JP4413601B2 - 建築板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、建築物の外壁等として施工する建築板であって、特に凹凸模様を形成した意匠表面に塗装を行って建築板を製造する方法に関する。
建築物の外壁等として施工するために量産される建築板においては、単調な仕上り感を避けるために、建築板の意匠表面の凹凸模様、この意匠表面の塗装の仕方等の工夫がなされている。
そして、例えば、特許文献1においては、豊富な濃淡差や色調変化を抽出し立体感に富んだ化粧板を製造している。この特許文献1においては、まず、複数の凹状溝同士の間に形成され、表面に多数の凹凸を有する台形部を有する基板の全表面に、下塗り塗料層を設ける。そして、この下塗り塗料層の表面に、ローラ等によって下塗り塗料層とは異なる色彩の上塗り塗料層を摺り込んで塗装し、台形部の表面における凹凸の凸所面には、薄い上塗り塗料層を形成するか、又は下塗り塗料層を露出させ、一方、凹所面には、その底部に至るに従って徐々に厚くなる上塗り塗料層を形成している。
また、特許文献2においては、建築板の意匠表面に、平坦部分とこの平坦部分より陥没形成した模様凹部とを有しており、上記平坦凸部と上記模様凹部との色調を異ならせることにより、意匠表面が自然な外観を呈する建築板を形成している。
また、特許文献3においては、建築板の意匠表面に木目調を呈する凹凸模様を形成し、この凹凸模様における凸部と凹部との色彩を異ならせることにより、意匠表面が立体的な外観を呈する建築板を形成している。
しかしながら、上記特許文献1〜3においては、意匠表面における色外観が互いに異なる複数種類の化粧板又は建築板を製造する工夫はなされていない。すなわち、特許文献1〜3においては、どの化粧板又は建築板に対しても同じ条件で塗装を行うことになり、同じ種類の化粧板又は建築板が量産されることになる。
なお、一般的には、複数種類の建築板を製造するためには、原板の意匠表面における凹凸模様を変えたり、原板の意匠表面に異なる塗料を塗装する方法が使用されている。しかし、このような方法を使用すると、建築板の製造方法が複雑になってしまう。
特公昭58−34186号公報 特許第3413719号公報 特開平10−317631号公報
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、簡単な方法により、意匠表面における凹凸模様が同じである複数の原板に対して、同じ上側塗料を塗布しつつも、意匠表面における色外観が異なる複数種類の建築板を製造することができる方法を提供しようとするものである。
第1の発明は、複数の凸部を形成してなる意匠表面を有する原板を準備する準備工程と、
上記原板の意匠表面に下側塗料を塗布し乾燥させて、下側塗料層を形成する下側塗料層形成工程と、
上記下側塗料層の表面に、上記下側塗料とは色彩の異なる上側塗料を塗布して、上側塗料層を形成する上側塗料層形成工程と、
上記上側塗料が乾燥する前に、該上側塗料を付着除去する除去ロールを上記原板における上側塗料層に接触させ、上記複数の凸部における上記上側塗料を付着除去する除去工程とを行って、上記下側塗料層と上記上側塗料層とによる色外観が異なる複数種類の建築板を製造する方法であって、
上記除去工程においては、ロール表面の硬度が異なる複数種類の上記除去ロールを準備し、上記上側塗料を付着除去するに当たっては、上記原板における上記上側塗料層に対して、上記複数の除去ロールのうち少なくとも1つを接触させることにより、各原板の意匠表面における上記上側塗料を、ロール表面の硬度が低い除去ロールに接触した原板ほど多く付着除去することを特徴とする建築板の製造方法にある(請求項1)。
本発明の建築板の製造方法においては、上記準備工程において、原板の意匠表面に複数の凸部を形成し、次いで、上記下側塗料層形成工程において下側塗料層を形成した後、上記上側塗料層形成工程において上側塗料層を形成する。
次いで、上記除去工程においては、ロール表面の硬度が異なる複数種類の除去ロールを用い、各原板の意匠表面における乾燥前の上側塗料層に対して接触させる除去ロールを適宜変更する。
すなわち、この除去工程においては、複数の除去ロールのうち、意匠表面に形成しようとする色外観に応じて原板を搬入する除去ロールが選択され、各原板は、各種の硬度のロール表面を有する除去ロールへと搬入される。そして、除去ロールのロール表面が原板の意匠表面から離れる際には、ロール表面の硬度が高い除去ロールに比べて、これよりもロール表面の硬度が低い除去ロールには、上側塗料が付着しやすくなる。
そのため、ロール表面の硬度が高い除去ロールに接触した原板に比べて、この除去ロールよりもロール表面の硬度が低い除去ロールに接触した原板からは、意匠表面における上側塗料が多く付着除去される。
このように、各原板の意匠表面における上側塗料は、ロール表面の硬度が低い除去ロールに接触した原板ほど多く付着除去され、ロール表面の硬度が低い除去ロールに接触した原板ほど、原板の意匠表面全体における上側塗料層の平均厚みが小さく形成される。
そして、原板の意匠表面における上側塗料層を乾燥させて建築板を製造したときには、意匠表面に形成された下側塗料層と上側塗料層とによる色外観が異なる複数種類の建築板を製造することができる。
それ故、本発明の建築板の製造方法によれば、上記ロール表面の硬度が異なる複数種類の除去ロールを用いる簡単な方法により、上記意匠表面における複数の凸部による凹凸模様が同じである複数の原板に対して、同じ上側塗料を塗布しつつも、意匠表面における色外観が異なる複数種類の建築板を製造することができる。
第2の発明は、複数の凸部を形成してなる意匠表面を有する原板を準備する準備工程と、
