ところで、このような配電ユニットにおいては、年々設置時における占有容積が削減される傾向にあり、これに伴って配電ユニット、及び該配電ユニットに組み込まれる回路構成体自体の小型化が強く望まれているところである。このように配電ユニットの小型化が進むと、該ユニットに組み込まれる回路構成体に搭載される回路部品も必然的に高密度化し、これに伴って発熱密度も上昇する。
ここで、上記特許文献1に記載の配電ユニットでは、放熱ケースが上方開口型のケースとして構成されているので、その周側壁部からも上記回路部品に起因する発熱を放熱することができるものの、各プリント基板に熱的に接続される支柱部が放熱ケースの底面に連設されているので、各プリント基板に実装された回路部品から発生した熱はプリント基板及び支柱部を介して放熱ケースの底面に熱伝導し、主として放熱ケースの底面側から放熱されており、上記のように発熱密度が上昇している現状では主としてこの底面側への熱伝導だけでは充分な放熱を担保し難く、特にプリント基板のうち放熱ケースの底面から離れて位置するプリント基板については伝熱経路が比較的長くなり、その放熱効率に劣るという問題があった。すなわち、このように配電ユニットの小型化が進められる現状では、該配電ユニットについてさらなる放熱対策、特に放熱ケースの底面側から離れた基板についての放熱対策が施されることが望まれる。
本発明は、このような事情に鑑み、簡単な構成で放熱効率をさらに向上させることが可能な配電ユニットの製造方法を提供することを目的とする。
ここで、本願出願人は、鋭意研究の結果、配電ユニットにおけるさらなる放熱効率の向上のためには所定間隔を隔てて配置される一対の回路基板のうち、放熱ケースの底壁部から離れて位置する回路基板についての放熱効率を向上させることに着目し、この底壁部から離れた回路基板に実装された少なくとも一の回路部品からの発熱を放熱ケースの底壁部以外の壁部に熱伝導させ、該壁部から配電ユニットの外部に放熱させることにより、さらに放熱効率を向上させるようにしたものである。
すなわち、この発明に係る配電ユニットの製造方法は、底壁部とこの底壁部の周縁から立設された側壁部とを含むロアケースとこのロアケースに組み付けられるアッパーケースとを有する放熱ケースと、この放熱ケースの内部に組み込まれる回路構成体とを備え、該回路構成体が、相互に所定の間隔を隔てて配置された一対の回路基板と、これらの各基板の回路に接続され駆動に伴って発熱する回路部品とを有し、上記回路基板の一方は上記放熱ケースの底壁部に接合され、該一方の回路基板に実装された上記回路部品が該一方の回路基板を介して上記底壁部へ熱伝導可能となるように接続される一方、他方の回路基板には、この回路基板と上記底壁部との間に位置する姿勢で少なくとも一の回路部品が実装され、該回路部品が上記放熱ケースの側壁部に直接的に接合されることにより該側壁部へ直接的に熱伝導可能となるように接続される配電ユニットを製造するための方法であって、上記回路構成体に上記ロアケースを組み付ける組付工程を含み、この組付工程は、上記ロアケースの側壁部に少なくとも一の回路部品を直接的に接合する準備工程と、この準備工程により上記回路部品が接合されたロアケース内に一方の回路基板を収納する第1組付工程と、他方の回路基板を上記一方の回路基板に対して所定間隔を隔てて配設するとともにこの配設の際に該他方の回路基板の回路に上記側壁部に接合された回路部品を実装する第2組付工程とを含むことを特徴とするものである。
この発明により製造される配電ユニットよれば、一方の回路基板に実装された上記回路部品が該一方の回路基板を介して上記底壁部へ熱伝導可能となるように接続される一方、他方の回路基板に実装された回路部品が放熱ケースの側壁部に接合されて該側壁部へ直接的に熱伝導可能となるように接続されるので、各回路基板の回路に接続される回路部品の駆動に伴って発生した熱を回路基板毎に放熱ケースの異なる壁部(異なる領域)に熱伝導させることができるとともに、該壁部において回路基板毎に分散して主に放熱させることができ、簡単な構成で放熱効率を向上させることができる。
しかも、他方の回路基板に実装された少なくとも一の回路部品が放熱ケースの側壁部に接合されるので、伝熱経路を比較的に短くすることができ、回路部品の駆動に伴う発熱を効率的に放熱ケースに熱伝導させることができる。
さらに、他方の回路基板に実装される回路部品をこの回路部品と底壁部との間に位置させた上でこの回路部品を放熱ケースの側壁部に接合しているので、該回路部品を放熱ケース内のスペースを有効利用してコンパクトな構造を保ちながら回路部品の発する熱を放熱ケースの側壁部に直接伝えて他方の回路基板の温度上昇を有効に抑止できる。
なお、この発明により製造される配電ユニットは、各回路基板の回路に接続された回路部品からの発熱を主に放熱ケースの所定の壁部に熱伝導させて該放熱ケースの所定壁部から放熱させるのであって、該発熱が熱放射等の周囲の気体を媒体として放熱されることを排除するものではない。
上記一方の回路基板の具体的構成方法は特に限定するものではないが、例えば上記一方の回路基板として複数枚のバスバーによって電力回路を構成するバスバー基板を製作するバスバー基板製作工程を含み、上記組付工程では、上記バスバー基板製作工程により製作された上記バスバー基板の裏面に位置するバスバーを上記放熱ケースの底壁部に接着することにより、バスバー基板を介してこのバスバー基板の表面側に接続される回路部品を上記放熱ケースの底壁部へ熱伝導可能となるように接続するのが好ましい。
