JP4422504B2 - スイッチング電源装置及びその制御方法 - Google Patents
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Description
図4は複数のスイッチング電源回路が入力側直列接続された従来のスイッチング電源回装置の構成例を示す回路図である。図4において、入力直流電源201からの入力直流電圧は、入力端子202a,202bに供給されており、入力端子202a,202bには複数のコンデンサ203,204,205,206の直列回路が接続されており、各コンデンサ203,204,205,206により入力端子202a,202bに印加された入力直流電圧を分割している。以下の説明において、入力端子202a,202bに接続された複数のコンデンサ203,204,205,206のそれぞれを第1のコンデンサ203、第2のコンデンサ204、第3のコンデンサ205、第4のコンデンサ206と称す。第1のコンデンサ203と第2のコンデンサ204の直列回路の両端には第1のスイッチング素子207と第2のスイッチング素子208の直列回路が接続され、第3のコンデンサ205と第4のコンデンサ206の直列回路の両端には第3のスイッチング素子209と第4のスイッチング素子210の直列回路が接続されている。
第2のトランス212は、1次巻線212aと第1の2次巻線212bと第2の2次巻線212cとを有している。1次巻線212aの一端は第3のコンデンサ205と第4のコンデンサ206の接続点に接続されており、1次巻線212aの他端は第3のスイッチング素子209と第4のスイッチング素子210の接続点に接続されている。第1の2次巻線212bと第2の2次巻線212cは直列接続である。
図4に示すように、第1のチョークコイル215と平滑コンデンサ216の直列回路の一端は、第1の2次巻線211bと第2の2次巻線211cとの接続点に接続されており、この直列回路の他端は第1の整流ダイオード213と第2の整流ダイオード214の接続点(カソード)に接続されている。
第2のチョークコイル219の一端は第3の整流ダイオード217と第4の整流ダイオード218の接続点(カソード)に接続されており、他端は平滑コンデンサ216の一端に接続されている。平滑コンデンサ216の両端は出力端子220a,220bに接続されており、出力端子220a,220bに接続された負荷221により電力が消費される。
三角波発生回路224は、第1のスイッチング素子207から第4のスイッチング素子210のそれぞれに供給するPWM信号を形成するための基準となる基準三角波を形成する。形成された基準三角波はコンパレータ225の一方に入力される。コンパレータ225では基準三角波と誤差増幅器223の出力とを比較し、PWM信号を形成する。コンパレータ225において形成されたPWM信号は分配器226において、2つの出力端子に交互に分配されて、第1のスイッチング素子207から第4のスイッチング素子210のそれぞれを駆動する。
図5において、(a)における波形Aは誤差増幅器223からの出力信号波形であり、(a)における波形Bは三角波発生回路224からの出力信号波形である。図5の(b)はコンパレータ225の出力信号波形である。図5の(c)は、第1のスイッチング素子207と第3のスイッチング素子209の駆動波形を示しており、(d)は第2のスイッチング素子209と第4のスイッチング素子210の駆動波形を示している。図5の(e)は第1のスイッチング素子207の印加電圧波形を示しており、(f)は第2のスイッチング素子208の印加電圧波形を示している。図5の(g)は第1のトランス211の1次巻線211a及び第2のトランス212の1次巻線212aの印加電圧波形を示しており、(h)は第1のチョークコイル215及び第2のチョークコイル219の電流波形を示している。
