JP4427884B2 - プラズマディスプレイ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はテレビ表示およびコンピュータ等の画像表示に用いるプラズマディスプレイ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、プラズマディスプレイ装置は、視認性に優れた表示パネル(薄型表示デバイス)として注目されており、高精細化および大画面化が進められている。
【0003】
このプラズマディスプレイ装置には、大別して、駆動的にはAC型とDC型があり、放電形式では面放電型と対向放電型の2種類があるが、高精細化、大画面化および製造の簡便性から、現状では、AC型で面放電型のプラズマディスプレイ装置が工業上の主流を占めるようになってきている。
【0004】
このAC型のプラズマディスプレイ装置におけるパネル構造の一例を図6、図7に示している。
【0005】
図6はAC型プラズマディスプレイ装置のパネルの一部を切り欠いて示す斜視図で、図7は図6のA−A’線で切断した断面図である。図6、7に示すように、ガラス基板などの透明な前面側の基板1上には、走査電極2と維持電極3とで対をなすストライプ状の表示電極4が複数対形成され、そして基板1上の隣り合う表示電極4間には遮光層5が配置形成されている。
【0006】
この走査電極2および維持電極3は、それぞれストライプ状の透明電極2a、3aと、この透明電極2a、3aに電気的に接続されかつ前記透明電極2a、3a群より幅の狭いストライプ状の黒色導電層2b、3bおよび導電層2c、3cからなる母線とにより構成されている。また、前記前面側の基板1には、前記複数対の電極群を覆うように誘電体層6が形成され、その誘電体層6上には保護層7が形成されている。
【0007】
また、前記前面側の基板1に対向配置される背面側の基板8上には、走査電極2及び維持電極3の表示電極4と直交する方向に、複数のストライプ状のデータ電極9が形成されている。この背面側基板8上には、データ電極9と平行にストライプ状の複数の隔壁10が配置され、この隔壁10間の側面およびデータ電極9上には、蛍光体層11が設けられている。
【0008】
これらの基板1と基板8とは、走査電極2および維持電極3とデータ電極9とが直交するように、微小な放電空間を挟んで対向配置されるとともに、周囲が封止され、そして前記放電空間には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノン、クリプトンのうちの一種または混合ガスが放電ガスとして封入されている。また、放電空間は、隔壁10によって複数の区画に仕切ることにより、表示電極4とデータ電極9との交点が位置する複数の放電セル12が設けられ、その各放電セル12には、赤色、緑色及び青色となるように蛍光体層11が一色ずつ順次配置されている。また、上述したように、隣り合う表示電極4間、すなわち放電セル12間の非放電部に遮光層5が配置されている。
【0009】
このAC型プラズマディスプレイパネルは、その駆動動作の維持期間において、前記走査電極2群と維持電極3群との間に交互にパルス電圧を印加し、前記走査電極2群上の誘電体層6を介した保護層7の表面と、維持電極3群上の誘電体層6を介した保護層7の表面との間に生じる電界により、前記放電セル12群内において維持放電を発生させ、この維持放電からの可視光を表示発光に用いるものである。また、カラー表示として用いる場合は、前記維持放電からの紫外線が前記蛍光体層11を励起し、この蛍光体層11からの可視光を表示発光に用いるものである。
【0010】
そして、このようにして発生する表示発光を、パネルの表面側基板1の前方から見ることにより、映像を表示することができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このようなパネルにおいては、走査電極2と維持電極3の第一層目も外光反射を抑制する目的で黒色材料であるが、遮光層5と別材料で形成されており、フォトリソグラフでパターニングする場合、遮光層5部分も現像するため、材料利用率が低下し、また遮光層5の塗布・乾燥・露光・現像・焼成の工程が増え、工数が増加しコストがかかるという課題があった。
【0012】