このように構成すれば、バスバー基板を熱伝導体として機能させることができ、配電ユニットの構成部品を有効に利用して回路部品の放熱効率を向上させることができる。
この場合、上記バスバー基板製作工程には、部品本体とこの部品本体の下部から上記バスバーに向かう方向に延びる脚状端子を有する回路部品を上記バスバー基板の表面側に実装する実装工程を含み、この実装工程では上記回路部品の脚状端子をバスバー基板の所定バスバーに溶接により接合するのが好ましい。
すなわち、脚状端子において溶接によりバスバーに接合されている場合には、半田付けによる接合に比べて熱に対する許容範囲を広く設定することができ、脚状端子を介して効率的にバスバーに熱伝導させることができ、これにより放熱効率が向上する。
この一方の回路基板の表面側に実装された回路部品は、回路設計により適宜決定されるが、例えば該回路部品としてリレーを用いるのが好ましい。
このように構成すれば、この一対の回路基板間のスペースに部品自体の放熱効率が良好なリレーを配設することにより熱伝導による放熱と熱放射等の気体を媒体とする放熱とで効率的に放熱させることができる。
一方、この発明において、上記他方の回路基板を、上記回路部品の駆動を制御する制御回路を含む制御回路基板として構成し、上記放熱ケースの側壁部に接合される回路部品が該制御回路基板に実装された半導体素子であるのが好ましい。
すなわち、制御回路基板には比較的多数の回路部品が実装されており、この回路部品のうち発熱量が比較的大きい半導体素子の駆動に伴う発熱を効率的に放熱させることにより放熱効率をさらに向上させることができる。
さらに、この発明において、天壁部を有するアッパーケースを、その天壁部が上記他方の回路基板に対向配置される状態で上記ロアケースに組み付けるアッパーケース組付工程を含み、このアッパーケース組付工程では、上記他方の回路基板と天壁部との空隙にポッティング剤を介在させることにより、このポッティング剤を介して上記回路基板に接続される回路部品を天壁部へ熱伝導可能となるように接続するのが好ましい。
このように構成すれば、天壁部によって放熱ケースにおける放熱領域をさらに拡大することができるとともに、ポッティング剤によりこれに封止されている回路部品の発熱をこの拡大された放熱領域から効率的に放熱させることができる。
なお、上記放熱ケースの具体的構成は、回路構成体に対する組付の観点から、放熱ケースがロアケースとアッパーケースとを有している。
一方、この発明に係る配電ユニットの製造方法によれば、上記配電ユニットを製造するための方法であって、上記回路構成体にロアケースとアッパーケースとを備える上記放熱ケースを組み付ける組付工程を含み、この組付工程では予め上記側壁部に少なくとも一の回路部品が接合されたロアケース内に一方の回路基板を収納し、他方の回路基板を上記一方の回路基板に対して所定間隔を隔てて配設する際に該他方の回路基板の回路に上記側壁部に接合された回路部品を実装することを特徴とするとするものである。
この発明によれば、組付工程で予め側壁部に少なくとも一の回路部品が接合されたロアケース内に一方の回路基板を収納し、他方の回路基板を上記一方の回路基板に対して所定間隔を隔てて配設する際に該他方の回路基板の回路に上記周壁部に接合された回路部品を実装するので、放熱ケースの側壁部と該側壁部に接合された回路部品とを、ロアケースとアッパーケースとの組付に拘わらず確実に熱的に接続することができ、放熱効率に優れた配電ユニットを確実に製造することができる。
なお、この配電ユニットは、対向する一対の壁部を有する放熱ケースと、この放熱ケースの内部に組み込まれる回路構成体とを備え、該回路構成体が、相互に所定の間隔を隔てて配置され回路を構成する少なくとも一対の回路基板と、これらの各基板の回路に接続され駆動に伴って発熱する回路部品とを有する配電ユニットにおいて、上記回路基板は、それぞれ放熱ケースの上記一対の壁部に対向配置され、各回路基板に接続されている少なくとも一の回路部品が対向する上記壁部へ熱伝導可能となるように接続されていることを特徴とするものである。
この配電ユニットによれば、対向する一対の放熱ケースの壁部間に相互に所定の間隔を隔てて配置された一対の回路基板が各々放熱ケースの壁部に対向して配置され、各回路基板に接続されている少なくとも一の回路部品が対向する上記壁部に熱伝導可能に接続されているので、各回路基板の回路に接続される回路部品の駆動に伴って発生した熱を回路基板毎に放熱ケースの異なる壁部(異なる領域)に熱伝導させることができるとともに、該壁部において回路基板毎に分散して主に放熱させることができ、簡単な構成で放熱効率を向上させることができる。しかも、回路基板に対向する放熱ケースの壁部で該回路基板の回路部品から発生した熱を放熱させるので、伝熱経路を比較的に短くすることができ、回路部品の駆動に伴う発熱を効率的に放熱ケースに熱伝導させることができる。
この場合に、上記一対の回路基板の一方は、複数枚のバスバーによって電力回路を構成するバスバー基板として構成され、上記バスバー基板の裏面に位置するバスバーが上記放熱ケースの底壁部に接着されることによりこのバスバー基板の表面側に接続される回路部品がバスバー基板を上記熱伝導体として上記放熱ケースの底壁部へ熱伝導可能となるように接続されるのが好ましい。
このように構成すれば、バスバー基板を熱伝導体として機能させることができ、配電ユニットの構成部品を有効に利用して回路部品の放熱効率を向上させることができる。
