JP4427937B2 - 音響信号処理回路および音響再生装置 - Google Patents

音響信号処理回路および音響再生装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マルチチャンネルの音響信号を処理するための音響信号処理回路および音響再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、マルチチャンネルの音響信号を処理するための音響信号処理回路を有する音声再生装置によって、家庭でも臨場感あふれるマルチチャンネル音声体験が可能になってきている。通常、マルチチャンネル音声を実現するためには、リスナーの前方に3個のフロントスピーカを配置し、リスナーの両横もしくは両横後方に2個のサラウンドスピーカを配置することが必要とされる。最近では、リスナーの前方に置かれる2個のフロントスピーカだけで、マルチチャンネル音声体験をリスナーに与えることのできる、いわゆるバーチャルサラウンドシステムが開発されている。
【0003】
このバーチャルサラウンドシステムでは、前方中央のチャンネル音声に関して、中央チャンネル信号を前方左右のチャンネル信号に等分に割り振ることにより、ファントムセンター音像が得られるので、中央のチャンネル音声を容易に実現することができる。
【0004】
本来、リスナーの両横もしくは両横後方において音声を定位する左右サラウンドチャンネル信号を、左右のフロントスピーカで再生表現するには、仮想音像定位処理と呼ばれる特別な処理を必要とする。仮想音像定位処理は、人間の聴覚メカニズムを利用した処理によって、前方に配置された2つのスピーカから出力された音声をリスナーの耳の位置において、あたかも実際には配置されていない左右のサラウンドスピーカから出力された音声の特性に擬似することで実現している。この仮想音像定位処理によって処理された左右サラウンドチャンネル信号は、前方左右チャンネル信号に混合され、左右のフロントスピーカによって再生することができる。
【0005】
この仮想音像定位処理を用いた方式では、左右フロントスピーカとリスナーとの位置関係において、聴覚メカニズムが成立する場所でしか効果を得ることができないため、リスナーは、スイートスポットと呼ばれる比較的狭いリスニングエリアでしか効果を体験することができなくなる。しかし、個人的試聴には充分な効果が期待できること、これまでのステレオ試聴と同じ2つのスピーカだけでシステムが構成できること等といった複数の利点から、1つのフィーチャーとして普及している。
【0006】
このサラウンドチャンネル信号の仮想音像定位処理は、もともと入力される左右サラウンドチャンネル信号に相関のない場合、つまりサラウンドチャンネル信号がステレオ信号である場合は、特に問題とならない。しかし、マトリクス型のドルビーサラウンドのようにサラウンドチャンネル信号がモノラルである場合、および前方3チャンネル、サラウンド2チャンネルのディスクリート音声であっても、事実上、左右サラウンドチャンネル信号がモノラルソースとなっている場合には、左右サラウンドチャンネル信号の相関が非常に大きくなり、よい効果が得られないことが多い。
【0007】
リスナーの両横もしくは両横後方に置かれた実際のサラウンドスピーカで再生する場合は、リスナーの両耳まで音声が到達するまでに壁や床等における反射音が加わり、それらの到達時間が微妙に異なるので、リスナーの耳の位置では、信号の相関度が低下し、やや拡散した音声となる。しかし、仮想音像定位処理の場合は、直接音のみであるとともに、前方左右のスピーカからリスナーまでの到達時間も同一であるので、モノラル音声は相関度が高いままである。
【0008】
人間の聴覚においては、正中面上では音像定位が誤認されやすく、スピーカが前方に配置された場合は視覚効果も手伝って音像が前方に認識される場合が多くなる。したがって、モノラルのサラウンドチャンネル信号に対して仮想音像定位処理を施した場合も、音像はリスナーの頭の中もしくは前方に認識されやすく、実際のサラウンドスピーカによる再生のような、リスナーの後方もしくは頭の周りに拡散されたような音場とはならない。
【0009】
この問題を回避するため、仮想音像定位処理ではサラウンドチャンネル信号を予め非相関化しておく方法が採られるのが一般的である。非相関化するには、ステレオ入力時との互換性を維持するため、移相処理を用いるのが普通である。
【0010】
数学的には、左右サラウンドチャンネル信号間に90°の位相差をつけると相関度が「0」となるが、試聴の結果、90°の場合は相対的に位相が進んでいるチャンネル方向に音像が引っ張られる傾向が見られる。また、位相差を180°(相関度:−1)にすると、拡がり感は得られるが、逆相感が強く、不自然な音像となり、長時間の試聴で疲労感を与える結果となる。
【0011】
また、位相差を150°にすると、逆相感もそれほど感じられず、拡がり感もあり、一方へ音像が引っ張られる傾向も少なくなる。そこで、このようなサラウンドチャンネル信号の相対的な位相差を150°程度にする方式が提案されている。
【0012】
図12は、上記方式を実現するための音響信号処理回路の一例を示す図である。この図によれば、サラウンドチャンネル信号LS,RSは、移相回路31,32によって互いに相対的な位相差が150°程度にされ、仮想音像定位処理回路33によって仮想音像定位処理が行われている。そして、前方チャンネル信号L,Rと加算回路34L,34Rによって加算され、定数積算回路35によって定数が乗算された前方中央チャンネル信号Cと加算回路36L,36Rによって加算された後、たとえば増幅器を介してスピーカ(ともに図示せず)から出力される。この音響信号処理回路によって、図13に示す位相−周波数特性が得られる。
