JP4435371B2 - 指向性制御無線通信装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、基地局と複数の端末局との間でデータ通信を行う無線通信システムにおいて、基地局に適用される指向性制御無線通信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、屋内空間等において無線通信を行う場合、マルチパス(多重反射波)によるフェージングの影響を強く受けるため、最大受信波が到来する方向に指向性を絞って送受信することが有効となる。このためアダプティブアレイアンテナなどにより指向性を適応的に制御することが可能な指向性制御無線通信装置が知られている。
【0003】
このような指向性制御無線通信装置は、通常、アレイ状に配置された複数のアンテナ素子及びこれらに接続した複数の振幅位相調整機構などからなり、送受信信号に振幅位相調整を適当に施すことによって指向性を制御している。このときの振幅位相調整機構に乗じるウエイト値は適応処理理論や指向性合成理論に基づく計算やこれらのアルゴリズムによる実時間制御により決められる。
【0004】
これを実現したものとして、例えば、特開平9−219615号公報のアダプティブアレイアンテナ送受信装置が知られている。これは、図19に示すように、複数のアンテナ素子1からなるアレイアンテナと、各アンテナ素子1の送受信信号に対して設定された重み係数を乗じることにより振幅及び位相の重み付けを行う重み付け器2と、この重み付け器2を介して各アンテナ素子1への送信信号の分配と各アンテナ素子1からの受信信号の合成を行う分配/合成部3と、送受信部4と、外部演算装置5と、インターフェース6を備え、指向性の適応制御の計算を外部演算装置5で非リアルタイムで送受信相手の各端末毎に行い、各端末毎の重み付け値の切替えを送受信で予め各端末にタイムスロットを割振り、時分割で行うようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように送受信相手の各端末毎に対する振幅と位相の重み付け値を外部演算装置で予め計算し、各端末毎にアダプティブアレイ装置に設定する重み付け値を切替えるアダプティブアレイアンテナ送受信装置では、構成の簡単化及びコスト低下を図ることができるという利点がある。この装置では事前に計算した重み付け値の計算時に用いた諸条件が実際に通信を行う場合にも変化しないことが前提となる。諸条件とは、測定などにより予め知り得た端末からの電波の方向や大きさ、不要波の方向や大きさ、ノイズのレベルなどである。
【0006】
しかし、電波の伝搬環境は、時々刻々変化するため、事前に計算で用いた諸条件が時間経過とともに徐々に不適当となり、このため、予め計算した重み付け値が実際の通信時にはずれた値になってしまう。上述した公報のアダプティブアレイアンテナ送受信装置では、アダプティブアレイアンテナを基地局に用いて各端末と通信を行なう場合、比較的長い時間間隔で参照信号を出力し、その受信結果により重み付け値の再計算を外部演算装置で行うことになり、また、前のタイムスロットで重み付け値の再計算を行い、これを現在のタイムスロットでの重み付け値として使用するということになる。
【0007】
このため、タイムスロットの時間間隔が長くなると伝搬環境の変化に対応するまでに時間がかかってしまい、実際の通信時にはずれた値の重み付け値を使用してしまうという問題があった。これを解消するためタイムスロットの時間間隔を短くすることが考えられるが、しかしこのようにすると、外部演算装置として重み付け値の計算を高速で行う高価な外部演算装置が必要となり、また、伝搬環境のあまり変化しない時間においては必要のない計算処理を行うことになり、やはり問題が生じる。
【0008】
そこで、各請求項記載の発明は、電波伝搬環境の変化に対して充分に追従ができて適応性に優れ、しかも構成が簡単な指向性制御無線通信装置を提供する。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、複数のアンテナ素子からの信号の振幅と位相に重み付け値を乗じて合成した受信信号を復調する受信系と、変調した信号を複数に分配しこの分配した各信号の振幅と位相に重み付け値を乗じてそれぞれ前記各アンテナ素子から放射させる送信系を備え、通信相手と無線通信する指向性制御無線通信装置において、受信系は、通信相手に対応した到来波情報を基に計算で求めたメイン重み付け値を記憶したメイン重み付け値テーブルと、電波伝搬環境の変化を想定して到来波情報を修正した複数の修正到来波情報を基に計算で求めた複数種のサブ重み付け値を記憶したサブ重み付け値テーブルと、メイン重み付け値テーブルまたはサブ重み付け値テーブルから重み付け値を選択して読み出す選択手段と、この選択手段により選択されてメイン重み付け値テーブルまたはサブ重み付け値テーブルから読み出された重み付け値を各アンテナ素子からの受信信号の振幅と位相に乗じる重み付け手段と、この重み付け手段にて重み付けされた各受信信号を合成する合成手段と、この合成手段にて合成された受信信号の出力値を評価する評価手段を設け、選択手段にてメイン重み付け値テーブルからメイン重み付け値を選択して読み出し、この読み出したメイン重み付け値を重み付け手段にて各アンテナ素子からの受信信号の振幅と位相に乗じて合成手段からの受信信号の出力値を評価手段にて評価し、この評価手段が最適もしくは最適に近い重み付け値が重み付け手段に設定されているときの受信信号出力値として評価しなければ選択手段にてサブ重み付け値テーブルに記憶した複数種のサブ重み付け値から1種を選択して読み出し、この読み出したサブ重み付け値を重み付け手段にて各アンテナ素子からの受信信号の振幅と位相に乗じて合成手段からの受信信号の出力値を評価手段にて評価し、このサブ重み付け値の選択読み出しを評価手段が最適もしくは最適に近い重み付け値が重み付け手段に設定されているときの受信信号出力値として評価するまで繰り返すことにある。
【0011】
請求項記載の発明は、複数のアンテナ素子からの信号の振幅と位相に重み付け値を乗じて合成した受信信号を復調する受信系と、変調した信号を複数に分配しこの分配した各信号の振幅と位相に重み付け値を乗じてそれぞれ各アンテナ素子から放射させる送信系を備え、通信相手と周波数ホッピングスペクトラム拡散方式で無線通信する指向性制御無線通信装置において、受信系は、通信相手に対応したホッピング周波数毎の到来波情報を基に計算で求めたホッピング周波数毎のメイン重み付け値を記憶したメイン重み付け値テーブルと、電波伝搬環境の変化を想定してホッピング周波数毎の到来波情報を修正した複数の修正到来波情報を基に計算で求めた複数種のホッピング周波数毎のサブ重み付け値を記憶したサブ重み付け値テーブルと、メイン重み付け値テーブルまたはサブ重み付け値テーブルからホッピング周波数毎の重み付け値を選択して読み出す選択手段と、この選択手段により選択されてメイン重み付け値テーブルまたはサブ重み付け値テーブルから読み出されたホッピング周波数毎の重み付け値をホッピング周波数に対応して各アンテナ素子からの受信信号の振幅と位相に乗じる重み付け手段と、この重み付け手段にて重み付けされた各受信信号を合成する合成手段と、この合成手段にて合成された受信信号の出力値を評価する評価手段を設け、選択手段にてメイン重み付け値テーブルからホッピング周波数毎のメイン重み付け値を選択して読み出し、この読み出したメイン重み付け値をホッピング周波数毎に重み付け手段にて各アンテナ素子からの受信信号の振幅と位相に乗じて合成手段からの受信信号の出力値を前記評価手段にて評価し、この評価手段が最適もしくは最適に近い重み付け値が重み付け手段に設定されているときの受信信号出力値として評価しなければ選択手段にてサブ重み付け値テーブルに記憶したホッピング周波数毎の複数のサブ重み付け値から1種を選択して読み出し、この読み出したサブ重み付け値をホッピング周波数毎に重み付け手段にて前記各アンテナ素子からの受信信号の振幅と位相に乗じて合成手段からの受信信号の出力値を評価手段にて評価し、このホッピング周波数毎のサブ重み付け値の選択読み出しを評価手段が最適もしくは最適に近い重み付け値が重み付け手段に設定されているときの受信信号出力値として評価するまで繰り返すことにある。
【0013】
請求項記載の発明は、請求項1または2記載の指向性制御無線通信装置において、サブ重み付け値テーブルに記憶したサブ重み付け値を全て読み出し、これらを受信信号に乗じた時の合成手段からの受信信号の出力値が全て評価手段で最適もしくは最適に近い重み付け値が重み付け手段に設定されているときの受信信号出力値として評価されないときには、合成手段からの受信信号の中で出力値の評価が最も高い受信信号に対応するサブ重み付け値を重み付け手段が乗じる重み付け値に固定することにある。
【0016】
請求項記載の発明は、複数のアンテナ素子からの信号の振幅と位相に重み付け値を乗じて合成した受信信号を復調する受信系と、変調した信号を複数に分配しこの分配した各信号の振幅と位相に重み付け値を乗じてそれぞれ各アンテナ素子から放射させる送信系を備え、通信相手と無線通信する指向性制御無線通信装置において、受信系は、通信相手に対応した到来波情報を基に計算で求めたメイン重み付け値を記憶したメイン重み付け値テーブルと、電波伝搬環境の変化を想定して到来波情報を修正した複数の修正到来波情報を基に計算で求めた複数種のサブ重み付け値を記憶したサブ重み付け値テーブルと、重み付け値を逐次求める適応処理手段と、メイン重み付け値テーブルまたはサブ重み付け値テーブルに記憶したメイン重み付け値またはサブ重み付け値あるいは適応処理手段で逐次求める重み付け値を各アンテナ素子からの受信信号の振幅と位相に乗じる重み付け手段と、メイン重み付け値テーブルまたはサブ重み付け値テーブルから重み付け値を読み出すか適応処理手段で逐次求める重み付け値を重み付け手段に供給するかを切替える切替え手段と、重み付け手段にて重み付けされた各受信信号を合成する合成手段と、この合成手段にて合成された受信信号の出力値を評価する評価手段と、重み付け手段に重み付け値を固定する固定手段を設け、切替え手段にてメイン重み付け値テーブルからメイン重み付け値を読み出し、この読み出したメイン重み付け値を重み付け手段にて各アンテナ素子からの受信信号の振幅と位相に乗じて合成手段からの受信信号の出力値を前記評価手段にて評価し、この評価手段が最適もしくは最適に近い重み付け値が重み付け手段に設定されているときの受信信号出力値として評価しなければ切替え手段にてサブ重み付け値テーブルに記憶した複数種のサブ重み付け値を順次読み出し、この読み出したサブ重み付け値を順次重み付け手段にて各アンテナ素子からの受信信号の振幅と位相に乗じて合成手段からの受信信号の出力値を評価手段にて評価し、この評価手段が全てのサブ重み付け値について最適もしくは最適に近い重み付け値が重み付け手段に設定されているときの受信信号出力値として評価しなければ切替え手段にて適応処理手段で逐次求める重み付け値を重み付け手段に供給し、この重み付け値を重み付け手段にて各アンテナ素子からの受信信号の振幅と位相に乗じて合成手段からの受信信号の出力値を評価手段にて評価し、評価手段が最適もしくは最適に近い重み付け値が重み付け手段に設定されているときの受信信号出力値と評価したときに、重み付け手段が乗じる重み付け値を固定手段によって重み付け手段に固定することにある。
