JP4433244B2 - カラーフィルターの製造方法 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶カラーディスプレイなどに用いられるカラーフィルターの技術分野に属するものであり、詳しくは着色インキをインクジェット方式にて基板上にライン状に塗布してカラーフィルターを製造する技術に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
液晶用カラーフィルターは、ガラスなどの透明基板上に赤、緑、青の３色の色素をモザイク状又はストライプ状に配置し、それぞれの境界をブラックマトリックスで区画した構造をしている。このカラーフィルターの製造方法として、現在では顔料分散法が主流である。この方法では、まず、ブラックマトリックスを形成したガラス基板上に、赤、緑、青いずれかの光反応性レジストインキを全面に塗布し、次いで、マスク露光により、塗布した着色層を形成したい部分のみを硬化させ、現像工程により不要部分を除去し、一色目の着色層を形成するが、同様の工程を３回繰り返し、赤、緑、青の３色の着色を得る。したがって、工程数が多く、また現像によりレジストインキを殆ど無駄にするため、低コストで高効率なカラーフィルターの製造方法が望まれている。そこで、低コストで、簡便なカラーフィルターの製造方法として、インクジェット法によるカラーフィルターの製造方法が、特開昭５９−７５２０５号公報で既に提案されている。
【０００３】
このインクジェット方式によるカラーフィルターの製造方法は、複数のオリフィスを有するインクジェットヘッドを使用し、このインクジェットヘッドを基板と対向させて相対的に移動させながら着色インキを吐出して基板上にライン状に塗布して着色層を形成する方法であり、このインクジェットヘッドを組み込んだ塗布装置を用いて行われる３色同時塗布方法の模式図を図１に示す。
【０００４】
図１においてＧはステージＳの上に載置された塗布対象の基板であり、複数個のインクジェットヘッドを備えた塗布装置をこの基板Ｇに対して相対的に移動させることで着色インキをライン状に塗布するように構成されている。すなわち、左側の８つのインクジェットヘッドＨｒは赤色用の着色インキを吐出するもので、図示しないフレームに取り付けられ、各インクジェットヘッドＨｒにおける複数のオリフィスが基板Ｇの幅方向に連続するようになっている。同様に、中央の８つの塗布ヘッドＨｇは緑色用の着色インキを吐出するもので、図示しないフレームに取り付けられ、各インクジェットヘッドＨｇにおける複数のオリフィスが基板の幅方向に連続するようになっている。また同様に、右側の８つのインクジェットヘッドＨｂは青色用の着色インキを吐出するもので、図示しないフレームに取り付けられ、各インクジェットヘッドＨｂにおける複数のオリフィスが基板の幅方向に連続するようになっている。したがって、複数のオリフィスから着色インキを吐出しながらそれぞれのインクジェットヘッドが一体となって基板と相対的に移動することで、一度の塗布工程で３色の着色インキが塗布される。
【０００５】
インクジェット法によるカラーフィルターの製造方法としては、大きく分けて３つの方法が提案されている。
【０００６】
第１の方法は、特開平９−２０３８０３号公報等で提案されている。この方法は隔壁を設ける方式である。この方式では、まず図２（ａ）に示すように、基板１１にライン状の樹脂ブラックマトリックスからなる隔壁１２を形成し、その隔壁１２の上部１２ａに撥水処理等を施しておく。そして、図２（ｂ）に示すように、インクジェットヘッド１３から隔壁１２の中に着色インキ１４を付与する。着色インキ１４は隔壁１２により拡散が防止されるので、図２（ｃ）に示す如く基板１１上における隔壁１２の間に着色層１５が形成される。
【０００７】
