JP4432719B2 - ラインパイプ用厚鋼板及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、厚鋼板及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、ラインパイプ用厚鋼板及びその製造方法に関する。
原油や天然ガスは、湿潤な硫化水素を含む。そのため、原油や天然ガスを掘削するために使用される油井管や、掘削された原油や天然ガスを搬送するラインパイプでは、硫化水素に起因した水素脆化が問題となる。
水素脆化には、静的な外部応力下で鋼材に生じる硫化水素割れと、外部応力のない状態で鋼材に生じる水素誘起割れ(Hydrogen Induced Cracking:以下、HICと称する)とがある。ラインパイプは油井管よりも静的な外部応力が掛からない。そのためラインパイプでは特に耐HIC性が要求される。特に、強度グレードがAPI5L X60〜X80であるラインパイプ(以下、高強度ラインパイプと称する)ではHICが発生しやすいため、耐HIC対策が重要である。
上述した高強度ラインパイプには一般的にCa処理が実行される。Ca処理は硫化物系介在物の形態を熱間圧延時に延伸しやすいMnSから延伸しにくいCaSにする。そのため介在物と母相との界面でHICが発生するのを防止できる。
Ca処理は1atmの硫化水素分圧のサワー環境で使用される高強度ラインパイプのHICの発生を抑制するのに有効であるが、この処理によりラインパイプの製造コストは高くなる。
ところで、高強度ラインパイプが使用されるサワー環境には、硫化水素分圧が0.1〜0.3atm程度である硫化水素分圧の比較的低いサワー環境(以下、少量硫化水素環境と称する)がある。1atmの硫化水素分圧のサワー環境での使用を想定したラインパイプは少量硫化水素環境に対しては過剰な材料設計であり、高い製造コストが問題となっている。
特許第347895号公報 特開2002−294394号公報 特開平5−93243号公報 特開平5−9575号公報 特開平2−240211号公報
本発明の目的は、従来よりも製造コストが安く、硫化水素分圧が0.1atm〜0.3atm程度である少量硫化水素環境におけるHICの発生を抑制できる強度グレードがAPI X60〜X80のラインパイプ用厚鋼板及びその製造方法を提供することである。
課題を解決するための手段及び発明の効果
本発明者は高強度ラインパイプの製造工程で通常実施されるCa処理を省略して製造コストを安くすることを考えた。そこで、本発明者らは、Ca処理を省略しても少量硫化水素環境でHICの発生を防止できる製造方法を種々の実験に基づいて検討した。その結果、本発明者は、Mn及びPの偏析度と化学組成とが耐HIC性に影響を与えるだけでなく、さらに厚鋼板の製造条件である厚鋼板の板厚と、圧延前のスラブの加熱温度と、圧延時の圧延仕上温度と、圧延後の厚鋼板を水冷するときの水冷停止温度とが耐HIC性に影響を与えることを新たに見出した。本発明者は偏析度と化学組成と製造条件(板厚、スラブ加熱温度、圧延仕上温度及び水冷停止温度)とが相互に関連して耐HIC性に影響を与えていると考えた。
以上の考えに基づいて及び種々の実験を行った結果、Mn偏析度が1.2以下であり、P偏析度が2.0以下であり、かつ、式(1)を満たす化学組成及び製造条件で製造された厚鋼板は強度グレードがAPIX60〜X80に相当し、かつ、少量硫化水素環境に対する耐HIC性を有することを見出した。
547≦0.10WT+1428C+93Si+108Mn−12Cu+113Cr+113Ni+304Mo+430Nb+238V+1315Ti+0.21T+0.03T−0.04T+30≦739 (1)
ここで、WT(mm)はラインパイプ用厚鋼板の板厚であり、T(℃)はスラブ加熱温度であり、T(℃)は圧延仕上温度であり、T(℃)は冷却停止温度である。それ以外の記号は各元素の含有量(質量%)である。