【0017】
請求項記載の発明は、複数のアンテナ素子からの信号の振幅と位相に重み付け値を乗じて合成した受信信号を復調する受信系と、変調した信号を複数に分配しこの分配した各信号の振幅と位相に重み付け値を乗じてそれぞれ各アンテナ素子から放射させる送信系を備え、通信相手と周波数ホッピングスペクトラム拡散方式で無線通信する指向性制御無線通信装置において、受信系は、通信相手に対応しホッピング周波数毎の到来波情報を基に計算で求めたホッピング周波数毎のメイン重み付け値を記憶したメイン重み付け値テーブルと、電波伝搬環境の変化を想定してホッピング周波数毎の到来波情報を修正した複数の修正到来波情報を基に計算で求めた複数種のホッピング周波数毎のサブ重み付け値を記憶したサブ重み付け値テーブルと、ホッピング周波数毎の重み付け値を逐次求める適応処理手段と、メイン重み付け値テーブルまたはサブ重み付け値テーブルに記憶したホッピング周波数毎のメイン重み付け値またはサブ重み付け値あるいは適応処理手段で逐次求めるホッピング周波数毎の重み付け値をホッピング周波数に対応して各アンテナ素子からの受信信号の振幅と位相に乗じる重み付け手段と、メイン重み付け値テーブルまたはサブ重み付け値テーブルからホッピング周波数毎の重み付け値を読み出すか適応処理手段でホッピング周波数毎に逐次求める重み付け値を重み付け手段に供給するかを切替える切替え手段と、重み付け手段にて重み付けされた各受信信号を合成する合成手段と、この合成手段にて合成された受信信号の出力値を評価する評価手段と、重み付け手段に重み付け値を固定する固定手段を設け、切替え手段にてメイン重み付け値テーブルからホッピング周波数毎のメイン重み付け値を読み出し、この読み出したメイン重み付け値をホッピング周波数毎に重み付け手段にて各アンテナ素子からの受信信号の振幅と位相に乗じて合成手段からの受信信号の出力値を評価手段にて評価し、この評価手段が最適もしくは最適に近い重み付け値が重み付け手段に設定されているときの受信信号出力値として評価しなければ切替え手段にてサブ重み付け値テーブルに記憶した複数種のホッピング周波数毎のサブ重み付け値を順次読み出し、この読み出したサブ重み付け値をホッピング周波数毎に順次重み付け手段にて各アンテナ素子からの受信信号の振幅と位相に乗じて合成手段からの受信信号の出力値を評価手段にて評価し、この評価手段が全てのサブ重み付け値について最適もしくは最適に近い重み付け値が重み付け手段に設定されているときの受信信号出力値として評価しなければ切替え手段にて適応処理手段で逐次求めるホッピング周波数毎の重み付け値をホッピング周波数毎に重み付け手段に供給し、この重み付け値を重み付け手段にて各アンテナ素子からの受信信号の振幅と位相に乗じて合成手段からの受信信号の出力値を評価手段にて評価し、評価手段が最適もしくは最適に近い重み付け値が重み付け手段に設定されているときの受信信号出力値と評価したときに、重み付け手段が乗じる重み付け値を固定手段によって重み付け手段に固定することにある。
【0018】
請求項記載の発明は、請求項1乃至のいずれか1記載の指向性制御無線通信装置において、評価手段は、合成手段からの受信信号の出力値において、この出力値の所望波信号と妨害波信号のレベル比が予め設定したスレッショルド値を越えるとき最適もしくは最適に近い重み付け値が重み付け手段に設定されているときの受信信号出力値として評価することにある。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1は無線通信システムを示す図で、LAN等の有線ライン1に接続した複数の基地局2-1、2-2と、この各基地局2-1、2-2のサービスエリア3-1、3-2内に存在する複数の端末局4-11、4-12、4-13、4-14、4-21、4-22、4-23とで構成されている。各端末局4-11〜4-23は、例えば、無線POSシステムにおけるPOS端末に接続されて使用される端末局のように一度設置されると、比較的長い期間にわたって位置が固定される、いわゆる半固定式のものである。各基地局2-1、2-2は本発明の指向性制御無線通信装置を備えたもので、指向性ビームB1、B2を使用して端末局と送受信を行うことで、マルチパスやシャドウィングなどの複雑な電波伝搬環境の屋内においても高い通信品質を確保できるようになっている。
【0020】
前記各基地局2-1、2-2が備えた指向性制御無線通信装置は、図2に示すように、送受信共用のアレイアンテナを構成する複数のアンテナ素子11、この各アンテナ素子11にそれぞれ接続したサーキュレータなどの複数の方向性結合器12、この各方向性結合器12からの受信信号のそれぞれ増幅する複数の低雑音増幅器(LNA)13、増幅した受信信号の振幅調整を行う複数のアッティネータ(ATT)14、増幅した受信信号の位相調整を行う複数のフェーズシフタ(PS)15、この各フェーズシフタ15から出力される受信信号を合成する合成器16、前記各アッティネータ14と各フェーズシフタ15の振幅と位相に重み付け値を乗じる制御を行う重み付け手段17、この重み付け手段17に設定する重み付け値を複数記憶した重み付け値記憶手段18、この重み付け値記憶手段18に記憶した複数の重み付け値の中から前記重み付け手段17に設定する重み付け値を選択する選択手段19、前記合成器16からの受信信号の出力値を評価する評価手段20、前記合成器16からの受信信号を復調し取出した受信データを送受信コントロール部21に供給する受信機22を備えている。前記低雑音増幅器13、アッティネータ14、フェーズシフタ15、合成器16及び受信機22は受信系を構成している。
【0021】
また、受信系の受信信号の振幅及び位相を制御する重み付け値の計算に必要な適応処理アルゴリズムを保持したマイクロプロセッサ23、適応処理アルゴリズムに必要な所望波/不要波に関する事前の情報を前記マイクロプロセッサ23に与える所望波/不要波情報入力部24を備えている。前記送受信コントロール部21は、装置全体を制御し、外部接続したホストコンピュータ等の外部装置と外部インターフェース(I/F)を介して受信データの送信、送信データの受信を行うようになっている。
【0022】
また、前記送受信コントロール部21からの送信データを変調して送信信号に変換する送信機25、この送信機25からの送信信号を同相分配する同相分配器26、この同相分配器26からの信号をそれぞれ位相調整する複数のフェーズシフタ27、それぞれ振幅調整する複数のアッティネータ28、この各アッティネータ28からの信号をそれぞれ電力増幅して前記各方向性結合器12に供給する複数のパワーアンプ29を備えている。前記送信機25、同相分配器26、フェーズシフタ27、アッティネータ28及びパワーアンプ29は送信系を構成している。前記各アッティネータ28と各フェーズシフタ27の振幅と位相も前記各アッティネータ14、各フェーズシフタ15と同様に前記重み付け値記憶手段18に記憶した重み付け値を前記重み付け手段17が乗じて制御するようになっている。
【0023】
前記マイクロプロセッサ23に保持された受信系の受信信号の振幅及び位相を制御する重み付け値の計算に必要な適応処理アルゴリズムには、MSN(maximum signal to noise ratio:最大SNR法)法や定包絡線信号用アルゴリズムであるCMA(constant modulus algorithm)法などがあり、それぞれ計算のための、不要波や所望波の電力や方向などの事前情報が必要になる。たとえば、MSN法の場合には、不要波電力と方向、所望波電力と方向、素子雑音電力などの情報が必要であり、これらの情報は事前に収集された後、前記所望波/不要波情報入力部24を通して前記マイクロプロセッサ23に供給されるようになっている。
【0024】
前記マイクロプロセッサ23は、この供給された事前の情報を基に適応処理アルゴリズムを使用して重み付け値を事前計算し、この計算した重み付け値を前記重み付け値記憶手段18に記憶するようになっている。前記重み付け値記憶手段18には重み付け値を格納する2つのテーブルが設けられ、一方は、メイン重み付け値テーブル18-1で、このメイン重み付け値テーブル18-1は図3の(a)に示すように各端末局4-11、4-12、4-13、4-14、4-21、4-22、4-23の各アンテナ素子11が受信する受信信号に対してそれぞれ振幅と位相の重み付け値を格納するようになっている。例えば、端末局4-11については各アンテナ素子11が受信する受信信号に対して振幅重み付け値A11、A12、A13、A14、…と位相重み付け値P11、P12、P13、P14、…を格納するようになっている。
【0025】
このメイン重み付け値テーブル18-1に格納した重み付け値は、前記所望波/不要波情報入力部24を通して予め収集した所望波、不要波の到来波の情報を基にしてマイクロプロセッサ23が適応処理アルゴリズムを使用して事前に計算した重み付け値で、以下、メイン重み付け値と称する。
【0026】
また、他方は、サブ重み付け値テーブル18-2で、このサブ重み付け値テーブル18-2は図3の(b)に示すように各端末局4-11、4-12、4-13、4-14、4-21、4-22、4-23の各アンテナ素子11が受信する受信信号に対してそれぞれ振幅と位相の重み付け値を複数種格納するようになっている。例えば、端末局4-11については各アンテナ素子11が受信する受信信号に対して4種類の振幅重み付け値A11a、A12a、A13a、A14a、…、A11b、A12b、A13b、A14b、…、A11c、A12c、A13c、A14c、…、A11d、A12d、A13d、A14d、…と位相重み付け値P11a、P12a、P13a、P14a、…、P11b、P12b、P13b、P14b、…、P11c、P12c、P13c、P14c、…、P11d、P12d、P13d、P14d、…を格納するようになっている。
