重量%加えることによっても高い触媒活性を維持したまま、沸騰水中へ15分間浸漬した後でJIS K5400に規定された碁盤目テープ法による付着性試験で評価点数が6点以上の優れた付着性のものを得ることができる。
【0015】
光触媒層中に添加するシリコン変性樹脂あるいはシランカップリング剤は、沸騰水中での光触媒層の付着性を高める効果を有している。シリコン変性樹脂としては通常市販されているシリコン−アクリル系やシリコン−エポキシ系のものが使用可能であり、溶剤に溶解したものでもエマルジョンとなって水中に分散しているものでもいずれも使用可能である。また、シランカップリング剤としては、一般式:RSi(Y)3や(R)2Si(Y)2(但し、Rは有機性官能基を、Yは塩素原子またはアルコキシ基を示す。)等で示されるものが使用可能である。前記一般式において、Rとしては、メチル基、エチル基、ビニル基、γ−グリシドキシプロピル基、γ−メタクリロキシプロピル基、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピル基、γ−クロロプロピル基、γ−メルカプトプロピル基、γ−アミノプロピル基、γ−アクリロキシプロピル基などがあり、Yとしては塩素原子以外にメトキシ基、エトキシ基、β−メトキシエトキシ基、β−エトキシエトキシ基等C1〜C5のアルコキシ基のものがいずれも使用可能である。
【0016】
シリコン変性樹脂あるいはシランカップリング剤の添加量は、固形分として光触媒層中に10〜50重量%加えることが望ましい。光触媒層中へのシリコン変性樹脂あるいはシランカップリング剤の添加方法としては、光触媒粉末やゾルの液中へ添加する方法や、光触媒とともに添加する金属酸化物ゲルを形成するための金属の酸化物もしくは水酸化物のゾル液中へ添加する方法など種々の方法が可能である。なお、エマルジョンタイプのシリコン変性樹脂を前記のゾル液中へ添加することは、光触媒活性を殆ど低下させることなく沸騰水中での光触媒層の付着性を著しく高めることができるので特に望ましい。
また、架橋剤などの添加物をシリコン変成樹脂あるいはシランカップリング剤に含めることもできる。
【0017】
また、光触媒は、粉末状、ゾル状、溶液状など、光触媒層の乾燥温度で乾燥した時に、接着層と固着して光触媒活性を示すものであればいずれも使用可能である。ゾル状の光触媒を使用する場合、粒子径が20nm以下、好ましくは10nm以下のものを使用すると、光触媒層の透明性が向上し、直線透過率が高くなるため、透明性を要求されるガラス基板やプラスチック成形体に塗布する場合に特に好ましい。また下地の担体に色や模様が印刷されたものの場合にこうした透明な光触媒層を塗布すると下地の色や柄を損なうことがない。
【0018】
光触媒層中の光触媒としては、TiO2 、ZnO、SrTiO3、CdS、GaP、InP、GaAs、BaTiO3、KNbO3、Fe23 、Ta25 、WO3、SnO2、Bi23、NiO、Cu2O、SiC、SiO2、MoS2、InPb、RuO2、CeO2など、及び、これらの光触媒に、Pt、Rh、RuO2 、Nb、Cu、Sn、Ni、Feなどの金属及びそれらの金属の酸化物を添加したものが使用することができる。また、これらの光触媒に光触媒還元作用を利用してPt、Rh、RuO2、Nb、Cu、Sn、Ni、Feなどの金属を添加したものなども全て使用可能である。光触媒層中の光触媒の含有量は、多量なほど触媒活性が高くなるが、接着性の点から好ましくは75重量%以下である。
光触媒層の形成方法は、特に限定されないが、光触媒を含む塗布液(光触媒層形成用塗布液)を塗布し、乾燥する方法が好ましい。光触媒層形成用塗布液を塗布する方法としては、塗布溶液の印刷法、シート成形法、スプレー吹き付け法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、刷毛塗装方法、ローラー塗装方法等あらゆる方法を採用することができる。
