JP4410633B2 - 放射線取扱施設の管理装置、管理方法および管理用プログラム - Google Patents

放射線取扱施設の管理装置、管理方法および管理用プログラム Download PDF

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Description

本発明は、放射線取扱施設の管理装置、管理方法および管理用プログラムに関する。
従来から、放射線取扱施設(例えば、原子炉等)の放射線管理について、さまざまな方法が提唱されている。例えば、原子炉等の施設においてよく行われる放射線管理方法の1つに、線量率(放射線量率)マップの作成がある。
この線量率マップは、管理対象の施設における線量率(μSv/h、1時間あたりの放射線量)を計測して施設平面図にプロットし、施設内の線量率の高低をグラフィカルに表したものである。線量率は、限られた点数しか計測できないが、放射線管理の専門家が計測する位置を選んで行えば、有限の計測点の線量率に基づき線量率分布の概略を推定して、線量率マップを描くことができる。
特開2003−194944号公報(請求項1)
しかし、これらの方法は、主として原子炉等の施設で実施されることを前提とした方法である。すなわち、この方法では管理の対象となる放射性物質は、半減期が数年以上なので、放射性物質の取扱作業の開始時と終了時とで線量率に有意な差が生じない。また、線源(放射線源)がある位置に固定されて、容易には動かないもの(例えば、機器や配管等)という仮定のもとで実務適用されている。
ところが、近年、医療分野で検診のために利用される放射性物質(放射性薬剤)の場合、使用される核種は一般的に半減期が短い。
特に、最近注目されているPET(陽電子放出断層撮影、Positron Emission Tomography)で用いられる放射性物質(11C、13N、15O、18F)は、半減期が数分から数時間と非常に短いので、検診を行っている間にも線量が低下する。
また、主な線源が検査用の放射性薬剤であるため、前記した原子炉等の施設の場合とは異なり、放射性物質が人体とともに施設内を移動するという特性を持つ。
したがって、検診等に利用される放射性薬剤の放射線管理を行おうとした場合、短半減期の核種や、線源の移動によって線量率分布が変化するという特性を考慮する必要がある。
また、線量率の時間的な変化を考慮することは、例えば、原子力プラント(原子炉)の改造工事等で、線源となる機器を分解・移動するような作業を行うときに、作業者の更なる被ばく低減のためにも重要である。
このように線量率分布が、時間的に変化するような施設の運用・管理を支援する方法としては、例えば、従事者(取扱作業者)の位置を計測し、それに基づいて施設内の線量率分布を推定し、従事者に提示する方法がある(特許文献1参照)。
この方法では、ほぼリアルタイムで施設内の線量率分布を把握できるので、日々の放射線管理に有効である。
しかし、線量率分布は、時間の経過と線源の移動によって刻々と変化するものである。従事者が施設内の線量率分布の状態を見て、被ばく量の少なくて済む動作を心がけるためにも、また、事前に検査業務による被ばく量を推定し、被ばく量の偏りの少ない従事者ローテーションを作成するためにも、実際のスケジュールデータに沿った線量率の時間変化を予測することが必要である。
さらに、前記した原子力プラントにおいても、設備の改造工事等を実施する場合には、線源となる機器・配管を分解・移動する状況が生じるため、医療分野と同様に、改造工事等のスケジュールに沿った線量率の時間変化を予測し、これを可視化(画像データ化)することは、作業者の被ばく低減に重要となる。さらに、医療分野、原子力分野に限らず、線量率の時間変化を精度よく予測し、これを可視化するためには、線源強度および線源位置を正確に推定することが重要である。
本発明は、前記した問題を解決し、線量率の時間変化を予測し、これを画像データとして出力する放射線取扱施設の管理装置等を提供することを課題とする。
ある時点でのγ線(放射線)の線量率分布は、γ線を遮蔽する物体の配置と線源に関する情報から、演算によって予測することができる。例えば、核医学検査の場合、γ線を遮蔽する物体は建物の壁・床・扉、機械等の主だった物体全てであり、主に考慮すべき線源は人体に注入された検査用放射性薬剤である。
そこで、本発明では、放射線取扱施設の管理装置を放射線取扱施設の設備を含む放射線取扱施設のレイアウトデータを記憶するレイアウトデータ記憶部と、放射線取扱施設において取り扱われる放射性物質の種類、量および各日時における放射性物質の配置位置に関するスケジュールデータを記憶するスケジュールデータ記憶部と、スケジュールデータ記憶部のスケジュールデータを参照して、放射線取扱施設の所定日時における放射性物質の線源位置を推定する線源配置推定手段と、スケジュールデータ記憶部のスケジュールデータを参照して、所定日時における減衰後の放射性物質の線源強度を推定する線源強度推定手段と、推定された放射性物質の線源位置および線源強度に基づき、放射線取扱施設における所定日時の放射線線量率分布を推定する線量率分布計算手段と、算出された放射線線量率分布を、レイアウトデータ記憶部のレイアウトデータ上にプロットした画像データを作成する画像データ作成手段とを備える構成とした。
また、前記放射線取扱施設の管理装置は、前記施設内の放射線線量率を測定する線量率測定手段と、前記線量率分布計算手段が推定した放射線線量率分布と、前記線量率測定手段が測定した放射線線量率とに基づいて、前記放射性物質の線源位置および線源強度の少なくとも一方を推定する線源位置・強度推定手段とをさらに備え、現在時刻における施設内の正確な線量率分布も計算するようにした。その他の構成については、後記する実施の形態の項で説明する。
本発明によれば、放射線取扱施設において取り扱われる放射性物質の種類、量および各日時における放射性物質の配置位置に関するスケジュールデータをもとに、施設内の線量率分布の時間的変化を提示できるので、放射性物質の取扱施設の管理者は、従事者の被ばく量管理等、施設の放射線管理を行いやすくなる。
