JP4428304B2 - Rc構造体の塑性ヒンジ部 - Google Patents

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Description

本発明は、高い耐震性と施工性を有するRC構造体の塑性ヒンジ部に関し、例えば、単柱式RC構造の橋脚やRCラーメン構造の橋脚、さらにはRC地下構造物の中央に設けられる中柱の柱頭および柱脚部などに適用される。
例えば、図1に図示するような、単柱式RC構造の橋脚では、大地震時に橋脚基部が大きく変形し、損傷の大部分が集中する塑性ヒンジ区間が形成される。すなわち、橋脚構造全体の耐震性は、橋脚基部における塑性ヒンジ部分に大きく依存することになる。
先の兵庫県南部地震においても、都市内における道路、鉄道などの高架橋橋脚に多くの損傷が見られ、その原因として塑性ヒンジ区間に大きな曲げ変形が集中し、その大きさがRC部材の性能を超えるものであったことが指摘されている。
一般に、上述するようなRC構造の場合、地震時には、図6に図示するように、上部構造の慣性力の大きさに伴う変形を示し、特に地震による慣性力に伴う曲げモーメントが最大となる橋脚基部などの位置に大きな曲げ曲率が発生する。
その結果、橋脚基部のRC部材が曲げ破壊することにより、橋脚全体が崩壊、若しくは、崩壊に至らなくとも過大な残留変形が発生し、地震直後の供用を妨げる。社会基盤の中枢を担うRC構造物が地震による損傷のためにその使用性を失うことは、地震直後の早期における復旧、救援活動を困難にするばかりでなく、修復費用の増大にも繋がる。
このため、上述するようなRC構造物の耐震性を向上させるためには、地震時に曲げ変形が集中する部分の耐震性を向上させる、すなわち、高耐震性を有する塑性ヒンジ構造の開発が不可欠であり、大規模な地震の発生が予測されるわが国において、大地震直後でも供用可能な耐震性能を有するRC構造物を経済的に実現できる構造形式の出現が強く望まれている。
近年、耐震性能を高めた構造形式として繊維を補強材として利用したRC構造が開発されている。例えば、特許文献1には、補強用短繊維を混入して成形されたプレキャストコンクリート部材と、このプレキャスト部材を型枠として打設されたコンクリートとからなるコンクリート構造体が開示されている。
また、特許文献2には、コンクリート躯体にその軸方向に延在するように埋設された構造用主筋を備えるとともに、当該構造用主筋の内側に当該構造用主筋より高強度の芯材としてアンボンド芯材を挿入してなる鉄筋コンクリート橋脚が開示されている。
特開平10−147976号公報 特開2001−295220号公報
しかし、特許文献1に開示されたコンクリート構造体は、プレキャスト型枠の利用により施工性の向上や変形性能の増加は期待されるものの、外力に対する強度増加は少ないという課題があった。変形性能が増加した場合、コンクリート構造体のねばりに期待した耐震設計を行うことができるが、過度に変形性能に期待した耐震設計を行った場合、地震時におけるRC構造体の応答が大きくなり、地震直後の供用が不可能になる大きさの残留変位が発生する可能性がある。
一方、特許文献2に開示された鉄筋コンクリート橋脚は、アンボンド芯材の利用により、地震時の挙動の安定化、特に残留変位の低減効果が大きく期待できるが、コンクリートの圧壊が早期化し、変形性能が低下する可能性がある等の課題があった。
本発明は、以上の課題を解決するためになされたもので、高い変形性能と安定した二次剛性により高い耐震性を有し、かつ施工性および経済性に非常にすぐれたRC構造体の塑性ヒンジ部を提供することを目的とするものである。
