JP4395224B2 - 光ファイバ製造方法、プリフォーム製造方法、及びプリフォーム製造装置 - Google Patents

光ファイバ製造方法、プリフォーム製造方法、及びプリフォーム製造装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、外径のばらつきの少ないプリフォーム及び光ファイバを製造する光ファイバ製造方法、プリフォーム製造方法、及びプリフォーム製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図1は、従来のガラス母材一次延伸装置400を示す。光ファイバの母材となるガラス母材102は、通常、ガラス母材一次延伸装置400によって延伸されて線引きに都合のよい製品直径(φ30〜80mm)より3mmから5mm太い径に縮径されてガラスロッド106とされる。ガラス母材一次延伸装置400は、ガラス母材102を加熱する加熱炉100と、加熱されたガラス母材102を把持して延伸する延伸チャック104とを備える。ガラス母材102を約2000℃に加熱された加熱炉100の中へ垂下し、延伸チャック104でガラス母材102を挟持して、加熱炉100の下方からガラスロッド106として連続的に引き取ることによりガラス母材102を延伸する。
【0003】
図2は、従来のガラス施盤110の構成を示す。ガラス母材一次延伸装置400によって縮径されたガラスロッド106は、さらにガラス旋盤110により二次延伸されることにより、所定の製品直径に縮径されてプリフォーム107となる。ガラス施盤110は、ガラスロッド106を把持するチャック118及び119と、チャック119を移動するテールストック116と、ガラスロッド106を加熱する加熱源122とを備える。ガラスロッド106を把持する一方のチャック118は固定され、他方のチャック119は可動で牽引力が作用する。チャック118、119に把持されたガラスロッド106は、加熱源122によって加熱されながらテールストック116を徐々に引っ張る方向に移動することによって延伸され、目標の外径に加工される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来のガラス母材一次延伸装置400を用いてガラス母材102を延伸すると曲がったガラスロッド106が製造される可能性があった。また、従来のガラス旋盤110を用いてガラスロッド106を延伸してプリフォーム107を製造すると、それぞれのプリフォーム107の製造における加熱源122のガス量及びテールストック116の移動速度が異なる為に、プリフォーム107の外径がばらついた。従来のガラス母材一次延伸装置400によって製造された曲がったガラスロッド106を、ガラス旋盤110を用いて二次延伸すると、プリフォーム107の外径が更にばらついた。更に、ばらついた外径のプリフォーム107を線引きして光ファイバを製造すると、光ファイバの外径がばらつき、品質の良い光ファイバを製造することが困難であった。
【0005】
そこで本発明は、上記の課題を解決することのできる光ファイバ製造方法、プリフォーム製造方法、及びプリフォーム製造装置を提供することを目的とする。この目的は特許請求の範囲における独立項に記載の特徴の組み合わせにより達成される。また従属項は本発明の更なる有利な具体例を規定する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明の第1の形態における光ファイバを製造する方法は、光ファイバの母材となるガラスロッドの加熱延伸の進捗に伴って変化する所定の数値に基づいて、ガラスロッドを加熱する加熱条件及び延伸する延伸速度を設定する設定ステップと、設定された加熱条件及び延伸速度に基づいて、ガラスロッドを加熱延伸してプリフォームを生成する加熱延伸ステップと、プリフォームを更に加熱し、線状に牽引して光ファイバを生成する線引きステップとを備えることが好ましい。
【0007】
また、設定ステップは、数値としての加熱延伸の経過時間に基づいて、加熱条件及び延伸速度を設定してもよい。加熱延伸ステップは、ガラスロッドの端部の外径を絞る絞りステップであり、加熱延伸ステップは、絞りステップにおいて、加熱延伸の経過時間に基づいて、ガラスロッドの端部を、加熱延伸して絞ることが好ましい。また、設定ステップは、加熱延伸の経過時間に基づいて加熱条件として、ガラスロッドを加熱するバーナーの位置及びバーナーに供給するガス量を設定してもよい。更に、設定ステップは、加熱延伸の経過時間に基づいて延伸速度として、ガラスロッドを把持するチャックの移動速度を設定してもよい。
【0008】
また、設定ステップは、数値としての加熱延伸によってガラスロッドが延伸された長さに基づいて、加熱条件及び延伸速度を設定してもよい。加熱延伸ステップは、プリフォームの端部の外径を絞る絞りステップであり、加熱延伸ステップは、絞りステップにおいてガラスロッドが延伸された長さに基づいて、ガラスロッドの端部を、加熱延伸して絞ることが好ましい。また、設定ステップは、延伸された長さに基づいて加熱条件としてガラスロッドを加熱するバーナーの移動量及びバーナーに供給するガス量を設定してもよい。更に、設定ステップは、延伸された長さに基づいて延伸速度としてガラスロッドを把持するチャックの移動速度を設定してもよい。また、設定ステップは、チャックが移動する量を検出するために、チャックを駆動するモーターに設けられたモーターの回転角を測定するエンコーダーを用いてもよい。
【0009】
また、設定ステップは、数値としての加熱延伸によってガラスロッドに発生する引張り張力に基づいて、加熱条件及び延伸速度を設定してもよい。また、加熱延伸ステップにおいて、ガラスロッドを加熱する加熱源が、加熱延伸の進捗に伴ってガラスロッドの長手方向に移動し、加熱延伸ステップが、加熱源が所定の距離を移動するまでの間の引張り張力を、加熱源が所定の距離を移動した後の引張り張力の平均値の実質的に110%以下となるように延伸速度を制御することが好ましい。
【0010】
更に、加熱延伸ステップが、加熱源が所定の距離を移動するまでの間の引張り張力を、加熱源が所定の距離を移動した後の引張り張力の平均値の実質的に80%から110%に制御することが好ましい。更に、所定の距離が実質的に50mmから150mmの間であることが好ましい。また、加熱延伸ステップは、加熱源が所定の距離移動したときにガラスロッドを延伸する速度を一定の速度に制御することが好ましい。更に、設定ステップは、引張り張力に基づいて延伸速度としてガラスロッドを把持するチャックの移動速度を設定してもよい。
【0011】
また、設定ステップは、数値としてのガラスロッドの両端にそれぞれ溶着されたダミーの棒のそれぞれ及びガラスロッドのつなぎ目に設けられた標識の位置に基づいて、加熱条件及び延伸速度を設定してもよい。加熱延伸ステップは、ガラスロッドの端部の外径を絞る絞りステップであり、加熱延伸ステップは、絞りステップにおいて標識の位置に基づいて、ガラスロッドの端部を加熱延伸して絞ることが好ましい。設定ステップは、標識の位置としてのガラスロッドとダミー棒とのつなぎ目に設けられた切り込みの位置に基づいて、加熱条件及び延伸速度を設定してもよい。更に、設定ステップが、標識の位置としてのガラスロッドとダミー棒とのつなぎ目に塗布された蛍光塗料の位置に基づいて、加熱条件及び延伸速度を設定することが好ましい。
【0012】
また、設定ステップは、数値としてのガラスロッドの軸方向の各位置における外径に基づいて、ガラスロッドの軸方向の各位置における延伸速度を設定し、各位置における外径の平均値に基づいて加熱条件を設定してもよい。また、ガラスロッドの端部が絞られており、設定ステップが、数値としてのガラスロッドの軸方向の各位置における外径及び加熱延伸によるガラスロッドの軸方向の長さの変化に基づいて、ガラスロッドが絞られた絞り部の位置を検出するステップと、絞り部の位置に基づいてガラスロッドを火炎によって研磨する研磨範囲を設定し、絞り部の外径に基づいて火炎の火力条件を設定するステップとを有し、加熱延伸ステップが、ガラスロッドの研磨範囲を火力条件の火炎によって研磨することが好ましい。
【0013】
本発明の第2の形態における光ファイバを製造する方法は、光ファイバの母材となるガラスロッドを加熱延伸してプリフォームを生成する加熱延伸ステップと、プリフォームを更に加熱し、線状に牽引して光ファイバを生成する線引きステップとを備え、加熱延伸ステップが、ガラスロッドの所定箇所を軟化するまで加熱する予備加熱ステップ及び所定箇所を更に加熱し延伸して所定箇所の外径を絞る延伸ステップによりガラスロッドの端部の外径を絞る絞りステップを有することが好ましい。更に、絞りステップが、所定箇所の中心からガラスロッドの中央側の領域を予備加熱ステップにおける火炎の太さよりも絞った火炎で加熱する二次加熱ステップを更に含むことが好ましい。
【0014】
本発明の第1の形態における光ファイバの母材となるプリフォームを製造する方法は、プリフォームの母材となるガラスロッドの加熱延伸の進捗に伴って変化する所定の数値に基づいて、ガラスロッドを加熱する加熱条件及び延伸する延伸速度を設定する設定ステップと、設定された加熱条件及び延伸速度に基づいて、ガラスロッドを加熱延伸してプリフォームを生成する加熱延伸ステップとを備えることが好ましい。
【0015】
また、設定ステップは、数値としての加熱延伸の経過時間に基づいて、加熱条件及び延伸速度を設定してもよい。加熱延伸ステップは、ガラスロッドの端部の外径を絞る絞りステップであり、加熱延伸ステップは、絞りステップにおいて、加熱延伸の経過時間に基づいて、ガラスロッドの端部を、加熱延伸して絞ることが好ましい。
【0016】
また、設定ステップは、数値としての加熱延伸によってガラスロッドが延伸された長さに基づいて、加熱条件及び延伸速度を設定してもよい。加熱延伸ステップは、プリフォームの端部の外径を絞る絞りステップであり、加熱延伸ステップは、絞りステップにおいてガラスロッドが延伸された長さに基づいて、ガラスロッドの端部を、加熱延伸して絞ることが好ましい。
【0017】
更に、設定ステップは、数値としての加熱延伸によってガラスロッドに発生する引張り張力に基づいて、加熱条件及び延伸速度を設定してもよい。更に、加熱延伸ステップにおいて、ガラスロッドを加熱する加熱源が、加熱延伸の進捗に伴ってガラスロッドの長手方向に移動し、加熱延伸ステップが、加熱源が所定の距離を移動するまでの間の引張り張力を、加熱源が所定の距離を移動した後の引張り張力の平均値の実質的に110%以下となるように延伸速度を制御することが好ましい。
【0018】
更に、加熱延伸ステップが、加熱源が所定の距離を移動するまでの間の引張り張力を、加熱源が所定の距離を移動した後の引張り張力の平均値の実質的に80%から110%に制御することが好ましい。また、所定の距離が実質的に50mmから150mmの間であることが好ましい。更に、加熱延伸ステップが、加熱源が所定の距離移動したときにガラスロッドを延伸する速度を一定の速度に制御することが好ましい。
【0019】
また、設定ステップが、数値としてのガラスロッドの両端にそれぞれ溶着されたダミーの棒のそれぞれ及びガラスロッドのつなぎ目に設けられた標識の位置に基づいて、加熱条件及び延伸速度を設定してもよい。加熱延伸ステップは、ガラスロッドの端部の外径を絞る絞りステップであり、加熱延伸ステップは、絞りステップにおいて標識の位置に基づいて、ガラスロッドの端部を加熱延伸して絞ることが好ましい。
【0020】
また、設定ステップは、数値としてのガラスロッドの軸方向の各位置における外径に基づいて、ガラスロッドの軸方向の各位置における延伸速度を設定し、各位置における外径の平均値に基づいて加熱条件を設定してもよい。また、ガラスロッドの端部が絞られており、設定ステップが、数値としてのガラスロッドの軸方向の各位置における外径及び加熱延伸によるガラスロッドの軸方向の長さの変化に基づいて、ガラスロッドが絞られた絞り部の位置を検出するステップと、絞り部の位置に基づいてガラスロッドを火炎によって研磨する研磨範囲を設定し、絞り部の外径に基づいて火炎の火力条件を設定するステップとを有し、加熱延伸ステップが、ガラスロッドの研磨範囲を火力条件の火炎によって研磨することが好ましい。
【0021】
本発明の第2の形態における光ファイバの母材となるプリフォームを製造する方法であって、プリフォームの母材となるガラスロッドの所定箇所を軟化するまで加熱する予備加熱ステップと、所定箇所を更に加熱し延伸して所定箇所の外径を絞る延伸ステップによりガラスロッドの端部の外径を絞る絞りステップとを備えることが好ましい。絞りステップが、所定箇所の中心からガラスロッドの中央側の領域を予備加熱ステップにおける火炎の太さよりも絞った火炎で加熱する二次加熱ステップを有することが好ましい。
【0022】
本発明の第1の形態における光ファイバの母材となるプリフォームを製造する装置は、プリフォームの母材となるガラスロッドを加熱する加熱源と、ガラスロッドを延伸する延伸部と、ガラスロッドの加熱延伸の進捗に伴って変化する数値を測定する測定器と、測定器が測定した数値に基づいて、加熱源の加熱条件及び延伸部の延伸速度を制御する制御器とを備えることが好ましい。
【0023】
また、測定器は、数値としての加熱延伸の経過時間を測定し、制御器が、測定器によって測定された加熱延伸の経過時間に基づいて、加熱条件及び延伸速度を制御してもよい。更に、測定器は、数値としての加熱延伸に伴う延伸部の移動距離を測定し、制御器が、測定器によって測定された延伸部の移動距離に基づいて、加熱条件及び延伸速度を制御してもよい。
【0024】
更に、測定器が、数値としての加熱延伸によってガラスロッドに発生する引張り張力を測定し、制御器が、測定器によって測定されたガラスロッドに発生する引張り張力に基づいて、加熱条件及び延伸速度を制御することが好ましい。更に、加熱源が、加熱延伸の進捗に伴ってガラスロッドの長手方向に移動し、制御器が、加熱源が所定の距離を移動するまでの間の引張り張力を、加熱源が所定の距離を移動した後の引張り張力の平均値の実質的に110%以下となるように延伸速度を制御することが好ましい。
【0025】
更に、制御部が、加熱源が所定の距離を移動するまでの間の引張り張力を、加熱源が所定の距離を移動した後の引張り張力の平均値の実質的に80%から110%となるように延伸速度を制御することが好ましい。更に、所定の距離が実質的に50mmから150mmの間であることが好ましい。また、制御部は、加熱源が所定の距離移動したときに延伸速度を一定の速度に制御してもよい。
【0026】
また、測定器は、数値としてのガラスロッドの両端にそれぞれ溶着されたダミーの棒のそれぞれ及びガラスロッドのつなぎ目に設けられた標識の位置を測定し、制御器が、測定器によって測定された標識の位置に基づいて、加熱条件及び延伸速度を制御してもよい。また、測定器は、数値としてのガラスロッドの軸方向の各位置における外径を測定し、制御器は、ガラスロッドの軸方向の各位置における外径に基づいて、ガラスロッドの軸方向の各位置における延伸速度を制御し、各位置における外径の平均値に基づいて、加熱条件を制御してもよい。
【0027】
なお上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションも又発明となりうる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態はクレームにかかる発明を限定するものではなく、又実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0029】
