白抜けについて図2を用いて説明する。図2には、実際の白抜けを生じている画像の拡大図(2−1)と、そのときの画像を形成するトナー層の断面の模式図(2−2)、理想状態(白抜けがない状態)の模式図(2−3)を示している。(2−1)は、現像スリーブと感光体が現像領域において順方向回転させて現像する方式で、トナーを現像する方向が左からハーフトーン部、ベタ部、ハーフトーン部の順に現像して得た画像である。左側のハーフトーン部とベタ黒部との間に白くなっている部分を本発明における「白抜け」と呼ぶ。その画像の状態を横から見た断面を模式的に示したのが(2−2)である。図中21は、転写材であり、22は、トナー層である。図2中Aが白抜け部分であり、ハーフトーン部とベタ部との境界領域でトナー層が無くなっている。また、ベタ部と次に現像が行われるハーフトーン部との境界にはトナー層が高くなるいわゆる「掃き寄せ」(図2中のB)現象が現れる。「白抜け」及び「掃き寄せ」は、同様のメカニズムで起こるので、ここでは白抜けに関して詳述する。
白抜けの如き画像欠陥は、現像極における現像スリーブから感光体への電気力線の回り込みにより生じる。キャリアの比抵抗がある程度低い場合には、キャリアが電極の役目を果たし、感光体極近傍に見かけ上電極が存在する状態になり、電気力線の回り込みを抑制できるためにエッジ効果が現れにくく、白抜けの如き画像欠陥を起こしにくい。しかし、キャリアの比抵抗が高い場合には、感光体と現像スリーブ間(数百μm)に電界がかかるために電気力線は最近接部を中心に膨らむ形となる。従って、現像ニップ部(現像剤が感光体と接触している部分)後端において、トナーが現像によりキャリアから飛翔した後にキャリア表面のカウンターチャージが残留し、キャリアの比抵抗が高い場合には、そのカウンターチャージにより現像したトナーが引き戻されることによって白抜けが発生していることが判明した。従って、白抜けには、キャリアの比抵抗を低くすることにより、キャリアが電極として働くために電気力線の回り込みを極力抑え、現像後のキャリア表面の残留電荷をリークさせる働きをすることにより良化することが判明した。しかし、比抵抗のキャリアを用いることで、感光体を摺擦することにより潜像を乱してしまい、ハーフトーン部ががさついてしまう場合がある。また、比抵抗の高いキャリアを用いても現像スリーブと感光体がカウンター方向で現像を行う場合には、現像後のキャリアは、瞬時に現像領域から離れることでトナーの引き戻しが発生しないことも判明した。しかし、感光体に対して周速差が大きくなりすぎるために磁気ブラシによるスキャベンジングが生じてしまう場合がある。
さらに、白抜けには、トナーが潜像電位に対し十分量現像することが、ハーフトーン並びにベタ画像部の電位差をなくすことで電気力線の回り込みがなくなり、効果があることも突き止めた。そのため、潜像電位を十分に満たす現像性が重要である。
そのため、本発明の磁性キャリアにおいて、コート材中のフッ素元素を選択的に配向させ、更に、磁性キャリアの表面におけるフッ素元素の表面存在率をコントロールすることにより、トナーの磁性キャリア表面からの離型性をコントロールすることができ、その結果、現像時におけるトナー離れ性を向上させ、白抜けの如き画像欠陥を改善し、ドット再現性に優れるようになり、本発明に至った。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の少なくとも磁性微粒子、バインダー樹脂を含有する磁性微粒子分散樹脂コアの表面をコート樹脂を有するコート材によりコートしてなる磁性キャリアにおいて、該磁性キャリアの表面の、フッ素元素存在率(Fatom)の炭素元素存在率(Catom)に対する比率(Fatom/Catom)が、0.10乃至0.85であることを特徴とする。好ましくは0.12乃至0.75であり、より好ましくは0.15乃至0.65である。
これは、磁性キャリアの表面において、フッ素元素存在率(Fatom)の炭素元素存在率(Catom)に対する比率(Fatom/Catom)が、上記範囲内の場合、コート材によりコートしてなる磁性キャリアの表面のフッ素元素存在率を高めることができ、そのため磁性キャリアの表面の表面エネルギーが小さくなるため、トナーの磁性キャリア表面からの離型性をコントロールすることができ、その結果、現像時におけるトナー離れ性を向上させ、白抜けの如きの画像欠陥を改善できようになった。
該比率(Fatom/Catom)が0.10未満の場合、トナーの磁性キャリア表面からの離型効果が発現しにくく、トナー離れ性が悪化し、白抜け等の画像欠陥が生じしやすくなる。
該比率(Fatom/Catom)が0.85を超える場合、トナーの磁性キャリア表面からの離型効果は良化し、トナー離れは良化するが、帯電的に不安定になりやすく、ドット再現性が悪化し、また、環境安定性が悪く好ましくない。
フッ素元素の表面存在率のコントロール方法としては、磁性キャリアのコート工程において、キャリアコアとコート材の混合工程、乾燥工程及び/又は冷却工程をコントロールし、選択的にフッ素元素を磁性キャリアの表面に配向させ、より表面にフッ素元素の存在率を高めることができる。具体的には、乾燥工程及び/又は冷却工程において、雰囲気環境での絶対水分量少ない条件下で行うことが好ましい。これは、キャリアコアが親水性のため、コート材に含有されるコート樹脂中の親水成分が選択的にキャリアコアの表面に配向し、逆に、疎水性のフッ素元素モノマーが磁性キャリアの表面に配向するためと考えられる。
本発明では、コート材が、キャリアコアの表面より磁性キャリアの表面に対して選択的なフッ素元素分布を持っていることが特徴であり、そのため、コアとの耐剥離性を高め、かつ、トナーの磁性キャリア表面からの離型性を高めることができる。
また、本発明は、コート材中に含有されるコート樹脂の分子構造より理論計算できる炭素元素存在率に対するフッ素存在率と実際の磁性キャリア表面のフッ素元素存在率の炭素元素存在率に対する比率を比較することより、選択的に配向していることを確認できる。
そこで、本発明で用いられるコート樹脂の分子構造より計算できるフッ素元素存在率(Fcalc)の炭素元素存在率(Ccalc)に対する比率(Fcalc/Ccalc)は、0.05乃至0.75であることが好ましい。0.05未満の場合、フッ素元素による離型効果が発現しにくく、0.75を超えると離型効果が増大する反面、キャリアコアとの離型性が高まり、キャリアコアに対する密着性が低減し、キャリアコアからの耐剥離性が悪化する。また、コート材によりコートしてなる磁性キャリアの表面の耐久性が悪化し、帯電付与性が低下する。
更に、本発明では、該磁性キャリア表面のフッ素元素存在率(Fatom)の炭素元素存在率(Catom)に対する比率(Fatom/Catom)と、該コート樹脂の分子構造より理論計算できるフッ素元素存在率(Fcalc)の炭素元素存在率(Catom)に対する比率(Fcalc/Ccalc)との比率(Fatom/Catom)/(Fcalc/Ccalc)が、1.01乃至3.00であることを特徴とする。好ましくは、1.10乃至2.00であり、より好ましくは1.20乃至1.80である。
該比率(Fatom/Catom)/(Fcalc/Ccalc)が、上記範囲内にある場合、コート材中で、磁性キャリアの表面に選択的にフッ素元素が配向していることを意味しており、この場合、コート材中の親水成分が選択的にキャリアコアの表面に配向するため、キャリアコアとの耐剥離性を高めることができる。また、キャリアの表面に選択的にフッ素元素が配向しているため、トナーの磁性キャリアの表面からの離型性を高めることができる。このように、キャリアコアに対しては密着力が上がることによる耐剥離性、磁性キャリアの表面では離型性が発現させることが可能となり、相反する二つの特性を、両立することが可能となった。特に、1.10乃至2.00の場合、プロセススピードが大きくなった高速機に適用した場合においても、耐久安定性があり、好ましい。
該比率(Fatom/Catom)/(Fcalc/Ccalc)が、1.01未満の場合、選択的な配向が行われておらず、3.00を超える場合は、フッ素元素の配向がより行われすぎて、磁性キャリアの表面の耐久性が悪化する。
また、本発明の磁性キャリアの比抵抗は、1×107乃至1×1011(Ω・cm)であることが好ましい。本発明の磁性キャリアの比抵抗が上記範囲内の場合、白抜けの如き画像欠陥がなく、高画像濃度で、ドット再現性の優れた画像を提供することができることを見出した。
これは、磁性キャリアの比抵抗を上記範囲内にすることにより、現像スリーブ上での電極効果を緩和させ、かつ、磁性キャリアの表面のフッ素元素存在率をコントロールすることにより、磁性キャリアからのトナー離れ性を向上させている。そうすることにより、トナーが潜像電位に対する現像性を向上させることができる。その結果、従来から困難であった、白抜けの如き画像欠陥をなくすことと、ドット再現性を向上させることの両立が達成できる。
磁性キャリアの比抵抗が、1×107(Ω・cm)未満の場合、白抜けは良化するが、微小ドットの潜像を乱してしまい、ハーフトーン再現性に劣るようになる場合がある。また、磁性キャリアの比抵抗が、1×1011(Ω・cm)を超える場合、白抜けが悪化し、また、潜像電位を十分に満たす現像性を得ることができず、画像が悪化する場合がある。
また、本発明で用いられる磁性キャリアのBET法による比表面積BET1(m2/g)は、0.02乃至0.20(m2/g)であることが好ましい。
該磁性キャリアのBET法による比表面積BET1(m2/g)が上記範囲内である場合、トナーやトナーに用いられる添加剤の汚染を防止することができ、また、磁性キャリアの表面からのトナー離れ性を向上できる。
比表面積BET1(m2/g)が0.02(m2/g)未満の場合、トナーに対して比表面積が小さくなりすぎるため、トナーと磁性キャリア表面との接触面積が小さくなりすぎるため、帯電付与能が悪化することがある。
比表面積BET1(m2/g)が0.20(m2/g)を超える場合、磁性キャリアのトナーの接触面積が大きくなりすぎ、磁性キャリア表面からのトナー離れが悪化し、白抜けの如き画層欠陥を生じる場合がある。また、キャリアの表面性が凸凹することにより、耐久等におけるストレスが一様でなく、また、トナーやトナーに用いられる添加剤の汚染を促進させてしまうことがある。
本発明の磁性キャリアは、磁性キャリアの表面のフッ素元素の存在率を高めるために、あらかじめ、フッ素元素含有率の高いコート樹脂を使えば、フッ素元素の存在率を高めることができるが、磁性キャリアとの剥離性も高まるため、コート樹脂の耐剥離性を両立するためキャリアコアは以下のものが好ましい。
本発明の磁性キャリアのキャリアコアとして用いられる磁性微粒子分散樹脂コアのBET法による比表面積BET2(m2/g)は、0.02乃至0.20(m2/g)であることが好ましい。
本発明で用いられる磁性微粒子分散樹脂コアが、上記範囲内の比表面積BET2(m2/g)を有する場合、コート材のキャリアコアの表面に対する接着性が増し、耐久時におけるコート材の耐剥離性が高まり、昇温時等の高ストレス化においても、安定したキャリア表面を維持でき、そのため、安定した帯電性を付与させることができ、長期にわたり安定した画像濃度画像を維持することができる。
比表面積BET2(m2/g)が0.02(m2/g)未満の場合、コア表面にコート材をコートする際、コート厚が過剰になり、キャリア同士が合一してしまい、帯電付与性が悪化する。
比表面積BET2(m2/g)が0.20(m2/g)を超える場合、コアの表面とコート材の接着力は増すが、逆に、コアの表面性の影響をコートされたキャリアの表面性が影響を受けてしまい、耐久等におけるストレスが一様でなく、また、トナーやトナーに用いられる添加剤の汚染を促進させる場合がある。
また、該比表面積BET1が0.02乃至0.19であり、該比表面積BET2が0.03乃至0.20であり、該比表面積BET1及び該比表面積BET2が、BET1<BET2を満たすことが好ましい。
また、該比表面積BET1及び該比表面積BET2が、上記範囲内である場合、キャリアコアをコート材によりコートした際の表面安定性が高まり、トナーや添加剤の汚染もなく、耐久安定性が向上する。さらに、プロセススピードが大きくなった高速機に適用した場合においても、耐久安定性がある。
BET1>BET2の場合、キャリアコア表面よりも比表面積が大きくなることより、磁性キャリア表面の平滑性やコート工程におけるコート材の不均一が生じ、耐久時の帯電や耐ストレス性が悪化する。
また、本発明において、磁性キャリアに用いられるキャリアコアは、磁性微粒子、バインダー樹脂を含有する磁性微粒子分散樹脂コアであることを特徴とする。
これは、本発明の磁性微粒子分散樹脂コアを用いた場合、キャリアコア成分にバインダー樹脂を含有するため、選択的に配向したコート材との密着性が増し、プロセススピードが大きくなった高速機に適用した場合においても、耐久安定性がある。
本発明で、用いられる磁性微粒子分散樹脂コアに用いられる磁性微粒子のBET法による比表面積BET3(m2/g)が、2.0乃至20.0(m2/g)であることが好ましい。
該磁性微粒子のBET法による比表面積BET3(m2/g)が上記範囲である場合に磁性微粒子分散樹脂コアを製造する際、磁性微粒子分散樹脂コア中の磁性微粒子の分散性が良好であり、このため、磁性キャリア表面での帯電の均一性が良好である。また、製造された磁性微粒子分散樹脂コアの表面も均一であり、コート材をコートする際、均一にコートしやすく好ましい。
比表面積BET3が2.0(m2/g)未満の場合、磁性微粒子分散樹脂コアを製造する場合にコア中に内包させづらくなる場合がある。
また、比表面積BET3が20.0(m2/g)を超える場合、磁性微粒子分散樹脂コアを製造する場合に磁性微粒子自体の分散性が悪化し、均一に分散された状態での内包化が困難である。このため、磁性微粒子分散樹脂コア中での比抵抗が不均一になるため、トナーに対する帯電付与性が不安定になる場合がある。
また、該磁性微粒子分散コアは、該磁性微粒子分散コア100質量部に対して、磁性微粒子を70乃至95質量部含有することが磁性キャリアの真比重を小さくし、機械的強度を十分に確保する上で好ましく、より好ましくは80乃至92質量部である。