【0019】
光触媒層の厚みは、厚い方が活性が高いが、5μm以上になるとほとんど変わらなくなる。5μm以下で、高い触媒活性を示し、しかも、透光性を示すようになり、触媒層が目立たなくなり好ましい。しかし、厚さが、0.1μm未満になると透光性は良くなるものの、光触媒が利用している紫外線をも透過してしまうために、高い活性は望めなくなる。光触媒層の厚さを0.1μm以上5μm以下にし、しかも、結晶粒子径が40nm以下の光触媒粒子および比表面積100m2/g以上の金属酸化物ゲルもしくは金属水酸化物ゲルを用いると、光触媒層と接着層の合計の波長550nmの全光線透過率は70%以上になる。波長550nmの全光線透過率が、70%以上になるように担持した構造体は、担体が透明な場合、透過した可視光線を照明として利用でき、また、担体が不透明な場合でも、担体上の柄を損なうことがないので装飾性の上でも有用となる。
光触媒形成用塗布液としては、シリコン化合物を0.001〜5重量%、金属の酸化物および/または水酸化物のゾルを固型分として0.1〜30重量%、並びに光触媒の粉末および/またはゾルを固型分として0.1〜30重量%を含有した光触媒層形成用塗布液が、長期にわたり安定で粘度増加や粒子沈降がない点で好ましく使用することができる。
【0020】
光触媒層形成用塗布液中に添加するシリコン化合物としては、一般式(2)
SiR3n5(OR4)4−n5 ・・・(2)
〔但し、式中、R3は(アミノ基、塩素原子、若しくはカルボキシル基で置換されてもよい)炭素数1〜8のアルキル基を表し、R4は炭素数1〜8のアルキル基またはアルコキシ基で置換された炭素数1〜8のアルキル基を表し、n5は0、1、2、3のいずれかの数を表す。〕で表されるアルコキシシラン類またはそれらの加水分解生成物の1種または2種以上をで表されるアルコキシシラン類またはそれらの加水分解生成物の1種または2種以上の混合物が使用可能である。
【0021】
一般式(2)において、R3としては、メチル基、エチル基、ビニル基、γ−グリシドキシプロピル基、γ−メタクリロキシプロピル基、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピル基、γ−クロロプロピル基、γ−メルカプトプロピル基、γ−アミノプロピル基、γ−アクリロキシプロピル基などがあり、−OR4としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−プトキシ基、β−メメトキシエトキシ基、β−エトキシエトキシ基、2−エチルヘキシロキシ基等C1〜C8のアルコキシ基のものが望ましい。
【0022】
一般式(2)で表されるシリコン化合物の例として、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、及び、それらの加水分解生成物の1種又は2種以上の混合物を好ましく挙げることができる。
【0023】
光触媒層の塗布液中へのシリコン化合物の添加方法としては、光触媒粉末もしくはゾルの液中へ添加する方法や、光触媒とともに添加する金属酸化物および/または水酸化物のゾルの液中へ添加する方法など種々の方法が可能である。また、部分加水分解されたシリコン化合物が添加されていても良い。この光触媒層の塗布液中に添加するシリコン化合物は、沸騰水中での光触媒層の付着性を高める効果も有するため、前述のシランカップリング剤等が添加されている場合はシリコン化合物の添加量を減らすことが可能である。
【0024】
光触媒層の塗布液中に添加する金属の酸化物および/または水酸化物のゾルは、固型分として塗布液に対して0.1〜30重量%、光触媒の粉末および/またはゾルは固型分として塗布液に対して0.1〜30重量%をそれぞれ加えるのが望ましい。
【0025】
