JP4401198B2 - 亜酸化銅粉末及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、亜酸化銅粉末及びその製造方法に関し、詳しくはセラミック電子回路用基板の配線材料、セラミックコンデンサの外部電極、若しくは防汚塗料の原料を始めとする種々の用途に適用可能な亜酸化銅粉末及びその製造方法に関する。
亜酸化銅粉末は、防汚塗料の原料、電子材料、毒剤、触媒、着色剤等の用途に用いられている化合物粉末である。特に、今後、船舶等の海洋構造物に付着するイガイ、フジツボ等の海生物に対する防汚塗料の原料、あるいはセラミック電子回路用基板の配線材料や積層セラミックコンデンサの外部電極用導電ペースト用材料に期待される。さらに、亜酸化銅がP型半導体の物性を有することから、亜酸化銅粉末は、整流器や太陽電池用材料としての用途がある。
よって、今後、亜酸化銅粉末の用途の拡大、有効利用を考慮すると、上記既知の形状の粒子からなる亜酸化銅粉末に代えて、新たな形状の粒子からなる亜酸化銅粉末の開発が期待されている。
この亜酸化銅粉末の製造方法としては、種々の方法が提案されている。例えば湿式法としては、(1)塩酸含有塩化銅溶液を出発原料とし、金属銅等を溶解することにより塩化第二銅を塩化第一銅に還元し、得られた溶液をアルカリ溶液と反応させて亜酸化銅とする方法(特許文献1及び2)、(2)塩素イオン含有溶液中で、陽極を金属銅として電解する方法、(3)溶液中の銅イオンをヒドラジン等の還元剤で還元する方法等が用いられている。また、乾式法としては、(4)空気気流中で銅粉末を加熱酸化する方法、(5)銅粉と酸化第二銅粉とを混合、加工し、密閉容器中で加熱する方法等である。
特開平2003−165724号公報 特開平2003−165725号公報
上記の製造方法によって得られた亜酸化銅粉末は、立方体状粒子を主体とするもの、球状粒子を主体とするもの、紡錘状粒子を主体とするもの、もしくはこれら粒子が混在したもの等である。
今後、亜酸化銅粉末の用途の拡大、有効利用を考慮すると、上記既知の形状の粒子からなる亜酸化銅粉末に代えて、新たな形状の粒子からなる亜酸化銅粉末の開発が期待されている。
また、上記(1)又は(2)に示される湿式の製造方法では、常に塩素イオンの存在を伴うため、そして、上記(3)に示される湿式の製造方法では、塩素イオンの存在を伴うことがあるため、得られる亜酸化銅粉末を電子材料の用途に用いることは使用時の信頼性が低くなる傾向にある。
従って、本発明の目的は、従来にない特異な形状の粒子を主体とし、かつ塩素イオンを含有せず、種々の用途に有効に適用可能な亜酸化銅粉末及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、検討の結果、銅塩含有溶液にアルカリ溶液を加え一定濃度のスラリーを形成し、その後、該スラリーに還元糖を特定条件で添加し攪拌することによって、従来にない形状の亜酸化銅粉末が得られ、上記目的が達成し得ることを知見した。
<亜酸化銅粒子及び亜酸化銅粉末>
すなわち、本発明は、正六面体の各面部が、十字形の階段状凸型形態を備え、該凸型形態の上面の略中央部に、円柱状又は多角柱状の突起を備えた形状であることを特徴とする亜酸化銅粒子を提供するものである。
ここで、本件発明に係る亜酸化銅粒子に関して説明しておく、本発明に係る亜酸化銅粒子は、基本的に正六面体形状であり、各面部は各々十字形の階段状に積層された凸型形態をなし、該凸型形態の頂部が円柱状又は多角柱状に形成されている。以下、本発明に係る亜酸化銅粒子をその形状から「十字階段状亜酸化銅粒子」という。また、十字階段状亜酸化銅粒子で主として構成される本件発明に係る亜酸化銅粉末を「十字階段状亜酸化銅粉末」という。
