JP4425825B2 - レジンコーテッドサンド - Google Patents

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Description

本発明は、鋳鋼、鋳鉄、アルミニウム、銅およびこれらの合金等の鋳造用鋳型に使用されるレジンコーテッドサンドに関する。
シェルモールド法は、鋳物砂にフェノール樹脂等を被覆したレジンコーテッドサンドを、予熱した金型に充填し加熱硬化させる鋳型造型法で、鋳造業界では広く用いられている。レジンコーテッドサンド用の骨材である鋳物砂としては、珪砂が広く用いられているが、形状が不定形で流動性に劣るため、近年ますます複雑化している中子形状への充填に対応するには限界がある。また、珪砂は熱膨張が大きく、寸法精度の面でも課題がある。
そこで、これらの問題を解決する手段として、造粒焼成法等により製造した球状鋳物砂を用いることも提案されているが、得られる鋳物砂の球形度は低く、多孔質のものしか得られない。そのためレジンコーテッドサンドとした場合に流動性および充填性が不充分であり、鋳物表面の荒れを改善する効果は小さい。これを改善するために特許文献1では、溶融原料を風砕処理して球状鋳物砂とすることを提案しているが、焼成法によるものと比較して球形度および表面の平滑性は高くなるものの、未だ充分なものは得られない。また、特許文献2には、火炎溶融方法で製造された球状鋳物砂が開示されており、球状鋳物砂とフラン樹脂、アルカリフェノール樹脂を組み合わせた鋳型法が記載されている。
特開2003−251434号公報 特開2004−202577号公報
本発明は、流動性に優れ、高強度かつ、表面が平滑な鋳造用鋳型を製造することができるレジンコーテッドサンドを提供することを課題とする。また、近年注目されている鋳造法に積層造形法があるが、従来この方法に提案されているレジンコーテッドサンドは鋳型強度、未硬化砂の排出性といった点で十分とは言えず、この方法においても好適に使用できるレジンコーテッドサンドが望まれている。
本発明者らは、特定の成分組成および粒径を持ち、球形度が大きく、さらには表面が平滑であるため吸水率が小さい耐火性粒子である球状鋳物砂を用いたレジンコーテッドサンドが鋳型用砂として優れた性能を発揮することを見出し、本発明を完成させるに至った。本発明によれば、球状鋳物砂が粘結剤組成物で被覆されたレジンコーテッドサンドが提供される。本発明者は、このレジンコーテッドサンドが、鋳込み温度の高い鋳鋼品および鋳鉄品の作製に用いる鋳型材料に適していることを見出した。
すなわち、本発明は、平均粒径が0.02〜1.5mmである、火炎熔融法で製造された球状鋳物砂を、粘結剤組成物で被覆したレジンコーテッドサンドに関する。
また、本発明は、平均粒径が0.02〜1.5mm、吸水率が0.5重量%以下の球状鋳物砂を、粘結剤組成物で被覆したレジンコーテッドサンドに関する。
また、本発明は、上記本発明の上記レジンコーテッドサンドを用いて得られる鋳型、該鋳型を用いて製造された鋳物、上記本発明の上記レジンコーテッドサンドを用いて鋳型を製造する方法も提供する。
本発明によれば、流動性に優れ、高強度かつ、表面が平滑な鋳造用鋳型を製造することができるレジンコーテッドサンドが得られる。本発明のレジンコーテッドサンドは、高温での鋳込みに耐えられ、鋳鋼や鋳鉄に好適に用いられる。また本発明のレジンコーテッドサンドは、低膨張性であり、鋳造品において砂の膨張に起因する鋳造欠陥(ベーニングおよび鋳型割れなど)を防止し、複雑な鋳造品の寸法精度の要求に対応できる。
さらに本発明のレジンコーテッドサンドは表面が平滑な球状鋳物砂を用いることから、排砂性に優れ、少ない樹脂添加量でその表面を覆うことができ、鋳型とした場合に良好な接着が形成され高い鋳型強度を得ることができる。そのため鋳込み時の樹脂分解ガス発生量も少なく高品質の鋳物を製造できる。かつ経済的である。さらに本発明のレジンコーテッドサンドは流動性に優れ、鋳型細部の充填を高めることができる。また、鋳込み後における鋳型の崩壊性が良好である。本発明のレジンコーテッドサンドは、その優れた特性により、鋳物工場で特殊砂として採用されている高価なジルコンサンドおよびセラミックサンドに代替することが充分可能である。
<球状鋳物砂>
本発明のレジンコーテッドサンド(以下RCSと略記する)に用いられる球状鋳物砂は大きく2つの態様からなる。第1の態様は、平均粒径が0.02〜1.5mmである、火炎熔融法で製造された球状鋳物砂である。また、第2の態様は、平均粒径が0.02〜1.5mm、吸水率が0.5重量%以下である球状鋳物砂である。以下、これら2つを総称して「球状鋳物砂」ということがある。
本発明の球状鋳物砂は、特定の成分組成および平均粒径を持ち、球形度が大きい点に大きな特徴の1つを有する。かかる構成を有することから、流動性に優れ、高強度かつ表面が平滑な鋳造用鋳型の製造が可能となる。また、従来に比べて少ない樹脂量で鋳型を製造することができ、再生が容易である。
本発明の球状鋳物砂の形状である球状とは、球形度0.88以上、好ましくは0.90以上のものをいう。球状であるか否かについては、たとえば、後述の実施例に記載するように、鋳物砂を光学顕微鏡やデジタルスコープ(たとえば、キーエンス社製、VH−8000型)等で観察し、判定することができる。
本発明の球状鋳物砂の主成分は、従来公知の耐火物および耐火物原料を火炎溶融法にて球状化したものが用いられ、特に限定されない。これら耐火物および耐火物原料の中で、耐火性や入手のしやすさなどの観点から、SiO2を主成分としたもの、Al23およびSiO2を主成分としたもの、MgOおよびSiO2を主成分としたものが好ましい。それらの中でも、耐火性、熱膨張性の観点から、特にAl23およびSiO2を主成分としたものが好ましい。
