JP4422530B2 - マグネタイト粒子 - Google Patents

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Description

本発明は、マグネタイト粒子及びその製造方法に関し、更に詳しくは、マグネタイトコア粒子に、1種または2種以上の鉄以外の元素の化合物を含む被覆層を有するマグネタイト粒子であって、特に静電複写磁性トナー用材料粉、静電潜像現像用キャリア用材料粉、塗料用黒色顔料粉等の用途に用いられるマグネタイト粒子及びその製造方法に関する。
最近、電子複写機、プリンター等の磁性トナー用材料として、水溶液反応によるマグネタイト粒子が広く利用されている。磁性トナーとしては各種の一般的現像特性が要求されるが、近年、電子写真技術の発達により、特にデジタル技術を用いた複写機、プリンターが急速に発達し、要求特性がより高度なものになってきた。
すなわち、従来の文字以外にもグラフィックや写真等の出力も要求されており、複写機、プリンターの中には1インチ当たり1200ドット以上の能力のものも現れ、感光体上の潜像はより緻密になってきている。そのため、現像での細線再現性の高さ、各環境下でも問題なく使用できること等が強く要求されている。
これらの要求に対して、マグネタイト粒子に種々の元素の化合物を含有させ、かつ、必要に応じてその元素の化合物の一部もしくは全てを粒子表面に被覆、あるいは露出させる等の改良が行われてきた。これらは、流動性、磁気特性、電気特性、分散性、対環境性を改善するために施されるものである。
本出願人は先に、シリカとアルミと鉄の複合酸化鉄層で被覆されたマグネタイト粒子(特許文献1)等を提案している。
しかしながら、上記特許文献に開示された技術、ことに粒子表面に上記種々の元素の化合物の被覆等を施す技術については、おおむね実施形態を湿式処理法のみに依存していることから、上記元素の化合物は鉄と複合化しにくく、その一部は可溶な形態で粒子表面に付着しているため、ポリエステルのごとく反応性の高い樹脂と溶融混練するとマグネタイト粒子表面の元素成分が樹脂と反応し、樹脂の特性を劣化させてしまう等の問題があった。
また、アルミナ等の微粒子をマグネタイト粒子表面に、物理的な処理のみで付着させて種々の特性を向上させる技術もある(特許文献2)。この技術によれば、製造されるマグネタイト粒子は樹脂との反応性は低いものの、樹脂との溶融混練中にシリカやアルミナの微粒子がはがれ落ちてしまうことがあり好ましくない。
また、粒子の比較的内部から鉄以外の元素化合物を含有させ、かつ外殻部に高濃度に偏らせたマグネタイト粒子に関する技術の開示もある(特許文献3)。当該特許文献開示のマグネタイト粒子は添加元素の一部が粒子表面に露出することにより、前述した樹脂の特性を劣化させてしまう不具合をおこすことがある。また、逆に粒子表面に上記元素が露出していない場合は、各種目的とする特性値の改良が十分に達成されない。
また、本出願人は先にアルミとマグネシウムを含む複合酸化鉄層で被覆されたマグネタイト粒子に関する技術を提案している(特許文献4)。これはスラリーを特定のpH、温度で長時間熟成させることにより、アルミとマグネシウムと鉄を含む複合酸化鉄層を形成するものであるが、複合化が不十分であった。これにより前述した樹脂の特性の劣化抑制の面で不十分であった。
特開2001−072425号公報 特開平8−183620号公報 特開2000−272923号公報 特開2003−192350号公報
従って本発明は、前述した先行技術が有する種々の欠点を解消し得るマグネタイト粒子を提供することを目的とする。
すなわち、流動性、磁気特性、電気特性、分散性、耐環境性の改善等、種々の特性改善のために、鉄以外の元素の化合物を粒子表面に被覆、あるいは露出させた場合でも、樹脂との反応性が抑制されているマグネタイト粒子を提供することを目的とする。
本発明は、マグネタイトコア粒子の表面に、1種または2種以上の鉄以外の元素の化合物を含む被覆層を有するマグネタイト粒子において、
前記コア粒子の表面が、前記鉄以外の元素の化合物で被覆された粒子に、乾式のメカノケミカル処理を行ったものであり、