請求項1記載のRC構造体の塑性ヒンジ部は、塑性化した後においても、外力に対して一定の割合で強度を増加しつつ変形する塑性ヒンジとなるように構成されてなるRC構造体の塑性ヒンジ部において、前記塑性ヒンジ部は前記RC構造体の軸方向に積層された、超高強度繊維補強コンクリートまたは超高強度繊維補強モルタルからなる複数のプレキャスト型枠と、当該各プレキャスト型枠間に形成された複数のひび割れ誘導目地と、前記複数のプレキャスト型枠に前記RC構造体の軸方向に連続して挿通された複数のアンボンド芯材と、前記プレキャスト型枠内に打設されたコンクリートとから構成されてなることを特長とするものである。
本発明は、超高強度繊維補強コンクリートまたは超高強度繊維補強モルタルからなるプレキャスト型枠とアンボンド芯材をRC構造体の塑性ヒンジ区間に適用することにより、高い変形性能と安定した二次剛性を有するRC構造物の実現を可能にしたものである。なお、この場合の超高強度繊維補強コンクリートまたは超高強度繊維補強モルタルとは、圧縮強度が高いコンクリートまたはモルタル内に鋼繊維や炭素繊維、あるいはガラス繊維などが混入された材料であり、圧縮強度が100〜250N/mm2、曲げ引張強度が10〜40N/mm2、ひび割れ発生時引張強度が5〜15N/mm2のものをいう。
この場合のプレキャスト型枠によれば、塑性ヒンジ区間を超高強度繊維補強コンクリートまたは超高強度繊維補強モルタル等の高い圧縮強度と引張強度を有する材料で拘束することにより、コアコンクリートの圧壊と主鉄筋の座屈開始を遅延化し、高い変形性能を実現することができる。
また、プレキャスト型枠の形状は、超高強度繊維補強コンクリートまたは超高強度繊維補強モルタルの使用量を最小限に抑えながら、RC構造物の耐震性能を向上させ得る形状とすることで、経済性を追求している。ただし、本構造で想定する超高強度繊維補強コンクリートまたは超高強度繊維補強モルタルは、繊維の混入により引張り強度が、普通コンクリートに比べ高い。
そのため、後述するように、塑性ヒンジ区間のみに当該型枠を一体として用いた場合、引張強度が相対的に小さくなる当該型枠と普通コンクリートからなる部材との接合部に曲げ変形が集中し、当該型枠が塑性ヒンジとして機能しない可能性がある。
また、ひび割れ間を繊維が架橋した場合、発生したひび割れが圧縮力を受けた時に、ひび割れ断面において抜け出した繊維がひび割れが閉じるのを阻害する可能性があり、塑性ヒンジ部の復元性に悪影響を与えることが考えられる。
そのため、当該塑性ヒンジ構造では、塑性ヒンジ区間におけるプレキャスト型枠の一個当りの高さを調節し、繊維が混入しないことにより引張強度が普通コンクリートの大きさまで低減された目地部分を設け、複数のプレキャスト型枠からなる構造とすることにより、ひび割れを確実に塑性ヒンジ区間に分散させて誘導発生させるようにする(図5)。
目地部におけるひび割れは、塑性ヒンジ区間が正負に変形し、圧縮側を受けた時でもひび割れが閉じることにより圧縮力を伝達するため、ひび割れ誘導目地の有無により、塑性ヒンジ区間の性能は変化しない。
また、当該型枠同士の継ぎ目である目地の数を調節することにより、ひび割れの発生箇所、数についても制御することができる。ひび割れの発生箇所や数を制御することは、塑性ヒンジ区間が変形し損傷した後の補修箇所が限定されるため、その修復、復旧作業が容易となる。
ひび割れ誘導目地部分には、プレキャスト型枠を構成する高強度材料と同じ圧縮強度を有し、かつ、繊維が混入されていないモルタルを目地モルタルとして用いることや、ゴム、若しくは、シリコンなどにより目地部を被覆することにより、止水性を高め、耐久性の向上を図る。また、塑性ヒンジ区間の断面が小規模で、一つのプレキャスト型枠とする方が施工性が良い場合も、型枠表面、若しくは、内側に切欠きを設けること(図4)により、ひび割れの発生を誘導することができる。
また、塑性ヒンジ区間で弾性挙動を示すアンボンド芯材を併用することにより繊維補強コンクリートからなるプレキャスト型枠のみでは実現することができない復元力特性における二次剛性をRC構造物に付与することができる。さらに付与できる二次剛性の大きさは、アンボンド芯材の配置(断面内における位置、量など)により制御することができる。