ここで「主成分」とは、上記成分が合計量で鋳物砂全体の全成分中に60重量%以上、好ましくは80重量%以上含有されていることをいう。主成分の含有量としては、耐火性の向上という観点から、これら成分の合計量は、球状鋳物砂の全成分中、好ましくは85〜100重量%、より好ましくは90〜100重量%である。
なお、本発明の球状鋳物砂に主成分以外の成分として含まれ得るものとしては、たとえば、CaO、Fe23、TiO2、K2O、Na2O等の金属酸化物が挙げられる。これらは、出発原料に由来するものである。
Fe23とTiO2が含まれる場合、それらの含有量としてはそれぞれ5重量%以下が好ましい。また、Fe23の含有量は2.5重量%以下がより好ましく、2重量%以下がさらに好ましい。K2OとNa2Oが含まれる場合、それらの含有量としては合計量として3重量%以下が好ましく、より好ましくは1重量%以下である。
また、Al23およびSiO2を主成分とする場合、Al23/SiO2重量比率は1〜15であることが好ましい。耐火性および鋳物砂の再生効率の向上の観点から、1.2〜12が好ましく、1.5〜9がより好ましい。また、このAl23およびSiO2、若しくはSiO2のみが主成分である場合、主成分以外の成分としてCaOとMgOが含まれ得る。その場合、球状鋳物砂の耐火性の向上の観点から、それらの含有量としては合計量として5重量%以下が好ましい。
また、MgOおよびSiO2を主成分とする場合、MgO/SiO2の重量比率は0.1〜10が好ましい。球状化のし易さおよび耐蝕性、耐火性および鋳物砂の再生効率の向上の観点から、0.2〜9が好ましく、0.3〜5がより好ましい。
また、このMgOおよびSiO2が主成分である場合、主成分以外の成分としてAl23が含まれうる。これは原料に由来するが、球状鋳物砂の耐蝕性向上の観点から含有量として10重量%以下が好ましい。
本発明の球状鋳物砂の平均粒径(mm)は0.02〜1.5mmの範囲である。0.02mm以上、好ましくは0.05mm以上であれば鋳型の製造に要する樹脂量を低減でき、鋳物砂として再生するのが容易となる。一方、1.5mm以下であれば鋳型の空隙率が小さくなり、鋳型強度の向上に繋がるため好ましい。球状鋳物砂の再生効率を高める観点から、0.05〜1.5mm、更に0.075〜1.5mmが好ましく、一方、鋳型強度を高める観点から、0.05〜1mmが好ましい。再生効率と鋳型強度の両者を高める観点から、0.05〜1mm、更に0.05〜0.5mm、特に0.05〜0.35mmが好ましい。なお、最終的に得られる本発明のRCSも、同様の平均粒子径の範囲が好ましい。
前記平均粒径は以下のようにして求めることができる。すなわち、球状鋳物砂粒子の粒子投影断面からの球形度=1の場合は直径(mm)を測定し、一方、球形度<1の場合は球状鋳物砂粒子の長軸径(mm)と短軸径(mm)を測定して(長軸径+短軸径)/2を求め、任意の100個の球状鋳物砂粒子につき、それぞれ得られた値を平均して平均粒径(mm)とする。長軸径と短軸径は、以下のように定義される。粒子を平面上に安定させ、その粒子の平面上への投影像を2本の平行線ではさんだとき、その平行線の間隔が最小となる粒子の幅を短軸径といい、一方、この平行線に直角な方向の2本の平行線で粒子をはさむときの距離を長軸径という。
なお、球状鋳物砂粒子の長軸径と短軸径は、光学顕微鏡またはデジタルスコープ(例えば、キーエンス社製、VH−8000型)により該粒子の像(写真)を得、得られた像を画像解析することにより求めることができる。また、球形度は、得られた像を画像解析することにより、該粒子の粒子投影断面の面積および該断面の周囲長を求め、次いで、〔粒子投影断面の面積(mm2)と同じ面積の真円の円周長(mm)〕/〔粒子投影断面の周囲長(mm)〕を計算し、任意の50個の球状鋳物砂粒子につき、それぞれ得られた値を平均して求める。
本発明の球状鋳物砂としては、RCSの流動性の向上の観点から、その球形度が、0.95以上であるものが好ましく、0.98以上であるものがより好ましく、0.99以上であるものがさらに好ましい。なお、最終的に得られる本発明のRCSも、同様の球形度の範囲が好ましい。よって、本発明の第1の態様の球状鋳物砂としては、たとえば、Al23およびSiO2を主成分として含有してなり、Al23/SiO2重量比率が1〜15、平均粒径が0.02〜0.5mm、球形度が0.95以上である火炎溶融法でつくられた球状鋳物砂が好適である。
本発明の第1の態様の球状鋳物砂は火炎溶融法により得られるものである。従って、球形度が高く、緻密であるという構造的特徴を有する。当該構造的特徴は、流動性、鋳型強度、鋳造された鋳物の表面平滑性の向上に大きく寄与する。
また、本発明の球状鋳物砂の吸水率(重量%)としては、鋳型の製造の際に使用する樹脂の鋳物砂内部への吸収による樹脂使用量の増加の抑制や、鋳型強度の向上等の観点から、3重量%以下が好ましく、0.8重量%以下がより好ましく、0.5重量%以下がさらに好ましく、0.3重量%以下が特に好ましい。吸水率はJIS A1109細骨材の吸水率測定方法に従って測定することができる。また、粘結剤で被覆されたRCSや、鋳込み後の粘結剤残分が残留している場合は、熱処理(例えば1000℃以上)等、適切な方法によって、それら成分を取り除いた後に吸水率を測定する。