【0027】
このサブ重み付け値テーブル18-2に格納した重み付け値は、電波伝搬環境の変化を想定して到来波の情報を若干修正した複数種の修正到来波を設定し、この各修正到来波の情報を基にしてマイクロプロセッサ23が適応処理アルゴリズムを使用して事前に計算した重み付け値で、以下、サブ重み付け値と称する。この複数種のサブ重み付け値は、メイン重み付け値に対して所望波やヌル点の方向が微妙に異なるような指向性パターンを形成する重み付け値である。
【0028】
この指向性制御無線通信装置は、各端末局から最初に受信信号を受信する時は、選択手段19により重み付け値記憶手段18のメイン重み付け値テーブル18-1からメイン重み付け値を読み出して重み付け手段17に設定する。重み付け手段17は設定されたメイン重み付け値に基づいて受信系のアッティネータ14及びフェーズシフタ15を制御する。すなわち、アッティネータ14の振幅に振幅重み付け値を乗じるとともにフェーズシフタ15の位相に位相重み付け値を乗じる。これにより、アンテナ全体を事前に収集した所望波/不要波の電力や方向などに対応して所望波の方向に強い指向性を持ち、不要波の方向にヌルを形成する指向性パターンにする。
【0029】
端末局からの情報を受信するときには、複数のアンテナ素子11で受信された各受信信号がそれぞれ方向性結合器12を通して受信系に送られる。そして、各受信信号は低雑音増幅器13で増幅された後、アッティネータ14でメインの振幅重み付け値が乗じられて振幅調整され、フェーズシフタ15でメインの位相重み付け値が乗じられて位相調整され、これらを通じて形成された指向性パターンで受信される。そして、各受信信号は合成器16で合成され、受信機22で復調され、受信データが送受信コントロール部21に供給される。この受信データは送受信コントロール部21から外部インターフェースを介してデータ処理部(図示せず)に送られ処理される。
【0030】
また、合成器16から出力される受信信号の出力値が評価手段20にて評価される。すなわち、事前に計算で求めた最適重み付け値によって重み付けされたアンテナ全体の指向性パターンが時間の経過とともに起きる電波伝搬環境の緩やかな変化によって最適に適さなくなる可能性があるので、評価手段20は合成器16からの受信信号の出力値を評価する。
【0031】
評価方法としては、受信信号から得られる出力値SIR(signal to interference ratio:所望波信号と不要波(妨害波)信号のレベル比)、又は出力値SINR(signal to interference plus noise ratio:所望波信号と不要波(妨害波)信号+熱雑音信号の比)を判定して行う。
【0032】
出力値SINRは、所望波出力と不要波出力+熱雑音出力の比であるため、受信系の受信信号出力の善し悪しを直接的に表す指標である。図4は合成器16からの受信信号の出力値SINRの経時変化を示したグラフである。この出力値SINRは重み付け手段17にメイン重み付け値を設定して得た結果である。そして、評価手段20での評価は予め出力値SINRのスレッショルド値を設定しておき、出力値SINRの変化をモニタし、区間ABやCDのように出力値SINRがスレッショルド値を越えたらそのときには最適もしくは最適に近い重み付け値が重み付け手段17に設定されている、すなわち、所定の出力であると評価する。一方、区間BCのようなその他の区間では出力値SINRがスレッショルド値を下回っており、電波伝搬環境の変化により重み付け値が不適当になり、所定の出力値でないと評価する。
【0033】
そして、評価手段20で合成器16からの受信信号の出力値が所定の出力値でないと評価されると、選択手段19は今度は重み付け値記憶手段18のサブ重み付け値テーブル18-2に格納されている4種類のサブ重み付け値の中から1種類を読み出して重み付け手段17に設定する。重み付け手段17は設定されたサブ重み付け値を受信系のアッティネータ14の振幅及びフェーズシフタ15の位相に乗じる制御を行う。これにより、アンテナ全体の指向性を前述したメイン重み付け値を設定した時の指向性パターンに対して所望波やヌル点の方向が微妙に異なるような指向性パターンにする。
【0034】
そして、再度評価手段20により合成器16からの受信信号の出力値を評価する。このときも所定の出力値でないと評価されると選択手段19はサブ重み付け値テーブル18-2に格納されている残りの3種類のサブ重み付け値の中から1種類を読み出して重み付け手段17に設定する。また、評価手段20が所定の出力値であると評価するとそのときに重み付け手段17に設定されているサブ重み付け値が重み付け値として重み付け手段17に固定される。
【0035】
このようにして、複数のアンテナ素子11からの受信信号の振幅と位相に重み付け値を乗じた受信信号を合成器16で合成した出力値が所定の出力値であると評価手段20にて評価されたときの重み付け値、すなわち、電波伝搬環境の経時変化に対応した指向性パターンを形成する重み付け値が重み付け手段17に固定されることになる。
【0036】
また、データ処理部から外部インターフェースを介して送受信コントロール部21に送信データが送られると、送信系では、送信機25によって送信データを送信信号に変調する。送信機25からの送信信号が同相分配器26によって複数の送信信号に同相分配されて各フェーズシフタ27、各アッティネータ28及び各パワーアンプ29に順次供給される。そして、重み付け手段17にて各フェーズシフタ27では位相に重み付け値が乗じられ各アッティネータ28では振幅に重み付け値が乗じられる。
【0037】
送信系の重み付け値は適当な指向性合成理論を用いて各端末局に対して所望の指向性パターンが得られるような重み付け値を予め計算で求めて重み付け値記憶手段18に記憶したものを使用する。そして、送信時には受信系と同様に各端末局毎に重み付け値を切替えて使用する。
【0038】
各パワーアンプ29から出力される送信信号は各方向性結合器12を介して各アンテナ素子11にそれぞれ送られ、各アンテナ素子11から送信信号に対応した電波が放射される。
【0039】
図5は重み付け値記憶手段18のメイン重み付け値テーブル18-1に格納するメイン重み付け値をマイクロプロセッサ23が適応処理アルゴリズムを使用して計算するときの適応処理を示す流れ図である。このときの適応処理アルゴリズムは、MSN(maximum signal to noise ratio:最大SNR)アルゴリズムと呼ばれ、所望波と不要波の電力や方向の情報がわかっているときに受信指向性を最適するのに適している。従って、無線LANシステムや無線POSシステムなどのように端末局の設置位置が半固定で所望波方向や不要波方向が既知の通信システムに適している。
【0040】
この適応処理アルゴリズムを使用した適応処理は、先ず、S1にて、計算に必要な事前情報である、到来角θi、θsの入力、Ps、Pi、Pnの入力を行う。また、周波数ホッピングスペクトラム拡散変調を使用した場合も考慮して周波数fhも入力する。ここで、θiは不要波到来角であり、θsは所望波到来角であり、Psは所望波電力であり、Piは不要波電力であり、Pnは素子雑音電力である。これらの情報をもとに入力信号ベクトルを作成する。
【0041】
次に、S2にて、所望波の到来方向情報をアルゴリズムに与えるステアリングベクトル/sの計算を行う。次に、S3にて、相関行列Rxxの計算を行い、続いて、S4にて、相関行列Rxxの逆行列の計算を行う。そして、S5にて、最適重み付け値(Wopt)のベクトル計算を行う。最適重み付けベクトルは相関行列の逆行列とステアリングベクトルの積で計算される。
【0042】
続いて、S6にて、求めた最適複素重み付け値を振幅重み付け値、位相重み付け値に変換する。そして、S7にて、求めた振幅重み付け値及び位相重み付け値をメイン重み付け値テーブル18-1に格納する。
【0043】
なお、適応処理アルゴリズムとしては、上述したMSNアルゴリズムに限らず、MMSE(最小二乗誤差法)やCMA(定包絡線信号用アルゴリズム)なども適用可能である。但し、この場合、MSNアルゴリズムとは事前に知っておく情報が異なる。
【0044】
図6は重み付け値記憶手段18のサブ重み付け値テーブル18-2に格納する複数種のサブ重み付け値をマイクロプロセッサ23が適応処理アルゴリズムを使用して計算するときの適応処理を示す流れ図である。このときの適応処理アルゴリズムも前述したアルゴリズムと同様にMSNアルゴリズムを使用して処理を行う。
【0045】
この適応処理アルゴリズムを使用した適応処理は、先ず、S11にて、選択数、すなわち重み付け値の組数Nの入力を行う。ここでは、N=4である。続いて、S12にて、例えば、不要波到来角のパラメータθiを微妙に異ならせる。
【0046】
そして、S13にて、到来角θi、θsの入力、Ps、Pi、Pnの入力を行い、S14にて、所望波の到来方向情報をアルゴリズムに与えるステアリングベクトル/sの計算を行い、S15にて、相関行列Rxxの計算を行い、S16にて、相関行列Rxxの逆行列の計算を行う。続いて、S17にて、最適重み付け値(Wopt)のベクトル計算を行い、S18にて、求めた最適複素重み付け値を振幅重み付け値、位相重み付け値に変換し、S19にて、求めた振幅重み付け値及び位相重み付け値をサブ重み付け値テーブル18-2に格納する。
【0047】
そして、振幅重み付け値、位相重み付け値を求め、サブ重み付け値テーブル18-2に格納する処理が4種類について行われるまで不要波到来角のパラメータθiを微妙に変化させながら繰返し行い、4種類の振幅重み付け値、位相重み付け値がサブ重み付け値テーブル18-2に格納されると、この適応処理を終了する。
【0048】
こうして図5及び図6の適応処理を行うことで1台の端末局に対する重み付け値の算出処理が終了し、このような適応処理を設置されている端末局の数だけ行うことになる。
【0049】
図7の(a)は図5の適応処理で求めた振幅と位相のメイン重み付け値を使用して形成される受信系の指向性パターン例を示し、図7の(b)は図6の適応処理で求めた4種類の振幅と位相のサブ重み付け値を使用して形成される受信系の指向性パターン例を示している。なお、このグラフの横軸は角度を表し、縦軸はアレー応答値、すなわち、受信出力値を表している。
【0050】
このように、事前に収集した所望波や不要波の情報に対応した指向性パターンを形成するメイン重み付け値の他に電波伝搬環境の変化を想定して複数種の指向性パターンを形成する複数のサブ重み付け値を予め用意し、電波伝搬環境の変化に対してこれらの重み付け値の中から適宜選択することで対応できる。