二次剛性の付与は、RC構造物の地震時における最大応答変位、残留変位の低減に有効であり、その効果を利用することにより、経済的な耐震設計を行うことができる。
また、プレキャスト型枠に当該プレキャスト型枠の軸方向に連続する貫通孔を設け、当該貫通孔にアンボンド芯材を挿通することで、特に、施工の際、アンボンド芯材がプレキャスト型枠を設置する際のガイドの役割を果たすため、RC構造物の構築における施工性を著しく向上させることができる。なお、アンボンド芯材が通る貫通孔は、プレキャスト型枠の製造時にあらかじめシース管を埋設する等して簡単に設けることができる。
また、超高強度繊維補強コンクリートまたは超高強度繊維補強モルタルからなるプレキャスト型枠の拘束効果により可能であり、品質管理の容易な普通コンクリートを使用することで施工の簡略化と経済性を高めることができる。
その際、塑性ヒンジ区間には当該型枠の接合部によるひび割れ誘発目地を設置し、確実に塑性ヒンジ区間にひび割れを発生させるとともに、ひび割れの発生箇所と数を制御することにより、地震後の復旧を容易に行うことができる。また、複数のプレキャスト型枠とその内部に打設される普通コンクリートおよび鉄筋からなり、それぞれの型枠の目地部分がひび割れ誘導目地として機能することにより、ひび割れ発生箇所と本数を制御することができる。
請求項記載のRC構造体の塑性ヒンジ部は、塑性化した後においても外力に対して一定の割合で強度を増加しつつ変形する塑性ヒンジとなるように構成されてなるRC構造体の塑性ヒンジ部において、前記塑性ヒンジ部は超高強度繊維補強コンクリートまたは超高強度繊維補強モルタルからなるプレキャスト型枠と、当該プレキャスト型枠の内側または外側に形成された複数のひび割れ誘導目地と、前記プレキャスト型枠に前記RC構造体の軸方向に連続して挿通された複数のアンボンド芯材と、前記プレキャスト型枠内に打設されたコンクリートとから構成されてなることを特徴とするものである。
請求項3記載のRC構造体の塑性ヒンジ部は、請求項1記載のRC構造体の塑性ヒンジ部において、ひび割れ誘導目地は目地モルタルによって形成されてなることを特徴とするものである。
請求項4記載のRC構造体の塑性ヒンジ部は、請求項2記載のRC構造体において、ひび割れ誘導目地は、プレキャスト型枠の外側または内側に形成された複数の切込みによって形成されてなることを特徴とするものである。
請求項5記載のRC構造体の塑性ヒンジ部は、請求項1〜4のいずれかひとつに記載のRC構造体の塑性ヒンジ部において、塑性ヒンジ部を除く部分は普通コンクリートからなるプレキャスト型枠内にコンクリートを打設するか、または場所打ち鉄筋コンクリートによって構築されてなることを特徴とするものである。
本発明の適用可能な構造形式としては、特に地震時に塑性ヒンジが発生し、その性能が構造物全体の耐震性能に大きく影響するものに適し、例えば、単柱式RC橋脚の塑性ヒンジ部分に本発明を適用することにより、橋脚部の耐震性を著しく向上させることができ、橋脚部の経済的な耐震設計とプレキャスト型枠の利用による施工性の向上も期待できる。
また、RCラーメン橋脚の場合にあっては、地震時に柱頭、柱脚および梁端部に塑性ヒンジが発生するが、これらの塑性ヒンジ区間に本発明の構造形式を適用することにより、高い変形性能と安定した二次剛性を付与することができる。
なお、塑性ヒンジ部を除く部分は普通コンクリートによるプレキャスト型枠を用いるか、コンクリートを場所打ちすることにより構成しても良い。なお、普通コンクリートによるプレキャスト型枠を用いる場合は、可能であれば、型枠内に、必要最小限の補強筋が用いることによりさらなる施工性の向上を図ることができる。
