以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態における射出装置の要部側面図である。
図において、10は射出成形機に使用される射出装置であり、図示されない支持装置に取り付けられている。そして、前記射出装置10の前方(図における左方)には、固定金型及び可動金型から成る金型装置を備える図示されない型締装置が配設され、前記射出装置10は、型締装置に対して前進及び後退(図における左方向又は右方向に移動)させられるようになっている。
また、11は、電気ヒータ、温水ジャケット等の図示されない加熱装置を備えるシリンダ部材としての加熱シリンダであり、該加熱シリンダ11の先端部には、図示されない射出ノズルが取り付けられている。そして、前記加熱シリンダ11の後端部近傍には、該加熱シリンダ11の一部を冷却するための冷却ジャケット13が取り付けられ、該冷却ジャケット13に形成された原料投入孔13aから、樹脂ペレット等の原料樹脂が前記加熱シリンダ11内に投入される。また、14は、該加熱シリンダ11内に回転可能に、かつ、軸方向に移動可能に配設された射出部材としてのスクリュであり、その後端部近傍が前記加熱シリンダ11の後方(図における右方)に突出している。
そして、前記冷却ジャケット13には、加熱シリンダ固定部材であって前部板部材としての前方フランジ部材16が、ボルト等の固定手段によって固定されている。また、前記前方フランジ部材16の後方(図における右方)には、射出用モータ固定部材であって後部板部材としての後方フランジ部材17が配設されている。そして、前記前方フランジ部材16及び後方フランジ部材17は、前記加熱シリンダ11に対して固定された固定部材として機能し、射出装置10の図示されない支持装置に取り付けられている。また、前記前方フランジ部材16及び後方フランジ部材17は、前端部及び後端部がねじ止め等によって前方フランジ部材16及び後方フランジ部材17にそれぞれ固定されたガイド部材としてのガイドロッド18によって連結されている。なお、該ガイドロッド18は、単数であっても複数であってもよく、何本であってもよいが、本実施の形態においては、四本であるものとして説明する。
さらに、前記前方フランジ部材16と後方フランジ部材17との間には、スクリュ支持部材であって移動板部材としてのプレッシャプレート21がスクリュ14の軸方向に移動可能に、かつ、他の方向に移動不能に配設されている。ここで、前記プレッシャプレート21は、前記ガイドロッド18に沿って、前記スクリュ14とともに、前進又は後退(図における左方向又は右方向に移動)させられる。なお、前記前方フランジ部材16、後方フランジ部材17、ガイドロッド18及びプレッシャプレート21は、射出フレームとして機能する。
そして、前記スクリュ14の後端は、前記プレッシャプレート21に進入し、図示されないスラストベアリングを介して回転可能に、かつ、軸方向に移動不能にプレッシャプレート21によって支持されている。これにより、前記スクリュ14が受けるスラスト荷重はプレッシャプレート21に伝達される。逆に、該プレッシャプレート21からスクリュ14にスラスト荷重を伝達することもできる。また、前記プレッシャプレート21には計量用モータ63が取り付けられている。そして、図示されない回転伝達機構を介して、前記計量用モータ63の回転軸の回転がスクリュ14に伝達され、これにより、該スクリュ14が計量用モータ63によって回転させられる。なお、前記回転伝達機構は、計量用モータ63の回転軸の回転を減速してスクリュ14に伝達するための減速機構を含むものであってもよい。また、前記計量用モータ63の回転軸の後端には、該回転軸の回転を計測するために、ロータリーエンコーダ等の回転計測器65が接続されている。そして、前記計量用モータ63は、プレッシャプレート21とともに前進又は後退するようになっているので、プレッシャプレート21が前進又は後退しても、前記計量用モータ63の回転軸の回転は、スクリュ14に正確に伝達される。