この本発明に係る十字階段状亜酸化銅粉末の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図1〜図4に示した。ここで図1及び図2、図3及び図4は同一の十字階段状亜酸化銅粉末を、倍率を変えて観察したものである。なお、図1及び図3の低倍率SEM像は倍率2000倍、図2及び図4の高倍率SEM像は倍率5000倍である。ここで、図1〜図4を示したのは、本件発明で言う十字階段状亜酸化銅粒子の形態の幅を明示するためであり、この図1〜図4から把握できる形態が含まれるのである(なお、図3のスケールは図1のスケールと同一とし、図4のスケールは図2のスケールと同一とする。)。
また、図1〜図4に示されるように、本発明に係る十字階段状亜酸化銅粒子は、基本的に正六面体形状である。そして、正六面体形状の各々の面部は、凸型形態をなしている。この凸型形態は、十字形が階段状に積層されており、その頂部は円柱状又は多角柱状である。多角柱状としては、四角柱状、五角柱状又は六角柱状である。
また、本発明に係る十字階段状亜酸化銅粒子は、平均粒径が2μm〜15μmの範囲にあるものである。この十字階段状亜酸化銅粒子の粒径は、15μm以下の粒径を持ち電子材料分野での使用が十分に可能であり、さらに粒径が4μm〜8.5μm、5.5μm〜8.5μmの範囲となるよう、後述する製造方法の製造条件を変更することで任意に作り込みが可能である。この粒径は走査電子型顕微鏡による観察像から、目視により測定した数値である。そして、粒径とは、十字階段状亜酸化銅粒子を電子顕微鏡で観察したときの観察可能な最も長い部位の距離である。
また、本発明に係る十字階段状亜酸化銅粒子で構成する十字階段状亜酸化銅粉末は、上記亜酸化銅粒子を60%〜100%(体積%)含むことを特徴とするといえる。この意味するところは、以下に述べる製造方法をもって本件発明に係る十字階段状亜酸化銅粉末を製造すると、殆どの粉粒形状を本件発明に係る十字階段状とすることが可能である。しかしながら、製造プロセス内の工程変動等が発生するのは常であり、係る場合には十字階段状亜酸化銅粒子以外に極めて微粒の粒子が生成する場合がある。その場合に走査型電子顕微鏡の一視野の中で観察すると微粒の粒子は数多く観察され、本件発明に係る十字階段状亜酸化銅粒子は大きな粒子として観察され一視野中の個数は極めて少なく観察される場合がある。かかる場合を想定し、体積%で考えれば、経験的に60%(体積%)以上の粉粒が十字階段状であれば、本件発明に言う十字階段状亜酸化銅粉末と捉えても支障がないと考える。なお、ここで言う体積%とは、走査型電子顕微鏡を用いて倍率2000倍で観察した視野内において確認できる粉粒の体積の総和を100%とし、そこに含まれる十字階段状亜酸化銅粉末の体積の占める割合として算出した。
また、本発明に係る十字階段状亜酸化銅粉末は、上記の亜酸化銅粒子で構成される亜酸化銅粉末として、以下に示す如き粉体特性を備えるのである。ここでこのように粉体特性を明示したのは、本件発明に係る亜酸化銅粉末が、その特異な粒形状を備えるが故に、従来の亜酸化銅粉末では得られなかった効果を発揮する可能性を持ち、更には電子材料用途として十分に使用可能なレベルにある粉体特性を備えることを明らかにするためである。
本発明に係る十字階段状亜酸化銅粉末は、レーザー回折式粒度分布測定法により得られる平均粒度D50は、1μm〜14μmである。このD50の値と、上述のSEM観察像から把握できる一次粒子の平均粒径(2μm〜15μm)とを対比しても、あまり大きな差が発生していないことが分かるのである。即ち、レーザー回折式粒度分布測定法は、粒子の凝集状態が存在すれば、その凝集状態が反映され、一次粒子径よりも大きな値となる傾向にある。しかしながら、SEM観察像で分かる一次粒子の平均粒径とD50との差があまり無いと言うことは、凝集の少ない粒子分散性に優れた粉末であることの裏付けとなる。