第２の方法は、特開平８−２３０３１４号公報等で提案されている。この方法は吸収層を設ける方式である。この方式では、まず図３（ａ）に示すように、基板２１にライン状の樹脂ブラックマトリックス２２を形成し、それを覆ってインク吸収層２３をベタで形成する。次いで、図３（ｂ）に示すように、マスク２４を介して露光を行ってブラックマトリックス２２の上部２３ａを硬化させて吸収性を無くした後、図３（ｃ）に示すように、インクジェットヘッド２５からインク吸収層２３に着色インキ２６を付与する。着色インキ２６はインク吸収層２３にしみ込むので、基板２１上におけるブラックマトリックス２２間に着色層２７が形成される。
【０００８】
これら第１及び第２の方法は一長一短があるため、本発明者らは、第３の方法として、特開平１１−３３７７２６号等の方法を既に提案している。
【０００９】
この第３の方法は光触媒方式である。この方式では、まず図４（ａ）に示すように、基板３１にクロムブラックマトリックス３２を形成し、その上に、光触媒として、酸化チタンをシリコーン樹脂中に分散した光触媒含有層３３を形成する。光触媒含有層３３は、光触媒の分解作用により露光部分の有機基を分解し、この部分のインキ反発性を低下させる機能を有する。次に、図４（ｂ）に示すように、着色層を形成する部分３３ａだけ、マスク３４を介してマスク露光を行った後、図４（ｃ）に示すように、インクジェットヘッド３５から着色インキ３６を付与すると、未露光部分のインキ反発作用により、未露光部を境界として、露光部分にのみ着色インキが濡れ広がる。これを乾燥、硬化することで、着色層３７を形成することができる。未露光部は、着色インキの隣接する画素への濡れ拡がりを防止するため、画素の間、すなわちブラックマトリックス３２上に形成され、好ましくは、ブラックマトリックス３２の幅より狭い範囲を未露光部とした方が、より均一な着色層を形成することができる。着色インキとしては、水系、溶剤系のいずれも使用することができ、好ましい溶剤としては、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートを主成分としたものや、インキ反発性を向上させるため、ブチルカルビトールアセテートを主成分としたインキが用いられる。また、色剤としては、染料、顔料のいずれも使用することができる。
【００１０】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記したインクジェット法でカラーフィルターの着色層を形成するに際しては、通常、ＲＧＢ各色について１０００本以上のストライプパターンに着色インキを塗布する必要がある。生産性を考慮すると、多数のチャンネルを有する大型のインクジェットヘッドを用いるのが望ましいが、このような大型のインクジェットヘッドを作製しようとすると、歩留りが悪く、コストも高くなって実用的でない。また、図１に示した塗布装置のように、チャンネル数の少ないインクジェットヘッドを複数組み合わせる方式では、品目が異なるごとに、各インクジェットヘッドの取付け位置や取付け角度の調整をする必要があり、しかもこれらの調整には非常に手間がかかるという問題点がある。
【００１１】
本発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、インクジェット方式にて着色インキをブラックマトリックス付き基板に塗布することによりカラーフィルターを作製するに際して、大型のインクジェットヘッドと同等のオリフィス数で着色インキを基板上に滴下できるようにしたカラーフィルターの製造方法を提供することにある。
【００１２】
【課題を解決するための手段】
請求項１に記載の発明であるカラーフィルターの製造方法は、多数のオリフィスを有するインクジェットヘッドを使用し、インクジェットヘッドに対して基板を相対的に移動させながら、オリフィスから着色インキを基板上に付与し、基板の特定部位をパターン状に着色する工程を含むカラーフィルターの製造方法において、前記インクジェットヘッドとして、所定の数のチャンネルを有するヘッドモジュールを複数個組み合わせてオリフィスプレートと一体化したヘッドユニットを使用することを特徴している。
【００１３】
