JP4430977B2 - 超臨界流体クロマトグラフィーによる光学異性体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、超臨界流体クロマトグラフィーによる光学異性体の製造方法に関し、特に、超臨界流体と溶媒とを含有する移動相から、超臨界流体を形成するガス成分を回収し、移動相に含有される超臨界流体に再利用する超臨界流体クロマトグラフィーによる光学異性体の製造方法に関する。
光学異性体の製造には、種々の方法が知られている。このような光学異性体の製造方法としては、例えばラセミ体のような光学異性体の混合物から所望の光学異性体を分離して製造する方法が知られている。前記混合物から所望の光学異性体を分離して製造する場合では、光学異性体の用途にもよるが、生体への有効性や安全性の観点から、高い分離能が望まれている。
超臨界流体は、気体と液体との特長を併せ持つ流体として、種々の分離技術への応用が検討されている。このような分離技術の一つとして、超臨界流体を移動相に利用する超臨界流体クロマトグラフィーが知られている。超臨界流体は、優れた溶解性や輸送物性を有するが、これらの優れた特性は条件によって変動しやすい。したがって、超臨界流体クロマトグラフィーは、安定した条件で行うことが重要であり、超臨界流体クロマトグラフィーで光学分割を行う場合では、条件の適正化や安定化がより一層重要である。
また、超臨界流体には、扱い易さ、価格、環境に対する安全性等の観点から、二酸化炭素の超臨界流体が通常用いられる。二酸化炭素の超臨界流体を用いる場合では、超臨界流体の溶解度を増やす目的で、溶質の種類に応じて少量のアルコールやケトン等の有機溶剤をモディファイアとして二酸化炭素の超臨界流体に加えることがある。
また、二酸化炭素は、超臨界流体の原料として、扱い易さ、価格、環境に対する安全性等に優れているものの、超臨界流体クロマトグラフィーで光学異性体を工業的に製造する場合では、二酸化炭素を回収し、再利用することが望まれる。
したがって、超臨界流体クロマトグラフィーによって光学異性体を製造するにあたり、超臨界流体を形成するガス成分を回収し、再利用する場合では、再利用したときに光学分割に影響を及ぼさない程度に十分高い純度のガス成分を再利用することが重要である。
一方、超臨界流体クロマトグラフィーと超臨界流体の再利用とを含む技術としては、ボンベから供給された超臨界流体をポンプで送液し、この超臨界流体に試料を注入し、試料を注入した超臨界流体をカラムに通し、カラムに通した超臨界流体の圧力を減圧して溶質を析出させ、析出させた溶質と超臨界流体とを分離し、分離された超臨界流体を前記ポンプに送って再利用する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、前述した技術では、前記モディファイアを含有する移動相の使用が示されておらず、例えば、モディファイアを含有する移動相を用いる際の超臨界流体の再利用、このような移動相を用いる際に再利用される超臨界流体成分の純度の確保、光学異性体の製造への適用等について、検討の余地が残されている。
特開平5−307026号公報
本発明は、超臨界流体と溶媒とを含有する移動相を用いる超臨界流体クロマトグラフィーによって光学異性体を製造するにあたり、超臨界流体を形成するガスを再利用することができ、かつ光学異性体を安定して製造することができる方法を提供することを課題とする。
本発明は、前記課題を解決するための手段として、カラムを通過した移動相から超臨界流体を形成するガスを分離し、分離されたガスであって所定以上の純度のガスから液化ガスを生成し、この液化ガスを移動相中の超臨界流体に再利用する方法を提供する。
すなわち本発明は、超臨界流体を含有する移動相に、光学異性体の混合物を含有する試料を注入し、試料が注入された移動相を、光学異性体を識別する充填剤を有するカラムに通し、試料中の所望の光学異性体を混合物から分離して製造する方法であって、液化ガスから生成される超臨界流体と溶媒とを含有する移動相を生成する工程と、カラムを通った移動相を溶媒と液化ガスを形成していたガスとに分離する工程と、分離されたガスであってガス中の溶媒の濃度が所定の濃度以下であるガスを、液化ガスとし、移動相に含有される超臨界流体に再利用する工程と、を含む、超臨界流体クロマトグラフィーによる光学異性体の製造方法である。
このような方法によれば、超臨界流体を形成するガスを移動相から分離し、再び移動相に利用することができる。また、溶媒の濃度が所定の濃度以下のガスが移動相に再利用されるので、超臨界流体の再利用に伴う移動相の組成の変化が抑制される。したがって、このような移動相の組成の変化に伴う超臨界流体クロマトグラフィーにおける光学分割への影響が抑制されるので、光学異性体を安定して製造することが可能となる。
本発明は、前記所定の濃度は1体積%であることが好ましい。このような方法によれば、超臨界流体と溶媒との組成比がほぼ一定に保たれる。したがって、移動相の組成の変化に伴う超臨界流体クロマトグラフィーにおける光学分割への影響がほとんどなく、光学異性体の製造における安定性がより一層高まる。
また本発明は、再利用する工程では、溶媒の濃度が所定の濃度以下の前記分離されたガスの圧力が、液化ガスを生成するために新規に供給されるガスの圧力よりも高いときに、分離されたガスを液化することが好ましい。このような方法によれば、移動相に含有される超臨界流体を形成するにあたり、前記分離されたガスが新規に供給されるガスに対して優先して用いられる。したがって超臨界流体を生成するにあたり、移動相から分離されたガスのほとんどを移動相に含有される超臨界流体に再利用することが可能となり、新規のガスの使用量が抑制される。
また本発明は、分離する工程で分離された溶媒の圧力を下げる工程と、減圧によって溶媒から分離するガスを回収する工程とをさらに含み、回収されたガスであってガス中の溶媒の濃度が所定の濃度以下であるガスを、液化ガスとし、移動相に含有される超臨界流体に再利用することが好ましい。このような方法によれば、移動相から分離された溶媒に含まれるガスがさらに回収され、ガスの回収率がより一層高められる。
また本発明は、回収されたガスを、前記分離されたガスの圧力よりも高い圧力まで圧縮する工程をさらに含むことが好ましい。このような方法によれば、これらのガスの圧力差を使用して、前記回収されたガスを前記分離されたガスに容易に合流させることが可能となり、ガスの液化等のその後の処理を一括して行うことが可能となる。
また本発明は、前記分離されたガス及び前記回収されたガスのいずれか一方又は両方に
、ガス中に残存する溶媒を除去する処理を施す工程をさらに含むことが好ましい。このような方法によれば、溶媒から分離されたガス中の溶媒の濃度をさらに低減させることが可能となる。
また本発明では、充填剤には、光学異性体を識別する多糖類又はその誘導体である多糖類誘導体を含有する充填剤を用いることが好ましい。このような方法によれば、種々の光学異性体の生産性が高められる。このような観点から、本発明では、前記多糖類はセルロー又はアミロースであることがより好ましい。
