JP4416195B2 - 荷電粒子線露光方法及び装置、ならびにデバイス製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、荷電粒子線露光方法及び装置、並びにデバイス製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子ビーム描画装置は、大別して、ポイントビームをウエハ上を走査させパターンを描画する装置と、マスクを用い電子ビームを所望の形状に整形してマスクパターンをウエハ上に転写する装置とがある。そして両者とも、ウエハ全面にパターンを露光するには、電子ビームに対しウエハを移動させる為に、ウエハを載置するステージの移動が必要である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような従来装置にあっては、ステージの移動と共に、電子ビームの位置が変動し、ウエハ上の所望の位置にパターンが描画若しくは転写できないという問題がある。その原因として、ステージの移動に伴い電子ビーム近傍の電磁場が変動するということが考えられ、特に移動するステージに磁性体が用いられている場合、ステージの移動に伴う電子ビームの位置変動が顕著であった。
【0004】
本発明は、ステージの移動に伴う荷電粒子線の位置変動に関する補正を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の荷電粒子線露光方法は、感光剤を塗布されてステージに搭載された基板を荷電粒子線で露光することにより該基板上にパターンを描画する荷電粒子線露光方法であって、
複数のマークが形成された校正用基板を前記ステージに載置し、前記ステージを移動させて電子光学系により前記複数のマークの位置の検出(第1の検出)を行い、
前記感光材を感光させない波長を有する光を用いるアライメント光学系の基準位置と前記電子光学系の基準位置との間の前記ステージの座標系における相対位置関係としての基準ベースラインに基づいて前記ステージを移動させて前記アライメント光学系により前記複数のマークの位置の検出(第2の検出)を行い、
前記第1および第2の検出に基づいて、前記校正用基板上の荷電粒子線の位置の変動量を前記ステージの位置毎に算出して記憶し、
基板を前記ステージに載置し、前記ステージに搭載された基板上の前記荷電粒子線の露光位置を、記憶された前記変動量に基づき補正して該基板上にパターンを描画する、
ことを特徴とする荷電粒子線露光方法である。
【0006】
本発明の荷電粒子線露光装置は、感光剤を塗布された基板を載置して移動するステージと、前記基板に荷電粒子線を照射し、かつ対象物に荷電粒子線を照射して得られる前記対象物からの荷電粒子線を検出して前記対象物の位置を検出する電子光学系と、前記感光材を感光させない波長を有する光を用いるアライメント光学系と、記憶手段と、制御手段とを有し、前記ステージに搭載された基板を前記荷電粒子線で露光することにより該基板上にパターンを描画する荷電粒子線露光装置であって、
前記制御手段は、
複数のマークが形成された校正用基板を前記ステージに載置し、前記ステージを移動させて前記電子光学系により前記複数のマークの位置の検出(第1の検出)を行い、
前記アライメント光学系の基準位置と前記電子光学系の基準位置との間の前記ステージの座標系における相対位置関係としての基準ベースラインに基づいて前記ステージを移動させて前記アライメント光学系により前記複数のマークの位置の検出(第2の検出)を行い、
前記第1および第2の検出に基づいて、前記校正用基板上の荷電粒子線の位置の変動量を前記ステージの位置毎に算出して前記記憶手段に記憶し、
基板を前記ステージに載置し、前記ステージに搭載された基板上の前記荷電粒子線の露光位置を、前記記憶手段に記憶された前記変動量に基づき補正して該基板上にパターンを描画する、
制御を行う、
ことを特徴とする荷電粒子線露光装置である。
【0007】
本発明のデバイス製造方法は、上記荷電粒子線露光方法を用いて基板を露光する工程と、
前記工程で露光された基板を現像する工程と、
を含むことを特徴とするデバイス製造方法である。
また、本発明のデバイス製造方法は、上記荷電粒子線露光装置を用いて基板を露光する工程と、
