JP4430123B1 - 細胞培養基材及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 基材中に含まれる下限臨界溶解温度を有する重合体(B)が架橋していない細胞培養基材であり、支持体との接着性が良好であり、更に、環境温度に対する疎水性と親水性の変化が敏速で、迅速に培養した細胞を培養基材表面から容易に剥離、回収できる細胞培養基材及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 下記式(1)で表すモノマー(a)の重合体(A)と、下限臨界溶解温度を有する重合体(B)と、水膨潤性粘土鉱物及びシリカから選択される1種以上の無機材料(C)とを含有する細胞培養基材。
Figure 0004430123
(式中、Rは水素原子またはメチル基、Rは炭素原子数2〜3のアルキレン基、Rは水素原子または炭素原子数1〜2のアルキル基を表し、nは1〜9の整数を表す。)
【選択図】図1

Description

本発明は、細胞培養の技術に関し、具体的には、培養した細胞を容易に剥離、回収できる細胞培養基材、及びその製造方法に関する。
従来、動物組織等の細胞培養基材としては、主にプラスチック(例えばポリスチレン)製容器が使用されてきた。これら容器は、細胞培養を有効に行わせるために、その表面にプラズマ処理や、シリコンや細胞接着因子等のコーティングなどの表面処理が施されている。これら細胞培養容器を培養基材として用いた場合には、培養(増殖)した細胞が容器表面に接着しており、細胞を単離・回収するためには、トリプシ等のタンパク質加水分解酵素や化学薬品を用いて、容器表面から剥離する必要があった。このような酵素や化学薬品により細胞を剥離する操作は工程が煩雑であるほか、雑菌やDNAあるいはRNA等の不純物が混入する恐れがあった。また、細胞と基材の結合部分が切断されるだけではなく、細胞同士の結合も切断されるため、細胞を増殖している形状(例えばシート状)のままで取り出すことができなかったり、細胞の性質が変化してしまう問題があった。
近年、細胞培養容器の表面にポリN−イソプロピルアクリルアミドのような下限臨界溶解温度を有するポリマーを極薄く被覆した基材を使用して、細胞培養温度ではポリマーが疎水性状態を示し細胞がポリマーに接着し、培養後にポリマーを低温処理して親水性状態にすることにより、細胞とポリマーとの接着性を低下させ、細胞を加水分解酵素や化学薬品を使用せずに基材から細胞をシート状に剥離する技術が報告されている(例えば特許文献1及び2、非特許文献1参照)。
しかし、ポリN−イソプロピルアクリルアミドのようなポリマーはポリスチレンのようなプラスチック表面との間に接着性が低く、水に触れると、塗布されたポリマー層が容易に剥離してしまう。このようなポリマー層を水に触れてもプラスチック表面から剥離させないためには、ポリマーを固定する必要がある。その方法の一つとしては、N−イソプロピルアクリルアミド(モノマー)の溶液を細胞培養基材表面に塗布して電子線照射によるグラフト重合を行う方法がある(例えば、特許文献3参照)。
電子線照射によるグラフト重合は、重合と同時に、ポリマー間の架橋反応も必ず起こり、ポリマーの温度応答速度が架橋度合の進行につれ大きく低下してしまい、ポリマーを親水性にするために低温を保持する時間を長く要する問題があり、且つ、その間、細胞も低温状態に長時間晒され、ダメージを受ける問題があった。また、この方法で製造された細胞培養基材は、放射線(例えばγ線)滅菌処理を行うと、ポリマーの温度応答性が大きく低下してしまい、本来の細胞の剥離しやすさが無くなる問題があった。
一方、水に均一に分散した水膨潤性粘土鉱物の存在下で、水溶性有機モノマーを放射線の照射により重合させてなる高分子ヒドロゲルからなり、水溶性有機モノマーの重合体(ポリN−イソプロピルアクリルアミドのような下限臨界溶解温度を有するポリマー)と水膨潤性粘土鉱物とから構成される三次元網目構造を有する細胞培養基材が開示されている(例えば特許文献4参照)。
生化学分野では、細胞培養操作等の点において、細胞培養基材がプラスチック製培養ディッシュのような容器と一体化するものが求められていた。しかしながら、上記従来文献においては、このような一体化した細胞培養容器の具体的手段は開示されていない。
特公平6−104061公報 特開平5−192138公報 特開平5−192130公報 特開2006−288251公報
大和雅之、岡野光夫「ナノバイオテクノロジーの最前線」第6章、P.340−P.347、シーエムシー出版(2003年出版)
本発明が解決しようとする課題は、基材中に含まれる下限臨界溶解温度を有する重合体(B)が架橋していない細胞培養基材であり、更に、環境温度に対する疎水性と親水性の変化が敏速で、培養した細胞を分離回収する際にトリプシン等のタンパク質加水分解酵素などを使用することなく、細胞へのダメージがなく、迅速に培養した細胞を培養基材表面から容易に剥離、回収できる細胞培養基材を提供することにある。
また、本発明の他の課題は、上記の細胞培養基材を製造する方法であって、基材中に含まれる下限臨界溶解温度を有する重合体(B)が架橋されることがなく、且つ電子線照射のような方法を使用することなく、該細胞培養基材をプラスチック製容器の表面に容易に接着させることができ、更に、培養される細胞の種類(接着性)に応じて、重合体(B)の長さ、密度も容易に調節することができる、簡便な装置と工程とによる製造方法を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a)の重合体(A)と、水膨潤性粘土鉱物及びシリカから選択される1種以上の無機材料(C)と、下限臨界溶解温度を有する重合体(B)とを含有する細胞培養基材が各種細胞に対する良好な培養性、及び培養された細胞を、環境温度を低下させることにより容易に剥離できる特性、更に、細胞種類に応じて、その培養性と剥離性を容易に調製できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記式(1)で表されるモノマー(a)の重合体(A)と、下限臨界溶解温度を有する重合体(B)と、水膨潤性粘土鉱物及びシリカから選択される1種以上の無機材料(C)とを含有し、
前記重合体(A)と前記無機材料(C)との質量比((C)/(A))が、0.01〜10の範囲にあり、
細胞培養基材全体に対する前記重合体(B)の含有率が0.0001質量%〜40質量%である細胞培養基材を提供する。
Figure 0004430123
(式中、Rは水素原子またはメチル基、Rは炭素原子数2〜3のアルキレン基、Rは水素原子または炭素原子数1〜2のアルキル基を表し、nは1〜9の整数を表す。)
また、本発明は、前記式(1)で表されるモノマー(a)の重合体(A)と、水膨潤性粘土鉱物及びシリカから選択される1種以上の無機材料(C)とが相互作用することにより形成された複合体と、
下限臨界溶解温度を有する重合体(B)とを含有し、
前記重合体(A)と前記無機材料(C)との質量比((C)/(A))が、0.01〜10の範囲にあり、
細胞培養基材全体に対する前記重合体(B)の含有率が0.0001質量%〜40質量%である細胞培養基材であって、
該細胞培養基材の細胞培養面に前記重合体(B)が露出していることを特徴とする細胞培養基材を提供する。
また、本発明は、上記重合体(B)が、N−置換(メタ)アクリルアミド誘導体及びN,N−ジ置換(メタ)アクリルアミド誘導体からなる群から選ばれる少なくとも一種のモノマー(b)の重合体である細胞培養基材の製造方法であって、
前記水媒体(W)中の前記水膨潤性無機材料(C)の濃度が下記式(2)又は式(3)で表される範囲となるように、前記モノマー(a)と前記無機材料(C)と重合開始剤(D)とを水媒体(W)に混合した後、前記モノマー(a)を重合させることにより重合体(A)と前記無機材料(C)との複合体(X)の分散液(L)を製造する第1工程、
前記分散液(L)を支持体に塗布し、その後乾燥することにより前記複合体(X)の薄層を形成する第2工程、
非水溶性の重合開始剤(D)を溶媒(E)に溶解させた溶液を前記複合体(X)の薄層の表面(S)に塗布し、前記溶媒(E)を揮発させる第3工程、
前記表面(S)に前記モノマー(b)の水溶液を塗布した後、紫外線の照射により前記モノマー(b)を重合させる第4工程を順次行なうことを特徴とする細胞培養基材の製造方法を提供する。
式(2) Ra<0.19のとき
無機材料(C)の濃度(質量%)<12.4Ra+0.05

式(3) Ra≧0.19のとき
無機材料(C)の濃度(質量%)<0.87Ra+2.17