本発明では、超臨界流体を含有する移動相に、光学異性体の混合物を含有する試料を注入し、試料が注入された移動相を、光学異性体を識別する充填剤を有するカラムに通し、試料中の所望の光学異性体を混合物から分離して製造する方法であって、液化ガスから生成される超臨界流体と溶媒とを含有する移動相を生成する工程と、カラムを通った移動相を溶媒と液化ガスを形成していたガスとに分離する工程と、分離されたガスであってガス中の溶媒の濃度が所定の濃度以下であるガスを、液化ガスとし、移動相に含有される超臨界流体に再利用する工程と、を含むことから、超臨界流体と溶媒とを含有する移動相を用いる超臨界流体クロマトグラフィーによって光学異性体を製造するにあたり、超臨界流体を形成するガスを再利用することができ、かつ光学異性体を安定して製造することができる
また本発明では、前記所定の濃度は1体積%であると、光学異性体を安定して製造する観点からより一層効果的である。
また本発明では、再利用する工程では、溶媒の濃度が所定の濃度以下の前記分離されたガスの圧力が、液化ガスを生成するために新規に供給されるガスの圧力よりも高いときに、前記分離されたガスを液化すると、超臨界流体を形成するガスの再利用率を簡易な構成で高める観点からより一層効果的である。
また本発明では、分離する工程で分離された溶媒の圧力を下げる工程と、減圧によって溶媒から分離するガスを回収する工程とをさらに含み、回収されたガスであってガス中の溶媒の濃度が所定の濃度以下であるガスを、液化ガスとし、移動相に含有される超臨界流体に再利用すると、超臨界流体の形成に再利用されるガスの回収率を高める観点からより一層効果的である。
また本発明では、前記回収されたガスを、前記分離されたガスの圧力よりも高い圧力まで圧縮する工程をさらに含むと、簡易な構成や操作で、超臨界流体の形成に再利用されるガスの回収率を高める観点からより一層効果的である。
また本発明では、前記分離されたガス及び前記回収されたガスのいずれか一方又は両方に、ガス中に残存する前記溶媒を除去する処理を施す工程をさらに含むと、光学異性体を安定して製造する観点からより一層効果的である。
また本発明では、充填剤には、光学異性体を識別する多糖類又はその誘導体である多糖類誘導体を含有する充填剤を用いると、光学異性体の生産性を高める観点からより一層効果的であり、前記多糖類はセルロー又はアミロースであるとさらに一層効果的である。
本発明の光学異性体の製造方法は、超臨界流体を含有する移動相に、光学異性体の混合物を含有する試料を注入し、試料が注入された移動相を、光学異性体を識別する充填剤を
有するカラムに通し、試料中の所望の光学異性体を混合物から分離して製造する。
本発明では、前記移動相への試料の注入や、カラム通過後の移動相中の試料の検出、試料の調製等の超臨界流体クロマトグラフィーについての基本的な操作については、超臨界流体クロマトグラフィーや高速液体クロマトグラフィーで通常行われている操作と同様に行うことができ、また公知の技術を利用して行うことができる。例えば前記移動相への前記試料の注入には、前述した特許文献1に記載されているような、注入時における圧力の変動が生じない注入方法を採用することが、光学異性体のカラムにおける分離効率を高め、光学異性体の生産性を高める観点から好ましい。
本発明の光学異性体は、液化ガスから生成される超臨界流体と溶媒とを含有する移動相を生成する移動相生成工程と、カラムを通った移動相を、溶媒と液化ガスを構成していたガスとに分離する気液分離工程と、分離されたガスであってガス中の溶媒の濃度が所定の濃度以下であるガスを、液化ガスとし、移動相に含有される超臨界流体に再利用するガス再利用工程とを含む。
前記移動相生成工程では、超臨界流体と溶媒とを含有する移動相を生成する。超臨界流体は、液化ガスから生成する。本発明において「超臨界流体」とは、臨界温度及び臨界圧力のいずれか一方、又は両方を超えた状態にある物質である。本発明において超臨界流体は、例えば液化ガスの加圧及び加熱のいずれか一方、又は両方によって生成させることができる。
前記超臨界流体には、例えば超臨界流体抽出に用いられる公知の物質を用いることができる。このような物質としては、例えば二酸化炭素、アンモニア、二酸化イオウ、ハロゲン化水素、亜酸化窒素、硫化水素、メタン、エタン、プロパン、ブタン、エチレン、プロピレン、ハロゲン化炭化水素、水等が挙げられる。前記物質は、可燃性、爆発性、人体への有害性、取り扱いの容易性や経済性等の観点から、二酸化炭素が好ましい。
前記溶媒には、光学異性体や充填剤の種類に応じて公知の溶媒から選択される溶媒を用いることができる。このような溶媒としては、例えばエタノールや2−プロパノール等の低級アルコール、アセトン等のケトン、アセトニトリル、酢酸エチル、水等が挙げられる。
移動相中の前記溶媒の混合比率は、分離対象の光学異性体の種類や、充填剤の種類等の条件によって異なるが、移動相全量に対して5〜30質量%程度であることが、光学異性体の製造における生産性を高める観点から好ましい。
前記移動相は、その生成方法については特に限定されず、例えば超臨界流体と溶媒とを混合して生成しても良いし、又は前記液化ガスと溶媒とを混合した後に、この混合液に対して加圧及び加熱のいずれか一方又は両方をし、混合液中の液化ガスを超臨界流体とすることによって生成しても良い。前記液化ガス又は超臨界流体と前記溶媒との混合は、例えば高速液体クロマトグラフィーで行われているように、それぞれの流体を定量ポンプによってそれぞれ所定の流量で送液し、一方の流体を他方の流体に合流させることによって行うことができる。
前記液化ガスは、ボンベに収容されている液化ガスであっても良いし、例えばガスを圧縮機で圧縮して液化させたもののように、ガスの圧力及び温度を調整してガスから生成されるものであっても良い。ガスの圧力の調整には、圧縮機や、背圧弁等の圧力調整手段を用いることができ、ガスの温度の調整には、熱交換器等の温度調整手段を用いることができる。
前記気液分離工程では、カラムを通った移動相を、溶媒と液化ガスを構成していたガスとに分離する。移動相からの溶媒とガスとの気液分離は、例えば背圧弁等の圧力調整弁を用いた移動相の減圧によって行うことができるが、気液分離装置をさらに用いることが好ましい。このような気液分離装置には、例えば両端が開口している外筒と、前記外筒の一端の開口を塞ぐフランジ部と、前記外筒の内周壁面に沿って周方向に前記移動相を外筒内に導入する導入部と、両端が開口しており、前記フランジ部を貫いて前記導入部よりも前記外筒の他端側に延出する内筒とを有する気液分離装置を用いることが好ましい。
前記気液分離装置によれば、前記内筒が、前記導入部よりも前記外筒の他端側に延出していることから、導入部から導入された前記移動相の飛沫が、内筒から排出されるガス中に含まれにくく、ガス中の溶媒や光学異性体の濃度を低減させることが可能である。また、外筒が筒状であることから、内周壁面に均等に圧力がかかるので、気液分離装置の耐久性が高められる。このように前記気液分離装置は、高圧条件下で純度の高いガスを回収することが可能であるので、超臨界流体クロマトグラフィーでのより精密な分離を要求される光学異性体の分離において、移動相から分離されたガスを移動相に再利用する技術に好適に用いられる。
また、前記外筒の外周壁面を覆い外筒の温度を調整するためのジャケットと、前記ジャケット内を通って前記導入部に接続され、前記移動相を前記導入部に供給するための移動相供給管とをさらに有すると、外筒における気液分離の分離効率をより一層高める上で好ましい。また、外筒内に導入される前に移動相の温度が外筒の温度に調整され、外筒における気液分離の分離効率をより一層高める上で好ましい。
前記外筒は、前記導入部から導入された移動相が一端側から他端側へ内周壁面に沿ってらせん状に流れ得るものであれば特に限定されない。前記外筒は、一般に円筒状であるが、外筒内に導入された移動相の流速に偏りを生じさせるためや、適度な衝撃を与えるため等の目的から、断面における内周壁面の形状が楕円形や多角形等の略円形となっている筒であっても良い。