【0051】
図8は重み付け手段17に設定する重み付け値記憶手段18の重み付け値を切替えするときの処理を示す流れ図で、先ず、S21にて、出力値SINRのスレッショルド値を設定し評価手段20を確定する。そして、S22にて、選択手段19により重み付け値記憶手段18のメイン重み付け値テーブル18-1からメイン重み付け値を読み出して重み付け手段17に設定する。これにより、重み付け手段17は各アンテナ素子11からの受信信号の振幅と位相にメイン振幅重み付け値、メイン位相重み付け値を乗ずることになる。
【0052】
続いて、S23にて、合成器16の出力値を評価手段20にて評価する。すなわち、出力値SINRがスレッショルド値以上か否かを判断する。これは設定した重み付け値が電波伝搬環境に適しているか否かを判定することになる。そして、出力値SINRがスレッショルド値以上あることを判断すると、すなわち、所定の出力値であると判断すると、S24にて、重み付け手段17に設定した重み付け値を固定して出力値SINRの変化をモニタする。
【0053】
しかし、出力値SINRがスレッショルド値未満であることを判断すると、S25にて、選択手段19は重み付け値記憶手段18から読み出す重み付け値を切替える。すなわち、メイン重み付け値に替えてサブ重み付け値テーブル18-2に格納してある4種類のサブ重み付け値から1つ、例えば、サブ重み付け値W1を読み出して重み付け手段17に設定する。
【0054】
そして、S26にて、同様に合成器16の出力値を評価手段20にて評価する。すなわち、出力値SINRがスレッショルド値以上か否かを判断する。そして、出力値SINRがスレッショルド値以上あることを判断すると、S24にて、重み付け手段17に設定した重み付け値を固定して出力値SINRの変化をモニタする。
【0055】
しかし、出力値SINRがスレッショルド値未満であることを判断すると、S27にて、サブ重み付け値テーブル18-2から読み出す重み付け値を切替える。すなわち、サブ重み付け値Wnを読み出して重み付け手段17に設定する。この場合は、Wn=W2となる。
【0056】
そして、S28にて、同様に合成器16の出力値を評価手段20にて評価する。すなわち、出力値SINRがスレッショルド値以上か否かを判断する。そして、出力値SINRがスレッショルド値以上あることを判断すると、S24にて、これ以降の重み付け値の選択読み出しを停止することによって、重み付け手段17に設定した重み付け値を固定し、出力値SINRの変化をモニタする。
【0057】
しかし、出力値SINRがスレッショルド値未満であることを判断すると、S29にて、候補であるW1〜W4の全てを選択したかをチェックし、全てを選択していなければS27に戻ってサブ重み付け値テーブル18-2から読み出すサブ重み付け値を切替える。また、候補であるW1〜W4の全てを選択していれば、S30にて、選択手段19は1つのメイン重み付け値、4つのサブ重み付け値の中から出力値SINRが最大の重み付け値を選択する。
【0058】
そして、S24にて、重み付け手段17にこの選択した重み付け値を固定する。こうして、重み付け手段17は合成器16からの出力の出力値SINRが変化するまでこの固定した重み付け値を受信信号の振幅及び位相に乗ずる制御を行うことになる。そして、出力値SINRが変化することがあると、S22の処理に戻って、再び、重み付け値記憶手段18のメイン重み付け値テーブル18-1からメイン重み付け値を読み出して重み付け手段17に設定し、上述した処理と同様の処理を開始する。
【0059】
このように、先ず、事前に計算して記憶したメイン重み付け値テーブル18-1のメイン重み付け値を設定して重み付け制御を行い、このメイン重み付け値が電波伝搬環境に適合しないときには、今度はメイン重み付け値のときとは指向性パターンが微妙に異なるように設定して事前に計算して記憶したサブ重み付け値テーブル18-2の4種類のサブ重み付け値を順次設定して最終的に最適な重み付け値を設定するようにしている。
【0060】
従って、重み付け値をリアルタイムで求める適応処理を行わず、事前に適応処理アルゴリズムを使用して計算で求めた重み付け値を使用するため、高速応答性が要求されず、大部分をソフトウエアで処理できるようになり、ハードウエア構成が極めて簡単になる。
【0061】
また、例えば、屋内で使用する場合には、人の増減などによる電波伝搬環境の変化を想定し、予めいくつかの選択可能な重み付け値を用意しておき、合成器16からの出力の出力値SINRを評価手段20にて評価しながら最適な重み付け値を選択して重み付け手段17に設定するようにしている。従って、より電波伝搬環境の変化に対応できる。特に、POSシステムなど、端末局が半固定的に設置されるシステムにおいては、複数の端末局に対して相手局に応じた送信及び受信における重み付け値を適宜選択し直すことによって電波伝搬環境の変化にほぼ追従でき、しかも、処理系が非リアルタイムであることから、ソフトウエア処理が可能となり、コストを低く抑えることができる。
【0062】
(第2の実施の形態)
なお、前述した実施の形態と同一の部分には同一の符号を付し異なる部分について述べる。この実施の形態は周波数ホッピングスペクトラム拡散変調方式(FF/SS)の無線通信システムに適用したものである。この実施の形態の指向性制御無線通信装置の構成は基本的には図2と同じで、異なる点は受信機22としてFH/SS受信機を使用し、送信機25としてFH/SS送信機を使用している点、また、重み付け値記憶手段18に図9に示す構成のメイン重み付け値テーブル181-1と図10に示すサブ重み付け値テーブル181-2を設けている点である。
【0063】
前記メイン重み付け値テーブル181-1は、各端末局4-11、4-12、4-13、4-14、4-21、4-22、4-23の各アンテナ素子11が受信するn個のホッピング周波数の受信信号に対してそれぞれ振幅と位相の重み付け値を格納するようになっている。
【0064】
例えば、端末局4-11については各アンテナ素子11が受信する1個目のホッピング周波数の受信信号に対しては振幅重み付け値A111、A121、A131、A141、…と位相重み付け値P111、P121、P131、P141、…を格納するようになっている。また、n個目のホッピング周波数の受信信号に対しては振幅重み付け値A11n、A12n、A13n、A14n、…と位相重み付け値P11n、P12n、P13n、P14n、…を格納するようになっている。
【0065】
このメイン重み付け値テーブル181-1に格納した重み付け値は、所望波/不要波情報入力部24を通して予め収集した所望波、不要波の到来波の情報を基にしてマイクロプロセッサ23が適応処理アルゴリズムを使用して事前に計算した重み付け値で、以下、メイン重み付け値と称する。
【0066】
また、前記サブ重み付け値テーブル181-2は、各端末局4-11、4-12、4-13、4-14、4-21、4-22、4-23の各アンテナ素子11が受信するn個のホッピング周波数の受信信号に対してそれぞれ振幅と位相の重み付け値を複数種格納するようになっている。
【0067】
例えば、端末局4-11については各アンテナ素子11が受信する1個目のホッピング周波数の受信信号に対しては4種類の振幅重み付け値A111a、A121a、A131a、A141a、…、A111b、A121b、A131b、A141b、…、A111c、A121c、A131c、A141c、…、A111d、A121d、A131d、A141d、…と位相重み付け値P111a、P121a、P131a、P141a、…、P111b、P121b、P131b、P141b、…、P111c、P121c、P131c、P141c、…、P111d、P121d、P131d、P141d、…を格納するようになっている。
【0068】
図11は重み付け手段17に設定する重み付け値記憶手段18の重み付け値を切替えするときの処理を示す流れ図で、先ず、S31にて、出力値SINRのスレッショルド値を設定し評価手段20を確定する。そして、S32にて、選択手段19により重み付け値記憶手段18のメイン重み付け値テーブル181-1からホッピング周波数fhに対するメイン重み付け値を読み出して重み付け手段17に設定する。これにより、重み付け手段17はホッピング周波数fhに対して各アンテナ素子11からの受信信号の振幅と位相にメイン振幅重み付け値、メイン位相重み付け値を乗ずることになる。
【0069】
続いて、S33にて、合成器16の出力値を評価手段20にて評価する。すなわち、出力値SINRがスレッショルド値以上か否かを判断する。これは設定した重み付け値が電波伝搬環境に適しているか否かを判定することになる。そして、出力値SINRがスレッショルド値以上あることを判断すると、すなわち、所定の出力値であると判断すると、S34にて、これ以降の重み付け値の選択読み出しを停止することによって重み付け手段17に設定した重み付け値を固定し、出力値SINRの変化をモニタする。
【0070】
しかし、出力値SINRがスレッショルド値未満であることを判断すると、S35にて、選択手段19は重み付け値記憶手段18から読み出す重み付け値を切替える。すなわち、メイン重み付け値に替えてサブ重み付け値テーブル181-2に格納してあるホッピング周波数fhに対する4種類の重み付け値から1つ、例えば、重み付け値W1を読み出して重み付け手段17に設定する。
【0071】
そして、S36にて、同様に合成器16の出力値を評価手段20にて評価する。すなわち、出力値SINRがスレッショルド値以上か否かを判断する。そして、出力値SINRがスレッショルド値以上あることを判断すると、S34にて、重み付け手段17に設定した重み付け値を固定して出力値SINRの変化をモニタする。
【0072】
しかし、出力値SINRがスレッショルド値未満であることを判断すると、S37にて、ホッピング周波数fhに対するサブ重み付け値テーブル181-2から読み出す重み付け値を切替える。すなわち、重み付け値Wnを読み出して重み付け手段17に設定する。この場合は、Wn=W2となる。
【0073】
そして、S38にて、同様に合成器16の出力値を評価手段20にて評価する。すなわち、出力値SINRがスレッショルド値以上か否かを判断する。そして、出力値SINRがスレッショルド値以上あることを判断すると、S34にて、重み付け手段17に設定した重み付け値を固定して出力値SINRの変化をモニタする。
【0074】