そして、本発明に係る十字階段状亜酸化銅粉末のレーザー回折式粒度分布測定法により得られる粒度比であるD90/D10は1.4〜2.5、好ましくは1.5〜2.0となる。このD90/D10は、体積累積90%の粒径と体積累積10%の粒径との比であり、この値が小さな程、粒度分布が狭くシャープであることを意味する。従って、本件発明に係る十字階段状亜酸化銅粉末のD90/D10の値は2.5以下となり、十分にシャープな粒度分布を持つ粉末であることが理解できる。しかしながら、D90/D10の値が、1.4未満となることは殆ど無いのである。なお、本件発明において、D50、D90、D10は、それぞれレーザー回折散乱式粒度測定法による体積累積50%、90%、10%における粒径を示す。
更に、本発明に係る十字階段状亜酸化銅粉末のタップ充填密度(g/cm)は、1.5g/cm〜2.5g/cmの範囲とすることが可能である。タップ充填密度が1.5g/cm 未満の場合には、積層セラミックコンデンサの外部電極形成等に用いたときの膜密度が低くなり、電気抵抗の上昇を招くため好ましくない。一方、本件発明に係る十字階段状亜酸化銅粒子の平均粒径は、上述したように2μm〜15μmの範囲にある等の条件に依存し、タップ充填密度が2.5g/cmを超えると、セラミックス電子基板の焼成中において、バインダーのガス抜けが悪くなる。
<亜酸化銅粉末の製造方法>
本発明者らは、検討の結果、銅塩含有溶液にアルカリ溶液を加え、一定濃度のスラリーを形成し、その後該スラリーに還元糖を特定条件で添加し撹拌することによって、従来にない形状の亜酸化銅粉末が得られ、上記目的が達成し得ることを知見した。なお、製造方法に関しては、後述する実施形態で更に詳説する。
本件発明に係る製造方法は、銅塩含有溶液にアルカリ溶液を加え、濃度(酸化銅換算(CuO換算)、以下同様)0.8モル/l〜1.5モル/lのスラリーを調製し、その後、該スラリーに還元糖を添加時間5分〜60分の条件で添加し攪拌することを特徴とする亜酸化銅粉末の製造方法を提供するものである。
係る製造方法において、上記アルカリ溶液の添加量が上記スラリー中の銅元素に対して1.0当量〜1.6当量であり、上記還元糖の添加、攪拌時の液温が40℃〜80℃である上記亜酸化銅粉末の製造方法を提供するものである。
また、本件発明に係る製造方法において、上記還元糖がグルコース水溶液であり、グルコース濃度が0.1モル/l〜5モル/lであり、グルコース添加量は上記スラリー中の銅元素1モルに対して、グルコース0.2モル〜2モルである上記立方体形状の亜酸化銅粒子を含む亜酸化銅粉末の製造方法を提供するものである。
また、本件発明に係る製造方法において、上記銅塩含有溶液は、硫酸銅の水溶液である上記亜酸化銅粉末の製造方法を提供するものである。
また、更に、上記アルカリ溶液が水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液、水酸化リチウム溶液、炭酸カリウム溶液又はこれらの混合溶液である上記亜酸化銅粉末の製造方法を提供するものである。
本発明に係る亜酸化銅粉末は、従来にない形状の粒子を主体とし、かつ塩素イオンを含有しないことから、種々の用途、特に積層セラミックコンデンサの外部電極等の電子材料に有効に適用可能である。また塩素フリーの亜酸化銅粉末であるため電子デバイス等に使用した場合に塩素による不具合が発生しない。
以下、本発明に係る亜酸化銅粉末を製造するための最良の形態について説明する(なお、本件出願において、単に「還元糖」とある場合には液体状のものばかりでなく固体状のものも含むものとする。)。本発明に係る製造方法では、濃度(酸化銅(CuO)換算)0.8モル/l〜1.5モル/lのスラリーを調製する。