本発明は、超高強度繊維補強コンクリート、または、モルタルからなるプレキャスト型枠とアンボンド芯材をRC構造体の塑性ヒンジ区間に適用することにより、高い変形性能と安定した二次剛性を有するRC構造物を構築することができる等の効果を有する。
また、プレキャスト型枠構造とすることにより、型枠の設置、撤去作業を省略し、施工性と経済性、さらに工期短縮等を図ることができる。
また、塑性ヒンジ区間における断面縁部を超高強度繊維補強コンクリート、または、モルタルとし、同部分の圧縮強度、引張強度を向上させることにより、地震動入力下におけるコンクリートの圧壊、軸方向鉄筋の座屈などの破壊開始を遅延化し、塑性ヒンジ区間、RC構造物の変形性能を確保することができる。
また、超高強度繊維補強コンクリート、または、モルタルからなるプレキャスト型枠内に配置されるアンボンド芯材(弾性部材)により、地震動入力下における塑性ヒンジ、RC構造物の挙動を安定化させること、特に、大規模地震後における柱部材の残留変位の低減を期待することができる。
また、地震動の入力方向とRC構造物の応答の方向を考慮して、プレキャスト型枠の形状やアンボンド芯材の配置を決定することにより、一方向からの地震動のみで決定している従来のRC構造物に比べて、耐震性を向上させることができる。
本発明により、安定した二次剛性と高い変形性能を有するRC構造物を急速施工により実現できるようになる。また、本発明によるRC構造物の性能向上を有効に利用することにより、RC構造物の耐震設計を省力化することができ、経済性においても有利となる。さらに、プレキャスト型枠に用いる超高強度繊維補強コンクリート、または、モルタルの耐久性を向上させることにより、RC部材全体の耐久性も向上させることができる。
図1(a),(b)は、橋脚構造などのRC柱部材の一部を示し、図において、符号1は柱部材の基部、符号2と3はそれぞれ、柱部材とフーチングであり、いずれもRC構造によって構築され、特に柱部材2の基部1、及び、柱部材2には、それぞれ、外力に対して一定の割合で強度を増加しつつ変形するように、複数のアンボンド芯材4が挿通されている。変形に対する強度の増加率は、アンボンド芯材4の配置(断面内位置、量)を調節することにより制御することができる。
柱部材2の基部1にプレキャスト型枠5が設置され、当該基部1以外の柱部材2にはプレキャスト型枠6が設置され、当該プレキャスト型枠5とプレキャスト型枠6との各接合部には、互いに嵌合し合う凹凸継手などの継手(図省略)が設けられ、型枠5、6間の一体性が確保されている。
若しくは、当該基部1以外の柱部材2は、従来のRC部材の施工法と同様にコンクリートを場所打ちコンクリートとすることにより構成してもよい。また、基部1の塑性ヒンジ区間Lを、複数の高さの小さいプレキャスト型枠5で構成し、当該型枠5、5間同士の接合部を引張り強度の低いひび割れ誘発目地12とすることにより、確実に塑性ヒンジ区間Lに曲げひび割れを発生させる。その際、目地の設置間隔、すなわち、プレキャスト型枠5の高さを調節することにより、ひび割れの発生箇所、数を制御することができる。
さらに、プレキャスト型枠5および6内には主筋7とせん断補強筋(フープ筋)8がこれら型枠の軸方向に連続して配筋され、かつ普通コンクリート9が連続して打設されている。こうして、RC柱部材2が構築されている。
プレキャスト型枠5は超高強度繊維補強コンクリート、または、モルタルから形成され、特に隅角部5aは地震時に最も損傷を受けやすいことから、隅角部5aの破壊先行を抑制可能なように厚く(最小限の使用量で耐震性能的に有利な形状)形成され、また、地震動の入力方向を考慮して、その断面形状が適宜決定され、塑性ヒンジ区間Lにおける想定するひび割れ分布によりその高さが決定される。さらに、各隅角部5aにはアンボンド芯材4が挿通された貫通孔5bがそれぞれ形成されている。
図2と図3は、プレキャスト型枠5の一例を示し、例えば図2(a),(b)に図示したプレキャスト型枠5は、正方形断面形に形成され、その断面内にアンボンド芯材4を通すための貫通孔5bが形成され、そしてその内側がコンクリートを打設するための空間(空洞)5cになっている。