図3は、本発明の光ファイバ製造装置のシステムを示す。本発明の光ファイバ製造装置のシステムは、光ファイバの母材となるガラス母材102を生成するガラス母材生成装置600と、ガラス母材102を脱水焼結するガラス母材脱水焼結装置700と、ガラス母材102を一次延伸してガラスロッド106を生成するガラス母材一次延伸装置900と、ガラスロッド106を搬送するガラスロッド搬送装置380と、ガラスロッド106を二次延伸してプリフォーム107を生成するガラスロッド二次延伸装置111と、ガラスロッド106を線引きして光ファイバを生成するプリフォーム線引き装置500とを備える。
【0030】
図4は、本発明の光ファイバ製造方法を示す。ガラス母材102は、VAD法等を用いるガラス母材生成装置600によって生成され(S200)、ガラス母材脱水焼結装置700によって塩素ガス中で脱水され、不活性ガス中で焼結される(S202)。このガラス母材102の直径は、通常φ110〜200mmであるが、実際に光ファイバの線引きに用いられる直径は、φ30〜80mmである。したがって、脱水焼結されたガラス母材102は、ガラス母材一次延伸装置900によって一次延伸されることにより線引きに都合のよい製品直径φ30〜80mmより3〜5mm太い径に縮径されてガラスロッド106となる(S204)。ガラスロッド106は、ガラスロッド搬送装置380によって搬送され(S205)、ガラスロッド二次延伸装置111によって所定の外径まで加熱延伸されてプリフォーム107となる(S206)。プリフォーム107は、プリフォーム線引き装置500によって加熱されて線状に牽引されることにより線引きされて光ファイバに形成される(S210)。
【0031】
図5は、本発明のガラス母材一次延伸装置900の構成を示す。ガラス母材一次延伸装置900は、ガラス母材102を加熱延伸する一次延伸器402及びガラスロッド106を溶断するガラスロッド溶断装置370を備える。一次延伸器402は、加熱炉100を備えた延伸炉130と、延伸炉130の上方に設けられたガラス母材102を所定速度で延伸炉130内へ送るための吊下げ機構部134を有する。一次延伸器402は、延伸炉130の下方に設けられた、細径化されたガラスロッド106を把持して、所定速度でガラスロッド106を引き取るための引取り機構部140を更に有する。吊下げ機構部134には母材固定部136が、引取り機構部140には引取りチャック142が備えられている。ガラスロッド溶断装置370は、バーナー176、回転テーブル210、タイミングベルト214、モーター212、支持脚208、バーナー台216、延伸用引き取り装置206、及び溶断用引き取りチャック218を有する。
【0032】
ガラス母材102は母材固定部136に取り付けられ、フィーダー204によって所定速度で加熱炉100内へ送り込まれる。加熱炉100のヒーターにより加熱されたガラス母材102は、引き取りチャック142により把持され延伸、縮径されてガラスロッド106となる。ガラスロッド106は、延伸用引き取り装置206により、目標とする外径に応じた引き取り速度で引き取られて所望の径に延伸される。このとき、ガラスロッド106の外径は外径測定器152により測定され、この情報に基づいてフィーダー204、加熱炉100、延伸用引き取り装置206等が制御され、ガラスロッド106の外径が所望の値になるように延伸が行われる。
【0033】
所定の径及び長さに延伸されたガラスロッド106は、泡を含まない部分で、または直径0.3mm以上の泡を含まない部分でバーナー176により溶断される。加熱手段としては酸素水素火炎がよく、プロパン酸素火炎等の炭化水素系のガス火炎を用いてもよい。バーナー176は、支持脚208を介して回転テーブル210上に設置される。モーター212等の駆動装置によりタイミングベルト214を介して回転テーブル210が回転する。回転テーブル210はバーナー台216上に設置されている。バーナー176を回転させつつガラスロッド106を加熱するとともに、ガラスロッド106を溶断用引き取りチャック218で所定の速度と引き取り力で引き取ることによりガラスロッド106が溶断される。
【0034】
図6は、延伸軸を調整するために母材固定部136に原器138を保持させた一次延伸器402を示す。吊下げ機構部134には、母材固定部136の鉛直度合いを調整する不図示の機構が備えられ、引取り機構部140には引取りチャック142の鉛直度合いを調整する不図示の機構と引取り機構部140を水平面内で前後左右に移動させる不図示の機構とが併せて備えられている。
【0035】
図7は、図4に示したガラス母材一次延伸ステップ(S204)の詳細なフローチャートを示す。ガラス母材一次延伸ステップ(S204)は、一次延伸器402の延伸軸を調整する工程を有する。まず、真直度が保証された金属製またはセラミックス製の棒を原器138として準備する。この原器138は、通常、ガラス母材102とガラス母材102に溶着されるダミー棒とを含めた長さを有し、原器138の軸線の直線性が全長にわたって保証されている。
【0036】
まず、図6に示すように、原器138を吊下げ機構部134の母材固定部136に把持させて固定し(S110)、原器138の向きが鉛直方向と一致するように吊下げ機構部134の傾きAを調整する(S112)。調整が済んだら一旦原器138を母材固定部136から取り外す(S114)。
【0037】
図8は、原器138を引取りチャック142に把持した一次延伸器402を示す。原器138を引取り機構部140の引取りチャック142に把持させて(図7、S116)、把持させた原器138の向きが鉛直方向と一致するように引取り機構部140の傾きBを調整する(図7、S118)。このとき、引取りチャック142は、原器138の長手方向のほぼ中央部を把持するのが望ましい。なお、吊下げ機構部134と引取り機構部140の調整順序は逆であってもよい。すなわち先に引取り機構部140を調整してから、吊下げ機構部134を調整してもよい。
【0038】
図9は、原器138を吊下げ機構部134及び引取り機構部140に把持した一次延伸器402を示す。吊下げ機構部134及び引取り機構部140のそれぞれの調整が終ってから、原器138を吊下げ機構部134の母材固定部136に把持させた状態で原器138の下端部を引取り機構部140の引取チャック142に把持させて固定し(図7、S120)、この状態で鉛直軸線からの原器138の水平方向へのずれ量、すなわち鉛直度が、長さ1m当たり0.5mm以内になるように引取り機構部140の水平方向位置あるいは吊下げ機構部134の水平方向位置Cを調整する(図7、S122)。
【0039】
次に鉛直度が調整された一次延伸器402を用いて、ガラス母材102を一次延伸してガラスロッド106を形成する(図7、S124)。最後にガラスロッド溶断装置370を用いてガラスロッド106を溶断する(図7、S126)。
【0040】
図10及び図11は、引取り機構部140において、引取りチャック142の代わりに引取りローラー144a、144bを用いた例を示す。引取りローラー144a、144bを用いた場合に、吊下げ機構部134と引取り機構部140とを結ぶ軸線の鉛直度を調整するには、原器138を引取りチャック142に把持するステップ(図7、S116)において、原器138を引取りローラー144a、144bに把持する。次に引取り機構部140の傾きを調整するステップ(図7、S118)において、引取りローラー144a、144bの回転軸の二軸間の平行度及び水平度を調整して引取り機構部140の傾きを調整し、原器138が鉛直に保持できるように調整する。
【0041】
次に、原器138を母材固定部136及び引取りチャック142に把持するステップ(図7、S120)において、図11に示すように、吊下げ機構部134の母材固定部136と引取り機構部140の引取りローラー144a、144bとに原器138を把持させる。次に吊下げ機構部134及び引取り機構部140の水平方向位置を調整するステップ(図7、S122)において、引取りローラー144a、144bを含む引取り機構部140全体の水平方向位置あるいは吊り下げ機構部134の水平方向位置を調整して、吊下げ機構部134と引取り機構部140とを結ぶ軸線の鉛直度Eを調整する。
【0042】
以上の調整方法により、吊下げ機構部134と引取り機構部140とを結ぶ軸線の鉛直度が精度良く調整できる。したがって、ダミー棒の軸ずれがない真っ直ぐなガラス母材102を延伸した場合のみでなく、ガラス母材102に多少の曲がりがある場合でも、ガラス母材102にダミー棒を取り付ける際に軸ずれが生じないようにしておけば、所望の真直度の範囲内で細径化されたガラスロッド106を得ることができる。
【0043】
一次延伸器402は、ガラス母材102を吊下げ機構部134、引取り機構部140でそれぞれ把持した場合及び両機構部で把持した場合の鉛直度を精度良く調整できる。したがって延伸されたガラス母材102の重量によって引取り機構部140を支点としてガラス母材102の加熱軟化部に生じる曲がりの発生要因となる曲げモーメントが減少できる。このため、予め真っ直ぐなダミー棒を取り付けたガラス母材102から延伸されたロッドが延伸途中に軸ずれを発生することがなくなるので、ガラス母材102を所望の真直度の範囲内で延伸できる。
【0044】
図12は、曲がりの程度が測定されているガラス母材102を示す。上記の調整方法により鉛直度が調整された一次延伸器402を用いてガラス母材102の延伸を行った。次にガラスロッド106の曲がりの程度を測定した。まず、延伸したガラスロッド106を基準となる水平な2支点148、149間に静置し、ガラスロッド106に沿ってダイヤルゲージ等の測定器150を走査させて基準面からの高さの極大もしくは極小値を計測する。次にガラスロッド106を180度回転させ同様にして基準面からの高さの極大もしくは極小値を計測する。更に最初に測定された極大値と次に測定された極小値との差又は最初に測定された極小値と次に測定された極大値との差の最大値を「2h」とし、hを支点間距離L1で除して単位長さ当たりのガラスロッド106の真直度とする。
【0045】
上記の方法に従って調整した一次延伸器402を用いて、ダミー棒の軸ずれがない真っ直ぐのガラス母材102を5本延伸し、得られたガラスロッド106について図12に示した方法によって、それぞれの真直度を計測した。得られたガラスロッド106の真直度はすべて、h=0.5mm以内であった。上記の調整がされていない一次延伸器402を用いて延伸されたガラスロッド106は、平均して90%程度、曲がりの手直しが必要であった。
【0046】
図13は、一次延伸器402が、回転ローラー144a、144bの回転数を制御する機構を示す。一次延伸器402は、回転ローラー144a及び144bのそれぞれの回転数を個別に制御する。ガラス母材102は、一次延伸器402の母材固定部136に吊り下げられ、所定の速度で不図示の加熱炉へ送られる。加熱炉によって加熱・軟化され、延伸されたガラスロッド106は、少なくとも一対の左右のローラー144a、144bにより引き取られる。ガラス母材102の加熱軟化部の中心位置は、外径測定器152を用いてガラス母材102の加熱軟化部の外径値を測定し、同時にこの外径値を演算処理することにより求められる。外径測定器152はレーザー光透過型が用いられる。レーザー光は、加熱炉のヒーター下部に設けた窓からガラス母材102の加熱軟化部に向けて照射される。
【0047】
測定された外径値は外径制御部156に入力され、外径の目標値と比較演算されてローラー144aの回転数が制御される。更に、加熱軟化部の中心位置の情報は位置制御部158に入力されて、加熱軟化部の中心位置と一次延伸器402の延伸軸線154との偏差量が求められる。位置制御部158は、加熱軟化部の中心位置と延伸軸線154との偏差量が実質的に零になるような回転数の補正値を求め、この補正値にローラー144aの回転数を加えた回転数に基づいてローラー144bを制御する。
【0048】
図14は、ガラス母材102の加熱軟化部の中心位置と延伸軸線154との偏差量とガラスロッド106の曲がりとの関係を示す。ガラス母材102の加熱軟化部の中心位置と延伸軸線との偏差量すなわち軸ズレ量が大きいほど、ガラスロッド106の曲がりが大きくなる。軸ズレ量が大きいとき、ローラー144a、144bの表面の耐熱部材は変形し、ローラー144a、144bの形状は左右で微妙に異なっている。このことはローラー144a、144bの表面の周速が左右で異なることを示している。したがってローラー144a、144bの表面の変形がガラスロッド106の曲がりの一因となっているので、ローラー144a、144bの左右の回転数を個別に制御することによりガラスロッド106の曲がりを制御できる。
【0049】
ローラー144a、144bの表面は、高温のガラスロッド106を引き取り易いように、耐熱性と柔軟性を有するノンアスベストやアスベスト等からなる耐熱部材で形成されている。このため、ガラスロッド106と接触するローラー144a、144bの表面は、ガラスロッド106の高温とピンチ力や摩擦力により次第に変形する。ローラー144a、144bの変形状態が左右のローラーにおいて微妙に異なるので、ローラー144a、144bの表面の周速が左右で異なる。
【0050】
図15は、ローラー144a、144bの表面の変形を示す。左ローラー144aと右ローラー144bとではその外周形状が極めて相違している。なお、バッチ数はガラス母材102の延伸回数である。バッチ数が増すにつれて、ローラー144a及び144bの変形と摩耗が進行する。このため、ローラー144a、144bの左右でガラスロッド106の引き取り量に差を生じ、ガラス母材102の加熱軟化部の位置が変動する結果、ガラスロッド106に曲がりを生じる。
【0051】
図16は、図15に示したバッチ数300のローラー144a、144bを用いて金属パイプを引き取ったときの金属パイプの加熱軟化部の中心位置の変位を示す。縦軸は、金属パイプの加熱軟化部の中心位置の変位を示し、横軸は時間を示す。ローラー144a、144bの回転方向への偏差量の変動を示す曲線Aは、ローラー144a、144bが1回転する間に大きく変動していることを示している。これに対して、曲線Bは、ローラー144a、144bの前後方向又は奥行き方向への変動が極めて小さいことを示している。
【0052】
図17は、本実施例の一次延伸器402による加熱軟化部の中心位置の変位を示す。縦軸は、ガラス母材102の加熱軟化部の中心位置の変位を示し、横軸は、延伸開始からの時間を示す。延伸開始から約1500秒後に加熱軟化部の変位は微小に抑えられている。このように左右のローラー144a、144bの回転数を個別に制御することにより、加熱軟化部の中心位置は実質的に一定に保持され、実質的に曲がりのないガラスロッド106が製造される。
【0053】
(比較例)
図18は、左右のローラー144a、144bを同じ回転数で制御した場合の加熱軟化部の中心位置変動の様子を示す。縦軸は、ガラス母材102の加熱軟化部の中心位置の変位を示し、横軸は、延伸開始からの時間を示す。実施例と同様の外径測定器152を用いてガラス母材102の加熱軟化部での外径値を測定し、左右のローラー144a、144bを同じ回転数で制御して、所定の径を有するガラスロッド106を製造した。左右のローラー144a、144bの回転数を同一にすると、加熱軟化部の中心位置の変動が大きく、延伸されたガラスロッド106に修正を必要とするほどの曲がりを生じた。
【0054】
図19は、ガラスロッド溶断装置370に用いられるバーナー176の他の実施形態を示す。リング状バーナー176は、水素ガス供給管190と酸素ガス供給管192とに接続された輪状ガス流出口194を有する。リング状バーナー176の外周部には、冷却水供給管198および排水管200に接続された冷却管196が配置されている。なお、輪状ガス流出口194は、単層であって水素ガスと酸素ガスとの混合ガスを噴出する構造であってもよく、多層たとえば三層であって上下層から水素ガスを噴出し中層から酸素ガスを噴出する構造であってもよい。