請求項２に記載の発明であるカラーフィルターの製造方法は、請求項１に記載のカラーフィルターの製造方法において、複数のヘッドモジュールが、基板の相対的な移動方向に垂直な方向にカラーフィルターの画素のピッチの整数倍ずらして組み合わさっていることを特徴としている。
【００１４】
請求項３に記載の発明であるカラーフィルターの製造方法は、請求項１に記載のカラーフィルターの製造方法において、複数のヘッドモジュールが、基板の相対的な移動方向に垂直な方向に（カラーフィルターの画素のピッチ）×（チャンネル数）の整数倍ずらして組み合わさっていることを特徴としている。
【００１５】
請求項４に記載の発明であるカラーフィルターの製造方法は、請求項２又は３に記載のカラーフィルターの製造方法において、組み合わせた全てのヘッドモジュールのオリフィスが一列に配置していることを特徴としている。
【００１６】
請求項５に記載の発明であるカラーフィルターの製造方法は、請求項１〜４のいずれかに記載のカラーフィルターの製造方法において、ヘッドユニットが、複数のヘッドモジュールと複数色のインキ供給系からなることを特徴としている。
【００１７】
請求項６に記載の発明であるカラーフィルターの製造方法は、請求項１〜５のいずれかに記載のカラーフィルターの製造方法において、オリフィスプレートが一枚のプレートからなることを特徴としている。
【００１８】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の望ましい実施形態を説明する。
【００１９】
図５は本発明で使用するヘッドユニットを説明するための斜視図である。インクジェット方式の原理は、ピエゾ素子１に電界をかけて矢印方向に伸縮させ、ピエゾ素子１が伸びたときにインク流路２から着色インキを押し出し、インク流路２の下に形成した微小孔のオリフィスから着色インキ３を飛び出させる方式である。そして、この各オリフィスにそれぞれ対応するチャンネルを所定数だけ有するのが通常のインクジェットヘッドであるが、図５に示したヘッドユニットは、所定の数のチャンネルを有する２つのヘッドモジュールＡ，Ｂを一体型にして組み合わせてあり、図６の底面図に示すように、オリフィス４が一列に並ぶようにインク流路２を設計している。このような構造にするためには、流路プレート及びオリフィスプレートをそれぞれ一体型で作製し、これに複数のヘッドモジュールを並べて組み付け、隣接するヘッドモジュールでオリフィス４が一列に並ぶようにする。
【００２０】
図７はオリフィスが一列に並ばない場合を例示している。図７（ａ）において丸印はオリフィス４を示しており、ヘッドモジュールＡの右端とヘッドモジュールＢの左端の接合部分を示している。このようにオリフィス４が一列になっていない場合、製造するカラーフィルターの種類に合わせてオリフィス４のピッチを調整するためにヘッドユニットの取付け角度を変化させると、図７（ｂ）に示すように、ヘッドモジュールＡ，Ｂの中でのオリフィス４のピッチＰ0 に対して両者の境界部分でのピッチＰ1 が小さく変化して連続性がなくなってしまい、ストライプパターンに沿って着色インキを塗布することができなくなる。
【００２１】
本発明で使用するヘッドユニットの他の形態としては、図８（ａ）に示すように、ヘッドモジュールＡ，Ｂをそれらにおける両端のオリフィス間隔Ｗ0 を置いてライン状に組み合わせてもよい。このようにすれば組み付けの時にヘッドモジュール同士が互いに干渉しない利点がある。また、ヘッドモジュールＡ，Ｂのオリフィス４が同じ直線上に位置していることで、図８（ｂ）に示すように斜めにした場合でも、オリフィス４のピッチの連続性を保つことができる。このようなヘッドユニットＡ，Ｂを作製するには、複数のピエゾモジュールと１枚のオリフィスプレートが一体になったものを作製し、これを別の基板に複数取り付けてもよいし、或いは、オリフィスプレート及び／又は流路プレートは共通の一体型のものを作製し、これに複数のピエゾモジュールを組み合わせてもよい。
【００２２】
