JP4400808B2 - 画像処理装置および方法、並びに記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像処理装置および方法、並びに記録媒体に関し、特に、測定対象物体の光源による影響を補正することができるようにした画像処理装置および方法、並びに記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
いわゆる2次元画像(普通の写真など)が複数毎あった場合に、その隣接する画像をつなぎ合わせる技術は、モザイク処理と呼ばれる。一般に、複数枚の画像を利用して画像のモザイク処理を行う場合、予め、それぞれの画像全体の濃淡や色調が可能な限り一致される。その後、隣接する画像が接合される境界部において、色調の変化が不連続にならないように、接合点周辺で濃度のブレンディング(融合)が施される。
【0003】
それぞれの画像全体の濃淡や色調を一致させる方法としては、系統的な補正方法がいくつかある。濃淡や色調の差を補正する方法としては、例えば、隣接する画像の重複部分のヒストグラムがなるべく一致するように、一方の画像の色調を変換するヒストグラム一致法と呼ばれるものや、あるいは、重複する部分の画素間に、線型変換が成り立つものと考えられる場合の補正方法で、最小2乗法などにより線型関係を求めて色調を変換する線型濃淡変換法と呼ばれるものがある。なお、これらについての詳細は、例えば、「“画像処理標準テキストブック”画像情報教育振興協会」などに記載されている。
【0004】
また、接合点付近でのブレンディングとしては、重なり合う部分のデータの濃度が大きく変化しないように、αブレンディングなどの方法が用いられる。この方法では、接合点の両側の所定の区間に渡って濃度が比例配分される。
【0005】
αブレンディングにおいては、例えば、濃淡の違いによってそのブレンド幅が変化されたり、あるいは、周波数の帯域毎にブレンディングが行われる。なお、これらについての詳細は、例えば、「Peter j.Burt and Edward H.Adelson,“A Multiresolution Spline With Application to Image Mosaics”,ACM Transactions on Graphics,Vol.2.NO.4,October 1983,Pages 217-236」などに記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ヒストグラム一致法や線型濃淡変換法などを、3次元センシングで得られたテクスチャ(画像)に用いた場合、物体と照明の関係などが全く考慮されていないため、テクスチャのマージ(接合)を行う際に、継ぎ目の部分における色調のつながりの不自然さを取り除くことができない。
【0007】
また、αブレンディング法の場合、接合付近において、ある程度の色調の差を埋めることはできるが、測定装置や照明を固定し、対象物体を移動させながら撮影を行う場合などには対応できない。すなわち、継ぎ目の部分における色調のつながりの補正を行うことはできても、照明に起因するバラツキを補正することはできない。
【0008】
そこで、2次元画像を対象とするモザイク処理とは別に、3次元モデルを画像として再現するための画像処理方法として、例えば、Model-Based Rendering(MBR)やImage-Based Rendering(IBR)と呼ばれるものがある。このIBRは、実際に対象物体を撮影した実画像を直接的に利用することで、写実的な画像を生成することができる。
【0009】
しかしながら、IBRの多くは、視点位置の変化に伴う幾何的な見え方の変化のみを取り扱っているため、光源変化に伴う見え方の変化とは、本質的に異なり、従来の2次元画像を対象とするモザイク処理をそのまま適用することは難しい。
【0010】
そこで、光源方向の異なる複数の実画像を入力とし、これらを適切に組み合わせることで、任意の光源方向の画像を生成するPhotometric Image-Based Renderingと呼ばれる方法がある。なお、これについての詳細は、例えば、「三橋貞彦 宮木一 向川康博 尺長健,“任意光源画像生成のためのPhotometric Image-Based Rendering”,信学技報 PRMU-98-125,pp17-24 November 1998」に記載されている。
【0011】
しかしながら、この方法では、複数の光源を用いることができない。そのため、複数の光源下でのモデルデータを作成することは難しい。
【0012】
このように、従来より提案されている方法では、対象物体を回転して、複数の角度から撮影すると、光の当り方向が変化するため、各方向からの画像中の対象物体の陰影にバラツキが生じる課題があった。
