JP4445186B2 - 分電盤の分岐回路増設構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、分電盤の内部に配設された既設の分岐開閉器とは別に、分岐回路を増設するために増設用の分岐開閉器を主幹開閉器に接続する分電盤の分岐回路増設構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、一般家庭において200Vの家電製品が普及してきており、高出力を必要とする温水器や調理器具などの用途にもガスに代わって電気温水器やIHクッキングヒータなどの200V家電が使用されている。
【0003】
このような200V家電を使用するには、住宅内の分電盤に200V負荷用の分岐開閉器を設置する必要があり、住宅を新築する場合は、予め200V負荷用の分岐開閉器を分電盤内の分岐開閉器配設位置に配設しておくことで、200V負荷に対応することができる。また、既設の住宅にあっても、分電盤内の分岐開閉器配設位置に200V負荷用の分岐開閉器を配設するスペースがあれば、そのスペースに200V負荷用の分岐開閉器を増設して、200V負荷に給電することが可能である。
【0004】
しかしながら、既設の住宅では、分電盤内部の分岐開閉器配設位置に分岐開閉器を増設するスペースが無い場合が多く、200V負荷用の分岐開閉器を増設する場合は、主幹開閉器の一次側又は二次側の電圧線(L1相,L2相)用の端子に、2本の分岐配線を介して、分電盤内の空きスペース或いは分電盤の外部に配設された分岐開閉器を接続し、この分岐開閉器を200V負荷用として用いていた。
【0005】
また、100V負荷用の分岐開閉器を増設する場合でも、分電盤内の分岐開閉器配設位置に増設用の分岐開閉器を配設するスペースが無い場合は、主幹開閉器の一次側又は二次側の端子の内、何れか一方の電圧線(L1相又はL2相)が接続される端子と中性線(N相)が接続される端子とに、2本の分岐配線を介して、分電盤内の空きスペースに配設された100V負荷用の分岐開閉器を接続し、100V負荷に電源を供給していた(例えば特開平10−108318号公報参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、分岐開閉器を増設する際に、100V負荷用の分岐開閉器と200V負荷用の分岐開閉器とを混在させた場合は、以下に述べるような問題がある。
【0007】
主幹開閉器の一次側に100V負荷用の分岐開閉器を増設する場合は、主幹開閉器の一次側の端子の内、何れか一方の電圧線(L1相又はL2相)用の端子と、中性線(N相)用の端子のみに分岐配線を接続し、この分岐配線を介して増設用の分岐開閉器を接続するので、増設した全ての分岐開閉器は一方の電圧線と中性線との間に接続されることになる。したがって、主幹開閉器が中性線欠相保護機能を備えていれば、中性線欠相が発生した場合、主幹開閉器の二次側の分岐回路と増設した分岐回路とは電気的に遮断されるので、増設した分岐回路には電圧が印加されず、全く問題はない。また、主幹開閉器の一次側の電圧線(L1相,L2相)用の端子に、分岐配線を介して分岐開閉器を接続し、200V負荷に給電した場合、単相3線式配線路の中性線が欠相したとしても、負荷にかかる電圧は200Vのままであり、全く問題はない。
【0008】
一方、200V負荷用の分岐開閉器に加えて、100V負荷用の分岐開閉器を増設するために、主幹開閉器の一次側の電圧線(L1相,L2相)および中性線(N相)の3つの端子全てに分岐配線を接続し、L1相とL2相とN相の内の2つの相に分岐配線を介して分岐開閉器を接続する場合、作業者が接続を誤って、L1相とN相との間に100V負荷用の分岐開閉器を接続するとともに、L2相とN相との間に100V負荷用の分岐開閉器を接続してしまう可能性がある。このように接続すると、増設した分岐開閉器は主幹開閉器の一次側に接続されているので、中性線欠相が発生した場合に増設された分岐開閉器に接続されている負荷に過電圧が加わって、負荷が破損する可能性があった。
【0009】