前記フランジ部は、前記外筒の一端の開口を塞ぐものであれば特に限定されない。このようなフランジ部は、例えば内筒の設置と外筒の閉塞とを行うための径違いユニオンを好適に用いることができる。
前記導入部は、前記外筒の断面形状における内周壁面の接線に沿って前記移動相を外筒内に導入するノズルや管によって形成することができる。前記移動相は、通常は前記外筒の横断方向に対して平行な方向に導入される。本発明ではこれに限定されず、前記導入部を、外筒の横断方向に対して平行に設けても良いし、斜めに設けても良い。
前記内筒は、前記外筒よりも径の小さい管であれば、その断面形状は特に限定されない。前記内筒は、外筒での移動相の飛沫のガス中への混入を防止する観点から、前記外筒において前記導入部よりも他端側に十分に延出するように構成される。このような内筒の延出長さは、外筒への移動相の導入条件や外筒の径、及び内筒の径等の諸条件によって異なる。前記内筒は、外筒内に導入された移動相の流れが勢いを失い、移動相が外筒の内周壁面を伝わる、すなわち内周壁面からの飛沫が起こらなくなる位置まで延出させれば良い。
前記ジャケットには、前記外筒の外側に熱媒を循環させる通常のジャケットを用いることができる。ジャケットに供給される熱媒が温媒であれば、ガスの分離効率を高める上で効果的であり、ジャケットに供給される熱媒が冷媒であれば、光学異性体の前記溶媒に対する溶解度を下げる上で効果的である。
前記移動相供給管は、気液分離前の移動相の温度を外筒における温度に予め調整する観点から、ジャケット内に長く設けられていることが好ましい。例えば前記移動相供給管は、ジャケット内において蛇行形状に設けられていることや、外筒の外周壁面にらせん状に設けられていることが好ましい。このような移動相供給管は、特に前記熱媒が温媒である場合に、外筒内に導入されたときの移動相の温度変化による飛沫を抑制する上で好ましい。
なお、前記気液分離工程で分離された溶媒には、光学異性体が含有されている。この光学異性体は、分離された溶媒を高圧条件下から減圧し、必要に応じて減圧濃縮等の公知の方法を採用することにより、前記溶媒から得られる。
前記ガス再利用工程では、前記気液分離工程で分離されたガス(以下「一次回収ガス」とも言う)であってガス中の溶媒の濃度が所定の濃度以下である一次回収ガスを、液化ガスとし、移動相に含有される超臨界流体に再利用する。ガス中の溶媒の濃度が所定の濃度以下である一次回収ガスは、一次回収ガス中の溶媒の濃度を測定し、所定の濃度以下であることを確認する第一の方法や、一次回収ガス中の溶媒の濃度が所定の濃度以下になるように気液分離手段で気液分離する第二の方法等によって得られる。
前記第一の方法としては、例えば一次回収ガスの流路に、一次回収ガスを収容するためのタンクを設け、タンクに収容された一次回収ガス中の溶媒の濃度を測定し、溶媒の濃度が所定の濃度以下であることを確認したらこのタンクに収容された一次回収ガスを液化ガスの生成に用いる方法が挙げられる。前記タンクは、一次回収ガスの流路に並列に設けられる複数のタンクであることが、一次回収ガス中の溶媒の濃度の測定と、一次回収ガスの再利用とを連続して行う観点から好ましい。
前記第二の方法としては、例えば一次回収ガスの流路に、一次回収ガス中の溶媒の濃度を検出する手段と、この検出手段を迂回する一次回収ガス用バイパス流路と、このバイパス流路中に設けられる気液分離手段と、前記検出手段と前記バイパス流路とに一次回収ガスを所望の割合で分配する流体分配手段とを用い、一次回収ガス中の溶媒の濃度を連続して測定し、一次回収ガス中の溶媒の濃度に応じて一次回収ガスの一部又は全部の気液分離を行う方法が挙げられる。
また前記第二の方法としては、例えば一次回収ガスの流路に、一次回収ガス中の溶媒の濃度を前記所定の濃度以下とするのに十分なだけ、気液分離手段を設ける方法が挙げられる。このような方法では、前記気液分離手段を場合によっては複数台設ける必要があり、装置の構成が複雑になるが、一次回収ガス中の溶媒の濃度を測定しなくても良い。この方法における気液分離手段の設置台数は、例えば実際の設置台数とそのときの一次回収ガス中の溶媒の濃度との実測値に基づいて求めることができる。
前記第一の方法及び第二の方法において、一次回収ガス中の溶媒の濃度を検出する場合に、一次回収ガス中の溶媒の濃度を検出する方法としては、ガス中の溶媒の濃度を検出できる方法であれば特に限定されない。このような検出方法としては、例えば前記タンク中のガスに含有される前記溶媒をガスクロマトグラフィーによって定量し、一次回収ガス中の溶媒の濃度を求める方法や、前記タンクや前記流路中の一次回収ガス中の溶媒を検出するガスセンサを用いる方法が挙げられる。本発明において、一次回収ガス中の溶媒の濃度の測定は、常時行っても良いし、適当な頻度で行っても良い。
前記第一の方法及び第二の方法では、公知の手段等を用いることができる。例えば前記気液分離手段には、前述した気液分離装置や、一次回収ガス中から前記溶媒を吸着する液
体又は固体の吸着剤をガスの流路中に有する吸着装置等が用いられる。また前記流体分配手段には、例えば自動弁やバタフライ弁等が用いられる。また前記第一の方法及び第二の方法では、圧縮機や、背圧弁、圧力調整弁、自動弁等の公知の手段を用いて、回収ガスの圧力を制御し、また回収ガスの流路を適宜開閉することにより、回収ガスの流れを制御することができる。
ガス中の溶媒の濃度が所定の濃度以下である一次回収ガスは、液化ガスとされる。一次回収ガスの液化は、前述したように、圧縮機、圧力調整手段、及び温度調整手段等を用いることによって行うことができる。得られた液化ガスは、前述した移動相生成工程における液化ガスとして、本発明の製造方法において再利用される。
前記所定の濃度は、回収ガス中の溶媒の濃度である。前記所定の濃度は、回収ガスを液化ガスとし、液化ガスを移動相に再利用したときに、光学異性体の生産性を著しく低下させることがない濃度であれば良い。
前記所定の濃度は、光学異性体の種類や用途、溶媒の種類や移動相中における含有量、ガスの種類等の種々の条件によって異なるが、回収ガス中の溶媒の濃度として1体積%以下、さらには0.5体積%以下であることが、移動相の組成の変化による光学異性体の分離能の変化を抑制し、超臨界流体クロマトグラフィーによって光学異性体を安定して製造する観点から好ましい。前記所定の濃度は、例えば一次回収ガス中の溶媒の濃度の定量により求めることができる。回収ガス中の溶媒の濃度は、例えばさらなる気液分離操作や、新規のガスによる希釈等によって調整することが可能である。
前記ガス再利用工程では、液化ガスを生成する場合に、溶媒の濃度が所定の濃度以下の一次回収ガスの圧力が、液化ガスを生成するために新規に供給されるガスの圧力よりも高いときに、一次回収ガスを液化することが、ガスを十分に再利用する観点から好ましい。このようなガスの圧力の制御は、例えば液化ガスを生成する前述した手段に対して、一次回収ガスの流路と新規のガスの流路とを、背圧弁等の圧力調整手段を介して接続し、一次回収ガスの圧力の設定値を新規のガスの圧力の設定値に比べて高くすることによって行うことができる。
この場合における一次回収ガスの圧力の設定値は、前記新規のガスの圧力の設定値よりも高い値であれば良く、特に限定されないが、一次回収ガスの圧力と前記新規のガスの圧力との差圧は、例えば0.1MPa以上であることが好ましい。