【0013】
また、上述した以外の方法としては、例えば、物体を撮影した環境を、カメラなどを使用して撮影し、光源を完全に再現する方法などが提案されている。なお、これについての詳細は、例えば、「佐藤いまり 佐藤洋一 池内克史,“光学的整合性を考慮した実画像への仮想物体の重ね込み”第3回知能情報メディアシンポジウム,23-32,December 1997」に記載されている。
【0014】
しかしながら、この方法では、魚眼レンズやCCD(Charge Coupled Device)カメラなどの高価な部品を必要とする課題があった。
【0015】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、低コストで、かつ、高精度に、光源による影響を取り除いて、対象物体の補正画像を作成することができるようにするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の画像処理装置は、対象物体の形状を測定する形状測定手段と、対象物体の画像を撮像する撮像手段と、形状測定手段により測定された対象物体の形状から対象物体法線ベクトルを作成する作成手段と、作成手段により作成された対象物体法線ベクトルと、参照物体の形状から得られた参照物体法線ベクトルの対応付けを行う対応付け手段と、対応付け手段による対応付けに基づいて、対象物体の画像を補正する画像補正手段とを備え、対応付け手段は、対象物体法線ベクトルと、参照物体法線ベクトルの画素値から、法線方向が対応する参照物体の画像の画素値を求めることにより対応付けを行い、画像補正手段は、対象物体の画像の画素値を、対応付け手段により求められた法線方向が対応する参照物体の画像の画素値で除算することにより、対象物体の画像を補正する。
【0017】
本発明の第1の画像処理装置は、画像補正手段により補正された対象物体の画像に、光源影響を付加する光源影響付加手段と、光源影響付加手段により光源影響が付加された画像を出力する画像出力手段とをさらに設けるようにすることができる。
【0018】
作成手段は、撮像手段により撮像された対象物体の画像の各画素における法線方向を求めることにより、対象物体法線ベクトルを作成するようにすることができる。
【0021】
本発明の画像処理方法は、対象物体の形状を測定する形状測定ステップと、対象物体の画像を撮像する撮像ステップと、形状測定ステップの処理により測定された対象物体の形状から対象物体法線ベクトルを作成する作成ステップと、作成ステップの処理により作成された対象物体法線ベクトルと、参照物体の形状から得られた参照物体法線ベクトルの対応付けを行う対応付けステップと、対応付けステップの処理による対応付けに基づいて、対象物体の画像を補正する画像補正ステップとを含み、対応付けステップの処理においては、対象物体法線ベクトルと、参照物体法線ベクトルの画素値から、法線方向が対応する参照物体の画像の画素値を求めることにより対応付けが行われ、画像補正ステップの処理においては、対象物体の画像の画素値を、対応付けステップの処理により求められた法線方向が対応する参照物体の画像の画素値で除算することにより、対象物体の画像が補正される。
【0022】
本発明の記録媒体に記録されているプログラムは、対象物体の形状の測定結果を取得する第1の取得ステップと、対象物体の画像を取得する第2の取得ステップと、第1の取得ステップの処理により取得された対象物体の形状から法線ベクトルを作成する作成ステップと、作成ステップの処理により作成された対象物体の対象物体法線ベクトルと、参照物体の形状から得られた参照物体法線ベクトルの対応付けを行う対応付けステップと、対応付けステップの処理による対応付けに基づいて、対象物体の画像を補正する画像補正ステップとを含み、対応付けステップの処理においては、対象物体法線ベクトルと、参照物体法線ベクトルの画素値から、法線方向が対応する参照物体の画像の画素値を求めることにより対応付けが行われ、画像補正ステップの処理においては、対象物体の画像の画素値を、対応付けステップの処理により求められた法線方向が対応する参照物体の画像の画素値で除算することにより、対象物体の画像が補正される。
【0023】
本発明の画像処理装置および方法、並びに記録媒体に記録されているプログラムにおいては、対象物体の形状が測定され、測定された対象物体の形状から対象物体法線ベクトルが作成され、作成された対象物体法線ベクトルと、参照物体の形状から得られた参照物体法線ベクトルの対応付けが行われ、その対応付けに基づいて、対象物体の画像が補正される。また、対象物体法線ベクトルと、参照物体法線ベクトルの画素値から、法線方向が対応する参照物体の画像の画素値を求めることにより対応付けが行われ、対象物体の画像の画素値が、法線方向が対応する参照物体の画像の画素値で除算することにより、対象物体の画像が補正される。