本発明はこのような課題を解決するもので、工数の削減を図ることにより低コスト化が可能なプラズマディスプレイ装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この問題を解決するために本発明においては、少なくとも前面側が透明な一対の基板を基板間に放電空間が形成されるように対向配置し、かつ前面側の基板に放電セル部を形成するようにストライプ状の電極群を配置するとともに、放電セル部間の非放電部に対応するように遮光部を配置し、かつ背面側の基板に放電により発光する蛍光体層を設けてなるプラズマディスプレイ装置において、前記電極群は、表面側基板に形成した複数の層を有し、前記複数の層のうち一層を他の層よりシート抵抗の高い黒色層で構成するとともに、前記黒色層と前記遮光部とを同じ材料により構成し、かつ前記遮光部は、隣り合う電極群間に電極群と平行なスリットを有するものであり、材料利用率を向上させ、しかも工数を削減することが可能になる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、少なくとも前面側が透明な一対の基板を基板間に放電空間が形成されるように対向配置し、かつ前面側の基板に放電セル部を形成するようにストライプ状の電極群を配置するとともに、放電セル部間の非放電部に対応するように遮光部を配置し、かつ背面側の基板に放電により発光する蛍光体層を設けてなるプラズマディスプレイ装置において、前記電極群は、表面側基板に形成した複数の層を有し、前記複数の層のうち一層を他の層よりシート抵抗の高い黒色層で構成するとともに、前記黒色層と前記遮光部とを同じ材料により構成し、かつ前記遮光部は、隣り合う電極群間に電極群と平行なスリットを有するものであることを特徴とするプラズマディスプレイ装置である。
【0015】
以下、本発明の一実施の形態によるAC型のプラズマディスプレイ装置のパネル構造について、図1〜図5を用いて説明する。なお、図1〜図5において、図6、図7に示す部分と同一個所については同一番号を付している。
【0016】
図1および図2に示すように、少なくとも前面側が透明なガラス基板からなる一対の基板1、8を、この基板間に放電空間が形成されるように対向配置している。そして、前面側の基板1には、放電セル12部を形成するように走査電極21と維持電極22とで対をなす複数列のストライプ状の表示電極23による電極群を配置するとともに、放電セル12部間、すなわち隣り合う表示電極23間の非放電部に対応するように遮光部である黒色層24を配置している。
【0017】
また、背面側の基板8には、前記表示電極23群と直交してストライプ状のデータ電極9が配置されるとともに、これらのデータ電極9群を隔離しかつ前記放電セル12を形成するようにストライプ状の隔壁10がデータ電極9と平行に配置されている。さらに、前記データ電極9上から前記隔壁10上にわたって蛍光体層11が形成される。
【0018】
また、基板1、8により形成される放電空間には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノン、クリプトンの内少なくとも一種類の希ガスが放電ガスとして封入されている。
【0019】
ここで、前記基板1上の走査電極21、維持電極22は、図2に示すように基板1上に形成したSnO2やITOから成るストライプ状の透明電極21a、22aと、その上に透明電極21a、22aに一部が重なり、かつ非放電部に亘って印刷し、乾燥・焼成して形成した酸化ルテニウムを含むシート抵抗の高い黒色層24と、この黒色層24の透明電極21a、22a上の部分に形成したシート抵抗の低い銀等からなる導電層21b、22bとから構成されている。すなわち、黒色層24の透明電極21a、22aに重なる部分と導電層21b、22bとにより、透明電極21a、22aに通電するための母線を構成しており、そして黒色層24と同じ材料により遮光部が形成されている。また、黒色層24により形成された遮光部には、電極どうしがお互いに接触しないように隣り合う電極群間に電極群と平行なスリットLを設けて、電気的絶縁を確保している。
【0020】
ところで、図2において、非発光領域のIG部に導電性の電極があると、走査電極21と維持電極22が維持放電する際、前記非発光部IG上の誘電体層6を介した保護層7上に不要な電荷が蓄積され、走査電極21と維持電極22の維持放電に影響を与えていたが、酸化ルテニウムの添加量を0.1〜0.5%で調整し、膜厚を0.5〜1.5μmとしてシート抵抗を10×6〜10乗といった高抵抗にしてやれば、維持放電に影響を与えず、透明電極21a、22aとのオーミックコンタクトにも問題がなく安定に駆動させることができる。また、黒色化には酸化ルテニウムだけでなく、従来からよく用いられる鉄、ニッケル、クロム、コバルトの酸化物等の無機顔料系でも、その添加量を5〜20%、膜厚を1〜3μmとすることで高抵抗を維持したまま、同様の効果が得られる。
【0021】
なお、図3のように完全にスリットLをなくした構造の場合、シート抵抗値と駆動条件を最適化するという設計上の配慮が必要となる。
【0022】
また本実施の形態では、透明電極21a、22aを用いた構造にしているが、透明電極21a、22aをなくし、導電層のみで走査電極21と維持電極22を構成する図4の構造であれば、黒色層24は黒色化されているだけで良く、透明電極と電気的に接続される必要がないため、シート抵抗10×12〜14乗程度を用いても全く問題がない。
【0023】
このように非放電部を黒色化することで、外光が入射した場合に外光を吸収し、反射光が極めて少なくなる。
【0024】