一方、本発明の第2の態様の球状鋳物砂の吸水率は0.5重量%以下である。鋳型の製造の際に使用する樹脂の鋳物砂内部への吸収による樹脂使用量の増加の抑制や、鋳型強度の向上等の観点から、0.3重量%以下が好ましく、0.1重量%以下がより好ましい。
なお、球状鋳物砂の吸水率は、火炎溶融法により該砂を調製した場合、該方法以外の焼成方法により調製した砂と比べて、同じ球形度であれば、通常、吸水率は低くなる。
本発明の第2の態様の球状鋳物砂の主成分は、第1の態様の球状鋳物砂と同様であり、耐火性、熱膨張性の観点から、特にAl23およびSiO2を主成分としたものが好ましく、Al23/SiO2重量比率は1〜15が好ましい。
一方、本発明の球状鋳物砂の球形度が0.98以上である場合、かかる球状鋳物砂が、珪砂等の流動性の低い公知の鋳物砂との混合物中に好ましくは50体積%以上含有されておれば、該混合物からなる鋳物砂は充分に本発明の所望の効果を発揮し得る。すなわち、前記のような公知の鋳物砂に本発明の球状鋳物砂を徐々に添加していけば、添加量に応じて本発明の所望の効果を発揮するようになるが、前記混合物からなる鋳物砂中に、前記所定の球形度を有する本発明の球状鋳物砂が50体積%以上含まれると、その効果は顕著になる。なお、当該混合物からなる鋳物砂中の、球形度が0.98以上である本発明の球状鋳物砂の含有量としては、より好ましくは60体積%以上、さらに好ましくは80体積%以上である。従って、本発明の球状鋳物砂としては、その利用性に優れることから、球形度が0.98以上であるものが特に好適である。また、かかる球状鋳物砂を50体積%以上含む鋳物砂は、本発明の球状鋳物砂と同等の効果を発揮し得ることから、かかる鋳物砂も本発明に包含される。
前記の通り、本発明の第1の態様の球状鋳物砂は火炎溶融法により製造される。一方、本発明の第2の態様の球状鋳物砂は、たとえば、造粒して焼結する方法、電融アトマイズ法等の公知の方法により製造することが可能であるが、中でも、本発明の第1の態様の球状鋳物砂と同様に火炎溶融法により製造するのが好適である。そこで、以下においては、火炎溶融法による、本発明の球状鋳物砂の製造方法の一例を説明する。
本発明の球状鋳物砂は、例えば、Al23およびSiO2を主成分とする、Al23/SiO2重量比率が0.9〜17、平均粒径が0.05〜2mmの粉末粒子を出発原料とし、当該粉末粒子を火炎中で溶融して球状化する工程を含む製造方法により得ることができる。
なお、ここで「Al23およびSiO2を主成分とする」とは、出発原料としての粉末粒子全体における全成分中にAl23およびSiO2が合計量で80重量%以上含有されていることをいう。よって、「Al23およびSiO2を主成分とする」限り、当該粉末粒子としては、後述するようなAl23源としての原料とSiO2源としての原料の混合物からなるものであっても、(Al23+SiO2)源としての原料単独からなるものであっても、また、Al23源としての原料および/またはSiO2源としての原料と(Al23+SiO2)源としての原料との混合物であってもよい。
出発原料としての前記粉末粒子においては、主成分であるAl23およびSiO2の合計量としての含有量は、得られる球状鋳物砂中のAl23およびSiO2の合計量が全成分中80重量%以上になるようにする観点から、好ましくは75重量%以上であり、より好ましくは80重量%以上であり、さらに好ましくは85〜100重量%、特に好ましくは90〜100重量%である。Al23/SiO2重量比率としては、得られる球状鋳物砂中のAl23/SiO2重量比率が1〜15になるようにする観点から、0.9〜17であり、好ましくは1〜15である。平均粒径としては、単分散の球状鋳物砂を得る観点から0.05mm以上であり、所望の球形度を有する鋳物砂を得る観点から2mm以下であり、それらの両観点を満たすため0.05〜2mmである。また、得られる鋳物砂の球形度の向上という観点からは、0.05〜1.5mmが好ましい。
Al23/SiO2重量比率が、原料粉末粒子と得られる球状鋳物砂とで異なるのは、原料によってAl23の逸失量とSiO2の逸失量とが異なるためである。また、原料粉末粒子の平均粒径については、不定型の粉末は球状になることで粒径が減少するが、もともと球状の粉末は粒径が変化しないので、上記範囲であればよい。
本発明の球状鋳物砂を得るためには、出発原料としての粉末粒子は、溶融時の成分蒸発を考慮し、Al23/SiO2重量比率および平均粒径が上記範囲内になるよう調製して使用する。
出発原料である粉末粒子を溶融する際、当該粒子に水分が含まれると、該水分が蒸発するため、得られる鋳物砂には当該水分の蒸発に伴って多数の開孔が形成されることになる。当該開孔の形成は、鋳物砂の吸水率の増加や、球形度の低下をもたらす。従って、出発原料の含水率(重量%)としては、得られる球状鋳物砂の吸水率および球形度を適切な範囲に調節する観点から、10重量%以下が好ましく、3重量%以下がより好ましく、1重量%以下がさらに好ましい。含水率は粉末粒子10gを800℃で1時間加熱した時の減量により測定する。
出発原料は、たとえば、耐火性を有する鉱産原料および合成原料から選ぶことができる。Al23源としての原料として、ボーキサイト、バン土頁岩、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム等を挙げることができる。また、SiO2源としての原料として、珪石、珪砂、石英、クリストバライト、非晶質シリカ、長石、パイロフィライト等を挙げることができる。また、(Al23+SiO2)源としての原料として、カオリン、バン土頁岩、ボーキサイト、雲母、シリマナイト、アンダルサイト、ムライト、ゼオライト、モンモリロナイト、ハイロサイト等を挙げることができる。これらの原料はそれぞれ単独で、もしくは2種以上を混合して使用することができる。選択された出発原料は、その含水率を低下させるため、あるいはその溶融を容易にするために仮焼して使用するのが好ましい。仮焼された原料粉末粒子としては、仮焼バン頁、仮焼ムライト、仮焼ボーキサイト、仮焼した水酸化アルミニウムとカオリンとの混合物等が例示される。