【0032】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明を適用した第1の実施の形態の原理について説明する図である。この原理の場合、対象物体1を撮影した画像から光源の影響が取り除かれた後、新規光源下の補正画像が作成される。
【0033】
対象物体1は、測定の対象になる物体である。参照物体2は、その形状や画像が既知であり、光源3の状態を知るために、対象物体1と同じ光源3下で撮影される物体である。光源3は、対象物体1を照明するための光源であり、複数個で構成することも可能である。画像処理装置4は、対象物体1の画像を撮影し、光源3の影響を補正する。
【0034】
図2は、本発明を適用した画像処理装置4の第1の実施の形態の構成例を示している。
【0035】
三次元形状測定部11は、例えば、レーザレンジファインダやステレオカメラなどで構成され、光源3からの光により照明された対象物体1の形状を測定することにより、対象物体形状データを得る。三次元形状測定部11はまた、得られた対象物体形状データから、対象物体法線データを作成する。
【0036】
画像測定部12は、対象物体1および参照物体2を撮影することにより、対象物体画像データおよび参照物体画像データを得る。
【0037】
画像補正処理部13は、三次元形状測定部11より供給された対象物体形状データ、並びに、画像測定部12より供給された対象物体画像データおよび参照物体画像データに基づいて、画像測定部12で測定された対象物体画像データを補正することにより、対象物体1の対象物体補正画像データを得る。
【0038】
画像出力部14は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)などで構成され、画像補正処理部13より供給された対象物体補正画像データを出力(表示)する。
【0039】
図3は、画像補正処理部13の詳細な構成例を示している。
【0040】
対象物体テクスチャマッピング部21は、画像測定部12より供給された対象物体画像データと、三次元形状測定部11より供給された対象物体形状データのテクスチャマッピングを行う。これにより、対象物体画像データと対象物体形状データの対応が取られる。
【0041】
参照物体テクスチャマッピング部22は、画像測定部12より供給された参照物体画像データと、記憶部23に予め記憶されている参照物体2の形状モデル(以下、参照物体形状モデルと記載する)のテクスチャマッピングを行う。これにより、参照物体画像データおよび参照物体形状モデルの対応が取られる。
【0042】
なお、参照物体形状モデルは、記憶部23に予め記憶されているが、例えば、画像測定部12において参照物体画像データが測定される際に、三次元形状測定部11により、同時に形状データの測定を行うことにより、参照物体2の形状データを得て、記憶部23に記憶するようにしても良い。
【0043】
法線対応付け部24は、三次元形状測定部11で作成された対象物体1の対象物体法線データと、記憶部23より読み出した参照物体2の参照物体法線データを比較し、同じ方向またはほぼ同じ方向(対応する方向)を持つ法線同士の対応付けを行う。
【0044】
対象物体1の対象物体法線データは、対象物体テクスチャマッピング部21により、対象物体画像データと対象物体形状データの対応が取られているので、対象物体画像データの各画素における法線方向を求めることにより得られる。参照物体2の参照物体法線データは、参照物体テクスチャマッピング部22により、参照物体画像データおよび参照物体形状モデルの対応が取られているので、参照物体画像データの各画素における法線方向を求めることにより得られる。
【0045】
光源影響除去部25は、法線対応付け部24での対応付けに基づいて、画像測定部12より供給された対象物体画像データの各画素において、法線方向が同じかまたはほぼ同じになる(対応する)参照物体画像データの画素値を求めた後、対象物体画像データの画素値を、法線方向が対応する参照物体画像データの画素値で除算することにより、対象物体光源影響除去画像データを求める。
【0046】
補正光源影響付加部26は、三次元形状測定部11より供給された対象物体形状データに、補正光源モデルを用いて光源影響を付加した後、光源影響除去部25より供給された対象物体光源影響除去画像データを乗算することにより、対象物体補正画像データを求める。なお、補正光源モデルは、光源影響を考慮して予め設定された新規光源である。
【0047】
図4は、図3の画像補正処理部13の機能を実現するハードウェアの電気的構成例を示すブロック図である。
【0048】
