JP4389646B2 - トランス−1,4−ポリブタジエンの分子量調節法 - Google Patents

トランス−1,4−ポリブタジエンの分子量調節法 Download PDF

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本発明は、新規なトランス−1,4− ポリブタジエンの製造方法に関する。
ブタジエンは、重合触媒によって種々のミクロ構造を有するポリマ−が得られることが知られている。トランス−1,4結合を多く含むポリブタジエンは、固相転移現象を生じる結晶性ポリマーであり、なかでも95%以上のトランス結合を含むポリブタジエンは、固相転移現象に伴う体積変化や熱授受が顕著であって、例えば特開平9−268208号公報(特許文献1)には蓄熱材料としての利用、特開平2003−45704号公報(特許文献2)にはPTC材料としての利用が開示されている。このように材料として利用する場合、用途に応じ、高トランス−1,4−ポリブタジエンが適当な分子量を持っていることが望ましい。
このような高トランスポリブタジエンは、例えば特公昭44−21104号公報(特許文献3)に記載のように、バナジウム触媒を用いて製造することができる。しかしながら、バナジウム触媒を用いた高トランスポリブタジエンの製造においては、連鎖停止では無く連鎖移動を行うことにより分子量の調節を可能とする添加剤(連鎖移動剤)は知られていない。
また、アルフィン触媒を用いてトランスポリブタジエンを製造する場合には、例えば特公昭48−16059号公報(特許文献4)に記載のように、トリオキサンのような環状エーテルを反応系に添加することにより分子量を調節できることが知られるが、トランス1,4−含有は高々70%である。
また、有機コバルト化合物触媒を用いてトランスポリブタジエンを製造する場合には、例えば特開平8−67716号公報(特許文献5)、特開2002−145921号公報(特許文献6)に記載のように、ジメチルスルホキシドのようなスルホキシド化合物を反応系に添加することにより分子量を調節できることが知られるが、トランス1,4−含有は高々85%である。また、これらの分子量調節剤を添加した場合は重合反応の活性(収率)が低下する。活性低下を生じない分子量調節剤が求められていた。また、これらの触媒を用いて相転移熱量の高い、高トランスポリブタジエンを製造できた例も知られていない。
また、トランス結合の割合が高々1.3%である高シス−1,4−ポリブタジエンの製造においては、特開2003−82008号公報(特許文献7),特開2003−82009号公報(特許文献8)に記載のように、水素が単独で連鎖移動剤として働くことが知られる。しかし、トランス−1,4−ポリブタジエンの製造において、水素が連鎖移動剤として働く例は知られていない。
また、同様にトランス結合の割合の低いシス−1,4−ポリブタジエンの製造においては、例えば特公昭36−4747号公報(特許文献9)に記載のように、α−オレフィンや非共役ジエンが実質的に連鎖移動剤となることが知られるが、トランス−ポリブタジエンの製造において、連鎖移動剤として働く例は知られていない、
このように、トランス結合含有率が90%を越えるようなポリブタジエンの製造においては、分子量以外の物性に影響を及ぼさない分子量調節剤、すなわち連鎖移動剤は知られていない。このため、新規な連鎖移動剤が求められていた。
特開平9−268208号公報 特開平2003−45704号公報 特公昭44−21104号公報 特公昭48−16059号公報 特開平8−67716 特開2002−145921号公報 特開2003−82008号公報 特開2003−82009号公報 特公昭36−4747号公報
本発明は、トランス−1,4−構造を主要構造とするポリブタジエンの製造時に、触媒活性および製造されるポリマーの分子量以外の物性に影響を及ぼすことなく、分子量の調節を可能とするような、分子量調節法を提供するものである。
本発明は、1,3−ブタジエンを重合させて、ブタジエンユニットの90%以上がトランス−1,4結合構造のポリブタジエンを製造において、連鎖移動剤として、(A)エチレン及び(B)水素を用いることにより分子量を調節することを特徴とするトランス−1,4−ポリブタジエンの製造方法に関する。