(式中、無機材料(C)の濃度(質量%)は、無機材料(C)の質量を水媒体(W)と無機材料(C)の合計質量で除して100を掛けた数値、Raは無機材料(C)と重合体(A)との質量比((C)/(A))である。)
また、本発明は、上記重合体(B)が、N−置換(メタ)アクリルアミド誘導体及びN,N−ジ置換(メタ)アクリルアミド誘導体からなる群から選ばれる少なくとも一種のモノマー(b)の重合体である細胞培養基材の製造方法であって、
前記モノマー(a)と前記無機材料(C)と重合開始剤(D)とを混合した水媒体(W)を支持体に塗布して、
前記モノマー(a)を重合させることにより、重合体(A)と前記無機材料(C)との複合体(X)の薄層を形成する第1工程、
非水溶性の重合開始剤(D)を溶媒(E)に溶解させた溶液を前記複合体(X)の薄層の表面(S)に塗布し、溶媒(E)を揮発させる第2工程、
前記モノマー(b)の水溶液を前記表面(S)に塗布した後、紫外線の照射により前記モノマー(b)を重合させる第3工程を順次行なうことを特徴とする細胞培養基材の製造方法を提供する。
更に、本発明は、重合体(B)が、N−置換(メタ)アクリルアミド誘導体及びN,N−ジ置換(メタ)アクリルアミド誘導体からなる群から選ばれる少なくとも一種のモノマー(b)の重合体である細胞培養基材の製造方法であって、
前記水媒体(W)中の前記無機材料(C)の濃度が下記式(2)又は式(3)で表される範囲となるように、前記モノマー(a)と前記無機材料(C)と重合開始剤(D)とを水媒体(W)に混合した後、前記モノマー(a)を重合させることにより、重合体(A)と前記無機材料(C)との複合体(X)の分散液(L)を製造する第1工程、
前記分散液(L)に、前記モノマー(b)の重合体である重合体(B)を添加し、混合して、支持体に塗布した後、乾燥させる第2工程を順次行なうことを特徴とする細胞培養基材の製造方法を提供する。
式(2) Ra<0.19のとき
無機材料(C)の濃度(質量%)<12.4Ra+0.05
式(3) Ra≧0.19のとき
無機材料(C)の濃度(質量%)<0.87Ra+2.17
(式中、無機材料(C)の濃度(質量%)は、無機材料(C)の質量を水媒体(W)と無機材料(C)の合計質量で除して100を掛けた数値、Raは無機材料(C)と重合体(A)との質量比((C)/(A))である。)
本発明の細胞培養基材の最大の特徴は、上記重合体(A)と無機材料(C)の構成部分が細胞の増殖を担い、LCSTを有する重合体(B)は温度変化による細胞の剥離を担い、この二つの部分を細胞の種類に応じてそれぞれ単独に制御できることにある。例えば、培養時、培養温度(37℃)がポリ−N−イソプロピルアクリルアミドのLCST(32℃)より高いため、ポリ−N−イソプロピルアクリルアミドが水不溶(疎水性)状態になり、細胞が基材の表面で増殖するが、温度を32℃以下に下げると(例えば20℃)、ポリ−N−イソプロピルアクリルアミドが水溶性になり基材表面から水溶液へと伸展し、それに伴い細胞が基材表面から脱離しながら剥離していく。
重合体(A)及び重合体(B)は主にイオン結合や水素結合などにより無機材料(C)と相互作用し結合している。この結合力は強く、容易にポリマーと無機材料(C)を引き離すことはできない。例えば、ポリ−N−イソプロピルアクリルアミドと粘土鉱物からなる三次元網目構造を有するヒドロゲル(含水率が90%)は95kPaの引っ張り破断強度を示している((特許文献4)特開2006−288251公報参照)。
本発明の細胞培養基材は、無機材料(C)と重合体(A)がほぼ均一な層状構造になっている複合体(X)の薄層と、該薄層の中から表面に向かって伸び出ている重合体(B)とから構成されている。
重合体(B)の長さ(分子量)と密度(含有量)を適宜調整することにより、複合体(X)の薄層表面が重合体(B)に完全に覆われることなく適宜露出することで、良好な細胞増殖性と細胞剥離性を維持できる。
本発明の細胞培養基材は、環境温度に対する疎水性と親水性の変化速度が速く、培養される細胞の種類(接着性)に応じて、下限臨界溶解温度を有する重合体(B)の長さや密度を容易に調節することができ、培養した細胞を、薬剤(トリプシン等)を使用することなく、迅速に培養基材表面から剥離、回収できる特徴を有する。
また、本発明の製造方法は、基材中に含まれる下限臨界溶解温度を有する重合体(B)が架橋されることがなく(より敏速な温度応答性を維持できる)、且つ電子線照射のような方法を使用することなく、該細胞培養基材を(プラスチック製培養容器のような)支持体に容易に接着させることができ、更に、培養される細胞の種類(接着性)に応じて、重合体(B)の長さや密度も容易に調節することができ、装置と工程が簡便である特徴を有する。
分散液(L5)を円形のパターン状に塗布した細胞培養基材(実施例8)の光学顕微鏡にて撮影した写真である。
本発明で用いるモノマー(a)は、その重合体が粘土鉱物と相互作用し、重合により有機無機複合ヒドロゲルを形成できるものであれば、好適に使用できるが、中でも、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールやポリエチレングリコールエステル系モノマーが好ましく用いられ、特に好ましくは下記式(1)のモノマー(a)が用いられる。
Figure 0004430123
(式中、Rは水素原子またはメチル基、Rは炭素原子数2〜3のアルキレン基、Rは水素原子または炭素原子数1〜2のアルキル基であり、nは1〜9である。)
これらのモノマー(a)の使用により、細胞の初期接着性を容易に調節でき、細胞増殖性と剥離性が良好な細胞培養基材が得られる。また、この細胞培養基材をポリスチレンなどのプラスチック製基材等の支持体の表面に積層させる場合は、両者間の接着性が強く、製造が簡便にできる。
上記のモノマー(a)は、要求される力学物性や表面性質などにより、一種以上を混合して使用してもよい。また、細胞培養基材の培養性や物性に影響を及ぼさない程度に、必要に応じてその他の共重合モノマーとして、例えば、スルホン基やカルボキシル基のようなアニオン基を有するアクリル系モノマー、4級アンモニウム基のようなカチオン基を有するアクリル系モノマー、4級アンモニウム基と燐酸基とを持つ両性イオン基を有するアクリル系モノマー、カルボキシル基とアミノ基とをもつアミノ酸残基を有するアクリル系モノマー、糖残基を有するアクリル系モノマー、また、水酸基を有するアクリル系モノマー、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール鎖を有するアクリル系モノマー、更にポリエチレングリコールのような親水性鎖とノニルフェニル基のような疎水基を合わせ持つ両親媒性アクリル系モノマー、ポリエチレングリコールジアクリレート、N−置換(メタ)アクリルアミド誘導体、N,N−ジ置換(メタ)アクリルアミド誘導体、N,N’−メチレンビスアクリルアミドなどを併用することができる。
本発明に用いる無機材料(C)は、水膨潤性粘土鉱物及びシリカから選択される1種以上の無機材料である。水膨潤性粘土鉱物としては、層状に剥離可能な水膨潤性粘土鉱物が挙げられ、好ましくは水または水と有機溶剤との混合溶液中で膨潤し均一に分散可能な粘土鉱物、特に好ましくは水中で分子状(単一層)またはそれに近いレベルで均一分散可能な無機粘土鉱物が用いられる。具体的にはナトリウムを層間イオンとして含む水膨潤性ヘクトライト、水膨潤性モンモリライト、水膨潤性サポナイト、水膨潤性合成雲母、等が挙げられる。これらの粘土鉱物を混合して用いても良い。
本発明に用いるシリカ(SiO)としては、コロイダルシリカが挙げられ、好ましくは水溶液中で均一に分散可能で、粒径が10nm〜500nmのコロイダルシリカ、特に好ましくは粒径が10〜50nmのコロイダルシリカが用いられる。
本発明の細胞培養基材において、重合体(A)と無機材料(C)との質量比((C)/(A))が、0.01〜10であることが好ましく、0.03〜5がより好ましく、0.05〜3が特に好ましい。質量比((C)/(A))がこの範囲であると、粘土鉱物またはシリカと重合体(A)との複合構造(例えば粘土鉱物が主成分として構成したシェル(殻)部分と重合体(A)が主成分として構成したコア(内部)部分からなるコアシェル構造、粘土鉱物と重合体(A)が均一に複合した均一構造など)の設計が容易であり、得られる塗膜の表面特性(例えば親疎水性度合いや細胞培養性)や塗膜物性が良好であり、均一な塗膜が得られ、支持体との接着性が良好で、脆さも無く好ましい。
また、本発明の細胞培養基材において、基材全体に対する重合体(B)の含有率が0.0001質量%〜40質量%であることが好ましく、0.01〜30質量%であることがより好ましく、1〜20質量%であることが特に好ましい。