また、上記配電ユニットは、上記一対の回路基板の一方は、上記回路部品の駆動を制御する制御回路を含む制御回路基板として構成され、この制御回路基板とこれに対向する壁部との空隙にポッティング剤が充填されることにより上記制御回路基板に接続される回路部品が上記ポッティング剤を上記熱伝導体として上記制御回路基板に対向する壁部へ熱伝導可能に接続されるのが好ましい。
このように構成すれば、ポッティング剤によりこれに封止されている回路部品からの発熱を放熱ケースの壁部に対して分散させて効率的に伝熱させることができ、その放熱効率を向上させることができる。
一方、この配電ユニットの製造方法は、上記配電ユニットを製造する配電ユニットの製造方法であって、上記回路構成体にロアケースとアッパーケースとを備える上記放熱ケースを組み付ける組付工程を含み、この組付工程では、予めアッパーケースにポッティング剤を充填し、このポッティング剤が所定の弾性及び保形性を有する状態になってから上記制御回路基板の回路に接続された上記回路部品を封止する態様でロアケースに組み付けられることを特徴とするものである。
この発明によれば、ポッティング剤を熱伝導体として一方の回路基板とこれに対向する放熱ケースの壁部との間に確実に介在させることができ、確実に上記配電ユニットを製造することができる。
上記配電ユニットによれば、一対の回路基板に実装された回路部品からの発熱を分散させて各回路基板毎に該回路基板に対向する放熱ケースの壁部に熱伝導させることにより、簡単な構成で放熱効率を向上させることができる。
この発明に係る配電ユニットの製造方法によれば、ロアケースとアッパーケースとの組付に拘わらず、放熱ケースの周壁部と該周壁部に接合された回路部品とを確実に熱的に接続することができ、放熱効率に優れた配電ユニットを製造することができる。
また、請求項7に係る配電ユニットの製造方法によれば、熱伝導体としてのポッティング剤を一方の回路基板とこれに対向する放熱ケースの壁部との間に確実に介在させることができ、放熱効率に優れた配電ユニットを確実に製造することができる。
本発明の好ましい実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、ここでは車両に搭載される共通の電源から供給される電力を複数の電気的負荷(例えば、ヘッドライトユニット、スモールライトユニット、ホーンユニット、ウォッシャーユニット等)に分配する配電回路を構成する回路構成体及び配電ユニットを示すが、本発明に係る配電ユニットの用途はこれに限らず、電力回路における通電のオンオフ切換をリレー等の回路部品によって行う場合などに広く適用が可能である。この回路構成体は、図1に示すような配電ユニット1に組み込まれている。なお、図1は配電ユニットを上下逆さにした状態で示す斜視図である。
この配電ユニット1は、略直方体状の形状を呈し、複数の電気的負荷(本実施形態では5個の電気ユニット)に電力を分配する機能を有しながら、非常にコンパクトに形成されている。本実施形態では、この配電ユニット1は、縦が75mm、横が100mm、高さが25mmの空間内に収納可能に形成されている。
配電ユニット1は、図2に示すように、制御回路基板21を含む回路構成体2と、この回路構成体2に装着されるコネクタ装着部4及びヒューズ装着部5と、これらの装着部4,5が装着された回路構成体2を上下から挟み込んで各装着部4,5を露出させた状態で収納する放熱ケースとしてのアッパーケース6及びロアケース7とを備える。なお、本明細書では、説明の便宜のため、配電ユニット1におけるコネクタ装着部4が形成されている側を前側として、図2における高さ方向を上下方向として説明する。
図3は、回路構成体2の分解斜視図である。図4ないし図6は、図1のIV−IV線、V−V線、VI−VI線断面図である。
上記回路構成体2は、予め設定された条件によって共通の車載電源を各電気的負荷に分配する電力回路を構成するものである。この回路構成体2は、略同一平面上に並んだ状態で配設された複数枚のバスバー22から構成されるバスバー層30が絶縁板31を介して複数層に亘って積層されたバスバー基板20と、該バスバー基板20のバスバー22に実装された電力回路部品としての2種類のリレー24,25と、上記バスバー基板20との間にこれらリレー24,25を介在させるように上記バスバー基板20と所定の間隔を隔てて配置された制御回路基板21とを備える。
また、回路構成体2は、平面視略方形状の偏平なブロック状体であり、その前端部には所定のバスバー22が鈎状に屈曲形成されて多数のコネクタ用端子27が方形の平面領域Aから前方に突出した状態で並んでいる一方、その後端部には所定のバスバー22が鈎状に屈曲形成されて複数本のヒューズ端子28が方形の平面領域A内に略収まりつつ後方に突出した状態で上下2段に亘って並んでいる。これらのコネクタ用端子27とヒューズ端子28との間におけるバスバー基板20の表面側には、上記第1リレー24が長手方向(左右方向)に沿って複数個(本実施形態では4個)実装されている。また、ヒューズ端子28は、1本ないし複数本毎に密集した状態で配置されており、これらの密集したヒューズ端子28群の間におけるバスバー基板20の表面側には第2リレー25が実装されている。
具体的には、バスバー基板20は、ロアケース7の底壁部72の上面に電気的に絶縁された状態で接着により接合され、これにより該ロアケース7の底壁部72に熱伝導可能に接続されている。この接着に用いられる接着剤は、電気的な絶縁性を有するものが用いられ、中でも熱伝導率に優れた接着剤を用いるのが熱伝導性の観点から好ましい。このバスバー基板20は、複数のバスバー層30a〜30cを含み、各バスバー層30a〜30c間に複数枚の絶縁板31a,31b(絶縁層)が介在し、表面側の熱が裏面側に伝熱される。本実施形態では、第1ないし第3バスバー層30a〜30cとこれらの間に介在する第1及び第2絶縁板31a,31bとから構成されている。また、本実施形態ではバスバー層30a〜30cを3層に亘って積層したバスバー基板20を用いているが、バスバー層の積層数は複数層であればその層数を特に限定するものではない。
