JP4431939B2 - 高分子電解質の製造方法及び燃料電池 - Google Patents

高分子電解質の製造方法及び燃料電池 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高分子電解質の製造方法及びその高分子電解質を用いた燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境問題、資源問題等からよりクリーンで効率の高いエネルギー源が求められており、燃料電池が期待されている。燃料電池は、電気化学反応により燃料の有する化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する装置であり、高いエネルギー効率を実現することが期待されている。
【0003】
このような燃料電池の中でも、固体高分子電解質型燃料電池(PEFC)は、低温での運転が可能であって、安全性や小型化の観点からも多くの利点を有し、種々の用途が検討されている。このPEFCは、電解質として高分子電解質を備える。高分子電解質は、高いイオン伝導度が要求されている。従来の高分子電解質としてはペルフルオロカーボンスルホン酸ポリマーから構成される樹脂(例えば、ナフィオン、デュポン社製)が用いられてきた。
【0004】
ところで、燃料電池の実用化にあたっては幅広い条件下において高いイオン伝導度を発揮することが要求される。ナフィオン等のペルフルオロカーボンスルホン酸ポリマーがイオン伝導性を発現するためには適正量の水分が必須である。従って、PEFCの起動時等の水分が少ない場合の性能低下や、低温下での水分凍結のおそれといった含水量の変動に起因する問題がある。
【0005】
そこで、本発明者らのグループは低含水率においても高いイオン伝導性を示す材料を検討している。検討の結果、アニオン性基とカチオン性基とを導入した高分子材料からなる高分子電解質が低含水率においても高いイオン伝導性を示すことが判明した。
【0006】
高分子材料中にカチオン性基(陰イオン交換基)を導入した高分子電解質としては特許文献1に記載がある。特許文献1では、[0010]に記載があるように、陰イオン交換基を有するビニル化合物と加水分解可能な官能基を有するビニル化合物と架橋性モノマーとを共重合させた後に、加水分解可能な官能基を加水分解させて親水性を向上させると共に架橋重合体内に空間を作って水分子の存在量を高めることを目的としている。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−235849号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らはアニオン性基及びカチオン性基が共存する高分子電解質について、更なるイオン伝導性の向上を目指した
【0009】
つまり、本発明において解決すべき課題は、アニオン性基及びカチオン性基を導入した高分子電解質について、イオン伝導性を向上させることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段及び効果】
上記課題を解決する目的で本発明者らは鋭意研究を行った結果、高分子電解質中に導入されたカチオン性基は低含水率におけるイオン伝導性を向上させるものの、同時に含まれるスルホ基等のアニオン性基の酸性度を低下させ、アニオン性基のイオン伝導性が充分に発揮できないことを見出した。本発明者らはカチオン性基を中和することでアニオン性基のイオン伝導性を充分に発揮させることが可能となり、得られる高分子電解質のイオン伝導性が向上することを発見し以下の発明を行った。また、強度の上昇が認められる場合もあった。
【0011】
すなわち、本発明の高分子電解質の製造方法は、下記一般式(1)で表される置換基を側鎖に有し、アニオン性基及びカチオン性基を同一高分子分子上にもつ高分子化合物を含む高分子材料に対して、HSO、HPO、HCl及びトリフルオロメタンスルホン酸からなる群から選択される化合物であるアニオン性化合物を含浸させる工程を有することを特徴とする。
【0013】
つまり、アニオン性化合物を含有させることで高分子化合物中に導入されたカチオン性基を概ね中和でき、結果として高分子化合物の酸性度が上昇して高分子化合物中のアニオン性基のイオン伝導能が向上できる。
【0014】