【0013】
ところで、いわゆるドルビーサラウンドは、映画におけるドルビーステレオを民生用にモデファイしたものである。そして、ドルビーサラウンドおよびドルビーステレオともモノラルのサラウンドチャンネル信号は、互いに逆相となるように前方左右チャンネルにマトリクスエンコードされている。
【0014】
ドルビーステレオを用いた映画は、ドルビーステレオ対応の映画館で上映する場合には、マトリクスデコードされて、もとの4チャンネルに復元された上でサラウンドチャンネル信号も取り出される。しかし、ドルビーステレオを用いた映画が上映されるのはドルビーステレオ対応映画館だけとは限らず、ステレオ音声の映画館やモノラル音声の映画館でも上映されることがある。
【0015】
ドルビーステレオにおいてエンコードされた音声は、もともとステレオ再生と互換性を有するように考慮されているので、ステレオ音声の映画館でも問題なく再生することができる。しかし、モノラル音声の映画館ではエンコードされた2チャンネル信号をミックスしてモノラル音声として再生するので、もともと逆相でエンコードされているサラウンドチャンネル信号は、キャンセルされて再生されなくなってしまう。
【0016】
したがって、信号ミックス時にサラウンドチャンネル信号だけに対して、重要な音声情報をミックスせずに、前方のいずれかのチャンネル信号にその一部をミックスするように一定のガイドラインが設けられている。こうすることで、重要な音声情報がモノラル映画館において消失してしまうといった問題点を回避することができる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図12に示した音響信号処理回路による方式では、左右サラウンドチャンネル信号間の相対的な位相のみを操作しているので、図13に示すように、前方チャンネル信号とサラウンドチャンネル信号間の相対的な位相差が周波数によって大きく変化することになる。
【0018】
この場合、前方チャンネル信号のうちのいずれかの前方チャンネル信号とサラウンドチャンネル信号との間に相関のない場合は問題がない。しかし、特定の映画館における再生のように、サラウンドチャンネル信号を前方チャンネル信号のいずれかに一部ミックスしているような場合には、サラウンドチャンネル信号と前方チャンネル信号のいずれかのチャンネル信号に相関のある信号成分が存在することになる。
【0019】
そうすると、移相処理されたサラウンドチャンネル信号が仮想音像定位処理され、前方チャンネル信号にミックスされたときに、もともと前方チャンネル信号にミキシングされているサラウンドチャンネル情報との間で干渉することがある。この場合、櫛形フィルターの効果によってある周波数帯域では強調されたり、別の周波数帯域ではキャンセルを生じたりするおそれがある。
【0020】
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、前方チャンネル信号とサラウンドチャンネル信号との間で相関がある場合の不具合を解消することのできる音響信号処理回路、およびそれを備えた音響再生装置を提供することを、その課題としている。
【0021】
【発明の開示】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0022】
本発明の第1の側面によって提供される音響信号処理回路は、リスナーの前方左右において配置されたスピーカに対して出力させるべき前方左右チャンネル信号に、左右サラウンドチャンネル信号をそれぞれ混合させるための音響信号処理回路であって、上記前方左右チャンネル信号に基準角度の位相シフトをそれぞれ与える第1移相手段と、上記左右サラウンドチャンネル信号のうち一方のサラウンドチャンネル信号に、上記第1移相手段によって上記前方左右チャンネル信号に与えられた位相シフトの基準角度に対して+75°程度の第1偏移角度の位相差を相対的に有するように、位相シフトを与える第2移相手段と、上記左右サラウンドチャンネル信号のうち他方のサラウンドチャンネル信号に、上記第1移相手段によって上記前方左右チャンネル信号に与えられた位相シフトの基準角度に対して−75°程度の第2偏移角度の位相差を相対的に有するように、位相シフトを与える第3移相手段とを備え、上記第1ないし第3移相手段は、少なくとも200Hzから2kHzの周波数帯域において各チャンネル信号に対して位相シフトを与えることを特徴としている。
【0023】
好ましい実施の形態によれば、上記第2移相手段および第3移相手段によって位相シフトが与えられた上記左右サラウンドチャンネル信号に対して、仮想音像定位処理を施す仮想音像定位処理手段と、上記仮想音像定位処理手段によって仮想音像定位処理された上記一方のサラウンドチャンネル信号と、上記第1移相手段によって位相シフトが与えられた上記前方左右チャンネル信号の一方とをそれぞれ加算する第1加算手段と、上記仮想音像定位処理手段によって仮想音像定位処理された上記他方のサラウンドチャンネル信号と、上記第1移相手段によって位相シフトが与えられた上記前方左右チャンネル信号の他方とをそれぞれ加算する第2加算手段とを備える。
【0025】