前記した光触媒層形成塗布液の調整は、金属酸化物ゾルもしくは金属水酸化物ゾルの前駆体溶液の状態で光触媒を分散し、コート時に加水分解や中和分解してゾル化もしくはゲル化させても良い。ゾルを使用する場合には、安定化のために、酸やアルカリの解膠剤等が添加されていても良い。また、ゾル懸濁液中に光触媒に対し、5重量%以下の界面活性剤やシランカップリング剤などを添加して、接着性や操作性を良くすることもできる。光触媒層形成時の乾燥温度としては、担体材質及び接着層中の樹脂材質によっても異なるが、200℃以下が好ましい。
【0026】
本発明に使用される接着層の材質として、基体及び光触媒層に密着し、光触媒機能による分解から基体を保護し、更に、基体に含まれる光触媒機能を阻害する物質等の移行を抑制できるものであれば、特に制限されない。例えば、シリコン含有量2〜60重量%のアクリル−シリコン樹脂、エポキシ−シリコン樹脂等のシリコン変性樹脂、コロイダルシリカを5〜40重量%含有する樹脂、又は一般式(1)
SiCln1(OH)n21n3 (OR2)n4 ・・・(1)
〔式中、R1は(アミノ基、カルボキシル基、または、塩素原子で置換されてもよい)炭素数1〜8のアルキル基、R2は炭素数1〜8のアルキル基もしくはアルコキシ基で置換された炭素数1〜8のアルキル基を表し、n4は0から2の整数を表し、n4は2から4の整数を表し、かつn1+n2+n3 +n4=4を示す〕で表される化合物の重縮合反応生成物であるポリシロキサンを3〜60重量%含有する樹脂を主成分とする塗布液を好ましく例示することができる。
【0027】
接着層樹脂がアクリル−シリコン樹脂やエポキシ−シリコン樹脂等のシリコン変性樹脂の場合のシリコンの樹脂への導入方法は、エステル交換反応、シリコンマクロマーや反応性シリコンモノマーを用いたグラフト反応、ヒドロシリル化反応、ブロック共重合法等種々あるが、本発明ではどのような方法で作られた物でも使用することができる。
【0028】
シリコンが導入される樹脂としては、アクリル樹脂やエポキシ樹脂が成膜性、強靭性、担体との密着性の点で最も優れているが、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等のような物でも使用できる。これらの樹脂は、溶剤に溶けたタイプであってもエマルジョンタイプであってもどちらでも使用することができる。また、架橋剤などの添加物が含まれていても何等問題はない。
【0029】
接着層樹脂がポリシロキサンを含有し、そのポリシロキサンが炭素数1〜5のアルコキシ基を有するシリコンアルコキシドの加水分解物あるいは該加水分解物からの生成物である場合に、接着性及び耐久性がより向上した担持構造体を得ることができる。シリコンアルコキシドのアルコキシ基の炭素数が6以上であると、高価であり、しかも、加水分解速度が非常に遅いので、樹脂中で硬化させるのが困難になり、接着性や耐久性が悪くなる。
【0030】
部分的に塩素を含んだシリコンアルコキシドを加水分解したポリシロキサンを使用することもできるが、塩素を多量に含有したポリシロキサンを使用すると、不純物の塩素イオンにより、担体が腐食したり、接着性を悪くする。
【0031】
ポリシロキサンの樹脂への導入方法としては、シリコンアルコキシドモノマーの状態で樹脂溶液へ混合し、接着層形成時に空気中の水分で加水分解させる方法、前もって、シリコンアルコキシドを部分加水分解した物を樹脂と混合し、更に、保護膜形成時に空気中の水分で加水分解する方法等種々あるが、樹脂と均一に混合できる方法ならどのような方法でも良い。また、シリコンアルコキシドの加水分解速度を変えるために、酸や塩基触媒を少量添加しても構わない。
【0032】
ポリシロキサンが導入される樹脂としては、アクリル樹脂、アクリル−シリコン樹脂、エポキシ−シリコン樹脂、シリコン変性樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂等が使用できるが、アクリル−シリコン樹脂やエポキシ−シリコン樹脂を含むシリコン変性樹脂が耐久性の点で最も優れている。
【0033】