さらに、磁性キャリアの磁気特性を変えるために、磁性微粒子分散樹脂コアが、磁性微粒子と更に非磁性無機化合物微粒子を含有することが好ましい。磁性微粒子と更に非磁性無機化合物微粒子を含有することは、非磁性無機化合物微粒子が、磁性微粒子よりも比抵抗が大きいため、磁性微粒子分散樹脂コアの比抵抗をコントロールできるため好ましい。
磁性微粒子及び非磁性無機化合物微粒子の総量に対して、磁性微粒子は50乃至100質量%含まれていることが、磁性キャリアの磁化の強さを調整して磁性キャリア付着を防止し、さらに、磁性キャリアの比抵抗値を調整する上で好ましい。
本発明の磁性微粒子分散樹脂コアに用いられる磁性微粒子は、マグネタイト微粒子、又は、鉄元素及びマグネシウム元素を少なくとも含む磁性フェライト微粒子であることが好ましく、また、磁性微粒子分散樹脂コアに用いられる非磁性無機化合物微粒子は、ヘマタイト(α−Fe2O3)微粒子であることが、磁性キャリアの磁気特性、真比重を調整する上で、好ましい。
また、該非磁性無機化合物微粒子の比表面積BET4(m2/g)が1.0乃至10.0(m2/g)であり、該比表面積BET3及び該比表面積BET4が、BET3>BET4を満たすことが好ましい。
該非磁性無機化合物のBET法による比表面積BET4(m2/g)が1.0乃至10.0(m2/g)であり、該比表面積BET3及び該比表面積BET4が、BET3>BET4を満たす場合、磁性微粒子分散樹脂コアを製造する際、磁性微粒子分散樹脂コア中の磁性微粒子の分散性を阻害せず、更に、磁性微粒子分散樹脂コアの比抵抗をコントロールできるため好ましい。
比表面積BET4が、1.0(m2/g)未満の場合、磁性微粒子分散樹脂コアを製造する場合にコア中に内包させづらく、付与帯電性が悪化することがあるので、好ましくない。
また、比表面積BET4が10.0(m2/g)を超える場合、磁性微粒子分散樹脂コアを製造する場合に非磁性無機化合物微粒子自体の分散性が悪化し、磁性微粒子の分散性をも悪化させることがある。そのため、磁性微粒子分散樹脂コア全体としての微粒子の分散性が悪化し、磁性微粒子分散樹脂コア中での比抵抗が不均一になるため、トナーに対する帯電付与性が不安定になることがある。
また、該比表面積BET3及び該比表面積BET4が、BET3≦BET4である場合、磁性微粒子分散樹脂コアを製造する際、該非磁性無機化合物微粒子が、選択的に内包され、磁性微粒子分散樹脂コア内においての均一性が損なわれる場合がある。その結果、帯電付与性が悪化することがある。
本発明の磁性キャリアに用いるコート材に含有されるコート樹脂としては、具体的には、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリトリフルオロエチレン、ポリフルオロクロロエチレンの如きパーフルオロポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、ポリパーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、フッ化ビニリデンとトリフルオロクロルエチレンとの共重合体、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体、フッ化ビニルとフッ化ビニリデンとの共重合体、フッ化ビニリデンとテトラフルオロエチレンとの共重合体の如き樹脂が挙げられるが、特に本発明に好ましく用いられるコート樹脂は、下記式(1)
〔式中、mは1乃至20のいずれかの整数を示す。〕
で示されるパーフルオロアルキルユニットを有するメタクリル酸エステルユニットまたはアクリル酸エステルユニットで構成される重合体又は共重合体である。
上述したコート樹脂は、単独でも使用できるが、夫々を混合して使用してもよい。また、熱可塑性樹脂に硬化剤の如き添加剤を混合し硬化させて使用することもできる。
本発明では、mが20を超える場合には、コート樹脂が溶媒から析出しやすく、コートをする場合に良好なコート膜が得にくくなることがある。mが5乃至15であることが、良好なトナー離型性とコート成膜性を兼ね備えるためにより好ましく、さらに好ましくは、mが5乃至9である。
また、好ましくは下記式(2)を有するコート樹脂を用いることで、キャリアコアとの密着性に優れる。
〔式中、mは上記式(1)と同義であり、nは1乃至10のいずれかの整数を示す。〕
さらに、コート樹脂は、下記式(3)
〔式中、Zは水素原子またはアルキル基を示し、m及びnは上記式(2)と同義である。〕
で示されるユニットで構成される重合体又は共重合体であることが好ましい。
また、上記式(3)中でのZは、メチル基であることが好ましい。
さらに、コート樹脂は、下記式(4)で示されるユニットと下記式(5)で示されるユニットを有する共重合体であることが、キャリアからのトナー離れ性を良化させるために好ましい。
〔式中、m及びnは上記式(2)と同義であり、lは1以上の整数を示す。〕
〔式中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は水素原子又は炭素数1乃至20のいずれかのアルキル基を示し、kは1以上の整数を示す。〕
さらに、上記式(4)及び(5)の共重合体ユニットに上記式(4)で示されるユニットとをグラフト共重合したコート樹脂が長期間使用してもトナー離れ性の特性が維持でき、コート材のキャリアコアからの耐剥離性にも優れ、特に好ましい。
コート材に含有されるコート樹脂として熱可塑性樹脂を用いる場合には、この熱可塑性樹脂は、テトラヒドロフラン(THF)の可溶成分のゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)において、重量平均分子量が10,000乃至300,000であることが、コート材の強度及びコート材と磁性微粒子分散樹脂コアの表面との耐剥離性を高める点で好ましい。
該コート樹脂は、THF可溶成分のGPCのクロマトグラムにおいて、分子量2,000乃至100,000の領域にメインピークを有することが好ましく、さらに、分子量2,000乃至100,000の領域にサブピーク又はショルダーを有することがより好ましい。最も好ましくは、該コート樹脂は、THF可溶成分のGPCクロマトグラムにおいて、分子量20,000乃至100,000の領域にメインピークを有し、分子量2,000乃至19,000の領域にサブピーク又はショルダーを有することである。コート樹脂が上記分子量分布を満足していることにより、小粒径のトナーにおいても多数枚の現像が可能な現像耐久性、トナーへの帯電安定性、外添剤の磁性キャリアの表面への付着防止性がさらに向上する。
また、該コート樹脂がグラフト共重合体の場合には、グラフト共重合体の幹の重量平均分子量が15,000乃至200,000であり、枝の重量平均分子量が3,000乃至10,000であることが好ましい。コート樹脂の重量平均分子量は、グラフト共重合体の幹の部分の重合条件や、グラフト重合体の枝の部分の重合条件によって調整することが可能である。
本発明において、上記グラフト共重合体を有するコート樹脂を含有するコート材を用いることが、磁性微粒子分散樹脂コアをコートする場合、コート材の磁性微粒子分散樹脂コアの表面からの耐剥離性に優れる点で好ましい。
コート材量は、磁性体分散樹脂コア100質量部に対し、0.3乃至4.0質量部であることが好ましい。より好ましくは0.4乃至3.5質量部であり、更に好ましくは0.5質量部乃至3.2質量部である。
コート材量が上記範囲内の場合、良好なトナー離れ性を得ることができ、白抜けの如き画像欠陥が起こりにくい。0.3質量部より少ないとキャリアコアの表面を十分コートすることができず、本発明の効果を得にくくなる場合があり、また、4.0質量部を超えるとコート時に均一なコートができなくなり、チャージアップや、キャリアコア表面が露出し、その部分でのトナースペントを生じる場合がある。また、磁性キャリアの比抵抗が高くなり、白抜けの如き画像欠陥を生じる場合がある。
また、本発明の磁性キャリアの接触角が95乃至125°であることが好ましく、より好ましくは100乃至120°である。磁性キャリアの接触角が95°未満の場合、磁性キャリアからのトナー剤離れを十分に行うことができなくなり、白抜けが生じてしまう場合がある。125°を超えると、白抜けは良化し、現像性も高くなる反面、現像スリーブを高速で回した場合にトナー飛散が起こり、機内を汚染してしまう場合がある。
また、該コート材は、該コート樹脂100質量部に対して微粒子1乃至40質量部を含有することが好ましい。
コート材に微粒子が上記範囲内含有させることにより、帯電安定性やトナー離れを良好にし、白抜けの如き画像欠陥を防止することができる。1質量部未満の場合は、微粒子添加の効果を得ることができないことがあり、40質量部を超える場合、耐久中にコート層から微粒子の欠落が発生し、耐久性に劣ることがある。
コート材中に含有される微粒子の粒径は、個数基準での粒度分布における最大ピーク値が0.08乃至0.70μmであることが好ましく、より好ましくは0.10乃至0.50μmである。この範囲の粒径を有する微粒子をコート材中に含有させることで、トナー離れを良好にすることができる。コート材中に含有される微粒子の粒径は、個数基準での粒度分布における最大ピーク値が0.08μm未満の場合、コート材中に微粒子を分散させるのが困難になることがあり、0.70μmを超える場合、耐久中にコート層からの欠落が発生し、耐久性に劣ることがある。
コート材中に含有される微粒子としては、有機、無機いずれの微粒子を用いることができるが、磁性微粒子分散樹脂コアにコートを施す際にコート材中に含有される微粒子は粒子の形状を保つことが必要である。そのために、コート材中に含有される微粒子は、樹脂微粒子または無機微粒子であることが好ましく、より好ましくは架橋樹脂微粒子を用いるである。具体的には、架橋ポリメチルメタクリレート樹脂微粒子、架橋ポリスチレン樹脂微粒子、メラミン樹脂微粒子、フェノール樹脂微粒子、またはナイロン樹脂微粒子の如き樹脂微粒子、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子、またはアルミナ微粒子の如き無機微粒子を用いることができる。これらの中でも、樹脂微粒子が、架橋ポリメチルメタクリレート樹脂微粒子、架橋ポリスチレン樹脂微粒子及びメラミン樹脂微粒子から選択される樹脂微粒子であって、該樹脂微粒子が、1種または2種以上コート材中に含有することが、帯電安定性の観点で好ましい。
また、帯電コントロールの観点で、コート材中に含有される微粒子として導電性微粒子を含有してもよい。
具体的には、導電性微粒子は、カーボンブラック微粒子、マグネタイト微粒子、グラファイト微粒子、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子、酸化亜鉛微粒子及び酸化錫微粒子から選択される導電性微粒子であって、該導電性微粒子が、1種または2種以上コート材中に含有することが好ましい。特に導電性を有する微粒子としては、カーボンブラック微粒子が、粒径が小さく磁性キャリア表面の微粒子による凹凸を阻害することなく用いることができるため、好ましい。カーボンブラック微粒子の粒径は、個数基準での粒度分布において10乃至60nmに最大ピーク値を有することが好ましく、より好ましくは15乃至50nmである。上記範囲の粒径を有する微粒子を用いることで、磁性キャリアの表面の残留電荷を良好に除去し、かつ磁性キャリアからの微粒子の脱離を良好に防止するために好ましい。
また、カーボンブラックのDBP吸油量としては、20乃至500ml/100gが好ましく、更に好ましくは25乃至300ml/100gであり、特に好ましくは30乃至200ml/100gである。
DBP吸油量が上記範囲内の場合、磁性キャリア表面の残留電荷除去が効率的に行われ、磁性キャリアの帯電コントロールするのに好ましい。20ml/100g未満の場合、カーボンブラックのストラクチャーが短いため、効率的な電荷除去が行われず、添加効果が発現しにくいことがある。
これらの導電性微粒子は、コート樹脂100質量部に対し、1乃至25質量部含有させて用いることが、磁性キャリアの比抵抗を下げすぎず、かつ、磁性キャリアの表面の残留電荷除去のために好ましい。1質量部未満の場合は、磁性キャリア表面の残留電荷除去の効果が発現しにくいことがあり、15質量部を超える場合には、コート材中での分散が不安定になり、また、過剰の電荷除去効果のため、キャリア自身の帯電付与能が低下することがある。
本発明の磁性キャリアは、個数基準での粒度分布において平均粒径が10乃至80μmであることが好ましい。個数基準での粒度分布においての平均粒径が10μm未満の粒子は、キャリア付着しやすく、また、80μmを超えるものは、トナーに対して比表面積が小さくなることで良好な帯電付与ができなくなる場合がある。特に高画質化及びキャリア付着を防止する為には、15乃至60μmであることがより好ましく、更に好ましくは20乃至45μmである。
磁性キャリアの個数基準での粒度分布においての平均粒径は、走査電子顕微鏡(100〜5000倍)によりランダムに粒径0.1μm以上の磁性キャリアの粒子を300個以上抽出し、デジタイザーにより水平方向フェレ径をもって磁性キャリアの粒径として測定し、磁性キャリアの個数基準での粒度分布において平均粒径を算出するものとする。
本発明の磁性キャリアは、1000×(103/4π)・A/m(1000エルステッド)の磁界下で測定した磁化の強さ(σ1000)が15乃至80Am2/kg(emu/g)であることが好ましく、より好ましくは20乃至70Am2/kgである。磁化の強さ(σ1000)が80Am2/kgを超える場合には、現像剤磁気ブラシ中でのトナーへのストレスが増大し、トナーが劣化し、またキャリアへのスペントも起こりやすくなる場合がある。また、磁化の強さ(σ1000)が15Am2/kg未満の場合、スリーブへの磁気的拘束力がなくなり、キャリア付着し、感光体表面に付着して画像に欠陥を生ずる場合がある。
本発明の磁性キャリアの真比重が、2.5乃至4.0g/cm3であることが好ましく、更に好ましくは3.0乃至3.8g/cm3である。該磁性キャリアの真比重がこの範囲にあると、磁性キャリアとトナーとの撹拌混合においてトナーへの負荷が少なく、磁性キャリアへのトナースペントが抑制され、また感光体へのキャリア付着が抑制されるので好ましい。