【0055】
ガラスロッド106をリング状バーナー176のリング内に設置し、リング状バーナー176へ、水素ガスと酸素ガスとを供給し点火すると、火炎178により加熱されたガラスロッド106の表面が溶融する。リング状バーナー176は、加熱効率が良く、ガラスロッド106を過剰に加熱する必要がないので、ガラスを2000℃よりも高温で加熱したときに発生するガラス表面の不透明化が、溶断面に認められない。
【0056】
上記実施例に従い、ガラスロッド106を溶断した。直径120mmのガラス母材102を水素ガス300L/分および酸素ガス120L/分が供給されたリング状バーナー176の火炎により10分間加熱しガラスロッド106が溶融したところで、ガラスロッド106を延伸するとガラスロッド106が溶断された。ガラスロッド106の溶断面は円錐形となっており、表面は透明であった。
【0057】
図20は、ガラスロッド搬送装置380の構成を示す。ガラスロッド搬送装置380は、一次延伸器402が生成したガラスロッド106を搬送するのに用いられる。ガラスロッド106は、エアシリンダー収納ボックス244に取り付けられた移動側把持部材245と固定側把持部材246とにより把持される。エアシリンダー収納ボックス244に備えられた不図示のエアシリンダーが駆動すると移動側把持部材245が固定側把持部材246に向かって移動して、ガラスロッド106を把持する。
【0058】
移動側把持部材245が固定側把持部材246を押す力は、エアシリンダー収納ボックス244内のエアシリンダーに流入する空気の圧力を変えることにより変更可能である。操作スイッチボックス248に設けられたスイッチをガラスロッド106の搬送作業中に操作することによりエアシリンダーの空気圧を変更することができる。本実施例では移動側把持部材245を固定側把持部材246へ押しつけるための空気圧力を2段階に調節可能な段階的調節方式として、2段階の押しつけ力を得る。例えば移動側把持部材245を固定側把持部材246へ押しつける弱い方の第1押しつけ力を第1把持力とし、強い方の第2押しつけ力を第2把持力とする。第1把持力を0.5kgとし、第2把持力を80kgとする。
【0059】
エアーシリンダの空気圧は、2段階調節方式に限るものではなく、3段階以上に変更する多段階調節方式、あるいは無段階調節方式であってもよい。ロータリーアクチュエーター250は、ガラスロッド106を垂直状態から水平状態へ回転させ、エアシリンダー収納ボックス244を介して把持部材245、246を回転させる。支持フレーム252はガラスロッド搬送装置を一次延伸器402に接続して支持する。取手254はガラスロッド搬送装置380を操作するために用いられ、回転軸256はエアシリンダー収納ボックス244を回転させる。
【0060】
図21は、一次延伸器402の収納容器224を示す。収納容器224は、受け皿260、支柱262、ガラスロッド106を支持する一対の支持部材234a、234b、及びこの下方に設けられた一対の支持部材236a、236bを有する。支持部材234a、234b、236a、236bの形状は、収納容器224内のガラスロッド106の支持に好ましい実質的に半円の形状を有し、各一対の支持部材234でほぼ円形状の支持部を形成している。支持部材234a、234b及び支持部材236a、236bは、それぞれ一端が支柱262にピン結合され、他端は、止めピン257により支持部材234aと234bとが、同様に止めピン258により支持部材236aと236bとがそれぞれピン結合される。支柱262の高さは1,550mm、受け皿260の内径はφ300mm、一対の支持部材234aと234b及び236aと236bによって形成されるガラスロッド106の支持部の内径はともにφ180mmである。
【0061】
収納容器224に、外径φ80mmのガラスロッド106を収納した場合、ガラスロッド106がとり得る支柱262の前後方向に対する傾き角αは−3.7°〜+8.1°であり、支柱262の左右方向に対する傾き角βは−5.9°〜+5.9°となる。ここで述べた傾き角α、βはあくまで限界値であり、現実の作業ではこれらの範囲内でガラスロッド106は様々な姿勢で収納される。ガラスロッド106は収納容器224内で様々な姿勢にある。
【0062】
図22は、ガラスロッド106を搬送するときのガラスロッド搬送装置380の動作を示す。収納容器224内のガラスロッド106を、把持部材245、246により第1把持力で把持し(b)、支持部材234a、234bの規制範囲内でガラスロッド106が垂直になるように前後左右にゆする(c)。第1把持力は上述のように非常に弱いので、ガラスロッド106をゆすった時に第1把持力以上の力が移動側把持部材245に加わると、移動側把持部材245が開く構造となっている。また、移動側把持部材245とガラスロッド106との間、及び固定側把持部材246とガラスロッド106との間に作用する摩擦力は、ガラスロッド106の重量と比較して遙かに小さいので、第1把持力でガラスロッド106を把持した状態でガラスロッド搬送装置380を上昇させても、ガラスロッド106を持ち上げることはできない。
【0063】
ガラスロッド106が垂直になったことを確認した後、把持力を第1把持力から第2把持力に切り替え(d)、止めピン257、258を外して、支持部材234a、234b及びこの下方の支持部材236a、236bをそれぞれ開放してガラスロッド106を取り出し搬送する。収納容器224から取り出されたガラスロッド106は、水平状態に回転させられ、保管場所に並べられる。ガラスロッド106を保管場所に水平状態で並べる際、ガラスロッド搬送装置380の上昇・下降用エアシリンダーに常時一定圧以上の空気圧力を作用させることにより、ガラスロッド搬送装置380の自重がガラスロッド106にかからないようにして、ガラスロッド106の折損を防止することができる。
【0064】
図23は、ガラスロッド搬送装置380の他の実施形態を示す。ガラスロッド搬送装置380は、ロータリーアクチュエーターをそれぞれ備えた2個の回転機構A、Bを有している。具体的には、ロータリーアクチュエーター250により回転軸256を回転させて、ガラスロッド106を垂直から水平状態とする回転機構Aと、ロータリーアクチュエーター264により回転軸268を回転させ、回転軸268を支軸として連結軸266を介してガラスロッド106を上下又は左右に移動させるもう一つの回転機構Bとを有する。回転軸268は、回転軸256と水平又は垂直方向に直交する。
【0065】
図24は、図23に示したガラスロッド搬送装置380がガラスロッド106を搬送するときの動作を示す。図24(a)は、ガラスロッド搬送装置380がガラスロッド106を保持した状態の平面を示し、図24(b)は、ガラスロッド搬送装置380がガラスロッド106をVブロック240へ移動した状態の断面を示す。図24(a)に示すようにガラスロッド106を垂直に把持した把持部材245、246は、ロータリーアクチュエーター250を作動させることにより、垂直から水平の状態へ回転させられる。次に図24(b)に示すようにロータリーアクチュエーター264を作動させ、把持部材245、246を下方に回転させる。
【0066】
ロータリーアクチュエーター264を作動させることにより、移動側把持部材245の開閉方向が、垂直方向から水平方向になる。このため、移動側把持部材245を開き、ガラスロッド106を開放してVブロック240に載せた後、把持部材245、246を上方に待避させることが可能となる。したがって、ガラスロッド106を垂直から水平に回転させる回転機構Aに加えて、回転軸256と直交するもう一つの回転軸268を有する回転機構Bを備えることにより、ガラスロッド106の搬送作業性が大きく向上する。
【0067】
図25は、本発明のガラスロッド二次延伸装置111の構成を示す。ガラスロッド二次延伸装置111は、機台112と、固定チャック118及び可動チャック119と、加熱源122と、マスフローコントローラー278と、テールストック114及び116と、テール駆動モーター275と、テール駆動エンコーダー273と、外径測定器124と、移動台120と、すべりねじ270と、移動台モーター274と、移動台エンコーダー272と、チェーン276と、制御器280とを備える。
【0068】
固定チャック118及び可動チャック119は、ダミー棒108が両端に溶着されたガラスロッド106を把持する。加熱源122は、固定チャック118及び可動チャック119に把持されたガラスロッド106を加熱する。マスフローコントローラー278は、加熱源122に供給するガス量を調整する。テールストック116は、可動チャック119を移動してガラスロッド106を延伸する。テール駆動モーター275は、テールストック116を駆動する。テール駆動エンコーダー273は、テール駆動モーター275の回転量を検出するとともにテール駆動モーター275の速度を制御する。テール駆動エンコーダー273が検出したテール駆動モーター275の回転量からテールストック116の移動量を得ることができる。
【0069】
外径測定器124は、ガラスロッド106の外径をガラスロッド106の軸方向の位置に対応させて測定する。移動台120は、加熱源122及び外径測定器124が上部に設けられており、加熱源122及び外形測定器124を移動する。移動台120は、固定チャック118及び可動チャック119を結ぶ軸線と平行に設けられた、すべりねじ270に沿って移動自在に機台112上に設置され、すべりねじ270及びチェーン276を介して移動台モーター274により駆動される。移動台エンコーダー272は、移動台モーター274の速度を制御する。制御器280は、移動台エンコーダー272、移動台モーター274、チェーン276、すべりねじ270、及び移動台120を介して加熱源122の移動量を制御する。制御器280は、マスフローコントローラー278を制御することにより加熱源122に供給するガス量を制御する。制御器280は、テール駆動エンコーダー273を制御して、テール駆動モーター275の回転速度を制御することによりテールストック116の移動速度を制御する。テールストック116の移動速度を制御することでガラスロッド106が延伸される速度を制御する。
【0070】
テールストック114、116、固定チャック118、可動チャック119、テール駆動モーター275、及びテール駆動エンコーダー273は、ガラスロッド106を延伸する延伸部を構成する。
【0071】
外形測定器124が測定した外形測定位置及び外形測定値とテールストック116の移動量から得られたガラスロッド106の長さの変化とのデータは、制御器280に入力される。制御器280は、入力されたデータに基づいて、加熱源122の移動量及び加熱源122に供給するガス量などの加熱条件やテールストック116の延伸速度を制御する。
【0072】
図26は、図4に示したガラスロッド二次延伸ステップ(S206)の詳細なフローチャートを示す。ガラスロッド二次延伸ステップ(S206)においては、まず、固定チャック118及び可動チャック119にダミー棒108をセットし、ガラスロッド106の両端にダミー棒108を溶着して(S146)、ガラスロッド106をガラスロッド二次延伸装置111にセットする。次にガラスロッド106とダミー棒108とのつなぎ目に、標識として深さ3mmの切り込み284をつなぎ目の軸周り全体に設ける(S147)。
【0073】
次に、ガラスロッド106の外径測定の開始位置及び終了位置と目標径とを設定する(S150)、次に、外径測定器124を用いて延伸前のガラスロッド106の外径をガラスロッド106の軸方向の位置に対応させて測定する(S152)。測定した外径とその測定位置に基づいてガラスロッド106の軸方向の各位置における延伸速度を設定し、ガラスロッド106の外径の平均値に基づいて加熱源122に供給するガス量及び加熱源122の移動量を含む加熱条件を設定する(S153)。次に、ガラスロッド106を加熱源122を用いて設定した加熱条件で加熱しながら、設定した延伸速度でテールストック116を移動し、ガラスロッド106を順次延伸する(S154)。
【0074】
次に、ガラスロッド106とダミー棒108のつなぎ目に設けた切り込み284の位置を外径測定器124によって検出することにより、ガラスロッド106の有効部の位置を検出し、テール駆動エンコーダー273によりテールストック116の移動量を測定することで、ガラスロッド106の軸方向の長さの変化を測定する。更に切り込み284からガラスロッド106の中央側に50mmの箇所の外径を測定する(S156)。次に、切り込み284の位置とガラスロッド106の軸方向の長さの変化に基づいて加熱源122の加熱位置を設定し、測定した外径に基づいて加熱源122のガス量を設定する。更に測定した外径に基づいてテールストック116の移動速度を設定する(S157)。次にガラスロッド106を設定した加熱条件及び延伸速度で加熱延伸してガラスロッド106の端部を外径が絞られた形状に絞り加工する(S158)。
【0075】
次に、外径測定器124を用いて絞り部分及び絞りにより伸長した部分の外径を位置と対応させて測定して絞り部の位置を検出し、さらにテール駆動エンコーダー273を用いて、絞りによるガラスロッド106の軸方向の長さの変化を測定する(S160)。次に検出された絞り部の位置及びガラスロッド106の軸方向の長さの変化に基づいて、ガラスロッド106を火炎によって研磨する火炎研磨の開始位置と終了位置及び火炎の火力条件を設定する(S161)。
【0076】
火炎研磨の開始位置及び終了位置については、ガラスロッド106の絞り加工によって強く加熱された部分の近傍に火炎研磨すべき曇りが発生するので、曇りが発生する場所を火炎研磨の開始位置及び終了位置とする。次に加熱源122を用いて、設定された火炎研磨の開始位置から終了位置までのガラスロッド106を、設定された火力条件により火炎研磨する(S162)。火炎研磨終了後、ガラスロッド106の仕上がり外径及び長さを測定してガラスロッド106の形状を確認する(S164)。次にダミー棒108をガラスロッド106から除去し(S166)、ガラスロッド106を表面処理(S168)してプリフォーム107とする。
【0077】
上述したように、延伸ステップ(S154)、端部絞りステップ(S158)、及び火炎研磨ステップ(S162)のそれぞれの作業開始前にガラスロッド106の軸方向の位置に対応させて外径を測定し、次工程の加熱条件や延伸速度を的確に設定することにより安定した品質のガラスロッド106を製造することができる。
【0078】
図27は、ガラスロッド二次延伸装置111の固定チャック118及び可動チャック119に冷却装置330を設けた例を示す。冷却装置330は、チャック118、119に冷却水を循環することにより加熱源122の輻射熱からチャック118、119を保護する。冷却装置330は、気体もしくは液体の冷却媒を使用する。チャック118、119に冷却装置330を設けることにより、チャック118、119の温度上昇が制御され、チャック118、119の変形が抑えられる。このため、ガラスロッド106を回転させる駆動力の伝達精度が低下せず、ガラスロッド106の加熱むらがなくなり、ガラスロッド106の外径値の変動が減少する。
【0079】
(実施例)
図27に示す、冷却装置330が設けられたチャック118、119、及び加熱源122を用いて、加熱源122に燃焼ガスとしてO=150SLM、H=300SLMを供給し、15rpmで回転している外径50mm、長さ1000mmのガラスロッド106を、加熱源122を約20mm/minの速さで相対的に移動させながら火炎研磨した。
【0080】