各バスバー層30a〜30cは、上記したように、略同一平面上に複数枚のバスバー22が所定のパターンで並んだ状態に配設され、これらのバスバー22のうち所定のバスバー22が垂直に折り曲げられさらにその折り曲げ部の先端部が水平に折り返されることにより、鈎状に屈曲形成され、コネクタ用端子27やヒューズ端子28が形成されている。また、各バスバー層30a〜30cにおける所定のバスバー22が折り起こされてピン状端子32が上記第1及び第2リレー24,25の上面から突出する状態に形成され、該ピン状端子32の先端部で上記制御回路基板21の制御回路に接続されている。そして、このピン状端子32を通して制御回路基板21から電気信号が送られ、所定のバスバー層30a〜30cに配設された第1及び第2リレー24,25の駆動制御が行われる。
ここで、上記第1及び第2リレー24,25は、機械式のリレーであり、略直方体状のリレー本体24a,25aと、その下端部に設けられた複数本の偏平板状の脚状端子24b,25bとを有する。
第1リレー24は、その脚状端子24bが、リレー本体24aの下面から下方に延出しバスバー層30の層面に沿って折り曲げられ、所定のバスバー22に重ね合わされる重合部24cが形成されている。この第1リレー24の重合部24cには、第1バスバー層30aのバスバー22に重ね合わされる重合部24cと、第2バスバー層30bのバスバー22に重ね合わされる重合部24cとが含まれ、これらの各バスバー層30a,30bに対応して各脚状端子24bの間に第1バスバー層30aと第2バスバー層30bとの層面同士の段差と略同等の段差が与えられている。
一方、第2リレー25は、リレー本体25aの下面からバスバー層30の層面に沿って延出する脚状端子25bを有し、従ってこの脚状端子25bが第3バスバー層30cの所定バスバー22に重ね合わされる重合部25cとして構成されている。
これらの第1及び第2リレー24,25は、その重合部24c,25cにおいて溶接により所定バスバー22に接合されている。この溶接は、本実施形態では接合部分を電極で挟み込み大電流を流して発生する抵抗熱によって母材を溶融接合させる抵抗溶接によって行われているが、レーザー溶接等の母材を溶融して接合するものであれば、その具体的手法は特に限定するものではない。このように第1及び第2リレー24,25が溶接によって接合されれば、例えば半田付けによる接合と比べて、接合強度を向上させることができ、また接合部分における耐熱性が向上し、脚状端子24b,25bを介した放熱効率を向上させることができる。
これらの第1及び第2リレー24,25はその駆動に伴って発熱し、この発生した熱はリレー本体24a,25aを含めた第1及び第2リレー24,25の全体から熱放散等の周囲の気体を媒体として放熱され放熱ケース(アッパーケース6、ロアケース7)の所定部分から配電ユニット1の外部に放熱されるとともに、その熱の多くは脚状端子24b,25bを介してバスバー基板20に伝熱され、該バスバー基板20を熱伝導体としてロアケース7の底壁部72から主に放熱されている。
一方、絶縁板31a,31bは、バスバー層30a〜30c間の短絡を防止するとともに、同一バスバー層30a〜30cに配設されたバスバー22同士の短絡を防止するものであり、電気的な絶縁性を有する材料によって形成された偏平板状体として構成されている。
第1バスバー層30aとその上方に位置する第2バスバー層30bとの間に介在する第1絶縁板31aは、その上下(表裏)両面に第1及び第2バスバー層30a,30bの各バスバー22が個別に収納されるバスバー収納溝310が形成され、このバスバー収納溝310にバスバー22が位置決め状態に収納されている。
この第1絶縁板31aの所定箇所には、第1リレー24の脚状端子24bのうち第1バスバー層30aのバスバー22に接合される脚状端子24bが挿通される第1端子挿通孔311が厚み方向に貫通した状態で形成される。この第1端子挿通孔311は、上記第1リレー24の脚状端子24bの形状に略対応して形成され、この平面形状と略同等の大きさに設定されている。また、この第1端子挿通孔311は、抵抗溶接の際の電極が挿通される大きさに設定され、この第1端子挿通孔311を有効に利用して抵抗溶接し得るようになされている。さらに、この第1絶縁板31aには、この第1絶縁板31aよりも上層のバスバー層(本実施形態では第2バスバー層30b)において抵抗溶接する場合に、下側の電極が該バスバー層の所定バスバー22に当接するように電極挿入孔312が貫通形成され、この電極挿入孔312を通して第2バスバー層30bの所定バスバー22の接合部分(図4では第1リレー24の右側の脚状端子24bとの接合部分)が下方に露出する。
第2バスバー層30bとその上方に位置する第3バスバー層30cとの間に介在する第2絶縁板31bは、その上面(表面)に第3バスバー層30cの各バスバー22が個別に収納されるバスバー収納溝313が形成され、このバスバー収納溝313にバスバー22が位置決め状態に収納されている。また、第2絶縁板31bの所定箇所には、第1リレー24の脚状端子24bが挿通される第2端子挿通孔314が厚み方向に貫通した状態で形成されている。この第2端子挿通孔314のうちの一部は、各絶縁板31a,31bが積層された状態で第1端子挿通孔311と上下方向に連通するものとなされ、この連通した第1及び第2端子挿通孔311,314を通して第1バスバー層30aの所定バスバー22の接合部分が露出している。
