JP4408114B2 - 発光装置の作製方法 - Google Patents

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Description

本発明は半導体装置に関し、特に、絶縁表面を有する基板上に形成された発光素子を有する発光装置およびその作製方法に関する。また、発光パネルにコントローラを含むIC等を実装した、発光モジュールに関する。なお本明細書において、発光パネル及び発光モジュールを共に発光装置と総称する。本発明はさらに、該発光装置を製造する装置に関する。
なお、本明細書中において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指し、発光装置、電気光学装置、半導体回路および電子機器は全て半導体装置である。
近年、基板上にTFT(薄膜トランジスタ)を形成する技術が大幅に進歩し、アクティブマトリクス型表示装置への応用開発が進められている。特に、ポリシリコン膜を用いたTFTは、従来のアモルファスシリコン膜を用いたTFTよりも電界効果移動度(モビリティともいう)が高いので、高速動作が可能である。そのため、ポリシリコン膜を用いたTFTからなる駆動回路を画素と同一の基板上に設け、各画素の制御を行うための開発が盛んに行われている。同一基板上に画素と駆動回路とを組み込んだアクティブマトリクス型表示装置は、製造コストの低減、表示装置の小型化、歩留まりの上昇、スループットの向上など、様々な利点が得られると予想される。
また、自発光型素子としてEL素子を有したアクティブマトリクス型発光装置(以下、単に発光装置とも呼ぶ)の研究が活発化している。
アクティブマトリクス型発光装置は、各画素のそれぞれにTFTでなるスイッチング素子(以下、スイッチング素子という)を設け、そのスイッチング用TFTによって電流制御を行う駆動素子(以下、電流制御用TFTという)を動作させてEL層(厳密には発光層)を発光させる。例えば特許文献1に記載された発光装置が公知である。
EL素子は自ら発光するため視認性が高く、液晶表示装置(LCD)で必要なバックライトが要らず薄型化に最適であると共に、視野角にも制限が無い。そのため、EL素子を用いた発光装置は、CRTやLCDに代わる表示装置として注目されている。
なお、EL素子は、電場を加えることで発生するルミネッセンス(Electro Lumi
nescence)が得られる有機化合物を含む層(以下、EL層と記す)と、陽極と、陰極とを有する。有機化合物におけるルミネッセンスには、一重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(蛍光)と三重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(リン光)とがあるが、本発明の製造装置および成膜方法により作製される発光装置は、どちらの発光を用いた場合にも適用可能である。
EL素子は一対の電極間にEL層が挟まれた構造となっているが、EL層は通常、積層構造となっている。代表的には、「正孔輸送層/発光層/電子輸送層」という積層構造が挙げられる。この構造は非常に発光効率が高く、現在、研究開発が進められている発光装置は殆どこの構造を採用している。
また、他にも陽極上に正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層、または正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層の順に積層する構造も良い。発光層に対して蛍光性色素等をドーピングしても良い。また、これらの層は、全て低分子系の材料を用いて形成しても良いし、全て高分子系の材料を用いて形成しても良い。
特開平10−189252号公報
EL素子の中心とも言えるEL層(厳密には発光層)となる有機化合物材料は、低分子系有機化合物材料と高分子系(ポリマー系)有機化合物材料とがそれぞれ研究されている。
これらの有機化合物材料の成膜方法には、インクジェット法や、蒸着法や、スピンコーティング法といった方法が知られている。
しかし、赤、緑、青の発光色を用いてフルカラーのフラットパネルディスプレイを作製することを考えた場合、成膜精度がそれほど高くないため、異なる画素間の間隔を広く設計したり、画素間に土手(バンク)と呼ばれる絶縁物を設けたりしている。
また、赤、緑、青の発光色を用いるフルカラーのフラットパネルディスプレイとして、高精細化や高開口率化や高信頼性の要求が高まっている。こうした要求は、発光装置の高精細化(画素数の増大)及び小型化に伴う各表示画素ピッチの微細化を進める上で大きな課題となっている。また、同時に生産性の向上や低コスト化の要求も高まっている。
加えて、本発明は、発光素子の信頼性及び輝度を高めることも課題とする。
本発明は、意図的に隣合う発光素子同士の異なる有機化合物層を一部重ねることによって、有機化合物層の成膜方法や成膜精度によらず、赤、緑、青の発光色を用いるフルカラーのフラットパネルディスプレイとして、高精細化や高開口率化を実現するものである。
ただし、異なる有機化合物層が一部重なる部分と画素電極との間には無機絶縁膜が設けられており、この無機絶縁膜は、各画素電極の両端部およびそれらの間を覆っている。なお、画素電極と接する有機化合物層上に他の有機化合物層が一部重なってしまった場合でも、発光輝度は約1000分の一に低下し、流れる電流も約1000分の一になるため、問題ない。
本明細書で開示する発明の構成1は、
陰極と、該陰極に接する有機化合物層と、該有機化合物層に接する陽極とを有する発光素子を複数有する発光装置であって、
第1の有機化合物層を有する第1の発光素子と、
第2の有機化合物層を有する第2の発光素子と、
第3の有機化合物層を有する第3の発光素子とが配置されており、
前記陽極の端部を覆う絶縁物を有し、該絶縁物及び前記陽極上に前記第1の有機化合物層、前記第2の有機化合物層、または前記第3の有機化合物層が設けられていることを特徴とする発光装置である。
本明細書で開示する発明の構成2は、
陰極と、該陰極に接する有機化合物層と、該有機化合物層に接する陽極とを有する発光素子を複数有する発光装置であって、
第1の有機化合物層を有する第1の発光素子と、
第2の有機化合物層を有する第2の発光素子と、
第3の有機化合物層を有する第3の発光素子とが配置されており、
前記陰極の端部を覆う絶縁物を有し、該絶縁物及び前記陰極上に前記第1の有機化合物層、前記第2の有機化合物層、または前記第3の有機化合物層が設けられていることを特徴とする発光装置である。
また、アクティブマトリクス型発光装置は、光の放射方向で2通りの構造が考えられる。一つは、EL素子から発した光が対向基板を透過して放射されて観測者の目に入る構造である。この場合、観測者は対向基板側から画像を認識することができる。もう一つは、EL素子から発した光が素子基板を透過して放射されて観測者の目に入る構造である。この場合、観測者は素子基板側から画像を認識することができる。
また、上記各構成において、前記絶縁物は、無機絶縁膜、或いは、無機絶縁膜で覆われた有機樹脂からなる障壁(バンクとも呼ばれる)であることを特徴としている。なお、前記無機絶縁膜は膜厚10〜100nmの窒化珪素を主成分とする絶縁膜であることを特徴としている。また、陰極または陽極の端部を覆う絶縁物として、水素を含む膜、代表的には炭素を主成分とする薄膜、または窒化珪素膜を用いてもよい。
加えて、陽極として、透明導電膜(代表的にはITO、ZnO)を用い、その上に無機絶縁膜からなる保護膜を形成することは極めて有用である。
さらに、無機絶縁膜からなる保護膜を形成する前に、プラズマCVD法またはスパッタ法で水素を含む膜(代表的には炭素を主成分とする薄膜(DLC膜)、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜、酸化珪素膜、またはこれらの積層膜)を形成することが好ましい。また、前記水素を含む膜を覆って、保護膜となる窒化珪素膜を形成することが好ましい。
また、上記各構成において、前記第1の発光素子は、赤色、緑色、または青色のうち、いずれか一色を発光することを特徴としている。また、前記第1の発光素子、前記第2の発光素子、及び前記第3の発光素子は、互いに異なる色を発光することを特徴としている。
また、上記各構成において、封止において、封止基板、例えばガラス基板またはプラスチック基板を用いて発光素子全体を密閉することが好ましい。
また、発光装置において、発光していない画素では入射した外光(発光装置の外部の光)が陰極の裏面(発光層に接する側の面)で反射され、陰極の裏面が鏡のように作用して外部の景色が観測面(観測者側に向かう面)に映るといった問題があった。また、この問題を回避するために、発光装置の観測面に円偏光フィルムを貼り付け、観測面に外部の景色が映らないようにする工夫がなされているが、円偏光フィルムが非常に高価であるため、製造コストの増加を招くという問題があった。
本発明は、円偏光フィルムを用いずに発光装置の鏡面化を防ぐことを目的とし、それにより発光装置の製造コストを低減して安価な発光装置を提供することも課題としている。そこで、本発明では、円偏光フィルムに代えて安価なカラーフィルタを用いることを特徴としている。上記構成において、色純度を向上させるため、前記発光装置には各画素に対応するカラーフィルタを備えることが好ましい。また、カラーフィルタの黒色の部分(黒色の有機樹脂)が各発光領域の間と重なるようにすればよい。さらに、カラーフィルタの黒色の部分(黒の着色層)が、異なる有機化合物層が一部重なる部分と重なるようにしてもよい。
ただし、発光の出射方向、即ち、前記発光素子と観察者の間にカラーフィルタを設ける。例えば、発光素子が設けられている基板を通過させない場合においては、封止基板にカラーフィルタを貼り付ければよい。或いは、発光素子が設けられている基板を通過させる場合においては、発光素子が設けられている基板にカラーフィルタを貼り付ければよい。こうすることによって、円偏光フィルムを必要としなくなる。
また、EL素子の実用化における最大の問題は、素子の寿命が不十分な点である。また、素子の劣化は、長時間発光させると共に非発光領域(ダークスポット)が広がるという形で現れるが、その原因としてEL層の劣化が大きな課題となっている。
この課題を解決するため、本発明は、水素を含む雰囲気でプラズマを発生させ、有機化合物層における欠陥を水素で終端させることを特徴とする。本発明の他の構成3は、
絶縁表面を有する基板上に発光素子を有し、該発光素子は、陽極、陰極、並びに前記陽極と前記陰極との間に挟まれた有機化合物層とを有し、
前記発光素子は、水素を含む膜で覆われていることを特徴とする発光装置である。
有機化合物層が耐えうる温度範囲で加熱処理を行ったり、発光素子を発光させた際に生じる発熱を利用することによって、上記水素を含む膜から水素を拡散させて、有機化合物層における欠陥を水素で終端(ターミネーション)させることができる。有機化合物層における欠陥、代表的には不対結合手を水素で終端させると発光装置としての信頼性が向上する。また、上記水素を含む膜の成膜の際、プラズマ化された水素を拡散または注入させることによって有機化合物層における欠陥を水素で終端させてもよい。こうすることによって有機化合物層中に存在、または何らかの原因(発光の際に生じる発熱、光の照射、温度変化など)で生じる不安定な結合手を低減することができる。従って、発光素子としての信頼性と輝度の向上が可能となる。また、水素を含む膜を覆って形成する保護膜は、保護膜側に拡散する水素をブロックして効率よく、水素を有機化合物層に拡散させて、有機化合物層における欠陥を水素で終端させる役目も果たす。また、有機化合物層上に形成した陰極、或いは陽極を通過させて水素を拡散させるため、陰極、或いは陽極の膜厚を薄くすることが好ましい。ただし、有機化合物層上に形成する陰極、或いは陽極は、水素を含む膜の成膜の際、有機化合物層にダメージを与えないように保護している。また、上記水素を含む膜は、発光素子の保護膜としても機能させることができる。