前記工程で露光された基板を現像する工程と、
を含むことを特徴とするデバイス製造方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】
<電子ビーム露光装置>
荷電粒子線の一例として本実施例では電子ビーム露光装置を例を示す。なお、電子ビームに限らずイオンビームを用いた露光装置にも同様に適用できる。
【0009】
図1において、100は真空チャンバで、図示せぬ真空ポンプによって真空排気されている。真空チャンバ100内には、大別して、電子光学系1、ウエハステージ2、測長用干渉計3、アライメント光学系4等が配置されている。
【0010】
電子光学系1は、電子ビームを放射する電子銃11、電子銃11からの電子ビームEBを収束させる電子レンズ系12、電子ビームEBを偏向させる偏向器13、電子ビームEBの照射対象物からの電子を検出する電子検出系14で構成される。そして各構成要素は、電子光学系制御部7によって制御される。そして、電子光学系1からの電子ビームが偏向器13によって偏向されずにステージ側に入射する位置を電子ビームの基準位置とし、電子ビームEBによりウエハを露光する際は、電子光学系制御部は、電子ビームEBを偏向器13により基準位置を基準にして走査するとともに、描画するパターンに応じて電子ビームEBの照射を制御する。電子ビームEBにより照射対象物の位置を検出する際は、電子光学系制御部は、偏向器13により電子ビームEBを照射対象物上を走査させるとともに、電子検出系14によって照射対象物からの電子を検出して、基準位置に対する照射対象物の位置を検出する。
【0011】
次に、ウエハステージ2について説明する。21が基準面を持ったステージ定盤、22がYステージ、23がXステージである。Xステージ23上にθZステージ24が搭載されている。θZステージ24上には、ウエハWを吸着固定する静電チャック25と測長用干渉計3用のミラーMX、MY(図示せず)が搭載されている。26はYステージ22の水平方向(Y軸方向)の固定ガイドである。27a,27b,27c,27dは静圧空気軸受けであり、この静圧空気軸受けは、真空に対応する為、特開平2−212624号公報で提案されているように気体を供給する多孔質パッド((セラミックスパッド)と気体の流出を防止するラビリンス隔壁を備えたものである。このうち27a(A―A'断面図参照)はXステージ23の水平方向(Y軸方向)、27b(A―A'断面図参照)はXステージ23の鉛直方向(Z軸方向)、27cはYステージ22の水平方向、27dはYステージ22の鉛直方向を各々案内している。
【0012】
図2はYステージ22、Xステージ23を裏から見た裏面図である。同図において、MGは、それぞれ予圧用磁石ユニットであり、特開昭63−232912号公報で提案されているように例えば磁力手段として永久磁石とその両側に設けたヨーク(磁性体)とを有した予圧機構(移動体を吸引する機構)により、静圧軸受けに加圧流体を給気して定盤基準面から移動体を浮上させる際、軸受けの特性のバラツキにより移動体が傾くのを防止し、定盤基準面に対して常に一定の姿勢を保つようにしている。また、Xステージ23の水平方向の案内板22aを除いて、Yステージ22、Xステージ23の表面は、予圧用磁石ユニットからの磁場が電子ビームに与える影響を低減する為に磁気シールド材(例えばパーマロイ)でカバーされている。なお、ステージと定盤基準面との間に吸引力を作用させて予圧を与える予圧機構として、本実施例では磁石予圧機構を採用したが、これに限らず真空吸引によって予圧を与える真空予圧機構や静電気力によって予圧を与える静電予圧機構であってもよい。
【0013】
図3はYステージ22、Xステージ23を上から見た平面図である。同図において、Xステージ23は、X方向に伸縮する腕XAにより、駆動される。図1にもどり、腕XAの先端は、Xステージ23に固設されたYガイドレールYGを挟み込んで、Xステージ23と連結され、Xステージ23のY方向の移動を妨げないようにしている。そして、腕XAは、真空チャンバ100に固定してあるXアクチュエータ28により駆動されてX方向に伸縮する。同様に、Yステージ22は、Yアクチュエータ(図示せず)によりY方向に伸縮される腕YAが連結されており、それにより駆動される。また、Xアクチュエータ28及びYアクチュエータは、ウエハステージ制御部6により制御される。