第1のスイッチング素子207がオン状態の時、第1のコンデンサ203の電圧が第1のトランス211の1次巻線211aに印加され、第2のスイッチング素子208がオン状態の時、第2のコンデンサ204の電圧が第1のトランス211の1次巻線211aに印加される。また、第1のスイッチング素子207がオン状態の時、第2のスイッチング素子208には第1のコンデンサ203の電圧と第2のコンデンサ204の電圧とを加算した電圧が印加され(図5の(f)参照)、第2のスイッチング素子208がオン状態の時、第1のスイッチング素子207には第1のコンデンサ203の電圧と第2のコンデンサ204の電圧とを加算した電圧が印加される(図5の(e)参照)。
第3のスイッチング素子209と第4のスイッチング素子210のオンオフ動作における印加電圧の推移に関しては、上記の第1のスイッチング素子207と第2のスイッチング素子208のオンオフ動作における印加電圧の推移と同様である。
第1のトランス211の2次巻線211b,211c及び第2のトランス212の2次巻線212b,212cで発生した電圧は、第1から第4の整流ダイオード213,214,217,218により整流され、第1のチョークコイル215と第2のチョークコイル219、及び平滑コンデンサ216により平滑される。
上記のように入力側直流接続方式を用いた従来のスイッチング電源装置では、スイッチング素子に印加される電圧が入力電圧の半分であり、かつトランスの1次巻線に印加される電圧が入力電圧の1/4であるため、ハーフブリッジコンバータにおけるスイッチング素子の印加電圧とトランスの1次巻線の印加電圧を約半分に低減できる。この結果、従来のスイッチング電源装置では、低耐圧のスイッチング素子の使用とトランスの巻線数の低減が可能であった。
図6はカレントモード制御を降圧コンバータのスイッチング電源装置に適用した場合を示す回路図である。図6において、入力直流電源201からの入力直流電圧が入力端子202a,202bに供給されており、入力端子202a,202bの間にはコンデンサ227が接続されている。コンデンサ227には第1のスイッチング素子228と第2のスイッチング素子229の直列体が接続されており、第1のスイッチング素子228と第2のスイッチング素子229は交互にオンオフ動作を繰り返すよう構成されている。
図6に示すように、第1のスイッチング素子228と第2のスイッチング素子229の接続点にはチョークコイル230の一端が接続されており、チョークコイル230の他端には平滑コンデンサ231が接続されている。チョークコイル230と平滑コンデンサ231は直列に接続されており、平滑コンデンサ231の両端が出力端子232a,232bに接続されている。出力端子232a,232bに接続された負荷233に電力が供給されている。
状態平均化法を用いると第1のスイッチング素子228と第2のスイッチング素子229の直列回路により、入力電圧Vinがデューティ比Dの分だけチョークコイル230と平滑コンデンサ231の直列回路に印加されると考えられるので以下の式(1)から(3)で示す状態方程式が成立する。ここで、voutは出力電圧を示し、iLは出力電流(チョークコイル電流)を示す。そして出力電流iLと出力電圧voutのラプラス変換をIとVとする。
しかしながら、スイッチング電源装置の分野においては、出力電圧の高安定性の要求とともに、複数のスイッチング電源回路の入力側直列接続方式とカレントモード制御方式とを同時に実施する要求が高まってきている。複数のスイッチング電源回路の直列接続とカレントモード制御を同時に実施しようとすると、コンバータであるそれぞれのスイッチング電源回路の電流値を、出力電圧と基準電圧との誤差信号を用いて電流の基準値に対応するよう制御しなければならない。ここで、各コンバータのデューティ比に差が生じた場合の各コンバータ間の電流バランスの変化について考察する。即ち、入力側直列接続された2つのコンバータをそれぞれA、Bとして、各デューティ比をDa、Dbとする。また、各コンバータA,Bのスイッチング素子がオン状態の時に流れる電流は、各コンバータA,Bのチョークコイルを流れる電流によって決定され、それぞれのスイッチング素子に流れる電流(1次電流)をIsaとIsbとする。2つのコンバータA,Bが直列接続されているので、安定状態では次式(7)が成り立つ。