本発明は上記問題点に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、分岐開閉器を増設する際に100V負荷用のものと200V負荷用のものとを混在させたとしても、中性線欠相によって負荷に過電圧が印加されることのない分電盤の分岐回路増設構造に関するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明では、2本の電圧線と中性線との3線で給電する単相3線式配線路に電気的に接続された主幹開閉器の一次側又は二次側の何れかに増設用分岐開閉器を電気的に接続して分岐回路を増設する分電盤の分岐回路増設構造であって、主幹開閉器の一次側又は二次側のうち何れかの側の3つの端子に分岐配線を介してそれぞれ電気的に接続され、互いに異なる高さに配置される3本の導電バーと、複数の増設用分岐開閉器とで構成され、3本の導電バーの内、一方の電圧線に電気的に接続される導電バーを第1の高さ位置に配置するとともに、他方の電圧線に接続される導電バー及び中性線に接続される導電バーを第2及び第3の高さ位置にそれぞれ配置し、各増設用分岐開閉器の器体の一側に、一方の電圧線に電気的に接続される導電バーが差込接続される第1の受刃を、第1の高さ位置に配置するとともに、他方の電圧線に接続される導電バー又は中性線に接続される導電バーのうちの何れか一方に差込接続される第2の受刃を、第2の高さ位置と第3の高さ位置との間で移動自在に配置したことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態を図1〜図8を参照して説明する。
【0013】
図3に示すように、分電盤10の外殻は合成樹脂成型品であって、前面が開口した箱状のボディ11と、ボディ11の開口を開閉自在に塞ぐカバー(図示せず)とで構成される。
【0014】
ボディ11の底壁には電線挿通用の窓孔12が開口しており、窓孔12の左右両側に設けた支持台(図示せず)に、主幹開閉器20や複数の分岐開閉器30を取り付けるための架台13が取り付けられている。なお、複数の分岐開閉器30は導電バー(図示せず)を挟んで上下2列に配置されている。
【0015】
主幹開閉器20は、器体21の前面上部に一次側の3個の端子22a〜22cを、前面下部に二次側の3個の端子23a〜23cをそれぞれ配設してあり、一次側の端子22a〜22cには、2本の電圧線と中性線との3線で給電する単相3線式配線路(図示せず)がそれぞれ接続される。ここに、2本の電圧線を区別するために、2本の電圧線の各々をL1相、L2相と言い、中性線をN相と言う。そして、2本の電圧線の内、L1相は図中右側の端子22aに、L2相は左側の端子22bに、中性線(N相)は中央の端子22cにそれぞれ接続される。
【0016】
図中上側に並設された複数個の分岐開閉器30と、下側に並設された複数個の分岐開閉器30との間には、主幹開閉器20の二次側の端子23a〜23cにそれぞれ電気的に接続された3本の導電バー(図示せず)が異なる高さ位置に平行に配設されており、各分岐開閉器30は3本の導電バーの内の2本にそれぞれ電気的に接続されている。
【0017】
また、主幹開閉器20の一次側の端子22a〜22cには、3本の分岐配線49a〜49cを介して分岐回路を増設するための分岐開閉器ブロック40が電気的に接続されている。
【0018】
分岐開閉器ブロック40は、2個の増設用分岐開閉器50a,50bと、導電性の良好な金属板から形成された3本の導電バー61〜63を保持する端子台60と、増設用分岐開閉器50a,50b及び端子台60が取り付けられるベース41と、増設用分岐開閉器50a,50b及び端子台60を覆うようにしてベース41に被着されるカバー45とで構成される。
【0019】
ベース41は金属板を折曲することによって、矩形板状の載置片42の長手方向における一端側の側縁から断面L形の脚片43を延設すると共に、長手方向における他端側に一段低くなった段部42bを形成して、段部42bの先端縁から断面L形の脚片43を延設してある。各脚片43には、ねじ挿通孔43aが2個ずつ形成されており、ねじ挿通孔43aに挿通した固定ねじ(図示せず)を用いて壁面などに固定される。載置片42の略中央には、並設される2個の増設用分岐開閉器50a,50bの外側面とそれぞれ当接する当接片42a,42aが切り起こしによって形成されている。また、載置片42の長手方向における一端側の側縁からは、ねじ孔44aを有する固定片44が切り起こしによって形成されている。また、載置片42に設けた段部42bには樹脂製の留め具72が取り付けられる2個の取付孔42cが左右方向に並べて貫設してある。留め具72は主部72aの裏面に、先端から上方に向かって抜け止めのかえしが突出する係止部72bを突設してあり、この係止部72bを取付孔42cに圧入することで、留め具72がベース41に固定される。