本発明によれば、前方左右チャンネル信号は、サラウンド左右チャンネル信号と混合されて、リスナーの前方左右において配置されたスピーカから出力される。この場合に、前方左右チャンネル信号には、基準角度の位相シフトが与えられ、サラウンド左右チャンネル信号には、基準角度に対して第1偏移角度(+75°程度)または第2偏移角度(−75°程度)の位相差を有するように、位相シフトが与えられるといった移相処理が行われる。そのため、サラウンド左右チャンネル信号間では、たとえば150°の相対位相差が得られるので、サラウンド左右チャンネル信号がモノラルであっても、サラウンド左右チャンネル信号が仮想音像定位処理されれば、リスナーの頭部周辺に広がった音場を提供することができる。それに加えて、サラウンド前方チャンネル信号と前方左右チャンネル信号との間には、たとえば所定の周波数範囲にわたって±75°の固定の相対位相差が得られるので、両信号の間に相関がある場合でも、それによって生じる干渉による周波数特性上の不具合を解消することができる。
【0026】
本発明の第2の側面によって提供される音響再生装置は、リスナーの前方左右において配置されたスピーカに対して出力させるべき前方左右チャンネル信号に、左右サラウンドチャンネル信号をそれぞれ混合させるための音響信号処理回路であって、上記前方左右チャンネル信号および左右サラウンドチャンネル信号に基準角度の位相シフトをそれぞれ与える第1移相手段と、上記第1移相手段によって位相シフトが与えられた上記左右サラウンドチャンネル信号のうち一方のサラウンドチャンネル信号とは別経路で、上記一方のサラウンドチャンネル信号に、上記第1移相手段によって上記前方左右チャンネル信号に与えられた位相シフトの基準角度に対して第1偏移角度の位相差を相対的に有するように、位相シフトを与える第2移相手段と、上記第1移相手段によって位相シフトが与えられた上記左右サラウンドチャンネル信号のうち他方のサラウンドチャンネル信号とは別経路で、上記他方のサラウンドチャンネル信号に、上記第1移相手段によって上記前方左右チャンネル信号に与えられた位相シフトの基準角度に対して上記第1偏移角度とは逆方向に偏移した第2偏移角度の位相差を相対的に有するように、位相シフトを与える第3移相手段と、上記左右サラウンドチャンネル信号の和および差のレベル比に基づいて、所定の偏移角度を設定する設定手段と、上記設定手段によって設定された偏移角度に基づいて、係数を算出する係数算出手段と、上記第1移相手段によって位相シフトが与えられた上記一方のサラウンドチャンネル信号と、上記第2移相手段によって他の位相シフトが与えられた上記一方のサラウンドチャンネル信号とに対して、上記係数算出手段によって算出された係数をそれぞれ乗算する第1係数乗算手段と、上記第1係数乗算手段によって乗算された上記一方のサラウンドチャンネル信号同士を加算する第1加算手段と、上記第1移相手段によって位相シフトが与えられた上記他方のサラウンドチャンネル信号と、上記第3移相手段によって他の位相シフトが与えられた上記他方のサラウンドチャンネル信号とに対して、上記係数算出手段によって算出された係数をそれぞれ乗算する第2係数乗算手段と、上記第2係数乗算手段によって乗算された上記他方のサラウンドチャンネル信号同士を加算する第2加算手段とを備え、上記第1ないし第3移相手段は、少なくとも200Hzから2kHzの周波数帯域において各チャンネル信号に対して位相シフトを与える
【0027】
他の好ましい実施の形態によれば、上記設定手段は、上記左右サラウンドチャンネル信号の和が上記左右サラウンドチャンネル信号の差より大のとき、上記偏移角度を上記第1偏移角度または第2偏移角度に近づけるように設定し、上記左右サラウンドチャンネル信号の和が上記左右サラウンドチャンネル信号の差より小のとき、上記偏移角度を上記基準角度に近づけるように設定する。
【0028】
他の好ましい実施の形態によれば、上記第1加算手段および第2加算手段によって加算された左右サラウンドチャンネル信号に対して、仮想音像定位処理を施す仮想音像定位処理手段と、上記仮想音像定位処理手段によって仮想音像定位処理された上記一方のサラウンドチャンネル信号と、上記第1移相手段によって位相シフトが与えられた上記前方左右チャンネル信号の一方とをそれぞれ加算する第3加算手段と、上記仮想音像定位処理手段によって仮想音像定位処理された上記他方のサラウンドチャンネル信号と、上記第1移相手段によって位相シフトが与えられた上記前方左右チャンネル信号の他方とをそれぞれ加算する第4加算手段とを備える。
【0030】
本発明によれば、左右サラウンドチャンネル信号がモノラル信号に近い場合は、左右サラウンドチャンネル信号の和が左右サラウンドチャンネル信号の差より大となり、そのような場合には、左右サラウンドチャンネル信号と前方チャンネル信号間との間の相対位相差をたとえば約150°に近くなるようにする。一方、左右サラウンドチャンネル信号が互いに無相関あるいは逆相の場合は、左右サラウンドチャンネル信号の和が左右サラウンドチャンネル信号の差より小となり、そのような場合には、左右サラウンドチャンネル信号と前方チャンネル信号間の相対位相差が小さくなるようにする。そのため、左右サラウンドチャンネル信号に音源ソース側において予め位相差が付加されていても、左右サラウンドチャンネル信号と前方左右チャンネル信号間との間の相対位相差を適度な位相差になるように設定変更することにより、仮想音像定位処理された左右サラウンドチャンネル信号によって、拡がり感のある音場を提供することができ、映画や音楽を問わず、様々な信号形態を有するマルチチャンネルソースに対して最適な仮想サラウンド再生を実現することができる。
【0031】
本発明の第3の側面によって提供される音響再生装置は、本発明の第1の側面または第2の側面によって提供される音響信号処理回路を備えることを特徴としている。
【0032】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
【0034】