更に、カチオン性基を概ね中和することで得られた高分子電解質の柔軟性が向上する。その理由としては分子内にアニオン性基とカチオン性基が共存していることにより不均衡となっている電子分布がアニオン性化合物の添加によってイオン的に安定化されて電子バランスが改善されるためと考えられる。
【0015】
なお、「高分子化合物」は1種以上の「高分子分子」から構成されており、「アニオン性基及びカチオン性基」は「高分子分子」のうちの「同一高分子分子」に導入されている。同一の高分子分子中にアニオン性基及びカチオン性基の双方を導入することにより、高分子電解質中でアニオン性基及びカチオン性基がよく分散されるからである。
【0017】
高分子電解質の耐久性が向上するので、前記高分子化合物はフッ素原子を含有することが好ましい。
【0019】
【化4】
Figure 0004431939
【0020】
(nは自然数)
そして、前記アニオン性基及びカチオン性基を同一の高分子分子上にもつ高分子化合物は、一般式(2)で表される主要構造をもつ化合物であることが好ましい。
【0021】
【化5】
Figure 0004431939
【0022】
(n、p、q及びrは自然数)
また、前記アニオン性基及びカチオン性基を同一の高分子分子上にもつ高分子化合物は、一般式(3)で表される主要構造をもつ化合物であることが好ましい。
【0023】
【化6】
Figure 0004431939
【0024】
(n、p、q及びrは自然数
【0025】
更に上記課題を解決する本発明の燃料電池は、前述のの高分子電解質又は前述の製造方法により製造された高分子電解質からなる電解質膜と該電解質膜の両面を狭持する反応極と該反応極を狭持するセパレータとからなる燃料電池セルを複数積層したことを特徴とする。
【0026】
【発明の実施の形態】
(高分子電解質)
〈第1参考形態〉
参考形態の高分子電解質は所定の高分子材料とアニオン性化合物とからなる。高分子材料は材料中にアニオン性基及びカチオン性基をもつ。アニオン性化合物は高分子化合物中のカチオン性基とイオン結合しているものと推測される。従って、高分子化合物(すなわち高分子材料)とアニオン性化合物とは分子オーダーで混合されていることが好ましい。また、本高分子電解質はその他にも必要に応じて、強度を向上するためのフィラー等の補強材、保水剤(粘土鉱物、モレキュラーシーブ)等の添加材を加えることが可能である。
【0027】
本高分子電解質は、膜状に成形することで、燃料電池等に用いられる電解質膜として使用したり、適正な溶媒に溶解させて燃料電極の反応電極を作成するときのバインダーとして使用できる。その他にも本高分子電解質はリチウムイオン電池の固体電解質に用いることもできる。
【0028】
高分子材料は高分子化合物を含む。高分子化合物はアニオン性基及びカチオン性基を同一高分子分子上にもつ。高分子材料は高分子化合物のほか、アニオン性基及びカチオン性基のいずれももたない高分子を含むことができる。アニオン性基及びカチオン性基の存在比としては特に限定しないが高分子材料全体で、アニオン性基:カチオン性基=1:1〜3:1程度とすることが好ましい。
【0029】
高分子化合物の具体的な化学構造は特に限定されない。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどのように炭化水素からなるポリオレフィン系高分子や、ポリオレフィン系高分子の一部乃至全部の水素がフッ素原子で置換されたポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体等のフッ素樹脂、ポリシロキサン等のケイ素樹脂等からなる高分子骨格に、アニオン性基及びカチオン性基のいずれかが導入された材料である。
【0030】
高分子化合物は強度向上のために架橋されていることが好ましい。高分子化合物を架橋する方法は特に限定しない。例えば高分子化合物に対して放射線照射等により発生させたラジカルを基点として架橋剤モノマーを反応させることで行うことができる。
【0031】
アニオン性基及びカチオン性基は、高分子の側鎖上に存在しても良いし、主鎖上に存在するものであっても良い。
【0032】
つまり、高分子化合物はアニオン性基及びカチオン性基の双方が導入された高分子分子からなる高分子化合物を必ず含むほか、アニオン性基及びカチオン性基の導入の程度が異なる複数種類の高分子分子の混合物となりうる。すなわち、高分子化合物は、アニオン性基及びカチオン性基の双方が導入された1種類の高分子分子を含むものから、アニオン性基のみが導入された高分子分子とカチオン性基のみが導入された高分子分子との混合物を含むもの、更にはアニオン性基及びカチオン性基の導入量がそれぞれ異なる化合物の混合物を含むものであっても良い。