図28は、実施例及び下記の比較例におけるチャック118、119の温度を測定した結果を示す。縦軸はチャック118、119の温度、横軸は火炎研磨の加工時間を示す。実施例のチャック118、119は約45℃と低い温度に維持された。したがってチャック118、119の変形によるガラスロッド106を回転する駆動力の変動が少なかったので火炎研磨されたガラスロッド106の外径値の変動幅は0.02%と小さい値であった。
【0081】
(比較例)
図27に示すチャック118、119から冷却装置330を取り外した以外は、実施例と同様の条件でガラスロッド106を加工したところ、チャック118、119の温度が図28に示すようにほぼ100℃に達した。このためチャック118、119が変形してガラスロッド106を回転させる駆動力が変動し、火炎研磨後のガラスロッド106の外径値の変動幅が1.0%と実施例よりも大きくなった。
【0082】
図29は、加熱源122と外径測定器124との距離及びガラスロッド106の外径値の変動率の関係を示す。図29のガラスロッドの外径の変動率(%)は、(ガラスロッドの最大径−ガラスロッドの最小径)/(平均径)×100を表す。図25のガラスロッド二次延伸装置111の外径測定器124は、加熱源122から一定の距離、すなわち10mmから50mm離れた位置に設置されているのでガラスロッド106の正確な外径測定値が得られ、ガラスロッド106の外径を正確に制御できる。
【0083】
ガラスロッド106の延伸時は、加熱源122が移動しているので加熱によりガラスロッド106が最も高温になっている位置は、そのとき加熱源122で加熱されている位置より多少ずれた位置にある。単位長さ当たりの延伸速度は、ガラスロッド106が最も高温になっている位置で最大になる。この延伸速度が最も大きくなる位置の外径及び目標値に基づいて加熱源による加熱量及びチャックの移動速度を制御することが好ましい。したがって、加熱源122から一定の距離離れた位置に外径測定器124を設けることでガラスロッドの延伸される速度が最大になる位置におけるガラスロッド106の外径を測定し、この外径と延伸目標径との差に基づいてチャック119の移動速度を制御する。
【0084】
加熱源122から一定距離離れた位置とは、加熱源122が設置された位置から加熱源122の移動方向とは逆方向に10mmから50mm離れた位置である。つまり、外径測定器124は、加熱源122から加熱源122の移動方向とは反対方向に10mmから50mm離れた位置に設置される。
【0085】
加熱源122が酸水素バーナーであるときは、加熱源122に供給する水素ガス流量を30リットル/分から500リットル/分とし、水素/酸素の流量比を1.5から3.0としてガラスロッド106を加熱し、加熱源122の移動速度を2mm/分から65mm/分の範囲で制御する。水素ガス流量は、30リットル/分未満では熱量が不足し、500リットル/分を超えると燃料が無駄になる。また、水素/酸素の流量比が上記の範囲から外れると、熱量が不足し延伸が困難となる。
【0086】
また、加熱源122がプロパンガスバーナーであるときは、加熱源122に供給するプロパンガス流量を1リットル/分から15リットル/分とし、プロパンガス/酸素の流量比を0.1から0.3として、ガラスロッド106を加熱し、加熱源122の移動速度を2mm/分から65mm/分の範囲で制御する。プロパンガス流量は、1リットル/分未満では熱量が不足し、15リットル/分を超えると燃料が無駄になる。また、プロパンガス/酸素の流量比が上記の範囲から外れると、熱量が不足し延伸が困難となる。加熱源122の移動速度は、2mm/分から65mm/分の範囲で制御するのがよく、2mm/分未満では延伸に時間がかかりすぎ、65mm/分を超えるとガラスロッド106の中心まで十分加熱されず、延伸が困難になる。
【0087】
(実施例1)
加熱源122と外径測定器124との間の距離を15mmに設定してガラスロッド106の延伸を始めた。ガラスロッド106の延伸中、測定されたガラスロッド106の外径および延伸目標径との差に基いて、加熱源122とテールストック116の移動速度を制御した。加熱源122の燃焼条件は、水素ガス流量を224リットル/分、水素/酸素流量比を2.5、加熱源122の移動速度を11mm/分に設定した。延伸後のガラスロッド106の外径の変動率は、0.9%であった。
【0088】
(実施例2)
加熱源122と外形測定器124との間の距離を40mmに設定した。水素ガス流量を199リットル/分、水素/酸素流量比を2.5、加熱源122の移動速度を13mm/分に設定した。延伸後のガラスロッド106の外径の変動率は、0.6%であった。
【0089】
(比較例1)
加熱源122と外形測定器124との間の距離を5mmに設定した。水素ガス流量を209リットル/分、水素/酸素流量比を2.5、加熱源122の移動速度を12mm/分に設定した。加熱源122と外形測定器124との間の距離が近すぎたので、延伸後のガラスロッド106の外径の変動率は、3.7%と実施例1及び実施例2よりも大きい値となった。
【0090】
(比較例2)
加熱源122と外形測定器124との間の距離を60mmに設定した。水素ガス流量を237リットル/分、水素/酸素流量比を2.5、加熱源122の移動速度を10mm/分に設定した。加熱源122と外形測定器124との間の距離が離れすぎていたので、延伸後のガラスロッド106の外径の変動率は、2.5%と、実施例1及び実施例2よりも大きい値となった。
【0091】
(比較例3)
加熱源122と外形測定器124との間の距離を15mmに設定した。水素ガス流量を215リットル/分、水素/酸素流量比を1.0、加熱源122の移動速度を12mm/分に設定した。水素/酸素流量比が1.0と、1.5より小さかったのでガラスロッド106を延伸することができなかった。
【0092】
(比較例4)
加熱源122と外形測定器124との間の距離を15mmに設定した。水素ガス流量を195リットル/分、水素/酸素流量比を4.0、加熱源122の移動速度を13mm/分に設定した。水素/酸素流量比が4.0と、3.0より大きかったのでガラスロッド106を延伸することができなかった。
【0093】
(比較例5)
加熱源122と外形測定器124との間の距離を15mmに設定した。水素ガス流量を204リットル/分、水素/酸素流量比を2.5、加熱源122の移動速度を70mm/分に設定した。加熱源122の移動速度が70mm/分と、65mm/分より大きかったので延伸することができなかった。
【0094】
図30は、図25のガラスロッド二次延伸装置111に引張り張力測定器282を設けた構成を示す。このガラスロッド二次延伸装置111には、可動チャック119にガラスロッド106に加わる引張り張力を測定する引張り張力測定器282が設けられている。ガラスロッド二次延伸装置111は、移動台エンコーダー272によって、移動台120上の加熱源122の位置を検知することができる。引張り張力測定器282は、制御器280に接続される。加熱源122の移動量が所定の距離に達するまで、制御器280は、引張り張力測定器282から与えられたガラスロッド106の引張り張力の値に基づいて、テールストック116の移動する速度を制御する。
【0095】
図31は、図26に示した延伸ステップ(S154)の詳細なフローチャートを示す。まずガラスロッド106の所定部位が溶融軟化するまで加熱源122により予備加熱し、ガラスロッド106を延伸可能な状態にする(S132)。次に、移動台120を移動することにより移動台120上の加熱源122を移動する。この加熱源122の移動速度は、延伸初期においては、なるべく遅くした方がガラスロッド106の外径の変動をより抑制することができるが、一定の速度で移動するようにしてもよい。また、加熱源122に供給するガス量は一定でもよい。
【0096】
次に、引張り張力測定器282が測定したガラスロッド106の引張り張力が、下記に述べる定常時の引張り張力の平均値の80%から110%になるようにテールストック116の移動速度を制御する(S136)。したがって、ガラスロッド106の軸方向の各位置における外径に基づいて設定されたテールストック116の移動速度がガラスロッド106の引張り張力に基づいて再設定される。ガラスロッド106は、加熱源122が、50mmから150mm移動するまで上記の引張り張力で延伸される(S138)。
【0097】
さらに、加熱源122が50mmから150mm移動したことを、移動台エンコーダー272により制御器280が検知すると(S138)、テールストック116を移動する速度は、テール駆動エンコーダー273を制御することにより、下記に述べる定常時の速度に切換えられる(S140)。外径測定器124により、ガラスロッド106の外径を測定しつつ(S142)延伸し、所望の外径および長さにガラスロッド106が延伸された時点で延伸を終了する(S144)。
【0098】
なお、ここで定常時の速度とは、延伸前と延伸後のガラスロッド106の物質収支が合うようになる速度を言う。例えば、ここでガラスロッド106の延伸する前の元径をD、縮径する目標径をD、加熱源122の移動速度をv、ガラスロッド106を延伸する速度をvとして、その時加熱された部分以外では延伸は起こらず、加熱延伸される部分は極めて小さいと仮定すると、
【0099】
=D (v +v
が成り立つときのガラスロッド106を延伸する速度vが定常時の速度である。したがって延伸するガラスロッド106の元径及び目標径から、加熱源122の移動速度及びテールストック116の移動速度を調整することによりガラスロッド106を延伸する速度を設定すれば良い。また、ガラスロッド106の定常時の引張り張力は、定常時のテールストック116の移動速度によりガラスロッド106を延伸したときの引張り張力である。
【0100】
図32はガラスロッド106を延伸する際に外径の変動が生じる過程を示す。ガラスロッド106には、加熱されると軟化する性質があるが、図32(1)に示すように予備加熱だけでは延伸が可能になるまで十分に軟化させることができない場合がある。その状態で加熱源122の移動を開始しつつ、同時に所定の速度でテールストック116を移動して延伸を開始すると、ガラスロッド106に発生する引張り張力は通常の2倍から3倍となり、図32(2)の斜線部に示すように予備加熱された部分は急速に伸長し細径化する。このときのガラスロッド106の伸びは概ね予備加熱された部分に吸収されてしまい、加熱源122が新たに加熱した部分はあまり延伸されないので図32(3)に示すようにガラスロッド106に径のくびれが生じる。
【0101】
ガラスロッド106の外径の変動はガラスロッド106の延伸を開始した場所から50mmの付近までの領域で発生しやすい。この場所より延伸が進むとガラスロッド106への熱供給及びガラスロッド106の軟化の速さとガラスロッド106の延伸の速度とのバランスがとれて定常状態となるので、図32(4)に示すようにガラスロッド106の外径の変動は起こらなくなる。そこで、延伸初期はガラスロッド106の引張り張力を定常時の引張り張力の平均値の110%以下になるようにテールストック116の移動速度を制御しつつガラスロッド106を延伸することによって、延伸初期におけるガラスロッド106への熱供給及びガラスロッド106の軟化の速さとガラスロッド106の延伸の速度とのバランスをとり、ガラスロッド106の延伸初期における外径の変動を抑制する。
【0102】
また、延伸初期のガラスロッド106の引張り張力が定常時の80%未満であると、ガラスロッド106の外径が目標径に達するまでの距離が長くなるので、製品として使用できる部分が少なくなり歩留りが悪化する。また、ガラスロッド106が目標径に達するまでに時間がかかる。したがって、延伸初期のガラスロッド106の引張り張力は定常時の引張り張力の平均値の80〜110%とすることが好ましい。
【0103】
図33は、図31の延伸ステップ(S154)に沿って延伸されるガラスロッド106を示す。まず図33(1)及び(2)に示すようにガラスロッド106を予備加熱した後に加熱源122を移動させ、テールストック116を移動してガラスロッド106の延伸を開始する。ガラスロッド106の引張り張力を定常時の引張り張力の110%以下に制御するので、ガラスロッド106に過大な引張り張力がかからず、ガラスロッド106が急激に延伸されてくびれを生じるようなことがない。そして、このバランスがとれた状態が保たれたまま、加熱源122が所定距離を移動すれば、図33(3)に示すように延伸初期から定常時までのガラスロッド106への熱供給及びガラスロッド106の軟化の速さとガラスロッド106を延伸する速度とのバランスが保たれて、ガラスロッド106の外径の変動が防止できる。
【0104】
しかし、このまま引張り張力を基準としてテールストック116の移動速度を制御すると、ガラスロッド106の引張り張力は加熱源122から受ける微妙な熱量の変化等によって変化する。そのためガラスロッド106の引張り張力を一定に制御するためにテールストック116を移動する速度が変動し、延伸されたガラスロッド106の外径が変動する。そこで、延伸開始から加熱源122が所定距離を移動した後に、テールストック116の移動速度を定常時の速度に切換えることで、引張り張力の微細な変動によるガラスロッド106の外径の変動を防止することができる。
【0105】
テールストック116の移動速度を定常時の速度に切換える時期は、加熱源122が50mmから150mm移動した時とする。延伸開始から加熱源122が50mm移動しないうちは、ガラスロッド106への熱供給及びガラスロッド106の軟化の速さとガラスロッド106が延伸される速度とのバランスがとれていない状態なので、延伸の速度を定常時の速度に切換えた場合、外径の変動によるくびれが生じる可能性がある。次に、加熱源122が50mm移動するまではガラスロッド106の引張り張力を定常時の110%以下に制御する。一方、加熱源122が150mm移動するまでには、テールストック116の移動速度を定常時の速度に切換えることが好ましい。
【0106】
(実施例)
ガラスロッド二次延伸装置111を用いてガラスロッド106の延伸を行った。外径が65mmφ、長さ980mmのガラスロッド106の両端に、外径が60mmφ、長さ250mmのダミー棒108を溶着した。ガラスロッド106とダミー棒108とを溶着した時の軸周りの回転数は30rpmであった。加熱源122として酸水素バーナを用いた。加熱源122に供給した酸素ガスは96L/min、水素ガスは240L/minであった。
【0107】
ガラスロッド106を予備加熱した後、加熱源122を移動速度12.4mm/minで移動させて延伸を開始した。この条件で直径65mmφのガラスロッド106を50mmφまで延伸する場合における定常時の引張り張力は約100kgf/cmであり、テールストック116の移動速度は8.6mm/minである。したがって延伸開始から加熱源122が100mm移動するまでは、引張り張力が110kgf/cmを超えないようにテールストック116の移動速度を制御した。加熱源122が100mm移動した後は、テールストック116の移動速度を定常時の速度である8.6mm/minに制御してガラスロッド106を延伸した。
【0108】
図34は、実施例における延伸初期のガラスロッド106の引張り張力を示す。縦軸は、ガラスロッド106に発生する引張り張力を示し、横軸は、延伸開始時からの加熱源122の移動距離を示す。ガラスロッド106の引張り張力は、加熱源122が100mm移動するまでの延伸初期において、110kgf/cm以下になっている。
【0109】
図36は延伸後のガラスロッド106の外径変動を示す。縦軸はガラスロッド106の径方向距離を示し、横軸はガラスロッド106の長手方向の距離を示す。実施例の方法によって延伸されたガラスロッド106にはくびれ等の径変動が少なく、延伸開始から100mm程度で目標径とすることができた。さらに、実施例の方法によって延伸されたガラスロッド106における定常の速度で延伸された定常部の外径を測定したところ、従来の延伸方法で延伸した場合と同程度の外径の精度であった。
