JP4390319B2 - パイロット式電磁弁 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はパイロット弁の開閉に連動して主弁が開閉するパイロット式電磁弁に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
水道配管等の流体配管に挿入されるパイロット式電磁弁としては、商用電源や電池を駆動電源として利用するものがあり、前者は電池交換の必要がなく、後者は商用電源を利用できない場所でも電磁弁が設置できる利点がある。
【0003】
図6は商用電源を利用する大電源式のパイロット式電磁弁の断面図で、このものでは、弁箱(11)に貫通形成されたメイン流路(14)内の主弁座口(15)はダイヤフラム弁(16)で開閉されるようになっていると共に、該ダイヤフラム弁(16)に貫設された第2リーク孔(10)はリフト弁式のパイロット用弁体(24)で開閉されるようになっている。そして、該パイロット用弁体(24)を具備するプランジャ(28)が電磁コイル(31)の吸着力でバネ(32)に抗して上昇すると、パイロット用弁体(24)が開弁してダイヤフラム弁(16)の上方の二次圧室(18)内の水が第2リーク孔(10)を介して出口(13)から流出する。これにより、ダイヤフラム弁(16)を隔てて形成された一次圧室(17)と二次圧室(18)の圧力差でダイヤフラム弁(16)が開弁する。このものでは、プランジャ(28)の先端に具備させたパイロット用弁体(24)でダイヤフラム弁(16)の第2リーク孔(10)を直接的に開閉するから、電磁コイル(31)やプランジャ(28)等から成る開閉駆動ユニットの構造の簡略化が図れる。
【0004】
一方、図5は駆動電源として電池を利用する小電源式のパイロット式電磁弁で、弁箱(11)内には入口(12)→主弁座口(15)→出口(13)の順序で繋がるメイン流路(14)が形成されていると共に、上記主弁座口(15)はダイヤフラム弁(16)で開閉されるようになっている。ダイヤフラム弁(16)の外周近傍には第1リーク孔(21)が貫通していると共に、該第1リーク孔(21)の下流端は二次圧室(18)から、弁箱(11)の構成壁に貫設されたパイロット流路(26)を介してメイン流路(14)に於けるダイヤフラム弁(16)の下流側に繋がっている。そして、前記パイロット流路(26)に形成されたパイロット用弁座口(23)は、電磁コイル(31)とバネ(32)で軸線方向に往復移動されるプランジャ(28)の先端のパイロット用弁体(24)で開閉されるようになっている。
【0005】
このものでは、図5の閉弁状態で電磁コイル(31)に電流を供給すると、プランジャ(28)がバネ(32)の付勢力に抗しての鉄心(33)に吸着されてリフト弁式のパイロット用弁体(24)が開弁動作し、これにより、ダイヤフラム弁(16)の表裏側の一次圧室(17)と二次圧室(18)を繋ぐパイロット流路(26)が開成されて前記二次圧室(18)内の水が、前記パイロット流路(26)の下流端からメイン流路(14)の出口(13)側へ流れる。これにより、ダイヤフラム弁(16)の裏面側の二次圧室(18)内の水圧が低下し、該二次圧室(18)と一次圧室(17)の圧力差によってダイヤフラム弁(16)が開弁する。
【0006】
このものでは、ダイヤフラム弁(16)を開弁させる為には、パイロット用弁座口(23)を若干開弁させるだけでよいから、プランジャ(28)を微小ストローク移動させるだけでダイヤフラム弁(16)を開弁させることができる。従って、プランンジャ(28)の移動ストロークを小さくできる上記のパイロット式電磁弁では、電池等の小電源でも駆動することができ、図6のものと相違して、商用電源を利用できない場所に配設することができる利点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図6に示す大電源式のパイロット式電磁弁と図5に示す小電源式のパイロット式電磁弁では、ダイヤフラム弁(16)とこれを収容した弁箱(11)から成る弁本体の構造が相違するから、図6の大電源式のパイロット式電磁弁の弁箱(11)及びダイヤフラム弁(16)から成る弁本体を利用してこれら両種類のパイロット式電磁弁を製造することができず、これら両電磁弁の部品の共通化が図れないという問題があった。