JP4433111B2 - 延伸された脱酸素多層体の製造方法 - Google Patents

延伸された脱酸素多層体の製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は脱酸素機能を有する脱酸素多層体の製造方法に関する。脱酸素多層体は、食品、医薬品や金属製品などの、酸素の影響を受けて変質し易い各種製品の酸化を防止する作用を持つ脱酸素体または脱酸素性容器に利用される。
【0002】
【従来の技術】
食品や医薬品、金属製品に代表される、酸素の影響を受けて変質し易い各種製品の酸化を防止する目的で、酸素除去を行う脱酸素剤が従来より使用されている。この脱酸素剤として初期に開発され現在も多く使用されている形態は、粒状または粉状の脱酸素成分を小袋に詰めたものである。これに対して、より取扱いが容易で適用範囲が広く、誤食などの問題のない安全な脱酸素体として、フィルムまたはシート状のものが考えられている。
【0003】
フィルムまたはシートの形状の脱酸素体を得るためには、熱可塑性樹脂をマトリックス成分に利用して粒状または粉状の脱酸素成分と複合化し、脱酸素成分を固定する方法が知られている。この複合物の単層フィルムまたはシートは、脱酸素成分と内容物との接触、特に液体との接触を防ぐために、他の遮蔽層または遮蔽用の包装体でこの単層の脱酸素層を覆うことが知られている。しかし、このような遮蔽層等で覆われた層構成の脱酸素フィルムまたはシートは、脱酸素成分の溶出の問題はないが、脱酸素性能が著しく低いという問題があった。
【0004】
それに対して、特開平9−234811号公報及び特開平10−264279号公報に示されているように、脱酸素層を延伸により多孔化して酸素透過速度を大きくし、その上面を遮蔽層で保護する多層構成とすることにより、脱酸素速度の向上した、脱酸素成分の溶出のない脱酸素フィルムまたはシートを作製することができる。この多層構成を作製する方法は、共押出や押出ラミネートなど一般的な多層フィルム及びシート作製時に用いられる方法が適用できるが、共押出により多層構成を一度に形成し、その後工程として延伸を行う方法が知られている。
【0005】
【解決しようとする課題】
しかし、本発明者らが詳細に検討したところ、このような共押出により多層フィルムまたはシートを作製する際に、延伸工程でフィルムまたはシートが十分な倍率まで延伸されないうちにしばしば破断が起こるという問題に遭遇した。
【0006】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、延伸条件について種々検討を加えた結果、共押出時の冷却ロールの圧力を一定以下の圧力とし、厚みのバラツキが一定の範囲内であれば、上記課題を解決できることを見いだし、本発明を完成した。すなわち、本発明の脱酸素フィルムまたはシートの製造方法は、脱酸素組成物を含む樹脂層の少なくとも一方の側に酸素透過性樹脂層を配し、脱酸素層の他方の側に片面吸収の場合はバリア層を、両面吸収の場合はもう一方の面と同じ酸素透過性樹脂層を配してなる脱酸素多層体において、少なくとも脱酸素層と酸素透過性樹脂層の2層を共押出により積層した後、延伸により脱酸素層を連続多孔化する製造方法において、共押出時の冷却ロールのニップ線圧力を200N/cm以下とする。
【0007】
なお、本発明でいうニップ線圧力とは、ニップロール全幅にかかる荷重をニップロール幅で除した値である。操作における空気圧力、用いられるシリンダー径及びニップロールの幅から、次式により計算することができる。
ニップ線圧力(N/cm)=空気圧力(N/cm2)×シリンダー断面積(cm2)÷ニップロール幅(cm)
これを、面積圧力に換算することは、接触面積の正確な測定により可能となる。
また、共押出による積層後の積層体厚みの分布は、厚み平均値から±20%以内に90%以上が入ることが好ましい。
【0008】