【0033】
ニオン性基及びカチオン性基の双方が導入された高分子分子からなる高分子化合物は、同一分子上の同一側鎖上に存在することが好ましい。アニオン性基及びカチオン性基としては特に限定されるものではないが、アニオン性基としてはスルホ基、リン酸基、カルボン酸基等が例示できるが、プロトン伝導性の観点からはスルホ基が好ましく、カチオン性基としてはイミダゾリウム、アンモニウム、ピリジニウム、ホスホニウム等が例示できるが、窒素(N+)含有基であることが好ましい。その他の窒素を含有する基としては、アミン誘導体や、ピリジン誘導体、イミダゾール誘導体等の複素環式化合物誘導体等が例示できる。
【0034】
必須の高分子化合物としては、一般式(1)で表される置換基を分子構造中に有するものが挙げられる。一般式(1)中のnは自然数であり、特に3以上、より好ましくは3又は4とする。
【0035】
一般式(1)において、アニオン性基は−SO3 -のスルホ基であり、カチオン性基はピリジン骨格の部分の4級窒素である。一般式(1)がピリジン誘導体であるのは複素環中の窒素を常に4級窒素としてイオン化することができるからである。従って、スルホ基の部分には対イオンとしてのプロトンが存在せず、アニオン性基及びカチオン性基はすべてイオン化している。なお、一般式(1)で表される置換基は高分子骨格と一般式(1)中のピリジン骨格の任意の炭素原子を介して結合される。
【0036】
一般式(1)の置換基が結合できる所定の高分子骨格としては特に限定されず、前述したような一般的な高分子骨格が採用できる。高分子電解質の使用目的、製造の難易、コスト等から適正に選択することが可能である。例えば、前述したように、ポリオレフィン系高分子、その一部水素がフッ素原子で置換されたフッ素樹脂が例示でき、フッ素樹脂とすることが好ましく、更にエーテル結合、ペプチド結合、エステル結合等を有することができる。また、高分子骨格としての分子量としても特に限定されないが、電解質膜として用いられる場合には分子量100万程度が膜強度及び取り扱いの観点から好ましい。一般式(1)で表される置換基の置換割合は高分子電解質の使用目的等によっても異なるが、分子量100万程度の場合に1分子あたり103〜104個程度を採用できる。
【0037】
特に好ましい高分子化合物としては一般式(2)及び(3)で表される化学構造を主要部にもつ化合物がある。一般式(2)及び(3)の高分子化合物はETFEからなる高分子骨格に一般式(1)の構造をもつ置換基が側鎖として結合したものである。なお、一般式(2)及び(3)におけるp、q及びrの数は特に限定されない。例えばpは100〜10000程度、qは100〜10000程度そしてrは10〜40程度とすることが好ましい。
【0038】
一般式(2)で表される高分子化合物を合成する方法を以下に例示する。まず、ETFEからなる高分子骨格に4−ビニルピリジンをグラフト重合させる。グラフト重合の起点としては放射線照射、プラズマ照射等の常法により発生させたラジカルを用いることができる。その後、スルホ基とピリジン環上の窒素原子との間のアルキレン基に相当する炭素数(n)をもつアルキルスルトン(Alkylsultone:例えばアルキレン基がn=3であるプロペン基であればプロパンスルトンを用い、n=4であるブテン基であればブタンスルトンを用いる)を反応させてスルホ基をピリジン環の窒素に導入する。
【0039】
次に一般式(3)で表される高分子化合物を合成する方法を以下に例示する。まず、ETFEからなる高分子骨格にN−(2−(4−ピリジル)エチル)メタクリルアミドをグラフト重合させる。グラフト重合の起点としては放射線照射、プラズマ照射等の常法により発生させたラジカルを用いることができる。その後、スルホ基とピリジン環上の窒素原子との間のアルキレン基に相当する炭素数(n)をもつアルキルスルトンを反応させてスルホ基をピリジン環の窒素に導入する。
【0040】
アニオン性化合物は高分子材料中の高分子化合物が有するカチオン性基を中和する作用をもつ化合物であ。そのなかでもアニオン性化合物は、2SO4、H3PO4、HCl及びトリフルオロメタンスルホン酸からなる群から選択される化合物である。これらの中でもH2SO4及びトリフルオロメタンスルホン酸、特にH2SO4を用いることが好ましい。アニオン性化合物を含有させる量としては高分子化合物中のカチオン性基を概ね中和できる量であればよい