接着層が、コロイダルシリカを含有する樹脂の場合、そのコロイダルシリカの粒子径は50nm以下が好ましい。50nm以上になると、接着層中の樹脂は光触媒により劣化し易くなるばかりか、光触媒層と接着層との接着も悪くなる。このコロイダルシリカを樹脂に導入する方法としては、樹脂溶液とコロイダルシリカ溶液を混合後、塗布、乾燥して接着層を形成する方法が最も簡便であるが、コロイダルシリカを分散した状態で、樹脂を重合し、合成したものを塗布、乾燥して使用しても良い。また、コロイダルシリカと樹脂との接着性および分散性を良くするために、シランカップリング剤でコロイダルシリカを処理して用いることもできる。
【0034】
コロイダルシリカが導入される樹脂としては、アクリル樹脂、アクリル−シリコン樹脂、エポキシ−シリコン樹脂、シリコン変性樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂等を例示することができるが、アクリル−シリコン樹脂やエポキシ−シリコン樹脂を含むシリコン変性樹脂が最も耐久性の点で優れている。
【0035】
コロイダルシリカは、珪酸ナトリウム溶液を陽イオン交換することにより作られるシリカゾルであっても、シリコンアルコキシドを加水分解して作られるシリカゾルであっても、どのような物でも使用することができる。
【0036】
また、接着層樹脂に光触媒作用による劣化を抑える目的で、光安定化剤及び/又は紫外線吸収剤等を混合することにより耐久性を向上させることができる。使用できる光安定化剤としては、ヒンダードアミン系が好ましいが、その他の物でも使用可能である。紫外線吸収剤としてはトリアゾール系などが使用できる。添加量は、樹脂に対して0.005wt%以上10wt%以下、好ましくは0.01wt%以上5wt%以下である。なお、接着層の表面をシラン系若しくはチタン系カップリング剤で処理すると光触媒層との接着性が向上することがある。
【0037】
接着層を形成する方法は、例えば、真空蒸着、スパッタ法等特に制限されないが、接着層を形成する成分を有する塗布液を塗布し、乾燥する方法を好ましく例示することができる。基材に塗布する方法としては、塗布溶液の印刷法、シート成形法、スプレー吹き付け法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、刷毛塗装方法、ローラー塗装方法等あらゆる方法を例示することができる。乾燥する温度は、溶媒や樹脂の種類によっても異なるが、一般的に150℃以下が好ましい。接着層の厚さは、0.1μm以上であれば光触媒層を強固に接着し耐久性の高い光触媒担持構造体とすることが可能である。また、グラビア印刷法などの短時間で接着層を乾燥硬化させることが必要な塗布法の場合は、シリコン系などの硬化剤を接着層固形分に対し、必要な硬化速度に応じて0.1〜10重量%添加することも好ましく採用される。接着層の塗布液としては、シリコン含有量2〜60重量%のシリコン変性樹脂、ポリシロキサンを3〜60重量%含有する樹脂やコロイダルシリカを5〜40重量%含有する樹脂を樹脂固形分として1〜50重量%含む溶液を、好ましく例示することができる。接着層形成用塗布液は、有機溶剤溶液としてもしくは水性エマルジョンとして、樹脂固形分1〜50重量%の塗布液を使用するのが望ましい。樹脂固形分濃度が1%以下の塗布液では、接着層が薄くなり過ぎて光触媒層の接着が困難になり、樹脂固形分が50重量%以上の塗布液では、接着層が厚くなり過ぎて良好な塗膜にならないだけでなく、粘度が高くなり過ぎてハンドリングが困難になったりする。接着層形成用塗布液は、樹脂等の有機成分、コロイダルシリカ等の無機成分を適宜溶媒中に溶解又は、分散させて用いるのが好ましい。溶媒としては、水やトルエン、アルコールなどの有機溶媒を例示することができ、これらを単独又は2種以上混合して用いることができる。前記塗布液には、必要に応じて架橋剤、分散剤、充填剤、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、難燃剤、抗菌剤、抗かび剤な等を配合させることができる。