JP4438394B2 - 有機金属錯体およびそれを用いた有機電界発光素子 - Google Patents

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Description

本発明は新規な燐光色素として有用な有機金属錯体に関する。詳しくは、色素レーザー、照明器具、薄膜型有機発光デバイス、および電子写真感光体などに用いられる有機発光材料と、これを用いてなる有機電界発光素子に関するものである。
これまで、有機電界発光素子には蛍光色素が数多く用いられてきたが、フラットパネル・ディスプレイ等の表示、蛍光灯や標識灯等の光源、さらには近赤外発光材料として応用するためには、素子の発光効率をさらに改善する必要があり、新たな発光材料の開発が求められている。
近年、素子の発光効率をあげる試みの一つとして、3重項励起状態からの発光すなわち燐光を利用した燐光色素の利用が注目を集めている。燐光を用いた場合には従来の1重項励起状態からの発光(蛍光)に比べて、最大約4倍の高効率化が可能である。中でも有機金属錯体は比較的短い燐光寿命を有していることから、3重項―3重項消滅が抑えられるため、発光効率の向上が期待出来る。
これまで数多くの有機金属錯体が研究されており、緑色〜赤色の燐光発光を有する錯体に関しては、蛍光色素を上回る高効率発光を達成しているものも報告されている
(非特許文献1、2、3および4参照)。
一方、青色発光に関しては、報告例が少なく、未だ開発途上である。
例えば、特許文献1には以下の化合物が記載されているが、いずれも最大発光波長が長く、色純度の高い青色発光は実現できていない。
Figure 0004438394
(各化合物の下に記載したものは、最大発光波長である。)
特許文献1など、これまでに提案されている青色燐光発光色素に関する報告例から、本発明者らは、電子吸引基を1個しか有さない有機金属錯体では、色純度の高い青色発光を達成することは困難であり、少なくとも2個以上の電子吸引基を発光配位子に有する必要があると考えた。
電子吸引性基を2個以上有する有機金属錯体としては、例えば特許文献2に、下記錯体が記載されている。これは、比較的高効率の青色発光を示す燐光色素として紹介されている。
Figure 0004438394
また、非特許文献5には下記錯体(K−3)が記載され、特許文献3には下記錯体(K−9)および(K−24)が記載されており、いずれも青色発光を示すと記載されている。
Figure 0004438394
しかし、これらはいずれも、配位子におけるフェニル基上の、ピリジル基に隣接するフッ素原子が錯形成時に一部脱離するため、合成により得られる化合物が混合物となってしまい、得られた色素の色純度に悪影響を及ぼすと考えられる。
同様の有機金属錯体における配位子の、別の位置にフッ素原子が2個以上置換している例として、例えば特許文献3には、下記錯体(K−9)および(K−16)などが記載されている。
Figure 0004438394
(K−9)の最大発光波長は、特許文献3の実施例より485nmである。一方、(K−16)の最大発光波長は、本発明者らの追試によると、499nmであった。
つまり、このような有機金属錯体の場合、配位子中のフェニル基におけるイリジウムへの配位位置に対してp−位にフッ素原子を導入することにより、発光波長が長波長化することが判明した。従って、フッ素原子を2個以上導入する場合、その結合位置によっては、却って発光波長が長波長化し、青色燐光発光は、より得難くなると言える。
WO 02/02714号公報 WO 02/15645号公報 特開2002−117978号公報 Appl.Phys.Lett.,1999,75,5 J.Am.Chem.Soc.,2001,123,4304 Inorg.Chem.,2001,40,1704 J.Am.Chem.Soc.,2002,124,9945 J.Am.Chem.Soc.,2003,125,7377
本発明の目的は、色純度の高い青色燐光発光を示し、電気的酸化還元耐久性が高く、電気化学的に安定な化合物と、この化合物を発光層材料として用いた有機電界発光素子を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の中心金属を有する有機金属錯体の配位子において、電子吸引性基の導入位置を特定することにより、色純度の高い青色発光を実現し、また別の特定位置に水素原子や、ハロゲン原子やシアノ基等の脱離・加水分解しやすい基を有さないことにより、化合物の安定性が確保されることを見出した。本発明はこれらの知見を基に完成されたものである。
すなわち本発明は、下記一般式(i)で表される有機金属錯体、この有機金属錯体を含んでなる発光材料、有機電界発光素子材料、およびこの有機金属錯体を含む層を有する有機電界発光素子に存する。
Figure 0004438394
(式中、XおよびYは各々独立に、フッ素原子、少なくとも1個のフッ素原子で置換された炭素数1〜15のアルキル基、少なくとも1個のフッ素原子で置換された炭素数1〜1
5のアルコキシ基、少なくとも1個のフッ素原子で置換された炭素数2〜30のアルコキシアルキル基、少なくとも1個のフッ素原子で置換された炭素数2〜30のアルコキシアルコキシ基、少なくとも1個のフッ素原子で置換された炭素数1〜10のアルキル鎖を1または2個有するアルキルアミノ基、少なくとも1個のフッ素原子で置換された炭素数6〜18の芳香族炭化水素基部分を1または2個有するアリールアミノ基、少なくとも1個のフッ素原子で置換された炭素数2〜30のアシル基部分を1または2個有するアシルアミノ基、少なくとも1個のフッ素原子で置換された炭素数1〜15のアルキルチオ基、少なくとも1個のフッ素原子で置換された炭素数6〜18の芳香族炭化水素基、−R101
OR102、−OR103COR104、−COR105、および−OCOR106(但し、R101〜R106は、各々独立に、少なくとも1個のフッ素原子で置換された炭素数1〜15のアルキル
基またはアルキレン基を表す。)よりなる群から選ばれる電子吸引性基を表す。上記電子吸引性基であるXとYとが、互いに結合して、少なくとも1個のフッ素原子で置換された5又は6員環を形成していてもよい。
Zは、水酸基、ハロゲン原子または炭素数1〜4のアルキル基を置換基として有していてもよい炭素数1〜15のアルキル基、ハロゲン原子または炭素数1〜4のアルキル基を置換基として有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシル基、ハロゲン原子または炭素数1〜4のアルキル基を置換基として有していてもよい炭素数6〜18の芳香族炭化水素基、およびハロゲン原子または炭素数1〜4のアルキル基を置換基として有していてもよい 酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を含む、5又は6員環の、単環または2〜4縮合環からなる芳香族複素環基よりなる群から選ばれる置換基を表す。
MはRe、Ru、Co、Ir、PtまたはAuを表し、Lは、錯形成時に、中心金属Mとともに5員環もしくは6員環を形成する1価の2座配位子を表す。nは金属Mの価数を表し、1〜3の整数である。
環Aは、フッ素原子、アセチル基、炭素数1〜5のアルキル基、および炭素数1〜5のアルコキシル基よりなる群から選ばれる置換基を有していてもよい、5または6員環である芳香族複素環を表す。
Zと環Aは、互いに結合して、酸素原子、窒素原子、硫黄原子又は珪素原子を含んでいてもよい5又は6員環を形成していてもよい。
1は炭素原子または窒素原子を表す。
なお、式中の
Figure 0004438394
は単結合または二重結合を表す。)
このような有機金属錯体は、色純度の高い青色燐光発光を得るのに適しているが、特に最大発光波長が480nm以下であるものが好ましい。
本発明の有機金属錯体は、分子量が500以上5000以下であることが好ましい。
本発明の有機電界発光素子としては、本発明の有機金属錯体を含有する層が発光層であるものが好ましい。特に、該発光層が、正孔注入・輸送性または電子注入・輸送性を有するホスト材料を含有し、該ホスト材料に対して、本発明の有機金属錯体がドープされてなるものである場合が、より好ましい。
また、本発明の有機電界発光素子としては、発光層の陰極側界面に接する正孔阻止層を有するものが好ましい。
本発明によれば、青色燐光発光を示す有機金属錯体の、化学的および電気的安定性の向上、色純度の向上、酸価還元電位の調整が可能となった。このような有機金属錯体を使用することにより、色純度が高く発光効率の高い有機電界発光素子を得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る有機金属錯体について説明する。本発明の有機金属錯体は、フェニル基とヘテロアリール基が結合してなる配位子を有し、該フェニル基の特定部分に電子吸引性基が結合しており、別の特定部分には、水素原子や、ハロゲン原子やシアノ基等の脱離・加水分解しやすい基を有さないという特徴を有する。具体的には、下記一般式(i)に示すように、XおよびYとして電子吸引性基を、Zとして、水素原子、ハロゲン原子およびシアノ基以外の基を有する点に特徴がある。
Figure 0004438394
(式中、XおよびYは各々独立に電子吸引性基を表すか、または、XとYが結合し、置換基を有していてもよい環を形成していても良い。
Zは、ハロゲン原子及びシアノ基以外の、任意の置換基を表す。
MはRe、Ru、Co、Ir、PtまたはAuを表し、Lは1価の2座配位子を表す。nは金属Mの価数を表し、1〜3の整数である。環Aは置換基を有していてもよい、5または6員環である芳香族環を表す。
なお、式中の
Figure 0004438394
は単結合または二重結合を表す。)
一般式(i)において、XおよびYは各々独立して電子吸引性基を表す。なお本発明において、「電子吸引性基」とは、以下に挙げる基の総称である。
[電子吸引性基]
下記[α群]、[α群]から選ばれた少なくとも1個の基で置換された[β群]、および[α群]から選ばれた少なくとも1個の基で置換されていてもよい[γ群]の総称である。
[α群]フッ素原子、塩素原子、カルボニル基、カルボキシル基、
[β群]
炭素数1〜15のアルキル基、
炭素数1〜15のアルコキシ基、
炭素数2〜30のアルコキシアルキル基、
炭素数2〜30のアルコキシアルコキシ基、
炭素数1〜10のアルキル鎖を、1または2個有するアルキルアミノ基、