また、本発明は、1,3−ポリブタジエンの重合を、(C)遷移金属触媒の存在下で行うことを特徴とする、上記のトランス−1,4−ポリブタジエンの製造方法に関する。
また、本発明は、遷移金属触媒(C)が、バナジウム化合物であることを特徴とする、上記のトランス−1,4−ポリブタジエンの製造方法に関する。
また、本発明は、製造されたトランス−1,4−ポリブタジエンが、固相−固相結晶転移現象を示し、示差走査熱量計(DSC)で測定された、窒素雰囲気下、200℃10分加熱することにより完全に融解させた後、−5℃/分で−30℃まで降温し再結晶化し、10℃/分で昇温した場合における相転移エンタルピー(ΔHtr)が、50J/g以上であるような、上記のトランス−1,4−ポリブタジエンの製造方法に関する。
本発明により、トランス−1,4−構造を主要構造とするポリブタジエンの製造時に、触媒活性および製造されるポリマーの分子量以外の物性に影響を及ぼすことなく、分子量の調節を可能とするような、分子量調節法を提供することができる。
本発明の1,3−ブタジエンの重合に用いることのできる重合法としては、塊状重合、溶液重合、気相重合、エマルション重合などを挙げることができる。溶液重合での溶媒としては、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族系炭化水素、n−ヘキサン、ブタン、ヘプタン、ペンタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素、シス−2− ブテン、トランス−2− ブテン等のオレフィン系炭化水素、ミネラルスピリット、ソルベントナフサ、ケロシン等の炭化水素系溶媒や、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒等が挙げられる。また、1,3−ブタジエンそのものを重合溶媒としてもよい。
また、溶液重合の溶媒あるいは1,3−ブタジエンモノマーは、微量の水分を含んでいても良い。
本発明のトランス−1,4−ポリブタジエンは、ポリマー鎖中のブタジエン単位の中でのトランス−1,4結合の含量が、IRスペクトル、あるいは1H−NMR、13C−NMR 等スペクトルからの算出で、90モル% 以上、好ましくは95%以上、さらに好ましくは99% 以上である。トランス結合以外のブタジエンユニットの構造は、1,2−ビニル結合であっても、シス結合であっても良いが、シス結合が多いほうが好ましい。
また、本発明のトランス−1,4−ポリブタジエンは、ポリマー物性を損なわない範囲で、連鎖移動剤構成成分(A)エチレンの重合されたユニットを、ポリマー鎖の中に含むことができる。
本発明において「連鎖移動剤」とは、1,3−ブタジエンの重合時に系中に導入することにより、重合活性の低下を引き起こすこと無く、また、熱物性を低下させること無く、分子量を低下させる働きを示す物質である。
ここで、重合活性の低下とは、該物質の導入を除いて同一の反応条件において、同一反応時間におけるトランス−1,3−ブタジエンの収率が低下するか、あるいは、同一収率を得るのに必要な反応時間が増大することを意味する。
またここで、熱物性の低下とは、示差走査熱量計(DSC)で観察される固相転移現象の消失か、固相転移温度、融点、固相転移エンタルピーのいずれかの顕著な低下を意味する。
また、ここで分子量とは、スチレンを標準物質としゲル浸透クロマトグラフィ−(GPC)により、溶媒としてo−ジクロロベンゼンを用いて求めた、数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)である。
本発明において製造されるトランス−1,3−ポリブタジエンの固相転移温度Ttr(℃)と、(A)エチレンおよび(B)水素を添加しないことを除いて同一条件にて重合したトランス−1,3−ポリブタジエンの固相転移温度Ttr0(℃)との差Ttr0-Ttrは、5以下、好ましくは2以下、特に好ましくは0以下である。