架橋剤としては、イソシアネート系、メラミン系などの通常の架橋剤を、分散剤としては、カップリング剤などを使用することができる。接着層は必要に応じて2層以上設けることもでき、この場合、各層の組成はそれぞれに独立に、同一又は相異なった組成の層を形成することができる。例えば、基材から順に、接着層、無機層、光触媒層を有する光触媒担持構造体を例示することができる。この場合、無機層とは、光触媒層と接着層との接着性を向上させる効果と光触媒層の耐摩耗性を向上させる効果、更に、光触媒層膜厚に由来する干渉縞による発色を低減させる効果がある。無機層の材質としては、一般式(3)
nSi(OR14-n
(式中、Rは炭素数1〜4の置換基を有していてもよいアルキル基を表わし、R1は、炭素数1〜5の置換基を有していもよいアルキル基または炭素数1〜4の置換基を有していてもよいアシル基を表わし、nは0又は1を表わす。)で表わされるオルガノアルコキシシランもしくはアルコキシシランの加水分解・縮合物を主成分とする。硬化速度の制御、膜のひび割れ防止、化学的耐久性向上、屈折率の制御等の目的で、シリカゾル、アルミナゾル、ジルコニアゾルなどを添加することもできる。無機層を接着層へ形成するには、接着層を基体上に形成するのと同様のコート方法を用いることができる。接着性及び/または操作性をよくするために、5重量%以下の界面活性剤、消泡剤やシランカップリング剤などを添加するこことができる。無機層形成時の乾燥温度としては、基材シート材質によっても異なるが、50℃以上150℃以下が好ましい。無機層の厚みは、0.1μm以上2μm以下が好ましい。
【0038】
本発明は、上記光触媒層及び/又は接着層にトリフェニルメタン系染料を含有することを特徴とする。光触媒層形成塗布液及び接着層塗布液を基板上に塗布し成膜した場合、もともとは透明であるため、光触媒層及び/又は接着層を該染料で着色することにより、塗り残し、重ね塗り等の塗りむらを防止することができる。また、外壁等の屋外に、着色した光触媒層を形成した場合、トリフェニルメタン系染料は、一般的に日光堅牢度が低いため太陽光等の光照射下では、次第に消色して透明な膜となり、基材の色彩、装飾を損なうことのない、透明の層を形成することができる。
一方他の日光堅牢度の低い染料を用いても、太陽光等の光照射下では同様の性質を有する層を形成することが可能であるが、光強度が比較的小さい日陰等では消色せずに色が残り、外観を損なうという問題があった。トリフェニルメタン系染料は、基体上に光触媒層を形成した場合、光強度の比較的小さい日陰等においても消色するという特徴を有するため屋外において使用場面を限定されることなく使用することができるという利点がある。その理由の詳細については明らかではないが、光触媒とトリフェニルメタン化合物間に何らかの相互作用があり、それが原因となっていると推測している。
本発明に用いられるトリフェニルメタン系染料としては、中心炭素に対して、p−アミノ基又は水酸基がp−キノン構造をとって発色するトリフェニルメタン骨格を有する化合物を成分とする染料であれば、特に限定されず、例えば、Malachite Green、Astrazone Blue G、Brilliant Green GX、Naphthalen Green G、Brilliant Milling Green B、Naphthalene Green VS、Mgenta、Methyl Violet、Crystal Violet、Victoria Blue B、Wool Violet 5BN、Soluble Blue、Aurine、Chrome Pure Blue BX、Chrome Brilliant Blue FBG等を例示することができ、中でもCrystal Violet(クリスタルバイオレット)が好ましい。各層に添加する量は、特に限定されない。各層の固形分又は各層塗布液中の固形分に対して0.02重量%以上であれば、着色を確認することができ好ましい。添加量の上限については、消色させる時間、光量との関係で任意に設定することができるが、例えば、0.01mW/cm2以上の光量で1週間以内に消色させるためには、各層の固形分又は各層塗布液中の固形分に対して0.05重量%以下であるのが好ましい。