炭素数6〜18の芳香族炭化水素基部分を、1または2個有するアリールアミノ基、
炭素数2〜30のアシル基部分を、1または2個有するアシルアミノ基、
炭素数1〜15のアルキルチオ基、
炭素数6〜18の芳香族炭化水素基、
−R101COR102、−OR103COR104、−COR105、−OCOR106
(但しR101〜R106は、各々独立に、炭素数1〜15のアルキル基またはアルキレン基を表す。)
[γ群]
炭素数1〜15のアルキル鎖を、1または2個有するアルキルボリル基、
炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を、1または2個有するアリールボリル基、
炭素数1〜15のアルキル鎖を、1または2個有するアルキルスルホニル基、
炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を、1または2個有するアリールスルホニル基
電子吸引性基の具体例としては、以下の基が挙げられるが、これらに制限されるものではない。
Figure 0004438394
(上記構造中、Meはメチル基、Buはブチル基を表す。)
なお、合成のしやすさの観点からは、XとYは同一の基であることが好ましく、また色純度の調整の観点からは、XとYは異なる基であることが好ましい。
また、XとYは互いに結合して、置換基を有していてもよい環を形成していても良い。環を形成する場合、XおよびYが結合してなる部分構造としては、例えば以下の構造が挙げられる。
Figure 0004438394
(上記構造中、Meはメチル基を表す。)
XおよびYは、色純度の観点からは、各々が電子吸引性基である場合が好ましく、また濃度消光の抑制の観点からは、互いに結合して、置換基を有していてもよい環を形成している場合が好ましい。
一般式(i)で表される有機金属錯体において、XおよびYとしては、昇華性の点から、フッ素原子およびフッ素原子を有するβ群の置換基がより好ましく、
フッ素原子、並びにフッ素原子を有するアルキル基、アルコキシル基およびアリール基が特に好ましい。
一般式(i)において、Zは、ハロゲン原子およびシアノ基のいずれでもない基を表す。
中でも、Zとして好ましくは、
水酸基、
置換基を有していてもよいアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基ブチル基などの炭素数1〜15のアルキル基)、
置換基を有していてもよいアルコキシル基(例えばメトキシ基、エトキシ基などの炭素数1〜10のアルコキシ基)、
置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基(例えばフェニル基、ナフチル基、フェナントリル基などの、炭素数6〜18の芳香族炭化水素基)、
置換基を有していても良い芳香族複素環基(例えばキシリル基、ピリジル基、ピラゾール基、イミダゾール基などの、5または6員環の、単環または2〜4縮合環からなる芳香族複素環基)
等が挙げられる。
これらのアルキル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基、および芳香族複素環基が有しうる置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜4程度のアルキル基、等が挙げられる。
合成上の観点から、Zとして、特に好ましくは置換基を有しても良いアルキル基、水酸基、置換基を有しても良いアルコキシル基、置換基を有しても良いフェニル基およびピリジル基である。
環Aは、置換基を有していてもよい、5または6員環の芳香族複素環を表す。好ましくは、下記に示す環が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 0004438394
これらの中でも、高輝度発光が期待できるという点で、ピリジン環が最も好ましい。
環Aが有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子;炭素数1〜5のアセチル基;メチル基、エチル基などの炭素数1〜5のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基などの炭素数1〜5のアルコキシル基;ピリジル基、ピラジル基などの炭素数3〜8の芳香族複素環基;フェニル基、ナフチル基などの炭素数6〜10の芳香族炭化水素基等が挙げられる。中でも、フッ素原子、アセチル基、アルキル基、およびアルコキシル基が好ましい。
Lは1価の2座配位子を表わし、比較的ソフトな塩基が望ましい。好ましくは錯形成時に、中心金属Mとともに5員環もしくは6員環を形成する2座配位子を表す。具体的には以下の2座配位子などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 0004438394
なお、配位子Lとして、中心金属Mと配位結合を形成する2個の原子が、いずれも芳香族環の一部を構成する2座配位子を使用した場合、配位子Lが有機金属錯体の発光に強く関与し、本発明の特徴部分である発光配位子の特性が充分に発揮されないおそれがある。結果として、青色発光を得ることが困難になる場合があるため、配位子Lとしては、上記例に代表されるように、中心金属Mと配位結合を形成する2個の原子のうち、少なくとも一方は芳香族環の一部を構成していない配位子が好ましい。
一般式(i)において、Mは有機金属錯体の中心金属を表し、Re、Ru,Co,Ir、PtまたはAuを表す。効率の観点から、好ましくはIrまたはPtである。
nは金属Mの価数を表し、1〜3の整数である。錯体の安定性の観点から、
より好ましくは2または3である。
前記一般式(i)で表される化合物の分子量は、通常5000以下程度、好ましくは2500以下程度、更に好ましくは1500以下程度である。また分子量の下限は、通常1200程度、好ましくは1000程度、更に好ましくは800程度である。分子量が大きすぎると昇華性が低下し、例えば蒸着による薄膜形成が困難になる傾向があり、後述するように有機電界発光素子を構成する層に使用する場合に問題となる虞がある。一方、分子量が小さすぎると、例えば昇華温度が低くなりすぎるため、やはり蒸着による薄膜形成が困難になる虞がある。
なお、スピンコート等の湿式成膜法にて薄膜形成させる場合には、必ずしも上記分子量範囲を満たさなくても良い。
以下に、一般式(i)で表される有機金属錯体の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、図中のMeはメチル基を表す。
下記表中の構造式(I)〜(IV)は以下に対応する。
Figure 0004438394
Figure 0004438394
Figure 0004438394
Figure 0004438394
Figure 0004438394
Figure 0004438394
本発明の有機金属錯体は、公知の手法で合成することができる。その一例を以下に説明する。
まず、以下に配位子の一般的合成法を示す。
Figure 0004438394
アリールハライドと相当するグリニャール試薬、アリールジンクハライド、アリールスズ化合物、アリールボロン酸とを金属触媒を用いて有機溶媒中で反応させる。
金属触媒としてはテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)、ジクロロビストリフェニルホスフィンパラジウム(II)などが用いられる。
有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメトキシエタンなどがあげられる。
反応温度は0℃〜200℃であり、好ましくは20℃〜120℃が望ましい。
得られた配位子を用いて、本発明の有機金属錯体を得るには、Bull.Chem.Soc.Jpn.,1974,47,767、Inorg.Chem.,2001,40,1704、J.Am.Chem.Soc.,2003,125,7377などに記載の方法に準じて、反応を行えばよい。
このような本発明の有機金属錯体は、色純度の高い青色発光を示し、発光効率および耐久性など様々な点において優れており、発光材料として樹脂、染料、インクなどの種々の材料の着色や、およびレーザー用色素、有機電界発光素子用色素、電子写真感光体原料、近赤外発光有機金属錯体などとして各種光学部材に有用である。
また本発明の有機金属錯体を用いることにより、高発光効率で高堅牢性を有し、青色発光素子に適した優れた有機電界発光素子が得られるため、有機電界発光素子材料として好適である。
本発明の有機電界発光素子は、基板上に陽極、発光層、および陰極が順次積層されてなり、前記一般式(i)で表される有機金属錯体を含有する層を有することを特徴とする。一般式(i)で表される有機金属錯体は、発光層に含まれていることが好ましく、特に正孔注入・輸送性または電子注入・輸送性を有するホスト材料にドープされて、発光層中に含有されることが好ましい。
なお、本発明の有機電界発光素子の発光層中には、本発明の有機金属錯体の一種が単独で含まれていてもよく、2種以上が含まれていてもよい。
以下、本発明に好適なホスト材料について説明する。
ホスト材料は、発光層に含まれる一般式(i)で表される有機金属錯体の励起三重項準位より高いエネルギー状態の励起三重項準位を有することが好ましい。また、安定な薄膜形状を与え、高いガラス転移温度(Tg)を有し、正孔および/または電子を効率良く輸送することができる化合物であることが必要である。
さらに、電気化学的かつ化学的に安定であり、トラップとなったり発光を消光したりする不純物が製造時や使用時に発生しにくい化合物であることが要求される。
これらの条件を満たすホスト材料としては、例えば下記一般式(I)または(II)で表わされる化合物、もしくは下記一般式(III)で表わされる基を有する化合物が挙げられ
る。
Figure 0004438394
((I)式中、カルバゾリル基およびフェニレン基は任意の置換基を有していても良い。Z1は直接結合または2価の連結基を示す。)
Figure 0004438394
((II)式中、M0は周期律表1族、2族、3族、12族、または13族から選ばれる金
属を表わし、kは該金属の価数を表わす。L0は任意の置換基を表わし、jは置換基L0の数を表わし0または1である。X2は炭素原子または窒素原子を表わす。環A0は含窒素複素環を示し、置換基を有していても良い。環B0は芳香族炭化水素環または芳香族複素環