さらに、上記水素を含む膜をバッファ層として機能させることもでき、スパッタ法により透明導電膜からなる膜に接して窒化珪素膜を形成する場合、透明導電膜に含まれる不純物(In、Sn、Zn等)が窒化珪素膜に混入する恐れがあるが、バッファ層となる上記水素を含む膜を間に形成することによって窒化珪素膜への不純物混入を防止することもできる。上記構成によりバッファ層を形成することで、透明導電膜からの不純物(In、Snなど)の混入を防止し、不純物のない優れた保護膜を形成することができる。
また、上記構成を実現する作製方法も本発明の一つであり、本発明の作製方法に関する構成は、
絶縁表面上にTFTを形成し、前記TFTと電気的に接続された陰極を形成し、前記陰極上に有機化合物層を形成し、前記前記有機化合物層上に陽極を形成した後、前記陽極上に水素を含む膜を形成することを特徴とする発光装置の作製方法である。
また、本発明の作製方法に関する他の構成は、
絶縁表面上にTFTを形成し、前記TFTと電気的に接続された陽極を形成し、前記陽極上に有機化合物層を形成し、前記前記有機化合物層上に陰極を形成した後、前記陰極上に水素を含む膜を形成することを特徴とする発光装置の作製方法である。
また、本発明の作製方法に関する上記各構成において、前記水素を含む膜は、前記有機化合物層の耐えうる温度範囲、例えば室温〜100℃以下でプラズマCVD法、またはスパッタ法により形成することを特徴とし、前記水素を含む膜は、炭素を主成分とする薄膜、または窒化珪素膜であることを特徴としている。
また、本発明の作製方法に関する上記各構成において、前記有機化合物層を形成する工程は蒸着法、塗布法、イオンプレーティング法もしくはインクジェット法により行われることを特徴としている。
また、本発明の作製方法に関する上記各構成において、前記水素を含む膜上に無機絶縁膜からなる保護膜を形成することを特徴としている。
また、本発明の作製方法に関する上記各構成において、前記水素を含む膜を形成する際、前記有機化合物層における欠陥を水素で終端させることを特徴としている。
また、水分や酸素による劣化を防ぐため、封止缶や封止基板で発光素子を封止する際、密閉される空間に水素ガスを充填、或いは水素及び不活性気体(希ガスまたは窒素)を充填させてもよい。
また、上記作製方法では、成膜を行う際に水素で前記有機化合物層における欠陥を終端させることとしたが、特に限定されず、成膜を行わなくとも水素プラズマ処理のみを行ってもよい。
本発明の作製方法に関する他の構成は、
陽極と、該陽極上に接する有機化合物層と、該有機化合物層上に接する陰極とを有する発光素子を複数有する発光装置の作製方法において、
陽極上に有機化合物層を形成する第1工程と、
前記有機化合物層を形成した後に水素を含む雰囲気でプラズマを発生させて前記有機化合物層における欠陥を水素で終端させる処理を行う第2工程と、
前記有機化合物層上に陰極を形成する第3工程とを有することを特徴とする発光装置の作製方法である。
また、有機化合物層を形成した直後に水素プラズマ処理を行ってもよく、本発明の作製方法に関する他の構成は、
陽極と、該陽極上に接する有機化合物層と、該有機化合物層上に接する陰極とを有する発光素子を複数有する発光装置の作製方法において、
陽極上に有機化合物層を形成する第1工程と、
前記有機化合物層上に陰極を形成する第2工程と、
前記陰極を形成した後に水素を含む雰囲気でプラズマを発生させて前記有機化合物層における欠陥を水素で終端させる処理を行う第3工程と、を有することを特徴とする発光装置の作製方法である。
また、本発明の作製方法に関する他の構成は、
陰極と、該陰極上に接する有機化合物層と、該有機化合物層上に接する陽極とを有する発光素子を複数有する発光装置の作製方法において、
陰極上に有機化合物層を形成する第1工程と、
前記有機化合物層上に陽極を形成する第2工程と、
前記陽極を形成した後に水素を含む雰囲気でプラズマを発生させて前記有機化合物層における欠陥を水素で終端させる処理を行う第3工程と、を有することを特徴とする発光装置の作製方法である。
また、有機化合物層を形成した直後に水素プラズマ処理を行ってもよく、本発明の作製方法に関する他の構成は、
陰極と、該陰極上に接する有機化合物層と、該有機化合物層上に接する陽極とを有する発光素子を複数有する発光装置の作製方法において、
陰極上に有機化合物層を形成する第1工程と、
前記有機化合物層を形成した後に水素を含む雰囲気でプラズマを発生させて前記有機化合物層における欠陥を水素で終端させる処理を行う第2工程と、
前記有機化合物層上に陽極を形成する第3工程とを有することを特徴とする発光装置の作製方法である。
なお、本明細書において、陰極と陽極との間に設けられる全ての層を総称してEL層という。したがって、上述した正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層及び電子注入層は、全てEL層に含まれる。
本発明において、前記炭素を主成分とする薄膜は膜厚3〜50nmのDLC膜
(Diamond like Carbon)であることを特徴としている。DLC膜は短距離秩序的には炭素間の結合として、SP3結合をもっているが、マクロ的にはアモルファス状の構造となっている。DLC膜の組成は炭素が70〜95原子%、水素が5〜30原子%であり、非常に硬く絶縁性に優れている。このようなDLC膜は、また、水蒸気や酸素などのガス透過率が低いという特徴がある。また、微少硬度計による測定で、15〜25GPaの硬度を有することが知られている。
DLC膜はプラズマCVD法(代表的には、RFプラズマCVD法、マイクロ波CVD法、電子サイクロトロン共鳴(ECR)CVD法など)、スパッタ法などで形成することができる。いずれの成膜方法を用いても、密着性良くDLC膜を形成することができる。DLC膜は基板をカソードに設置して成膜する。または、負のバイアスを印加して、イオン衝撃をある程度利用して緻密で硬質な膜を形成できる。
成膜に用いる反応ガスは、水素ガスと、炭化水素系のガス(例えばCH4、C22、C66など)とを用い、グロー放電によりイオン化し、負の自己バイアスがかかったカソードにイオンを加速衝突させて成膜する。こうすることにより、緻密で平滑なDLC膜を得ることができる。
また、このDLC膜は、可視光に対して透明もしくは半透明な絶縁膜からなることを特徴としている。
また、本明細書において、可視光に対して透明とは可視光の透過率が80〜100%であることを指し、可視光に対して半透明とは可視光の透過率が50〜80%であることを指す。
また、本発明は、高信頼性を有する発光装置を作製することが可能な製造装置を提供する。
本発明の他の構成は、製造装置に関するものであり、
ロード室、該ロード室に連結された第1の搬送室、及び該第1の搬送室に連結された前処理室と、
前記第1の搬送室に連結された第2の搬送室、及び該第2の搬送室に連結された複数の有機化合物層の成膜室と、
前記第2の搬送室に連結された第3の搬送室、及び該第3の搬送室に連結された金属層の成膜室、透明導電膜の成膜室、水素を含む雰囲気でプラズマを発生させる手段を備えた処理室、及び保護膜の成膜室と、
前記第3の搬送室に連結された第4の搬送室、及び該第4の搬送室に連結されたディスペンサ室、封止基板ロード室、および封止室とを有することを特徴とする製造装置である。
上記製造装置に関する構成において、前記前処理室には、真空排気手段と、加熱手段と、プラズマ発生手段とを有していることを特徴としている。
また、上記製造装置に関する構成において、前記第1の搬送室には高分子材料からなる有機化合物層を成膜する装置が連結されていることを特徴としており、前記高分子材料からなる有機化合物層を成膜する装置は、スピンコート法、スプレー法、イオンプレーティング法、もしくはインクジェット法により成膜が行われる装置である。
また、上記製造装置に関する構成において、前記水素を含む雰囲気でプラズマを発生させる手段を備えた処理室は、窒化珪素膜または炭素を主成分とする膜の成膜装置であることを特徴としている。
また、上記製造装置に関する構成において、前記第2の搬送室に連結された複数の有機化合物層の成膜室は、蒸着源を有することを特徴としている。
上記構成に示す製造装置を用いて、EL素子を水素を含む膜や保護膜で覆った発光装置をスループットよく製造することができる。
本発明により、有機化合物層における欠陥を水素で終端させることができるため、発光装置としての信頼性及び輝度が向上する。
また、本発明により、非常に高価な円偏光フィルムを不必要とすることができるため、製造コストの削減をすることができる。
また、本発明により、有機化合物層の成膜方法や成膜精度によらず、赤、緑、青の発光色を用いるフルカラーのフラットパネルディスプレイとして、高精細化や高開口率化や高信頼性を実現することができる。
本発明の実施形態について、以下に説明する。
(実施の形態1)
図2は、ELモジュールの上面図である。無数のTFTが設けられた基板(TFT基板とも呼ぶ)には、表示が行われる画素部40と、画素部の各画素を駆動させる駆動回路41a、41bと、EL層上に設けられる電極と引き出し配線とを接続する接続部43と、外部回路と接続するためにFPCを貼り付ける端子部42とが設けられている。また、EL素子を封止するための基板と、シール材33とによって密閉する。また、図1(A)は、図2中における鎖線A−A’で切断した場合の断面図である。
鎖線A−A’の方向には規則的に画素が配置されており、ここではX方向にR、G、Bの順で配置されている例を示す。本発明においては、図1(A)に示したように、赤色を発光するEL層17と、緑を発光するEL層18とを一部重ね、積層部21を形成している。また、緑を発光するEL層18とを、青色を発光するEL層19とを一部重ね、積層部22を形成している。
このようにEL層を一部重ねても構わない構成とするため、有機化合物層の成膜方法(インクジェット法や、蒸着法や、スピンコーティング法など)やそれらの成膜精度によらず、赤、緑、青の発光色を用いるフルカラーのフラットパネルディスプレイとして、高精細化や高開口率化を実現することができる。
また、図1(A)中、発光領域(R)は赤色の発光領域を示しており、発光領域(G)は緑色の発光領域を示しており、発光領域(B)は青色の発光領域を示しており、これらの3色の発光領域によりフルカラー化された発光表示装置を実現している。
また、図1(A)中、TFT1は、赤色を発光するEL層17に流れる電流を制御する素子であり、4、7はソース電極またはドレイン電極である。また、TFT2は、緑色を発光するEL層18に流れる電流を制御する素子であり、5、8はソース電極またはドレイン電極である。TFT3は、青色を発光するEL層19に流れる電流を制御する素子であり、6、9はソース電極またはドレイン電極である。15、16は有機絶縁材料または無機絶縁膜材料からなる層間絶縁膜である。