鉄以外の前記元素が、Al、Mn、Zn、Ni、Co、Cr、Cu、およびCdより選択された1種または2種以上であり、
静電複写磁性トナー用材料粉、静電潜像現像用キャリア用材料粉、塗料用黒色顔料粉として用いられることを特徴とするマグネタイト粒子を提供することにより前記目的を達成したものである。
本発明のマグネタイト粒子は、1種または2種以上の鉄以外の元素の化合物を含む被覆層を有し、当該元素が鉄元素と複合化合物を形成していることに起因して、ポリエステル樹脂のごとく反応性の高い樹脂と溶融混練した際に樹脂の特性を損なわず、従って複写機、プリンターのトナーを安定して製造するのに好適である。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。本発明のマグネタイト粒子は、マグネタイトコア粒子(以下、単にコア粒子ともいう)の表面に、1種または2種以上の鉄以外の元素の化合物を含む被覆層を有するものである。以下の説明で、マグネタイト粒子又はコア粒子というときには、個々の粒子またはその集合のいずれも意味する。
コア粒子としては、湿式法で製造されるものが通常用いられるが、乾式法で製造されたものを用いても良い。コア粒子はマグネタイトそのものから構成されていても良く、あるいは粒子の内部にシリカなどの元素を含有していても良い。コア粒子の粒径(フェレ径)は複合酸化鉄層の厚みにもよるが、0.05〜0.5μm、特に0.1〜0.3μm程度であることが好ましい。コア粒子の形状に特に制限はなく、例えば八面体又はそれよりも面数の多い多面体、六面体、球状を取りうる。
本発明においては、マグネタイトコア粒子の表面に、1種または2種以上の鉄以外の元素の化合物を含む被覆層を有するマグネタイト粒子が、上記鉄以外の元素の化合物で被覆された粒子に、乾式のメカノケミカル処理を行ったものであることが重要である。
すなわち、まずマグネタイトコア粒子の表面に、何らかの方法で鉄以外の元素の化合物を被覆し、さらに乾式のメカノケミカル処理を行うことにより、マグネタイト粒子表面の被覆中に存在する鉄以外の元素が、鉄元素と複合化された化合物を有しているマグネタイト粒子である。
本発明において、上記二段処理が重要であるが、その被覆と、乾式のメカノケミカル処理についての詳細は後述する。
コア粒子の表面を被覆する複合化合物層においては、該複合化合物層中の鉄以外の元素の化合物の内、95%以上、好ましくは97%以上、更に好ましくは99%以上が鉄元素と複合化していることが好ましい。この複合化比率が高いほど、ポリエステルのごとき反応性の高い樹脂と混練した際に樹脂の特性を損なわない。ここでいう複合化とは、粒子表面の鉄以外の元素が単独ではなく、鉄との複合化合物、あるいは鉄及び他の鉄以外の元素を含む複合化合物の形態をとっていることを指す。複合化合物層中の鉄以外の元素の複合化比率が十分なものか否かは、マグネタイト粒子を酸性水溶液(例えば後述するpH4.01のフタル酸水素カリウム水溶液)に懸濁させ、鉄以外の元素が溶出するか否かで判断することができる。複合化していない元素は、前記酸性水溶液に溶解する。
複合化比率95%以上であることで、本発明のマグネタイト粒子は複写機やプリンターのトナーを製造する際に、樹脂の特性を損なわない。樹脂の特性を損なうとは、バインダー樹脂とマグネタイト粒子の溶融混練時に樹脂の粘性が変化し、適正なトルクで混練できなくなることによるトナー製造上の不具合の発生や、得られたトナーの熱特性の変化により、トナー定着時に問題を起こすことを指す。このような不具合を起こさないために、乾式のメカノケミカル処理により、鉄元素と鉄以外の元素の化合物を複合化させ、強固な複合化合物層を形成したマグネタイト粒子とするのである。
複合化合物層の複合化比率の上限値には特に制限はなく、高ければ高いほど好ましい。後述する方法を用いると98%以上という高い値を達成することも可能である。複合化合物層の複合化比率を求める方法は以下の通りである。
まず、最終的に生成する複合化合物層を有するマグネタイト粒子20gに見合う複合化合物層形成前のコア粒子と、複合化合物形成後のマグネタイト粒子20gをそれぞれ酸に完全に溶解する。溶解液中の鉄以外の元素の量をICPで定量し、両者の差により、コア粒子以外の部位の鉄以外の元素含有量を求める(この量をAとする)。
