JP4404358B2 - 電子写真感光体、画像形成装置、画像形成装置用プロセスカートリッジ - Google Patents
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Description
デジタル画像は数10μmから100μm前後径のドット状画像(以下、ドットと記す)の配列によって形成されているが、特にハーフトーンは、このドットの配列密度や、画素の大きさを変えることで、濃淡を発現させている。
また、上記感光体を用い、繰り返し画像形成(出力)を行っても異常画像発生の少ない画像形成装置を提供することにある。具体的には、地汚れや濃度低下といったネガ・ポジ現像使用時の最大の課題を解決した高耐久で、安定動作が可能な画像形成装置を提供することにある。また、環境依存性が小さく、あらゆる環境においても安定動作が可能な画像形成装置を提供することにある。
更には、上記感光体を用い、高耐久で取扱いが良好な画像形成装置用プロセスカートリッジを提供することにある。
しかして、上記課題は本発明の下記の構成により解決される。
(1)導電性支持体上に、少なくとも導電層、電荷ブロッキング層および感光層を順に積層してなる電子写真感光体において、該感光層中にCuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、7.3゜のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、かつ26.3°にピークを有する結晶型で、一次粒子の平均粒子サイズが0.25μm以下であるチタニルフタロシアニン結晶を含有し、前記チタニルフタロシアニン結晶が、CuKαの特性X線に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも7.0〜7.5゜に最大回折ピークを有し、その回折ピークの半値巾が1゜以上である一次粒子の平均粒子サイズが0.1μm以下の不定形チタニルフタロシアニンもしくは低結晶性チタニルフタロシアニンを水の存在下で有機溶媒により結晶変換を行ない、結晶変換後の一次粒子の平均粒子サイズが0.25μmより大きく成長する前に、有機溶媒より分別、濾過されたものであることを特徴とする電子写真感光体。
(3)前記感光層が電荷発生層と電荷輸送層の積層構成からなることを特徴とする前記第(1)項又は(2)項に記載の電子写真感光体。
(6)前記絶縁性材料がポリアミドであることを特徴とする前記(5)に記載の電子写真感光体。
(8)前記バインダー樹脂が熱硬化型樹脂であることを特徴とする前記第(7)に記載の電子写真感光体。
(9)前記熱硬化型樹脂がアルキッド/メラミン樹脂の混合物であることを特徴とする前記第(8)に記載の電子写真感光体。
(10)前記アルキッド樹脂とメラミン樹脂の混合比が、5/5〜8/2(重量比)の範囲であることを特徴とする前記第(9)に記載の電子写真感光体。
(12)前記保護層が、比抵抗1010Ω・cm以上の無機顔料または金属酸化物を含有することを特徴とする前記(11)に記載の電子写真感光体。
(13)前記金属酸化物が、比抵抗1010Ω・cm以上のアルミナ、酸化チタン、シリカのいずれかであることを特徴とする前記第(12)に記載の電子写真感光体。
(14)前記金属酸化物が、比抵抗1010Ω・cm以上のα−アルミナであることを特徴とする前記第(13)に記載の電子写真感光体。
(15)前記保護層が、高分子電荷輸送物質を含有することを特徴とする前記第(11)乃至(14)の何れか一項に記載の電子写真感光体。
(16)前記保護層のバインダー樹脂が、架橋構造を有することを特徴とする前記第(11)乃至(14)の何れか一項に記載の電子写真感光体。
(18)少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及び電子写真感光体を具備してなる画像形成装置において、該電子写真感光体前記第(1)乃至(17)の何れか一項に記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置。
(19)少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及び電子写真感光体からなる画像形成要素を複数配列したことを特徴とする前記第(18)に記載の画像形成装置。
(20)前記画像形成装置の帯電手段に、接触帯電方式を用いることを特徴とする前記第(18)又は(19)に記載の画像形成装置。
(21)前記画像形成装置の帯電手段に、非接触の近接配置方式を用いることを特徴とする前記第(18)又は(19)に記載の画像形成装置。
(22)前記帯電手段に用いられる帯電部材と感光体間の空隙が100μm以下であることを特徴とする前記第(21)に記載の画像形成装置。
(24)前記画像形成装置が、感光体と少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、クリーニング手段から選ばれる1つの手段とが一体となった装置本体と着脱自在なカートリッジを搭載していることを特徴とする前記第(18)乃至(23)の何れか一項に記載の画像形成装置。
(25)少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、クリーニング手段から選ばれる1つの手段と、電子写真感光体とが一体となった画像形成装置用プロセスカートリッジにおいて、該電子写真感光体が前記第(1)乃至(17)の何れか一項に記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置用プロセスカートリッジ。
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に少なくとも導電層、電荷ブロッキング層および感光層を順に形成してなる電子写真感光体であって、該感光層中にCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、かつ、前記7.3°のピークと9.4゜のピークの間にはピークを有さず、かつ26.3°にピークを有し、一次粒子の平均サイズが0.25μm以下であるチタニルフタロシアニン結晶を含有するものである。
また前述の、高解像なデジタル画像のハーフトーン画像やカラー画像における濃度ムラや画像のザラツキ感の低減に対しては、電荷発生物質として従来のチタニルフタロシアニンを用いた感光体では満足のいくものではなかった。
均一に帯電された感光体にレーザー光やLED光でドット状に露光され、感光体表面の静電荷が消去され、ドット状の静電荷潜像を形成される。次にこの潜像をトナーで現像してドット画像が形成される。そのため、ドット画像の均一性は、感光体表面に1つ1つのドット状の静電荷潜像をいかに均一に形成するかにかかっている。均一な潜像を形成するために感光体設計上留意しなければならないことは、感光体の光感度を均一にすることであり、そのためには感光層中の電荷発生物質の分布を如何に均一にするかということである。
初めにチタニルフタロシアニン結晶の合成粗品の合成法について述べる。フタロシアニン類の合成方法は古くから知られており、Moser等による「Phthalocyanine Compounds」(1963年)、「The Phthalocyanines」(1983年)、特開平6−293769号公報等に記載されている。
具体的な方法としては、上記の合成粗品を10〜50倍量の濃硫酸に溶解し、必要に応じて不溶物を濾過等により除去し、これを硫酸の10〜50倍量の充分に冷却した水もしくは氷水にゆっくりと投入し、チタニルフタロシアニンを再析出させる。析出したチタニルフタロシアニンを濾過した後、イオン交換水で洗浄・濾過を行い、濾液が中性になるまで充分にこの操作を繰り返す。最終的に、綺麗なイオン交換水で洗浄した後、濾過を行い、固形分濃度で5〜15wt%程度の水ペーストを得る。
結晶変換は、前記不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)を、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、かつ、前記7.3°のピークと9.4゜のピークの間にはピークを有さず、かつ26.3゜にピークを有さないチタニルフタロシアニン結晶に変換する工程である。