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたもので、パイロット弁の移動ストロークが短い小電源式のパイロット式電磁弁と、前記パイロット弁の移動ストロークが大きい大電源式のパイロット式電磁弁を製造する際に、これらの弁本体の共通化を図れるようにし、これにより、部品管理と上記2種類のパイロット式電磁弁を効率的に製造できるようにすることをその課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のパイロット式電磁弁は、第1パイロット弁体(43)と第1パイロット弁体(43)で開閉されるパイロット用弁座口(23)とを有する小電源用開閉駆動ユニット(30)又は第2パイロット弁体(79)を有する大電源用開閉駆動ユニット(94)が取り付け可能な弁本体と、前記小電源用開閉駆動ユニット(30)とを備えたパイロット式電磁弁であって、
前記弁本体は、ダイヤフラム弁(16)及びこのダイヤフラム弁(16)とを収容する弁箱(11)とを備え、
前記弁箱(11)は、上流端を主弁座口(15)とした出口側流路と前記主弁座口(15)の周囲に形成される環状口を下流端とした入口側流路とが開口する二次圧室用凹部(750)を有し、
前記ダイヤフラム弁(16)は、前記主弁座口(15)を開閉し、主弁座口(15)に当接して前記入口側流路と前記出口側流路との連通を遮断するように前記二次圧室用凹部(750)内に配設され、
前記ダイヤフラム弁(16)が配設された前記二次圧室用凹部(750)を前記小電源用開閉駆動ユニット(30)又は前記大電源用開閉駆動ユニット(94)で覆うことにより、前記ダイヤフラム弁(16)の背面側に二次圧室(75)が形成され、
前記ダイヤフラム弁(16)は、さらに、前記入口側流路と前記二次圧室(75)とを連通する第1リーク孔(72)と、前記出口側流路に一端が開口し、他端が前記大電源用開閉駆動ユニット(94)により二次圧室(75)が形成されたときに第2パイロット弁体(79)によって開閉されて、開状態において前記二次圧室(75)に開口する筒部(60)とを有し、
前記小電源用開閉駆動ユニット(30)は、バネで閉弁方向に付勢され、下端に第1パイロット弁体(43)を設けたリフト弁式のプランジャ(28)と、当該プランジャ(28)を介して第1パイロット弁体(43)を開弁させる電磁コイルと、前記筒部(60)の他端に接続される接続筒(84)と、この接続筒(84)が貫通されて固定され、前記ダイヤフラム弁(16)の変形に追随して変形すると共に小電源用開閉駆動ユニット(30)内に固定される補助ダイヤフラム(82)とを有し、前記パイロット用弁座口(23)を前記接続筒(84)内に連通させて、二次圧室(75)をパイロット用弁座口(23)及び接続筒(84)を介して筒部(60)内に連通するバイパス流路(41)が形成されていることを特徴とする。
【0010】
上記構成により、ダイヤフラム弁(16)の筒部(60)は直接二次圧室(75)に開口せず、二次圧室(75)からパイロット用弁座口(23)及び接続筒(84)を介して筒部(60)内に連通するバイパス流路(41)により、二次圧室(75)が筒部(60)内と連通する。そして、このバイパス流路(41)におけるパイロット用弁座口(23)が第1パイロット弁体(43)で開閉されるので、既述従来のものと同様に、小電源用開閉駆動ユニット(30)の電磁コイルに電流を供給すると、パイロット弁体(43)を設けたリフト弁式のプランジャ(28)がバネの付勢力に抗して開弁動作され、これにより、バイパス流路(41)が開成される。すると、二次圧室(75)内の水が上記バイパス流路(41)を介して主弁座口(15)から出口側流路に流れて上記二次圧室(75)内が圧力低下し、これにより、ダイヤフラム弁(16)が前記主弁座口(15)から離反して上記二次圧室(75)側に変形し、これにより、主弁座口(15)が開放される。すると、入口側流路と出口側流路が連通して水が流れる。