また、前記プレッシャプレート21の後面(図における右方の面)には、ボールねじ機構を構成するねじナットとしてのボールねじナット31が取り付けられている。ボールねじナット31は、単数であっても複数であってもよく、いくつであってもよいが、ここでは、ボールねじナット31で代表する。この場合、該ボールねじナット31は、スラスト荷重によって歪(ひず)む歪み部材であり、かつ、該歪み部材内に埋設された歪み検出計によってスラスト荷重を計測する荷重計測部材としてのロードセル34を介して、プレッシャプレート21に取り付けられている。ボールねじナット31は、円盤状のフランジ部31aを有し、該フランジ部31aが、ボールねじナット固定用ボルト37によって、ロードセル34の内側部としての受圧部に固定される。また、ロードセル34の外側部としての固定部は、ロードセル固定用ボルト36によってプレッシャプレート21に固定される。この場合、前記ロードセル固定用ボルト36は、ロードセル用スペーサ35及びロードセル34の固定部を貫通して、プレッシャプレート21のねじ孔(あな)に螺入されて締結される。
そして、前記ボールねじナット31には、後述される射出用モータ33によって回転させられるねじ軸としてのボールねじ軸32が螺入されている。なお、前記ボールねじナット31及びボールねじ軸32は、いわゆる、ボールねじ機構を構成し、回転運動を直線運動に変換する運動方向変換部材として機能する。前記ボールねじ軸32は、表面に螺旋状のボールねじ溝が形成されたねじ部32a、該ねじ部32aより後方に形成された軸受部32b、及び、該軸受部32bより後方に形成された接続部32cを有する。なお、前記軸受部32bには、軸受用スリーブ46が取り付けられている。ここで、運動方向変換部材はローラねじ機構であってもよい。この場合には、ねじ軸としてはローラねじ軸がボールねじ軸32の代わりに、ねじナットとしてローラねじナットがボールねじナット31の代わりに使用される。
前記後方フランジ部材17には、ボールねじ軸32に対応する位置に、ボールねじ軸32、ボールねじナット31及びロードセル34が通過可能な貫通孔71が形成されている。そして、該貫通孔71内に前記ボールねじ軸32の軸受部32bを回転可能に、かつ、軸方向に移動不能に支持する回転許容支持部であって軸受保持部材としてのベアリングホルダ42が挿入されている。なお、前記貫通孔71は、後方フランジ部材17の後面(図における右方の面)側が大径部となっている段付き孔である。そして、前記ベアリングホルダ42の後部に形成された大径の円盤状のフランジ部が、ベアリングホルダ固定用ボルト45によって、後方フランジ部材17の後方から前記貫通孔71の大径部に固定されている。
また、前記ベアリングホルダ42の中心部には、ボールねじ軸32の後方部分が挿入される開口が形成され、軸受であってスラスト軸受としての第1スラストベアリング26及び第2スラストベアリング27が保持されている。そして、前記ボールねじ軸32は、前記第1スラストベアリング26及び第2スラストベアリング27を介して、ベアリングホルダ42に、回転可能に、かつ、軸方向に移動不能に取り付けられる。
この場合、前記ベアリングホルダ42の内壁には段部が形成され、該段部によって第1スラストベアリング26及び第2スラストベアリング27の外輪を保持してボールねじ軸32のスラスト荷重を受けるようになっている。また、前記ボールねじ軸32の軸受部32bに取り付けられた軸受用スリーブ46の前端には段部が形成され、後端にはフランジ板状の保持板43が取り付けられている。前記軸受用スリーブ46及び保持板43は、軸受を軸方向に締め付ける締め付け部材として機能し、前記段部及び保持板43によって第1スラストベアリング26及び第2スラストベアリング27の内輪に予圧を付与した状態で保持し、ボールねじ軸32のスラスト荷重を第1スラストベアリング26及び第2スラストベアリング27に伝達するようになっている。この場合、保持板43は後方より軸受を締め付ける後方部材として機能し、第1スラストベアリング26はボールねじ軸32を後退させる方向のスラスト荷重を受け、第2スラストベアリング27はボールねじ軸32を前進させる方向のスラスト荷重を受ける。