この際、使用される有機溶媒は、所望の結晶型を得られるものであれば、いかなる有機溶媒も使用できるが、特にテトラヒドロフラン、トルエン、塩化メチレン、二硫化炭素、オルトジクロロベンゼン、1,1,2−トリクロロエタンの中から選ばれる1種を選択すると、良好な結果が得られる。これら有機溶媒は単独で用いることが好ましいが、これらの有機溶媒を2種以上混合する、あるいは他の溶媒と混合して用いることも可能である。結晶変換に使用される前記有機溶媒の量は、不定形チタニルフタロシアニンの重量の10倍以上、好ましくは30倍以上の重量であることが望ましい。これは、結晶変換を素早く十分に起こさせると共に、不定形チタニルフタロシアニンに含まれる不純物を十分に取り除く効果が発現されるからである。尚、ここで使用する不定形チタニルフタロシアニンは、アシッド・ペースト法により作製するものであるが、上述のように硫酸を十分に洗浄したものを使用することが望ましい。硫酸が残存するような条件で結晶変換を行うと、結晶粒子中に硫酸イオンが残存し、出来上がった結晶を水洗処理のような操作をしても完全には取り除くことが出来ない。硫酸イオンが残存した場合には、感光体の感度低下、帯電性低下を引き起こすなど、好ましい結果を得られない。例えば、特開平8−110649号公報(比較例)には、硫酸に溶解したチタニルフタロシアニンをイオン交換水と共に有機溶媒に投入し結晶変換を行う方法が記載されている。この際、本発明で得られるチタニルフタロシアニン結晶のX線回折スペクトルに類似した結晶を得ることが出来るが、チタニルフタロシアニン中の硫酸イオン濃度が高く、光減衰特性(光感度)が悪いものであるため、本発明のチタニルフタロシアニンの製造方法としては良好なものではない。この理由は、先に述べたとおりである。
チタニルフタロシアニン結晶の粒子サイズをより細かくするために、本発明者らが観察したところによれば、前述の不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)は、一次粒径が0.1μm以下(そのほとんどが0.01〜0.05μm程度)であるが(図3参照、スケール・バーは0.2μmである)、結晶変換に際しては、結晶成長と共に結晶が変換されることが分かった。通常、この種の結晶変換においては、原料の残存をおそれて充分な結晶変換時間を確保し、結晶変換が十二分に行われた後に、濾過を行い、所望の結晶型を有するチタニルフタロシアニン結晶を得るものである。このため、原料として充分に小さな一次粒子を有する原料を用いているにもかかわらず、結晶変換後の結晶としては一次粒子の大きな結晶(概ね0.3〜0.5μm)を得ているものである(図4参照、スケール・バーは0.2μmである)。
このように作製されたチタニルフタロシアニン結晶を分散するにあたっては、合成後のチタニルフタロシアニンの一次粒子が小さいため、図4に示すような粗大粒子を含むチタニルフタロシアニンを分散するような強いシェアを与えずとも所望の分散(平均粒子サイズを、0.25μm以下、好ましくは0.2μm以下にすること)が可能である。この結果、前述の如き、過度の分散によって粒子の一部が所望の結晶型でない結晶型へと転移し易い結果を生むことはない。
この2種類の分散液の平均粒径並びに粒度分布を公知の方法に従って、市販の粒度分布測定装置(堀場製作所製:超遠心式自動粒度分布測定装置、CAPA700)により測定した。その結果を図8に示す。図8における「A」が図6に示す分散液に対応し、「B」が図7に示す分散液に対応する。両者を比較すると、粒度分布に関してはほとんど差が認められない。また、両者の平均粒径値は、「A」が0.29μm、「B」が0.28μmと求められ、測定誤差を加味した上では、両者に全くの差異が認められない。
このような事実に対して、結晶変換時に作製される一次粒子をできる限り小さいものを作製することは有効な手段である。このために、結晶変換溶媒を前述のように適正なものを選択し、結晶変換効率を高めつつ、結晶変換を短時間に完了させるために、溶媒とチタニルフタロシアニン水ペースト(前述の如き作製した原料)を充分に接触させるために強い撹拌を用いるような手法は有効であることがわかる。
その後、分別されたチタニルフタロシアニン結晶は、必要に応じて加熱乾燥される。加熱乾燥に使用する乾燥機は、公知のものがいずれも使用可能であるが、大気下で行う場合には送風型の乾燥機が好ましい。更に、乾燥速度を早め、本発明の効果をより顕著に発現させるために減圧下の乾燥も非常に有効な手段である。特に、高温で分解する、あるいは結晶型が変化するような材料に対しては有効な手段である。特に10mmHgよりも真空度が高い状態で乾燥することが有効である。
1つは、先に作製したチタニルフタロシアニン結晶を有機溶媒中で処理する方法である。使用される有機溶媒としては、27.2゜に最大回折ピークを有し、26.3°にピークを有さない結晶型を、26.3゜に回折ピークを有する結晶型に変換できる溶媒であればいかなるものも使用できるが、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、アセトン、2―ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素、テトラヒドロフランなどの環状エーテル類が良好に用いられる。有機溶媒の処理に関しては、前記チタニルフタロシアニン結晶を有機溶媒中にそのまま浸漬させておくだけでも構わないが、撹拌、超音波印加などの補助手段を併用することにより、処理時間を短縮することができ、有効である。有機溶媒による処理を行った後、濾過分別して、再び乾燥を行うことにより、目的とするチタニルフタロシアニン結晶を得ることができる。
既に述べたように、CuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶は、熱エネルギー・機械的シェア等のストレスにより他の結晶型に容易に結晶転移をすることが知られている。本発明で用いるチタニルフタロシアニン結晶もこの傾向は変わらない。すなわち、微細な粒子を含む分散液を作製するためには、分散方法の工夫も必要であるが、結晶型の安定性と微粒子化はトレード・オフの関係になりがちである。分散条件を最適化することによりこれを回避する方法はあるが、いずれも製造条件を極めて狭くしてしまうものであり、より簡便な方法が望まれている。この問題を解決するために、以下に示すような方法も有効な手段である。
分散液の作製に関しては一般的な方法が用いられ、前記チタニルフタロシアニン結晶を必要に応じてバインダー樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル、超音波などを用いて分散することで得られるものである。この際、バインダー樹脂は感光体の静電特性などにより、また溶媒は顔料へのぬれ性、顔料の分散性などにより選択すればよい。
即ち、(1)微細化チタニルフタロシアニンを合成し、これを使用することにより、分散時間の短縮化・分散ストレスの低減化が図れ、分散における結晶転移の可能性が小さくなる。(2)分散によって残存する粗大粒子サイズが、微細化しない場合よりも小さいため、より小さなフィルターを使用することが可能になり、粗大粒子の除去効果がより確実なものとなる。また、除去されるチタニルフタロシアニン粒子量が低減し、濾過前後における分散液組成の変化が少なく、安定した製造が可能になる。(3)その結果、製造される感光体は安定して地汚れ耐性の高い感光体が製造されることになる。
使用するチタニルフタロシアニン結晶を粉末状態で、一般的なX線回折装置にて、X線回折スペクトルを測定する。得られたスペクトルに対して、ベースライン補正を行った後、26.3±0.2゜のピーク強度、および27.2±0.2゜のピーク強度を求める。その値を用いて、26.3±0.2゜のピーク強度を27.2±0.2゜のピーク強度で割った値が、本発明で言うところのピーク強度比である。
ピーク強度比(%)=
(26.3±0.2゜のピーク強度/27.2±0.2゜のピーク強度)×100
なお、ピーク強度比が1%以下になるような場合には、広い範囲での測定ではベースラインの補正が難しい場合がある。その場合には、測定範囲を狭めて(例えば、25〜30゜の範囲で測定する等)、再測定を行うことにより、より正確に強度比を求めることができる。
図9は、本発明に用いられる電子写真感光体の構成例を示す断面図であり、導電性支持体1上に、導電層5、電荷ブロッキング層6、特定の結晶型を有し特定平均粒子サイズ以下のチタニルフタロシアニン結晶を含有する感光層4が順に積層された構成をとっている。
図10は、本発明に用いられる電子写真感光体の別の構成例を示す断面図であり、導電性支持体1上に、導電層5、電荷ブロッキング層6、特定の結晶型を有し特定平均粒子サイズ以下のチタニルフタロシアニン結晶を含有する電荷発生層7、電荷輸送材料を主成分とする電荷輸送層8が順に積層された構成をとっている。
図11は、本発明に用いられる電子写真感光体の更に別の構成例を示す断面図であり、導電性支持体1上に、導電層5、電荷ブロッキング層6、特定の結晶型を有し、特定平均粒子サイズ以下のチタニルフタロシアニン結晶を含有する電荷発生層7、電荷輸送材料を主成分とする電荷輸送層8、保護層9が順に積層された構成をとっている。