磁性微粒子分散樹脂コアを製造する方法としては、バインダー樹脂のモノマーと磁性微粒子を混合し、前記モノマーを重合して磁性微粒子分散樹脂コア粒子を得る方法がある。このとき、重合に用いられるモノマーとしては、ビニル系モノマー、エポキシ樹脂を形成するためのビスフェノール類とエピクロルヒドリン;フェノール樹脂を形成するためのフェノール類とアルデヒド類;尿素樹脂を形成するための尿素とアルデヒド類、メラミンとアルデヒド類が用いられる。例えば、硬化系フェノール樹脂を用いた磁性微粒子分散コア粒子の製造方法としては、水性媒体に磁性微粒子を入れ、この水性媒体中でフェノール類とアルデヒド類を塩基性触媒の存在下で重合して磁性微粒子分散コア粒子を得る方法がある。
磁性微粒子分散樹脂コアを製造する他の方法としては、ビニル系又は非ビニル系の熱可塑性樹脂、磁性微粒子、その他の添加剤を混合機により十分に混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き混練機を用いて溶融・混練して、これを冷却後、粉砕・分級を行って磁性微粒子分散樹脂コア粒子を得る方法がある。この際、得られた磁性微粒子分散樹脂コア粒子を熱あるいは機械的に球形化して前記磁性キャリア用の磁性微粒子分散樹脂コア粒子として用いることが好ましい。バインダー樹脂としては、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂の如き熱硬化性樹脂が、耐久性、耐衝撃性、耐熱性に優れる点で好ましい。バインダー樹脂は、本発明の特性をより好適に発現せしめるためには、フェノール樹脂を用いることがより好ましい。
フェノール樹脂を生成するためのフェノール類としては、フェノールの他、m−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、o−プロピルフェノール、レゾルシノール、ビスフェノールAの如きアルキルフェノール類及びベンゼン核又はアルキル基の一部又は全部が塩素原子や臭素原子で置換されたハロゲン化フェノール類の如きフェノール性水酸基を有する化合物が挙げられる。中でもフェノール(ヒドロキシベンゼン)が、より好ましい。
アルデヒド類としては、ホルマリン又はパラアルデヒドのいずれかの形態のホルムアルデヒド及びフルフラール等が挙げられる。中でもホルムアルデヒドが特に好ましい。
アルデヒド類のフェノール類に対するモル比は、1乃至4が好ましく、特に好ましくは1.2乃至3である。アルデヒド類のフェノール類に対するモル比が1より小さいと、粒子が生成し難かったり、生成したとしても樹脂の硬化が進行し難いために、生成する粒子の強度が弱くなる傾向がある。一方、アルデヒド類のフェノール類に対するモル比が4よりも大きいと、反応後に水系媒体中に残留する未反応のアルデヒド類が増加する傾向がある。
フェノール類とアルデヒド類とを縮重合させる際に使用する塩基性触媒としては、通常のレゾール型樹脂の製造に使用されているものが挙げられる。このような塩基性触媒としては、例えば、アンモニア水、ヘキサメチレンテトラミン及びジメチルアミン、ジエチルトリアミン、ポリエチレンイミンの如きアルキルアミンが挙げられる。これら塩基性触媒のフェノール類に対するモル比は、0.02乃至0.3が好ましい。
本発明のトナー及び磁性キャリアを含有する二成分系現像剤は、該トナーが、結着樹脂、離型剤、着色剤を含有するトナー粒子を少なくとも有しており、該磁性キャリアが、少なくとも磁性微粒子、バインダー樹脂を含有する磁性微粒子分散樹脂コアの表面をコート樹脂を有するコート材によりコートしてなる磁性キャリアにおいて、該磁性キャリアの表面の、フッ素元素存在率(Fatom)の炭素元素存在率(Catom)に対する比率(Fatom/Catom)が、0.10乃至0.85であり、該磁性キャリアの表面のフッ素元素存在率(Fatom)の炭素元素存在率(Catom)に対する比率(Fatom/Catom)と、該コート樹脂の分子構造より理論計算できるフッ素元素存在率(Fcalc)の炭素元素存在率(Ccalc)に対する比率(Fcalc/Ccalc)との比率(Fatom/Catom)/(Fcalc/Ccalc)が、1.01乃至3.00であることが特徴である。
このような二成分系現像剤を用いることで、トナーの磁性キャリアへの汚染性が低減し、良好な耐久安定性を達成している。これは、二成分系現像剤に含有される磁性キャリアが上記範囲内の場合、磁性キャリアの表面のフッ素元素存在率を高めることができ、そのため磁性キャリアの表面の表面エネルギーが小さくなるため、トナーの磁性キャリア表面からの離型性をコントロールすることができ、その結果、現像時におけるトナー離れ性を向上させ、白抜けの如き画像欠陥を改善できようになった。
また、本発明のトナーは、該トナーをメタノール45体積%水溶液に分散した分散液に対する600nmの波長の光の透過率が、10乃至70%であることが特徴である。該トナーをメタノール45体積%水溶液に分散した分散液に対する600nmの波長の光の透過率が、上記範囲内の場合、耐久においても磁性キャリアからのトナー離れを良好にし、白抜けを防止することができる。該透過率は、10乃至60%であることがより好ましく、更に好ましくは15乃至50%である。
トナー中に含まれる結着樹脂と離型剤の濡れ性が異なるため、トナーを水−メタノール溶液に分散させた場合には、トナーの表面近傍における離型剤の存在状態の違いによって、トナーが分散する水−メタノール溶液の濃度が異なるようになる。本発明においては、この性質を利用し、透過率を測定することによりトナーの表面近傍の離型剤の存在状態の指標とした。また、本発明では、メタノールが45体積%付近のメタノール水溶液を用いたときに、結着樹脂と離型剤の濡れ性の違いに対する感度が良好であることから、メタノール45体積%水溶液(メタノール45体積%+水55体積%)を用いることとする。
つまり、この測定方法は、トナーを一度メタノール−水混合溶媒中で強制分散させて、トナー一粒一粒の表面のワックスの如き離型剤の量の特徴を出やすくした上で、一定時間後の透過率を測定することで、トナー表面のワックスの如き離型剤量を正確に把握できるものである。
例えば、疎水性であるワックスがトナー表面に多く存在すると、溶媒に対して分散トナーが濡れにくく、沈降しないため、透過率が70%のような高い値になり、逆にワックスがトナーの表面に少なく存在すると、ポリエステルユニットが多く存在する様な樹脂は極性が強い為に親水性を示し、均一分散することにより、透過率が10%のような低い値になる。
該透過率が10%未満であると、トナーの表面近傍での離型剤の存在量が少なく、耐久後における現像性は良好であり、白抜けも非常に良好になるものの、低温定着性及びグロスが低下することがある。透過率が70%を越えると、低温定着性は良好になるが、トナーから離型剤が遊離し、現像スリーブや磁性キャリアの表面に移行して汚染し、耐久に伴い現像性が低下し、白抜けも悪化することがある。
該透過率は、トナーの製造時における粉砕や形状調整の温度や時間、使用する離型剤の種類や離型剤の分散剤の種類の諸条件を制御することによりトナー表面における離型剤の存在状態をコントロールすることによって調整することが可能である。透過率は、分光光度計を用いて測定することができる。
また、本発明のトナーが、示差熱分析(DSC)測定における吸熱曲線において、温度30乃至200℃の範囲における最大吸熱ピークのピーク温度が60乃至130℃の範囲にあることが好ましい。更に好ましくは65乃至125℃の範囲であり、特に好ましくは65乃至110℃の範囲である。
ワックスの如き離型剤は結着樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部含有させることが好ましく、より好ましくは0.5〜10質量部である。
また、本発明で用いられるトナーは樹脂成分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布が、メインピークを分子量3,500乃至15,000の領域に有しており、好ましくは分子量4,000乃至13,000の領域に有している。また、トナーの樹脂成分の重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が3.0以上であることが好ましく、5.0以上であることがより好ましい。メインピークが分子量3,500未満の領域にある場合には、トナーの耐高温オフセット性が減少することがある。一方、メインピークが分子量15000超の領域にある場合には、十分なトナーの低温定着性及びOHPの透過性が低下することがある。また、Mw/Mnが3.0未満である場合には良好な耐オフセット性が減少することがある。
本発明のトナーに用いられる結着樹脂は少なくともポリエステルユニットを有する樹脂であることが好ましい。
本発明で用いられる「ポリエステルユニット」とは、ポリエステルに由来する部分を意味し、ポリエステルユニットを構成する成分としては、具体的には、2価以上のアルコールモノマー成分と2価以上のカルボン酸、2価以上のカルボン酸無水物及び2価以上のカルボン酸エステル等の酸モノマー成分を意味する。
本発明のトナーは、これらのポリエステルユニットを構成する成分を原料の一部とし、縮重合された部分を有する樹脂を用いることが好ましい。
本発明で用いられる結着樹脂は、ポリエステル樹脂、ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有しているハイブリッド樹脂、又はハイブリッド樹脂とビニル系重合体との混合物、又はハイブリッド樹脂とポリエステル樹脂との混合物、又はポリエステル樹脂とハイブリッド樹脂とビニル系重合体、又はポリエステル樹脂とビニル系重合体との混合物、のいずれかから選択される樹脂が好ましい。
ハイブリッド樹脂は、ポリエステルユニット成分とメタクリル酸エステルユニットまたはアクリル酸エステルユニットの如きカルボン酸エステル基を有するモノマー成分を重合したビニル系重合体ユニットとがエステル交換反応によって形成されるものであり、好ましくはビニル系重合体を幹重合体、ポリエステルユニットを枝重合体としたグラフト共重合体(あるいはブロック共重合体)を形成するものである。
ポリエステルユニット成分である2価以上のアルコールモノマー成分として、具体的には、2価アルコールモノマー成分としては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンの如きビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
3価以上のアルコールモノマー成分としては、例えばソルビット、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
2価のカルボン酸モノマー成分としては、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸類又はその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6〜18のアルキル基又はアルケニル基で置換されたコハク酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸及びシトラコン酸の如き不飽和ジカルボン酸類又はその無水物;が挙げられる。
3価以上のカルボン酸モノマー成分としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物等の多価カルボン酸等が挙げられる。
また、その他のモノマーとしては、ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテル等の多価アルコール類等が挙げられる。
それらの中でも、特に、下記式(6)で表されるビスフェノール誘導体を2価アルコールモノマー成分とし、2価以上のカルボン酸又はその酸無水物、又はその低級アルキルエステルとからなるカルボン酸成分(例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等)を酸モノマー成分として、これらのポリエステルユニット成分で縮重合した樹脂が良好な帯電特性を有するので好ましい。
(式中、R
3及びR
4はそれぞれ独立してエチレン基又はプロピレン基を示し、x及びyはそれぞれ独立して1以上の整数であり、かつx+yの平均値は2〜10である。)
なお、本発明のトナーに含有される結着樹脂は、少なくともポリエステルユニットを有する樹脂であることが好ましく、より好ましくは、全結着樹脂中に含まれるポリエステルユニット成分が、全結着樹脂に対して30質量%以上であることが、本発明の効果を発現させるために好ましい。更に好ましくは、40質量%以上であり、特に好ましくは50質量%以上である。
トナー粒子に用いられる全結着樹脂中に含まれるポリエステルユニット成分が、全結着樹脂に対して30質量%以上である場合、定着性や帯電安定性の点で好ましい。
ハイブリッド樹脂に用いられるビニル系重合体ユニット又はビニル系重合体を生成するためのビニル系モノマーとしては、次のようなものが挙げられる。スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレンの如きスチレン及びその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如きスチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンの如き不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニルデン、臭化ビニル、フッ化ビニルの如きハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルの如きビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンの如きビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンの如きN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体等が挙げられる。
さらに、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルの如き不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸の如きα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物の如きα,β−不飽和酸無水物、該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルの如きカルボキシル基を有するモノマーが挙げられる。