脱酸素層に用いる脱酸素組成物としては、公知の脱酸素剤又は脱酸素剤組成物が使用でき、中でも鉄粉、アルミニウム粉、ケイ素粉などの金属粉、第一鉄塩などの無機塩類、アスコルビン酸とその塩類、カテコール、没食子酸、グリセリンなどのアルコールまたはフェノール類など、さらにはブタジエンなどの不飽和炭化水素類およびトール油、大豆油などの不飽和脂肪酸などを主剤とする脱酸素剤組成物が好ましい。これらの脱酸素成分が固体状であれば、脱酸素層の延伸により多孔化を行う際に孔の形成の起点となる多孔化剤として使用でき、液状の場合は適当な顆粒状物質に担持させることにより多孔化剤として使用できる。脱酸素剤の粒径としては、最大粒径が後述の脱酸素層の厚さ未満程度であれば特に粒径分布に制限はないが、酸化速度の点、および他の層を傷つけない(層表面に露出しない)点ではより細かいものが望ましく、最大粒径として200[μm]以下、より好ましくは100[μm]以下のものが好ましい。脱酸素組成物の脱酸素層に占める量は、10〜60wt%であることが好ましく、30〜55wt%がより好ましい。
【0009】
また、脱酸素成分以外の多孔化を補助する多孔化補助剤を脱酸素層に加えても良い。多孔化補助剤としては、水に不溶又は難溶の無機フィラーであれば特に制限はない。特に、好ましくはモース硬度3以上、より好ましくは硬度5〜13の無機フィラーを用いるのが、多孔化の効率が高いので好ましい。このような例としては、シリカ、アルミナ、珪藻土、チタニア、硫酸バリウムなどがあり、硬度、取り扱い、価格の点から粉砕シリカ、α−アルミナを用いるのが最も好ましい。
【0010】
脱酸素層に使用される熱可塑性樹脂の具体的な例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンなどのオレフィン類の単独重合体および共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体とその水素添加物、各種シリコン樹脂などがあり、さらにこれらの変成物、グラフト体、混合物などであってもよい。そして、この脱酸素層の厚さは、脱酸素剤の配合量や樹脂の酸素透過係数とにより決定される。一般的には厚さ5〜50[μm]程度が好ましい。
【0011】
本発明において酸素を脱酸素層に送る酸素透過性樹脂層を構成する熱可塑性樹脂としては、酸素透過係数が1×10-13[cm3・cm/cm2・sec・Pa]以上、好ましくは、1×10-12[cm3・cm/cm2・sec・Pa]以上の熱可塑性樹脂を選択する。この酸素透過性樹脂層の厚さの最大値は、酸素透過率で表される脱酸素対象物の要求性能と樹脂の酸素透過係数とにより決定される。ただし、ピンホールなどが発生しないように安定して製造可能で、かつ、通常の使用において内容物との接触などでもピンホールや破れが生じないことが確実であれば、最大値よりもできるだけ薄いことが望ましく、一般的には厚さ5〜50[μm]程度が好ましい。
【0012】
酸素透過性樹脂層を構成する樹脂は、単独のモノマー種から重合された高分子のみでなく、各種の共重合体、樹脂の混合体でもよい。非極性または低極性の高分子が好ましい。さらには、酸素透過性樹脂層全体での酸素透過率が前記の範囲を満たしていれば、この酸素透過性樹脂層そのものを複数の層で構成してもよい。また、酸素透過性樹脂層には、隣接する層のマトリックス成分となる樹脂と同じ樹脂を用いることが好ましく、異なる樹脂を用いる場合には、両者の熱融着が可能な程度に相溶性を持っている熱可塑性樹脂が好ましい。もちろん、酸素透過性樹脂層に隠蔽や着色あるいは、包装体として使用する場合にはヒートシール性の向上など種々の目的で無機物あるいは有機物を添加してもよい。
【0013】
例えば、酸素透過性樹脂層を複数層とし、脱酸素層側の酸素透過性樹脂層には、脱酸素成分の隠蔽を目的として顔料又は無機フィラーを配合して隠蔽層としても良い。隠蔽層には、隠蔽剤と共に多孔化補助剤を加えることで、延伸時に多孔化し、酸素透過を良くすることができる。多孔化補助剤は脱酸素層と同様に考えることができるが、この場合には、隠蔽層が酸素透過性樹脂層と脱酸素層との間に来るため、フィラーの粒径は酸素透過性樹脂層を突き抜けないようにできるだけ小さくすることが好ましい。
【0014】
酸素透過性樹脂層及び隠蔽層に用いる樹脂としては、脱酸素剤層の樹脂として前述した熱可塑性樹脂が使用できる。好ましくは、酸素透過性樹脂層と同種の樹脂である。
【0015】