一方、0.01mol/lのフタル酸水素カリウム水溶液(25℃でpHは4.01)100mlに複合化合物層形成後のマグネタイト粒子粉末20gを懸濁させ、25℃で3時間撹拌する。撹拌後、開口径0.1μmのメンブランフィルターで懸濁液をろ過し、ろ液中の鉄以外の元素量をICPで定量する。液量と濃度の積よりマグネタイト粒子から溶出した元素量を求める(この量をBとする)。マグネタイトより溶出した元素は複合化していない元素であり、例えば水酸化物の形態で付着していた部分を意味する。複合化していない元素はpH4.01を示すフタル酸水素カリウム水溶液に溶解するのでこの方法で検出することができる。
以上のAおよびBから、以下の式(1)を用いてマグネタイト粒子に被覆している鉄以外の元素の複合化比率を求める。
複合化比率(%)=〔(A−B)/A〕×100 …(1)
この式から明らかなように、複合化比率とは、粒子表面に被覆されている鉄以外の元素の内、複合化されている元素の割合を示す。
また、本発明のマグネタイト粒子に被覆されている元素は1種又は2種以上であることが重要である。1種の場合でも該元素と鉄元素が複合酸化鉄などの複合化合物を形成するため本発明の目的は達成されるが、いくらかの機能を同時に満足させるために2種以上の元素を添加した場合であっても複合化は十分に促進される。しかしながら、マグネタイト粒子表面に鉄以外の元素が全く存在しない場合は、メカノケミカル反応によって与えられたエネルギーがマグネタイトの2価の鉄を酸化してしまい、マグヘマイトやヘマタイトとなってしまい、それにより赤みが増し、また、磁気特性が低下する。
また、本発明のマグネタイト粒子は、被覆中の1種または2種以上の鉄以外の元素につき、各々の元素で換算した総含有量が、マグネタイト粒子に対して0.1〜2重量%であることが好ましい。0.1%未満の場合、全くない状態とさほど差がないため、メカノケミカル処理によって与えられたエネルギーがマグネタイト中の2価の鉄が酸化されやすく、マグヘマイトやヘマタイトの生成を促し、それにより粒子の色相の劣化、あるいは磁気特性低下のおそれがある。また、逆に2%を超える場合、複合化に必要とされるエネルギーが伝わらず、複合化が完全に促進されず、従って複合化比率が低いものとなってしまうばかりか、マグネタイト粒子に本来必要とされる磁気特性の低下等を招く。上記総量は、より各特性のバランスを取るためには、0.1〜1重量%が好ましい。なお、被覆された鉄以外の元素の総量とは、粒子内部に含有される、もしくは含有させている元素量は差し引いた値である。このことは式(1)によっても示される。
また、本発明のマグネタイト粒子は、複合化合物被覆層形成に用いられる鉄以外の元素として、Al、Mn、Zn、Ni、Co、Cr、Cu、およびCdより選択されたものであることが好ましい。これら元素の化合物を被覆層に含有させることで、流動性、磁気特性、電気特性、分散性、耐環境性等の諸特性を改善することができる。
ところで近年、磁性トナーは解像度の改良のためその粒径が小さくなる傾向にある。従って、かかるトナーに使用されるマグネタイトも小粒径化することが好ましい。しかし、小粒径化されたマグネタイト粒子は一般に磁気特性をはじめとする諸特性の安定性に欠けてしまう。これに対し、本発明のマグネタイト粒子は小粒径でありながら特に飽和磁化の安定性に優れる特徴を有する。マグネタイトの大きさを示す尺度として、BET法による比表面積がある。本発明のマグネタイト粒子の比表面積は7〜15m/gであることが好ましい。同時に粒径は0.05〜0.5μm、特に0.1〜0.3μmが好ましい。
また、本発明のマグネタイト粒子はその形状に制限はない。要求される特性を満足させる形状を選択すれば良く、複合化防物層を形成する前のコア粒子の形状を任意に選択すればよい。