を示し、置換基を有していても良い。)
Figure 0004438394
((III)式中、R51〜R54は各々独立に、水素原子または任意の置換基を表わし、R51
とR52、R53とR54はそれぞれ結合して環を形成していても良い。X3は酸素原子または
硫黄原子を示す。)
前記一般式(I)で表わされるN−フェニルカルバゾール骨格を有する化合物として、好ましくは下記一般式(I−1)で表わされる化合物が挙げられる。
Figure 0004438394
((I−1)式中、R1 〜R16は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シアノ基、アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、アラルキルアミノ基、ハロアルキル基、水酸基、アリールオキシ基、置換基を有していても良い芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表わし、R1とR2 、R3 とR4 、R5 とR6、R7 とR8 、R9 とR10、R11とR12、R13とR14,R15とR16はそれぞれ互いに結合して環を形成しても良い。Z1
は直接結合または2価の連結基を示す。) (I−1)式中のR1〜R16として、具体 的には水素原子;塩素原子、フッ素原子などのハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;ベンジル基等のアラルキル基;ビニル基等の炭素数2〜6のアルケニル基;シアノ基;アミノ基;アシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基;カルボキシル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基等のアルキルアミノ基;ジベンジルアミノ基、ジフェネチルアミノ基などのアラルキルアミノ基;トリフルオロメチル基等のハロアルキル基;水酸基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアリールオキシ基;置換基を有していても良いフェニル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基;置換基を有していても良いチエニル基、ピリジル基等の芳香族複素環基が挙げられる。
前記芳香族炭化水素基および芳香族複素環基が有し得る置換基としては、フッ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;ビニル基等の炭素数2〜6のアルケニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアリールオキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のアルキルアミノ基;アセチル基等のアシル基;トリフルオロメチル基等のハロアルキル基;シアノ基などが挙げられる。
なお、上述の各置換基に含まれるアルキル鎖部分は、いずれも直鎖であっても分岐していても良い。以下の置換基の例示においても同様である。
また、R1 とR2 、R3 とR4、R5 とR6 、R7 とR8 、R9とR10、R11とR12、R13 とR14、R15 とR16 はそれぞれ隣接する置換基同士で結合し、ベンゼン環、シクロ
ヘキサン環等の5〜7員環を形成していても良い。
1ないしR16として特に好ましいのは、水素原子、アルキル基、またはシアノ基であ
る。
一般式(I)または(I−1)におけるZ1として、好ましくは直接結合、酸素原子、
硫黄原子、以下に示す連結基、
Figure 0004438394
置換基を有していても良い2価の芳香族炭化水素基または芳香族複素環基、または、以下の連結基のいずれかが挙げられる。
Figure 0004438394
(上記構造中のベンゼン環部分は、いずれも任意の置換基を有していて良く、またAr1〜Ar6は置換基を有していても良い芳香族炭化水素基または芳香族複素環基、または以下の一般式(I−2)で表される基が挙げられる。
Figure 0004438394
なお、式(I−2)中におけるカルバゾリル基およびフェニレン基は、任意の置換基を
有していても良い。)
一般式(I)または(I−1)におけるZ1の好ましい連結基のうち、芳香族炭化水素
基としては、フェニレン基、ナフチレン基、アントラニル基、ナフタセン基等の、5〜6員環の単環または2〜4縮合環が挙げられ、芳香族複素環基としては、2価のチオフェン環残基、フラン環残基、ピリジン環残基、ピリミジン環残基またはキノリン環残基等の、5〜6員環の単環または2〜3縮合環が挙げられる。
これらの芳香族炭化水素基および芳香族複素環基は、メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基、フッ素原子等のハロゲン原子、トリフルオロメチル基等のα−ハロアルキル基等の置換基を有しても良い。
また、Ar1〜Ar6としては、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基、ナフタセニル基等の、5〜6員環の単環または2〜4縮合環である芳香族炭化水素基、またはチエニ
ル基、フリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、キノリル基等の、5〜6員環の単環または2〜3縮合環である芳香族複素環基が挙げられる。これらの芳香族炭化水素基および芳香族複素環基は、メチル基、エチル基等のアルキル基、フッ素原子等のハロゲン原子、トリフルオロメチル基等のα−ハロアルキル基等の置換基を有しても良い。
前記式(I−2)で表わされる構造は、好ましくは下記式(I−3)で表わされる。
Figure 0004438394
((I−3)式中、R17〜R24は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シアノ基、置換基を有していても良いアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、水酸基、アリールオキシ基、置換基を有していても良い芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表わし、R17とR18、R19とR20,R21とR22,R23とR24はそれぞれ互いに結合して環を形成していても良い。)
上記(I−3)式において、R17〜R24として、具体的には、水素原子;ハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;ベンジル基等のアラルキル基;ビニル基等の炭素数2〜6のアルケニル基;シアノ基;アミノ基;ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基等のアルキルアミノ基;ジベンジルアミノ基、ジフェネチルアミノ基などのアラルキルアミノ基;アシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基;カルボキシル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;トリフルオロメチル基等のハロアルキル基;水酸基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアリールオキシ基;置換基を有していても良いフェニル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基;置換基を有していても良いチエニル基、ピリジル基等の芳香族複素環基が挙げられる。
前記芳香族炭化水素基および芳香族複素環基が有し得る置換基としては、フッ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;ビニル基等の炭素数2〜6のアルケニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアリールオキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基、アセチル基等のアシル基;トリフルオロメチル基等のハロアルキル基;シアノ基などが挙げられる。
なおR17とR18、R19とR20,R21とR22,R23とR24はそれぞれ隣接する置換基同士で結合し、ベンゼン環やシクロヘキサン環などの5〜7員環を形成していても良い。
前記一般式(I)で表わされる化合物の好ましい具体例を以下に示すが、これらに限定するものではない。
Figure 0004438394
Figure 0004438394
Figure 0004438394
Figure 0004438394
Figure 0004438394
本発明の有機電界発光素子は、発光層におけるホスト材料として前記一般式(II)で表わされる有機金属錯体化合物を使用しても良い。前記一般式(II)で表わされるホスト材料としては、特に下記一般式(II−1)で表わされる有機金属錯体や、下記一般式(II−2)で表わされる混合配位子錯体、または下記一般式(II−3)で表わされる二核金属錯体が好ましい。
Figure 0004438394
((II−1)式中、M1は1ないし3価の金属を表わし、k、X2、環A0および環B0は一般式(II)におけると同義である。)
Figure 0004438394
((II−2)式中、M2は3価の金属を表わし、X2、環A0および環B0は一般式(II)におけると同義である。L1は下記一般式(II−2a)、(II−2b)または(II−2c)
を表わす。)
Figure 0004438394
((II−2a)、(II−2b)、(II−2c)式中、Ar11〜Ar15は置換基を有していても良い芳香族炭化水素基または置換基を有していても良い芳香族複素環基を表わし、Z2はシリコンまたはゲルマニウムを表わす。)
Figure 0004438394
((II−3)式中、M3およびM3'は3価の金属を表わし、X2、環A0及び環B0は一般式(II)におけると同義であり、X2'はX2と、環A0’は環A0と、また環B0’は環B0
それぞれ同義である。)
なお、一般式(II)および(II−1)〜(II−3)で表わされる化合物1分子中に含まれる、複数の下記構造部分
Figure 0004438394
(一般式(II−3)においては、1化合物中に2個ずつ存在する下記構造部分)