なお、式(1)を満たす厚鋼板の降伏応力は414〜690MPaとなり、かつ、引張強度は517〜827MPaとなる。換言すれば、式(1)を満たすことによりAPI5L X60〜X80のラインパイプ用厚鋼板が得られる。
以上の知見に基づいて、本発明者は以下の発明を完成した。
本発明によるラインパイプ用厚鋼板の製造方法は、質量%でC:0.04〜0.08%、Si:0.05〜0.35%、Mn:1.20〜1.80%、Nb:0.02〜0.06%、Ti:0.005〜0.030%、Al:0.010〜0.060%、Mo:0〜0.25%、Cu:0〜0.40%、Cr:0〜0.50%、Ni:0〜0.50%、V:0〜0.06%、P:0.020%以下、S:0.003%以下、Ca:0.0005%未満を含有し、残部はFe及び不純物からなり、全体のMn濃度に対する偏析部のMn濃度の比であるMn偏析度が1.2以下であり、全体のP濃度に対する偏析部のP濃度の比であるP偏析度が2.0以下である素材を加熱炉に装入し、T℃に加熱する工程と、加熱した素材を加熱炉から抽出し、T℃の圧延仕上温度で圧延して厚鋼板にする工程と、厚鋼板をT℃まで水冷し、T℃から室温まで空冷する工程とを備え、式(1)を満たす。
547≦0.10WT+1428C+93Si+108Mn−12Cu+113Cr+113Ni+304Mo+430Nb+238V+1315Ti+0.21T+0.03T−0.04T+30≦739 (1)
ここで、WT(mm)はラインパイプ用厚鋼板の板厚であり、C、Si、Mn、Cu、Cr、Ni、Mo、Nb、V、Tiは各元素の含有量(質量%)である。また、Tは1000〜1200であり、Tは700〜950であり、T400〜550である。
本発明によれば、Ca処理をしなくても上記Mn偏析度及びP偏析度を満足し、かつ、式(1)を満たす化学組成及び製造条件にすれば、高強度ラインパイプ用の厚鋼板であっても少量硫化水素環境においてHICの発生を抑制できる。そのため、Ca処理をしない分従来の高強度ラインパイプ用厚鋼板よりも製造コストを安くでき、かつ、少量硫化水素環境での耐HIC性に優れたラインパイプ用厚鋼板を得ることができる。
本発明によるラインパイプ用厚鋼板は、質量%でC:0.04〜0.08%、Si:0.05〜0.35%、Mn:1.20〜1.80%、Nb:0.02〜0.06%、Ti:0.005〜0.030%、Al:0.010〜0.060%、Mo:0〜0.25%、Cu:0〜0.40%、Cr:0〜0.50%、Ni:0〜0.50%、V:0〜0.06%、P:0.020%以下、S:0.003%以下、Ca:0.0005%未満を含有し、残部はFe及び不純物からなり、全体のMn濃度に対する偏析部のMn濃度の比であるMn偏析度が1.2以下であり、全体のP濃度に対する偏析部のP濃度の比であるP偏析度が2.0以下であり、式(1)を満たす。
547≦0.10WT+1428C+93Si+108Mn−12Cu+113Cr+113Ni+304Mo+430Nb+238V+1315Ti+0.21T1+0.03T2−0.04T3≦709 (1)
ここで、WT(mm)はラインパイプ用厚板鋼板の板厚であり、T(℃)はラインパイプ用厚板鋼板に圧延される素材の圧延前の加熱炉での加熱温度であり、T(℃)は前記素材を圧延して厚板鋼板にするときの圧延仕上温度であり、T(℃)は圧延後の厚板鋼板を水冷するときの水冷停止温度であり、それ以外は各元素の含有量(質量%)である。また、Tは1000〜1200であり、Tは700〜950であり、T400〜550である。

好ましくは、ラインパイプ用厚鋼板の降伏応力は414〜690MPaであり、かつ、引張強度は517〜827MPaである。
要するに、本発明のラインパイプ用厚鋼板の強度グレードはAPI5L X60〜X80に相当する。
好ましくは、ラインパイプ用厚鋼板の板厚WTは、10.0≦WT≦45.0である。
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
1.化学組成
本発明の実施の形態によるラインパイプ用厚鋼板は、以下の組成を有する。以降、各元素に関する%は質量%を意味する。