また、11〜13は、EL素子の陽極(或いは陰極)であり、20は、EL素子の陰極(或いは陽極)である。ここでは、陰極20として10nm以下の膜厚が薄い金属層(代表的にはMgAg、MgIn、AlLiなどの合金)と透明導電膜(ITO(酸化インジウム酸化スズ合金)、酸化インジウム酸化亜鉛合金(In23―ZnO)、酸化亜鉛(ZnO)等)との積層膜からなる電極とし、各発光素子からの光を通過させている。なお、発光素子の陰極として機能するのは薄い金属層であるが、本明細書では薄い金属層上に積層した透明導電膜も含めて陰極と呼ぶ。
また、11〜13の両端部およびそれらの間は無機絶縁物14で覆われている。また、無機絶縁物14上の一部にまで有機化合物層が形成されている。無機絶縁物14の膜厚は1μm以下であり、無機絶縁物14上に形成する膜のカバレッジを良好なものとすることができるとともに、無機絶縁物14上に形成する膜を薄膜化することができる。
なお、図1(C)は、図2中に示した鎖線C−C’で切断した場合の断面図である。また、図1(C)中、点線で示した電極同士は電気的に接続していることを示している。また、端子部において、端子の電極を陰極20と同じ材料で形成している。
また、約10μmの間隔が保たれるようにシール材33によって封止基板30が貼りつけられており、全ての発光素子は密閉されている。なお、シール材33は、駆動回路の一部と重なるようにして狭額縁化させることが好ましい。シール材33によって封止基板30を貼りつける直前には真空でアニールを行って脱気を行うことが好ましい。また、封止基板30を貼りつける際には、水素および不活性気体(希ガスまたは窒素)を含む雰囲気下で行って、保護膜32と、シール材33と、封止基板30によって密閉された空間には水素を含ませることが好ましい。発光素子を発光させた際に生じる発熱を利用することによって、上記水素を含む空間から水素を拡散させて、有機化合物層における欠陥を水素で終端させることができる。有機化合物層における欠陥を水素で終端させると発光装置としての信頼性が向上する。
さらに、色純度を高めるため、封止基板30には各画素に対応するカラーフィルタが設けられている。カラーフィルタのうち、赤色の着色層31bは赤色の発光領域(R)に対向して設けられ、緑色の着色層31cは緑色の発光領域(G)に対向して設けられ、青色の着色層31dは青色の発光領域(B)に対向して設けられる。また、発光領域以外の領域は、カラーフィルタの黒色部分、即ち遮光部31aによって遮光されている。なお、遮光部31aは、金属膜(クロム等)または黒色顔料を含有した有機膜で構成されている。
本発明においては、カラーフィルタを設けることによって円偏光板を不必要としている。
また、図1(B)は、図2中に示した鎖線B−B’で切断した場合の断面図である。図1(B)においても11a〜11cの両端部およびそれらの間は無機絶縁物14で覆われている。ここでは赤色を発光するEL層17が共通となっている例を示したが、特に限定されず、同じ色を発光する画素毎にEL層を形成してもよい。
また、図1において、発光装置の信頼性を高めるために保護膜32bを形成している。この保護膜32bはスパッタ法により得られる窒化珪素または窒化酸化珪素を主成分とする絶縁膜である。また、図1においては、保護膜32bに発光を通過させるため、保護膜32bの膜厚は、可能な限り薄くすることが好ましい。
さらに、発光装置の信頼性を高めるために保護膜32bを形成する前に水素を含む保護膜32aを形成する。保護膜32bを形成する前に水素を含む保護膜32aを形成することによって、有機化合物層17〜19の欠陥を終端させる。前記水素を含む膜32aは、炭素を主成分とする薄膜、または窒化珪素膜とすればよい。この水素を含む膜32aを形成する方法としては、前記有機化合物層の耐えうる温度範囲、例えば室温〜100℃以下でプラズマCVD法、またはスパッタ法により形成する。なお、図1では、水素を含む膜32aは、保護膜の下層と見なしている。また、上記水素を含む膜32aは、保護膜32bの膜応力を緩和させるバッファ層とすることもできる。
また、本発明は、図1(C)に示した構成に限定されないことは言うまでもない。図1(C)と構成が一部異なる例を図10(A)〜(D)に示す。なお、簡略化のため、図10(A)〜(D)において、図1と同一である部分は、同一の符号を用いる。
図1(C)では、端子部に陰極と同一材料(透明電極)からなる電極が設けられた例であったが、図10(A)は、TFTのゲート電極と同一材料からなる電極(上層がW膜、下層がTaN膜)でFPCと接続する例である。
また、図10(B)は、画素電極(陽極)と同一材料からなる電極10でFPCと接続する例である。なお、この電極10は、TFTのゲート電極と同一材料からなる電極(上層がW膜、下層がTaN膜)上に接して設けられている。
また、図10(C)は、TFTの引き出し配線(TiN膜、Al膜、TiN膜の順で積層された配線)上に設けられた画素電極(陽極)と同一材料からなる電極10上に形成された陰極20と同一材料(透明電極)からなる電極でFPCと接続する例である。
また、図10(D)は、TFTの引き出し配線(TiN膜、Al膜、TiN膜の順で積層された配線)上に形成された陰極20と同一材料(透明電極)からなる電極でFPCと接続する例である。
また、図1と構成が一部異なる例を図8に示す。なお、簡略化のため、図8において、図1と同一である部分は、同一の符号を用いる。
図8(A)に示すように、無機絶縁膜14で覆われた有機樹脂からなる絶縁物24(バンク、土手、または障壁とも呼ばれる)を発光領域10Rと発光領域10Gとの間、および、発光領域10Gと発光領域10Bとの間に設けた例である。このような絶縁物24を形成すると、パターニング精度にもよるが、必然的に発光領域10Gと発光領域10Bとの間を狭くすることが困難になる。多くの場合、この土手を各画素毎の周りに設けていたが、図8においては、画素一列毎に土手を設ける構成とする。
また、図8と構成が一部異なる例を図9に示す。なお、簡略化のため、図9において、図8及び図1と同一である部分は、同一の符号を用いる。図9(A)では、図8(A)よりも積層部の領域が大きい例を示し、図9(B)では、積層部を有しておらず、有機化合物層の端部が絶縁物24上に配置された例を示す。このように、有機化合物層の端部の位置は、絶縁物24上であれば特に限定されない。
図1では、有機樹脂からなる絶縁物24を設けないため、図8に比べ、各発光領域間の間隔を狭くすることができ、高精細な発光装置を実現することができる。
(実施の形態2)
ここでは、水素を含む膜および保護膜について、図3および図4を用いて説明する。
有機ELの発光機構は、外部から電子とホール(正孔)を注入し、それらの再結合エネルギーによって発光中心を励起することによる。有機ELの構造は、3層構造が典型的なものであるが、ここでは2層構造(電子輸送層、ホール輸送層)を用いて説明する。図3(A)に陰極と陽極とで2層構造の有機化合物層を挟んだEL素子のエネルギーバンド図を簡略に示す。
図3(A)は理想的なエネルギーバンド図を示している。なお、ここでは、陽極としてITOを用い、陰極にMgAgを用いた例で以下に発光メカニズムを説明する。
上記2層構造を有するEL素子に対して、外部から直流電圧を印加すると、陽極であるITO電極からホールが注入されて有機化合物層との界面まで輸送され有機化合物層へ注入される。一方、MgAg電極からは電子が注入され有機化合物層内を輸送され界面付近まで到達し発光分子上でホールと再結合することになる。その結果、発光分子の励起状態が生成し、その分子の蛍光スペクトルに類似した発光が生じる。
しかしながら、実際には図3(B)に示すエネルギーバンド図となっていると予想される。
有機化合物層には無数の欠陥が存在していると考えられ、図3(B)に示すように、この欠陥による準位が形成される。この欠陥に電子がトラップされた場合には、発光効率が低下することになる。トラップされた場合、さまざまな経路で失活し、例えば、熱失活または赤外光の発光となってしまう。欠陥の原因は、不対結合手または不安定な結合手が存在しているためと考えられる。例えば、有機化合物層を構成する材料には炭素原子が含まれており、炭素原子の不対結合手がまた、EL素子を発光させつづけた場合、発光による熱によって、不安定な結合が分断され、不対結合手が生じたり、化学反応が生じることによって欠陥が増加して経時劣化が生じると思われる。
そこで本発明者らは、この欠陥を水素(水素ラジカル)で中和させてバンド間遷移をより効率よく起こして輝度を向上させ、さらに劣化を防止することを見出した。水素で中和させる手段としては、EL素子を覆って水素を含む膜を形成する際に有機化合物層へ水素を注入する方法、或いは、水素雰囲気でプラズマを発生させる方法、或いはイオンドーピングまたはイオン注入によって添加する方法などが挙げられる。
また、EL素子を発光させることによって、有機化合物層中の不安定な結合が分断され、不対結合手が生じた場合、有機化合物層の近くに水素を含む膜を配置させていれば、生じた不対結合手を水素で終端させ、劣化を抑えることができる。なお、水素は拡散しやすい元素であり、比較的低温でも拡散する。
以下に、EL素子を覆って水素を含む膜を形成する代表的な例を図4に示す。
図4(A)は、EL素子の積層構造の一例を示した模式図である。図4(A)中、200は陽極(或いは陰極)、201はEL層、202は陰極(或いは陽極)、203は水素を含むDLC膜、204は保護膜である。また、図中における矢印方向に発光させる場合(陽極202に発光を通過させる場合)、202として、透光性を有する導電性材料または非常に薄い金属膜(MgAg、MgIn、AlLi、CaNなどの合金、または周期表の1族もしくは2族に属する元素とアルミニウムとを共蒸着法により形成した膜)、あるいはそれらの積層を用いることが好ましい。
保護膜204は、スパッタ法(DC方式やRF方式)により得られる窒化珪素または窒化酸化珪素を主成分とする絶縁膜を用いればよい。シリコンターゲットを用い、窒素とアルゴンを含む雰囲気で形成すれば、窒化珪素膜が得られる。また、窒化シリコンターゲットを用いてもよい。また、保護膜204は、リモートプラズマを用いた成膜装置を用いて形成してもよい。また、保護膜に発光した光を通過させる場合、保護膜の膜厚は、可能な限り薄くすることが好ましい。
また、水素を含むDLC膜203は、炭素が70〜95原子%、水素が5〜30原子%であり、非常に硬く絶縁性に優れている。水素を含むDLC膜はプラズマCVD法(代表的には、RFプラズマCVD法、マイクロ波CVD法、電子サイクロトロン共鳴(ECR)CVD法など)、スパッタ法などで形成することができる。
この水素を含むDLC膜203を形成する方法としては、前記有機化合物層の耐えうる温度範囲、例えば室温〜100℃以下で形成する。
プラズマを発生させる場合の成膜に用いる反応ガスは、水素ガスと、炭化水素系のガス(例えばCH4、C22、C66など)とを用いればよい。
有機化合物層が耐えうる温度範囲で加熱処理を行ったり、発光素子を発光させた際に生じる発熱を利用することによって、上記水素を含むDLC膜から水素を拡散させて、有機化合物層における欠陥を水素で終端(ターミネーション)させることができる。有機化合物層における欠陥を水素で終端させると発光装置としての信頼性および輝度が向上する。また、上記水素を含むDLC膜の成膜の際、プラズマ化された水素によって有機化合物層における欠陥を水素で終端させることもできる。また、水素を含むDLC膜を覆って形成する保護膜は、保護膜側に拡散する水素をブロックして効率よく、水素を有機化合物層に拡散させて、有機化合物層における欠陥を水素で終端させる役目も果たす。なお、上記水素を含むDLC膜は、発光素子の保護膜としても機能させることができる。
