JP4446021B2 - ヘテロ接合素子の制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、酸化物結晶のヘテロ接合を利用したヘテロ接合素子、ヘテロ接合素子モジュール、及びヘテロ接合素子の制御方法に関するものである。
従来、TbMnO結晶やTbMn結晶などの強磁性と強誘電性とを併せ持つ磁性誘電体材料について、磁場によって誘電特性を制御できることが知られている(非特許文献1、2参照)。また、SiやGaAsなどの半導体材料の分野では、例えば、MnをGaAsにドープした半導体材料を用いた磁場に応答する素子が提案されている(非特許文献3参照)。
また、ヘテロ接合面を利用して素子の電気容量を磁場で制御した例として、Pd−AlO−Al薄膜構造を用いた例が報告されている。この磁場による電気容量の制御は、常磁性体Pdのdバンドのゼーマン***による効果として説明されている(非特許文献4参照)。
T. Kimura et al., "Magnetic control of ferroelectric polarization", Nature Vol.426, pp.55-58 (2003) N. Hur et al., "Electric polarization reversal and memory in a multiferroic material induced by magnetic fields", Nature Vol.429, pp.392-395 (2004) M. Yamanouchi et al., "Current-induced domain-wall switching in a ferromagnetic semiconductor structure", Nature Vol.428, pp.539-542 (2004) K. T. McCarthy et al., "Magnetocapacitance: Probe of Spin-Dependent Potentials", Phys. Rev. Lett. Vol.90, pp.117201-1-117201-4 (2003)
上記した素子のうち、磁性誘電体材料を用いて磁場によって誘電特性を制御する素子構造では、磁性誘電体材料はほとんどがバルク材料であり、実際に集積回路上で素子として機能させるにはそのサイズを小型化する必要がある。しかしながら、そのように素子を小型化した場合、バルク体と同様の特性を示すかどうかは不明である。一方、磁場によるゼーマン***に起因する誘電特性の変化が観測されているPd−AlO−Al薄膜構造では、その変化量が7Tの磁場下で0.18%程度と非常に小さくなっている。
本発明は、以上の問題点を解決するためになされたものであり、ヘテロ接合を利用した素子の特性を好適に制御することが可能なヘテロ接合素子、ヘテロ接合素子モジュール、及びヘテロ接合素子の制御方法を提供することを目的とする。
このような目的を達成するために、本発明によるヘテロ接合素子は、(1)電子がドープされた遷移金属酸化物からなるn型の第1酸化物結晶と、(2)正孔がドープされた遷移金属酸化物からなり、第1酸化物結晶とヘテロ接合を形成するp型の第2酸化物結晶とを備え、(3)第1酸化物結晶及び第2酸化物結晶は、所定の方向に磁場を印加することによって、ヘテロ接合面における空乏層の厚さを制御することが可能に構成されていることを特徴とする。
また、本発明によるヘテロ接合素子の制御方法は、(a)電子がドープされた遷移金属酸化物からなるn型の第1酸化物結晶と、(b)正孔がドープされた遷移金属酸化物であるLa 1−x Sr MnO 3−δ 結晶からなり、第1酸化物結晶とヘテロ接合を形成するp型の第2酸化物結晶とを備えるヘテロ接合素子を用い、(c)第1酸化物結晶及び第2酸化物結晶に対して所定の方向に磁場を印加することによって、ヘテロ接合面における空乏層の厚さを制御することを特徴とする。