【0041】
〈第2参考形態〉
参考形態の高分子電解質は第1参考形態の高分子電解質と同様に高分子材料とアニオン性化合物とを有する。アニオン性化合物の構造及び含有量については第1参考形態で説明したものと同様であるので更なる説明を省略する。
【0042】
高分子材料は、アニオン性基及びカチオン性基の双方をもち、高分子基材に対してアニオン性基及びカチオン性基の少なくとも一方をもつ1種以上のグラフト化モノマーを反応させてグラフト化する工程をもつ製造方法により製造された材料である。その構造は第1参考形態にて説明した通りであるため省略する。
【0043】
高分子基材はグラフト化モノマーがグラフト可能な高分子であれば特に限定しない。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどのように炭化水素からなるポリオレフィン系高分子や、ポリオレフィン系高分子の一部乃至全部の水素がフッ素原子で置換されたポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ETFE、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体等のフッ素樹脂、ポリシロキサン等のケイ素樹脂等から形成できる。高分子基材は予め最終的に必要な高分子電解質の形態に成形されていることが好ましい。例えば本高分子電解質を燃料電池の電解質膜に用いる場合には高分子基材の形態を膜状に成形したものであることが好ましい。
【0044】
高分子基材に対して、グラフト化モノマーを反応させてグラフト化する工程をもつ製造方法を適用することで高分子材料が製造される。グラフト化モノマーを高分子基材にグラフト化する方法としては特に限定されない。例えば、放射線照射、プラズマ照射等により高分子基材に発生させたラジカルを基点としてグラフト化を行う方法や、高分子基材が有する官能基を起点としてグラフト化を行う方法等がある。
【0045】
グラフト化モノマーはアニオン性基及びカチオン性基の少なくとも一方をもつモノマーである。グラフト化モノマーは単一のモノマーからなるもののほか、複数のモノマーの混合物であっても良い。グラフト化モノマーとしては分子内に窒素原子を含むカチオン性基をもつ化合物(特に−NH−基を含有する化合物や窒素を含有する芳香族化合物)であることが好ましい。特に分子内に芳香環とカチオン性基とをもつ化合物であることが好ましい。グラフト化モノマーとしてはアニオン性基及びカチオン性基のいずれも有さないモノマーを混合してグラフト化を行うこともできる。
【0046】
そして、グラフト化モノマーとして分子内に窒素原子を含むカチオン性基をもつ化合物を選択し、グラフト化を行った後に、カチオン性基の窒素原子に対してスルトンを反応させることで高分子基材中にカチオン性基とアニオン性基(スルホ基)とを導入した高分子材料を得ることができる。窒素原子を含むカチオン性基をもつグラフト化モノマーとしては4−ビニルピリジン、4−アミノスチレン等が例示できる。そのなかでも4−ビニルピリジンが好ましい。スルトンの構造は特に限定されない。プロパンスルトンやブタンスルトン等が例示できる。最終的に導入したいアニオン性基の化学構造によりスルトンの化学構造は決定される。
【0047】
そして、グラフト化モノマーとして分子内に芳香環と窒素原子を含むカチオン性基をもつ化合物を選択し、グラフト化を行った後に、芳香環に対してスルホン化反応を行うことで高分子基材中にカチオン性基とアニオン性基(スルホ基)とを導入した高分子材料を得ることができる。芳香環と窒素原子を含むカチオン性基をもつグラフト化モノマーとしては4−ビニルピリジン、4−アミノスチレン等が例示できる。そのなかでも4−ビニルピリジンが好ましい。スルホン化の方法としては発煙硫酸や硫酸に接触させることで行うことができる。
【0048】
更に、高分子基材を構成する分子間を架橋剤で架橋する工程をもつことができる。架橋剤としては特に限定されない。一般的な架橋剤としてはエチレングリコールジビニルエーテル、ジビニルベンゼン等の重合基を2以上もつモノマーが例示できる。架橋剤は前述したグラフト化モノマーのグラフト化と同様の方法により高分子基材に結合できる。架橋剤はグラフト化モノマー共に高分子基材に反応させることが好ましい。
【0049】
(高分子電解質の製造方法)
本実施形態の高分子電解質の製造方法は、高分子材料に対してアニオン性化合物を含浸させる工程を有することを特徴とする。
【0050】