《第1の実施の形態》
以下、図面を参照して、本発明の放射線取扱施設の管理装置等を実施するための最良の形態(以下、実施の形態という)を説明する。後記する実施の形態では、管理装置が主としてPET検診施設の管理を行う場合を例に説明する。
本発明の第1の実施の形態は、放射線取扱施設の管理装置(以下、管理装置と略す)が、記憶装置に記憶された検査スケジュールに基づき、放射線源である被検者の位置(場所)を推定し、この推定結果に基づき放射線取扱施設の線量率分布を計算することを特徴とする。
図1は、本発明の実施の形態である管理装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように、管理装置は、この管理装置全体の制御を行うCPU(Central Processing Unit)20と、メモリ40と、記憶装置30と、表示手段1と、入力手段4とを含んで構成される。
記憶装置30は、スケジュールデータ記憶部3と、レイアウトデータ記憶部12とを備え、所定領域に放射線取扱施設の管理用プログラムを記憶し、例えばハードディスク等から構成される。
また、表示手段1は、モニタ等から構成され、CPU20で作成された各種画像データを表示する。入力手段4は、キーボードやマウス等から構成され、管理装置のユーザ(管理者)が各種情報の入力を行うための手段である。
なお、本実施の形態の管理装置は、例えばコンピュータであり、CPU20がメモリ40上に放射線取扱施設の管理用プログラムを読み出し、各種演算処理を行うことにより実現されるものとする。
図2は、図1のCPUが放射線取扱施設の管理用プログラムを実行することにより実現される機能をブロック展開して説明した図である。
図2に示すように、CPU20により実現される機能は、時間差算出手段5、スケジュール差分算出手段6、線源強度推定手段7、線源配置推定手段8、画像データ作成手段10、線量率分布計算手段11に区分される。これらの構成の機能の詳細は、図3を用いて後記する。
図1のスケジュールデータ記憶部3には、PET検診のスケジュールに関するデータ(以下、スケジュールデータとする)が格納される。
このスケジュールデータは、検査用放射性薬剤(検査用薬剤)を投薬する被検者、すなわち検査を受ける被検者ごとに、検査用薬剤の種類、量、検査用薬剤の投薬日時およびこの検査用薬剤の投薬後の各日時における被検者の移動位置(居るべき場所)を示したデータである。
このスケジュールデータは適宜、画像データ作成手段10によって画像データに変換され、表示手段1を介してユーザに画面提示される。
レイアウトデータ記憶部12は、PET検査施設のレイアウトデータを記憶する。このレイアウトデータは、例えばCAD(computer-aided design)データであり、PET検査施設の形状およびそこに配置される設備の形状と材質(モルタル、コンクリート、鉛等)が示される。なお、PET検査施設に配置される設備とは、例えば、PET撮影用ガントリやベッド等である。
(スケジュールデータ)
図3は、図1の表示手段を介して表示される1日のスケジュールデータおよび各日時における線量率分布の画像データを例示した図である。図3の領域300は、スケジュールデータを示し、横軸は日時(時刻)であり、縦軸は被検者のID(識別子)である。ここでは、スケジュールデータが、検査前の問診(「問診」)、検査用薬剤の注射(「注射」)、安静状態での待機(「安静」)、検査機器による撮影(「撮影」)、薬剤の減衰完了までの施設内待機(「待機」)の5つのステップ(イベント)から構成される。
例えば、図3において被検者ID「RCN00011」(符号31)に投薬する検査用薬剤の種類は、「18F−FDG(18Fで標識されたフルオロデオキシグルコース)」であり、その投薬量は、「aaa(Bq、ベクレル)」であることを示す。また、この被検者の検査スケジュールは、8時40分から9時10分までの間に検査用薬剤の「注射」を受け、9時10分から10時10分までが「安静」であり、10時10分から10時45分までが「撮影」であり、10時45分から11時40分までが「待機」であることを示している。
ここで、スケジュールデータは、例えば、図3の符号32の「安静」は、施設内の安静室で、符号34の「待機」は待合室で、また、符号36の「問診」は問診室で行われるというように、施設内において各検査イベントが行われる場所に関する情報を保持しているものとする。
図17は、施設内において各検査イベントが行われる場所を示すデータを例示した図である。図17に例示されるように、各検査イベントが行われる場所は施設のレイアウトデータ上の位置座標として示される。なお、このデータは記憶装置30に記憶されているものとする。
ちなみに、PET検査において、主な線源は放射性物質を含んだ検査用薬剤である。この検査用薬剤は、被検者に注射されるまで遮蔽容器に入っており、施設内の空間の線量率分布に影響しない。つまり、施設内の線源は、注射後の被検者だけであると見なせる。したがって、スケジュールデータの内容を、被検者が居る場所と対応付けて定義しておくことで、管理装置はスケジュールデータから各日時において被検者が居る場所(居るべき範囲)を推定することができる。
なお、図3のスケジュールデータの符号33は、管理装置のユーザが操作可能なスライダーバーである。例えば、ユーザは、入力手段4を使って、画面のスケジュールデータ上のスライダーバーを動かす。CPU20は、スライダーバーの位置を検出して、ユーザから指示入力された時刻(日時)を判断し、この時刻の情報に基づいて施設内の線量率分布の計算を行う。そして、CPU20は、この線量率分布の計算結果と、PET検査施設のレイアウトデータとに基づいて、符号33のスライダーバーの時刻に対応する施設内の線量率分布の画像データ(領域500)を作成したり、符号61のスライダーバーの時刻に対応する施設内の線量率分布の画像データ(領域700)を作成したりする。ここで、例えば領域500の領域50,52および領域700の領域70,72は、20μSv/h以上の線量率の範囲を示す。また、領域500の領域51および領域700の領域71は5μSv/h以上の線量率の範囲を示す。このように、CPU20が、各線量率分布の画像データにおいて、線量率がある一定のレベルを超える範囲を、線量率の境界面を覆う画像データを作成し、スケジュールデータを併せて可視化して表示手段1に表示するようにすることで、ユーザはスケジュールデータとその時刻の施設内の線量率分布を容易に認知することが可能になる。