しかし、出力値SINRがスレッショルド値未満であることを判断すると、S39にて、ホッピング周波数fhにおけるサブ重み付け値の候補であるW1〜W4の全てを選択したかをチェックし、全てを選択していなければS37に戻ってサブ重み付け値テーブル181-2から読み出す重み付け値を切替える。また、候補であるW1〜W4の全てを選択していれば、S40にて、選択手段19はホッピング周波数fhにおける1つのメイン重み付け値、4つのサブ重み付け値の中から出力値SINRが最大の重み付け値を選択する。
【0075】
そして、S34にて、重み付け手段17にこの選択した重み付け値を固定する。こうして、重み付け手段17は次の周波数にホッピングするか、合成器16からの出力の出力値SINRが変化するまでこの固定した重み付け値を受信信号の振幅及び位相に乗ずる制御を行うことになる。
【0076】
そして、次の周波数にホッピングするか、出力値SINRが変化することがあると、S32の処理に戻って、再び、重み付け値記憶手段18のメイン重み付け値テーブル181-1からホッピング周波数fhに対するメイン重み付け値を読み出して重み付け手段17に設定し、上述した処理と同様の処理を開始する。なお、次の周波数にホッピングする場合はホッピング周波数fhが変化していることになる。
【0077】
このように周波数ホッピングスペクトラム拡散変調方式の無線通信システムにおいても、事前に計算で求めたメイン重み付け値及び4種類のサブ重み付け値を使用するようにしている。
【0078】
従って、重み付け値をリアルタイムで求める適応処理を行わず、事前に適応処理アルゴリズムを使用して計算で求めた重み付け値を使用するため、高速応答性が要求されず、大部分をソフトウエアで処理できるようになり、ハードウエア構成が極めて簡単になる。しかも、ホッピング周波数に対応した適切な重み付け値を設定できる。従って、前述した実施の形態と同様、より電波伝搬環境の変化に対応でき、特に、POSシステムなど、端末局が半固定的に設置されるシステムにおいて電波伝搬環境の変化にほぼ追従でき、しかもコストを低く抑えることができるという作用効果が得られるものである。
【0079】
(第3の実施の形態)
なお、前述した実施の形態と同一の部分には同一の符号を付し異なる部分について述べる。この実施の形態の指向性制御無線通信装置は図12に示す構成になっている。すなわち、合成器16の出力を取り込んで受信系の重み付け値の適応処理を行う適応処理手段30、重み付け手段17に設定する重み付け値を前記メイン重み付け値テーブル18-1に格納されているメイン重み付け値を使用するか前記適応処理手段30からの重み付け値を使用するか切替える切替スイッチ31、評価手段20の評価結果に基づいて前記切替スイッチ31の切替え制御を行う切替え手段32及び前記適応処理手段30が算出した重み付け値を固定する固定手段33を設けている。また、重み付け値記憶手段18に図3の(a)に示すメイン重み付け値テーブル18-1のみを設けている。その他については図2と同様である。
【0080】
前記適応処理手段30は、重み付け値をリアルタイムで求めるもので、例えば、受信系のリアルタイムに動作するMSNアルゴリズムによる適応処理を行う。前記適応処理手段30は、図13に示すように、各方向性結合器12からの各アンテナ素子11が受信した受信信号をA/D(アナログ/デジタル)変換器34によりデジタル信号に変換して取り込むとともに重み付けを行った受信信号を合成した合成器16からの出力をA/D変換器35によりデジタル信号に変換して取り込み、マイクロプロセッサ23を使用して最適化アルゴリズムをもとに、W(m+1)=W(m)+μ〔S−X(m)y*(m)〕の処理を行い、最適重み付け値を算出するようになっている。
【0081】
このアルゴリズムは、最急降下法に基づいたMSNアルゴリズムであり、mはm番目のサンプルを表し、μはステップサイズを表している。W(m)はm番目の、W(m+1)はm+1番目の最適重み付け値を表し、Sはステアリングベクトルを表し、y*(m)はm番目のアンテナ素子出力の複素共役値を表している。このようにして算出された重み付け値W(m+1)は位相、振幅成分に分解された後重み付け手段17に設定されるようになっている。
【0082】
図14は重み付け手段17に設定する重み付け値を切替えするときの処理を示す流れ図で、先ず、S41にて、出力値SINRのスレッショルド値を設定し評価手段20を確定する。そして、S42にて、切替え手段32は切替スイッチ31を重み付け値記憶手段18側に切替えてメイン重み付け値テーブル18-1からメイン重み付け値を読み出して重み付け手段17に設定する。
【0083】
メイン重み付け値を重み付け手段17に設定することで、重み付け手段17は各アンテナ素子11からの受信信号の振幅と位相にメイン振幅重み付け値、メイン位相重み付け値を乗ずることになる。
【0084】
続いて、S43にて、合成器16の出力値を評価手段20にて評価する。すなわち、出力値SINRがスレッショルド値以上か否かを判断する。これは設定した重み付け値が電波伝搬環境に適しているか否かを判定することになる。そして、出力値SINRがスレッショルド値以上あることを判断すると、すなわち、所定の出力値であると判断すると、S44にて、これ以降の重み付け値の読み出しを停止することによって重み付け手段17に設定した重み付け値を固定し、出力値SINRの変化をモニタする。
【0085】
しかし、出力値SINRがスレッショルド値未満であることを判断すると、S45にて、切替え手段32は切替スイッチ31を適応処理手段30側に切替える。これにより今度は適応処理手段30にてリアルタイムに算出された重み付け値が重み付け手段17に設定されるようになる。重み付け手段17は各アンテナ素子11からの受信信号の振幅と位相にメイン振幅重み付け値、メイン位相重み付け値を乗ずることになる。
【0086】
続いて、S46にて、合成器16の出力値を評価手段20にて評価する。すなわち、出力値SINRがスレッショルド値以上か否かを判断する。そして、出力値SINRがスレッショルド値以上になるまで適応処理手段30による重み付け値の設定が繰り返される。
【0087】
そして、出力値SINRがスレッショルド値以上になると、S44にて、このときの重み付け値を固定手段33に固定することによって重み付け手段17に設定した重み付け値を固定し、出力値SINRの変化をモニタする。
【0088】
S44において重み付け値を固定した後は、重み付け手段17は合成器16からの出力の出力値SINRが変化するまでこの固定した重み付け値を受信信号の振幅及び位相に乗ずる制御を行うことになる。そして、出力値SINRが変化することがあると、S45の処理に戻って、再び、適応処理手段30により計算した重み付け値を重み付け手段17に設定することになる。
【0089】
このように、最初は事前に計算して重み付け値記憶手段18に記憶してあるメイン重み付け値を重み付け手段17に設定して受信信号の重み付け制御を行い、このメイン重み付け値が電波伝搬環境の変化によって適合しなくなるとその後は適応処理手段30によりリアルタイムで算出される重み付け値を重み付け手段17に設定して重み付けの逐次制御を行うことになる。従って、常に最適な重み付け値が設定されることになる。
【0090】
また、適応処理手段30は、事前に計算したメイン重み付け値を初期値として適応処理を行うため収束性が高く、高速応答性が要求されず、また、出力値の再評価によってすぐに逐次制御を行う適応処理を終了する可能性が高い。すなわち、収束時間を短くできる。
【0091】
このように、事前に計算によって算出されたメイン重み付け値を主として用い、補助的に適応処理によってリアルタイムに算出された重み付け値を用いることで、逐次制御を行う適応処理手段30の負担は軽減され、高速計算や高速の収束性は要求されなくなり、従って、適応処理手段に専用のハードウエア等を用いなくてもソフトウエア処理などで実現可能となる。
【0092】
また、ソフトウエアの処理量は比較的軽いため、システムが持つマイクロプロセッサ23などのリソースを使用してマイクロプロセッサの通常処理に負担をかけない範囲での割り込み処理も可能となるため、簡単な構成で実現できる。また、主として、端末局が半固定的に設置されるシステムに適用して相手局に応じた送信及び受信の重み付け値を適宜調整し直すことによって電波伝搬環境の変化にほぼ追従でき、しかも、大部分をソフトウエアで処理でき、全てをリアルタイムの適応処理で重み付け値を設定する場合に比べてハードウエアの構成が簡単になり、コスト低下も図ることができる。
【0093】
(第4の実施の形態)
なお、前述した実施の形態と同一の部分には同一の符号を付し異なる部分について述べる。この実施の形態は周波数ホッピングスペクトラム拡散変調方式(FH/SS)の無線通信システムに適用したものである。この実施の形態の指向性制御無線通信装置の構成は基本的には図12と同じで、異なる点は受信機22としてFH/SS受信機を使用し、送信機25としてFH/SS送信機を使用している点、また、重み付け値記憶手段18に図9に示す構成のメイン重み付け値テーブル181-1のみを設けている点である。
【0094】
図15は重み付け手段17に設定する重み付け値を切替えするときの処理を示す流れ図で、先ず、S51にて、出力値SINRのスレッショルド値を設定し評価手段20を確定する。そして、S52にて、切替え手段32は切替スイッチ31を重み付け値記憶手段18側に切替えてメイン重み付け値テーブル18-1からホッピング周波数fhに対応したメイン重み付け値を読み出して重み付け手段17に設定する。
【0095】
メイン重み付け値を重み付け手段17に設定することで、重み付け手段17は各アンテナ素子11からの受信信号の振幅と位相にメイン振幅重み付け値、メイン位相重み付け値を乗ずることになる。
【0096】
続いて、S53にて、合成器16の出力値を評価手段20にて評価する。すなわち、出力値SINRがスレッショルド値以上か否かを判断する。これは設定した重み付け値が電波伝搬環境に適しているか否かを判定することになる。そして、出力値SINRがスレッショルド値以上あることを判断すると、すなわち、所定の出力値であると判断すると、S54にて、これ以降の重み付け値の読み出しを停止することによって重み付け手段17に設定した重み付け値を固定し、出力値SINRの変化をモニタする。
【0097】
しかし、出力値SINRがスレッショルド値未満であることを判断すると、S55にて、切替え手段32は切替スイッチ31を適応処理手段30側に切替える。これにより今度は適応処理手段30にてリアルタイムに算出されたホッピング周波数fhに対応した重み付け値が重み付け手段17に設定されるようになる。重み付け手段17は各アンテナ素子11からの受信信号の振幅と位相にメイン振幅重み付け値、メイン位相重み付け値を乗ずることになる。