さらに、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのアクリル酸またはメタクリル酸エステル類;4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンの如きヒドロキシ基を有するモノマーが挙げられる。
ハイブリッド樹脂で用いられるビニル系重合体又はビニル系重合体ユニットは、ビニル基を2個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有していてもよいが、この場合に用いられる架橋剤は、芳香族ジビニル化合物として例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンが挙げられ;アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられる。
多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテートが挙げられる。
本発明で用いられるハイブリッド樹脂は、ビニル系重合体又はユニット及び/又はポリエステル樹脂又はユニット中に、両樹脂成分と反応し得るモノマー成分を含むことが好ましい。ポリエステル樹脂又はユニットを構成するモノマーのうちビニル系重合体又はユニットと反応し得るものとしては、例えば、フタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸又はその無水物などが挙げられる。ビニル系重合体又はユニットを構成するモノマーのうちポリエステル樹脂又はユニットと反応し得るものとしては、カルボキシル基又はヒドロキシ基を有するものや、アクリル酸もしくはメタクリル酸エステル類が挙げられる。
ビニル系重合体とポリエステル樹脂の反応生成物を得る方法としては、先に挙げたビニル系重合体及びポリエステル樹脂のそれぞれと反応しうるモノマー成分を含む重合体又は樹脂が存在しているところで、どちらか一方もしくは両方の重合体又は樹脂の重合反応をさせることにより得る方法が好ましい。
本発明のビニル系重合体、又はビニル系重合体ユニットを製造する場合に用いられる重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(−2メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カーバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチル−プロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドの如きケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−クミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリオイルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジ−メトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエイト、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエイト、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエイト、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、t−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート,ジ−t−ブチルパーオキシアゼレートがあげられる。
本発明で用いられるハイブリッド樹脂を調製できる製造方法としては、例えば、以下の(1)〜(6)に示す製造方法を挙げることができる。
(1)ビニル系重合体、ポリエステル樹脂をそれぞれ製造後にブレンドする方法であり、ブレンドは有機溶剤(例えば、キシレン)に溶解・膨潤した後に有機溶剤を留去して製造される。尚、ハイブリッド樹脂成分は、ビニル系重合体とポリエステル樹脂を別々に製造後、少量の有機溶剤に溶解・膨潤させ、エステル化触媒及びアルコールを添加し、加熱することによりエステル交換反応を行なって合成されたポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有するハイブリッド樹脂を得ることが出来る。
(2)ビニル系重合体製造後に、この存在下にポリエステル樹脂を生成し反応させ、ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有するハイブリッド樹脂成分を製造する方法である。ハイブリッド樹脂成分はビニル系重合体(必要に応じてビニル系モノマーも添加できる)とポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)及び/またはポリエステル樹脂との反応により製造される。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
(3)ポリエステル樹脂製造後に、この存在下にビニル系重合体を生成し、反応させポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有するハイブリッド樹脂成分を製造する方法である。ハイブリッド樹脂成分はポリエステル樹脂(必要に応じてポリエステルモノマーも添加できる)とビニル系モノマー及び/またはビニル系重合体との反応により製造される。
(4)ビニル系重合体及びポリエステル樹脂製造後に、これらの重合体ユニット存在下にビニル系モノマー及び/またはポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)を添加することによりハイブリッド樹脂成分が製造される。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
(5)ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有するハイブリッド樹脂成分を製造後、ビニル系モノマー及び/またはポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)を添加して付加重合及び/又は縮重合反応を行うことによりビニル系重合体及/又はポリエステル樹脂、又は更にハイブリッド樹脂成分が製造される。この場合、該ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有するハイブリッド樹脂成分は上記(2)乃至(4)の製造方法により製造されるものを使用することもでき、必要に応じて公知の製造方法により製造されたものを使用することもできる。さらに、適宜、有機溶剤を使用することができる。
(6)ビニル系モノマー及びポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸等)を混合して付加重合及び縮重合反応を連続して行うことによりビニル系重合体、ポリエステル樹脂及びポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有するハイブリッド樹脂成分が製造される。さらに、適宜、有機溶剤を使用することができる。
上記(1)〜(6)の製造方法において、ビニル系共重合体ユニット及び/またはポリエステルユニットは複数の異なる分子量、架橋度を有する重合体ユニットを使用することができる。
本発明において、ビニル系重合体又はビニル系重合体ユニットは、ビニル系単重合体若しくはビニル系共重合体又はビニル系単重合体ユニット又はビニル系共重合体ユニットを意味するものである。
さらに、本発明のポリエステルユニットを有する樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布が、メインピークを分子量3,500乃至15,000の領域に有しており、好ましくは、分子量4,000乃至13,000の領域に有しており、Mw/Mnが3.0以上であることが好ましく、5.0以上であることがより好ましい。メインピークが分子量3,500未満の領域にある場合には、トナーの耐高温オフセット性が減少する。一方、メインピークが分子量15000超の領域にある場合には、十分なトナーの低温定着性及び、OHPの透過性が低下する。また、Mw/Mnが3.0未満である場合には良好な耐オフセット性が減少する。
また、本発明のポリエステルユニットを有する樹脂のガラス転移温度(Tg)は、40乃至90℃が好ましく、軟化温度(Tm)は、80乃至150℃が保存性、低温定着性、耐高温オフセット性、着色剤の分散性を両立させる上で好ましい。
また、該樹脂の酸価は、50mgKOH/g未満であることが現像耐久安定性や着色剤の分散性を良化させる点で好ましい。
本発明に用いられる離型剤としては、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス、また酸化ポリエチレンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、またはそれらのブロック共重合物;カルナバワックス、ベヘン酸ベヘニルエステルワックス、モンタン酸エステルワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス類、及び脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したものなどが挙げられる。さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸の如き飽和直鎖脂肪酸類;ブランジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸の如き不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類;ソルビトールの如き多価アルコール類;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸等の脂肪酸類とステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールの如きアルコール類のエステル類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドの如き脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドの如き飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドの如き不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムの如き脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
本発明において特に好ましく用いられる離型剤としては、脂肪族炭化水素系ワックス及び脂肪酸とアルコールのエステルであるエステル化物が挙げられる。例えば、アルキレンを高圧下でラジカル重合あるいは低圧下でチーグラー触媒又はメタロセン触媒で重合した低分子量のアルキレンポリマー;高分子量のアルキレンポリマーを熱分解して得られるアルキレンポリマー;一酸化炭素及び水素を含む合成ガスからアーゲ法により得られる炭化水素の蒸留残分から、あるいはこれらを水素添加して得られる合成炭化水素ワックスがよい。さらにプレス発汗法、溶剤法、真空蒸留の利用や分別結晶方式により炭化水素ワックスの分別を行なったものが、より好ましく用いられる。母体としての炭化水素は、金属酸化物系触媒(多くは2種以上の多元系)を使用した一酸化炭素と水素の反応によって合成されるもの[例えばジントール法、ヒドロコール法(流動触媒床を使用)によって合成された炭化水素化合物];ワックス状炭化水素が多く得られるアーゲ法(同定触媒床を使用)により得られる炭素数が数百ぐらいまでの炭化水素;エチレンなどのアルキレンをチーグラー触媒により重合した炭化水素が、分岐が少なくて小さく、飽和の長い直鎖状炭化水素であるので好ましい。特にアルキレンの重合によらない方法により合成されたワックスがその分子量分布からも好ましいものである。また、パラフィンワックスも好ましく用いられる。
また、本発明に用いられる離型剤は、示差熱分析(DSC)測定における吸熱曲線において、温度30乃至200℃の範囲における最大吸熱ピークのピーク温度が60乃至130℃の範囲にあることが好ましい。更に好ましくは65乃至125℃の範囲であり、特に好ましくは65乃至110℃の範囲である。
離型剤の最大吸熱ピーク温度が60乃至130℃の範囲の場合、トナー粒子中での適度な微分散性が達成でき、本発明の効果を発現させるために好ましい。一方、最大吸熱ピークが60℃未満の場合、トナーの耐ブロッキング性が悪化し、逆に最大吸熱ピークが130℃を超える場合、定着性が悪化する傾向にある。
本発明のトナーで用いられる着色剤としては、公知の染料または/及び顔料が使用される。顔料単独使用でもかまわないが、染料と顔料と併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。
マゼンタトナー用着色顔料しては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アンスラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペルリン化合物が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48:2、48:3,48:4、49、50、51、52、53、54、55、57:1、58、60、63、64、68、81:1、83、87、88、89、90、112、114、122、123、144、146、150、163、166、169、177、184、185、202、206、207、209、220、221、254、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35などが挙げられる。