Figure 0004438394
即ち環A0、環B0、およびX2(式(II−3)の場合は、環A0、環A0’、環B0、環B0
’、X2およびX2')は、同じであっても良いし、異なっていても良い。合成が容易であ
る点からは、すべて同じであることが好ましい。
同様に、一般式(II−3)で表わされる化合物におけるM3およびM3'も、同じであっ
ても異なっていても良く、合成が容易である点からは、同じであることが好ましい。
前記一般式(II)および(II−1)〜(II−3)で表わされる化合物の環A0、環A0’、環B0、および環B0’は、それぞれ下記のものから選ばれるものが好ましい。
[環A0および環A0’]置換基を有していても良い5員環または6員環の含窒素芳香族複素環であり、該環に5または6員環の芳香族炭化水素環または芳香族複素環が1または2個縮合して縮合環を形成しても良い。
[環B0および環B0’]置換基を有していても良い6員環の芳香族炭化水素環または芳香族複素環であり、該環に5または6員環の芳香族炭化水素環または芳香族複素環が1または2個縮合して縮合環を形成しても良い。
前記一般式(II)および(II−1)〜(II−3)で表わされる化合物の環A、環A0
、環B0、および環B0’として、より好ましくは各々単環であり、中でもそれぞれ下記から選ばれる環が好ましい。
[環A0および環A0’]それぞれ置換基を有していても良い、ジアゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ジアジン環、トリアジン環
[環B0および環B0’]それぞれ置換基を有していても良い、ベンゼン環、ピリジン環、ジアジン環、トリアジン環
さらに前記一般式(II)および(II−1)〜(II−3)で表わされる化合物の環A0
環A0’、環B0、および環B0’は、それぞれ下記構造式から選ばれることが最も好まし
い。
Figure 0004438394
(式中、R31〜R37は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シアノ基、アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、アラルキルアミノ基、ハロアルキル基、水酸基、アリールオキシ基、置換基を有していても良い芳香族炭化水素基または置換基を有していても良い芳香族複素環基を表わし、R31とR32、R31とR33、R34とR35、R35とR36、R36とR37はそれぞれ互いに結合して環を形成していても良い。)
Figure 0004438394
(式中、R38〜R41は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シアノ基、アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、アラルキルアミノ基、ハロアルキル基、水酸基、アリールオキシ基、置換基を有していても良い芳香族炭化水素基または置換基を有していても良い芳香族複素環基を表わし、R38とR39、R39とR40、R40とR41はそれぞれ互いに結合して環を形成していても良い。)
なお上記[環B0および環B0’]の構造における2本の結合手は、前記式(II)および(II−1)〜(II−3)における環B0および環B0’構造の定義を満たす限り、酸素原子、または環A0および環A0’における原子X2、X2'のうち、いずれがいずれに結合して
いても良い。
31〜R41として、具体的には水素原子;ハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;ベンジル基等のアラルキル基;ビニル基等の炭素数2〜6のアルケニル基;シアノ基;アミノ基;アシル基;カルボキシル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアリールオキシ基;ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基等のジアルキルアミノ基;ジベンジルアミノ基;ジフェネチルアミノ基などのジアラルキルアミノ基;トリフルオロメチル基等のα−ハロアルキル基;水酸基;置換基を有していても良いフェニル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基;置換基を有していても良いチエニル基、ピリジル基等の芳香族複素環基を表わす。
前記芳香族炭化水素基および芳香族複素環基が有し得る置換基としては、フッ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;ビニル基等の炭素数2〜6のアルケニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアリールオキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基;アセチル基等のアシル基;トリフルオロメチル基等のハロアルキル基;シアノ基などが挙げられる。
なお、R31とR32、R31とR33、R34とR35、R35とR36、R36とR37、R38とR39、R39とR40、R40とR41がそれぞれ隣接する基同士で結合して形成する環としては、ベンゼン環、またはシクロヘキサン環等が挙げられる。R31〜R41として好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基または置換基を有していても良い芳香族炭化水素基であるか、または隣接する基同士で結合して環を形成する。
一般式(II)および(II−1)〜(II−3)で表わされる化合物の金属M0(M1、M2
、M3およびM3')は、周期律表1族、2族、3族、12族、13族から選ばれる金属で
あれば特に限定されないが、好ましくは亜鉛、アルミニウム、ガリウム、ベリリウム、およびマグネシウムが挙げられる。
前記一般式(II)および(II−1)〜(II−3)で表わされる化合物の好ましい具体例を以下に示すが、これらに限定するものではない。
Figure 0004438394
Figure 0004438394
Figure 0004438394
Figure 0004438394
Figure 0004438394
Figure 0004438394
また、本発明の有機電界発光素子は、発光層におけるホスト材料として、前記一般式(III)で表される基を有する化合物を使用してもよい。
前記一般式(III)において、R51とR52、R53とR54がそれぞれ結合して形成する環
としては、ベンゼン環やシクロヘキサン環が挙げられる。
前記一般式(III)において、R51〜R54は、具体的には、水素原子;ハロゲン原子;
メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;ベンジル基等のアラルキル基;ビニル基等のアルケニル基;シアノ基;アミノ基;アシル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアリールオキシ基;ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基等のジアルキルアミノ基;ジベンジルアミノ基、ジフェネチルアミノ基などのジアラルキルアミノ基;トリフルオロメチル基等のα−ハロアルキル基;水酸基;置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等の芳
香族炭化水素基;置換基を有していてもよいチエニル基、ピリジル基等の芳香族複素環基を表わし、前記置換基としては、フッ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;ビニル基等のアルケニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアリールオキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基、アセチル基等のアシル基、トリフルオロメチル基等のハロアルキル基、シアノ基が挙げられる。
前記一般式(III)で表わされる基の好ましい具体例を以下に示すが、これらに限定す
るものではない。
Figure 0004438394
前記一般式(III)で表される基を有する化合物は、低分子であっても高分子であって
もよい。高分子の場合は、主鎖に含有されていてもよいし、また、側鎖として含有されていてもよい。
この化合物は分子量400〜1200程度の低分子化合物である場合が好ましく、一般式(III)で表される基を有する化合物は、化合物全体としての環の合計数が6〜20で
あるのが好ましく、より好ましくは7〜18である。また、一般式(III)で表される基
を有する化合物は、分子内に一般式(III)で表される単位を2〜3個有している化合物
が好ましい。
中でも、一般式(III)で表される基は、前記(S−1)あるいは(S−2)であるの
が特に好ましい。
一般式(III)で表される基を有する化合物は、下記一般式(III−1)または(III−
2)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0004438394
(式中、R55〜R62は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリル基、シアノ基、アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、α−ハロアルキル基、水酸基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表わし、R55とR56、R57とR58、R59とR60、R61とR62はそれぞれ互いに結合して環を形成しても良い。X4
およびX5は各々独立に、酸素原子または硫黄原子を示し、Q1は置換基を有していても良い芳香族炭化水素基または芳香族複素環基からなる2価の連結基を示す。)
Figure 0004438394
(式中、R63〜R74は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリル基、シアノ基、アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、α−ハロアルキル基、水酸基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表わし、R63とR64
