JP4422286B2 - 不飽和ビシクロヘプタン誘導体オリゴマー水素化物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、不飽和ビシクロヘプタン誘導体オリゴマー水素化物の製造方法に関する。さらに詳しくは、高温でのトラクション係数が高く、かつ低温粘度特性に優れたトラクションドライブ用流体として有用性の高い不飽和ビシクロヘプタン誘導体オリゴマー水素化物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用トラクション式無段変速機(以下、CVTと略称することがある。)は、トルク伝達容量が大きく、また使用条件も過酷なため、このCVTに使用するトラクションドライブ用流体のトラクション係数は使用温度範囲での最高値、すなわち高温(140℃)でのトラクション係数がCVTの設計値よりも十分に高いことが必要である。また、寒冷地においては、自動車などの低温始動性を向上させるのため、−40℃でも低い粘度(15万mPa・s以下)を保持することのできる低温粘度特性が要求されている。さらに、高温での使用時には、高温時の基油の揮発防止性と、十分な油膜保持性が要求される。
【0003】
これら様々な実用性能を兼ね備えたトラクションドライブ用流体として、特開2000−17280号公報において、不飽和ビシクロヘプタン誘導体オリゴマーの水素化物が提案されている。該公報において提案されている不飽和ビシクロヘプタン誘導体オリゴマーの水素化物は、高温におけるトラクション係数が高く保持されていると共に、低温粘度特性においても優れた特性を有することから、実用上優れたトラクションドライブ用流体であるが、この化合物の製造方法として、回分式の懸濁床方式によって行われており、原料の不飽和ビシクロヘプタン誘導体オリゴマーの水素化反応終了後に、得られた水素化物と粉末状の触媒の分離のために濾過工程を必要としている。この濾過工程においては長時間を要することから、生産性の低下を招くという難点があった。
【0004】
さらに、このトラクションドライブ用流体は、過酷な条件のもとで長期間安定して使用できることが必要であり、そのためには、不飽和ビシクロヘプタン誘導体オリゴマーの水素化転化率の高い高純度製品を、効率よく量産することのできる製造方法の開発が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高温でのトラクション係数が高く、かつ低温粘度特性にも優れたトラクションドライブ用流体として有用性の高い不飽和ビシクロヘプタン誘導体オリゴマー水素化物を、高い水素化転化率において効率よく製造する方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するため種々検討を重ねた結果、不飽和ビシクロヘプタン誘導体オリゴマーと水素ガスとの反応を、固定床触媒を充填した流通型反応器を少なくとも2基直列に配置し、かつ上流側反応器の触媒床温度に対して、下流側反応器の触媒床温度を20〜200℃高い温度に保持してある反応装置に流通させて連続水素化反応を行うことにより、上記の目的を達成することができることを見出し、これら知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明の要旨は下記の通りである。
(1)不飽和ビシクロヘプタン誘導体オリゴマー水素化物を製造するにあたり、不飽和ビシクロヘプタン誘導体オリゴマーと水素ガスを、固定床触媒を充填した流通型反応器を少なくとも2基直列に配置し、かつ上流側反応器の触媒床温度に対して、下流側反応器の触媒床温度を20〜200℃高い温度に保持してある反応装置に流通させて連続水素化反応を行うことを特徴とする不飽和ビシクロヘプタン誘導体オリゴマー水素化物の製造方法。
(2)不飽和ビシクロヘプタン誘導体オリゴマーが、2−メチレン−3−メチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン、3−メチレン−2−メチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプタンおよび2,3−ジメチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エンの群から選択される1種または2種以上のビシクロ〔2,2,1〕ヘプタン環化合物のオリゴマーである前記(1)に記載の不飽和ビシクロヘプタン誘導体オリゴマー水素化物の製造方法。
(3)不飽和ビシクロヘプタン誘導体オリゴマーが、不飽和ビシクロヘプタン誘導体の二量体である前記(1)または(2)に記載の不飽和ビシクロヘプタン誘導体オリゴマー水素化物の製造方法。
