JP4419934B2 - 溶融金属の連続鋳造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、溶鋼などの溶融金属の連続鋳造に用いる浸漬ノズル内を通過する溶融金属に旋回流を付与して、ノズル詰まりを防止し、鋳型内における溶融金属の流動を安定化する技術に関する。
スラブの連続鋳造のように幅の広い鋳型内に、対向する吐出孔を有する一本の浸漬ノズルを浸漬して溶融金属を供給する連続鋳造においては、鋳型内の流動が自励振動を起こし、流速の変動や湯面の波立ちが発生しやすい。その結果、鋳片表層部の品質に異常が発生し、鋳造速度の低下を余儀なくされることがある。
従来より、この鋳型内流動を制御することを目的として、電磁気力を用いた電磁ブレーキや電磁撹拌、または特許文献1や特許文献2などに開示されているような旋回流を付与する浸漬ノズルが公知である。すなわち、上記特許文献1には、浸漬ノズル内の溶鋼流に旋回を付与するためのねじりテープ状の部品を備えてなる浸漬ノズルが記載されている。また、特許文献2には、内部にねじり板型旋回羽根を設置した浸漬ノズルであって、旋回羽根捩りピッチ、旋回羽根捩り角、旋回羽根の外径、旋回羽根の厚みを所定範囲内の値とし、旋回羽根下端と吐出孔との間において内径を絞り、絞り後の横断面を規定するとともに、タンディッシュと鋳型間の必要ヘッド予測値を適正範囲内におさめた連続鋳造用浸漬ノズルが記載されている。
さらに、特許文献3に開示されたようにノズル底部の滝壺状凹みの深さを大きくした浸漬ノズル、または特許文献4に開示されたようにノズル内径に段差を設けた浸漬ノズルが
公知である。上記特許文献3には、鋳片短辺壁の内側に位置するノズル本体とノズル本体の側壁に形成し且つ鋳片短辺壁に向けて下向きに開口した吐出孔と、ノズル本体の底部凹状のボックスとを有する連続鋳造用ノズルにおいて、ボックスの深さと内径との比、および吐出孔の吐出角度を規定した連続鋳造用浸漬ノズルが開示されている。そして、特許文献4には、溶鋼と接する部分を構成する耐火材料が黒鉛を含有してなり、ノズル内孔部に、段差構造部位が長さを有する段差構造を複数有する連続鋳造用浸漬ノズルにおいて、溶鋼通過量に対してノズル内孔部の最小内径、最小横断面積、吐出孔の断面積を規定した浸漬ノズルが開示されている。
しかしながら、電磁気力を用いる方法は、設備コストが高く、投資に見合ったメリットが得られないことが多い。また、制御対象である溶融金属流を計測することが難しいので制御対象の状態が不明確なまま制御を行うことが多く、技術的にも十分な効果を発揮させることは難しい。
一方、前記特許文献1または2に開示された旋回流を付与する浸漬ノズル(以下、「旋回流付与浸漬ノズル」とも記す)に関する技術は、鋳型内流動を安定化することができる現実的対策としてその有効性が確認されているが、非金属介在物を多く含む清浄度の低い溶融金属を鋳造すると、ノズル内に設ける旋回羽根に非金属介在物が付着しやすく、多量の溶融金属を連続して鋳造することは難しいという問題がある。
また、特許文献3に開示された浸漬ノズルを用いれば、鋳造速度を増加させても鋳型内の表面流速は増加することがなく、モールドパウダーの巻き込みを有効に防止することができるとされているが、実操業においては安定した巻き込み防止効果は得られにくい。さらに、特許文献4に開示された浸漬ノズルは、アルミナ付着による浸漬ノズルの閉塞を防止するとともに、浸漬ノズル内の溶鋼の偏流を抑制することにより鋳型内の流動を均一化し、鋳片品質の向上およびブレークアウトの発生防止を狙ったものである。しかしながら、このようなノズルを用いても、現実の鋳造操業においてはノズル詰まりが発生しやすく、また、安定した偏流抑制効果も得られにくい。
WO99/15291号公報(特許請求の範囲および5頁10行〜6頁8行) 特開2002−239690号公報(特許請求の範囲および段落[0010]〜[0013]) 特許第3027645号公報(特許請求の範囲および段落[0005]) 特許第3207793号公報(特許請求の範囲および段落[0015]および[0016])