65とR66、R67とR68、R69とR70、R71とR72、R73とR74はそれぞれ互いに結合して環を形成してもよい。X6〜X8は各々独立に、酸素原子または硫黄原子を示し、Q2
置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基または芳香族複素環基からなる3価の連結基を示す。)
前記一般式(III−1)において、R55〜R62は各々独立に、水素原子;ハロゲン原子
;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;ベンジル基等のアラルキル基;ビニル基等のアルケニル基;シアノ基;アミノ基;アシル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアリールオキシ基;ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基等のジアルキルアミノ基;ジベンジルアミノ基、ジフェネチルアミノ基などのジアラルキルアミノ基;トリフルオロメチル基等のα−ハロアルキル基;水酸基;置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基;置換基を有していてもよいチエニル基、ピリジル基等の芳香族複素環基を表わし、前記置換基としては、フッ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;ビニル基等のアルケニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアリールオキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基、アセチル基等のアシル基、トリフルオロメチル基等のハロアルキル基、シアノ基を示す。R55とR56、R57とR58、R59とR60、R61とR62はそれぞれ結合して、ベンゼン環、シクロヘキサン環等を形成してもよい。
4〜X5は各々独立に、酸素原子または硫黄原子を示す。
1は置換基を有していてもよい芳香族芳香族炭化水素基または芳香族複素環基からな
る2価の連結基を示し、前記置換基としては、フッ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;ビニル基等の炭素数2〜6のアルケニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基等のアリールオキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基、アセチル基等のアシル基、トリフルオロメチル基等のハロアルキル基、シアノ基などがあげられる。
連結基Q1の好ましい例を以下に示す。
Figure 0004438394
これらの中でも、連結基Q1は、(A−2)、(A−6)、(A−8)、(A−10)
あるいは(A−12)が好ましい。そして、これら連結基Q1を有し、環構造として(S
−1)または(S−2)を有する化合物であるものが最も好ましい。
前記一般式(III−1)で表わされる化合物の好ましい具体例を以下の表に示すが、こ
れらに限定するものではない。
Figure 0004438394
Figure 0004438394
前記一般式(III−2)において、R63〜R74は各々独立に、水素原子;ハロゲン原子
;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;ベンジル基等のアラルキル基;ビニル基等のアルケニル基;シアノ基;アミノ基;アシル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアリールオキシ基;ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基等のジアルキルアミノ基;ジベンジルアミノ基、ジフェネチルアミノ基などのジアラルキルアミノ基;トリフルオロメチル基等のα−ハロアルキル基;水酸基;置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基;置換基を有していてもよいチエニル基、ピリジル基等の芳香族複素環基を表わし、前記置換基としては、フッ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;ビニル基等のアルケニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアリールオキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基、アセチル基等のア
シル基、トリフルオロメチル基等のハロアルキル基、シアノ基を示す。R63とR64、R65とR66、R67とR68、R69とR70、R71とR72、R73とR74はそれぞれ互いに結合して、ベンゼン環、シクロヘキサン環等を形成していても良い。
6〜X8は各々独立に、酸素原子または硫黄原子を示す。
2は置換基を有していてもよい芳香族芳香族炭化水素基または芳香族複素環基からな
る3価の連結基を示し、前記置換基としては、フッ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;ビニル基等の炭素数2〜6のアルケニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基等のアリールオキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基、アセチル基等のアシル基、トリフルオロメチル基等のハロアルキル基、シアノ基などがあげられる。
連結基Q2の好ましい例を以下に示す。
Figure 0004438394
これらの中でも連結基Q2は、(B−1)、(B−2)あるいは(Bー7)が好ましい
。最も好ましくは、これら連結基を有し、環構造として(S−1)または(S−2)を有する場合である。
前記一般式(III−2)で表わされる化合物の好ましい具体例を以下の表に示すが、こ
れらに限定するものではない。
Figure 0004438394
Figure 0004438394
前記一般式(I)で表される化合物、前記一般式(II)で表される化合物、および前記一般式(III)で表される基を有する化合物は、各々発光層中に1種のみが含まれていて
もよく、各2種以上が含まれていてもよい。また、異なる一般式で表される化合物を併用してもよい。
ホスト材料としては、前記一般式(I)〜(III)のほかに、下記化合物等を使用して
も良い。
Figure 0004438394
Figure 0004438394
(上記式(IV)中、配位子である8−ヒドロキシキノリン構造は、フッ素原子、塩素原子
、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、あるいはメチル基、エチル基、t−ブチル基等の炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルキル基で置換されていてもよい。
なお1化合物中の3個の配位子は、同じ構造であっても異なっていてもよい。)
ホスト材料は、前述したように、同じ一般式で表わすことができる化合物を複数種併用しても良いし、また同じ一般式では表わせない化合物を2種以上併用しても良い。
本発明の有機電界発光素子において、発光層のホスト材料として特にも好ましいのは前記一般式(I)で表わされる化合物、または前記一般式(IV)で表わされる化合物である。
次に、本発明の有機電界発光素子の構造について、図面を参照しながら説明するが、本発明の有機電界発光素子の構造は何ら図示のものに限定されるものではない。
図1〜3は本発明の有機電界発光素子の実施の形態を模式的に示す断面図であり、1は基板、2は陽極、3は陽極バッファ層、4は正孔輸送層、5は発光層、6は正孔阻止層、7は電子輸送層、8は陰極を各々表わす。以下、図1に示す素子を中心に説明する。
基板1は有機電界発光素子の支持体となるものであり、石英やガラスの板、金属板や金属箔、プラスチックフィルムやシートなどが用いられる。特にガラス板や、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホンなどの透明な合成樹脂の板またはフイルムが好ましい。合成樹脂基板を使用する場合にはガスバリア性に留意する必要がある。基板のガスバリア性が小さすぎると、基板を通過した外気により有機電界発光素子が劣化することがあるので好ましくない。このため、合成樹脂基板の少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜等を設けてガスバリア性を確保する方法も好ましい方法の一つである。
基板1上には陽極2が設けられるが、陽極2は正孔輸送層4への正孔注入の役割を果たすものである。陽極2は、通常、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等の金属、インジウム及び/またはスズの酸化物などの金属酸化物、ヨウ化銅などのハロゲン化金属、カーボンブラック、あるいは、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子などにより構成される。陽極2は通常、スパッタリング法、真空蒸着法などにより形成されることが多い。また、銀などの金属微粒子、ヨウ化銅などの微粒子、カーボンブラック、導電性の金属酸化物微粒子、導電性高分子微粉末などで陽極2を形成する場合には、適当なバインダー樹脂溶液中に分散させて、基板1上に塗布することにより形成することもできる。さらに、導電性高分子で陽極2を形成する場合には、電解重合により基板1上に直接重合薄膜を形成したり、基板1上に導電性高分子を塗布して形成することもできる(Appl.Phys.Lett.,60巻,2711頁,1992年)。
陽極2は通常は単層構造であるが、所望により複数の材料からなる積層構造とすることも可能である。
陽極2の厚みは、必要とする透明性により異なる。透明性が必要とされる場合は、可視光の透過率を、通常60%以上、好ましくは80%以上とすることが望ましい。この場合、陽極の厚みは通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また通常1000nm以下、好ましくは500nm以下程度である。不透明でよい場合は陽極2の厚みは任意であり、所望により金属で形成して基板1を兼ねてもよい。