次に、本発明の好ましい製造方法について説明する。まず、用意するコア粒子については、先に述べたとおり、一般的には湿式法で製造されたものを用いるが、乾式法で製造されたものを用いても良い。しかし、小粒径で粒度分布の良好なマグネタイト粒子とするためには湿式法によるものがより好ましい。湿式反応品としては、例えば、水可溶性Fe(II)化合物(例えば硫酸第一鉄)とアルカリ水溶液で中和、調製された水酸化第一鉄スラリーを用意し、該水酸化第一鉄スラリーを所定温度に加熱した条件下に、空気などの酸素含有ガスを吹き込むことでコア粒子が得られる。機能付与のために、必要に応じ、合成開始当初ないしは、コア粒子生成完了までの間に水可溶性塩(例えば硫酸亜鉛、ケイ酸ソーダ)を添加することができる。
コア粒子は、上記反応後のスラリーをそのまま用いても良いし、マグネタイト粒子を水に分散させたスラリーを用いても良い。このスラリーに必要な元素の水可溶塩を所定量添加し、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリを用いてpHを7〜12、好ましくは8〜10に調整する。このとき、鉄イオンを同時に添加しても良いし、またはコア粒子生成を終了させる際、水酸化第一鉄の一部をスラリー中に意図的に残留させてもかまわない。ただし、意図的に添加する、または意図的に残留させた鉄成分は、添加する元素に対して重量比で2倍を超えない方が好ましい。2倍を超えた場合、粒子表面の鉄濃度が高くなり、この後に行うメカノケミカル処理によるエネルギーで酸化が促進され、好ましくない。また、必要に応じ、コア粒子生成時の酸素含有ガス吹き込み操作を行ってもかまわない。こうして得られた鉄以外の元素の化合物が被覆されたマグネタイト粒子は、通常の方法でスラリーからろ別され洗浄、乾燥される。
このようにして、コア粒子の表面が鉄以外の元素の化合物で被覆されたマグネタイト粒子が得られる。しかしながら、この段階では被覆されている元素は、鉄元素やその他の元素と十分に複合化されてはおらず、被覆率も低いものである。以下、この段階の鉄以外の元素の化合物で被覆されたマグネタイト粒子を前駆体粒子とよぶこととする。
この前駆体粒子に、乾式のメカノケミカル処理を行うことで、本発明のマグネタイト粒子を得ることができる。メカノケミカル処理は、乾式下、非常に高エネルギーを与えつつ、粒子全体を解砕しながらメカノケミカル、メカニカルアロイング作用を及ぼし得る装置を用いて行われる。そのような装置としては乾式解砕装置があげられる。乾式解砕装置としては、剪断力による高エネルギーを粒子に与える装置や、ヘラなでによって高エネルギーを粒子に与える装置が挙げられる。このような装置の具体例としては、サンドミル、遊星ミル等が挙げられる。
上記装置を用いて粒子を解砕すると、粒子がぶつかり合うことによって当該粒子の表面温度は粒子全体の温度よりも高くなることが知られている。それに起因して、マグネタイト粒子に被覆されている元素が高度に複合化される。また、単に温度を高くしても原子の拡散、複合化はおこるが、特に高温の雰囲気焼成等では、酸素を遮断する必要があり、また、温度によっては粒子同士の焼結も促進され、分散性が悪化し、好ましくない。これに対し、本発明のマグネタイト粒子の製造方法は、粒子を解砕しながら粉体全体の温度はさほど高くならずに、しかし、粒子表面では高い温度をかけているに等しいエネルギーが与えられることにより、本発明の効果を得ることができる。
メカノケミカル処理によって、マグネタイト粒子に被覆されている元素の化合物を複合化すると、複合化されていない元素を極力少なくすることができる。複合化されていない元素の化合物は水分子と簡単に水和し、吸湿性の原因となる。それを極力少なくすることで吸湿性の少ないマグネタイト粒子を得ることができる。吸湿性の高いマグネタイト粒子は空気中の水分を吸収し、電気抵抗が低くなり、好ましくない。
メカノケミカル処理による複合化は処理時間を短縮できるという利点もある。先に背景技術の項で述べた特許文献4に記載のマグネタイト粒子では、複合化を湿式法で概ね10時間という長時間を要しており、粒子同士の凝集も起こりやすい上、複合化も十分でない。
これに対して本発明のマグネタイト粒子は処理時間は比較的短時間で、かつ得られたマグネタイト粒子の分散性が良好で、かつ、複合化の状態も湿式法のものと比較して高い。
ここで、メカノケミカル処理に要する時間は、与えるエネルギーの大きさにもよるが、5〜60分、特に10〜40分で行うことができる。