脱酸素層の片側には、低酸素透過性のバリア層を積層することができる。バリア層を構成する材料としては、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル類、ナイロン6、ナイロン66、ナイロンMXD6などのポリアミド類、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどの塩素含有樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体などの低酸素透過性の樹脂、それらの積層樹脂;アルミニウムなどの金属箔または金属蒸着樹脂;ケイ素酸化物などの無機化合物蒸着樹脂などの通常知られたものがある。バリア層と脱酸素層を積層する際には、脱酸素層を構成する熱可塑性樹脂と相溶性のある熱可塑性樹脂、好ましくは、脱酸素層を構成する熱可塑性樹脂と同種の熱可塑性樹脂からなる緩衝層を介して行う。
【0016】
脱酸素層を酸素透過性樹脂層と接着または融着する場合には、必要に応じて、層間に接着力を強化する緩衝層または融着層などを追加することができる。この場合、脱酸素層のマトリックス成分に用いる樹脂と同じ樹脂またはその樹脂に相溶性のある樹脂を使用することが好ましい。たとえば、脱酸素層のマトリックス成分に用いる樹脂と同じ樹脂またはその樹脂に相溶性のある樹脂からなる緩衝層を予め脱酸素層の外側に積層しておき、それを含めて延伸後、他の層を接着または融着することができる。
【0017】
各層を構成する材料としては、脱酸素多層体の高い脱酸素速度と脱酸素成分の溶出の防止とが維持でき、さらに新たな溶出などの問題がなければ、前述の材料以外に種々の物質を加えることが可能である。この添加物としては、例えば、着色または隠蔽のための顔料や染料、酸化防止や分解防止などのための安定化成分、帯電防止成分、吸湿成分、脱臭成分、可塑化成分、難燃化成分などが挙げられる。また、同様に脱酸素フィルムおよびシートとしての性能に悪影響を与えない限り、印刷層や易開封層、易剥離層など種々の層を追加することが可能である。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明を構成する延伸前の各層の積層においては、Tダイ共押出法を用いるが、この方法については特に制限はなく、個別の押出機から供給される各層を構成する樹脂が、Tダイ吐出口より所定の厚さと幅で積層されて吐出されれば良い。但し、この際にTダイの吐出口厚みはできるだけ均一であることが好ましく、このTダイの吐出口の開き具合を調節することで、脱酸素多層体の厚みを均一化させることが重要である。冷却ロールでニップ後、この厚みのバラツキがどの位置においても所定厚みの±20%以内になっていることが必要である。
【0019】
この際、冷却ロールのニップ圧を上げることにより厚みを適性範囲とすることもできるが、これを行うと、吐出された時点で周囲より厚いあるいは薄い部分で分子配向が大きくなり、その部分だけ延伸性が低下し、十分な延伸倍率が得られないことになる。そのため、冷却ロールのニップ圧をできるだけ低くして厚みを均一にすることが必要である。具体的には、冷却ロールのニップ線圧力を200N/cm以下、好ましくは120N/cm以下とする。冷却ロールのニップ線圧力の下限は、10N/cm以上、好ましくは20N/cm以上とする。なお、押出フィルムまたはシートを引き取る装置については、特に制限はなく、一般的な製造装置として使用されているものであればよい。
【0020】
延伸においては、通常知られているように、1軸延伸、2軸同時延伸、2軸逐次延伸のいずれの手法を用いてもよい。このとき、脱酸素層と難水溶性の無機フィラーを含む層が高い酸素透過性を与えるように連続多孔化し、同時に酸素透過性樹脂層が破断せずに薄膜化される必要性から、延伸温度は酸素透過性樹脂層の樹脂の溶融温度付近以下、延伸倍率は2〜20倍、とするのが好ましい。
【0021】
低酸素透過性のバリア層を後から加える場合には、脱酸素層及び酸素透過層を予め積層・延伸しておいてから、同層を熱ラミネート、ドライラミネート、押し出しコーティングなどの通常の方法により接着または融着して、最終的な多層構造とすることができる。低酸素透過性の樹脂をバリア層として積層する場合は、予め脱酸素層の酸素透過層を積層しない側に積層しておいてから延伸することもできる。この場合、溶融状態にある、脱酸素層を構成する熱可塑性樹脂と相溶性のある熱可塑性樹脂、好ましくは、脱酸素層を構成する熱可塑性樹脂と同種の熱可塑性樹脂を介してバリア層と脱酸素層を接合することができる。
【0022】