さらに、上記水素を含むDLC膜をバッファ層として機能させることもでき、スパッタ法により透明導電膜からなる膜に接して窒化珪素膜を形成する場合、透明導電膜に含まれる不純物(In、Sn、Zn等)が窒化珪素膜に混入する恐れがあるが、バッファ層となる上記水素を含むDLC膜を間に形成することによって窒化珪素膜への不純物混入を防止することもできる。上記構成によりバッファ層を形成することで、透明導電膜からの不純物(In、Snなど)の混入を防止し、不純物のない優れた保護膜を形成することができる。
このような構成とすることで、発光素子を保護するとともに、信頼性及び輝度を向上させることができる。
また、図4(B)は、EL素子の積層構造の他の一例を示した模式図である。図4(B)中、300は陽極(或いは陰極)、301はEL層、302は陰極(或いは陽極)、303は水素を含む窒化珪素膜、304は保護膜である。また、図中における矢印方向に発光させる場合(陽極302に発光を通過させる場合)、302として、透光性を有する導電性材料または非常に薄い金属膜(MgAg)、あるいはそれらの積層を用いることが好ましい。
保護膜304は、スパッタ法(DC方式やRF方式)により得られる窒化珪素または窒化酸化珪素を主成分とする絶縁膜を用いればよい。シリコンターゲットを用い、窒素とアルゴンを含む雰囲気で形成すれば、窒化珪素膜が得られる。また、窒化シリコンターゲットを用いてもよい。また、保護膜304は、リモートプラズマを用いた成膜装置を用いて形成してもよい。また、保護膜に発光した光を通過させる場合、保護膜の膜厚は、可能な限り薄くすることが好ましい。
また、水素を含む窒化珪素膜303は、プラズマCVD法(代表的には、RFプラズマCVD法、マイクロ波CVD法、電子サイクロトロン共鳴(ECR)CVD法など)、スパッタ法などで形成することができる。
この水素を含む窒化珪素膜303を形成する方法としては、前記有機化合物層の耐えうる温度範囲、例えば室温〜100℃以下で形成する。
水素を含む窒化珪素膜303を形成する方法として、プラズマCVD法を用いる場合、反応ガスは、窒素を含むガス(N2、NH3NOxで表記される窒素酸化物系ガスなど)と、珪化水素系のガス(例えばシラン(SiH4)やジシランやトリシランなど)とを用いればよい。
水素を含む窒化珪素膜303を形成する方法として、スパッタ法を用いる場合、シリコンターゲットを用い、水素と窒素とアルゴンとを含む雰囲気で形成すれば、水素を含む窒化珪素膜が得られる。また、窒化シリコンターゲットを用いてもよい。
有機化合物層が耐えうる温度範囲で加熱処理を行ったり、発光素子を発光させた際に生じる発熱を利用することによって、上記水素を含む窒化珪素膜から水素を拡散させて、有機化合物層における欠陥を水素で終端(ターミネーション)させることができる。有機化合物層における欠陥を水素で終端させると発光装置としての信頼性および輝度が向上する。また、上記水素を含む窒化珪素膜の成膜の際、プラズマ化された水素によって有機化合物層における欠陥を水素で終端させることもできる。また、水素を含む窒化珪素膜を覆って形成する保護膜は、保護膜側に拡散する水素をブロックして効率よく、水素を有機化合物層に拡散させて、有機化合物層における欠陥を水素で終端させる役目も果たす。なお、上記水素を含む窒化珪素膜は、発光素子の保護膜としても機能させることができる。
さらに、上記水素を含む窒化珪素膜をバッファ層として機能させることもでき、スパッタ法により透明導電膜からなる膜に接して窒化珪素膜を形成する場合、透明導電膜に含まれる不純物(In、Sn、Zn等)が窒化珪素膜に混入する恐れがあるが、バッファ層となる上記水素を含む窒化珪素膜を間に形成することによって窒化珪素膜への不純物混入を防止することもできる。上記構成によりバッファ層を形成することで、透明導電膜からの不純物(In、Snなど)の混入を防止し、不純物のない優れた保護膜を形成することができる。
このような構成とすることで、発光素子を保護するとともに、信頼性および輝度を向上させることができる。
また、図4(C)は、EL素子の積層構造の他の一例を示した模式図である。図4(C)中、400は陽極(或いは陰極)、401はEL層、402は陰極(或いは陽極)、403は水素を含む膜、404は保護膜である。また、図中における矢印方向に発光させる場合(陰極402に発光を通過させる場合)、402として、透光性を有する導電性材料を用いることが好ましい。
保護膜404は、スパッタ法(DC方式やRF方式)により得られる窒化珪素または窒化酸化珪素を主成分とする絶縁膜を用いればよい。シリコンターゲットを用い、窒素とアルゴンを含む雰囲気で形成すれば、窒化珪素膜が得られる。また、窒化シリコンターゲットを用いてもよい。また、保護膜404は、リモートプラズマを用いた成膜装置を用いて形成してもよい。また、保護膜に発光を通過させる場合、保護膜の膜厚は、可能な限り薄くすることが好ましい。
また、水素を含む膜403は、水素を含む反応ガスを用い、プラズマCVD法(代表的には、RFプラズマCVD法、マイクロ波CVD法、電子サイクロトロン共鳴(ECR)CVD法など)、スパッタ法などで形成することができる。
水素を含む膜403としては、DLC膜、窒化珪素膜、酸窒化珪素膜、酸化珪素膜、またはこれらの積層膜とする。
この水素を含む膜403を形成する方法としては、前記有機化合物層の耐えうる温度範囲、例えば室温〜100℃以下で形成する。
有機化合物層が耐えうる温度範囲で加熱処理を行ったり、発光素子を発光させた際に生じる発熱を利用することによって、上記水素を含む窒化珪素膜から水素を拡散させて、有機化合物層における欠陥を水素で終端(ターミネーション)させることができる。有機化合物層における欠陥を水素で終端させると発光装置としての信頼性および輝度が向上する。また、上記水素を含む窒化珪素膜の成膜の際、プラズマ化された水素によって有機化合物層における欠陥を水素で終端させることもできる。また、水素を含む窒化珪素膜を覆って形成する保護膜は、保護膜側に拡散する水素をブロックして効率よく、水素を有機化合物層に拡散させて、有機化合物層における欠陥を水素で終端させる役目も果たす。
さらに、上記水素を含む膜403を保護膜404のバッファ層として機能させることもでき、スパッタ法により透明導電膜からなる膜に接して窒化珪素膜からなる保護膜を形成する場合、透明導電膜に含まれる不純物(In、Sn、Zn等)が保護膜に混入する恐れがあるが、バッファ層となる上記水素を含む窒化珪素膜を間に形成することによって窒化珪素膜への不純物混入を防止することもできる。上記構成によりバッファ層を形成することで、透明導電膜からの不純物(In、Snなど)の混入を防止し、不純物のない優れた保護膜を形成することができる。
このような構成とすることで、発光素子を保護するとともに、信頼性および輝度を向上させることができる。
また、図4(A)〜図4(C)では水素を含む膜として単層とした例を示したが、水素を含む窒化珪素膜と水素を含むDLC膜との積層、もしくはこれらの3層以上の積層としてもよい。
また、本実施の形態は、アクティブマトリクス型表示装置だけでなく、パッシブ型表示装置に適用することもできる。
また、本実施の形態は、実施の形態1と自由に組み合わせることができる。
(実施の形態3)
ここでは、図1と構成が一部異なる例を図5に示す。なお、簡略化のため、図5において、図1と同一である部分は、同一の符号を用いる。図5(A)では、窒化珪素を主成分とする膜35で封止基板30を覆って、カラーフィルタ31a〜31dからの不純物の拡散を防止する構造とした例である。また、図5(B)は、図1(C)に対応する図であるが、シール材33の密着性を向上させるため、カラーフィルタ31a〜31dと同じ材料で凸部24を形成している。
また、本実施の形態は、実施の形態1または実施の形態2と自由に組み合わせることができる。
(実施の形態4)
ここでは、図4(A)の積層構造や、図4(B)の積層構造や、図4(C)の積層構造を作り分けることの可能な製造装置(マルチチャンバー方式)の一例を図6に示す。
図6において、100a〜100k、100m〜100vはゲート、101、119は受渡室、102、104a、107、108、111、114は搬送室、105、106R、106B、106G、106H、109、110、112、113は成膜室、103は前処理室、117a、117bは封止基板ロード室、115はディスペンサ室、116は封止室、118は紫外線照射室、120は基板反転室である。
以下、予めTFTが設けられた基板を図6に示す製造装置に搬入し、図4(A)に示す積層構造を形成する手順を示す。
まず、受渡室101にTFT及び陽極200が設けられた基板をセットする。次いで受渡室101に連結された搬送室102に搬送する。予め、搬送室内には極力水分や酸素が存在しないよう、真空排気した後、不活性ガスを導入して大気圧にしておくことが好ましい。
また、搬送室102には、搬送室内を真空にする真空排気処理室と連結されている。真空排気処理室としては、磁気浮上型のターボ分子ポンプ、クライオポンプ、またはドライポンプが備えられている。これにより搬送室の到達真空度を10-5〜10-6Paにすることが可能であり、さらにポンプ側および排気系からの不純物の逆拡散を制御することができる。装置内部に不純物が導入されるのを防ぐため、導入するガスとしては、窒素や希ガス等の不活性ガスを用いる。装置内部に導入されるこれらのガスは、装置内に導入される前にガス精製機により高純度化されたものを用いる。従って、ガスが高純度化された後に成膜装置に導入されるようにガス精製機を備えておく必要がある。これにより、ガス中に含まれる酸素や水、その他の不純物を予め除去することができるため、装置内部にこれら
の不純物が導入されるのを防ぐことができる。
また、基板に含まれる水分やその他のガスを除去するために、脱気のためのアニールを真空中で行うことが好ましく、搬送室102に連結された前処理室103に搬送し、そこでアニールを行えばよい。さらに、陽極の表面をクリーニングする必要があれば、搬送室102に連結された前処理室103に搬送し、そこでクリーニングを行えばよい。
また、必要があれば、陽極上に高分子からなる有機化合物層を全面に形成してもよい。図6の製造装置には、高分子からなる有機化合物層を形成するための成膜室105が設けられている。スピンコート法やインクジェット法やスプレー法で形成する場合には、大気圧下で基板の被成膜面を上向きにしてセットする。成膜室105と搬送室102との間に設けられた基板反転室120で基板を適宜反転させる。また、溶液を用いた成膜を行った後は、前処理室103に搬送し、そこで真空中での加熱処理を行って溶媒(水分など)を気化させることが好ましい。
次いで、大気にふれさせることなく、搬送室102から搬送室104に基板104cを搬送した後、搬送機構104bによって、成膜室106Rに搬送し、陽極200上に赤色発光するEL層を適宜形成する。ここでは蒸着によって形成する例を示す。成膜室106Rには、基板反転室120で基板の被成膜面を下向きにしてセットする。なお、基板を搬入する前に成膜室内は真空排気しておくことが好ましい。