【0020】
カバー45は絶縁性を有する合成樹脂により下面が開口した箱状に形成され、上面略中央には増設用分岐開閉器50a,50bのハンドル53を露出させるための窓孔45aが貫設されている。また、カバー45の長手方向に沿う両側面46には、ベース41の載置片42の両側縁とそれぞれ係合する一対のリブ46aが内側面に突設されている。また、カバー45の短幅方向に沿う両側面47には、下端部の略中央にケーブル導入用のノックアウト部47aがそれぞれ形成されている。
【0021】
端子台60は、各増設用分岐開閉器50a,50bの一側に設けた差込部52a〜52cに一端部が挿入される3本の導電バー61〜63の他端部を合成樹脂成型品の基台64に挿入保持し、各導電バー61〜63の他端部に端子ねじ70a〜70cをそれぞれ螺合させたものである。
【0022】
導電バー61は、2個の増設用分岐開閉器50a,50bの下段の差込部52aに一端部が挿入される主片61aと、主片61aの他端部左側縁から連続一体に延設された断面L形の端子片61bとで構成され、端子片61bには端子ねじ70aの螺合するねじ孔61cが形成されている。導電バー62は、2個の増設用分岐開閉器50a,50bの中段の差込部52bに一端部が挿入される主片62aと、主片62aの他端部右側縁から連続一体に延設された端子片62bとで構成され、端子片62bには端子ねじ70bの螺合するねじ孔62cが形成されている。また導電バー63は、2個の増設用分岐開閉器50a,50bの上段の差込部52cに一端部が挿入される主片63aと、主片63aの他端部略中央から連続一体に延設された断面L形の端子片63bとで構成され、端子片63bには端子ねじ70cの螺合するねじ孔63cが形成されている。
【0023】
基台64は増設用分岐開閉器50a,50bとの対向面が開放された箱状に形成され、その内部は隔壁65a,65bによって上下方向に3つの収納室に分離され、各収納室に導電バー61〜63の他端部が挿入保持される。なお、基台64の内面および隔壁65a,65bの上下面には導電バー61〜63を保持するための止め片67が突設されており、止め片67に設けた爪67aと各導電バー61〜63の主片61a〜63aに設けた孔61d〜63dとが係合することで、導電バー61〜63の抜けを防止している。
【0024】
また基台64における増設用分岐開閉器50a,50bと反対側の端部上面には、各導電バー61,62,63の端子片61b,62b,63bをそれぞれ載置する段部66a,66b,66cが形成されており、導電バー61,62,63の他端部を基台64の各収納室に挿入すると、各収納室の側壁に設けた挿通孔(図示せず)から端子片61b,62b,63bが外側に突出し、段部66a,66b,66c上にそれぞれ載置される。ここで、図3及び図4に示すように端子片63bが中央に、端子片61bが端子片63bの左側に、端子片62bが端子片63bの右側にそれぞれ配置されており、各端子片61b,62b,63bには、それぞれ、一端が主幹開閉器20の一次側の電圧極(L1相、L2相)および中性極(N相)の端子22a,22b,22cに結線された分岐配線49a,49b,49cの他端が端子ねじ70a,70b,70cにより電気的且つ機械的に接続されるようになっている。すなわち、3本の導電バー61,62,63の内、下段の導電バー61はL1相、中段の導電バー62はL2相、上段の導電バー63はN相となっている。尚、中央の段部66cは両側の段部66a,66bに比べて一段高くなっており、端子片61b,62b,63bの取付高さが異なっているので、絶縁距離を十分に確保でき、また結線作業をやりやすくしている。
【0025】
また基台64には、ベース41の固定片44に対応する取付片68が側方に突設され(図5参照)、取付片68に貫設した挿通孔(図示せず)に取付ねじ69を通して、固定片44のねじ孔44aに螺合することで基台64がベース41に固定される。
【0026】
次に増設用分岐開閉器50a,50bの構造について説明する。分岐開閉器50a,50bは同様の構造を有しており、その器体51は、合成樹脂製の第1側ケース51Aと第2側ケース51Bとを重ね合わせて結合することで構成され、器体51の内部には固定接点と、固定接点に接離自在に接触する可動接点とでそれぞれ構成される2組の接点部(図示せず)と、各接点部を開閉させる開閉機構(図示せず)とを収納してあり、ハンドル53のオンオフ操作によって開閉機構を介して接点部を開閉させる構成となっている。