さらに、ボールねじ軸32の接続部32cには、射出用従動プーリ61が固定されている。一方、後方フランジ部材17には、駆動部であって射出用駆動源としての射出用モータ33が取り付けられている。そして、該射出用モータ33の回転軸56には射出用駆動プーリ57が取り付けられ、該射出用駆動プーリ57と射出用従動プーリ61との回りにタイミングベルト58が掛け回されている。前記射出用モータ33が作動して回転軸56が回転すると、その回転が射出用駆動プーリ57及びタイミングベルト58を介して、射出用従動プーリ61に伝達され、ボールねじ軸32が回転する。なお、前記射出用モータ33は、例えば、サーボモータであるが、回転角度、回転速度及び回転方向を制御可能なモータであれば、いかなる種類のモータであってもよい。また、前記射出用モータ33の回転軸56の後端には、該回転軸56の回転を計測するために、ロータリーエンコーダ等の回転計測器51が接続されている。さらに、前記回転軸56の回転を正確に伝達するために、前記射出用駆動プーリ57及び射出用従動プーリ61が歯付きプーリであり、タイミングベルト58が歯付きベルトであることが望ましい。
そして、前記ボールねじナット31は、プレッシャプレート21に固定されて回転不能となっているので、前記射出用モータ33が作動して前記ボールねじ軸32が回転すると、プレッシャプレート21とともに前進又は後退(図における左方向又は右方向に移動)させられる。これにより、後端が回転可能に、かつ、軸方向に移動不能にプレッシャプレート21によって支持されているスクリュ14は、前進又は後退させられる。なお、前記ボールねじナット31が前進するか又は後退するかは、前記ボールねじ軸32の回転方向とボールねじ溝の向きとによって決定される。
次に、前記構成の射出装置10の動作について説明する。
まず、該射出装置10において計量工程が行われる場合について説明する。該計量工程においては、スクリュ14を回転させ、冷却ジャケット13に形成された原料投入孔13aから加熱シリンダ11内に投入された原料樹脂を溶融させてスクリュ14の前方に溶融された樹脂を所定量だけ蓄えるようになっている。この場合、計量用モータ63が作動すると、該計量用モータ63の回転軸の回転がスクリュ14に伝達され、該スクリュ14が加熱シリンダ11内において回転し、原料樹脂が溶融させられながら前方に送られ、前記スクリュ14の前方に蓄えられる。
なお、計量工程においては、樹脂の前進に伴って背圧が発生し、該背圧によってスクリュ14を後退させる方向のスラスト荷重が発生する。すると、該スラスト荷重は、プレッシャプレート21に伝達され、さらに、該プレッシャプレート21に取り付けられたボールねじナット31を介して、ボールねじ軸32に伝達される。ここで、前記スラスト荷重は、プレッシャプレート21からロードセル34を介してボールねじナット31に伝達されるので、前記ロードセル34の歪みを歪み計測手段によって計測して、背圧を示すスラスト荷重を計測することができる。
次に、射出装置10において射出工程が行われる場合について説明する。
まず、計量工程が終了して所定量の溶融された樹脂がスクリュ14の前方に蓄えられ、図示されない型締装置によって金型装置の型締が行われると、射出装置10全体が前進させられ、加熱シリンダ11に取り付けられた射出ノズルの先端が固定プラテンに形成されたノズル通過孔を通って、固定金型の背面に配設されたスプルーブッシュに押し付けられ、密着させられる。そして、射出用モータ33が作動すると回転軸56が回転し、該回転軸56の回転がボールねじ軸32に伝達され、該ボールねじ軸32がボールねじナット31に対して回転する。これにより、回転運動が直線運動に変換され、ボールねじナット31が前進するのでプレッシャプレート21が前進し、スクリュ14が前進させられる。これにより、加熱シリンダ11内でスクリュ14の前方に蓄えられ、溶融された樹脂が、高圧で前記射出ノズルから射出され、スプルーブッシュ及びスプルーを通って固定金型と可動金型との合わせ面に形成されたキャビティ内に充填される。