例えば、真空度が5×10-3Torr(0.665Pa)以下、好ましくは10-4〜10-6Paまで真空排気された成膜室106Rで蒸着を行う。蒸着の際、予め、抵抗加熱により有機化合物は気化されており、蒸着時にシャッター(図示しない)が開くことにより基板の方向へ飛散する。気化された有機化合物は、上方に飛散し、メタルマスク(図示しない)に設けられた開口部(図示しない)を通って基板に蒸着される。なお、蒸着の際、基板を加熱する手段により基板の温度(T1)は、50〜200℃、好ましくは65〜150℃とする。
フルカラーとするために、3種類のEL層を形成する場合には、成膜室106Rで成膜した後、順次、各成膜室106G、106Bで成膜を行って形成すればよい。
陽極200上に所望のEL層201を得たら、次いで、大気にふれさせることなく、搬送室104から搬送室107に基板を搬送した後、さらに、大気にふれさせることなく、搬送室107から搬送室108に基板を搬送する。
次いで、搬送室108内に設置されている搬送機構によって、成膜室110に搬送し、EL層201上に薄い金属層を形成した後、成膜室109に搬送して透明導電膜を形成し、薄い金属層と透明導電膜との積層からなる陰極202を適宜形成する。ここでは、成膜室110は、MgとAgを蒸着源に備えた蒸着装置とし、成膜室109は、透明導電材料からなるターゲットを少なくとも有しているスパッタ装置とする。
次いで、搬送室108内に設置されている搬送機構によって、成膜室112に搬送し、有機化合物層が耐えうる温度範囲で水素を含むDLC膜203を形成する。ここでは成膜室112にプラズマCVD装置を備え、成膜に用いる反応ガスは、水素ガスと、炭化水素系のガス(例えばCH4、C22、C66など)とを用いて水素を含むDLC膜を形成する。また、DLC膜に代えて水素を含む窒化珪素膜を形成し、図4(B)の構造を形成してもよい。なお、水素ラジカルが発生する手段を備えていれば特に限定されず、上記水素を含むDLC膜の成膜の際、プラズマ化された水素によって有機化合物層における欠陥を水素で終端させる。
次いで、大気に触れることなく、搬送室108から成膜室113に搬送して水素を含むDLC膜203上に保護膜204を形成する。ここでは、成膜室113内に、珪素からなるターゲットまたは窒化珪素からなるターゲットを備えたスパッタ装置とする。成膜室雰囲気を窒素雰囲気または窒素とアルゴンを含む雰囲気とすることによって窒化珪素膜を形成することができる。
以上の工程で図4(A)に示す積層構造、即ち、基板上に保護膜および水素を含むDLC膜で覆われた発光素子が形成される。
次いで、発光素子が形成された基板を大気に触れることなく、搬送室108から搬送室111に搬送し、さらに搬送室111から搬送室114に搬送する。
次いで、発光素子が形成された基板を搬送室114から封止室116に搬送する。なお、封止室116には、シール材が設けられた封止基板を用意しておくことが好ましい。
封止基板は、封止基板ロード室117a、117bに外部からセットされる。なお、水分などの不純物を除去するために予め真空中でアニール、例えば、封止基板ロード室117a、117b内でアニールを行うことが好ましい。そして、封止基板にシール材を形成する場合には、搬送室108を大気圧とした後、封止基板を封止基板ロード室からディスペンサ室115に搬送して、発光素子が設けられた基板と貼り合わせるためのシール材を形成し、シール材を形成した封止基板を封止室116に搬送する。
次いで、発光素子が設けられた基板を脱気するため、真空または不活性雰囲気中でアニールを行った後、シール材が設けられた封止基板と、発光素子が形成された基板とを貼り合わせる。また、密閉された空間には水素または不活性気体を充填させる。なお、ここでは、封止基板にシール材を形成した例を示したが、特に限定されず、発光素子が形成された基板にシール材を形成してもよい。
次いで、貼り合わせた一対の基板を搬送室114から紫外線照射室118に搬送する。次いで、紫外線照射室118でUV光を照射してシール材を硬化させる。なお、ここではシール材として紫外線硬化樹脂を用いたが、接着材であれば、特に限定されない。
次いで、搬送室114から受渡室119に搬送して取り出す。
以上のように、図6に示した製造装置を用いることで完全に発光素子を密閉空間に封入するまで外気に晒さずに済むため、信頼性の高い発光装置を作製することが可能となる。なお、搬送室102、114においては、真空と大気圧とを繰り返すが、搬送室104a、108は常時、真空が保たれる。
なお、インライン方式の成膜装置とすることも可能である。
以下、予めTFT及び陽極が設けられた基板を図6に示す製造装置に搬入し、図4(C)に示す積層構造を形成する手順を示す。
まず、受渡室101にTFT及び陽極400が設けられた基板をセットする。次いで受渡室101に連結された搬送室102に搬送する。予め、搬送室内には極力水分や酸素が存在しないよう、真空排気した後、不活性ガスを導入して大気圧にしておくことが好ましい。陽極400を形成する材料は、透明導電性材料が用いられ、インジウム・スズ化合物や酸化亜鉛などを用いることができる。次いで搬入室102に連結された前処理室103に搬送する。この前処理室では、陽極表面のクリーニングや酸化処理や加熱処理などを行えばよい。陽極表面のクリーニングとしては、真空中での紫外線照射、または酸素プラズマ処理を行い、陽極表面をクリーニングする。また、酸化処理としては、100〜120℃で加熱しつつ、酸素を含む雰囲気中で紫外線を照射すればよく、陽極がITOのような酸化物である場合に有効である。また、加熱処理としては、真空中で基板が耐え
うる50℃以上の加熱温度、好ましくは65〜150℃の加熱を行えばよく、基板に付着した酸素や水分などの不純物や、基板上に形成した膜中の酸素や水分などの不純物を除去する。特に、EL材料は、酸素や水などの不純物により劣化を受けやすいため、蒸着前に真空中で加熱することは有効である。
必要であれば、大気にふれさせることなく、搬送室102から搬送室104に基板104cを搬送した後、搬送機構104bによって、成膜室105に搬送し、陽極400上にEL層の1層である正孔輸送層または正孔注入層などを適宜、積層形成する。ここでは蒸着によって形成する例を示す。成膜室105には、基板の被成膜面を下向きにしてセットする。なお、基板を搬入する前に成膜室内は真空排気しておくことが好ましい。
次いで、成膜室106Rに搬送し、陽極400上に赤色発光するEL層を適宜形成する。ここでは蒸着によって形成する例を示す。成膜室106Rには、基板反転室120で基板の被成膜面を下向きにしてセットする。なお、基板を搬入する前に成膜室内は真空排気しておくことが好ましい。
例えば、真空度が5×10-3Torr(0.665Pa)以下、好ましくは10-4〜10-6Paまで真空排気された成膜室106Rで蒸着を行う。蒸着の際、予め、抵抗加熱により有機化合物は気化されており、蒸着時にシャッター(図示しない)が開くことにより基板の方向へ飛散する。気化された有機化合物は、上方に飛散し、メタルマスク(図示しない)に設けられた開口部(図示しない)を通って基板に蒸着される。なお、蒸着の際、基板を加熱する手段により基板の温度(T1)は、50〜200℃、好ましくは65〜150℃とする。
フルカラーとするために、3種類のEL層を形成する場合には、成膜室106Rで成膜した後、順次、各成膜室106G、106Bで成膜を行って形成すればよい。
陽極400上に所望のEL層401を得たら、次いで、大気にふれさせることなく、搬送室104から搬送室107に基板を搬送した後、さらに、大気にふれさせることなく、搬送室107から搬送室108に基板を搬送する。
また、必要があれば、陰極を形成する前に正孔注入層として作用するポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)水溶液(PEDOT/PSS)を全面に形成してもよい。図6の製造装置には、高分子からなる有機化合物層を形成するための成膜室105が設けられている。スピンコート法やインクジェット法やスプレー法で形成する場合には、大気圧下で基板の被成膜面を上向きにしてセットする。成膜室105と搬送室102との間に設けられた基板反転室120で基板を適宜反転させる。また、水溶液を用いた成膜を行った後は、前処理室103に搬送し、そこで真空中での加熱処理を行って水分を気化させることが好ましい。
次いで、搬送室108内に設置されている搬送機構によって、成膜室110に搬送し、EL層401上に金属層からなる陰極402を形成する。ここでは、成膜室110は、AlLiを蒸着源に備えた蒸着装置とする。
次いで、搬送室108内に設置されている搬送機構によって、成膜室112に搬送し、有機化合物層が耐えうる温度範囲で水素を含む膜403を形成する。ここでは成膜室112にプラズマCVD装置を備え、水素を含む膜403の成膜に用いる反応ガスは、水素ガスと、炭化水素系のガス、或いは、珪化水素系のガスを適宜用いて、DLC膜、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜、酸化珪素膜、またはこれらの積層からなる膜を形成する。なお、水素ラジカルが発生する手段を備えていれば特に限定されず、上記水素を含む膜の成膜の際、プラズマ化された水素によって有機化合物層における欠陥を水素で終端させる。
次いで、大気に触れることなく、搬送室108から成膜室113に搬送して水素を含む膜403上に保護膜404を形成する。ここでは、成膜室113内に、珪素からなるターゲットまたは窒化珪素からなるターゲットを備えたスパッタ装置とする。成膜室雰囲気を窒素雰囲気または窒素とアルゴンを含む雰囲気とすることによって窒化珪素膜を形成することができる。
以上の工程で図4(C)に示す積層構造、即ち、基板上に保護膜および水素を含む膜で覆われた発光素子が形成される。
以降の工程は、図4(A)に示す積層構造を形成する手順と同一であるため、ここでは説明を省略する。
このように、図6に示す製造装置を用いれば、図4(A)〜図4(C)に示す積層構造とを作り分けることができる。
また、図6と一部異なる製造装置を図7に示す。
図6では、スピンコート法やインクジェット法やスプレー法で形成する成膜室が一つしか設けられていない例であったが、図7の製造装置は、スピンコート法やインクジェット法やスプレー法で形成する成膜室が3つ備えた例である。例えば、フルカラーとするために、3種類のEL層をスピンコート法やインクジェット法やスプレー法で形成する場合には、成膜室121aで成膜した後、順次、各成膜室121b、121cで成膜を行って形成すればよい。また、スピンコート法やインクジェット法やスプレー法を用いた成膜を行った後は、前処理室103に搬送し、そこで真空中での加熱処理を行って水分を気化させることが好ましい。
また、本実施の形態は、実施の形態1、実施の形態2、または実施の形態3と自由に組み合わせることができる。
(実施の形態5)
ここでは、図1と構成が一部異なる例を図11に示す。なお、簡略化のため、図11において、図1と同一である部分は、同一の符号を用いる。図11(A)では、無機絶縁膜14上に補助電極23を形成した例である。この補助電極23は、陰極(或いは陽極)の一部として機能する。透明導電膜からなる陰極20の抵抗値は、比較的に高いため、大画面化することが困難であるが、補助電極23を設けることによって、陰極(或いは陽極)全体として低抵抗化することができる。加えて、透明導電膜の薄膜化も可能とすることができる。