上記原板の意匠表面に下側塗料を塗布し乾燥させて、下側塗料層を形成する下側塗料層形成工程と、
上記下側塗料層の表面に、上記下側塗料とは色彩の異なる上側塗料を塗布して、上側塗料層を形成する上側塗料層形成工程と、
上記上側塗料が乾燥する前に、該上側塗料を付着除去する除去ロールを上記原板における上側塗料層に接触させ、上記複数の凸部における上記上側塗料を付着除去する除去工程とを行って、上記下側塗料層と上記上側塗料層とによる色外観が異なる複数種類の建築板を製造する方法であって、
上記除去工程においては、上記原板を上記除去ロールに搬入するときに、該除去ロールがこれに対向配設されたバックアップロールとの間に形成する間隙量を、上記原板に形成しようとする上記色外観に応じて異ならせることにより、各原板の意匠表面における上記上側塗料を、上記除去ロールにおける間隙量を小さくするほど多く付着除去することを特徴とする建築板の製造方法にある(請求項2)。
本発明の建築板の製造方法においても、上記準備工程において、原板の意匠表面に複数の凸部を形成し、次いで、上記下側塗料層形成工程において下側塗料層を形成した後、上記上側塗料層形成工程において上側塗料層を形成する。
次いで、上記除去工程においては、バックアップロールとの間の間隙量を変更可能な除去ロールを用い、又はバックアップロールとの間の間隙量が異なる複数種類の除去ロールを用いて、原板の意匠表面における複数の凸部に塗布された乾燥前の上側塗料を付着除去する。
すなわち、この除去工程においては、原板を除去ロールに搬入するときに、上記除去ロールにおける間隙量を他の原板を搬入したときに対して異ならせる。そして、上記除去ロールは、原板の意匠表面における上側塗料層に対して、上記間隙量が大きい場合に比べて、これよりも上記間隙量が小さい場合に接触しやすくなる。
そのため、上記間隙量が大きい状態の除去ロールに接触した原板に比べて、この状態の除去ロールよりも上記間隙量が小さい状態の除去ロールに接触した原板からは、意匠表面における上側塗料が多く付着除去される。
このように、各原板の意匠表面における上側塗料は、上記間隙量を小さくするほど多く付着除去され、上記間隙量が小さい状態の除去ロールに接触した原板ほど、原板の意匠表面全体における上側塗料層の平均厚みが小さく形成される。
そして、原板の意匠表面における上側塗料層を乾燥させて建築板を製造したときには、意匠表面に形成された下側塗料層と上側塗料層とによる色外観が異なる複数種類の建築板を製造することができる。
それ故、本発明の建築板の製造方法によっても、上記除去ロールと上記バックアップロールとの間の間隙量を異ならせる簡単な方法により、上記意匠表面における複数の凸部による凹凸模様が同じである複数の原板に対して、同じ上側塗料を塗布しつつも、意匠表面における色外観が異なる複数種類の建築板を製造することができる。
第3の発明は、複数の凸部を形成してなる意匠表面を有する原板を準備する準備工程と、
上記原板の意匠表面に下側塗料を塗布し乾燥させて、下側塗料層を形成する下側塗料層形成工程と、
上記下側塗料層の表面に、上記下側塗料とは色彩の異なる上側塗料を塗布して、上側塗料層を形成する上側塗料層形成工程と、
上記上側塗料が乾燥する前に、該上側塗料を付着除去する除去ロールを上記原板における上側塗料層に接触させ、上記複数の凸部における上記上側塗料を付着除去する除去工程とを行って、上記下側塗料層と上記上側塗料層とによる色外観が異なる複数種類の建築板を製造する方法であって、
上記除去工程においては、上記除去ロールを接触させるときの上記原板の意匠表面における上記上側塗料の乾燥度合を、上記原板に形成しようとする上記色外観に応じて異ならせることにより、各原板の意匠表面における上記上側塗料を、上記乾燥度合が小さい原板ほど多く付着除去することを特徴とする建築板の製造方法にある(請求項3)。
本発明の建築板の製造方法においても、上記準備工程において、原板の意匠表面に複数の凸部を形成し、次いで、上記下側塗料層形成工程において下側塗料層を形成した後、上記上側塗料層形成工程において上側塗料層を形成する。
次いで、上記除去工程においては、除去ロールを上側塗料層における上側塗料が乾燥する前に当該上側塗料層に接触させる。このとき、本発明においては、各原板の意匠表面における上側塗料の乾燥度合を、各原板に形成しようとする色外観に応じて異ならせる。
そして、除去ロールのロール表面が原板の意匠表面から離れる際には、除去ロールには、上記上側塗料の乾燥度合が大きい原板に比べて、これよりも上側塗料の乾燥度合が小さい原板から、上側塗料が付着しやすくなる。そのため、上側塗料層における上側塗料の乾燥度合が大きい原板に比べて、この原板よりも上記乾燥度合が小さい原板からは、意匠表面における上側塗料が多く付着除去される。
このように、各原板の意匠表面における上側塗料は、この上側塗料の乾燥度合が小さい原板ほど多く付着除去され、上側塗料の乾燥度合が小さい原板ほど、原板の意匠表面全体における上側塗料層の平均厚みが小さく形成される。
そして、原板の意匠表面における上側塗料層をほぼ完全に乾燥させて建築板を製造したときには、意匠表面に形成された下側塗料層と上側塗料層とによる色外観が異なる複数種類の建築板を製造することができる。
それ故、本発明の建築板の製造方法によっても、上記原板の意匠表面に形成した上側塗料層における上側塗料の乾燥度合を異ならせる簡単な方法により、上記意匠表面における複数の凸部による凹凸模様が同じである複数の原板に対して、同じ上側塗料を塗布しつつも、意匠表面における色外観が異なる複数種類の建築板を製造することができる。