なお、前記した線量率の範囲は、画面上で色分けして表示するようにしてももちろんよい。
図4(a)は、線量率分布の画像データを俯瞰図としたときの画面例である。
前記した図3の領域500の線量率分布の画像データは、図4のように俯瞰図(斜視図)で示すようにしてもよい。図4(a)において、領域41は図3の領域51に相当し、領域41は図3の領域50に相当する。このような表示方法によれば、ユーザは施設内の線量率分布をより一層認知しやすくなる。
(レイアウトデータ)
レイアウトデータは、前記したとおり、PET検査施設の形状およびそこに配置される設備の形状と材質とを示したデータである。このレイアウトデータは、線量率分布計算手段11(後記)が線量率分布の推定をするときの入力データとして参照される。また、このレイアウトデータは、画像データ作成手段10によって、例えば3次元の画像データに変換され、表示手段1を介してユーザに提示される。
図4(b)は、レイアウトデータ記憶部のレイアウトデータの例である。
この例では、PET検査施設の建屋から天井を取り除いた3次元形状を俯瞰した画像21を示している。この画像21には建屋内の設備とともに、建屋内に居る被検者(線源)や従事者も、人間を表す所定の形状として表示する。
ユーザは、表示手段1に表示されたスケジュールデータおよび施設の3次元形状(画像21)を見ながら、施設内の線量率分布の検討を行う。
次に、適宜図1、図2を参照しつつ、図3および図5を用いて、管理装置の動作手順(CPU20による放射線取扱施設の管理プログラムの実行処理)について説明する。図5は、管理装置の各構成要素の動作手順を示す図である。図5(a)は、操作前後でのスケジュール内容の変化が無い場合の動作手順を示す図であり、図5(b)は操作前後でのスケジュール内容の変化が有る場合の動作手順を示す図である。
まず、図5(a)を用いて、操作前後でのスケジュール内容の変化が無い場合の動作手順を説明する。
ユーザは、入力手段4を用いてスケジュールデータ(図3参照)上の符号33の位置のスライダーバーを、線量率分布の状態を表示させたい日時の位置(符号61)に移動する(ステップS301)。
これを受けて、時間差算出手段5がスライダーバーの移動量を算出する。時間差算出手段5は、スケジュールデータ上のスライダーバーの移動量から、移動前後のスライダーバーの時間差を算出し、新たに線量率分布を評価すべき時刻を決定する(ステップS302)。具体的には、時間差算出手段5は、移動前のスライダーバーの位置をメモリ40に記憶しておき、移動後のスライダーバーの位置と比較して時間差を算出し、新たに線量率分布を評価すべき時刻を決定する。
併せて、時間差算出手段5は、画像データ作成手段10に移動後のスライダーバーの位置を出力し、画像データ作成手段10は、移動後のスライダーバーの位置を示したスケジュールデータの画像データを作成し、表示手段1に出力する。
次に、スケジュール差分算出手段6は、新たに評価すべき時刻におけるスケジュールと、表示中の時刻におけるスケジュールの内容の差分を算出する(ステップS303)。すなわち、スケジュール差分算出手段6は時間差算出手段5からスライダーバーの移動量(時間差15分)を受け取る。そして、スケジュール差分算出手段6は、スケジュールデータを参照して、新たに評価すべき時刻(15分後に)スケジュール内容(居る区画)の変化が有るか否かを判断する。
例えば、図3のスライダーバーの位置が符号33から符号61に移動したとき、被検者ID「RCN00011」の被検者は、「待機」(符号34)のステップのままであり、被検者ID「RCN00012」の被検者も「撮影」(符号35)のステップのままであるので、被検者が居る区画は同じで、時間が15分経過した状態であると判断する。つまり、被検者が居る区画の変化は無く、時間だけが15分経過したと判断する。
具体的には、スケジュール差分算出手段6は、メモリ40にスライダーバーが符号33の位置のときの各被検者のステップを記憶しておき、スライダーバーが符号61の位置に移動したとき、メモリ40のステップとの比較を行う。そして、スライダーバーの操作前後で各被検者のステップに変化があったか否かを判断する。
スケジュール差分算出手段6は、各被検者のステップに変化が無いと判断したとき、線源強度を推定する線源強度推定手段7を呼び出し、スライダーバー61の示す時刻から15分後の線源強度を線源強度推定手段7に推定させる(ステップS304)。
この線源強度推定手段7は、前記した経過時間およびスケジュールデータに基づいて、減衰を考慮した線源強度を推定する。つまり、スケジュールデータから各被検者に注射した薬剤の放射性物質の種類(放射性物質の半減期)および薬剤注射後の経過時間を特定し、これに基づき減衰後の線源強度を推定する。
なお、記憶装置30には、以下の表1に例示するような、薬剤(放射性物質)ごとの、放射能量の半減期を示した半減期テーブルを格納し、線源強度推定手段7は、この半減期テーブルを参照して、半減期を特定するものとする。
Figure 0004410633
表1において、例えば、放射性薬剤の種類が「R1」の薬剤は、放射能量の半減期が「110分」であり、放射性薬剤の種類が「R2」の薬剤は、放射能量の半減期が「5.2日」であることを示している。