【0110】
(比較例)
実施例と同様に、加熱源122の移動速度とガス量は同条件で、直径65mmφのガラスロッド106を直径50mmφまで延伸した。延伸開始時から、テールストック116の移動速度を定常時の速度である8.6mm/minに制御して延伸した。
【0111】
図35は、比較例における延伸初期のガラスロッド106の引張り張力の変動を示す。縦軸は、ガラスロッド106に発生する引張り張力を示し、横軸は、加熱源122の延伸開始時からの移動距離を示す。ガラスロッド106の引張り張力は、加熱源122が100mm移動するまでの延伸初期において、定常時の引張り張力の3倍の300kgf/cmとなった。図36に示すように比較例の延伸後のガラスロッド106には延伸開始から100mm程度の箇所に大きなくびれが残り、その後も延伸開始から300mm程度の箇所までうねりが続くため、この部分は製品として使えず歩留りが低くなった。
【0112】
図37は、図26に示した端部絞りステップ(S158)の詳細なフローチャートを示す。まず、ガラスロッド106の絞り位置を検出する(S169)。次に、加熱源122の火炎によってガラスロッド106の所定箇所を軟化温度近くまで加熱する(S170)。次に、加熱源122でガラスロッド106の所定箇所を加熱しながらテールストック116を移動することで、ガラスロッド106の所定箇所を細く延伸する(S172)。次に、延伸されたガラスロッド106の所定箇所の中心からガラスロッド106の中央側の領域に加熱源122を移動し、予備加熱ステップ(S170)よりも火炎の太さを細くして二次加熱する(S174)。さらにテールストック116を移動することでガラスロッド106の所定箇所を細く延伸し(S176)、太さを予備加熱ステップ(S170)よりも細く絞った火炎でガラスロッド106の所定箇所を吹き飛ばして溶断する(S178)。
【0113】
図38は、図37に示した絞り位置検出ステップ(S169)において、絞り位置を検出するためにガラスロッド及びダミー棒のつなぎ目に標識として設けられた切込み284を示す。ガラスロッド106とダミー棒108のつなぎ目に標識を設ける。ガラスロッド二次延伸装置111に標識を認識する機器を設置し、標識を認識する機器を用いて標識の位置を検出する。検出された標識の位置に基づいて絞り加工を開始する位置を設定し、設定された絞り開始位置においてガラスロッド106の延伸加工を終了させるとともにガラスロッド106の端部絞り加工を始める。図38の方法は、標識を認識する機器が、外径測定器124などの径を測定する機器であるときに用いられる。
【0114】
図39は、標識の他の例としてガラスロッド及びダミー棒のつなぎ目に塗布されたマーキング287を示す。図39の方法は、標識を認識する機器が画像処理装置であるときに用いられる。
【0115】
図40は、絞り位置検出ステップ(S169)において、切込み284を検出するガラスロッド二次延伸装置111を示す。ガラスロッド106の両端にダミー棒108を溶着し、ダミー棒108が溶着されたガラスロッド106の両端をガラスロッド二次延伸装置111の不図示のチャックに固定する。ガラスロッド106とダミー棒108とのつなぎ目となる溶着位置に深さ3mmの切込み284が全周に設けられている。ガラスロッド106の延伸中、外径測定器124は、ガラスロッド106の外径を測定する。外径測定器124が外径の変化から切込み284の位置を検出すると、ガラスロッド二次延伸装置111はガラスロッド106とダミー棒108のつなぎ目より多少ガラスロッド106の中央側で泡のない部分又は直径0.3mm以上の泡を含まない部分で絞りを開始し、延伸から絞りへと作業を移行する。
【0116】
標識がマーキング287である場合、ガラスロッド106とダミー棒108とのつなぎ目に蛍光塗料を塗布する。移動台120の外径測定器124の位置に蛍光塗料を検出することのできる画像処理装置の撮像部を設置する。撮像部は、ガラスロッド106の延伸中、ガラスロッド106の画像を処理する。撮像部が蛍光塗料を検出すると、ガラスロッド二次延伸装置111は、ガラスロッド106とダミー棒108のつなぎ目より多少プリフォームの中央側で泡のない部分又は直径0.3mm以上の泡を含まない部分に火炎の中心があたる位置で絞りを開始し、延伸から絞りへと作業を移行する。
【0117】
図41は、図37のフローチャートに示したガラスロッド106の端部絞り加工における、絞り位置を検出した(S169)後の加熱源122及びテールストック116の動作を示す。絞り予備加熱ステップ(S170)においては、加熱源122は火炎によってガラスロッド106の所定箇所を軟化温度近くまで加熱する。絞り延伸ステップ(S172)においては、加熱源122は、ガラスロッド106の所定箇所を加熱し、テールストック116は、移動してガラスロッド106の所定箇所を細く延伸する。
【0118】
二次加熱ステップ(S174)においてテールストック116は停止し、加熱源122は、ガラスロッド106の所定箇所の中心からガラスロッド106の中央側の領域、図における左方に移動し、絞り予備加熱ステップ(S170)よりも火炎の太さを細くして加熱する。絞り二次延伸ステップ(S176)において加熱源122は、更に左方に移動してガラスロッド106を加熱し、テールストック116も移動してガラスロッド106の所定箇所を細く延伸する。絞り溶断ステップ(S178)において加熱源122は、絞り二次延伸ステップ(S176)における位置で、絞り予備加熱ステップ(S170)よりも火炎の太さを細く絞った火炎でガラスロッド106を加熱し、テールストック116は移動してガラスロッド106を溶断する。
【0119】
図42は、図37に示した端部絞りステップ(S158)において、ガラスロッド106の端部絞り加工の経過時間に基づいて加熱源122のガス量と移動量及びテールストック116の移動速度を制御する端部絞り加工方法の設定の一例を示す。ガラスロッド二次延伸装置111は、第2加熱条件・延伸速度設定ステップ(S157)において、切り込み284の位置とガラスロッドの軸方向の長さの変化及び外径とに基づいて設定された加熱源122に供給されるガス量及び移動量とテールストック116の移動速度とを、ガラスロッド106の端部絞り加工の進捗に伴う経過時間に基づいて再設定する。
【0120】
例えば、絞り予備加熱ステップ(S170)においては、300秒の間、加熱源122の移動量が0mm、テールストック116の移動速度が0mm/分の状態で、ガス量が、水素、Hについては250cc/分、加熱源122の内側の出口における酸素O(内)については30cc/分、外側の酸素O(外)については100cc/分に設定された加熱源122を用いてガラスロッド106を加熱する。
【0121】
次に絞り延伸ステップ(S172)においては、60秒の間、ガス量が水素、Hについては250cc/分、加熱源122の内側の出口における酸素O(内)については30cc/分、外側の出口の酸素O(外)については100cc/分に設定された加熱源122を用いてガラスロッド106を加熱して、加熱源122の移動量を0mmにした状態で、テールストック116を10mm/分の速度で移動してガラスロッド106を延伸する。
【0122】
次に二次加熱ステップ(S174)においては、20秒の間、テールストック116の移動速度を0mm/分とし、加熱源122を15mm移動しながら、ガス量が水素、Hについては130cc/分、加熱源122の内側の出口における酸素O(内)については15cc/分、外側の出口の酸素O(外)については50cc/分に設定された加熱源122を用いてガラスロッド106を加熱する。
【0123】
次に絞り二次延伸ステップ(S176)においては、180秒の間、加熱源122の移動量を15mmから25mmへと増加しながら、ガス量が水素、Hについては130cc/分、加熱源122の内側の出口における酸素O(内)については15cc/分、外側の出口の酸素O(外)については50cc/分に設定された加熱源122を用いてガラスロッド106を加熱して、テールストック116を10mm/分の速度で移動してガラスロッド106を延伸する。
【0124】
最後に絞り溶断ステップ(S178)においては、30秒の間、加熱源122の移動量を25mmと絞り二次延伸ステップ(S176)の位置から移動せずに、ガス量が水素、Hについては130cc/分、加熱源122の内側の出口における酸素O(内)については30cc/分、外側の出口の酸素O(外)については20cc/分に設定された加熱源122を用いてガラスロッド106を加熱して、テールストック116を120mm/分の速度で移動してガラスロッド106を溶断する。
【0125】
外径60mmのガラスロッド106をガラスロッド二次延伸装置111を用いて図42に示した設定条件で絞り加工したところ、加工されたプリフォームの絞り形状は、絞り部の長さが外径60mmに対して61mmの円錐形である良好な形状であった。絞り加工に要した時間は12分であった。
【0126】
図43は、図37に示した端部絞りステップ(S158)において、テールストック116の移動量に基づいて加熱源122のガス量と移動量及びテールストック116の移動速度を制御する端部絞り加工方法の設定の一例を示す。ガラスロッド二次延伸装置111は、テールストック116の移動量を検出し、検出したテールストック116の移動量に基づいて、第2加熱条件・延伸速度設定ステップ(S157)において切り込み284の位置とガラスロッド106の軸方向の長さの変化及び外径とに基づいて設定された加熱源122へ供給するガス量及び移動量とテールストック116の移動速度とを再設定する。
【0127】
端部絞り加工時、ガラスロッド106が十分に加熱されていないときには、テール駆動モータ275の力不足によってテールストック116が動かないためにテールストックの移動量が測定できないときがある。このようにテール駆動モーター275の出力が十分に大きくないときには、出力軸のトルクを検出できるACサーボモーターをテールストック116の駆動に用いて、このトルクにしきい値を設け、しきい値を超えたときガラスロッド106の加熱が不十分と判断し、テールストック116の駆動を一時中止したり、加熱源122のガス量を増やす等の制御をしてもよい。
【0128】
図43は、経過時間の項目が、テールストックの移動量の項目に変わった以外は、図42と同様の設定となっている。図43の端部絞り加工方法も、絞り予備加熱ステップ(S170)、絞り延伸ステップ(S172),二次加熱ステップ(S174)、絞り二次延伸ステップ(S176)、及び絞り溶断ステップ(S178)の工程に沿って実施される。テールストック116の移動量に対して各工程における加熱源122のガス量と移動量及びテールストック116の移動速度が設定される。
【0129】
例えば、絞り予備加熱ステップ(S170)においては、テールストック116の移動速度が0mm/分と、テールストック116が移動しないので、絞り予備加熱ステップ開始からの時間を300秒間測定する。300秒間、加熱源122の移動量が0mmの状態で、ガス量が、水素、Hについては250cc/分、加熱源122の内側の出口における酸素O(内)については30cc/分、外側の酸素O(外)については100cc/分に設定された加熱源122を用いてガラスロッド106を加熱する。絞り予備加熱ステップ開始からの経過時間が300秒間に達した時点で次のステップへ移行する。
【0130】
次に絞り延伸ステップ(S172)においては、テールストック116の移動量が0から30mmへと変化する間、ガス量が水素、Hについては250cc/分、加熱源122の内側の出口における酸素O(内)については30cc/分、外側の出口の酸素O(外)については100cc/分に設定された加熱源122を用いてガラスロッド106を加熱して、加熱源122の移動量を0mmにした状態で、テールストック116を10mm/分の速度で移動してガラスロッド106を延伸する。
【0131】
次に二次加熱ステップ(S174)においては、テールストック116の移動速度が0mm/分と、テールストック116の移動量が30mmのまま変化せず、加熱源122が15mm移動する間、ガス量が水素、Hについては130cc/分、加熱源122の内側の出口における酸素O(内)については15cc/分、外側の出口の酸素O(外)については50cc/分に設定された加熱源122を用いてガラスロッド106を加熱する。加熱源122が15mm移動した時点で次のステップへ移行する。
【0132】
次に絞り二次延伸ステップ(S176)においては、テールストック116の移動量が30mmから55mmへと増加する間、加熱源122の移動量を15mmから25mmへと増加しながら、ガス量が水素、Hについては130cc/分、加熱源122の内側の出口における酸素O(内)については15cc/分、外側の出口の酸素O(外)については50cc/分に設定された加熱源122を用いてガラスロッド106を加熱して、テールストック116を10mm/分の速度で移動してガラスロッド106を延伸する。
【0133】
最後に絞り溶断ステップ(S178)においては、テールストック116の移動量が55mmから100mmへと変化する間、加熱源122の移動量を25mmと二次延伸ステップ(S176)の位置から移動せずに、ガス量が水素、Hについては130cc/分、加熱源122の内側の出口における酸素O(内)については30cc/分、外側の出口の酸素O(外)については20cc/分に設定された加熱源122を用いてガラスロッド106を加熱して、テールストック116を120mm/分の速度で移動してガラスロッド106を溶断する。
【0134】
(実施例1)
図43に示す設定値に基づき、外径60mmのガラスロッド106が端部絞り加工された。テール駆動モーター275に200WのACサーボモーターを使用し、テール駆動エンコーダー273にテール駆動モーター275の回転量を検出するロータリーエンコーダーを使用した。テール駆動エンコーダー273の出力によってテール駆動モーター275の回転速度を制御するとともにテール駆動モーター275の回転量を検出することでテールストックの移動量を求めた。絞り加工に要した時間は15分であった。加工されたガラスロッド106の絞り形状は、外径60mmに対して絞り部の長さが61mmの円錐形であり、良好な形状であった。
【0135】
(実施例2)
図43に示す設定値に基づき、外径60mmのガラスロッド106が端部絞り加工された。テールストック116にテールストック116の移動量を検出するリニアエンコーダーを設置した。リニアエンコーダーが検出したテールストック116の移動量に基づいて加熱源122のガス量と移動量及びテールストック116の移動速度を制御した。加工されたガラスロッド106の絞り形状は、外径60mmに対して絞り部の長さが65mmと少し長めであった。絞り部の形状は、良好な形状であった。
【0136】
図44は、ガラスロッド二次延伸装置111の加熱源122の構成を示す。加熱源122の外筒285は、底端が閉鎖され、可燃性ガスの一例である水素ガスの流路312に接続されている。加熱源122は、可燃性ガス流路312の途中に可燃性ガス流量制御器314を有する。全ての内管286は、分流具316を介して支燃性ガスの一例である酸素ガスの流路308に接続されている。支燃性ガス流路308の途中に、不活性ガス管296が連結され、支燃性ガス流量制御器310が不活性ガス管296より酸素ガス流入側に配置されている。不活性ガス管296は、開閉弁300と、不活性ガス流量制御器298とを有する。加熱源122は、支燃性ガス流量制御器310から出力される流量データにより駆動源306の駆動を制御する制御部304を有する。駆動源306は、開閉弁300に接続されている。可燃性ガス流量制御器314及び支燃性ガス流量制御器310は、それぞれ図42及び図43を用いて説明した水素ガスH及び酸素ガスOの流量を制御する。