【0014】
よって、Yステージ22は静圧空気軸受け27c,27dに給気することにより定盤21から浮上され、Yアクチュエータにより片側に設けられている固定ガイド26に沿ってY方向に移動される。また、Xステージ22は静圧空気軸受け27a,27bに給気することによりYステージ22と同様に定盤21から浮上され、Yステージ22の側面22aを水平方向の案内としてXアクチュエーター28によりX方向に移動される。このとき、Xステージ23及Yステージ22は複数の予圧用磁石ユニットMGによって常に一定の姿勢となるように調整されている。
【0015】
測長用干渉計3では、内部に設けられたレーザ光源から射出されたレーザビームを測長ビーム及び参照ビームに分割する。そして、測長ビームをウエハステージ2上のミラーMに向かって進ませ反射させて再び内部に戻し、一方、参照ビームは内部の参照鏡に反射させ、戻された両ビームの干渉光の強度信号を検出している。射出段階で測長ビームと参照ビームとは互いに周波数が微小量Δfだけ異なる為、ミラーMXのX方向の移動速度に応じて周波数がΔfから変化している信号が出力される。この強度信号をステージ位置検出部7が処理することにより、参照ビームの光路長を基準とした測長ビームの光路長の変化量、言い換えれば、ウエハステージに固設されたミラーMXのX方向の座標が、参照鏡を基準にして、高い分解能でかつ高精度に計測される。同様に、図示はされないがウエハステージのY方向の位置を検出する測長用干渉計によって、ウエハステージ4に固設されたミラーMYのY方向の座標が、参照鏡を基準にして、高い分解能でかつ高精度に計測される。
【0016】
アライメント光学系4は、アライメント光(ウエハWに塗布された感光材を感光させない波長を有する)を照射対象物(ウエハW)に向け、照射対象物からの光から照射対象物の像を検出する。そして、アライメント光学系制御部8はアライメント光学系4の基準位置に対する照射対象物の位置を検出する。
【0017】
主制御系9は、上記電子光学系制御部5、アライメント光学系制御部8、ステージ位置検出部7、ウエハステージ制御部6からのデータを処理、各制御部への司令等を行う制御系である。また、メモリ10は、主制御系9に必要な情報を記憶する記憶手段である。
【0018】
露光処理動作の説明
図4を用いて本実施例の電子ビーム露光装置の露光処理動作について説明する。
【0019】
基本的には、ステップアンドリピート動作によって、基板上の複数ショット位置にパターンを並べて露光するものであり、荷電粒子線を偏向してステージに搭載された基板上にパターンを描画露光するにあたって、ステージの移動に応じて荷電粒子線を偏向する偏向器の制御もしくは前記ステージの位置制御によって前記ステージに対する荷電粒子線の基準位置を補正するものである。
【0020】
詳細な説明の前に、本実施例の座標系について述べる。Xステージ23の位置は、ステージ位置検出部7によって定められる。そして、設計上、電子光学系1からの電子ビームが偏向器13によって偏向されずにステージ側に入射する位置を電子ビームの基準位置とし、その基準位置に静電チャック25の中心が位置する時、ステージ位置検出部7が、ステージ座標系(x、y)において、(x、y)=(0、0)と検知するように予め設定されている。また、ステージ座標系における電子光学系1の基準位置、アライメント光学系4の基準位置の設計上の位置は予め知られており、よって、当然のことながら、アライメント光学系4の基準位置に対する電子光学系1の基準位置の設計上の相対位置関係すなわち設計上の相対位置(xsd,ysd)も予め知られている。以後、この相対位置をベースラインと記す。
【0021】
露光処理作業の開始により、電子ビーム露光装置は以下のステップを実行する。
【0022】
(ステップS101)
校正用ウエハCW(校正用基板)を、ウエハステージ2の静電チャック25に載置する。
【0023】