上記したヘテロ接合素子及びその制御方法においては、n型の導電性を有する第1酸化物結晶と、p型の導電性を有する第2酸化物結晶とによってヘテロ接合を形成した構造を用いている。そして、このような構造でpnヘテロ接合面に形成される空乏層に対し、所定の方向(例えばヘテロ接合面に垂直な方向)に磁場を印加して、空乏層の厚さを変化させている。
このように、ヘテロ接合面での空乏層の厚さを磁場によって制御することにより、ヘテロ接合を利用した素子の特性を充分な範囲で好適に制御することが可能となる。また、このような構成では、酸化物結晶の薄膜等を利用することにより、素子の小型化が可能である。なお、上記のように空乏層の厚さを制御することによって変化する具体的な特性としては、例えば素子の電気容量がある。
ここで、ヘテロ接合素子及びその制御方法においては、第1酸化物結晶は、n型不純物によって電子がドープされたTi酸化物結晶からなることが好ましい。n型の酸化物結晶としてTi(チタン)酸化物結晶を用いることにより、上記構成のヘテロ接合素子を好適に実現することができる。このようなTi酸化物結晶としては、例えば、Nb(ニオブ)が微量にドープされたSrTiO結晶を用いることが好ましい。
一方、第2酸化物結晶は、Aサイト置換によって正孔がドープされたMn酸化物結晶からなることが好ましい。p型の酸化物結晶としてペロブスカイト型の結晶構造を有するMn(マンガン)酸化物結晶を用いることにより、上記構成のヘテロ接合素子を好適に実現することができる。また、第2酸化物結晶は、所定量の酸素欠損を含むMn酸化物結晶からなることとしても良い。
第1酸化物結晶及び第2酸化物結晶を含む全体の素子構造については、第1酸化物結晶に電気的に接続された第1電極、及び第2酸化物結晶に電気的に接続された第2電極を備える構成としても良い。このような構成では、第1、第2電極間での電気的特性(例えば電気容量)を好適に制御可能なヘテロ接合素子が実現される。
また、ヘテロ接合素子は、第1酸化物結晶及び第2酸化物結晶に加えて、電子がドープされた遷移金属酸化物からなり、第1酸化物結晶とは反対側で第2酸化物結晶とヘテロ接合を形成するn型の第3酸化物結晶を備える構成としても良い。あるいは、ヘテロ接合素子は、第1酸化物結晶及び第2酸化物結晶に加えて、正孔がドープされた遷移金属酸化物からなり、第2酸化物結晶とは反対側で第1酸化物結晶とヘテロ接合を形成するp型の第4酸化物結晶を備える構成としても良い。
本発明によるヘテロ接合素子モジュールは、上記したヘテロ接合素子と、ヘテロ接合素子の第1酸化物結晶及び第2酸化物結晶に対して、所定の方向に磁場を印加するための磁場印加手段とを備えることを特徴とする。このように、磁場印加手段を用いてヘテロ接合素子に対して磁場を印加することにより、素子の特性を充分な範囲で好適に制御することが可能なヘテロ接合素子モジュールが実現される。
本発明によるヘテロ接合素子、ヘテロ接合素子モジュール、及びヘテロ接合素子の制御方法によれば、n型の第1酸化物結晶とp型の第2酸化物結晶とによってヘテロ接合を形成した構造を用いるとともに、所定の方向に磁場を印加して空乏層の厚さを制御することにより、ヘテロ接合を利用した素子の特性を充分な範囲で好適に制御することが可能となる。
以下、図面とともに本発明によるヘテロ接合素子、ヘテロ接合素子モジュール、及びヘテロ接合素子の制御方法の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
図1は、本発明によるヘテロ接合素子の一実施形態の構成を示す側面断面図である。本実施形態によるヘテロ接合素子1Aは、n型の酸化物基板10と、基板10上に形成されたp型の酸化物薄膜21、22、23とからなる酸化物結晶の積層体によって構成されている。
基板10は、電子がドープされた遷移金属酸化物からなるn型の第1酸化物結晶であるTi(チタン)酸化物結晶からなる。この基板10としては、具体的には例えば、n型不純物であるNbが所定のドープ量でドープされ、そのペロブスカイト型の結晶構造における(100)面を表面とするNb:SrTiO(100)基板を用いることができる。