そして、これらの第1及び第2端子挿通孔311,314及び電極挿入孔312を通して所定の溶接機の電極が挿入され、これらの電極によって接合部分を挟み込み、該電極に大電流を導通させて抵抗熱によって上記第1リレー24が実装される。
さらに、第2絶縁板31bには、上記第2端子挿通孔314に連通して第1リレー24のリレー本体24aを挿通させる本体挿通孔315が設けられ、該本体挿通孔315の周囲に囲繞リブ316が設けられる。
一方、上記制御回路基板21は、前記回路部品としての第1及び第2リレー24,25の駆動を制御する制御回路を含み、例えばプリント回路基板(絶縁基板に制御回路を構成する導体がプリント配線されたもの)によって構成されている。制御回路基板21は、上記バスバー基板20よりも若干大きい板状体であり、その前後両端縁がアッパーケース6の天壁部61に対向した状態でコネクタ装着部4及びヒューズ装着部5に支持されている(図13参照)。この制御回路基板21は、その表裏両面(図4で上下両面)に実装された複数個の半導体素子210と、裏面側に配設されたサブ基板211と、上記制御回路に接続されたコネクタ用ピン状端子212とを備える。
具体的には、半導体素子210には、制御回路基板21の表面側の略中央に設けられたマイクロプロセッサとしてのLSI(大規模集積回路)210aと、制御回路基板21の裏面側の左右両端部に設けられたFET210bとを含み、これら駆動に伴う発熱量が比較的大きい回路部品(本実施形態ではLSI210a,FET210b)が回路構成体2の周縁部に配置されている。このように比較的発熱量の大きい回路部品を回路構成体2の周縁部に配置することにより、外部への熱の発散を容易ならしめ、該回路部品の放熱効率を向上させることができる。さらに、LSI210aは、制御回路基板21とアッパーケース6の天壁部61との間に充填されたポッティング剤65により封止されている。一方、FET210bはロアケース7の後述する側壁部73に接着剤により接着され、該側壁部73に直接的に熱伝導可能に接続されている。
サブ基板211は、上記制御回路基板21と同様に、プリント回路基板によって構成され、上記各種回路部品の制御を実行する制御回路の一部が形成されている。このサブ基板211は、上記バスバー基板20と制御回路基板21との間に配設された板状体であり、上記制御回路基板21の長手方向に沿って配設されている。このように制御回路基板21に形成される制御回路の一部をこのサブ基板211に形成し、該サブ基板211をバスバー基板20と制御回路基板21との間に各基板20,21に対して垂直となるように配設することにより、第1及び第2リレー24,25が配設される各基板20,21間の空間を有効に活用して回路構成体2の小型化を図ることができる。なお、このようなサブ基板211は適宜省略することができ、その場合には制御回路基板21に全ての制御回路が形成される。
また、この制御回路基板21には、所定箇所にスルーホール(図示せず)が設けられ、これらのスルーホールにバスバー22から立設されたピン状端子32やコネクタ用ピン状端子212等が挿入され、それらの端部において半田付けにより接合されている。
一方、コネクタ装着部4は、合成樹脂成形品であり、その高さ及び左右方向の長さが回路構成体2と略同等に形成されている。このコネクタ装着部4には、コネクタ用端子27やコネクタ用ピン状端子212が挿通されるコネクタ端子挿通孔40が設けられ、該コネクタ端子挿通孔40を通してコネクタ用端子27やコネクタ用ピン状端子212の先端部が外側から接続可能にコネクタ装着部4内に突出している。また、このコネクタ装着部4は、その周面部にケース嵌合溝41が設けられ、アッパーケース6、ロアケース7の各前端縁がケース嵌合溝41に嵌合されて各ケース6,7に組み付けられる。さらに、このコネクタ装着部4の後端部上面には上記制御回路基板21が載置されている。
一方、ヒューズ装着部5も、合成樹脂成形品であり、その高さ及び左右方向の長さが回路構成体2と略同等に形成されている。このヒューズ装着部5には、ヒューズ端子28が挿通されるヒューズ端子挿通孔50(図13参照)が設けられ、該ヒューズ端子挿通孔50を通してヒューズ端子28の先端部が外側から接続可能にヒューズ装着部5内に突出している。また、このヒューズ装着部5は、その先端周面部にケース嵌合溝51が設けられ、アッパーケース6及びロアケース7の各後端縁がケース嵌合溝51に嵌合されてヒューズ装着部5の大部分が収納された状態で各ケース6,7に組み付けられている。さらに、このヒューズ装着部5の前端部上面には上記制御回路基板21が載置されている。
アッパーケース6は、平面視略矩形状の天壁部61を有する下方開口型の皿状体であり、アルミニウム系金属等の熱伝導性が良好な材質により製作されている。このアッパーケース6には内部に予めシリコン樹脂等のポッティング剤65が充填されており、該ポッティング剤65により制御回路基板21の表面(上面)に実装されたLSI210aを含む各種回路部品が封止される。なお、アッパーケース6の左右側面部には、それぞれ前後一対の係止膨出部60が設けられ、ロアケース7の左右側壁部に設けられた係止孔70が係止されてアッパーケース6及びロアケース7が回路構成体2を収納した状態で組み付けられる。