マゼンタトナー用染料としては、C.Iソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27、C.I.ディスパーバイオレット1の如き油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40、C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28などの塩基性染料が挙げられる。
シアントナー用着色顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、7、15:2、15:3、15:4、16、17、60、62、66;C.I.バットブルー6、C.I.アシッドブルー45または下記式で示される構造を有するフタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料などが挙げられる。
イエロー用着色顔料としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属化合物、メチン化合物、アリルアミド化合物が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74,83、93、95、97,109、110、111、120、127、128、129、147、155、168、174、180、181、185、191、C.I.バットイエロー1、3、20などである。また、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6、ソルベントイエロー162などの染料も使用することができる。
本発明に用いられる黒色着色剤としてカーボンブラック、酸化鉄、上記に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色されたものが利用できる。
また、本発明のトナーにおいて、本発明の結着樹脂に予め、着色剤を混合し、マスターバッチ化させたものを用いることが好ましい。そして、この着色剤マスターバッチとその他の原材料(結着樹脂及びワックス等)を溶融混練させることにより、トナー中に着色剤を良好に分散させることが出来る。
本発明の樹脂を用い着色剤をマスターバッチ化させる場合、多量の着色剤を用いた場合においても着色剤の分散性を悪化させず、また、トナー粒子中における分散性を良化し、混色性や透明性等の色再現性が優れる。また、転写材上でのカバーリングパワーが大きいトナーを得ることが出来る。また、着色剤の分散性が良化することにより、トナー帯電性の耐久安定性が優れ、高画質を維持した画像を得ることが出来る。
トナー中における着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して好ましくは0.1〜15質量部、より好ましくは0.5〜12質量部、最も好ましくは2〜10質量部が良い。色再現性、現像性の点で好ましい。
本発明のトナーには、その帯電性を安定化させるために公知の荷電制御剤を用いることができる。荷電制御剤は、荷電制御剤の種類や他のトナー粒子構成材料の物性等によっても異なるが、一般に、トナー粒子中に結着樹脂100質量部当たり0.1〜10質量部含まれることが好ましく、0.1〜5質量部含まれることがより好ましい。このような荷電制御剤としては、トナーを負帯電性に制御するものと、正帯電性に制御するものとが知られており、トナーの種類や用途に応じて種々のものを一種又は二種以上用いることができる。
負帯電性荷電制御剤としては、サリチル酸金属化合物、ナフトエ酸金属化合物、ダイカルボン酸金属化合物、スルホン酸又はカルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーン等が利用できる。正帯電性荷電制御剤としては、四級アンモニウム塩、前記四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物等が利用できる。荷電制御剤はトナー粒子に対して内添しても良いし外添しても良い。
特に、本発明のカラートナーでは、無色でトナーの帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して維持できる芳香族カルボン酸金属化合物が好ましい。
本発明のトナーは、粉砕・分級後、流動化剤などをヘンシェルミキサーの如き混合機で混合させることにより、トナーの流動性を向上して用いることができる。
流動化剤としては、着色剤含有樹脂粒子に添加することにより、流動性が添加前後を比較すると増加し得るものであれば、どのようなものでも使用可能である。例えば、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末、酸化チタン微粉末、アルミナ微粉末、湿式製法シリカ、乾式製法シリカの如き微粉末シリカ、それらをシラン化合物、及び有機ケイ素化合物、チタンカップリング剤、シリコーンオイル等により表面処理を施した処理シリカ等がある。
例えば乾式製法シリカとしては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された微粉体であり、いわゆる乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称されるもので、従来公知の技術によって製造されるものである。例えば、四塩化ケイ素ガスの酸水素焔中における熱分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は次の様なものである。
SiCl4+2H2+O2→SiO2+4HCl
また、この製造工程において、例えば塩化アルミニウム又は塩化チタン等他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによってシリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能であり、それらも包含する。その粒径は、平均の一次粒径として0.001〜2μmの範囲内であることが望ましく、特に好ましくは、0.002〜0.2μmの範囲内のシリカ微粉体を使用するのが良い。
また酸化チタン微粉体であれば、硫酸法、塩素法、揮発性チタン化合物例えばチタンアルコキシド,チタンハライド,チタンアセチルアセトネートの低温酸化(熱分解,加水分解)により得られる酸化チタン微粒子が用いられる。結晶系としてはアナターゼ型,ルチル型,これらの混晶型,アモルファスのいずれのものも用いることができる。
そしてアルミナ微粉体であれば、バイヤー法、改良バイヤー法、エチレンクロルヒドリン法、水中火花放電法、有機アルミニウム加水分解法、アルミニウムミョウバン熱分解法、アンモニウムアルミニウム炭酸塩熱分解法、塩化アルミニウムの火焔分解法により得られるアルミナ微粉体が用いられる。結晶系としてはα,β,γ,δ,ξ,η,θ,κ,χ,ρ型、これらの混晶型、アモルファスのいずれのものも用いられ、α,δ,γ,θ,混晶型,アモルファスのものが好ましく用いられる。
疎水化方法としては、無機微粉体と反応あるいは物理吸着する有機ケイ素化合物等で化学的、または物理的に処理することによって付与される。
好ましい方法としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成されたシリカ微粉体を有機ケイ素化合物で処理する。そのような有機ケイ素化合物の例は、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサンおよび1分子当り2から12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛のSiに結合した水酸基を含有するジメチルポリシロキサン等がある。これらは1種あるいは2種以上の混合物で用いられる。
本発明に用いられる流動化剤として、前述した乾式法シリカを、アミノ基を有するカップリング剤或いは、シリコーンオイルで処理したものを本発明の目的を達成するために必要に応じて用いてもかまわない。本発明に用いられる流動化剤は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が30m2/g以上、好ましくは50m2/g以上のものが良好な結果を与える。トナー100質量部に対して流動化剤0.01〜8質量部、好ましくは0.1〜4質量部使用するのが良い。
本発明のトナーと磁性キャリアとを混合して二成分系現像剤を調製する場合、その混合比率は現像剤中のトナー濃度として、2〜15質量%、好ましくは4〜13質量%にすると通常良好な結果が得られる。トナー濃度が2質量%未満では画像濃度が低下しやすく、15質量%を超えるとカブリや機内飛散が発生しやすい。
次に、トナーを製造する手順について説明する。本発明のトナーは、結着樹脂、着色剤、ワックス、及び任意の材料を溶融混練し、これを冷却して粉砕し、必要に応じて粉砕物の球形化処理や分級処理を行い、これに必要に応じて前記流動化剤を混ぜることによって製造することが可能である。
まず、原料混合工程では、トナー内添剤として、少なくとも樹脂、着色剤を所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー等がある。
更に、上記で配合し、混合したトナー原料を溶融混練して、樹脂類を溶融し、その中に着色剤等を分散させる。その溶融混練工程では、例えば、加圧ニーダー、バンバリィミキサー等のバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができる。近年では、連続生産できる等の優位性から、一軸又は二軸押出機が主流となっており、例えば、神戸製鋼所社製KTK型二軸押出機、東芝機械社製TEM型二軸押出機、ケイ・シー・ケイ社製二軸押出機、ブス社製コ・ニーダー等が一般的に使用される。更に、トナー原料を溶融混練することによって得られる着色樹脂組成物は、溶融混練後、2本ロール等で圧延され、水冷等で冷却する冷却工程を経て冷却される。
そして一般的には上記で得られた着色樹脂組成物の冷却物は、次いで、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、まず、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミル等で粗粉砕され、更に、川崎重工業社製のクリプトロンシステム、日清エンジニアリング社製のスーパーローター等で粉砕される。その後、必要に応じて慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業社製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン社製)の如き分級機の如き篩分機を用いて分級し、重量平均粒子径3乃至11μmの分級品を得る。
必要に応じて、例えば奈良機械製作所製のハイブリタイゼーションシステム、ホソカワミクロン社製のメカノフージョンシステムを用いて表面改質及び球形化処理を行ってもよい。このような場合では必要に応じて風力式篩のハイボルター(新東京機械社製)等の篩分機を用いても良い。更に、外添剤を外添処理する方法としては、分級されたトナーと公知の各種外添剤を所定量配合し、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の粉体にせん断力を与える高速撹拌機を外添機として用いて、撹拌・混合する方法が挙げられる。
本発明の磁性キャリア及びトナーの物性値の測定方法は次の通りである。
<磁性キャリア、キャリアコア、磁性微粒子、非磁性無機化合物微粒子の比表面積BETの測定>
まず、必要に応じて、前処理を行い、サンプル調製を行う。例えば、磁性微粒子分散樹脂コアの如きキャリアコアの場合、磁性キャリアを、アセトン、トルエン等の溶媒に溶かし、24時間静置することにより、コート材成分を完全に溶解させ、分離し、その後キャリアコアを乾燥し、キャリアコアを得る。また、キャリアコアに用いている磁性微粒子及び/又は非磁性無機化合物は、キャリアコアを、電気炉等で完全に樹脂製分を焼却し、焼却灰成分を得、その後、磁石により、磁性微粒子及び/又は非磁性無機化合物を分離し、それぞれを得ることができる。
これらのサンプルをBET法にしたがって、比表面積測定装置Tristar3000(島津製作所社製)を用いて、試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて、比表面積を算出する。比表面積の測定前には、試料管に資料を約9g精秤し、室温で、24時間真空引きを行う。
<磁性キャリア表面のフッ素元素存在率及び炭素元素存在率の測定>
磁性キャリアの表面のフッ素元素存在率(Fatom)及び炭素元素存在率(Catom)は、X線電子分光法(XPS)によって、以下の測定条件で測定される。
装置:PHI社 Quantum 2000
X線源:Al Kα
加速電圧:20kV
得られたピークプロファイルより、Catom、Fatomをそれぞれ計算することが出来る。その計算値より、磁性キャリアの表面の、フッ素元素存在率(Fatom)の炭素元素存在率(Catom)に対する比率(Fatom/Catom)を計算することができる。
<コート材の組成の分析>
磁性キャリアからコート材の分離方法としては、コート材に可溶な溶媒(例えばアセトン、トルエンなど)を用いて、超音波分散器で超音波剥離を行い、その後、磁石を用い、コアと分離を行う。その後、遠心分離器を用い、コート材の添加している微粒子を分離し、上澄み液(樹脂溶液成分)を分離し、蒸発乾固させ、コート材樹脂成分を得ることができる。このサンプル約50mgをφ5mmのサンプルチューブに入れ、溶媒としては、CDCl3を添加し、溶解させ、測定試料とする。測定条件を以下に示す。
測定装置:FT NMR装置 JNM―EX400(日本電子社製)
測定周波数:400MHz
パルス条件:6.9μs
データポイント:32768
周波数範囲:10500Hz
積算回数:16回
測定温度:25℃
上記測定により得られたコート樹脂の分子構造より、Fcalc/Ccalcを計算することができる。例えば、メタクリル酸メチルと下記式(7)で示される化合物例1からなる樹脂成分で、メタクリル酸メチルと化合物例1とのモル比が、5:1の場合、