本発明で使用するヘッドユニットのさらに他の形態としては、図９に示すように、複数のヘッドモジュールＡ，Ｂ，Ｃを、製造するカラーフィルターのピッチに合わせて、角度を調整した状態で組み合わせるようにしてもよい。この場合も、オリフィスプレート等は共通にして、複数のピエゾモジュールを組み合わせることもできるし、或いは、オリフィスプレート及び／又は流路プレートは共通の一体型のものを作製し、これに複数のヘッドモジュールを組み合わせることもできる。
【００２３】
また、角度を調整した状態で複数のヘッドモジュールを組み合わせてヘッドユニットを構成する場合、ＲＧＢ３色を同時に塗布するため、図１０に示すように、カラーフィルターのラインピッチＰC 分だけずらして３色分のヘッドモジュールＡ，Ｂ，Ｃを組み合わせるようにしてもよい。この場合、３つのヘッドモジュールとそれらに各々対応した３色のインキ供給系からなるようにヘッドユニットを構成することもできる。
【００２４】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、多数のオリフィスを有するインクジェットヘッドを使用し、インクジェットヘッドに対して基板を相対的に移動させながら、オリフィスから着色インキを基板上に付与し、基板の特定部位をパターン状に着色する工程を含むカラーフィルターの製造方法において、前記インクジェットヘッドとして、所定の数のチャンネルを有するヘッドモジュールを複数個組み合わせてオリフィスプレートと一体化したヘッドユニットを使用するようにしたことにより、大型のインクジェットヘッドと同等のヘッドユニットを簡単に造ることができ、このヘッドユニットを用いることで、カラーフィルターの品目が異なった際に、インクジェットヘッドの調整に手間をかけることなく、ストライプパターンに応じた着色インキの塗布を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】インクジェットヘッドを組み込んだ塗布装置を用いて行われる３色同時塗布方法の模式図である。
【図２】インクジェットヘッドから着色インキを吐出して基板上に着色層を形成する一つの方法を示す説明図である。
【図３】インクジェットヘッドから着色インキを吐出して基板上に着色層を形成する別の方法を示す説明図である。
【図４】インクジェットヘッドから着色インキを吐出して基板上に着色層を形成するさらに別の方法を示す説明図である。
【図５】本発明で使用するヘッドユニットを説明するための斜視図である。
【図６】図５の底面図である。
【図７】オリフィスが一列に並ばない場合を例示した説明図である。
【図８】本発明で使用するヘッドユニットの他の形態を示す説明図である。
【図９】本発明で使用するヘッドユニットのさらに他の形態を示す説明図である。
【図１０】本発明で使用するヘッドユニットのさらに他の形態を示す説明図である。
【符号の説明】
Ａ，Ｂ，Ｃ ヘッドモジュール
１ ピエゾ素子
２ インク流路
３ 着色インキ
４ オリフィス
１１ 基板
１２ 隔壁
１３ インクジェットヘッド
１４ 着色インキ
１５ 着色層
２１ 基板
２２ ブラックマトリックス
２３ インク吸収層
２４ マスク
２５ インクジェットヘッド
２６ 着色インキ
２７ 着色層
３１ 基板
３２ ブラックマトリックス
３３ 光触媒層
３４ マスク
３５ インクジェットヘッド
３６ 着色インキ
３７ 着色層
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶カラーディスプレイなどに用いられるカラーフィルターの技術分野に属するものであり、詳しくは着色インキをインクジェット方式にて基板上にライン状に塗布してカラーフィルターを製造する技術に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