ロアケース7は、上方開口型の箱状体であり、アッパーケース6と同様に、アルミニウム系金属等の熱伝導性の良好な材質により製作されている。具体的には、このロアケース7は、略矩形状の底壁部72と該底壁部72の周縁に立設された周側壁部73とを有し、その前後側壁部73の略全面が大きく切り欠かれて切欠き部71が形成され、該切欠き部71に上記コネクタ装着部4及びヒューズ装着部5が組み付けられている。上記底壁部72は上記アッパーケース6の天壁部61に対向して配置され、この底壁部72の左右側縁から上方に延びる左右側壁部73で上記アッパーケース6を外嵌した状態で支持するものとなされている。そして、この左右側壁部73の上部には、上記係止膨出部60が係止される前後一対の係止孔70が設けられ、上記外嵌したアッパーケース6を固定状態に組み付けるものとなされている。
このロアケース7の底壁部72の上面には、上記したように回路構成体2がエポキシ樹脂等の電気的絶縁性が良好な接着剤により接着されている。このロアケース7の内部もシリコン樹脂等のポッティング剤が充填され、該ポッティング剤により第1及び第2リレー24,25の脚状端子24b,25bが封止される。
上記構成の配電ユニット1によれば、第1及び第2リレー24,25が脚状端子24b,25bを介してバスバー基板20に実装され、該バスバー基板20がロアケース7の底壁部72に接着されているので、駆動に伴って第1及び第2リレー24,25が発熱すると、この熱を脚状端子24b,25b及びバスバー基板20を介してロアケース7の底壁部72に伝導させることができ、このロアケース7の底壁部72を通して主に放熱させることができる。しかも、バスバー基板20が対向するロアケース7の底壁部72に対向配置されているので、熱伝導のための経路を比較的短くすることができ、これにより効率的に放熱させることができる。
一方、この配電ユニット1によれば、LSI210aが制御回路基板21の表面側の略中央に実装され、この制御回路基板21の表面とアッパーケース6の天壁部61との間にポッティング剤65が充填されているので、駆動に伴ってLSI210aが発熱すれば、この熱をポッティング剤65を介してアッパーケース6の天壁部61に伝導させることができ、このアッパーケース6の天壁部61を通して主に放熱させることができる。しかも、制御回路基板21が対向するアッパーケース6の天壁部61に対向配置されているので、熱伝導のための経路を比較的短くすることができ、これにより効率的に放熱させることができる。
また、この配電ユニット1によれば、FET210bは上記LSI210aから離れた制御回路基板21の裏面側の左右側縁部であってロアケース7の底壁部72との間に実装され、このFET210bがロアケース7の左右側壁部73に接着により直接的に接合されているので、放熱ケース内の空間を有効に利用してFET210bを実装することができ、FET210bの発する熱を放熱ケースの側壁部に直接伝えて他方の回路基板の温度上昇を有効に抑止できる。しかも、FET210bが接着によりロアケース7の側壁部73に接合されているので、熱伝導のための経路を非常に短くすることができ、これにより効率的かつ確実に放熱させることができる。
すなわち、この配電ユニット1によれば、バスバー基板20及び制御回路基板21に実装されている第1及び第2リレー24,25やLSI210a及びFET210bが放熱ケースとしてのアッパーケース6やロアケース7の各壁部に熱伝導可能に接続されているので、放熱効率を飛躍的に向上させることができる。しかも、これらの各回路部品24,25,210a,210bの駆動に伴う発熱を各回路部品に近接する放熱ケースの壁部から主に放熱させるので、放熱ケース内の気体(例えば空気)の温度上昇を抑制することができ、これによりバスバー基板20や制御回路基板21等に実装されている上記各回路部品24,25,210a,210bを含めた回路部品の熱放射等の気体を媒体とする放熱効率も向上するという利点がある。
なお、上記説明では制御回路基板21に実装されている回路部品として、比較的発熱量の大きいLSI210aとFET210bを代表例として説明しているが、この制御回路基板21にはその表裏両面にコンデンサー等その他の回路部品も実装されている。この制御回路基板21の表面側に実装された回路部品は、上記LSI210aと同様にアッパーケース6の天壁部61に熱伝導可能に接続され、主にこの熱伝導により放熱されている。また、制御回路基板21の裏面側に実装された回路部品は、熱放射等の放熱ケース内の気体を媒体として放熱されるとともに制御回路基板21を介して放熱されている。この場合でも、例えばLSI210aやFET210bが効率的に放熱されているので、配電ユニット1の内部の気体温度の上昇を抑止し、これらの回路部品における放熱効率が向上する。
次に、この配電ユニット1の製造方法について説明する。
まず、第1及び第2リレー24,25が実装されたバスバー基板20を製作する(バスバー基板形成工程、リレー実装工程)。なお、本実施形態では、第2リレー25についてバスバー基板20の形成過程で所定のバスバー22に実装する一方、第1リレー24については第2リレー25が実装されたバスバー基板20を形成してから実装するものとなされているが、これらの各リレー24,25についてバスバー基板20の形成後に各リレー24,25を実装してもよいし、バスバー基板20の製作過程でともに実装してもよい。ただし、バスバー基板20を形成した後に第1及び第2リレー24,25の少なくとも一方を実装する場合には、上記したのと同様に、該バスバー基板20の形成後に実装するリレーに対応して絶縁板に端子挿通孔を設けるとともに、必要に応じて抵抗溶接用の電極を挿入するための電極挿入孔を設ける必要がある。