C:0.04〜0.08%
Cは鋼の強度を改善する。過剰なC含有量は圧延工程又は圧延後の冷却工程におけるパーライト変態時にC偏析を引き起こし、局所的に硬度を上昇する。局所的な硬度上昇は耐HIC性を低下する。そのため、C含有量は0.04〜0.08%にする。
Si:0.05〜0.35%
Siは脱酸剤として有効である。さらにSiは鋼の強度を増加する。Si含有量が少なすぎると脱酸が不十分になる。またSi含有量が多すぎると溶接熱影響部(HAZ:Heat Affected Zone)にマルテンサイトを生成し、靭性低下を引き起こす。そのためSi含有量は0.05〜0.35%にする。好ましいSi含有量は0.05〜0.30%である。
Mn:1.20〜1.80%
Mnは鋼の強度と靭性に寄与する。Mn含有量が少なすぎると鋼の強度を得るために他の合金元素を添加しなければならず、製造コストを引き上げる。Mn含有量が多くなると連続鋳造スラブに中心偏析を引き起こし、耐HIC性を低下する。圧延工程又は圧延後の水冷工程でMn偏析部にCが濃化し、局所的に硬度を上昇するためである。そのためMn含有量を1.20〜1.80%にする。
Nb:0.02〜0.06%
Nbは結晶粒を微細化し、強度及び靭性を改善する。Nbを添加した鋼をオーステナイト未再結晶域で圧延した後、Ar3変態点以上の温度から急冷することにより鋼の組織を細粒な下部ベイナイト組織にすることができる。Nb含有量が多すぎるとスラブを加熱するときにスラブ中のNb炭窒化物が完全に溶解せず、未溶解のNb炭窒化物がHICの起点となる。そのためNb含有量は0.02〜0.06%にする。好ましいNb含有量は0.02〜0.05%である。
Ti:0.005〜0.030%
TiはTi炭窒化物を形成し、鋼の強度に寄与する。Ti含有量が多すぎるとTi炭窒化物が粗大化し、HAZの靭性を低下する。さらに連続鋳造スラブの中央部に過剰なTi炭窒化物が形成され、HICを引き起こす。そのため、Ti含有量は0.005〜0.030%にする。好ましいTi含有量は0.005〜0.025%である。
Al:0.010〜0.060%
Alは脱酸剤である。さらにAlは靭性に寄与する。しかしながらAl含有量が多すぎると過剰な介在物を形成し、鋼の清浄度を下げる。そのため、Al含有量は0.010〜0.060にする。好ましいAl含有量は0.010〜0.055%である。
P:0.020%以下
Pは不純物である。Pはスラブ中央部に偏析し、組織を硬化させることによりHICを引き起こす。そのため、P含有量は0.020%にする。
S:0.003%以下
Sは不純物である。SはMnと結合してMnSを形成し、MnSはHICの起点となる。そのため、S含有量は低い方が好ましい。S含有量は0.003%以下にする。好ましいS含有量は0.002%以下である。
Ca:0.0005%未満
本発明ではCaは不純物である。Caは介在物を球状化しHICの発生を抑制するが、製造コストを引き上げる。そのため、本発明によるラインパイプ用厚鋼板にはCaは添加されない。そのためCa含有量は0.0005%未満になる。
Cu:0〜0.40%
Cuは選択元素である。Cuは靭性及び耐HIC性に寄与する。しかしながら、Cuは製造コストを引き上げる。さらにCuはフェライト形成元素であるため、Cu含有量が多すぎると組織中のフェライトの割合が増加し、鋼の強度が低下する。そのためCu含有量は0〜0.40%にする。
Cr:0〜0.50%
Crは選択元素である。Crは強度及び耐食性に寄与する。しかしながら、Crは製造コストを引き上げる。さらに、Cr含有量が多すぎると溶接性を低下する。そのため、Cr含有量は0〜0.50%にする。
Ni:0〜0.50%
Niは選択元素である。Niは強度及び靭性に寄与する。Cuを添加する場合、Niも添加するのが好ましい。なぜならNiはCuチェッキングを防止するからである。CuとともにNiを添加する場合、Cu含有量の約2倍以上のNi含有量とするのが好ましい。Ni含有量が高すぎると、溶接性を低下する。そのため、Ni含有量は0〜0.50%にする。
Mo:0〜0.25%