本発明は、スイッチング電源回路の入力側直列接続方式とカレントモード制御方式とを一つの装置内で同時に実施するという課題を達成し、複数のスイッチング電源回路を直列に接続しても、従来のカレントモード制御の特性を損なうことがなく、電流のバランスも良好に保つことのできる高安定で小型高効率なスイッチング電源装置を提供することを目的とする。
入力側が直列に接続されて出力側が並列に接続され、複数のスイッチング手段と変圧手段と整流手段とによりそれぞれが構成されて単一出力直流電圧を出力する複数のコンバータ、
前記コンバータから出力された単一出力直流電圧と基準電圧とを比較して第1の誤差信号を形成し、当該第1の誤差信号を増幅した電流基準信号を出力する第1の誤差増幅器、
前記複数のコンバータにおける前記整流手段から出力される電流を加算して単一出力電流信号を形成する演算器、
前記演算器の単一出力電流信号と前記第1の誤差増幅器から出力された前記電流基準信号とを比較して第2の誤差信号を形成し、増幅する第2の誤差増幅器、及び
前記第2の誤差増幅器の出力信号を基にPWM信号を形成し、前記複数のコンバータを各整流手段から出力される電流を基に個別に制御しないように、前記複数のスイッチング手段のそれぞれを前記電流基準信号に対応する前記PWM信号によりPWM制御する複数のPWM信号発生器、を有する。このように構成された本発明のスイッチング電源装置は、複数のコンバータを入力側直列に接続しても、カレントモード制御の特性を損なうことがなく、電流のバランスを良好に保つことのできる高安定で小型高効率な電源装置を提供することができる。
入力側が直列に接続されて出力側が並列に接続され、複数のスイッチング手段と変圧手段と整流手段とによりそれぞれが構成されて単一出力直流電圧を出力する複数のコンバータ、を有するスイッチング電源装置において、
前記単一出力直流電圧と基準電圧とを比較して第1の誤差信号を形成し、当該第1の誤差信号を増幅した電流基準信号を出力するステップと、
前記複数のコンバータにおける前記整流手段から出力される電流を加算して単一出力電流信号を形成するステップと、
前記単一出力電流信号と前記電流基準信号とを比較して第2の誤差信号を形成し、増幅するステップと、
増幅された第2の誤差信号を基にPWM信号を形成し、前記複数のコンバータを各整流手段から出力される電流を基に個別に制御しないように、前記複数のスイッチング手段のそれぞれを前記電流基準信号に対応する前記PWM信号によりPWM制御するステップと、を有する。このようなステップを有する本発明のスイッチング電源装置の制御方法は、複数のコンバータを入力側直列に接続しても、カレントモード制御の特性を損なうことがなく、高安定で電流のバランスを良好に保つことができる。
また、本発明に係る他の観点のスイッチング電源装置は、
入力側が直列に接続されて出力側が並列に接続され、複数のスイッチング手段と変圧手段と整流手段とによりそれぞれが構成されて単一出力直流電圧を出力する複数のコンバータ、
前記コンバータから出力された単一出力直流電圧と基準電圧とを比較して第1の誤差信号を形成し、当該第1の誤差信号を増幅した電流基準信号を出力する第1の誤差増幅器、
前記複数のコンバータのいずれか一つのコンバータにおける前記整流手段から出力される電流信号と前記第1の誤差増幅器から出力された前記電流基準信号とを比較して第2の誤差信号を形成し、増幅する第2の誤差増幅器、及び
前記第2の誤差増幅器の出力信号を基にPWM信号を形成し、前記複数のコンバータを各整流手段から出力される電流を基に個別に制御しないように、前記複数のスイッチング手段のそれぞれを前記電流基準信号に対応する前記PWM信号によりPWM制御する複数のPWM信号発生器、を有する。
発明の新規な特徴は添付の請求の範囲に特に記載したものに他ならないが、構成及び内容の双方に関して本発明は、他の目的や特徴と合わせて図面と共に以下の詳細な説明を読むことにより、より良く理解され評価されるであろう。
本発明のスイッチング電源装置は、複数のスイッチング電源回路の入力側を直列に接続し、出力側を並列に接続して、制御部によりカレントモード制御を行っても、不安定な動作にならず安定な制御が可能であるという優れた効果を奏する。
本発明のスイッチング電源装置の制御方法は、複数のコンバータを直列に接続しても、カレントモード制御の特性を損なうことがなく、高安定で電流のバランスを良好に保つことができるという優れた効果を奏する。