ここに用いられるスラリーは、硫酸銅とアルカリ溶液とを反応させたものが通常用いられるが、特に制限はされない。スラリー中の濃度(酸化銅(CuO)換算)は0.8モル/l〜1.5モル/lであり、この範囲を外れると十字階段状亜酸化銅粉末が得られ難い。更に、より好ましくは0.9モル/l〜1.2モル/lであり、この範囲において製造安定性に最も優れ、得られる十字階段状亜酸化銅粉末の粉体特性が安定化しやすいのである。
また、アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液、水酸化リチウム溶液、炭酸カリウム溶液又はこれらの混合溶液が用いられる。このアルカリ溶液の添加量は、上記スラリー中の銅元素に対して1.0当量〜1.6当量であることが望ましく、この量範囲をはずれると、得られる粒子形状が十字階段状を維持することが困難となる。より好ましくは、1.2当量〜1.6当量である。上記スラリーの濃度(酸化銅(CuO)換算)との組み合わせで考え、最も良好な製造安定性が得られるからである。
このように、銅塩含有溶液にアルカリ溶液を添加して所定濃度のスラリーを調整する際に熟成処理を行うことが好ましい。熟成処理とは、銅塩含有溶液とアルカリ溶液とを馴染ませスラリー性状を安定化させる作業のことであり、銅塩含有溶液にアルカリ溶液添加した後、撹拌を加えつつ、ある一定時間以上保持するのである。このときの熟成時間は10分〜90分が適当である。
このようにして調製されたスラリーに還元糖を特定条件下で添加、攪拌し、亜酸化銅に還元し、その後、亜酸化銅粒子を濾別し、乾燥して亜酸化銅粉末を得る。
還元糖としては、グルコース、キシロース、ガラクトース、フルクトース、マルトース、ラクトース等の各溶液及び、それらの固体が挙げられるが、好ましくはグルコース水溶液であり、その濃度は0.1モル/l〜5モル/lが望ましい。このときのトータル還元糖量はスラリー中の銅元素含有量から自ずと定まるものである。しかしながら、グルコース水溶液の濃度が0.1モル/l未満の場合には、反応が遅くなり、添加溶液量も増加することで排水負荷が大きくなり工業的観点から好ましくない。一方、グルコース水溶液の濃度が5モル/lを超えると、還元反応が局所的に起こるようになり、シャープな粒度分布を持つ十字階段状亜酸化銅粉末を製造することが困難となる。
なお、本件発明において、グルコース添加量を上記スラリー中の銅元素1モルに対して、0.2モル〜2モルが好適であるとしている。グルコース添加量を上記スラリー中の銅元素1モルに対して0.2モル未満では亜酸化銅粒子が生成しづらく、一方、グルコース添加量を上記スラリー中の銅元素1モルに対して2モル以上では銅金属粒子の析出があり得るため好ましくないためである。
上記還元糖の添加、攪拌条件は、添加時間5分〜60分、望ましくは10分〜40分、攪拌速度は200rpm〜700rpm、望ましくは300rpm〜500rpmである。この添加、攪拌条件は、還元速度を決める重要な要素であり、上述した添加条件及び撹拌速度の範囲で、十字階段状亜酸化銅粉末が効率よく得られるのであり、この範囲を外れると十字階段状亜酸化銅粉末が得られ難い。特に還元糖の添加時間と十字階段状亜酸化銅粒子の粒径との間には、ある一定の相関関係が存在する。例えば、図5に示したようなグルコースと平均SEM粒径(一次粒子径)との関係の如きものである。また、還元速度を決める重要な要素として、この際の液温は40〜80℃が好ましく用いられる。液温が40℃未満では、十字階段状亜酸化銅粉末を得るための適正な還元速度が確保できず、収率が著しく低下するのである。一方、液温が80℃を超えると、反応が速くなり過ぎて添加時間及び撹拌速度をいかに制御しても、十字階段状亜酸化銅粉末を得るための適正な還元速度が得られないのである。