一方、図3(a),(b)に図示したプレキャスト型枠5は、長方形断面形に形成され、その断面内に複数の貫通孔5bが形成され、そしてその内側が楕円形または長方形の空間5cになっている。型枠内における貫通孔5bは、プレキャスト型枠5の厚さが小さい場合には、隅角部5aに設けることを想定するが、型枠5の厚さが大きい場合、また、アンボンド芯材4の配置箇所が多くなる場合は、隅角部5aに限らず、型枠断面内に設けても良い。
なお、この場合の超高強度繊維補強コンクリート、または、モルタルとは、圧縮強度が高いコンクリート、または、モルタル内に鋼繊維や炭素繊維、あるいはガラス繊維などが混入された材料であり、圧縮強度が100〜250N/mm2、曲げ引張強度が10〜40N/mm2、ひび割れ発生時引張強度が5〜15N/mm2のものをいう。
プレキャスト型枠6は普通コンクリートから形成され、コスト低減と施工性の向上が図られている。また、プレキャスト型枠5と同様に、各隅角部6aは厚く形成され、また各隅角部6aにアンボンド芯材4が挿通された貫通孔6bが形成され、そしてその内側がコンクリートを打設するための空間(空洞)6cになっている。ただし、塑性ヒンジ区間Lより上部については、施工性が良い場合は、コンクリートを場所打ちすることにより建設してもよい。
アンボンド芯材4は、施工時はプレキャスト型枠5および6を設置する際のガイドの役目を果たし、施工後は、特に地震時に弾性挙動を示すことにより、地震時における塑性ヒンジ区間Lの挙動を安定化させ、最大応答変形と残留変形を抑制する働きを有するものである。
アンボンド芯材4には高強度鋼材が用いられ、当該アンボンド芯材4はプレキャスト型枠5の各貫通孔5bとプレキャスト型枠6の各貫通孔6bに連続して挿通されることにより周囲のコンクリートとの付着が切れている。
そして、各アンボンド芯材4の上端部4aと下端部4bは、それぞれ、基礎、フーチング3と張り出し梁部11のコンクリート内に深く埋設することにより定着されている。なお、各アンボンド芯材4の上端部4aと下端部4bには定着ナット10がそれぞれ螺合されている。
主筋7とせん断補強筋8は、プレキャスト型枠5および6の空間5c、6c内にこれらの軸方向に連続するかご状に配筋され、特に主筋7の下端部7aと上端部7bはそれぞれ、基礎、フーチング3、及び張り出し梁部11のコンクリート内に深く定着されている。
また、主筋7とせん断補強筋8は、特に塑性ヒンジ部1においては、通常のRC構造と同様にこの部分の降伏曲げ耐力の増加とエネルギー吸収性能の確保を目的としている。
また、主筋7はプレキャスト型枠5および6の引張強度、および、せん断補強筋8によって拘束されることにより大変形時における座屈が抑制され、塑性ヒンジ区間Lの変形性能の増加が実現される。
コンクリート9は塑性ヒンジ区間L、及び、柱部材2のコアコンクリートとして、主に常時における軸力保持を目的とし、プレキャスト型枠5と6により拘束されることにより、高い靱性を発揮している。
このように構成されたRC柱部材2は、地震時には、例えば図6に図示するような挙動を示し、この場合特に、プレキャスト型枠5と6内に配置されたアンボンド芯材4は柱部材2の基部1、すなわち、塑性ヒンジ区間Lの挙動を安定化させ、最大応答変形と残留変形を抑制する働きを有し、またプレキャスト型枠5の高い圧縮強度と引張強度に伴う拘束効果により、コアコンクリートの圧壊、主筋7の座屈が抑制され、塑性ヒンジ区間L、柱部材2全体の変形性能を高めることができる。
図6は、単柱式RC橋脚構造の基部に本発明の塑性ヒンジ構造が適用された例を示したものであり、本発明の適用により橋脚全体の地震時の挙動が安定化するとともに変形性能が増加する。また、本発明の適用による耐震性能の向上を考慮することにより、柱部材2の断面規模を小規模化することができ、建設コストの低減に繋がる。