重合体(B)の含有率が0.0001質量%〜40質量%であると、培養基材の細胞接着性と増殖性及び温度低下時の剥離性が良好であり、培養基材の表面平滑性もよく、また、プラスチック製基材の表面に積層するときの塗布性や基材表面との接着性がよく、好ましい。
本発明で用いられる下限臨界溶解温度(Lower Critical Solution Temperature:以下LCSTと略記する)を有する重合体(B)は、分子内にLCSTを示す部分を有するものであれば、好適に使用できるが、中でもN−置換(メタ)アクリルアミド誘導体及びN,N−ジ置換(メタ)アクリルアミド誘導体からなる群から選ばれる少なくとも一種のモノマー(b)の重合体であることが好ましい。このようなモノマー(b)の例としては、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−シクロプロピル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル−N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクリロイルピペリディン、N−(メタ)アクリロイルピロリディンがあげられる。
上記これらのモノマー単独で用いてもよく、必要に応じて複数のモノマーを混合して用いてもよい。更に、上記モノマー(b)とそれ以外の水溶性有機モノマーまたは有機溶媒可溶性有機モノマーとの共重合体も、得られた重合体が親水性及び疎水性の両方を示すものであれば使用することが出来る。
上記の下限臨界溶解温度(LCST)とは、この温度以上になると、該ポリマーが水中で不溶となり(疎水性を示す)、この温度以下になると、水溶性になる(親水性を示す)温度のことである。例えば、ポリ−N−イソプロピルアクリルアミドのLCSTは32℃である。
次いで、本発明の製造方法について説明する。
本発明の細胞培養基材は、下記三つの方法で製造することができる。
即ち、第一の製造方法としては、前記水媒体(W)中の前記無機材料(C)の濃度が下記式(2)又は式(3)で表される範囲となるように、前記モノマー(a)と前記無機材料(C)と重合開始剤(D)とを水媒体(W)に混合した後、前記モノマー(a)を重合させることにより重合体(A)と前記無機材料(C)との複合体(X)の分散液(L)を製造する第1工程、
前記分散液(L)を基材に塗布し、その後乾燥することにより前記複合体(X)の薄層を形成する第2工程、
非水溶性の重合開始剤(D)を溶媒(E)に溶解させた溶液を前記複合体(X)の薄層の表面(S)に塗布し、前記溶媒(E)を揮発させる第3工程、
前記表面(S)に前記モノマー(b)の水溶液を塗布した後、紫外線の照射により前記モノマー(b)を重合させる第4工程を順次行なうことを特徴とする細胞培養基材の製造方法である。
式(2) Ra<0.19のとき
無機材料(C)の濃度(質量%)<12.4Ra+0.05
式(3) Ra≧0.19のとき
無機材料(C)の濃度(質量%)<0.87Ra+2.17
(式中、無機材料(C)の濃度(質量%)は、無機材料(C)の質量を水媒体(W)と無機材料(C)の合計質量で除して100を掛けた数値、Raは無機材料(C)と重合体(A)との質量比((C)/(A))である。)
この製造方法に用いられるモノマー(a)と無機材料(C)及びモノマー(b)は、前記細胞培養基材の説明で述べたのと同じものを使用できるので、省略する。
本発明の製造方法に用いる水媒体(W)は、モノマー(a)や無機材料(C)などを含むことができ、重合によって、物性のよい有機無機複合体分散液が得られれば良く、特に限定されない。例えば水、または水と混和性を有する溶剤及び/またはその他の化合物を含む水溶液であってよく、その中には更に、防腐剤や抗菌剤、着色料、香料、酵素、たんぱく質、コラーゲン、糖類、アミノ酸類、細胞、DNA類、塩類、水溶性有機溶剤類、界面活性剤、高分子化合物、レベリング剤などを含むことができる。
本発明に用いられる重合開始剤(D)としては、公知のラジカル重合開始剤を適時選択して用いることができる。好ましくは水溶性または水分散性を有し、系全体に均一に含まれるものが好ましく用いられる。具体的には、重合開始剤として、水溶性の過酸化物、例えばペルオキソ二硫酸カリウムやペルオキソ二硫酸アンモニウム、水溶性のアゾ化合物、例えばVA−044、V−50、V−501(いずれも和光純薬工業株式会社製)の他、Fe2+と過酸化水素との混合物などが例示される。
触媒としては、3級アミン化合物であるN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンなどは好ましく用いられる。但し、触媒は必ずしも用いなくてもよい。重合温度は、重合触媒や開始剤の種類に合わせて例えば0℃〜100℃が用いられる。重合時間も数十秒〜数十時間の間で行うことが出来る。
一方、光重合開始剤は、酸素阻害の影響を受けにくく、重合速度が速いため、重合開始剤(D)として好適に用いられる。具体的には、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノンなどのアセトフェノン類、4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類、2−メチルチオキサントンなどのケトン類、ベンゾインメチルエーテルなどのベンゾインエーテル類、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのα−ヒドロキシケトン類、メチルベンゾイルホルメートなどのフェニルグリオキシレート類、メタロセン類などが挙げられる。
前記光重合開始剤は非水溶性のものである。ここで言う非水溶性とは、重合開始剤の水に対する溶解量が0.5質量%以下であることを意味する。非水溶性の重合開始剤を使用することにより、開始剤がより粘土鉱物の近傍に存在しやすく、粘土鉱物近傍からの開始反応点が多くなり、得られる重合体(A)と無機材料(C)との複合体(X)の粒径分布が狭く、分散液(L)の安定性が高く、好ましい。
前記光重合開始剤を水媒体(W)と相溶する溶媒(E)に溶解させた溶液を前記水媒体(W)中に添加することが好ましい。この方法によって光重合開始剤がより均一に分散でき、より粒径の揃った複合体(X)が得られる。
光重合開始剤(D)を溶媒(E)に溶解させた溶液中における光重合開始剤(D)と溶媒(E)の質量比(D)/(E)は、0.001〜0.1であることが好ましく、0.01〜0.05が更に好ましい。0.001以上であると、紫外線の照射によるラジカルの発生量が十分に得られるため好適に重合反応を進行させることができ、0.1以下であれば、開始剤による発色や、臭気を実質的に生じることがなく、またコストの低減が可能である。
光重合開始剤(D)を溶媒(E)に溶解させた溶液の添加量が、モノマー(a)、無機材料(C)、水媒体(W)、重合開始剤(D)及び溶媒(E)の総質量に対し、0.1質量%〜5質量%であることが好ましく、0.2質量%〜2質量%であることが更に好ましい。該分散量が0.1質量%以上であると、重合が十分に開始され、5質量%未満であると、複合体(X)中の重合開始剤の増加による臭気の発生、更には一旦分散された光重合開始剤が再び凝集する等の問題を低減でき、均一な複合体(X)の分散液(L)を得ることができるため好ましい。
非水溶性の重合開始剤(D)を使用することにより、第4工程では、モノマー(b)の水溶液を塗布した時に、開始剤の溶出が無く、粘土鉱物またはシリカ近傍からの開始反応点が多くなり、得られる重合体(B)と無機材料(C)間の相互作用がより強くなり、好ましい。
無機材料(C)の水媒体に対する濃度(質量%)は式(2)又は式(3)で表される範囲であることが本発明の細胞培養基材製造の最大の特徴である。無機材料(C)の水媒体に対する濃度(質量%)が上記範囲内であると、良好な複合体(X)の分散液(L)が得られ、支持体への塗布が容易で、平滑で均一な薄い塗膜が得られ、好ましい。
本発明の製造方法で製造される分散液(L)は、そのまま使用してもよいし、水洗などによる精製工程を経てから使用してもよい。また該分散液(L)に更にレベリング剤や界面活性剤、ペプチド、たんぱく質、コラーゲン、アミノ酸類、高分子化合物などを添加して使用してもよい。
本製造方法の第2工程における、前記分散液(L)の支持体への塗布方法は、公知慣用の方法でよい。例えば、分散液を支持体に流延させる方法や、バーコーターやスピンコーターによるコーター法、または噴霧などのスプレー法、模様のあるゴム版に分散液をつけてから支持体に転写する方法、また支持体に塗布しない部分を予め遮蔽して塗布後遮蔽部分を取り除くパターン状塗布や、インクジェットプリンター方式による分散液の塗布方法が挙げられる。