【0027】
器体51の一端内部には、図1又は図2に示すように、異なる高さ位置(図では上下方向)に各々配設された3本の導電バー61〜63の内の下段のL1相の導電バー61を差込接続する第1の受刃たる共通端子T1を収納配置する収納部54aと、中段及び上段のL2相、N相の導電バー62,63のうちの1本を選択して差込接続する第2の受刃たる選択端子T2を2本の導電バー62,63に対応した少なくとも2つの位置の間で移動自在に配設する内方収納部54bを設けてある。
【0028】
また器体51の一端部には、両側ケース51A,51Bの端壁と側壁にかけて形成したL字状の切欠溝を突き合わせることにより端面及び側面が開口した導電バー差込用の差込部52a〜52cを上、中、下の三段に配設された3本の導電バー61〜63に対応するように形成しており、上段、中段の差込部52a,52bは内方収納部54b内に、下段の差込部52cは収納部54a内に連通してある。
【0029】
共通端子T1及び選択端子T2は共に略コ字状で、上下に並行する両側片の先部が互いに近接した後、先端にかけて拡開した刃受ばねから構成され、先端拡開により導電バー61、62又は63の差込を容易とし、中央の近接部位で導電バー61、62又は63を挟み込むようになっている。
【0030】
内方収納部54bには、残りの2本の導電バー62,63に各々対応する2つの位置で選択端子T2を位置決めする位置決め手段として、第1側ケース51Aの内方収納部54bを構成する区画の端部壁面に断面略半円状の突起55を第1側ケース51Aの幅方向に設けてある。
【0031】
器体51の内方収納部54bの天井部に当たる壁には、選択端子T2が2本の導電バー62,63の内のどちらに対応する位置にあるのか表示する表示手段として、内方収納部54b内に連通する通孔56を設け、この通孔56から選択端子T2を収納したスライド部材57の上部に形成せる円柱状の表示部57aが通孔56に臨んで外部から視認できるか、通孔56から離れた位置にあって外部から視認できないかにより選択端子T2の位置を知ることができるようになっている。また通孔56を介してスライド部材57を外部から押し操作して下方移動させることも可能としている。この通孔56は両側ケース51A、51Bの上面側壁に設けた半円の切欠孔56aが突き合わせられて形成される円形の孔からなる。
【0032】
スライド部材57は合成樹脂成形品からなり、図7及び図8に示すように、器体51の両端方向に対応する両端面が開口した枠体状に形成されたもので、選択端子T2を構成する刃受ばねを一端開口から挿入して、他端開口より刃受ばねの先端部を突出させるようにして保持しており、選択端子T2はこのスライド部材57と共に内方収納部54b内を図1及び図2において上下方向に移動自在に配置される。尚、図7中の71は選択端子T2と接点部との間を電気的に接続する編組線である。
【0033】
内方収納部54bの両側壁を構成する両側ケース51A,51Bの側壁の内面にはスライド部材57の両側部に形成したスライド突起57bを上下移動自在に係合してスライドさせる上下方向のガイド溝58を2条の並行する突起59間に形成しており、内方収納部54bはこの両側壁のガイド溝58にスライド部材57の両側のスライド突起57bを係合した状態でスライド部材57とともに選択端子T2を上下方向にスライド移動自在に収納保持している。尚、内方収納部54b側にスライド突起を、ガイド溝をスライド部材57側に設けても良い。
【0034】
スライド部材57は、第1側ケース51Aの側部より図7及び図8に示すように図において下方に延びた脚片57cを一体に延長形成するとともに、脚片57cの下端部には外向きに突出した突出部57dを形成してある。そして、この突出部57dは、内方収納部54bの側壁を構成する第1側ケース51Aの側壁の外側に第1側ケース51Aの底面から上方向に形成されたスライド溝51aの上端底部に内方収納部54bと連通するように開口した挿通孔51cから、スライド溝51a内に挿入されて、脚片57cとともにスライド溝51a内を上下方向にスライド自在に位置される。
【0035】
ここに、スライド溝51aと挿通孔51cとは選択端子T2を装着したスライド部材57を上下移動させるためのガイド部を構成しており、スライド溝51aの底部は内方収納部54b内に突出するように形成され、スライド溝51aの上端底部に形成された挿通孔51cを介してスライド溝51a内に上方挿入される脚片57cの裏面がスライド溝51aの底部に摺接可能なようになっている。またスライド溝51aの最上方には突出部57dがスライド溝51aの上端部へ移動したときに衝合する突出部51bを設けてある。