このようにして得られた十字階段状亜酸化銅粒子を60%〜100%(体積%)含む十字階段状亜酸化銅粉末は、従来にない形状の粒子を主体とし、かつ塩素イオンを含有しないことから、積層セラミックコンデンサの外部電極等の電子材料を始めとして、種々の用途に有効に適用可能である。
以下、本発明を実施例及び比較例に基づき具体的に説明する。なお、実施例1〜実施例3におけるグルコース添加時間と平均粒径(SEM)との関係を図5に示す。実施例1〜実施例3は、スラリー濃度を1.1/lモルとし、グルコースの添加時間を変えた場合の平均粒径を評価したものである。
ステンレスビーカーに、硫酸銅・5水塩(CuSO・5HO)16gと適量の蒸留水とを混合し32mlの硫酸銅含有溶液を得た。そして、この溶液に、8モル/l濃度の水酸化ナトリウム溶液24mlを添加し、更に蒸留水を用いて液量調整しトータル量60mlのスラリー(酸化銅換算濃度1.1モル/l)を調製し、60分間熟成させた。
調製されたスラリーに、2.5モル/lのグルコース水溶液12.8mlを添加時間30分、攪拌速度500rpmの条件で添加、攪拌し、亜酸化銅を得た。その際の液温は60℃とした。
得られた亜酸化銅を濾別し、洗浄し、乾燥して亜酸化銅粉末を得た。この亜酸化銅粉末は、図1及び2に示されるように、すべて十字階段状亜酸化銅粒子からなるものであった。
以上のようにして得られた十字階段状亜酸化銅粒子の一次粒子の平均粒径は6.8μmであった。また、亜酸化銅粉末としての粉体特性は、タップ充填密度が、2.2g/cm、D50が、6.5μm、D90/D10が、1.5であった。
グルコース水溶液の添加時間を15分とした以外は、実施例1と同様な方法により、亜酸化銅粉末を得た。この亜酸化銅粉末は、実施例1と同様に、すべて十字階段状亜酸化銅粒子からなるものであった。
以上のようにして得られた十字階段状亜酸化銅粒子の一次粒子の平均粒径は、7.6μmであった。また、亜酸化銅粉末としての粉体特性は、タップ充填密度が、2.0g/cm、D50が、7.4μm、D90/D10が、1.9であった。
グルコース水溶液の添加時間を60分とした以外は、実施例1と同様な方法により、亜酸化銅粉末を得た。この亜酸化銅粉末は、実施例1と同様に、すべて十字階段状亜酸化銅粒子からなるものであった。
以上のようにして得られた十字階段状亜酸化銅粒子の一次粒子の平均粒径は、6.4μmであった。また、亜酸化銅粉末としての粉体特性は、タップ充填密度が、1.9g/cm、D50が、6.1μm、D90/D10が、1.6であった。
比較例1
グルコース水溶液の添加を一括で行った以外は、実施例1と同様な方法により、亜酸化銅粉末を得た。この亜酸化銅粉末は、立方体亜酸化銅粒子と角の丸い立方体亜酸化銅粒子とが混在したものであった。
以上のようにして得られた亜酸化銅粒子の一次粒子の平均粒径は、1.1μmであった。また、亜酸化銅粉末としての粉体特性は、タップ充填密度が、3.5g/cm、D50 が、1.8μm、D90/D10が、3.8であった。
比較例2
グルコース水溶液の添加時間を120分とした以外は、実施例1と同様な方法により、亜酸化銅粉末を得た。この亜酸化銅粉末は、すべて角が欠けた立方体亜酸化銅粒子からなるものであった。
以上のようにして得られた亜酸化銅粒子の一次粒子の平均粒径は、5.1μmであった。また、亜酸化銅粉末としての粉体特性は、タップ充填密度が、2.4g/cm、D50が、5.3μm、D90/D10が、1.6であった。
比較例3
スラリー濃度を1.6モル/lとした以外は、実施例3と同様な方法により、亜酸化銅粉末を得た。この亜酸化銅粉末は、角の欠けた立方体亜酸化銅粒子と微粒の立方体亜酸化銅粒子とが混在したものであった。
以上のようにして得られた亜酸化銅粒子の一次粒子の平均粒径は、2.0μmであった。また、亜酸化銅粉末としての粉体特性は、タップ充填密度が、1.4g/cm、D50が、2.1μm、D90/D10が、5.5であった。