ここで、校正用ウエハCWは、図5に示すようにアライメントマークAMが複数配列されて形成されている。また、同図に示すように、アライメントマークAMと同一形状のステージ基準マークSMが形成された基準プレートSPがウエハステージ2のθZステージに固設されいる。(ステージ座標系におけるステージ基準マークSMの設計上の位置は予め知られている。)
【0024】
(ステップS102)
設計上の電子光学系1の基準位置及びステージ基準マークSMの位置に基づいて、ステージ基準マークSMを電子光学系1の基準位置に位置させるようにウエハステージ制御部6によってウエハステージを制御する。
【0025】
(ステップS103)
電子光学系1によって、電子光学系1の基準位置に対するステージ基準マークSMの位置(xs1,ys1)を検出する。次に、設計上のベースラインに基づいて、ステージ基準マークSMを電子光学系1の基準位置からアライメント光学系4の基準位置に位置させるようにウエハステージ制御部6によってウエハステージを制御する。そして、アライメント光学系4によって、アライメント光学系4の基準位置に対するステージ基準マークSMの位置(xs2,ys2)を検出する。
【0026】
(ステップS104)
ステップS103の検出結果より、設計上のベースラインに対する実際のベースラインの変化量(δxs, δys)を下式より求める。
【0027】
δxs =xs1-xs2
δys =ys1-ys2
【0028】
そして基準ベースライン(xs,ys)を下記のように定義し、メモリ10に記憶する。
【0029】
(xs,ys)= (xsd+δxs , ysd+δys)
【0030】
(ステップS105)
校正用ウエハCWの一つのアライメントマークAM(i)を電子光学系1の基準位置に位置させるようにウエハステージ制御部6によってウエハステージ2を制御する。そして、その時のウエハステージの位置(SX(i),SY(i))を検出する。
【0031】
(ステップS106)
電子光学系1によって、電子光学系1の基準位置に対するアライメントマークAM(i)の位置(x1,y1)を検出する。次に、基準ベースラインに基づいて、アライメントマークAM(i)を電子光学系1の基準位置からアライメント光学系4の基準位置に位置させるようにウエハステージ制御部6によってウエハステージ2を制御する。そして、アライメント光学系4によって、アライメント光学系4の基準位置に対するアライメントマークAM(i)の位置(x2,y2)を検出する。
【0032】
(ステップS107)
ステップS106の検出結果より、基準ベースラインに対するアライメントマークAM(i)を用いた時のベースラインの変化量(δx(i), δy(i) )を下式より求め、
δxs =x1-x2
δys =y1-y2
そして、ベースラインの変化量(δx(i), δy(i))及びウエハステージの位置(SX(i),SY(i))をメモリ10に記憶する。ここで、ベースラインの変化量(δx(i), δy(i))は、ウエハーステージ2移動による電子ビームの基準位置の変動と考えられる。なぜなら、ウエハステージ2の移動による電磁場の変動が起きようと、アライメント光学系4は光を使用しているためその変動に対し何ら影響を受けないので、アライメント光学系4の基準位置はウエハステージ2の移動に対し非常に安定しているからである。
【0033】
(ステップS108)
全てのアライメントマークAM(i)についてステップS105〜ステップS107が完了したら、次のステップに進み、そうでない場合は、ステップS105に戻る。
【0034】
(ステップS109)
校正用ウエハCWを電子ビーム露光装置から搬出する。
【0035】
(ステップS110)
露光用ウエハWを、ウエハステージ2の静電チャック25に載置する。載置されるウェハW上には、図6に示すように複数の矩形のパターン領域CPが配列座標系αβに沿ってマトリックス状に形成されている。各パターン領域CPの夫々は、電子ビームが描画するパターンと重なり合うように定められ、各パターン領域CPにはX方向及びY方向のアライメント用のマークAMが付随して形成されている。ここで配列座標系αβの原点を、ウェハ6上の中央付近に位置するパターン領域CP0の中心点と一致するように定める。配列座標系αβにおける各パターン領域CPの設計上の座標値(又はX方向とY方向のステッピング・ピッチ)は、図1のメモリ10内に予め記憶されている。