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その課題は、タンディッシュ内に溶融金属の旋回流を形成させる簡便で効果的な旋回流付与機構を設けることにより、前記旋回羽根を有する旋回流付与浸漬ノズルの欠点であるノズル詰まりを解消して、鋳型内における溶融金属の流動を安定化し、安定した鋳造操業および鋳片の品質向上を達成できる連続鋳造方法を提供することにある。
本発明者は、上述の課題を解決するために、従来の問題点を踏まえて、浸漬ノズルにおけるノズル詰まりを起こすことなく、浸漬ノズルを通過する溶融金属流に旋回流を付与し、鋳型内における溶融金属の流動を安定化することのできる鋳造方法について検討および考察を重ねた結果、下記の(a)〜(c)の知見を得て、本発明を完成させた。
(a)浸漬ノズル内にねじり板状の旋回羽根を設置して旋回流を形成する方法は、浸漬ノズル内の溶融金属下降流が旋回羽根に当たる際に流れの淀みや渦を生じ、Al23などの非金属介在物の付着を招く。また、流速の大きな浸漬ノズル内にねじり板状旋回羽根のような旋回流付与機構を設置すると、溶融金属の摩擦抵抗が増大し、タンディッシュヘッドの大きな連続鋳造機を用いなければスループットが制限され、さらに、必要なスループットを得るためには旋回速度を弱めざるを得なくなるなど、エネルギの有効利用の面でも好ましくない。
(b)浸漬ノズル上方のタンディッシュ内に、直径の比較的大きな中空の円筒状、円錐状または円錐台状の側面を有し、その側面に、溶融金属が円周方向の速度成分を付与されながら中空内部に流入できる側孔を設けた旋回流付与機構を設置することにより、旋回流付与機構における溶融金属通路の断面積を大きく確保することができ、溶融金属の流速が小さい条件において旋回流を付与することができる。
(c)上記(b)の構成とすることにより、Al23などの非金属介在物が旋回流付与機構に付着しにくくなり、また、たとえ付着したとしても、旋回流付与機構の閉塞には至りにくくなる。さらに、溶融金属の摩擦抵抗を小さくできるので、タンディッシュヘッドを有効に活用でき、強い旋回流を得ることができる。
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、その要旨は、下記の(1)〜(4)に示す溶融金属の連続鋳造方法にある。
(1)側壁に1つ以上の側孔が設けられた中空の円筒状、円錐状または円錐台状の耐火物製構造体であり、該側孔は該耐火物製構造体の水平方向の円形断面の中心から放射状に伸びる仮想線と該耐火物構造体の内面との交点に側孔の出側開口部の中心を有し、該出側開口部において該仮想線に対して側孔の中心軸を傾斜させて設けられた耐火物製構造体を、該耐火物製構造体の軸を鉛直にして、浸漬ノズル上方のタンディッシュ内に配置し、該タンディッシュ内の溶融金属を、耐火物製構造体外面に開口した側孔の入側開口部から耐火物製構造体内面に開口した出側開口部に向かって通過させることにより、該タンディッシュから浸漬ノズル内に供給される溶融金属に旋回流を付与して鋳造する溶融金属の連続鋳造方法(以下、「第1発明」とも記す)。
(2)前記水平方向の円形断面における最大内径が150mm〜3000mm、内面の高さが50mm〜2000mmであり、前記出側開口部において仮想線に対して側孔の中心軸のなす角度が15°〜80°である耐火物製構造体をタンディッシュ内に配置して鋳造する前記(1)に記載の溶融金属の連続鋳造方法(以下、「第2発明」とも記す)。
(3)前記耐火物製構造体の上端部に開孔部が設けられ、該開孔部を通してタンディッシュの上部から底部まで耐火物製ストッパーロッドが配置された耐火物製構造体を用いて鋳造する前記(1)または(2)に記載の溶融金属の連続鋳造方法(以下、「第3発明」とも記す)。