細胞が接着や増殖しない支持体(例えばコロナ放電処理をしていないポリスチレン)表面に、分散液(L)をパターン状に塗布することにより、塗布部分間の間隔が十分狭い場合、細胞が未塗布部分を乗り越えて増殖し、最終的に支持体表面全体に渡って細胞を培養することができ、更に、培養した細胞層が支持体との間の接着点が少なく、剥離がより容易に起き、好ましい。塗布部分境界と境界間の間隔(未塗布部分の幅)が300μm以下であることが好ましい、200μm以下は更に好ましい、100μm以下は最も好ましい。300μm以下であれば、細胞がこの未塗布幅を十分超え、増殖することができ、良好な細胞層を培養することができる。
乾燥方法も、分散液(L)中の揮発成分が揮発し、複合体(X)の薄層ができれば、任意の方法でよい。例えば、室温自然乾燥、室温の風や加熱または熱風による乾燥、遠赤外線乾燥などがあげられる。或いは分散液をスピンコーターで回転しながら熱風を当てたり加熱したりする方法も挙げられる。
本製造方法の第3工程における、非水溶性の重合開始剤(D)を溶媒(E)に溶解させた溶液の前記複合体(X)の薄層の表面(S)への塗布や溶媒(E)の揮発方法は、第2工程に準じて公知慣用の方法を用いてよい。
前記表面(S)に塗布された前記溶液(D+E)が複合体(X)の薄層中へ浸透し、溶媒(E)の揮発により、開始剤が複合体(X)の薄層全体に均一に存在する状態になる。非水溶性の重合開始剤(D)としては、前記の光重合開始剤に準じたものを使用することができる。非水溶性の重合開始剤(D)を使用することにより、第4工程での、モノマー(b)の水溶液塗布時に、開始剤の溶出が少なく、粘土鉱物またはシリカ近傍からの開始反応点が多くなり、得られる重合体(B)と無機材料(C)間の相互作用がより強くなり、好ましい。
非水溶性重合開始剤(D)を溶媒(E)に溶解させた溶液中における重合開始剤(D)と溶媒(E)の質量比(D)/(E)は、0.001〜0.1であることが好ましく、0.01〜0.05が更に好ましい。0.001以上であると、紫外線の照射によるラジカルの発生量が十分に得られるため好適に重合反応を進行させることができ、0.1以下であれば、開始剤による発色や、臭気を実質的に生じることがなく、またコストの低減が可能である。
本発明の溶媒(E)としては、光重合開始剤(D)または非水溶性重合開始剤(D)を溶解できる水溶性の溶剤、または光重合開始剤(D)と非水溶性重合開始剤(D)を溶解し且つHLB(親水疎水バランス)値が8以上のアクリル系モノマー(a’)を用いることができる。ここのHLB値はデービス式(「界面活性剤−物性・応用・化学生態学」、北原文雄ら編、講談社、1979、p24−27)に従って求められた値である。例えば、トリプロピレングリコールジアクリレートのようなポリプロピレングリコールジアクリレート類、ポリエチレングリコールジアクリレート類、ペンタプロピレングリコールアクリレートのようなポリプロピレングリコールアクリレート類、ポリエチレングリコールアクリレート類、メトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレートのようなメキシポリエチレングリコールアクリレート類、ノニルフェノキシポリエチレングリコ−ルアクリレート類、ジメチルアクリルアミドのようなN置換アクリルアミド類、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、などが挙げられる。溶媒(E)としてのアクリル系モノマーのHLB値が8以上であると、水媒体(W)への溶解性または分散性に優れるため好ましい。これらのアクリル系モノマーは、一種以上を混合して用いることができる。
また、本発明の溶媒(E)としては、光重合開始剤(D)と非水溶性重合開始剤(D)を溶解でき、且つ一定以上の水溶性を有する溶剤を用いることができる。ここで言う水溶性を有する溶剤とは、水100gに対し50g以上溶解できる溶剤であることが好ましい。水への溶解性が50g以上であると、非水溶性の重合開始剤(D)の水媒体(W)への分散性が良く、得られる複合体(X)の粒径が揃いやすくなり、分散液(L)の安定性が高く好ましい。
例えば、水溶性溶剤としては、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドなどのアミド類、メタノール、エタノール、2−プロパノールなどのアルコール類、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフランなどが挙げられる。これらの溶剤を混合して用いても良い
本製造方法の第4工程における、前記表面(S)への前記モノマー(b)の水溶液の塗布も第2工程に準じて公知慣用の方法を用いてよい。
モノマー(b)の水溶液におけるモノマー(b)の濃度は、1〜20質量%が好ましく、5〜18質量%であることが更に好ましい。1質量%以上であれば、長さ十分な重合体(B)が得られ、細胞剥離性が維持でき、また、20質量%以下であれば、十分な細胞増殖性が維持でき、性能のよい細胞培養基材を製造できる。
前記表面(S)に塗布されたモノマー(b)が複合体(X)の薄層中へ浸透し、紫外線の照射により重合される。この製造方法で得た細胞培養基材の表面は、モノマー(b)の重合体(重合体(B))が一層完全に覆っているものではなく、重合体(B)が複合体(X)の薄層の中から伸び出て、該薄層の表面も適宜露出しているような構造になっている。重合体(B)は、複合体(X)の薄層中から表面までイオン結合や水素結合などにより粘土鉱物に結合しており、物理的な力や水中でもその結合が切れることなく、安定な構造になっている。また、培養される細胞の種類に応じて、該重合体(B)の長さ(分子量)や密度(複合体(X)の薄層中での含有量)を、モノマー(b)の水溶液濃度や塗布量で適宜調整することができる。
本工程に用いられる光としては、電子線、γ線、X線、紫外線、可視光などを用いることができるが、中でも装置や取り扱いの簡便さやモノマー(b)の重合と同時に架橋を起こさせない観点から紫外線を用いることが好ましい。照射する紫外線の強度は10〜500mW/cmが好ましく、照射時間は一般に0.1秒〜200秒程度である。通常の加熱によるラジカル重合においては、酸素が重合の阻害因子として働くが、本発明では、必ずしも酸素を遮断した雰囲気で溶液の調製および紫外線照射による重合を行う必要がなく、空気雰囲気でこれらを行うことが可能である。但し、紫外線照射を不活性ガス雰囲気下で行うことによって、更に重合速度を速めることが可能で、望ましい場合がある。
上記第一の製造方法は、モノマー(a)と無機材料(C)の比率を調整することにより、細胞の増殖速度を幅広く調整することができ、また、モノマー(b)の種類や濃度、塗布量を調整することにより、温度変化による細胞の剥離速度を制御できるという特徴を有する。
本発明の第二の製造方法としては、前記モノマー(a)と前記無機材料(C)と重合開始剤(D)とを混合した水媒体(W)を支持体に塗布して、前記モノマー(a)を重合させることにより、重合体(A)と前記無機材料(C)との複合体(X)の薄層を形成する第1工程、
非水溶性の重合開始剤(D)を溶媒(E)に溶解させた溶液を前記複合体(X)の薄層の表面(S)に塗布し、溶媒(E)を揮発させる第2工程、
前記モノマー(b)の水溶液を前記表面(S)に塗布した後、紫外線の照射により前記モノマー(b)を重合させる第3工程を順次行なうことを特徴とする細胞培養基材の製造方法である。
本製造方法の塗布方法、紫外線、重合開始剤(D)及びモノマー(b)の濃度は、全て第1の製造方法に準ずる。この製造方法の第1工程は、反応液から直接複合体(X)の薄層を製造するため、水媒体(W)中の無機材料(C)の濃度が式(2)又は式(3)で表される範囲になる必要はない。この製造方法で得た細胞培養基材の表面構造は、第1の製造方法で得たものとほぼ同じである。
本発明の第三の製造方法としては、水媒体(W)中の前記無機材料(C)の濃度が下記式(2)又は式(3)で表される範囲となるように、前記モノマー(a)と前記無機材料(C)と重合開始剤(D)とを水媒体(W)に混合した後、モノマー(a)を重合させることにより、重合体(A)と前記無機材料(C)との複合体(X)の分散液(L)を製造する第1工程、
前記分散液(L)に、前記重合体(B)を添加し、均一に混合して、支持体に塗布した後、乾燥させる第2工程を順次行なうことを特徴とする細胞培養基材の製造方法である。
式(2) Ra<0.19のとき
無機材料(C)の濃度(質量%)<12.4Ra+0.05
式(3) Ra≧0.19のとき
無機材料(C)の濃度(質量%)<0.87Ra+2.17