メタクリル酸メチル C5個、H8個、O2個
化合物例1 C14個、H9個、O2個、F17個
Fcalc/Ccalc=17/(6×5+14)=0.386となり、
該コート樹脂成分のFcal/Ccalは、0.386である。
<磁性キャリア、磁性微粒子、非磁性無機化合物微粒子の比抵抗の測定>
磁性キャリア、磁性微粒子、非磁性無機化合物微粒子の比抵抗値は、図1に示した測定装置を用いて行なう。必要に応じて、前処理を行い、サンプル調製を行う。磁性キャリアに用いられている磁性微粒子、非磁性無機化合物微粒子は、上記比表面積BETの測定の前処理と同様にして、得ることができる。
比抵抗の測定は、セルEに、キャリア粒子を充填し、該充填キャリア粒子17に接するように下部電極11及び上部電極12を配し、これらの電極間に電圧を印加し、そのときに流れる電流を測定することによって比抵抗を求める方法を用いる。本発明における比抵抗の測定条件は、充填キャリア粒子と電極との接触面積S=約2.4cm2、サンプルの厚みd=約0.2cm、上部電極12の荷重240gとする。電圧の印加条件は、印加条件I、II、IIIの順に印加し、印加条件IIIでの印加電圧での電流を測定する。その後、サンプルの厚みdを正確に測定し、それぞれの電界強度(V/cm)における比抵抗(Ω・cm)を計算により求め、電界強度3000V/cmにおける比抵抗を、サンプルの磁性キャリアの比抵抗とした。
印加条件I :(0Vから1000Vに変更:30秒おき200Vずつステップ状に増大)
II :(1000Vで30秒ホールド)
III:(1000Vから0Vに変更:30秒おき200Vずつステップ状に減少)
磁性キャリアの比抵抗(Ω・cm)=(印加電圧(V)/測定電流(A))×S(cm2)/d(cm)
電界強度(V/cm)=印加電圧(V)/d(cm)
<結着樹脂、トナー、コート材のGPC測定による分子量分布>
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるクロマトグラムの分子量は次の条件で測定される。
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流し、試料濃度として0.05〜0.6質量%に調整した樹脂のTHF試料溶液を約50〜200μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数(リテンションタイム)との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば東ソー社製或いはPressure Chemical Co.製の分子量が6×102、2.1×103、4×103、1.75×104、5.1×104、1.1×105、3.9×105、8.6×105、2×106、4.48×106のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
カラムとしては、103〜2×106の分子量領域を的確に測定するために、市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良く、例えば昭和電工社製のshodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807の組み合わせや、Waters社製のμ−styragel 500、103、104、105の組み合わせを挙げることができる。
<磁性キャリアの接触角の測定>
磁性キャリアの接触角の測定方法は、三協パイオテク社製WTMY−232A型ウェットテスタを用い、水に対する接触角を測定する。
磁性キャリア13.2gを測定セルに静かに投入し、三協パイオテク社製:タッピングマシンPTM−1型を用いて、タッピングスピード30回/minにて1分間タッピング操作を行う。これを測定装置内にセットし測定を行う。
まず空気透過法により粉体層の比表面積を求め、次に定流量法により圧力変曲点を求める。この両者より粉体粒子の接触角を算出する。
<コート材中の微粒子の粒径の測定>
コート材中の微粒子の粒径は、磁性キャリアからコート材をトルエンなどコート材が可溶な溶媒に溶かしだした成分を走査電子顕微鏡(50,000倍)により、粒径が5nm以上の粒子をランダムに500個以上抽出し、長軸と短軸をデジタイザにより測定し、平均したものを粒径とし、500個以上の粒子の粒径分布(10nm毎に区切ったカラムのヒストグラムから)のピークになる粒径をもって個数平均粒径を算出する。
<磁性キャリアの磁化の強さの測定>
磁性キャリアの磁化の強さは、磁性キャリアの磁気特性と磁性キャリアの真比重とから求められる。磁気キャリアの磁気特性は、理研電子(株)製の振動磁場型磁気特性自動記録装置BHV−30を用いて測定することができる。測定方法としては、円筒状のプラスチック容器に十分密になるように磁性キャリアを充填し、一方で79.6kA/m(1キロエルステッド)の外部磁場を作り、この状態で前記容器に充填した磁性キャリアの磁化モーメントを測定する。さらに、前記容器に充填した磁性キャリアの実際の質量を測定して、磁性キャリアの磁化の強さ(Am2/kg)を求める。
<磁性キャリアの真比重の測定>
磁性キャリアの真比重は、乾式自動密度計オートピクノメータにより求めることができる。
<トナーをメタノール45体積%水溶液に分散させた分散液に対する光の透過率の測定>
(i)トナー分散液の調製
メタノール:水の体積混合比が45:55の水溶液を作製する。この水溶液10mlを30mlのサンプルビン(日電理化硝子:SV−30)に入れ、トナー20mgを液面上に侵しビンのフタをする。その後、ヤヨイ式振とう器(モデル:YS−LD)により2.5S−1で5秒間振とうさせる。この時、振とうする角度は、振とう器の真上(垂直)を0度とすると、前方に15度、後方に20度、振とうする支柱が動くようにする。サンプルビンは支柱の先に取り付けた固定用ホルダー(サンプルビンの蓋が支柱中心の延長上に固定されたもの)に固定する。サンプルビンを取り出した後、30秒後の分散液を測定用分散液とする。
(ii)透過率測定
(i)で得た分散液を1cm角の石英セルに入れて分光光度計MPS2000(島津製作所社製)を用いて、10分後の分散液の波長600nmにおける透過率(%)を測定する。
透過率(%)=I/I0×100 I0:入射光束、I:透過光束
<トナー及びワックスのDSCにおける最大吸熱ピークの測定>
トナー及びワックスの最大吸熱ピークは、示差熱分析測定装置(DSC測定装置)、DSC2920(TAインスツルメンツジャパン社製)を用いて、ASTM D3418−82に準じて測定することができる。
温度曲線:昇温I (30℃〜200℃、昇温速度10℃/min)
降温I (200℃〜30℃、降温速度10℃/min)
昇温II(30℃〜200℃、昇温速度10℃/min)
測定方法としては、5〜20mg、好ましくは10mgの測定試料を精密に秤量する。これをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲30乃至200℃の間で、昇温速度10℃/minで常温常湿下で測定を行う。トナーの最大吸熱ピークは、昇温IIの過程で、樹脂Tgの吸熱ピーク以上の領域のベースラインからの高さが一番高いものを、若しくは樹脂Tgの吸熱ピークが別の吸熱ピークと重なり判別し難い場合、その重なるピークの極大ピークから高さが一番高いものを本発明のトナーの最大吸熱ピークとする。
<樹脂の酸価の測定>
基本操作はJIS K−0070に準ずる。
(1)試料の粉砕品0.5〜2.0(g)を精秤し、試料の質量をW(g)とする。
(2)300(ml)のビーカーに試料を入れ、トルエン/エタノール(4/1)の混合液150(ml)を加え溶解する。
(3)0.1mol/lのKOHのエタノール溶液を用いて、電位差滴定装置を用いて滴定する。(例えば、京都電子株式会社製の電位差滴定装置ATー400(win workstation)とABP−410電動ビュレットを用いての自動滴定が利用できる。)
(4)この時のKOH溶液の使用量をS(ml)とし、同時にブランクを測定し、この時のKOH溶液の使用量をB(ml)とする。
(5)次式により酸価を計算する。fはKOHのファクターである。
酸価(mgKOH/g)={(S−B)×f×5.61}/W
<樹脂のガラス転移温度の測定>
樹脂のガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計(DSC測定装置)、DCS−7(パーキンエルマー社製)、DSC2920(TAインスツルメンツジャパン社製)等を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
測定試料は5〜20mg、好ましくは10mgを精密に秤量する。それをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで常温常湿下で測定を行う。この昇温過程で、温度40℃〜100℃の範囲において比熱変化が得られる。このときの比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、本発明の樹脂のガラス転移温度Tgとする。
<樹脂の軟化点測定方法>
JIS K 7210に準じて、高化式フローテスターにより測定されるものを指す。具体的な測定方法を以下に示す。高化式フローテスター(島津製作所製)を用いて1cm3の試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1960N/m2(20kg/cm2)の荷重を与え、直径1mm,長さ1mmのノズルを押し出すようにし、これにより、プランジャー降下量(流れ値)−温度曲線を描き、そのS字曲線の高さをhとするとき、h/2に対応する温度(樹脂の半分が流出した温度)を樹脂の軟化点(Tm)とする。
<トナー粒度分布の測定>
測定装置としては、コールターカウンターTA−II或いはコールターマルチサイザーII(コールター社製)を用いる。電解液は、約1%NaCl水溶液を用いる。電解液には、1級塩化ナトリウムを用いて調製された電解液や、例えば、ISOTON(登録商標)−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。
測定方法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として、界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン塩酸)を、0.1〜5mlを加え、さらに測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液を超音波分散器で約1〜3分間分散処理し、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、前記測定装置により、試料の体積及び個数を各チャンネルごとに測定して、試料の体積分布と個数分布とを算出する。得られたこれらの分布から、試料の重量平均粒径を求める。チャンネルとしては、2.00〜2.52μm;2.52〜3.17μm;3.17〜4.00μm;4.00〜5.04μm;5.04〜6.35μm;6.35〜8.00μm;8.00〜10.08μm;10.08〜12.70μm;12.70〜16.00μm;16.00〜20.20μm;20.20〜25.40μm;25.40〜32.00μm;32〜40.30μmの13チャンネルを用いる。
以下、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(キャリアコアAの製造例)
マグネタイト微粒子(比表面積BET3が7.0(m2/g)、比抵抗が5×107(Ω・cm))と、ヘマタイト微粒子(比表面積BET4が3.8(m2/g)、比抵抗が2×108(Ω・cm))に対して、それぞれ4.0質量%、2.0質量%のシラン系カップリング剤(3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン)を加え、容器内で100℃以上で高速混合撹拌し、それぞれの微粒子を親油化処理した。
・フェノール 10質量部
・ホルムアルデヒド溶液(ホルムアルデヒド37質量%水溶液) 6質量部
・上記処理したマグネタイト微粒子 76質量部
・上記処理したヘマタイト微粒子 8質量部
上記材料と、28質量%アンモニア水5質量部、水10質量部をフラスコに入れ、攪拌、混合しながら30分間で85℃まで昇温・保持し、3時間重合反応させて硬化させた。その後、30℃まで冷却し、更に水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗した後、風乾した。次いで、これを減圧下(5hPa以下)、60℃の温度で乾燥して、磁性微粒子が分散された状態の磁性微粒子分散樹脂コア(キャリアコアA)を得た。得られたキャリアコアAの物性は、個数基準での粒度分布においての平均粒径35μm、比表面積BET2が0.07(m2/g)であった。
(キャリアコアBの製造例)
マグネタイト微粒子(比表面積BET3が10.0(m2/g)、比抵抗が2×107(Ω・cm))と、ヘマタイト微粒子(比表面積BET4が2.0(m2/g)、比抵抗が5×108(Ω・cm))に対して、それぞれ5.0質量%、1.0質量%のシラン系カップリング剤(3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン)を加え、容器内で100℃以上で高速混合撹拌し、それぞれの微粒子を親油化処理した。
・フェノール 10質量部
・ホルムアルデヒド溶液(ホルムアルデヒド37質量%水溶液) 6質量部
・上記処理したマグネタイト微粒子 76質量部
・上記処理したヘマタイト微粒子 8質量部
上記材料と、28質量%アンモニア水7質量部、水8質量部をフラスコに入れ、攪拌、混合しながら30分間で85℃まで昇温・保持し、3時間重合反応させて硬化させた。その後、30℃まで冷却し、更に水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗した後、風乾した。次いで、これを減圧下(5mmHg以下)、60℃の温度で乾燥して、磁性微粒子が分散された状態の磁性微粒子分散樹脂コア(キャリアコアB)を得た。得られたキャリアコアBの物性は、個数基準での粒度分布においての平均粒径50μm、比表面積BET2が0.08(m2/g)であった。