(4)前記タンディッシュに配置された上ノズル、スライディングゲートおよび浸漬ノズルのうちの少なくとも1つにおいて、溶鋼と接するその内壁面から、溶鋼中に不活性ガスを吹き込む前記(1)〜(3)のいずれかに記載の溶融金属の連続鋳造方法(以下、「第4発明」とも記す)。
本発明において、「円形断面における最大内径」とは、耐火物製構造体の水平方向断面の内径の最大値を意味し、内径が構造体の軸方向で変化する場合には、その最大値を意味する。
また、「出側開口部において仮想線に対して側孔の中心軸のなす角度」を以下の説明においては、「側孔の傾斜角度(θ1)」とも記す。
本発明の方法によれば、旋回羽根を有する旋回流付与浸漬ノズルの欠点であるノズル閉塞を起こすことなく、浸漬ノズル内の溶融金属に旋回流を形成させ、旋回流付与浸漬ノズルが有する、鋳型内溶融金属の優れた流動安定性や、非金属介在物の除去などの効果を享受して、安定した連続鋳造操業および鋳片の品質向上を達成することができる。
前述のとおり、本発明は、「側壁に1つ以上の側孔が設けられた中空の円筒状、円錐状または円錐台状の耐火物製構造体であり、側孔は耐火物製構造体の水平方向の円形断面の中心から放射状に伸びる仮想線と耐火物構造体の内面との交点に側孔の出側開口部の中心を有し、出側開口部において仮想線に対して側孔の中心軸を傾斜させて設けられた耐火物製構造体を、耐火物製構造体の軸を鉛直にして、浸漬ノズル上方のタンディッシュ内に配置し、タンディッシュ内の溶融金属を、該構造体外面に開口した側孔の入側開口部から該構造体内面に開口した出側開口部に向かって通過させることにより、タンディッシュから浸漬ノズル内に供給される溶融金属に旋回流を付与する溶融金属の連続鋳造方法」である。本発明の内容について、下記にさらに詳細に説明する。
図1は、本発明の方法を実施するための連続鋳造装置を模式的に示す図であり、同図(a)は、同図(b)におけるA−A断面図を表し、同図(b)は連続鋳造装置の縦断面図を表す。
同図に示されるとおり、浸漬ノズル4上方のタンディッシュ5内に、水平方向の円形断面の中心Oから放射状に伸びる仮想線X1〜X5上に孔出口の中心を有し、仮想線X1〜X5に対して孔の中心軸の方向Y1〜Y5を傾斜させて開口した側孔2が、その側壁に1つ以上設けられた中空の筒状の耐火物製構造体1が、その耐火物製構造体の軸3を鉛直にして、配置されている。タンディッシュ5内の溶融金属6は、側孔2を通過して耐火物製構造体1内に流入する際に、円周方向の速度成分を付与されて旋回流を形成し、タンディッシュ5から浸漬ノズル4内を経て鋳型11に供給される。
(1)第1発明
前記のとおり、第1発明は、水平方向の円形断面の中心Oから放射状に伸びる仮想線X1〜XN(ただし、Nは仮想線の数を表す)上に孔の出側開口部中心を有し、仮想線X1〜XNに対して孔の中心軸の方向を傾斜角度θ1だけ傾斜させて穿たれた側孔2が、その側壁に1つ以上設けられた中空の円筒状、円錐状または円錐台状の耐火物製構造体1を、耐火物製構造体1の軸3を鉛直にして、浸漬ノズル4上方のタンディッシュ5内に配置し、タンディッシュ5内の溶融金属6を耐火物製構造体1の外面に開口した側孔2の入側開口部から耐火物製構造体1内面に開口した出側開口部に向かって通過させることにより、該タンディッシュ5から浸漬ノズル4内に供給される溶融金属に旋回流を付与して鋳造する溶融金属の連続鋳造方法である。
この耐火物製構造体1は、傾斜角度θ1を有する側孔2を備えていることにより、溶融金属6に円周方向の流速成分を付与し、旋回流を形成させることができる。傾斜角度θ1を有する側孔2は、1個であってもよいが、溶融金属6による閉塞を防止する観点から、耐火物製構造体1の全周に複数個あることが好ましい。また、側孔2は耐火物製構造体1の全周に複数個、かつ構造体の高さ方向(軸方向)に複数段設けてもよい。複数個設ける側孔2の傾斜角度θ1は同一であっても、また、ある範囲内で変動があってもよいが、溶融金属6に付与する旋回流の回転方向が同一であることが好ましい。さらに、側孔2の隔壁が薄いフィン状であり耐火物製構造体1の円周方向に多数の側孔を有する形状であってもよい。