出発原料としての粉末粒子を火炎中で溶融して球状化する工程では、上記のような出発原料を酸素等のキャリアガスに分散させ、火炎中に投入することによって溶融し、球状化を行う(火炎溶融法)。好適な態様においては、下記火炎中に、投入する。
用いる火炎はプロパン、ブタン、メタン、天然液化ガス、LPG、重油、灯油、軽油、微粉炭等の燃料を酸素と燃焼させることによって発生させる。燃料の対酸素比は完全燃焼の観点から容量比で1.01〜1.3が好ましい。高温の火炎を発生させる観点から、酸素・ガスバーナーが好適である。特にバーナーの構造は限定するものではないが、特開平7−48118号公報、特開平11−132421号公報、特開2000−205523号公報または特開2000−346318号公報で開示されているバーナーが例示される。
本発明の製造方法で用いる0.05〜2mmの範囲にある大きな平均粒径をもつ上記耐火性の原料粉末を球状化するには以下の手法が好適である。
火炎中への粉末粒子の投入は、キャリアガス中に分散して行なう。キャリアガスとしては、酸素が好適に用いられる。この場合、キャリアガスの酸素は燃料燃焼用として消費できる利点がある。ガス中の粉体濃度は、粉末粒子の充分な分散性を確保する観点から、0.1〜20kg/Nm3が好ましく、0.2〜10kg/Nm3がより好ましい。
さらに、火炎中に投入する際には、メッシュ、スタティックミキサー等を通過させて分散性を高めることがより好ましい。
火炎中での球状化を速やかに行なうと共に、単分散した球状鋳物砂を得る観点から、原料粉末粒子の形状と組成を選択することが好ましい。形状としては、火炎中での滞留時間確保や溶融、球状化を速やかに行なう観点から、原料粉末粒子の長軸径/短軸径比が9以下であるのが好ましく、より好ましくは4以下、さらに好ましくは2以下である。一方、組成としては、融着していない単分散の球状粒子を得る観点から、Al23/SiO2重量比率が1.5〜10であるのが特に好適である。
また、粉末粒子は、N2不活性ガス等を電離させて生じるプラズマジェット火炎中でも好適に溶融し、球状化できる。
鋳造用鋳型の製造に使用する観点から、本発明の球状鋳物砂の粒子密度(g/cm3)としては、1〜3.5g/cm3の範囲であるのが好ましい。より高強度の鋳型を所望する場合、該粒子密度としては2.5〜3.5g/cm3の範囲であるのが好ましい。この範囲のものは中実で緻密であり高強度の鋳型が得られる。また、軽量な鋳型を所望する場合、該粒子密度としては1〜2.5g/cm3の範囲であるのが好ましい。この範囲のものは内部に空間を有する多孔質であり軽量な鋳型が得られる。粒子密度は、JIS R1620の粒子密度測定法に従って測定することができる。
本発明の球状鋳物砂は、耐火度はSK17(1480℃)以上が好ましく、低熱膨張性で、耐火度は1800℃以上がより好ましく、SK37(1825℃)以上が更に好ましい。上限は特に限定されないが、SK42(2000℃)以下が好ましい。この耐火度は、JIS R 2204に基づくゼーゲルコーン法に従って測定したものである。
また、本発明の球状鋳物砂は、その表面積が多角型の粒状骨材、表面が多孔性の球状骨材や球形度の劣る球状骨材に比べ小さいため、少ない樹脂添加量で鋳物砂の表面を覆うことができる。また被覆された樹脂により鋳物砂同士を接着し鋳型を造る際には鋳物砂の表面が平滑であるため少量の樹脂でも良好な接着が形成され高い鋳型強度を得ることができる。その結果、注湯時には湯の圧力に充分耐えうるだけの強度を維持でき、かつ鋳込み後における崩壊性が良好な鋳物砂となり得る。
<粘結剤組成物>
本発明のRCSは、上記本発明の球状鋳物砂を粘結剤組成物で被覆してなるものである。
本発明に用いる粘結剤組成物は、樹脂を含有し、必要に応じて崩壊促進剤、滑剤、シランカップリング剤、硬化剤等を含有することができる。樹脂は、注湯時には鋳物砂の相互結着を維持し、かつ注湯後に鋳物砂相互の結着を崩壊させうる性質を有する樹脂であれば特にこれに限定されない。本発明に用いる樹脂としては、例えば、フェノール系樹脂、ユリア系樹脂、メラミン系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ケイ素系樹脂、ポリイミド系樹脂、フラン樹脂等が挙げられるが、特にこれに限定されない。このうち、ノボラック樹脂、またはレゾール樹脂等のフェノール系樹脂が好ましい。ここで、注湯時の温度が高い金属を使用する場合(例えば、鉄の場合注湯時の温度は、通常1300から1600℃である)、該温度でも上記性質を有する樹脂を使用することが特に好ましい。
また、樹脂としては、型に投入する時点で固体であり、加熱等の作用により溶融し、鋳物砂相互を結着させる性質を持つものが好ましい。一般的には、得られたRCSの融着点(JACT試験法C−1)が50〜200℃、更に80〜120℃となるように樹脂の融点、固形分を調整し被覆するのが好ましい。このような特性を得るためには、融点(JACT試験法RS−1)が50〜150℃、更に60〜90℃であるような樹脂を用いるのが好ましい。
本発明に係る粘結剤組成物中、樹脂の含有量は、全固形分中、10〜100重量%、更に50〜98重量%、特に60〜90重量%が好ましい。