なお、使用する薬剤によっては、放射線が被検者の代謝によって体外に排出される(例えば、18F−FDGの場合、一部が尿中に排出される)が、その量は物理現象と違って正確な定量化が困難なので、線源強度推定手段7では代謝による***量を0として計算する。これにより被検者体内の18Fの量は、実際よりも多めに計算(推定)される。したがって、推定される18Fの量は、実際の線量率よりも大きくなるが、線量率から被ばく量等を検討する際には安全側の評価となるので問題は無い。
線量率分布計算手段11は、線源強度推定手段7が推定した線源強度を受け取ると、放射性物質の減衰分(減衰幅)を考慮した線量率分布を計算する(ステップS305)。なお、ここでの線量率は、例えば点減衰核法等を用いて計算する。
画像データ作成手段10は、ステップS305の線量率の計算値を受け取ると、レイアウトデータ記憶部12のレイアウトデータに、この線量率分布を重ね合わせた画像データを作成し(ステップS306)、表示手段1に出力する(ステップS307)。
このステップS307において表示手段1に表示される画面は、例えば、前記した図3の領域700のようになる。すなわち、被検者の位置は領域500と同じで、領域500から放射性物質の減衰分だけ全体的に線量率を低下させた領域70,71,72が表示される。
次に、図6および図5(b)を用いて、表示手段1の画面上のスライダーバーの移動によって、被検者の位置が移動する場合の管理装置の動作について説明する(適宜図1〜図4、図5(a)参照)。
図6は、図3の符号61の位置から、さらにスライダーバーを動かした場合のスケジュールデータおよび各時刻における線量率分布の画像データを例示した図である。図6において、符号81は移動後のスライダーバーを示す。前記した図5(a)の動作と同様の動作は適宜説明を省略する。
時間差算出手段5は、前記したステップS302と同様に新たに線量率分布を評価すべき時刻を決定し、スケジュール差分算出手段は、ステップS303と同様に、スライダーバーの操作前後でのスケジュール内容(ステップ)に変化が有るか否かを判断する。
図6の画面例では、スライダーバーの操作前後で、被検者ID「RCN00012」の被検者は、符号35の「撮影」のステップから符号39の「待機」のステップへ変わっているので、スケジュール差分算出手段6は、線源強度推定手段7および線源配置推定手段8を呼び出す(ステップS308)。
線源強度推定手段7は、ステップS304と同様に、時間差算出手段5の算出した経過時間に基づいて、減衰を考慮した線源強度を推定し、線源配置推定手段8は、スケジュールデータおよびレイアウトデータを参照して、被検者の移動位置を推定する(ステップS309)。例えば、線源配置推定手段8は、スケジュールデータを参照して、被検者は、「待機」用のスペース(区画)に居ると推測する。そして、レイアウトデータの「待機」用のスペースデータを参照して、被検者は「待機」用スペースの椅子の位置に居ることを推定する。なお、区画内での被検者の位置の推定には、予めレイアウトデータに定められた区画内における椅子やベッドの位置の座標値を使用するものとする。
線量率分布計算手段11は、線源強度推定手段7が推定した線源強度を持つ線源が、線源配置推定手段8で推定した被検者の位置に移動しているものとして、線量率分布を計算する(ステップS310)。
計算された線量率分布は、画像データ作成手段10によって、再びレイアウトデータと重ね合わせた画像データに変換され(ステップS311)、このデータを表示手段1に出力し、画面を更新する(ステップS312)。
図6の領域800は、スライダーバーが符号81の位置にあるときのスケジュールデータに対応する線量率分布の画像データの例である。
被検者の位置の移動と、時間による減衰によって変化した線量率分布90,91が移動後の被検者の位置とともに表示されている。
このように管理装置は、被検者のスケジュールに応じて、線量率分布の画像データを更新するので、ユーザは入力手段経由で、画面上のスライダーバーを操作することで、スケジュールデータに沿った線量率分布の変化を見ることができる。
すなわち、例えば、従業者は、自身が作業するときの施設内の線量率分布を確認することができるので、検査室内で線量率が高い(高くなる)場所はできるだけ避けて作業することが可能になる。
また、CPU20が画面上のスライダーバーの位置の更新を短い周期で取り込むことにより、スケジュールデータ上のスライダーバーの動きに連動して、線量率分布を示した画像データも短周期で更新され、時間と連動した動的な変化としてユーザに提示することができる。
なお、本実施の形態によれば、スケジュールデータとレイアウトデータから施設内の線量率分布を求めることができるので、これを応用して施設内での従業者の被ばく量を評価するようにシステムを拡張してもよい。例えば、施設内の作業位置とその位置での滞在時間を入力し、管理装置が当該位置での線量率と滞在時間との積によって簡易的に作業被ばく量を推定するようにしてもよい。また、人間(作業者)の移動する経路を、マウス等を使って入力し、経路に沿って移動した場合の被ばく量を推定することも可能である。
図7は、作業者の経路の入力画面の例である。真上から俯瞰した施設・設備の図の上に、移動経路191を入力手段4(マウスやペンタブレット等)で描画して入力する。管理装置は、経路の入力を受け付けると、入力された経路を所定の小区間に分割し、作業被ばく量の評価と同様に、各小区間の代表点の線量率と小区間の移動に要する時間の積で被ばく量を推定する。このようにすることで、経路全体の被ばく量は、各小区間ごとの被ばく量の総和として推定することができる。
また、経路の入力画面には図7の領域192のように、線量率分布を併せて表示するようにしてもよい。このようにすることで、例えばユーザ(作業者)は、被ばく量の低減できそうな経路を考えて入力し、このような経路で移動したときの被ばく量を確認できる。さらに、作業者が自身の今までの被ばく量と前記経路で移動したときの被ばく量とを対比できるようにすれば、被ばく量の低減効果を確認できる。