本発明の製造方法における脱酸素多層体は、片面が低酸素透過性のバリア層の場合、他の片面が酸素を吸収することができる脱酸素包装材料として、その特性に応じ、例えば、包装袋や包装容器の一部や全部に種々の形で使用される。例えば、片側の面より順にヒートシール可能な酸素透過性樹脂、脱酸素組成物が配合された連続多孔質脱酸素層、酸素透過を防ぐバリア層で構成される片面吸収型脱酸素フィルムまたはシートとして使用される。また、片側の面より順に酸素透過性樹脂層、脱酸素組成物が配合された連続多孔質脱酸素層、酸素透過性樹脂層で構成される両面吸収型脱酸素フィルムまたはシートとして使用される。
また、包装される内容物は固体だけでなく、液体、または固体と液体の混合物も可能である。両面とも酸素透過性である場合には、小袋形状の脱酸素剤と同様に使用することができる。
【0023】
【実施例】
以下、実施例と比較例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
【0024】
実施例1
最大粒径約50μmの鉄粉100重量部に対して塩化カルシウム2重量部を含む水溶液を噴霧し加熱乾燥させてコーティングした脱酸素組成物、難水溶性の無機フィラーとして粉砕シリカ((株)龍森製、CRYSTALITE VX-S2、平均粒径5μm、最大粒径20μm)、及び、ポリプロピレン(三菱化学(株)、FW3E、メルトフローレート7.0g/10min)をドライブレンド後、30mm径2軸押し出し機にて混練、ストランドダイより押し出し、冷却、ペレタイザーで切断して、脱酸素樹脂のペレットを得た。該脱酸素樹脂の組成は、脱酸素組成物50wt%、粉砕シリカ10wt%、ポリプロピレン40wt%である。
【0025】
難水溶性の無機フィラーとして粉砕シリカ((株)龍森製、CRYSTALITE VX-S2、平均粒径5μm、最大粒径20μm)、隠蔽剤として酸化チタン(堺化学工業(株)製、SR-1、一次粒径0.25μm)及び、ポリプロピレン(三菱化学(株)製、FW3E、メルトフローレート7.0g/10min)をドライブレンド後、30mm径2軸押し出し機にて混練、ストランドダイより押し出し、冷却、ペレタイザーで切断して、白色樹脂のペレットを得た。該白色樹脂の組成は、粉砕シリカ50wt%、酸化チタン10wt%、ポリプロピレン40wt%である。
【0026】
酸素透過性樹脂層としてポリプロピレン(FW3E)とエチレン−水添ブタジエン共重合体(ジェイ・エス・アール(株)製、DYNARON 6200P)の重量比1:1混合物、隠蔽層として前記白色樹脂、脱酸素層として前記脱酸素樹脂及び緩衝層としてポリプロピレン(三菱化学(株)製、FW3E)の計4層を、Tダイ幅500mmの共押出機によりこの順に配列されるように積層した。ニップ圧は100N/cmで、総厚みは500±50μmであった。共押出による積層後の積層体厚みの分布を測定したところ、厚みの平均値から±20%以内に95%が入っていた。
【0027】
この積層体を一軸延伸機にて6倍に延伸したところ、破断することなく延伸できた。この6倍延伸した積層体の緩衝層にバリア層としてアルミ箔をウレタン系接着剤(武田薬品工業(株)製A−515、硬化剤A−50との重量比10:1混合物)を用いてドライラミネートにより接着し、脱酸素多層フィルムを得た。得られた脱酸素多層フィルムの構成は、酸素透過性樹脂層20μm/隠蔽層40μm/脱酸素層50μm/緩衝層10μm/バリア層20μmであった。
【0028】
ポリエチレンテレフタレート/エチレン−ビニルアルコール共重合体/ポリプロピレンからなるカップに炊飯米を充填し、得られた脱酸素多層フィルムをトップシールフィルムとしてヒートシールし、包装容器を作成した。25℃における酸素濃度の経時変化をガスクロマトグラフ((株)島津製作所、GC-14B)で追跡し、脱酸素速度を酸素濃度0.1vol%に達するまでの時間(脱酸素時間)で求めた。脱酸素時間は20時間であった。炊飯米の風味は2週間後も良好に保存されていた。
【0029】
実施例2
最大粒径約50μmの鉄粉100重量部に対して塩化カルシウム2重量部を含む水溶液を噴霧し加熱乾燥させてコーティングした脱酸素組成物、及び、直鎖状低密度ポリエチレン(三井化学(株)製、SP2040、メルトフローレート4.0g/10min)をドライブレンド後、30mm径2軸押出機にて混練、ストランドダイより押し出し、冷却、ペレタイザーで切断して、脱酸素性樹脂組成物のペレットを得た。該脱酸素性樹脂組成物の組成は、脱酸素組成物50wt%、直鎖状低密度ポリエチレン50wt%である。
【0030】