また、従来公知の崩壊促進剤を含有させてもよい。例えば、コバルト、ニッケル等の金属の酸化物、各種硝酸塩、リン化合物、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリブチル等のホウ酸化合物、カルボン酸塩等が挙げられる。
また、滑剤としては、ステアリン酸カルシウム、エチレンビスステアリン酸アミド等を使用することができる。粘結剤組成物に滑剤を用いる場合、樹脂がフェノール樹脂の場合は、フェノール樹脂100重量部に対して、滑剤を0.2〜7重量部含有させるのが、RCSの流動性やシェルモールド法によって得られた鋳型の強度の点で好ましい。
また、シランカップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等を使用することができる。粘結剤組成物にシランカップリング剤を用いる場合、樹脂がフェノール樹脂の場合は、フェノール樹脂100重量部に対して、シランカップリング剤を0.01〜10重量部含有させるのが、得られる鋳型の強度や崩壊性の点で好ましい。
また、シェルモールド法によって得られる鋳型の強度を向上させ、また粘結剤の硬化速度を速めるために、粘結剤組成物中に硬化剤、特にフェノール樹脂に対してはヘキサメチレンテトラミンを含有させておいてもよい。ヘキサメチレンテトラミンを含有させる場合の含有量は、鋳型の崩壊性の観点から、フェノール樹脂100重量部に対して、5〜20重量部であることが好ましい。
本発明に用いる粘結剤組成物の添加量としては、該組成物中の樹脂量が、球状鋳物砂相互の結着に必要な最低量であればよい。つまり、鋳込後の崩壊性を損なわない量が用いられる。具体的には、樹脂の添加量(固形分換算)としては、本発明の球状鋳物砂100重量部当たり3から0.5重量部が好ましく、より好ましくは2.5から0.5重量部である。
粘結剤組成物による本発明の球状鋳物砂の被覆方法は特に限定されないが、従来公知の方法であるドライホット法、セミホット法、コールド法等が挙げられる。本発明に用いるには、被覆する樹脂の量を少なくすることができるので、ドライホット法が好ましい。なお、上記粘結剤組成物の成分は、全成分を含む1剤型の組成物として用いても良いし、別々に用いても良い。
より具体的な被覆方法としては、例えば社団法人鋳造技術普及協会のJACTレジンコーテッドサンド製造作業基準のドライホット法と同様の手順が挙げられる。すなわち、樹脂としてフェノール樹脂を含有する粘結剤組成物を用いた場合、本発明の鋳物砂を130から160℃の温度で加熱し、そこに粘結剤組成物を添加して混練することにより粘結剤組成物(該組成物中の樹脂)を溶融する。次いで100から110℃の温度に下げ、ヘキサメチレンテトラミン、パラホルムアルデヒド、トリオキサン等の硬化剤を例えば水溶液として添加して更に混練し固化させることにより鋳物砂に樹脂を被覆させ、さらに混練することにより単粒子に崩壊し、本発明のRCSを得ることができる。滑剤は、硬化剤を添加した後、混練物が単粒子に崩壊しはじめた段階で添加することが好ましい。なお、レゾール樹脂の場合は、硬化剤は必ずしも必要とされず、単に加熱することにより本発明の樹脂で被覆されたRCSを得ることができる。
本発明のRCSは、鋳物を作製する際の鋳型材料として使用できる。さらに、本発明のRCSは、表面が平滑な球状鋳物砂を使用するため、少ない樹脂添加量でその表面を覆うことができ、鋳型とした場合に良好な接着が形成され高い鋳型強度を得ること、そのため鋳込み時の樹脂分解ガス発生量も少なく高品質の鋳物を製造できること、流動性に優れ、鋳型細部の充填を高めることができることから、複雑な形状の中子、中空中子の製造を可能とすることができ、特に中空中子の製造に好適である。
また、本発明のRCSは、特に薄肉部分を持つ中子等の鋳型を生産性高く製造でき、肉厚さが5mm以下、好ましくは4mm以下の薄肉部分を持つ鋳型、なかでも中子については流動性が高く充填不良も防止できる。なお、ここで、5mm以下の薄肉部分を持つ鋳型とは、成型後の鋳型の最狭部分の厚みが5mm以下である鋳型を表す。
本発明の鋳型は、表面粗さRaが20μm以下であることが好ましく、更に1〜15μmであることが好ましい。Raは、後述の実施例記載の、表面粗さ測定器により測定できる。
鋳造で用いられるシェル中子は、中実体で使用する場合の鋳込み時のガス抜きの問題、或いはRCS使用量の節減、中子軽量化による作業性の改善、鋳造品からの砂落しの簡易化を図るために、その内部を中空にする、所謂、中空中子を製造することがある。中子の中空化は、加熱した中子型にRCSを充填し中子型を加熱することにより所要の厚さの硬化外層を形成させた後、内部の未硬化RCSを排出することにより行なうことができる。内部の未硬化RCSを排出する方法としては、型を反転して重力でRCSを落下させる方法(反転排砂法)、それに加えて振動を与えることによりRCS落下を促進させる方法(振動排砂法)、圧搾空気にて未硬化RCSを吹き飛ばして排出させる方法(エアブロー排砂法)、未硬化RCSを吸引ノズルにて吸引して排出させる方法(吸引排砂法)や、エアブロー排砂法と吸引排砂法を同時に行う方法などが挙げられる。
本発明の中子等の鋳型を用いることにより、表面粗さRaが好ましくは8μm以下、より好ましくは5μm以下である鋳物を得ることが可能であり、鋳物の組成として、鋳鋼、鋳鉄、アルミニウム、銅、マグネシウムおよびこれらの合金等の鋳型用途に好適に使用される。本発明は、樹脂添加量を低減できるため、鋳型からのガス発生量が少なく出来ることから、ガス欠陥にシビアな銅、アルミ、マグネシウムなどに好適である。Raは、後述の実施例記載の、表面粗さ測定器により測定できる。