(4)不飽和ビシクロヘプタン誘導体オリゴマーと水素ガスを、上流側反応器の触媒床温度を100℃〜250℃とし、下流側反応器の触媒床温度を150℃〜300℃とするとともに、上流側反応器の触媒床温度に対して、下流側反応器の触媒床温度を20〜200℃高い温度に保持してある反応装置に流通させて連続水素化反応を行う前記(1)〜(3)のいずれかに記載の不飽和ビシクロヘプタン誘導体オリゴマー水素化物の製造方法。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明は、不飽和ビシクロヘプタン誘導体オリゴマー水素化物を製造するにあたり、不飽和ビシクロヘプタン誘導体オリゴマーと水素ガスを、固定床触媒を充填した流通型反応器を少なくとも2基直列に配置し、かつ上流側反応器の触媒床温度に対して、下流側反応器の触媒床温度を20〜200℃高い温度に保持してある反応装置に流通させて連続水素化反応を行う不飽和ビシクロヘプタン誘導体オリゴマー水素化物の製造方法である。
【0009】
そして、本発明において水素化する原料の不飽和ビシクロヘプタン誘導体オリゴマーとしては、様々な化学構造を有するビシクロヘプタン環化合物を低重合して得られるオリゴマーを用いることができる。これらオリゴマーを製造するための原料オレフィンとしては、例えば、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、2−メチレンビシクロ〔2,2,1〕ヘプタン、2−メチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、2−メチレン−3−メチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプタン、2,3−ジメチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、2−メチレン−7−メチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン、2,7−ジメチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン、2−メチレン−5−メチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン、2,5−ジメチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン、2−メチレン−6−メチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン、2,6−ジメチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン、2−メチレン−1−メチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン、1,2−ジメチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン、2−メチレン−4−メチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン、2,4−ジメチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン、2−メチレン−3,7−ジメチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン、2,3,7−トリメチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン、2−メチレン−3,6−ジメチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン、2−メチレン−3,3−ジメチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン、2,3,6−トリメチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン、2−メチレン−3−エチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン、2−メチル−3−エチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エンなどが挙げられる。
【0010】
また、この低重合に用いる触媒としては酸触媒が好ましい。この酸触媒としては、例えば、フッ化水素酸、ポリリン酸などの鉱酸類、トリフリック酸などの有機酸、塩化アルミニウム,塩化第二鉄,四塩化スズ,四塩化チタン,三フッ化ホウ素,三フッ化ホウ素錯体,三臭化ホウ素,臭化アルミニウム,塩化ガリウム,臭化ガリウムなどのルイス酸、トリエチルアルミニウム,塩化ジエチルアルミニウム,二塩化エチルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物などが挙げられる。そして、これら酸触媒の中でも、三フッ化ホウ素,三フッ化ホウ素錯体,四塩化スズ,四塩化チタン,塩化アルミニウムなどのルイス酸触媒が、比較的に低い温度で低重合することができることから好ましい。さらに具体的には、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体,三フッ化ホウ素水錯体,三フッ化ホウ素アルコール錯体などが特に好ましい。これら触媒の使用量は、特に制限されないが、通常は原料化合物に対して0.1〜100質量%、好ましくは0.5〜20質量%の範囲である。