(式中、無機材料(C)の濃度(質量%)は、無機材料(C)の質量を水媒体(W)と無機材料(C)の合計質量で除して100を掛けた数値、Raは無機材料(C)と重合体(A)との質量比((C)/(A))である。)
本製造方法における重合体(B)は、その10質量%水溶液の粘度が20〜2000mPa・s(山一電機株式会社製DIGITAL VISCOMATE MODEL VM-100A粘度計使用)のものであることが好ましく、100〜1000mPa・sの方が更に好ましく、200〜800mPa・sのポリマーの方が最も好ましい。20mPa・s以上であれば、十分な細胞剥離性が維持でき、また、1000mPa・s以下であれば、十分な細胞増殖性が維持でき、性能のよい細胞培養基材を製造できる。
また、本製造方法における重合体(B)は、その重量平均分子量Mwが1×10〜2×10であることが好ましく、1×10〜5×10であることが更に好ましい。1×10以上であれば、十分な細胞剥離性が維持でき、また、2×10以下であれば、十分な細胞増殖性が維持でき、性能のよい細胞培養基材を製造できる。
この製造方法で得た細胞培養基材の表面は、重合体(B)が一層覆っているものではなく、複合体(X)の薄層の中から重合体(B)が伸び出て、該薄層の表面も適宜露出しているような構造になっている。重合体(B)は、複合体(X)の薄層中から表面までイオン結合や水素結合などにより粘土鉱物またはシリカに結合しており、物理的な力や水中でもその結合が切れることなく、安定な構造になっている。また、培養される細胞の種類に応じて、重合体(B)の長さ(分子量)や含有量を適宜調整することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲がこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1)
この実施例は第一の製造方法で細胞培養基材を製造する例である。
[モノマー(a)、無機材料(C)、水媒体(W)を含む反応溶液の調製]
モノマー(a)としてアクリル酸2メトキシエチル(東亞合成株式会社製)0.6g、無機材料(C)として水膨潤性粘土鉱物Laponite XLG(Rockwood Additives Ltd.社製)0.3g、水媒体(W)として水20g、を均一に混合して反応溶液(1)を調製した。
[重合開始剤(D)を溶媒(E)に溶解させた溶液の調整]
溶媒(E)として、2−プロパノール9.8g、重合開始剤(D)として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン「イルガキュアー184」(チバガイギー社製)0.2gを、均一に混合して溶液(2)を調製した。
[複合体(X)の分散液(L)の調製(第1工程)]
上記反応溶液(1)全量に、溶液(2)を50μl入れ、均一に分散させた後、365nmにおける紫外線強度が40mW/cmの紫外線を180秒照射し乳白色の複合体(X)の分散液(L1)を作製した。
この反応系のRa=0.5、無機材料(C)の濃度(質量%)=1.48(%)<0.87Ra+2.17=2.61
[複合体(X)の薄層の調製(第2工程)]
直径50mmのポリスチレン製シャーレ(アドバンテック東洋株式会社製、PD−50K)に、上記複合体(X)の分散液(L1)を入れ、スピンコーターを用いて2000回転で該分散液をシャーレの表面に薄く塗布した後、80℃の熱風乾燥器中で10分間乾燥させ、複合体(X)の薄層を調製した。
[重合開始剤(D)を溶媒(E)に溶解させた溶液の塗布(第3工程)]
前記溶液(2)をシャーレに入れ、スピンコーターにより2000回転で薄く塗布して、室温で5分間静置してエタノールを揮発させ、重合開始剤(D)を複合体(X)の薄層表面に塗布した。
[細胞培養基材の作製(第4工程)]
10質量%のN―イソプロピルアクリルアミド(モノマー(b)、株式会社興人製)水溶液2mlをシャーレに入れ、365nmにおける紫外線強度が40mW/cmの紫外線を60秒照射して、N−イソプロピルアクリルアミドを重合させた。次いで、滅菌水によりシャーレを洗浄した後、滅菌袋中でシャーレを40℃、5時間乾燥させて、細胞培養基材1を得た。
[正常ヒト真皮線維芽細胞の培養]
上記得られた細胞培養基材1に、CS-C complete medium(Cell Systems社製培地)を適量入れ、正常ヒト真皮線維芽細胞を播種して(播種濃度は1.2×10個/cm)、5%二酸化炭素中、37℃で培養を行った。細胞が十分増殖したのを確認して、その(37℃の)培地を吸い取り、4℃の培地を入れ、一定時間静置させ、増殖した細胞を自然剥離させた。剥離した細胞部分の面積と剥離前に増殖した細胞の総面積との比を求めた。またこの剥離にかかった時間を記録した。(表1、細胞の剥離回収率=93%、所要時間は18分であった)。
(実施例2)
この実施例は第一の製造方法で細胞培養基材を製造する例である。
第4工程のモノマー(b)として、N―イソプロピルアクリルアミドの17質量%の水溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして細胞培養基材2を作製した。
[正常ヒト真皮線維芽細胞の培養]
実施例1と同様にして、正常ヒト真皮線維芽細胞を培養した。細胞が十分増殖したのを確認して、その(37℃の)培地を4℃の培地に交換し、一定時間静置させ、増殖した細胞を自然剥離させた。剥離した細胞部分の面積と剥離前に増殖した細胞の総面積との比を求めた。またこの剥離にかかった時間を記録した。(表1、細胞の剥離回収率=98%、所要時間は10分であった)。
上記実施例1、2より、モノマー(b)の濃度を増加させることにより、細胞剥離性の増加が見られた。
(実施例3)
この実施例は第二の製造方法で細胞培養基材を製造する例である。
[モノマー(a)、無機材料(C)、水媒体(W)を含む反応溶液の調製]
モノマー(a)としてアクリル酸2メトキシエチル(東亞合成株式会社製)1.28g、無機材料(C)として水膨潤性粘土鉱物Laponite XLG(Rockwood Additives Ltd.社製)0.24g、水媒体(W)として水10g、を均一に混合して反応溶液(3)を調製した。
[重合開始剤(D)を溶媒(E)に溶解させた溶液の調整]
実施例1と同様な溶液(2)を用いた。
[複合体(X)の薄層調製(第1工程)]
上記反応溶液(3)全量に、溶液(2)を50μl入れ、均一に分散させた後、直径50mmのポリスチレン製シャーレ(アドバンテック東洋株式会社製、PD−50K)に入れ、スピンコーターを用いて2000回転でシャーレの表面に薄く塗布した後、365nmにおける紫外線強度が40mW/cmの紫外線を180秒照射して、複合体(X)の薄層を調製した。
[重合開始剤(D)を溶媒(E)に溶解させた溶液の塗布(第2工程)]
前記溶液(2)をシャーレに入れ、スピンコーターにより2000回転で薄く塗布して、室温で5分間静置してエタノールを揮発させ、重合開始剤(D)を塗布した。
[細胞培養基材の作製(第3工程)]
15質量%のN―イソプロピルアクリルアミド(モノマー(b)、株式会社興人製)水溶液2mlをシャーレに入れ、365nmにおける紫外線強度が40mW/cmの紫外線を60秒照射して、N−イソプロピルアクリルアミドを重合させた。次いで、滅菌水によりシャーレを洗浄した後、滅菌袋中でシャーレを40℃、5時間乾燥して、細胞培養基材3を得た。
[正常ヒト真皮線維芽細胞の培養]
上記得られた細胞培養基材3に、実施例1と同様にして、正常ヒト真皮線維芽細胞を培養した。細胞が十分増殖したのを確認して、その(37℃の)培地を4℃の培地に交換し、一定時間静置させ、増殖した細胞を自然剥離させた。剥離した細胞部分の面積と剥離前に増殖した細胞の総面積との比を求めた。(表1、細胞の剥離回収率=100%、所要時間は12分であった)。
(実施例4)
この実施例は第二の製造方法で細胞培養基材を製造する例である。
第3工程のモノマー(b)として、N―イソプロピルアクリルアミドの3質量%の水溶液を用いたこと以外は、実施例3と同様にして細胞培養基材4を作製した。
[正常ヒト真皮線維芽細胞の培養]
上記得られた細胞培養基材4に、実施例1と同様にして、正常ヒト真皮線維芽細胞を培養した。細胞が十分増殖したのを確認して、その(37℃の)培地を4℃の培地に交換し、一定時間静置させ、増殖した細胞を自然剥離させた。剥離した細胞部分の面積と剥離前に増殖した細胞の総面積との比を求めた。(表1、細胞の剥離回収率=78%、所要時間は30分であった)。
上記実施例3、4より、モノマー(b)の濃度を変化させることにより、細胞剥離性の変化が見られた。
(実施例5)
この実施例は第三の製造方法で細胞培養基材を製造する例である。