また前記一次回収ガスの圧力の設定値があまり高すぎると、前記気液分離工程での気液分離が十分に行われなかったり、或いは分離された溶媒にガスが再溶解することがある。したがって前記一次回収ガスの圧力の設定値は、前記一次回収ガスの前記溶媒への再溶解を抑制する観点からも、前記溶媒に対するガスの溶解性に応じて設定される。例えば二酸化炭素の超臨界流体を用い、溶媒として通常の有機溶媒を用いる場合では、前記一次回収ガスの圧力は、1〜10MPa程度に設定されていることが、一次回収ガスの前記溶媒への再溶解を抑制し、また一次回収ガスの再利用率を高める観点から好ましい。
本発明では、気液分離工程において分離された溶媒からさらにガスを回収することもできる。気液分離後の溶媒からのガスの回収は、気液分離工程で分離された溶媒の圧力を下げる減圧工程と、減圧によって溶媒から分離するガスを回収する回収工程とによって行うことができる。
前記減圧工程は、密閉された系内で溶媒をさらに減圧することができる工程であれば特に限定されない。このような工程は、例えば密閉可能な容器に前記溶媒を収容し、この密
閉可能な容器内の圧力を、収容前の前記溶媒の圧力よりも低い圧力とすることによって行うことができる。容器内の圧力は、溶媒が収容される前に予め所定の圧力に設定されていても良いし、溶媒が収容された後に連続して、又は段階的に減圧することによって調整しても良い。
また前記回収工程は、減圧工程において溶媒から分離するガス(以下、「二次回収ガス」とも言う)を回収する工程であれば特に限定されない。このような工程は、例えば圧力調整後の前記容器中のガスの回収や、圧力調整時に溶媒から放出されるガスの回収等によって行うことができる。
前記容器は単数でも良いが、複数用いることが好ましい。例えば前記容器を前記気液分離装置に対して直列に複数接続する場合では、複数段の溶媒の減圧及び複数段のガスの回収を連続して行うことができ、例えば二次回収ガスの回収率を高めることが可能である。また前記容器を前記気液分離装置に対して並列に複数接続する場合では、一台の気液分離装置に対して一段の溶媒の減圧及び一段のガスの回収を連続して行うことができる。直列に接続する場合の容器の数は、特に限定されないが、設備や操作の簡易さや、前記溶媒からのガスの回収率を高める等の観点から、1〜3程度が好ましい。
また、前記減圧工程において、溶媒を低圧側の容器に送液する場合では、溶媒からガスが放出される際の気化熱によって溶媒の温度が低下することがある。このような場合では、容器や容器間を接続する管の温度を調整する手段を有することが、送液中の溶媒からの光学異性体の析出や容器内における光学異性体の付着や残留を抑制する観点から好ましい。このような手段には、例えばジャケットや加熱コイル等の公知の手段を用いることができる。
前記二次回収ガスは、ガス中の溶媒の濃度が前記所定の濃度以下であれば、一次回収ガスと同様に液化ガスとし、移動相に含有される超臨界流体に再利用することができる。本発明では、二次回収ガスを一次回収ガスの圧力によりも高い圧力に圧縮しても良い。このような工程を含むことにより、二次回収ガスを一次回収ガスに容易に合流させることができる。二次回収ガスは、ガス再利用工程前の一次回収ガスに合流させることが、装置や操作の簡略化の観点から好ましい。
二次回収ガスの圧縮は、例えば圧縮機を用いて行うことができる。また、圧縮された二次回収ガスの一次回収ガスへの合流は、例えば二次回収ガスの流路と一次回収ガスの流路とを、背圧弁等の圧力調整手段を介して接続し、二次回収ガスの圧力を一次回収ガスの圧力よりも高く設定することによって行うことができる。
本発明では、前記一次回収ガス及び前記二次回収ガスのいずれか一方又は両方に、ガス中に残存する溶媒を除去する処理を施しても良い。このような処理は、ガス再利用工程前のガスに行うことが、ガス中の溶媒の濃度を低減させる観点から好ましい。またこのような処理は、前述した気液分離装置や吸着装置を用いることによって行うことができる。
本発明に用いられる充填剤は、光学異性体を識別する充填剤であれば良いが、汎用性や生産性等の観点から、光学異性体を識別する多糖類又はその誘導体である多糖類誘導体を含有する充填剤であることが好ましい。
前記多糖類としては、天然多糖類、合成多糖類及び天然物変性多糖類のいずれも問わず、キラリティーを有するものであれば用いることができる。そのなかでも結合様式が規則正しいものは、光学異性体の分離能力をより高めることが可能となり、好適である。
このような多糖類としては、例えばセルロース、アミロース、キシラン、キトサン、キチン、マンナン、イヌリン、カードラン、デンプン、デキストラン、アミロペクチン、ブスツラン、グルカン、ガラクタン、レバン、ブルラン、アガロース、アルギン酸、アミロースを含有するデンプン等が挙げられる。それらの中でも、高純度の多糖類として容易に入手することのできるセルロース、アミロース、キシラン、キトサン、キチン、マンナン、イヌリン、カードラン等が好ましく、セルロース、アミロースが特に好ましい。
また、前記多糖類の数平均重合度(1分子中に含まれるピラノース環あるいはフラノース環の平均数)は、5以上、好ましくは10以上であり、取り扱いの容易さ等の点から、一般に3,000以下であることが望ましい。
前記多糖類誘導体としては、前記多糖類のエステル誘導体やカルバメート誘導体等が、好ましい多糖類誘導体として挙げられる。
前記充填剤には、公知の種々の形態の充填剤を用いることができる。このような充填剤としては、例えば粒子状や一体成形型のシリカゲルの担体とこれに担持される前記多糖類や多糖類誘導体とからなる充填剤や、多糖類や多糖類誘導体からなる充填剤のように、光学識別部位のみから構成されている充填剤等が挙げられる。
本発明では、光学異性体の生産性をより一層向上させる観点から、多糖類や多糖類誘導体からなる充填剤を用いることが好ましい。このような充填剤は、例えば粒子状等の所望の形状に多糖類誘導体で形成されている液滴中で、多糖類誘導体の水酸基同士を架橋させることや、粒子状等の所望の形状に多糖類で形成されている充填剤母体を、必要に応じてエステル化やカルバメート化することによって得ることができる。
本発明では、前記気液分離工程において多量の前記溶媒が分離される場合に特に有効である。このような場合としては、例えば工業的な生産等のように、内径の大きなカラムを用いて光学異性体を前記混合物から分離して製造する場合が挙げられる。このような場合におけるカラムの内径は10cm以上であることが好ましく、20cm以上であることがより好ましい。
なお、本発明は、本発明の効果を損なわない範囲で、さらに他の工程を含んでいても良い。例えば、本発明では、超臨界流体を形成するガスの再利用を繰り返し行うことから、本発明を長期にわたって実施すると、前記液化ガスや超臨界流体に溶解する不純物がガスの再利用に伴って系内に蓄積され、光学異性体の製造に影響を及ぼす可能性がある。本発明は、このような蓄積される不純物を除去する不純物除去工程をさらに含んでいても良い。
前記不純物除去工程では、回収ガスから不純物を除去しても良いし、移動相から不純物を除去しても良い。回収ガスから不純物を除去する方法としては、例えば前記一次回収ガス及び前記二次回収ガスの流路に、前記不純物を吸着する液状又は固体の吸着剤を有する吸着装置を設け、回収ガスを吸着剤に通す方法が挙げられる。移動相から不純物を除去する方法としては、例えば移動相に試料を注入するインジェクタよりも上流側の移動相の流路に前記不純物を吸着するガードカラムを設け、このガードカラムに移動相を通す方法が挙げられる。