【0011】
また、この低重合反応においては、溶媒は必ずしも必要ではないが、反応時の原料化合物や触媒の取り扱いや反応の進行を調節するために用いてもよい。このような溶媒としては、各種ペンタン,各種ヘキサン,各種オクタン,各種ノナン,各種デカンなどの飽和炭化水素、シクロペンタン,シクロヘキサン,メチルシクロヘキサン,デカリンなどの脂環式炭化水素、ジエチルエーテル,テトラヒドロフランなどのエーテル化合物、塩化メチレン,ジクロルエタンなどのハロゲン含有化合物、ニトロメタン,ニトロベンゼンなどのニトロ化合物などを用いることができる。
【0012】
さらに、この低重合反応を行う際の反応温度は、60℃以下、好ましくは40℃以下である。また、反応圧力は常圧が好ましく、反応時間は0.5〜10時間が好ましい。
【0013】
本発明においては、上記のようにして得られた不飽和ビシクロヘプタン誘導体オリゴマーを触媒の存在下に、水素ガスを反応させて不飽和ビシクロヘプタン誘導体オリゴマー水素化物を製造する。
【0014】
この水素化反応において用いる触媒としては、ケイソウ土,アルミナ,シリカアルミナ,活性炭などの無機酸化物担体にニッケル,ルテニウム,パラジウム,白金,ロジウム,イリジウムなどの金属を担持した水素化触媒が好適に用いられる。これら触媒のなかでも、ニッケル/ケイソウ土,ニッケル/シリカアルミナなどのニッケル系触媒が好ましい。また、必要に応じて用いる助触媒としては、ゼオライト,シリカアルミナ,活性白土などの固体酸が挙げられる。
【0015】
これら触媒や助触媒は、流通型の反応器の内部に充填し固定する。ここで用いる反応器の形状は、特に制約はなく、一般に用いられている固定床流通型の槽型や管型の反応器を用いることができる。また、触媒や助触媒は、顆粒状またはペレット状であるものが好ましく、その粒径は、1〜10mmの範囲であるものが好適に用いられる。
【0016】
そして、この水素化反応を行うにあたっては、原料の不飽和ビシクロヘプタン誘導体オリゴマーと水素ガスを、触媒や助触媒を充填した固定床流通型の反応器を少なくとも2基直列に配置し、かつ上流側反応器の触媒床温度に対して、下流側反応器の触媒床温度を20〜200℃高い温度に保持してある反応装置に流通させて連続水素化反応を行う。ここでの水素化反応は発熱反応であることから、直列に配置する各反応器の間に熱交換器を介して反応器の接続をすることにより、反応温度の制御を行うようにするのがよい。そして、これら反応器は、少なくとも2基を直列に配置するが、3基以上の反応器を用いる場合には、これら反応器を全て直列に配置してもよいし、またその一部を並列に配置してもよい。このように、3基以上の反応器を用いる場合においては、最上流の反応器の触媒床温度に対して、最下流に位置する反応器の触媒床温度を20〜200℃高い温度に保持して、連続水素化反応を行うようにするのがよい。そして、これら反応器の基数は、設備費や用役費、反応制御性などの面から、2〜5基とするのがより好ましい。
【0017】
つぎに、この水素化反応の条件については、例えば、反応器を2基直列に配置する場合には、上流側反応器の触媒床温度を100〜250℃、好ましくは120〜220℃とし、下流反応器の触媒床温度を150〜300℃、好ましくは220〜280℃の範囲において、上流側反応器の触媒床温度に対して、下流側反応器の触媒床温度を20〜200℃、好ましくは30〜150℃高い温度に保持するのがよい。上流側反応器の触媒床温度については、これが100℃未満であると、この水素化反応が十分に進行しないことがあり、また下流反応器の触媒床温度については、これが300℃を超えると、原料の不飽和ビシクロヘプタン誘導体オリゴマーの分解反応や重質化を招くようになることがあるからである。また、上流側反応器の触媒床温度に対して、下流側反応器の触媒床温度を20〜200℃高い温度とするのは、この昇温幅が20℃未満であると得られる製品の水素化転化率が十分に高められないことがあり、また、この昇温幅が200℃を超えると原料の分解や重質化などを招き、製品の収率が低下するおそれが大きくなるからである。
【0018】
また、この水素化反応を行う際の反応圧力については、0.1〜20MPa、好ましくは0.5〜10MPaの加圧下に行うのがよい。そして、反応時間については、質量空間速度(WHSV)が0.05〜10hr-1、好ましくは0.1〜5hr-1となるように、原料を供給するのがよい。さらに、この水素化反応を行う際の不飽和ビシクロヘプタン誘導体オリゴマーに対する水素ガスの供給割合については、この不飽和ビシクロヘプタン誘導体オリゴマーの理論水素吸収量(化学量論比)に対して、その0.1〜10倍、好ましくは1〜5倍とするのがよい。