【0011】
次に、電磁コイルの電流を遮断すると、パイロット弁体(43)を設けたリフト弁式のプランジャ(28)がバネの付勢力で閉弁動作する。すると、ダイヤフラム弁(16)に貫設された第1リーク孔を介して入口側流路から上記二次圧室(75)に流れる水の圧力で該二次圧室(75)内が圧力上昇し、これにより、ダイヤフラム弁(16)が主弁座口(15)側に変形してこれが閉弁状態になる。
【0012】
このものでは、弁箱(11)の外壁面に形成された二次圧室用凹部(750)に小電源用開閉駆動ユニット(30)を取付ける取付け部の構造は、ダイヤフラム弁(16)の筒部(60)を直接開閉する第2パイロット弁体(79)を開弁動作させる為の電磁コイルが備えられた大電源用開閉駆動ユニット(94)を取付け得る構造になっているから、上記小電源用開閉駆動ユニット(30)とに代えて大電源用開閉駆動ユニット(94)を弁本体に取付けることができる。
さらに、補助ダイヤフラム(82)に貫通固定された接続筒(84)を筒部(60)の他端に接続することにより、前記ダイヤフラム弁(16)と補助ダイヤフラム(82)とが結合されるので、ダイヤフラム弁(16)と補助ダイヤフラム(82)との結合作業が簡便に行える。
【0013】
【発明の効果】
本発明は次の特有の効果を有する。弁箱(11)の外壁面に形成された二次圧室用凹部(750)に小電源用開閉駆動ユニット(30)を取付ける取付け部の構造は、ダイヤフラム弁(16)の筒部(60)を直接開閉する第2パイロット弁体(79)を開弁動作させる電磁コイルを備えた大電源用開閉駆動ユニット(94)を取付け得る構造になっているから、上記小電源用開閉駆動ユニット(30)に代えて大電源用開閉駆動ユニット(94)を弁本体に取付けることができる。従って、小電源用のパイロット式電磁弁と大電源用のパイロット式電磁弁を製造する際に弁本体の共通化が図れ、部品管理と上記二種類の電磁弁の効率的な製造が可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、上記発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る小電源式のパイロット式電磁弁の分解断面図であり、このものでは、ダイヤフラム弁(16)及びこれを収容する弁箱(11)から成る弁本体(A) と、該弁本体(A) の頂部に連設される開閉駆動ユニット(30)とから構成されている。以下、各部の詳細を説明する。
[弁本体(A) について]
弁本体(A) を構成する弁箱(11)は、内筒(61)と該内筒(61)の上半部を同心状に包囲する外筒(62)を具備しており、内筒(61)の上端と外筒(62)の間が既述した環状口(27)になっている。又、外筒(62)の外周壁には給水配管接続筒(51)が突設されている。そして、上記弁箱(11)には、給水配管接続筒(51)の上流端の入口(12)→内筒(61)と外筒(62)の間の環状口(27)→内筒(61)の先端の主弁座口(15)→内筒(61)内→吐出側配管(83)の下端の出口(13)と繋がるメイン流路(14)が形成されている。尚、上記主弁座口(15)の下流側が既述出口側流路に対応すると共に、主弁座口(15)を包囲する環状口(27)からその上流側へ繋がる部分が既述入口側流路に対応している。
【0016】
上記内筒(61)の上端の主弁座口(15)を開閉するダイヤフラム弁(16)は、弁箱(11)を構成する外筒(62)の上部内周に周設された張り出し部(64)に載置状態で取付けられるビート(65)が外周に周設されたダイヤフラム(66)を具備している。そして、このダイヤムラム(66)の表面側弁部が主弁座口(15)の周縁に当接するようになっている。このダイヤフラム(66)の中央孔(67)には、シート部材(68)の中央部に貫設するように一体形成された筒部(60)の下端頭部(69)が強制嵌入されており、前記筒部(60)内が主弁座口(15)内に繋がる第2リーク孔になっている。