CPU(Central Processing Unit)31は、各ブロックを制御する。ROM(Read only Memory)33は、IPL(Initial Program Loading)のプログラムなどを記憶している。RAM(Random Access Memory)34は、CPU31が処理を行うためのプログラムや、CPU31の動作上必要なデータを記憶する。
【0049】
入力デバイスコントローラ37は、キーボード35、および、マウスなどよりなるポインティングデバイス36を制御する。ユーザにより、これらのキーボード35またはポインティングデバイス36が用いられると、入力デバイスコントローラ37およびバス32を介して、CPU31に各種の指令が入力される。
【0050】
ビデオコントローラ38は、CPU31の制御の下、VRAM(Video RAM)39を用いて、モニタとしての画像出力部14の表示を制御する。VRAM39は、画像出力部14が表示する画像データを一時記憶する。すなわち、表示すべき画像データは、ビデオコントローラ38を介してVRAM39に書き込まれ、ビデオコントローラ38が、VRAM39に記憶された画像データを読み出して、画像出力部14に供給することにより、画像が表示される。
【0051】
ストレージコントローラ40は、例えば、HD(ハードディスク)やFD(フロッピィディスク)などの磁気ディスク51、ミニディスク(商標)などの光磁気ディスク52、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク53、ROMやフラッシュメモリなどの不揮発性メモリ54に対するアクセスを制御する。磁気ディスク51、光磁気ディスク52、光ディスク53、および不揮発性メモリ54は、データを記憶しており、これらのデータは、CPU31により、ストレージコントローラ40を介して読み出される。なお、磁気ディスク51などには、CPU31が上述したような処理を行うためのプログラムなども記憶されている。
【0052】
通信コントローラ41は、電波や赤外線などによる無線通信、およびイーサネット(商標)などによる有線の通信を制御する。例えば、各種の画像データ、CPU31が各種の処理を行うためのプログラムなどは、この通信コントローラ41を介して通信を行うことにより、外部の装置から取得することも可能になっている。
【0053】
CPU31,ROM33,RAM34、入力デバイスコントローラ37、ビデオコントローラ38、ストレージコントローラ40、および通信コントローラ41は、バス32を介して相互に接続されている。
【0054】
次に、対象物体1および参照物体2が光源3により照明されたときの輝度について説明する。なお、光源3は、無限遠にある点光源であり、複数個であってもよい。
【0055】
対象物体1は、鏡面反射成分を含まない完全拡散反射モデルに従う物体であるとする。この対象物体1の輝度は、次式(1)で表される。
【数1】
【0056】
ここで、Itex(p)は、対象物体1の表面上の点pにおける輝度(対象物体画像データ)を表し、ktex(p)は、点pにおける物体色(オリジナルの色)(対象物体光源影響除去画像データ)を表し、Ntex(p)は、法線方向ベクトル(対象物体法線データ)を表し、Siは、光源方向ベクトル(光源3)を表している。
【0057】
参照物体2は、完全拡散反射モデルに従う物体で、かつ、均一な白い球体であるとする。この参照物体2の輝度は、次式(2)で表される。
【数2】
【0058】
ここで、Iball(q)は、参照物体2の表面上の点qにおける輝度(参照物体画像データ)を表し、Nball(q)は、法線方向ベクトル(参照物体法線データ)を表し、Siは、光源方向ベクトル(光源3)を表している。なお、kball(q)は、点qにおける物体色(いまの場合、白色)を表しているが、その値は1であるので略記されている。
【0059】
次に、図5のフローチャートを参照して、画像処理装置4が実行する、対象物体補正画像データ作成処理について説明する。
【0060】
ステップS1において、画像測定部12は、光源3により照明されている対象物体1を撮影することにより、対象物体画像データを取り込む。ステップS2において、三次元形状測定部11は、光源3により照明されている対象物体1の形状を測定することにより、対象物体形状データを取り込む。
【0061】
ステップS3において、対象物体テクスチャマッピング部21は、ステップS1の処理で取り込まれた対象物体画像データと、ステップS2の処理で取り込まれた対象物体形状データのテクスチャマッピングを行うことにより、対象物体画像データと対象物体形状データの対応付けを行う。
【0062】
ステップS4において、三次元形状測定部11は、ステップS2の処理で取り込まれた対象物体形状データから、対象物体法線データを作成する。すなわち、三次元形状測定部11は、対象物体画像データの各画素における法線方向を求めることにより、対象物体法線データを作成する。