【0019】
さらに、この水素化反応においては、原料の不飽和ビシクロヘプタン誘導体オリゴマーと水素ガスは、上流側反応器に下向き並流で流通させるようにするのがよく、この場合の水素ガス供給量は、理論水素吸収量に近い量としても充分に水素化反応を完結することができることから、一般的に行われる水素化反応におけるように大過剰の水素ガスを供給する必要はない。したがって、反応器出口からの未反応水素ガスの回収設備を簡略化することができる。
【0020】
また、この水素化反応においては、反応溶媒を用いてもよいし、無溶媒でもよい。この反応溶媒としては、各種ペンタン,各種ヘキサン,各種オクタン,各種ノナン,各種デカンなどの液状の飽和炭化水素や、シクロペンタン,シクロヘキサン,メチルシクロヘキサン,デカリンなどの脂環式炭化水素を用いてもよい。さらに、この反応での生成液の一部をリサイクルして原料を希釈して供給してもよく、また、水素ガスについても、窒素ガスなどの不活性ガスを混合して希釈したものを使用してもよい。
【0021】
このようにして、種々の化学構造を有する不飽和ビシクロヘプタン誘導体オリゴマー水素化物を得ることができるのであるが、それらの中でもビシクロ〔2,2,1〕ヘプタン環構造を有する化合物が好ましく、さらに具体的には、2−メチレン−3−メチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン、3−メチレン−2−メチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプタンまたは2,3−ジメチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エンから選択される1種または2種以上の混合物のオリゴマー、ことに二量体を水素化したものが特に好ましい。それは、これら化合物をトラクションドライブ用流体として用いた場合に、高温におけるトラクション係数が高く、しかも低温粘度特性にも格別に優れた特性を示すからである。
【0022】
【実施例】
つぎに、本発明を実施例および比較例により、さらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0023】
〔実施例1〕
(1)原料オレフィンの調製
内容積100リットルのステンレス製オートクレーブに、クロトンアルデヒド28kg(400モル)と、ジシクロペンタジエン13.2kg(100モル)を仕込み、170℃で3時間攪拌して反応させた。得られた反応溶液を室温まで冷却した後、ラネーニッケル触媒〔川研ファインケミカル社製:M−300T〕820gを加え、水素圧3MPa(G)、反応温度160℃において、4時間水素化反応を行った。
【0024】
反応終了後、反応液を冷却して触媒を濾別し、濾液を減圧蒸留することにより、2−ヒドロキシメチル−3−メチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン及び3−ヒドロキシメチル−2−メチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプタンを含有する水素化反応生成物11.2kgを得た。
【0025】
つぎに、外径2.54cm、長さ40cmのステンレス製流通式反応管に、γ−アルミナ〔日揮化学社製:N612N〕60gを入れ、反応温度270℃,質量空間速度(WHSV)0.5hr-1で脱水反応を行い、2−メチレン−3−メチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプタンと、3−メチレン−2−メチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプタンおよび2,3−ジメチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エンを含有する脱水反応生成物8.3kgを得た。
【0026】
(2)不飽和ビシクロヘプタン誘導体オリゴマーの製造
内容積1リットルの四つ口フラスコに、触媒として三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体を10g、および上記(1)で得られたオレフィン化合物を500g入れ、メカニカルスターラーを用いて攪拌しながら、20℃において、4時間低重合反応を行った。得られた反応混合物を、希NaOH水溶液で洗浄した後、減圧蒸留して、不飽和ビシクロヘプタン誘導体の二量体360gを得た。この低重合操作を15回繰り返して行い、不飽和ビシクロヘプタン誘導体の二量体を、合計5.4kg得た。
【0027】
(3)不飽和ビシクロヘプタン誘導体オリゴマーの水素化