なお、上記乾燥度合とは、上側塗料中における溶剤の揮発度合のことをいい、乾燥度合が小さいとは、上側塗料中における溶剤があまり揮発していない状態のことをいい、乾燥度合が大きいとは、上側塗料中における溶剤の多くが揮発した状態のことをいう。
第4の発明は、複数の凸部を形成してなる意匠表面を有する原板を準備する準備工程と、
上記原板の意匠表面に下側塗料を塗布し乾燥させて、下側塗料層を形成する下側塗料層形成工程と、
上記下側塗料層の表面に、上記下側塗料とは色彩の異なる上側塗料を塗布して、上側塗料層を形成する上側塗料層形成工程と、
上記上側塗料が乾燥する前に、該上側塗料を付着除去する除去ロールを上記原板における上側塗料層に接触させ、上記複数の凸部における上記上側塗料を付着除去する除去工程とを行って、上記下側塗料層と上記上側塗料層とによる色外観が異なる複数種類の建築板を製造する方法であって、
上記除去工程においては、上記除去ロールの周速度と、該除去ロールへの上記原板の搬入速度との速度差を、上記原板に形成しようとする上記色外観に応じて異ならせることにより、上記速度差が大きい原板ほど、上記上側塗料層のにじみ度合を大きくすることを特徴とする建築板の製造方法にある(請求項4)。
本発明の建築板の製造方法においても、上記準備工程において、原板の意匠表面に複数の凸部を形成し、次いで、上記下側塗料層形成工程において下側塗料層を形成した後、上記上側塗料層形成工程において上側塗料層を形成する。
次いで、上記除去工程においては、除去ロールを用いて、原板の意匠表面における複数の凸部に塗布された乾燥前の上側塗料を付着除去する。
すなわち、この除去工程においては、原板を除去ロールに搬入するときに、上記速度差を他の原板を搬入したときに対して異ならせる。そして、上記除去ロールは、上記速度差が小さい場合に比べて、これよりも上記速度差が大きい場合に、原板の意匠表面の上を多く滑るようになる。
そのため、上記速度差が小さい状態の除去ロールに接触した原板に比べて、この状態の除去ロールよりも上記速度差が大きい状態の除去ロールに接触した原板は、その意匠表面の上側塗料層における上側塗料が下側塗料層の表面において多く引き伸ばされ、上記上側塗料層のにじみ度合が大きくなる。
このように、各原板の意匠表面における上側塗料は、上記速度差を大きくするほど下側塗料層の表面において多く引き伸ばされ、上記速度差を大きくするほど、原板の意匠表面における上側塗料層のにじみ度合が大きくなる。
そして、原板の意匠表面における上側塗料層を乾燥させて建築板を製造したときには、意匠表面に形成された下側塗料層と上側塗料層とによる色外観が異なる複数種類の建築板を製造することができる。
それ故、本発明の建築板の製造方法によっても、上記速度差を異ならせる簡単な方法により、上記意匠表面における複数の凸部による凹凸模様が同じである複数の原板に対して、同じ上側塗料を塗布しつつも、意匠表面における色外観が異なる複数種類の建築板を製造することができる。
なお、本発明でいうにじみとは、上側塗料層における上側塗料が原板の意匠表面の面方向に引き伸ばされて塗布された状態をいい、上記にじみ度合とは、上記上側塗料が引き伸ばされた度合のことをいう。そして、にじみ度合が小さいとは、上側塗料があまり引き伸ばされていない状態のことをいい、にじみ度合が大きいとは、上側塗料の多くが引き伸ばされた状態のことをいう。
上述した本発明の建築板の製造方法における好ましい実施の形態につき説明する。
上記第1〜第4の発明において、上記上側塗料の色彩の違いは、いわゆる色の三属性である色相、明度又は彩度のうち少なくともいずれかを異ならせることにより形成することができる。
また、上記第1〜第4の発明のうちの少なくとも2つは、複合して適用することができる。この場合には、意匠表面における色外観が異なるさらに多くの種類の建築板を容易に製造することができる。
また、上記第1〜第4の発明において、上記除去ロールは、スポンジ材料からなるスポンジ芯層の表面に、ゴム材料からなるゴム表面層を被覆してなることが好ましい。
この場合には、上記除去工程において、上記スポンジ芯層を弾性変形させることによって、上記除去ロールを一層柔軟に上記原板の意匠表面に形成した上側塗料層に接触させることができ、上記ゴム表面層によって、上記上側塗料を一層容易に付着除去することができる。
なお、上記スポンジ材料とは、各種ゴム、合成樹脂等に発泡材を配合し、これを発泡成形したものをいい、上記ゴム材料に比べて硬度が低く、反発弾性が低いものをいう。また、上記ゴム材料とは、種々のゴムから成形したものをいう。
また、上記ゴム材料のゴム硬度は、30〜70度であることが好ましい。このゴム硬度が30度未満の場合には、上記除去ロールのロール表面が柔らかすぎて、除去ロールの摩耗劣化を早くしてしまい、また、上記建築板の意匠表面における上側塗料を付着除去する量(割合)が多くなりすぎて、建築板の意匠表面における色彩の変化を形成することが困難になる。一方、上記ゴム硬度が70度を超える場合には、上記除去ロールのロール表面が硬すぎて、上記上側塗料を付着除去することが困難になる。
以下に、図面を用いて本発明の建築板の製造方法にかかる実施例につき説明する。
(実施例1)
本例の建築板1の製造方法は、図1〜図8に示すごとく、以下の準備工程、下側塗料層形成工程、上側塗料層形成工程及び除去工程を複数の原板2に対して繰り返し行って、意匠表面101における色外観が互いに異なる複数種類の建築板1を製造する。
すなわち、図1に示すごとく、上記準備工程においては、複数の凸部21により凹凸模様203を形成してなる意匠表面201を有する原板2を準備する。