側孔2の大きさは、溶融金属中の最大粒径が50mm程度の異物でも通過できる断面積を有することが好ましい。側孔2の上側および下側の内壁面は、水平であっても傾斜していても構わないが、側孔2の高さ位置は、鋳造終了時にタンディッシュ5内に溶融金属6が残留して歩留まり低下を起こさない程度に低い位置とすることが好ましい。
なお、耐火物製構造体1の上端部には、上蓋を設けても設けなくても構わない。
(2)第2発明
第2発明は、水平方向の円形断面における最大内径が150mm〜3000mm、内面の高さが50mm〜2000mmであり、仮想線X1〜XNに対する側孔2の中心軸の傾斜角度θ1が15°〜80°である耐火物製構造体1をタンディッシュ5内に配置して鋳造する第1発明の溶融金属の連続鋳造方法である。
耐火物製構造体1の水平方向の円形断面の最大内径が150mm未満では、旋回流付与機構としては小さ過ぎるので、溶融金属通路の横断面が狭くなり、側孔2の閉塞や溶融金属6の摩擦抵抗の増大などの問題が生じる。また、耐火物製構造体1の円形横断面の最大内直径が3000mmを超えると、耐火物構造体として過大となるので、耐火物構造体のコストの増加はもちろんのこと、専用のタンディッシュが必要になり、鋳造設備のコスト増大を招く。したがって、耐火物製構造体1の水平方向の円形断面の最大内径は、150mm〜3000mmの範囲とすることが好ましい。なお、耐火物製構造体1の円形横断面の最大内径のさらに好ましい範囲は、300mm〜800mmである。
耐火物製構造体1の内面の高さが50mm未満では、溶融金属の通路が狭過ぎ、閉塞問題が生じやすくなる。また、耐火物製構造体1の高さは、タンディッシュ5内部の深さにより制約されるので、通常、耐火物製構造体1の内面高さは2000mm以内となる。したがって、耐火物製構造体1の内面の高さは50mm〜2000mmの範囲とすることが好ましい。また、耐火物製構造体1の上端部7に上蓋を設けない場合は、上端部7の高さをタンディッシュ5内の湯面高さよりも高くすることが耐火物製構造体1内へのタンディッシュスラグの混入を防止する観点から好ましい。
耐火物製構造体1に設けた側孔2の傾斜角度θ1が15°よりも小さいと付与される旋回流の強さが不足する。一方、傾斜角度θ1が80°を超えて大きくなると、耐火物製構造体1の側壁の厚みが薄くなるので、強度上の問題が生じる。したがって、側孔2の傾斜角度θ1は15°〜80°の範囲とすることが好ましい。
(3)第3発明
第3発明は、耐火物製構造体1の上端部7に開孔部が設けられ、開孔部を通じてタンディッシュの上部から底部まで耐火物製ストッパーロッド14が配置された耐火物製構造体を用いて鋳造する第1発明または第2発明の溶融金属の連続鋳造方法である。
耐火物製構造体1の内部には溶融金属の旋回流が生じるので、湯面から浸漬ノズル4内にまで到る渦が発生し、タンディッシュ5内湯面上のスラグを吸い込み、鋳型11内に混入させることがある。この現象を避けるには、耐火物製のストッパーロッド14を耐火物製構造体1の円形断面の中心部に設置することが有効である。
この場合、上端部に開口部を設けるに当たっては、耐火物製構造体1の形状は円筒状、円錐状または円錐台状のいずれの形状のものであってもよい。また、耐火物製構造体1の上端部7の高さは、タンディッシュ5内の湯面高さよりも低くても構わない。開口部の隙間が多少大きく、そこからスラグが侵入する場合であっても、上記耐火物製ストッパーが備えられていれば、スラグを巻き込む渦は形成されないので、鋳型11内へのスラグの巻き込みは防止できるからである。
ストッパーロッド14は、通常、タンディッシュ5内から浸漬ノズルに到る溶融金属通路の開閉を行うものであるから、鋳造中は、タンディッシュ5の底面から数mm〜数十mm上方に、ストッパーロッド14の下端があり、上端部は、タンディッシュ5の上部に設置された昇降機構に繋がっている。本発明において、ストッパーロッド14は、旋回流の形成に伴い生じる渦の発生を防止する目的で用いるので、旋回流を減衰させない範囲でタンディッシュ5の底部に近い方が好ましく、ロッドの下端をタンディッシュ5の底面から数十mm〜100mmとすることが好ましい。なお、ストッパーロッド14は通常の昇降機能を有していてもよいし、また、昇降機能を有さずに高さ方向に固定されたロッド(棒)であっても構わない。