本発明は、高い光学分離精度と、安定した条件での大量の光学異性体を製造することが望まれる、製薬中の有効成分の製造等の、高光学純度の光学異性体の工業生産に適用することができる。
以下、本発明の一実施の形態を、図面に基づいて説明する。まず、本発明の分離方法に用いられる超臨界流体クロマト分取装置を図1に示す。
前記超臨界流体クロマト分取装置は、図1に示すように、高圧の二酸化炭素が充填されている、ガス供給手段としてのボンベ1と、ボンベ1から供給される二酸化炭素を冷却して液化するための熱交換器2と、熱交換器2で生成した二酸化炭素の液化ガスを送液するためのポンプ3と、溶媒を収容する溶媒タンク4と、ポンプ3で送られる液化ガスに溶媒タンク4から供給される溶媒を供給するためのポンプ5と、前記液化ガスと前記溶媒との混合溶媒を加熱して前記液化ガスを超臨界流体にするための熱交換器6と、生成した超臨界流体と前記溶媒との混合物である移動相に、光学異性体を含有する試料を注入するためのインジェクタ7と、注入された試料中の光学異性体を分離するためのカラム8と、カラム8を通った移動相中の物質を検出する検出器9と、ポンプ3から検出器9までの系内の圧力を所定の圧力に保つための圧力調整装置である第一の背圧弁10とを有する。
さらに前記超臨界流体クロマト分取装置は、第一の背圧弁10を通過して圧力が調整された移動相を気液分離するための複数の気液分離装置11と、各気液分離装置11に対応して設けられ、気液分離装置11で分離した液を収容する複数の第一の槽12と、第一の背圧弁10から各気液分離装置11及び第一の槽12まで系内の圧力を所定の圧力に保つための第二の背圧弁13とを有する。
さらに前記超臨界流体クロマト分取装置は、各第一の槽12に対応して設けられ第一の槽12に収容された液が供給される複数の第二の槽14と、各第二の槽14から回収されるガス(二次回収ガス)を圧縮するための圧縮機15と、圧縮機15で圧縮された二次回収ガスの圧力を所定の圧力に保つための第三の背圧弁16とを有する。
さらに前記超臨界流体クロマト分取装置は、第二の背圧弁13で所定の圧力に調整された、気液分離装置11で分離したガス(一次回収ガス)、及び第三の背圧弁16で所定の圧力に調整された二次回収ガス中の液体を除去するための精製装置17と、精製装置17で除去された液を収容する第三の槽18と、精製装置17で精製されたガスが収容されるガス収容タンク19とを有する。
ボンベ1、熱交換器2、ポンプ3、熱交換器6、インジェクタ7、カラム8、検出器9、及び第一の背圧弁10は、管で直列に接続されている。溶媒タンク4とポンプ5とは管で接続されており、ポンプ5は、ポンプ3と熱交換器6とを接続する管に、管で接続されている。
気液分離装置11は、第一の背圧弁10及び第二の背圧弁13に対して並列に管で接続されている。それぞれの気液分離装置11、第一の槽12、及び第二の槽14は直列に管で接続されている。
第二の槽14は、圧縮機15に対して並列に管で接続されている。圧縮機15と第三の背圧弁16とは直列に管で接続されている。第二の背圧弁13と第三の背圧弁16とは、精製装置17に対して並列に管で接続されている。
精製装置17と第三の槽18、及び精製装置17とガス収容タンク19とはそれぞれ管で直列に接続されている。ガス収容タンク19は熱交換器2と管で接続されている。
ボンベ1と熱交換器2との間には、ボンベ1から所定の圧力で二酸化炭素を放出する圧力調整弁20と、熱交換器2側からポンプ1側へのガスの逆流を防止する逆止弁25とが設けられている。熱交換器2とポンプ3との間には、熱交換器2で生成した液化ガスを受
けるバッファタンク22が設けられている。また、カラム8は、カラム8内を所定の温度に調整するためのカラムオーブン23に収容されている。
第一の背圧弁10と各気液分離装置11との間には、第一の背圧弁10からの移動相の供給先を選択できるように、それぞれの気液分離装置11に対応してバルブ24が設けられている。各気液分離装置11と第一の背圧弁13との間には、第一の背圧弁13側から各気液分離装置11へのガスの逆流を防止するための逆止弁25が、それぞれの気液分離装置11に対応して設けられている。
第一の槽12と第二の槽14との間には、第一の槽12と第二の槽14とを接続する管を開閉するバルブ26と、前記管を温めるための加熱コイル27とがそれぞれ設けられている。また第二の槽14と圧縮機15との間には、圧縮機15側からの二次回収ガスの逆流を防止するための逆止弁28がそれぞれの第二の槽14に対応して設けられている。
第二の背圧弁13と精製装置17との間には、精製装置17から第二の背圧弁13へのガスの逆流を防止するための逆止弁29が設けられており、第三の背圧弁16と精製装置17との間には、精製装置17から第三の背圧弁16へのガスの逆流を防止するための逆止弁30が設けられている。
ポンプ3及び5は、定量的に送液できるポンプである。またカラム8は、例えばセルロース 2,3−ビス(3,5−ジメチルフェニルカルバメート)のような多糖類誘導体を含有する充填剤を有している。前記充填剤には、光学異性体を識別する多糖類誘導体がシリカ等の担体に担持されてなる充填剤や、或いは担体を有さず前記多糖類誘導体で形成されている充填剤が用いられる。
第一の背圧弁10は、カラム8側、すなわち一次側の系の圧力を所定の圧力(P1、例えば20MPa)に維持するように、この所定圧力以上となるときに移動相を気液分離装置11側、すなわち二次側に逃がすように開閉する弁である。
同様に、第二の背圧弁13は、気液分離装置11側の系の圧力を所定の圧力P2に維持し、P2以上の圧力となるときに一次回収ガスを精製装置17側に逃がすように開閉する弁である。第三の背圧弁16は、圧縮された二次回収ガスの圧力を所定の圧力P3に維持し、P3以上の圧力となるときに二次回収ガスを精製装置17側に逃がすように開閉する弁である。圧力調整弁20は、所定の圧力P0でボンベ1から二酸化炭素を放出するように開閉する弁である。
なお、P0は、液化ガスを生成するのに十分な圧力に設定されており、液化ガスの種類によって決定される。P1は、光学異性体を移動相によって溶出するのに十分な圧力に設定されており、超臨界流体の種類、移動相の組成、移動相の溶解性等によって決定される。P2とP3は、ともにP0よりもわずかに大きな値に設定されており、P2はP3よりもわずかに小さい値に設定されている。
また、検出器9には、検出器9での検出結果に応じて、所定のバルブ24及び第一の槽12及び第三の槽18の開閉を制御する不図示の制御装置に接続されている。
気液分離装置11は、図2及び図3に示すように、両端が開口している円筒状の外筒31と、外筒31の一端の開口を塞ぐフランジ部32と、外筒31の横断面形状における内周面の接線に沿って設けられて外筒31内に開口する管である導入部33と、両端が開口しており、フランジ部32を貫いて導入部33よりも外筒31の他端側に延出する内筒34と、外筒31の外周壁面を覆い熱媒の循環路を形成するジャケット35と、ジャケット
35内を通って導入部33に接続される移動相供給管36とを有する。
ジャケット35には、他端側に熱媒の供給口37が設けられ、一端側に熱媒の排出口38が設けられている。移動相供給管36は、ジャケット35の一端部からジャケット35内に通され、ジャケット35の一端側から他端側に向けて外筒31の外周にらせん状に巻きつけられ、ジャケット35の他端側から外部に出て、導入部33に接続されている。移動相供給管36はバルブ24に接続される。内筒34は精製装置17に接続される。外筒31の他端は第一の槽12に接続される。供給口37及び排出口38は、不図示の熱媒循環手段に接続される。