図1に示す構成の素子において、陽極2の上には正孔輸送層4が設けられる。正孔輸送層の材料に要求される条件としては、陽極からの正孔注入効率が高く、かつ、注入された正孔を効率よく輸送することができる材料であることが必要である。そのためには、イオン化ポテンシャルが小さく、可視光の光に対して透明性が高く、しかも正孔移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時や使用時に発生しにくいことが
要求される。また、発光層5に接するために発光層からの発光を消光したり、発光層との間でエキサイプレックスを形成して効率を低下させないことが求められる。上記の一般的要求以外に、車載表示用の応用を考えた場合、素子にはさらに耐熱性が要求される。従って、Tgとして85℃以上の値を有する材料が望ましい。
このような正孔輸送材料としては、例えば、4,4′−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニルで代表される2個以上の3級アミンを含み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族ジアミン(特開平5−234681号公報)、4,4′,4′−トリス(1−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン等のスターバースト構造を有する芳香族アミン化合物(J. Lumin., 72−74巻、985頁、1997年)、トリフェニルアミンの四量体から成る芳香族アミン化合物(Chem. Commun., 2175頁、1996年)、2,2′,7,7′−テトラキス−(ジフェニルアミノ)−9,9′−スピロビフルオレン等のスピロ化合物(Synth.Metals, 91巻、209頁、1997年)等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いてもよいし、必要に応じて、複数種混合して用いてもよい。
上記の化合物以外に、正孔輸送層4の材料として、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルトリフェニルアミン(特開平7−53953号公報)、テトラフェニルベンジジンを含有するポリアリーレンエーテルサルホン(Polym. Adv. Tech., 7巻、33頁、1996年)等の高分子材料が挙げられる。
正孔輸送層4は、スプレー法、印刷法、スピンコート法、ディップコート法、ダイコート法などの通常の塗布法や、インクジェット法、スクリーン印刷法など各種印刷法等の湿式成膜法や、真空蒸着法などの乾式成膜法で形成することができる。
塗布法の場合は、正孔輸送材料を1種または2種以上を、必要により正孔のトラップにならないバインダー樹脂や塗布性改良剤などの添加剤を添加し、適当な溶剤に溶解して塗布溶液を調製し、スピンコート法などの方法により陽極2上に塗布し、乾燥して正孔輸送層4を形成する。バインダー樹脂としては、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル等が挙げられる。バインダー樹脂は添加量が多いと正孔移動度を低下させるので、少ない方が望ましく、通常、50重量%以下が好ましい。
真空蒸着法の場合には、正孔輸送材料を真空容器内に設置されたルツボに入れ、真空容器内を適当な真空ポンプで10-4Pa程度にまで排気した後、ルツボを加熱して、正孔輸送材料を蒸発させ、ルツボと向かい合って置かれた、陽極2が形成された基板1上に正孔輸送層4を形成させる。
正孔輸送層4の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また通常300nm以下、好ましくは100nm以下である。この様に薄い膜を一様に形成するためには、一般に真空蒸着法がよく用いられる。
正孔輸送層4の上には発光層5が設けられる。発光層5は、少なくとも一般式(i)で表される化合物(本発明の有機金属錯体)を含有し、通常は、更に前述した各種ホスト材料を含有する。この発光層5は、電界を与えられた電極間において、陽極2から注入されて正孔輸送層4を移動する正孔と、陰極8から注入されて正孔阻止層6を移動する電子との再結合により励起されて、強い発光を示す。
なお発光層5は、本発明の性能を損なわない範囲で、本発明の有機金属錯体およびホスト材料以外の成分を含有していても良い。
例えば発光層に、(1)ホスト材料、および(2)本発明の有機金属錯体のほかに、(3)室温で燐光発光を示し、その最大発光波長が(2)の最大発光波長より短波長である化合物、を含有してもよい。これは、上記(3)の化合物を併用することにより、これが
増感剤の役割を果たし、本発明の有機金属錯体の発光が強められるためである。
上記(3)は、本発明の一般式(i)で表される化合物の中から選択しても良いし、また本明細書内で引用した各種文献・特許中に記載の公知の燐光性化合物の中から選んでも良い。上記(3)の条件を満たす限り、その構造に制限はない。
燐光発光を示す、一般式(i)で表される本発明の有機金属錯体の含有量は、発光層全体に対して0.1重量%以上が好ましく、また30重量%以下が好ましい。下限値を下回ると素子の発光効率向上に寄与できない場合があり、上限値を上回ると有機金属錯体同士が2量体を形成する等の理由で濃度消光が起き、発光効率の低下に至る可能性がある。燐光発光を示す発光層における燐光性ドーパントの量は、従来の蛍光(1重項)を用いた素子において、発光層に含有される蛍光性色素(ドーパント)の量より、若干多い方が好ましい傾向がある。
また燐光性ドーパントと共に蛍光色素が発光層中に含有される場合、該蛍光色素の量は、0.05重量%以上が好ましく、0.1重量%以上がより好ましい。また10重量%以下が好ましく、3重量%以下がより好ましい。
一般式(i)で表される本発明の化合物は、発光層内に均一に分布していても良く、膜厚方向に分布をもって、不均一に存在していても良い。
発光層5の膜厚は、通常3nm以上、好ましくは5nm以上であり、また通常200nm以下、好ましくは100nm以下である。
なお、発光層5は、本発明の性能を損なわない範囲で上記以外の成分を含んでいてもよい。発光層は、正孔輸送層4と同様の方法にて薄膜形成される。
発光層も正孔輸送層と同様の方法で形成することができる。上述の蛍光色素および/または燐光色素(燐光性ドーパント)を発光層のホスト材料にドープする方法を以下に説明する。
塗布の場合は、前記発光層ホスト材料と、ドープ用色素、さらに必要により、電子のトラップや発光の消光剤とならないバインダー樹脂や、レベリング剤等の塗布性改良剤などの添加剤を添加し溶解した塗布溶液を調整し、スピンコート法などの方法により正孔輸送層4上に塗布し、乾燥して発光層5を形成する。バインダー樹脂としては、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル等が挙げられる。バインダー樹脂は添加量が多いと正孔/電子移動度を低下させるので、少ない方が望ましく、50重量%以下が好ましい。
真空蒸着法の場合には、前記ホスト材料を真空容器内に設置されたるつぼに入れ、ドープする色素を別のるつぼに入れ、真空容器内を適当な真空ポンプで1.0×10-4Torr程度にまで排気した後、各々のるつぼを同時に加熱して蒸発させ、るつぼと向かい合って置かれた基板上に層を形成する。また、他の方法として、上記の材料を予め所定比で混合したものを同一のるつぼを用いて蒸発させてもよい。
上記各ドーパントが発光層中にドープされる場合、発光層の膜厚方向において均一にドープされるが、膜厚方向において濃度分布があっても構わない。例えば、正孔輸送層との界面近傍にのみドープしたり、逆に、正孔阻止層界面近傍にドープしてもよい。
発光層も正孔輸送層と同様の方法で形成することができるが、通常は真空蒸着法が用いられる。
図1に示す素子において、正孔阻止層6は発光層5の上に、発光層5の陰極側の界面に接するように積層される。
正孔阻止層は、正孔輸送層から移動してくる正孔を陰極に到達するのを阻止する役割と
、陰極から注入された電子を効率よく発光層の方向に輸送することができる化合物より形成されることが好ましい。正孔阻止層を構成する材料に求められる物性としては、電子移動度が高く正孔移動度が低いことが必要とされる。正孔阻止層6は正孔と電子を発光層内に閉じこめて、発光効率を向上させる機能を有する。
本発明で用いられる正孔阻止層のイオン化ポテンシャルは発光層のイオン化ポテンシャル(発光層がホスト材料とドーパントを含んでいる場合にはホスト材料のイオン化ポテンシャル)より0.1eV以上大きいことが好ましい。イオン化ポテンシャルは物質のHOMO(最高被占分子軌道)レベルにある電子を真空準位に放出するのに必要なエネルギーで定義される。イオン化ポテンシャルは光電子分光法で直接定義されるか、電気化学的に測定した酸化電位を基準電極に対して補正しても求められる。後者の方法の場合、例えば飽和甘コウ電極(SCE)を基準電極として用いたとき、
Figure 0004438394
さらに、本発明で用いられる正孔阻止層の電子親和力(EA)は、発光層の電子親和力(発光層がホスト材料とドーパントを含んでいる場合にはホスト材料の電子親和力)と比較して同等以上であることが好ましい。電子親和力もイオン化ポテンシャルと同様に真空準位を基準として、真空準位にある電子が物質のLUMO(最低空分子軌道)レベルに落ちて安定化するエネルギーで定義される。電子親和力は、上述のイオン化ポテンシャルから光学的バンドギャップを差し引いて求められるか、電気化学的な還元電位から下記の式で同様に求められる。
Figure 0004438394
従って、本発明で用いられる正孔阻止層は、酸化電位と還元電位をもちいて、(正孔阻止材料の酸化電位)−(発光材料の酸化電位)≧0.1V(正孔阻止材料の還元電位)≧(発光材料の還元電位)と表現することも出来る。
さらに後述の電子輸送層を有する素子の場合には、正孔阻止層の電子親和力は電子輸送層の電子親和力と比較して同等以下であることが好ましい。
(電子輸送材料の還元電位)≧(正孔阻止材料の還元電位)≧(発光材料の還元電位)
このような条件を満たす正孔阻止材料として、好ましくは、下記一般式(VII)で表わ
される混合配位子錯体が挙げられる。
Figure 0004438394