本実施の形態である管理装置は、PET検診施設を管理対象とする場合を例として説明したが、放射性物質を用いる他の医療施設、例えばSPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)検査施設等を管理対象とするようにしてもよい。また、前記した実施の形態ではスケジュールデータは、検査スケジュールに関するものとしたが、これを放射線取扱施設の改造工事スケジュールに関するものとしてもよい。すなわち、スケジュールデータに、放射線取扱施設において取り扱われる放射性物質の種類、量および各日時における放射性物質の配置位置に関する情報、例えば、放射線取扱施設で分解された機器部品の位置や運転停止直後の存在核種やその線源強度等のデータを含めれば、原子力プラントについても同様にして利用することが可能である。
《第2の実施の形態》
第2の実施の形態の管理装置は、ユーザ入力ではなく実時間の取り込みによって表示手段1の線量率分布の画像表示を更新することを特徴とする。
図8は、第2の実施の形態において、CPUにより実現される機能を示したブロック図である。図9は、第2の実施の形態の管理装置の各構成要素の動作手順を示す図である。第2の実施の形態の管理装置は、第1の実施の形態の時間差算出手段5(図2参照)の代わりに、所定周期で現在時刻を取り込む現在時刻取得手段13を組み込んだ構成となっている。
図9を用いて第2の実施の形態の管理装置の各構成要素の動作手順を説明する(適宜図1〜図8参照)。前記した実施の形態と同様の構成要素は同じ符号を付して、説明を省略する。
まず、現在時刻取得手段13は、現在時刻をスケジュール差分算出手段6および画像データ作成手段10に出力する(ステップS901)。
スケジュール差分算出手段6は、現在時刻取得手段13から出力された現在時刻に基づき、表示中の時刻におけるスケジュールの内容の差分のチェックを行う(ステップS902)。その後、CPU20は、前記した実施の形態と同様に、線源強度推定手段7での線源強度(ステップS903)および線源配置推定手段8による線源配置の推定(ステップ904)を行い、これに基づき線量率分布計算手段11が線量率分布の更新を行う(ステップS905)。そして、更新された線量率分布に基づき画像データ作成手段10が画像データを作成し(ステップS906)、表示手段1に出力する(ステップS907)。
また、画像データ作成手段10は、現在時刻取得手段13から出力された現在時刻に基づき、スケジュールデータ上でスライダーバーの位置を現在時刻に当たる位置に移動させた画像を作成し(ステップS908)、表示手段1に出力する(ステップS909)。
図10(a)は、スケジュールデータの表示画面例であり、図10(b)は、図9の現在時刻取得手段によって取り込まれた時刻を表示した線量率分布の画面例である。図10(a)において、スライダーバーはスケジュール上で現在時刻に当たる位置を示し、スライダーバーの近くの表示領域120で具体的な時刻を表示する。そして、管理装置が、表示手段1に図10(b)に示すような現在時刻における線量率分布の画像データを表示することによって、従事者(検査スタッフ等)は目に見えない放射線の状態を把握し、できるだけ線量率の高いところを避けて作業できるようになる。つまり、従業者の被ばく量を低減させることができる。
この実施の形態では、表示手段1へのスケジュールデータの表示は必須ではなく、現在時刻での線量率分布だけを表示するように構成することも可能である。これは、管理装置に、スケジュール表示の有無を切り替える機能を付加することにより実現できる。
また、この実施の形態ではユーザが対話的な入力を行う手段をもたないが、第1の実施の形態と合わせた構成とし、通常はリアルタイムの表示を行い、ユーザが画面上のスライダーバーを操作した場合には、表示手段1にスケジュールデータ上の未来または過去の線量率分布を表示するようにしてもよい。現在の線量率分布から、未来または過去の状態をスライダーバーの操作で連続的に見ることで、自分が従事する時間帯全体に渡る線量率分布を把握することが可能になる。
《第3の実施の形態》
本発明の第3の実施の形態は、管理装置が、ユーザ入力、すなわち画面上のスライダーバーの移動を必要とせずに自動で線量率分布の変化を表示することを特徴とする。
図11は、第3の実施の形態において、CPUにより実現される機能を示したブロック図である。図12は、第3の実施の形態の管理装置の各構成要素の動作手順を示す図である。図11に示すように、第3の実施の形態は、第2の実施の形態における現在時刻取得手段13(図9参照)のかわりに、スケジュールデータ上の時刻を所定の速度で進めるタイマ14を含む構成となっている。
図12を用いて第3の実施の形態の管理装置の各構成要素の動作手順を説明する(適宜図1〜図11参照)。前記した実施の形態と同様の構成要素は同じ符号を付して、説明を省略する。
スケジュール差分算出手段6は、このタイマ14から時刻に関する情報を取得すると(ステップS1201)、表示中の時刻におけるスケジュールの内容の差分のチェックを行う(ステップS1202)。そして、CPU20は、前記した実施の形態のステップS903〜ステップS905と同様の手順により、スケジュールデータのはじめから終わりまでの線量率分布の変化を演算する(ステップS1203〜ステップS1205)。そして、この線量率分布の変化に基づき、画像データ作成手段10が、その線量率分布の変化を画像データとして作成し(ステップS1206)、画像データを表示手段1に表示させる(ステップS1207)。
なお、このとき、画像データ作成手段10がスケジュールデータの画面上のスライダーバーが移動する様子を表示手段1に出力するようにしてもよい。
このようにすることで、所定時間内(例えば24時間)における施設内の線量率分布の変化を自動で表示することができるので、放射線取扱施設の従事者教育や施設利用者への施設利用の説明等に利用できる。
さらに、本実施の形態の管理装置を用いて、従事者ごとの作業被ばく量を自動的に評価するようにしてもよい。