ストッパーロッド14が昇降機能を有する場合には、これを鋳型11内の湯面レベル制御に用いてもよいし、単に、鋳造開始時および終了時に、溶融金属通路の開閉を行うことのみに用いてもよい。ストッパーロッド14を単に鋳造開始時および終了時に溶融金属通路の開閉を行うことのみに用いる場合には、鋳造中の鋳型11内湯面レベル制御には、浸漬ノズル4と上ノズル8との間に設けたスライディングゲート9を用いるのが好ましい。
このように、ストッパーロッド14とスライディングゲート9とを併用する場合には、スライディングゲート9の開度が常に全開に近い領域で制御に用いられるよう、ストッパーロッド14の高さを調整すると、安定した旋回流が浸漬ノズル4内に生じる。これは、スライディングゲート9の絞りが大きいと、耐火物製構造体1の内部で生じた旋回流が偏心するとともに、減衰するからである。具体的には、例えば、スライディングゲート9の全開状態を100%としたとき、平均開度が90%程度に近づくように、過去数十秒から数分程度の平均開度をモニターしながら、緩やかな昇降動作をストッパーロッド14に加えるように制御を行うことが好ましい。
(4)第4発明
第4発明は、タンディッシュ5に配置された上ノズル8、スライディングゲート9および浸漬ノズル4のうちの少なくとも1つにおいて、溶融金属6と接するその内壁面から、溶融金属6中に不活性ガス10を吹き込む第1発明〜第3発明のいずれかに記載の溶融金属の連続鋳造方法である。
耐火物製構造体1の側孔2を通過することにより形成された溶融金属6の旋回流は、上ノズル8内においてノズル内径の縮小に伴い、角運動量保存の法則にしたがって、一層大きな旋回流速を得る。ここで、大きな旋回流速とは、例えば、1m/s以上の周速度を意味する。
このような強い旋回流が生じた状態で、旋回流の周囲、すなわち上ノズル8、スライディングゲート9または浸漬ノズル4の内壁面からArガスなどの不活性ガスを吹き込むと、吹き込まれた不活性ガスが、溶融金属6に作用する遠心力により中心部に向けて吸い出され、周辺部から中心部へと向かう気泡膜を形成し、溶鋼中のAl23などの非金属介在物を効率良く捕捉するので、浸漬ノズル4内への非金属介在物の付着が減少する。気泡膜に捕捉された非金属介在物は、鋳型内で気泡と共に浮上・除去される。上記のような気泡膜形成の観点からは、不活性ガス10は全周から均等に吹き込むことが好ましい。
本発明の溶融金属の連続鋳造方法の効果につき、さらに実施例に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説明では、溶融金属として溶鋼を対象とする。
(実施例1)
図1は、前述したとおり、本発明の方法を実施するための連続鋳造装置を模式的に示す図であり、同図(a)は、同図(b)におけるA−A断面図を表し、同図(b)は連続鋳造装置の縦断面図を表す。同図に示す実施例は、前記第1発明、第2発明および第4発明で規定する条件を満たす実施例である。
中空円筒状の耐火物製構造体1は、内径400mm、外径550mm、高さ1200mmのアルミナ−シリカ系耐火物で構成されており、側壁には傾斜角度θ1が40°、高さが200mm、幅が80mmの側孔2が円周方向に5個、高さ方向に2段設けられている。連続鋳造の定常操業時におけるタンディッシュ5内の湯面高さは、耐火物製構造体1の上端部7よりも200mm下部にある。
図1において、側孔2を通過した溶鋼6は、旋回周速度を付与され、内径の絞られた上ノズル8およびスライディングゲート9を通過する際に、角運動量保存の法則に従って旋回周速度を増し、浸漬ノズル4内において強い旋回流を形成する。浸漬ノズル4内に形成された旋回流は、遠心力の作用により浸漬ノズル4下端近傍の2つの吐出孔から均一に、また均等に吐出され、鋳型11内において安定した流動を形成する。