【0098】
続いて、S56にて、合成器16の出力値を評価手段20にて評価する。すなわち、出力値SINRがスレッショルド値以上か否かを判断する。そして、出力値SINRがスレッショルド値以上になるまで適応処理手段30による重み付け値の設定が繰り返される。
【0099】
そして、出力値SINRがスレッショルド値以上になると、S54にて、このときの重み付け値を固定手段33に固定することによって重み付け手段17に設定した重み付け値を固定し、出力値SINRの変化をモニタする。
【0100】
重み付け値を固定した後は、重み付け手段17は次の周波数にホッピングするか、合成器16からの出力の出力値SINRが変化するまでこの固定した重み付け値を受信信号の振幅及び位相に乗ずる制御を行うことになる。そして、次の周波数にホッピングすることがあると、S52の処理に戻り、切替え手段32により切替スイッチ31を重み付け値記憶手段18側に切替えてメイン重み付け値テーブル18-1から次のホッピング周波数fhに対応したメイン重み付け値を読み出して重み付け手段17に設定する。
【0101】
また、合成器16からの出力の出力値SINRが変化することがあると、S55の処理に戻り、同一のホッピング周波数の基で再び適応処理手段30により計算した重み付け値を重み付け手段17に設定することになる。
【0102】
このように、周波数ホッピングスペクトラム拡散変調方式の無線システムにおいても、各ホッピング周波数毎に最初は事前に計算して重み付け値記憶手段18に記憶してあるメイン重み付け値を重み付け手段17に設定して受信信号の重み付け制御を行い、このメイン重み付け値が電波伝搬環境の変化によって適合しなくなるとその後は適応処理手段30によりリアルタイムで算出される重み付け値を重み付け手段17に設定して重み付けの逐次制御を行うことになる。従って、常にホッピング周波数毎に最適な重み付け値が設定されることになる。
【0103】
従って、この場合も逐次制御を行う適応処理手段30の負担は軽減され、高速計算や高速の収束性は要求されなくなり、従って、適応処理手段に専用のハードウエア等を用いなくてもソフトウエア処理などで実現可能となる。
【0104】
また、ソフトウエアの処理量は比較的軽いため、システムが持つマイクロプロセッサ23などのリソースを使用してマイクロプロセッサの通常処理に負担をかけない範囲での割り込み処理も可能となるため、簡単な構成で実現できる。また、主として、端末局が半固定的に設置されるシステムに適用して相手局に応じた送信及び受信の重み付け値を適宜調整し直すことによって電波伝搬環境の変化にほぼ追従でき、しかも、大部分をソフトウエアで処理でき、全てをリアルタイムの適応処理で重み付け値を設定する場合に比べてハードウエアの構成が簡単になり、コスト低下も図ることができる。
【0105】
(第5の実施の形態)
なお、前述した実施の形態と同一の部分には同一の符号を付し異なる部分について述べる。この実施の形態の指向性制御無線通信装置は図16に示す構成になっている。すなわち、切替え手段321は重み付け値記憶手段18から読み出す重み付け値を前記メイン重み付け値テーブル18-1から行うか前記サブ重み付け値テーブル18-2から行うかを切替えるとともに切替スイッチ31の切替え制御を行うようになっている。また、重み付け値記憶手段18に図3の(a)に示すメイン重み付け値テーブル18-1及び図3の(b)に示すサブ重み付け値テーブル18-2を設けている。その他については図2と同様である。
【0106】
図17は重み付け手段17に設定する重み付け値を切替えするときの処理を示す流れ図で、先ず、S61にて、出力値SINRのスレッショルド値を設定し評価手段20を確定する。そして、S62にて、切替え手段321により切替スイッチ31を重み付け値記憶手段18側に切替え、この重み付け値記憶手段18のメイン重み付け値テーブル18-1からメイン重み付け値を読み出して重み付け手段17に設定する。これにより、重み付け手段17は各アンテナ素子11からの受信信号の振幅と位相にメイン振幅重み付け値、メイン位相重み付け値を乗ずることになる。
【0107】
続いて、S63にて、合成器16の出力値を評価手段20にて評価する。すなわち、出力値SINRがスレッショルド値以上か否かを判断する。これは設定した重み付け値が電波伝搬環境に適しているか否かを判定することになる。そして、出力値SINRがスレッショルド値以上あることを判断すると、すなわち、所定の出力値であると判断すると、S64にて、これ以降の重み付け値の読み出しを固定することによって重み付け手段17に設定した重み付け値を固定し、出力値SINRの変化をモニタする。
【0108】
しかし、出力値SINRがスレッショルド値未満であることを判断すると、S65にて、切替え手段321は重み付け値記憶手段18から読み出す重み付け値をメイン重み付け値テーブル18-1からサブ重み付け値テーブル18-2に切替え、このサブ重み付け値テーブル18-2に格納してある4種類のサブ重み付け値から1つ、例えば、サブ重み付け値W1を読み出して重み付け手段17に設定する。
【0109】
そして、S66にて、同様に合成器16の出力値を評価手段20にて評価する。すなわち、出力値SINRがスレッショルド値以上か否かを判断する。そして、出力値SINRがスレッショルド値以上あることを判断すると、S64にて、重み付け手段17に設定した重み付け値を固定して出力値SINRの変化をモニタする。
【0110】
しかし、出力値SINRがスレッショルド値未満であることを判断すると、S67にて、サブ重み付け値テーブル18-2から読み出す重み付け値を切替える。すなわち、サブ重み付け値Wnを読み出して重み付け手段17に設定する。この場合は、Wn=W2となる。
【0111】
そして、S68にて、同様に合成器16の出力値を評価手段20にて評価する。すなわち、出力値SINRがスレッショルド値以上か否かを判断する。そして、出力値SINRがスレッショルド値以上あることを判断すると、S64にて、重み付け手段17に設定した重み付け値を固定して出力値SINRの変化をモニタする。
【0112】
しかし、出力値SINRがスレッショルド値未満であることを判断すると、S69にて、候補であるW1〜W4の全てを選択したかをチェックし、全てを選択していなければS67に戻ってサブ重み付け値テーブル18-2から読み出すサブ重み付け値を切替える。また、候補であるW1〜W4の全てを選択していれば、S70にて、切替え手段321は切替スイッチ31を適応処理手段30側に切替える。これにより今度は適応処理手段30にてリアルタイムに算出された重み付け値が重み付け手段17に設定されるようになる。重み付け手段17は各アンテナ素子11からの受信信号の振幅と位相にメイン振幅重み付け値、メイン位相重み付け値を乗ずることになる。
【0113】
続いて、S71にて、合成器16の出力値を評価手段20にて評価する。すなわち、出力値SINRがスレッショルド値以上か否かを判断する。そして、出力値SINRがスレッショルド値以上になるまで適応処理手段30による重み付け値の設定が繰り返される。
【0114】
そして、出力値SINRがスレッショルド値以上になると、S64にて、このときの重み付け値を固定手段33に固定することによって重み付け手段17に設定した重み付け値を固定し、出力値SINRの変化をモニタする。
【0115】
S64にて重み付け値を固定した後は、重み付け手段17は合成器16からの出力の出力値SINRが変化するまでこの固定した重み付け値を受信信号の振幅及び位相に乗ずる制御を行うことになる。そして、出力値SINRが変化することがあると、S70の処理に戻って、再び、適応処理手段30により計算した重み付け値を重み付け手段17に設定することになる。
【0116】
このように、先ず、事前に計算して記憶したメイン重み付け値テーブル18-1のメイン重み付け値を重み付け手段17に設定して重み付け制御を行い、このメイン重み付け値が電波伝搬環境に適合しないときには、同じく事前に計算して記憶したサブ重み付け値テーブル18-2の4種類のサブ重み付け値を順次設定して重み付け制御を行い、この各サブ重み付け値も電波伝搬環境に適合しないときにはじめて適応処理手段30によりリアルタイムで算出される重み付け値を重み付け手段17に設定して重み付けの逐次制御を行うことになる。従って、常に最適な重み付け値が設定されることになる。
【0117】
また、事前に計算したメイン重み付け値及びサブ重み付け値を最初に使用し、その後に適応処理手段30による適応処理で求めた重み付け値を使用するので、適応処理手段30は収束性が高く、高速応答性が要求されず、また、出力値の再評価によってすぐに逐次制御を行う適応処理を終了する可能性が高い。すなわち、収束時間を短くできる。また、適応処理手段30の負担は軽減され、高速計算や高速の収束性は要求されなくなり、従って、適応処理手段に専用のハードウエア等を用いなくてもソフトウエア処理などで実現可能となる。
【0118】
また、ソフトウエアの処理量は比較的軽いため、システムが持つマイクロプロセッサ23などのリソースを使用してマイクロプロセッサの通常処理に負担をかけない範囲での割り込み処理も可能となるため、簡単な構成で実現できる。また、主として、端末局が半固定的に設置されるシステムに適用して相手局に応じた送信及び受信の重み付け値を適宜調整し直すことによって電波伝搬環境の変化にほぼ追従でき、しかも、大部分をソフトウエアで処理でき、全てをリアルタイムの適応処理で重み付け値を設定する場合に比べてハードウエアの構成が簡単になり、コスト低下も図ることができる。
【0119】
(第6の実施の形態)
なお、前述した実施の形態と同一の部分には同一の符号を付し異なる部分について述べる。この実施の形態は周波数ホッピングスペクトラム拡散変調方式(FF/SS)の無線通信システムに適用したものである。この実施の形態の指向性制御無線通信装置の構成は基本的には図16と同じで、異なる点は受信機22としてFH/SS受信機を使用し、送信機25としてFH/SS送信機を使用している点、また、重み付け値記憶手段18に図9に示す構成のメイン重み付け値テーブル181-1及び図10に示す構成のサブ重み付け値テーブル181-2を設けている点である。
【0120】