さらに、この補助電極23で下層の配線または電極と接続させる。この補助電極23はEL層を形成する前に成膜及びパターニングを行えばよい。補助電極23は、スパッタ法や蒸着法などを用い、導電型を付与する不純物元素がドープされたpoly−Si、W、WSiX、Al、Ti、Mo、Cu、Ta、Cr、Ni、またはMoから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料を主成分とする膜またはそれらの積層膜で形成すればよい。こうして、下層の電極とコンタクトさせた補助電極23上に接して透明導電膜を形成すれば陰極の引き出しが可能となる。なお、図11(C)は、図2中に示した鎖線C−C’で切断した場合の断面図である。また、図11(C)中、点線で示した電極同士は電気的に接続していることを示している。また、端子部において、
端子の電極を陰極20と同じ材料で形成している。
また、本実施の形態は、実施の形態1、実施の形態2、実施の形態3、または実施の形態4と自由に組み合わせることができる。
以上の構成でなる本発明について、以下に示す実施例でもってさらに詳細な説明を行うこととする。
本実施例では、絶縁表面上に作製したアクティブマトリクス型発光装置について説明する。図12は、アクティブマトリクス型発光装置の断面図である。なお、能動素子としてここでは薄膜トランジスタ(以下、「TFT」と記す)を用いているが、MOSトランジスタを用いてもよい。
また、TFTとしてトップゲート型TFT(具体的にはプレーナ型TFT)を例示するが、ボトムゲート型TFT(典型的には逆スタガ型TFT)を用いることもできる。
本実施例では、基板800としてバリウムホウケイ酸ガラス、またはアルミノホウケイ酸ガラスなどのガラスからなる基板、石英基板やシリコン基板、金属基板またはステンレス基板の表面に絶縁膜を形成したものを用いればよい。また、本実施例の処理温度に耐えうる耐熱性が有するプラスチック基板を用いてもよいし、可撓性基板を用いても良い。
まず、厚さ0.7mmの耐熱性ガラス基板(基板800)上にプラズマCVD法により下地絶縁膜の下層801として、プラズマCVD法で成膜温度400℃、原料ガスSiH4、NH3、N2Oから作製される酸化窒化シリコン膜(組成比Si=32%、O=27%、N=24%、H=17%)を50nm(好ましくは10〜200nm)形成する。次いで、表面をオゾン水で洗浄した後、表面の酸化膜を希フッ酸(1/100希釈)で除去する。次いで、下地絶縁膜の上層802として、プラズマCVD法で成膜温度400℃、原料ガスSiH4、N2Oから作製される酸化窒化シリコン膜(組成比Si=32%、O=59%、N=7%、H=2%)を100nm(好ましくは50〜200nm)の厚さに積層形成し、さらに大気解放せずにプラズマCVD法で成膜温度300℃、成膜ガスSiH4で非晶質構造を有する半導体膜(ここではアモルファスシリコン膜)を54nmの厚さ
(好ましくは25〜200nm)で形成する。
本実施例では下地絶縁膜を2層構造として示したが、珪素を主成分とする絶縁膜の単層膜または2層以上積層させた構造として形成しても良い。また、半導体膜の材料に限定はないが、好ましくはシリコンまたはシリコンゲルマニウム(Si1-XGeX(X=0.0001〜0.02))合金などを用い、公知の手段(スパッタ法、LPCVD法、またはプラズマCVD法等)により形成すればよい。また、プラズマCVD装置は、枚葉式の装置でもよいし、バッチ式の装置でもよい。また、同一の成膜室で大気に触れることなく下地絶縁膜と半導体膜とを連続成膜してもよい。
次いで、非晶質構造を有する半導体膜の表面を洗浄した後、オゾン水で表面に約2nmの極薄い酸化膜を形成する。次いで、TFTのしきい値を制御するために微量な不純物元素(ボロンまたはリン)のドーピングを行う。ここでは、ジボラン(B26)を質量分離しないでプラズマ励起したイオンドープ法を用い、ドーピング条件を加速電圧15kV、ジボランを水素で1%に希釈したガスを流量30sccmとし、ドーズ量2×1012/cm2で非晶質シリコン膜にボロンを添加する。
次いで、重量換算で10ppmのニッケルを含む酢酸ニッケル塩溶液をスピナーで塗布した。塗布に代えてスパッタ法でニッケル元素を全面に散布する方法を用いてもよい。
次いで、加熱処理を行い結晶化させて結晶構造を有する半導体膜を形成する。この加熱処理は、電気炉の熱処理または強光の照射を用いればよい。電気炉の熱処理で行う場合は、500℃〜650℃で4〜24時間で行えばよい。ここでは脱水素化のための熱処理(500℃、1時間)の後、結晶化のための熱処理(550℃、4時間)を行って結晶構造を有するシリコン膜を得た。なお、ここでは炉を用いた熱処理を用いて結晶化を行ったが、短時間での結晶化が可能なランプアニール装置で結晶化を行ってもよい。
次いで、結晶構造を有するシリコン膜表面の酸化膜を希フッ酸等で除去した後、大粒径な結晶を得るため、連続発振が可能な固体レーザを用い、基本波の第2高調波〜第4高調波を半導体膜に照射する。レーザ光の照射は大気中、または酸素雰囲気中で行う。なお、大気中、または酸素雰囲気中で行うため、レーザー光の照射により表面に酸化膜が形成される。代表的には、Nd:YVO4レーザー(基本波1064nm)の第2高調波(532nm)や第3高調波(355nm)を適用すればよい。出力10Wの連続発振のYVO4レーザから射出されたレーザ光を非線形光学素子により高調波に変換する。また、共振器の中にYVO4結晶と非線形光学素子を入れて、高調波を射出する方法もある。そして、好ましくは光学系により照射面にて矩形状または楕円形状のレーザ光に成形して、被処理体に照
射する。このときのエネルギー密度は0.01〜100MW/cm2程度(好ましくは0.1〜10MW/cm2)が必要である。そして、10〜2000cm/s程度の速度でレーザ光に対して相対的に半導体膜を移動させて照射すればよい。
もちろん、連続発振のYVO4レーザーの第2高調波を照射する前の結晶構造を有するシリコン膜を用いてTFTを作製することもできるが、レーザ光照射後の結晶構造を有するシリコン膜のほうが結晶性が向上しているため、TFTの電気的特性が向上するので望ましい。例えば、上記レーザ光照射前の結晶構造を有するシリコン膜を用いてTFTを作製すると、移動度は300cm2/Vs程度であるが、上記レーザ光照射後の結晶構造を有するシリコン膜を用いてTFTを作製すると、移動度は500〜600cm2/Vs程度と著しく向上する。
なお、ここではシリコンの結晶化を助長する金属元素としてニッケルを用いて結晶化させた後、さらに連続発振のYVO4レーザーの第2高調波を照射したが、特に限定されず、非晶質構造を有するシリコン膜を成膜し、脱水素化のための熱処理を行った後、上記連続発振のYVO4レーザーの第2高調波を照射して結晶構造を有するシリコン膜を得てもよい。
また、連続発振のレーザに代えてパルス発振のレーザを用いることもでき、パルス発振のエキシマレーザを用いる場合には、周波数300Hzとし、レーザーエネルギー密度を100〜1000mJ/cm2(代表的には200〜800mJ/cm2)とするのが望ましい。このとき、レーザ光を50〜98%オーバーラップさせても良い。
次いで、上記レーザー光の照射により形成された酸化膜に加え、オゾン水で表面を120秒処理して合計1〜5nmの酸化膜からなるバリア層を形成する。本実施例ではオゾン水を用いてバリア層を形成したが、酸素雰囲気下の紫外線の照射で結晶構造を有する半導体膜の表面を酸化する方法や酸素プラズマ処理により結晶構造を有する半導体膜の表面を酸化する方法やプラズマCVD法やスパッタ法や蒸着法などで1〜10nm程度の酸化膜を堆積してバリア層を形成してもよい。また、バリア層を形成する前にレーザー光の照射により形成された酸化膜を除去してもよい。
次いで、上記バリア層上にプラズマCVD法またはスパッタ法でゲッタリングサイトとなるアルゴン元素を含む非晶質シリコン膜を50nm〜400nm、ここでは膜厚150nmで形成する。本実施例では、スパッタ法でシリコンターゲットを用い、アルゴン雰囲気下、圧力0.3Paで成膜する。
その後、650℃に加熱された炉に入れて3分の熱処理を行いゲッタリングして、結晶構造を有する半導体膜中のニッケル濃度を低減する。炉に代えてランプアニール装置を用いてもよい。
次いで、バリア層をエッチングストッパーとして、ゲッタリングサイトであるアルゴン元素を含む非晶質シリコン膜を選択的に除去した後、バリア層を希フッ酸で選択的に除去する。なお、ゲッタリングの際、ニッケルは酸素濃度の高い領域に移動しやすい傾向があるため、酸化膜からなるバリア層をゲッタリング後に除去することが望ましい。
次いで、得られた結晶構造を有するシリコン膜(ポリシリコン膜とも呼ばれる)の表面にオゾン水で薄い酸化膜を形成した後、レジストからなるマスクを形成し、所望の形状にエッチング処理して島状に分離された半導体層を形成する。半導体層を形成した後、レジストからなるマスクを除去する。
次いで、フッ酸を含むエッチャントで酸化膜を除去すると同時にシリコン膜の表面を洗浄した後、ゲート絶縁膜803となる珪素を主成分とする絶縁膜を形成する。ここでは、プラズマCVD法により115nmの厚さで酸化窒化シリコン膜(組成比Si=32%、O=59%、N=7%、H=2%)で形成した。
次いで、ゲート絶縁膜上に膜厚20〜100nmの第1の導電膜と、膜厚100〜400nmの第2の導電膜とを積層形成する。本実施例では、ゲート絶縁膜803上に膜厚50nmの窒化タンタル膜、膜厚370nmのタングステン膜を順次積層し、以下に示す手順でパターニングを行って各ゲート電極及び各配線を形成する。
第1の導電膜及び第2の導電膜を形成する導電性材料としてはTa、W、Ti、Mo、Al、Cuから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料で形成する。また、第1の導電膜及び第2の導電膜としてリン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜や、AgPdCu合金を用いてもよい。また、2層構造に限定されず、例えば、膜厚50nmのタングステン膜、膜厚500nmのアルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜、膜厚30nmの窒化チタン膜を順次積層した3層構造としてもよい。また、3層構造とする場合、第1の導電膜のタングステンに代えて窒化タングステンを用いてもよいし、第2の導電膜のアルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜に代えてアルミニウムとチタンの合金膜(Al−Ti)を用いて
もよいし、第3の導電膜の窒化チタン膜に代えてチタン膜を用いてもよい。また、単層構造であってもよい。