(キャリアコアCの製造例)
マグネタイト微粒子(比表面積BET3が10.0(m2/g)、比抵抗が2×108(Ω・cm)に対して、5.0質量%のチタン系カップリング剤イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネートを加え、容器内で100℃以上で高速混合撹拌し、微粒子を親油化処理した。
・フェノール 10質量部
・ホルムアルデヒド溶液(ホルムアルデヒド37質量%水溶液) 6質量部
・上記処理したマグネタイト微粒子 84質量部
上記材料と、28質量%アンモニア水6質量部、水12質量部をフラスコに入れ、攪拌、混合しながら30分間で85℃まで昇温・保持し、3時間重合反応させて硬化させた。その後、30℃まで冷却し、更に水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗した後、風乾した。次いで、これを減圧下(5mmHg以下)、60℃の温度で乾燥して、磁性微粒子が分散された状態の磁性微粒子分散樹脂コア(キャリアコアC)を得た。得られたキャリアコアCの物性は、個数基準での粒度分布においての平均粒径25μm、比表面積BET2が0.10(m2/g)であった。
(キャリアコアDの製造例)
モル比で、Fe2O3=52モル%、CuO=16モル%、MgO=32モル%になるように秤量し、ボールミルを用いて10時間混合を行った。これを900℃で2時間仮焼した後、ボールミルにより粉砕を行い、更にスプレードライヤーにより造粒を行った。これを1150℃で10時間焼結し、粉砕し更に分級して磁性キャリアコア(キャリアコアD)を得た。得られたキャリアコアDの物性は、個数基準での粒度分布においての平均粒径35μm、比表面積BET2が0.15(m2/g)であった。
(コート樹脂の製造例1)
下記式(8)
で示される一方の末端にエチレン性不飽和基を有する重量平均分子量5,000のメチルメタクリレートマクロマー3質量部、下記式(7)
で示される構造を有する化合物例146質量部、メチルメタクリレート51質量部を、還流冷却器,温度計,窒素吸い込み管及びすり合わせ方式撹拌装置を配した4ツ口フラスコに添加し、更にトルエン100質量部、メチルエチルケトン100質量部、アゾビスイソバレロニトリル2.4質量部を加え、窒素気流下80℃で10時間保ち、下記式(9)
〔式中、a1、b1、c1及びd1はそれぞれ独立して1以上の整数を示す。〕
で示されるユニットを有するグラフト共重合体(A)溶液(固形分35質量%)を得た。グラフト共重合体(A)のゲルパーミエーションクロマトグラム(GPC)による重量平均分子量は、20,000であった。グラフト共重合体(A)は、Fcalc/Ccalc=0.38であった。
(コート樹脂の製造例2)
製造例1において、上記式(7)で示される構造を有する化合物例164質量部、メチルメタクリレート33質量部、アゾビスイソバレロニトリル3質量部に変更する以外は同様にし、上記式(9)で示されるユニットを有するグラフト共重合体(B)を得た。グラフト共重合体(B)のゲルパーミエーションクロマトグラム(GPC)による重量平均分子量は、23,000であった。グラフト共重合体(B)は、Fcalc/Ccalc=0.48であった。
(コート樹脂の製造例3)
製造例1において、上記式(7)で示される構造を有する化合物例17質量部、メチルメタクリレート90質量部に変更する以外は同様にし、上記式(9)で示されるユニットを有するグラフト共重合体(C)を得た。グラフト共重合体(C)のゲルパーミエーションクロマトグラム(GPC)による重量平均分子量は、25,000であった。グラフト共重合体(C)は、Fcalc/Ccalc=0.08であった。
(コート樹脂の製造例4)
製造例1において、上記式(7)で示される構造を有する化合物例15質量部、メチルメタクリレート92質量部に変更する以外は同様にし、上記式(9)で示されるユニットを有するグラフト共重合体(D)を得た。グラフト共重合体(D)のゲルパーミエーションクロマトグラム(GPC)による重量平均分子量は、28,000であった。グラフト共重合体(D)は、Fcalc/Ccalc=0.05であった。
(コート樹脂の製造例5)
製造例1において、上記式(7)で示される構造を有する化合物例169質量部、メチルメタクリレート28質量部、アゾビスイソバレロニトリル3質量部に変更するに変更する以外は同様にし、上記式(9)で示されるユニットを有するグラフト共重合体(E)を得た。グラフト共重合体(E)のゲルパーミエーションクロマトグラム(GPC)による重量平均分子量は、24,000であった。グラフト共重合体(E)は、Fcalc/Ccalc=0.50であった。
(コート樹脂の製造例6)
上記式(8)で示される一方の末端にエチレン性不飽和基を有する重量平均分子量9,000のメチルメタクリレートマクロマー3質量部、下記式(10)
で示される構造を有する化合物例249質量部、メチルメタクリレート48質量部を、還流冷却器,温度計,窒素吸い込み管及びすり合わせ方式撹拌装置を配した4ツ口フラスコに添加し、更にメチルエチルケトン200質量部、アゾビスイソバレロニトリル0.5質量部を加え、窒素気流下80℃で10時間保ち、下記式(11)
〔式中、a2、b2、c2及びd2はそれぞれ独立して1以上の整数を示す。〕
で示されるユニットを有するグラフト共重合体(F)溶液(固形分35質量%)を得た。グラフト共重合体(F)のゲルパーミエーションクロマトグラム(GPC)による重量平均分子量は、180,000であった。グラフト共重合体(F)は、Fcalc/Ccalc=0.44であった。
(コート樹脂の製造例7)
下記式(12)
で示される構造を有する化合物例3100質量部を、還流冷却器,温度計,窒素吸い込み管及びすり合わせ方式撹拌装置を配した4ツ口フラスコに添加し、更にメチルエチルケトン200質量部、アゾビスイソバレロニトリル1.5質量部を加え、窒素気流下80℃で10時間保ち、下記式(13)
で示されるユニットを有する重合体(G)溶液(固形分35質量%)を得た。重合体(G)のゲルパーミエーションクロマトグラム(GPC)による重量平均分子量は、30,000であった。グラフト共重合体(G)は、Fcalc/Ccalc=0.80であった。
(トナーの製造例1)
ビニル系重合体ユニット成分として、スチレン1.1mol、2−エチルヘキシルアクリレート0.14mol、アクリル酸0.1mol、ジクミルパーオキサイド0.05molを滴下ロートに入れる。また、ポリエステルユニット成分として、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン2.0mol、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン0.8mol、テレフタル酸0.8mol、無水トリメリット酸0.6mol、フマル酸1.5mol及びジブチルスズオキサイドを0.2gをガラス製4リットルの4つ口フラスコに入れ、温度計,撹拌棒,コンデンサー及び窒素導入管を取りつけマントルヒーター内においた。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、145℃の温度で撹拌しつつ、先の滴下ロートよりビニル系樹脂の単量体、架橋剤及び重合開始剤を4時間かけて滴下した。次いで245℃に昇温を行い、4時間反応せしめてポリエステルユニットを有する樹脂Aを得た。樹脂Aは、重量平均分子量80000,数平均分子量3200の樹脂を得た。
・樹脂A 100質量部
・パラフィンワックス(最大吸熱ピーク温度78℃) 5質量部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.5質量部
・C.I.ピグメンブルー15:3 5質量部
上記の処方の材料をヘンシェルミキサ(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で混合した後、温度130℃に設定した二軸混練機(PCM−30型、池貝鉄工(株)製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られたトナー粗砕物を、高圧気体を用いた衝突式気流粉砕機を用いて粉砕した。さらにコアンダ効果を利用した多分割分級機により分級を行い、シアン粒子を得た。チラーユニット等の冷却機構を具備したメカノフージョンシステムを用い表面改質を行い、重量平均粒径6.5μmのシアン粒子を得た。
得られたシアン粒子100質量部に、イソブチルトリメトキシシランで表面処理した一次平均粒子径50nmの酸化チタン微粒子を1.0質量%を添加し、ヘンシェルミキサ(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で混合して、トナー1を得た。トナー1のメタノール45体積%水溶液における透過率(%)は、40%であった。
(トナー製造例2)
・樹脂A 100質量部
・ポリエチレンワックス(最大吸熱ピーク温度120℃) 5質量部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.5質量部
・C.I.ピグメンブルー15:3 5質量部
上記の処方の材料を混練設定温度を150℃に変更する以外は製造例1と同様にして、トナー2を得た。トナー2のメタノール45体積%水溶液における透過率(%)は、65%であった。
(トナー製造例3)
ポリエステルユニット成分として、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン3.6mol、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1.6mol、テレフタル酸1.8mol、ドデセニルコハク酸2.5mol、無水トリメット酸0.5mol及びジブチルスズオキサイドを0.2gガラス製4リットルの4つ口フラスコに入れ、温度計,撹拌棒,コンデンサー及び窒素導入管を取りつけマントルヒーター内においた。窒素雰囲気下で、245℃で5時間反応させ、ポリエステルユニットを有する樹脂Bを得た。樹脂Bは、重量平均分子量50000,数平均分子量3000の樹脂を得た。
・樹脂B 100質量部
・ポリエチレンワックス(最大吸熱ピーク温度120℃) 5質量部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.5質量部
・C.I.ピグメントブルー15:3 5質量部
上記の処方の材料を混練設定温度を150℃に変更する以外は製造例1と同様にして、トナー3を得た。トナー3のメタノール45体積%水溶液における透過率(%)は、75%であった。
(トナー製造例4)
・樹脂A 100質量部
・パラフィンワックス(最大吸熱ピーク温度78℃) 3質量部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 1.0質量部
・C.I.ピグメンブルー15:3 4質量部
上記の処方の材料を製造例1と同様にしてトナー粗砕物を得、得られた粗砕物を重量平均粒径7.5μmになるように粉砕し、表面改質を行わず、シアン粒子を得た。得られたシアン粒子100質量部に、イソブチルトリメトキシシランで表面処理した一次粒径50nmの酸化チタン微粒子を1.0質量%添加し、ヘンシェルミキサ(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で混合して、トナー4を得た。トナー4のメタノール45体積%水溶液における透過率(%)は、15%であった。
(トナー製造例5)
・樹脂A 100質量部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 3.0質量部
・C.I.ピグメンブルー15:3 4質量部
上記の処方の材料を混練設定温度を120℃に変更する以外は、製造例4と同様にして、トナー5を得た。トナー5のメタノール45体積%水溶液における透過率(%)は、10%であった。
以下の表1に得られたトナー1〜5の透過率を示す。
<実施例1>
グラフト共重合体(A)溶液30質量部に対し、メラミン樹脂(個数基準での粒度分布においての平均粒径0.2μm)0.5質量部、カーボンブラック(個数基準での粒度分布においての平均粒径30nm、DBP吸油量50ml/100g)1.0質量部、トルエン100質量部をホモジナイザーによりよく混合する。ついで、キャリアコアA1000質量部を剪断応力を連続して加えながら撹拌しつつ、上記コート液を徐々に加え、溶媒を70℃で揮発させて、キャリア表面への樹脂コートを行った。この樹脂コートされた磁性キャリア粒子を100℃で2時間撹拌しながら熱処理し、10℃の恒温槽で、1時間急冷し、解砕した後、目開き76μmの篩で分級して個数基準での粒度分布においての平均粒径35μm、真比重3.6g/cm3、磁化の強さ49Am2/kg、比抵抗8×108Ω・cm、比表面積BET1が0.05m2/g、Fatom/Catom=0.58の磁性キャリア1を得た。
この磁性キャリア1の90質量部に対し、トナー1を10質量部加え、ターブラーミキサーにより混合し、二成分系現像剤1とした。
この現像剤を用い、キヤノン製フルカラー複写機CLC5000改造機(レーザースポット径を絞り、600dpiで出力でき、定着ユニットの定着ローラの表層をPFAチューブに変え、オイル塗布機構を取り外した改造をCLC5000に施した機器)を用いて高温高湿環境下(30℃,85%RH)で画出し評価を行った。現像条件は、現像スリーブと感光体を現像領域において順方向で回転させ、感光体に対して現像スリーブを2.0倍とし、Vd−600V、Vl−110V、Vdc−450Vとし、Vpp2kV、周波数1.8kHzとした。画出し評価の項目と評価基準を以下に示す。
(1)ドット再現性
前記トナー及び前記改造機を用いて30H画像を形成し、この画像を目視にて観察し、前記画像のドットの再現性について以下の基準に基づき評価した。なお、30H画像とは、256階調を16進数で表示した値であり、00Hをベタ白とし、FFHをベタ黒とするときのハーフトーン画像である。
A:全くガサツキを感じなく、なめらかである。
B:ガサツキを余り感じない。
C:ややガサツキ感はあるが、実用上問題ないレベルである。
D:ガサツキ感があり、問題である。