又、上記ダイヤフラム(66)に形成された嵌入孔(63)には、前記シート部材(68)の下面から突出する嵌込軸(71)が強制嵌入されてており、これにより、ダイヤフラム(66)とシート部材(68)が強固に結合されている。又、嵌込軸(71)には軸線方向に貫通する第1リーク孔(72)が形成されており、これにより、内筒(61)と外筒(62)の間の環状口(27)、即ち、一次圧室(74)と第1リーク孔(72)の下流側の二次圧室用凹部(750) が連通するようになっている。又、上記二次圧室用凹部(750) は、弁箱(11)の外部からダイヤフラム弁(16)に対して主弁座口(15)の反対側の部位に直線的に繋がっており、該二次圧室用凹部(750) には、後述の開閉駆動ユニット(30)の下端が挿入接続されるようになっている。従って、本実施の形態では、上記二次圧室用凹部(750) の上端は既述した入口側流路に繋がる開口に対応すると共に、該二次圧室用凹部(750) は既述した連通孔に対応する。
【0017】
弁箱(11)にはその外周壁から内筒(61)に繋がる流量調節弁用横穴(77)が穿設されていると共に、該流量調節弁用横穴(77)にはネジ軸状の流量調節弁(78)が装填されている。該流量調節弁(78)は弁箱(11)に形成された螺孔(70)に螺入されるネジ頭部(73)と、該ネジ頭部(73)のねじ込み方向先端部に連続する弁軸部(76)を具備しており、該弁軸部(76)が軸線方向に進退移動すると、流量調節用弁口(81)の開度が変化する。
[開閉駆動ユニット(30)について]
上記弁箱(11)の上端に接続される開閉駆動ユニット(30)は、補助ダイヤフラム(82)を保持する下筒(852) 及び上筒(851) から成る筒体(85)と、該筒体(85)の上端に連設される駆動手段(87)から構成されている。そして、この実施の形態では、上記筒体(85)と駆動手段(87)の全体の外周構成壁が既述した蓋部材に対応している。
【0018】
上記筒体(85)は、上記のように上筒(851) とその下端に連設される下筒(852) を具備し、下筒(852) を構成する差込筒(850) の上端内周に張り出すフランジ(89)の上面には、該フランジ(89)の内周縁に沿って環状溝(80)が形成されている。又、フランジ(89)に装着される可撓部材としての補助ダイヤフラム(82)の外周耳部(86)は、上記環状溝(80)に嵌入されると共に、補助ダイヤフラム(82)の中央部には、既述ダイヤフラム弁(16)の第2リーク孔たる筒部(60)に嵌入状態で接着される接続筒(84)が貫通している。又、下筒(852) には第1縦孔(419) が上下に貫通していると共に外周フランジ(53)が張り出している。尚、差込筒(850) の内部空間(751) と既述した弁箱(11)の上端の二次圧室用凹部(750) によってダイヤフラム弁(16)の背面側の二次圧室(75)が形成される。
【0019】
上記下筒(852) の上端に接続される上筒(851) の下端には、上記下筒(852) の外周フランジ(53)に重ねられる外周フランジ(56)が周設されている。又、上筒(851) の周壁には、下端面から上部内周に繋がり且つ上記第1縦孔(419) に接続される第2縦孔(418) が貫通している。そして、互いに結合された上筒(851) と下筒(852) から成る筒体(85)の上記第1,第2縦孔(419) (418) によって、上記補助ダイヤフラム(82)の下方空間から上方空間に繋がる縦孔(410) が構成されている。上記筒体(85)の上端に接続される駆動手段(87)は、上筒(851) 内に液密的に挿入される接続筒(36)を備えていると共に、該接続筒(36)内にはノズル(37)が同軸状に設けられており、該ノズル(37)の下端外周が接続筒(36)の内周に一体化されている。又、接続筒(36)の側壁には、上記ノズル(37)の上方空間に繋がる横穴(38)(38)が貫通している。ノズル(37)の上端に開放するパイロット用弁座口(23)は、磁性体で形成されたプランジャ(28)の下端に保持された第1パイロット弁体(43)で開閉されるようになっていると共に、上記プランジャ(28)の上端は、電磁コイル(45)内に挿入された鉄心(46)に対して下方から対向している。尚、本実施の形態では、上記弁体(43),パイロット用弁座口(23)及びプランジャ(28)の集合が既述したパイロット弁に対応する。又、上記鉄心(46)と電磁コイル(45)は、これらの間に介装されたコイル状のバネ(20)で離反する方向に付勢されている。