次いで、図2に示すごとく、上記下側塗料層形成工程においては、上記原板2の意匠表面201に下側塗料40を塗布し乾燥させて、下側塗料層4を形成する。次いで、上記上側塗料層形成工程においては、上記下側塗料層4の表面に、上記下側塗料40とは色彩の異なる上側塗料50を塗布して、上側塗料層5を形成する。
その後、図3〜図8に示すごとく、上記除去工程においては、上記上側塗料50が乾燥する前に、この上側塗料50を付着除去する除去ロール7を、上側塗料層5に接触させ、上記複数の凸部21における上側塗料50を付着除去する。そして、意匠表面101における下側塗料層4と上側塗料層5とによる色外観が互いに異なる複数種類の建築板1を製造する。
また、除去工程においては、図3、図4に示すごとく、ロール表面701の硬度が互いに異なる複数種類(本例では3種類)の除去ロール7を準備する。そして、上記上側塗料50を付着除去するに当たっては、原板2における上側塗料層5に対して、複数の除去ロール7のうち少なくとも1つを接触させることにより、各原板2の意匠表面201における上側塗料50を、ロール表面701の硬度が低い除去ロール7に接触した原板2ほど多く付着除去する。
以下に、これを詳説する。
本例の建築板1の製造方法は、図1、図2に示すごとく、上記準備工程において同一形状の原板2を複数成形し、上記下側塗料層形成工程及び上側塗料層形成工程において、複数の原板2に対して、同一の条件で下側塗料層4及び上側塗料層5を一旦形成する。そして、図3に示すごとく、上記除去工程において、上側塗料層5における上側塗料50を付着除去する除去ロール7を適宜変更することにより、意匠表面101における色外観が異なる複数種類の建築板1を製造する。
図1に示すごとく、上記準備工程において成形する原板2は、セメント質原料を含有してなるセメント系原板2である。そして、このセメント系原板2は、セメント質原料(セメント、ケイ酸原料等)に、木質原料(木繊維、木チップ等)、添加剤及び水等を混合して混合原料を作り、この混合原料を成形型の成形面上に散布し乾燥硬化させて成形する。
また、上記成形型の成形面は、上記原板2の意匠表面201を成形するために凹凸状に形成されている。そして、上記成形型によって成形された原板2の意匠表面201には、複数の凸部21を形成することができる。
また、各凸部21の突出高さH、すなわち原板2の裏面202から意匠表面201までの厚みは、ほぼ同一になっている。
図2に示すごとく、上記下側塗料層形成工程において用いる下側塗料40及び上側塗料層形成工程において用いる上側塗料50は、いずれも樹脂、顔料、各種添加剤、溶剤としての水等を含有してなる水系の塗料である。本例では、下側塗料40と上側塗料50とは、色彩としての明度(濃淡)が互いに異なる塗料とした。これ以外にも、例えば、下側塗料40と上側塗料50とは、色彩としての彩度が互いに異なる塗料とすることができる。
そして、上記下側塗料層形成工程及び上側塗料層形成工程を行った後には、原板2の意匠表面201の全体、すなわち、すべての凸部21と、凸部21同士の間に形成されたすべての凹部22とに下側塗料層4及び上側塗料層5が形成される。
図3、図4に示すごとく、上記除去工程においては、ロール表面701の硬度が異なる3種類の除去ロール7を用いる。これらの除去ロール7は、原板2の意匠表面201における乾燥前の上側塗料層5に当接して上側塗料50を付着除去する。また、各除去ロール7には、原板2の裏面202に当接し、除去ロール7と共に原板2を挟み込んだ状態で搬送するバックアップロール75が対向配設されている。
図4に示すごとく、各除去ロール7は、一層柔軟に原板2の意匠表面201に形成した上側塗料層5に接触させると共にこの上側塗料層5における上側塗料50を一層容易に付着除去させるために、スポンジ材料からなるスポンジ芯層72の表面に、ゴム材料からなるゴム表面層71を被覆配設してなる。
また、各除去ロール7におけるゴム表面層71を構成するゴム材料は、EPDM(エチレンプロピレンゴム)からなり、各除去ロール7におけるスポンジ芯層72を構成するスポンジ材料は、ブチルスポンジゴムからなる。また、各除去ロール7は、スポンジ芯層72の中心部分には、金属材料からなる鉄芯73を有している。
また、図3に示すごとく、本例の3種類(3つ)の除去ロール7は、上記ゴム表面層71に使用するゴム材料の硬度を異ならせることにより、ロール表面701の硬度が異なっている。具体的には、第1の除去ロール7Aは、ゴム硬度が約70°のゴム表面層71を有し、第2の除去ロール7Bは、硬度が約60°のゴム表面層71を有し、第3の除去ロール7Cは、硬度が約50°のゴム表面層71を有している。
そして、図3〜図5に示すごとく、上記除去工程においては、上記原板2の上側塗料層5における上側塗料50が乾燥する前に、当該原板2を、除去ロール7とバックアップロール75との間の隙間79に搬入させる。
このとき、3種類の除去ロール7のうち、意匠表面101に形成しようとする色外観に応じて原板2を搬入する除去ロール7が選択され、原板2は、選択された除去ロール7へと搬入される。そして、除去ロール7のロール表面701が原板2の意匠表面201から離れる際には、ロール表面701の硬度が高い除去ロール7に比べて、これよりもロール表面701の硬度が低い除去ロール7には、上側塗料50が付着しやすくなる。
具体的には、ゴム硬度が70°であるゴム表面層71を有する第1の除去ロール7Aに比べて、ゴム硬度が60°であるゴム表面層71を有する第2の除去ロール7Bには、上側塗料50が付着しやすく、また、第2の除去ロール7Bに比べて、ゴム硬度が50°であるゴム表面層71を有する第3の除去ロール7Cには、上側塗料50が付着しやすくなる。
そのため、ロール表面701の硬度が高い除去ロール7に接触した原板2に比べて、この除去ロール7よりもロール表面701の硬度が低い除去ロール7に接触した原板2からは、意匠表面201における上側塗料50が多く付着除去される。