図1は本発明に係る実施の形態1のスイッチング電源装置の構成を示す回路図である。図1において、入力直流電源1からの入力直流電圧は、入力端子2a,2bに供給されており、入力端子2a,2bには複数のコンデンサ3,4,5,6の直列回路が接続されており、各コンデンサ3,4,5,6により入力端子2a,2bに印加された入力直流電圧を分割している。以下の説明において、入力端子2a,2bに接続された複数のコンデンサ3,4,5,6のそれぞれを第1のコンデンサ3、第2のコンデンサ4、第3のコンデンサ5、及び第4のコンデンサ6と称す。第1のコンデンサ3と第2のコンデンサ4の直列回路の両端には第1のスイッチング素子7と第2のスイッチング素子8の直列回路が接続され、第3のコンデンサ5と第4のコンデンサ6の直列回路の両端には第3のスイッチング素子9と第4のスイッチング素子10の直列回路が接続されている。
第2のトランス12は、1次巻線12aと第1の2次巻線12bと第2の2次巻線12cとを有している。1次巻線12aの一端は第3のコンデンサ5と第4のコンデンサ6の接続点に接続されており、1次巻線12aの他端は第3のスイッチング素子9と第4のスイッチング素子10の接続点に接続されている。第1の2次巻線12bと第2の2次巻線12cは直列接続である。
図1に示すように、第1のチョークコイル15と平滑コンデンサ16の直列回路の一端は、第1の2次巻線11bと第2の2次巻線11cとの接続点に接続されており、この直列回路の他端は第1の整流ダイオード13と第2の整流ダイオード14の接続点(カソード)に接続されている。
第2のチョークコイル19の一端は第3の整流ダイオード17と第4の整流ダイオード18の接続点(カソード)に接続されており、他端は平滑コンデンサ16の一端に接続されている。平滑コンデンサ16の両端は出力端子20a,20bに接続されており、出力端子20a,20bに接続された負荷21に電力が供給される。
第1の電流検出器24は第1のチョークコイル15に流れる電流を検出し、第2の電流検出器25は第2のチョークコイル19に流れる電流を検出する。演算器である加算器26は、第1の電流検出器24の出力と第2の電流検出器25の出力とを加算して単一電流信号を形成し、第2の誤差増幅器27へ出力する。第2の誤差増幅器27では第1の誤差増幅器23の出力と加算器26の出力とを比較し、その誤差を増幅する。
また、実施の形態1のスイッチング電源装置においては、第3のコンデンサ5、第4のコンデンサ6、第3のスイッチング素子9、第4のスイッチング素子10、第2のトランス12、第3の整流ダイオード17、第4の整流ダイオード18、第2のチョークコイル19、及び平滑コンデンサ16により第2のハーフブリッジコンバータ101が構成されている。図1に示した実施の形態1のスイッチング電源装置においては、平滑コンデンサ16が第1のハーフブリッジコンバータ100と第2のハーフブリッジコンバータ101に共有されている。
図2において、(a)における波形Aは第2の誤差増幅器27からの出力信号波形であり、(a)における波形Bは第2の三角波発振器29からの出力信号波形である。図2の(b)における波形Cは第2の誤差増幅器27からの出力信号波形であり、(b)における波形Dは第1の三角波発振器28の出力信号波形である。図2の(c)は第1のスイッチング素子7の駆動波形を示しており、(d)は第2のスイッチング素子8の駆動波形を示している。図2の(e)は第3のスイッチング素子9の駆動波形を示しており、(f)は第4のスイッチング素子10の駆動波形を示している。図2の(g)は第1のトランス11の1次巻線11aの印加電圧波形を示しており、(h)は第2のトランス12の1次巻線12aの印加電圧波形を示している。図2の(i)は第1のチョークコイル15の電流波形を示しており、(j)は第2のチョークコイル19の電流波形を示している。図2の(k)は加算器26から出力された電圧波形を示している。