図1は、本発明の一実施形態に係る音響信号処理回路が適用される音響再生装置の要部のブロック構成を示す図である。音響再生装置Aは、いわゆるホームシアターが実現可能な装置とされ、たとえば音声を出力する一対のスピーカ装置Bが接続可能とされている。なお、一対のスピーカ装置Bは、リスナーの前方左右に対称的にそれぞれ配置される。
【0035】
音響再生装置Aは、CPU1、ROM2、RAM3、インターフェイス回路4、DVD(digital versatile disc)再生装置5、音響信号処理回路6、および増幅器7R,7Lを備えており、CPU1、ROM2、RAM3、およびインターフェイス回路4は、相互にバス接続されている。
【0036】
CPU1は、DVD再生装置5、音響信号処理回路6、および増幅器7R,7Lを含む音響再生装置Aの全体を制御する。すなわち、図示していないが、音響再生装置Aには操作部、表示部および各種のセンサ等が設けられており、CPU1は、操作部やセンサ等からの信号に応じて、表示部等を制御する。
【0037】
ROM2は、CPU1を動作させるためのプログラムや固定のデータ等を格納している。
【0038】
RAM3は、CPU1にワークエリアを提供し、各種のデータを記憶する。
【0039】
インターフェイス回路4は、CPU1とDVD再生装置5や音響信号処理回路6等との間の通信を制御する。
【0040】
DVD(digital versatile disc)再生装置5は、DVDを再生するものであり、CPU1からの制御信号により制御され、DVDを回転させてDVDに記憶されている楽曲等の音響データを出力する。なお、音響データを出力させる装置としては、DVD再生装置に限るものではない。
【0041】
音響信号処理回路6は、詳細は後述するが、CPU1により制御されて、DVD再生装置5からの音響データに各種の処理を施す。
【0042】
増幅器7R,7Lは、CPU1により制御されて、音響信号処理回路6からの音響信号を増幅する。
【0043】
スピーカ装置Bは、左右一対に独立した複数の箱状部材によって構成され、たとえば左チャンネル再生用スピーカ8Lと右チャンネル再生用スピーカ8Rとをそれぞれ内装している。これら一対のスピーカ8R,8Lは、増幅器7R,7Lからの音響信号を音響に変換する。スピーカ8R,8Lは、音響的な特性が相互にほぼ同一である。
【0044】
図2は、音響信号処理回路6の回路構成を示す図である。この音響信号処理回路6は、前方左右チャンネル信号L,Rに、左右サラウンドチャンネル信号LS,RSを混合させるための回路であって、第1移相回路11L,11C,11R、第2移相回路12、第3移相回路13、仮想音像定位処理回路14、加算回路15L,15R,16L,16R、および定数積算回路17を備えている。
【0045】
第1移相回路11L,11C,11Rは、前方チャンネル信号L,C,Rに対して、同一の基準角度φの位相シフトを与える移相処理を施す回路である。ここで、基準角度φは、任意な値に設定することができる。
【0046】
第2移相回路12は、左サラウンドチャンネル信号LSに、基準角度φに対して第1偏移角度の位相差を相対的に有するように、位相シフトを与える移相処理を施す回路である。具体的には、第1偏移角度は、基準角度φに対して+75°程度(+70°〜+80°)とされる。
【0047】
第3移相回路13は、右サラウンドチャンネル信号RSに、基準角度φに対して第1偏移角度とは逆方向に偏移した第2偏移角度の位相差を相対的に有するように、位相シフトを与える移相処理を施す回路である。具体的には、第2偏移角度は、基準角度φに対して−75°程度(−70°〜−80°)とされる。なお、上記とは逆に、左サラウンドチャンネル信号LSに対して、第2偏移角度の位相差を有するように位相シフトが与えられ、右サラウンドチャンネル信号RSに対して、第1偏移角度の位相差を有するように位相シフトが与えられてもよい。要は、サラウンドチャンネル信号LS,RSに対して、同一の偏移角度の位相差を有するように位相シフトが与えられないようにすればよい。
【0048】
第1移相回路11L,11C,11R、第2移相回路12、第3移相回路13は、たとえば図3に示すアナログ回路によって実現することができる。あるいは、図4に示すディジタルフィルターであるオールパスフィルター(APF)を有するディジタル回路によって実現することができる。なお、次数が必要となる場合には、たとえば図5に示すように、必要な次数だけ縦続接続するようにすればよい。
【0049】
図2に戻り、仮想音像定位処理回路14は、第2および第3回路12,13によって位相シフトが与えられたサラウンドチャンネル信号LS,RSに対して、たとえばリスナーの側方に仮想的に音像を定位させるための仮想音像定位処理を行う回路である。
【0050】
加算回路15L,15Rは、第1回路11L,11Rによって位相シフトが与えられた前方チャンネル信号L,Rと、仮想音像定位処理が施されたサラウンドチャンネル信号LS,RSとを加算する回路である。
【0051】
また、加算回路16L,16Rは、サラウンドチャンネル信号LS,RSが加味された前方チャンネル信号L,Rと、前方中央チャンネル信号Cとを加算する回路である。すなわち、前方中央チャンネル信号Cは、定数積算回路17によって定数が積算された後、分岐され、分岐された各前方中央チャンネル信号Cは、サラウンドチャンネル信号LS,RSが加味された前方チャンネル信号L,Rとそれぞれ加算される。
【0052】
定数積算回路17は、入力信号に所定の定数を乗算する。この定数は、CPU1により設定され、変更可能である。
【0053】