このように、各原板2の意匠表面201における上側塗料50は、ロール表面701の硬度が低い除去ロール7に接触した原板2ほど多く付着除去され、ロール表面701の硬度が低い除去ロール7に接触した原板2ほど、原板2の意匠表面201全体における上側塗料層5の平均厚みが小さく形成される。
その後、原板2の意匠表面201における上側塗料層5を乾燥させて建築板1を製造したときには、意匠表面101に形成された下側塗料層4と上側塗料層5とによる色外観が異なる複数種類の建築板1を製造することができる。
そして、建築板1の意匠表面101において、上側塗料層5の厚みが小さい部分は、上側塗料層5による色彩でもなく下側塗料層4による色彩でもない両者の中間的な色彩を呈することができる。そのため、建築板1の意匠表面101は、この意匠表面101全体における上側塗料層5の平均厚みが小さいほど、下側塗料層4の色彩が上側塗料層5の表面から透けて視認しやすくなる。そして、上記中間的な色彩は、厚みが小さい上側塗料層5を有する建築板1の意匠表面101ほど下側塗料層4による色彩に近い色彩として視認される。
本例では、図6に示すごとく、第1の除去ロール7Aによって上側塗料50の一部を付着除去された第1の建築板1Aは、上側塗料50の付着除去量が最も少なくて、原板2の意匠表面201全体における上側塗料層5は、その平均厚みが最も大きく形成される。また、図8に示すごとく、第3の除去ロール7Cによって上側塗料50の一部を付着除去された第3の建築板1Cは、上側塗料50の付着除去量が最も多くて、原板2の意匠表面201全体における上側塗料層5は、その平均厚みが最も小さく形成される。
また、図7に示すごとく、第2の除去ロール7Bによって上側塗料50の一部を付着除去された第2の建築板1Bは、原板2の意匠表面201全体における上側塗料層5は、その平均厚みが第1の建築板1Aよりも小さく第3の建築板1Cよりも大きい厚みに形成される。
それ故、本例の建築板1の製造方法によれば、上記ロール表面701の硬度が互いに異なる複数種類の除去ロール7を用いる簡単な方法により、意匠表面201における複数の凸部21による凹凸模様203が同じである複数の原板2に対して、同じ上側塗料50を塗布しつつも、意匠表面101における色外観が異なる複数種類の建築板1を製造することができる。
また、本例では、各原板2を搬入する除去ロール7は3種類の除去ロール7のうちのいずれかとした。これに対し、各原板2を搬入する除去ロール7は、例えば複数種類の除去ロール7のうちのいずれか2つ以上とすることもできる。
また、本例では、複数種類の除去ロール7は原板2の搬入方向に対して並列に配設し、原板2の意匠表面201に形成しようとする色外観に応じて、原板2を搬入する除去ロール7を選択した。これに対し、複数種類の除去ロール7は原板2の搬入方向に対して直列に配設し、原板2の意匠表面201に形成しようとする色外観に応じて、複数の除去ロール7のうち原板2の意匠表面201に接触させる除去ロール7を選択し、残りの除去ロール7を原板2の意匠表面201に接触させないように退避させることができる。そして、この状態で原板2を搬入することにより、上記と同様に複数種類の建築板1を製造することができる。
なお、図9、図10に示すごとく、上記準備工程において準備する原板2は、その意匠表面201に縦目地溝251及び横目地溝252によって区画された複数の凸ブロック25を有するものとすることもできる。そして、下地塗料層形成工程として、原板2の意匠表面201の全体に下地塗料30を塗布し乾燥させて下地塗料層3を形成し、上記下側塗料層形成工程及び上記上側塗料層形成工程を行って、上記縦目地溝251及び横目地溝252を除く上記各凸ブロック25に下側塗料層4及び上側塗料層5を形成し、その後、上記除去工程において、除去ロール7を用いて上側塗料50の一部の付着除去を行うこともできる。この場合には、下側塗料層4と上側塗料層5とによる色外観を有する各凸ブロック25と、各目地溝251、252との色外観も異ならせることができる。
(実施例2)
本例は、図11〜図14に示すごとく、意匠表面201における凹凸模様203が同じである複数の原板2に対して、同じ上側塗料50を塗布しつつも、意匠表面101における色外観が異なる複数種類の建築板1を製造するに当たり、上記除去工程において、上記除去ロール7がこれに対向配設されたバックアップロール75との間に形成する間隙量Dを、原板2の意匠表面201に形成しようとする色外観に応じて異ならせる例である。
本例の建築板1の製造方法においては、上記実施例1と同様に、準備工程、下側塗料層形成工程及び上側塗料層形成工程を行って、原板2の意匠表面201には、下側塗料層4及び上側塗料層5を形成する。
また、本例の除去工程においては、上記バックアップロール75との間の間隙量Dが異なる3種類の除去ロール7を準備する。
図11に示すごとく、本例の3種類(3つ)の除去ロール7は、上記間隙量Dが最も大きい第1の除去ロール7Aと、上記間隙量Dが最も小さい第3の除去ロール7Cと、上記間隙量Dが第1の除去ロール7Aと第3の除去ロール7Cとの間の量である第2の除去ロール7Bとからなる。
そして、この除去工程においては、上記原板2の上側塗料層5における上側塗料50が乾燥する前に、当該原板2を、除去ロール7とバックアップロール75との間の隙間79に搬入させる。