薄膜21〜23は、正孔がドープされた遷移金属酸化物からなるp型の第2酸化物結晶であるMn(マンガン)酸化物結晶からなり、n型のTi酸化物基板10の(100)面上に形成されている。この薄膜21〜23としては、具体的には例えば、Aサイト置換によって正孔がドープされるとともに、所定量の酸素欠損を含むLa1−xSrMnO3−δ薄膜を用いることができる。また、図1に示した構成例においては、このp型のMn酸化物薄膜は3つの薄膜部分21〜23に分割されて基板10上に形成されている。
図1に示したヘテロ接合素子1Aにおいては、これらのn型半導体であるTi酸化物基板(第1酸化物結晶)10と、p型半導体であるMn酸化物薄膜(第2酸化物結晶)21〜23とによって、酸化物結晶のヘテロ接合が形成されている。このような構成では、基板10と薄膜21〜23とのpnヘテロ接合面及びその近傍において、所定の厚さで空乏層が形成される。
本ヘテロ接合素子1Aは、基板10及び薄膜21〜23に対して所定の方向(例えば基板10と薄膜21〜23とのヘテロ接合面に垂直な方向)に磁場を印加し、印加する磁場の大きさによって空乏層の厚さを変化させるヘテロ接合素子の制御方法を適用可能に構成されている。なお、図1中においては、磁場の印加方向の例として、ヘテロ接合面に垂直な磁場の印加方向を矢印によって示している。また、磁場による空乏層の厚さの変化を2つの異なる厚さt1、t2によって模式的に示している。
Ti酸化物基板10の下面側には、基板10に電気的に接続された第1電極15がn側電極として設けられている。この電極15は、例えば基板10の下面上にAl(アルミニウム)などの金属材料を蒸着することによって形成される。また、Mn酸化物薄膜21〜23のそれぞれの上面側には、薄膜21〜23に電気的に接続された第2電極26〜28がp側電極として設けられている。この電極26〜28は、例えば薄膜21〜23の上面上にAu(金)などの金属材料を蒸着することによって形成される。
上記したヘテロ接合素子及びその制御方法においては、n型のTi酸化物基板10と、p型のMn酸化物薄膜21〜23とによるヘテロ接合に対して所定の方向に磁場を印加することによって、ヘテロ接合面における空乏層の厚さを制御する。これにより、ヘテロ接合を利用した素子1Aの特性を充分な範囲で好適に制御することが可能となる。また、このような構成では、酸化物結晶の薄膜等を利用することにより、素子1Aの小型化が可能である。このことは、実際に集積回路上で素子として機能させる上で有用である。
このような素子構造は、一般には、電子がドープされた遷移金属酸化物からなるn型の第1酸化物結晶と、正孔がドープされた遷移金属酸化物からなり、第1酸化物結晶とヘテロ接合を形成するp型の第2酸化物結晶とによって構成することができる。
すなわち、n型半導体として機能する電子ドープ遷移金属酸化物結晶と、p型半導体として機能する正孔ドープ遷移金属酸化物結晶とによってヘテロ接合を形成すると、そのpnヘテロ接合面において空乏層が形成される。そして、このような酸化物ヘテロ接合構造において、所定の方向に磁場を印加することにより、発生する空乏層の厚さを変化させることができる。これにより、ヘテロ接合素子に対して印加する磁場の大きさを制御することによって、素子の特性を所望の特性に制御することが可能となる。ヘテロ接合構造に対する磁場の印加方向については、上記したヘテロ接合面に垂直な方向に限らず、例えばヘテロ接合面に水平な方向など、他の方向を磁場の印加方向としても良い。
なお、酸化物ヘテロ接合を構成する第1、第2酸化物結晶の組合せについては、それぞれの結晶構造、及び磁場に対する応答特性等を考慮して適宜選択すれば良い。また、このような構成では、第1、第2酸化物結晶のそれぞれにおける電子のドープ量、正孔のドープ量の設定により、ヘテロ接合面における空乏層の厚さ、及びその磁場依存性の大きさ等を制御することが可能である。また、酸化物ヘテロ接合におけるダイオード特性及びその磁場による変調は、例えば文献 J. R. Sun et al., "Effects of magnetic field on the manganite-based bilayer junction", Appl. Phys. Lett. Vol.84, pp.1528-1530 (2004) に一部報告されている。