上記の構成により、前方チャンネル信号L,C,Rは、第1移相回路11L,11C,11Rにそれぞれ入力されると、それらの信号に対して同一の基準角度φの位相シフトが与えられる。
【0054】
一方、サラウンドチャンネル信号LS,RSは、第2および第3移相回路12,13に入力されると、たとえば左サラウンドチャンネル信号LSは、基準角度φに対して第1偏移角度(約+75°)の位相差を有するように位相シフトが与えられる。また、たとえば右サラウンドチャンネル信号RSは、基準角度φに対して第2偏移角度(約−75°)の位相差を有するように位相シフトが与えられる。
【0055】
なお、第1移相回路11L,11C,11R、第2および第3移相回路12,13における、前方チャンネル信号L,C,R、およびサラウンドチャンネル信号LS,RSに対する位相シフトは、音声帯域全体で実現されなくてもよく、たとえば、音源定位に重要な役割をはたす200Hz程度から2kHz程度の間で実現されればよい。つまり、音源定位に関係のない、200Hz以下および2kHz以上では、相対的な位相差が漸減してもかまわない。
【0056】
第2および第3移相回路12,13において移相処理が施されたサラウンドチャンネル信号LS,RSは、仮想音像定位処理回路14に入力され、仮想音像定位処理が施される。
【0057】
仮想音像定位処理回路14において仮想音像定位処理が施されたサラウンドチャンネル信号LS,RSは、第1移相回路11L,11Rにおいて移相処理が施された前方チャンネル信号L,Rと、加算回路15L,15Rにおいて左チャンネル同士および右チャンネル同士がそれぞれ加算される。
【0058】
一方、第1移相回路11Cにおいて移相処理が施された前方中央チャンネル信号Cは、定数積算回路17において、たとえば「0.707」といった定数が乗算される。その後、前方中央チャンネル信号Cは、分岐され、加算回路16L,16Rにそれぞれ供給される。加算回路16L,16Rでは、それぞれ供給された前方チャンネル信号Cが、加算回路15L,15Rにおいてサラウンドチャンネル信号LS,RSが加味された前方チャンネル信号L,Rとさらに加算され、前方中央チャンネル信号Cが加味された前方チャンネル信号Lv,Rvが出力端子から出力される。
【0059】
そして、上記前方チャンネル信号Lv,Rvは、増幅器7R,7L(図1参照)によって増幅され、スピーカ装置Bから音響としてそれぞれ出力される。
【0060】
このような処理により、図6に示すように、サラウンドチャンネル信号LS,RS間では、ほぼ150°の相対位相差を得ることができる。そのため、サラウンドチャンネル信号LS,RSがモノラルのサラウンドチャンネル信号であっても、仮想音像定位処理されることにより、リスナーの頭部周辺に広がった音場を提供することができる。
【0061】
また、サラウンドチャンネル信号LS,RSと前方チャンネル信号L,C,Rとの間にも広い周波数範囲(たとえば200Hz〜2kHz)にわたってほぼ±75°に固定した相対位相差が保たれる。そのため、もともと前方チャンネル信号L,C,Rにミキシングされているサラウンドチャンネル信号LS,RSとの間で櫛形フィルタ効果による周波数特性上のピ−ク/ディップを示すことがなくなる。したがって、サラウンドチャンネル信号LS,RSと前方チャンネル信号L,C,Rとの間で相関がある場合でも、それによって生じる干渉による周波数特性上の不具合を回避することができる。
【0062】
ところで、マルチチャンネルのコンテンツは、上記した映画ソースだけでなく、音楽録音にも拡張され、マルチチャンネルの音楽ソースも増加してきている。映画における音声の場合は、アンビエンス効果を具備させるためにサラウンドチャンネル信号を拡散音像として使用することが多く、ミキシングにも一定のガイドラインが設けられているのに対し、音楽録音の場合は、そのようなガイドラインもなく、ミキサーによって比較的自由に使用される。このため、左右サラウンドチャンネル信号に対して位相差を有する同一信号がミキシングされることが多い。
【0063】
たとえば、上記した図2に示す音響信号処理回路6では、第2および第3移相回路12,13においてサラウンドチャンネル信号LS,RSに対して相対的な位相差が付加される。そのため、たとえば音響信号処理回路6の前段階の回路において、つまり音源ソース側(DVD再生装置5)において予め位相差が付加されたサラウンドチャンネル信号LS,RSが音響信号処理回路6に入力されると、結果的にミキサーの意図した位相差が得られなくなってしまう。
【0064】
すなわち、音源ソース側で予めサラウンドチャンネル信号LS,RSに互いに逆相となるように、ある信号がミキシングされていたとすると、第2および第3移相回路12,13によって、仮想音像定位処理されるサラウンドチャンネル信号LS,RS間には、約30°の位相差しかつけられなくなってしまう。したがって、オリジナルのソースを実際のサラウンドスピーカで聞いた場合は、拡がり感があるのに対し、仮想音像定位処理を施して聞いた場合は、ほとんどモノラルのサラウンド信号に近く、拡がり感のない音場になってしまう。
【0065】
そこで、以下に示す音響信号処理回路を用いることにより、音源ソース側においてサラウンドチャンネル信号LS,RSに予め位相差がつけられた場合であっても、拡がり感のある音場を実現するようにしている。
【0066】
図7は、図2に示す音響信号処理回路6とは異なる他の音響信号処理回路60を示す図である。この音響信号処理回路60は、先に示した音響信号処理回路6における構成に加え、第1移相回路11LS,11RS、定数積算回路21,22,23,24,25、加算回路26L,26R,27L,27R、およびレベル比較回路28がさらに備えられている。