すなわち、第1の実施の形態で述べた被ばく量評価では、ユーザ入力によって、特定の作業位置または作業動線について被ばく量を評価することとしたが、本実施の形態の管理装置で、従業者の作業位置や移動経路をスケジュールデータの一部として記憶させておけば、スケジュールデータに沿った線量率分布の変化とともに、各人の被ばく量の遷移を同時に評価することができる。
また、前記した実施の形態では、被検者の位置をスケジュールデータから推定するようにしたが、被検者以外、例えば医療従事者についても作業時刻(日時)および作業位置をスケジュールデータに記憶しておくことにより、時刻と対応した作業位置を推定することができる。作業位置を移動するときの経路は、レイアウトデータと照らし合わせて通行可能な経路を探索するか、予め作業位置と次に移動する作業位置との間に移動経路の情報を記録するようにすればよい。線量率分布計算手段11による線量率分布の評価の周期を充分短くとって評価することにより、管理装置は、線量率の連続的な変化とそれによる従業者の被ばく量が計算できる。
《第4の実施の形態》
本発明の第4の実施の形態は、管理装置が、線量率モニタから施設内の線量率の測定値(実測値)とスケジュールデータとを参照して、現在時刻での線源強度および線源配置より正確に推定することを特徴とする。
図13は、第4の実施の形態において、CPUにより実現される機能を示したブロック図である。図14は、第4の実施の形態の管理装置の各構成要素の動作手順を示す図である。図13に示すように第4の実施の形態の管理装置は、第2の実施の形態の構成に、線源配置・強度推定手段15と、計測値取込手段16とを加えた構成となっている。
図14を用いて第4の実施の形態の管理装置の各構成要素の動作手順を説明する(適宜図1〜図13参照)。前記した実施の形態と同様の構成要素は同じ符号を付して、説明を省略する。
まず、スケジュール差分算出手段6は、ステップS1411で現在時刻取得手段13から出力された現在時刻に基づき、表示中の時刻におけるスケジュール内容のチェックを行う(ステップS1412)。その後、前記した実施の形態と同様に、線源強度推定手段7での線源強度(ステップS1413)および線源配置推定手段8による線源位置の推定(ステップS1414)を行う。そして、これらの推定結果を線源配置・強度推定手段15による計算の初期値として、線源配置・強度推定手段15へ受け渡す。
併せて、計測値取込手段16は、施設内の線量率を測定する線量率測定手段(線量率モニタ)201〜203からの測定値を取り込む(ステップS1401)。そして、この測定値を線源配置・強度推定手段15へ受け渡す。次に、線源配置・強度推定手段15は、この測定値と、線源配置と、線源強度とに基づいて被検者の位置(線源配置)および線源強度を推定する(ステップS1402)。そして、この推定結果を線量率分布計算手段11に受け渡し、線量率分布計算手段11は線量率分布の計算(ステップS1415)を行う。この計算結果に基づき画像データ作成手段10は線量率分布の画像データを作成し(ステップS1416)、この画像データを表示手段1に表示させる(ステップS1417)。
図15は、本実施の形態において線量率分布が計算される検査室の形状を示す図である。
この検査室200には、PET撮影用のガントリ220が配置され、放射線量率を測定する線量率モニタ201〜203が検査室200の壁に沿って配置されている。
また、被検者210がガントリ220の周辺に立っている状況を示している。線量率モニタ201,202,203での測定値をそれぞれD1,D2,D3とし、線量率分布計算手段11(図14参照)で計算される線量率モニタ201,202,203の設置位置での線量率の値をC1,C2,C3とする。
線源配置・強度推定手段15では、計測値取込手段16経由で取得した線量率の測定値に基づいて、被検者210の位置と線源強度を推定する。
前記した実施の形態では、線源配置推定手段8は、スケジュールデータを参照して、被検者が検査室に居ることは推定できるが、検査室のどこに居るのかを正確に推定することはできない。そのため、線源配置推定手段8は、被検者が検査室に居る時間の大半はガントリ220の位置で撮影を行っているものとして、線源位置をガントリ220に付属するベッド上に設定する。
これに対し、本実施の形態では、線源配置・強度推定手段15が、線量率の測定値Diと計算値Ciとの差を最小化する線源強度Sおよび被検者位置(x,y)を決定するようにする。
つまり、以下の(式1)の目的関数Jを使用して、このJを最小化するS、x、yの3変数の値を決定する。この問題は、Jを最小化する最適化変数S、x、yの値を決定する最適化問題として定式化でき、通常利用されている最急降下法等の非線形最適化手法により解くことが可能である。
J=(D1−C1)2+(D2−C2)2+(D3−C3)2…(式1)
ここでは、被検者の位置として(x,y)の2次元座標を最適化変数として考えた。しかし、被検者の状態には、立っている状態、椅子に座っている状態、ベッドに寝ている状態の3種類があり、各々高さ、すなわちz方向の座標は異なる。したがって、線量率分布計算手段11が線量率分布の計算を正確に実施するためには、(x,y,z)座標を設定する必要がある。
ここで、レイアウトデータには、検査室内の椅子やベッドの位置・形状のデータが含まれており、これを用いれば、被検者の(x,y)座標から、z座標を推定することが可能である。つまり、例えば、(x,y)座標が、椅子の配置範囲に含まれていれば、座っている状態の被検者のz座標を使用し、ベッドの配置範囲に含まれていれば、寝ている状態の被検者のz座標を、線量率分布計算手段11での線源位置として使用すればよい。
本実施の形態の線源配置・強度推定手段15での計算では、被検者の位置として(x,y)座標を最適化変数として求めて、この座標値から、レイアウトデータを基に、z座標を計算する方法を採るが、必ずしもこの方法に限定されるものではない。
図16は、本実施の形態の線源配置・強度推定手段の処理手順を示すフローチャートである。図16を用いて、線源配置・強度推定手段15の処理手順を説明する(適宜図1〜図15参照)。