時刻T3で第1のスイッチング素子7がオフ状態になると、第1のトランス11の1次巻線11aは開放状態となり電流はゼロになる。これにより、第1のトランス11の第1の2次巻線11bと第2の2次巻線11cには、第1のチョークコイル15の電流が分割して流れるため、第1の整流ダイオード13と第2の整流ダイオード14はオン状態となり、第1のトランス11の1次巻線11aと第1の2次巻線11bと第2の2次巻線11cに発生する電圧はゼロになる。したがって、第1のチョークコイル15と平滑コンデンサ16の直列回路の印加電圧は0Vになるため、第1のチョークコイル15の電圧は減少する。
時刻T7で第2のスイッチング素子8がオフ状態となると、第1のトランス11の1次巻線11aは開放状態となり、電流はゼロになる。第1のチョークコイル15の電流は第1のトランス11の第1の2次巻線11bと第2の2次巻線11cを分割して流れるため、第1の整流ダイオード13と第2の整流ダイオード14をオン状態とする。この時、第1のトランス11の全ての巻線に印加される電圧はゼロになる。この時、第1のチョークコイル15と平滑コンデンサ16の直列回路には0Vが印加されるので第1のチョークコイル15の電流は減少する。
同様に、第2の三角波発振器29の出力と第2の誤差増幅器27の出力とを比較して得られた第2のPWM信号は、第2の分配器33によって2つに分配される。第2の分配器33は分配された第2のPWM信号により第3のスイッチング素子9と第4のスイッチング素子10を駆動する。このように、第3のスイッチング素子9と第4のスイッチング素子10は、第2の分配器33により第2のPWM信号を分配して駆動する構成であるため、第3のスイッチング素子9と第4のスイッチング素子10が同時にオン状態となることがない。
特に、2つのコンバータのいずれか一方の入力を用いる場合でも安定な動作が可能になる。
同様に実施の形態2で示すように演算器に対して3つ以上の入力がある場合には、それぞれの条件は入力値の組み合わせが同じときに出力が同じとなる条件と、全ての入力に対して単調増加または単調減少になる条件となる。また、特に加算器を用いることで、電流値によって、演算器の利得が変化することが無くなり、容易に制御回路の調整が可能になる特徴がある。
図3は本発明に係る実施の形態2のスイッチング電源装置の構成を示す回路図である。実施の形態2のスイッチング電源装置において、実施の形態1のスイッチング電源装置と異なる点は、コンバータとして用いているハーフブリッジコンバータの構成の数である。実施の形態1においては2つのハーフブリッジコンバータにより構成されており、実施の形態2においては3つのハーフブリッジコンバータにより構成されている。各コンバータの動作は前述の実施の形態1で説明した動作と同じであり重複するので省略する。
平滑コンデンサ16は、第1のハーフブリッジコンバータ300と第2のハーフブリッジコンバータ303と第3のハーフブリッジコンバータ306の各出力電流を加算した後、平滑しリップル電流を吸収する。平滑コンデンサ16の両端は出力端子20a,20bに接続されており、出力端子20a,20bに接続された負荷21に電力が供給される。
第1の電流検出器302は第1のチョークコイル301に流れる電流を検出し、第2の電流検出器305は第2のチョークコイル304に流れる電流を検出し、第3の電流検出器308は第3のチョークコイル307に流れる電流を検出する。演算器である加算器309は、第1の電流検出器302と第2の電流検出器305と第3の電流検出器308の各出力を加算して単一電流信号を形成し、第2の誤差増幅器27へ出力する。第2の誤差増幅器27では第1の誤差増幅器23の出力と加算器309の出力とを比較し、その誤差を増幅する。
第1から第3の三角波発振器310,311,312から出力される第1から第3の基準三角波信号は互いに120度の位相差を有しており、第1から第3のハーフブリッジコンバータ300,303,306の出力端においてリップル電流が相殺され小さくされている。
実施の形態2のスイッチング電源装置の動作において、前述の実施の形態1と異なる点は、ハーフブリッジコンバータの構成数が3つである点である。第1から第3のハーフブリッジコンバータ300,303,306の出力電流は、位相が120度ずれた3相で動作しており、それぞれの出力電流は加算されて、リップル電流が互いにキャンセルされている。