ヒートシール層として脱酸素層と同じ直鎖状低密度ポリエチレンを用い、ポリメチルペンテン樹脂(三井化学(株)製、DX845)、及び隠蔽用に酸化チタン(SR-1)を、重量比で70:20:10となるように混合し、脱酸素層と同様にしてペレットを作製した。このペレットと、脱酸素のペレットを用いて実施例1と同様にして共押出により積層し、2層からなる積層体を得た。冷却ロールのニップ圧は75N/cmで、総厚み200±30μmであった。共押出による積層後の積層体厚みの分布を測定したところ、厚みの平均値から±20%以内に95%が入っていた。
【0031】
この積層体を一軸延伸機にて5倍に延伸したところ、破断することなく延伸できた。この5倍延伸フィルムの緩衝層にバリア層としてアルミ箔をウレタン系接着剤(武田薬品工業(株)製A−515、硬化剤A−50との重量比10:1混合物)を用いてドライラミネートにより接着し、脱酸素多層フィルムを得た。得られた脱酸素多層フィルムの構成は、酸素透過性樹脂層30μm/脱酸素層50μm/バリア層20μmであった。
【0032】
脱酸素多層フィルムを両面に配した袋に、脱酸素フィルムの面積1cm2に対して空気量1ccの割合となるように所定量の空気及び食パンを入れて、ヒートシールした。25℃に保存して実施例1と同様にして酸素濃度を測定したところ、脱酸素時間は18時間であった。食パンの風味は2週間後も良好に保存されていた。
【0033】
実施例3
実施例2と同様の脱酸素層、酸素透過性層用ペレットを作製し、酸素透過性層、脱酸素層、酸素透過性層の順に積層し、3層からなる脱酸素多層体を得た。冷却ロールのニップ圧は150N/cm、総厚み250±30μmであった。共押出による積層後の積層体厚みの分布を測定したところ、厚みの平均値から±20%以内に95%が入っていた。実施例1と同様にして5倍に延伸したところ、破断することなく延伸でき、脱酸素多層体を得た。
得られた脱酸素多層フィルムを片面に、ポリエチレンテレフタレート/エチレン−ビニルアルコール共重合体/ポリエチレンからなるガスバリア性透明フィルムを片面に配した10cm×15cmの袋に、煮豆50g及び空気150ccを入れて、ヒートシールした。脱酸素時間は20時間であった。煮豆の風味は2週間後も良好に保存されていた。
【0034】
比較例1
脱酸素多層体の構成は実施例1と同じとして、共押出時のニップ圧を250N/cmとして、総厚み500±30μmとした。実施例1と同様に延伸すると、延伸倍率4倍で破断した。
【0035】
比較例2
脱酸素多層体の構成は実施例2と同じとして、共押出時のニップ圧を250N/cmとして、総厚み200±20μmとした。実施例1と同様に延伸すると、延伸倍率3倍で破断した。
【0036】
【発明の効果】
本発明の脱酸素多層体の製造方法は、脱酸素組成物を含む積層体を高延伸倍率に延伸することを可能にし、これにより脱酸素層を多孔化して酸素透過速度を大きくし、脱酸素速度の向上した、脱酸素成分の溶出のない脱酸素多層体が工業的に製造される。

Claims (4)

  1. 脱酸素組成物が配合された連続多孔質樹脂からなる脱酸素層とその一面に酸素透過性の樹脂からなる酸素透過性樹脂層を配してなる脱酸素多層体の製造において、脱酸素組成物が配合された熱可塑性樹脂と酸素透過性熱可塑性樹脂とを、冷却ロールのニップ線圧力を200N/cm以下として共押出により積層した後、延伸して脱酸素層を連続多孔化することを特徴とする脱酸素多層体の製造方法。
  2. 脱酸素組成物が配合された連続多孔質樹脂からなる脱酸素層とその両面に酸素透過性の樹脂からなる酸素透過性樹脂層を配してなる脱酸素多層体の製造において、脱酸素層を構成するシートとその両側に配した酸素透過性樹脂層を構成するシートとを、冷却ロールのニップ線圧力を200N/cm以下として共押出により積層した後、延伸して脱酸素層を連続多孔化することを特徴とする脱酸素多層体の製造方法。
  3. 共押出による積層後の積層体厚みの分布が、厚み平均値から±20%以内に90%以上が入ることを特徴とする請求項1又は2記載の脱酸素多層体の製造方法。
  4. バリア層として低酸素透過性の樹脂を、脱酸素層の酸素透過層を積層しない側に予め積層しておいてから延伸することを特徴とする請求項1記載の脱酸素多層体の製造方法。
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