導電層は、感光層の塗工性向上、感光層の電気的破壊に対する保護、基体表面の欠陥の被覆等のために、導電性支持体上に導電性被膜として形成されるものである。この導電層は、電気的に十分低い抵抗であることが要求されるばかりではなく、高速の電子写真プロセスにおいて繰り返し使用される際に電荷の蓄積を防ぎ、安定した電位特性を提供するものでなければならない。
導電性の被膜は、導電性の材料を蒸着、スパッタ等の乾式成膜法により設けるか、導電性の粉体をバインダー樹脂に分散して形成される。導電性粉末としては、比抵抗106Ω・cm以下の材料が有効に用いられ、ニッケル、銅、銀、アルミニウム等の金属粉体、酸化鉄、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム等、及びそれらの混合物といった導電性金属酸化物粉末(導電性無機顔料)やカーボンブラック、繊維状カーボン等が用いられる。また、スズもしくは酸化スズもしくは両者の混合物をドープした酸化インジウムを含有する蒸着膜等も使用することが出来る。いずれの構成の場合にも、導電層の状態において感光体の使用電界強度(概ね105V/cm)における体積抵抗値として、105Ω・cmから1010Ω・cmの範囲にあることが好適である。
バインダー樹脂としては、熱硬化型樹脂が良好に使用される。特に、アルキッド/メラミン樹脂の混合物が最も良好に使用される。この際、アルキッド/メラミン樹脂の混合比は、導電層の構造及び特性を決定する重要な因子である。両者の比(重量比)が5/5〜8/2の範囲が良好な混合比の範囲として挙げることが出来る。5/5よりもメラミン樹脂がリッチであると、熱硬化の際に体積収縮が大きくなり塗膜欠陥を生じやすくなったり、感光体の残留電位を大きくする方向にあり望ましくない。また、8/2よりもアルキッド樹脂がリッチであると、感光体の残留電位低減には効果があるものの、バルク抵抗が低くなりすぎて地汚れが悪くなる方向になり望ましくない。
また、導電層の膜厚は1〜20μm、好ましくは2〜10μmとするのが適当である。膜厚が1μm未満では効果の発現性が小さく、20μmを越えると残留電位の蓄積を生じたり、塗膜表面性が低下する場合があるので望ましくない。
電荷ブロッキング層は、感光体帯電時に電極(導電性支持体)に誘起される逆極性の電荷が、支持体から導電層を経由して感光層に注入するのを防止する機能を有する層である。負帯電の場合には正孔注入防止、正帯電の場合には電子注入防止の機能を有する。電荷ブロッキング層としては、酸化アルミ層に代表される陽極酸化被膜、SiO(酸化珪素)に代表される無機系の絶縁層、特開平3−191361号公報に記載されるような金属酸化物のガラス質ネットワークから形成される層、特開平3−141363号公報に記載されるようなポリフォスファゼンからなる層、特開平3−101737号公報に記載されるようなアミノシラン反応生成物からなる層、この他には絶縁性の結着剤樹脂からなる層、硬化性の結着剤樹脂からなる層等が挙げられる。中でも湿式塗工法で形成可能な絶縁性の結着樹脂あるいは硬化性の結着樹脂から構成される層が良好に使用できる。電荷ブロッキング層は、その上に感光層を積層するものであるから、感光層を湿式塗工法で設ける場合には、これらの塗工溶媒により塗膜が侵されない材料あるいは構成からなることが肝要である。
また、整流性のある導電性高分子や、帯電極性に合わせてアクセプター(ドナー)性の樹脂・化合物などを加えて、基体からの電荷注入を抑制するなどの機能をよく持たせても良い。
電荷発生層は、電荷発生物質として、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有し、かつ26.3゜にピークを有し、結晶合成時あるいは分散液濾過処理により、平均粒子サイズを0.25μm以下にし、粗大粒子の存在しないチタニルフタロシアニン結晶を主成分とする層である。
必要に応じて電荷発生層に用いられる結着樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等があげられる。結着樹脂の量は、電荷発生物質100重量部に対し0〜500重量部、好ましくは10〜300重量部が適当である。
電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。
電荷輸送物質としては、例えばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等の電子受容性物質が挙げられる。
ここで用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなどが用いられる。中でも、環境への負荷低減等の意図から、非ハロゲン系溶媒の使用は望ましいものである。具体的には、テトラヒドロフランやジオキソラン、ジオキサン等の環状エーテルやトルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、及びそれらの誘導体が良好に用いられる。
また、上記反応性モノマーとして、全部もしくは一部に電荷輸送能を有するモノマーを使用することは非常に有効な手段である。このようなモノマーを使用することにより、網目構造中に電荷輸送部位が形成され、電荷輸送層としての機能を十分に発現することが可能となる。電荷輸送能を有するモノマーとしては、トリアリールアミン構造を有する反応性モノマーが有効に使用される。
また、上記反応性モノマーとして、全部もしくは一部に電荷輸送能を有するモノマーを使用することは非常に有効な手段である。このようなモノマーを使用することにより、網目構造中に電荷輸送部位が形成され、電荷輸送機能を十分に発現することが可能となる。電荷輸送能を有するモノマーとしては、トリアリールアミン構造を有する反応性モノマーが有効に使用される。
また、感光体の保護層に用いられるフィラー材料のうち有機性フィラー材料としては、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末、a−カーボン粉末等が挙げられ、無機性フィラー材料としては、銅、スズ、アルミニウム、インジウムなどの金属粉末、シリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物、チタン酸カリウムなどの無機材料が挙げられる。特に、フィラーの硬度の点からは、この中でも無機材料を用いることが有利である。特に、シリカ、酸化チタン、アルミナが有効に使用できる。
また、使用するフィラーの体積平均粒径は、0.1μm〜2μmの範囲が良好に使用され、好ましくは0.3μm〜1μmの範囲である。この場合、平均粒径が小さすぎると耐摩耗性が十分に発揮されず、大きすぎると塗膜の表面性が悪くなったり、塗膜そのものが形成できなかったりするからである。
また、本発明で使用するフィラーのpHも解像度やフィラーの分散性に大きく影響する。その理由の一つとしては、フィラー、特に金属酸化物は製造時に塩酸等が残存することが考えられる。その残存量が多い場合には、画像ボケの発生は避けられず、またそれは残存量によってはフィラーの分散性にも影響を及ぼす場合がある。
ここで、本発明におけるフィラーのpHは、ゼータ電位から等電点におけるpH値を記載した。この際、ゼータ電位の測定は、大塚電子(株)製レーザーゼータ電位計にて測定した。
更に、これらのフィラーは少なくとも一種の表面処理剤で表面処理させることが可能であり、そうすることがフィラーの分散性の面から好ましい。フィラーの分散性の低下は残留電位の上昇だけでなく、塗膜の透明性の低下や塗膜欠陥の発生、さらには耐摩耗性の低下をも引き起こすため、高耐久化あるいは高画質化を妨げる大きな問題に発展する可能性がある。表面処理剤としては、従来用いられている表面処理剤すべてを使用することができるが、フィラーの絶縁性を維持できる表面処理剤が好ましい。例えば、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリング剤、高級脂肪酸等、あるいはこれらとシランカップリング剤との混合処理や、Al2O3、TiO2、ZrO2、シリコーン、ステアリン酸アルミニウム等、あるいはそれらの混合処理がフィラーの分散性及び画像ボケの点からより好ましい。シランカップリング剤による処理は、画像ボケの影響が強くなるが、上記の表面処理剤とシランカップリング剤との混合処理を施すことによりその影響を抑制できる場合がある。表面処理量については、用いるフィラーの平均一次粒径によって異なるが、3〜30wt%が適しており、5〜20wt%がより好ましい。表面処理量がこれよりも少ないとフィラーの分散効果が得られず、また多すぎると残留電位の著しい上昇を引き起こす。これらフィラ−材料は単独もしくは2種類以上混合して用いられる。フィラーの表面処理量に関しては、上述のようにフィラー量に対する使用する表面処理剤の重量比で定義される。