【0020】
又、プランジャ(28)の外周は永久磁石(470) で包囲された状態になっており、該永久磁石(470) により、プランジャ(28)を上方に持ち上げる力が補完されている。
[組み立て作業]
次に、上記各部品を用いて小電源式のパイロット式電磁弁を組み立てる作業を説明する。
【0021】
先ず、筒体(85)を構成する下筒(852) の差込筒(850) を、弁箱(11)の上端に開放する連通孔たる二次圧室用凹部(750) へ上方から挿入する。尚、下筒(852) を弁箱(11)に取付けるときは、接続筒(84)と補助ダイヤフラム(82)は下筒(852) から取り外しておくと共に、これら接続筒(84)と補助ダイヤフラム(82)は互いに分離状態にしておく。上記差込筒(850) を前記二次圧室用凹部(750) に挿入すると、図2に示すように、上記差込筒(850) の下端で、ダイヤフラム弁(16)用のダイヤフラム(66)のビート(65)が弁箱(11)の張り出し部(64)に押圧され、これにより、上記ダイヤフラム弁(16)が固定される。次に、接続筒(84)の下端をダイヤフラム弁(14)の中央の筒部(60)に嵌入して両者を接着剤で接着する。続いて、補助ダイヤフラム(82)を上記接続筒(84)に強制外嵌すると共に、その外周耳部(86)を下筒(852) の中央孔の周囲の環状溝(80)に収容する。次に、上記下筒(852) の上に上筒(851) を同軸状に接続すると共に、下筒(852) と上筒(851) の周壁に形成された第1,第2縦孔(419) (418) を連通状態にして縦孔(410) を完成させる。次に、上筒(851) の外周フランジ(56)と下筒(852) の外周フランジ(53)に周方向に所定ピッチで複数形成されたネジ挿通孔(48)(49)から、結合ネジ(47)(47)を挿入してこれを弁箱(11)のネジ孔(44)に螺入する。これにより、筒体(85)と弁箱(11)が結合ネジ(47)(47)で結合一体化される。
【0022】
次に、筒体(85)を構成する上筒(851) の小径部(853) に駆動手段(87)の接続筒(36)を液密状態に挿入すると共に、該接続筒(36)の側壁に形成された横穴(38)(38)を、筒体(85)の周壁に貫設された縦孔(410) の上端開放部に一致させる。この状態で駆動手段(87)の外周の固定フランジ(40)をビス(42)(42)で筒体(85)の上端の大径筒部(854) に結合固定する。すると、図2に示すように、小電源式のパイロット式電磁弁が完成する。この状態では、ダイヤフラム弁(16)の第1リーク孔(72)→縦孔(410) →ノズル(37)のパイロット用弁座口(23)内→補助ダイヤフラム(82)の接続筒(84)→ダイヤフラム弁(16)の第2リーク孔たる筒部(60)の順序で繋がったバイパス流路(41)が形成される。
【0023】
上記パイロット式電磁弁を使用するときは、図2の想像線で示すように、弁箱(11)の側壁から突出する給水配管接続筒(51)の先端の入口(12)に給水管(A) を接続すると共に、弁箱(11)の下端に突出する吐出側配管筒(83)に吐出管(B) を接続する。
【0024】