【0063】
ステップS5において、画像測定部12は、光源3により照明されている参照物体2を撮影することにより、参照物体画像データを取り込む。ステップS6において、参照物体テクスチャマッピング部22は、ステップS5の処理で取り込まれた参照物体画像データと、記憶部23に予め記憶されている参照物体形状モデルのテクスチャマッピングを行うことにより、参照物体画像データと参照物体形状モデルの対応付けを行う。
【0064】
ステップS7において、法線対応付け部24は、ステップS4の処理で作成された対象物体法線データと、記憶部23より読み出した参照物体2の法線データを比較し、対応する方向を持つ法線同士の対応付けを行う。すなわち、法線対応付け部24は、上記式(1)と式(2)における法線方向ベクトルが対応する方向を向いているような、次式(3)の関係が成り立つ法線方向ベクトルを求める。
【数3】
【0065】
ステップS8において、光源影響除去部25は、ステップS7の処理での対応付けに基づいて、対象物体画像データの各画素において、法線方向ベクトルが対応する参照物体画像データの画素値を求めた後、対象物体画像データの画素値を、法線方向が対応する参照物体画像データの画素値で除算することにより、対象物体光源影響除去画像データを作成する。すなわち、光源影響除去部25は、次式(4)に従って、対象物体光源影響除去画像データを算出する。
【数4】
【0066】
ステップS9において、補正光源影響付加部26は、ステップS2の処理で取り込まれた対象物体形状データに補正光源モデルを用いて光源影響を付加した後、ステップS8の処理で作成された対象物体光源影響除去画像データを乗算することにより、対象物体補正画像データを作成する。すなわち、補正光源影響付加部26は、次式(5)に従って、対象物体補正画像データを算出する。
【数5】
【0067】
ここで、Inew(p)は、対象物体1の表面上の点pにおける補正後の輝度を表し、Snewiは、補正光源モデル(新規光源)の光源方向ベクトルを表している。
【0068】
以上により、画像補正処理部13において、一度撮影された対象物体1のテクスチャから光源による影響を取り除くことができるため、撮影時とは全く異なった新規の光源下のテクスチャを作成することが可能になる。また、撮影時の照明環境を再現することも可能となる。
【0069】
図6は、本発明を適用した第2の実施の形態の原理について説明する図である。なお、図中、図1における場合と対応する部分には、同一の符号を付してあり、その説明は省略する。この原理の場合、対象物体1を撮影した複数の画像から光源の影響が取り除かれた後、画像合成が行われ、新規光源下の補正画像が作成される。
【0070】
図7は、この第2の実施の形態の場合の画像処理装置の構成例を示している。なお、図中、図2における場合と対応する部分には、同一の符号を付してあり、その説明は省略する。この構成例の場合、画像補正処理部13の代わりに再構築処理部61が設けられ、その他の構成は、図2に示した例と同様である。
【0071】
三次元形状測定部11は、対象物体1を回転または移動させて、複数の方向から、対象物体1の形状を測定することにより、対象物体形状データを得る。画像測定部12は、対象物体1を回転または移動させて、複数の方向から、対象物体1の画像を撮影することにより、対象物体画像データを得るとともに、参照物体2を撮影することにより、参照物体画像データを得る。
【0072】
再構築処理部61は、三次元形状測定部11より供給された複数の対象物体形状データ、並びに、画像測定部12より供給された複数の対象物体画像データおよび参照物体画像データに基づいて、画像測定部12で測定された対象物体画像データの補正を行うことにより、対象物体1の再構築データを得る。
【0073】
画像出力装置14は、再構築処理部61より供給された再構築データを出力(表示)する。なお、画像出力装置14は、ユーザによりマウスなどが操作され、再構築データを回転または移動させて表示することも可能である。
【0074】
図8は、再構築処理部61の詳細な構成例を示している。なお、図中、図3における場合と対応する部分には、同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。この構成例の場合、対象物体テクスチャマッピング部21の代わりに再構築物体テクスチャマッピング部72が設けられるとともに、新たに形状再構築部71および画像ブレンディング部73が設けられ、その他の構成は、図3に示した例と同様である。
【0075】