液晶用カラーフィルターは、ガラスなどの透明基板上に赤、緑、青の３色の色素をモザイク状又はストライプ状に配置し、それぞれの境界をブラックマトリックスで区画した構造をしている。このカラーフィルターの製造方法として、現在では顔料分散法が主流である。この方法では、まず、ブラックマトリックスを形成したガラス基板上に、赤、緑、青いずれかの光反応性レジストインキを全面に塗布し、次いで、マスク露光により、塗布した着色層を形成したい部分のみを硬化させ、現像工程により不要部分を除去し、一色目の着色層を形成するが、同様の工程を３回繰り返し、赤、緑、青の３色の着色を得る。したがって、工程数が多く、また現像によりレジストインキを殆ど無駄にするため、低コストで高効率なカラーフィルターの製造方法が望まれている。そこで、低コストで、簡便なカラーフィルターの製造方法として、インクジェット法によるカラーフィルターの製造方法が、特開昭５９−７５２０５号公報で既に提案されている。
【０００３】
このインクジェット方式によるカラーフィルターの製造方法は、複数のオリフィスを有するインクジェットヘッドを使用し、このインクジェットヘッドを基板と対向させて相対的に移動させながら着色インキを吐出して基板上にライン状に塗布して着色層を形成する方法であり、このインクジェットヘッドを組み込んだ塗布装置を用いて行われる３色同時塗布方法の模式図を図１に示す。
【０００４】
図１においてＧはステージＳの上に載置された塗布対象の基板であり、複数個のインクジェットヘッドを備えた塗布装置をこの基板Ｇに対して相対的に移動させることで着色インキをライン状に塗布するように構成されている。すなわち、左側の８つのインクジェットヘッドＨｒは赤色用の着色インキを吐出するもので、図示しないフレームに取り付けられ、各インクジェットヘッドＨｒにおける複数のオリフィスが基板Ｇの幅方向に連続するようになっている。同様に、中央の８つの塗布ヘッドＨｇは緑色用の着色インキを吐出するもので、図示しないフレームに取り付けられ、各インクジェットヘッドＨｇにおける複数のオリフィスが基板の幅方向に連続するようになっている。また同様に、右側の８つのインクジェットヘッドＨｂは青色用の着色インキを吐出するもので、図示しないフレームに取り付けられ、各インクジェットヘッドＨｂにおける複数のオリフィスが基板の幅方向に連続するようになっている。したがって、複数のオリフィスから着色インキを吐出しながらそれぞれのインクジェットヘッドが一体となって基板と相対的に移動することで、一度の塗布工程で３色の着色インキが塗布される。
【０００５】
インクジェット法によるカラーフィルターの製造方法としては、大きく分けて３つの方法が提案されている。
【０００６】
第１の方法は、特開平９−２０３８０３号公報等で提案されている。この方法は隔壁を設ける方式である。この方式では、まず図２（ａ）に示すように、基板１１にライン状の樹脂ブラックマトリックスからなる隔壁１２を形成し、その隔壁１２の上部１２ａに撥水処理等を施しておく。そして、図２（ｂ）に示すように、インクジェットヘッド１３から隔壁１２の中に着色インキ１４を付与する。着色インキ１４は隔壁１２により拡散が防止されるので、図２（ｃ）に示す如く基板１１上における隔壁１２の間に着色層１５が形成される。
【０００７】
第２の方法は、特開平８−２３０３１４号公報等で提案されている。この方法は吸収層を設ける方式である。この方式では、まず図３（ａ）に示すように、基板２１にライン状の樹脂ブラックマトリックス２２を形成し、それを覆ってインク吸収層２３をベタで形成する。次いで、図３（ｂ）に示すように、マスク２４を介して露光を行ってブラックマトリックス２２の上部２３ａを硬化させて吸収性を無くした後、図３（ｃ）に示すように、インクジェットヘッド２５からインク吸収層２３に着色インキ２６を付与する。着色インキ２６はインク吸収層２３にしみ込むので、基板２１上におけるブラックマトリックス２２間に着色層２７が形成される。
【０００８】
これら第１及び第２の方法は一長一短があるため、本発明者らは、第３の方法として、特開平１１−３３７７２６号等の方法を既に提案している。
【０００９】