本発明の鋳物としては、最も複雑な構造を有し、かつ鋳肌表面の美しさ、寸法精度が要求されるものにも使用できる。具体的な鋳物の例としては、建設機械の油圧バルブ、モーター、金型、エンジンフレーム、工作機械、建築部材等に用いられる、部材、部品等が挙げられ、特に、配管部品、フィン部分や複雑なモーター部品(ケーシング)、平滑性が要求されるポンプ部品(インペラーなど)、駆動伝達装置の部品等が挙げられる。
本発明のRCSを利用する鋳型造型法は、一般的にはシェルモールド法であるが、それ以外の熱硬化性鋳型造型法も含められ、シェルモールド法が望ましい。すなわち、本発明のRCSは、熱硬化性鋳型造型用の鋳物砂であり、特にシェルモールド用鋳物砂として好適である。
本発明の鋳物砂は、球状で表面が平滑であることから、当該鋳物砂を用いて作製したRCSは高流動性となり、より複雑な形状の鋳型への充填不良や破損を防止することができる。また、本発明の球状鋳物砂は、少ない樹脂量でその表面を覆うことができ、RCSから鋳型を作製した場合、良好な接着が形成され、高い鋳型強度が得られる。なお、前述の通り、本発明の球状鋳物砂およびRCSは、単独で、もしくは珪砂等の従来公知の鋳物砂や耐火性骨材およびそれらから得たRCS、更には従来公知の添加剤等を適宜混合して、使用することができる。また、かかるRCSは球形で流動性が良好であるため、積層造型法(例えば特表2004−508941号、特開2000−24750号)の積層の際にも好適に使用できる。
積層造形法において従来より提供されているRCSは、鋳物砂に粘結剤組成物を被覆したものであるが、鋳物砂が不定形であるためにRCSの形状も不揃いとなり、密にRCSを散布することに課題があった。また硬化後の鋳型強度を得るために多くの樹脂が必要であり、得られた鋳型に鋳物を鋳込む際にガス欠陥をもたらすという課題があった。そのためRCSに球形の合成砂が用いられるが、従来の合成砂では球形度が不十分であり、また表面の平滑性が十分とはいえずそのためRCSの散布性も不十分であるとともに鋳型強度を得るため樹脂も多く必要であった。また積層造形後、未硬化部のRCSを排出することが必要であるが複雑な形状の鋳型について排出のためのRCSの流動性が不十分であった。本発明のRCSではこれらの問題を解決することが可能である。
積層造形法に用いる球状鋳物砂の平均粒径は、鋳物砂の粒径が大き過ぎると、砂層における表面の凹凸が大きく鋳型の精度が得られない観点、鋳物砂の粒径が小さすぎると、砂層における表面の凹凸を小さくできるものの、粘結剤組成物を被覆させるために鋳物砂と粘結剤組成物とを混練するとき、均一な混練が難しくなる観点、更に鋳造時において発生ガスの排出が極端に悪くなる観点から、0.02〜1.5mmであり、0.02〜1mmが好ましく、0.04〜0.08がより好ましく、0.04〜0.07が特に好ましい。
また、積層造形法に用いる場合、球状鋳物砂の平均粒径は、0.02〜1.5mmであるが、造型される鋳型の精度を高める観点から、球状鋳物砂の粒径分布は狭い方が好ましい。
また、積層造形法に用いる場合、球状鋳物砂の熱膨張性は低いことが好ましい。これは、熱線の照射により球状鋳物砂が加熱されたときの熱膨張を抑え、造型される鋳型の精度を高くでき、また、鋳造時、鋳型の熱変形による歪や、中子割れを抑制できる観点からである。
積層造型法の好ましい方法としては、本発明のRCSを散布して薄い砂層を形成する散布工程と、砂層に熱線を照射して粘結剤組成物を硬化させる照射工程とを行い、散布工程、照射工程を交互に繰り返すことにより厚み方向に積層して造形することができる。
熱線源としては電熱器、レーザービームなどが好ましい。熱線がRCSに照射されると、粘結剤組成物は溶融後熱硬化し、隣接する鋳物砂が結合する。従って粘結剤組成物中の樹脂はフェノール樹脂等の熱硬化型である。照射工程で用いるレーザビームとしては、例えば、CO2レーザ、YAGレーザ等を選択でき、可視、非可視いずれのレーザビームでも良い。
積層造形法における造形物の精度の確保を考慮すると、樹脂はRCSの融着温度を100℃以上にするものが好ましい。造型させた後、未硬化層の砂を排出し、代わりに粘結剤組成物を被覆していない砂で空洞部をバックアップした後、鋳型全体を加熱することにより鋳型の熱硬化を更に進め硬化を完了させる方法においても、RCSの形状が真球に近く、被覆粘結剤組成物が少ないことによって、未硬化のRCSの排出性に優れている。
上記の通り、本発明のRCSから作製した鋳型は高強度であるため、同等の強度を得るための樹脂添加量を低減することができる。したがって、経済的であると共に、鋳物砂として再利用する際、効率的に再生できる。更に本発明のRCSによって得られた鋳型は、鋳込み後の鋳型割れ、ベーニング、焼着を解消することができ、しかも表面が平滑であるため、得られる鋳物の表面が平滑になり、後工程である研磨工程での負荷が小さい鋳物が得られる。また該鋳型は、注湯後振動等により容易に崩壊することができる。
<鋳物砂の製造>
表1の鋳物砂中、本発明品1、焼成法ムライト砂、電融法砂は、それぞれ以下の方法で得られたものである。
(1)本発明品1
Al23とSiO2を合計量で96重量%含有する、Al23/SiO2重量比率が2.7、含水率が0重量%、平均粒径が0.21mm、長軸径/短軸径比が1.5、のムライト粉末を出発原料とし、当該粉末を、酸素をキャリアガスとして用い、LPG(プロパンガス)を対酸素比(容量比)1.1で燃焼させた火炎(約2000℃)中に投入し、単分散した球状鋳物砂(表1の本発明品1)を得た。