[モノマー(a)、無機材料(C)、水媒体(W)を含む反応溶液の調製]
モノマー(a)としてアクリル酸2メトキシエチル(東亞合成株式会社製)0.32g、無機材料(C)として水膨潤性粘土鉱物Laponite XLG(Rockwood Additives Ltd.社製)0.08g、界面活性剤として20重量%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製)水溶液100μl、水媒体(W)として水10g、を均一に混合して反応溶液(5)を調製した。
[重合開始剤(D)を溶媒(E)に溶解させた溶液の調整]
実施例1と同様な溶液(2)を用いた。
[複合体(X)の分散液(L)の調製(第1工程)]
上記反応溶液(5)全量に、溶液(2)を30μl入れ、均一に分散させた後、365nmにおける紫外線強度が40mW/cmの紫外線を180秒照射し乳白色の複合体(X)の分散液(L5)を作製した。
この反応系のRa=0.25、無機材料(C)の濃度(質量%)=0.79(%)<0.87Ra+2.17=2.39
[重合体(B)水溶液の調製]
モノマー(b)としてN―イソプロピルアクリルアミド(株式会社興人製)1.7g、水10g、溶液(2)140μl、を混合した後、該溶液を入れるガラス容器の周りを冷却しながら(約10℃)、365nmにおける紫外線強度が40mW/cmの紫外線を180秒照射し、ポリN―イソプロピルアクリルアミドの水溶液(5)を調製した。この溶液に更に水を5g添加し、均一に混合した後、DIGITAL VISCOMATE粘度計(MODEL VM-100A、山一電機株式会社製)を用いてこの溶液の粘度を測定して、粘度は368mPa・sであった。測定時の溶液温度は24.2℃であった。
また、Shodex GPC System−21装置(昭和電工株式会社製)で測定した結果、このポリN―イソプロピルアクリルアミドの重量平均分子量Mwは3.40×10であった。測定時の溶媒として10mmol/LのLiBrを含有するN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を使用した。分子量の計算に使用したポリスチレン標準物質としては、STANDARD SH−75とSM−105キット(昭和電工株式会社製)を使用した。
[細胞培養基材の作製(第2工程)]
分散液(L5)全量に、上記ポリN―イソプロピルアクリルアミドの水溶液(5)を1.0g(固形分0.1g)入れ、均一に混合した後、60mmポリスチレン製シャーレ(60mm/Non−Treated Dish、旭テクノグラス株式会社製)に入れ、スピンコーターを用いて2000回転でシャーレの表面に薄く塗布し、80℃の熱風乾燥器中で10分間乾燥させた。次いで、滅菌水によりシャーレを洗浄した後、滅菌袋中でシャーレを40℃、5時乾燥して、細胞培養基材5を得た。
[正常ヒト真皮線維芽細胞の培養]
上記得られた細胞培養基材5に、実施例1と同様にして、正常ヒト真皮線維芽細胞を培養した。細胞が十分増殖したのを確認して、その(37℃の)培地を4℃の培地に交換し、一定時間静置させ、増殖した細胞を自然剥離させた。剥離した細胞部分の面積と剥離前に増殖した細胞の総面積との比を求めた。(表1、細胞の剥離回収率=100%、所要時間7分であった)。
(実施例6)
この実施例は第三の製造方法で細胞培養基材を製造する例である。
第2工程のポリN―イソプロピルアクリルアミドの水溶液(5)を0.7g用いたこと以外は、実施例5と同様にして細胞培養基材6を作製した。
[正常ヒト真皮線維芽細胞の培養]
上記得られた細胞培養基材6に、実施例1と同様にして、正常ヒト真皮線維芽細胞を培養した。細胞が十分増殖したのを確認して、その(37℃の)培地を4℃の培地に交換し、一定時間静置させ、増殖した細胞を自然剥離させた。剥離した細胞部分の面積と剥離前に増殖した細胞の総面積との比を求めた。(表1、細胞の剥離回収率=100%、所要時間15分であった)。
上記実施例5、6より、ポリN―イソプロピルアクリルアミド水溶液の添加量を変化させることにより、細胞剥離性(剥離時間)の変化が見られた。

(実施例7)
この実施例は第三の製造方法で細胞培養基材を製造する例である。
[重合体(B)水溶液の調製]
モノマー(b)としてN―イソプロピルアクリルアミド(株式会社興人製)0.57g、水100g、を混合し、真空脱気により水溶液中の酸素を十分除去した後、開始剤として0.1gのK(ペルオキソ二硫酸カリウム、和光純薬工業株式会社製)、触媒として80μlのN,N,N‘,N’−テトラメチルエチレンジアミン(花王株式会社製)を添加して、20℃、20時間静置して、ポリN―イソプロピルアクリルアミドの水溶液(6)を得た。この水溶液を50℃に加熱し、ポリN―イソプロピルアクリルアミドを沈殿させて、更に50℃の超純水で洗浄した後、80℃、6時間乾燥させて、固体状のポリN―イソプロピルアクリルアミドを作製した。
Shodex GPC System−21装置(昭和電工株式会社製)を用いて、このポリN―イソプロピルアクリルアミドの分子量を測定した結果、重量平均分子量Mwは6.0×10であった。測定時の溶媒として10mmol/LのLiBrを含有するN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を使用した。分子量の計算に使用したポリスチレン標準物質としては、STANDARD SH−75とSM−105キット(昭和電工株式会社製)を使用した。
[細胞培養基材の作製(第2工程)]
実施例5の分散液(L5)全量に、上記固体状のポリN―イソプロピルアクリルアミドを0.1g入れ、均一に混合した後、60mmポリスチレン製シャーレ(60mm/Non−Treated Dish、旭テクノグラス株式会社製)に入れ、スピンコーターを用いて2000回転でシャーレの表面に薄く塗布し、80℃の熱風乾燥器中で10分間乾燥させた。次いで、滅菌水によりシャーレを洗浄した後、滅菌袋中でシャーレを40℃、5時乾燥して、細胞培養基材7を得た。
[正常ヒト真皮線維芽細胞の培養]
上記得られた細胞培養基材7に、実施例1と同様にして、正常ヒト真皮線維芽細胞を培養した。細胞が十分増殖したのを確認して、その(37℃の)培地を4℃の培地に交換し、一定時間静置させ、増殖した細胞を自然剥離させた。剥離した細胞部分の面積と剥離前に増殖した細胞の総面積との比を求めた。(表1、細胞の剥離回収率=79%、所要時間29分であった)。
上記実施例5、7より、ポリN―イソプロピルアクリルアミドの添加量(0.1g)が同じく、ポリN―イソプロピルアクリルアミドの分子量を変化させることにより、細胞剥離性(剥離時間)の変化が見られた。
(実施例8)
この実施例は第三の製造方法でパターン状の細胞培養基材を製造する例である。
実施例5の分散液(L5)全量に、実施例5のポリN―イソプロピルアクリルアミドの水溶液(5)を0.1g入れ、均一に混合した後、単ノズルパルスインクジェクター(クラスターテクノロジー(株)製)を用いて、厚さ1mmのポリスチレン板に、直径30μm、間隔が約20μmになるように、円形(点)状に塗布した。次いで、80℃の熱風乾燥器中で10分間加熱処理させ、滅菌水によりこのポリスチレン板を洗浄した後、滅菌袋中でポリスチレン板を40℃、5時間乾燥して、細胞培養基材8を得た。
この基材8を光学顕微鏡で観察したところ、ポリスチレン板の上に直径が約36μmの点が一面に形成されているパターンが観察された。点と点の間隔は約21μmであった(写真1参照)。
[Balb3T3細胞(マウス腫瘍線維芽細胞)の培養]
上記得られた細胞培養基材8を60mmポリスチレン製シャーレ(60mm/Non−Treated Dish、旭テクノグラス株式会社製)に入れ、Doulbecco's modified Eagle's Medium(DMEM)培地(FBSを10%添加)(日水製薬株式会社製)を適量入れ、Balb3T3細胞を播種して(播種濃度は1.0×10個/cm)、5%二酸化炭素中、37℃で培養を行った。46時間増殖させた細胞を顕微鏡で確認したところ、塗布部分がほぼ全面に細胞に覆われていることが観察された。次いで37℃の培地を4℃の培地に交換し、数分静置したところ、細胞が細胞培養基材8から剥離したことが観察された。剥離した細胞部分の面積と剥離前に増殖した細胞の総面積との比を求めた。またこの剥離にかかった時間を記録した。(表1、細胞の剥離回収率=98%、所要時間は9分であった)。
一方、上記ポリスチレン板を用いて、同様にBalb3T3細胞を培養したところ、細胞は殆ど増殖しなかった。この結果から、このポリスチレン板は播種した細胞を培養することができない基材であることが分かる。