次に、ボールねじ機構を、点検や交換のために取り外す場合について説明する。
まず、オペレータは、射出用従動プーリ61の回りに掛け回されているタイミングベルト58を取り外す。続いて、ロードセル34をプレッシャプレート21に固定しているロードセル固定用ボルト36、及び、ベアリングホルダ42を後方フランジ部材17に固定しているベアリングホルダ固定用ボルト45を取り外す。そして、ロードセル34及びベアリングホルダ42とともに、ボールねじナット31及びボールねじ軸32を後方に抜き出して、取り外す。
この場合、ロードセル34はボールねじナット31のフランジ部31aに固定され、ボールねじ軸32は第1スラストベアリング26及び第2スラストベアリング27を介してベアリングホルダ42に取り付けられているので、ロードセル34、ボールねじナット31、ボールねじ軸32、第1スラストベアリング26、第2スラストベアリング27、軸受用スリーブ46、保持板43及びベアリングホルダ42は、一体的に結合され、一体的に移動させることができる。また、ベアリングホルダ42が挿入されて取り付けられている後方フランジ部材17の貫通孔71は、ボールねじナット31のフランジ部31aより大径であり、さらに、ロードセル34よりも大径である。これにより、ロードセル34、ボールねじナット31、ボールねじ軸32、第1スラストベアリング26、第2スラストベアリング27、軸受用スリーブ46、保持板43及びベアリングホルダ42は、一体的に後方に移動させ、後方フランジ部材17の貫通孔71を通過させて、後方フランジ部材17の後方に抜き出すことができる。そのため、ボールねじ機構を点検や交換のために取り外す場合、ロードセル34、ボールねじ機構、軸受、軸受保持部材等を一体的に結合した状態で後方に移動させることによって、射出装置10から容易に、かつ、短時間で取り外すことができる。
また、点検や交換の後に、ボールねじ機構を取り付ける場合には、取り外す場合と逆の順序で動作を行う。この場合も、ロードセル34、ボールねじ機構、軸受、軸受保持部材等を後方フランジ部材17の後方から差し込むように移動させ、該後方フランジ部材17の貫通孔71を通過させることによって、射出装置10に容易に、かつ、短時間で取り付けることができる。
このように、本実施の形態においては、ボールねじ機構、並びに、ボールねじ機構を射出フレームに取り付ける部材として機能するロードセル34、第1スラストベアリング26、第2スラストベアリング27、軸受用スリーブ46、保持板43及びベアリングホルダ42を一体的に結合して、一体的なユニットとして構成し、ボールねじ機構を射出装置10から取り外したり、射出装置10に取り付ける場合に、前記ユニットを射出フレームとして機能するプレッシャプレート21及び後方フランジ部材17に対して、一体的に後方に抜き差しするようになっている。そのため、ボールねじ機構の射出装置10への取り付け、及び、射出装置10からの取り外しの作業を容易に、かつ、短時間で行うことができる。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構成を有するものについては、同じ符号を付与することによって、その説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
図2は本発明の第2の実施の形態における射出装置の全体構成を示す平面図である。