具体的には、まず上記構成の第1及び第2絶縁板31a,31bを形成するとともに、上記構成の第1ないし第3バスバー層30a〜30cを形成する。この第1ないし第3バスバー層30a〜30cの形成は、一枚の金属板を打ち抜く等して、各バスバー層30a〜30cに対応した所定配列パターンのバスバー22が図示しない外枠に繋がった状態で板状に構成されたバスバー構成板(図示せず)を形成するとともに、所定バスバー22を屈曲して上記コネクタ用端子27やヒューズ端子28を形成することによって行う。
そして、上記第1絶縁板31aの表側(上側)における所定のバスバー収納溝310に、対応するバスバー22を収納して接着固定するとともに、バスバー構成板におけるバスバー22と外枠との繋がり部分を切断して、第1絶縁板31a上に第2バスバー層30bを積層する(図7(a)参照)。
次に、上記第2バスバー層30bが積層された第1絶縁板31aを、図7(b)に示す第1バスバー層30aの上に積層する。そして、図7(c)に示すように、上記第1絶縁板31aの裏側(下側)における所定のバスバー収納溝310に、対応するバスバー22を収納する状態で、第1バスバー層30a上に第1絶縁板31aを積層し、各バスバー22を接着固定するとともに、バスバー構成板におけるバスバー22と外枠との繋がり部分を切断して、第1絶縁板31aを介して第1及び第2バスバー層30a,30bを積層する。
続いて、本実施形態では、第3バスバー層30cに対応するバスバー構成板のバスバー22を第2絶縁板31bの上に積層する前に、該バスバー構成板の所定バスバー22に予め第2リレー25を実装している。
この第2リレー25の実装は、第2リレー25を、第3バスバー層30cの所定バスバー22にその脚状端子25bの重合部25cを重ね合わせ、この重合部25cとバスバー22との重ね合わせ部分を抵抗溶接用の上側電極D1と下側電極D2とで挟み込んで、両者を抵抗溶接により接合することによって行う。
次に、上記第2絶縁板31bの表側(上側)における所定のバスバー収納溝313に、対応するバスバー22を収納して接着固定するとともに、バスバー構成板におけるバスバー22と外枠との繋がり部分を切断して、第2絶縁板31b上に第3バスバー層30cを積層する(図7(d)参照)。
そして、第1絶縁板31aと第1及び第2バスバー層30a,30bとの上記積層体と、第2絶縁板31bと第3バスバー層30cとの積層体とを積層状態に組み付けてバスバー基板20を製造する。なお、このバスバー基板20には、既に第2リレー25が実装されている。
上記のようにして製造されたバスバー基板20は、第1及び第2絶縁板31a,31bに設けられた第1及び第2端子挿通孔311,314を通して第1バスバー層30aのバスバー22における脚状端子24bとの接合部分が露出しているとともに、第2絶縁板31bに設けられた第2端子挿通孔314を通して第2バスバー層30bのバスバー22における脚状端子24bとの接合部分が露出している。
そして、この露出部分を通じて、図8に示すように、上記バスバー基板20に回路部品としての第1リレー24を実装する。この第1リレー24の実装は、第1リレー24を、上記本体挿通孔315、第1及び第2端子挿通孔311,314を通して挿入し、その脚状端子24bにおける所定の重合部24cを第1バスバー層30aの所定バスバー22に重ね合わせ、この状態で該バスバー22と重合部24cを図8に点線で示す電極Dで挟み込んで抵抗溶接により両者を接合するとともに、脚状端子24bにおける残りの重合部24cを第2バスバー層30bの所定バスバー22に重ね合わせ、この状態で該バスバー22と重合部24cとを電極Dで挟み込んで抵抗溶接により両者を接合することによって行う。この抵抗溶接にあたって、上側電極D1を第1及び第2端子用挿通孔311,314を通して挿入する。特に、第2バスバー層30bのバスバー22と重合部24cとの溶接にあたっては、下側電極D2は第1絶縁板31aに設けられた電極挿入孔312を通して挿入される。
次に、第1及び第2リレー24,25が実装されたバスバー基板20の製作後、図9に示すように、上記第1及び第2リレー24,25が実装されたバスバー基板20にコネクタ装着部4及びヒューズ装着部5を取り付ける(装着部取付工程)。具体的には、コネクタ端子挿通孔40の一部にコネクタ用ピン状端子212を予め挿通させたコネクタ装着部4の残りのコネクタ端子挿通孔40にバスバー基板20のコネクタ用端子27を挿通させることにより、コネクタ装着部4を上記バスバー基板20の前端部に取り付ける。また、ヒューズ装着部5のヒューズ端子挿通孔50にバスバー基板20のヒューズ端子28を挿通させることにより、該ヒューズ装着部5をバスバー基板20の後端部に取り付ける。
そして、上記装着部取付工程後に、図10に示すロアケース7を取り付ける(ロアケース取付工程)。本実施形態では、このロアケース取付工程において、制御回路基板21のFET210bが予め左右側壁73の内面の所定箇所に接着により取り付けられたロアケース7を用いる。このように、駆動に伴って発熱するFET210bが接着によりロアケース7に取り付けられているので、FET210bとロアケース7とを熱的(熱伝導可能)に確実に接続することができ、FET210bの放熱効率を向上させることができる。