また、保護層には残留電位低減、応答性改良のため、電荷輸送物質を含有しても良い。電荷輸送物質は、電荷輸送層の説明のところに記載した材料を用いることができる。電荷輸送物質として、低分子電荷輸送物質を用いる場合には、保護層中における濃度傾斜を設けても構わない。耐摩耗性向上のため、表面側を低濃度にすることは有効な手段である。ここで言う濃度とは、保護層を構成する全材料の総重量に対する低分子電荷輸送物質の重量の比を表し、濃度傾斜とは上記重量比において表面側において濃度が低くなるような傾斜を設けることを示す。また、高分子電荷輸送物質を用いることは、感光体の耐久性を高める点で非常に有利である。
保護層の形成法としては通常の塗布法が採用される。なお保護層の厚さは0.1〜10μm程度が適当である。また、以上のほかに真空薄膜作成法にて形成したa−C、a−SiCなど公知の材料を保護層として用いることができる。
図12は、本発明の画像形成プロセスおよび画像形成装置を説明するための概略図であり、下記に示すような変形例も本発明の範疇に属するものである。
図12において、感光体11は導電性支持体上に少なくとも導電層、電荷ブロッキング層、感光層が設けられてなり、感光層にはCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、かつ26.3゜にピークを有し、一次粒子の平均粒子サイズが0.25μm以下であるチタニルフタロシアニン結晶を含有してなる。感光体11はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであっても良い。帯電ローラ13、転写前チャージャ17、転写チャージャ20、分離チャージャ21、クリーニング前チャージャ23には、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャー)、帯電ローラ、転写ローラを始めとする公知の手段が用いられる。
ここでいう接触方式の帯電部材とは、感光体表面に帯電部材の表面が接触するタイプのものであり、帯電ローラ、帯電ブレード、帯電ブラシの形状がある。中でも帯電ローラや帯電ブラシが良好に使用される。
前記方式を用いることで、帯電効率が高くオゾン発生量が少ない、装置の小型化が可能、さらには、トナー等による汚れが生じない、接触による機械的摩耗が発生しない等の利点を有していることから良好に使用される。さらに印加方式としては、交流重畳を用いることでより帯電ムラが生じにくい等の利点を有し、良好に使用できる。
除電ランプ12等の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
かかる光源等は、図12に示される工程の他に光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程、あるいは前露光などの工程を設けることにより、感光体に光が照射される。
これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られ、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。
かかる現像手段には、公知の方法が適用されるし、また、除電手段にも公知の方法が用いられる。
一方、光照射工程は、像露光、クリーニング前露光、除電露光が図示されているが、他に転写前露光、像露光のプレ露光、およびその他公知の光照射工程を設けて、感光体に光照射を行うこともできる。
図16において、符号61C,61M,61Y,61Kはドラム状の感光体であり、感光体61は導電性支持体上に少なくとも導電層、電荷ブロッキング層、感光層が設けられてなり、感光層にはCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、かつ26.3゜にピークを有し、一次粒子の平均粒子サイズが0.25μm以下であるチタニルフタロシアニン結晶を含有してなる。
また、上記感光体を用い、繰り返し画像形成(出力)を行っても異常画像発生の少ない画像形成装置が提供される。具体的には、地汚れや濃度低下、ハーフトーン画像における濃度ムラといったネガ・ポジ現像使用時の最大の課題を解決した高耐久で、安定動作が可能な画像形成装置が提供される。また、環境依存性が小さく、あらゆる環境においても安定動作が可能な画像形成装置が提供される。
更には、上記感光体を用い、高耐久で取扱いが良好な画像形成装置用プロセスカートリッジが提供される。
まず、本発明に用いた電荷発生材料の合成例について述べる。
(比較合成例1)
特開2001−187794号公報に準じて、顔料を作製した。1,3−ジイミノイソインドリン292gとスルホラン2000mlを混合し、窒素気流下でチタニウムテトラブトキシド204gを滴下する。滴下終了後、徐々に180℃まで昇温し、反応温度を170℃〜180℃の間に保ちながら5時間撹拌して反応を行った。反応終了後、放冷した後析出物を濾過し、クロロホルムで粉体が青色になるまで洗浄し、つぎにメタノールで数回洗浄し、さらに80℃の熱水で数回洗浄した後乾燥し、粗チタニルフタロシアニンを得た。粗チタニルフタロシアニンを20倍量の濃硫酸に溶解し、100倍量の氷水に撹拌しながら滴下し、析出した結晶をろ過、ついで洗浄液が中性になるまで水洗いを繰り返し(洗浄後のイオン交換水のpH値は6.8であった)、チタニルフタロシアニン顔料のウェットケーキ(水ペースト)を得た。得られたこのウェットケーキ(水ペースト)400gをテトラヒドロフラン2000gに投入し、4時間攪拌を行った後、濾過を行い、乾燥して、チタニルフタロシアニン粉末を得た。更に、このチタニルフタロシアニン結晶30gをテトラヒドロフラン300gに浸漬し、2回目の結晶変換を行った。12時間浸漬放置した後、濾過分別し、上記と同じ条件で減圧乾燥を行い、本発明で用いるチタニルフタロシアニン結晶を得た。これを顔料1とする。上記ウェットケーキの固形分濃度は、15wt%であった。結晶変換溶媒のウェットケーキに対する重量比は33倍である。尚、比較合成例1の原材料には、ハロゲン化物を使用していない。
比較合成例1の方法に従って、チタニルフタロシアニン顔料の水ペーストを合成し、次のように結晶変換を行い、比較合成例1よりも一次粒子の小さなフタロシアニン結晶を得た。
比較合成例1で得られた結晶変換前の水ペースト600部にテトラヒドロフラン4000部を加え、室温下でホモミキサー(ケニス、MARKIIfモデル)により強烈に撹拌(2000rpm)し、ペーストの濃紺色の色が淡い青色に変化したら(撹拌開始後20分)、撹拌を停止し、直ちに減圧濾過を行った。濾過装置上で得られた結晶をテトラヒドロフランで洗浄し、顔料のウェットケーキを得た。これを減圧下(5mmHg)、70℃で2日間乾燥して、チタニルフタロシアニン結晶88部を得た。
更に、このチタニルフタロシアニン結晶30gをテトラヒドロフラン300gに浸漬し、2回目の結晶変換を行った。12時間浸漬放置した後、濾過分別し、上記と同じ条件で減圧乾燥を行い、本発明で用いるチタニルフタロシアニン結晶を得た。これを顔料2とする。合成例1の原材料には、ハロゲン化物を使用していない。上記ウェットケーキの固形分濃度は、15wt%であった。結晶変換溶媒のウェットケーキに対する重量比は44倍である。
合成例1における2回目の結晶変換操作を下記の通りの条件に変更した以外は、合成例1と同様に処理を行い、本発明のチタニルフタロシアニン結晶(図18参照)を得た。これを顔料3とする。
(2回目の結晶変換処理)
1回目の結晶変換処理を行ったチタニルフタロシアニン結晶30gを、市販のミキサーにより機械的剪断力を5分間与えた後、粉末を取り出した。
合成例1における2回目の結晶変換操作を下記の通りの条件に変更した以外は、合成例1と同様に処理を行い、本発明のチタニルフタロシアニン結晶を得た。これを顔料4とする。
(2回目の結晶変換処理)
1回目の結晶変換処理を行ったチタニルフタロシアニン結晶30gを、2kgのφ6mmのジルコニアボールと共に、φ90mmのガラスポットに投入し、乾式ミリングを10分間行った後、粉末を取り出した。
比較合成例1における2回目の結晶変換溶媒をテトラヒドロフランからメタノールに変更した以外は、比較合成例1と同様に処理を行い、チタニルフタロシアニン結晶を得た。これを顔料5とする。
(比較合成例3)
比較合成例1において、1回目の結晶変換溶媒として、テトラヒドロフランの代わりに2−ブタノンを用い、2回目の結晶変換を行わない以外は、比較合成例1と同様に処理を行い、チタニルフタロシアニン結晶を得た。これを顔料6とする。
上述のように得られた水ペーストの乾燥粉末と、合成例1〜3および比較合成例1〜3で得られたチタニルフタロシアニン結晶についてのX線回折スペクトルを以下に示す条件で測定した。水ペーストの乾燥粉末のX線回折スペクトルを図17に示す。