精製装置17は、図2及び図3に示した気液分離装置11と同じ構成とされている。精製装置17では、移動相供給管36は逆止弁29及び30に接続される。内筒34はガス収容タンク19に接続される。外筒31の他端は第三の槽18に接続される。供給口37及び排出口38は、気液分離装置11と同様に、不図示の熱媒循環手段に接続される。
気液分離装置11及び精製装置17のジャケット35には熱媒が循環しており、外筒31の温度が所定の温度に調整されている。
なお、前記超臨界流体クロマト分取装置では、図示しないが、これらのほかにも、バルブ、逆止弁、安全弁等の弁や、圧力計、温度計、流量計等の各種検出手段、ヒータやブラインチラー、アキュムレータ等の周辺機器が適所に設けられている。
本実施の形態では、圧力調整弁20を調整して、所定の圧力P0(例えば4〜5MPa)でボンベ1から二酸化炭素を熱交換器2に供給する。二酸化炭素は、熱交換器2において冷却されて液化する。
熱交換器2で生成した二酸化炭素の液化ガスは、バッファタンク22に収容され、ポンプ3によって所定の流量で熱交換器6に供給される。熱交換器6に供給される液化ガスには、溶媒タンク4からポンプ5によって所定の流量で送られてきた低級アルコールやアセトニトリル等の有機溶媒、これらの混合溶媒、又はこれらの有機溶媒と水との混合溶媒が供給され、前記液化ガスと前記溶媒とが所定の割合で混合される。
前記液化ガスと前記溶媒とからなる混合溶媒は、第一の背圧弁10で設定されている所定の圧力P1まで、ポンプ3、5による送液の過程で加圧され、熱交換器6に供給される。熱交換器6では、前記混合溶媒を加熱して混合溶媒中の液化ガスを超臨界流体とし、併せて、この超臨界流体と前記溶媒とが混合してなる移動相の温度を、カラムオーブン23で設定されているカラム8の温度(例えば40℃)に調整する。このようにして、液化ガスから生成される超臨界流体と溶媒とを含有する移動相が生成する。温度が調整された移動相には、インジェクタ7から、分離対象物である光学異性体を含有する混合物の溶液が試料として注入される。
インジェクタ7によって試料が注入された移動相は、カラム8に通され、試料中の光学異性体の一方が前記混合物から分離する。
カラム8を通過した移動相中の光学異性体は検出器9によって検出される。前記不図示の制御装置は、検出器9での検出結果に応じて、所定のバルブ24を開き、その他のバルブ24を閉じる。検出器9を通過した移動相は、第一の背圧弁10に送られる。第一の背圧弁10での通過に伴い、移動相の圧力は、P1から第二の背圧弁13で設定されている所定の圧力P2に下がり、所定のバルブ24から所定の気液分離装置11の移動相供給管36に供給される。
気液分離装置11では、移動相供給管36に供給された移動相は、ジャケット35内を、外筒31の外周面に沿ってらせん状に移動した後に導入部33に供給される。これにより、移動相は、導入部33に供給される前に、外筒31の温度に予備的に調整される。温度が調整された移動相は、導入部33から外筒31に導入される。移動相は、外筒31の内周壁面の周方向に沿って円運動をしながら落下する。この過程において移動相中の二酸化炭素の多くは移動相からガスとして分離する。このようにして、カラムを通った移動相が溶媒と液化ガスを形成していたガスとに分離される。
ここで、まず気液分離装置11で分離された溶媒について説明する。気液分離装置1で分離された溶媒には、溶媒、カラム8で試料中から分離された所定の光学異性体、及び超臨界流体を形成していたガス成分の残留分が含有されている。この溶液は、外筒31の内周壁面に沿って落下し、第一の槽12に収容される。
第一の槽12に収容された前記溶液は、光学異性体を溶出したときの圧力P1からP2に減圧され、また超臨界流体を形成していたガス成分もその多くが除かれていることから、前記溶液では光学異性体が濃縮されている。
ここで所定のバルブ26を開くと、第一の槽12に収容されている溶液は、加熱コイル27で加熱されている管を通って所定の第二の槽14に収容される。第二の槽14の圧力はほぼ大気圧とされており、第二の槽14に収容された溶液からは、更にガス成分が放出され、光学異性体もより一層濃縮される。このようにして、移動相から分離された前記溶液の圧力がさらに下げられる。なおバルブ26の開閉は、例えば第二の槽14内の圧力の検出結果に基づいて前述した制御装置によって行われる。
第二の槽14に収容された溶液からは光学異性体が取り出される。光学異性体の取り出しは、必要に応じて減圧濃縮等の公知の方法を採用することにより行われ、例えば前記溶液中の光学異性体を析出させ、又は前記溶液を揮発させることによって行われる。このようにして試料中の所望の光学異性体が前記混合物から分離され、製造される。
次に気液分離装置11で分離されたガスについて説明する。気液分離装置11では、外筒31では、移動相が外筒31に強い勢いで導入される際に、また外筒31内を移動相が上記のように流れる間に、移動相の飛沫が生じるが、内筒34が導入部33よりも外筒31の他端側(図2の気液分離装置11では下側)まで延出している。このため、前述した飛沫は、再び溶媒に吸収され、又はそのまま外筒31を落下していき、内筒34内に入りにくい。したがって、内筒34からは、前述した飛沫の混入の少ないガスが回収される。気液分離装置11で分離された一次回収ガスは、逆止弁25を通り、第二の背圧弁13によって所定の圧力P2に保たれる。
次に第二の槽14で分離するガスについて説明する。第二の槽14において前記溶液からさらに放出されたガスは、逆止弁28を通って圧縮機15に供給される。このようにして第二の槽14での減圧によって前記溶液から分離するガスが回収される。圧縮機15に供給された二次回収ガスは、第三の背圧弁16で設定されている所定の圧力P3まで圧縮される。このようにして、二次回収ガスが一次回収ガスの圧力よりも高い圧力まで圧縮される。
一次回収ガス及び二次回収ガスは超臨界流体へ再利用される。まず一次回収ガスの再利用について説明する。
二次回収ガスの回収量が圧力P3まで加圧するのに十分ではない場合では、一次回収ガ
スが第二の背圧弁13、逆止弁29を通って精製装置17に供給される。精製装置17に供給された一次回収ガスは、移動相供給管34から導入部33を通り、外筒31に導入され、内筒を通って精製装置17から排出される。精製装置17では、例えば気液分離装置11での気液分離によって飛沫同伴した微量の溶媒が除去される。このようにして、一次回収ガス中に残存する溶媒を除去する処理が一次回収ガスに施される。
精製装置17から排出された一次回収ガスは、ガス収容タンク19に収容される。ガス収容タンク19に収容された一次回収ガスは、例えばサンプリングされ、熱伝導率検出器(TCD)を用いるガスクロマトグラフィーによってガス中の溶媒の濃度が測定される。
一次回収ガス中の溶媒の濃度が所定の濃度(例えば1体積%)以下であれば、ガス収容タンク19に収容されている一次回収ガスは熱交換器2に供給される。熱交換器2に供給された一次回収ガスは、ボンベ1からのガスと同様に液化される。このようにして、ガス中の溶媒の濃度が所定の濃度以下である一次回収ガスが液化ガスとされ、移動相に含有される超臨界流体に再利用される。