形状再構築部71は、三次元形状測定部11より供給される複数の対象物体形状データの位置合わせおよび貼り合わせを行うことにより、再構築形状データを得る。位置合わせの方法としては、例えば、ICP(Iterative Closest Point)法が用いられる。貼り合わせの方法としては、例えば、Volume法が用いられる。
【0076】
再構築物体テクスチャマッピング部72は、画像測定部12より供給された複数の対象物体画像データと、形状再構築部71より供給された再構築形状データのテクスチャマッピングを行う。これにより、複数の対象物体画像データと再構築形状データの対応が取られる。
【0077】
法線対応付け部24は、形状再構築部71より供給される再構築形状データから得られた対象物体1の再構築形状法線データと、記憶部23より読み出した参照物体形状モデルから得られた参照物体2の参照物体法線データを比較し、上記式(3)に従って、対応する方向を持つ法線同士の対応付けを行う。
【0078】
対象物体1の再構築形状法線データは、再構築物体テクスチャマッピング部72により、複数の対象物体画像データと再構築形状データの対応が取られているので、対象物体画像データの各画素における法線方向を求めることにより得られる。
【0079】
光源影響除去部25は、法線対応付け部24での対応付けに基づいて、画像測定部12より供給された複数の対象物体画像データの各画素において法線方向が対応する、参照物体画像データの画素値を求めた後、上記式(4)に従って、複数の対象物体画像データの画素値を、法線方向が対応する参照物体画像データの画素値で除算することにより、複数の対象物体光源影響除去画像データを求める。
【0080】
画像ブレンディング部73は、光源の影響が取り除かれた、複数の対象物体光源影響除去画像データをブレンド(混合)することにより、ブレンディング画像データを作成する。
【0081】
補正光源影響付加部26は、形状再構築部71より供給された再構築形状データに、補正光源モデルを用いて光源影響を付加した後、上記式(5)に従って、画像ブレンディング部73より供給されたブレンディング画像データを乗算することにより、再構築データを求める。
【0082】
以上のように、複数方向から撮影された対象物体の形状や画像(テクスチャ)をマージする場合、対象物体の光源による影響を取り除いた画像を得ることができるため、テクスチャの継ぎ目を発生させることなくマージすることができる。
【0083】
また、以上においては、魚眼レンズやCCDカメラなどの高価な部品を使用せずに、低コストで、光源による影響を取り除いて、対象物体の補正画像を作成することができる。
【0084】
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行させることもできるが、ソフトウエアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行させる場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、記録媒体からインストールされる。
【0085】
この記録媒体は、図3に示すように、コンピュータとは別に、ユーザにプログラムを提供するために配布される、プログラムが記録されている磁気ディスク51(フロッピディスクを含む)、光磁気ディスク52(MD(Mini-Disk)を含む)、光ディスク53(CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk)を含む)、もしくは不揮発性メモリ54などよりなるパッケージメディアにより構成されるだけでなく、コンピュータに予め組み込まれた状態でユーザに提供される、プログラムが記録されているROM33や、記憶部23などで構成される。
【0086】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0087】
【発明の効果】
本発明の画像処理装置および方法、並びに記録媒体に記録されているプログラムによれば、対象物体の画像から光源による影響を取り除いて、補正画像を作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した第1の実施の形態の原理について説明する図である。
【図2】本発明を適用した画像処理装置の第1の実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図3】図2の画像補正処理部の詳細な構成例を示すブロック図である。
【図4】図3の画像補正処理部の機能を実現するハードウェアの電気的構成例を示すブロック図である。
【図5】対象物体補正画像データ作成処理を説明するフローチャートである。
【図6】本発明を適用した第2の実施の形態の原理について説明する図である。