X線管球:Cu
電圧:40kV
電流:20mA
走査速度:1°/分
走査範囲:3°〜40°
時定数:2秒
比較合成例2で得られたチタニルフタロシアニン結晶のX線回折スペクトルを図19に示すが、26.3°にピークを示さないものであった。
比較合成例3で得られたチタニルフタロシアニン結晶のX線回折スペクトルを図20に示すが、最低角が7.5°に存在するものであった。
特開平1−299874号(特許第2512081号)公報、実施例1に記載の方法に準じて、顔料を作製した。すなわち、先の合成例1で作製したウェットケーキを乾燥し、乾燥物1gをポリエチレングリコール50gに加え、100gのガラスビーズと共に、サンドミルを行った。結晶転移後、希硫酸、水酸化アンモニウム水溶液で順次洗浄し、乾燥して顔料を得た。これを顔料7とする。
特開平3−269064号(特許第2584682号)公報、製造例1に記載の方法に準じて、顔料を作製した。すなわち、先の合成例1で作製したウェットケーキを乾燥し、乾燥物1gをイオン交換水10gとモノクロルベンゼン1gの混合溶媒中で1時間撹拌(50℃)した後、メタノールとイオン交換水で洗浄し、乾燥して顔料を得た。これを顔料8とする。
特開平2−8256号(特公平7−91486号)公報の製造例に記載の方法に準じて、顔料を作製した。すなわち、フタロジニトリル9.8gと1−クロロナフタレン75mlを撹拌混合し、窒素気流下で四塩化チタン2.2mlを滴下する。滴下終了後、徐々に200℃まで昇温し、反応温度を200℃〜220℃の間に保ちながら3時間撹拌して反応を行った。反応終了後、放冷し130℃になったところ熱時ろ過し、次いで1−クロロナフタレンで粉体が青色になるまで洗浄、次にメタノールで数回洗浄し、さらに80の熱水で数回洗浄した後、乾燥し顔料を得た。これを顔料9とする。
特開昭64−17066号(特公平7−97221号)公報、合成例1に記載の方法に準じて、顔料を作製した。すなわち、α型TiOPc5部を食塩10gおよびアセトフェノン5gと共にサンドグラインダーにて100℃にて10時間結晶変換処理を行った。これをイオン交換水及びメタノールで洗浄し、希硫酸水溶液で精製し、イオン交換水で酸分がなくなるまで洗浄した後、乾燥して顔料を得た。これを顔料10とする。
特開平11−5919号(特許第3003664号)公報、実施例1に記載の方法に準じて、顔料を作製した。すなわち、O−フタロジニトリル20.4部、四塩化チタン部7.6部をキノリン50部中で200℃にて2時間加熱反応後、水蒸気蒸留で溶媒を除き、2%塩化水溶液、続いて2%水酸化ナトリウム水溶液で精製し、メタノール、N,N−ジメチルホルムアミドで洗浄後、乾燥し、チタニルフタロシアニンを得た。このチタニルフタロシアニン2部を5℃の98%硫酸40部の中に少しずつ溶解し、その混合物を約1時間、5℃以下の温度を保ちながら攪拌する。続いて硫酸溶液を高速攪拌した400部の氷水中に、ゆっくりと注入し、析出した結晶を濾過する。結晶を酸が残量しなくなるまで蒸留水で洗浄し、ウェットケーキを得る。そのケーキをTHF100部中で約5時間攪拌を行い、ろ過、THFによる洗浄を行い乾燥後、顔料を得た。これを顔料11とする。
特開平3−255456号(特許第3005052号)公報、合成例2に記載の方法に準じて、顔料を作製した。すなわち、左記の合成例1で作製したウェットケーキ10部を塩化ナトリウム15部とジエチレングリコール7部に混合し、80℃の加熱下で自動乳鉢により60時間ミリング処理を行った。次に、この処理品に含まれる塩化ナトリウムとジエチレングリコールを完全に除去するために充分な水洗を行った。これを減圧乾燥した後にシクロヘキサノン200部と直径1mmのガラスビーズを加えて、30分間サンドミルにより処理を行い、顔料を得た。これを顔料12とする。
特開平11−5919号(特許第3003664号)公報、実施例4に記載の方法に準じて、顔料を作製した。すなわち、先の比較合成例7で得られたウェットケーキを5%の塩酸で洗浄し、中性になるまで水洗・濾過を行い、乾燥した。更にこれをTHFと共にボールミルで10時間分散し、濾過・乾燥して顔料粉末を得た。これを顔料13とする。
特開平5−134437号(特許第3196260号)公報、製造例1及び製造例2に記載の方法に準じて、顔料を作製した。
即ち、フタロジニトリル97.5gをα−クロロナフタレン750ml中に加え、次に窒素雰囲気下で四塩化チタン22mlを滴下する。滴下後昇温し、撹拌しながら200〜220で3時間反応させた後、放冷し、100〜130で熱時濾過し、100℃に加熱したα−クロロナフタレン200mlで洗浄した。更に200mlのN−メチルピロリドンで熱懸洗処理(100℃、1時間)を3回行った。続いてメタノール300mlで室温にて懸洗しさらにメタノール500mlで1時間熱懸洗を3回行った。これをフタロシアニン1とする。
更に、特開平5−134437号の実施例1に準じて、フタロシアニン1およびフタロシアニン2をそれぞれ6重量部および4重量部混合し、n−プロパノール200重量部を加え、サンドグラインドミルで10時間粉砕、微粒化分散処理を行った。これを乾燥して、フタロシアニン粉末を得た。これを顔料14とする。
上述のように観察されたTEM像をTEM写真として撮影し、映し出されたチタニルフタロシアニン粒子(針状に近い形)を30個任意に選び出し、それぞれの長径の大きさを測定する。測定した30個体の長径の算術平均を求めて、平均粒子サイズとした。
以上の方法により求められた合成例1における水ペースト中の平均粒子サイズは、0.06μmであった。
表1から、比較合成例1で作製された顔料1は、平均粒子サイズが大きいだけでなく、粗大粒子を含んでいる。これに対し、合成例1で作製された顔料2は、平均粒子サイズが小さいだけでなく、個々の一次粒子の大きさもほぼ揃っていることが分かる。
なお、表2中の26.3°のピーク強度とは、前述の通り、26.3°のピーク強度の27.2°のピーク強度の比である。この計算に際して、図18のように26.3°のピークが明確に観測されない場合には、ピーク強度=0として計算を行った。
比較合成例1で作製した顔料1を下記組成の処方にて、下記に示す条件にて分散を行い電荷発生層用塗工液として、分散液を作製した。
チタニルフタロシアニン顔料(顔料1) 15部
ポリビニルブチラール(積水化学製:BX−1) 10部
2−ブタノン 280部
市販のビーズミル分散機に直径0.5mmのPSZボールを用い、ポリビニルブチラールを溶解した2−ブタノンおよび顔料を全て投入し、ローター回転数1200r.p.m.にて30分間分散を行い、分散液を作製した(分散液1とする)。
分散液作製例1で使用した顔料1に変えて、それぞれ合成例1〜3及び比較合成例2〜12で作製した顔料2〜15を使用して、分散液作製例1と同じ条件にて分散液を作製した(顔料番号に対応して、それぞれ分散液2〜15とする)。
(分散液作製例16)
分散液作製例1で作製した分散液1を、アドバンテック社製、コットンワインドカートリッジフィルター、TCW−1−CS(有効孔径1μm)を用いて、濾過を行った。濾過に際しては、ポンプを使用し、加圧状態で濾過を行った(分散液16とする)。
分散液作製例16で使用したフィルターを、アドバンテック社製、コットンワインドカートリッジフィルター、TCW−3−CS(有効孔径3μm)に変えた以外は、分散液作製例16と同様に加圧濾過を行い分散液を作製した(分散液17とする)。
(分散液作製例18)
分散液作製例15で使用したフィルターを、アドバンテック社製、コットンワインドカートリッジフィルター、TCW−5−CS(有効孔径5μm)に変えた以外は、分散液作製例16と同様に加圧濾過を行い分散液を作製した(分散液18とする)。
(分散液作製例19)
分散液作製例1における分散条件を下記の通り変更して、分散を行った(分散液19とする)。
ローター回転数:1000r.p.m.にて20分間分散を行った。
(分散液作製例20)
分散液作製例19で作製した分散液をアドバンテック社製、コットンワインドカートリッジフィルター、TCW−1−CS(有効孔径1μm)を用いて、濾過を行った。濾過に際しては、ポンプを使用し、加圧状態で濾過を行った。濾過の途中でフィルターが目詰まりを起こして、全ての分散液を濾過することが出来なかった。このため以下の評価は未実施である。
以上のように作製した分散液中の顔料粒子の粒度分布を、堀場製作所:CAPA−700にて測定した。結果を表3に示す。
直径60mmのアルミニウムシリンダー(JIS1050)に、下記組成の導電層塗工液、電荷ブロッキング層塗工液、電荷発生層塗工液、および電荷輸送層塗工液を、順次塗布・乾燥し、10μmの導電層、0.5μmの電荷ブロッキング層、電荷発生層、23μmの電荷輸送層を形成し、積層感光体を作製した(感光体1とする)。なお、電荷発生層の膜厚は、780nmにおける電荷発生層の透過率が20%になるように調整した。電荷発生層の透過率は、下記組成の電荷発生層塗工液を、ポリエチレンテレフタレートフィルムを巻き付けたアルミシリンダーに感光体作製と同じ条件で塗工を行い、電荷発生層を塗工していないポリエチレンテレフタレートフィルムを比較対照とし、市販の分光光度計