そして、3種類の除去ロール7のうち、意匠表面101に形成しようとする色外観に応じて原板2を搬入する除去ロール7が選択され、原板2は、選択された除去ロール7へと搬入される。このとき、各原板2においては、上記間隙量Dが大きい除去ロール7に比べて、これよりも上記間隙量Dが小さい除去ロール7に搬入された原板2ほど、除去ロール7のロール表面701に対してより強い圧力で接触しやすくなる。そのため、除去ロール7のロール表面701が原板2の意匠表面201から離れる際には、上記間隙量Dが大きい除去ロール7に比べて、これよりも上記間隙量Dが小さい除去ロール7には、上側塗料50が付着しやすくなる。
具体的には、上記間隙量Dが最も大きい第1の除去ロール7Aに比べて、この第1の除去ロール7Aよりも上記間隙量Dが小さい第2の除去ロール7Bには、上側塗料50が付着しやすく、また、上記間隙量Dが最も小さい第3の除去ロール7Cには、上側塗料50が最も付着しやすくなる。
そのため、上記間隙量Dが大きい除去ロール7に接触した原板2に比べて、この除去ロール7よりも上記間隙量Dが小さい除去ロール7に接触した原板2からは、意匠表面201における上側塗料50が多く付着除去される。
このように、各原板2の意匠表面201における上側塗料50は、上記間隙量Dが小さい除去ロール7に接触した原板2ほど多く付着除去され、上記間隙量Dが小さい除去ロール7に接触した原板2ほど、原板2の意匠表面201全体における上側塗料層5の平均厚みが小さく形成される。
そして、原板2の意匠表面201における上側塗料層5を乾燥させて建築板1を製造したときには、意匠表面101に形成された下側塗料層4と上側塗料層5とによる色外観が異なる複数種類の建築板1を製造することができる。
本例では、図12に示すごとく、第1の除去ロール7Aによって上側塗料50の一部を付着除去された第1の建築板1Aは、上側塗料50の付着除去量が最も少なくて、原板2の意匠表面201全体における上側塗料層5は、その平均厚みが最も大きく形成される。また、図14に示すごとく、第3の除去ロール7Cによって上側塗料50の一部を付着除去された第3の建築板1Cは、上側塗料50の付着除去量が最も多くて、原板2の意匠表面201全体における上側塗料層5は、その平均厚みが最も小さく形成される。
また、図13に示すごとく、第2の除去ロール7Bによって上側塗料50の一部を付着除去された第2の建築板1Bは、原板2の意匠表面201全体における上側塗料層5は、その平均厚みが第1の建築板1Aよりも小さく第3の建築板1Cよりも大きい厚みに形成される。
それ故、本例の建築板1の製造方法によっても、上記バックアップロール75との間の間隙量Dが互いに異なる複数種類の除去ロール7を用いる簡単な方法により、意匠表面201における凹凸模様203が同じである複数の原板2に対して、同じ上側塗料50を塗布しつつも、意匠表面101における色外観が異なる複数種類の建築板1を製造することができる。
(実施例3)
本例は、意匠表面201における凹凸模様203が同じである複数の原板2に対して、同じ上側塗料50を塗布しつつも、意匠表面101における色外観が異なる複数種類の建築板1を製造するに当たり、上記除去工程において、上記除去ロール7を接触させるときの上記原板2の意匠表面201における上側塗料50の乾燥度合を、原板2の意匠表面201に形成しようとする色外観に応じて異ならせる例である。
本例の建築板1の製造方法においては、上記実施例1と同様に、準備工程、下側塗料層形成工程及び上側塗料層形成工程を行って、原板2の意匠表面201には、下側塗料層4及び上側塗料層5を形成する。
そして、本例の除去工程においては、除去ロール7を上側塗料層5における上側塗料50が乾燥する前に当該上側塗料層5に接触させる。この除去工程においては、上記原板2の意匠表面201に上側塗料層5を形成してから、この原板2を除去ロール7に搬入するまでの時間を適宜変更する。
すなわち、上側塗料層5の形成後に除去ロール7へ搬入するまでの時間が短いと、上側塗料層5における上側塗料50はあまり乾燥しておらず(上側塗料50における溶剤はほとんど揮発していない状態になり)、上記乾燥度合は小さくなる。一方で、上側塗料層5の形成後に除去ロール7へ搬入するまでの時間が長くなると、上側塗料層5における上側塗料50が乾燥しており(上側塗料50における溶剤の多くが揮発した状態になり)、上記乾燥度合は大きくなる。
そして、除去ロール7のロール表面701が原板2の意匠表面201から離れる際には、除去ロール7には、上記上側塗料50の乾燥度合が大きい原板2に比べて、これよりも上側塗料50の乾燥度合が小さい原板2から、上側塗料50が付着しやすくなる。そのため、上側塗料層5における上側塗料50の乾燥度合が大きい原板2に比べて、この原板2よりも上記乾燥度合が小さい原板2からは、意匠表面201における上側塗料50が多く付着除去される。
このように、各原板2の意匠表面201における上側塗料50は、上側塗料50の乾燥度合が小さい原板2ほど多く付着除去され、上側塗料50の乾燥度合が小さい原板2ほど、原板2の意匠表面201全体における上側塗料層5の平均厚みが小さく形成される。
そして、原板2の意匠表面201における上側塗料層5をほぼ完全に乾燥させて建築板1を製造したときには、意匠表面101に形成された下側塗料層4と上側塗料層5とによる色外観が異なる複数種類の建築板1を製造することができる。
また、上記乾燥度合とは、上側塗料50中における溶剤の揮発度合のことをいい、乾燥度合が小さいとは、上側塗料50中における溶剤があまり揮発していない状態のことをいい、乾燥度合が大きいとは、上側塗料50中における溶剤の多くが揮発した状態のことをいう。また、本例の上側塗料50は水系の塗料であり、上記溶剤は水である。そして、建築板1の意匠表面101には、上側塗料50中から水分が揮発して、塗料固形分としての樹脂、顔料、各種添加剤が固着してなる上側塗料層5が形成されることになる。