上記実施例8より、少量のポリN―イソプロピルアクリルアミドを添加した分散液(L5)を点のパターン状に塗布することにより、全面に塗布した細胞培養基材5と同じように塗布面及び未塗布面全体に渡って細胞を培養することができ、更に、ポリN―イソプロピルアクリルアミドの添加量が少量でも、優れた細胞剥離性を示したことが理解できる。
(実施例9)
この実施例は第三の製造方法で細胞培養基材を製造する例である。
[モノマー(a)、無機材料(C)、水媒体(W)を含む反応溶液の調製]
モノマー(a)としてポリオキシプロピレンモノアクリレート「ブレンマAP−400」(日本油脂株式会社製)0.91g、シリカとしてスノーテックス20(20重量%のコロイダルシリカ水溶液、日産化学工業株式会社製)0.4g(固形分0.08g)、界面活性剤として20重量%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製100μl、水媒体(W)として水10g、を均一に混合して反応溶液(9)を調製した。
[重合開始剤(D)を溶媒(E)に溶解させた溶液の調整]
実施例1と同様な溶液(2)を用いた。
[複合体(X)の分散液(L)の調製(第1工程)]
上記反応溶液(7)全量に、溶液(2)を30μl入れ、均一に分散させた後、365nmにおける紫外線強度が40mW/cmの紫外線を180秒照射し淡い乳白色の複合体(X)の分散液(L9)を作製した。
この反応系のRa=0.09、無機材料(C)の濃度(質量%)=0.79(%)<12.4Ra+0.05=1.17
[細胞培養基材の作製(第2工程)]
分散液(L9)全量に、実施例5のポリN―イソプロピルアクリルアミド水溶液(5)を0.7g入れ、均一に混合した後、60mmポリスチレン製シャーレ(60mm/Non−Treated Dish、旭テクノグラス株式会社製)に入れ、スピンコーターを用いて2000回転でシャーレの表面に薄く塗布し、80℃の熱風乾燥器中で10分間乾燥させた。次いで、滅菌水によりシャーレを洗浄した後、滅菌袋中でシャーレを乾燥して、細胞培養基材(9)を得た。
[正常ヒト真皮線維芽細胞の培養]
上記得られた細胞培養基材9に、実施例1と同様にして、正常ヒト真皮線維芽細胞を培養した。細胞が十分増殖したのを確認して、その(37℃の)培地を4℃の培地に交換し、増殖した細胞を自然剥離させ、剥離した細胞部分の面積と剥離前に増殖した細胞の総面積との比を求めた。(表1、細胞の剥離回収率=95%、所要時間10分であった)。
(実施例10)
放射線滅菌処理した細胞培養基材の性能を示す例である。
[細胞培養基材の放射線滅菌処理]
実施例6の細胞培養基材6に、吸収線量が10kGyになるように、γ線を照射した(照射処理は日本照射サービス株式会社にて行った)。
比較として、市販の細胞シート回収用温度応答性細胞培養器材UpCell(6cmディッシュ、株式会社セルシード製)を用いて、同様にしてγ線照射を施した。
[正常ヒト臍帯静脈血管内皮細胞の培養]
上記γ線処理を施した細胞培養基材6に、10%FBSを含有するHu-media-EB2培地(Cell Systems社製)を適量入れ、正常ヒト臍帯静脈血管内皮細胞を播種して(播種濃度は1.2×10個/cm)、5%二酸化炭素中、37℃で培養を行った。細胞が十分増殖したのを確認して、その(37℃の)培地を吸い取り、4℃の培地を入れ、一定時間静置させ、増殖した細胞を自然剥離させた。剥離した細胞部分の面積と剥離前に増殖した細胞の総面積との比を求めた。またこの剥離にかかった時間を記録した。(表1、細胞の剥離回収率=96%、所要時間は13分であった)。
一方、実施例6の細胞培養基材6をそのまま用いて(放射線処理せず)、同様にして正常ヒト臍帯静脈血管内皮細胞を培養して、自然剥離を行ったところ、細胞の剥離回収率は95%、所要時間は14であった。更に、上記γ線処理を施した市販のUpCellを用いて、同様にして正常ヒト臍帯静脈血管内皮細胞を培養して、自然剥離を行ったところ、細胞の剥離回収率は30%、所要時間は40分であった。
一方、放射線未処理のUpCellを用いて、同様にして正常ヒト臍帯静脈血管内皮細胞を培養して、自然剥離を行ったところ、細胞の剥離回収率は100%、所要時間は15分であった。
上記実施例(10)より、細胞培養基材6に放射線滅菌処理を施しても、細胞の培養・剥性に影響を及ぼさないことが分かる。一方、市販のUpCellの場合、放射線滅菌処理を施すことにより、細胞の剥製性が大きく低下することが理解できる。
(比較例1)
重合体(B)を含有しない細胞培養基材
[細胞培養基材の作製]
実施例1の分散液(L1)を、60mmポリスチレン製シャーレ(60mm/Non−Treated Dish、旭テクノグラス株式会社製)に入れ、スピンコーターを用いて2000回転でシャーレの表面に薄く塗布した後、80℃の熱風乾燥器中で10分間乾燥させた。次いで、滅菌水によりシャーレを洗浄した後、滅菌袋中でシャーレを乾燥して、細胞培養基材(1′)を得た。
[正常ヒト真皮線維芽細胞の培養]
上記得られた細胞培養基材1′に、実施例1と同様にして、正常ヒト真皮線維芽細胞を培養した後、その(37℃の)培地を4℃の培地に交換し、増殖した細胞を自然剥離させ、剥離した細胞部分の面積と剥離前に増殖した細胞の総面積との比を求めた。(表1、細胞の剥離回収率=10%、所要時間は30分であった)。該細胞培養基材の細胞増殖性は、細胞培養基材1とほぼ同じであった。
この比較例から、重合体(B)を含まない場合、細胞の増殖性は変わらないが、剥離性は大きく低下したことが理解できる。
(比較例2)
重合体(B)を過剰に含有した細胞培養基材
[細胞培養基材の作製]
実施例1の分散液(L1)に、実施例5のポリN―イソプロピルアクリルアミド水溶液(5)を6.3g入れ(ポリN―イソプロピルアクリルアミドの全固形分に対する含有量は41質量%である)、スピンコーターを用いて2000回転でシャーレの表面に薄く塗布した後、80℃の熱風乾燥器中で10分間乾燥させた。次いで、滅菌水によりシャーレを洗浄した後、滅菌袋中でシャーレを乾燥して、細胞培養基材(2′)を得た。
[正常ヒト真皮線維芽細胞の培養]
上記得られた細胞培養基材2′に、実施例1と同様にして、正常ヒト真皮線維芽細胞の培養を行った。しかし、播種した細胞が死滅し、増殖は全く見られなかった。
この比較例から、重合体(B)を過剰に含有すると、細胞の増殖が阻害され、細胞培養ができなくなることが理解できる。
(比較例3)
無機材料(C)の濃度が式(3)の範囲を超えた例である。
[モノマー(a)、水膨潤性無機材料(C)、水媒体(W)を含む反応液の調製]
モノマー(a)としてアクリル酸2メトキシエチル(東亞合成株式会社製)1.32g、無機材料(C)として水膨潤性粘土鉱物Laponite XLG(Rockwood Additives Ltd.社製)0.25g、非水溶性の重合開始剤(d1)として溶液(2)25μl、水媒体(W)として水10gを均一に混合して反応液(3′)を調製した。
上記反応液(3′)をマグネチックスターラーで攪拌しながら、365nmにおける紫外線強度が40mW/cmの紫外線を180秒照射したところ、反応液(3′)全体がゲル化した。このゲルを大量の水に入れても溶解や分散せずゲルのままであった。
この反応系のRa=0.19、無機材料(C)の濃度(質量%)=2.42%>0.87Ra+2.17=2.34
この比較例から、無機材料(C)の濃度(質量%)が式(3)の範囲を超えると、反応液全体がゲル化してしまい、複合体(X)の分散液(L)が得られず、(第一、第三の製造方法の)シャーレへのコーティングによる細胞培養基材の製造ができないことが理解できる。
(比較例4)
ポリN―イソプロピルアクリルアミドと無機材料(C)から構成した三次元網目構造を有するヒドロゲルからなる細胞培養基材の製造例である。
[モノマー、無機材料(C)、水媒体(W)を含む反応液の調製]
モノマーとしてN―イソプロピルアクリルアミド(株式会社興人製)1.13g、無機材料(C)としてLaponite XLG(Rockwood Additives Ltd.社製)0.4g、水媒体(W)として水10gを均一に混合して反応液(4′)を調製した。
[重合開始剤(d1)を溶媒(E)に溶解させた溶液の調整]
溶媒(E)として、ポリオキシプロピレンモノアクリレート「ブレンマAP−400」(日本油脂株式会社製)98g、重合開始剤(d)として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン「イルガキュアー184」(チバガイギー社製)2gを、均一に混合して溶液(3)を調製した。
[ヒドロゲルからなる細胞培養基材の調製]