【0137】
なお、開閉弁300として、電動バルブ、電磁バルブなどが用いられる。支燃性ガス流路308への不活性ガス管296の接続には、三方管、三方弁等の接続具302が用いられる。
【0138】
図45は、加熱源122の先端の平面を示す。内径が30mmの外筒285内に、内径1mm、外径3mmの内管286が複数挿入されている。内管286は、外筒285の軸を中心に同心円上に複数列配置され、各列には等間隔に内管286が並んでいる。各列の内管286の間隔は外周部ほど密になっている。なお、内管286は等密度に配置されていてもよい。内管286の内部の支燃性ガス流出部288には、支燃性ガスが流れ、外筒285の内部の可燃性ガス流出部290には、可燃性ガスが流れる。
【0139】
加熱源122は、以下のように動作する。水素ガスが、不図示の供給源から可燃性ガス流路312を経て外筒285に流入する。一方、酸素ガスが、不図示の供給源から支燃性ガス流路308を経て分流具316により内管286に分流する。外筒285の先端において水素ガスおよび酸素ガスが混合される。混合ガスに点火すると、火炎294が得られる。ガラスロッド106の火炎加工の目的に応じて、支燃性ガス流量制御器310および可燃性ガス流量制御器314を用いて水素ガス量と酸素ガス量とを調整し、最適な火炎状態にする。このとき支燃性ガス流量制御器310から制御部304に酸素ガスの流量を示す信号が出力される。この流量を内管286の開口面積で除した値である酸素ガス線速度が1.0m/秒以下であると制御部304は駆動源306を駆動させ、不活性ガス開閉弁300を開放する。すると、不活性ガスである窒素ガスが、支燃性ガス流路308に0.5m/秒のガス線速度で流れ込んで酸素ガスと混合される。酸素の流量を変化させたとき、酸素ガス線速度が1.1m/秒に達すると、制御部304が駆動源306を駆動させ、開閉弁300を閉鎖する。
【0140】
可燃性ガスや支燃性ガスの流量を絞って火炎294を小さくしたときに、不活性ガスを混合することにより、火炎294が拡散し、内炎の先端近傍の高温部分が加熱源122の先端から遠ざかる。そのため、加熱源122の先端の表面温度が400℃未満に制御され、加熱源122の酸化を防止できる。一方、強い火力を必要とするときは、不活性ガスを混合すると燃焼温度が低下してしまうので、不活性ガスの開閉弁300を閉鎖する。このときは、可燃性ガスや支燃性ガスの流量が増し火炎294が大きいので、火炎294の高温部分が加熱源122の先端から離れている。そのため加熱源122の先端の表面温度は400℃未満となる。開閉弁300の開放および閉鎖の際の支燃性ガス線速度を1.0m/秒以下及び1.1m/秒以上と異なる値を設定することにより、開閉弁300の開閉による脈流の発生を防止できる。
【0141】
開閉弁300の開放により、0.5〜2m/秒の不活性ガス線速度の不活性ガスが流れることが好ましい。不活性ガス線速度は、不活性ガス流量を内管286の支燃性ガス流出部288の開口面積で除した値である。不活性ガス線速度が0.5m/秒以下であると、加熱源122の先端の温度の制御が困難である。一方、2m/秒以上であると、可燃性ガスが完全燃焼できなかったり、火炎温度が低下する。加熱源122を用いて、ガラスロッド106を火炎294により熱処理すると、加熱源122の先端の温度を400℃以下に制御できるので、加熱源122の先端に金属酸化物が生成しにくい。そのためガラスロッド106に金属酸化物が付着せず、高品質なガラスロッド106が製造できる。
【0142】
不活性ガスの流量を制御する加熱源122を用いたガラスロッド二次延伸装置111によって、平均径65mmのガラスロッド106を延伸加工した。ガラスロッド106の全加工本数に対し、金属酸化物等の異物の付着している本数の割合は0.2%と低かった。比較のため、不活性ガス開閉弁300を常時閉鎖してガラスロッド106を延伸加工した。ガラスロッド106の全加工本数に対して金属酸化物等の異物の付着している本数の割合は15%と高かった。
【0143】
図46は、加熱源122において、0.5m/秒の線速度の窒素ガスを酸素ガスに常時混合した場合と、常時窒素ガスを混合しなかった場合とのそれぞれについて、酸素ガスの線速度と加熱源122の先端の温度との関係を示す。窒素ガスを混合したときは、加熱源122の先端温度が400℃を超えないが、窒素ガスを混合しないときは、酸素ガスの線速度が1m/秒以下のときに加熱源122の先端温度が400〜700℃に達している。したがって、酸素ガスの線速度が1m/秒以下であるとき、酸素ガスに窒素ガスを混合すると、加熱源122の表面温度を制御することができる。
【0144】
図47は、端部絞りステップ(S158)によって外径が絞られて溶断されたプリフォーム107の絞り部の形状を示す。Dはプリフォーム107の直径、Oはプリフォーム107の直径が縮径し始める箇所、Pはプリフォーム107の直径Dが99%以下に縮径した箇所を表わす。プリフォーム107は、その両端部が1/3D≦L≦3Dの式で示されるテーパー形状である。ここでLはプリフォーム107の直径が縮径し始まる箇所Oからプリフォーム107の直径が99%以下に縮径した箇所Pまでの長さを表す。
【0145】
プリフォーム107を光ファイバに線引きする際に、線引きが定常に達するまでの時間、すなわち、プリフォーム107をプリフォーム線引き装置500にセットしてから、線引きされた光ファイバの線径及び線速が設定値に達するまでの時間は、初期のプリフォーム107の形状に影響される。この影響はプリフォーム107の直径が大きくなるほど大きく、線引きが定常に達するまでの時間が長くなる。
【0146】
1/3D≦L≦3Dの形状のプリフォーム107は、線引きが定常に達するまでの時間を短縮することができる。L<1/3Dでは、プリフォーム107の先端が垂れ落ちるまでの時間が長くなるので、光ファイバの線径及び線速が設定値に達するまでの時間も長くなる。L>3Dの場合は、プリフォーム107の先端が垂れ落ちるまでの時間は短縮するが、プリフォーム107のテーパー形状が線引き定常時の形状になるまでに時間がかかるため、光ファイバの線径及び線速が設定値になるまでの時間も長くなる。したがってプリフォーム107のテーパー形状をL=Dとするのが最適である。
【0147】
プリフォーム107を火炎で局所的に加熱して溶断した場合、プリフォーム両端のテーパー部に歪みが残る。残留した歪みが大きい場合、プリフォーム107が強い衝撃を受けたり、プリフォーム107にダミーバーの溶着などの熱的な衝撃が加わったりすると、その両端部に割れを生ずることがある。プリフォーム107の両端部の歪み量は、40kgf/cm以下であることが好ましい。プリフォーム107に残留する歪み量を40kgf/cm以下とすることで、プリフォーム107に発生する割れを防止することができる。
【0148】
(実施例)
直径30mmのプリフォーム107を線引きした。長さLを30mmとした場合、テーパー部分の残留歪み量は40kgf/cmで、ダミーバーの溶着の際の割れは発生しなかった。ファイバー設定径が125μm、線速が100mm/分のときの、線引きが定常に達するまでの時間は、プリフォーム107をプリフォーム線引き装置500にセットしてからプリフォーム107の先端が垂れ落ちるまでの時間が10分、光ファイバの線径及び線速が設定値に達するまでの時間が10分で、合計20分であった。
【0149】
(比較例1)
直径30mmのプリフォーム107を線引きする際に上記Lを5mmとした場合、テーパー部分の残留歪み量は40kgf/cmで、ダミーバーを溶着する際の割れは発生しなかった。ファイバー設定径が125μm、線速が100mm/分のときの、線引きが正常に達するまでの時間は、プリフォーム107をプリフォーム線引き装置500にセットしてからプリフォーム107の先端が垂れ落ちるまでの時間が20分、それから光ファイバの線径及び線速が設定値に達するまでの時間が30分で、合計50分であった。
【0150】
(比較例2)
直径30mmのプリフォーム107を線引きする際に上記Lを100mmとした場合、テーパー部分の残留歪み量は40kgf/cmで、ダミーバー342を溶着する際の割れは発生しなかった。ファイバー設定径が125μm、線速が100mm/分のときの、線引きが定常に達するまでの時間は、プリフォーム107をプリフォーム線引き装置500にセットしてからプリフォーム107の先端が垂れ落ちるまでの時間が10分、それから光ファイバの線径及び線速が設定値に達するまでの時間が30分で、合計40分であった。
【0151】
(比較例3)
直径30mmのプリフォーム107を線引きする際に上記Lを30mmとした場合、テーパー部分の残留歪み量は60kgf/cmで、ダミー棒をプリフォーム107に溶着する際に割れが発生して線引きができなくなった。
【0152】
以上のようにプリフォーム107の先端の形状を1/3D≦L≦3Dにすることで、線引きに要する時間を短縮することができる。
【0153】
図48は、プリフォーム107の絞り部の形状の他の形態を示す。図48のプリフォーム107は、一方の端部に火炎によって形成された溶断部332を有し、他方の端部に機械切断された平坦な切断面334を有する。図48(a)に示された溶断部332は、火炎で急速に溶断され、図48(b)の溶断部332は、徐々に細径化されつつ溶断されてテーパー部336が形成されている。図48(c)の溶断部332は、テーパー部336の先端に細径部338が設けられている。
【0154】
図48(b)の溶断部332のようにテーパー部336を有するプリフォーム107を線引きすると、端部が細径化されているので、プリフォーム107の先端が垂れ落ちるまでに要する時間が短くてすむとともに、プリフォーム107の垂れ落ちる量も少なくてすむ。図48(c)の溶断部332のように端部にテーパー部336と細径部338とが形成されたプリフォーム107は、従来形状のプリフォーム107に比べ、プリフォーム107の先端が垂れ落ちるまでに要する時間を、従来の3分の1以下にすることができた。さらに、垂れ落ちることによるプリフォーム107の損失も細径部338のみで少量に抑えることができた。
【0155】
細径部338は、溶断部332の0.1重量%から15重量%を占めるような形状とするのが好ましい。細径部338の重量が0.1重量%未満では、細径部338を設けた効果が得られず、15重量%を超えると線引きにおいてプリフォーム107の先端が垂れ落ちるまでに要する時間が長くなり、かつプリフォーム107の損失が増す。また、細径部338の径は、プリフォーム107の直胴部の径の1/2から1/10とするのが好ましい。この範囲内であれば、線引き初期段階での引き落としに要する時間が短くて済み、また、細径部338の長さをこの径の1から5倍程度とすれば、プリフォーム107の損失を極めて少量に抑えることができる。
【0156】
図49は、図26に示した表面処理ステップ(S168)において表面処理される前に傷がつけられているプリフォーム107を示す。ガラスロッド二次延伸装置111により二次延伸されたプリフォーム107は、表面処理としてフッ酸エッチング処理されることによりクラッド部が化学的に切削されて、コア/クラッド比率が所定の比率に収められたプリフォーム107となる。フッ酸エッチング処理は、ガラスのSi−O結合を分解する処理であり、プリフォーム107の表面を室温で1時間当たり8mm程度の速さで化学切削する。しかし、プリフォーム107の表面に傷や凹みがあると、フッ酸処理により傷や凹みが存在する部分は、他の部分より化学切削が進行して大きく凹み、プリフォーム107にフッ酸くわれと呼ばれる凹部を生じる。フッ酸くわれは、プリフォーム107を光ファイバに線引きするときにおける断線の原因となっている。
【0157】
そこで、フッ酸エッチング処理する前にプリフォーム107にある傷及び凹み部を研磨して除去することによりフッ酸くわれのない表面を有するプリフォーム107を得ることができる。研磨方法として、プリフォーム107を歪点以上の温度で火炎研磨する方法がある。火炎研磨する際、プリフォーム107を表面凹凸が0.3mm以内となるように研磨する。フッ酸エッチングする前に火炎研磨することにより、プリフォーム107の歪量が低減されるとともに傷のない滑らかな表面が得られ、フッ酸くわれの発生を防止する。研磨方法は、火炎研磨に限らず、機械研磨でもよい。
【0158】
図51は、実施例及び比較例において目視検査によって確認されたプリフォーム107のフッ酸くわれの発生頻度を示し、図52は、実施例及び比較例においてフッ酸エッチングされたプリフォーム107の表面の凹凸度を示す。図51及び図52に記載の前処理1においては、直径60mm、長さ1000mmのプリフォーム107aを、図49に示すように一端を床につけた状態で他端を持ち上げ、10cmの高さで手を離し、床に置かれた同一形状の他のプリフォーム107bに衝突させ、傷をつけた。このようにして、1本のプリフォーム107aに20cm間隔で3箇所に傷をつけた。一方、図51及び図52に記載の前処理2においては、手を離す高さを20cmとした。他の手順は、前処理1と同様にしてプリフォーム107aに傷をつけた。
【0159】
図51及び図52に記載の実施例においては、前処理1、前処理2を実施した各プリフォーム107aを水素250ml/min及び酸素145ml/minのガス量を供給したバーナーを用いて火炎研磨した後、室温でフッ酸エッチング処理した。プリフォームの径方向へのエッチング量を0.2mm、1.2mm、2.2mm、3.2mmの4段階とし、それぞれ10本ずつフッ酸エッチング処理した。エッチング処理後、目視検査によってフッ酸くわれの有無を確認した。
【0160】
図50は、図51及び図52に記載の実施例においてフッ酸エッチングされた後のプリフォーム107を示す。プリフォーム107aの衝撃が与えられた接触箇所である×印の箇所の径と、×印から10cm離れたところにある、非接触箇所である○印の箇所の径との差を測定することで表面の凹凸度を求めた。各プリフォーム107aの外径は、○印の3箇所の外径の平均を用いた。
【0161】
図51及び図52に記載の比較例においては、前処理1又は前処理2がされたプリフォーム107aを火炎研磨しないでフッ酸エッチングした。実施例と同様に目視検査によってフッ酸くわれの有無を確認し、表面の凹凸度を求めた。
【0162】
図51及び52に示すように、落とされる高さが高い前処理2の方が、前処理1より表面の凹凸度が大きく、フッ酸くわれの発生率が高い。また、フッ酸エッチング量が大きいほど表面の凹凸度が大きく、フッ酸くわれの発生率が高い。火炎研磨した実施例のプリフォーム107aの表面の凹凸度は、火炎研磨されていない比較例のプリフォーム107aの表面の凹凸度に比べ低い数値となっている。また、図51に示すように、実施例は、比較例に比べフッ酸くわれの発生数が少ない。したがって、プリフォーム107aをフッ酸エッチング処理する前に火炎研磨することにより、フッ酸くわれの発生率を減少させ、表面凹凸が少ないプリフォーム107aを得ることができる。
【0163】
図53は、表面処理されたプリフォーム107にハンドル340を設けた形態を示す。表面処理された、図48(c)に示したプリフォーム107の切断面334に、石英ガラス製のハンドル340を融着又は機械加工して取り付け、ハンドル340付きプリフォーム107とする。ハンドル340付きプリフォーム107は、線引きに際し、プリフォーム線引き装置500に速やかに設置することができる。また、図53(b)に示すように切断面334に取り付けるハンドル340の直径がプリフォーム107の直径より小さくてもよい。