【0036】
而して、突出部57dが内方収納部54b内の選択端子T2の上下移動させる操作部を構成し、器体51外部からこの表示部57aを持って或いはドライバ等で押し上げたり、押し下げることによってスライド溝51a内をスライド移動させれば、このスライド移動に伴い内方収納部54b内のスライド部材57が選択端子T2と共にスライド突起57bとガイド溝58とによるガイドによって上又は下へ移動することになる。また、上記の操作によってスライド部材57が移動する際、スライド部材57の先端上部或いは先端下部がその弾性と位置決め突起55のアール面とにより位置決め突起55を乗り越え、移動後は位置決め突起55にスライド部材57の枠部の先端下部或いは先端上部が当たって、選択端子T2の位置を保持するようになっている。
【0037】
ここで、突出部57dがスライド溝51aの下端部にある位置が、図2に示すように中段の導電バー62に選択端子T2が対応する位置で、突出部57dがスライド溝51aの上端部にある位置が、図1に示すように上段の導電バー61に選択端子T2が対応する位置となるように、脚片57cの長さ及びガイド部を構成しており、上記突出部57dの操作により選択端子T2の位置を上段のN相の導電バー63或いは中段のL2相の導電バー62に対応させることができるのである。そして、選択端子T2の位置を中段のL2相の導電バー62に対応させた場合は、共通端子T1がL1相、選択端子T2がL2相にそれぞれ接続されるので、分岐開閉器には200Vが印加される。また、選択端子T2の位置を上段のN相の導電バー63に対応させた場合は、共通端子T1がL1相、選択端子T2がN相にそれぞれ接続されるので、分岐開閉器には100Vが印加される。
【0038】
本実施形態では図4に示すように、一方の増設用分岐開閉器50aでは、表示部57aが通孔56に臨んで外部から視認可能となっているので、選択端子T2が上段の導電バー63に対応する位置に移動しており、100V負荷用として用いられている。また他方の増設用分岐開閉器50bでは、表示部57aが外部から視認できないので、選択端子T2が中段の導電バー62に対応する位置に移動しており、200V負荷用として用いられている。尚、図3では2個の選択端子T2が図示されているが、2個の選択端子T2の内、上段の導電バー63に対応する高さ位置に配置された選択端子T2が増設用分岐開閉器50aの端子であり、中段の導電バー62に対応する高さ位置に配置された選択端子T2は増設用分岐開閉器50aに並置された増設用分岐開閉器50bの端子を示している。
【0039】
ところで、共通端子T1及び選択端子T2は、2つの接点部の可動接点に電気的に接続されている。また器体51の他端部には、斜め上向きに開口した一対の電線挿入孔51eが並行形成されており、各電線挿入孔51eから挿入された電線は器体51内に収納された速結端子構造の接続端子(図示せず)に接続され、接続端子を介して2つの接点部の固定接点に電気的に接続されている。
【0040】
而して各電線挿入孔51eに夫々負荷側の電線を挿入して各接続端子に接続し、導電バー61を差込部52aを介して共通端子T1に差込接続し、導電バー62又は63を差込部52b又は52cを介して選択端子T2に差込接続すれば主幹開閉器20の一次側から分岐した電路に増設用分岐開閉器50a,50bを挿入することができるようになっている。
【0041】
この分岐開閉器ブロック40を組み立てる際には、一対の留め具72をベース41の載置片42に設けた取付孔42cにそれぞれ圧入して、固定した後、載置片42における両当接片42a,42aの間の部位に2個の増設用分岐開閉器50a,50bを並べて配置し、留め具72に設けた係止片72cを器体51の一側面に設けた係止溝51dに挿入して、器体51の一側を固定する。次に、基台64の各収納室に導電バー61〜63を挿入して保持させた状態で、導電バー61〜63の一端部を増設用分岐開閉器50a,50bの差込部52a〜52cに挿入して、各増設用分岐開閉器50a,50bの共通端子T1及び選択端子T2を対応する導電バー61〜63に差込接続した後、取付ねじ69を基台64の取付片68に設けた挿通孔に通して、ベース41の固定片44に設けたねじ孔44aに螺合することにより、端子台60と2個の増設用分岐開閉器50a,50bとがベース41に固定される。そして、ベース41の上側から、端子台60と2個の増設用分岐開閉器50a,50bとを覆うようにしてカバー45を被せると、カバー45の両側面46の弾性によってリブ46aがベース41の載置片42を乗り越え、載置片42の端縁と係合することで、カバー45とベース41とが結合され、組立作業が完了する。