次に、図2の閉弁状態からダイヤフラム弁(16)を開弁するときは、図示しない開弁スイッチを操作することにより、リード線(19)から電磁コイル(45)に通電する。すると、該電磁コイル(45)が励磁されて鉄心(46)が磁化され、該プランジャ(28)がコイル状のバネ(20)の付勢力に抗して鉄心(46)側に吸着移動されて第1パイロット弁体(43)がパイロット用弁座口(23)から離反して図3の状態になる。すると、ダイヤフラム弁(16)の背面側の二次圧室(75)→縦孔(410) →パイロット用弁座口(23)→補助ダイヤフラム(82)に具備させた接続筒(84)→ダイヤフラム弁(16)の筒部(60)と繋がるバイパス流路(41)内を水が流れる。これにより、二次圧室(75)内の水圧が低下し、ダイヤフラム弁(16)の上流側の一次圧室(74)と下流側の二次圧室(75)との圧力差でダイヤフラム弁(16)のダイヤフラム(66)が二次圧室(75)側に変形して該ダイヤフラム弁(16)が開弁する(図3の状態)。すると、給水管(A) →給水配管接続筒(51)内→ダイヤフラム弁(16)の一次圧室(74)→内筒(61)内→流量調節用弁口(81)→吐出側配管筒(83)内→吐出管(B) と繋がる経路で水が流れて開弁状態に維持される。
【0025】
次に上記開弁状態にあるパイロット式電磁弁を閉弁させるときは、電磁コイル(45)への通電を遮断する。すると、鉄心(46)が消磁状態になり、プランジャ(28)がコイル状のバネ(20)の付勢力でノズル(37)側に押し出され、これにより、該ノズル(37)のパイロット用弁座口(23)が第1パイロット弁体(43)で閉塞される。すると、ダイヤフラム弁(16)に形成された第1リーク孔(72)を介して連通している該ダイヤフラム弁(16)の一次圧室(74)と二次圧室(75)の水圧が等しくなると共に、上記一次圧室(74)から内筒(61)内に流れ込む水に吸引されてダイヤフラム弁(16)のダイヤフラム(66)が前記内筒(61)側に変形し、これにより、ダイヤフラム弁(16)が内筒(61)の上端の主弁座口(15)に当接して閉弁状態に復帰する。
次に、既述した弁箱(11)を用いて大電源式のパイロット式電磁弁を製作する場合を図4に基づいて説明する。
【0026】
大電源式のパイロット式電磁弁を製作場合は、図4に示すように、弁箱(11)の上端に接続される取付けベース(93)を具備する大電源式の開閉駆動ユニット(94)を準備する。上記取付けベース(93)は、既述筒体(85)の差込筒(850) と同一構造の差込筒(96)と、その上端外周から張り出す取付けフランジ(97)を具備している。そして、上記取付けフランジ(97)は、小電源式のパイロット式電磁弁の上記下筒(852) の外周の外周フランジ(53)と同一構造を有している。従って、弁箱(11)の上端に周方向に所定ピッチで配設された螺孔(44)(44)に合致するネジ挿通孔(92)(92)が上記取付けベース(93)に形成されている。
【0027】
又、取付けベース(93)の上面には大電源用の電磁コイル(90)が連設されていると共に、該電磁コイル(90)の中央の柱状空間(98)には軸線方向に進退するプランジャ(95)が収容されており、該プランジャ(95)は磁性体で形成されている。又、上記プランジャ(95)はコイル状のバネ(59)で下方に付勢されていると共に、該プランジャ(95)の下端には、弁箱(11)に装填されたダイヤフラム弁(16)の第2リーク孔たる弁座口(150) を直接開閉する第2パイロット弁体(79)が配設されている。
【0028】
上記大電源用開閉駆動ユニット(94)を弁箱(11)に結合するときは、取付けベース(93)の差込筒(96)を弁箱(11)の上端の連通孔たる二次圧室用凹部(750) に挿入すると共に、この状態で弁箱(11)の螺孔(44)(44)に一致したネジ挿通孔(92)(92)の上方から結合ネジ(47)(47)を挿入してこれを上記螺孔(44)(44)に螺入する。すると、大電源用開閉駆動ユニット(94)と弁箱(11)が結合されて大電源式のパイロット式電磁弁が完成する。
【0029】
このものでは、閉弁状態では大電源用開閉駆動ユニット(94)のプランジャ(95)に具備させた第2パイロット弁体(79)がダイヤフラム弁(16)の筒部(60)の上端の弁座口(150) を閉塞している。この閉弁状態で電磁コイル(90)に通電すると、柱状空間(98)がバネ(59)の付勢力に抗して電磁コイル(90)の中央の柱状空間(98)の奥に引き込まれて上昇し、これにより、上記第2パイロット弁体(79)がダイヤフラム弁(16)の筒部(60)の上端の弁座口(150) から離反する。すると、二次圧室(75)内の水がダイヤフラム弁(16)の筒部(60)から内筒(61)内に流れ、これにより、ダイヤフラム弁(16)の表裏の一次圧室(74)と二次圧室(75)との圧力差が生じてダイヤフラム弁(16)が開弁する。