Moは選択元素である。Moは焼き入れ性を改善することにより強度に寄与する。具体的には、Moはオーステナイトからフェライト及びパーライトへの変態を遅らせる。そのため、厚鋼板を所望の強度にするために必要に応じて添加する。Mo含有量は0〜0.25%にする。
V:0〜0.06%
Vは選択元素である。Vは析出硬化により強度に寄与する。V含有量が多すぎると製造コストが高くなる。そのため、V含有量は0〜0.06%にする。
なお、残部はFeで構成されるが、製造過程の種々の要因により他の不純物が含まれることもあり得る。他の不純物とは、たとえば酸化物である。なお、これら不純物により本発明のラインパイプ用厚鋼板の特徴が変わることはない。
本発明のラインパイプ用厚鋼板はMn及びPの偏析度が低い。具体的にはMn偏析度が1.2以下であり、P偏析度が2.0以下である。これらの元素の偏析を抑えることで、HICの発生を抑制できる。
ここで、Mn偏析度とは厚鋼板全体のMn濃度に対するMn偏析部のMn濃度の比であり、たとえば、以下のように測定する。
図1Aに示すように厚鋼板10の幅方向に沿って複数のサンプルを採取する。具体的には、幅Wmm及び板厚WTmmの厚鋼板10の端部11からW/8、W/4、W/2、3W/4、7W/8の位置からそれぞれ50mm×50mm×板厚WTmmのサンプル50を採取する。採取した5つのサンプル50の断面を研磨した後、図1Bに示すように板厚WT方向にX線による線分析を実施し、Mn濃度のピーク値を測定する。一方、厚鋼板全体のMn濃度はレードル値又は製品チェック分析により測定した値(バルク値)を用いる。各サンプルでピーク値/バルク値を求め、それらの平均をMn偏析度とする。
P偏析度とは厚鋼板全体のP濃度に対するP偏析部のP濃度の比であり、たとえばMn偏析度と同様の測定方法により求められる。
また、本発明のラインパイプ用鋼板の降伏応力は414〜690MPaであり、かつ、引張強度は517〜827MPaである。換言すれば、本発明のラインパイプ用厚鋼板の強度グレードはAPI5L X60〜X80である。
3.製造方法
上記化学組成の鋼を溶製し、周知の精錬工程により精錬する。続いて溶鋼を素材にする。具体的には溶鋼を連続鋳造によりスラブにする。このとき、鋳込速度、鋳込温度及び冷却速度を調整することによりスラブでのMn偏析度を1.2以下にし、P偏析度を2.0以下にする。上記Mn偏析度及びP偏析度にするために電磁誘導撹拌を実施してもよい。 続いて、スラブを熱間圧延して厚鋼板にする。具体的には、スラブを加熱炉に装入し、加熱温度T℃で加熱する。好ましい加熱温度Tは、1000〜1200℃である。なお、好ましい加熱時間は180〜300分である。
所定時間加熱した後、加熱炉からスラブを抽出する。抽出したスラブは粗圧延機及び仕上圧延機により圧延され、厚鋼板になる。このときの好ましい圧延仕上温度Tは700〜950℃である。ここで、圧延仕上温度とは、スラブを圧延機により圧延して厚鋼板とするときの最終パス圧延前の素材の温度をいう。圧延後の好ましい板厚WTは10.0〜45.0mmである。
圧延された厚鋼板は水冷停止温度T℃まで水冷した後、常温まで空冷する。水冷停止温度T℃は400〜550℃が好ましい。圧延後の厚鋼板の温度はAr3変態点以上である。Ar3変態点以上の温度から急冷することによりCが中心偏析部に濃化するのを抑制し、耐HIC性を向上させる。
さらに、本発明によるラインパイプ用厚鋼板の製造方法では、以下の式(1)を満たす。
547≦0.10WT+1428C+93Si+108Mn−12Cu+113Cr+113Ni+304Mo+430Nb+238V+1315Ti+0.21T+0.03T−0.04T+30≦739 (1)
すなわち、ラインパイプ用厚鋼板の耐HIC性には、化学組成だけでなく、板厚WT、加熱温度T、圧延仕上温度T及び水冷停止温度Tが影響する。Mn偏析度を1.2以下、P偏析度を2.0以下にし、かつ、式(1)を満たす化学組成及び製造条件で製造することにより、Ca処理をすることなく少量硫化水素環境における耐HIC性に優れたラインパイプ用厚鋼板を得ることができる。