図7は、RCラーメン構造の柱脚部Bと梁端部Cに本発明の塑性ヒンジ構造が適用された例を示したものであり、本発明の適用により柱脚部Bおよび梁端部Cのせん断および曲げ破壊を防止することができる。
本発明は、RC構造物において地震時に発生する塑性ヒンジ構造を高性能化する技術であり、塑性ヒンジ区間の性能が構造物全体の耐震性能に影響を与えるような構造形式、例えば、RCラーメン橋脚や曲げ破壊が先行するRC柱部材、さらには地下構造物の中柱などの適用を想定することができる。
単柱式RC橋脚の構造を示し、(a)はその縦断面図、(b)は柱部材のコンクリート型枠として用いられるプレキャスト型枠の一部分解斜視図である。 プレキャスト型枠を示し、(a)、(b)はプレキャスト型枠の横断面図である。 プレキャスト型枠を示し、(a)、(b)はプレキャスト型枠の横断面図である。 ひび割れ誘導用切欠きを有するプレキャスト型枠を示す一部断面図である。 複数のプレキャスト型枠とアンボンド芯材からなる高性能塑性ヒンジ構造を示す斜視図である。 外力を受けた当該塑性ヒンジ構造を有する単柱式RC橋脚の挙動を示すモデル図である。 RCラーメンへの適用例を示す分解斜視図である。 中央に中柱を有する地下構造物を示す断面図である。 中柱を有するRC地下構造物の地震時における挙動を示すモデル図である。
符号の説明
1 塑性ヒンジ区間
2 上部柱部材
3 基礎、フーチング部
4 アンボンド芯材
5 プレキャスト型枠
5a 隅角部
5b 貫通孔
6 プレキャスト型枠
6a 隅角部
6b 貫通孔
7 主筋
8 せん断補強筋
9 コンクリート
10 定着ナット
11 上部張り出し梁部
12 ひび割れ誘発目地(プレキャスト型枠の境界)

Claims (5)

  1. 塑性化した後においても、外力に対して一定の割合で強度を増加しつつ変形する塑性ヒンジとなるように構成されてなるRC構造体の塑性ヒンジ部において、前記塑性ヒンジ部は前記RC構造体の軸方向に積層された、超高強度繊維補強コンクリートまたは超高強度繊維補強モルタルからなる複数のプレキャスト型枠と、当該各プレキャスト型枠間に形成された複数のひび割れ誘導目地と、前記複数のプレキャスト型枠に前記RC構造体の軸方向に連続して挿通された複数のアンボンド芯材と、前記プレキャスト型枠内に打設されたコンクリートとから構成されてなることを特長とするRC構造体の塑性ヒンジ部。
  2. 塑性化した後においても外力に対して一定の割合で強度を増加しつつ変形する塑性ヒンジとなるように構成されてなるRC構造体の塑性ヒンジ部において、前記塑性ヒンジ部は超高強度繊維補強コンクリートまたは超高強度繊維補強モルタルからなるプレキャスト型枠と、当該プレキャスト型枠の内側または外側に形成された複数のひび割れ誘導目地と、前記プレキャスト型枠に前記RC構造体の軸方向に連続して挿通された複数のアンボンド芯材と、前記プレキャスト型枠内に打設されたコンクリートとから構成されてなることを特徴とするRC構造体の塑性ヒンジ部。
  3. 請求項1記載のRC構造体の塑性ヒンジ部において、ひび割れ誘導目地は目地モルタルによって形成されてなることを特徴とするRC構造体の塑性ヒンジ部。
  4. 請求項2記載のRC構造体において、ひび割れ誘導目地は、プレキャスト型枠の外側または内側に形成された複数の切込みによって形成されてなることを特徴とするRC構造体の塑性ヒンジ部。
  5. 請求項1〜4のいずれかひとつに記載のRC構造体の塑性ヒンジ部において、塑性ヒンジ部を除く部分は普通コンクリートからなるプレキャスト型枠内にコンクリートを打設するか、または場所打ち鉄筋コンクリートによって構築されてなることを特徴とするRC構造体の塑性ヒンジ部。
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