【0067】
第1位相回路11LS,11RSは、第1移相回路11L,11C,11Rと同様に、サラウンドチャンネル信号LS,RSに対して、同一の基準角度φの位相シフトを与える移相処理を施す回路である。
【0068】
定数積算回路21,22,23,24は、基準角度φに対して第1偏移角度(たとえば+75°)の位相差を有するように位相シフトが与えられた左サラウンドチャンネル信号LS、基準角度φに位相シフトが与えられた左サラウンドチャンネル信号LS、基準角度φに対して第2偏移角度(たとえば−75°)の位相差を有するように位相シフトが与えられた右サラウンドチャンネル信号RS、および基準角度φに位相シフトが与えられた左サラウンドチャンネル信号LSのそれぞれに対し、レベル比較回路28からの係数x,yを乗算する。
【0069】
加算回路26L,26Rは、係数x,yが乗算された左サラウンドチャンネル信号LS同士、および係数x,yが乗算された右サラウンドチャンネル信号RS同士をそれぞれ加算する。
【0070】
定数積算回路25は、DVD再生装置5から供給された右サラウンドチャンネル信号RSに対して、定数「−1」を乗算する。
【0071】
加算回路27Lは、左サラウンドチャンネル信号LSと右サラウンドチャンネル信号RSとを加算する。加算回路27Rは、左サラウンドチャンネル信号LSと、定数積算回路25によって定数「−1」が乗算された右サラウンドチャンネル信号RSとを加算する。
【0072】
レベル比較回路28は、加算回路27Lによって加算された、左サラウンドチャンネル信号LSと右サラウンドチャンネル信号RSとの和の絶対値|LS+RS|と、加算回路27Rによって加算された、左サラウンドチャンネル信号LSと右サラウンドチャンネル信号RSとの差の絶対値|LS−RS|とを入力し、適当な演算を行って係数x,yを算出し、定数積算回路21,22,23,24に対して係数x,yを与える。
【0073】
動作を説明すると、左サラウンドチャンネル信号LSは、第2移相回路12に供給されるとともに、第1移相回路11LSに供給される。第2移相回路12に供給された左サラウンドチャンネル信号LSは、基準角度φに対して第1偏移角度の位相差を有するように位相シフトが与えられ、定数積算回路21に供給される。一方、第1移相回路11LSに供給された左サラウンドチャンネル信号LSは、基準角度φに位相シフトが与えられ、定数積算回路22に供給される。
【0074】
また、右サラウンドチャンネル信号RSは、第3移相回路13に供給されるとともに、第1移相回路11RSに供給される。第3移相回路13に供給された右サラウンドチャンネル信号RSは、基準角度φに対して第2偏移角度の位相差を有するように位相シフトが与えられ、定数積算回路23に供給される。一方、第1移相回路11RSに供給された右サラウンドチャンネル信号RSは、基準角度φに位相シフトが与えられ、定数積算回路24に供給される。
【0075】
各定数積算回路21〜24では、サラウンドチャンネル信号LS,RSは、レベル比較回路28から与えられる係数x,yによって乗算される。レベル比較回路28から与えられる係数x,yは、以下の手順によって求められ、ここでは、図8に示すフローチャートをも参照して説明する。
【0076】
DVD再生装置5からサラウンドチャンネル信号LS,RSが入力されると(S1)、両者の加算処理および減算処理が行われる。すなわち、左サラウンドチャンネル信号LSと、右サラウンドチャンネル信号RSとは、加算回路27Lにおいて加算されることにより加算処理される。また、右サラウンドチャンネル信号RSは、定数積算回路25によって「−1」の定数が積算され、左サラウンドチャンネル信号LSと、加算回路27Rにおいて加算されることにより減算処理される。
【0077】
次いで、レベル比較回路28において、左サラウンドチャンネル信号LSと右サラウンドチャンネル信号RSとの和の絶対値|LS+RS|、および加算回路27Rによって加算された、左サラウンドチャンネル信号LSと右サラウンドチャンネル信号RSとの差の絶対値|LS−RS|が求められる(S2)。そして、|LS+RS|をa、|LS−RS|をbとおき、両者a,bを比較する(S3)。
【0078】
そして、両者の比較結果に基づいて、偏移角度θを割り付ける(S4)。ただし、偏移角度θは、0°〜75°の範囲内に設定される。たとえば、図9に示すように、a≫bの場合、具体的には、(a/b)≧8〜10の場合、偏移角度θを大きく(75°に近く)なるように割り付ける。一方、a≪bの場合、具体的には、(a/b)≦1〜1.5の場合、偏移角度θを小さく(0°に近く)なるように割り付ける。また、(a/b)の値が、上記以外の場合、適当な偏移角度θを割り付ける。
【0079】
次いで、偏移角度θが割り付けられると、係数x,yを下記数式1によりそれぞれ算出する(S5)。図9に、偏移角度θと係数x,yとの関係を示す。
【0080】
【数1】
Figure 0004427937
【0081】
なお、上記係数x,yの算出方法において、偏移角度θの割り付けが困難な場合、上記算出方法に代わり、|LS+RS|/|LS−RS|、あるいは|LS−RS|/|LS+RS|の値から所定の近似式を求め、それを用いて係数x,yを算出するようにしてもよい。
【0082】