【0036】
(ステップS111)
設計上の電子光学系1の基準位置及びステージ基準マークSMの位置に基づいて、ステージ基準マークSMを電子光学系1の基準位置に位置させるようにウエハステージ制御部6によってウエハステージ2を制御する。
【0037】
(ステップS112)
電子光学系1によって、電子光学系1の基準位置に対するステージ基準マークSMの位置(xs1,ys1)を検出する。次に、記憶されている現在の基準ベースラインに基づいて、ステージ基準マークSMを電子光学系1の基準位置からアライメント光学系4の基準位置に位置させるようにウエハステージ制御部6によってウエハステージ2を制御する。そして、アライメント光学系4によって、アライメント光学系4の基準位置に対するステージ基準マークSMの位置(xs2,ys2)を検出する。
【0038】
(ステップS113)
ステップS112の検出結果より、基準ベースラインに対する実際のベースラインの変化量(δxs, δys)を下式より求める。
【0039】
δxs =xs1-xs2
δys =ys1-ys2
【0040】
そして基準ベースライン(xs,ys)を下記のように再設定し、メモリ10に記憶する。
【0041】
(xs,ys)= (xs+δxs , ys+δys)
【0042】
(ステップS114)
ウエハW上のアライメントマークの一つを選択し、選択されたパターン領域CPのアライメントマークAMを、設計上の座標位置(xi,yi)に基づいて、アライメント光学系4の基準位置に位置するように移動させ、アライメント光学系制御部5により、基準位置に対するアライメントマークAMの位置ずれを検出し、アライメントマークAMの位置の実測値(XXi,YYi)が得られる。
【0043】
(ステップS115)
アライメントマークAMの位置の実測値(XXi,YXi)に基づいて、ウエハW上のパターン領域CPの配列の規則性を決定する。
【0044】
(ステップS116)
ウエハステージ2によって、ウエハWを連続移動させる。
【0045】
(ステップS117)
ステージ位置検出部7からの現在のステージ位置と、メモリ10に記憶されたステージ位置毎のベースラインの変化量(電子ビームの基準位置の変動量)に基づいて、現在のステージ位置における電子ビームの基準位置の補正量を求め、電子光学系制御部5に命じ、現在の基準ベースラインの関係になるように電子ビームの基準位置を偏向器13によってその補正量だけ補正する。若しくは、ウエハステージ制御部6に命じ、Xステージ23の位置をその補正量だけ補正する。
【0046】
ここで、全てのステージ位置に対応したベースラインの変化量(電子ビームの基準位置の補正量)は、メモリ10には記憶されていない。図7は、記憶されているウエハステージ2の位置毎のベースラインの変化量(図中、矢印でベクトル表示されている。)を示す。このようにベースラインの変化量は離散的にしかない。そこで、記憶されているステージ位置毎のベースラインの変化量(電子ビームの基準位置の補正量)の中で、現在のステージ位置(p0)に近隣する複数のステージ位置(p1〜p4)のベースラインの変化量(電子ビームの基準位置の補正量)から内挿補間して、現在のステージ位置の電子ビームの基準位置の補正量を求めている。
【0047】
(ステップS118)
基準ベースライン及び決定された配列の規則性に基づいて、各パターン領域CP内の設計上の各位置(xi,yi)に対する実際の位置(Xi,Yi)を算出し、この実際の位置(Xi,Yi)に、電子ビームEBが位置決めされるように偏向器13及びウエハステージ2の少なくと一方を動作させて、パターン領域CPの設計値(xi,yi)に対応したパターンを描画する。
【0048】
(ステップS119)
ウエハW上の全ての描画領域を描画した場合、次のステップに進む。そうでない場合は、ステップS111に戻る。
【0049】
(ステップS120)
ウエハWを電子ビーム露光装置から搬出する。
【0050】