熱交換器2に供給される一次回収ガスの圧力は、第二の背圧弁13で設定されている圧力P2であり、P2は圧力調整弁20で設定されている圧力P0よりもわずかに大きい値に設定されていることから、一次回収ガスはボンベ1からの新規のガスに対して優先して熱交換器2に送られる。このようにして、一次回収ガスの圧力がボンベ1からの新規のガスの圧力よりも高いときに、一次回収ガスが液化される。
次に二次回収ガスの再利用について説明する。
二次回収ガスが圧力P3まで加圧されている場合では、二次回収ガスが第三の背圧弁16、逆止弁30を通って精製装置17に供給される。精製装置17に供給された二次回収ガスからは、一次回収ガスと同様に、例えば第二の槽14での解圧によって飛沫同伴した微量の溶媒が除去される。このようにして、二次回収ガス中に残存する溶媒を除去する処理が二次回収ガスに施される。
精製装置17から排出された二次回収ガスは、ガス収容タンク19に収容され、一次回収ガスと同様にガス中の溶媒の濃度が測定され、ガス中の溶媒の濃度が所定の濃度(例えば1体積%)以下であれば熱交換器2に供給される。熱交換器2に供給された二次回収ガスは、ボンベ1からのガスと同様に液化される。このようにして、ガス中の溶媒の濃度が所定の濃度以下である二次回収ガスが液化ガスとされ、移動相に含有される超臨界流体に再利用される。
熱交換器2に供給される二次回収ガスの圧力は、第三の背圧弁16で設定されている圧力P3であり、P3は圧力調整弁20で設定されている圧力P0よりもわずかに大きい値に設定されていることから、二次回収ガスはボンベ1からの新規のガスに対して優先して熱交換器2に送られる。このようにして、二次回収ガスの圧力がボンベ1からの新規のガスの圧力よりも高いときに、二次回収ガスが液化される。
なお、ガス収容タンク19において、ガス中の溶媒の濃度が所定の濃度よりも高い場合では、ガス収容タンク19内の回収ガスは、ガス収容タンク19から系外に排出される。排出された回収ガスは、外気に排出しても良いし、適当な溶媒除去処理を施した後、例えば第二の槽14に戻して再利用しても良いし、コンデンサ等で圧縮してボンベに収容して再利用しても良い。あるいは、ガス中の溶媒の濃度が所定の濃度よりも高い場合では、ボンベ1から新規のガスを、例えば圧縮機を用いてガス収容タンク19に導入し、ガス収容タンク19中の回収ガスを十分に希釈し、熱交換器2に供給しても良い。
また、ガス収容タンク19から熱交換器2に供給される回収ガスのボンベ1への流れは、逆止弁21によって防止されている。また、回収ガスの圧力が圧力調整弁20で設定されている圧力よりも低い場合では、ボンベ1から二酸化炭素が熱交換器2に向けて供給されるが、ボンベ1からのガスの逆流は、逆止弁29及び逆止弁30によって防止されている。
以後、検出器9で検出される物質に応じてバルブ24の開閉が適宜行われ、試料中の所望の光学異性体が取り分けられる。
本実施の形態では、超臨界流体用に供給される二酸化炭素の回収率は、溶媒の種類や移動相の組成等によって異なるが、例えば二酸化炭素とメタノールとからなる移動相を用いた場合の一次回収率は、理論値で80%程度であり、未回収の20%は、主に気液分離装置11で溶媒に再溶解した分であると考えられる。また二酸化炭素とアクリロニトリルとからなる移動相(二酸化炭素/アクリロニトリル:60/40(vol%))を用いた場合の一次回収時のロスは約30%程度である。
また、本実施の形態では、二酸化炭素の超臨界流体を用いることで、移動相へ酸を添加することなく、またエステル化することなく、有機カルボン酸等の酸性物質をそのまま分離することが可能である。これは、移動相中の二酸化炭素が弱酸性を示すためと考えられる。移動相へ酸を添加しなくても良いことから、所望の物質としての前記酸性物質の分解を抑制することができ、またエステル化しなくても良いことから、エステル化してから分離する場合に比べて、試料からの前記酸性物質の収率を高めることが可能である。
また、本実施の形態では、光学異性体を高い純度で分離することが可能である。例えばグアイフェネシン(Guaifenesin)のラセミ体の光学分割では、光学純度が99.0%のR体が94.9%の収率で得られ、光学純度が98.8%のS体が98.8%の収率で得られる。
また、本実施の形態では、試料を断続的に移動相に注入することにより、高い生産性で試料中の所望の物質を分離することが可能である。例えば上記の光学分割では、カラムの充填剤1kgでの一日当たりの光学異性体の生産量にして4.06kgの光学異性体の生産が可能となる。
なお、本実施の形態では、液化ガスに溶媒を混合した後に、混合溶媒の温度を調整して混合溶媒中の液化ガスを超臨界流体としているが、例えば溶媒が混合される前の液化ガスを、液化ガスの温度が臨界温度を超えるように加熱する熱交換器をさらに設け、超臨界流体に溶媒を混合した後に、カラム8での分離に適した温度に移動相の温度を調整しても良い。
また、本実施の形態では、ガスが上方に、溶媒が下方にそれぞれ分離するように気液分離装置11が設けられているが、本発明はこのような設置に限定されず、鉛直方向に対して斜めに、又は直交するように気液分離装置11及び精製装置17を設けても良い。
また、本実施の形態では、回収ガス中から溶媒を除去するためのさらなる手段を設けても良い。このような手段としては、例えば圧縮機15と第三の背圧弁16との間に設けられるバッファタンク等が挙げられる。
また、本実施の形態では、一つのガス収容タンク19を設けた形態を示したが、複数のガス収容タンク19を精製装置17に対して並列に設けても良い。このような形態によれば、ガス中の溶媒の濃度の検出において、所要時間が長い検出方法を適用することができ
、例えばガス中の溶媒の濃度の検出精度のさらなる向上を図ることが可能となり、或いはより安価な検出機器を使用することが可能となる。
また、本実施の形態では、ガス収容タンク19に収容したガス中の溶媒の濃度を検出する形態を示したが、ガス収容タンク19の代わりに複数の精製装置を直列に接続しても良い。このような形態によれば、溶媒が全く含有されないか、又は前記所定の濃度以下の溶媒しか含有されない回収ガスが必ず得られ、ガス中の溶媒の濃度の検出を省くことが可能である。なお、このような形態では、回収ガスがこれらの精製装置を順次流すための手段を設ける必要がある。このような手段としては、例えば精製装置間に適当な圧力差を設けるために適宜設置される圧縮機や背圧弁等が挙げられる。
また、本実施の形態では、気液分離装置11及び第二の槽14の二段でガスが回収される形態を示したが、第二の槽14に対してさらに直列に槽を設け、これらを第二の槽14のように構成することにより、三段や、四段、さらにそれ以上の段数でガスを回収することも可能である。
本実施の形態では、試料中の光学異性体を含む移動相を気液分離することから、分離された液に所望の光学異性体が含まれ、この分離された液を解圧することで、所望の光学異性体を濃縮された状態で容易に回収することができる。また解圧するだけで所望の光学異性体を濃縮した状態で回収することができることから、熱によって経時的に変化しやすいような、熱に対して不安定な光学異性体の分離にも有利である。
また、本実施の形態では、超臨界流体クロマトグラフィーによる光学異性体の製造において、液化ガスから生成される超臨界流体と溶媒とを含有する移動相を生成し、カラムを通った移動相を溶媒と液化ガスを形成していたガスとに分離し、分離したガス中の溶媒の濃度が所定の濃度以下(より好ましくは1体積%以下)であるガスを液化して超臨界流体に再利用することから、超臨界流体を形成するガスを再利用することができる。これにより、二酸化炭素のコストを削減することができる。また、超臨界流体クロマトグラフィーにおける二酸化炭素の環境への排出を抑制することができる。