【0164】
図54は、加熱源122を洗浄する超音波洗浄装置404を示す。超音波洗浄装置404は、超音波発振器396を備え、内部に洗浄液398が入れられている。洗浄液398は、10%のフッ化水素酸と3%の硝酸の水溶液を含む。フッ化水素酸は、加熱源122の外筒285及び内管286の表面の金属酸化物を溶解させる。外筒285及び内管286の材質が、ステンンレス鋼である場合、硝酸の作用によってステンレス鋼が含んでいる鉄、クロム、及びニッケルは、ステンレス鋼の表面に不動態薄膜を形成するので表面酸化が起こりにくくなる。
【0165】
洗浄液398は、水溶性有機溶媒を含んでいてもよい。水溶性有機溶媒として、アルコール、アセトン、アセトニトリル、及びテトラヒドロフランがある。また、加熱源122をフッ化水素酸を含む洗浄液398に浸けた後、硝酸を含む他の洗浄液398に浸けてもよい。超音波発振器396は、1W/cmから2W/cmの強度の超音波を発振する。
【0166】
洗浄される加熱源122は、ステンレス製であり、水素ガスが流れる内径30mmの外筒285の中に、酸素ガスが流れる内径1mm、外径3mmの内管286を複数有する。外筒285は、水素ガス導入管392に接続され、全ての内管286は、酸素ガス導入管394に接続されている。
【0167】
ガラスロッド106を加熱する際に、加熱源122の先端の表面は火炎により400〜700℃の高温となるので加熱源122を長時間使用すると、加熱源122先端の表面に金属酸化物が発生し、金属酸化物は、徐々に浮遊性の微粒子となる。ガラスロッド106の熱処理の際に、この金属酸化物の微粒子や、加熱源122に付着したガラス微粒子等の不純異物が飛散し、ガラスロッド106の表面に付着すると表層部を研磨しなければならない。ガラスロッド106を研磨するとガラスロッド106のクラッド部とコア部との比率が変わり、光ファイバの光伝送特性を劣化する。そこで、加熱源122を洗浄することにより、加熱源122の先端部の金属酸化物や付着した不純異物を除去する。
【0168】
超音波洗浄装置404を用いて加熱源122を洗浄するには、まず、水素ガス導入管392及び酸素ガス導入管394を外界へ開放し、火炎口390を下にして加熱源122を洗浄液398につける。外筒285内及び内管286内の空気は各々水素ガス導入管392、及び酸素ガス導入管394から抜け、洗浄液398が水面の高さまで浸かる。超音波発振器396により超音波を発振させて洗浄する。超音波振動の振動周波数は、10kHzから100kHzである。
【0169】
超音波洗浄装置404を用いて加熱源122を洗浄した。ガラスロッド106の熱処理に用いたステンレス製の加熱源122には、火炎口390近傍に金属酸化物が付着している。この加熱源122の火炎口390近傍を洗浄液398に浸け、出力500Wの超音波発振器396により10kHzから100kHzの振動周波数の超音波を30分間発振させて加熱源122を洗浄処理した。加熱源122を引き上げ、純水で表面に残留した洗浄液398を流し去り、乾燥した。外筒285及び内管286の先端部を観察したところ、金属酸化物及び不純異物は認められなかった。洗浄処理した加熱源122を用いてガラスロッド106の表面を熱処理したところ、ガラスロッド106の全加工本数に対する、不純異物が付着していた本数の比率は、6%であった。比較のため洗浄処理されていない加熱源122を用いてガラスロッド106の表面を熱処理すると、ガラスロッド106の全加工本数に対する、不純異物が付着していた本数の比率は、15%であり、不純異物の付着が多かった。
【0170】
以上のように、超音波洗浄装置404を用いて加熱源122を洗浄することにより、加熱源122の先端に生じた金属酸化物及び付着異物を除去することができる。洗浄された加熱源122を用いてガラスロッド106を熱処理すると、異物の付着が少ないので高品質のプリフォーム107が得られる。
【0171】
図55は、プリフォーム107を線引きするプリフォーム線引き装置500の構成を示す。プリフォーム線引き装置500は、プリフォーム107が溶着されたダミーバー342を保持するチャック346、プリフォーム107を加熱する加熱手段348、加熱手段348にプリフォーム107を供給する可動保持部344、プリフォーム107が線引きされた光ファイバ350の外径を測定する外径測定器352、光ファイバ350を一次被覆する第1被覆装置354、一次被覆された光ファイバ350を紫外線によって硬化する第1養生装置356、光ファイバ350を二次被覆する第2被覆装置358、二次被覆された光ファイバ350を紫外線によって硬化する第2養生装置360、及び光ファイバ350を巻き取る牽引部362を有する。
【0172】
プリフォーム線引き装置500を用いてプリフォーム107を線引きするには、まずプリフォーム107が溶着されたダミーバー342をプリフォーム線引き装置500の可動保持部344にチャック346を用いて把持させる。次にプリフォーム107の線引き開始端を加熱手段348の所定位置にセットして加熱を開始し、プリフォーム107の先端が軟化して垂れ落ちてくるのを待つ。プリフォーム107の先端が垂れ落ちてきたら、垂れ落ちた先端を捉えて引き出し、外径測定器352に通す。所望の線径の光ファイバ350になったところで、第1被覆装置354に通して樹脂によって一次被覆した後、第1養生装置356に導いて硬化する。次に、第2被覆装置358で二次被覆し、第2養生装置360で硬化して、光ファイバ350の線径と線速が設定値に達したところで、牽引部362を経て不図示のボビンに巻き取る。
【0173】
以上述べたガラス母材一次延伸装置900及びガラスロッド二次延伸装置111によって外径のばらつきの少ない、品質の高いプリフォーム107を製造することができる。したがって、ガラス母材一次延伸装置900及びガラスロッド二次延伸装置111を用いて製造されたプリフォーム107を、プリフォーム線引き装置500によって線引きすることにより外径のばらつきの少ない、品質の高い光ファイバーを得ることができる。
【0174】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることができることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0175】
【発明の効果】
上記説明から明らかなように、本発明によれば、外径のばらつきの少ないプリフォーム及び光ファイバを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のガラス母材一次延伸装置400を示す。
【図2】従来のガラス旋盤110の構成を示す。
【図3】本発明の光ファイバ製造装置のシステムを示す。
【図4】本発明の光ファイバ製造方法を示す。
【図5】本発明のガラス母材一次延伸装置900の構成を示す。
【図6】延伸軸を調整するために母材固定部136に原器138を保持させた一次延伸器402を示す。
【図7】図4に示したガラス母材一次延伸ステップ(S204)の詳細なフローチャートを示す。
【図8】原器138を引取りチャック142に把持した一次延伸器402を示す。
【図9】原器138を吊下げ機構部134及び引取り機構部140に把持した一次延伸器402を示す。
【図10】原器138を引取りローラー144a及び144bに把持した一次延伸器402を示す。
【図11】原器138を吊下げ機構部134及び引取り機構部140の引取りローラー144a及び144bに把持した一次延伸器402を示す。
【図12】曲がりの程度が測定されているガラス母材102を示す。
【図13】一次延伸器402が、回転ローラー144a、144bの回転数を制御する機構を示す。
【図14】ガラス母材102の加熱軟化部の中心位置と延伸軸線154との偏差量とガラスロッド106との曲がりとの関係を示す。
【図15】回転ローラー144a、144bの表面の変形を示す。
【図16】図15に示したバッチ数300のローラー144a、144bを用いて金属パイプを引き取ったときの金属パイプの加熱軟化部の中心位置の変位を示す。
【図17】本実施例の一次延伸器402による加熱軟化部の中心位置の変位を示す。
【図18】左右のローラー144a、144bを同じ回転数で制御した場合の加熱軟化部の中心位置変動の様子を示す。
【図19】ガラスロッド溶断装置370に用いられるバーナー176の他の実施形態を示す。
【図20】ガラスロッド搬送装置380の構成を示す。
【図21】一次延伸器402の収納容器224を示す。
【図22】ガラスロッド106を搬送するときのガラスロッド搬送装置380の動作を示す。
【図23】ガラスロッド搬送装置380の他の実施形態を示す。
【図24】図23に示したガラスロッド搬送装置380がガラスロッド106を搬送するときの動作を示す。
【図25】本発明のガラスロッド二次延伸装置111の構成を示す。
【図26】図4に示したガラスロッド二次延伸ステップ(S206)の詳細なフローチャートを示す。
【図27】ガラスロッド二次延伸装置111の固定チャック118及び可動チャック119に冷却装置330を設けた例を示す。
【図28】実施例及び下記の比較例におけるチャック118、119の温度を測定した結果を示す。
【図29】加熱源122と外径測定器124との距離及びガラスロッド106の外径値の変動率の関係を示す。
【図30】図25のガラスロッド二次延伸装置111に引張り張力測定器282を設けた構成を示す。
【図31】図26に示した延伸ステップ(S154)の詳細なフローチャートを示す。
【図32】ガラスロッド106を延伸する際に外径の変動が生じる過程を示す。
【図33】図31の延伸ステップ(S154)に沿って延伸されるガラスロッド106を示す。
【図34】実施例における延伸初期のガラスロッド106の引張り張力を示す。
【図35】比較例における延伸初期のガラスロッド106の引張り張力の変動を示す。
【図36】延伸後のガラスロッド106の外径変動を示す。
【図37】図26に示した端部絞りステップ(S158)の詳細なフローチャートを示す。
【図38】図37に示した絞り位置検出ステップ(S169)において、ガラスロッド及びダミー棒のつなぎ目に設けられた切込み284を示す。
【図39】標識の他の例としてガラスロッド及びダミー棒のつなぎ目に塗布されたマーキング287を示す。
【図40】絞り位置検出ステップ(S169)において、切込み284を検出するガラスロッド二次延伸装置111を示す。
【図41】図37のフローチャートに示したガラスロッド106の端部絞り加工における、絞り位置を検出した(S169)後の加熱源122及びテールストック116の動作を示す。
【図42】図37に示した端部絞りステップ(S158)において、端部絞り加工の経過時間に基づいて加熱源122のガス量と移動量及びテールストック116の移動速度を制御する端部絞り加工方法の設定の一例を示す。
【図43】図37に示した端部絞りステップ(S158)において、テールストック116の移動量に基づいて加熱源122のガス量と移動量及びテールストック116の移動速度を制御する端部絞り加工方法の設定の一例を示す。
【図44】ガラスロッド二次延伸装置111の加熱源122の構成を示す。
【図45】加熱源122の先端の平面を示す。
【図46】酸素ガスの線速度と加熱源122の先端の温度との関係を示す。
【図47】端部絞りステップ(S158)によって外径が絞られて溶断されたプリフォーム107の絞り部の形状を示す。
【図48】プリフォーム107の絞り部の形状の他の形態を示す。
【図49】図26に示した表面処理ステップ(S168)において表面処理される前に傷がつけられているプリフォーム107を示す。
【図50】図51及び図52に記載の実施例においてフッ酸エッチングされた後のプリフォーム107を示す。
【図51】実施例及び比較例において目視検査によって確認されたプリフォーム107のフッ酸くわれの発生頻度を示す。
【図52】実施例及び比較例においてフッ酸エッチングされたプリフォーム107の表面の凹凸度を示す。
【図53】表面処理されたプリフォーム107にハンドル340を設けた形態を示す。
【図54】加熱源122を洗浄する超音波洗浄装置404を示す。
【図55】プリフォーム107を線引きするプリフォーム線引き装置500の構成を示す。
【符号の説明】
100・・・加熱炉、102・・・ガラス母材、104・・・延伸チャック、106・・・ガラスロッド、107、107a、107b・・・プリフォーム、108・・・ダミー棒、110・・・従来のガラス旋盤、111・・・ガラスロッド二次延伸装置、112・・・機台、114、116・・・テールストック、118・・・固定チャック、119・・・可動チャック、120・・・移動台、122・・・加熱源、124・・・外径測定器、130・・・延伸炉、134・・・吊下げ機構部、136・・・母材固定部、138・・・原器、140・・・引き取り機構部、142・・・引取りチャック、144a、144b・・・引き取りローラー、148、149・・・支点、150・・・測定器、152・・・外径測定器、154・・・延伸軸線、156・・・外径制御部、158・・・位置制御部、176・・・バーナー、178・・・火炎、190・・・水素ガス供給管、192・・・酸素ガス供給管、194・・・輪状ガス流入口、196・・・冷却管、198・・・冷却水供給管、200・・・冷却水排水管、204・・・フィーダー、206・・・延伸用引き取り装置、208・・・支持脚、210・・・回転テーブル、212・・・モーター、214・・・タイミングベルト、216・・・バーナー台、218・・・溶断用引き取りチャック、224・・・収納容器、234、234a、234b、236、236a、236b・・・支持リング、240・・・Vブロック、244・・・エアシリンダー収納ボックス、245・・・移動側把持部材、246・・・固定側把持部材、248・・・操作スイッチボックス、250・・・ロータリーアクチュエーター、252・・・支持フレーム、254・・・取手、256・・・回転軸、257、258・・・止めピン、260・・・受け皿、262・・・支柱、264・・・ロータリーアクチュエーター、266・・・連結軸、268・・・回転軸、270・・・すべりねじ、272・・・移動台エンコーダー、273・・・テール駆動エンコーダー、274・・・移動台モーター、275・・・テール駆動モーター、276・・・チェーン、278・・・マスフローコントローラー、280・・・制御装置、282・・・引張り張力測定器、284・・・切り込み、285・・・外筒、286・・・内管、287・・・マーキング、288・・・支燃性ガス流出部、290・・・可燃性ガス流出部、294・・・火炎、296・・・不活性ガス流路、298・・・不活性ガス流量制御器、300・・・開閉弁、302・・・接続具、304・・・制御部、306・・・駆動源、308・・・支燃性ガス流路、310・・・支燃性ガス流量制御器、312・・・可燃性ガス流路、314・・・可燃性ガス流量制御器、316・・・分流具、330・・・冷却装置、332・・・溶断部、334・・・切断面、336・・・テーパー部、338・・・細径部、340・・・ハンドル、342・・・ダミーバー、344・・・可動保持部、346・・・チャック、348・・・加熱手段、350・・・光ファイバ、352・・・外径測定器、354・・・第1被覆装置、356・・・第1養生装置、358・・・第2被覆装置、360・・・第2養生装置、362・・・牽引部、370・・・ガラスロッド溶断装置、380・・・ガラスロッド搬送装置、390・・・火炎口、392・・・水素導入管、394・・・酸素導入管、396・・・超音波発振器、398・・・洗浄液、400・・・従来のガラス母材一次延伸装置、402・・・一次延伸器、404・・・超音波洗浄装置、500・・・プリフォーム線引き装置、600・・・ガラス母材生成装置、700・・・ガラス母材脱水焼結装置、