また、上記係数x,yの算出方法において、DSP(digital signal processor)が用いられる場合、一般に割り算に多くのステップを必要とするので、(LS+RS)および(LS−RS)のそれぞれのレベルを、図10に示すような左右シフト処理を用いて直接的な比較を行い、必要とするシフト数に応じてステップ的にθを割り当てる方法を用いてもよい。なお、図10に示す左右シフト処理では、a>bの場合、最初に現れる「1」がaと同じ桁になるまでbの値を左にシフトしていき、必要となるシフト数に応じてステップ的にθを割り付ける。また、a≦bの場合は逆に右シフトを行う。また、シフト数に対応する係数x,yのテーブルを用意しておいて、直接、係数x,yを算出する方法を用いてもよい。さらには、係数x,yが1サンプル期間でステップ的に変化するのが音声再生に不具合を生じるようであるなら、現在の係数x,yから目的とする係数x,yまで漸増および漸減処理を利用する方法を用いてもよい。
【0083】
図7に戻り、レベル比較回路28において算出された係数x,yは、それぞれ定数積算回路21〜24において用いられる。すなわち、係数xは、定数積算回路21,23において用いられ、係数yは、定数積算回路22,24において用いられる。
【0084】
定数積算回路21,22において係数x,yが乗算された左サラウンドチャンネル信号LS同士は、その後、加算回路26Lで加算され、仮想音像定位処理回路14に供給される。また、定数積算回路23,24において係数x,yが乗算された右サラウンドチャンネル信号RS同士は、加算回路26Rで加算され、仮想音像定位処理回路14に供給される。
【0085】
このような処理によれば、図11に示すように、サラウンドチャンネル信号LS,RSがモノラル信号に近い場合は、上記した(a/b)の値が大きくなり、拡散効果を付加するために、サラウンドチャンネル信号LS,RSと前方チャンネル信号L,C,R間との間の相対位相差を約150°に近くなるようにする。一方、サラウンドチャンネル信号LS,RSが互いに無相関あるいは逆相の場合は、(a/b)の値が小さくなり、サラウンドチャンネル信号LS,RSと前方チャンネル信号L,C,R間との間の相対位相差が小さくなるようにする。
【0086】
したがって、サラウンドチャンネル信号LS,RSに音源ソース側において予め位相差が付加されていても、サラウンドチャンネル信号LS,RSと前方チャンネル信号L,C,R間との間の相対位相差を適度な位相差になるように設定変更することにより、仮想音像定位処理されたサラウンドチャンネル信号LS,RSによって、拡がり感のある音場を提供することができる。
【0087】
図7に戻り、仮想音像定位処理回路14において仮想音像定位処理が施されたサラウンドチャンネル信号LS,RSは、第1移相回路11L,11Rにおいて移相処理が施された前方チャンネル信号L,Rと、加算回路15L,15Rにおいてそれぞれ加算される。加算回路15L,15Rにおいてサラウンドチャンネル信号LS,RSが加味された前方チャンネル信号L,Rは、第1移相回路11Cにおいて移相処理が施され、かつ定数積算回路17において定数が乗算された前方チャンネル信号Cと、加算回路16L,16Rでさらに加算され、前方中央チャンネル信号Cが加味された前方チャンネル信号Lv,Rvが出力端子から出力される。そして、上記前方チャンネル信号Lv,Rvは、増幅器7R,7Lによって増幅され、スピーカ装置Bから音響として出力される。
【0088】
上記処理により、サラウンドチャンネル信号LS,RS同士の関係や、前方チャンネル信号との関係に左右されることなく、サラウンドチャンネル信号LS,RSと前方チャンネル信号L,C,R間との間の相対位相差を適度な位相差にすることができるので、映画や音楽を問わず、様々な信号形態を有するマルチチャンネルソースに対して最適な仮想サラウンド再生を実現することができる。
【0089】
なお、第1移相回路11L,11C,11R,11LS,11RS、第2および第3移相回路12,13における、前方チャンネル信号L,C,R、およびサラウンドチャンネル信号LS,RSに対する位相シフトは、上記したのと同様に、200Hz程度から2kHz程度の間で実現されればよい。
【0090】
もちろん、この発明の範囲は上述した実施の形態に限定されるものではない。たとえば、音響信号処理回路は、上記実施形態における音響再生装置Aに適用されることに限らず、たとえば車載用音響装置等、音響を出力するあらゆる装置に採用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る音響信号処理回路が適用される音響再生装置のブロック図である。
【図2】図1に示す音響信号処理回路のブロック図である。
【図3】オールパスフィルタの回路図である。
【図4】オールパスフィルタの回路図である。
【図5】オールパスフィルタの回路図である。
【図6】図1に示す音響信号処理回路における位相−周波数特性を示す図である。
【図7】他の音響信号処理回路のブロック図である。
【図8】係数算出処理を示すフローチャートである。
【図9】係数と偏移角度との関係を示す図である。
【図10】係数の算出方法の一例を説明するための図である。
【図11】図7に示す音響信号処理回路における位相−周波数特性を示す図である。
【図12】従来の音響信号処理回路のブロック図である。
【図13】従来の音響信号処理回路における位相−周波数特性を示す図である。
【符号の説明】
6 音響信号処理回路
8L,8R スピーカ
11L,11C,11R 第1移相回路
12 第2移相回路
13 第3移相回路
14 仮想音像定位処理回路
15L,15R 加算回路
A 音響再生装置
L 前方左チャンネル信号
R 前方右チャンネル信号
LS 左サラウンドチャンネル信号
RS 右サラウンドチャンネル信号

Claims (6)