上記第1の導電膜及び第2の導電膜のエッチング(第1のエッチング処理および第2のエッチング処理)にはICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法を用いると良い。ICPエッチング法を用い、エッチング条件(コイル型の電極に印加される電力量、基板側の電極に印加される電力量、基板側の電極温度等)を適宜調節することによって所望のテーパー形状に膜をエッチングすることができる。ここでは、レジストからなるマスクを形成した後、第1のエッチング条件として1Paの圧力でコイル型の電極に700WのRF(13.56MHz)電力を投入し、エッチング用ガスにCF4とCl2とO2とを用い、それぞれのガス流量比を25/25/10(sccm)とし、基板側(試料ステージ)にも150WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。なお、基板側の電極面積サイズは、12.5cm×12.5cmであり、コイル型の電極面積サイズ(ここではコイルの設けられた石英円板)は、直径25cmの円板である。この第1のエッチング条件によりW膜をエッチングして端部をテーパー形状とする。この後、レジストからなるマスクを除去せずに第2のエッチング条件に変え、エッチング用ガスにCF4とCl2とを用い、それぞれのガス流量比を30/30(sccm)とし、1Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成して約30秒程度のエッチングを行った。基板側(試料ステージ)にも20WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。CF4とCl2を混合した第2のエッチング条件ではW膜及びTaN膜とも同程度にエッチングされる。なお、ここでは、第1のエッチング条件及び第2のエッチング条件を第1のエッチング処理と呼ぶこととする。
次いで、レジストからなるマスクを除去せずに第2のエッチング処理を行う。ここでは、第3のエッチング条件としてエッチング用ガスにCF4とCl2とを用い、それぞれのガス流量比を30/30(sccm)とし、1Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成してエッチングを60秒行った。基板側(試料ステージ)にも20WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。この後、レジストからなるマスクを除去せずに第4のエッチング条件に変え、エッチング用ガスにCF4とCl2とO2とを用い、それぞれのガス流量比を20/20/20(sccm)とし、1Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成して約20秒程度のエッチングを行った。基板側(試料ステージ)にも20WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。なお、ここでは、第3のエッチング条件及び第4のエッチング条件を第2のエッチング処理と呼ぶこととする。この段階で第1の導電層804aを下層とし、第2の導電層804bを上層とするゲート電極804および各電極805〜807が形成される。
次いで、レジストからなるマスクを除去した後、ゲート電極804〜807をマスクとして全面にドーピングする第1のドーピング処理を行う。第1のドーピング処理はイオンドープ法、もしくはイオン注入法で行えば良い。イオンドープ法の条件はドーズ量を1.5×1014atoms/cm2とし、加速電圧を60〜100keVとして行う。n型を付与する不純物元素として、典型的にはリン(P)または砒素(As)を用いる。自己整合的に第1の不純物領域(n--領域)822〜825が形成される。
次いで、新たにレジストからなるマスクを形成するが、この際、スイッチングTFT903のオフ電流値を下げるため、マスクは、画素部901のスイッチングTFT903を形成する半導体層のチャネル形成領域及びその一部を覆って形成する。また、マスクは駆動回路のpチャネル型TFT906を形成する半導体層のチャネル形成領域及びその周辺の領域を保護するためにも設けられる。加えて、マスクは、画素部901の電流制御用TFT904を形成する半導体層のチャネル形成領域及びその周辺の領域を覆って形成される。
次いで、上記レジストからなるマスクを用い、選択的に第2のドーピング処理を行って、ゲート電極の一部と重なる不純物領域(n-領域)を形成する。第2のドーピング処理はイオンドープ法、もしくはイオン注入法で行えば良い。ここでは、イオンドープ法を用い、フォスフィン(PH3)を水素で5%に希釈したガスを流量30sccmとし、ドーズ量を1.5×1014atoms/cm2とし、加速電圧を90keVとして行う。この場合、レジストからなるマスクと第2の導電層とがn型を付与する不純物元素に対するマスクとなり、第2の不純物領域811、812が形成される。第2の不純物領域には1×1016〜1×1017/cm3の濃度範囲でn型を付与する不純物元素を添加される。ここでは、第2の不純物領域と同じ濃度範囲の領域をn-領域とも呼ぶ。
次いで、レジストからなるマスクを除去せずに第3のドーピング処理を行う。第3のドーピング処理はイオンドープ法、もしくはイオン注入法で行えば良い。n型を付与する不純物元素として、典型的にはリン(P)または砒素(As)を用いる。ここでは、イオンドープ法を用い、フォスフィン(PH3)を水素で5%に希釈したガスを流量40sccmとし、ドーズ量を2×1015atoms/cm2とし、加速電圧を80keVとして行う。この場合、レジストからなるマスクと第1の導電層及び第2の導電層がn型を付与する不純物元素に対するマスクとなり、第3の不純物領域813、814、826〜828が形成される。第3の不純物領域には1×1020〜1×1021/cm3の濃度範囲でn型を付与する不純物元素を添加される。ここでは、第3の不純物領域と同じ濃度範囲の領域をn+領域とも呼ぶ。
次いで、レジストからなるマスクを除去した後、新たにレジストからなるマスクを形成して第4のドーピング処理を行う。第4のドーピング処理により、pチャネル型TFTを形成する半導体層を形成する半導体層にp型の導電型を付与する不純物元素が添加された第4の不純物領域818、819、832、833及び第5の不純物領域816、817、830、831を形成する。
また、第4の不純物領域818、819、832、833には1×1020〜1×
1021/cm3の濃度範囲でp型を付与する不純物元素が添加されるようにする。尚、第4の不純物領域818、819、832、833には先の工程でリン(P)が添加された領域(n--領域)であるが、p型を付与する不純物元素の濃度がその1.5〜3倍添加されていて導電型はp型となっている。ここでは、第4の不純物領域と同じ濃度範囲の領域をp+領域とも呼ぶ。
また、第5の不純物領域816、817、830、831は第2の導電層のテーパー部と重なる領域に形成されるものであり、1×1018〜1×1020/cm3の濃度範囲でp型を付与する不純物元素が添加されるようにする。ここでは、第5の不純物領域と同じ濃度範囲の領域をp-領域とも呼ぶ。
以上までの工程でそれぞれの半導体層にn型またはp型の導電型を有する不純物領域が形成される。導電層804〜807はTFTのゲート電極となる。
次いで、ほぼ全面を覆う絶縁膜(図示しない)を形成する。本実施例では、プラズマCVD法により膜厚50nmの酸化シリコン膜を形成した。勿論、この絶縁膜は酸化シリコン膜に限定されるものでなく、他のシリコンを含む絶縁膜を単層または積層構造として用いても良い。
次いで、それぞれの半導体層に添加された不純物元素を活性化処理する工程を行う。この活性化工程は、ランプ光源を用いたラピッドサーマルアニール法(RTA法)、或いはレーザーを照射する方法、或いは炉を用いた熱処理、或いはこれらの方法のうち、いずれかと組み合わせた方法によって行う。
また、本実施例では、上記活性化の前に絶縁膜を形成した例を示したが、上記活性化を行った後、絶縁膜を形成する工程としてもよい。
次いで、窒化シリコン膜からなる第1の層間絶縁膜808を形成して熱処理(300〜550℃で1〜12時間の熱処理)を行い、半導体層を水素化する工程を行う。この工程は第1の層間絶縁膜808に含まれる水素により半導体層のダングリングボンドを終端する工程である。酸化シリコン膜からなる絶縁膜(図示しない)の存在に関係なく半導体層を水素化することができる。水素化の他の手段として、プラズマ水素化(プラズマにより励起された水素を用いる)を行っても良い。
次いで、第1の層間絶縁膜808上に有機絶縁物材料または無機絶縁物材料から成る第2の層間絶縁膜809aを形成する。本実施例では塗布法により膜厚1.6μmのアクリル樹脂膜809aを形成する。
次いで、ゲート電極またはゲート配線となる導電層に達するコンタクトホールと、各不純物領域に達するコンタクトホールを形成する。本実施例では複数のエッチング処理を順次行う。本実施例では第1の層間絶縁膜をエッチングストッパーとして第2の層間絶縁膜をエッチングしてから第1の層間絶縁膜をエッチングする。
その後、Al、Ti、Mo、Wなどを用いて電極835〜841、具体的にはソース配線、電源供給線、引き出し電極及び接続電極などを形成する。ここでは、これらの電極及び配線の材料は、Ti膜(膜厚100nm)とシリコンを含むAl膜(膜厚350nm)とTi膜(膜厚50nm)との積層膜を用い、パターニングを行った。こうして、ソース電極及びソース配線、接続電極、引き出し電極、電源供給線などが適宜、形成される。なお、層間絶縁膜に覆われたゲート配線とコンタクトを取るための引き出し電極は、ゲート配線の端部に設けられ、他の各配線の端部にも、外部回路や外部電源と接続するための電極が複数設けられた入出力端子部を形成する。
以上の様にして、nチャネル型TFT905、pチャネル型TFT906、およびこれらを相補的に組み合わせたCMOS回路を有する駆動回路902と、1つの画素内にnチャネル型TFT903またはpチャネル型TFT904を複数備えた画素部901を形成することができる。
次いで、有機絶縁物材料または無機絶縁物材料からなる第2の層間絶縁膜809a上に無機絶縁物材料から成る第3の層間絶縁膜809bを形成する。ここでは、スパッタ法により200nmの窒化シリコン膜809bを成膜する。反応ガスに水素を含ませ、窒化シリコン膜809b膜中に水素を含ませてもよい。
次いで、第3の層間絶縁膜809bにエッチングを行って、pチャネル型TFTからなる電流制御用TFT904のドレイン領域に接して形成された接続電極841に達するコンタクトホールを形成する。次いで、接続電極841に接するよう画素電極834を形成する。本実施例では、画素電極834はEL素子の陽極として機能させるため、仕事関数の大きい、具体的には白金(Pt)、クロム(Cr)、タングステン(W)、もしくはニッケル(Ni)といった材料を用い、膜厚は0.1〜1μmとすることができる。
次いで、画素電極834の端部を覆うように両端に無機絶縁物842を形成する。842はスパッタ法により珪素を含む絶縁膜で形成し、パターニングすれば良い。反応ガスに水素を含ませ、無機絶縁物842中に水素を含ませてもよい。また、無機絶縁物842に代えて、有機絶縁物からなるバンクを形成してもよい。
次いで、両端が無機絶縁物842で覆われている画素電極834上にEL層843およびEL素子の陰極844を形成する。EL層843の成膜方法としては、インクジェット法や、蒸着法や、スピンコーティング法などにより形成すればよい。
EL層843としては、発光層、電荷輸送層または電荷注入層を自由に組み合わせてEL層(発光及びそのためのキャリアの移動を行わせるための層)を形成すれば良い。例えば、低分子系有機EL材料や高分子系有機EL材料を用いればよい。また、EL層として一重項励起により発光(蛍光)する発光材料(シングレット化合物)からなる薄膜、または三重項励起により発光(リン光)する発光材料(トリプレット化合物)からなる薄膜を用いることができる。また、電荷輸送層や電荷注入層として炭化珪素等の無機材料を用いることも可能である。これらの有機EL材料や無機材料は公知の材料を用いることができる。