この第３の方法は光触媒方式である。この方式では、まず図４（ａ）に示すように、基板３１にクロムブラックマトリックス３２を形成し、その上に、光触媒として、酸化チタンをシリコーン樹脂中に分散した光触媒含有層３３を形成する。光触媒含有層３３は、光触媒の分解作用により露光部分の有機基を分解し、この部分のインキ反発性を低下させる機能を有する。次に、図４（ｂ）に示すように、着色層を形成する部分３３ａだけ、マスク３４を介してマスク露光を行った後、図４（ｃ）に示すように、インクジェットヘッド３５から着色インキ３６を付与すると、未露光部分のインキ反発作用により、未露光部を境界として、露光部分にのみ着色インキが濡れ広がる。これを乾燥、硬化することで、着色層３７を形成することができる。未露光部は、着色インキの隣接する画素への濡れ拡がりを防止するため、画素の間、すなわちブラックマトリックス３２上に形成され、好ましくは、ブラックマトリックス３２の幅より狭い範囲を未露光部とした方が、より均一な着色層を形成することができる。着色インキとしては、水系、溶剤系のいずれも使用することができ、好ましい溶剤としては、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートを主成分としたものや、インキ反発性を向上させるため、ブチルカルビトールアセテートを主成分としたインキが用いられる。また、色剤としては、染料、顔料のいずれも使用することができる。
【００１０】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記したインクジェット法でカラーフィルターの着色層を形成するに際しては、通常、ＲＧＢ各色について１０００本以上のストライプパターンに着色インキを塗布する必要がある。生産性を考慮すると、多数のチャンネルを有する大型のインクジェットヘッドを用いるのが望ましいが、このような大型のインクジェットヘッドを作製しようとすると、歩留りが悪く、コストも高くなって実用的でない。また、図１に示した塗布装置のように、チャンネル数の少ないインクジェットヘッドを複数組み合わせる方式では、品目が異なるごとに、各インクジェットヘッドの取付け位置や取付け角度の調整をする必要があり、しかもこれらの調整には非常に手間がかかるという問題点がある。
【００１１】
本発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、インクジェット方式にて着色インキをブラックマトリックス付き基板に塗布することによりカラーフィルターを作製するに際して、大型のインクジェットヘッドと同等のオリフィス数で着色インキを基板上に滴下できるようにしたカラーフィルターの製造方法を提供することにある。
【００１２】
【課題を解決するための手段】
請求項１に記載の発明であるカラーフィルターの製造方法は、多数のオリフィスを有するインクジェットヘッドを使用し、インクジェットヘッドに対して基板を相対的に移動させながら、オリフィスから着色インキを基板上に付与し、基板の特定部位をパターン状に着色する工程を含むカラーフィルターの製造方法において、前記インクジェットヘッドとして、所定の数のチャンネルを有するヘッドモジュールを複数個組み合わせてオリフィスプレートと一体化したヘッドユニットを使用することを特徴している。
【００１３】
請求項２に記載の発明であるカラーフィルターの製造方法は、請求項１に記載のカラーフィルターの製造方法において、複数のヘッドモジュールが、基板の相対的な移動方向に垂直な方向にカラーフィルターの画素のピッチの整数倍ずらして組み合わさっていることを特徴としている。
【００１４】
請求項３に記載の発明であるカラーフィルターの製造方法は、請求項１に記載のカラーフィルターの製造方法において、複数のヘッドモジュールが、基板の相対的な移動方向に垂直な方向に（カラーフィルターの画素のピッチ）×（チャンネル数）の整数倍ずらして組み合わさっていることを特徴としている。
【００１５】
請求項４に記載の発明であるカラーフィルターの製造方法は、請求項２又は３に記載のカラーフィルターの製造方法において、組み合わせた全てのヘッドモジュールのオリフィスが一列に配置していることを特徴としている。
【００１６】
請求項５に記載の発明であるカラーフィルターの製造方法は、請求項１〜４のいずれかに記載のカラーフィルターの製造方法において、ヘッドユニットが、複数のヘッドモジュールと複数色のインキ供給系からなることを特徴としている。