【0042】
上述のように構成された分岐開閉器ブロック40では、各導電バー61〜63の端子片61b〜63bに、一端が主幹開閉器20の一次側の電圧極(L1相、L2相)および中性極(N相)の端子22a〜22cに結線された分岐配線49a〜49cの他端を端子ねじ70a〜70cにより電気的且つ機械的に接続しており、3本の導電バー61〜63の内、下段の導電バー61はL1相、中段の導電バー62はL2相、上段の導電バー63はN相となっている。そして、一方の増設用分岐開閉器50aは、選択端子T2が上段の導電バー63に対応する位置に移動しているので、共通端子T1及び選択端子T2にそれぞれ導電バー61,63が差込接続され、100V負荷用として用いられる。また他方の増設用分岐開閉器50bは、選択端子T2が中段の導電バー62に対応する位置に移動しているので、共通端子T1及び選択端子T2にそれぞれ導電バー61,62が差込接続され、200V負荷用として用いられる。
【0043】
本実施形態の分岐開閉器ブロック40は、100V負荷用の分岐開閉器と200V負荷用の分岐開閉器とを混在させて増設しているが、各増設用分岐開閉器50a,50bの共通端子T1はL1相の導電バー61に対応する高さ位置に配置され、選択端子T2はL2相の導電バー62に対応する高さ位置とN相の導電バー63に対応する高さ位置との間で移動自在となっているので、一方の端子(共通端子T1)は必ずL1相の導電バー61に接続され、他方の端子(選択端子T2)はL2相又はN相の導電バー62,63の何れかに接続されることになる。
【0044】
したがって、増設用分岐開閉器50a,50bを100V負荷用として用いる場合は、両端子T1,T2がL1相とN相に接続されることになり、増設用分岐開閉器50a,50bに接続される負荷はL1相とN相との間のみに接続され、L2相とN相との間には接続されないから、中性線欠相が発生して主幹開閉器20の保護機能が作動した場合(主幹開閉器20の一次側と二次側との間が遮断された場合)は増設用分岐開閉器50a,50bに接続される負荷に電圧が印加されなくなり、過電圧が加わることはないので負荷の破損を防止できる。
【0045】
また、選択端子T2は第2の高さ位置と第3の高さ位置との間で移動自在となっているので、選択端子T2を移動させることで、L2相及びN相の導電バー62,63のうちの1本に選択的に接続できるから、1つの増設用分岐開閉器50a,50bを100V負荷用又は200V負荷用として用いることができ、したがって100V負荷用のものと200V負荷用のものを別々に製造する必要がないので、増設用分岐開閉器の種類を少なくして、量産効果によるコストダウンが図れる。
【0046】
尚、本実施形態では、2個の増設用分岐開閉器50a,50bの内、一方の増設用分岐開閉器50aを100V負荷用、他方の増設用分岐開閉器50bを200V負荷用として用いているが、両方の増設用分岐開閉器50a,50bの選択端子T2を上段の導電バー63に対応する位置に移動させて、100V負荷用として用いても良い。この場合、2個の増設用分岐開閉器50a,50bは共に100V負荷用であるが、両方ともL1相とN相に接続されているので、上述のように中性線欠相が発生して主幹開閉器20の保護機能が作動すると、2個の増設用分岐開閉器50a,50bには電圧が印加されなくなるから、増設用分岐開閉器50a,50bに接続された負荷に過電圧が加わることはなく、負荷の破損を防止できる。また、増設用分岐開閉器の個数が2個の場合を例に説明しているが、増設用分岐開閉器の個数を2個に限定する趣旨のものではなく、3個以上としても良い。
【0047】
また、本実施形態では主幹開閉器20の一次側から分岐配線49a〜49cを介して増設用分岐開閉器50a,50bに給電しているが、主幹開閉器20の二次側から分岐配線49a〜49cを介して増設用分岐開閉器50a,50bに給電するようにしても良い。
【0048】
【発明の効果】