また、陰極844に用いる材料としては仕事関数の小さい金属(代表的には周期表の1族もしくは2族に属する金属元素)や、これらを含む合金を用いることが好ましいとされている。仕事関数が小さければ小さいほど発光効率が向上するため、中でも、陰極に用いる材料としては、MgAg、MgIn、AlLiなどの合金、または周期表の1族もしくは2族に属する元素とアルミニウムとを共蒸着法により形成した膜などを薄く成膜した後、透明導電膜(ITO(酸化インジウム酸化スズ合金)、酸化インジウム酸化亜鉛合金(In23―ZnO)、酸化亜鉛(ZnO)等)を形成した積層構造とすることが望ましい。
次いで、陰極844を覆う保護膜846を形成する。保護膜846としては、スパッタ法により窒化珪素または酸化窒化珪素を主成分とする絶縁膜を形成すればよく、実施の形態2に示したように、EL層における欠陥を水素で終端(ターミネーション)させるため、陰極844上に水素を含む膜845を設けることが好ましい。
水素を含む膜845としては、PCVD法により炭素または窒化珪素を主成分とする絶縁膜を形成すればよく、成膜の際、プラズマ化された水素によって有機化合物層における欠陥を水素で終端させることもできる。また、有機化合物層が耐えうる温度範囲で加熱処理を行ったり、発光素子を発光させた際に生じる発熱を利用することによって、上記水素を含む膜から水素を拡散させて、有機化合物層における欠陥を水素で終端(ターミネーション)させることができる。
また、保護膜846および水素を含む膜845によって外部から水分や酸素等のEL層の酸化による劣化を促す物質が侵入することを防ぐ。ただし、後でFPCと接続する必要のある入出力端子部には保護膜および水素を含む膜などは設けなくともよい。
ここまでの工程が終了した段階が図12である。なお、図12では、スイッチングTFT903と、EL素子に電流を供給するTFT(電流制御用TFT904)とを示したが、該TFTのゲート電極の先には複数のTFTなどからなる様々な回路を設けてもよく、特に限定されないことは言うまでもない。
次いで、陰極と、有機化合物層と、陽極とを少なくとも有するEL素子を封止基板、或いは封止缶で封入することにより、EL素子を外部から完全に遮断し、外部から水分や酸素等のEL層の酸化による劣化を促す物質が侵入することを防ぐことが好ましい。封止基板、或いは封止缶で封入する直前には真空でアニールを行って脱気を行うことが好ましい。また、封止基板を貼りつける際には、水素および不活性気体(希ガスまたは窒素)を含む雰囲気下で行って、封止によって密閉された空間には水素を含ませることが好ましい。発光素子を発光させた際に生じる発熱を利用することによって、上記水素を含む空間から水素を拡散させて、有機化合物層における欠陥を水素で終端させることができる。有機化合物層における欠陥を水素で終端させると発光装置としての信頼性が向上する。
次いで、異方性導電材で入出力端子部の各電極にFPC(フレキシブルプリントサーキット)を貼りつける。異方性導電材は、樹脂と、表面にAuなどがメッキされた数十〜数百μm径の導電性粒子とから成り、導電性粒子により入出力端子部の各電極とFPCに形成された配線とが電気的に接続する。
また、封止基板には各画素に対応するカラーフィルタを設ける。カラーフィルタを設けることによって円偏光板は必要となくなる。さらに、必要があれば、他の光学フィルムを設けてもよい。また、ICチップなどを実装させてもよい。
また、図6または図7に示した製造装置を用い、実施の形態4に従えば、スループットよく発光装置を作製することができる。
以上の工程でFPCが接続されたモジュール型の発光装置が完成する。
また、本実施例は、実施の形態1、実施の形態2、実施の形態3、実施の形態4、または実施の形態5と自由に組み合わせることができる。
実施例1は、陰極を透明導電膜とし、図4(A)または図4(B)中に示した矢印の方向に発光を取り出す例であったが、図4(A)または図4(B)とは逆方向に発光する構成(図4(C))としてもよい。本実施例では、実施例1とは逆方向に発光させる構成を示す。ただし、陽極の材料と陰極の材料が異なるだけで、それ以外はほぼ同一であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
本実施例では、陽極として透明導電膜(ITO(酸化インジウム酸化スズ合金)、酸化インジウム酸化亜鉛合金(In23―ZnO)、酸化亜鉛(ZnO)等)を用いる。
また、陰極としては、膜厚80nm〜200nmの合金膜、代表的にはMgAg、MgIn、AlLiなどの合金、または周期表の1族もしくは2族に属する元素とアルミニウムとを共蒸着法により形成した膜を用いる。
こうして、図4(C)に示す矢印の方向に発光させることができる。
以上の点以外は、実施例1と同一である。
また、実施例1と同様に図6または図7に示した製造装置を用い、実施の形態4に従えば、スループットよく発光装置を作製することができる。
また、実施例1において、画素電極を陰極とし、有機化合物層と陽極を積層して、発光方向を実施例1とは逆方向に発光させてもよい。この場合、画素電極と接続するTFTはnチャネル型TFTとすることが望ましい。
また、本実施例は、実施の形態1、実施の形態2、実施の形態3、実施の形態4、実施の形態5、または実施例1と自由に組み合わせることができる。
本発明を実施してELモジュール(アクティブマトリクス型ELモジュール、パッシブ型ELモジュール)を完成することができる。即ち、本発明を実施することによって、それらを組み込んだ全ての電子機器が完成される。
その様な電子機器としては、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ヘッドマウントディスプレイ(ゴーグル型ディスプレイ)、カーナビゲーション、カーステレオ、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話または電子書籍等)などが挙げられる。それらの一例を図13、図14に示す。
図13(A)はパーソナルコンピュータであり、本体2001、画像入力部2002、表示部2003、キーボード2004等を含む。
図13(B)はビデオカメラであり、本体2101、表示部2102、音声入力部2103、操作スイッチ2104、バッテリー2105、受像部2106等を含む。
図13(C)はモバイルコンピュータ(モービルコンピュータ)であり、本体2201、カメラ部2202、受像部2203、操作スイッチ2204、表示部2205等を含む。
図13(D)はゴーグル型ディスプレイであり、本体2301、表示部2302、アーム部2303等を含む。
図13(E)はプログラムを記録した記録媒体(以下、記録媒体と呼ぶ)を用いるプレーヤーであり、本体2401、表示部2402、スピーカ部2403、記録媒体2404、操作スイッチ2405等を含む。なお、このプレーヤーは記録媒体としてDVD(Digital Versatile Disc)、CD等を用い、音楽鑑賞や映画鑑賞やゲームやインターネットを行うことができる。
図13(F)はデジタルカメラであり、本体2501、表示部2502、接眼部2503、操作スイッチ2504、受像部(図示しない)等を含む。
図14(A)は携帯電話であり、本体2901、音声出力部2902、音声入力部2903、表示部2904、操作スイッチ2905、アンテナ2906、画像入力部(CCD、イメージセンサ等)2907等を含む。
図14(B)は携帯書籍(電子書籍)であり、本体3001、表示部3002、3003、記憶媒体3004、操作スイッチ3005、アンテナ3006等を含む。
図14(C)はディスプレイであり、本体3101、支持台3102、表示部3103等を含む。
ちなみに図14(C)に示すディスプレイは中小型または大型のもの、例えば5〜20インチの画面サイズのものである。また、このようなサイズの表示部を形成するためには、基板の一辺が1mのものを用い、多面取りを行って量産することが好ましい。
以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器の作製方法に適用することが可能である。また、本実施例の電子機器は、実施の形態1乃至5、実施例1、または実施例2のどのような組み合わせからなる構成を用いても実現することができる。
断面図を示す図である。(実施の形態1) 上面図を示す図である。(実施の形態1) モデル図を示す図である。(実施の形態2) 本発明の積層構造を示す図である。(実施の形態2) 断面図を示す図である。(実施の形態3) 製造装置の一例を示す図。(実施の形態4) 製造装置の一例を示す図。(実施の形態4) 断面図を示す図である。(実施の形態1) 断面図を示す図である。(実施の形態1) 断面図を示す図である。(実施の形態1) 断面図を示す図である。(実施の形態5) アクティブマトリクス基板の断面を示す図。(実施例1) 電子機器の一例を示す図。 電子機器の一例を示す図。

Claims (7)

  1. 陽極と陰極との間に発光層を含む有機化合物層を有する発光素子を複数有する発光装置の作製方法であって、
    基板上に前記陽極又は前記陰極の一方を形成し、
    前記陽極又は前記陰極の一方上に前記有機化合物層を形成し、
    前記有機化合物層に水素プラズマ処理を行い前記有機化合物層における欠陥を水素で終端させ、
    前記有機化合物層上に前記陽極又は前記陰極の他方を形成し、
    前記陽極又は前記陰極の他方上に水素を含有する窒化珪素膜を形成し、
    前記水素を含有する窒化珪素膜上に無機絶縁膜でなる保護膜を形成することを特徴とする発光装置の作製方法。
  2. 陽極と陰極との間に発光層を含む有機化合物層を有する発光素子を複数有する発光装置の作製方法であって、
    基板上に前記陽極又は前記陰極の一方を形成し、
    前記陽極又は前記陰極の一方上に前記有機化合物層を形成し、
    イオンドーピング又はイオン注入によって前記有機化合物層に水素を添加して前記有機化合物層における欠陥を水素で終端させ、
    前記有機化合物層上に前記陽極又は前記陰極の他方を形成し、
    前記陽極又は前記陰極の他方上に水素を含有する窒化珪素膜を形成し、
    前記水素を含有する窒化珪素膜上に無機絶縁膜でなる保護膜を形成することを特徴とする発光装置の作製方法。
  3. 請求項1又は2において、
    前記陽極又は前記陰極の他方は、金属層と前記金属層上の透明導電膜との積層でなる陰極であることを特徴とする発光装置の作製方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一において、
    前記保護膜を形成した後、前記複数の発光素子をシール材及び封止基板を用いて水素及び不活性気体を含む雰囲気下で封止することを特徴とする発光装置の作製方法。
  5. 請求項1乃至のいずれか一において、
    前記水素を含有する窒化珪素膜を、水素と窒素とアルゴンとを含む雰囲気下でシリコンターゲットを用いたスパッタ法により形成することを特徴とする発光装置の作製方法。
  6. 請求項1乃至のいずれか一において、
    前記水素を含有する窒化珪素膜を形成する工程と、前記無機絶縁膜でなる保護膜を形成する工程との間に、水素を含有するDLC膜を形成することを特徴とする発光装置の作製方法。
  7. 請求項1乃至のいずれか一において、
    前記陽極又は前記陰極の一方を形成する工程と、前記有機化合物層を形成する工程との間に、前記陽極又は前記陰極の一方の端部を覆う第2の水素を含有する窒化珪素膜を形成することを特徴とする発光装置の作製方法。
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