以上説明してきたように、荷電粒子線を偏向してステージに搭載された基板上にパターンを描画露光するにあたって、前記ステージの移動に応じて、荷電粒子線を偏向する偏向器の制御もしくは前記ステージの位置制御によって前記ステージに対する荷電粒子線の基準位置を補正することを特徴とするものである。これによって、ステージの移動に伴う荷電粒子線の位置変動を補正できるので、荷電粒子線露光の露光精度の低下をさせることがない。
【0051】
なお、上記例ではステップアンドリピート動作で基板上の複数ショット位置にパターンを並べて露光する際に、各ショットの中でステージ位置に応じて前記基準位置を補正するようにしているが、描画するショット位置に応じて前記基準位置を補正するようにしてもよい。
【0052】
<デバイス製造方法>
上記説明した電子ビーム露光装置を利用したデバイスの製造方法の実施例を説明する。
【0053】
図8は微小デバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造のフローを示す。ステップ1(回路設計)では半導体デバイスの回路設計を行なう。ステップ2(露光制御データ作成)では設計した回路パターンに基づいて露光装置の露光制御データを作成する。一方、ステップ3(ウエハ製造)ではシリコン等の材料を用いてウエハを製造する。ステップ4(ウエハプロセス)は前工程と呼ばれ、露光制御データが入力された露光装置とウエハを用いて、リソグラフィ技術によってウエハ上に実際の回路を形成する。次のステップ5(組み立て)は後工程と呼ばれ、ステップ4によって作製されたウエハを用いて半導体チップ化する工程であり、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等の工程を含む。ステップ6(検査)ではステップ5で作製された半導体デバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行なう。こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、これが出荷(ステップ7)される。
【0054】
図9は上記ウエハプロセスの詳細なフローを示す。ステップ11(酸化)ではウエハの表面を酸化させる。ステップ12(CVD)ではウエハ表面に絶縁膜を形成する。ステップ13(電極形成)ではウエハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップ14(イオン打込み)ではウエハにイオンを打ち込む。ステップ15(レジスト処理)ではウエハに感光剤を塗布する。ステップ16(露光)では上記説明した露光装置によって回路パターンをウエハに焼付露光する。ステップ17(現像)では露光したウエハを現像する。ステップ18(エッチング)では現像したレジスト像以外の部分を削り取る。ステップ19(レジスト剥離)ではエッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらのステップを繰り返し行なうことによって、ウエハ上に多重に回路パターンが形成される。
【0055】
本実施例の製造方法を用いれば、従来は製造が難しかった高集積度の半導体デバイスを低コストに製造することができる。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、ステージの移動に伴う荷電粒子線の位置変動に関する補正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電子ビーム露光装置を示す図。
【図2】ステージを裏から見た裏面図。
【図3】ステージを上から見た平面図。
【図4】露光処理フローを説明する図。
【図5】校正用ウエハを説明する図。
【図6】露光用ウエハを説明する図。
【図7】ウエハステージの位置毎のベースラインの変化量を説明する図。
【図8】微小デバイスの製造フローを説明する図。
【図9】ウエハプロセスを説明する図。
【符号の説明】
1 電子光学系
2 ウエハステージ
3 測長用干渉計
4 アライメント光学系
5 電子光学系制御部
6 ウエハステージ制御部
7 ステージ位置検出部
8 アライメント光学系制御部
9 主制御系
10 メモリ
100 真空チャンバ
Claims (8)
- 感光剤を塗布されてステージに搭載された基板を荷電粒子線で露光することにより該基板上にパターンを描画する荷電粒子線露光方法であって、