高分子材料はアニオン性基及びカチオン性基を同一高分子分子上にもつ高分子化合物を含む材料である。アニオン性化合物は高分子材料中の高分子化合物が有するカチオン性基を中和できる化合物である。高分子材料及びアニオン性化合物はいずれも、前述の高分子電解質欄で説明したものとほぼ同じであるので更なる説明は省略する。
【0051】
高分子材料に対してアニオン性化合物を含浸させる方法を例示すると、適正な溶媒中に溶解したアニオン性化合物溶液中に成形した高分子材料を浸漬する方法がある。適正な溶媒としては純水等の高分子材料に対して悪影響を与えず且つアニオン性化合物をよく溶解できる溶媒が選択できる。高分子材料を浸漬する時間は高分子材料中に充分にアニオン性化合物が浸透するのに充分な時間である。高分子材料をアニオン性化合物溶液に浸漬した後に、余分なアニオン性化合物を適正な溶媒により洗浄する。
【0052】
(燃料電池)
本実施形態の燃料電池はPEFCである。本実施形態の燃料電池としては燃料電池セルを複数積層したスタックを形成している。そして電解質膜として前述した高分子電解質から製造された膜を用いる。電解質膜を挟んだ両側の反応電極にそれぞれ燃料ガスと酸化剤ガスとを供給するガス供給装置がそれぞれ対応する側のセパレータから接続される。そして燃料ガスとしては水素ガスが、酸化剤ガスとして空気がそれぞれ例示できる。
【0053】
本燃料電池の燃料電池セルは電解質膜の両側を反応電極で狭持した後にさらに拡散層で狭持したMEAの両側をセパレータで狭持した構造をもつ。
【0054】
反応電極については特に限定されず、通常のものを使用可能である。例えば、カーボン粉末上に白金や白金のアロイを分散させた触媒を用いることが可能である。例えば、この触媒をそのまま若しくは結着剤等と混合して電解質膜表面で製膜することで反応電極を形成できる。
【0055】
拡散層は例えば一般的なカーボン粉末と撥水性高分子粉末との混合物を用いることができる。本発明の高分子電解質を含有することもできる。
【0056】
セパレータも一般的に使用されている材質、形態のものが使用できる。セパレータには流路が形成され、その流路には反応ガスを供給するためのガス供給装置が接続されると同時に、反応しなかった反応ガス及び発生した水を除去する手段とが接続される。
【0057】
【実施例】
(実施例1)
〔高分子電解質膜の製造〕
ETFEからなる樹脂薄膜(厚み25μm、面積100cm2)に対して、加速電圧250kVの電子線を400kGy照射した。その後、予め窒素で30分間バブリングを行い脱気をした、4−ビニルピリジン:架橋剤としてのエチレングリコールジビニルエーテル(EGDv):トルエン=1:0.18:1(体積比)溶液に浸漬し、窒素バブリングを行いながら、70℃で3時間重合を行った。
【0058】
ETFEにグラフト重合されていない高分子をNメチルピロリドンで抽出除去した後、プロパンスルトンをNメチルピロリドンに1:1(体積比)で溶解した溶液中で、70℃で12時間反応を行い高分子材料薄膜を形成した。製造された高分子材料薄膜中の高分子化合物の化学構造は一般式(2)の構造をもつ化合物(n=3、p=4500、q=4500、r=20)である。なお、グラフト鎖は、元となったETFE樹脂薄膜に対して、110質量%の割合で導入された。
【0059】
その後、高分子材料薄膜に対して25℃の32質量%硫酸水溶液中で24時間浸漬を行い膜中のカチオン性基(ピリジニウムイオン)を中和した。中和に供されなかった硫酸を純水にて洗浄し、実施例1の試験試料とした。つまり、アニオン性化合物として硫酸を用いた。本試験試料の含水率は約24%であった。
【0060】
(実施例2)
膜中のカチオン性基を中和するのに硫酸の代わりに5mol/Lのトリフルオロメタンスルホン酸水溶液を使用した以外は実施例1の試験試料と同様の操作により製造した高分子電解質膜を実施例2の試験試料とした。つまり、アニオン性化合物としてトリフルオロメタンスルホン酸を用いた。本試験試料の含水率は約26%であった。
【0061】
(実施例3)
膜中のカチオン性基を中和するのに硫酸の代わりに5質量%のリン酸水溶液を使用した以外は実施例1の試験試料と同様の操作により製造した高分子電解質膜を実施例3の試験試料とした。つまり、アニオン性化合物としてリン酸を用いた。本試験試料の含水率は約23%であった。
【0062】
(実施例4)