また、本実施の形態では、分離されたガス中の溶媒の濃度が所定の濃度以下であるガスを再利用することから、ガスの再利用で生成される液化ガス中の溶媒の濃度は常に前記所定の濃度以下となり、このような液化ガスから生成される超臨界流体を含有する移動相の組成の変動を防止することができる。したがって、光学異性体を安定して製造することができる。
また、本実施の形態では、それぞれの次回収ガスの圧力がボンベ1からの新規のガスの圧力よりも高いときにそれぞれの回収ガスが液化されることから、それぞれの回収ガスの再利用をより簡易な構成や操作で行うことができる。
また、本実施の形態では、移動相から分離された溶液の圧力がさらに下げられ、またこの溶液の減圧によって溶液から分離する二次回収ガスがさらに回収され、さらにガス中の溶媒の濃度が所定の濃度以下である二次回収ガスが液化ガスとされ、再利用されることから、移動相からのガスの回収率をより一層高めることができる。
また、本実施の形態では、二次回収ガスが一次回収ガスの圧力よりも高い圧力まで圧縮されることから、二次回収ガスを一次回収ガスが流れる管に合流させることができ、各回収ガスに対応した構成の重複が防止され、簡易な構成や操作で二次回収ガスを再利用することができる。
また、本実施の形態では、それぞれの回収ガス中に残存する溶媒を除去する処理がそれぞれの回収ガスに施されることから、回収ガス中の溶媒の濃度をさらに低減させることができ、光学異性体の製造を長期にわたってより一層安定して行うことができる。
また、本実施の形態では、光学異性体を識別する多糖類誘導体を含有する充填剤が用いられることから、種々の光学異性体の分離に対応することができ、また光学分離能に優れることから、超臨界流体クロマトグラフィーによる光学異性体の製造における生産性をより一層高めることができる。
また本実施の形態では、外筒31での移動相の飛沫が生じない位置まで外筒31内に延出する内筒34を備えた気液分離装置11を用いることから、気液分離の際に生じる移動相の飛沫の混入を少なくすることができ、再利用可能な純度の高いガスを気液分離によって得ることができる。
また本実施の形態では、外筒31に導入される前の移動相を、外筒31の温度を調整するためのジャケット35内を通すことから、外筒31に導入される前の移動相の温度を外筒31の温度に予め調整することができる。したがって、外筒31の温度調整による気液分離の効率をより一層高めることができる。
また本実施の形態では、移動相供給管36をジャケット35内において外筒31の外周壁面に巻きつける形状に設けたことから、外筒31の温度調整による気液分離の効率をコンパクトな構成で高めることができる。
また本実施の形態では、外筒31が円筒状であることから、外筒31の周壁に均一に圧力がかかるので、超臨界流体クロマトグラフィーのような高圧条件下での気液分離における気液分離装置11の耐久性をより一層高めることができる。
また本実施の形態では、ボンベ1と熱交換器2との間に、熱交換器2からボンベ1への向きのガスの流れを防止する逆止弁21が設けられていることから、精製装置17で精製されたガスのボンベ1への流入を防止することができる。
また本実施の形態では、それぞれの気液分離装置11やそれぞれの第二の槽14に対応して逆止弁が設けられており、また第二の背圧弁13及び第三の背圧弁16と精製装置17との間にも逆止弁が設けられていることから、気液分離装置11間、第二の槽14間、及び第二及び第三の背圧弁間でのガスの混合、及びこれによる装置の汚染を防止することができる。
また本実施の形態では、第一の槽12と第二の槽14とを接続する前記溶液の流路を例えば加熱コイル27によって保温することから、前記溶液の送液中における減圧で気化熱の発生による溶液の温度の低下を防止することができ、前記溶液の流路や第二の槽14の光学異性体の付着や残留を抑制することができる。
本発明の分離方法に用いられる超臨界流体クロマト分取装置の一例の構造を示す概略図である。 本発明の気液分離装置の一例の要部の縦断面を示す断面図である。 図2に示す気液分離装置をA−A線で切断したときの要部の横断面を示す断面図である。
符号の説明
1 ボンベ
2、6 熱交換器
3、5 ポンプ
4 溶媒タンク
7 インジェクタ
8 カラム
9 検出器
10 第一の背圧弁
11 気液分離装置
12 第一の槽
13 第二の背圧弁
14 第二の槽
15 圧縮機
16 第三の背圧弁
17 精製装置
18 第三の槽
19 ガス収容タンク
20 圧力調整弁
21、25、28〜30 逆止弁
22 バッファタンク
23 カラムオーブン
24、26 バルブ
27 加熱コイル
31 外筒
32 フランジ部
33 導入部
34 内筒
35 ジャケット
36 移動相供給管

Claims (7)

  1. 超臨界流体を含有する移動相に、光学異性体の混合物を含有する試料を注入し、前記試料が注入された移動相を、光学異性体を識別する充填剤を有するカラムに通し、試料中の所望の光学異性体を前記混合物から分離して製造する方法であって、
    液化ガスから生成される超臨界流体と溶媒とを含有する移動相を生成する工程と、
    前記カラムを通った移動相を前記溶媒と前記液化ガスを形成していたガスとに分離する工程と、
    分離されたガスであってガス中の前記溶媒の濃度が所定の濃度以下であるガスを、液化ガスとし、前記移動相に含有される超臨界流体に再利用する工程と、を含み、
    前記再利用する工程では、前記溶媒の濃度が所定の濃度以下の前記分離されたガスの圧力が、前記液化ガスを生成するために新規に供給されるガスの圧力よりも高いときに、前記分離されたガスを液化することを特徴とする、超臨界流体クロマトグラフィーによる光学異性体の製造方法。
  2. 前記所定の濃度は1体積%であることを特徴とする請求項1記載の超臨界流体クロマトグラフィーによる光学異性体の製造方法。
  3. 前記分離する工程で分離された前記溶媒の圧力を下げる工程と、減圧によって前記溶媒から分離するガスを回収する工程とをさらに含み、
    回収されたガスであってガス中の溶媒の濃度が所定の濃度以下であるガスを、液化ガスとし、前記移動相に含有される超臨界流体に再利用することを特徴とする請求項1又は2に記載の超臨界流体クロマトグラフィーによる光学異性体の製造方法。
  4. 前記回収されたガスを、前記分離されたガスの圧力よりも高い圧力まで圧縮する工程をさらに含むことを特徴とする請求項記載の超臨界流体クロマトグラフィーによる光学異性体の製造方法。
  5. 前記分離されたガス及び前記回収されたガスのいずれか一方又は両方に、ガス中に残存する前記溶媒を除去する処理を施す工程をさらに含むことを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の超臨界流体クロマトグラフィーによる光学異性体の製造方法。
  6. 前記充填剤には、光学異性体を識別する多糖類又はその誘導体である多糖類誘導体を含有する充填剤を用いることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の超臨界流体クロマトグラフィーによる光学異性体の製造方法。
  7. 前記多糖類はセルロー又はアミロースであることを特徴とする請求項記載の超臨界流体クロマトグラフィーによる光学異性体の製造方法。
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