メカノケミカル処理で与えるエネルギーの大きさは、粒子自体を破壊することなく、十分なメカノケミカル処理を促進させるように、適宜調整すればよい。あまり与えるエネルギーが強すぎると、粒子表面の破壊が進行し、粒子表面に凹凸が発生する。そうなった場合、比表面積が増大するため、得られたマグネタイト粒子の吸湿性が劣化する。従って、上記エネルギーは、メカノケミカル処理を行う具体的な装置(例えばサンドミルや遊星ミル)の運転条件によってコントロールすることが好ましい。例えばサンドミルとしてヨドキャスティング社製のヨドミル(商品名)を用いる場合には、線圧を150〜200kgf/cm、特に160〜180kgf/cmとすることが好ましい。遊星ミルとしてフリッチェ社製のp−7(商品名)を用いる場合には、回転数1000〜2000rpm、特に1500〜2000rpmであることが好ましい。
メカノケミカル処理の際には、マグネタイト粒子に大きなエネルギーが加わる。この際、反応系に酸素が存在すると、そのエネルギーによってマグネタイトが著しく酸化されて、マグヘマイトやヘマタイトに変化するおそれがある。そこで、メカノケミカル処理を、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
メカノケミカル処理を効率的に行うために、当該処理の間、マグネタイト粒子を所定の温度に加熱することが好ましい。好ましい温度は100〜200℃である。加熱温度が低すぎる場合には加熱の効果が見られず、高すぎると粒子同士の焼結が起こりやすく、得られるマグネタイト粒子の分散性が低下することがある。加熱を行う際には、例えばサンドミルを用いる場合、粉体投入容器にジャケットを取り付けてスチームで加熱したり、電熱ヒーターで加熱すればよい。
このようにして得られたマグネタイト粒子は、静電複写磁性トナー用材料粉、静電潜像現像用磁性キャリア用材料粉、あるいは塗料用黒色顔料粉等の用途に好適に用いられる。
以下、実施例等により本発明を具体的に説明する。しかしながら、本発明の範囲はかかる実施例に制限されるものではない。
〔比較例1〕
(a)コア粒子の製造
Fe2+濃度が2.0mol/lの硫酸第一鉄水溶液50リットルと3.6Nの水酸化ナトリウム水溶液50リットルとを混合し水酸化第一鉄スラリーを得た。得られたスラリーのpHは6.5であった。このスラリーを温度85℃にて、pH6〜9を維持するように適宜水酸化ナトリウム水溶液を加えながら、65リットル/minの空気を吹き込み、酸化を進め、コア粒子を生成した。水酸化第一鉄が完全に消費された時点で空気の吹き込みを停止し、酸化反応を終了した。
(b)前駆体粒子の製造
コア粒子を含むスラリーにAl濃度が1mol/lの硫酸アルミニウム水溶液1リットルを添加し、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを8に調整した。スラリー温度は85℃を維持した。スラリーを2時間撹拌混合後にろ過して、洗浄、乾燥させて、コア粒子の表面にAl化合物層が形成された前駆体粒子を得た。この前駆体粒子を比較例1のマグネタイト粒子とした。
〔比較例2〜10〕
表1に示す条件以外は、比較例1と同様にしてマグネタイト粒子を得た。
〔比較例11〕
Mg0.9mol/lの硫酸マグネシウム水溶液1リットルを添加した、Fe2+2.0mol/lの硫酸第一鉄水溶液50リットルと3.6Nの水酸化ナトリウム水溶液50リットルとを混合撹拌した。この時のpHは6.5であった。そのスラリーを85℃、pHを6〜7に維持しながら65リットル/minの空気を吹き込み反応を一旦終了させた(コア粒子の生成)。
このスラリーにAl濃度0.6mol/lの硫酸アルミニウム水溶液を3リットルとFe2+濃度1.4mol/lの硫酸第一鉄水溶液5リットルと水酸化ナトリウム水溶液とを混合し、pH8に調整した。スラリー温度は80℃であった。次いで65リットル/minの空気を吹き込み再度酸化し反応を終了させた。
終了後、水酸化ナトリウム溶液を滴下し、pHを10に調整した。この時点でスラリー温度は78℃であった。この状態で10時間保持した。