(式中、R16〜R21は、水素原子または任意の置換基を表す。M8はアルミニウム、ガリ
ウム、インジウムから選ばれる金属原子を表す。L5は以下に示す一般式(VIIa)、(VIIb)、(VIIc)のいずれかで表される。
Figure 0004438394
(式中、Ar11〜Ar15は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、Z3はシリコンまたはゲルマニウムを表す。)
前記一般式(VII) において、R16〜R21は水素原子または任意の置換基を表すが、好ましくは水素原子;塩素、臭素等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;ベンジル基等のアラルキル基;ビニル基等の炭素数2〜6のアルケニル基;シアノ基;アミノ基;アシル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基;カルボキシル基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアリールオキシ基;ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基等のジアルキルアミノ基;ジベンジルアミノ基、ジフェネチルアミノ基などのジアラルキルアミノ基;トリフルオロメチル基等のα−ハロアルキル基;水酸基;置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基;置換基を有していてもよいチエニル基、ピリジル基等の芳香族複素環基を表わす。
前記芳香族炭化水素基および芳香族複素環基が有しうる置換基としては、フッ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;ビニル基等の炭素数2〜6のアルケニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基
;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアリールオキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基;アセチル基等のアシル基;トリフルオロメチル基等のハロアルキル基;シアノ基等が挙げられる。R16ないしR21としてより好ましくは水素原子、アルキル基、ハロゲン原子またはシアノ基が挙げられる。またR19としては、シアノ基が特に好ましい。
上記式(VII)中、Ar11〜Ar15として、具体的には、置換基を有していてもよいフェ
ニル基、ビフェニル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基またはチエニル基、ピリジル基等の芳香族複素環基を表わす。
前記一般式(VII) で表わされる化合物の好ましい具体例を以下に示すが、これらに限定するものではない。
Figure 0004438394
Figure 0004438394
なお、これらの化合物は正孔阻止層中に、単独で用いてもよいし、必要に応じて、各々混合して用いてもよい。
Figure 0004438394
正孔阻止材料としては、前記一般式(VII) の混合配位子錯体の他に、以下の構造式で示される1,2,4−トリアゾール環残基を少なくとも1個有する化合物を用いることができる。
前記構造式で表わされる1,2,4−トリアゾール環残基を少なくとも1個有する化合
物の具体例を以下に示す。
Figure 0004438394
正孔阻止材料として、さらに、以下の構造式で示されるフェナントロリン環を少なくとも1個有する化合物が挙げられる。
Figure 0004438394
前記構造式で表わされるフェナントロリン環を少なくとも1個有する化合物の具体例を以下に示す。
Figure 0004438394
正孔阻止層6の膜厚は、通常0.3以上、好ましくは0.5nm以上であり、また通常100nm以下、好ましくは50nm以下である。正孔阻止層も正孔輸送層と同様の方法で形成することができるが、通常は真空蒸着法が用いられる。
陰極8は、正孔阻止層6を介して発光層5に電子を注入する役割を果たす。陰極8として用いられる材料は、前記陽極2に使用される材料を用いることが可能であるが、効率よく電子注入を行なうには、仕事関数の低い金属が好ましく、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀等の適当な金属またはそれらの合金が用いられる。具体例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム−リチウム合金等の低仕事関数合金電極が挙げられる。さらに、陰極と発光層または電子輸送層の界面にLiF、MgF2、Li2O等の極薄絶縁膜(0.1〜5nm)を挿入することも、素子の効率を向上させる有効な方法である(Appl. Phys. Lett., 70巻,152頁,1997年;特開平10−74586号公報;IEEE Trans. Electron. Devices,44巻,1245頁,1997年)。陰極8の膜厚は通常、陽極2と同様である。低仕事関数金属から成る陰極を保護する目的で、この上にさらに、仕事関数が高く大気に対して安定な金属層を積層することは素子の安定性を増す。この目的のために、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金等の金属が使われる。
素子の発光効率をさらに向上させることを目的として、図2および図3に示すように、正孔阻止層6と陰極8の間に電子輸送層7が設けられていてもよい。電子輸送層7は、電界を与えられた電極間において陰極から注入された電子を効率よく正孔阻止層6の方向に輸送することができる化合物より形成される。
このような条件を満たす材料としては、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体(特開昭59−194393号公報)、10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリンの金属錯体、オキサジアゾール誘導体、ジスチリルビフェニル誘導体、シロール誘導体、3−または5−ヒドロキシフラボン金属錯体、ベンズオキサゾール金属錯体、ベンゾチアゾール金属錯体、トリスベンズイミダゾリルベンゼン(米国特許第 5,645,948号)、キノキサリン化合物(特開平6−207169号公報)、フェナントロリン誘導体(特開平5−331459号公報)、2−t−ブチル−9,10−N,N′−ジシアノアントラキノンジイミン、n型水素化非晶質炭化シリコン、n型硫化亜鉛、n型セレン化亜鉛などが挙げられる。
電子輸送層6の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また通常200nm以下、好ましくは100nm以下である。
電子輸送層7は、正孔輸送層4と同様にして塗布法あるいは真空蒸着法により正孔阻止層6上に積層することにより形成される。通常は、真空蒸着法が用いられる。
正孔注入の効率をさらに向上させ、かつ、有機層全体の陽極への付着力を改善させる目的で、正孔輸送層4と陽極2との間に陽極バッファ層3を挿入することも行われている(図3参照)。陽極バッファ層3を挿入することで、初期の素子の駆動電圧が下がると同時に、素子を定電流で連続駆動した時の電圧上昇も抑制される効果がある。陽極バッファ層に用いられる材料に要求される条件としては、陽極とのコンタクトがよく均一な薄膜が形成でき、熱的に安定、すなわち、融点及びガラス転移温度が高く、融点としては300℃以上、ガラス転移温度としては 100℃以上であることが好ましい。さらに、イオン化ポテンシャルが低く陽極からの正孔注入が容易なこと、正孔移動度が大きいことが挙げられる。
この目的のために、陽極バッファ層3の材料として、これまでにポルフィリン誘導体やフタロシアニン化合物(特開昭63-295695号公報)、ヒドラゾン化合物、アルコキシ置換
の芳香族ジアミン誘導体、p-(9-アントリル)-N,N'-ジ-p-トリルアニリン、ポリチエニレ
ンビニレンやポリ-p-フェニレンビニレン、ポリアニリン(Appl. Phys. Lett.,64巻、1245頁,1994年)、ポリチオフェン(OpticalMaterials, 9巻、125頁、1998年)、スターバスト型芳香族トリアミン(特開平4-308688号公報)等の有機化合物や、スパッタ・カーボン膜(Synth.Met., 91巻、73頁、1997年)や、バナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、 モ
リブデン酸化物等の金属酸化物(J.Phys.D, 29巻、2750頁、1996年)が報告されてい る
また、正孔注入・輸送性の低分子有機化合物と電子受容性化合物を含有する層(特開平11−251067号公報、特開2000−159221号公報等に記載)や、芳香族アミノ基等を含有する非共役系高分子化合物に、必要に応じて電子受容性化合物をドープしてなる層(特開平11−135262号公報、特開平11−283750号公報、特開2000−36390号公報、特開2000−150168号公報、特開平2001−223084号公報、およびWO97/33193号公報など)、またはポリチオフェン等の導電性ポリマーを含む層(特開平10−92584号公報)なども挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記陽極バッファ層材料としては、低分子・高分子いずれの化合物を用いることも可能である。
低分子化合物のうち、よく使用されるものとしては、ポルフィン化合物又はフタロシアニン化合物が挙げられる。これらの化合物は中心金属を有していても良いし、無金属のものでも良い。これらの化合物の好ましい例としては、以下の化合物が挙げられる:
ポルフィン
5,10,15,20-テトラフェニル-21H,23H-ポルフィン
5,10,15,20-テトラフェニル-21H,23H-ポルフィンコバルト(II)
5,10,15,20-テトラフェニル-21H,23H-ポルフィン銅(II)
5,10,15,20-テトラフェニル-21H,23H-ポルフィン亜鉛(II)
5,10,15,20-テトラフェニル-21H,23H-ポルフィンバナジウム(IV)オキシド
5,10,15,20-テトラ(4-ピリジル)-21H,23H-ポルフィン
29H,31H-フタロシアニン