なお、式(1)を満たすことによりラインパイプ用厚鋼板の降伏応力(0.2%耐力)は414〜690MPaになり、かつ、引張強度は517〜758MPaになる。換言すれば、API5L X60〜X80に相当するラインパイプ用厚鋼板を得ることができる。
さらに、式(2)に示すαが表1のα値欄の値を満たすことにより、表1中のαに対応した強度グレードを有するラインパイプ用厚鋼板を得ることができる。
α=0.10WT+1428C+93Si+108Mn−12Cu+113Cr+113Ni+304Mo+430Nb+238V+1315Ti+0.21T+0.03T−0.04T+30 (2)
Figure 0004432719
たとえば、547≦α≦613であれば、API5L X60に相当する厚鋼板を得ることができる。
表2に示す化学組成の厚鋼板を製造し、製造した厚鋼板の強度及び耐HIC性を評価した。
Figure 0004432719
表2に示す化学組成を有する溶鋼を連続鋳造法によりスラブにした。鋳造したスラブを加熱炉に装入し、表2に示す加熱温度T℃で180〜330分加熱した。加熱したスラブを加熱炉から抽出し、熱間圧延により表2に示す板厚WTmmの厚鋼板にした。このとき、圧延仕上温度T℃は表2に示す通りであった。圧延後の厚鋼板は表2に示す水冷停止温度T℃まで水冷した後、常温まで空冷した。
空冷後、各厚鋼板のMn偏析度及びP偏析度を調査した。具体的には、厚鋼板の一端からW/8、W/4、W/2、3W/4、7W/8の位置でそれぞれ50mm×50mm×板厚WTmmのサンプルを採取した。採取した5つのサンプルの断面を研磨した後、板厚WT方向にX線による線分析を実施し、Mn濃度のピーク値を測定した。一方、厚鋼板全体のMn濃度(バルク値)はレードル値を用いた。各サンプルでピーク値/バルク値を求め、それらの平均をMn偏析度とした。同様の方法でP偏析度も求めた。Mn偏析度及びP偏析度を表2に示す。
さらに、各厚鋼板の化学組成及び製造条件に基づいてα値を算出した。各厚鋼板のα値を表2に示す。
[降伏応力及び引張強度調査]
引張試験を実施し、各厚鋼板の降伏応力YS及び引張強度TSを調査した。試験片は平板試験片とし、API規格に基づいて作成した。
[耐HIC性の評価試験]
各厚鋼板に対して耐HIC性の評価試験(HIC試験)を実施した。このとき、NACE溶液として0.3atmの硫化水素を飽和させた0.5%酢酸+5%食塩水を使用した。その他の条件はNACE TM−0284 に基づいてHIC試験を実施した。なお、試験片は上記NACE溶液に96時間浸漬した。超音波探傷により試験後の各試験片の割れの有無を調査した。割れが無かった供試材を合格とし(表2のHIC欄に「○」で示す)、割れが発生した供試材を不合格とした(表2のHIC欄に「×」で示す)。
[調査結果]
供試材1〜8は化学組成、Mn偏析度、P偏析度及びαが本発明の規定範囲内であったため、HIC試験でも割れが発生しなかった。さらに供試材1〜8の降伏応力YS及び引張強度TSは本発明の規定範囲内となり、強度グレードがAPI5L X60〜X80の範囲内となった。具体的には、供試材1のα値は591であり、強度グレードがX60であった。供試材2〜4のα値は583〜618であり、強度グレードはX65であった。供試材5,6のα値はそれぞれ635,627であり、強度グレードがX70であった。供試材7,8のα値はそれぞれ727,726であり、強度グレードがX80であった。
一方、供試材9〜18はHICが発生した。Mn偏析度又はP偏析度が本発明の規定範囲を超えたためと考えられる。また、供試材19及び20は、化学組成は本発明の範囲内であったものの、αが本発明の規定範囲を超えたためHICが発生した。
供試材21〜42は化学組成が本発明の規定範囲を超えたため、HICが発生した。また、供試材43〜45は化学組成が本発明の規定範囲を超え、αが下限値未満であった。そのため、引張強度が本発明の下限値未満となり、APIL5 X60に相当する強度を得られなかった。