本例では、上側塗料50を最も長い時間乾燥させてから除去ロール7によって付着除去させた第1の建築板1Aは、上側塗料50の付着除去量が最も少なくて、原板2の意匠表面201全体における上側塗料層5は、その平均厚みが最も大きく形成される(図12と同様)。また、上側塗料50を最も短い時間乾燥させてから除去ロール7によって付着除去させた第3の建築板1Cは、上側塗料50の付着除去量が最も多くて、原板2の意匠表面201全体における上側塗料層5は、その平均厚みが最も小さく形成される(図14と同様)。
また、上側塗料50を乾燥させる時間を第1の建築板1Aの場合と第3の建築板1Cの場合の間の時間にした第2の建築板1Bは、原板2の意匠表面201全体における上側塗料層5は、その平均厚みが第1の建築板1Aよりも小さく第3の建築板1Cよりも大きい厚みに形成される(図13と同様)。
また、原板2の意匠表面201に塗布した上側塗料50の乾燥時間を長くするほど、又は乾燥温度を高くするほど、上側塗料50中の塗料固形分の濃度(固形分濃度)は高くなる。本例では、原板2の意匠表面201に塗布する前の上側塗料50の固形分濃度は35〜50wt%とした。
そして、上記第1の建築板1Aは、原板2の上側塗料層5における上側塗料50を、温度が60℃の乾燥機中で30〜60秒乾燥させて、その固形分濃度を50〜80wt%まで上昇させた後、当該原板2を除去ロール7に搬入して製造した。また、上記第2の建築板1Bは、原板2の上側塗料層5における上側塗料50を、温度が60℃の乾燥機中で10〜30秒乾燥させて、その固形分濃度を40〜70wt%まで上昇させた後、当該原板2を除去ロール7に搬入して製造した。
また、上記第3の建築板1Cは、原板2の上側塗料層5における上側塗料50を、温度が60℃の乾燥機中で0〜10秒乾燥させて(ほとんど乾燥させずに)、その固形分濃度が35〜50wt%の状態のままで、当該原板2を除去ロール7に搬入して製造した。
このように、上側塗料50中の固形分濃度が上昇すると、除去ロール7による付着除去量が少なくなり、より厚みの大きい上側塗料層5が形成される。
それ故、本例の建築板1の製造方法によっても、上記原板2の意匠表面201に形成した上側塗料層5における上側塗料50の乾燥度合を異ならせる簡単な方法により、上記意匠表面201における複数の凸部21による凹凸模様203が同じである複数の原板2に対して、同じ上側塗料50を塗布しつつも、意匠表面101における色外観が異なる複数種類の建築板1を製造することができる。
(実施例4)
本例は、図15に示すごとく、意匠表面201における凹凸模様203が同じである複数の原板2に対して、同じ上側塗料50を塗布しつつも、意匠表面101における色外観が異なる複数種類の建築板1を製造するに当たり、上記除去工程において、除去ロール7の周速度(ロール表面701の移動速度)Wと、この除去ロール7への原板2の搬入速度Vとの速度差を、原板2の意匠表面201に形成しようとする色外観に応じて異ならせる例である。
本例の建築板1の製造方法においては、上記実施例1と同様に、準備工程、下側塗料層形成工程及び上側塗料層形成工程を行って、原板2の意匠表面201には、下側塗料層4及び上側塗料層5を形成する。
そして、本例の除去工程においては、除去ロール7を上側塗料層5における上側塗料50が乾燥する前に当該上側塗料層5に接触させる。
この除去工程においては、図15に示すごとく、上記原板2の搬入速度Vはほぼ一定とし、この原板2の搬入速度Vに対する周速度Wが異なる複数種類(本例では3種類)の除去ロール7を準備する。具体的には、第1の除去ロール7Aは、その周速度Wが原板2の搬入速度Vと略同一になっており、第2の除去ロール7Bは、その周速度Wが原板2の搬入速度Vよりも速くなっており、第3の除去ロール7Cは、第2の除去ロール7Bに比べて、周速度Wが原板2の搬入速度Vよりもさらに速くなっている。
そして、3種類の除去ロール7のうち、意匠表面101に形成しようとする色外観に応じて原板2を搬入する除去ロール7が選択され、原板2は、選択された除去ロール7へと搬入される。
このとき、第1の除去ロール7Aに搬入された原板2においては、この原板2の意匠表面201の上を第1の除去ロール7Aのロール表面701がほとんど滑らずに上側塗料50の付着除去が行われる。そして、原板2の意匠表面201に形成された上側塗料層5における上側塗料50はほとんど引き伸ばされない。そのため、原板2の意匠表面201に形成された上側塗料層5のにじみ度合は最も小さくなる。
一方で、第2の除去ロール7Bに搬入された原板2においては、この原板2の意匠表面201の上を第2の除去ロール7Bのロール表面701が滑りながら上側塗料50の付着除去が行われる。そして、原板2の意匠表面201に形成された上側塗料層5における上側塗料50が引き伸ばされる。そのため、原板2の意匠表面201に形成された上側塗料層5におけるにじみ度合は、第1の除去ロール7Aの場合に比べて大きくなる。
また、第3の除去ロール7Cに搬入された原板2においては、この原板2の意匠表面201の上を第3の除去ロール7Cのロール表面701が第2の除去ロール7Bの場合よりもさらに多く滑りながら上側塗料50の付着除去が行われる。そして、原板2の意匠表面201に形成された上側塗料層5における上側塗料50が、第2の除去ロール7Bの場合よりもさらに多く引き伸ばされる。そのため、原板2の意匠表面201に形成された上側塗料層5におけるにじみ度合は最も大きくなる。
このように、各原板2の意匠表面201における上側塗料50は、上記速度差を大きくするほど下側塗料層4の表面において多く引き伸ばされ、上記速度差を大きくするほど、原板2の意匠表面201における上側塗料層5のにじみ度合が大きくなる。