(島津:UV−3100)にて、780nmの透過率を評価した。
酸化錫−酸化アンチモン粉末(比抵抗:106Ω・cm、平均一次粒径0.4μm)
140部
アルキッド樹脂[ベッコライトM6401−50−S(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製] 33.6部
メラミン樹脂[スーパーベッカミンL−121−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製] 18.7部
2−ブタノン 100部
上記組成で、アルキッド樹脂とメラミン樹脂の比は、6/4重量比である。
◎電荷ブロッキング層
アルコール可溶性ナイロン(東レ:アミランCM8000) 4部
メタノール 70部
n−ブタノール 30部
◎電荷発生層塗工液
先に作製した分散液1を用いた。
ポリカーボネート(TS2050:帝人化成社製) 10部
下記構造式の電荷輸送物質 7部
比較例1で使用した電荷発生層塗工液(分散液1)をそれぞれ、分散液2〜19に変更した以外は、比較例1と同様に感光体を作製した。なお、電荷発生層の膜厚は、比較例1と同様に、すべての塗工液を用いた場合に780nmの透過率が20%になるように調整した。実施例番号と使用した分散液の対応は、表4に示す。
実施例1において、電荷ブロッキング層を設けない以外は、実施例1と同様に感光体を作製した。
実施例1において、導電層を設けない以外は、実施例1と同様に感光体を作製した。
(比較例17)
実施例1において、10μmの導電層の代わりに下記下引き層用塗工液を用いて10μmの下引き層を形成した以外は実施例1と同様に0.5μmの電荷ブロッキング層、電荷発生層、23μmの電荷輸送層を設けて感光体を作製した。
◎下引き層塗工液
酸化チタン微粒子
(比抵抗:1.5×1010Ω・cm、平均一次粒径:0.5μm) 84部
アルキッド樹脂[ベッコライトM6401−50−S(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製] 33.6部
メラミン樹脂[スーパーベッカミンL−121−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製] 18.7部
2−ブタノン 100部
上記組成で、アルキッド樹脂とメラミン樹脂の比は、6/4重量比である。
実施例1において、電荷ブロッキング層の膜厚を0.3μmとした以外は、実施例1と同様に感光体を作製した。
(実施例7)
実施例1において、電荷ブロッキング層の膜厚を1.0μmとした以外は、実施例1と同様に感光体を作製した。
(実施例8)
実施例1において、電荷ブロッキング層の膜厚を2.0μmとした以外は、実施例1と同様に感光体を作製した。
(実施例9)
実施例1において、電荷ブロッキング層の膜厚を0.1μmとした以外は、実施例1と同様に感光体を作製した。
実施例1において、導電層塗工液を下記組成のものに変更した以外は、実施例1と同様に感光体を作製した。
◎導電層塗工液
酸化インジウム(比抵抗:104Ω・cm) 144部
アルキッド樹脂[ベッコライトM6401−50−S(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製] 33.6部
メラミン樹脂[スーパーベッカミンL−121−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製] 18.7部
2−ブタノン 300部
上記組成で、アルキッド樹脂とメラミン樹脂の比は、6/4重量比である。
実施例1において、導電層塗工液を下記組成のものに変更した以外は、実施例1と同様に感光体を作製した。
◎導電層塗工液
導電性酸化チタン(比抵抗:7.1×104Ω・cm) 84部
アルキッド樹脂[ベッコライトM6401−50−S(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製] 33.6部
メラミン樹脂[スーパーベッカミンL−121−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製] 18.7部
2−ブタノン 100部
上記組成で、アルキッド樹脂とメラミン樹脂の比は、6/4重量比である。
実施例1において、導電層塗工液を下記組成のものに変更した以外は、実施例1と同様に感光体を作製した。
◎導電層塗工液
導電性酸化チタン(比抵抗:50Ω・cm) 42部
酸化チタン微粒子(比抵抗:1.5×1010Ω・cm) 42部
アルキッド樹脂[ベッコライトM6401−50−S(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製] 33.6部
メラミン樹脂[スーパーベッカミンL−121−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製] 18.7部
2−ブタノン 100部
上記組成で、アルキッド樹脂とメラミン樹脂の比は、6/4重量比である。
実施例1において、電荷ブロッキング層塗工液を下記組成のものに変更した以外は、実施例1と同様に感光体を作製した。
◎電荷ブロッキング層塗工液
アルキッド樹脂[ベッコライトM6401−50−S(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製] 33.6部
メラミン樹脂[スーパーベッカミンL−121−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製] 18.7部
2−ブタノン 500部
実施例1において、導電層塗工液を下記組成のものに変更した以外は、実施例1と同様に感光体を作製した。
◎導電層塗工液
酸化錫−酸化アンチモン粉末(比抵抗:106Ω・cm、平均一次粒径0.4μm)
140部
アルキッド樹脂[ベッコライトM6401−50−S(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製] 22.4部
メラミン樹脂[スーパーベッカミンL−121−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製] 28部
2−ブタノン 100部
アルキッド樹脂とメラミン樹脂の比は、4/6重量比である。
実施例1において、導電層塗工液を下記組成のものに変更した以外は、実施例1と同様に感光体を作製した。
◎導電層塗工液
酸化錫−酸化アンチモン粉末(比抵抗:106Ω・cm、平均一次粒径0.4μm)
140部
アルキッド樹脂[ベッコライトM6401−50−S(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製] 28部
メラミン樹脂[スーパーベッカミンL−121−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製] 23.3部
2−ブタノン 100部
アルキッド樹脂とメラミン樹脂の比は、5/5重量比である。
実施例1において、導電層塗工液を下記組成のものに変更した以外は、実施例1と同様に感光体を作製した。
◎導電層塗工液
酸化錫−酸化アンチモン粉末(比抵抗:106Ω・cm、平均一次粒径0.4μm)
140部
アルキッド樹脂[ベッコライトM6401−50−S(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製] 39.2部
メラミン樹脂[スーパーベッカミンL−121−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製] 14部
2−ブタノン 100部
アルキッド樹脂とメラミン樹脂の比は、7/3重量比である。
実施例1において、導電層塗工液を下記組成のものに変更した以外は、実施例1と同様に感光体を作製した。
◎導電層塗工液
酸化錫−酸化アンチモン粉末(比抵抗:106Ω・cm、平均一次粒径0.4μm)
140部
アルキッド樹脂[ベッコライトM6401−50−S(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製] 44.8部
メラミン樹脂[スーパーベッカミンL−121−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製] 9.3部
2−ブタノン 100部
アルキッド樹脂とメラミン樹脂の比は、8/2重量比である。