  1. リスナーの前方左右において配置されたスピーカに対して出力させるべき前方左右チャンネル信号に、左右サラウンドチャンネル信号をそれぞれ混合させるための音響信号処理回路であって、
    上記前方左右チャンネル信号に基準角度の位相シフトをそれぞれ与える第1移相手段と、
    上記左右サラウンドチャンネル信号のうち一方のサラウンドチャンネル信号に、上記第1移相手段によって上記前方左右チャンネル信号に与えられた位相シフトの基準角度に対して+75°程度の第1偏移角度の位相差を相対的に有するように、位相シフトを与える第2移相手段と、
    上記左右サラウンドチャンネル信号のうち他方のサラウンドチャンネル信号に、上記第1移相手段によって上記前方左右チャンネル信号に与えられた位相シフトの基準角度に対して−75°程度の第2偏移角度の位相差を相対的に有するように、位相シフトを与える第3移相手段とを備え
    上記第1ないし第3移相手段は、少なくとも200Hzから2kHzの周波数帯域において各チャンネル信号に対して位相シフトを与えることを特徴とする、音響信号処理回路。
  2. 上記第2移相手段および第3移相手段によって位相シフトが与えられた上記左右サラウンドチャンネル信号に対して、仮想音像定位処理を施す仮想音像定位処理手段と、
    上記仮想音像定位処理手段によって仮想音像定位処理された上記一方のサラウンドチャンネル信号と、上記第1移相手段によって位相シフトが与えられた上記前方左右チャンネル信号の一方とをそれぞれ加算する第1加算手段と、
    上記仮想音像定位処理手段によって仮想音像定位処理された上記他方のサラウンドチャンネル信号と、上記第1移相手段によって位相シフトが与えられた上記前方左右チャンネル信号の他方とをそれぞれ加算する第2加算手段とを備える、請求項1に記載の音響信号処理回路。
  3. リスナーの前方左右において配置されたスピーカに対して出力させるべき前方左右チャンネル信号に、左右サラウンドチャンネル信号をそれぞれ混合させるための音響信号処理回路であって、
    上記前方左右チャンネル信号および左右サラウンドチャンネル信号に基準角度の位相シフトをそれぞれ与える第1移相手段と、
    上記第1移相手段によって位相シフトが与えられた上記左右サラウンドチャンネル信号のうち一方のサラウンドチャンネル信号とは別経路で、上記一方のサラウンドチャンネル信号に、上記第1移相手段によって上記前方左右チャンネル信号に与えられた位相シフトの基準角度に対して第1偏移角度の位相差を相対的に有するように、位相シフトを与える第2移相手段と、
    上記第1移相手段によって位相シフトが与えられた上記左右サラウンドチャンネル信号のうち他方のサラウンドチャンネル信号とは別経路で、上記他方のサラウンドチャンネル信号に、上記第1移相手段によって上記前方左右チャンネル信号に与えられた位相シフトの基準角度に対して上記第1偏移角度とは逆方向に偏移した第2偏移角度の位相差を相対的に有するように、位相シフトを与える第3移相手段と、
    上記左右サラウンドチャンネル信号の和および差のレベル比に基づいて、所定の偏移角度を設定する設定手段と、
    上記設定手段によって設定された偏移角度に基づいて、係数を算出する係数算出手段と、
    上記第1移相手段によって位相シフトが与えられた上記一方のサラウンドチャンネル信号と、上記第2移相手段によって他の位相シフトが与えられた上記一方のサラウンドチャンネル信号とに対して、上記係数算出手段によって算出された係数をそれぞれ乗算する第1係数乗算手段と、
    上記第1係数乗算手段によって乗算された上記一方のサラウンドチャンネル信号同士を加算する第1加算手段と、
    上記第1移相手段によって位相シフトが与えられた上記他方のサラウンドチャンネル信号と、上記第3移相手段によって他の位相シフトが与えられた上記他方のサラウンドチャンネル信号とに対して、上記係数算出手段によって算出された係数をそれぞれ乗算する第2係数乗算手段と、
    上記第2係数乗算手段によって乗算された上記他方のサラウンドチャンネル信号同士を加算する第2加算手段とを備え
    上記第1ないし第3移相手段は、少なくとも200Hzから2kHzの周波数帯域において各チャンネル信号に対して位相シフトを与えることを特徴とする、音響信号処理回路。
  4. 上記設定手段は、上記左右サラウンドチャンネル信号の和が上記左右サラウンドチャンネル信号の差より大のとき、上記偏移角度を上記第1偏移角度または第2偏移角度に近づけるように設定し、上記左右サラウンドチャンネル信号の和が上記左右サラウンドチャンネル信号の差より小のとき、上記偏移角度を上記基準角度に近づけるように設定する、請求項に記載の音響信号処理回路。
  5. 上記第1加算手段および第2加算手段によって加算された左右サラウンドチャンネル信号に対して、仮想音像定位処理を施す仮想音像定位処理手段と、
    上記仮想音像定位処理手段によって仮想音像定位処理された上記一方のサラウンドチャンネル信号と、上記第1移相手段によって位相シフトが与えられた上記前方左右チャンネル信号の一方とをそれぞれ加算する第3加算手段と、
    上記仮想音像定位処理手段によって仮想音像定位処理された上記他方のサラウンドチャンネル信号と、上記第1移相手段によって位相シフトが与えられた上記前方左右チャンネル信号の他方とをそれぞれ加算する第4加算手段とを備える、請求項またはに記載の音響信号処理回路。
  6. 請求項1ないしのいずれかに記載の音響信号処理回路を備えることを特徴とする、音響再生装置。
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