また、上記のように空乏層の厚さを制御することによって変化する具体的な特性としては、例えば素子の電気容量がある。この場合、酸化物ヘテロ接合を利用して、素子の電気容量を磁場によって大きく変調することができる。したがって、このようなヘテロ接合素子をコンデンサとして回路に組み込むことにより、例えば回路の共振周波数を磁場によって変調することが可能となる。すなわち、上記構成のヘテロ接合素子は、磁場によって電気容量を連続的かつ広い範囲で変調することが可能なことから、例えば、電波信号を受信する際に、アンテナが感知する信号の中から所望の周波数の信号を共振回路で抽出するような場合において有用である。
また、図1に示したヘテロ接合素子1Aでは、Ti酸化物基板10及びMn酸化物薄膜21〜23を含む全体の素子構造について、基板10に対する第1電極15、及び薄膜21〜23に対する第2電極26〜28を備える構成としている。このように電極を設けた構成では、第1電極15と第2電極26〜28との間での電気的特性(例えば電気容量)を好適に制御可能なヘテロ接合素子1Aが得られる。なお、Mn酸化物結晶については、電極材料として金を用いることにより、整流作用を示さないオーミックな接合を作成することができる。
n型の第1酸化物結晶としては、具体的には、図1にTi酸化物基板10を例示したように、n型不純物によって電子がドープされたTi酸化物結晶を用いることが好ましい。このような結晶を用いることにより、上記構成のヘテロ接合素子、及びその接合面での空乏層の厚さの磁場による制御を好適に実現することができる。このTi酸化物結晶としては、例えば、Nbなどのn型不純物が微量にドープされたSrTiO結晶を用いることが好ましい。SrTiO(チタン酸ストロンチウム)結晶は、ペロブスカイト型の酸化物結晶の薄膜を作成するための基板として広く用いられているものである。
一方、p型の第2酸化物結晶としては、具体的には、図1にMn酸化物薄膜21〜23を例示したように、Aサイト置換によって正孔がドープされたMn酸化物結晶を用いることが好ましい。このような結晶を用いることにより、上記構成のヘテロ接合素子、及びその接合面での空乏層の厚さの磁場による制御を好適に実現することができる。また、第2酸化物結晶としては、La1−xSrMnO3−δ薄膜に関して上述したように、所定量の酸素欠損を含むMn酸化物結晶を用いることとしても良い。第2酸化物結晶中に酸素欠損が存在する場合、キャリアとしての電子の発生、結晶構造による不規則性などによって、磁場に対する応答性が向上すると考えられる。
ここで、ペロブスカイト型の結晶構造を有するMn酸化物結晶は、超巨大磁気抵抗効果を示す結晶である。また、Mn酸化物結晶については、Aサイト置換による正孔のドープ量、あるいは酸素欠損量を変化させることによりその電気・磁気特性が変化し、また、それに伴って磁気抵抗効果を示す温度領域が変化する。
n型のTi酸化物基板10上にp型のMn酸化物薄膜21〜23を形成した図1の素子1Aの構成では、空乏層の厚さの変化の例を厚さt1、t2によって模式的に示したように、磁場を印加することによって主にMn酸化物薄膜21〜23の特性が変化し、薄膜21〜23側で空乏層の厚さが変化する。また、Mn酸化物結晶での正孔のドープ量を制御することにより、磁場に対して空乏層の厚さが応答する温度領域を変化させることも可能である。
具体的には、La1−xSrMnO3−δ結晶などのMn酸化物結晶では、スピンが揃った状態では絶縁体状態よりも金属的状態の方がエネルギー的に安定する。また、ヘテロ接合面での空乏層の厚さは、自由キャリアの濃度が高くなると減少する。したがって、上記構成のヘテロ接合素子に対して所定の方向に磁場を印加すると、Mn酸化物結晶中で電気伝導に寄与するキャリア数が増加し、それに伴って空乏層の厚さが減少する。