【００１７】
請求項６に記載の発明であるカラーフィルターの製造方法は、請求項１〜５のいずれかに記載のカラーフィルターの製造方法において、オリフィスプレートが一枚のプレートからなることを特徴としている。
【００１８】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の望ましい実施形態を説明する。
【００１９】
図５は本発明で使用するヘッドユニットを説明するための斜視図である。インクジェット方式の原理は、ピエゾ素子１に電界をかけて矢印方向に伸縮させ、ピエゾ素子１が伸びたときにインク流路２から着色インキを押し出し、インク流路２の下に形成した微小孔のオリフィスから着色インキ３を飛び出させる方式である。そして、この各オリフィスにそれぞれ対応するチャンネルを所定数だけ有するのが通常のインクジェットヘッドであるが、図５に示したヘッドユニットは、所定の数のチャンネルを有する２つのヘッドモジュールＡ，Ｂを一体型にして組み合わせてあり、図６の底面図に示すように、オリフィス４が一列に並ぶようにインク流路２を設計している。このような構造にするためには、流路プレート及びオリフィスプレートをそれぞれ一体型で作製し、これに複数のヘッドモジュールを並べて組み付け、隣接するヘッドモジュールでオリフィス４が一列に並ぶようにする。
【００２０】
図７はオリフィスが一列に並ばない場合を例示している。図７（ａ）において丸印はオリフィス４を示しており、ヘッドモジュールＡの右端とヘッドモジュールＢの左端の接合部分を示している。このようにオリフィス４が一列になっていない場合、製造するカラーフィルターの種類に合わせてオリフィス４のピッチを調整するためにヘッドユニットの取付け角度を変化させると、図７（ｂ）に示すように、ヘッドモジュールＡ，Ｂの中でのオリフィス４のピッチＰ0 に対して両者の境界部分でのピッチＰ1 が小さく変化して連続性がなくなってしまい、ストライプパターンに沿って着色インキを塗布することができなくなる。
【００２１】
本発明で使用するヘッドユニットの他の形態としては、図８（ａ）に示すように、ヘッドモジュールＡ，Ｂをそれらにおける両端のオリフィス間隔Ｗ0 を置いてライン状に組み合わせてもよい。このようにすれば組み付けの時にヘッドモジュール同士が互いに干渉しない利点がある。また、ヘッドモジュールＡ，Ｂのオリフィス４が同じ直線上に位置していることで、図８（ｂ）に示すように斜めにした場合でも、オリフィス４のピッチの連続性を保つことができる。このようなヘッドユニットＡ，Ｂを作製するには、複数のピエゾモジュールと１枚のオリフィスプレートが一体になったものを作製し、これを別の基板に複数取り付けてもよいし、或いは、オリフィスプレート及び／又は流路プレートは共通の一体型のものを作製し、これに複数のピエゾモジュールを組み合わせてもよい。
【００２２】
本発明で使用するヘッドユニットのさらに他の形態としては、図９に示すように、複数のヘッドモジュールＡ，Ｂ，Ｃを、製造するカラーフィルターのピッチに合わせて、角度を調整した状態で組み合わせるようにしてもよい。この場合も、オリフィスプレート等は共通にして、複数のピエゾモジュールを組み合わせることもできるし、或いは、オリフィスプレート及び／又は流路プレートは共通の一体型のものを作製し、これに複数のヘッドモジュールを組み合わせることもできる。
【００２３】
また、角度を調整した状態で複数のヘッドモジュールを組み合わせてヘッドユニットを構成する場合、ＲＧＢ３色を同時に塗布するため、図１０に示すように、カラーフィルターのラインピッチＰC 分だけずらして３色分のヘッドモジュールＡ，Ｂ，Ｃを組み合わせるようにしてもよい。この場合、３つのヘッドモジュールとそれらに各々対応した３色のインキ供給系からなるようにヘッドユニットを構成することもできる。