銅(II)フタロシアニン
亜鉛(II)フタロシアニン
チタンフタロシアニンオキシド
マグネシウムフタロシアニン
鉛フタロシアニン
銅(II)4,4'4'',4'''-テトラアザ-29H,31H-フタロシアニン
陽極バッファ層の場合も、正孔輸送層と同様にして薄膜形成可能であるが、無機物の場合には、さらに、スパッタ法や電子ビーム蒸着法、プラズマCVD法が用いられる。
以上の様にして形成される陽極バッファ層3の膜厚は、低分子化合物を用いて形成される場合、下限は通常3nm、好ましくは10nm程度であり、上限は通常100nm、好ましくは50nm程度である。
高分子化合物を用いる場合は、例えば、前記高分子化合物や電子受容性化合物、更に必要により正孔のトラップとならない、バインダー樹脂やレベリング剤等の塗布性改良剤などの添加剤を添加し溶解した塗布溶液を調製し、スプレー法、印刷法、スピンコート法、ディップコート法、ダイコート法などの通常のコーティング法や、インクジェット法等により陽極2上に塗布し、乾燥することにより陽極バッファ層3を薄膜形成することができる。バインダー樹脂としては、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル等が挙げられる。バインダー樹脂は該層中の含有量が多いと正孔移動度を低下させる虞があるので、少ない方が望ましく、陽極バッファ層3中の含有量で50重量%以下が好ましい。
また、フィルム、支持基板、ロール等の媒体に、前述の薄膜形成方法によって予め薄膜を形成しておき、媒体上の薄膜を、陽極2上に熱転写又は圧力転写することにより、薄膜形成することもできる。
以上のようにして、高分子化合物を用いて形成される陽極バッファ層3の、膜厚の下限は通常5nm、好ましくは10nm程度であり、上限は通常1000nm、好ましくは500nm程度である。
本発明の有機電界発光素子は、図1とは逆の構造、すなわち、基板上に陰極8、正孔阻止層6、発光層5、正孔輸送層4、陽極2の順に積層することも可能であり、既述したように少なくとも一方が透明性の高い2枚の基板の間に本発明の有機電界発光素子を設けることも可能である。同様に、図2または図3に示した前記各層構成とは逆の順に積層することも可能である。また、図1〜3のいずれの層構成においても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述以外の任意の層を有していてもよく、また上記複数の層の機能を併有する層を設けることにより、層構成を簡略化する等、適宜変形を加えることが可能である。
或いはまた、トップエミッション構造や陰極・陽極共に透明電極を用いて透過型とすることも可能である。
本発明は、有機電界発光素子が、単一の素子、アレイ状に配置された構造からなる素子、陽極と陰極がX−Yマトリックス状に配置された構造のいずれにおいても適用することができる。
本発明の有機電界発光素子によれば、正孔阻止層に特定の骨格を有する化合物を含有させることにより、色純度の良好で駆動安定性においても大きく改善された素子が得られる。特に、これまで材料選択の難しさ故に正孔阻止層の形成が困難であった青色(蛍光)発光素子や燐光発光素子において、発光効率、発光色純度及び駆動安定性に優れた素子が得られることから、フルカラーあるいはマルチカラーのパネルへの応用において優れた性能を発揮できる。
次に、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
(合成例1)
Figure 0004438394
窒素ガス雰囲気下、脱水THF溶液中に2−ブロモー4,5−ジフルオロアニソール5.
6gとテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0) 1.5 gを加え、2−ピリジルジンクブロマイド0.5M溶液50mLを室温で滴下した後、80℃に昇温し6時間加熱環流
を行った。反応終了後、溶媒を留去し、水を加え、ヘキサンによる抽出を数回繰り返した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィーによる精製を行い、1.5gの黄色のオイルを得た。得られた化合物のマススペクトル測定
結果により目的物であることが確認できた。
M/z : 221
(実施例1)
Figure 0004438394
@0013
合成例1で得られた化合物920 mgと三塩化イリジウム3水和物 780 mgに2―エトキシ
エタノール 20 mLおよび水5 mLを加え、窒素下、120度で11時間反応させた。室温まで冷
却した後、水を30mL加え、沈殿物を濾過した。得られた沈殿物とナトリウムアセチル
アセテート488mgを2−エトキシエタノール20 mL中、窒素雰囲気下、80℃でさらに3時間反応させた。反応終了後、水を加え、生じた粗生成物を濾過乾燥した。その後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、600mgの黄色結晶を得た。得られた化合物のマス
測定結果により目的物であることが確認できた。(M/e:732)得られた化合物の塩化メチ
レン溶液(4.0×10-5M)の蛍光発光スペクトルを図4に示す。
このように、本発明の有機金属錯体は青色発光を示す。また、本発明の有機金属錯体は化学的および電気的安定性が高いため、該錯体を使用することにより、発光効率が高く、長期間安定に駆動する有機電界発光素子を提供することができる。
本発明の有機電界発光素子の実施の形態の一例を示した模式的断面図である。 本発明の有機電界発光素子の実施の形態の別の例を示した模式的断面図である。 本発明の有機電界発光素子の実施の形態の別の例を示した模式的断面図である。 本発明の実施例1にて得られた化合物の、溶液中での蛍光発光スペクトルである。
符号の説明
1 基板
2 陽極
3 陽極バッファ層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 正孔阻止層
7 電子輸送層
8 陰極

Claims (9)

  1. 下記一般式(i)で表される有機金属錯体。
    Figure 0004438394
    (式中、XおよびYは各々独立に、フッ素原子、少なくとも1個のフッ素原子で置換された炭素数1〜15のアルキル基、少なくとも1個のフッ素原子で置換された炭素数1〜15のアルコキシ基、少なくとも1個のフッ素原子で置換された炭素数2〜30のアルコキシアルキル基、少なくとも1個のフッ素原子で置換された炭素数2〜30のアルコキシアルコキシ基、少なくとも1個のフッ素原子で置換された炭素数1〜10のアルキル鎖を1または2個有するアルキルアミノ基、少なくとも1個のフッ素原子で置換された炭素数6〜18の芳香族炭化水素基部分を1または2個有するアリールアミノ基、少なくとも1個のフッ素原子で置換された炭素数2〜30のアシル基部分を1または2個有するアシルアミノ基、少なくとも1個のフッ素原子で置換された炭素数1〜15のアルキルチオ基、少なくとも1個のフッ素原子で置換された炭素数6〜18の芳香族炭化水素基、−R101
    OR102、−OR103COR104、−COR105、および−OCOR106(但し、R101〜R106は、各々独立に、少なくとも1個のフッ素原子で置換された炭素数1〜15のアルキル
    基またはアルキレン基を表す。)よりなる群から選ばれる電子吸引性基を表す。上記電子吸引性基であるXとYとが、互いに結合して、少なくとも1個のフッ素原子で置換された5又は6員環を形成していてもよい。
    Zは、水酸基、ハロゲン原子または炭素数1〜4のアルキル基を置換基として有していてもよい炭素数1〜15のアルキル基、ハロゲン原子または炭素数1〜4のアルキル基を置換基として有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシル基、ハロゲン原子または炭
    素数1〜4のアルキル基を置換基として有していてもよい炭素数6〜18の芳香族炭化水素基、およびハロゲン原子または炭素数1〜4のアルキル基を置換基として有していてもよい酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を含む、5又は6員環の、単環または2〜4縮合環からなる芳香族複素環基よりなる群から選ばれる置換基を表す。
    MはRe、Ru、Co、Ir、PtまたはAuを表し、Lは、錯形成時に、中心金属Mとともに5員環もしくは6員環を形成する1価の2座配位子を表す。nは金属Mの価数を表し、1〜3の整数である。
    環Aは、フッ素原子、アセチル基、炭素数1〜5のアルキル基、および炭素数1〜5のアルコキシル基よりなる群から選ばれる置換基を有していてもよい、5または6員環である芳香族複素環を表す。
    Zと環Aは、互いに結合して、酸素原子、窒素原子、硫黄原子又は珪素原子を含んでいてもよい5又は6員環を形成していてもよい。
    1は炭素原子または窒素原子を表す。
    なお、式中の
    Figure 0004438394
    は単結合または二重結合を表す。)
  2. 分子量が500以上5000以下である、請求項1記載の有機金属錯体。
  3. 最大発光波長が480nm以下である、請求項1又は2に記載の有機金属錯体。
  4. 請求項1ないし3のいずれか一項に記載の有機金属錯体を含んでなる、発光材料。
  5. 請求項1ないし3のいずれか一項に記載の有機金属錯体を含んでなる、有機電界発光素子材料。
  6. 基板上に陽極、発光層、および陰極が順次積層されてなる有機電界発光素子であって、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の有機金属錯体を含有する層を有することを特徴とする、有機電界発光素子。
  7. 請求項1ないし3のいずれか一項に記載の有機金属錯体を含有する層が発光層である、請求項6記載の有機電界発光素子。
  8. 発光層が、正孔注入・輸送性または電子注入・輸送性を有するホスト材料を含有し、該ホスト材料に対して、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の有機金属錯体がドープされてなる、請求項7記載の有機電界発光素子。
  9. 更に、発光層の陰極側界面に接する正孔阻止層を有する、請求項7または8記載の有機電界発光素子。
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