図18は重み付け手段17に設定する重み付け値を切替えするときの処理を示す流れ図で、先ず、S81にて、出力値SINRのスレッショルド値を設定し評価手段20を確定する。そして、S82にて、切替え手段321により切替スイッチ31を重み付け値記憶手段18側に切替え、この重み付け値記憶手段18のメイン重み付け値テーブル18-1からホッピング周波数fhに対応したメイン重み付け値を読み出して重み付け手段17に設定する。これにより、重み付け手段17は各アンテナ素子11からの受信信号の振幅と位相にメイン振幅重み付け値、メイン位相重み付け値を乗ずることになる。
【0121】
続いて、S83にて、合成器16の出力値を評価手段20にて評価する。すなわち、出力値SINRがスレッショルド値以上か否かを判断する。これは設定した重み付け値が電波伝搬環境に適しているか否かを判定することになる。そして、出力値SINRがスレッショルド値以上あることを判断すると、すなわち、所定の出力値であると判断すると、S84にて、これ以降の重み付け値の読み出しを停止することによって重み付け手段17に設定した重み付け値を固定し、出力値SINRの変化をモニタする。
【0122】
しかし、出力値SINRがスレッショルド値未満であることを判断すると、S85にて、切替え手段321は重み付け値記憶手段18から読み出す重み付け値をメイン重み付け値テーブル18-1からサブ重み付け値テーブル18-2に切替え、このサブ重み付け値テーブル18-2に格納してあるホッピング周波数fhに対する4種類のサブ重み付け値から1つ、例えば、サブ重み付け値W1を読み出して重み付け手段17に設定する。
【0123】
そして、S86にて、同様に合成器16の出力値を評価手段20にて評価する。すなわち、出力値SINRがスレッショルド値以上か否かを判断する。そして、出力値SINRがスレッショルド値以上あることを判断すると、S84にて、重み付け手段17に設定した重み付け値を固定して出力値SINRの変化をモニタする。
【0124】
しかし、出力値SINRがスレッショルド値未満であることを判断すると、S87にて、サブ重み付け値テーブル18-2から読み出すホッピング周波数fhに対するサブ重み付け値を切替える。すなわち、サブ重み付け値Wnを読み出して重み付け手段17に設定する。この場合は、Wn=W2となる。
【0125】
そして、S88にて、同様に合成器16の出力値を評価手段20にて評価する。すなわち、出力値SINRがスレッショルド値以上か否かを判断する。そして、出力値SINRがスレッショルド値以上あることを判断すると、S84にて、重み付け手段17に設定した重み付け値を固定して出力値SINRの変化をモニタする。
【0126】
しかし、出力値SINRがスレッショルド値未満であることを判断すると、S89にて、ホッピング周波数fhにおけるサブ重み付け値の候補であるW1〜W4の全てを選択したかをチェックし、全てを選択していなければS87に戻ってサブ重み付け値テーブル18-2から読み出すホッピング周波数fhにおけるサブ重み付け値を切替える。また、候補であるW1〜W4の全てを選択していれば、S90にて、切替え手段321は切替スイッチ31を適応処理手段30側に切替える。これにより今度は適応処理手段30にてホッピング周波数fhにおいてリアルタイムに算出された重み付け値が重み付け手段17に設定されるようになる。重み付け手段17は各アンテナ素子11からの受信信号の振幅と位相にメイン振幅重み付け値、メイン位相重み付け値を乗ずることになる。
【0127】
続いて、S91にて、合成器16の出力値を評価手段20にて評価する。すなわち、出力値SINRがスレッショルド値以上か否かを判断する。そして、出力値SINRがスレッショルド値以上になるまで適応処理手段30による重み付け値の設定が繰り返される。
【0128】
そして、出力値SINRがスレッショルド値以上になると、S84にて、このときの重み付け値を固定手段33に固定することによって重み付け手段17に設定した重み付け値を固定し、出力値SINRの変化をモニタする。
【0129】
S84にて重み付け値を固定した後は、重み付け手段17は次の周波数にホッピングするか、合成器16からの出力の出力値SINRが変化するまでこの固定した重み付け値を受信信号の振幅及び位相に乗ずる制御を行うことになる。そして、次の周波数にホッピングすることがあると、S82の処理に戻り、切替え手段321により切替スイッチ31を重み付け値記憶手段18側に切替えてメイン重み付け値テーブル18-1から次のホッピング周波数fhに対応したメイン重み付け値を読み出して重み付け手段17に設定する。
【0130】
また、合成器16からの出力の出力値SINRが変化することがあると、S90の処理に戻り、同一のホッピング周波数fhの基で再び適応処理手段30により計算した重み付け値を重み付け手段17に設定することになる。
【0131】
このように、周波数ホッピングスペクトラム拡散変調方式の無線システムにおいても、各ホッピング周波数毎に、先ず、事前に計算して記憶したメイン重み付け値テーブル181-1のメイン重み付け値を重み付け手段17に設定して重み付け制御を行い、このメイン重み付け値が電波伝搬環境に適合しないときには、同じく事前に計算して記憶したサブ重み付け値テーブル181-2の4種類のサブ重み付け値を順次設定して重み付け制御を行い、この各サブ重み付け値も電波伝搬環境に適合しないときにはじめて適応処理手段30によりリアルタイムで算出される重み付け値を重み付け手段17に設定して重み付けの逐次制御を行うことになる。従って、常にホッピング周波数毎に最適な重み付け値が設定されることになる。
【0132】
従って、この場合も逐次制御を行う適応処理手段30の負担は軽減され、高速計算や高速の収束性は要求されなくなり、従って、適応処理手段に専用のハードウエア等を用いなくてもソフトウエア処理などで実現可能となる。
【0133】
また、ソフトウエアの処理量は比較的軽いため、システムが持つマイクロプロセッサ23などのリソースを使用してマイクロプロセッサの通常処理に負担をかけない範囲での割り込み処理も可能となるため、簡単な構成で実現できる。また、主として、端末局が半固定的に設置されるシステムに適用して相手局に応じた送信及び受信の重み付け値を適宜調整し直すことによって電波伝搬環境の変化にほぼ追従でき、しかも、大部分をソフトウエアで処理でき、全てをリアルタイムの適応処理で重み付け値を設定する場合に比べてハードウエアの構成が簡単になり、コスト低下も図ることができる。
【0134】
【発明の効果】
各請求項記載の発明によれば、電波伝搬環境の変化に対して充分に追従ができて適応性に優れ、しかも構成が簡単である。
また、請求項1乃至記載の発明によれば、事前に計算して記憶した複数の重み付け値を使用して最適な重み付け値を設定しているので、さらに、ソフトウエア処理が可能になる。
【0135】
また、請求項乃至記載の発明によれば、事前に計算して記憶した重み付け値及び適応処理によりリアルタイムで算出した重み付け値を使用して最適な重み付け値を設定し、しかも、最初は事前に計算した重み付け値を使用しているので、さらに、適応処理によりリアルタイムで重み付け値を算出する場合に適応処理の収束性が高く収束時間を短くできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における無線通信システムを示す図。
【図2】同実施の形態における指向性制御無線通信装置の構成を示すブロック図。
【図3】同実施の形態における指向性制御無線通信装置の重み付け値記憶手段に設けた重み付け値テーブルの構成を示す図。
【図4】同実施の形態における指向性制御無線通信装置の合成器からの受信信号の出力値SINRの経時変化を示すグラフ。
【図5】同実施の形態における指向性制御無線通信装置がメイン重み付け値を算出するときの適応処理を示す流れ図。
【図6】同実施の形態における指向性制御無線通信装置がサブ重み付け値を算出するときの適応処理を示す流れ図。
【図7】同実施の形態における指向性制御無線通信装置が重み付け値を使用して形成する指向性パターンの例を示す図。
【図8】同実施の形態における指向性制御無線通信装置が設定する重み付け値を切替えするときの処理を示す流れ図。
【図9】本発明の第2の実施の形態における指向性制御無線通信装置の重み付け値記憶手段に設けたメイン重み付け値テーブルの構成を示す図。
【図10】同実施の形態における指向性制御無線通信装置の重み付け値記憶手段に設けたサブ重み付け値テーブルの構成を示す図。
【図11】同実施の形態における指向性制御無線通信装置が設定する重み付け値を切替えするときの処理を示す流れ図。
【図12】本発明の第3の実施の形態における指向性制御無線通信装置の構成を示すブロック図。
【図13】図12の指向性制御無線通信装置における適応処理手段の構成を説明するためのブロック図。
【図14】同実施の形態における指向性制御無線通信装置が設定する重み付け値を切替えするときの処理を示す流れ図。
【図15】本発明の第4の実施の形態における指向性制御無線通信装置が設定する重み付け値を切替えするときの処理を示す流れ図。
【図16】本発明の第5の実施の形態における指向性制御無線通信装置の構成を示すブロック図。
【図17】同実施の形態における指向性制御無線通信装置が設定する重み付け値を切替えするときの処理を示す流れ図。
【図18】本発明の第6の実施の形態における指向性制御無線通信装置が設定する重み付け値を切替えするときの処理を示す流れ図。
【図19】従来例を示すブロック図。
【符号の説明】
11…アンテナ素子
14…アッティネータ
15…フェーズシフタ
16…合計器
17…重み付け手段
18…重み付け値記憶手段
19…選択手段
20…評価手段

Claims (6)

  1. 複数のアンテナ素子からの信号の振幅と位相に重み付け値を乗じて合成した受信信号を復調する受信系と、変調した信号を複数に分配しこの分配した各信号の振幅と位相に重み付け値を乗じてそれぞれ前記各アンテナ素子から放射させる送信系を備え、通信相手と無線通信する指向性制御無線通信装置において、
    前記受信系は、通信相手に対応した到来波情報を基に計算で求めたメイン重み付け値を記憶したメイン重み付け値テーブルと、電波伝搬環境の変化を想定して前記到来波情報を修正した複数の修正到来波情報を基に計算で求めた複数種のサブ重み付け値を記憶したサブ重み付け値テーブルと、前記メイン重み付け値テーブルまたはサブ重み付け値テーブルから重み付け値を選択して読み出す選択手段と、この選択手段により選択されて前記メイン重み付け値テーブルまたはサブ重み付け値テーブルから読み出された重み付け値を前記各アンテナ素子からの受信信号の振幅と位相に乗じる重み付け手段と、この重み付け手段にて重み付けされた各受信信号を合成する合成手段と、この合成手段にて合成された受信信号の出力値を評価する評価手段を設け、