本発明に係る十字階段状亜酸化銅粉末は、従来にない形状の粒子、すなわち十字階段状亜酸化銅粒子を主体とし、かつ塩素イオンを含有しないことから、セラミック電子回路用基板の配線材料や積層セラミックコンデンサの外部電極を始めとする電子材料、防汚塗料の原料等、種々の分野に適用可能である。また、本発明に係る製造方法によって、塩素含有化合物を用いずに、上記亜酸化銅粉末を高い生産性をもって安定して製造することができる。
図1は、本発明に係る亜酸化銅粉末の一例を示す走査型電子顕微鏡(SEM)写真(×2000)である。 図2は、本発明に係る亜酸化銅粉末の一例を示す走査型電子顕微鏡(SEM)写真(×5000)である。 図3は、本発明に係る亜酸化銅粉末の一例を示す走査型電子顕微鏡(SEM)写真(×2000)である(なお、図3のスケールは図1のスケールと同一とする。)。 図4は、本発明に係る亜酸化銅粉末の一例を示す走査型電子顕微鏡(SEM)写真(×5000)である(なお、図4のスケールは図2のスケールと同一とする。)。 図5は、実施例1〜実施例3におけるグルコース添加時間と平均一次粒径(SEM)との関係を示すグラフ。

Claims (11)

  1. 正六面体の各面部が、十字形の階段状凸型形態を備え、該凸型形態の上面の略中央部に、円柱状又は多角柱状の突起を備えた形状であることを特徴とする亜酸化銅粒子。
  2. 一次粒子の平均粒径が2μm〜15μmの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の亜酸化銅粒子。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の亜酸化銅粒子を60%〜100%(体積%)含むことを特徴とする亜酸化銅粉末。
  4. レーザー回折散乱分析法による平均粒度D50が1μm〜14μmであることを特徴とする請求項3に記載の亜酸化銅粉末。
  5. レーザー回折散乱分析法により得られる粒度比D90/D10が1.4〜2.5であることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の亜酸化銅粉末。
  6. タップ充填密度が1.5g/cm〜2.5g/cmであることを特徴とする請求項3〜請求項5のいずれかに記載の亜酸化銅粉末。
  7. 銅塩含有溶液にアルカリ溶液を加え、濃度(酸化銅(CuO)換算)0.8モル/l〜1.5モル/lのスラリーを調製し、その後、該スラリーに還元糖を添加時間5分〜60分の条件で添加し攪拌することを特徴とする亜酸化銅粉末の製造方法。
  8. 上記アルカリ溶液の添加量が上記スラリー中の銅元素に対して1.0当量〜1.6当量であり、上記還元糖の添加、攪拌時の液温が40℃〜80℃であることを特徴とする請求項7に記載の亜酸化銅粉末の製造方法。
  9. 上記還元糖がグルコース水溶液であって、グルコース溶液濃度が0.1モル/l〜5モル/lであり、グルコース添加量が上記スラリー中の銅元素1モルに対してグルコース0.2モル〜2モルであることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の亜酸化銅粉末の製造方法。
  10. 上記銅塩含有溶液は、硫酸銅であることを特徴とする請求項7〜請求項9のいずれかに記載の亜酸化銅粉末の製造方法。
  11. 上記アルカリ溶液が水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液、水酸化リチウム溶液、炭酸カリウム溶液又はこれらの混合溶液であるでことを特徴とする請求項7〜請求項10のいずれかに記載の亜酸化銅粉末の製造方法。
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