また、ヘテロ接合面での全空乏層は、n型のTi酸化物結晶中の空乏層領域、及びp型のMn酸化物結晶中の空乏層領域からなる。このような構成では、磁場によって主に変調されるMn酸化物結晶中の空乏層領域が同じであれば、Ti酸化物結晶中の空乏層領域が狭い方が全体としての空乏層の厚さの磁場依存性、及びそれに伴う素子の電気容量等の磁場依存性は大きくなる。ヘテロ接合素子の具体的な構成については、このような特性をも考慮して、各酸化物結晶の酸化物材料、及び電子あるいは正孔のドープ量等を設定することが好ましい。
図2は、図1に示したヘテロ接合素子1Aを用いたヘテロ接合素子モジュールの構成の一例を示す側面断面図である。本ヘテロ接合素子モジュール3は、図1に示した構成を有するヘテロ接合素子1Aと、ヘテロ接合素子1Aを収容して所定温度に保持するデュワー30と、デュワー30中に設置された電磁石32とを備えている。
これらのうち、電磁石32は、第1酸化物結晶であるn型の基板10、及び第2酸化物結晶であるp型の薄膜21〜23によって構成されるヘテロ接合素子1A(図1参照)に対して、所定の方向に磁場を印加するための磁場印加手段である。このように、電磁石32などの磁場印加手段を用いてヘテロ接合素子1Aに対して磁場を印加することにより、素子1Aの特性を充分な範囲で好適に制御することが可能なヘテロ接合素子モジュール3が実現される。図2においては、電磁石32により、ヘテロ接合素子1Aに対して、そのヘテロ接合面に垂直な方向に磁場を印加している。
なお、図2に示した構成のうち、デュワー30及び電磁石32としては、具体的には例えば、PPMS(Physical Property Measurement System:物理特性測定システム、Quantum Design 社)を用いることができる。また、図2においては、ヘテロ接合素子1Aに対し、その特性を測定するための半導体パラメータアナライザ36及びLCRメータ37が接続されている。半導体パラメータアナライザ36は、素子1Aの電流−電圧特性等を測定する際に用いられる。また、LCRメータ37は、素子1Aの電気容量等を測定する際に用いられる。
次に、上記構成のヘテロ接合素子及びその制御方法を用いた素子の特性の制御の具体的な実施例について説明する。本実施例では、図1に示した構成において、n型のTi酸化物基板としてNbをドープしたSrTiO(100)基板を用いた。そして、その基板上にレーザアブレーション法によってp型のMn酸化物薄膜としてLa0.7Sr0.3MnO3−δ薄膜を堆積して、ペロブスカイト型の遷移金属酸化物結晶によるLa0.7Sr0.3MnO3−δ/Nb:SrTiOの酸化物ヘテロ接合を作成した。
また、ヘテロ接合素子の作成時において、Mn酸化物薄膜の作成条件として極端な還元雰囲気を採用し、La0.7Sr0.3MnO3−δ薄膜中に多量の酸素欠損を導入した。さらに、Nb:SrTiO基板の下面にはアルミニウムを蒸着して第1電極を形成し、La0.7Sr0.3MnO3−δ薄膜の上面には金を蒸着して第2電極を形成するとともに、これらの電極を用いて素子の電流−電圧特性、及び電気容量の温度、磁場依存性等について測定を行った。
図3は、ヘテロ接合素子の電流−電圧特性の磁場依存性を示すグラフである。このグラフにおいて、横軸はバイアス電圧(V)を示し、縦軸は電流密度(10−2A/cm)を示している。ここでは、ヘテロ接合素子に印加する磁場の大きさを0T、2T、4T、6T、8Tと変化させ、そのそれぞれについての電流−電圧特性の測定結果を示している。また、測定時の温度については、10Kで一定としている。
図3に示すように、ヘテロ接合素子に対して接合面に垂直な方向に磁場を印加することにより、磁場の大きさが大きくなるにしたがって、その電流−電圧特性が低バイアス側にシフトした。