反応器として、外径2.54cm、長さ40cmのステンレス製流通式反応管に、水素化触媒として、ニッケル/珪藻土触媒〔日揮化学社製:N−112〕60gを充填し、この触媒層の上下面にα−アルミナ・ボール(粒径;3mm)を詰めて管内に固定して触媒床を形成した。
【0028】
ついで、このようにして触媒床を形成した反応器2基を直列に連結し、上流側の反応器の触媒床の温度を175℃に保持し、下流側の反応器の触媒床の温度を230℃に保持して、上記(2)で得られた不飽和ビシクロヘプタン誘導体の二量体と水素ガスを、上流側の反応器の上端から下向きに並流で触媒床に供給し、反応器内圧力3MPa、質量空間速度(WHSV)0.5hr-1、水素ガス:不飽和ビシクロヘプタン誘導体二量体=2:1(モル比)の反応条件で水素化反応を行い、生成物を下流側の反応器の下端から連続的に抜き出した。なお、ここでの水素ガスの供給量は、化学量論比の2倍に相当する。
【0029】
つぎに、ここで得られた生成液の臭素価を測定し、次式、
【0030】
【数1】
【0031】
により、水素化転化率を算出し、また次式、
【0032】
【数2】
【0033】
により、不飽和ビシクロヘプタン誘導体二量体の水素化物についての選択率を算出した。この結果、ここで得られた不飽和ビシクロヘプタン誘導体二量体の水素化物の水素化転化率は99.9%であり、また、その選択率は98.0%であった。すなわち、この生成物中の未水添の不飽和ビシクロヘプタン誘導体二量体や反応副生物の含有量が極めて少なく、高純度の不飽和ビシクロヘプタン誘導体二量体の水素化物が得られることが判明した。上記の水素化反応における条件および反応成績を第1表に示す。
【0034】
〔実施例2〕
実施例1の(3)における下流側の反応器の触媒床の温度を250℃に変更した他は、実施例1と同様にした。結果を第1表に示す。
【0035】
〔比較例1〕
実施例1の(3)と同一の反応器1基を用い、その触媒床の温度を150℃とするとともに、原料の不飽和ビシクロヘプタン誘導体の二量体と水素ガスの供給量を実施例1の(3)の場合の半分として、原料の触媒床での滞留時間を同一にした他は、実施例1と同様にした。この場合、反応副生物の生成が少なく、高い選択率が得られたが、水素化転化率については大幅な低下が見られた。結果を第1表に示す。
【0036】
〔比較例2〕
触媒床の温度を201℃とした他は、比較例1と同様にした。この場合、選択率、水素化転化率のいずれも十分ではなかった。結果を第1表に示す。
【0037】
〔比較例3〕
触媒床の温度を251℃とした他は、比較例1と同様にした。この場合、水素化転化率はある程度高い値を示したが、反応副生物の生成が多くて選択率が低下し、高純度品を得ることはできなかった。結果を第1表に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、高温でのトラクション係数が高くかつ低温粘度特性に優れたトラクションドライブ用流体として有用性の高い不飽和ビシクロヘプタン誘導体オリゴマー水素化物を、高い水素化転化率において、効率よく製造することができる。
Claims (4)
- 不飽和ビシクロヘプタン誘導体オリゴマー水素化物を製造するにあたり、不飽和ビシクロヘプタン誘導体オリゴマーと水素ガスを、固定床触媒を充填した流通型反応器を少なくとも2基直列に配置し、かつ上流側反応器の触媒床温度に対して、下流側反応器の触媒床温度を20〜200℃高い温度に保持してある反応装置に流通させて連続水素化反応を行うことを特徴とする不飽和ビシクロヘプタン誘導体オリゴマー水素化物の製造方法。
- 不飽和ビシクロヘプタン誘導体オリゴマーが、2−メチレン−3−メチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン、3−メチレン−2−メチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプタンおよび2,3−ジメチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エンの群から選択される1種または2種以上のビシクロ〔2,2,1〕ヘプタン環化合物のオリゴマーである請求項1に記載の不飽和ビシクロヘプタン誘導体オリゴマー水素化物の製造方法。
- 不飽和ビシクロヘプタン誘導体オリゴマーが、不飽和ビシクロヘプタン誘導体の二量体である請求項1または2に記載の不飽和ビシクロヘプタン誘導体オリゴマー水素化物の製造方法。
- 不飽和ビシクロヘプタン誘導体オリゴマーと水素ガスを、上流側反応器の触媒床温度を100℃〜250℃とし、下流側反応器の触媒床温度を150℃〜300℃とするとともに、上流側反応器の触媒床温度に対して、下流側反応器の触媒床温度を20〜200℃高い温度に保持してある反応装置に流通させて連続水素化反応を行う請求項1〜3のいずれかに記載の不飽和ビシクロヘプタン誘導体オリゴマー水素化物の製造方法。
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