本発明によるラインパイプ用厚鋼板は、原油や天然ガスを搬送するラインパイプに利用可能であり、特に、硫化水素分圧が0.1〜0.3atmの少量硫化水素環境に使用されるラインパイプに利用可能である。
本発明の実施の形態によるラインパイプ用厚鋼板のMn偏析度及びP偏析度の測定方法を説明するための模式図である。 図1中の試験片を用いた線分析の方法を説明するための模式図である。

Claims (4)

  1. 質量%でC:0.04〜0.08%、Si:0.05〜0.35%、Mn:1.20〜1.80%、Nb:0.02〜0.06%、Ti:0.005〜0.030%、Al:0.010〜0.060%、Mo:0〜0.25%、Cu:0〜0.40%、Cr:0〜0.50%、Ni:0〜0.50%、V:0〜0.06%、P:0.020%以下、S:0.003%以下、Ca:0.0005%未満を含有し、残部はFe及び不純物からなり、全体のMn濃度に対する偏析部のMn濃度の比であるMn偏析度が1.2以下であり、全体のP濃度に対する偏析部のP濃度の比であるP偏析度が2.0以下である素材を加熱炉に装入し、T℃に加熱する工程と、
    加熱した素材を前記加熱炉から抽出し、T℃の圧延仕上温度で圧延して厚鋼板にする工程と、
    前記厚鋼板をT℃まで水冷し、T℃から室温まで空冷する工程とを備え、
    式(1)を満たすことを特徴とするラインパイプ用厚鋼板の製造方法。
    547≦0.10WT+1428C+93Si+108Mn−12Cu+113Cr+113Ni+304Mo+430Nb+238V+1315Ti+0.21T+0.03T−0.04T+30≦739 (1)
    ここで、WT(mm)はラインパイプ用厚鋼板の板厚であり、C、Si、Mn、Cu、Cr、Ni、Mo、Nb、V、Tiは各元素の含有量(質量%)である。また、Tは1000〜1200であり、Tは700〜950であり、T400〜550である。
  2. 質量%でC:0.04〜0.08%、Si:0.05〜0.35%、Mn:1.20〜1.80%、Nb:0.02〜0.06%、Ti:0.005〜0.030%、Al:0.010〜0.060%、Mo:0〜0.25%、Cu:0〜0.40%、Cr:0〜0.50%、Ni:0〜0.50%、V:0〜0.06%、P:0.020%以下、S:0.003%以下、Ca:0.0005%未満を含有し、残部はFe及び不純物からなり、
    全体のMn濃度に対する偏析部のMn濃度の比であるMn偏析度が1.2以下であり、全体のP濃度に対する偏析部のP濃度の比であるP偏析度が2.0以下であり、式(1)を満たすことを特徴とするラインパイプ用厚鋼板。
    547≦0.10WT+1428C+93Si+108Mn−12Cu+113Cr+113Ni+304Mo+430Nb+238V+1315Ti+0.21T+0.03T−0.04T+30≦739 (1)
    ここで、WT(mm)はラインパイプ用厚鋼板の板厚であり、T(℃)はラインパイプ用厚鋼板に圧延される素材の圧延前の加熱炉での加熱温度であり、T(℃)は前記素材を圧延して厚鋼板にするときの圧延仕上温度であり、T(℃)は圧延後の厚鋼板を水冷するときの水冷停止温度であり、それ以外は各元素の含有量(質量%)である。また、Tは1000〜1200であり、Tは700〜950であり、T400〜550である。
  3. 請求項2に記載のラインパイプ用厚鋼板であって、
    降伏応力が414〜690MPaであり、かつ、引張強度が517〜827MPaであることを特徴とするラインパイプ用厚鋼板。
  4. 請求項2又は請求項3に記載のラインパイプ用厚鋼板であって、
    10.0≦WT≦45.0であることを特徴とするラインパイプ用厚鋼板。
JP2004300848A 2004-10-15 2004-10-15 ラインパイプ用厚鋼板及びその製造方法 Active JP4432719B2 (ja)

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