まず、線源配置・強度推定手段15は、線源となる被検者の線源強度S0および位置(x0,y0)を仮定する(ステップS1601)。
ここで仮定する線源強度S0の値は、スケジュールデータから線源強度を推定する線源強度推定手段7により出力されたものを用いる。また、仮定する被検者位置(x0,y0)は、スケジュールデータから被検者位置を推定する線源配置推定手段8により出力された値を用いる。このとき出力される被検者位置は、スケジュールデータの一部に記憶された、部屋内に予め定められた座標値、例えば検査室であればガントリ付属のベッドの座標値を使用する。
次いで、被検者の位置座標(x0,y0)から、レイアウトデータを基に、線源の高さ位置zを設定し、さらに線源強度S0を用いて、線量率モニタ201〜203の位置での線量率を計算する(ステップS1602)。
そして、計測値取込手段16が取得した測定値と前記計算値とから、目的関数Jの値を(式1)により計算する(ステップS1603)。次に、このJの値と、予め定めた所定の値εを比較し(ステップS1604)、Jがεよりも小さい場合には(ステップS1604の“真”)、この時点の値(強度S0、位置(x0,y0))を線源強度S、位置(x,y)の値として決定する(ステップS1610)。そして、この決定した値を、線量率分布計算手段11へ受け渡し、線源配置・強度推定手段15による演算処理をいったん終了する。
ここでもし、Jがεよりも大きい場合には(ステップS1604の“偽”)、非線形最適化手法を用いて、Jを小さくするS、x、yの修正値を計算により求めて(ステップS1605)、ステップS1602以降の処理を再実行する。このようにして、線源配置・強度推定手段15は、線源強度と被検者位置を決定することができる。
前記の処理は、線源強度および被検者位置の両方を求めるための処理であるが、例えばスケジュールデータから被検者がガントリで撮影中であることが確実な場合等、被検者位置(x,y,z)が充分な精度で決定できる場合には、線源強度Sのみを最適化変数として最適化処理を実行することが可能である。
また、線源強度をスケジュールデータから求めて、被検者位置を最適化処理により求めることも可能である。ここで、線量率モニタ201〜203での測定値の数は、最適化変数の個数以上あればよい。例えば、2人の被検者の線源強度Sおよび位置(x,y)を決定する場合には、線量率モニタでの6つ以上の測定値が必要となり、一方、1人の被検者の線源強度Sのみを決定する場合には、1つのモニタ測定値があればよい。
本実施の形態では、線源配置・強度推定手段15により、最適化変数として決定する被検者位置は(x,y)座標とし、z座標については、この(x,y)座標とレイアウトデータにより決定する方法を採った。これを、x、y、zの3座標の全てを最適化変数として、最適化処理により決定する方法とすることも同様に可能である。この場合には、最適化変数が線源強度Sを含めて、計4個となるため、モニタでの測定値は、4つ以上必要となる。また、立位、座位等の被検者の姿勢によるz座標の変化を考慮せず、姿勢によらず、予め定めたz座標の固定値を使用することも同様に可能である。この場合、線源強度および被検者位置についての推定値の精度が低下するが、一方、レイアウトデータを用いたz座標の推定処理が不要となるため、処理の簡単化が図れる。
このようにすることで、スケジュールデータからでは充分特定できない区画内の具体的な被検者位置が推定できるようになる。また、実際の検査の進捗が予定されていたスケジュールと合致しないような状況下でも、実際に近い線源強度および線源位置を決定することができる。したがって、管理装置は、実際に近い線量率分布を計算することが可能となる。
前記した実施の形態は、施設内を移動する被検者が線源となるPET検査施設を例として説明したが、原子力プラント建屋内の配管や機器の線源強度についても、同様の手法により推定することが可能である。そしてまた、機器等が移動された場合には、線源強度に併せて、その位置を推定することが可能である。この場合、測定値としてはここに示した固定式の線量率モニタに限らず、計測点の位置が明確であれば、可搬式の線量率モニタでの測定値を用いても同様の処理で線源強度と線源位置の推定が可能である。
なお、前記した実施の形態では、図16のステップS1601において線源配置・強度推定手段15が、最初に仮定する線源強度S0の値は、線源強度推定手段7により出力されたものを用い、最初に仮定する被検者位置(x0,y0)は、線源配置推定手段8により出力されるものを用いるようにしたが、線源配置・強度推定手段15が、記憶装置30に予め記憶された初期値(線源強度S0および被検者位置(x0,y0))を設定するようにしてもよい。ここで初期値として与える線源強度S0は、例えば1ベクレルの単位線源強度である。また、被検者位置(x0,y0)は、例えば線量率を測定しているエリア内の任意の点の座標を与えるものとする。この初期値の設定以降は、第4の実施の形態と同様の処理で線源強度および線源配置を測定値から推定する。
このようにすることで、本実施の形態の管理装置は、スケジュールデータを用意することなく、現在時刻の線量率分布を計算し、これを画像データ化することができる。したがって、医療現場での線量率分布の現在状態の表示に有効であるとともに、原子力プラントでの線量率表示にも同様に利用できる。さらに、原子力プラントにおいては設置機器の線源強度を特定することもプラントの運用上重要であるが、本実施の形態の管理装置によれば、線量率の測定値を用いて線源強度を決定することができ、線源強度の測定作業の効率化に資することも可能である。
なお、各実施の形態において、表示手段1に出力される画像データは、画面上にスケジュールデータと線量率分布との両方の画像を表示させるものであってもよいし、画面上の表示ボタンをクリック等で選択して、それぞれの画像の表示/非表示を切り替えられるようにしてもよい。
本実施の形態に係る放射線取扱施設の管理装置は、前記したような処理を実行させる管理用プログラムによって実現することができ、このプログラムをコンピュータによる読み取り可能な記憶媒体(CD−ROM等)に記憶して提供することが可能である。また、そのプログラムを、ネットワークを通して提供することも可能である。