複数のマークが形成された校正用基板を前記ステージに載置し、前記ステージを移動させて電子光学系により前記複数のマークの位置の検出(第1の検出)を行い、
前記感光材を感光させない波長を有する光を用いるアライメント光学系の基準位置と前記電子光学系の基準位置との間の前記ステージの座標系における相対位置関係としての基準ベースラインに基づいて前記ステージを移動させて前記アライメント光学系により前記複数のマークの位置の検出(第2の検出)を行い、
前記第1および第2の検出に基づいて、前記校正用基板上の荷電粒子線の位置の変動量を前記ステージの位置毎に算出して記憶し、
基板を前記ステージに載置し、前記ステージに搭載された基板上の前記荷電粒子線の露光位置を、記憶された前記変動量に基づき補正して該基板上にパターンを描画する、
ことを特徴とする荷電粒子線露光方法。 - 前記ステージを移動させて、前記電子光学系により、前記ステージに設けられた基準マークの位置の検出(第3の検出)を行い、
前記基準ベースラインに基づいて前記ステージを移動させて、前記アライメント光学系により、前記基準マークの位置の検出(第4の検出)を行い、
前記第3および第4の検出に基づいて、前記基準ベースラインの変動量を算出し、前記変動量により前記基準ベースラインを更新して記憶する、
ことを特徴とする請求項1に記載の荷電粒子線露光方法。 - 前記ステージは、磁性体を有する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の荷電粒子線露光方法。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の荷電粒子線露光方法を用いて基板を露光する工程と、
前記工程で露光された基板を現像する工程と、
を含むことを特徴とするデバイス製造方法。 - 感光剤を塗布された基板を載置して移動するステージと、前記基板に荷電粒子線を照射し、かつ対象物に荷電粒子線を照射して得られる前記対象物からの荷電粒子線を検出して前記対象物の位置を検出する電子光学系と、前記感光材を感光させない波長を有する光を用いるアライメント光学系と、記憶手段と、制御手段とを有し、前記ステージに搭載された基板を前記荷電粒子線で露光することにより該基板上にパターンを描画する荷電粒子線露光装置であって、
前記制御手段は、
複数のマークが形成された校正用基板を前記ステージに載置し、前記ステージを移動させて前記電子光学系により前記複数のマークの位置の検出(第1の検出)を行い、
前記アライメント光学系の基準位置と前記電子光学系の基準位置との間の前記ステージの座標系における相対位置関係としての基準ベースラインに基づいて前記ステージを移動させて前記アライメント光学系により前記複数のマークの位置の検出(第2の検出)を行い、
前記第1および第2の検出に基づいて、前記校正用基板上の荷電粒子線の位置の変動量を前記ステージの位置毎に算出して前記記憶手段に記憶し、
基板を前記ステージに載置し、前記ステージに搭載された基板上の前記荷電粒子線の露光位置を、前記記憶手段に記憶された前記変動量に基づき補正して該基板上にパターンを描画する、
制御を行う、
ことを特徴とする荷電粒子線露光装置。 - 前記制御手段は、
前記ステージを移動させて、前記電子光学系により、前記ステージに設けられた基準マークの位置の検出(第3の検出)を行い、
前記基準ベースラインに基づいて前記ステージを移動させて、前記アライメント光学系により、前記基準マークの位置の検出(第4の検出)を行い、
前記第3および第4の検出に基づいて、前記基準ベースラインの変動量を算出し、前記変動量により前記基準ベースラインを更新して前記記憶手段に記憶する、
ことを特徴とする請求項5に記載の荷電粒子線露光装置。 - 前記ステージは、磁性体を有する、ことを特徴とする請求項5又は6に記載の荷電粒子線露光装置。
- 請求項5乃至7のいずれかに記載の荷電粒子線露光装置を用いて基板を露光する工程と、
前記工程で露光された基板を現像する工程と、
を含むことを特徴とするデバイス製造方法。
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