(2)焼成法ムライト砂
Al23/SiO2重量比率が2.7となるよう水酸化アルミニウムとカオリンを混合し、スプレードライヤーを用いて球状にした粉末粒子(Al23とSiO2を合計量で96重量%含有)を電気炉中にて1500℃で1時間焼成することにより球状鋳物砂(表1の焼成法ムライト砂)を得た。
(3)電融法砂
アルミナとシリカを含む合成ムライトの原料をアーク炉にて溶融させ、1600℃〜2200℃の温度で溶出させ、風砕する電融アトマイズ法で球状鋳物砂(表1の電融法砂)を得た。
実施例1〜2および比較例1〜4
(1)RCSの製造
鋳物砂として上記で得られた鋳物砂とフラタリー珪砂を用いた。それらの化学組成等を表1に示した。表1中、フラタリー珪砂は従来の不定形珪砂であり、焼成法ムライト砂と電融法砂は、従来の球状鋳物砂に相当する。
表1の鋳物砂と表2に示す粘結剤組成物の各成分とを表2の比率で用いて、RCSを製造した。具体的には、鋳物砂を150℃で加熱した後、鋳物砂100重量部に対してフェノール樹脂(AVライト、旭有機材工業株式会社)を1.0重量部添加して混練した。次いで、温度を105℃に下げ、この温度でヘキサメチレンテトラミン水溶液(硬化剤)(濃度18重量%)を鋳物砂100重量部に対して0.83重量部(固形分換算では0.15重量部)添加して混練し、更に冷風を吹き込みながら混練した。更に、流動性を高めるためにステアリン酸カルシウム(滑剤)を鋳物砂100重量部に対して0.05重量部添加して混練することによりRCSを得た。
なお、実施例2では、実施例1のRCSをシェル法で成型し鋳型を得た後、1000℃にて30分間焙焼処理を行った砂を焙焼再生砂として用いた。また、比較例4では、鋳物砂100重量部に対してフェノール樹脂を0.8重量部、ヘキサメチレンテトラミン水溶液(濃度18重量%)を0.66重量部用いる以外は上記と同様に製造した。この比較例4は、RCSの単位体積当たりのフェノール樹脂量を減らして、実施例1等と同じに揃えたものである。
(2)評価
上記で製造したRCSについて、粒度指数、球形度、1000℃における熱膨張率、流動性、シェル法にて鋳型とした際の抗折力を測定した。その結果を表3に示す。また、RCSの単位体積当たりの樹脂量も併せて表3に示した。
また、RCSを用い抗折力用の試験片を250℃、90秒で焼成した。抗折力はJIS K−6910法に準じて測定した。この試験片の密度も表3に示した。
また、1000℃における熱膨張率は、熱膨張測定機を用いて測定した。球形度は、顕微鏡にてRCSを撮影し画像解析にて測定した。流動性はJIS K−6721のカサ比重測定器を用い、RCSを100mlカップにとり、この100mlのRCSをカサ比重測定器のコーンに入れ流下させたときの流下時間を測定することにより評価した。
Figure 0004425825
Figure 0004425825
Figure 0004425825
表3の結果から、本発明のRCSは流動性が高く鋳型を造型する際に微細な形状部に良好な充填をすることができる。これは球形度が高いことと本発明の球状鋳物砂の表面が平滑であるためと推察される。
また、実施例1のRCSは、比較例3以外のRCSに比べて高い抗折力を有している。そして、比較例3と対比しても、同等の抗折力を発現するための体積当たりの樹脂量は実施例1の方が少なく、より有利であることがわかる。このため鋳込み時のガス発生量を低減でき鋳物のガス欠陥を低減できる。これは本発明の球状鋳物砂の球形度が高く表面が平滑であるため少量の樹脂により十分な鋳型強度を実現できることに由来する効果と考えられる。
実施例3〜4および比較例5〜6
表1の鋳物砂を用いて、実施例1と同様に樹脂で被覆したRCSを、表4の組成で用いて得た鋳型について、それぞれ鋳込み試験を行なった。まずRCSを用い、試験中子型を250℃・90秒で焼成した。別に造型した主型に試験中子をセットし、約1470℃の鋳鉄(FC200)の溶湯を注湯した。鋳込み冷却後(鋳込み終了時より2時間放置後)、鋳型割れについて観察した。その後、鋳型をコアノックにより崩壊し、ベーニングおよび焼着に関して中子面を観察した。その結果を表4に示す。なお、表4中、鋳型割れの「○」は鋳型割れが無いことを、「×」は鋳型割れが発生したことを意味する。また、ベーニングの「○」はベーニングが無いことを、「△」はベーニングがやや発生したことを、「×」はベーニングが発生したことを意味する。また、焼着の「○」は焼着が無いことを、「×」は焼着が発生したことを意味する。
Figure 0004425825
実施例5および比較例7、8
以下の方法でRCSを製造し、以下の方法で評価を行った。結果を表6に示す。
(1)RCSの製造
表1の本発明品1と同様に製法(火炎溶融法)により得た表5の本発明品2の球状鋳物砂、焼成法により得た表5の焼成法ムライト砂Bを用いた。これらの鋳物砂に、表6に示す成分を表6に示す量で用い、それ以外は実施例1等と同様の方法でRCSを製造した。なお、表6中、フェノール樹脂Bは、ノボラックタイプのフェノール樹脂であり、RCSの融着温度を110℃とするものである。この融着温度は、JACT試験法C−1(融着点試験法)に基づいて測定した。
(2)評価
(2−1)
抗折力は実施例1と同様の方法を用いた。
(2−2)
RCSを設置面に薄く散布して砂層を形成する。砂層の厚みは1mmとした。散布工程を終えたら、次に砂層上空に遮光マスクを設置し、電熱器にて遮光マスクを通して熱線を照射する照射工程を実行する。砂層のうち、熱線が直接照射された照射領域の樹脂は、熱硬化して砂粒子同士を結合させ、固化層を形成する。一方、砂層のうち、熱線が照射されなかった未照射領域の粘結剤組成物は未硬化である。