実施例1において、導電層塗工液を下記組成のものに変更した以外は、実施例1と同様に感光体を作製した。
◎導電層塗工液
酸化錫−酸化アンチモン粉末(比抵抗:106Ω・cm、平均一次粒径0.4μm)
140部
アルキッド樹脂[ベッコライトM6401−50−S(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製] 50.4部
メラミン樹脂[スーパーベッカミンL−121−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製] 4.7部
2−ブタノン 100部
アルキッド樹脂とメラミン樹脂の比は、9/1重量比である。
実施例1において、導電層塗工液を下記組成のものに変更した以外は、実施例1と同様に感光体を作製した。
◎導電層塗工液
酸化錫−酸化アンチモン粉末(比抵抗:106Ω・cm、平均一次粒径0.4μm)
140部
アルコール可溶性ナイロン(東レ:アミランCM8000) 24部
メタノール 300部
n−ブタノール 130部
以上のように作製した実施例1〜19および比較例1〜17の電子写真感光体を図12に示す電子写真装置に搭載し、画像露光光源を780nmの半導体レーザー(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み)、帯電部材として接触方式の帯電ローラ、転写部材として転写ベルトを用い、下記の帯電条件にて、書き込み率6%のチャートを用い、連続20万枚印刷を行った。その後の白ベタおよびハーフトーン画像を出力、評価し、地汚れの有無、モアレの有無、画像濃度を確認した。尚、地汚れ画像評価は4段階にて行い、極めて良好なものを◎、良好なものを○、やや劣るものを△、非常に悪いものを×で表わした。
これらの評価は、22℃−55%RH、10℃−15%RH、30℃−90%RHの3環境にて行った。以上の結果を表4〜6に示す。
帯電条件:
DCバイアス:−900V
ACバイアス:2.0kV(Peak to peak)、周波数:2.0kHz
実施例1における電荷輸送層塗工液を以下の組成のものに変更した以外は、実施例1と同様に感光体を作製した。
◎電荷輸送層塗工液
下記組成の高分子電荷輸送物質(重量平均分子量:約143000) 10部
実施例1における電荷輸送層の膜厚を18μmとし、電荷輸送層上に下記組成の保護層塗工液を塗布乾燥し、5μmの保護層を設けた以外は実施例1と同様に感光体を作製した。
◎保護層塗工液
ポリカーボネート(TS2050:帝人化成社製)(粘度平均分子量:5万)
10部
下記構造式の電荷輸送物質 7部
4部
シクロヘキサノン 500部
テトラヒドロフラン 150部
実施例40における保護層塗工液中のアルミナ微粒子を以下のものに変更した以外は、実施例40と同様に感光体を作製した。
酸化チタン微粒子
(比抵抗:1.5×1010Ω・cm、平均一次粒径:0.5μm) 4部
実施例40における保護層塗工液中のアルミナ微粒子を以下のものに変更した以外は、実施例40と同様に感光体を作製した。
酸化錫−酸化アンチモン粉末(比抵抗:106Ω・cm、平均一次粒径0.4μm)
4部
実施例1における電荷輸送層の膜厚を18μmとし、電荷輸送層上に下記組成の保護層塗工液を塗布乾燥し、5μmの保護層を設けた以外は実施例1と同様に感光体を作製した。
◎保護層塗工液
メチルトリメトキシシラン 100部
3%酢酸 20部
下記構造の電荷輸送性化合物 35部
硬化剤(ジブチル錫アセテート) 1部
2−プロパノール 200部
実施例1における電荷輸送層の膜厚を18μmとし、電荷輸送層上に下記組成の保護層塗工液を塗布乾燥し、5μmの保護層を設けた以外は実施例1と同様に感光体を作製した。
◎保護層塗工液
メチルトリメトキシシラン 100部
3%酢酸 20部
下記構造の電荷輸送性化合物 35部
酸化防止剤(サノール LS2626:三共化学社製) 1部
ポリカルボン酸化合物(BYK P104:ビックケミー社製) 0.4部
硬化剤(ジブチル錫アセテート) 1部
2−プロパノール 200部
以上のように作製した実施例1および実施例39〜44の電子写真感光体を図12に示す電子写真装置に搭載し、画像露光光源を780nmの半導体レーザー(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み)として、帯電部材として図13に示すような帯電ローラの両端部に厚さ50μmの絶縁テープを巻き付けた近接配置用の帯電部材(感光体と帯電部材表面間の空隙が50μm)を用い、下記の帯電条件にて、書き込み率6%のチャートを用い、連続20万枚印刷を行った。その後、白ベタおよびハーフトーン画像の出力を行い、地汚れの有無、モアレの有無及び画像濃度を確認した(試験環境は、22℃−55%RHである)。尚、地汚れの評価は4段階にて行い、極めて良好なものを◎、良好なものを○、やや劣るものを△、非常に悪いものを×で表わした。また、20万枚印刷後の感光層の摩耗量(保護層を有する場合は保護層の摩耗量)を測定した。以上の結果を表7に示す。
帯電条件:
DCバイアス:−900V
ACバイアス:2.2kV(Peak to peak)、周波数:2.0kHz
実施例45において20万枚の通紙試験の後、30℃−90%RH環境下でハーフトーン画像を出力し、画像評価を行った。
実施例45における帯電部材を近接配置用帯電部材からスコロトロン・チャージャーに変更し、感光体非画像部の表面電位を実施例45と同じ(−900V)にあわせるようにセッティングした。これ以外の条件を変更せずに、実施例45と同様に20万枚の通紙試験を行った。通紙試験の後、実施例52と同様に30℃−90%RH環境下でハーフトーン画像を出力し、画像評価を行った。
実施例45における帯電部材を近接配置用帯電部材から接触用帯電部材(空隙なし)に変更し、帯電条件を実施例45と同じ条件にセッティングした。これ以外の条件を変更せずに、実施例45と同様に20万枚の通紙試験を行った。通紙試験の後、実施例52と同様に30℃−90%RH環境下でハーフトーン画像を出力し、画像評価を行った。
実施例54における帯電条件を以下のように変更した以外は、実施例54と同様に評価を行った。
帯電条件:
DCバイアス:−1600V(初期状態の感光体非画像部の表面電位が−900V)
ACバイアス:なし
実施例45における帯電条件を以下のように変更した以外は、実施例45と同様に評価を行った。20万枚の通紙試験の後、実施例52と同様に30℃−90%RH環境下でハーフトーン画像を出力し、画像評価を行った。
帯電条件:
DCバイアス:−1600V(初期状態の感光体非画像部の表面電位が−900V)
ACバイアス:なし
実施例45で使用した帯電部材(近接帯電ローラ)のギャップを70μmに変更した以外は、実施例45と同様に評価を行った。20万枚の通紙試験の後、実施例52と同様に30℃−90%RH環境下でハーフトーン画像を出力し、画像評価を行った。
実施例45で使用した帯電部材(近接帯電ローラ)のギャップを100μmに変更した以外は、実施例45と同様に評価を行った。20万枚の通紙試験の後、実施例52と同様に30℃−90%RH環境下でハーフトーン画像を出力し、画像評価を行った。
実施例45で使用した帯電部材(近接帯電ローラ)のギャップを150μmに変更した以外は、実施例45と同様に評価を行った。20万枚の通紙試験の後、実施例52と同様に30℃−90%RH環境下でハーフトーン画像を出力し、画像評価を行った。
実施例46において20万枚の通紙試験の後、30℃−90%RH環境下でハーフトーン画像を出力し、画像評価を行った。
実施例47において20万枚の通紙試験の後、30℃−90%RH環境下でハーフトーン画像を出力し、画像評価を行った。
以上の実施例52〜61における評価結果を表8に示す。
比較例6のアルミシリンダーを直径30mmのものに変え、比較例6と同じ組成の感光体を作製した。
(比較例36)
比較例7のアルミシリンダーを直径30mmのものに変え、比較例7と同じ組成の感光体を作製した。
(比較例37)
比較例8のアルミシリンダーを直径30mmのものに変え、比較例8と同じ組成の感光体を作製した。
実施例1のアルミシリンダーを直径30mmのものに変え、実施例1と同じ組成の感光体を作製した。
(参考例5)
実施例4のアルミシリンダーを直径30mmのものに変え、実施例4と同じ組成の感光体を作製した。
(比較例38)
比較例15のアルミシリンダーを直径30mmのものに変え、比較例15と同じ組成の感光体を作製した。
(比較例39)
比較例16のアルミシリンダーを直径30mmのものに変え、比較例16と同じ組成の感光体を作製した。
(比較例40)
比較例17のアルミシリンダーを直径30mmのものに変え、比較例17と同じ組成の感光体を作製した。