図4は、ヘテロ接合素子の導電性の磁場依存性を示すグラフである。このグラフにおいて、横軸は磁場(T)を示し、縦軸は微分電流dJ/dV(S/cm)を示している。ここでは、温度=10K、40K、100Kのそれぞれについて導電性の磁場依存性を示している。また、バイアス電圧については、磁場8Tで0.02A/cmの電流が流れる電圧(図3中に矢印で示す電圧)で一定に設定している。この電圧は、温度=10Kでは0.76V、40Kでは0.71V、100Kでは0.59Vである。
図4に示すように、温度=10Kでは、固定された順バイアス電圧の条件下において、磁場によって素子の導電性が指数関数的に変化し、そのヘテロ接合における微分電流値は8Tの磁場で2桁変化した。また、この導電性の磁場依存性については、40K、100Kと温度が高くなるにしたがって、磁場による変化が小さくなっていることがわかる。なお、このグラフでは、例えば温度=10Kについて、導電性の磁場依存性が若干ずれた複数のグラフが示されているが、これは磁場依存性のヒステリシスによるものである。
図5は、ヘテロ接合素子の電気容量の磁場依存性を示すグラフである。このグラフにおいて、横軸は磁場(T)を示し、縦軸は電気容量(μF/cm)を示している。ここでは、図4と同様に、温度=10K、40K、100Kのそれぞれについて電気容量の磁場依存性を示している。
図5に示すように、ヘテロ接合素子に対して磁場を印加することにより、素子の電気容量について大きい磁場依存性が観測された。これは、ヘテロ接合面での空乏層の厚さの変化によるものである。この測定結果から、上記したようにヘテロ接合面での空乏層の厚さを磁場によって制御することにより、電気容量などの素子の特性を充分な範囲で好適に制御可能であることが理解される。
図6は、ヘテロ接合素子の磁場による電気容量の変化量の温度依存性を示すグラフである。このグラフにおいて、横軸は温度(K)を示し、縦軸は電気容量の変化量を示している。ここで、電気容量の変化量は、磁場が0Tの状態と、8Tの状態との間での電気容量Cの変化率(C8T−C0T)/C0Tによって示している。また、ここでは、n型のNb:SrTiO基板でのNbのドープ量が0.5重量%、及び0.01重量%の2つの場合について電気容量の変化量の温度依存性を示している。
図6に示すように、例えばドープ量が0.5重量%のNb:SrTiO基板を用いたヘテロ接合素子では、磁場8Tで120%近い電気容量の変化量が得られている。また、Nbのドープ量が0.5重量%の場合と、0.01重量%の場合とを比較すると、0.5重量%の場合の方が電気容量の変化量が大きくなっている。これは、ドープ量が0.5重量%のNb:SrTiO基板の方が基板中の空乏層領域が狭く、酸化物ヘテロ接合構造の全体として、空乏層の厚さの磁場依存性が大きくなっているためである。
なお、本願発明者による測定結果によれば、図1に示した構成のヘテロ接合素子においては、ヘテロ接合の電気抵抗が室温以上で急激に低下する。図7は、ヘテロ接合素子の電流−電圧特性の温度依存性を示すグラフである。このグラフにおいて、横軸はバイアス電圧(V)を示し、縦軸は電流密度(10−3A/cm)を示している。ここでは、200K〜400Kの温度範囲について磁場が0Tの状態での電流−電圧特性の温度依存性を示している。また、ここでは、La0.7Sr0.3MnO3−δ薄膜中に酸素欠損を導入しない構成としている。
図7に示すように、上述した酸化物ヘテロ接合構造においては、ヘテロ接合の電気抵抗が室温以上で急激に低下する。したがって、このようなヘテロ接合素子を特定の素子に対して並列に接続した場合、本ヘテロ接合素子を温度上昇の際の保護回路として機能させることが可能である。
図8は、本発明によるヘテロ接合素子の他の実施形態の構成を示す側面断面図である。本実施形態によるヘテロ接合素子1Bは、n型の第1酸化物結晶61、p型の第2酸化物結晶70、及びn型の第3酸化物結晶62がこの順で接続された3端子素子であるnpnトランジスタとして構成されている。