上述のように、請求項1の発明は、2本の電圧線と中性線との3線で給電する単相3線式配線路に電気的に接続された主幹開閉器の一次側又は二次側の何れかに増設用分岐開閉器を電気的に接続して分岐回路を増設する分電盤の分岐回路増設構造であって、主幹開閉器の一次側又は二次側のうち何れかの側の3つの端子に分岐配線を介してそれぞれ電気的に接続され、互いに異なる高さに配置される3本の導電バーと、複数の増設用分岐開閉器とで構成され、3本の導電バーの内、一方の電圧線に電気的に接続される導電バーを第1の高さ位置に配置するとともに、他方の電圧線に接続される導電バー及び中性線に接続される導電バーを第2及び第3の高さ位置にそれぞれ配置し、各増設用分岐開閉器の器体の一側に、一方の電圧線に電気的に接続される導電バーが差込接続される第1の受刃を、第1の高さ位置に配置するとともに、他方の電圧線に接続される導電バー又は中性線に接続される導電バーのうちの何れか一方に差込接続される第2の受刃を、第2の高さ位置と第3の高さ位置との間で移動自在に配置したことを特徴とし、第1の受刃を第1の高さ位置に配置するとともに、第2の受刃を第2の高さ位置と第3の高さ位置との間で移動自在に配置しているので、第2の受刃を他方の電圧線に対応する高さ位置に配置した場合は200V負荷用として、第2の受刃を中性線に対応する高さ位置に配置した場合は100V負荷用として用いることができる。しかも、第1の受刃を一方の電圧相に対応する高さ位置に固定しているので、複数の増設用分岐開閉器を100V負荷用として用いたとしても、全ての増設用分岐開閉器は一方の電圧線と中性線とに接続され、他方の電圧線に接続されることはないから、増設用分岐開閉器を介して給電される負荷は一方の電圧線と中性線との間のみに接続されることになり、したがって中性線欠相が発生した場合は、増設用分岐開閉器を介して接続された負荷に電圧が印加されなくなるので、中性線欠相によって負荷に過電圧が加わって、負荷が破損するのを防止できるという効果がある。
【0049】
さらに、第2の受刃を移動させることで、第2の受刃を残りの2本の導電バーのうちの1本に選択的に接続できるから、1つの増設用分岐開閉器を100V負荷用又は200V負荷用として用いることができ、したがって100V負荷用のものと200V負荷用のものを別々に製造する必要がないので、増設用分岐開閉器の種類を少なくして、量産効果によるコストダウンが図れるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に用いる増設用分岐開閉器を100V用として使用する状態を示し、(a)は第1側ケースの一部省略せる一側面図、(b)は第1側ケースの一部省略せる他側面図である。
【図2】同上の増設用分岐開閉器を200V用として使用する状態を示し、(a)は第1側ケースの一部省略せる一側面図、(b)は第1側ケースの一部省略せる他側面図である。
【図3】同上の全体構成を説明する説明図である。
【図4】同上の増設ブロックの分解斜視図である。
【図5】同上の増設ブロックのカバーを外した状態の側面図である。
【図6】同上の増設ブロックの外観斜視図である。
【図7】同上の増設用分岐開閉器に用いるスライド部材と選択端子との関係を示す分解斜視図である。
【図8】同上のスライド部材と、第1側ケース及び第2側ケースとの関係を示す一部省略せる分解斜視図である。
【符号の説明】
51 器体
T1 共通端子
T2 選択端子
Claims (1)
- 2本の電圧線と中性線との3線で給電する単相3線式配線路に電気的に接続された主幹開閉器の一次側又は二次側の何れかに増設用分岐開閉器を電気的に接続して分岐回路を増設する分電盤の分岐回路増設構造であって、
前記主幹開閉器の一次側又は二次側のうち何れかの側の3つの端子に分岐配線を介してそれぞれ電気的に接続され、互いに異なる高さに配置される3本の導電バーと、複数の増設用分岐開閉器とで構成され、3本の導電バーの内、一方の電圧線に電気的に接続される導電バーを第1の高さ位置に配置するとともに、他方の電圧線に接続される導電バー及び中性線に接続される導電バーを第2及び第3の高さ位置にそれぞれ配置し、各増設用分岐開閉器の器体の一側に、前記一方の電圧線に電気的に接続される導電バーが差込接続される第1の受刃を、第1の高さ位置に配置するとともに、他方の電圧線に接続される導電バー又は中性線に接続される導電バーのうちの何れか一方に差込接続される第2の受刃を、第2の高さ位置と第3の高さ位置との間で移動自在に配置したことを特徴とする分電盤の分岐回路増設構造。
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