得られた生成粒子について、通常の濾過、洗浄、乾燥を行い、マグネタイト粒子を得た。
〔実施例1〕
比較例1に示した製造方法で得られたマグネタイト粒子全量を、ヨドキャスティング社製のサンドミルであるヨドミル(商品名MSPU−2)の粉体投入容器に1kg線圧170kgf/cmで30分間メカノケミカル処理を行った。容器はスチームによって110℃に加熱されていた。このようにしてAl成分がマグネタイト粒子の鉄成分と複合し、複合酸化鉄層を有したマグネタイト粒子を得た。
〔実施例2〜14〕
表2に示す条件以外は、実施例1と同様にしてマグネタイト粒子を得た。
実施例1〜14、比較例1〜11のマグネタイト粒子について、先に述べた方法で複合化比率を求めた。また、更に、以下に述べる方法でマグネタイト粒子の諸特性を測定、評価した。結果を表3に示す。
<評価方法>
(a)BET比表面積
島津−マイクロメリティックス社製2200型BET計にて測定した。
(b)電気抵抗値
試料10gをホルダーに入れ、600kgf/cmの圧力を加えて25mmφの錠剤型に成形後、電極を取り付け150kgf/cmの加圧状態で測定した。測定に使用した試料の厚さ及び断面積かと抵抗値から電気抵抗値を算出した。
(c)飽和磁化
東英工業製振動試料型磁力計VSM−P7を使用し、負荷磁場796kA/mにて測定した。
(d)60゜鏡面反射率
JIS K 5101のフーバーマーラー法に準じて調製した分散ペーストと硝化綿クリアラッカーとの混練物を1milのフィルムアプリケーターを用いて白紙に展色した塗布膜面における60゜の反射率を測定した。
(e)35℃85%RH雰囲気下で4時間曝露後の吸湿量
試料3gを105℃の乾燥機で予め1時間乾燥させて乾燥重量Wを測定した。次いで35℃、85%RHの環境室内で4時間曝露し、試料を吸湿させた。そして吸湿後の重量Wを測定した。以下の式にて吸湿量(重量%)を算出した。
W:吸湿量(重量%)=〔(W−W)/W〕×100
(f)BET比表面積に対する吸湿量
上記で求めた35℃85%RH雰囲気下で4時間曝露後の吸湿量を、BET比表面積で徐してBET比表面積に対する吸湿量を求めた。
(g)増粘現象の有無
試料40gとポリエステル樹脂40gとを良く混合し、140℃で混練機(ブラベンダー社製 プラスチコーダー)にて30分間混練した。その間、混練にかかるトルクを測定した。このトルクが混練開始5分目以降に急激に高く変化したものを増粘現象レベル1、15分目以降に徐々に上昇し始めたものをレベル2、全くトルクが高くならなかったものをレベル0とした。
表3に示す結果から明らかなように、各実施例のマグネタイト粒子は、比較例のマグネタイト粒子と比較して複合化比率が格段に高く、その結果、ポリエステル樹脂と混練した際に増粘しないことをはじめ、その他の特性も優れているため、静電複写磁性トナー用材料粉、静電潜像現像用キャリア用材料粉、塗料用黒色顔料粉等に好適で、特にポリエステル樹脂のごとく反応性の高い樹脂と混練して製造される用途に好適である。






















Claims (3)

  1. マグネタイトコア粒子の表面に、1種または2種以上の鉄以外の元素の化合物を含む被覆層を有するマグネタイト粒子において、
    前記コア粒子の表面が、前記鉄以外の元素の化合物で被覆された粒子に、乾式のメカノケミカル処理を行ったものであり、
    鉄以外の前記元素が、Al、Mn、Zn、Ni、Co、Cr、Cu、およびCdより選択された1種または2種以上であり、
    静電複写磁性トナー用材料粉、静電潜像現像用キャリア用材料粉、塗料用黒色顔料粉として用いられることを特徴とするマグネタイト粒子。
  2. 前記鉄以外の元素の化合物の内、95%以上が鉄元素と複合化していることを特徴とする請求項1に記載のマグネタイト粒子。
  3. 前記鉄以外の元素につき、各々の元素で換算した総含有量が、マグネタイト粒子に対して0.1〜2重量%であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のマグネタイト粒子。
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