    前記選択手段にて前記メイン重み付け値テーブルからメイン重み付け値を選択して読み出し、この読み出したメイン重み付け値を前記重み付け手段にて前記各アンテナ素子からの受信信号の振幅と位相に乗じて前記合成手段からの受信信号の出力値を前記評価手段にて評価し、この評価手段が最適もしくは最適に近い重み付け値が前記重み付け手段に設定されているときの受信信号出力値として評価しなければ前記選択手段にて前記サブ重み付け値テーブルに記憶した複数種のサブ重み付け値から1種を選択して読み出し、この読み出したサブ重み付け値を前記重み付け手段にて前記各アンテナ素子からの受信信号の振幅と位相に乗じて前記合成手段からの受信信号の出力値を前記評価手段にて評価し、このサブ重み付け値の選択読み出しを前記評価手段が最適もしくは最適に近い重み付け値が前記重み付け手段に設定されているときの受信信号出力値として評価するまで繰り返すことを特徴とする指向性制御無線通信装置。
  2. 複数のアンテナ素子からの信号の振幅と位相に重み付け値を乗じて合成した受信信号を復調する受信系と、変調した信号を複数に分配しこの分配した各信号の振幅と位相に重み付け値を乗じてそれぞれ前記各アンテナ素子から放射させる送信系を備え、通信相手と周波数ホッピングスペクトラム拡散方式で無線通信する指向性制御無線通信装置において、
    前記受信系は、通信相手に対応したホッピング周波数毎の到来波情報を基に計算で求めたホッピング周波数毎のメイン重み付け値を記憶したメイン重み付け値テーブルと、電波伝搬環境の変化を想定して前記ホッピング周波数毎の到来波情報を修正した複数の修正到来波情報を基に計算で求めた複数種のホッピング周波数毎のサブ重み付け値を記憶したサブ重み付け値テーブルと、前記メイン重み付け値テーブルまたはサブ重み付け値テーブルからホッピング周波数毎の重み付け値を選択して読み出す選択手段と、この選択手段により選択されて前記メイン重み付け値テーブルまたはサブ重み付け値テーブルから読み出されたホッピング周波数毎の重み付け値をホッピング周波数に対応して前記各アンテナ素子からの受信信号の振幅と位相に乗じる重み付け手段と、この重み付け手段にて重み付けされた各受信信号を合成する合成手段と、この合成手段にて合成された受信信号の出力値を評価する評価手段を設け、
    前記選択手段にて前記メイン重み付け値テーブルからホッピング周波数毎のメイン重み付け値を選択して読み出し、この読み出したメイン重み付け値をホッピング周波数毎に前記重み付け手段にて前記各アンテナ素子からの受信信号の振幅と位相に乗じて前記合成手段からの受信信号の出力値を前記評価手段にて評価し、この評価手段が最適もしくは最適に近い重み付け値が前記重み付け手段に設定されているときの受信信号出力値として評価しなければ前記選択手段にて前記サブ重み付け値テーブルに記憶したホッピング周波数毎の複数のサブ重み付け値から1種を選択して読み出し、この読み出したサブ重み付け値をホッピング周波数毎に前記重み付け手段にて前記各アンテナ素子からの受信信号の振幅と位相に乗じて前記合成手段からの受信信号の出力値を前記評価手段にて評価し、このホッピング周波数毎のサブ重み付け値の選択読み出しを前記評価手段が最適もしくは最適に近い重み付け値が前記重み付け手段に設定されているときの受信信号出力値として評価するまで繰り返すことを特徴とする指向性制御無線通信装置。
  3. 前記サブ重み付け値テーブルに記憶したサブ重み付け値を全て読み出し、これらを受信信号に乗じた時の合成手段からの受信信号の出力値が全て評価手段で最適もしくは最適に近い重み付け値が前記重み付け手段に設定されているときの受信信号出力値として評価されないときには、前記合成手段からの受信信号の中で出力値の評価が最も高い受信信号に対応するサブ重み付け値を重み付け手段が乗じる重み付け値に固定することを特徴とする請求項1または2記載の指向性制御無線通信装置。
  4. 複数のアンテナ素子からの信号の振幅と位相に重み付け値を乗じて合成した受信信号を復調する受信系と、変調した信号を複数に分配しこの分配した各信号の振幅と位相に重み付け値を乗じてそれぞれ前記各アンテナ素子から放射させる送信系を備え、通信相手と無線通信する指向性制御無線通信装置において、
    前記受信系は、通信相手に対応した到来波情報を基に計算で求めたメイン重み付け値を記憶したメイン重み付け値テーブルと、電波伝搬環境の変化を想定して前記到来波情報を修正した複数の修正到来波情報を基に計算で求めた複数種のサブ重み付け値を記憶したサブ重み付け値テーブルと、重み付け値を逐次求める適応処理手段と、前記メイン重み付け値テーブルまたはサブ重み付け値テーブルに記憶したメイン重み付け値またはサブ重み付け値あるいは前記適応処理手段で逐次求める重み付け値を前記各アンテナ素子からの受信信号の振幅と位相に乗じる重み付け手段と、前記メイン重み付け値テーブルまたはサブ重み付け値テーブルから重み付け値を読み出すか前記適応処理手段で逐次求める重み付け値を前記重み付け手段に供給するかを切替える切替え手段と、前記重み付け手段にて重み付けされた各受信信号を合成する合成手段と、この合成手段にて合成された受信信号の出力値を評価する評価手段と、前記重み付け手段に重み付け値を固定する固定手段を設け、
    前記切替え手段にて前記メイン重み付け値テーブルからメイン重み付け値を読み出し、この読み出したメイン重み付け値を前記重み付け手段にて前記各アンテナ素子からの受信信号の振幅と位相に乗じて前記合成手段からの受信信号の出力値を前記評価手段にて評価し、この評価手段が最適もしくは最適に近い重み付け値が前記重み付け手段に設定されているときの受信信号出力値として評価しなければ前記切替え手段にて前記サブ重み付け値テーブルに記憶した複数種のサブ重み付け値を順次読み出し、この読み出したサブ重み付け値を順次前記重み付け手段にて前記各アンテナ素子からの受信信号の振幅と位相に乗じて前記合成手段からの受信信号の出力値を前記評価手段にて評価し、この評価手段が全てのサブ重み付け値について最適もしくは最適に近い重み付け値が前記重み付け手段に設定されているときの受信信号出力値として評価しなければ前記切替え手段にて前記適応処理手段で逐次求める重み付け値を前記重み付け手段に供給し、この重み付け値を前記重み付け手段にて前記各アンテナ素子からの受信信号の振幅と位相に乗じて前記合成手段からの受信信号の出力値を前記評価手段にて評価し、前記評価手段が最適もしくは最適に近い重み付け値が前記重み付け手段に設定されているときの受信信号出力値と評価したときに、前記重み付け手段が乗じる重み付け値を前記固定手段によって前記重み付け手段に固定することを特徴とする指向性制御無線通信装置。
  5. 複数のアンテナ素子からの信号の振幅と位相に重み付け値を乗じて合成した受信信号を復調する受信系と、変調した信号を複数に分配しこの分配した各信号の振幅と位相に重み付け値を乗じてそれぞれ前記各アンテナ素子から放射させる送信系を備え、通信相手と周波数ホッピングスペクトラム拡散方式で無線通信する指向性制御無線通信装置において、
    前記受信系は、通信相手に対応しホッピング周波数毎の到来波情報を基に計算で求めたホッピング周波数毎のメイン重み付け値を記憶したメイン重み付け値テーブルと、電波伝搬環境の変化を想定して前記ホッピング周波数毎の到来波情報を修正した複数の修正到来波情報を基に計算で求めた複数種のホッピング周波数毎のサブ重み付け値を記憶したサブ重み付け値テーブルと、ホッピング周波数毎の重み付け値を逐次求める適応処理手段と、前記メイン重み付け値テーブルまたはサブ重み付け値テーブルに記憶したホッピング周波数毎のメイン重み付け値またはサブ重み付け値あるいは前記適応処理手段で逐次求めるホッピング周波数毎の重み付け値をホッピング周波数に対応して前記各アンテナ素子からの受信信号の振幅と位相に乗じる重み付け手段と、前記メイン重み付け値テーブルまたはサブ重み付け値テーブルからホッピング周波数毎の重み付け値を読み出すか前記適応処理手段でホッピング周波数毎に逐次求める重み付け値を前記重み付け手段に供給するかを切替える切替え手段と、前記重み付け手段にて重み付けされた各受信信号を合成する合成手段と、この合成手段にて合成された受信信号の出力値を評価する評価手段と、前記重み付け手段に重み付け値を固定する固定手段を設け、
    前記切替え手段にて前記メイン重み付け値テーブルからホッピング周波数毎のメイン重み付け値を読み出し、この読み出したメイン重み付け値をホッピング周波数毎に前記重み付け手段にて前記各アンテナ素子からの受信信号の振幅と位相に乗じて前記合成手段からの受信信号の出力値を前記評価手段にて評価し、この評価手段が最適もしくは最適に近い重み付け値が前記重み付け手段に設定されているときの受信信号出力値として評価しなければ前記切替え手段にて前記サブ重み付け値テーブルに記憶した複数種のホッピング周波数毎のサブ重み付け値を順次読み出し、この読み出したサブ重み付け値をホッピング周波数毎に順次前記重み付け手段にて前記各アンテナ素子からの受信信号の振幅と位相に乗じて前記合成手段からの受信信号の出力値を前記評価手段にて評価し、この評価手段が全てのサブ重み付け値について最適もしくは最適に近い重み付け値が前記重み付け手段に設定されているときの受信信号出力値として評価しなければ前記切替え手段にて前記適応処理手段で逐次求めるホッピング周波数毎の重み付け値をホッピング周波数毎に前記重み付け手段に供給し、この重み付け値を前記重み付け手段にて前記各アンテナ素子からの受信信号の振幅と位相に乗じて前記合成手段からの受信信号の出力値を前記評価手段にて評価し、前記評価手段が最適もしくは最適に近い重み付け値が前記重み付け手段に設定されているときの受信信号出力値と評価したときに、前記重み付け手段が乗じる重み付け値を前記固定手段によって前記重み付け手段に固定することを特徴とする指向性制御無線通信装置。
  6. 評価手段は、合成手段からの受信信号の出力値において、この出力値の所望波信号と妨害波信号のレベル比が予め設定したスレッショルド値を越えるとき最適もしくは最適に近い重み付け値が前記重み付け手段に設定されているときの受信信号出力値として評価することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1記載の指向性制御無線通信装置。
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