本発明において製造されるトランス−1,3−ポリブタジエンの融点Tm(℃)と、(A)エチレンおよび(B)水素を添加しないことを除いて同一条件にて重合したトランス−1,3−ポリブタジエンの固相転移温度Tm0(℃)との差Tm0-Tmは、5以下、好ましくは2以下、特に好ましくは0以下である。
本発明において製造されるトランス−1,3−ポリブタジエンの固相転移エンタルピーΔHtr(J/g)と、(A)エチレンおよび(B)水素を添加しないことを除いて同一条件にて重合したトランス−1,3−ポリブタジエンの固相転移エンタルピーΔHtr0(J/g)との比、ΔHtr/ΔHtr0は、0.85以上、好ましくは0.90以上、特に好ましくは0.95以上である。
1,3−ブタジエンモノマーと(A)エチレンとの組成比は、通常1000:1〜1:1であり、好ましくは100:1〜5:1であり、特に好ましくは80:1〜20:1である。
(A)エチレンと(B)水素との組成比は、通常10:1〜1:1000であり、好ましくは5:1〜1:50であり、特に好ましくは1:1〜1:10である。
本発明の連鎖移動剤の連鎖移動剤を構成する各成分は、例えば、気体として、溶媒に溶解させた状態で、あるいは、反応系内で化学反応により発生させることなどにより、重合系に導入することができる。
本発明における1,3−ブタジエンの重合温度は、通常−78℃〜110℃であり、好ましくは0℃〜80℃であり、特に好ましくは20℃〜60℃である。
本発明における1,3−ブタジエンの重合は、バッチ重合であっても、連続的重合であっても良い。バッチ重合における重合時間は、通常1秒から90時間であり、好ましくは30秒から2時間であり、特に好ましくは5分から1時間である。連続重合における平均滞留時間は、通常5秒から24時間であり、好ましくは30秒から3時間であり、特に好ましくは5分から1時間である。
本発明における触媒系成分(C)遷移金属化合物としては、例えば、チタニウム化合物、バナジウム化合物、クロミウム化合物、コバルト化合物、ニッケル化合物、ロジウム化合物、ランタン化合物などを挙げることができる。
チタニウム化合物としては、例えば、四塩化チタニウム、四ヨウ化チタニウム、テトラフェニルチタニウム、テトライソプロポキシチタニウム、テトラ(ジエチルアミノ)チタニウムなどを挙げることができる。
バナジウム化合物としては、例えば、バナジウムトリアセチルアセトナ−ト、三塩化バナジウム、三塩化バナジウムTHF錯体、オキシ三塩化バナジウム、オキシ二塩化バナジウムアセチルアセトナート、ナフテン酸バナジウム、バナジウムオキシアルコキシドなどを挙げることができる。
クロミウム化合物としては、例えば、トリ(π−クロチル)クロミウム、トリプロピルクロミウムなどを挙げることができる。
コバルト化合物としては、例えば、二臭化コバルト、二塩化コバルトを挙げることができる。
ニッケル化合物としては、例えば、πアリルニッケル、二ヨウ化ニッケル、ビスシクロペンタジエニルニッケル、ビス(1,5−シクロオクタドデシル)ニッケルなどを挙げることができる。
ロジウム化合物としては、例えば、三塩化ロジウム、三臭化ロジウム、ロジウムトリアセチルアセトナート、硝酸ロジウムなどを挙げることができる。
ランタン化合物としては、例えば、ランタンビス(2−エチルヘキシル)ホスフェートを挙げることができる。
本発明における遷移金属触媒は、例えば、液状の単体、適当な溶媒に分散した状態、あるいは担体に担持された状態で、反応系中に導入することができる。
本発明における遷移金属触媒とブタジエンとのモル比は、通常、1:10〜1:1000000、好ましくは1:100〜1:100000、特に好ましくは1:500〜1:10000である。
本発明における遷移金属触媒系は、助触媒あるいは開始剤として、周期律表第1〜3族有機金属化合物を合わせて用いることができる。有機金属化合物としては、有機金属化合物、有機金属ハロゲン化合物、水素化有機金属化合物、またはアルモキサンなどが挙げられる。
有機金属化合物としては、例えば、メチルリチウム、ブチルリチウム、フェニルリチウムなどの有機リチウム化合物、ジブチルマグネシウムなどの有機マグネシウム化合物、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物が挙げられる。