以上のように作製した実施例62、参考例5及び比較例35〜40の感光体を、帯電部材と共に1つの電子写真装置用プロセスカートリッジに装着し、更に図16に示すフルカラー電子写真装置に搭載した。4つの画像形成要素は以下に示すプロセス条件にてフルカラー画像20万枚通紙試験を行った。この後に、地汚れの有無の確認、及びハーフトーン画像評価を実施した(試験環境は、22℃−55%RHである)。なお、文字抜け、地汚れ評価は4段階にて行い、極めて良好なものを◎、良好なものを○、やや劣るものを△、非常に悪いものを×で表わした。以上の結果を表9に示す。
帯電条件:
DCバイアス:−800V
ACバイアス:2.2kV(Peak to peak)、周波数 2.0kHz
帯電部材:実施例2に使用したものと同じ
書き込み:780nmのLD(ポリゴン・ミラー使用)
(測定例1)
比較合成例1で得られた顔料(最低角7.3°)に特開昭61−239248号公報に記載の顔料(最大回折ピークを7.5°に有する)と同様に作製したものを3重量%添加し、乳鉢で混合して、先程と同様にX線回折スペクトルを測定した。測定例1のX線回折スペクトルを図21に示す。
(測定例2)
比較合成例2で得られた顔料(最低角7.5°)に特開昭61−239248号公報に記載の顔料(最大回折ピークを7.5°に有する)と同様に作製したものを3重量%添加し、乳鉢で混合して、先程と同様にX線回折スペクトルを測定した。測定例2のX線回折スペクトルを図22に示す。
以上のことから、本願発明のチタニルフタロシアニン結晶における最低角ピークである7.3°は、公知のチタニルフタロシアニン結晶における7.5°のピークとは異なるものであることが判る。
2 フィラー分散層
3 樹脂層
4 感光層
5 導電層
6 電荷ブロッキング層
7 電荷発生層
8 電荷輸送層
9 保護層
11,41,51,61C,61M,61Y,61K 感光体
12 除電ランプ
13,53 帯電ローラ
15,54 画像露光部
16 現像ユニット
17 転写前チャージャ
18 レジストローラ
19 転写紙
20,45 転写チャージャ
21 分離チャージャ
22 分離爪
23 クリーニング前チャージャ
24 ファーブラシ
25,47,55 クリーニングブラシ
31 ギャップ形成部材
32 芯金
33 画像形成領域
34 非画像形成領域
42a,42b 駆動ローラ
43 帯電チャージャ
44 像露光源
46 クリーニング前露光
48 除電光源
56 現像ローラ
57 転写ローラ
62C,62M,62Y,62K 帯電部材
63C,63M,63Y,63K レーザー光
64C,64M,64Y,64K 現像部材
65C,65M,65Y,65K クリーニング部材
66C,66M,66Y,66K 画像形成要素
67 転写紙
68 給紙コロ
70 転写搬送ベルト
71C,71M,71Y,71K 転写ブラシ
Claims (25)
- 導電性支持体上に、少なくとも導電層、電荷ブロッキング層および感光層を順に積層してなる電子写真感光体において、該感光層中にCuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、7.3゜のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、かつ26.3°にピークを有する結晶型で、一次粒子の平均粒子サイズが0.25μm以下であるチタニルフタロシアニン結晶を含有し、前記チタニルフタロシアニン結晶が、CuKαの特性X線に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも7.0〜7.5゜に最大回折ピークを有し、その回折ピークの半値巾が1゜以上である一次粒子の平均粒子サイズが0.1μm以下の不定形チタニルフタロシアニンもしくは低結晶性チタニルフタロシアニンを水の存在下で有機溶媒により結晶変換を行ない、結晶変換後の一次粒子の平均粒子サイズが0.25μmより大きく成長する前に、有機溶媒より分別、濾過されたものであることを特徴とする電子写真感光体。
- 前記チタニルフタロシアニン結晶において、26.3゜のピーク強度が最大回折ピーク27.2゜のピーク強度に対して0.1〜5%の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記感光層が電荷発生層と電荷輸送層の積層構成からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真感光体
- 前記チタニルフタロシアニン結晶が、ハロゲン化物を含まない原材料を使用して合成されたものであることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の電子写真感光体。
- 前記電荷ブロッキング層が絶縁性材料からなり、その膜厚が2.0μm未満であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の電子写真感光体。
- 前記絶縁性材料がポリアミドであることを特徴とする請求項5に記載の電子写真感光体。
- 前記モアレ防止層が無機顔料とバインダー樹脂を含有し、両者の容積比が1/1乃至3/1の範囲であることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の電子写真感光体。
- 前記バインダー樹脂が熱硬化型樹脂であることを特徴とする請求項7に記載の電子写真感光体。
- 前記熱硬化型樹脂がアルキッド/メラミン樹脂の混合物であることを特徴とする請求項8に記載の電子写真感光体。
- 前記アルキッド樹脂とメラミン樹脂の混合比が、5/5〜8/2(重量比)の範囲であることを特徴とする請求項9に記載の電子写真感光体。
- 前記感光層上に保護層を有することを特徴とする請求項1乃至10の何れか一項に記載の電子写真感光体。
- 前記保護層が、比抵抗1010Ω・cm以上の無機顔料または金属酸化物を含有することを特徴とする請求項11に記載の電子写真感光体。
- 前記金属酸化物が、比抵抗1010Ω・cm以上のアルミナ、酸化チタン、シリカのいずれかであることを特徴とする請求項12に記載の電子写真感光体。
- 前記金属酸化物が、比抵抗1010Ω・cm以上のα−アルミナであることを特徴とする請求項13に記載の電子写真感光体。
- 前記保護層が、高分子電荷輸送物質を含有することを特徴とする請求項11乃至14の何れか一項に記載の電子写真感光体。
- 前記保護層のバインダー樹脂が、架橋構造を有することを特徴とする請求項11乃至14の何れか一項に記載の電子写真感光体。
- 前記架橋構造を有するバインダー樹脂の構造中に、電荷輸送部位を有することを特徴とする請求項16に記載の電子写真感光体。
- 少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及び電子写真感光体を具備してなる画像形成装置において、該電子写真感光体が請求項1乃至17の何れか一項に記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置。
- 少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及び電子写真感光体からなる画像形成要素を複数配列したことを特徴とする請求項18に記載の画像形成装置。
- 前記画像形成装置の帯電手段に、接触帯電方式を用いることを特徴とする請求項18又は19に記載の画像形成装置。
- 前記画像形成装置の帯電手段に、非接触の近接配置方式を用いることを特徴とする請求項18又は19に記載の画像形成装置。
- 前記帯電手段に用いられる帯電部材と感光体間の空隙が100μm以下であることを特徴とする請求項21に記載の画像形成装置。
- 前記画像形成装置の帯電手段として、交流重畳電圧印加を行うことを特徴とする請求項20乃至22の何れか一項に記載の画像形成装置。
- 前記画像形成装置が、感光体と少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、クリーニング手段から選ばれる1つの手段とが一体となった装置本体と着脱自在なカートリッジを搭載していることを特徴とする請求項18乃至23の何れか一項に記載の画像形成装置。
- 少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、クリーニング手段から選ばれる1つの手段と、電子写真感光体とが一体となった画像形成装置用プロセスカートリッジにおいて、該電子写真感光体が請求項1乃至17の何れか一項に記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置用プロセスカートリッジ。
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