【図7】本発明を適用した画像処理装置の第2の実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図8】図7の再構築処理部の詳細な構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 対象物体, 2 参照物体, 3 光源, 4 画像処理装置, 11 三次元形状測定部, 12 画像測定部, 13 画像補正処理部, 14 画像出力部, 21 対象物体テクスチャマッピング部, 22 参照物体テクスチャマッピング部, 23 記憶部, 24 法線対応付け部, 25 光源影響除去部, 26 補正光源影響付加部, 61 再構築処理部, 71 形状再構築部, 72 再構築物体テクスチャマッピング部, 73 画像ブレンディング部
Claims (5)
- 対象物体、および、形状と画像が既知の参照物体を測定することにより、前記対象物体の光源による影響を補正する画像処理装置において、
前記対象物体の形状を測定する形状測定手段と、
前記対象物体の画像を撮像する撮像手段と、
前記形状測定手段により測定された前記対象物体の形状から対象物体法線ベクトルを作成する作成手段と、
前記作成手段により作成された前記対象物体法線ベクトルと、前記参照物体の形状から得られた参照物体法線ベクトルの対応付けを行う対応付け手段と、
前記対応付け手段による対応付けに基づいて、前記対象物体の画像を補正する画像補正手段と
を備え、
前記対応付け手段は、前記対象物体法線ベクトルと、前記参照物体法線ベクトルの画素値から、法線方向が対応する前記参照物体の画像の画素値を求めることにより対応付けを行い、
前記画像補正手段は、前記対象物体の画像の画素値を、前記対応付け手段により求められた法線方向が対応する前記参照物体の画像の画素値で除算することにより、前記対象物体の画像を補正する
画像処理装置。 - 前記画像補正手段により補正された前記対象物体の画像に、光源影響を付加する光源影響付加手段と、
前記光源影響付加手段により前記光源影響が付加された前記画像を出力する画像出力手段とをさらに備える
請求項1に記載の画像処理装置。 - 前記作成手段は、前記撮像手段により撮像された前記対象物体の画像の各画素における法線方向を求めることにより、前記対象物体法線ベクトルを作成する
請求項1に記載の画像処理装置。 - 対象物体、および、形状と画像が既知の参照物体を測定することにより、前記対象物体の光源による影響を補正する画像処理装置の画像処理方法において、
前記対象物体の形状を測定する形状測定ステップと、
前記対象物体の画像を撮像する撮像ステップと、
前記形状測定ステップの処理により測定された前記対象物体の形状から法線ベクトルを作成する作成ステップと、
前記作成ステップの処理により作成された前記対象物体の対象物体法線ベクトルと、前記参照物体の形状から得られた参照物体法線ベクトルの対応付けを行う対応付けステップと、
前記対応付けステップの処理による対応付けに基づいて、前記対象物体の画像を補正する画像補正ステップと
を含み、
前記対応付けステップの処理においては、前記対象物体法線ベクトルと、前記参照物体法線ベクトルの画素値から、法線方向が対応する前記参照物体の画像の画素値を求めることにより対応付けが行われ、
前記画像補正ステップの処理においては、前記対象物体の画像の画素値を、前記対応付けステップの処理により求められた法線方向が対応する前記参照物体の画像の画素値で除算することにより、前記対象物体の画像が補正される
画像処理方法。 - 対象物体、および、形状と画像が既知の参照物体の測定結果に基づいて、前記対象物体の光源による影響を補正する画像処理用のプログラムにおいて、
前記対象物体の形状の測定結果を取得する第1の取得ステップと、
前記対象物体の画像を取得する第2の取得ステップと、
前記第1の取得ステップの処理により取得された前記対象物体の形状から法線ベクトルを作成する作成ステップと、
前記作成ステップの処理により作成された前記対象物体の対象物体法線ベクトルと、前記参照物体の形状から得られた参照物体法線ベクトルの対応付けを行う対応付けステップと、
前記対応付けステップの処理による対応付けに基づいて、前記対象物体の画像を補正する画像補正ステップと
を含み、
前記対応付けステップの処理においては、前記対象物体法線ベクトルと、前記参照物体法線ベクトルの画素値から、法線方向が対応する前記参照物体の画像の画素値を求めることにより対応付けが行われ、
前記画像補正ステップの処理においては、前記対象物体の画像の画素値を、前記対応付けステップの処理により求められた法線方向が対応する前記参照物体の画像の画素値で除算することにより、前記対象物体の画像が補正される
コンピュータが読み取り可能なプログラムが記録されている記録媒体。
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