n型の第1酸化物結晶61は、例えばLa:SrTiO結晶からなり、その図中の左面側にはエミッタ(E)電極として機能する第1電極66が形成されている。また、第1酸化物結晶61とヘテロ接合を形成するp型の第2酸化物結晶70は、例えばLa1−xSrMnO3−δ結晶からなり、その下面側にはベース(B)電極として機能する第2電極75が形成されている。また、第1酸化物結晶61とは反対側で第2酸化物結晶70とヘテロ接合を形成するn型の第3酸化物結晶62は、例えばNb:SrTiO結晶からなり、その右面側にはコレクタ(C)電極として機能する第3電極67が形成されている。
このような構成では、図8中に厚さt6、t7によって模式的に示すように、npnトランジスタのベース部を構成する第2酸化物結晶70の第1、第3酸化物結晶61、62とのヘテロ接合面のそれぞれにおいて、空乏層の厚さが磁場によって変化する。これにより、特性を充分な範囲で好適に制御することが可能なnpnトランジスタが実現される。
本発明によるヘテロ接合素子及びその制御方法は、上記した実施形態及び実施例に限られるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、n型の第1酸化物結晶及びp型の第2酸化物結晶に用いられる酸化物材料については、上記したNb:SrTiO結晶及びLa1−xSrMnO3−δ結晶以外にも、様々な酸化物材料、及びその組合せを用いることが可能である。
また、ヘテロ接合素子の具体的な構成については、図1に示した構成、及び図8に示したnpnトランジスタの構成に限らず、様々な構成を用いて良い。例えば、n型の第1酸化物結晶及びp型の第2酸化物結晶に対し、第2酸化物結晶とは反対側で第1酸化物結晶とヘテロ接合を形成するp型の第4酸化物結晶を設ける構成としても良い。この場合、ヘテロ接合素子はpnpトランジスタとして構成される。
本発明は、酸化物結晶のヘテロ接合を利用した素子の特性を好適に制御することが可能なヘテロ接合素子、ヘテロ接合素子モジュール、及びヘテロ接合素子の制御方法として利用可能である。
ヘテロ接合素子の一実施形態の構成を示す側面断面図である。 図1に示したヘテロ接合素子を用いたヘテロ接合素子モジュールの構成の一例を示す側面断面図である。 ヘテロ接合素子の電流−電圧特性の磁場依存性を示すグラフである。 ヘテロ接合素子の導電性の磁場依存性を示すグラフである。 ヘテロ接合素子の電気容量の磁場依存性を示すグラフである。 ヘテロ接合素子の磁場による電気容量の変化量の温度依存性を示すグラフである。 ヘテロ接合素子の電流−電圧特性の温度依存性を示すグラフである。 ヘテロ接合素子の他の実施形態の構成を示す側面断面図である。
符号の説明
1A…ヘテロ接合素子、10…n型のTi酸化物基板(Nb:SrTiO基板)、15…第1電極、21〜23…p型のMn酸化物薄膜(La1−xSrMnO3−δ薄膜)、26〜28…第2電極、3…ヘテロ接合素子モジュール、30…デュワー、32…電磁石(磁場印加手段)、36…半導体パラメータアナライザ、37…LCRメータ、
1B…ヘテロ接合素子、61、62…n型のTi酸化物結晶、66…第1電極、67…第3電極、70…p型のMn酸化物結晶、75…第2電極。

Claims (3)

  1. 電子がドープされた遷移金属酸化物からなるn型の第1酸化物結晶と、
    正孔がドープされた遷移金属酸化物であるLa 1−x Sr MnO 3−δ 結晶からなり、前記第1酸化物結晶とヘテロ接合を形成するp型の第2酸化物結晶とを備えるヘテロ接合素子を用い、
    前記第1酸化物結晶及び前記第2酸化物結晶に対して所定の方向に磁場を印加することによって、前記ヘテロ接合面における空乏層の厚さを制御することを特徴とするヘテロ接合素子の制御方法。
  2. 前記第1酸化物結晶は、n型不純物によって電子がドープされたTi酸化物結晶からなることを特徴とする請求項記載のヘテロ接合素子の制御方法。
  3. 前記ヘテロ接合素子は、前記第1酸化物結晶に電気的に接続された第1電極、及び前記第2酸化物結晶に電気的に接続された第2電極を備えることを特徴とする請求項1または2記載のヘテロ接合素子の制御方法。
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