有機金属ハロゲン化合物としては、例えば、エチルマグネシウムクロライド、ブチルマグネシウムクロライドなどのグリニヤ−ル化合物、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、セスキエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムジクロライドなどのハロゲン化有機アルミニウム化合物などが挙げられる。水素化有機金属化合物としては、例えば、ジエチルアルミニウムハイドライド、セスキエチルアルミニウムハイドライドなどが挙げられる。
アルモキサンとは、一般式(−Al(R)O−)m で示される直鎖状、あるいは環状重合体である(Rは炭素数1〜10の炭化水素基であり、一部ハロゲン原子及び/又はRO基で置換されたものも含む。mは重合度であり5以上、好ましくは10以上である)有機アルミニウムオキシ化合物である。Rとしてはメチル、エチル、プロピル、イソブチル基が挙げられるが、メチル基が好ましい。
助触媒としては、上記の中でも、有機アルミニウム化合物が好ましく、更に、ハロゲン化有機アルミニウム化合物がより好ましく、更に、ジエチルアルミニウムクロライドおよびエチルアルミニウムセスキクロリドが特に好ましい。
本発明においては、特に限定されないが、前記の触媒系でブタジエンの重合を行うことができる。ただし、ポリマ−物性を損なわない範囲において、少量の、直鎖オレフィンや環状オレフィン、共役ジエン、又は非共役ジエンとの共重合を行ってもよい。オレフィンとしては、1−ヘキセン,1−オクテン,ノルボルネン、シクロペンテン、トリメチルビニルシランなどが挙げられる。共役ジエンとしては、イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、2,4−ヘキサジエンなどが挙げられる。非共役ジエンとしては、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、あるいは1,5−ヘキサジエンなどが挙げられる。
触媒成分、モノマーおよび連鎖移動剤の添加順序としては、特に制約は無いが、触媒とモノマーが接する前に、モノマー中に連鎖移動剤を導入することが好ましい。
本発明のトランス−1,4−ポリブタジエンは、数平均分子量が50万以下、好ましくは1000〜20万である。
本発明のトランス−1,4−ポリブタジエンの、分子量分布(Mw/Mn)は、1 〜50が好ましく、2〜22が特に好ましい。
本発明のトランス−1,4−ポリブタジエンは、固相−固相結晶転移現象を示し、示差走査熱量計(DSC)で測定された相転移エンタルピー(ΔHtr)が、50J/g以上、好ましくは70J/g以上、特に好ましくは100J/g以上である。
また、本発明のトランス−1,4−ポリブタジエンは、低温結晶構造から高温結晶構造への結晶転移温度が50〜80℃、好ましくは60〜80℃であり、分子量、ミクロ構造などによって変えることができる。
本発明のトランス−1,4−ポリブタジエンは、ペレット、薄板、金属板とのラミネ−ション、中空糸、構造体、キャストフィルム等への成形加工が可能である。また、相転移現象を示さない他のポリマーと混合して使用しても良い。
また、本発明のトランス−1,4−ポリブタジエンは、有機あるいは無機のフィラーを、混練、溶剤キャスト、あるいはフィラーの存在下での重合などの方法により複合化して用いても良い。
本発明のトランス−1,4−ポリブタジエンは、熱エネルギーの蓄積材料、熱刺激緩和材料、PTC材料などに用いることができる。
実施例において、「収率」とは、製造されたトランス−1,4−ポリブタジエンの重量を、反応系に導入された1,3−ブタジエンモノマーの重量で割った値である。