各層をトリフェニルメタン系染料で着色させる方法は、簡便性の点から、各層形成用塗布液中に該染料を混合して着色させ、該塗布液を用いて塗布する方法が好ましい。
【0039】
本発明に使用される基材は特に制限されない。具体的には、ガラス、プラスチック、布帛、金属、木材等を例示することができる。
【0040】
ガラスの形状としては、板状、管状、球状、繊維状等どのような複雑な形状にでも使用することができる。また、施工済の窓ガラス、ショーケース、めがね等用途によっては、加工済のガラスに応用することもできる。
【0041】
窓ガラス、計器用カバーガラス、照明器具、照明灯、ブラックライト、水処理用充填剤をはじめ、カメラ、眼鏡レンズ等、あらゆる使用場面に使用できる。 プラスチック成形体は、壁紙、内装用ボード、家具、電気機器、車輛用部品をはじめ、カメラ、メガネのレンズ等、多くの使用場面に使用できる。
【0042】
プラスチック成形体の形状としては、フィルム状、板状、管状、球状、繊維状等どのような複雑な形状にでも、使用することができる。また、施工済の建築資材、家庭電化製品、めがね等用途によっては、加工済のプラスチック成形体の処理に使用することができる。
【0043】
布帛としては、毛、絹、綿、麻などの天然繊維、レーヨン、アセテートなどの再生繊維、ナイロン、アクリル、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニルなどの合成繊維、アラミドなどの耐熱性繊維の単独あるいは混紡繊維からなる織布、編布、不織布などを基材として用いることができる。また、シリコン系撥水剤、パーフルオロアルキルアクリレートなどのフッ素撥水剤、ジルコニウム塩系撥水剤、エチレン尿素系撥水剤などの撥水剤で処理された布帛、必要に応じて耐久性を向上させるためにエチレンイミン系、エポキシ系、メラミン系等の架橋剤を併用している撥水加工された布帛、ポリアミドとポリエステルのフィブリル化型複合繊維等からなる擬革、織布、不織布、編布等の基材にポリウレタン接着剤を介してポリウレタン樹脂層が形成されてなる合成皮革等を用いることもできる。また、傘、テント、バッグ等、加工済の布帛の処理に使用することができる。本発明の方法により処理された布帛は、多くの使用場面、たとえばカーテン、壁紙等のインテリア製品、テント、傘、テーブルクロス等の日用品、食品包装材等としてまた育苗シート等農業分野にも使用できる。
【0044】
金属としては、アルミニウム、鉄、銅等の単体金属の他、ステンレス、しんちゅう、黄銅、アルミ合金、チタン合金等の各種合金なども基材として使用可能である。また、使用する金属の形状、材質によっては、通常の塗料で塗装した金属シートや板、着色したカラー鋼板やカラーアルミサッシ等にも使用することができる。
【0045】
金属の形状としては、板状、管状、球状、繊維状、シート状等どのような複雑な形状にでも、使用できる。また、施工済の窓枠、家具、ショーケース、めがねフレーム等用途によっては、加工済の金属の処理にも使用することができる。
本発明に示す方法で処理した金属は、窓枠、家具、装飾品、内装パネル、外装パネル、水処理用充填剤をはじめ、ストレーナー、フィルター等、抗菌、脱臭、防汚等の効果を必要とする多くの使用場面に使用できる。
【0046】
木材および木質材料の形状としては、板状、板状、球状、シート状等どのような複雑な形状でも可能である。また、施工済の壁、天井板、柱のほか、家具、木工細工等の加工済の木材および木質材料の処理にも使用することができる。