そして、原板2の意匠表面201における上側塗料層5を乾燥させて建築板1を製造したときには、意匠表面101に形成された下側塗料層4と上側塗料層5とによる色外観が異なる複数種類の建築板1を製造することができる。
それ故、本例の建築板1の製造方法によっても、上記速度差を異ならせる簡単な方法により、上記意匠表面201における複数の凸部21による凹凸模様203が同じである複数の原板2に対して、同じ上側塗料50を塗布しつつも、意匠表面101における色外観が異なる複数種類の建築板1を製造することができる。
なお、本例にいうにじみとは、上側塗料層5における上側塗料50が原板2の意匠表面201の面方向に引き伸ばされて塗布された状態をいい、上記にじみ度合とは、上記上側塗料50が引き伸ばされた度合のことをいう。そして、にじみ度合が小さいとは、上側塗料50があまり引き伸ばされていない状態のことをいい、にじみ度合が大きいとは、上側塗料50の多くが引き伸ばされた状態のことをいう。
また、原板2の搬入速度Vは、バックアップロール75の周速度W及び除去ロール7に原板2を搬入するための搬入コンベヤ等の搬送速度によって決定される。
また、上記各除去ロール7における速度差は、上記原板2の搬入速度Vに対して、除去ロール7の周速度Wを小さくすることによっても異ならせることができる。また、可能であれば、各除去ロール7における速度差は、除去ロール7を原板2の搬入方向に対して逆方向に回転させて異ならせることもできる。
実施例1における、原板を拡大して示す断面説明図。 実施例1における、下側塗料層及び上側塗料層を形成した状態の原板を拡大して示す断面説明図。 実施例1における、3種類の除去ロールを示す説明図。 実施例1における、1つの除去ロールを拡大して示す説明図。 実施例1における、除去ロールを原板の意匠表面に接触させた状態を拡大して示す断面説明図。 実施例1における、第1の除去ロールによって原板の意匠表面から上側塗料を付着除去して建築板を製造する状態を拡大して示す断面説明図。 実施例1における、第2の除去ロールによって原板の意匠表面から上側塗料を付着除去して建築板を製造する状態を拡大して示す断面説明図。 実施例1における、第3の除去ロールによって原板の意匠表面から上側塗料を付着除去して建築板を製造する状態を拡大して示す断面説明図。 実施例1における、複数の凸ブロックを形成した意匠表面を有する原板を示す斜視説明図。 実施例1における、除去ロールによって複数の凸ブロックを有する原板の意匠表面から上側塗料を付着除去して建築板を製造する状態を拡大して示す断面説明図。 実施例2における、3種類の除去ロールを示す説明図。 実施例2における、第1の除去ロールによって原板の意匠表面から上側塗料を付着除去して建築板を製造する状態を拡大して示す断面説明図。 実施例2における、第2の除去ロールによって原板の意匠表面から上側塗料を付着除去して建築板を製造する状態を拡大して示す断面説明図。 実施例2における、第3の除去ロールによって原板の意匠表面から上側塗料を付着除去して建築板を製造する状態を拡大して示す断面説明図。 実施例4における、3種類の除去ロールを示す説明図。
符号の説明
1 建築板
101 意匠表面
2 原板
203 凹凸模様
21 凸部
22 凹部
4 下側塗料層
40 下側塗料
5 上側塗料層
50 上側塗料
7 除去ロール
75 バックアップロール

Claims (2)

  1. 複数の凸部を形成してなる意匠表面を有する原板を準備する準備工程と、
    上記原板の意匠表面に下側塗料を塗布し乾燥させて、下側塗料層を形成する下側塗料層
    形成工程と、
    上記下側塗料層の表面に、上記下側塗料とは色彩の異なる上側塗料を塗布して、上側塗
    料層を形成する上側塗料層形成工程と、
    上記上側塗料が乾燥する前に、該上側塗料を付着除去する除去ロールを上記原板におけ
    る上側塗料層に接触させ、上記複数の凸部における上記上側塗料を付着除去する除去工程とを行って、上記下側塗料層と上記上側塗料層とによる色外観が異なる複数種類の建築板
    を製造する方法であって、
    上記除去工程においては、上記除去ロールを接触させるときの上記原板の意匠表面における上記上側塗料の乾燥度合を、上記原板に形成しようとする上記色外観に応じて異なら
    せることにより、各原板の意匠表面における上記上側塗料を、上記乾燥度合が小さい原板ほど多く付着除去することを特徴とする建築板の製造方法。
  2. 複数の凸部を形成してなる意匠表面を有する原板を準備する準備工程と、
    上記原板の意匠表面に下側塗料を塗布し乾燥させて、下側塗料層を形成する下側塗料層
    形成工程と、
    上記下側塗料層の表面に、上記下側塗料とは色彩の異なる上側塗料を塗布して、上側塗
    料層を形成する上側塗料層形成工程と、
    上記上側塗料が乾燥する前に、該上側塗料を付着除去する除去ロールを上記原板におけ
    る上側塗料層に接触させ、上記複数の凸部における上記上側塗料を付着除去する除去工程とを行って、上記下側塗料層と上記上側塗料層とによる色外観が異なる複数種類の建築板
    を製造する方法であって、
    上記除去工程においては、上記除去ロールの周速度と、該除去ロールへの上記原板の搬
    入速度との速度差を、上記原板に形成しようとする上記色外観に応じて異ならせることに
    より、上記速度差が大きい原板ほど、上記上側塗料層のにじみ度合を大きくすることを特
    徴とする建築板の製造方法。
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