本発明の実施の形態である管理装置の構成を示すブロック図である。 図1のCPUが放射線取扱施設の管理用プログラムを実行することにより実現される機能をブロック展開して説明した図である。 図1の表示手段を介して表示される1日のスケジュールデータおよび各日時における線量率分布の画像データを例示した図である。 (a)は、線量率分布の画像データを俯瞰図としたときの画面例である。(b)は、レイアウトデータ記憶部のレイアウトデータの例である。 (a)は、操作前後でのスケジュール内容の変化が無い場合の動作手順を示す図である。(b)は、操作前後でのスケジュール内容の変化が有る場合の動作手順を示す図である。 図3の符号61の位置からさらにスライダーバーを動かした場合のスケジュールデータおよび各日時における線量率分布の画像データを例示した図である。 作業者の経路の入力画面の例である。 第2の実施の形態において、CPUにより実現される機能を示したブロック図である。 第2の実施の形態の管理装置の各構成要素の動作手順を示す図である。 (a)は、スケジュールデータの表示画面例である。(b)は、図9の現在時刻取得手段によって取り込まれた時刻を表示した線量率分布の画面例である。 第3の実施の形態において、CPUにより実現される機能を示したブロック図である。 第3の実施の形態の管理装置の各構成要素の動作手順を示す図である。 第4の実施の形態において、CPUにより実現される機能を示したブロック図である。 第4の実施の形態の管理装置の各構成要素の動作手順を示す図である。 本実施の形態を利用して線量率分布が計算される検査室の形状を示す図である。 本実施の形態の線源配置・強度推定手段の処理手順を示すフローチャートである 施設内において各検査イベントが行われる場所を示すデータを例示した図である。
符号の説明
1 表示手段
3 スケジュールデータ記憶部
4 入力手段
5 時間差算出手段
6 スケジュール差分算出手段
7 線源強度推定手段
8 線源配置推定手段
10 画像データ作成手段
11 線量率分布計算手段
12 レイアウトデータ記憶部
13 現在時刻取得手段
14 タイマ
15 線源配置・強度推定手段
16 計測値取込手段
20 CPU
30 記憶装置
40 メモリ
201 線量率モニタ(線量率測定手段)

Claims (4)

  1. 放射線取扱施設の設備を含む前記放射線取扱施設のレイアウトデータを記憶するレイアウトデータ記憶部と、
    前記放射線取扱施設において検査用放射性薬剤を投薬する被検者ごとに、前記検査用放射性薬剤の種類、量、投薬日時および投薬後の各日時における前記被検者の移動位置を示したスケジュールデータを記憶するスケジュールデータ記憶部と、
    前記スケジュールデータ記憶部のスケジュールデータを参照して、前記放射線取扱施設の所定日時における前記被検者の移動位置を放射性物質の線源位置として推定する線源配置推定手段と、
    前記スケジュールデータ記憶部のスケジュールデータを参照して、所定日時における減衰後の前記放射性物質の線源強度を推定する線源強度推定手段と、
    前記推定された前記放射性物質の線源位置および線源強度に基づき、前記放射線取扱施設における所定日時の放射線線量率分布を推定する線量率分布計算手段と、
    前記推定された放射線線量率分布を、前記レイアウトデータ記憶部のレイアウトデータ上にプロットした画像データを作成する画像データ作成手段と、
    前記所定日時の指示入力を行う入力手段と、
    前記画像データ作成手段で作成された画像データを出力する表示手段と
    を備えることを特徴とする放射線取扱施設の管理装置。
  2. 前記放射線取扱施設の管理装置は、前記施設内の放射線線量率を測定する線量率測定手段と、
    前記線量率分布計算手段が推定した放射線線量率分布と、前記線量率測定手段が測定した放射線線量率とに基づいて、前記放射性物質の線源位置および線源強度を推定する線源位置・強度推定手段とをさらに備え、
    前記線量率分布計算手段は、前記線源位置・強度推定手段で推定された線源配置および線源強度に基づいて、前記放射線取扱施設における所定日時の放射線線量率分布を推定することを特徴とする請求項1に記載の放射線取扱施設の管理装置。
  3. 記憶装置に、放射線取扱施設の設備を含む前記放射線取扱施設のレイアウトデータを記憶するレイアウトデータ記憶部と、前記放射線取扱施設において検査用放射性薬剤を投薬する被検者ごとに、前記検査用放射性薬剤の種類、量、投薬日時および投薬後の各日時における前記被検者の移動位置を示したスケジュールデータを記憶するスケジュールデータ記憶部とを備えたコンピュータを用いた放射線取扱施設の管理方法であって、
    前記コンピュータが
    所定日時の指示入力を受け付けるステップと、
    前記スケジュールデータ記憶部のスケジュールデータを参照して、前記放射線取扱施設の前記所定日時における前記被検者の移動位置を放射性物質の線源位置として推定するステップと、
    前記スケジュールデータ記憶部のスケジュールデータを参照して、前記所定日時における減衰後の前記放射性物質の線源強度を推定するステップと、
    前記推定された前記放射性物質の線源位置および線源強度に基づき、前記放射線取扱施設における前記所定日時の放射線線量率分布を推定するステップと、
    前記推定された放射線線量率分布を、前記レイアウトデータ記憶部のレイアウトデータ上にプロットした画像データを作成するステップと、
    前記作成された画像データを出力するステップと、
    を実行することを特徴とする放射線取扱施設の管理方法。
  4. 請求項に記載の放射線取扱施設の管理方法をコンピュータに実行させることを特徴とする放射線取扱施設の管理用プログラム。
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