本発明に示す方法で処理した木材および木質材料は、建築用材、家具、木工品、インテリア材および内装材等、抗菌、脱臭、防汚等の効果を必要とする多くの使用場面に使用できる。
【0047】
プラスチックフィルムは、処理を施していない面に粘着剤を塗布したフィルムとすることで、自動車や各種輸送機器の窓ガラス、建築物の窓ガラス、冷凍・冷蔵ショーケースや温室などの内側に貼り付けることが可能になり、ガラス表面の汚染防止と破損時の飛散防止に有効な透視性の高いフィルムとすることが可能である。また、薄いプラスチックフィルムは食品包装用のラップフィルムとしても使用可能である。このプラスチックフィルムに使用できる樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、フッ化エチレン−プロピレン共重合樹脂、フッ化エチレン−エチレン共重合樹脂等のフィルム状に成形加工した時に550nmの波長の光の直線透過率が50%以上である透明性の高い合成樹脂フィルムまたはシートがいずれも使用できる。また、壁紙や化粧シートなどの裏面に粘着層と剥離フィルムを設け表面に模様を印刷した不透明な素材の表面にも、下地の壁紙や化粧シートに印刷された柄や模様を損なうことがないので好ましく採用できる。
【0048】
これらの基材に、本発明の方法を用いて、先に示した、接着層塗布液、光触媒層塗布液を用いて光触媒機能を付加した構造体は、紫外線等により表面の光触媒が励起され、有機物等の汚れ、汚染物質、菌等を分解する能力を有することから、抗菌、防汚、脱臭等の効果を必要とする多くの場面に使用することができる。また、紫外線等の光励起により親水性を呈する構造体も、防汚、防曇等の効果を必要とする多くの場面で使用することでき好ましい。この場合、親水性とは、表面における水の接触角を指標に計られ、接触角が20度以下、更には10度以下のものが好ましい。
【0049】
以下実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲は実施例に限定されるものではない。
【0050】
【実施例】
実施例1
酸化物換算でシリコン含有量が3重量%のアクリルシリコン樹脂(ガラス転移温度20℃)、テトラメトキシシランの部分加水分解生成物であり重合度が3〜6であるオリゴマーを固形分重量比65:35に混合し、エタノール−酢酸エチル混合溶媒で固形分濃度が10重量%になるように希釈し、接着層用塗布液を調製した。更に表1に示したトリフェニルメタン系染料を固形分に対し、0.02重量%になるように混合して着色した接着層形成用塗布液を得た。
【0051】
また、光触媒ゾル(石原産業(株)製、商品番号:STS−01、固形分濃度30重量%、平均粒子径7nm)、コロイダルシリカ(粒子径20nm)を固形分重量比50:50に混合し、エタノール及び水を用いて固形分10重量%になるように希釈し、硝酸でpH=2.0になるように調整して光触媒層形成用塗布液を調製した。更に表1に示したトリフェニルメタン系染料を固形分に対し、0.02重量%になるように混合して着色した接着層形成用塗布液を得た。
【0052】
次いで、ガラス基板に白色塗料(カンペパピオ(株)製合成樹脂エナメル塗料;ヒットスプレー(ホワイト))を塗布した白色基板を準備した。前記白色基板上に、上記着色した又は染料無添加の接着層塗布液を刷毛で塗布し、室温で3時間乾燥した後、上記着色した又は染料無添加の光触媒塗布液を同様に刷毛で塗布した。
塗布は各層での塗料の発色/退色状態を確認するため以下の3種類の組み合わせで塗り分けた。
【0053】
【表1】
Figure 0004446560
【0054】
各サンプルを2枚ずつ作成し、うち1枚は、日陰(照度0.012mW/m2以下)に3週間屋外暴露し、うち一枚は、室内に1週間放置した後、ひなた(照度1.2mW/m2以下)に2週間屋外暴露した。退色の状況は、目視で判断し、退色:○ 目視で色が確認できない
△ 目視で色が確認できるが、当初と比較して退色が見られる。