E:非常にガサツキ感がある。
(2)白抜け評価
図3の(A)、(B)及び(C)を参照して白抜け評価について説明する。
まず、図3の(A)のように、転写紙3aの搬送方向に対して、ハーフトーン横帯(30H 幅10mm)とベタ黒横帯(FFH 幅10mm)を交互に並べたチャートを出力する。図3の(B)は、そのトナー画像を転写した後の転写紙3aの断面図を示しており、3bはトナー、3cは白抜け部分を示す。そのトナー画像をスキャナで読みとり、二値化処理を行う。図3の(C)は、その二値化画像の搬送方向におけるあるラインの輝度分布(256階調)である。そのラインの輝度分布において、ハーフトーン領域でのトナーののり量が少なくなる点を3d、白抜けによりトナーが最ものっていない点を3e、白抜けのないハーフトーン領域での輝度の延長線とハーフトーン領域とベタ黒領域との変更点との交点を3fとしたとき、点3d、3e、3fで囲まれる斜線部分を白抜け部分の輝度の領域として、その斜線部分の面積(輝度数の和)をもって、白抜け度とする。
A:50以下 殆ど目立たず、非常に良好である。
B:51乃至150 良好である。
C:151乃至300 白抜けはあるが、実用上問題ないレベルである。
D:301乃至600 白抜けが目立ち、問題である。
E:601以上 非常に目立つ。
(3)キャリアのコート材の耐久性評価
本発明で用いる二成分現像剤を、CLC5000の現像器に入れ、高温高湿下(40℃/80%RH)の環境下で、現像スリーブをプロセススピード800mm/secの速度で1時間空回転させ、その後、スリーブ表面から二成分現像剤をサンプリングし、トナーとキャリアを分離し、空回転後のキャリアの走査電子顕微鏡(SEM)で観察を行った。A:キャリア表面が全く変化していない
B:キャリア表面が若干変化しているが、実用上問題ない
C:若干トナーの融着が発生している
D:若干コート材の剥離が発生している
E:コート材が剥離し、トナー融着が発生している
本発明で製造したキャリアの物性値を表2に示す。また、本発明の二成分系現像剤の(1)ドット再現性、(2)白抜け評価、(3)キャリアのコート材の耐久性評価の結果を表3に示す。
<実施例2>
グラフト共重合体(B)溶液30質量部に対し、メラミン樹脂(個数基準での粒度分布においての平均粒径0.2μm)1.0質量部、カーボンブラック(個数基準での粒度分布においての平均粒径15nm、DBP吸油量100ml/100g)1.0質量部、トルエン100質量部をホモジナイザーによりよく混合する。ついで、キャリアコアB1000質量部を剪断応力を連続して加えながら撹拌しつつ、上記コート液を徐々に加え、溶媒を70℃で揮発させて、キャリア表面への樹脂コートを行った。この樹脂コートされた磁性キャリア粒子を100℃で2時間撹拌しながら熱処理し、10℃の恒温槽で、1時間急冷し、解砕した後、目開き76μmの篩で分級して個数基準での粒度分布においての平均粒径50μm、真比重3.6g/cm3、磁化の強さ49Am2/kg、比抵抗2×109Ω・cm、比表面積BET1が0.04m2/g、Fatom/Catom=0.81の磁性キャリア2を得た。得られたキャリア2の物性値を表2に示す。
この磁性キャリア2の90質量部に対し、トナー1を10質量部加え、ターブラーミキサーにより混合し、二成分系現像剤2とした。
(1)ドット再現性、(2)白抜け評価、(3)キャリアのコート材の耐久性評価の結果を表3に示す。
<実施例3>
グラフト共重合体(C)溶液60質量部に対し、メラミン樹脂(個数基準での粒度分布においての平均粒径0.5μm)1.0質量部、トルエン100質量部をホモジナイザーによりよく混合する。ついで、キャリアコアC1000質量部を剪断応力を連続して加えながら撹拌しつつ、上記コート液を徐々に加え、溶媒を70℃で揮発させて、キャリア表面への樹脂コートを行った。この樹脂コートされた磁性キャリア粒子を100℃で2時間撹拌しながら熱処理し、10℃の恒温槽で、1時間急冷し、解砕した後、目開き76μmの篩で分級して個数基準での粒度分布においての平均粒径25μm、真比重3.6g/cm3、磁化の強さ61Am2/kg、比抵抗9×107Ω・cm、比表面積BET1が0.08m2/g、Fatom/Catom=0.12の磁性キャリア3を得た。
この磁性キャリア3の90質量部に対し、トナー1を10質量部加え、ターブラーミキサーにより混合し、二成分系現像剤3とした。得られた磁性キャリア3の物性値を表2に示す。
(1)ドット再現性、(2)白抜け評価、(3)キャリアのコート材の耐久性評価の結果を表3に示す。
<比較例1>
グラフト共重合体(C)溶液30質量部に対し、メラミン樹脂(個数基準での粒度分布においての平均粒径0.5μm)2.0質量部、トルエン100質量部をホモジナイザーによりよく混合する。ついで、キャリアコアD1000質量部を剪断応力を連続して加えながら撹拌しつつ、上記コート液を徐々に加え、溶媒を70℃で揮発させて、キャリア表面への樹脂コートを行った。この樹脂コートされた磁性キャリア粒子を120℃で3時間撹拌しながら熱処理し、10℃の恒温槽で、1時間急冷し、解砕した後、目開き76μmの篩で分級して個数基準での粒度分布においての平均粒径50μm、真比重5.0g/cm3、磁化の強さ63Am2/kg、比抵抗5×106Ω・cm、比表面積BET1が0.12m2/g、Fatom/Catom=0.13の磁性キャリア4を得た。得られた磁性キャリア4の物性値を表2に示す。
この磁性キャリア4の90質量部に対し、トナー1を10質量部加え、ターブラーミキサーにより混合し、二成分系現像剤4とした。
(1)ドット再現性、(2)白抜け評価、(3)キャリアのコート材の耐久性評価の結果を表3に示す。
<比較例2>
グラフト共重合体(D)溶液60質量部に対し、ポリメタクリル酸メチル樹脂(個数基準での粒度分布においての平均粒径1.0μm)3.0質量部、トルエン100質量部をホモジナイザーによりよく混合する。ついで、キャリアコアB1000質量部を剪断応力を連続して加えながら撹拌しつつ、上記コート液を徐々に加え、溶媒を150℃で揮発させて、磁性キャリア表面への樹脂コートを行った。この樹脂コートされた磁性キャリア粒子を100℃で2時間撹拌しながら熱処理し、5℃の恒温槽で、1時間急冷し、解砕した後、目開き76μmの篩で分級して個数基準での粒度分布においての平均粒径50μm、真比重3.6g/cm3、磁化の強さ49Am2/kg、比抵抗5×107Ω・cm、比表面積BET1 0.11m2/g、Fatom/Catom=0.07の磁性キャリア5得た。得られたキャリア5の物性値を表2に示す。
この磁性キャリア5の90質量部に対し、トナー1を10質量部加え、ターブラーミキサーにより混合し、二成分系現像剤5とした。
(1)ドット再現性、(2)白抜け評価、(3)キャリアのコート材の耐久性評価の結果を表3に示す。
<比較例3>
グラフト共重合体(E)溶液60質量部に対し、メラミン樹脂(個数基準での粒度分布においての平均粒径0.1μm)2.0質量部、カーボンブラック(個数平均粒径25nm、DBP吸油量150ml/100g)0.5質量部、トルエン100質量部をホモジナイザーによりよく混合する。ついで、キャリアコアB1000質量部を剪断応力を連続して加えながら撹拌しつつ、上記コート液を徐々に加え、溶媒を70℃で揮発させて、磁性キャリア表面への樹脂コートを行った。この樹脂コートされた磁性キャリア粒子を100℃で2時間撹拌しながら熱処理し、5℃の恒温槽で、1時間急冷し、解砕した後、目開き76μmの篩で分級して個数基準での粒度分布においての平均粒径35μm、真比重3.6g/cm3、磁化の強さ49Am2/kg、比抵抗5×109Ω・cm、比表面積BET1が0.05m2/g、Fatom/Catom=0.87の磁性キャリア6を得た。得られた磁性キャリア6の物性値を表2に示す。
この磁性キャリア6の90質量部に対し、トナー1を10質量部加え、ターブラーミキサーにより混合し、二成分系現像剤6とした。
(1)ドット再現性、(2)白抜け評価、(3)キャリアのコート材の耐久性評価の結果を表3に示す。
<実施例4>
グラフト共重合体(F)溶液60質量部に対し、ポリメタクリル酸メチル樹脂(個数基準での粒度分布においての平均粒径1.0μm)1.0質量部、カーボンブラック(個数基準での粒度分布においての平均粒径15nm、DBP吸油量100ml/100g)0.5質量部、トルエン50質量部、メチルエチルケトン50質量部をホモジナイザーによりよく混合する。ついで、キャリアコアB1000質量部を剪断応力を連続して加えながら撹拌しつつ、上記コート液を徐々に加え、溶媒を50℃で揮発させて、磁性キャリア表面への樹脂コートを行った。この樹脂コートされた磁性キャリア粒子を120℃で2時間撹拌しながら熱処理し、5℃の恒温槽で、1時間急冷し、解砕した後、目開き76μmの篩で分級して個数基準での粒度分布においての平均粒径35μm、真比重3.6g/cm3、磁化の強さ49Am2/kg、比抵抗5×109Ω・cm、比表面積BET1が0.07m2/g、Fatom/Catom=0.61の磁性キャリア7得た。得られた磁性キャリア7の物性値を表2に示す。
この磁性キャリア7の90質量部に対し、トナー1を10質量部加え、ターブラーミキサーにより混合し、二成分系現像剤7とした。
(1)ドット再現性、(2)白抜け評価、(3)キャリアのコート材の耐久性評価の結果を表3に示す。
<参考例1>
重合体(G)溶液60質量部に対し、メラミン樹脂(個数基準での粒度分布においての平均粒径0.3μm)1.0質量部、カーボンブラック0.5質量部、トルエン100質量部をホモジナイザーによりよく混合する。ついで、キャリアコアB1000質量部を剪断応力を連続して加えながら撹拌しつつ、上記コート液を徐々に加え、溶媒を50℃で揮発させて、キャリア表面への樹脂コートを行った。この樹脂コートされた磁性キャリア粒子を120℃で2時間撹拌しながら熱処理し、5℃の恒温槽で、1時間急冷し、解砕した後、目開き76μmの篩で分級して個数基準での粒度分布においての平均粒径35μm、真比重3.6g/cm3、磁化の強さ49Am2/kg、比抵抗1×109Ω・cm、比表面積BET1が0.05m2/g、Fatom/Catom=0.83の磁性キャリア8を得た。得られた磁性キャリア8の物性値を表2に示す。
この磁性キャリア8の90質量部に対し、トナー1を10質量部加え、ターブラーミキサーにより混合し、二成分系現像剤8とした。
(1)ドット再現性、(2)白抜け評価、(3)キャリアのコート材の耐久性評価の結果を表3に示す。
<比較例4>
グラフト共重合体(D)溶液10質量部に対し、メラミン樹脂(個数基準での粒度分布においての平均粒径0.3μm)0.5質量部、カーボンブラック1.0質量部、トルエン100質量部をホモジナイザーによりよく混合する。ついで、キャリアコアD1000質量部を剪断応力を連続して加えながら撹拌しつつ、上記コート液を徐々に加え、溶媒を100℃で揮発させて、磁性キャリア表面への樹脂コートを行った。この樹脂コートされた磁性キャリア粒子を90℃で2時間撹拌しながら熱処理し、5℃の恒温槽で、1時間急冷し、解砕した後、目開き76μmの篩で分級して個数基準での粒度分布においての平均粒径35μm、真比重3.6g/cm3、磁化の強さ63Am2/kg、比抵抗1×106Ω・cm、比表面積BET1が0.10m2/g、Fatom/Catom=0.11の磁性キャリア9を得た。得られた磁性キャリア9の物性値を表2に示す。
この磁性キャリア9の90質量部に対し、トナー1を10質量部加え、ターブラーミキサーにより混合し、二成分系現像剤9とした。
(1)ドット再現性、(2)白抜け評価、(3)キャリアのコート材の耐久性評価の結果を表3に示す。
<実施例6>
グラフト共重合体(C)溶液30質量部に対し、メラミン樹脂(個数基準での粒度分布においての平均粒径0.3μm)0.5質量部、カーボンブラック0.5質量部、トルエン100質量部をホモジナイザーによりよく混合する。ついで、キャリアコアB1000質量部を剪断応力を連続して加えながら撹拌しつつ、上記コート液を徐々に加え、溶媒を100℃で揮発させて、磁性キャリア表面への樹脂コートを行った。この樹脂コートされた磁性キャリア粒子を90℃で2時間撹拌しながら熱処理し、15℃の恒温槽で、1時間急冷し、解砕した後、目開き76μmの篩で分級して個数基準での粒度分布においての平均粒径35μm、真比重3.6g/cm3、磁化の強さ49Am2/kg、比抵抗3×109Ω・cm、比表面積BET1が0.09m2/g、Fatom/Catom=0.09の磁性キャリア10得た。得られたキャリア10の物性値を表2に示す。
この磁性キャリア10の90質量部に対し、トナー1を10質量部加え、ターブラーミキサーにより混合し、二成分系現像剤10とした。
(1)ドット再現性、(2)白抜け評価、(3)キャリアのコート材の耐久性評価の結果を表3に示す。
<参考例2>
磁性キャリア8の90質量部に対し、トナー2を10質量部加え、ターブラーミキサーにより混合し、二成分系現像剤11とした。
(1)ドット再現性、(2)白抜け評価、(3)キャリアのコート材の耐久性評価の結果を表3に示す。
<比較例5>
磁性キャリア8の90質量部に対し、トナー3を10質量部加え、ターブラーミキサーにより混合し、二成分系現像剤12とした。
(1)ドット再現性、(2)白抜け評価、(3)キャリアのコート材の耐久性評価の結果を表3に示す。
<実施例8>
磁性キャリア7の90質量部に対し、トナー2を10質量部加え、ターブラーミキサーにより混合し、二成分系現像剤13とした。
(1)ドット再現性、(2)白抜け評価、(3)キャリアのコート材の耐久性評価の結果を表3に示す。
<比較例6>
磁性キャリア7の90質量部に対し、トナー3を10質量部加え、ターブラーミキサーにより混合し、二成分系現像剤14とした。
(1)ドット再現性、(2)白抜け評価、(3)キャリアのコート材の耐久性評価の結果を表3に示す。
<実施例9>
磁性キャリア7の90質量部に対し、トナー4を10質量部加え、ターブラーミキサーにより混合し、二成分系現像剤15とした。
(1)ドット再現性、(2)白抜け評価、(3)キャリアのコート材の耐久性評価の結果を表3に示す。
<実施例10>
磁性キャリア7の90質量部に対し、トナー5を10質量部加え、ターブラーミキサーにより混合し、二成分系現像剤16とした。
(1)ドット再現性、(2)白抜け評価、(3)キャリアのコート材の耐久性評価の結果を表3に示す。