「結晶相転移点」、「結晶相転移熱」は以下のように求めた。セイコーインスツルメンツ株式会社製SSC 5200の示差走査型熱量計(DSC)を用い、アルミ製サンプルパンに試料約5mgを入れシ−ルしたものを、窒素雰囲気下、200℃10分加熱することにより完全に融解させた後、−5℃/分で−30℃まで降温し再結晶化した。このポリマーを 10℃/分で昇温し、結晶転移に伴う吸熱ピークの最大値を示す温度を結晶転移温度、結晶転移による吸熱量の単位ポリマー量当りの総量を結晶転移熱量とした。また、結晶融解に伴う吸熱ピークの最大値を示す温度を融点、結晶融解に伴う吸熱量の単位ポリマー量当りの総量を融解熱量とした。
「数平均分子量」は以下のように求めた。スチレンを標準物質としWaters製150C型(カラムは昭和電工製ShodexHT−806M2本、プレカラムとしてShodexHT−800P1本を使用)のゲル浸透クロマトグラフィ−(GPC)により、溶媒o−ジクロロベンゼン、カラム温度135 ℃で、同一条件で標準ポリスチレンの測定を行い校正曲線を作成し校正して求めたGPC 曲線より求めたものを示す。
V原子あたり分子鎖数(指標)は、得られたトランス1,4−ポリブタジエンの重量を、数平均分子量で割って求めたモル数を、用いたバナジウムのモル数で割った値を示す。(ただし、ここで用いた分子量がポリスチレン標準であるため、真の触媒あたり分子鎖数にほぼ比例する指標値である。)
「トランス−1,4結合の含量」は、日本電子製EX−400を用いて測定したC13−NMRスペクトルにおける各ピークの強度比から算出した。
重合系内に水分を添加する場合、水分量は、微量水分測定装置(平沼産業社製 AQ−7)を用い,電量滴定法にて求めた。
(実施例1〜4)内容積15mlの小型加圧重合装置を十分に窒素置換した後、トルエン2mlを入れ,助触媒としてジエチルアルミニウムクロライド(DEAC)を0.05mmol(0.05Mトルエン溶液)を加えた,所定圧力の水素を導入した後、ブタジエン(Bd)2mlを加えた。反応容器内を35℃に加温した後,触媒としてオキシ三塩化バナジウム (VOCl3)を0.01mmol(0.01M)加えて重合を開始すると同時に所定圧力のエチレンを導入した。重合操作は、窒素雰囲気下,35℃で15min間,密閉系にて行った。エタノール6mlの注入により重合反応を停止した後、全反応液を15mlのエタノール(老化防止剤イルガノックス1076 100ppm添加物)中に加え,ポリマーを析出させ回収した。回収したポリマーは,エタノールで洗浄後,乾燥させた。
表1に示すとおり、エチレンと水素の共存により、連鎖移動効果が生じた。
(比較例1)エチレンおよび水素を添加していないことを除き、実施例1〜4と同様に行った。(表1)生成したポリマーのミクロ構造は、トランス−1,4結合99.0%、シス−1,4結合0.8%、1,2−結合0.3%であった。
(比較例2〜6)エチレンを添加していないことを除き、実施例1〜4と同様に行った。表1に示すように、水素単独では、連鎖移動効果は見られなかった。
(比較例7〜9)水素を添加していないことを除き、実施例1〜4と同様に行った。表1に示すように、エチレン分圧1barでは、分子鎖数の増加が見られない。また、エチレン分圧を増した場合は、熱物性の低下が生じた。
(比較例10〜12)ジメチルスルホキシド(DMSO)を添加したことを除き、比較例1と同様に行った。表2に示すとおり、数平均分子量は低下するが、活性の低下を生じ、V原子当りの分子鎖数も減少した。
(比較例13〜15)非共役ジエンであるシクロオクタジエン(COD)を添加したことを除き、比較例1と同様に行った。表2に示すとおり、数平均分子量は低下するが、活性の低下を生じ、V原子当りの分子鎖数も減少した。
Figure 0004389646
Figure 0004389646
(実施例5〜7)
内容量2Lの加圧重合装置を、内部にオキシ三塩化バナジウム(0.3mmol/0.2M脱水トルエン溶液)を封入したガラスアンプルを固定設置した後密閉し、同装置の内部を十分に窒素置換した後、乾燥トルエン800mlを導入した。次いでブタジエン200mlを導入し,さらに助触媒であるジエチルアルミニウムクロライド(DEAC:1Mトルエン溶液)1.5mmolを加えた。反応容器内を35℃に加温した後、所定分圧の水素およびエチレンを導入し、触媒ガラスアンプルを破砕することで重合を開始した。重合操作は,窒素雰囲気下35℃で15分間、密閉式にて行った。エタノール5mlの注入により重合反応を停止させた後,全反応溶液を1Lのエタノール(老化防止剤イルガノックス1076 700ppm添加物)中に加え,ポリマーを析出させ回収した。回収したポリマーは,エタノール洗浄後,乾燥させた。結果を表3および表4に示す。熱物性の連鎖移動効果が得られた。