実施の形態2のスイッチング電源装置においては、それぞれのハーフブリッジコンバータに対する入力電圧はさらに小さくなり、各スイッチング素子に印加される電圧は入力電圧の1/3、即ち(1/3)Vinになり、トランスの1次巻線に印加される電圧は入力電圧の1/6、即ち(1/6)Vinになる。したがって、実施の形態2の構成は、スイッチング電源装置の高効率化とトランスの小型化に有利である。さらに、実施の形態2のスイッチング電源装置は、出力リップルが単独動作の3倍の周波数で動作するため、少ない平滑コンデンサで安定化ができるという優れた効果を奏する。
また、加算器の代わりに積算器等のおのおのの入力に対して対称で単調な増加もしくは単調な減少の関数である非線形の演算器を用いても、各コンバータを個別に電流制御する構成ではないため、出力が不安定にならないという本発明の効果は保たれる。特に、加算器を用いた場合、平滑コンデンサの充電電流は、加算器の出力である加算結果に比例するので、安定動作に加えて、加算電流に対して出力電圧が1次遅れになり、位相遅れが少なくなるというカレントモード制御の優位性を保持することができる。
なお、実施の形態2においては、加算器を用いる例について説明したが、加算器を用いることなく、3つのコンバータのいずれかの出力を直接的に第2の誤差増幅器27に入力する構成、すなわち、第1の電流検出器302または第2の電流検出器305または第3の電流検出器308のいずれかの検出信号を第2の誤差増幅器27に入力する構成であっても構わない。
また、実施の形態2においては、ハーフブリッジコンバータを例にとって説明したが、他のフォワード形コンバータ、ブリッジ形コンバータ、またはプッシュプル形コンバータでも同様の効果が得られる。
実施の形態2のスイッチング電源装置においても、実施の形態1で説明したように半導体装置に給電する電源として特に有効である。
2a 入力端子
2b 入力端子
3 第1のコンデンサ
4 第2のコンデンサ
5 第3のコンデンサ
6 第4のコンデンサ
7 第1のスイッチング素子
8 第2のスイッチング素子
9 第3のスイッチング素子
10 第4のスイッチング素子
11 第1のトランス
12 第2のトランス
13 第1の整流ダイオード
14 第2の整流ダイオード
15 第1のチョークコイル
16 平滑コンデンサ
17 第3の整流ダイオード
18 第4の整流ダイオード
19 第2のチョークコイル
20a 出力端子
20b 出力端子
21 負荷
22 基準電圧
23 第1の誤差増幅器
24 第1の電流検出器
25 第2の電流検出器
26 加算器
27 第2の誤差増幅器
28 第1の三角波発振器
29 第2の三角波発振器
30 第1のコンパレータ
31 第1の分配器
32 第2のコンパレータ
33 第2の分配器
100 第1のハーフブリッジコンバータ
101 第2のハーフブリッジコンバータ
Claims (11)
- 入力側が直列に接続されて出力側が並列に接続され、複数のスイッチング手段と変圧手段と整流手段とによりそれぞれが構成されて単一出力直流電圧を出力する複数のコンバータ、
前記コンバータから出力された単一出力直流電圧と基準電圧とを比較して第1の誤差信号を形成し、当該第1の誤差信号を増幅した電流基準信号を出力する第1の誤差増幅器、
前記複数のコンバータにおける前記整流手段から出力される電流を検出して単一出力電流信号を形成する演算器、
前記演算器の単一出力電流信号と前記第1の誤差増幅器から出力された前記電流基準信号とを比較して第2の誤差信号を形成し、増幅する第2の誤差増幅器、及び
前記第2の誤差増幅器の出力信号を基にPWM信号を形成し、前記複数のコンバータを各整流手段から出力される電流を基に個別に制御しないように、前記複数のスイッチング手段のそれぞれを前記電流基準信号に対応する前記PWM信号によりPWM制御する複数のPWM信号発生器、
を有することを特徴とするスイッチング電源装置。 - PWM信号発生器のそれぞれが、基準三角波を形成する三角波発生器と、前記三角波発生器の基準三角波と第2の誤差増幅器の出力信号とを比較するコンパレータと、前記コンパレータの比較結果に基づきPWM信号を形成し、対応するスイッチング手段をPWM制御する分配器とを有する請求項1に記載のスイッチング電源装置。