このような散布工程、照射工程を交互に繰り返して固化層を厚み方向に積層し、造形物としての鋳造用の鋳型を造形する(図1)。積層枚数は50枚程度行い図2に示す直径30mm深さ30mmの円筒形空洞を持つ鋳型を調製した。
得られた鋳型を反転し直径10mmの未硬化部より円筒空洞内の未硬化RCSを重力により排出し排出されたRCSの重量(A)を測定した。その後鋳型を割り内部に残った未硬化RCSの重量(B)を測定した。100×A/(A+B)を排砂性(%)とした(図3)。
Figure 0004425825
本発明品2は、篩を用いて粒径の分布を操作したものであり、鋳物砂全体を100%とすると、粒径が50μm以上で75μm未満のものが重量比で約60%であり、75μm以上で100μm未満のものが重量比で約40%であった。このことから本発明品2の粒径範囲は50〜100μmであると考えられる。
Figure 0004425825
実施例5では比較例7および8と比較し高い排砂性を示し容易に未硬化RCSを排出することができた。振動および吸引によっても排出が容易であることは容易に推定できる。
実施例6および比較例9、10
以下の方法でRCSを製造し、以下の方法で評価を行った。結果を表7に示す。
(1)RCSの製造
表1の本発明品1、焼成ムライト砂を用いた。これらの鋳物砂に、表7に示す成分を表7に示す量で用い、それ以外は実施例1等と同様の方法でRCSを製造した。なお、表7中、フェノール樹脂Bは、実施例5等と同じものである。
(2)評価
(2−1)
抗折力は実施例1と同様の方法を用いた。
(2−2)
図4に示した内径50mm、深さ50mmの円筒状空洞を有する金型(割型)を250℃に加熱し、空洞部に直径10mmの開口部よりRCSを充填し、30秒間焼成した(図5)。開口部付近は金型の熱により若干RCSが硬化するため、開口部を直径約10mmのドリルで開封した後、金型を反転しこの直径10mmの穴より内部の未硬化RCSを重力により排出し、排出されたRCSの重量(A)を測定した(図6)。その後鋳型を割り内部に残った未硬化RCSの重量(B)を測定した。これらから、実施例5等と同様に排砂性(%)を求めた。
Figure 0004425825
本発明のRCSを用いた中空中子では、未硬化部のRCSの排出が容易であり、造形物の形状や寸法の高精度化、高品質化に有利となる。
実施例7および比較例11
表1の鋳物砂を用いて実施例1および比較例1と同様に樹脂で被覆したRCSを用いて得た鋳型について、それぞれ鋳込み試験を行った。すなわち、実施例3と同様の方法にて試験中子型を焼成し、別に造型した主型に試験中子をセットし、アルミニウム鋳物(成分AC4C)を注湯した。中子の鋳型と鋳物の中子面の平滑性を表面粗さ測定器(サーフコーターSE−30H、小坂研究所製)により、表面粗さ(中心線平均粗さ:Ra)として測定した。表面粗さの測定は、鋳型、鋳物、それぞれの表面について5箇所行い、その平均値をRaとした。Raが小さいほど表面平滑性に優れる。結果を表8に示す。
Figure 0004425825
実施例8および比較例12〜13
フラタリー珪砂を用いたRCSを80重量部と、表9に示す混合用RCSを20重量部混合することにより、混合RCSを得た。尚、それぞれのRCSは、フラタリー珪砂を用いたRCSは比較例2と同様にして、また、混合用RCSは実施例1及び比較例1、3と同様にして得られたものを用いた。上記で製造した混合RCSについて、1000℃における熱膨張率、流動性、シェル法にて鋳型とした際の抗折力を実施例1と同様の方法にて測定した。結果を表9に示す。
Figure 0004425825
表9に示されるように、安価な珪砂よりなるRCSの熱膨張率を改善するために低熱膨張性のRCSを少量混合して使用する際においても、本発明のRCSを用いることにより、従来のRCSを併用する場合と比較して、混合RCSの流動性が良くなるとともに鋳型強度を高めることができる。
実施例5等で行った積層造型法の概略を示す図 実施例5等で行った積層造型法で得られた鋳型の概略を示す図 実施例5等で行った排砂性の評価法を示す概略図 実施例6等で用いた中子製造用金型の概略を示す図 実施例6等で行った中子製造法の概略を示す図 実施例6等で行った排砂性の評価法を示す概略図

Claims (11)

  1. 平均粒径が0.02〜1.5mmである、火炎熔融法で製造された球状鋳物砂を、粘結剤組成物で被覆したレジンコーテッドサンド。
  2. 平均粒径が0.02〜1.5mm、吸水率が0.5重量%以下の球状鋳物砂を、粘結剤組成物で被覆したレジンコーテッドサンド。
  3. 球状鋳物砂が、Al23およびSiO2を主成分として含有してなり、Al23/SiO2重量比率が1〜15である請求項1または2記載のレジンコーテッドサンド。
  4. 粘結剤組成物が、フェノール樹脂を含有する請求項1〜3何れか1項記載のレジンコーテッドサンド。
  5. 積層造型法用である請求項1〜4の何れか1項記載のレジンコーテッドサンド。
  6. 請求項1〜5の何れか1項記載のレジンコーテッドサンドを用いて得られる鋳型。
  7. 表面粗さRaが20μm以下である請求項6記載の鋳型。
  8. 鋳型が中子である請求項6または7記載の鋳型。
  9. 中子が中空中子である請求項8記載の鋳型。
  10. 請求項6〜9何れか1項記載の鋳型を用いて鋳造された鋳物。
  11. 表面粗さRaが8μm以下である請求項10記載の鋳物。
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