さらに、二層式スライディングゲート9の上側の固定盤内周部よりArガスが吹き込まれ、溶鋼6に作用する遠心力によりArガスが逆円錐状の気泡膜を形成するので、この気泡膜を横切って流下する溶鋼6中の非金属介在物は、効果的に気泡に捕捉され、気泡とともに鋳型11内で浮上し除去される。
上述した鋳型内流動の安定化効果と介在物の捕捉および浮上効果により、清浄な鋼を得ることができるのである。また同時に、旋回流が形成されると、浸漬ノズル4の内壁近傍に流れの淀み域が生じにくいので、非金属介在物の付着による浸漬ノズルの閉塞が生じにくいとうい利点も見出される。
図1に示された耐火物製構造体1は、その上端部7をタンディッシュ5内の湯面よりも高くし、タンディッシュ5内のスラグがその内部に侵入することを防止しているので、耐火物製構造体1の内部に渦が生じても、鋳型11内にタンディッシュ5内のスラグを巻き込む恐れは少ない。ただし、タンディッシュ5を再使用する場合には、耐火物製構造体1の内部にタンディッシュ5内のスラグが侵入することがあり、発生する渦によってタンディッシュ内のスラグが鋳型11内に持ち込まれる可能性がある。
(実施例2)
図2は、本発明の方法を実施するための別の連続鋳造装置を模式的に示す図であり、同図(a)は、同図(b)におけるA−A断面図を表し、同図(b)は連続鋳造装置の縦断面図を表す。同図に示す実施例は、前記第1発明〜第4発明で規定するいずれの条件をも満たす実施例である。
同図に示されるとおり、中空円錐台状の耐火物製構造体1は、内径が下端部で700mm、上端部7で400mm、外径が下端部で860mm、上端部7で560mm、内面高さが400mm、および外面高さが480mmの形状を有し、アルミナ−マグネシア系耐火物で構成されている。その側壁には、同図(a)に示すとおり、耐火物製構造体の内面において、仮想線X1〜X8に対して側孔の中心軸Y1〜Y8がそれぞれ傾斜角度(θ1)60°をなし、高さが300mm、幅が100mmの側孔2が8個設けられている。
また、中空円錐台の上端部7には直径200mmの開孔部があり、その開孔部を通して直径100mmのストッパーロッド14がタンディッシュ5の上方から上ノズル8の近傍まで挿入されている。定常操業時のタンディッシュ5内の湯面高さは、耐火物製構造体1が完全に浸漬する高さとなる。
図2に示される実施例2においても、前記実施例1の場合と同様に、側孔2を通過した溶鋼6は旋回周速度を付与され、内径の絞られた上ノズル8およびスライディングゲート9を通過する際に、角運動量保存の法則に従って旋回周速度を増し、浸漬ノズル4内に強い旋回流を形成する。浸漬ノズル4内に形成された旋回流は、遠心力の作用により浸漬ノズル4の下端近傍の2つの吐出孔から均一に、また均等に吐出され、安定した鋳型内流動を形成する。
また、上ノズル8の内周部よりArガスが吹き込まれ、このArガスが溶鋼6に作用する遠心力により逆円錐状の気泡膜を形成しているので、この気泡膜を横切って流下する溶鋼6中の非金属介在物は、効果的に気泡に捕捉され、気泡とともに鋳型11内で浮上し除去される。
上述の鋳型内流動の安定化効果と介在物捕捉および浮上効果により、清浄な鋼を得ることができる。また同時に、旋回流が形成されると、浸漬ノズル4の内壁近傍に流れの淀み域が生じにくいので、非金属介在物の付着による浸漬ノズル4の閉塞が生じにくい利点もある。
実施例2においては、ストッパーロッド14が存在するので、旋回流に起因する渦の発生が防止され、タンディッシュ5内のスラグが鋳型11内に持ち込まれる可能性は非常に低い。また、ストッパーロッド14の高さを制御し、スライディングゲート9の開度を鋳型11内の湯面レベル制御に悪影響を及ぼさない範囲で全開に近づけることによって、旋回流が周方向に高い均等性を保ったままの状態で、溶鋼6を浸漬ノズル4内に流入させることが可能となる。上記の作用により、鋳型内流動をさらに均等に保つ効果が発揮される。