膜中のカチオン性基を中和するのに硫酸の代わりに5質量%の塩酸水溶液を使用した以外は実施例1の試験試料と同様の操作により製造した高分子電解質膜を実施例4の試験試料とした。つまり、アニオン性化合物として塩酸を用いた。本試験試料の含水率は24%であった。
【0063】
(比較例)
実施例1の高分子材料薄膜をそのまま比較例の試験試料とした。本試験試料の含水率は32%であった。
【0064】
〔イオン伝導度の測定〕
各実施例及び比較例の試験試料について、イオン交換水中で白金電極を用いた交流インピーダンス法によってプロトン伝導度を測定した。その結果、実施例1の試験試料の伝導度が1.15×10-2S/cm、実施例2の試験試料の伝導度が5.86×10-3S/cm、実施例3の試験試料の伝導度が5.58×10-3S/cm、実施例4の試験試料の伝導度が5.57×10-3S/cm、そして比較例の試験試料の伝導度が3.70×10-3S/cmであった。比較例の試験試料と比べて実施例1の試験試料では約3倍、実施例2の試験試料では約1.6倍、実施例3の試験試料では約1.5倍、そして実施例4の試験試料では約1.5倍と非常に高いイオン伝導度を示した。
【0065】
ここで、実施例で用いたアニオン性化合物についてハメットの酸度関数に従い酸の強度を比較すると、リン酸ではH0が−2.0(25℃)、塩酸ではではH0が−6.5(25℃)、硫酸ではH0が−11.9(25℃)、トリフルオロメタンスルホン酸ではH0が−14.5(25℃)であり、アニオン性化合物の酸の強さとイオン伝導度の大きさとの関係はあまり明確ではなかった。しかしながら、それぞれのアニオン性化合物である酸の価数として、リン酸が3、塩酸が1、硫酸が2、トリフルオロメタンスルホン酸が1であることを考慮すると、中和によって1.5倍のイオン伝導度となり(価数が1の酸の結果より)、更にH+を放出できることにより3倍のイオン伝導度を発揮することができた(価数が1超の酸の結果より)。なお、各実施例で用いたアニオン性化合物について酸の強さがイオン伝導度に大きな影響を与えなかった理由としては各実施例で用いたアニオン性化合物の酸の強さがある程度大きく、イオン伝導度に与える影響が飽和しているためであると考えられる。
【0066】
〔引っ張り強度の測定〕
実施例1、2及び比較例の試験試料について、引っ張り強度を測定した。引っ張り強度の測定は、室温下、一軸引張で載荷速度0.5mm/s、大気中にて行った。試験片はダンベル1号を採用した。その結果、比較例の試験試料が0.320MPaであるのに対し、実施例1の試験試料が0.761MPaと比較例の約2.38倍、実施例2の試験試料が0.423MPaと比較例の約1.32倍と大きく向上した。
【0067】
ここで、実施例1及び2の試験試料が比較例の試験試料よりも高い強度を示したのは、分子内にアニオン性基とカチオン性基が共存していることにより(一般式(2))電子が不均衡となっているのをアニオン性化合物によって中和することでイオン的に安定化することで電子バランスが改善されたためであると考えられる。

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)で表される置換基を側鎖に有し、アニオン性基及びカチオン性基を同一高分子分子上にもつ高分子化合物を含む高分子材料に対して、H SO 、H PO 、HCl及びトリフルオロメタンスルホン酸からなる群から選択される化合物であるアニオン性化合物を含浸させる工程を有することを特徴とする高分子電解質の製造方法。
    Figure 0004431939
  2. 前記高分子材料はフッ素原子を含有する請求項1に記載の高分子電解質の製造方法。
  3. 前記アニオン性基及びカチオン性基を同一の高分子分子上にもつ高分子化合物は、一般式(2)で表される主要構造をもつ化合物である請求項2に記載の高分子電解質の製造方法。
    Figure 0004431939
  4. 前記アニオン性基及びカチオン性基を同一の高分子分子上にもつ高分子化合物は、一般式(3)で表される主要構造をもつ化合物である請求項2に記載の高分子電解質の製造方法。
    Figure 0004431939
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法により製造された高分子電解質からなる電解質膜と該電解質膜の両面を狭持する反応極と該反応極を狭持するセパレータとからなる燃料電池セルを複数積層したことを特徴とする燃料電池。
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