- Q個のコンバータのそれぞれが入力端子間に直列接続された複数のコンデンサを有し、それぞれの前記コンデンサが異なるスイッチング手段に接続されており、Q個のPWM信号発生器の三角波発生器が互いにπ/Qの位相差を有する基準三角波を出力し、前記基準三角波と第2の誤差増幅器の出力信号とを用いて前記PWM信号発生器が各コンバータに対してスイッチングのタイミングを変化させるよう構成された請求項2に記載のスイッチング電源装置。
- 演算器が加算器で構成され、前記加算器は、前記複数のコンバータの各々の整流手段から出力される電流を加算して、単一出力電流信号を形成する請求項1乃至3のいずれか一項に記載のスイッチング電源装置。
- コンバータがハーフブリッジコンバータで構成された請求項1乃至4のいずれか一項に記載のスイッチング電源装置。
- PWM信号発生器において形成するPWM信号が、実質的に等間隔で位相シフトするよう構成された請求項1乃至5のいずれか一項に記載のスイッチング電源装置。
- 半導体装置に給電するよう構成したことを特徴とした請求項1乃至6のいずれか一項に記載のスイッチング電源装置。
- 入力側が直列に接続されて出力側が並列に接続され、複数のスイッチング手段と変圧手段と整流手段とによりそれぞれが構成されて単一出力直流電圧を出力する複数のコンバータ、を有するスイッチング電源装置において、
前記単一出力直流電圧と基準電圧とを比較して第1の誤差信号を形成し、当該第1の誤差信号を増幅した電流基準信号を出力するステップと、
前記複数のコンバータにおける前記整流手段から出力される電流を演算して単一出力電流信号を形成するステップと、
前記単一出力電流信号と前記電流基準信号とを比較して第2の誤差信号を形成し、増幅するステップと、
増幅された第2の誤差信号を基にPWM信号を形成し、前記複数のコンバータを各整流手段から出力される電流を基に個別に制御しないように、前記複数のスイッチング手段のそれぞれを前記電流基準信号に対応する前記PWM信号によりPWM制御するステップと、
を有することを特徴とするスイッチング電源装置の制御方法。 - スイッチング手段のそれぞれをPWM制御するステップにおいて、三角波発生器が基準三角波を出力し、コンパレータが前記基準三角波と増幅された第2の誤差信号とを比較し、分配器が前記コンパレータの比較結果に基づきPWM信号を形成し、対応するスイッチング手段をPWM制御する請求項8に記載のスイッチング電源装置の制御方法。
- Q個のコンバータのそれぞれが入力端子間に直列接続された複数のコンデンサを有し、それぞれの前記コンデンサが異なるスイッチング手段に接続されたスイッチング電源装置において、Q個のPWM信号発生器の三角波発生器が互いにπ/Qの位相差を有する基準三角波を出力し、前記基準三角波を用いてPWM信号を形成し、各コンバータに対してスイッチングのタイミングを変化させる請求項8に記載のスイッチング電源装置の制御方法。
- 入力側が直列に接続されて出力側が並列に接続され、複数のスイッチング手段と変圧手段と整流手段とによりそれぞれが構成されて単一出力直流電圧を出力する複数のコンバータ、
前記コンバータから出力された単一出力直流電圧と基準電圧とを比較して第1の誤差信号を形成し、当該第1の誤差信号を増幅した電流基準信号を出力する第1の誤差増幅器、
前記複数のコンバータのいずれか一つのコンバータにおける前記整流手段から出力される電流信号と前記第1の誤差増幅器から出力された前記電流基準信号とを比較して第2の誤差信号を形成し、増幅する第2の誤差増幅器、及び
前記第2の誤差増幅器の出力信号を基にPWM信号を形成し、前記複数のコンバータを各整流手段から出力される電流を基に個別に制御しないように、前記複数のスイッチング手段のそれぞれを前記電流基準信号に対応する前記PWM信号によりPWM制御する複数のPWM信号発生器、
を有することを特徴とするスイッチング電源装置。
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