Figure 0004389646
Figure 0004389646
(比較例16〜21)
水素、エチレンのいずれかあるいは両方を添加しなかったことを除き、実施例5〜11と同様に行った。結果を表3および表4に示す。水素のみを添加した場合は、分子鎖が増加せず、水素単独では連鎖移動効果が無いことが明らかである。また、エチレンのみを添加した場合、重量平均分子量の低下が見られず、また分子鎖数から見て連鎖移動効果が顕著になる気相分圧1kgf/cm2の添加量では、熱物性の低下が生じた。
(実施例8)
溶媒として飽和濃度の水分を含有するトルエンと,乾燥トルエンとを組み合わせて用い、重合系内に約0.044〜0.047mmol(Al/H2Omol比:0.33〜0.34)の水を存在させたことを除いて、実施例5〜11と同様に行った。結果は、表5および6に示す。連鎖移動効果が生じている。
Figure 0004389646
Figure 0004389646
(比較例22)
水素、エチレンを添加しなかったことを除き、実施例8と同様に行った。結果は、表5および6に示す。
(実施例9)
重合系内の水分量が約0.024〜0.030mmol(Al/H2Omol比:5.0〜6.3)であることを除いて、実施例8と同様に行った。結果は、表7および8に示す。連鎖移動効果が生じている。
(比較例23)
水素、エチレンを添加しなかったことを除き、実施例11と同様に行った。結果は、表7および8に示す。
Figure 0004389646
Figure 0004389646
(実施例12〜17)
触媒として、オキシ三塩化バナジウム(0.1mmol/0.2M脱水トルエン溶液),助触媒としてエチルアルミニウムセスキクロリド((EASC:1Mトルエン溶液)2.0mmolを用いたことを除いて、実施例8と同様に行った。結果は、表9および10に示す。連鎖移動効果が生じている。また、図1および2に、実施例16のポリマーのDSCおよびNMRスペクトルを示す。
(比較例24〜28)
水素、エチレンの一方あるいは両方を添加しなかったことを除き、実施例11と同様に行った。結果は、表9および10に示す。エチレンのみを添加した場合、熱物性の低下が見られるほか、重量平均分子量(Mw)の増大が見られる。
Figure 0004389646
Figure 0004389646
実施例16のトランス−1,4―ポリブタジエンのDSCスペクトルを示した。
実施例17のトランス−1,4―ポリブタジエンのNMRスペクトルを示した。

Claims (4)

  1. 1,3−ブタジエンを重合させて、ブタジエンユニットの90%以上がトランス−1,4結合構造のポリブタジエンを製造において、連鎖移動剤として、(A)エチレン及び(B)水素を用いることにより分子量を調節することを特徴とするトランス−1,4−ポリブタジエンの製造方法。
  2. 1,3−ポリブタジエンの重合を、(C)遷移金属触媒の存在下で行うことを特徴とする、請求項1に記載のトランス−1,4−ポリブタジエンの製造方法。
  3. 遷移金属触媒(C)が、バナジウム化合物であることを特徴とする、請求項2に記載のトランス−1,4−ポリブタジエンの製造方法。
  4. 製造されたトランス−1,4−ポリブタジエンが、固相−固相結晶転移現象を示し、示差走査熱量計(DSC)で測定された、窒素雰囲気下、200℃10分加熱することにより完全に融解させた後、−5℃/分で−30℃まで降温し再結晶化し、10℃/分で昇温した場合における相転移エンタルピー(ΔHtr)が、50J/g以上であるような、請求項1、2、または3に記載のトランス−1,4−ポリブタジエンの製造方法。
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