【００２４】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、多数のオリフィスを有するインクジェットヘッドを使用し、インクジェットヘッドに対して基板を相対的に移動させながら、オリフィスから着色インキを基板上に付与し、基板の特定部位をパターン状に着色する工程を含むカラーフィルターの製造方法において、前記インクジェットヘッドとして、所定の数のチャンネルを有するヘッドモジュールを複数個組み合わせてオリフィスプレートと一体化したヘッドユニットを使用するようにしたことにより、大型のインクジェットヘッドと同等のヘッドユニットを簡単に造ることができ、このヘッドユニットを用いることで、カラーフィルターの品目が異なった際に、インクジェットヘッドの調整に手間をかけることなく、ストライプパターンに応じた着色インキの塗布を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】インクジェットヘッドを組み込んだ塗布装置を用いて行われる３色同時塗布方法の模式図である。
【図２】インクジェットヘッドから着色インキを吐出して基板上に着色層を形成する一つの方法を示す説明図である。
【図３】インクジェットヘッドから着色インキを吐出して基板上に着色層を形成する別の方法を示す説明図である。
【図４】インクジェットヘッドから着色インキを吐出して基板上に着色層を形成するさらに別の方法を示す説明図である。
【図５】本発明で使用するヘッドユニットを説明するための斜視図である。
【図６】図５の底面図である。
【図７】オリフィスが一列に並ばない場合を例示した説明図である。
【図８】本発明で使用するヘッドユニットの他の形態を示す説明図である。
【図９】本発明で使用するヘッドユニットのさらに他の形態を示す説明図である。
【図１０】本発明で使用するヘッドユニットのさらに他の形態を示す説明図である。
【符号の説明】
Ａ，Ｂ，Ｃ ヘッドモジュール
１ ピエゾ素子
２ インク流路
３ 着色インキ
４ オリフィス
１１ 基板
１２ 隔壁
１３ インクジェットヘッド
１４ 着色インキ
１５ 着色層
２１ 基板
２２ ブラックマトリックス
２３ インク吸収層
２４ マスク
２５ インクジェットヘッド
２６ 着色インキ
２７ 着色層
３１ 基板
３２ ブラックマトリックス
３３ 光触媒層
３４ マスク
３５ インクジェットヘッド
３６ 着色インキ
３７ 着色層
Claims (6)
- 多数のオリフィスを有するインクジェットヘッドを使用し、インクジェットヘッドに対して基板を相対的に移動させながら、オリフィスから着色インキを基板上に付与し、基板の特定部位をパターン状に着色する工程を含むカラーフィルターの製造方法において、前記インクジェットヘッドとして、所定の数のチャンネルを有するヘッドモジュールを複数個組み合わせてオリフィスプレートと一体化したヘッドユニットを使用することを特徴とするカラーフィルターの製造方法。
- 請求項１に記載のカラーフィルターの製造方法において、複数のヘッドモジュールが、基板の相対的な移動方向に垂直な方向にカラーフィルターの画素のピッチの整数倍ずらして組み合わさっていることを特徴とするカラーフィルターの製造方法。
- 請求項１に記載のカラーフィルターの製造方法において、複数のヘッドモジュールが、基板の相対的な移動方向に垂直な方向に（カラーフィルターの画素のピッチ）×（チャンネル数）の整数倍ずらして組み合わさっていることを特徴とするカラーフィルターの製造方法。
- 請求項２又は３に記載のカラーフィルターの製造方法において、組み合わせた全てのヘッドモジュールのオリフィスが一列に配置していることを特徴とするカラーフィルターの製造方法。
- 請求項１〜４のいずれかに記載のカラーフィルターの製造方法において、ヘッドユニットが、複数のヘッドモジュールと複数色のインキ供給系からなることを特徴とするカラーフィルターの製造方法。
- 請求項１〜５のいずれかに記載のカラーフィルターの製造方法において、オリフィスプレートが一枚のプレートからなることを特徴とするカラーフィルターの製造方法。
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