本実施の形態において、スクリュ14の後端は、継ぎ手部材23を介して、回転不能に、かつ、軸方向に移動不能に、連結軸22の前端に接続されている。そして、該連結軸22は、図示されないスラストベアリングを介して回転可能に、かつ、軸方向に移動不能にプレッシャプレート21によって支持されている。これにより、前記スクリュ14が受けるスラスト荷重は、連結軸22を介して、プレッシャプレート21に伝達される。逆に、該プレッシャプレート21から、連結軸22を介して、スクリュ14にスラスト荷重を伝達することもできる。また、連結軸22の後端部は、プレッシャプレート21の後方に突出し、前記後端部に計量用駆動力伝達回転手段としての計量用プーリ24が取り付けられている。本実施の形態における射出装置10は、計量用駆動源として図示されない計量用モータを有し、該計量用モータの回転軸に取り付けられた駆動プーリと前記計量用プーリ24との回りに図示されないタイミングベルトが掛け回されている。そして、前記計量用モータが作動して駆動プーリが回転すると、その回転がタイミングベルトを介して、計量用プーリ24に伝達され、連結軸22及びスクリュ14が回転するようになっている。なお、計量用モータの回転軸の回転を正確に伝達するために、前記計量用プーリ24及び駆動プーリが歯付きプーリであり、タイミングベルトが歯付きベルトであることが望ましい。なお、前記計量用モータは、プレッシャプレート21とともに前進又は後退するようになっているので、プレッシャプレート21が前進又は後退しても、前記計量用モータの回転軸の回転は、計量用プーリ24に正確に伝達される。
そして、本実施の形態においては、二つのボールねじナット31がプレッシャプレート21の後面に取り付けられている。この場合、ボールねじナット31のフランジ部31aが、ボールねじナット固定用ボルト37によって、プレッシャプレート21に固定される。また、後方フランジ部材17には、ボールねじ軸32に対応する位置に、ボールねじ軸32及びボールねじナット31が通過可能な貫通孔71が形成されている。そして、該貫通孔71内に前記ボールねじ軸32の軸受部32bを回転可能に、かつ、軸方向に移動不能に支持するベアリングホルダ42が挿入されている。なお、前記貫通孔71は、後方フランジ部材17の後面側が大径部となっている段付き孔である。そして、前記ベアリングホルダ42の後部に取り付けられた大径の円盤状のプレッシャプレート21が後方フランジ部材17の後方から前記貫通孔71の大径部に固定されている。この場合、ベアリングホルダ42は、ベアリングホルダ固定用ボルト45によって、ロードセル34の内側部としての受圧部に固定される。また、ロードセル34の外側部としての固定部は、ロードセル固定用ボルト36によって前記貫通孔71の大径部に固定される。
また、前記ベアリングホルダ42の中心部には、ボールねじ軸32の後方部分が挿入される開口が形成され、第1スラストベアリング26及び第2スラストベアリング27が保持されている。そして、前記ボールねじ軸32は、前記第1スラストベアリング26及び第2スラストベアリング27を介して、ベアリングホルダ42に、回転可能に、かつ、軸方向に移動不能に取り付けられる。この場合、前記ベアリングホルダ42の内壁には段部が形成され、該段部によって第1スラストベアリング26及び第2スラストベアリング27の外輪を保持してボールねじ軸32のスラスト荷重を受けるようになっている。また、前記ボールねじ軸32の軸受部32bの前端には軸受を軸方向に締め付ける締め付け部材としてのフランジ板状の受圧部38が取り付けられ、後端には軸受を軸方向に締め付ける締め付け部材としてのロックナット39が螺合されている。そして、該ロックナット39は後方より軸受を締め付ける後方部材として機能する。前記受圧部38及びロックナット39によって第1スラストベアリング26及び第2スラストベアリング27の内輪に予圧を付与した状態で保持し、ボールねじ軸32のスラスト荷重を第1スラストベアリング26及び第2スラストベアリング27に伝達するようになっている。この場合、第1スラストベアリング26はボールねじ軸32を後退させる方向のスラスト荷重を受け、第2スラストベアリング27はボールねじ軸32を前進させる方向のスラスト荷重を受ける。また、前記ベアリングホルダ42の外壁は、スムーズな円柱面状に形成され、貫通孔71に対して軸方向にスムーズに移動可能となっている。