上記ロアケース7の取付は、バスバー基板20に取り付けられたコネクタ装着部4及びヒューズ装着部5の各ケース嵌合溝41,51に、ロアケース7の切欠き部71の縁部を係合するとともに、バスバー基板20の裏面(下面)をロアケース7の底壁72の上面に接着剤により接合することによって行う。この接着剤は、ロアケース7が導電性を有する材料で形成されている場合には上記したように電気的な絶縁性を有するものが用いられ、例えばエポキシ系樹脂またはシリコン系樹脂を含む接着剤等を用いることができる。なお、バスバー基板20とロアケース7との接合は、接着剤による接合だけでなく、例えばバスバー基板20の裏面に接合された絶縁板等の絶縁層を介してロアケース7に接合するものであってもよい。この場合でも、バスバー基板20がロアケース7に熱伝導可能に接続されることを要する。
そして、このロアケース7内にポッティング剤を所定の高さまで充填し、第1及び第2リレー24,25の脚状端子24b,25bを封止する。この充填されるポッティング剤は、熱伝導性に優れたものが採用され、例えば電気的絶縁性にも優れたシリコン系の樹脂が採用される。
次に、図11(a)、(b)に示すように、バスバー基板20に制御回路基板21を組み付けて回路構成体2を製造する(制御基板配設工程)。すなわち、LSI210aを含めた各種回路部品が実装された制御回路基板21を、バスバー基板20の上方に、該バスバー基板20に対して所定の間隔を隔てて、かつ適正な電気的接続が確立された状態で組み付ける。具体的には、コネクタ装着部4のコネクタ端子挿通孔40に挿通されたコネクタ用ピン状端子212や所定バスバー22が折り起こされて形成されたピン状端子32、上記ロアケース7に接着されたFET210b等が制御回路基板21の制御回路を含めた電気回路に適正に接続されるとともに制御回路基板21の前後端縁部がコネクタ装着部4及びヒューズ装着部5の上面で支持される状態に制御回路基板21をバスバー基板20に組み付ける。このとき、サブ基板211も制御回路基板21の裏面側に電気的に接続された状態で取り付ける。このようにして製造された回路構成体2においては、バスバー基板20と制御回路基板21とが所定間隔を離間された状態で配置されており、その間の空間に上記第1及び第2リレー24,25が高密度で配設されている。
最後に、図12に示すように、上記ロアケース7にアッパーケース6を組み付けて配電ユニット1を製造する(アッパーケース組付工程)。具体的には、このアッパーケース6にはその内部に予めポッティング剤65が充填され、このポッティング剤65が一定の保形性及び弾性を有する状態にまで硬化させて、この状態で上記ロアケース7に組み付ける。この充填されるポッティング剤65は、熱伝導性に優れたものが採用され、例えば電気的絶縁性にも優れたシリコン系樹脂が採用される。
このロアケース7に対する組付は、アッパーケース6の前後端縁部をコネクタ装着部4及びヒューズ装着部5のケース嵌合溝41,51に係合させつつ、ロアケース7の左右側壁73にアッパーケース6を内嵌してロアケース7の係止孔70にアッパーケースの係止膨出部60を係止させることにより行う。
そして、ヒューズ装着部5にヒューズHを装着して、図13に示すように、上記構成の配電ユニット1を製造することができる。
〔その他の実施形態〕
なお、以上に本実施形態に係る配電ユニット等について説明したが、この発明に係る配電ユニット等は、上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、以下のような変更が可能である。
(1)上記実施形態では、ロアケース7を底壁部72とその周縁に立設された周側壁部73とを有し、周側壁部73のうち前後側壁部が大きく切り欠かれて切欠き部71が形成されているが、ロアケース7の側壁部は必ずしも底壁部73の全周に亘って形成されている必要はなく、例えば一枚の側壁部のみを具備するものであってもよいし、一方上記のように切欠き部71が設けられていなくてもよい。
(2)上記実施形態では、回路構成体2において第1リレー24の脚状端子24bにおける重合部24cが第1端子挿通孔311や第2端子挿通孔314を通して露出しているが、この回路構成体2の具体的構成は特に限定するものではなく、例えば図14に示すように、最表層である第3バスバー層30cよりも下層(第1及び第2バスバー層30a,30b)のバスバー22に接合されている第1リレー24の脚状端子24bの重合部24c上に第2絶縁板310bが上記バスバー22と重合部24cとの接合部分を被覆する態様で積層され、該第2絶縁板310b上に第3バスバー層30cのバスバー22が配設されるように構成してもよい。この場合には、該回路構成体2の製造方法についても、上記実施形態と異なり、第1リレー24がバスバー基板20の形成工程で該バスバー基板20の所定バスバー22に実装される。また、このようにバスバー基板20の形成工程で第1リレー24を実装するので、第1絶縁板310aには上記実施形態と異なり、抵抗溶接用の電極挿入孔が形成されていない。
(3)上記実施形態では、回路部品として第1及び第2リレー24,25、並びにLSI210a、FET210bを例に挙げて説明したが、放熱ケースとしてのアッパーケース6及びロアケース7に熱伝導可能に接続される回路部品及び熱的接続の具体的態様は、特に限定されるものではなく、設計される回路によって適宜変更される。
ただし、ロアケース7の周側壁部73に接着される回路部品は、上記実施形態のように比較的発熱量の大きい半導体素子であることが好ましい。また、バスバー基板20と制御回路基板21との間に配設される回路部品も上記実施形態のように、部品自体の放熱効率に優れる機械式リレーであることが好ましい。