上記の実施例1および実施例2に示した本発明の溶融金属の連続鋳造方法は、耐火物製構造体1を設置しない通常の連続鋳造方法に比較して、浸漬ノズル4内に旋回流を形成でき、また、旋回流付与型浸漬ノズルを使用する鋳造方法に比べても、ノズルの閉塞を防止しながら旋回流を形成できるので、浸漬ノズル4の内壁への非金属介在物付着を確実に抑制できる。したがって、本発明の方法は、鋳型内流動を安定化し、鋳片の高品質化および連続鋳造の生産性向上に大きな効果を発揮する。
本発明の方法によれば、旋回羽根を有する旋回流付与浸漬ノズルの欠点であるノズル閉塞を起こすことなく、浸漬ノズル内の溶融金属に旋回流を形成させ、旋回流付与浸漬ノズルが有する、鋳型内溶融金属の優れた流動安定性や、非金属介在物の除去などの効果を享受して、安定した連続鋳造操業および鋳片の品質向上を達成することができる。したがって、本発明の溶融金属の連続鋳造方法は、安価な設備と方法により連続鋳造の安定化および金属鋳片の高清浄度化を目指す精錬および鋳造分野において広範に適用できる技術である。
本発明の方法を実施するための連続鋳造装置を模式的に示す図であり、同図(a)は、同図(b)におけるA−A断面図を表し、同図(b)は連続鋳造装置の縦断面図を表す。 本発明の方法を実施するための別の連続鋳造装置を模式的に示す図であり、同図(a)は、同図(b)におけるA−A断面図を表し、同図(b)は連続鋳造装置の縦断面図を表す。
符号の説明
1:耐火物製構造体、 2:側孔、 3:耐火物製構造体の軸、 4:浸漬ノズル、
5:タンディッシュ、 51:タンディッシュ耐火物、 52:タンディッシュ鉄皮、
6:溶融金属(溶鋼)、 7:耐火物製構造体の上端部、 8:上ノズル、
9:スライディングゲート、 10:不活性ガス、 11:鋳型、 12:凝固シェル、
13:モールドパウダー、 14:ストッパーロッド、
O:水平方向の円形断面の中心、 X1〜X8:放射状に伸びる仮想線、
Y1〜Y8:側孔の中心軸、 θ1:側孔の傾斜角度、

Claims (4)

  1. 側壁に1つ以上の側孔が設けられた中空の円筒状、円錐状または円錐台状の耐火物製構造体であり、該側孔は該耐火物製構造体の水平方向の円形断面の中心から放射状に伸びる仮想線と該耐火物構造体の内面との交点に側孔の出側開口部の中心を有し、該出側開口部において該仮想線に対して側孔の中心軸を傾斜させて設けられた耐火物製構造体を、該耐火物製構造体の軸を鉛直にして、浸漬ノズル上方のタンディッシュ内に配置し、該タンディッシュ内の溶融金属を、耐火物製構造体外面に開口した側孔の入側開口部から耐火物製構造体内面に開口した出側開口部に向かって通過させることにより、該タンディッシュから浸漬ノズル内に供給される溶融金属に旋回流を付与して鋳造することを特徴とする溶融金属の連続鋳造方法。
  2. 前記水平方向の円形断面における最大内径が150mm〜3000mm、内面の高さが50mm〜2000mmであり、前記出側開口部において仮想線に対して側孔の中心軸のなす角度が15°〜80°である耐火物製構造体をタンディッシュ内に配置して鋳造することを特徴とする請求項1に記載の溶融金属の連続鋳造方法。
  3. 前記耐火物製構造体の上端部に開孔部が設けられ、該開孔部を通じてタンディッシュの上部から底部まで耐火物製ストッパーロッドが配置された耐火物製構造体を用いて鋳造することを特徴とする請求項1または2に記載の溶融金属の連続鋳造方法。
  4. タンディッシュに配置された上ノズル、スライディングゲートおよび浸漬ノズルのうちの少なくとも1つにおいて、溶融金属と接するその内壁面から、溶融金属中に不活性ガスを吹き込むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の溶融金属の連続鋳造方法。
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