× 目視で当初と同等の色を確認できる。
上記の記号で表した結果を第2表に示す。
【0055】
【表2】
Figure 0004446560
* 6週間暴露後の結果を表す。
【0056】
実施例2
トリフェニルメタン系染料としてクリスタルバイオレットを用い、実施例1と同様にして着色パターンCのサンプルを作成し、屋外に1週間暴露し、光強度と染料濃度の関係を調べた。評価は、色差計を用いて基板の白色との差(ΔΔE)を測定した。その結果を第3表に示す。
【0057】
【表3】
Figure 0004446560
【0058】
初期ΔEの値より、染料濃度は0.02重量%以上が好ましいことがわかる。
また、ΔΔEの値より、染料濃度が0.06重量%以上では、短期間で消色させるのが困難となることがわかる。また、光強度が0.006〜0.024mW/cm2程度では、短期間で消色させるには困難であることがわかる。
【0059】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の方法を用いることにより、塗り残し、塗り重ね等の塗りむらの問題を生じることがなくなった。しかも、トリフェニルメタン系染料は、光触媒層を設けることで、比較的光強度の弱い、日陰においても短期間で消色させることができることから、基材の外観を損ねることなく、屋外であれば、場所を限定することなく使用することが可能となった。

Claims (6)

  1. 基材表面に接着層、光触媒層を順次積層してなる光触媒担持構造体において、接着層及び/又は光触媒層にトリフェニルメタン系染料を含むことを特徴とする光触媒担持構造体。
  2. トリフェニルメタン系染料が、クリスタルバイオレットであることを特徴とする請求項1に記載の光触媒担持構造体。
  3. 接着層が、シリコン含有量2〜60重量%のシリコン変性樹脂、コロイダルシリカを5〜40重量%含有する樹脂、又は式(1)
    SiCln1(OH)n21n3 (OR2)n4 ・・・式(1)
    〔式中、R1は(アミノ基、カルボキシル基、または塩素原子で置換されてもよい)炭素数1〜8のアルキル基、R2は、炭素数1〜8のアルキル基もしくはアルコキシ基で置換された炭素数1〜8のアルキル基を表し、n1は0から2の整数を表し、n4は2から4の整数であり、かつn1+n2+n3+n4=4を示す。〕で表される化合物の重縮合反応生成物であるポリシロキサンを3〜60重量%含有する樹脂であり、光触媒層が、金属酸化物ゲルもしくは金属水酸化物ゲルを25〜95%含有する光触媒粒子複合体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光触媒担持構造体。
  4. 光触媒担持構造体の表面が、光励起に応じて親水性を呈することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光触媒担持構造体。
  5. 基体上に接着層、光触媒層を順次積層してなる光触媒担持構造体形成用塗布液が接着層形成用塗布液及び光触媒層形成用塗布液からなり、接着層形成用塗布液及び/又は光触媒層形成塗布液にトリフェニルメタン系染料を含有することを特徴とする光触媒担持構造体形成用塗布液。
  6. 接着層塗布液が、シリコン含有量2〜60重量%のシリコン変性樹脂、ポリシロキサンを3〜60重量%含有する樹脂、またはコロイダルシリカを5〜40重量%含有する樹脂を樹脂固形分として1〜50重量%含む溶液からなる塗布液であり、光触媒層形成用塗布液が、シリコン化合物を0.001〜5重量%、金属の酸化物および/または水酸化物のゾルを固形分として0.1〜30重量%、および光触媒の粉末および/またはゾルを固形分として0.1〜30重量%を含む液からなる塗布液であることを特徴とする請求項5に記載の光触媒担持構造体形成用塗布液。
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