【0030】
このように、本実施の形態では、大電源用開閉駆動ユニット(94)を構成する取付けベース(93)の差込筒(96)や、ネジ挿通孔(92)(92)が開設された取付けフランジ(97)、即ち、大電源用開閉駆動ユニット(94)を弁箱(11)に取付ける取付け部の構造は、開閉駆動ユニット(30)の筒体(85)を弁箱(11)に取付ける取付け部の構造と同一構造を有しているから、共通の弁箱(11)を用いて図4の大電源式のパイロット式電磁弁及び図2の小電源式のパイロット式電磁弁の何れも製作することができ、これら2種類のパイロット式電磁弁の弁箱(11)を共通化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るパイロット式電磁弁の分解断面図
【図2】本発明の実施の形態に係るパイロット式電磁弁の閉弁状態の断面図
【図3】本発明の実施の形態に係るパイロット式電磁弁の開弁状態の断面図
【図4】図1に現れる弁箱(11)を用いた大電源式のパイロット式電磁弁の分解断面図
【図5】従来例の説明図
【図6】従来例の説明図
【符号の説明】
(11)・・・弁箱
(15)・・・主弁座口
(16)・・・ダイヤフラム弁
(41)・・・バイパス流路
(45)・・・電磁コイル
(60)・・・筒部
(72)・・・第1リーク孔
(84)・・・接続筒
Claims (1)
- 第1パイロット弁体(43)と第1パイロット弁体(43)で開閉されるパイロット用弁座口(23)とを有する小電源用開閉駆動ユニット(30)又は第2パイロット弁体(79)を有する大電源用開閉駆動ユニット(94)が取り付け可能な弁本体と、
前記小電源用開閉駆動ユニット(30)とを備えたパイロット式電磁弁であって、
前記弁本体は、ダイヤフラム弁(16)及びこのダイヤフラム弁(16)とを収容する弁箱(11)とを備え、
前記弁箱(11)は、上流端を主弁座口(15)とした出口側流路と前記主弁座口(15)の周囲に形成される環状口を下流端とした入口側流路とが開口する二次圧室用凹部(750)を有し、
前記ダイヤフラム弁(16)は、前記主弁座口(15)を開閉し、主弁座口(15)に当接して前記入口側流路と前記出口側流路との連通を遮断するように前記二次圧室用凹部(750)内に配設され、
前記ダイヤフラム弁(16)が配設された前記二次圧室用凹部(750)を前記小電源用開閉駆動ユニット(30)又は前記大電源用開閉駆動ユニット(94)で覆うことにより、前記ダイヤフラム弁(16)の背面側に二次圧室(75)が形成され、
前記ダイヤフラム弁(16)は、さらに、前記入口側流路と前記二次圧室(75)とを連通する第1リーク孔(72)と、前記出口側流路に一端が開口し、他端が前記大電源用開閉駆動ユニット(94)により二次圧室(75)が形成されたときに第2パイロット弁体(79)によって開閉されて、開状態において前記二次圧室(75)に開口する筒部(60)とを有し、
前記小電源用開閉駆動ユニット(30)は、バネで閉弁方向に付勢され、下端に第1パイロット弁体(43)を設けたリフト弁式のプランジャ(28)と、当該プランジャ(28)を介して第1パイロット弁体(43)を開弁させる電磁コイルと、前記筒部(60)の他端に接続される接続筒(84)と、この接続筒(84)が貫通されて固定され、前記ダイヤフラム弁(16)の変形に追随して変形すると共に小電源用開閉駆動ユニット(30)内に固定される補助ダイヤフラム(82)とを有し、前記パイロット用弁座口(23)を前記接続筒(84)内に連通させて、二次圧室(75)をパイロット用弁座口(23)及び接続筒(84)を介して筒部(60)内に連通するバイパス流路(41)が形成されているパイロット式電磁弁。
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