900・・・本発明のガラス母材一次延伸装置、A・・・吊下げ機構部134の傾き、B・・・引き取り機構部140の傾き、C・・・水平方向位置、D・・・プリフォーム107の直径、E・・・軸線の鉛直度、L1・・・支点間距離、L・・・箇所Oから箇所Pまでの長さ、O・・・プリフォームの直径が縮径し始める箇所、P・・・プリフォームの直径が99%以下に縮径した箇所、S110・・・原器を母材固定部に固定するステップ、S112・・・吊下げ機構部の傾きを調整するステップ、S114・・・原器を母材固定部から取り出すステップ、S116・・・原器を引取りチャックに把持するステップ、S118・・・引取り機構部の傾きを調整するステップ、S120・・・原器を母材固定部及び引取りチャックに把持するステップ、S122・・・吊下げ機構部及び引取り機構部の水平方向位置を調整するステップ、S124・・・一次延伸ステップ、S126・・・一次溶断ステップ、S132・・・予備加熱ステップ、S136・・・初期延伸ステップ、S138・・・加熱源50mmから150mm移動するステップ、S140・・・定常時の速度で延伸するステップ、S142・・・ガラスロッド外径測定ステップ、S144・・・ガラスロッドの外径及び長さが所望の外径及び長さとなるまで延伸するステップ、S146・・・ダミー棒を溶着するステップ、S147・・・標識を設置するステップ、S150・・・外径測定位置及び目標径の設定ステップ、S152・・・第1外径測定ステップ、S153・・・第1加熱条件・延伸速度設定ステップ、S154・・・延伸ステップ、S156・・・第2外径測定ステップ、S157・・・第2加熱条件・延伸速度設定ステップ、S158・・・端部絞りステップ、S160・・・第3外径測定ステップ、S161・・・火力条件設定ステップ、S162・・・火炎研磨ステップ、S164・・・仕上がり径測定ステップ、S166・・・ダミー棒の除去ステップ、S168・・・表面処理ステップ、S169・・・絞り位置検出ステップ、S170・・・予備加熱ステップ、S172・・・延伸ステップ、S174・・・二次加熱ステップ、S176・・・二次延伸ステップ、S178・・・溶断ステップ、S200・・・ガラス母材生成ステップ、S202・・・ガラス母材脱水焼結ステップ、S204・・・ガラス母材一次延伸ステップ、S205・・・ガラスロッド搬送ステップ、S206・・・ガラスロッド二次延伸ステップ、S210・・・プリフォーム線引きステップ

Claims (37)

  1. 光ファイバを製造する方法であって、
    前記光ファイバの母材となるガラスロッドの加熱延伸の進捗に伴って変化する所定の数値に基づいて、前記ガラスロッドを加熱する加熱条件及び延伸する延伸速度を設定する設定ステップと、
    設定された前記加熱条件及び前記延伸速度に基づいて、前記ガラスロッドを加熱延伸してプリフォームを生成する加熱延伸ステップと、
    前記プリフォームを更に加熱し、線状に牽引して光ファイバを生成する線引きステップと
    を備え、
    前記設定ステップが、前記数値としての前記加熱延伸の加工の進捗に伴う経過時間に基づいて、前記加熱条件として、前記ガラスロッドを加熱するバーナーの位置及び前記バーナーに供給するガス量を設定することを特徴とする光ファイバ製造方法。
  2. 前記加熱延伸ステップは、前記ガラスロッドの端部の外径を絞る絞りステップを有し、
    前記絞りステップは、前記絞りステップの加工の進捗に伴う経過時間に基づいて、前記ガラスロッドの端部を、加熱延伸して絞ることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ製造方法。
  3. 前記絞りステップは、予備加熱ステップ、延伸ステップ、二次加熱ステップおよび二次延伸ステップをこの順に有する請求項に記載の光ファイバ製造方法。
  4. 前記設定ステップは、前記加熱延伸の加工の進捗に伴う経過時間に基づいて前記延伸速度として、前記ガラスロッドを把持するチャックの移動速度を設定することを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ製造方法。
  5. 前記設定ステップが、前記加熱延伸の加工の進捗に伴う経過時間の代わりに、前記数値としての前記加熱延伸によって前記ガラスロッドが延伸された長さに基づいて、前記加熱条件及び前記延伸速度を設定することを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ製造方法。
  6. 前記加熱延伸ステップは、前記ガラスロッドの端部の外径を絞る絞りステップを有し、
    前記絞りステップは、前記ガラスロッドが延伸された長さに基づいて、前記ガラスロッドの端部を、加熱延伸して絞ることを特徴とする請求項に記載の光ファイバ製造方法。
  7. 前記設定ステップは、前記延伸された長さに基づいて前記加熱条件として前記ガラスロッドを加熱するバーナーの移動量及び前記バーナーに供給するガス量を設定することを特徴とする請求項に記載の光ファイバ製造方法。
  8. 前記設定ステップは、前記延伸された長さに基づいて前記延伸速度として前記ガラスロッドを把持するチャックの移動速度を設定することを特徴とする請求項に記載の光ファイバ製造方法。
  9. 前記設定ステップが、前記チャックが移動する量を検出するために、前記チャックを駆動するモーターに設けられた前記モーターの回転角を測定するエンコーダーを用いることを特徴とする請求項に記載の光ファイバ製造方法。
  10. 前記設定ステップが、前記加熱延伸の加工の進捗に伴う経過時間の代わりに、前記数値としての前記加熱延伸によって前記ガラスロッドに発生する引張り張力に基づいて、前記加熱条件及び前記延伸速度を設定することを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ製造方法。
  11. 前記加熱延伸ステップにおいて、前記ガラスロッドを加熱する加熱源が、前記加熱延伸の進捗に伴って前記ガラスロッドの長手方向に移動し、
    前記加熱延伸ステップが、前記加熱源が所定の距離を移動するまでの間の前記引張り張力を、前記加熱源が前記所定の距離を移動した後の前記引張り張力の平均値の実質的に110%以下となるように前記延伸速度を制御することを特徴とする請求項10に記載の光ファイバ製造方法。
  12. 前記加熱延伸ステップが、前記加熱源が前記所定の距離を移動するまでの間の前記引張り張力を、前記加熱源が前記所定の距離を移動した後の前記引張り張力の平均値の実質的に80%から110%に制御することを特徴とする請求項11に記載の光ファイバ製造方法。
  13. 前記所定の距離が実質的に50mmから150mmの間であることを特徴とする請求項11に記載の光ファイバ製造方法。
  14. 前記加熱延伸ステップが、前記加熱源が前記所定の距離移動したときに前記ガラスロッドを延伸する速度を一定の速度に制御することを特徴とする請求項11に記載の光ファイバ製造方法。
  15. 前記設定ステップが、前記引張り張力に基づいて前記延伸速度として前記ガラスロッドを把持するチャックの移動速度を設定することを特徴とする請求項10に記載の光ファイバ製造方法。
  16. 前記加熱延伸ステップ中に、前記数値としての前記ガラスロッドの軸方向の各位置における外径を計測する計測ステップをさらに備え、
    前記設定ステップが、前記外径に基づいて、前記ガラスロッドの軸方向の各位置における前記延伸速度を設定し、前記各位置における外径の平均値に基づいて前記加熱条件を設定することを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ製造方法。
  17. 前記ガラスロッドの端部が絞られており、
    前記設定ステップが、
    前記数値としての前記ガラスロッドの軸方向の各位置における外径及び前記加熱延伸による前記ガラスロッドの軸方向の長さの変化に基づいて、前記ガラスロッドが絞られた絞り部の位置を検出するステップと、
    前記絞り部の位置に基づいて前記ガラスロッドを火炎によって研磨する研磨範囲を設定し、前記絞り部の外径に基づいて前記火炎の火力条件を設定するステップとを有し、
    前記加熱延伸ステップが、前記ガラスロッドの前記研磨範囲を前記火力条件の前記火炎によって研磨すること
    を特徴とする請求項1に記載の光ファイバ製造方法。
  18. 光ファイバの母材となるプリフォームを製造する方法であって、
    前記プリフォームの母材となるガラスロッドの加熱延伸の進捗に伴って変化する所定の数値に基づいて、前記ガラスロッドを加熱する加熱条件及び延伸する延伸速度を設定する設定ステップと、
    設定された前記加熱条件及び前記延伸速度に基づいて、前記ガラスロッドを加熱延伸してプリフォームを生成する加熱延伸ステップと
    を備え、
    前記設定ステップが、前記数値としての前記加熱延伸の加工の進捗に伴う経過時間に基づいて、前記加熱条件として、前記ガラスロッドを加熱するバーナーの位置及び前記バーナーに供給するガス量を設定するたことを特徴とするプリフォーム製造方法。
  19. 前記加熱延伸ステップは、前記ガラスロッドの端部の外径を絞る絞りステップを有し、
    前記絞りステップは、前記絞りステップの経過時間に基づいて、前記ガラスロッドの端部を、加熱延伸して絞ることを特徴とする請求項18に記載のプリフォーム製造方法。
  20. 前記絞りステップは、予備加熱ステップ、延伸ステップ、二次加熱ステップおよび二次延伸ステップをこの順に有する請求項19に記載のプリフォーム製造方法。
  21. 前記設定ステップが、前記加熱延伸の加工の進捗に伴う経過時間の代わりに、前記数値としての前記加熱延伸によって前記ガラスロッドが延伸された長さに基づいて、前記加熱条件及び前記延伸速度を設定することを特徴とする請求項18に記載のプリフォーム製造方法。
  22. 前記加熱延伸ステップは、前記ガラスロッドの端部の外径を絞る絞りステップを有し、
    前記絞りステップは、前記ガラスロッドが延伸された長さに基づいて、前記ガラスロッドの端部を、加熱延伸して絞ることを特徴とする請求項21に記載のプリフォーム製造方法。
  23. 前記設定ステップが、前記加熱延伸の加工の進捗に伴う経過時間の代わりに、前記数値としての前記加熱延伸によって前記ガラスロッドに発生する引張り張力に基づいて、前記加熱条件及び前記延伸速度を設定することを特徴とする請求項18に記載のプリフォーム製造方法。
  24. 前記加熱延伸ステップにおいて、前記ガラスロッドを加熱する加熱源が、前記加熱延伸の進捗に伴って前記ガラスロッドの長手方向に移動し、
    前記加熱延伸ステップが、前記加熱源が所定の距離を移動するまでの間の前記引張り張力を、前記加熱源が前記所定の距離を移動した後の前記引張り張力の平均値の実質的に110%以下となるように前記延伸速度を制御することを特徴とする請求項23に記載のプリフォーム製造方法。
  25. 前記加熱延伸ステップが、前記加熱源が前記所定の距離を移動するまでの間の前記引張り張力を、前記加熱源が前記所定の距離を移動した後の前記引張り張力の平均値の実質的に80%から110%に制御することを特徴とする請求項24に記載のプリフォーム製造方法。
  26. 前記所定の距離が実質的に50mmから150mmの間であることを特徴とする請求項24に記載のプリフォーム製造方法。
  27. 前記加熱延伸ステップが、前記加熱源が前記所定の距離移動したときに前記ガラスロッドを延伸する速度を一定の速度に制御することを特徴とする請求項24に記載のプリフォーム製造方法。
  28. 前記加熱延伸ステップ中に、前記数値としての前記ガラスロッドの軸方向の各位置における外径を計測する計測ステップをさらに備え、
    前記設定ステップが、前記外径に基づいて、前記ガラスロッドの軸方向の各位置における前記延伸速度を設定し、前記各位置における外径の平均値に基づいて前記加熱条件を設定することを特徴とする請求項18に記載のプリフォーム製造方法。
  29. 前記ガラスロッドの端部が絞られており、
    前記設定ステップが、
    前記数値としての前記ガラスロッドの軸方向の各位置における外径及び前記加熱延伸による前記ガラスロッドの軸方向の長さの変化に基づいて、前記ガラスロッドが絞られた絞り部の位置を検出するステップと、
    前記絞り部の位置に基づいて前記ガラスロッドを火炎によって研磨する研磨範囲を設定し、前記絞り部の外径に基づいて前記火炎の火力条件を設定するステップとを有し、
    前記加熱延伸ステップが、前記ガラスロッドの前記研磨範囲を前記火力条件の前記火炎によって研磨すること
    を特徴とする請求項18に記載のプリフォーム製造方法。
  30. 光ファイバの母材となるプリフォームを製造する装置であって、
    前記プリフォームの母材となるガラスロッドを加熱する加熱源と、
    前記ガラスロッドを延伸する延伸部と、
    前記ガラスロッドの加熱延伸の進捗に伴って変化する数値を測定する測定器と、
    前記測定器が測定した前記数値に基づいて、前記加熱源の加熱条件及び前記延伸部の延伸速度を制御する制御器と
    を備え、
    前記制御器が、前記数値としての前記加熱延伸の加工の進捗に伴う経過時間に基づいて、前記加熱条件として、前記ガラスロッドを加熱するバーナーの位置及び前記バーナーに供給するガス量を設定すること特徴とするプリフォーム製造装置。
  31. 前記測定器が、前記加熱延伸の加工の進捗に伴う経過時間の代わりに、前記数値としての前記加熱延伸に伴う前記延伸部の移動距離を測定し、
    前記制御器が、前記測定器によって測定された前記延伸部の移動距離に基づいて、前記加熱条件及び前記延伸速度を制御すること
    を特徴とする請求項30に記載のプリフォーム製造装置。
  32. 前記測定器が、前記加熱延伸の加工の進捗に伴う経過時間の代わりに、前記数値としての前記加熱延伸によって前記ガラスロッドに発生する引張り張力を測定し、
    前記制御器が、前記測定器によって測定された前記ガラスロッドに発生する引張り張力に基づいて、前記加熱条件及び前記延伸速度を制御すること
    を特徴とする請求項30に記載のプリフォーム製造装置。
  33. 前記加熱源が、前記加熱延伸の進捗に伴って前記ガラスロッドの長手方向に移動し、
    前記制御器が、前記加熱源が所定の距離を移動するまでの間の前記引張り張力を、前記加熱源が前記所定の距離を移動した後の前記引張り張力の平均値の実質的に110%以下となるように前記延伸速度を制御すること
    を特徴とする請求項32に記載のプリフォーム製造装置。
  34. 前記制御器が、前記加熱源が前記所定の距離を移動するまでの間の前記引張り張力を、前記加熱源が前記所定の距離を移動した後の前記引張り張力の平均値の実質的に80%から110%となるように前記延伸速度を制御することを特徴とする請求項33に記載のプリフォーム製造装置。
  35. 前記所定の距離が実質的に50mmから150mmの間であることを特徴とする請求項33に記載のプリフォーム製造装置。
  36. 前記制御器が、前記加熱源が前記所定の距離移動したときに前記延伸速度を一定の速度に制御することを特徴とする請求項33に記載のプリフォーム製造装置。
  37. 前記測定器が、加熱延伸中に前記数値としての前記ガラスロッドの軸方向の各位置における外径を測定し、
    前記制御器が、前記ガラスロッドの軸方向の各位置における外径に基づいて、前記ガラスロッドの軸方向の各位置における前記延伸速度を制御し、前記各位置における外径の平均値に基づいて、前記加熱条件を制御すること
    を特徴とする請求項30に記載のプリフォーム製造装置。
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