次に、本発明の製造方法について、導電層のみで走査電極21と維持電極22を形成した図4に示す構造のプラズマディスプレイ装置を例にとって図5を用いて説明する。なお、図5においては、前面側の基板の製造方法のみを説明するが、他の部分については従来から知られているプラズマディスプレイ装置の製造方法を採用すればよい。
【0025】
まず、図5(a)に示すように、前面側基板1全面にフォトペーストである黒色遮光べた層25を塗布・乾燥により形成する。この黒色遮光べた層25は乾燥後で5μm程度に形成する。
【0026】
その後図5(b)に示すように、フォトリソグラフ工程によりストライプ状に露光部25aが形成されるように黒色遮光べた層25を露光する。この時の露光部25aのパターン幅はW1とし、図5(d)に示す工程において、Lは同じ長さであるが、W2より幅の狭い領域に露光するようにする。
【0027】
次に、図5(c)に示すように銀が主体のフォトペーストである導電べた層26を黒色遮光べた層25上から全面に塗布・乾燥により形成する。導電べた層26の膜厚は電気抵抗によって選定するが、本例では乾燥後10μmとした。
【0028】
次に図5(d)に示すように、所定のパターン幅W2となるようにW1の露光部25aとオーバーラップさせた露光部26aをフォトリソグラフ工程によりストライプ状に露光して形成する。
【0029】
その後、図5(e)に示すように、黒色遮光べた層25と導電べた層26を一括で現像・焼成し、所定のストライプ状のパターンで黒色層24と走査電極21、維持電極22を形成する。
【0030】
上記の工程で製造することにより、走査電極と維持電極の黒色部B1と非放電部の遮光部IGを共用することが可能となり、材料利用率が向上し、また遮光部を別工程で形成しなくても良いので、塗布、乾燥、焼成の回数も削減できる。
【0031】
また、図5(d)において、露光部26aを露光部25aとオーバーラップさせることにより、W2のB1側へのズレがなくなり、露光部26aと露光部25aのアライメントズレが発生することがなく、製造が容易になるとともに、表示発光を遮蔽することもないため、輝度を最大限にすることができる。
【0032】
【発明の効果】
以上のように本発明のプラズマディスプレイ装置によれば、少なくとも前面側が透明な一対の基板を基板間に放電空間が形成されるように対向配置し、かつ前面側の基板に放電セル部を形成するようにストライプ状の電極群を配置するとともに、放電セル部間の非放電部に対応するように遮光部を配置し、かつ背面側の基板に放電により発光する蛍光体層を設けてなるプラズマディスプレイ装置において、前記電極群は、表面側基板に形成した複数の層を有し、前記複数の層のうち一層を他の層よりシート抵抗の高い黒色層で構成するとともに、前記黒色層と前記遮光部とを同じ材料により構成し、かつ前記遮光部は、隣り合う電極群間に電極群と平行なスリットを有するものである構成としたことにより、非放電部を容易に黒色化することができ、材料の利用率を向上させるとともに、外光の反射を少なくすることができる。また、本発明によれば、遮光膜を別に形成することがなく、塗布、乾燥、焼成工程が不要になるため、工数を削減することが可能となり、コストダウンが図れる。さらに、本発明によれば、パターニングのためのアライメントが容易になり、歩留まりの向上を図れ、輝度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態によるAC型プラズマディスプレイ装置のパネル構造を一部を断面で示す斜視図
【図2】 図1のA−A’線で切断した断面図
【図3】 本発明の他の実施の形態によるAC型プラズマディスプレイ装置のパネル構造を示す断面図
【図4】 本発明の他の実施の形態によるAC型プラズマディスプレイ装置のパネル構造を示す断面図
【図5】 (a)〜(e)は本発明の製造方法を示す断面図
【図6】 AC型プラズマディスプレイ装置のパネル構造を一部を断面で示す斜視図
【図7】 図6のA−A’線で切断した断面図
【符号の説明】
1、8 基板
9 データ電極
10 隔壁
11 蛍光体層
12 放電セル
21 走査電極
21a 透明電極
21b 導電層
22 維持電極
22a 透明電極
22b 導電層
23 表示電極
24 黒色層
Claims (1)
- 少なくとも前面側が透明な一対の基板を基板間に放電空間が形成されるように対向配置し、かつ前面側の基板に放電セル部を形成するようにストライプ状の電極群を配置するとともに、放電セル部間の非放電部に対応するように遮光部を配置し、かつ背面側の基板に放電により発光する蛍光体層を設けてなるプラズマディスプレイ装置において、前記電極群は、表面側基板に形成した複数の層を有し、前記複数の層のうち一層を他の層よりシート抵抗の高い黒色層で構成するとともに、前記黒色層と前記遮光部とを同じ材料により構成し、かつ前記遮光部は、隣り合う電極群間に電極群と平行なスリットを有するものであることを特徴とするプラズマディスプレイ装置。
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