さらに、前記ロードセル34の後方において、射出用モータ33が後方フランジ部材17の後面に取り付けられている。この場合、射出用モータ33の前端に形成された大径の円盤状の取り付けフランジ72がモータ固定用ボルト73によって後方フランジ部材17の後面に固定される。なお、前記取り付けフランジ72の外径は貫通孔71の大径部の外径よりも大きい。また、ボールねじ軸32の軸受部32bより後方に形成された接続部32cは、スプライン接続等の接続手段によって、射出用モータ33の回転軸56に回転不能に、かつ、軸方向に移動可能に接続される。なお、ボールねじ軸32と回転軸56とを回転不能に、かつ、軸方向に移動可能に接続することができるのであれば、前記接続手段はいかなる形態のものであってもよく、例えば、滑りキーと軸方向に延在するキー溝とによる接続であってもよい。
本実施の形態においては、射出用モータ33と、運動方向変換部材としてのボールねじナット31とは同一直線上に配設されている。そして、二つの射出用モータ33は、同期して作動し、二つのボールねじナット31を同時に同方向に同量だけ移動させるようになっている。
次に、ボールねじ機構を取り外す場合の動作について説明する。
まず、オペレータは、モータ固定用ボルト73を取り外し、射出用モータ33を後方に移動させて後方フランジ部材17から取り外す。続いて、ロードセル34を後方フランジ部材17に固定しているロードセル固定用ボルト36、及び、ボールねじナット31をプレッシャプレート21に固定しているボールねじナット固定用ボルト37を取り外す。そして、ロードセル34及びボールねじナット31とともに、ベアリングホルダ42及びボールねじ軸32を後方に抜き出して、取り外す。
この場合、ベアリングホルダ42はロードセル34に固定され、ボールねじ軸32は第1スラストベアリング26及び第2スラストベアリング27を介してベアリングホルダ42に取り付けられているので、ロードセル34、ボールねじナット31、ボールねじ軸32、第1スラストベアリング26、第2スラストベアリング27、受圧部38、ロックナット39及びベアリングホルダ42は、一体的に結合され、一体的に移動させることができる。また、ベアリングホルダ42が挿入されて取り付けられている後方フランジ部材17の貫通孔71は、ボールねじナット31のフランジ部31aより大径である。これにより、ロードセル34、ボールねじナット31、ボールねじ軸32、第1スラストベアリング26、第2スラストベアリング27、受圧部38、ロックナット39及びベアリングホルダ42は、一体的に後方に移動させ、後方フランジ部材17の貫通孔71を通過させて、後方フランジ部材17の後方に抜き出すことができる。そのため、ボールねじ機構を点検や交換のために取り外す場合、ロードセル34、ボールねじ機構、軸受、軸受保持部材等を一体的に結合した状態で後方に移動させることによって、射出装置10から容易に、かつ、短時間で取り外すことができる。
また、点検や交換の後に、ボールねじ機構を取り付ける場合には、取り外す場合と逆の順序で動作を行う。この場合も、ロードセル34、ボールねじ機構、軸受、軸受保持部材等を後方フランジ部材17の後方から差し込むように移動させ、該後方フランジ部材17の貫通孔71を通過させることによって、射出装置10に容易に、かつ、短時間で取り付けることができる。
このように、本実施の形態においては、ボールねじ機構、並びに、ボールねじ機構を射出フレームに取り付ける部材として機能するロードセル34、第1スラストベアリング26、第2スラストベアリング27、受圧部38、ロックナット39及びベアリングホルダ42を一体的に結合して、一体的なユニットとして構成し、ボールねじ機構を射出装置10から取り外したり、射出装置10に取り付ける場合に、前記ユニットを射出フレームとして機能するプレッシャプレート21及び後方フランジ部材17に対して一体的に後方に抜き差しするようになっている。そのため、ボールねじ機構の射出装置10への取り付け、及び、射出装置10からの取り外しの作業を容易に、かつ、短時間で行うことができる。
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。