上記反応溶液(4′)全量に、溶液(3)を50μl入れ、超音波分散機で均一に分散させた後、60mmポリスチレン製シャーレ(60mm/Non−Treated Dish、旭テクノグラス株式会社製)に入れ、スピンコーターを用いて2000回転でシャーレの表面に薄く塗布し、シャーレの周りを氷で冷やしながら、365nmにおける紫外線強度が40mW/cmの紫外線を180秒照射し、N―イソプロピルアクリルアミドを重合させて、ヒドロゲルの薄層を作製した。
次いで、滅菌水によりシャーレを洗浄したところ、該ヒドロゲルの薄層がシャーレから剥離してしまい、シャーレにヒドロゲルの薄層が積層した細胞培養基材が得られなかった。
上記洗浄中で剥離したヒドロゲルの薄層をそのままシャーレ中で乾燥し、細胞培養に供した。
[正常ヒト真皮線維芽細胞の培養]
上記乾燥したヒドロゲルの薄層をシャーレに入れ、CS-C complete medium(Cell Systems社製培地)を適量入れ、正常ヒト真皮線維芽細胞を播種して(播種濃度は1.2×10個/cm)、5%二酸化炭素中、37℃で培養を行った。細胞が十分増殖したのを確認して、その(37℃の)培地を4℃の培地に交換し、増殖した細胞を自然剥離させ、剥離した細胞部分の面積と剥離前に増殖した細胞の総面積との比を求めた。またこの剥離にかかった時間を記録した。(表1、細胞の剥離回収率=70%、所要時間は30分であった)。
この比較例から、下限臨界溶解温度を有する重合体(B)と粘土鉱物との三次元網目構造を有するヒドロゲルからなる細胞培養基材は、プラスチックなどの支持体との接着性が弱く、支持体と一体化した細胞培養基材の作製はできなかったことが理解できる。
Figure 0004430123
(注)(1)細胞F:正常ヒト真皮線維芽細胞
(2)細胞T:マウス腫瘍線維芽細胞(Balb3T3)
(3)細胞H:正常ヒト臍帯静脈血管内皮細胞
(注)(1)細胞F:正常ヒト真皮線維芽細胞
(2)細胞T:マウス腫瘍線維芽細胞(Balb3T3)
(3)細胞H:正常ヒト臍帯静脈血管内皮細胞
上記実施例及び比較例から、本発明の細胞培養基材は、他の材質の支持体との間、良好な接着性を有し、優れた細胞培養と剥離機能を有している。
また、この細胞培養基材は、酸素を除去することなく極短時間で、容易に製造できることが明らかであった。
本発明の細胞培養基材は、再生医療分野で、コロニー状細胞群や2次元のシート状細胞、3次元の立体細胞増殖物の調製に利用できる。

Claims (8)

  1. 下記式(1)で表されるモノマー(a)の重合体(A)と、下限臨界溶解温度を有する重合体(B)と、水膨潤性粘土鉱物及びシリカから選択される1種以上の無機材料(C)とを含有し、
    前記重合体(A)と前記無機材料(C)との質量比((C)/(A))が、0.01〜10の範囲にあり、
    細胞培養基材全体に対する前記重合体(B)の含有率が0.0001質量%〜40質量%である細胞培養基材。
    Figure 0004430123
    (式中、Rは水素原子またはメチル基、Rは炭素原子数2〜3のアルキレン基、Rは水素原子または炭素原子数1〜2のアルキル基を表し、nは1〜9の整数を表す。)
  2. 下記式(1)で表されるモノマー(a)の重合体(A)と、水膨潤性粘土鉱物及びシリカから選択される1種以上の無機材料(C)とが相互作用することにより形成された複合体と、
    下限臨界溶解温度を有する重合体(B)とを含有し、
    前記重合体(A)と前記無機材料(C)との質量比((C)/(A))が、0.01〜10の範囲にあり、
    細胞培養基材全体に対する前記重合体(B)の含有率が0.0001質量%〜40質量%である細胞培養基材であって、
    該細胞培養基材の細胞培養面に前記重合体(B)が露出していることを特徴とする細胞培養基材。
    Figure 0004430123
    (式中、Rは水素原子またはメチル基、Rは炭素原子数2〜3のアルキレン基、Rは水素原子または炭素原子数1〜2のアルキル基を表し、nは1〜9の整数を表す。)
  3. 前記水膨潤性粘土鉱物が、水膨潤性ヘクトライト、水膨潤性モンモリロナイト、水膨潤性サポナイト及び水膨潤性合成雲母から選択される、水媒体(W)中で1〜10層に層状剥離する1種以上の粘土鉱物であり、前記シリカが水分散性のコロイダルシリカである請求項1又は2に記載の細胞培養基材。
  4. 前記重合体(B)が、N−置換(メタ)アクリルアミド誘導体及びN,N−ジ置換(メタ)アクリルアミド誘導体からなる群から選ばれる少なくとも一種のモノマー(b)の重合体である請求項1〜3のいずれかに記載の細胞培養基材。
  5. 前記モノマー(b)が、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−シクロプロピル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−エチル−N−メチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピルアクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピルアクリルアミド、N−アクリロイルピペリディン及びN−アクリロイルピロリディンからなる群から選ばれる少なくとも一種である請求項4記載の細胞培養基材。
  6. 請求項4記載の細胞培養基材の製造方法であって、
    水媒体(W)中の前記無機材料(C)の濃度が下記式(2)又は式(3)で表される範囲となるように、前記モノマー(a)と前記無機材料(C)と重合開始剤(D)とを水媒体(W)に混合した後、前記モノマー(a)を重合させることにより重合体(A)と前記無機材料(C)との複合体(X)の分散液(L)を製造する第1工程、
    前記分散液(L)を支持体に塗布し、その後乾燥することにより前記複合体(X)の薄層を形成する第2工程、
    非水溶性の重合開始剤(D)を溶媒(E)に溶解させた溶液を前記複合体(X)の薄層の表面(S)に塗布し、前記溶媒(E)を揮発させる第3工程、
    前記表面(S)に前記モノマー(b)の水溶液を塗布した後、紫外線の照射により前記モノマー(b)を重合させる第4工程を順次行なうことを特徴とする細胞培養基材の製造方法。
    式(2) Ra<0.19のとき
    無機材料(C)の濃度(質量%)<12.4Ra+0.05
    式(3) Ra≧0.19のとき
    無機材料(C)の濃度(質量%)<0.87Ra+2.17
    (式中、無機材料(C)の濃度(質量%)は、無機材料(C)の質量を水媒体(W)と無機材料(C)の合計質量で除して100を掛けた数値、Raは無機材料(C)と重合体(A)との質量比((C)/(A))である。)
  7. 請求項4記載の細胞培養基材の製造方法であって、
    前記モノマー(a)と前記無機材料(C)と重合開始剤(D)とを混合した水媒体(W)を支持体に塗布して、
    前記モノマー(a)を重合させることにより、重合体(A)と前記無機材料(C)との複合体(X)の薄層を形成する第1工程、
    非水溶性の重合開始剤(D)を溶媒(E)に溶解させた溶液を前記複合体(X)の薄層の表面(S)に塗布し、溶媒(E)を揮発させる第2工程、
    前記モノマー(b)の水溶液を前記表面(S)に塗布した後、紫外線の照射により前記モノマー(b)を重合させる第3工程を順次行なうことを特徴とする細胞培養基材の製造方法。
  8. 請求項4記載の細胞培養基材の製造方法であって、
    前記水媒体(W)中の前記無機材料(C)の濃度が下記式(2)又は式(3)で表される範囲となるように、前記モノマー(a)と前記無機材料(C)と重合開始剤(D)とを水媒体(W)に混合した後、前記モノマー(a)を重合させることにより、重合体(A)と前記無機材料(C)との複合体(X)の分散液(L)を製造する第1工程、
    前記分散液(L)に、前記モノマー(b)の重合体である重合体(B)を添加し、混合して、支持体に塗布した後、乾燥させる第2工程を順次行なうことを特徴とする細胞培養基材の製造方法。
    式(2) Ra<0.19のとき
    無機材料(C)の濃度(質量%)<12.4Ra+0.05
    式(3) Ra≧0.19のとき
    無機材料(C)の濃度(質量%)<0.87Ra+2.17
    (式中、無機材料(C)の濃度(質量%)は、無機材料(C)の質量を水媒体(W)と無機材料(C)の合計質量で除して100を掛けた数値、Raは無機材料(C)と重合体(A)との質量比((C)/(A))である。)
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